洞窟から出られないレミリアを助けたのはアリスであり、その礼としてお茶をした。その後亜衣夢はアリスの魔法の練習相手となってしまった。
「はぁああ、疲れた・・・・・」
巨大な館の紅魔館こ廊下はそれにふさわしい長さである。しかし亜衣夢の口から漏れた言葉はその長い廊下全体に響くような声だった。
何故こんなにも疲れているのか。それは昨日強制的にアリスの試作人形の相手をしたからである。その攻撃力、速度、耐久性、どれも自分にとっては凄まじいものだったが何よりアレに合わせて複数の上海を操るアリスは本当に凄いと思った。
「アレのおかげで身体中バキバキだよ・・・結局能力は出なかったし。」
そうぼやきながら亜衣夢はしぶしぶ長い廊下の掃除を始めた。
◆
夜になり亜衣夢は仕事を終え晩食の時間にした。亜衣夢が夢中になって食事をしているとレミリアが話しかけてきた。
「亜衣夢、あなたにお願いがあるのだけど。」
「〜〜・・・・はい?何でございましょうか?」
口に溜め込んでいたものを即座に飲み込み、返事をした。あまりにも急いだせいか喉に食物が詰まっている感じがしたのでその場にあった水を飲み落ち着かせた。
レミリアはその光景を呆れた顔で見ていたので亜衣夢はコホンと咳払いをして気を取り直した。
「それで、お願いと言うのはなんですか?」
「フランを散歩に連れて行ってほしいのよ。」
「・・・・マジデスカ?」
「マジよ。」
レミリアの口から出た言葉は予想をしない言葉だった。まさかの散歩。しかし、亜衣夢は疑問に思った。いや、答えは既に出ているが念のために恐る恐る聞いた。
「なんで、自分なのですか?」
「何でってそれは、あんたが一番暇だからよ。」
―・・・・デスヨネ〜、わかってましたよ。咲夜さんはまとめ役、美鈴さんは門番、パチュリーさんは図書館管理。ごもっともですよ。ちくせう。...いや、暇じゃないよ!
「手な訳で食べ終わったらお願いね。今は庭で美鈴が相手しているわ。」
「了解です。」
―散歩か、まぁ息抜きにはちょうどいいかな?
ピコン (フラグ)
―ん?今なんか建った? まぁ、いいか。
このあと恐ろしい事になるだなんて亜衣夢は思いもしなかった。
◆
〜紅魔館庭園〜
夜の澄んだ空気と湖からくるヒヤリとした冷気が辺に漂う。その空気を身体中で感じながら歩いていると足元に妙に柔らかい感触がした。それと同時に変な鈍い声も聞こえてきた。
既に一度足元ではトラウマを持っている亜衣夢はその瞬間背筋に寒気が走り下を見ることができなかった。
―うわぁあ、嫌だわー下見たくねぇわー確認したくないわー。
そうも思いつつ顔をそのままで目線のみを下に向けるとそこには、横たわっていた美鈴の死―――
「死んでません!!」
「うおっ! ナレーション遮ってきた!? てか、美鈴さん?」
「あ、亜衣夢さん、やっと来てくれたのですね。」
「どうしたのですか、こんなとこで寝て。」
「いやぁ、妹様の相手をしていたら弾幕ごっこに持ってかれて、このざまですよ。」
「・・・・えぇ?」
すると向こうの草影に見覚えのあるキラキラ色鮮やかに光る宝石のようなものが横に並んでいた。まさかと思う暇もなくソレは亜衣夢に飛び交ってきた。
「やっと来たのね! 亜衣夢!!」
亜衣夢は思わず体に力を込めて衝撃に耐える体制を無意識のうちにとる。亜衣夢のとった行動は正解だった。いくら幼くても(精神と見た目が)吸血鬼は吸血鬼。数メートルあった距離は瞬きするうちにつめられ自分の腹部に激突してきた。
「ゲボバァ!」
亜衣夢はソレを抑えきることができず奇妙な声を上げて飛ばされ、そのまま地面に墜落した。あまりの衝撃で亜衣夢は一瞬意識が飛ぶが、すぐソレに起こされてしまった。
「お〜い、大丈夫?」
「だ、大丈夫・・です。妹様・・・・カフッ。」
フランドールは亜衣夢の頬をペチペチと叩いて来たので何とか正気を保つことができた。死にかけの体を死ぬ気で起こし、近くにあった木に寄りかかり体制を整えた。
「じゃあさ! 早くお散歩行こう!」
「えっ? いや少し休憩させ」
「レッツゴー!」
フランドールは亜衣夢の有無聞かず手を掴んだと思えば
先程と同じように物凄い速さで門を走り抜けた。亜衣夢はやはりその勢いに勝てず引っ張られ空を浮いてる状態であった。
「かんべんしてくださーーーい!」
◆〜少年輸送中〜
ここは湖周辺。そこから直接くる冷気はかなり冷ややかなものでブルッと震え上がるほどだった。今日の夜空は雲がほとんどなく月の光が美しく湖に映えている。
だが亜衣夢はそんなものを感じてる余裕などなかった。フランドールにいいように引っ張られ体はボロボロである。その前から突撃をくらい致命傷だったのが、今ので更に悪化したのだ。
それでも亜衣夢全力で平気を装った。
「うわぁー、ここ結構寒いわね!」
「・・・そ、そう、ですね・・・カフッ」
「あ! なんかいる!」
「な、なんか? 一体何・・・・」
亜衣夢の目に入ったのはまさに幻想だった。湖の上で誰かの人影が見え、踊っているのだ。その周りにはキラキラ光り輝く結晶が舞っておりさらにその結晶は月の光を反射し湖に映し出しより一層の美しさを表していた。
その現実離れした光景を目の当たりにし喋ることができなくなった。
「何かなあれ? もっと近くに行こう!」
「・・・・」
「・・・ねぇ、ねえってば!」
バチン!
「あべしぃ!」
「聞いてる?」
「あ、すみません、上の空でした。」
「もぉ~ちゃんと聞いてよ!」
「あ、はい、ごめんなさい・・・・」
「じゃあ早く行くわよ!」
「えっ? ま、待ってください!」
フランドールは亜衣夢の返事を聞くことなく湖の方へ走っていったので亜衣夢もそれに急いで続いた。
しかし亜衣夢は湖のすぐ近くに来てあることに気がついた。
―俺、どうやってあそこまで行くんだ・・・?
人影が見えるのは湖の真ん中辺。フランドールは飛ぶことが出来るので(あんな翼でどう飛ぶのか不明だが)そこまで飛んでいけるが、亜衣夢は飛ぶことなんて到底出来ない。
亜衣夢は水辺まで来て足を止めた。フランドールは既に飛んで行って完全に置いてけぼりにされてしまう。結局亜衣夢はフランドールと2つの人影のやり取りを眺めることしか出来なかった。
―あ~あ、何か妹様と誰かやってんなー。何喋ってんだろなー。あ、戯れ始めたよ。いいな~暇だな~。やべぇ、暇すぎで眠くなってきた・・・・
亜衣夢は知らぬうちにウトウトとしてしまい眠りに落ちてしまった。
と思ったその瞬間。
ヒュン
何かがすぐ耳元を通ったのと同時に目が覚める。その刹那カツンと甲高い音が後ろの方で鳴り響く。亜衣夢は錆びついた機械のようなぎこちない動きで後ろを向くと不思議なものがあった。
「こ、氷?」
それはとても鋭利なナイフのようであり、冷気を放っている、氷の刃であった。この刺さっている向きからとんできたのはフランドール達のいる方。後ろを振り返ると何と先程まで戯れていたはずが弾幕ごっこを開始していたのだ。
「・・・・何でぇ?」
止めるべきか止めぬべきか。しばらく迷っていたがあまりにもあの弾幕ごっこが綺麗だったので見学することにした。
―すげぇ、妹様じゃない方はめっちゃ弾幕出してる。でも、妹様はあれを軽く避けてる。どちらも、すげぇな。
そうして眺めているとついにフランドールが動いた。今まで避けるだけだったがそれに飽きたのか立場を一転し攻撃側に回ったのだ。おもむろに手を上にかざしたかと思えば2つの人影は一目散に逃げていった。
亜衣夢が唖然して見ているとフランドールの手が紅く光り始めたのだ。それは形を作っていき紅く、巨大な剣となった。
「まとめてくらえ〜!」
『レーヴァテイン!!!』
その声は亜衣夢のところまで聞こえるくらい大きな声であった。フランドールはその大剣を横に大きく振り人影を追撃し、見事撃墜に成功した。
ピチューン
それと同時に何か変な効果音も聞こえたが特に気にしないことにした。そして人影を倒して満足したのか円満な表情でこちらへ戻ってきた。亜衣夢にとってその笑顔は逆に恐怖をそそる笑顔となっていた。
「な、何をしてきたのですか・・・?」
「何って、倒してきたのよ。あいつ生意気だったから。」
「あ、あいつ?」
「氷の妖精よ。何か『あたいが一番強い』とか寝言言ってるから目を覚まさせたのよ。」
―いや、目が覚めるどころか永遠の眠りにつきませんでした?だけど飲み込んでおこうこの言葉。
「じゃ! お散歩の続きをしましょ!」
「えぇ!? あ、はい!」
◆
一方その頃、紅魔館では・・・・
「亜衣夢は大丈夫なのかしら・・・」
食堂にてレミリアとパチュリーが亜衣夢の帰りを待ちつつ紅茶を飲んでいた。しかし、予想していたとはいえ帰りが遅いものでパチュリーは心配の言葉を漏らした。
「大丈夫でしょ。パチェは気にしすぎよ。」
レミリアはやれやれという顔でそう言った。それを聞いたパチュリーは軽くため息をついてから紅茶を一口飲んだ。
「レミィは気にしなさすぎ。・・・・いくらなんでも、相手がフランなのよ?」
「大丈夫よ。亜衣夢の運命を操作したのだから。」
「えっ。」
「確かに運命を見れば亜衣夢が重傷、もしくは死ぬのもあったわ。でも無事帰還する運命も見えた。だから、大丈夫。」
「・・・そう、じゃあ信じてみるわね。」
「・・・・信じる必要は無くなったわ。」
「え?」
「来たのよ。亜衣夢とフランが。」
パチュリーが窓を覗き込むとレミリアの行ったとおりフランドールが門を通りここへ向かってきているのが見えた。パチュリーは生存を確認してまた席につき紅茶を一口飲む。
しばらくしてゆっくりとした足音が静寂の廊下に響き渡り聞こえてきた。それは徐々にこの部屋に近寄ってきて、扉の前で止まるとまるで忍び込むように扉をゆっくり開ける。
扉の先に立っていたのは完全に眠りに落ちているフランドールを背負った足取りのおぼつかない亜衣夢の姿だった。
「い、今・・・帰りました・・・」
「あらあら、随分とお疲れなようで。」
「そりゃ三時間もフランの散歩に付き合えばそうなるわよ。」
「さ、三時・・・間?」
「そうよ、出発が十時ちょっと過ぎで到着が一時弱。早く寝ることをお勧めするわ。フランは私が部屋に運んでおくから。」
亜衣夢は疲弊仕切って声すら出せず頭をやや下にし、部屋を出ていった。そして間もなくガン!だとかバン!という壁に激突する音が度々聞こえてきた。
◆
「ああぁぁぁあ、疲れが消えていくぅ〜。」
亜衣夢は寝る前に浴場へ行き湯に浸かっていた。ここの湯は不思議な色と香りだったが効能は抜群で疲れが湯に溶け出して行くようだった。
「はぁぁあ・・・・っ痛、何だ?」
亜衣夢は肩に鋭い痛みを感じた。よく見てみると肩には二つの小さな穴が開いていた。しかし不思議なことに傷口は新鮮なものなのに血が出ていない。
「いつの間に?・・・まあいいか。」
亜衣夢は最初は不審に思うが特に気にすることもなく風呂を上がった。
◆
紅魔館地下室では・・・
「・・・よいしょっと。・・・まったく、いくら吸血鬼でも所詮は子供ね(精神年齢が)」
パチュリーはフランドールを部屋まで運んでやりベッドの上に乗せた。スヤスヤと安らかな顔をして寝ているその姿を見ると、少し気分が和らぐが元を思い出し正気に戻る。
「やれやれ、こんなのが本当に吸血鬼なのかしら。」
パチュリーはひとつため息をついてフランドールを見る。すると、フランドールは不意に寝言を言い始めたのだ。
「ん〜・・・・不味い・・・・」
「・・・・? まあいいわ。それじゃお休み。」
そう言ってパチュリーはこの部屋を出ていった。フランドールはその後寝返りを打ってまた寝言を言い始めた。
「・・・・不味い・・・・・血・・・・あい・・・Zzz・・・」
...忘れてました。
「あぁ? なんだって?」
投稿!忘れてました!
「くたばれ!」
スンマセンした!
「お前なぁ...そんなんだから短編小説に抜かさ」
それを言うな!!!
やめてぇ!もう私のLifeはとっくに0よ!
「やかましい、ならもっといいこと書け。」
うぅ、今日の亜衣夢君は辛辣です...
「えー、こんな屑ですが一応頑張ってるのだと思われますのでこれからもほんとにどうぞよろしくお願いします<(_ _)>」