更新遅くなりました!
お気に入り180人突破!! 感激です!
今回は表現が分かりずらいところがあるかもしれませんが(毎回そうかも)許してください(笑
それでは番外編、第二弾どうぞ!
これはクルルシファーとの『恋人』としての依頼も終わり、平穏な日々が戻って来た数日後の出来事。一人の少女は悩んでいた。どうしたらいいのかと。
私はあの人に何度も救って頂いた。あの人が初めてこの学園に来た時。『
コンコン。
ノエルは自分の部屋の扉が叩かれる音で目を覚ました。今日は休日のはず、こんな朝から尋ねてくるのはアイリくらいなものだ。だとしたら、いつまでも寝ていると文字通り叩き起こされるな、とノエルは重い瞼を擦りながらベッドから出ると、自室の扉へと向かっていき、「はいよー」と先ほどのノックに対する返事をしながら開けた。ノエルはアイリが朝食のお誘いで来たのだと思っていたのだが―――。
「おはようございます。ノエルさん」
そこにはアイリの級友で親友の『
「あれ、ノクトだけ? アイリは?」
アイリと一緒に来ているのなら分かるが、ノクトが一人で来るのは珍しかった。アイリが体調でも崩してしまったのだろうか?
「アイリになにかあったの?」
「No.アイリは今日も元気です」
なら、尚更どうしてなのだろうとノエルは小首を傾げる。
「じゃあ、どうしてノクトが一人で?」
「Yes.アイリには事情は説明してありますので心配いりません」
「いやいや、その事情とやらを知りたいんだが………」
だが、アイリに事情が通っているということは、ノクトがしようとしていることでアイリが機嫌を悪くすることはない、たぶん大丈夫だろうということは分かったのだが、ノエルが知りたいのはノクトが来た理由だ。変な用件ではないことを祈るが―――。
「今日は一日、ノエルさんの従者として参りました」
ノクトが発した言葉でノエルは固まってしまう。この子は今なんと言った?
「………、は、はい?」
一瞬思考が止まっていたノエルだったが、慌てて聞き返す。決して聞き逃がしたとかではない。予想外の出来事だったからだ。
「今日は一日、ノエルさんの従者として―――」
「二度言わなくてもちゃんと聞こえてたからね!? その………、本気で言ってるの?」
「Yes.今日は私になんでもお申し付けて下さい、ノエルさん。いえ、ご主人様」
「まじか………」
どうして俺には平穏な休日がないのだろうと、ノエルは苦笑いを浮かべるのだった。
†
「まずは何を致しましょうか? ご主人様」
「じゃ、じゃあ、紅茶でも淹れて貰おう………かな?」
「Yes.では、少々お待ちください」
紅茶を淹れに向かっていく少女の姿をノエルは見た後、目の前に座っている少女へ視線を戻す。目が笑っていないが、満面の笑みのアイリだ。
現在、ノエルはことの経緯を聞くためにアイリの部屋を訪れている。
ノクトが普段みたいに『ノエルさん』ではなく『ご主人様』と呼んでくることに違和感しか覚えなかったが、とりあえずはノクトに合わせておくことにしたノエル。だが、どうしてこうなったかが結局分からなかったため来たのだが―――、どうしようアイリが怖い。
「………、ねぇアイリ。ノクトどうしちゃたのかな?」
「別にいいんじゃないですか? 彼女みたいな可愛い従者がノエル兄さんなんかについてくれたんですから」
おそるおそる聞いたノエルだったが、アイリは笑顔で淡々と答える。確かにノクトみたいな子が一緒にいてくれるのは嬉しいけれど―――。
「なんで怒ってるのさ。そんなアイリも可愛いけど」
「お世辞を言ったってなにも変わりませんよ? ノエル兄さん」
「いや、お世辞じゃないんだけどな………」
「と、とにかく、今日は彼女の気が済むまで付き合ってあげて下さい」
ノエルの呟きに笑顔をやめ、頬を赤くしたアイリ。確かにアイリが言うようにノクトの気が済むまで付き合ってあげた方がいいのだろう。ノクトにしては意外な行動なのだから何か意味があるはず………。
そう思ったノエルは頷く。とりあえずは様子を見よう。
「アイリがそう言うなら………、分かった。じゃあそうするよ」
そうしてアイリとの話が一段落した頃、ノクトが淹れたての紅茶を持ってきてくれた。そしてノエルとアイリが座る椅子の前にあるテーブルにカップを並べるとゆっくり注ぐ。
ノクトが淹れてくれる紅茶は絶品で、ノエルはアイリに会いにくるたびに飲んでいるくらい好んでいた。
「どうぞご主人様、アイリ」
「あんがと。………、なぁノクト。今日はどうして俺の従者になるなんて言い出したんだ?」
注がれた紅茶を飲みながら、ノエルはそう話を切り出す。付き合うにしても理由くらいは知っておきたい。
「それは、これからも俺の従者でいろ。と言う意味でしょうか? そして私にいやらしいことをすると………」
(どうしよう、ノクトと話が噛み合ってない。まぁ確かにそれはそれで―――)
「って、違うからね!? ただ理由を聞こうとしただけだからね!?」
ノエルがそんなことを考えていたが、慌てて否定すると、ノクトは、こほん、と小さく咳払いをした後ちゃんと理由を答えてくれた。
「―――、今回は恩返しです。私はノエルさんに助けてもらってばかりですから。なので、今日はノエルさんの従者として色々とお世話をさせて頂きます。それが私にできる一番の恩返しだと思いましたので」
それを聞いたアイリはどこか納得したような表情になると、
「それでこの間、私に相談してきたのですね?」
「Yes.アイリの意見、とても役に立ちました」
アイリの話によると以前、ノクトが俺になにかしてあげたいと相談してきたことがあったらしい。それでアイリは自分が出来る精一杯のことをしてあげればいいのでは? と答えていたのだと言うのだから従者の一族であるノクトがこうしてきたのも理解できる。
「んー、まぁ、とりあえず事情は分かったよ。じゃあ………、今日は一日よろしくな?」
「Yes.ご主人様が満足して頂けるようおもてなしします」
「お、おう。でも、ご主人様は禁止な。普段通りで………、なんか恥ずかしいから」
こうしてノエルに一日だけ可愛い従者がいる休日が始まった。
†
「ノエルさん、これからのご予定は?」
アイリの部屋を出た後、廊下を歩いているとノクトがそう問いかけてくる。
ノエルは暫し顎に手をあて考えると、ノクトとのある約束を思いだしていた。
「そうだな………、せっかくの休日だから出掛けようかな。約束してたし」
「………?」
ノエルの『約束』という言葉にノクトは小首を傾げる。
「ほら、『
「Yes.それは覚えていますが、あれはノエルさんが私にお礼を、と約束したことですし、今回はノエルさんがしたいことを優先にしたいのですが………」
ノクトはそう言うと、普段とあまり変わらない冷静な表情でいるが困ったような感じの雰囲気になった。
俺のために何かしようとしているのにそんなこと言われたらそうなるよな、とノエルは思い、優しく微笑みかける。そして少し強引だがノエルは言葉を変えて、もう一度ノクトに伝えた。
「じゃあ、ノクトとのお出掛けが俺のしたいことってことで。それならいいでしょ?」
すると、少し間が空いたが、何とか了承してくれたようで、
「………、分かりました。でしたら少々お待ちください」
と、ノクトは踵を返してアイリの部屋へと向かう。アイリの部屋と言ってもノクトもそこのルームメイトなのだが。
「どうしたの?」
ノクトの行動に疑問を持つノエル。今日は休日なのだが二人とも制服だった。だが、別に制服で出掛けるのは問題ないはず―――、私服にでも着替えるのだろうか?
「Yes.服装を替えてきます。学園の外ですし、本来の姿である侍女の服装にでも―――」
ノクトの侍女姿は可愛いと、心の中で前から見てみたいとは思っていたのだが、
「ま、待って!! それは目立つからやめて!? 見てみたいけども!」
「ノエルさん、本音が洩れていますよ?」
そんなノエルの様子を見たノクトは、くすり、と微笑を浮かべる。どうやら先ほどの困った様子はもうどこかにいったようだったので、ノエルもつられて微笑んでいたのだった。
†
侍女姿になることを止めた結果、ノクトはノエルに合わせた服装で街へ行くことにしたので二人共制服姿となった。ノクトの侍女姿を見れなかったのは少し残念な気もするが、さすがに貴族でもない自分がそこまでしてもらうわけにはいかない。と自分に言い聞かせて我慢するノエル。そんなノエルだったがノクトを連れ、二番街区にある商業地区に来ていた。ここは多くの店が並んでおり二番街区の中でも賑わいが多い場所となっている。
「さてと、どこか行きたいところとかあるか?」
自分の隣で物静かに立っている少女、ノクトにそう尋ねる。ここは女の子が好きそうな店の方が多いのだが―――。
「No.今日はノエルさんが行きたい場所へついて行きますので私にはお構いなく。いかがわしいお店でも私は大丈夫ですから」
ノエルの問いかけにノクトはいつものジト目をこちらに向けてくる。あくまでも今日は従者でいるつもりなのだろう。だが、ノエルはそういった関係で出掛けたいわけではなかった。
「そんな店行かないからね!? ほら、このお出掛けはノクトへのお礼も兼ねてるって言っただろ? だからノクトの買物にも付き合いたいのさ。ノクトの好みとか知れそうだし。もちろん俺の買物もするけどな」
この子の中では自分はどんな印象を持たれているのか不安になるな。とノエルは思いながらもノクトの説得に掛かる。
好みを知りたいというのは本心だ。普段、彼女はシャリス先輩やアイリの従者としての仕事を優先しているため、どんな趣味があるのかなども見る機会がない。今回のお出掛けはお互いのことをよく知るにはいい機会だろうとノエルは考えていた。
「そうですか………、それでしたら、私が使っている香水がそろそろ無くなりそうなので新調したいのですが………、よろしいでしょうか?」
ノクトは目の前に並ぶ店を見ながら答える。ノエルに促され、買物ができるとなるとしたくなってしまうのだろう、嬉しそうに目を細めているようだ。
「おっ、いいな。じゃあまずはそこに行こうか」
ノクトが従者としてついてくれるのは嬉しいが、今日は従者としての彼女ではなく普通の女の子としての彼女を見てみたい。そうノエルは思っていたので、ノクトが自分のしたいこと。買物をしたいという提案をしてきてくれたことが嬉しかった。
目的地が決まったことで歩きだす二人。だけど今日は休日。この賑わいの全てがただの賑わいではないことをノエルは後に知ることになる。
†
「ここが香水のお店か―――」
暫く歩き、商業地区の中でも一番多くの店が並ぶ大通りに出た二人は、その中の店の一つで、どこか高級感のある店に入る。店の中には色とりどりの瓶が並んでおり、いい香りが漂っていた。
ノエルは物珍しそうに店内を見て歩く。やはり香水の店なだけあって女性客が大半を占めており、男性客はノエル一人だったのでなにかと注目される。だが、女学園に通っているノエルは何とも思わなかった。
「たくさん種類あるんだな………、って、ノクトもう選び終わったのかよ!?」
丁度ノエルが店内をぐるりと見終わった頃、ノクトは会計を済ませて、香水が入っているのであろう小さな紙袋を抱えながら歩いてきた。その小さな紙袋からほのかにいい匂いがしてくる。この匂いはなんだろうか?
「ノクトはなんの香水を使ってるの?」
「私はラベンダーの香水を使用しています。シャリスに選んで貰いました」
この店には『
「じゃあ、ノクトの趣味って………」
てっきり香水選びがノクトの趣味だと思っていたのだが―――。
「私の趣味は読書です。この店からもう少し進むとよく利用する書店があります」
物静かな彼女のイメージには、どちらかといえば確かにそのほうが合っていた。
「そういえば、ノエルさんの趣味とは何でしょうか?」
ふと、ノクトは疑問に思ったことを口にする。
「俺の趣味? そうだな………、あれ、思いつかない………」
改めて考えてみると、自分に趣味らしい趣味がないことに気づく。小さい頃の記憶はないし、クーデターの後は女王の依頼をこなすか、機竜の訓練ばかりしていたからな………。
「………」
ノエルが考え込んでしまい、二人の間に沈黙が訪れてしまう。
「………、せっかくですし、ノエルさんも香水選んでいかれたらどうですか?」
そうノクトが話を切り出してきたので、ノエルは、はっ、と我に返る。
「そ、そうだね。せっかくだし、一つどれか選んでいくかな」
ごめんな、と謝った後、ノクトに促されるまま、この際だからと気になった香水を見ていく。だけど、自分に合う香水の選び方がよく分からなかった。
「選ぶ基準とかってあるのかな?」
「最初ですから、自分がいいなぁ、と思うものでいいのではないでしょうか? 使っていくうちに好みや自分に合うものが分かってくると思いますので」
「んー、じゃあこれかな、やっぱり」
ノクトの意見を参考に少し悩むと、ノエルは棚に並んでいた一つの小瓶を手に取る。
「それは―――、わたしと同じ香りですね」
ノエルが選んだのは、ノクトが愛用しているラベンダーの香水。
「色々匂い嗅いでみたんだけど、この香りが今のところ好きかな。お揃いになっちゃったけど嫌だったか?」
「No.嫌ではありません。ですが、ノエルさんと同じ香水を使うことになるのは不思議な気持ちです」
ノエルはノクトの答えを聞いて安堵する。
ノクトの言う通り、親しい友人同士の二人だが、男性と女性の間柄なのだ。身に着けるものがお揃いということは嬉しい気持ちもあれば、恥ずかしさもあった。それらが入り交じり不思議な感覚を覚える。
ノエルはそんな感覚に、ははっ、と小さく笑いながら頬を赤らめると、
「確かにそうだな。じゃあさ、今度でいいからつけ方のコツとか教えてくれる?」
「Yes.お任せ下さい」
「ありがと、ノクト」
ノクトも同じだったのか微かに頬を染めているようだった。そんな二人は微笑みあった後、会計を済ませ店を出る。
「あの店とか面白そうじゃない?」
大通りに出て、歩きながらノエルは小物が並ぶ雑貨店を指差す。
「ノエルさんが行きたいところでしたらどこへでもついて行きます」
「あ、まだ従者のつもりだったんだ………」
「い、Yes.最初からそのつもりですから。忘れてなんかいませんよ?」
そう言いながらも視線を逸らすノクトにノエルは、くすっ、と笑うと「はいはい」と相槌を打つのだった。
†
「あそこで休もうか、ノクト」
あれから何件か他の店を見て歩いた二人は休憩で茶屋に入る。
もう既に二人は主従関係などではなくなっていた。ノクトも行ってみたい店を言ってくるほどで、二人はまるで『デート』のように楽しんでいる。周りの人々からみたら『恋人』同士に見えていたかもしれないほどに。
ノエルとノクトは、二人掛けの席に座る。
「今日はどうだった? 俺ばっかり楽しんじゃっていたかな?」
「No.それは杞憂ですよ、ノエルさん。今日はとても楽しかったです。ですが―――」
そこまで言いかけるとノクトは顔を伏せてしまう。どうしたのだろうか?
ノエルが小首を傾げていると、少し間をあけた後、ノクトが顔を上げて言葉を続けた。
「今日は従者としてノエルさんに恩返しするはずでしたが、それが出来ていないことが気がかりです。お世話もしていませんし、ノエルさんを満足させておりません………」
そのことか。とノエルは思うが、ノクトにとっては重要なことなのだろう。だけど俺は―――。
「ノクトとこうして一緒に遊べたから俺は凄く満足してるよ。ありがとう、ノクト」
ノエルはいつもの冷静な表情ではなく、不安そうな表情になっているノクトを安心させるように優しく微笑む。
「ですが―――」
ノクトは弱々しくそう呟くと、言葉を続ける前に頭に手を置かれたことで口を紡いだ。
「今日はノクトの趣味とかも知れたし、お揃いの香水も買えた。普段見れないノクトの一面とかもたくさん見れたから俺は満足だよ。だからそんなに気にすんなって」
ノエルはそう言いながら、ノクトの綺麗な黒髪を、そっと、撫でる。
「ノエルさん………」
「寧ろ、俺の方がノクトへのお礼がちゃんとできたか心配だよ。そもそもこのお出掛けはノクトへのお礼の約束から決まったことだしな」
「それは問題ありません。とても楽しかったです」
撫でられているノクトは小さく、嬉しそうに口元を緩めていた。それを見たノエルは安心する。
「なら、また今度誘ってもいいかな? 今度はノクトの行きつけの書店にも行ってみたいし」
「Yes.歓迎します。ノエルさんと一緒ですと居心地がいいですから」
「お、それは嬉しいな。なら、また遊ぼうな」
ノクトは、こくっ、と頷いていた。
その後暫く、二人は今日見て歩いた店のことを話しながらお茶をしていると、時間はあっという間に過ぎていった。
「さてと、そろそろ門限も近いし帰ろうか」
「Yes.なら近くの広場を通って行きましょう。学園までの近道ですので」
「さすがノクト。じゃあそうするか」
†
「うわぁ………、さすが休日ってところなのかな………。どうする? ノクト」
茶屋を出た後、ノクトの言っていた近道である広場に向かった二人。だが、広場に到着すると、そこには『恋人』であろう男女のペアがベンチなどに何組も腰かけていたり、手を繋ぎながら歩いており、甘い空間が広がっていのだった。
「普通に通ればよいのではないかと思いますが?」
「まぁそうなんだけどさ………」
ノクトの言う通りなのだが、なんだろう。やっぱり周りが気になる。
「………、ノエルさんも女性とあのような関係になりたいなぁ、と思うのですか?」
ノエルの視線の先を見て、ノクトが尋ねてきた。
「まぁ、そうだな。ああやって女の子と好き好かれる関係は羨ましいと思うよ。ノクトはどう思う?」
ノクトの問いかけに答えると今度はノエルが聞き返す。だけどすぐに返事は帰ってこない。
どうしたのだろうと、ノエルは隣の少女に視線を向けると、
「………、私にはよく分かりません」
「えっ?」
「私はいずれバルトシフト家に仕える予定の身ですから、恋愛感情というものを理解していないのです。私にとってはどうでもいいものでしたから。ですが、今日ノエルさんと二人で過ごしてみて、思うところがありましたのでノエルさんは恋愛についてどう思っているのか気になったのです」
どこか寂しそうな声で答えるノクト。周りの光景を見て、そんな彼女に自分がしてあげられることはこれしかないとノエルは考えつくと、彼女の名を呼ぶ。それに反応して、広場の『恋人』達を眺めていたノクトはノエルの方を向いた。
するとノエルは自分の手を差し伸べ、ノクトの白く綺麗な手を、そっと、握る。
「今だけでも『恋人』みたいにこうしてみれば、なにか分かるかもしれないからさ。もしノクトが嫌ならやめるけど」
突然の出来事にノクトは驚いたような感じだったが、
「嫌ではありません。寧ろ、嬉しいです」
頬を赤らめ、視線を逸らしていた。
そんなノクトの可愛い仕草にノエルも自然と笑みがこぼれると、
「そっか、ならこのまま歩いていくか。今だけ『恋人』としてな」
そう言ってノエルはノクトの手を引いて広場へと歩きだしていった。
その隣を歩きながらノクトは、繋がれているお互いの手を見て思う。
この気持ちはなんだろう? ただ手を繋いでいるだけなのに、とても暖かくて、嬉しくて。
ノエルさん。私を何度も助けてくれた人。隣にいてくれるだけで居心地がよくなる。今日もそうだった。これからもノエルさんの傍にいたい。
これが誰かを『好き』になることなのだろうか?
分からない。でも今はただ、こうしていられるだけで―――、とても幸せな気持ちになれる。
ノクトは隣を歩くノエルを見つめた後、握っている彼の手を優しく、キュッ、と初めて感じる気持ちを確かめるかのように握り返すのだった。
†
次の日の朝。
休日が終わり、今日は平日。
早めに起床し、身支度を済ませたノエルは朝食を食べに食堂へと向かって廊下を歩いていると、前方からノクトが歩いてくる。
「ノエルさん、おはようございます」
「おはようノクト。ん? どうした?」
アイリと先に食堂で席をとっていたのだろうとノエルは思い、一緒に食堂へと向かおうとするが、不意にノクトが顔を近づけてきた。
ノエルが疑問を持ち、問いかけると、ノクトにしては珍しく少し慌てた様子で顔を離す。
「なんでもありません。アイリが待っていますので行きましょう」
その顔は何故かとても嬉しそうだった。
「ああ、そうだな」
まぁ、機嫌がいいだけだろう。と思ったノエルは特に気にせず、ノクトと食堂に二人並んで歩いて行く。
お揃いのもの、ラベンダーの香りを纏いながら―――。
最近書き方を忘れてしまったようで、全体の構想は思いつくんですが、表現が上手く書けなくて、更新が遅くなってしまいました………。
これがスランプか!(笑
そしてついに、バーに色がつきました!! ありがとうございます!!
これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします<(_ _)>
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