第零遺跡の「鍵の管理者」   作:奈々歌

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昔のアニメ見ながら書いてるんですが、手がよく止まっちゃいますね(笑

お気に入りが80件にまで増えて感激です!

これからもよろしくお願いします。




それは俺が知りたいです。

 

 

「はぁ……。まったくノエル兄さんは一体何をしてるんですか?」

アイリは大きなため息をつきながら、床で正座しているノエルにジト目を向けている。

 

「それは、俺が知りたいです……」

 

『争奪戦』の騒動が終わり夕食を済ませた後、アイリに呼び出されてノエルは女子寮の一室に来ていた。

部屋に入るとすぐに正座させられ、いきなり説教が始まった。

 

「私のところに持って来れば何事もなく解決できたのに、どうしてこう騒ぎにしてしまうんですか?」

 

「いや、行こうとしたんだよ? それでアイリ見つけて名前呼んだらルクスに引っ張られて……それで……。すいませんでした」

言い訳なんて聞きません。と言わんばかりのジト目を向けてくるアイリの前でだんだんと声が小さくなっていく。そして最後には謝っていた。

 

「Yes.依頼書を手に入れることが出来なかった不満をぶつけるのもその辺にて、許してあげましょうアイリ」

アイリとルームメイトであるノクトが宥める。ノエルは心の中でノクト様ありがとうございます。と感謝した。

 

「なっ!? 別に私はそんなつもりじゃ―――」

アイリは図星だったのか顔を赤らめる。

 

「依頼書なんてなくても、アイリの頼みならいつでも聞いてあげるからね?」

 

「そんなこと言ってると毎日のように依頼しちゃいますよ?」

腕を組み、頬を膨らませながら意地悪っぽく言う。

 

「おう! 妹のためだ、がんばるよ」

ノエルはぐっ、と親指を立てて満面の笑みを向ける。

 

「もう! 反省はもういいですから黙って下さい!」

そう言うとアイリは拗ねてしまった。

 

「Yes.アイリはとても愛されているのですね」

 

「大切な妹だからな」

 

「ノエル兄さんのばか……」

そう小さく呟くアイリであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、まさかノエル兄さんと『恋人』になるなんてクルルシファーさんは何を考えてるんでしょうか?」

 

「ああ、理由は聞いてきたよ。内緒にしてくれって言われてるから詳しくは教えれないけどね。だけど、『恋人』のフリをするだけだから特に何もないと思うよ?」

あの後ノエルは正座を許され、椅子に座りノクトが淹れてくれた紅茶を飲んでいた。

 

「それにしても紅茶淹れるの上手いねノクト、今までで一番の味だよ」

ノエルはそう褒めつつ、ノクトに笑顔を向ける。

 

「Yes.従者の一族ですから。お気に召したのでしたらいつでも淹れて差し上げます」

 

「それは嬉しいな。じゃあ飲みたくなったら遊びにくるよ」

 

「ちょっとノエル兄さん、話が逸れていますよ?」

ノエルとノクトが紅茶の話で盛り上がっていると、こほん。と咳払いをしてアイリが口を開いた。

 

「悪い悪い、それで何の話だったっけ?」

飲んでいた紅茶のカップをソーサーに置きながら、ジト目を向けているアイリに視線を戻す。

 

「話はもういいです。……ですが気を付けて下さいね? クルルシファーさんは何か隠し事をしているような気がします」

 

「そうは見えないけどなー、根拠はあるのか?」

 

「ただの女の感です。ですから心の片隅にでも留めて置くくらいでいいです」

 

「……、まぁそうしとくよ。アイリがそう言うんだもんな。俺もクルルシファーはただの留学生だけじゃないような気がするしさ」

少し疑問に思うが、ノエル自身も少し気になることがあるので頷いておいた。

 

「それはそうとして、ルクスには説教しないのか?」

どうやら『争奪戦』でルクスはリーシャに依頼書を取られたらしい。夕食の時かなり反則的な方法だったと聞いたが、その話はまた今度。

 

「もちろんしますよ? ですが兄さんは今、学園長からの依頼で図書館に行ってますので帰って来てからになりますけど」

 

「ふーん。何の依頼だろうね?」

 

「たぶん、今度の『遺跡調査』についてでしょう。あの図書館の地下は研究室になってますから」

 

「そうなの!? 知らんかったよ」

 

「ノエル兄さんには特別に教えましたが、くれぐれも内密にお願いしますね?」

 

「わかってるよ。じゃあ俺はそろそろ戻るかな。ここにいるとルクスついでにまた説教されそうだし」

ノエルは残っている紅茶を飲みきり、椅子から立ち上がる。

 

「こうしてノエル兄さんといられるのも少なくなりそうですね。明日からはクルルシファーさんが『恋人』として一緒にいるでしょうから」

少し寂しそうな表情を浮かべるアイリにノエルは近づき、頭に手を置く。

 

「大丈夫だよアイリ。何も変わらないさ、一緒にいたくなったらいつでも会いにおいで?」

優しく微笑みながらそっと綺麗な銀髪を撫でる。

 

「もう、ノエル兄さんはずるいです。そう言われると、もっと一緒にいたくなってしまうじゃないですか……」

頬を染めながらアイリはそう小さな声で呟いた。

 

「可愛いやつめ。じゃあまた明日な、おやすみ。アイリ、ノクト」

アイリの頭から撫でていた手を離し、そう言いながらドアへと歩いていく。

 

「おやすみなさいノエル兄さん」

「おやすみなさいです。ノエルさん」

 

二人の返事を聞きながらノエルは部屋を後にして行った。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に仲がいいのですね、アイリとノエルさんは」

 

「そう見えましたか?」

 

「Yes.まるで『恋人』のような感じがしました」

 

「なっ!? それはありえないです!」

 

「そうですか、ならそう思っておきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

授業が終了し、昼食の時間になっていた。

 

 

「ノエル君、一緒にお昼食べに行きましょう」

ノエルが教科書をしまっていると、席の近くにクルルシファーが近づいてきた。

 

「そうだな、行こうかクルルシファー」

席を立ち、食堂に向かうため廊下へと歩き出す。

 

「見て、やっぱり冗談じゃなかったのねクルルシファーさん」

「あの人があんなに積極的になるなんて……本気だわ」

 

二人の様子を見ていたクラスの女生徒たちが口々に声を上げている。

 

「やっぱり注目されてるな」

 

「まぁそれが目的だし、別に注目されても私は気にしないわ」

 

「俺もそんなに気にはしないけど、目的って?」

 

「ちゃんと周りに本物の『恋人』だって認識させることよ」

 

「ああ、そゆことね」

ノエルは依頼の理由を教えてもらったときの事を思い出していた。

 

クルルシファーが留学に来た理由の一つに政略結婚があるらしい。そして婚約の進捗を確認するため実家から従者が送られてくる。要はその従者を誤魔化すための『恋人』だそうだ。個人的な目的を果たすためらしいがそこは教えてくれなかった。

 

「にしても、政略結婚なんてあんまりだよな」

 

「あら、貴族の婚姻なんてほとんどがそんなものよ?」

 

「でもさ、クルルシファーだって自分の好きな相手と結婚したいだろ?」

 

「そうじゃないと言えば嘘になってしまうけど、仕方のないことなのよ」

 

「なんか悲しいな」

 

「なんならノエル君がこのまま本当の『恋人』になってくれてもいいのよ?」

クルルシファーがくすりと笑いながら、悪戯っぽく耳元で囁いてくる。

 

「クルルシファーには俺なんかよりもっといい男が似合うさ、綺麗なんだしさ。だから、さっさと個人的な目的とやらを片づけて本当の『恋人』探しなよ」

 

「本当の『恋人』……ね。私にそんな資格があるのかしら……」

 

「えっ?」

クルルシファーのその声は小さすぎて、とても弱々しかった。

 

「この話はお終いにして、着いたことだしご飯食べましょう?」

いつの間にか食堂に着いていたようだ。

 

クルルシファーとノエルが二人っきりで席に座るだけで教室の時のように注目される。だがノエルは気にもせず、先ほどのクルルシファーの言葉に疑問を抱いているのだった。

 

(どういう意味だろう? やっぱりアイリの言ってた通り何か隠し事しているな、それもかなりの。いつか話してくれるのだろうか……)

 

「どうしたのかしら、随分と難しい顔してるけど?」

 

「悪いな、なんでもない。食べようぜ」

ノエルは心の中でそんなことを思いながら昼食をとったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後になり、ノエルは装衣に着替えて演習場に来ていた。

 

「それでは、今日は二週間後に行われる校内選抜戦に向けた実戦形式での訓練を行う」

生徒たちが整列すると、ライグリィ教官の声が演習場に響いた。

 

 

『全竜戦』

危険な遺跡を調査するためには『遺跡調査権』が必要となる。そしてその調査権を勝ち取るための機竜対抗戦が数か月に一度行われ、その中に士官候補生同士の大会があるらしい。

そこに出場する選手を決めるのが校内選抜戦となっている。

 

 

「かったるいなー。隅っこのほうで見学してていいかな?」

隣に整列しているルクスに小さく欠伸をしながら小声で話す。

昼食後はやたらと眠たい。正直、中庭辺りで昼寝してたい気分だ。

 

「ダメだよノエル、ちゃんと受けなきゃ」

ルクスは苦笑いを浮かべながら答える。

 

「そうだぞノエル、お前は私の最強の部隊に欠かせない存在なのだ。ちゃんと校内選抜戦を勝ち抜いてもらわなくては困るぞ」

その話を聞いていたリーシャが、会話に入ってきた。

 

「はいよ、姫様」

 

「私を姫と呼ぶな!」

 

「そこ、うるさいぞ!」

リーシャの声が思ったより大きかったらしくライグリィ教官に怒られてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本日は王都より、軍の機竜使い三名が臨時講師として来ている。この機会にしっかりと学ぶように」

ライグリィ教官の紹介で、正規軍のマントを纏った男たちが入場してくる。

 

「初めてですね。授業で王都から『男性』が来るなんて……」

 

「そもそもこんな予定ありませんでしたよね?」

 

「ていうか、なんか見る目がいやらしくないですか?」

その身にぴったりとフィットする装衣を纏った姿をジロジロと見られ、女生徒たちは困惑している。

 

「ほう、やはりここに来て正解だったな」

三人の中でリーダー格らしき男が、困惑している女生徒を見て苦笑していた。

 

「ずいぶんと甘い、ぬるま湯のような訓練をしているようだな」

 

「教育課程中なので……」

男の言葉にライグリィ教官は冷静に答える。

 

ライグリィ教官の言い方と表情からして、この臨時講師たちは望まれていないことは簡単に想像できる。

 

「あいつら一体何しに来たんだろうか?」

ノエルは一人そう呟いた。

 

「今回は我々大人が実践の厳しさというものを教えて差し上げよう。いくら機竜の平均適正値が高いとはいえ、女が男に敵う道理などありえないのですから」

 

「そうですとも、この前王都であった軍事演習程度で調子に乗られては困りますからな。しっかりと指導しておかなくては」

二人の男がリーダー格の男の左右でニヤニヤとそう言いながら笑みを浮かべている。

 

「彼女たちはまだ生徒ですので、あまり手荒いことは控えて頂きたいのですが」

 

「もちろんそう致しますが、ここのか弱い少女たちに本場の訓練は少々厳しく感じるかもしれませんので悪しからず」

男たちがそう返した後、どことなく嫌な雰囲気で演習が始まった。

 

 

演習は機竜の基本動作練習から武装を使った射撃や近接格闘へと発展していく。

だが、この時点ですでに演習とは言い難いものになっていた。

 

「そんなんじゃ的にしかならねぇぞ! もっと機敏に動け!」

 

「どうした、もうへばったのか! そんなんで機竜使ってんじゃねぇぞ!」

 

「適正値高くてもこんなもんか。だらしねぇな!」

 

演習が開始して数十分が経過したころ、演習場には臨時教官たちの荒っぽい声を上げながら指導していた。ライグリィ教官もどこか落ち着かない様子でいる。

 

「なんか嫌なやつらだな」

 

「うん、僕もそう思うよ」

ノエルはルクスと休憩に入っており、観客席に座って訓練を見ていた。

 

「隣、いいかしら?」

 

「ああ、いいよ」

いつの間にか近くに来ていたクルルシファーの問いにノエルは二つ返事で返す。

 

「たぶんあれは仕返しのつもりね」

 

「仕返し? なんのだ?」

 

「『騎士団(シヴァレス)』の三年生が王都へ演習に行っていた話は知ってるわよね? その時、軍の男たちが三年生たちを軽んじたらしくて『学園最強』が圧倒的な実力で向こうの機竜使いたちを叩き潰してしまったらしいの」

 

「その憂さ晴らしをするため強引に臨時教官として学園に来て、まだ未熟な彼女たちに八つ当たりってとこか」

 

「なら、止めないと!」

ルクスが立ち上がり、機攻殻剣(ソード・デバイス)に手をかけようとすると。

 

「まぁ待てルクス、まだ様子を見よう。そうだと決まったわけではないんだから」

ルクスを手で制してノエルは告げる。

 

「でも、もしものことがあったら……」

 

「その時は俺がでるさ。ルクスよりこういうことは俺の方が適任だしな」

 

「……。わかったよノエル」

 

「二人共、休憩時間は終わりよ。戻りましょう?」

 

「そうだな」

「うん……」

 

三人は演習場に戻り、訓練を再開するのだった。

 




そろそろ番外編も1話くらい書こうかなと思っております。

内容はまだ決まりきっていませんが(笑



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