今回は会話がメインですね。
最近暑くて、涼しい夜(夜中)に書いております。
だが、蚊が邪魔をしてくる。夜行性の猫が電源ボタンを踏みつけていくなどなど大変ですな(笑
それではどうぞ!
クルルシファ―との『恋人』依頼も三日目に突入した。
『恋人』らしく振る舞うため学園生活はなるべく一緒に過ごしている。主に食事をしたり演習で組んだりなどだが、それなりに『恋人』としての雰囲気は出せていると思う。
「ノエル君の恋人なんて羨ましいですね」
「ええ、でも争奪戦を制したのはクルルシファーさんですし、仕方ありませんわ」
「悔しいですですけど、お似合いのお二人ですよね…。容姿も実力も」
クラスメイトたちからそんな囁きが聞こえてくる放課後、クルルシファーが声をかけてきた。
「ねぇ、ノエル君。この後私とデートしましょう?」
「デート? ああ、いいぜ。どこ行く?」
「そうね、一番街区に少し用事があるの。最初はそこに行きたいわ」
「りょーかい。じゃあその後は俺がエスコートしてやるよ」
「あら、ならお任せしようかしら」
「なら、身支度したら門のところに集合でいいな?」
「ええ、そうしましょう」
そんな会話をしているとクラスで小さくざわめきが起きた。
「デートですって! いいなぁ……」
「次の争奪戦は必ず依頼書を手に入れてみせるわ」
「私はルクス君のを……」
大勢の生徒が残っている教室で『デート』という単語を出したのだ。ただでさえ注目されているのだからみんなの耳に入ってしまい、囁きの声が増える。
そんな生徒たちを教室に残し、廊下に出る。
「どうだった? あんな感じで本物の『恋人』だと思わせれたかな?」
「ええ、けっこうらしくなってきてると思うわ。これならそろそろやってくるエインフォルク家の従者に疑われず済みそうね」
「まぁ俺は本当の『恋人』のつもりで接しているからね」
ノエルは得意げな表情になるが、微笑を浮かべながらクルルシファーがちょっとした質問をしてくる。
「それは嬉しいわね、ノエル君は恋愛経験でもあるのかしら?」
「……、すいません。ないです……」
クルルシファーの質問にノエルは項垂れてしまう。
「ふふ、安心して。私もないから」
「意外だな、お前くらいなら経験くらいありそうだけどな」
顔を少し上げながら尋ねる。
「私にはそんな時間なかったのよ。まぁ、それ以外に費やした時間も無駄になってしまったのだけど」
クルルシファーの声がだんだんと弱々しくなっていく。表情もどことなく悲しそうだった。
「……そっか、なら『仮』だけど俺がクルルシファーの初めての『恋人』なんだな。なんか嬉しいな」
クルルシファーにそう言いながら笑顔を向ける。今のノエルにはそれぐらいしか出来なかった。『いつかこの子の支えになりたい』と、そう思いながら。
「……ッ!?」
ノエルの言葉に驚きの表情になり、少しであったが頬を染めていた。
「なら、私はノエル君の初めての『恋人』になるのね」
くすっ、と小さく微笑みながらクルルシファーはいつも通りの調子に戻っていた。
「ならいい思い出たくさん作ってやらないと、俺は初めての『恋人』失格になっちまうな」
はは、っとノエルも笑顔を返して微笑み合う。
「期待してるわよ、ノエル君?」
はいよ、と返事を返した後、二人は何気ない会話をしながらそれぞれの部屋へと戻っていった。
†
ノエルは私服に着替え、待ち合わせ場所へと来ていた。ノエルが到着してから少しした頃、クルルシファーが私服で歩いてくる。
すらりとした細身の身体に、長く綺麗な青色の髪をなびかせて歩くその姿は誰もが見とれることだろう。
「クルルシファーの私服姿、新鮮だな。凄く可愛いよ」
ノエルも例外ではなく少しの間見惚れていたが、すぐに感想を述べる。
これはデートの基本なのだ、知識だけだが―――。
「そうかしら? まあ、お世辞として受け取っておくわ」
「お世辞じゃないぞ?」
「ふふ、ありがと。じゃあそろそろ行きましょう」
そういってクルルシファーが腕を絡ませてくる。学園で一緒にいる時はだいたいこうしてくるので、慣れてきてはいるのだがやはり照れてしまう。
「嬉しいけど、なんか照れくさいな」
人差し指で頬をかきながら呟く。
「あら、ならやめる?」
「いえ! ぜひこのままで!」
「ノエル君ってそういうところは素直よね」
「男の子ですから」
二人はそんな会話をしながら一番街の大通りを歩く、数十分ほど歩くと目的の店に着いた。
「ここは……、洋服屋?」
高そうな外観の大きなお店が目の前にあった。
「そうよ。まずは入りましょう。ここで買うのはあなたの服なのだから」
「俺の!?」
ノエルは驚愕の表情になっていたが、クルルシファーに腕を引かれて店に入っていくことになるのだった。
一時間後。クルルシファーと服を選び、サイズに合わせて仕立ててもらう。
「やっぱり、クルルシファーってお嬢様なんだな」
夕焼けが綺麗に街を照らす頃、店を出たノエルは隣の少女に問いかける。
「まぁ私が使える金額は限られているけど、あれくらいの買物たいした額じゃないわ」
先ほど選んだ服は完成するのに三日かかると言われたが、クルルシファーは前払いで全額払ってしまったのだ。
「でもよ、俺からしたらかなりの額だったぞ? ほんとに貰ってもいいのか?」
「似合っていたし、あなたに貰ってもらいたいから買ったのよ。遠慮しなくていいわ」
「んー、わかった。ありがたく頂戴しとくよ。ありがとなクルルシファー」
「喜んでくれたなら私も嬉しいわ。せっかくだし、夕食も済ませていきましょうか」
「なら今度は俺が出すよ。奢られっぱなしじゃ俺の立場が危ういからな」
「そう? ならお願いするわ」
「あ、でも高すぎるお店は勘弁してね? 俺、貴族とかじゃないからお金そんなないし」
「大丈夫よ、貴族とかが好きそうなお店は私も好きじゃないから」
「そうなのか?」
ノエルは意外そうな顔をする。
「ええ、私は貴族というものが嫌いだから」
「…………。」
ノエルはその言葉に何も言えなかった。
名家出身の貴族である彼女が貴族を嫌うその理由は今のノエルにはわからない。
この子には謎が多いため、少しでも心を開いてくれるといいのだがそのきっかけが見つからない。
「うーん、一体どうすれば……」
「どうかしたのかしら?」
「いやなんでもないよ。あ、あの店なんてどうかな?」
ノエルは誤魔化しつつ、前方に見えるレストランを指差す。
「そうね、あそこなら問題ないわ。行きましょう」
時間のせいもあるのだろう、人気のなくなった通りを二人は歩いて行く。
薄暗い道に入った瞬間。『仕事』で培われた危機察知能力が何かを感じとり、ノエルがいきなり動いた。
「クルルシファー、危ない!」
ノエルはクルルシファーを抱き寄せた。すると、クルルシファーが先ほどまでいた場所を
「ちっ、避けやがったか」
建物の影から《ドレイク》を纏った男が現れる。顔を布で隠しているところを見る限り、賊の類だろう。おそらく目的は伯爵令嬢であるクルルシファーの誘拐。
「こんな街中で襲撃とは、予想外だったぜ」
ノエルはクルルシファーを抱きかかえながら距離を取る。するとさらに五機の《ドレイク》が姿を現した。《ドレイク》の能力である『迷彩』の効果だ。
「それ以上動くようだったら、ただでは済まなくなるぞ?」
《ドレイク》を纏っている男たちはそれぞれ
「油断したわね……」
「ああ、せっかくのデートだってのにな」
ノエルはクルルシファーを下ろしながら、そっと
「おっと、機竜は呼ぶなよ? まあ、呼んだところでどうにもならんがな」
男は勝ち誇ったように笑みを浮かべる。
「ねぇ、ノエル君。少しでいいから隙を作れないかしら?」
周りに聞こえないように、クルルシファーが小声で話してくる。
「どうするつもりだ?」
「《ファフニール》を使うわ。召喚さえできれば《ドレイク》程度倒せるから」
「わかった。五秒なら保障してやる。頼んだぞ」
「ええ、任せて頂戴」
会話を終えた後、男たちが自分たちを縛ろうと近づいて来た瞬間、ノエルが動いた。
「
突然の反撃に男たちは虚を衝かれ、弾き飛ばされる。
「ぐっ!? どういうことだ! 貴様は機竜を纏っていないはず―――ッ!!」
男は目の前の光景に驚く。ノエルが上半身の部分だけ機竜を纏い、佇んでいたからだ。
ノエルは精神操作での無詠唱機竜召喚、さらには部分接続をこなしていた。
「さすがね、時間稼ぎは十分よ」
そう言ってクルルシファーは腰に差している青い
「―――転生せよ、財貨に囚われし災いの巨竜。遍く欲望の対価となれ、《ファフニール》」
「
クルルシファーは《ファフニール》を纏い、飛翔した。
「くそっ、敵は二人だ! 全員でかかれ!」
《ドレイク》がそれぞれ武器を構え、突撃してくる。
「《
クルルシファーはその手に持つ特殊武装を構える。そして目にも止まらぬ速度で発射した。
「なっ!?」
「どういうことだ!?」
「う、動けない……」
賊の使う《ドレイク》は全て凍結する。
「さすがだな、クルルシファー」
ノエルは《ワイバーン》の接続を解除しながら称賛した。
「そうかしら? 私は部分接続とかを簡単にしてしまうノエル君の方が凄いと思うのだけど?」
「いやいや、やってみると意外と簡単だよ?」
「それは嫌味かしら? まぁそれは置いておいて、とりあえず警備兵この人達を引き渡しましょうか」
「そうだな、腹も減ったし」
「そうね、門限もあるし早く済ませましょう」
二人は戦闘の音を聞きつけ、近くまで来ていた警備兵たちに賊を引き渡すとレストランへと歩きだす。
「さすがの腕前でした、お嬢様」
二人が歩いていると、道の先に細身の女性が立っていた。
「あら、もう来ていたのね」
「ご無沙汰しております。お嬢様」
「ねぇ、クルルシファー。まさかこの人が?」
ノエルは目の前にいる女性に視線を向けながら尋ねる。
「ええ、そうよ。彼女はアルテリーゼ・メイクレア、エインフォルク家の執事よ」
「じゃあこの人が前に言ってた婚約の進捗を確認に来るっていう従者か」
「そうです。お嬢様、場所を変えましょう。ここは話をするには不向きですので」
アルテリーゼと呼ばれた女性はノエルの言葉に頷くと、そう申し出てきた。
「それもそうね、行きましょうノエル君」
クルルシファーに手を引かれ、二人はアルテリーゼの後についていくのだった。
「従者って言っても意外と若いんだな。もっとお歳のおじさんみたいなのが来ると思ってたんだけど」
「アルテリーゼは私とたいして歳は変わらないわよ?」
「まじで!? そうは見えなかったな」
「あら、どうしてかしら?」
「いや、なんか年上に見えない? クルルシファーより胸あるし―――ぐほっ!?」
「何か言ったかしら? よく聞こえなかったのだけれど?」
「なんでもありません、クルルシファーさん」
「そう、ならいいわ」
ノエルは鳩尾に見事な肘打ちを入れられ、クルルシファーにはある部分の大きさについての話題は禁句なんだなと理解したのだった。
最近オリジナル作品を書いているんですが、あっこれすぐ行き詰まるわ。ってなってます(笑
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