暗殺聖闘士   作:挫梛道

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Bonus Episode
殺せんせーの時間


 

…時間軸は、響達が中学の卒業式を迎える日の、日の出前頃迄 巻き戻る。

 

▼▼▼

「昨夜の出来事だから、まだ後ろ側だとは思うが…」

 

死後の世界、黄泉平坂。

蟹座(キャンサー)の黄金聖闘士(ゴールド セイント)の権能で この地に赴いた響は、死者の行列の最後方近くから、あ(・)る(・)人(・)物(・)を捜すべく、前へと進んで行く。

 

「ん?」

その途中、急に その死者の歩みが、まるで何かに塞き止めされたかの様に止まった。

何事かと、その原因を調べるべく、その儘 前進していくと…

 

「………………。」

 

ゲシゲシゲシゲシッ!

 

「止めろ貴様! 私を誰だと思っている?!」

1人の死者が、数時間前に響が頭だけを残して地中に埋めた柳沢…その頭を一踏みして先に進むで無く、その場に留まり その顔面に、ストンピングの連打を執拗に浴びせていたのだった。

 

「…何してんの? 」

「にゅ? 吉良君?」

その見た目は20後半から30半ば、長身細身の黒髪の男に、響は声を掛ける。

 

≫≫≫

「全く…やってる事は理解してやらなくもないが、それでも行進を妨げる行為は、アウトでしょ?」

「にゅや…申し訳有りません。」

亡者の葬列の傍らで、腕組み仁王立ちな響が、ごつごつの岩の地面に正座している殺せんせー…今は柳沢からの肉体改造を受ける前の姿である…に説教。

 

「そーゆーのは一端 列から外れて、横から蹴り入れてれば良かったんだよ。

そうすれば、死者の行進の邪魔には ならない。」

「にゅ…」

…やや、ベクトル違いな内容だが。

 

「…で、吉良君、キミは どうして此処に?」

殺せんせー、若しくは破壊生物と呼ばれる前、嘗て人間だった頃…身体能力は兎も角 少なくとも生物学上は…『死神』と呼ばれていた時代の姿な姿の殺せんせーは正座から立ち上がり、響に問い掛けた。

 

「それは、ね…」

 

≫≫≫

「それは…」

「ぶっちゃけ、只の俺の自己満自己中な お節介だけどね。」

響から殺せんせーに持ち掛けられた話は、所謂 生き返り…復活の誘い。

響が言うには、確かに過去の所業は、決して1度 死んだ程度で赦される事では無い。

だからこそ、まだ生きて罪を償うべき…殺し屋·死神で無く、教師としての殺せんせーを必要とする者の為に、普通に天寿を全うする迄 生き抜け…それが響の考え。

 

「まぁ、強制は しないけどね。」

「しかし、先生の肉体(からだ)は既に…」

「それなら問題は無いさ。」

蟹座(キャンサー)の黃金聖闘士(ゴールド セイント)の権能で、死んだ魂を、元の肉体…或いは それが健康ならば、別の死体(からだ)に入れ込む事で生き返りは可能。

そして既に、響は その為の器(・)も用意しているとか。

欧州圏の某国にて かなりな勢力を持つ、マフィア組織の下っ端の男で、この男自身も既に、己の手を多量の血で染めている為、響…聖闘士(セイント)基準では邪悪認定で、●すのには何の問題も無かったとか。

 

「いえ…問題 大アリですよ…」

…因みに現在、その組織自体が、原因は不明だが、既に壊滅している。

関係者、上から下迄 全員死亡で。

 

「…。」

この誘いに対し、この殺せんせーは悩む。

あらゆる意味で、非常に魅力的だったから。

死を回避できる…は、別に大した問題は無い。

最強の殺し屋と呼ばれていた頃から、それは覚悟していた事だから。

しかし、決して正規の それには なれないだろうが、また教師を続ける事が出来る…

それは今の自分にとっては、余りにも大き過ぎる魅力。

 

「それにね…柳沢に蹴り入れてたのは大して問題無いけど、それで死者の行進を止めてたって、それって結構 不味いと思うぜ?」

「そ、そうなのですか?」

「ああ。絶対に閻魔様に問い詰められる。

仮に閻魔様は何も言わなくても、その補佐官の鬼いさんが、滅茶苦茶に怖い人らしくてね?

間違い無く物理的&精神的に、それこそ『くっ殺』レベルな責めを貰えるのは確定だな。…直接の面識は無いから知らんけどw」

「(」°⁠o(」°⁠…!?」

そして更なる響からの情報に、殺せんせーは激しく動揺。

 

「だからさ、所詮は先延ばしな問題だけど、現世で もう少し善行を重ねてさ、少しでも心象良くしてた方がベターだと思うぜ?」

「…。」

そして、最終的に出した答えは…

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません、あぐり…

貴女に会うのは、もう少しだけ先に なりそうです…。」

 

 

 

▼▼▼

「やれやれ…ですね。」

中肉中背の、金の短髪の若い…見た所、20後半から30半ばと思われる男がポツリと呟いた。

響の能力により、魂を新しい身体に移された殺せんせーだ。

その際、おまけのサービスとして、世界各地に点在する隠れ家(アジト)の1つに、転移(テレポート)で送られていた。

 

ヴォ…

 

「まだ、生きていましたか。」

監視室の様な部屋…殺せんせーが操作盤を操ると、電源の入った無数のモニター画面には、世界中に配置されたカメラと繋がっているかの如くに、次々と画面が切り替わる。

その台詞は、まだ その機能が失われていない事の確認。

 

カタカタカタ…

 

殺せんせーは更に、パソコンのキーボードを叩き、

「ふむ。手を付けられたのは、8つですか。

この場が手付かずでしたから、そんな気はしていましたが、8つしか…いえ、メインの口座は普通に教えていたから、7つしか見付ける事が出来なかったとは…

シューラー、やはりキミは、まだまだ半人前ですよ。

まぁ、今の私にとっては、ラッキーでしたけどね。」

自身が所有する銀行口座の確認。

その、50の内の8つの口座の残高が0になっている…間違い無く、自分を裏切った弟子(シューラー)の仕業だろうが…のを見て、殺せんせーは少し悲し気 少し呆れ気味に声を発し、その先も室内にてパソコンを操作。

まだ活用の出来る偽装戸籍等の色々な事柄を確認し、操作盤脇、固定電話の受話器を手に取った。

   

「もしもし、ハザマ先生。お久し振りです。」

『…2年位前に、弟子に裏切られて殺されたと聞いていたが、どうやら それはデマだった様だな。』

「少しは驚いたり、偽者とか疑って下さいよ?」

『ふん、俺達の世界では、「誰々が死んだ」「殺された」なんて、そう簡単に信じる奴なんて居ないさ。

それに、そ(・)の(・)番(・)号(・)か(・)ら(・)電(・)話(・)し(・)て(・)き(・)て(・)、俺をハ(・)ザ(・)マ(・)と呼ぶ事で、アンタが本物だと確信出来る。』

「やっぱり名前、幾つも持っていましたか…」

『…それでMESSOR、 この俺に電話してきたって事は、仕事か? 内容は?』

「はい。ちょっと、整形を、ですね…。」

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

…其処は、アフリカ大陸の とある国。

義務教育という制度の無い国…教育機関が未発達で、ある程度の裕福な家庭の者でしか、学校に通う事が出来ない…教育を受ける事の出来ない、そんな国の中に在る、とある貧しい村。

 

わーわー… 

 

少し崩れた建物内の広い部屋で、約20人…10〜12歳程の子供達が、元気に走り回っていた。

 

キ~ンコーン…

 

「「「「…!!」」」」

そんな中、鐘の音が鳴り、それを聞いた子供達は動きを止める。

 

「ほら皆、早く机を戻して席に着いて!

タコせんせー来るわよ!」

「「「「はーい。」」」」

 

ガタガタ…

 

この子供達のリーダー格か、最年長と思われる少女の一言で、他の子供達が各々、散らかっていた机を並べて着席。

 

ガラ…

 

それと同時、部屋に入って来たのは年齢が20代後半と思われる、黒髪の細身の男。

 

「「「「「「「タコせんせー、おはよーございまーす!」」」」」」」

「はい皆さん、おはようございます。」

子供達の元気な挨拶に、タコせんせーと呼ばれた…先端に、小さな黄色いタコの様な人形が付いている教鞭を持った男は、優しく微笑み応えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフ…それでは、授業を始めます。」

 

 




 
【後書き】
今回を正式な本編完結か、ifの番外編と捉えるかは、読者さんに委ねます。
いや、しかし長かった!
一時的にエタっていたけど、最後迄 書けて良かった!
1番の空白時期は、所謂 茅野編ですね。
あの、 ナギxカヤのベロチュー 原作屈指の名場面を如何に文章表現するかで悩みまくり…結局は満足出来ない出来栄えで終わりましたが…気分転換の筆休みで他作品を書いてたら、予定外に筆が進んでしまい…
CV:千葉さんや宮野氏のキャラの語りは、書いてて楽しかったですw 
 
閑話休題。
元々は殺せんせーの最大速度がマッハ20程度なら、黃金聖闘士(ゴールド セイント)の光速の動きなら簡単に殺れなくね?
…という思い付きが、今作執筆の切っ掛けだったんですよね。
それなら何座の黃金聖闘士(ゴールド セイント)にする?…な部分は迷わず蟹座(キャンサー)に。
作者も蟹座ですからね(笑)
この作品は蟹座救済の為に書き始めたと言っても良いです。
蟹座救済…ありがとう、ロストキャンバス!
マニゴルドの勇姿には、世界中の蟹座が泣いたぞ!
そして ありがとう、黃金魂!!
前の後書きでも触れたが、制作陣デッちゃん大好き過ぎ!
ついでに ありがとう?冥王神話(コレで車田御大が蟹座を嫌っているのは確信したw)
 
閑話休題② 
…執筆開始時には既に、暗殺教室はジャンプの連載は終っていたのでストーリーの組み立ては比較的簡単?でした。
タグにも示していた通り、『殆んど原作と同じ展開』の中に、僅かなオリジナルを組み込むスタイルを取らせて貰いました。
一応バスケやサッカー、そして最後辺りは、トラ●ス等、結構オリ展開を入れた心算ですが…
 
 

兎に角、この【暗殺聖闘士】も、完全に完結します。
某·鼻ほじゴリラ漫画家先生みたいな辞める辞める詐欺は いたしません…多分(笑)

 

そして最後に…この駄文に付き合ってくれた皆様、ありがとうございました。
 
2026/ 9/ 12:挫梛道 

 
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