古今東西、学校の怖いお話を。

不定期更新。皆様からの怖いお話募集中。

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前書き トイレから



12時の学校、校内。

ふふっ。でも昼の12時じゃないのよ。夜の12時。
こんな時間に人がいるなんてびっくりした?


私は誰かって?


私はルシファー。
女子トイレの3番目にいる事が多いわね。


え?トイレに出るのは花子さんじゃ無いかって?


そうね、そんな呼び名もあるわね。
まぁ好きに言ったらいいわ。「傲慢」なんて呼び名もあるしね。


でも「出る」なんて言い方は失礼よ。ゴキブリじゃないんだから。

文字だから見えにくいけど髪はふわふわで目も大きくて可愛いんだから。
短いスカートも似合ってるわよ。


え?じゃあ花子さんじゃないって?

まだ言ってるの。
人間て変にこだわるんだから。


そもそもトイレにいるのが花子さんだってそう言われるようになったのは最近なんだから、その内また呼び方も変わるんじゃない?



ふふ。でもトイレって面白いわね。
昼間は見えないように隠れてるけど他人の悪口を言う子、泣く子。色々いるわ。

お弁当を食べる子もいるらしいわね。私は見た事ないけど。


とにかく噂話には事欠かないんだから。

勿論・・・・・・・「怖い話」・・・・・・・・もね。


聞きたそうね。まぁ、興味ないって言っても話すけどね。

じゃあ今日は学校の友達じゃなくてあなたに話してあげる。

え?友達もいるのかって?


あなた質問ばかりね。

もちろんいるわよ。

気が向いたら紹介してあげるわ。


それよりも怖い話よね。


何が良いかな~。あ、鏡。枝毛ないよね~今日も可愛い私!

そうそう鏡って言えばね。


鏡の怪

「ねぇ、知ってる?」

 

音楽室の窓を開けながら祐子(ゆうこ)が話す。

 

「ん?」

 

美幸が楽譜から目を離さずに返事をする。

 

吹奏楽部の休憩中も彼女は自分のパートをチェックしている。

 

「真夜中の鏡」

 

窓から祐子が身を乗り出す。眼下には陸上部が走っている姿が映る。

 

「知ってる!自分の死に顔が写るってヤツでしょ」

 

美幸の代わりに話に乗ってきたのは亜矢子だ。

 

「そう、4時44分に4階の鏡をのぞくと自分の死に顔が写るんだって」

 

「高学年にもなってずいぶん子供っぽい話をするのね」

 

あきれながら美幸がようやく祐子の方を向いた。

 

「だいたい、そんなの見た人いるの?」

 

正論を突きつけられて祐子はだまってしまう。

 

「じゃあ、確かめてみればいいじゃん」

 

再び話を続けたのは矢張り亜矢子だ。

 

「勝手にどうぞ」

 

「私もやだな。おばあさんになった自分が写ったらやだもん」

 

話を持ち出した祐子も及び腰だ。

 

「あら、おばあさんとは限らないんじゃない?」

 

亜矢子がいたずらっぽく笑う。

 

「案外血まみれの自分が写ったりして」

 

悲鳴を上げる祐子とは対象に美幸はため息をつく。

 

「ねぇ、確かめて見ようよ」

 

その反応を見て亜矢子が提案をしてきた。

 

「えぇ、やだよ。美幸も一緒ならいいけど」

 

祐子が美幸の服を掴む。

 

「何で私もなのよ」

 

「だって美幸、鏡の話信じてないんでしょ。そういう人と一緒にいたら何も起きなさそうじゃ無い」

 

祐子はもはや話を信じたいのか信じたく無いのか分からない理屈を述べた。

 

「ね、やろうよ。さっそく今日さ」

 

時計を見ると昼の2時を指していた。

 

今日は土曜日。学校自体は休みだが部活の自主練習で3人は音楽室に来ていたのだ。

 

「そもそも4階の鏡って?」

 

「トイレので良いんじゃ無いあそこなら人来なさそうだし」

 

教室が無く音楽室や美術室など特別室がある4階は用も無い限り滅多に生徒は来ない。

休みともなれば尚更だ。

 

「ね。私達、今日美幸に付き合ってるんだし」

 

意味深に亜矢子が笑う。

 

「・・・・・私は2人の為に・・・・・」

 

そこまで言って美幸はため息をついた。

 

「・・・・そうね。その時間まで練習出来るしね」

 

あきらめた美幸はそう言うと2人に背を向けて楽譜に目を戻した。

 

 

その後ろで2人が笑い合っている事も知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

秋の夕暮れはつるべ落とし言われる程あっという間に日が落ちてしまう。

 

薄く明かりが差し込むトイレに3人はいた。

 

「電気つけないの?」

 

「だってその方が雰囲気でるじゃん」

 

鏡の前に立った美幸を祐子と亜矢子がはさむ形で立つ。

 

「そう言えば3人で写真に写ると真ん中の人が死ぬって言うよね」

 

思い出したように祐子が呟いた。

 

「ばかみたい。じゃあ真ん中の人はみんな死ぬの」

 

「まぁ、大丈夫じゃない」

 

食って掛かる美幸を亜矢子がなだめる。

 

「何も悪いことしていなければ、ね」

 

そうゆっくり言った亜矢子の言葉に美幸が体をこわばらせた。

 

「じゃあ、目をつぶって。ゆっくり10数えてから目を開けるのよ」

 

祐子が説明する。

 

ぴりりとした空気が3人の間に走る。何だかんだでもやはり3人とも怖いのだ。

 

 

「いくわよ」

 

祐子の合図で3人が目をつぶる。

 

ゆっくりと頭の中で数を数え始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひんやりとした空気が辺りに漂う。

 

その瞬間。

 

 

 

「きゃーーーーーーーーーー!!」

 

 

亜矢子の悲鳴がこだました。

 

 

「顔が!顔が!!」

 

亜矢子の悲痛な声に美幸が驚いて目を開ける。

 

 

 

そこには血まみれの自分が写っていた。

 

 

 

「そんな・・・・」

 

 

よろよろと美幸が後ずさる。

 

「祐子?亜矢子?」

 

慌てて2人の姿を確認するがトイレには誰もいない。

 

「ちょっと・・・・ふざけてないで出てきなさいよ」

 

 

そう叫ぶ美幸の声はふるえている。

 

まさか・・・・本当に自分の死に顔が写るなんて。

 

 

それも年老いていない自分が。

 

だとすれば死ぬのは。

 

 

「いやーーーー!」

 

顔を覆って美幸はトイレを飛び出す。

 

 

信じたくない、死にたくない。

 

 

無我夢中で廊下を走る。

 

誰か、助けて。

 

 

その瞬間ーーーー

 

世界が一転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんっといい気味よね。美幸」

 

朝練を抜け出して祐子と亜矢子は4階のトイレにいた。

 

「階段から落ちて骨折。全治3ヶ月・・・」

 

こらえきれずに亜矢子が笑う。

 

「せいせいしたわ」

 

祐子もつられてわらう。

 

「パートリーダーだからって、偉そうに。人の休みまでつぶして自主練習なんて何様のつもりよ。だけど祐子・・・」

 

そこで亜矢子がにやりと笑う。

 

「鏡を赤く塗るなんてやり過ぎじゃないの?おかげで後でふくの大変だったじゃん」

 

祐子が鼻で笑う。

 

「あんなので勘違いする美幸が悪いのよ。それに美幸もびびってたって事はやましい所があったってことでしょ」

 

「きゃあああ。私の顔がーー」

 

そう亜矢子が言うと2人は大笑いする。

 

「とにかくこれで次の休みは遊べるね。ねぇ何する」

 

「あたし買い物に行きたい」

 

笑いながらそう話す2人は気付かなかった。

 

祐子のしていた腕時計が7時16分を指していた事を。

 

 

そしてそれは鏡から見るとちょうど4時44分になる事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かわいそうにねぇ。まだ小さいのに」

 

「トラックが突っ込んで即死ですって?」

 

焼香の香りに混じって辺りからヒソヒソと話し声が漏れる。

 

「2人で道路を渡っていた時に」

 

「嫌ねぇ、居眠り運転なんて。いくら過労働だったからって」

 

どこからか大きな泣き声が響く。

 

話し声はそれに同情してか1人、1人と消えていった。

 

そして最後に誰かがぽつりと漏らした。

 

「死に顔は笑ってたそうよ。きっと死んだこともきづかなかったのかもね」




後書き トイレから


彼女達が鏡を見たから死んだのか、それとも最初から死ぬ運命だったのかは分からないわ。
まぁ、私にはどっちでもいいしね。

鏡は怖い話がいっぱいあるわよ、でも鏡は真実を映すとも言われてるわよ。


もしかしたら彼女達は自分の心の醜さを映してしまったのかもね。


ねぇ、鏡に映ってる私はどう見える?


じゃあ、今日はここまでね。


え?もっと聞きたい?

だ~め。美味しい物も怖い話も過ぎると毒よ。

もっとも、美味しい物と一緒でまた欲しくなるけどね。


ふふっ。大丈夫。私はしばらくここに居るから。またいらっしゃい。

気が向いたらまた話してあげるから。

してあげないかもだけど。

だって私はルシファー、傲慢だもの。ふふふ


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