かわいいは長所。
かっこいいは正義。
プロポーションは武器。
コミュ力は盾。
恋はーー。
なぜ彼が気になるのか自分でもよくわからない。
別に、彼はかっこいいわけでもない。どちらかといえば、猫背の陰険な怪しい男子生徒。
ぶっきら棒で、誰かといる姿はほとんど目にしない。
なのに。
私はそんな彼を見つければ、ついつい目で追っかけてしまう。
きっかけは何だっただろうか。
はっきりと言えるのは、海浜との合同クリスマスパーティーの会議の中止を伝えに行ったあの日。
だけど、その前から目で追っかけてしまうような存在ではあった。
もっとこう、なんというか、私が出会ったことのないような男子であると認識した時から。
気づけば目で追っかけるような存在になっていた。
まあ、今では私自身が追っかけているんだけどね。
それも先輩が悪いのだ。
あんな美人を二人もはべらせるだけにとどまらず、多方面から綺麗なお姉さんやかわいい小学生にまで密かに人気を高めちゃってるんだから。
これくらいしないと、私をアピールして先輩の脳に焼き付けられない。焼き付けたところで先輩は人間関係には慎重で、臆病で、それでいて傲慢だから、これくらいがちょうどいいのだ。
嫌われたくはない。だからと言って、相手に合わせて持ち上げてかわいい私を演じきる、そんな関係では満足しない。今までの男子であればそれでよかった。あの葉山先輩ですら、それでよかった。告白した時に気付いた、というか気付かされた。私の目には葉山先輩が映っていないんだってことを。映っているのは先輩の後ろ姿なんだと。
振られたのは確かに悲しかったし、悔しかった。今まで頑張っていた私が惨めに思えてきたし、世の男子にその気があるような仕草をしていたことも私が葉山先輩にその気があったことも全て見透かされて、なお断られたのには正直、胸に穴が開くような思いだった。
だけど、ただそれだけだった。
私が欲しいのは葉山先輩ではない。その事実確認ができたようで、内心ホッとしている私がいた。
たぶん、どこかで感づいていたのかもしれない。葉山先輩は振り向かないし、私も振り向かせようとはしていないことを。
この感情が恋だというのであればそうなのかもしれない。私には初めての感情でどう判断していいのかさえもわからないのだ。こんな気持ちはあの葉山先輩にでさえ抱いたことはない。
結局、私が欲しかったのはーー。
かわいい私を演じなくても。
凛としたかっこよさを持っていない私でも。
最高のプロポーションの体でもない私でも。
ありのままの姿の私を受け入れてくれるような、そんな人がなのだろう。
コミュ力がなかろうが葉山先輩みたいなかっこよくなくても。
私は彼が欲しいのだろう。
私の恋はーーー
ーーー本物だ。