Episode.1 災いを払う者
空を『竜』が飛んでいた。
五頭の『竜』が翼を広げ、飛んでいた。
一頭の蒼い『竜』を囲むように、灰色の『竜』達が空を舞う。
金属質な光沢を放つ『竜』達。人の二回りほどの巨躯。細部は刀身のように鋭いが、全体的には流線型で滑らかな形体を持つ。
それを人が身に纏い、大空を舞い、大地を駆ける。
『竜』の姿を金属装甲で模した兵器。『
たった一人で一騎当千の力を得る事の出来る『竜』。
『竜』の力を持つ者達に何も纏わない者達は歯が立たない。
そのため、各国は
「―――、そろそろ終わらせようか」
機械の両翼を大きく羽ばたかせ、蒼の『竜』が灰色の『竜』達の中へと切り込んで行く。それに反応して灰色の『竜』達は大きく距離を取るように散開した。
灰色の『竜』達は四頭。蒼の『竜』に対し、上下左右、空中戦ならではの全方位戦闘を仕掛ける。灰色の『竜』達の手にしているライフルの形状をした武装から炎が吐き出され、蒼の『竜』を襲う。
だが、蒼の『竜』は四方八方から迫りくる炎を、翼を翻し、ひらりと、またひらりと無駄のない回避行動で間を縫って行き、目の前にいる一頭の『竜』へと肉薄する。
蒼の『竜』はその手に握る牙―――、
一頭、また一頭と灰色の『竜』達は落とされていく。自分達に向けられる蒼の『竜』の牙に為す術もなく、次々と―――。
落ちゆく『竜』達の咆哮が空へと木霊し、やがて静まる。
空へと佇むのは蒼の『竜』のみ。
四頭、全てを落とした蒼の『竜』は地上へと降り立つと、身に纏っていた『竜』の力を解除する。灰色の『竜』を纏っていた者達は全員、地上で待機していた警備兵に拘束されていた。
「さてと、これでこの『仕事』は完了だな。後は任せて、帰りますか―――」
蒼の『竜』を纏っていたのは少年。
周囲の警備兵の大人達と比べると、少年とはかなり歳の差がある。『戦う者』としては若い。それでも少年は戦闘に出ている。
理由は単純―――、新王国の人手不足だ。
今回の『仕事』の内容も、新王国が密かに動かしている諜報部隊により、確認、発見したという情報から、新王国の依頼を受け、少年は警備兵と共に『奴ら』を探し、捕らえに来ていた。
灰色の『竜』を纏う者達。旧帝国が滅んだ後、旧帝国を支持していた隣国に逃れた者達。新王国を奪還し、『アーカディア帝国』再建を狙う者達、『反乱軍』だ。
『革命』により、訪れた平和。
新王国に降りかかる災いの種を取り除くのが『仕事』。少年は、それが自分にとって、『責任』であり、『役目』だと思っている。
『仕事』の依頼主はいつも申し訳ないと言うが、少年は率先して依頼を引き受けていた。
「お疲れ様でした。俺は報告を知らせに、先に王都へと戻ります」
少年は警備兵達に声を掛け、場を後にしようとすると、彼らは少年に敬礼を行う。そして敬意の眼差しを向けていた。皆、少年の実力を認めているからだ。
衛兵や警備兵を含め、新王国の軍関係者で少年の事を知らない者の方が少ない。『仕事』の依頼主が依頼主だけに、本人が知らぬ間に有名になっていた。
少年はまだ慣れてないのか、その視線に照れを見せ、苦笑いを浮かべる。少年は返答の代わりに、軽く手振りをすると、手に握っていた白い剣を鞘に収めていた。
踵を返し、腰に提げている二本の剣を煌めかせ、少年は新王国への帰路についた。
†
「―――、報告は以上です。特に問題はありませんでした」
「はい、ご苦労様でした。今回もお疲れ様です」
場所は変わり、アティスマータ新王国。
その国内でも、王城が存在する最大の首都、王都『ロードガリア』。少年は王都に到着するなり、早々に城へと足を運んでいた。
少年は帰還しながら、今回の『仕事』での成果―――、手短に纏めておいた報告書を依頼主へ読み上げていく。
捕らえた『反乱軍』の者について。
押収した盗難品。
違法入手と考えられる
少年からの報告を聞いた後、無事に帰還して来たことで安堵の表情をしているのが、今回の『仕事』の依頼主。今回と言わずとも、『仕事』の依頼は彼女からのみ行われる。
このアティスマータ新王国を治めている女王陛下―――、ラフィ・アティスマータ。それが少年への依頼主だ。
「また報告がありましたら、お申し付け下さい。女王陛下」
「申し訳ありません、本当でしたら軍から兵を出してこなすべき『仕事』なのですが………」
「いえいえ。新王国はまだ機竜使いも少ないですし、俺だけでも問題はありませんので。それに―――」
新王国の機竜使いは、国を離れ、『仕事』を遂行しに向かわせることが難しいほど、数が足りていないのが現状。国の警備や領土の哨戒。それで手一杯に近いほど。
『革命』により滅んだ旧帝国が、多くの
そのため、建国し、まだ五年という浅い歴史の新王国では、新たな機竜使いの育成が間に合っていない。
数年もすれば、軍の体制も変わる。熟練の機竜使いの数も増えてくる。この問題に関しては多くの時間が必要だ。なら、それもまた、『責任』と『役目』なのだろう。
「―――、陛下も出来て間もない国。まだ体制もしっかりと整い切れていない新王国をこんなにも上手く治めていますから。俺や『彼』も陛下には頭が上がりません」
「ふふっ、あなたや『彼』の功績に比べたら、私はそんな大層な事はしていません。この国を解放してくれたあなた達は、今は亡き弟を始め、国民達も感謝しきれないほどです」
少年の微笑みに、微笑みを返すラフィ。
だが、彼女は次第に沈んだ顔つきになっていく。
「………、そんな『彼』を私はあのような形でしか、守ることが出来ませんでした」
「思い詰めないで下さい、陛下。『彼』も「今の暮らしの方がいい」と再会した時、言っておりました。『彼』は『彼』なりに、俺は俺なりに、この国を守っていきますから」
そう言いつつ、少年は報告書を手渡しにラフィへと歩み寄った。ラフィは顔を上げ、少年から報告書を受け取る。
その時、先程と変わらない笑みを浮かべている少年を見て、自然とラフィの表情も戻ったようだった。
「本当にあなたは………。ありがとうございます。―――、今回の報酬も『あの子』達へお支払いでいいですか?」
「はい、よろしくお願いします。俺は生活に支障が出ない程度の報酬が手元に残れば、それで十分なので。それでは、俺はこれで―――」
少年はラフィに一礼をすると、謁見の間を後にして行く。その後ろ姿を見送りながら、ラフィは思うことが一つあった。
「変わりましたね、あなたは。いいえ、『戻った』の方が合っているのでしょうか。あの頃のように―――」
†
五年前―――、かつて世界の五分の一を支配していたアーカディア帝国。
政治は腐敗し、男尊女卑の制度。市民への重税。人を人とも思わない劇薬を使用した人体実験の数々。それらを平然と行う、皇族、貴族達。
多くの装甲機竜を使い、圧倒的な軍事力で永きに渡る圧制を敷いてきた帝国だったが、『アティスマータ伯』主導の『革命』、クーデターにより滅亡。
その後、建国されたのが、この『アティスマータ新王国』
少年は王城を出た後、城下町へは向かわず、
闘技場のリングでは機竜を纏い、軍の兵士達が、各々訓練に勤しんでいる様子。
そして、その場を円状に囲み、大きめの石段を彷彿させる形状で作られている観客席を少年が歩いていると、席の上から声が聞こえてきた。
これといった訳も無く、少年は声のする方へと視線を向ける。どうやら、何処かの学校の制服を着ている少女が三人、雑談をしているようだ。
(あれは確か………。城塞都市の方に建てられたっていう士官学園の制服、だったかな?)
今時期になると、王都や街で少女達のような制服を着ている学生を見かける事が、度々あった。それには前に一度、気になったので、軍の知り合いに聞いた事がある。
その話によると、どうやら少女達は士官学園の三学年。この王都には演習として来ているとのこと。
「学園、ねぇ………。まぁ、俺には縁のない話だな―――」
少年はそう呟きながら、少女達から目線を元に戻す。そして、目的である機竜のチェックをする為、観客席からリングへと降りる階段へ向かった。
その時―――。
「きゃあああぁっ!?」
不意に背後から悲鳴が聞こえ、少年は急ぎ振り返る。どうやら少女達の一人が、観客席から足を滑らしてしまったようだ。
「危ないっ!」
少年は咄嗟に駆け出すと、間一髪の所で落下地点に滑り込む。少年は少女を胸元へ抱えるように横抱きで受け止めた。
「大丈夫か? ―――、じゃなくて、大丈夫ですか?」
「は、はい………。あ、ありがとうございます」
抱えられている少女は頬をうっすらと染めると、小声ではあったが、少年へ礼を伝える。
「一応、医務室で見て貰って下さいね? どこか痛めているかも知れませんし」
少年はゆっくりと少女を降ろし立たせる。一通り、少女を確認するが、どうやら怪我はなさそうだ。だけど、医務室で見て貰った方が確かだろう。
「大丈夫ですか!?」
二つの声が重なって聞こえてくる。
声のした方を見ると、観客席から二人の少女が急いで降りて来ていた。「怪我してない?」「歩ける?」。少女達は先の少女へと駆け寄り、それぞれ心配の声を掛ける。
その様子を見た少年は、もう大丈夫だろうと、その場を立ち去る為、口を開いた。
「俺は失礼しますね。足元にはくれぐれも気を付けて下さい」
「あ、あの! 本当にありがとうございました!」
少女は軽く頭を下げる。少年は「どういたしまして」と言うと、背中を向け、闘技場の出口へと歩き出す。
「お名前を、お教えては頂けませんでしょうか?」
少年の背に少女が声を掛けて来ると、少年は半身で振り返る。
「俺の名前、ですか? 俺は―――」
少年は名乗った後、小さく笑みを見せ、闘技場の出口へ続いている通路へと姿を消して行った。
「あ、機竜のチェック忘れた………。まぁ、明日でもいいか」
†
闘技場内へ繋がっている通路を、少女達が歩いていた。この通路の先には医務室がある造りになっている。
「素敵な方でしたね!」
「しっかりと受け止めて頂いた時の力強さ。惚れ惚れしてしまいましたわ」
「あのような男性もいるのですね。私、初めて見ました」
少女達が少年のことを絶賛しながら、通路を進んでいると、前方から鮮やかな金色の髪をなびかせ、少女が一人歩いて来る。
「あなた達、何をしているのですか? そろそろ宿に戻る時間ですよ」
「あ、セリスさん。聞いてください! 先ほど―――」
腰までかかる金髪。翡翠色の瞳。色白の綺麗な肌。美少女という言葉の表現では足りないほどの容姿を持つ、セリスと呼ばれた少女。
少女達はセリスに声を掛けられた事で、その姿に気が付くと、少年に助けて貰った出来事を話す。
「本当ですか!? それは『
毅然とした表情を崩し、慌てた様子を見せるセリス。
セリスが、少年の情報を少女達に尋ねると、「身長はセリスさん位です」。「髪は黒かった」。「綺麗な赤い瞳だった」。「珍しく
少年を探す為に必要な情報を貰うと、セリスは最も重要な部分を少女達に再度、尋ねていた。
「その方の名前は聞いていますでしょうか?」
「あ、はい。名前は聞いています。えっと―――」
少女から告げられた少年の名を聞いた途端、セリスは驚きを隠せていない顔を見せた後、「あり得ない」と呟くと、少年が出て行った闘技場の出口へ走り出す。
「セリスさん、どうしたんだろう?」
少女達は小首を傾げながら、闘技場の出口へと駆けて行くセリスの姿を見送る。少しして、少女達は疑問を持ちながらも、医務室へと向かうのだった。
「ありえません―――。『彼』が、『彼』がここになんて。………ですが、もしそれが本当の事なら―――」
セリスは闘技場を飛び出す。そして、目の前に広がる城下街の中を探し周りながら、少女から聞いたあの言葉―――、少年の名前を思い出していた。
―――、彼は『ノエル』と言っていました。
「………ノエル」
セリスはその日、日が暮れ、城下町がその色を茜色に染まり変えるまで、『彼』を探し続けていたのだった。
†
次の日。早朝。
ノエルは新王国に滞在している間、女王陛下からの計らいにより、専用として利用している宿屋の一室で目を覚ます。
普段は『仕事』がある日以外で、こんなにも朝早くから起きる事はないのだが、今日は違った。部屋の戸が誰かに叩かれたからだ。
「朝早くにすみません、ノエルさん。女王陛下からの書簡を届けに参りました」
「ほーい。ご苦労さんです」
ノエルは体を起こし、寝惚け眼をこすり、寝癖だらけの頭を掻きながら、部屋の戸を開ける。戸を開けた先の廊下には一人の衛兵が立っていた。
ノエルは衛兵から書簡を受け取ると、衛兵は軽く頭を下げ、その場を去って行く。
「………、もう次の『仕事』の依頼かな?」
ノエルはそう呟きながら、部屋の戸を閉めると、届いた書簡―――、手紙と思われる封筒を開ける。中には手紙と共に、同封されていた物が一枚。
同封されていた書簡の方は、封筒と同じく、一度机へと置いておき、ノエルは手紙の方を確認していた。
『ノエルへ。あなたには、三日後から学園に通って頂きます。場所はあなたも知っていると思いますが、城塞都市『クロスフィード』にある王立士官学園です。本来は女学園なのですが、同封されている物を見せれば守衛が中へと入れてくれるでしょう。彼らが学園長の下まで案内してくれるので、後の詳しい事は学園長、『レリィ・アイングラム』に聞いて下さい。ラフィより』
手紙の内容を確認し終えると、ノエルの頭には疑問しか浮かばなかった。まだ起きて間もないから、理解が追いつかないだけなのか? いや、覚醒していてもこれは………。
「何で俺が………。ていうか、三日後からだって!? 今日出発しないと、間に合わないんですけど!?」
城塞都市へは馬車を利用し、関所を四つ越えて向かう。その距離は片道だけで、丸三日を要する。ノエルは急ぎ、身支度を開始した。いつもの鞄に必要な物を押し詰めて、次に馬車を呼ぶ。
大通りを移動し、街の外へと続く出口。巨大な砦の門の前で、ノエルは馬車を待つ。
「ああ、『あいつ』にも一応伝えておいた方がいいか………。かったるいからいいや」
馬車が到着するまでの間、ふと、そんな事を考えていたが、もう時間がないので諦める。諦めるというよりは面倒の方が大きかった。
暫くして。
ノエルは到着した馬車に乗り込み、城塞都市『クロスフィード』へ向かって行った。
†
丸三日。馬車に揺られる日々を過ごしたノエルは漸く城塞都市へと辿り着いていた。
「腰痛い………。やっぱり遠すぎるわ、ここ………」
ノエルは座り続きで痛くなった腰を摩りながらも、城塞都市の五つに分けられた街区の一つである四番街区を、学園へと向かい、歩いて行く。
学園があるのは、この四番街区を進んだ先にある一番街区。
「遠い、遠い、遠いなぁ………。一層の事、機竜で飛んで行こうかな………」
そんな事を呟きつつ、ノエルは腰に提げている二本の剣―――、『
せめて、この遠い道のりの気晴らしにと、歩いている通りで、偶々目にした小さな立て看板の屋台へと寄る。ノエルはその出店で、この城塞都市の中で一番評判がいいと書かれていた食べ物。アップルパイを買い、かじりながら道を進んで行った。
素直に歩いて行くこと、数十分。
ノエルは学園の正門に到着する。だが―――。
「この先は王立士官学園だ。許可のない者は立ち入り禁止となっている」
学園の正門にいる守衛達が、ノエルを止め、警告を示す。
守衛の対応を見たノエルは、女王からの手紙に書いてある通りに、同封されていたもう一枚の書簡を守衛へと渡した。
少し怪しむような仕草で、守衛はノエルから書簡を受け取ると、開き、一通りに目を通す。その後、驚き、慌てた様子を見せると、周囲にいた他兵にも書簡の内容を伝えていた。
(女王陛下の書簡って、よく送られて来るけど、やっぱり凄い物なんだなぁ………)
周りの兵達までもが、慌てふためいている所を見ると、ノエルはそう思えてくる。
「か、確認いたしました! 私に付いて来て下さい。学園長室までご案内いたします」
門を開けて貰い、ノエルは「どうも」と礼を告げると、守衛の後ろに付いて行き、士官学園の中へと足を踏み入れた。
正門から正面に、見上げる程大きな学園の校舎が見える道を歩いていると、校舎を挟んだ敷地内の裏側から、歓声のような大声がノエルの所まで聞こえてくる。
ノエルが声のする方へ視線を向けた瞬間、僅かに地を揺らした轟音を感じると、極大の光柱が空へと放たれていた。
どうやら誰かが機竜を使用しているようだ。歓声が聞こえた事から、模擬戦か何かだろうか? それにしても―――。
「あの出力………、『神装機竜』の武装、かな? やり過ぎだろ。相手、消し飛んじまうぞ………。怖いな」
ノエルはその光景を見て、苦笑を浮かべながらも、校舎の中へと入って行く。
(………、ここって、本当に女学園、だよね?)
†
「ここが学園長室になります」
案内を終えた守衛は、一礼をし、自身の持ち場へと戻って行った。それを見届けた後、ノエルは学園長の扉を叩く。
少しの間、室内からの返事を待ったが、返ってこない。ノエルは首を傾げながらも、仕方なく扉を開け、中へと入る事にした。
「学園長? 失礼しますよ―――。って、誰も、いない?」
一応、声を掛けながら入室したが、学園長室に人の姿は見受けられない。
待っていれば戻って来るだろうか? 探した方が早いだろうか? ノエルは一度、学園長室の扉を閉め、廊下に出ると、胸元で腕を組み、悩む。
「………。模擬戦をしているようだし、そこに行けばいる、かな?」
そう考えると、ノエルは来た道を思い出し、広い校内を外へと向かう。音のする方へ向かえば、目的地には着ける………、はず。
(それにしても、この学園広いなぁ………)
来た道は何とか覚えている。廊下に飾られている上品な絵画や壺などの置物。それらを目印にし、廊下を歩いて行く。
「流石はお嬢様達が通う学園、って言った所かな」
赤絨毯が敷かれた廊下まで来ると、ついつい、そんな事を思ってしまう。この士官学園は、将来、国の官僚を目指す者が通う場所。生徒のほぼ全員が貴族の出の令嬢達だ。この内装も納得がいく。
(確か、この絨毯の廊下を抜ければ外に繋がっていたはず………)
自分の記憶を頼りに、ノエルがその廊下に差し掛かった、その瞬間―――。
ギィイイイイエエエアアァァ!!
突如として、獣のような絶叫が敷地内に響き渡る。
「この声は―――、『
ノエルは廊下を駆け、走り抜けた。入り口の扉を開け放つと、『
「何で、こんな所に『
『
演習場からは、次々と校舎へ避難しようとする大勢の女生徒が出てくる。その女生徒達を守るように、避難誘導を行う機竜使いの少女が三人。
「みんな―、落ち着いて―!」
その中の一人、翡翠色をした陸戦型の
出現した『
ギィィイエエェェァアア!!
その思惑を打ち砕く叫びが、上空から雲を貫き、姿を現す。新たな『
『
「―――、ッ!? ノクト、危ない!」
蒼色をした飛翔型の
「不味い、間に合ってくれ!」
ノエルは駆けながら、腰に提げている白い
「―――、来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜。我が剣に従い飛翔せよ、《ワイバーン》」
光の粒がノエルの背後に集結していく。現れたのは機械の『竜』。人に絶大な力を与える古代兵器―――、
「
ノエルの声に反応して、無数の部品に展開した『竜』が、腕、足、胴、頭へと装着されていき、その身を覆う。
蒼き『竜』と化したノエルは、ノクトを守るため、少女へ降り掛かろうとする災厄―――、『
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