第零遺跡の「鍵の管理者」   作:奈々歌

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この前感想で頂いたアドバイスを参考に前話と前々話のルビ振りをやり直しました。

教えていただきありがとうございます。


今回から新章突入!!


少女の思い。たった一つの願い。
なんで俺まで……。


 

 

 

ノエルとルクスが学園に正式入学してから二週間ほどが過ぎた。女学園に二人だけの男子ということで、共同生活に少なからず問題はあるが何とかやっている。

 

「平和だねー。毎朝の『あれ』さえなければ……」

ノエルはまだ微かに痛むお腹を摩っていた。

 

「ノエル兄さんの自業自得です。毎朝起こす私の身にもなってください」

アイリは頬を膨らませ、腕を胸のあたりで組んでいる。

 

毎朝ノエルのことを起こしに行っているのだが、そのたびに口づけだの抱きしめてなど言うので、アイリの見事な正拳突きが毎回お腹に突き刺さっていた。

 

「Yes.アイリはノエルさんを起こしに行くたびに『今日は何を言ってくれるのか楽しみ』と、とても嬉しそうにしています。本当は要望通りに起こしてあげたいらしいのですが―――――」

 

「ノクト!? 何を言っているんですか!?」

アイリは顔を赤くして、それ以上言わせないよう急いでノクトの口を手で塞ぐ。

 

「相変わらず、アイリは可愛いなぁー」

 

「Yes.そこは私も同感です」

 

「もう、二人とも本気で怒りますよ!!」

 

 

このやり取りが既にノエルの朝の日課となっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、疲れた……。」

その日の放課後。ノエルは息を切らしながら追跡者たちから逃げていた。どこに隠れてもすぐに発見される。周囲は敵だらけだった。

 

「ノエル、無事だったんだね!」

 

三階の廊下を逃げていると、向かい側からルクスが走ってきた。息を切らしているところを見ると、あちらも同じ状況らしい。

 

「無事と言える状況じゃないがな……。てか! おい、ルクス後ろ!」

 

ルクスの後ろから数人の女生徒が現れた。見たところ、ルクスを追って来たみたいだ。巻いてくるのに失敗したのだろう。

 

「見て! ノエル君もいるわ! 」

 

「みんな、捕まえるの手伝って!」

 

「三年生までは呼んじゃだめよ! 独占されちゃう!」

声を聞きつけた他の女生徒たちが、ぞろぞろとさらに集まってくる。

 

「に、逃げようノエル!」

 

「言われなくてもそのつもりだ!」

 

二人は休む暇なく走りだす。だが、その前方からも女生徒たちが現れる。どうやら挟まれたみたいだ。

女生徒たちは壁を作って迫ってくる。その手には捕縛用ロープ、投網に棍棒。さらには首輪まで用意されていた。

 

「捕まったらなにされんだろうな……。そういうのはルクスの専売特許だというのに」

 

「ノエルは僕をなんだと思ってるの!?」

 

そんなやりとりをしてる間も女生徒たちはじりじりと確実に距離を詰めてくる。

 

「逃げ場はないはずよ。大人しく捕まって私たちの玩具……じゃなくて仕事の依頼を受けてもらうわ」

 

とても恐ろしい単語が聞こえた気がするが、聞かなかったことにしよう。そう思いながらノエルはこの状況をどうにかできないか考えていた。

 

「ノエル! こっち!」

 

いきなりルクスに腕を引っ張られる。そして開いている窓まで行き、ノエルはルクスと共に飛び降りた。

 

「ああっ!?」

女生徒たちから驚きの声が上がる。

 

ノエルとルクスは落下の途中で外壁を蹴り、木の枝に手をかけて落下の衝撃を殺しながら着地した。

 

「さ、さすがに三階は無茶だったかな……」

 

「お前ってたまに馬鹿みたいな無茶するよな。すげー痛いんだけど……」

二人はじんじんと痛む足を摩りながら、茂みに隠れる。

 

「もう帰りたい……」

 

「ははっ…。でも帰るところも範囲に入ってるよ」

 

「ちくしょう。なんで俺までこんなことに……」

ノエルがそう呟いた時、後ろの茂みから人影が現れて目が合う。

 

「「「「「あっ」」」」」

 

その場の全員の声が重なる。茂みから出てきたのは『三和音(トライアド)』の三人だった。

 

「……えっと、き、今日は天気がいい…ですね……?」

苦笑いでそう言うノエル。我ながらなに言ってんだろうと思うのだった。

 

「いたーーーっ!! ノエルっちとルクっちいたーーー!!」

 

ガランガラン! とティルファーは大きめの手持ち鐘を鳴らしながら叫んだ。すると、大勢の女生徒が一斉に集まってきて追いかけてくる。

 

「「もう嫌だーーー!!」」

 

二人は逃走を再開しながら、悲痛の叫びを上げていた。

 

 

 

なんでこんなことになっているかと言うと、事の発端は数分前に遡る―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノエル君、ルクス君。学園生活はどうかしら?」

レリィは二人を自室に呼んでいた。

 

「上手くやれていると思います。初めはどうなるかと思いましたけど……」

 

「俺も今のところ大丈夫ですね。毎朝アイリに殴り起こされること以外は」

 

「一体なにをしたら、あのアイリちゃんがそんなことするのか不思議ね」

 

「確かに……」

レリィとルクスは疑問に思うが、ノエルは何故か嬉しそうな顔をしているので聞かないでおくことにした。

 

「……まぁ、その話は置いといて。本題に入りましょう」

パンッと両の手を合わせながら、強引にレリィは話題を変える。

 

「ノエル君、ルクス君。実はあなた達に対する生徒たちの不満が私のところに集まってきてるのよ」

ため息をつきながらレリィは悩ましげな表情になった。

 

「えっ……?」

「まじかよ……」

 

何かまずいことしたのだろうか。ノエルとルクスは不安になる。

 

「じゃーん! それがこれよ!」

二人の不安をよそにレリィはバンッと机の上に分厚い紙の束を叩きつけた。余裕で百枚近くあるだろう。それがノエルとルクス、それぞれ二人分あった。

 

「これって、もしかして……」

「ああ、俺も最近見慣れてきたばかりだよ……」

 

「あなた達への依頼があまりにも多すぎるのよね……。さすがにここまで溜まっちゃうとねぇ」

 

「……それで俺たちにどうして欲しいと?」

恐る恐るノエルは尋ねた。すると、レリィはにやりと悪戯っぽい笑顔を作る。

 

((あ、これはまずいな))

 

二人の心の声が重なった気がする。二人には確信があった。

この人は今、絶対に良からぬことを考えてるに違いない。

 

「この事態を解決するために私はある企画を考えたの。たった今、生徒たちに説明がされているはずよ」

 

「企画……ですか。ちなみにどんな……?」

 

「企画の名前は―――――『ノエル君、ルクス君争奪戦』よ」

そう言って、机の上に赤い紙の依頼書を二枚置いた。

 

「依頼を受けて貰えない生徒たちの不満解消用企画。このノエル君、ルクス君にそれぞれ『一週間だけ優先して依頼ができる』という魔法のような依頼書を制限時間内にあなたたちから奪い取るという実にシンプルなものよ」

 

「No.俺は参加したくありません」

 

「あまりの出来事にノエルがノクトになった!? 確かに名前似てるけど!」

 

「制限時間は今から一時間。逃げきれば誰の命令も聞かずに済むわ。装甲機竜(ドラグライド)の使用は禁止だから、お嬢様たちにくれぐれも怪我させないようにね?」

レリィはそんなことはお構いなしに説明を終わらせた。

 

すると、あちらも説明が終わったのだろう。校舎中から地鳴りのようなたくさんの足音が聞こえてくる。

 

「本当にやらなきゃいけないのか……」

 

「あはは……。どうやらそうみたいだね……」

そう言いながらも学園長室を後にし、二人は逃走を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……、はぁ……」

ノエルは走りながら時計台を見る。争奪戦が開始してから既に四十分経過していた。

 

「あと二十分もあんのかよ……。こんな調子だと捕まっちまうな」

ルクスとはいつの間にかはぐれてしまい、体力もそろそろ限界が近づいてる。いっそのこと誰かにこの依頼書を渡してしまえば楽になるのだが―――。

 

「それで変な依頼されても困るしなー。どうしよう……」

走りながらそんなことを考えていると、道の先によく見知った顔の人物を発見する。

 

「あれはアイリ? そうだアイリなら!」

ノエルは気付いた。変な依頼をしてこない人物に依頼書を渡してしまえば問題がないことに。アイリなら大丈夫―――だろう。たぶん。

 

「おーい! アイリ!!」

手の振りながら近づいていくノエル。だが突然横から腕を掴まれ、近くの茂みに引きずり込まれる。

 

「ノエル兄さん? あれ?」

名前を呼ばれアイリは振り返るが、すでに誰もいなかった。

 

 

「いたた……。なにすんだよルクス!」

 

「しーーーっ! ノエル、静かにして」

腕を引っ張った人物はルクスだった。

 

「なんでだよ?」

ルクスの言葉に従って、小声で話す。

 

「見てみればわかるよ」

そう言うと、ルクスはアイリがいる方に人差し指を向ける。

ノエルは目を凝らして見てみると、アイリのいる場所の近くに女生徒たちが身を潜めているのがわかった。

 

「気づかなかった……。俺が気配に気づけないなんて―――」

『仕事』で敵の気配などを敏感に感じ取れるようになっているノエルが気づけなかったのだ。女生徒たちのやる気がもはや恐怖でしかない。

 

「きっと、僕たちがアイリを頼ると予測して待ち伏せてるんだろうね」

 

「ああ、実際そうだからな……」

こうなると唯一の希望であるアイリに近づけない。周りを見渡し、この状況の打開策を考える。するとルクスが何か見つけたようだ。

 

「ノエル。あれってリーシャ様だよね?」

ルクスが顔を向けている方を見てみると、こちらに気づいているような笑みを浮かべている少女がいた。

少女は軽くウインクをすると、ある建物に入っていく。

 

「あそこは……工房(アトリエ)?」

 

「そうだね、僕は何回か行ったことがあるからわかるよ。あそこにかくまってもらおうノエル」

工房(アトリエ)は所長であるリーシャ様の権限で、関係者以外立ち入り禁止となっている。学園の中では一番安全であろう。

 

「今の状況からしたらそれが一番だな」

ノエルとルクスは周りの視線に注意しながら移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。ここに逃げ込めば大丈夫だね」

ルクスは工房(アトリエ)の入り口まで移動して、後ろにいるはずのノエルに話かけた。

 

「あれっ!? ノエルがいない!」

来る途中ではぐれたのだろうか? いや、そんなミスをノエルがするわけがない。

 

ならどうして? そうルクスが考え込んでいると、遠くから女生徒たちが歩いて来る。見つかるとまずいのでノエルの無事を祈りながら工房(アトリエ)へと入っていった。

 

 

 

その頃ノエルはというと、ルクスとは逆方向に移動していた。

 

「ルクスは今頃大変な目にあってんだろうな……。お気の毒に……」

ノエルがルクスについていかなかったのには理由がある。それはリーシャだった。

 

リーシャが軽くウインクしてから建物に入っていく際、何かを企んでいる笑みを浮かべていたのをノエルは見逃さなかった。ルクスに伝えなかったのは、もちろん面白そうだからである。

 

「って、言ってもあそこ以外安全な場所なんて……安全じゃ、なかったな」

どこか隠れれる場所がないか探して走る。すると、演習場の控え室にたどり着いた。

 

「今の時間ならみんな探しに出ているし、誰もいないはず……」

 

ノエルはゆっくりと中を警戒しながら入っていく。予想通り誰もいなかった。

 

「残り五分か。ここに隠れていれば余裕だろ」

壁に掛けてあった時計を見ながら呟く。念のため、着替え用の仕切りがある場所の隅っこに身を潜めた。

 

あと少しでこのゲームも終わる。帰ってゆっくりできると思っていた。だけど現実はそう甘くはなく、ガチャリと入口のドアの開く音がした。

 

「はぁ、本当嫌になるわね。せっかくノエル君を捕まえるチャンスだったのに―――」

 

「仕方ないよ、機竜の修理が終わったんだから、ちゃんと試運転しとかないとね?」

 

「ノエル君狙いなの? 私はルクス君のが欲しかったなぁ……」

 

聞いたことのある声がする。確か『騎士団(シヴァレス)』のメンバーの声だ。

 

ノエルはこっそりと向こう側を窺う。

見覚えのある『騎士団(シヴァレス)』のメンバーと、見覚えのない、おそらくは最近戻ってきたらしい三年生のメンバー。合わせて五、六人といったところだった。

 

「最悪だ……」

ここで見つかったら逃げ場はない。ノエルは完全に気配を消し、こちらに来ないよう祈った。

 

すると、しゅるっと衣擦れの音が聞こえてくる。どうやら着替え初めてしまったようだ。

 

(まじかよっ!? でも試運転するなら装衣に着替えなきゃだもんな)

 

女生徒たちは女子同士でしかできない、香水や下着などの話を始める。ノエルは動くことができないので会話が聞こえてきてしまう。

 

(に、逃げれない……!? もしもばれたら……ッ!)

もしも誰かがこちらにやって来て、姿を見られるようなことがあれば覗きのルクスと同類になってしまう。それだけは勘弁だ。

 

「そういえば、ルクス・アーカディアとノエルって言ったかしら? 彼らを学園に入れて本当に大丈夫なの?」

ふいに、聞き覚えのない声が聞こえてくる。三年生らしき女生徒のものだろう。

 

本来この士官学園は女学園なのだ。一、二年生ならともかく、最近戻ってきた三年生は男であるノエルとルクスを警戒していても仕方がない。

 

「私は大丈夫だと思います。二人とも優しいですし、いい人なんですよ。機竜使いとしてもかなりの腕ですし、たまに教えて貰っています」

 

「それにルクス君は可愛い顔してますし、ノエル君は大人っぽくてかっこいいです」

 

「ふうん。でも、『男』でしょ? 覗きや痴漢されたりする心配あるんじゃないの?」

また聞き覚えのない声がする。もう一人の三年生らしき女生徒が反論したようだ。

 

「彼らに限ってそんなことはしないと思います。そんな卑怯な人ではありません」

 

「はい。彼らに守って頂いた私たちは信頼していますわ」

 

(あぁ、うん。これは見つかったらいろいろ終わるな……)

ははっ、とノエルは苦笑いを浮かべた。

 

だが、少女たちはこちらに来る気配はない。このまま着替え終わって出ていってもらえればいいのだが―――。

 

「あ、クルルシファーさん。こんにちは」

一人の女生徒の明るい声が聞こえた。

 

(クルルシファーだとっ!? なんかまずい気がする!)

ノエルの直観がそう告げている。でもここから逃げる手段がない。ただ時間だけが過ぎていく。

 

「そういえば、クルルシファーさん。装甲機竜(ドラグライド)の指南書どこにあるか知りませんか? この部屋のどこかにあったはずなんですけど……」

 

「ああ……。本は日に当たるところに置いとくと痛んでしまうから、確かこっちに置いておいたはず―――」

という声と共に足音が近づいてくる。

 

まずい、ノエルはそう思い焦るがどうしようもない。こうなったらと、ノエルは最終手段にでた。

 

そう、諦めるという手段に。

 

「えっ……」

仕切りのこっち側にきてしまった少女と目が合う。

制服を脱いで、白い下着姿になっているクルルシファーと。

 

「……ッ!?」

クルルシファーは意表を突かれたような顔でノエルを見る。

いつも冷静な顔でいる彼女だが、さすがに頬を少し染めているようだった。

 

ノエルはしっかりとその姿を見てしまった後、見逃して下さいと言わんばかりにゆっくりとその場に土下座する。

 

「クルルシファーさん? どうかしたの?」

その様子を見て疑問に思ったのか、仕切りの向こうから生徒の声がする。

 

(さらば。俺の学園生活……)

ノエルがそう諦めていると、

 

「……。なんでもないわ、指南書はちゃんと見つけたから」

クルルシファーは何事もなかったように、いつもの涼やかな表情に戻っていた。そして指南書を手に取り、向こう側へと歩いていった。

 

(助かった…のか…?)

ノエルは状況を理解出来なかった。

 

「私、やっぱり今日はやめとくわ。《ファフニール》の整備が終わってなかったのを思いだしたから」

 

「そう? わかった。じゃあ私たちは行くからね」

そういうやりとりが終わると控え室から出ていく音が聞こえ、気配が消える。

 

そっと、ノエルが顔を覗かせる。

するとクルルシファーが小さく手招きしていた。

 

「もう大丈夫よ。覗き魔さん」

制服を着直して、ソファーに座っていた。

 

「その……、ありがとなクルルシファー」

ノエルは礼を言いながら姿を現す。

 

「あんな土下座見せられてしまったらね。それとどうだったかしら、私の下着姿は?」

 

「見事だったろ? ああ、その……すごく綺麗だったぞ」

頬を人差し指でかきながら答える。

 

「そう……。素直に言われるとさすがに照れるわね」

さすがのクルルシファーもその答えには頬を染めていた。

 

「それじゃ、俺はそろそろ行くな」

まだ終了時間ではないはず。逃走を続けるためノエルは控え室から出ていこうとすると、

 

「争奪戦とかいうものは、さっき終了の鐘が鳴っていたようだけど?」

 

「えっ? そうなのか。逃げきれたか……」

 

「依頼書はちゃんと持ってる? 出してみなさい」

 

「それならちゃんとここに……」

そう言って、ノエルは制服のポケットから依頼書をだした。

 

「ちょっと見せて貰えるかしら?」

クルルシファーが手を出してきたので、ほらよ。と依頼書を渡した。

 

「あなたもまだまだ甘いわね」

 

「えっ―――?」

 

ノエルがそう呟いた瞬間、遠くの方で鐘の鳴る音が聞こえてくる。終了を告げる鐘の音だ。

 

「えっ!? 終わったはずじゃ……」

依頼書を持っているクルルシファーのほうを見る。

 

「だから言ったでしょ? まだまだ甘いって」

 

「しまったぁーーーーー!!」

ノエルは床に膝をつく。完全に騙されたのだった。

 

「これから一週間よろしくね、ノエル君?」

 

「……。わかったよ、よろしくなクルルシファー」

こうなっては仕方ない、そもそも引っかかった自分が悪かったのだ。そう言い聞かせて返事を返した。

 

「素直でいいわね。それじゃあ早速依頼なんだけれど――――――」

そう言って立ち上がると、ノエルのほうに近づいてきて胸元に手を置いてきた。

 

 

 

「これから一週間、私の恋人になって欲しいの」

 

 

 

「……。ん!? いまなんと?」

 

「だから、恋人になって欲しいのよ。私の」

 

「ええぇーーーーーー!?」

ノエルの声が響く。だけどその声を聞いたものはクルルシファーだけだった。

 

「よろしくね。ノエル君」

 

「あはは……。まじで?」

 

 

 

 

 

こうしてノエルの『恋人』のいる一週間が幕を開けたのだった――――――。

 





すっかり夏ですね……。

夏と言えば、山だ!海だ!AIRだ! ですよね?


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