第零遺跡の「鍵の管理者」   作:奈々歌

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たぶん今のところ一番長い話かな?(笑


やはりアイリは可愛い。

 

 

 

 

あれから数日経ち、学園で過ごす初めての休日がきた。

 

日差しが窓から差し込み、ノエルの顔を優しく撫でる。

 

「うーん……。朝か、まあ今日は休日だしもう少し寝ていようかな…」

枕に顔を埋めて、もう一度眠りにつこうとしていると部屋の戸から声が聞こえてくる。

 

「ノエル兄さん起きてますか? 休日だからっていつまでもごろごろしていてはダメですよ?」

どうやらアイリが起こしに来たようだった。

 

「アイリ? 起こしに来てくれたの? お兄さん嬉しい…よ……」

ノエルの声がどんどん遠くなっていくのを聞いたアイリは、ため息をつきながらなぜか鍵がかかっていないドアを開けて中へ入る。

 

「ほら! ノエル兄さん起きてください!」

アイリはノエルの体をゆすり、起こそうとするがなかなか起きない。

 

「アイリがおはようのキスをしてくれたら起きれるかも……」

 

「ふざけないで下さい!!」

アイリの怒った声と共に、鋭い拳がノエルの腹へ突き刺ささった。

 

「ぐはぁ!?」

ノエルは痛みでベッドから転げ落ちていく。

 

「さすがに起きましたよね? さぁ、食堂に行きますよノエル兄さん」

 

「は、はい…アイリさん」

床に蹲りながらノエルは、アイリをからかうのもほどほどにしようと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということが、朝からあったんですよノクトさん。どう思います?」

ノエルがまだ痛むお腹を摩りながら、向かいの席に座るノクトに尋ねた。

 

「Yes.それはただの照れ隠しなので問題はないかと」

 

「だよねー。やっぱりアイリはかわいいなー」

 

「もう! ノクトもノエル兄さんもふざけないで下さい!」

二人の会話を聞いたアイリは、ガチャンと飲んでいた紅茶のカップをソーサーに勢いよく置く。

 

 

あの後ノクトと合流し、ノエルとアイリは食堂に来ていた。

 

 

「そういえば、今日はルクスと一緒じゃなかったんだね」

 

「その言い方だとまるで私が兄さんにべっとりみたいじゃないですか!!」

そうじゃないの?とノエルが言おうとすると、アイリの背中から何やら恐ろしいオーラが見えたような気がしたのでやめておいた。

 

「兄さんは朝早くから学園の依頼で工房に行ってますよ」

 

「ああ、確か格納庫の後ろにそんなのがあったっけな」

前にアイリとノクトに学園を案内してもらった時、少しだけだが見た記憶があった。

 

「それで寂しくなって俺を起こしにきたってわけか、納得したよ」

 

「違います! ノエル兄さんはほっとくと、いつまでも寝ていそうだったので起こしに行ったんです!」

 

「Yes.まぁだいたい合っていますが、アイリは今日ノエルさんとお出掛けをしたいと言っていましたので起こしに行ったみたいです」

 

「なっ!? なんでそれを言うんですか!!」

ノクトの説明にアイリは慌てた様子をみせる。

 

「うん、いいよ。アイリの頼みだし、何時くらいから行く?」

 

「そ、そうですね……。では、お昼くらいに正門で待っていますね」

アイリは少し頬を赤くしている。

 

「わかったよアイリ。遅れないように行くね」

ノエルはそう言うと軽く微笑んでアイリを見た。

 

アイリがノエルの顔を見てますます顔を赤くしていると、食堂の扉が開きルクスが入ってきた。

 

 

「あ! いたいた! ノエルちょっといい?」

ルクスが朝食をとっていたテーブルに近づいてくる。少し息を切らしている様子からして、いろいろ探しまわっていたようだ。

 

「どうしたルクス? 依頼で工房に行ってるんじゃなかったのか?」

 

「そうだったんだけどさ、なぜか『騎士団』の入団試験受けることになっちゃって……」

 

「そういえばルクスさんを『騎士団』に入れると、昨日リーズシャルテ様が言っておりました」

 

「ふーん。で、なんで俺を探していたのさ? ノクトの話だと入れる予定なのはルクスだけみたいだが?」

 

「それが……。ノエルが幻神獣と戦って勝っていたって、シャリス先輩とティルファーがリーシャ様に言っちゃって……」

 

「それで俺のことも入れるって話になったわけか。だがなルクス? 俺はアイリとお買物という大事な用事があってだな……」

 

ノエルがそこまで言うと、

「試験を受けてこないならキャンセルしますよ? ノエル兄さん?」

アイリが顔こそ笑顔だが、すごく怖い雰囲気だったので大人しく試験を受けにルクスの後をついて行くノエルであった。

 

 

 

 

「はぁ、めんどくさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお! 来たかノエル! お前、幻神獣と単独でも戦えるんだってな!!」

入団試験を受けるためにノエルは演習場の控え室にやって来ていた。すると中に入った瞬間、リーシャがノエルの姿を見るなりそう言ってくる。

 

「彼も入れるつもりなんですかリーシャ様!?」

長身の女生徒がリーシャに聞いていた。

 

「当たり前だ。実力ならこれから示してやるさ」

腕を前で組みながら、リーシャは答える。

 

「一体どうするんですか? リーシャ様」

ノエルが疑問に思う。

 

「ふふっ、今からチーム同士の機竜対抗戦をしようと思う! その結果で入団の賛否を決めるといい!!」

ビシッと先ほどの長身の女生徒に指を向ける。

 

 

「ルクス、どうやら俺達の意志は完全に無視みたいだな……」

 

「う、うん。さっき《ワイバーン》直してもらったばかりなのに……」

 

「へぇ、誰に?」

 

「リーシャ様だよ」

 

「まじかよ!? すげぇ……」

 

 

「おいルクス! ノエル! 話がまとまったぞ!!」

ノエルとルクスが話していると、急にリーシャが肩を叩いてきた。

 

「私とルクスとノエルが組んで、相手チームと戦う」

どうやら、やるしかないような雰囲気になっていた。

 

「ちなみに、その相手チームってのは……」

ルクスがリーシャに尋ねる。

 

「ここにいるお前たちと初対面のメンバー全員だ!」

 

「無理があんだろ……」

騎士団に所属している以上、相手メンバーは相当な実力者であることは確かだ。それを三人で相手にしろというのはさすがにキツイ。

 

「大丈夫だ。お前たちは二人とも幻神獣と戦えるほどの実力を持っている。私は《キメラティック・ワイバーン》を使うが、十分勝機はあるさ」

 

はぁ、とため息をつきつつも、ノエル達は装衣に着替える。

 

そして模擬戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、やっと終わった。疲れたよー」

模擬戦はあっという間に決着がついた。

 

模擬戦が終わり、ノエル達は控え室へと戻って来て装衣から制服へと着替える。

 

「なんなんだよー、もう!!」

リーシャが控え室のソファーに寝そべりながら喚いていた。

 

「そろそろ機嫌直してくださいリーシャ様。一応勝ったじゃないですか?」

ルクスが喚いているリーシャを宥めている。

 

「なんでお前たちは一度も攻撃してないんだよ!? せっかくのチャンスが台無しじゃないかー! このバカどもー!」

 

先の模擬戦。三人対十人という状況でノエルたちは勝利した。

十人全て倒したのは、《キメラティック・ワイバーン》を纏ったリーシャだった。

 

ルクスはすべての攻撃を回避し、ノエルはほとんど開始位置から動かず、すべての攻撃を様々な武装を使い分けて受け流していたら、戦いはいつの間にか終わっていた。

試合には勝ったものの、ノエルとルクスが全く攻撃しなかった為、入団は却下となりリーシャは不機嫌になり今に至る。

 

「そういえば、さっきリーシャ様が言っていた『チャンスだったのに』ってなんのこと?」

ノエルはルクスに尋ねる。

 

「今は三年生の騎士団メンバーが王都に演習に行っていていないから、入団させるチャンスだったんだって。なんでも団長が大の男嫌いとかでさ……」

 

「ふーん。まぁ、確かにそんな団長がいたんじゃ入団は難しくなるな。ちなみに団長の名前はなんて言うんだ?」

 

「確か、セリスティア・ラルグリスって言って『学園最強』でもあるんだって」

 

 

「セリス……ティア?」

ノエルはその名前を聞いた瞬間、ズキッと頭に痛みが走った。

(なんだ…、なんだか懐かしい響きがする。だけど分からない…)

 

頭を抑え、俯いたまま黙り込んでしまったノエルにルクス達は戸惑いをみせる。

 

「ノエル? 大丈夫?」

 

「一体どうしたんだノエル?」

 

不安そうに二人はノエルを見ていると、ノエルは顔をあげてなにか思い出したように、

「そうだ、アイリとお買物行くんだった。 じゃあなルクス、リーシャ様!」

そう言って控え室を飛び出していった。

 

(直接会えば、きっと何か思い出せるだろう……)

そう思いつつ、アイリの待つ正門へと向かっていった。

 

 

 

「いったいなんだったんだ? というか、お出掛けか……そうかその手が……」

 

リーシャがぶつぶつと呟いた後、

「おい、ルクス! 追加依頼だ! 今から私と付き合ってくれ」

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイリ、お待たせ!」

正門に着くとすでにアイリが待っていた。

 

「遅いですノエル兄さん。待ちくたびれましたよ」

ぷくーっと頬を膨らませている。

 

「悪い悪い、お詫びに奢るからさ?」

 

「言いましたね? では、とことん奢って貰いますからね?」

ふふっと微小を浮かべてアイリが言う。

 

「ア、アイリの笑顔が怖いよ……」

ノエルとアイリはそんなやり取りをしながら、人々で賑わう街へと歩き出した。

 

 

 

人通りが多い大通りを二人で歩きながら、

「アイリ! あれ美味しそうだな、一緒に食べないか?」

ノエルが通りに並ぶ屋台のうち一つを指差す。

 

「アップルパイですか。そうですね、お腹も空きましたし食べましょうか」

ノエルとアイリはアップルパイと飲み物を買い、近くのベンチに座る。

 

「美味しいな、このアップルパイ」

 

「そうですね、ノエル兄さんの奢りなだけはありますね」

 

「これくらいいつでも奢ってやるよ」

 

 

 

 

アップルパイを食べながらノエルは大通りを歩く人々を何気なく見ていた。

 

「賑やかでなんだかお祭りでも見ているようだ……。ほんと平和だよな」

 

「クーデター以降大きな事件もなくまだ五年です。きっと、新王国の人々にとってはまだ夢みたいな楽しいお祭りの途中なんですよ」

アイリは隣で飲み物を飲みながらそう答えた。

 

「守らないとな…。この景色をさ……」

 

「そのための目的、忘れていませんよね?」

 

「あぁ。ちゃんと覚えてるさ」

 

「なら安心です。ノエル兄さんのことだから忘れてそうで心配でした」

 

「うわ、ひどいよアイリ」

そう言いつつも、アイリに微笑むノエルだった。

 

 

 

その後、いろいろな話をしながらノエルは買ったものを山のように持たされ、アイリの部屋まで運ぶことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、楽しかったけど疲れたなー」

自室に戻り、機攻殻剣を窓際に立てかけてベッドに寝転がる。

 

すると、コンコンとドアが叩かれる音がした。

 

「はいよー」

ノエルが軽く返事をする。

 

「ルクスだけど入っていいかな?」

 

「ああ、入れよ」

そう言って部屋に入れた。

 

 

「で、どうしたんだ?」

 

「あのさ……ノエルは『王女』ってなんだと思う?」

ルクスは暗い顔をしながら聞いてくる。

 

「いきなりどうしたんだ?」

話が見えないのでルクスに尋ねると、どうやらあの後リーシャと街へ出かけたらしく、そこでついルクスが言った「王女らしくしたほうがいい」という言葉に「王女とはなんなんだ?」と言われたらしい。

 

「なるほどな。それで俺に聞きにきたと?」

 

「う、うん……」

 

「そうだな…。俺は立派な姫様だと思うけどな」

 

「どうして?」

 

「リーシャ様は学園のみんなにも街のみんなにもたくさん愛されている、十分王女様に相応しい人だと思うよ。だから、リーシャ様が困っている時は俺達も力になってやろうぜ……。もしこの俺の銀の機攻殻剣とお前の黒い機攻殻剣を抜くことになってもな……」

 

 

「……うん、そうだね。ありがとノエル」

暫く考えこんで何か決意したのか、そう言って部屋を後にして行く。ノエルはそれを見送った。

 

 

 

「さてと、そろそろ寝るか……」

再びベッドに横になり、ノエルは目を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ朝日が昇って間もない朝方。

 

 

ゴォオオン!! ゴォオオン!!

 

 

 

突如、耳を劈く大きな鐘の音が聞こえてきてノエルは目を覚ました。

 

「この音は……まさか!?」

 

 

警報。敵の襲来を告げる音が城塞都市に鳴り響いた――――――――

 





次回、オリ神装機竜登場!!


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