東方紅夢想〜Red・Dreams〜   作:漸々夢

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前回のあらすじ〜


紅魔館の掃除中にてここで働く妖精メイドのロイア、カミシャ、レイ、スィーフと出会い亜衣夢はこれらに巻き込まれてしまい、大変な目に合うのであった。


大図書館

一体何時間経ったのか。そこは日の光が入らず今の時刻がわからない。体感的に三時間半、だが実際はそれより長い、あるいは短いであろう。

 

ジメジメとして埃やカビの臭いが所々からし呼吸のたび軽くむせる。こんな心も身体も悪くなりそうな場所に図書館はあった。

 

 

「亜衣夢さ〜ん、そちらの方は終わりましたか~?」

 

「いえ、まだでーす、こあさーん。」

 

「そうですか〜、では引き続き頑張って下さい。」

 

「はーい。」

 

 

亜衣夢はパチュリーの頼みで彼女自身が管理している大図書館の本の整理をしている。その広さは予想を上回る程であり、やっと7割の整理が終わったところである。

 

しかも人数は亜衣夢と『こあ』の2人だけである。こあというのはパチュリーの使い魔であり本名は無く小悪魔という総称で呼ばれ皆からはこあと呼ばれている。

 

 

「くっそ……なんでここはどこもかしこもだだっ広いんだよ……辛いわ。」

 

 

亜衣夢は大量の本を抱えながらそんな愚痴を静かにこぼす。その後すぐハッとし今の発言が聞かれていないか確認した。周りに誰もいないのがわかりホッとする。

 

 

「てかさぁ、こんな紅魔館が広いだけの話書いてたらそろそろスマホの前の人も飽き」

 

ナレーター→(つ´∀`)≡つ)´Д`):∵←亜衣夢

 

……失礼、

 

しかし束の間。本棚の横から小悪魔がのぞき込むように出てきて亜衣夢は驚いたあまり本を落としてしまった。

 

 

「わわっ、大丈夫ですか?」

 

「ははははい、大丈夫ですす。」

 

 

ぎこちない返事を返したせいで何か怪しまれた目をされた。だが小悪魔はさほど気にすることもなくまた仕事に戻っていった。

 

 

「いつになったら終わるのやら……ん? なんだこの本?」

 

 

片付けをしているとなにやら不思議な本があった。そこらにある本とは何かが違う。オーラというのがかんじられ、妙なちからがあるように思えた。

何かと思い亜衣夢は小悪魔を呼び聞いてみた。ところがここに長くいるはずの小悪魔でさえわからないという。

 

 

「パチュリー様ー? なにやら見かけない本がありましたのですがー。」

 

 

小悪魔がそう言うと奥のほうからゆっくりとした足取りでパチュリーが来た。足取りこそ遅いがその目は今まで見た中でも活き活きとしており余程の代物なのか。そう思えるほどだった。

 

 

「で、どれなの? その本は。」

 

「はい、これなのですが。」

 

 

小悪魔が本を渡す。パチュリーは手にとった瞬間本を開き読み始めた。見た感じではさっと見てさっとページをめくるというものであり、500ページあるであろう本を一分で読み終えた。

 

 

「……なるほどね、これは『スペルブック』のようなものね。」

 

「スペルブック? なんですかそれ?」

 

「魔力を得た本よ。本来は召喚や魔法を使うときに使用するものだけど、これはちょっと変わってるようね。」

 

「と、いいますと?」

 

「これは多少意思を持ってきている。付喪神になりかけているのよ。その証拠に、私から逃げようと少しだけ抵抗してるのよ。」

 

「パチュリー様、それどうするのですか?」

 

「んー、このままだと私達の魔力を糧に成長して邪魔になるから、今消すかしら。」

 

「け、消す!?」

 

「そう、消す。」

 

「でも、命があるのでは?」

 

「微々たるものよ。まだ考えることも出来ないから恐怖は無いはず。ただ、何かが来たとかそれぐらいしか思えないわ。」

 

「………」

 

 

亜衣夢は心の中に何か靄のような感情が芽生える。無造作に消される命。それに強い嫌悪感を抱く。その感情が伝わってしまったのか、パチュリーは少しため息をついた問いかけてきた。

 

 

「なら、あなたはどうしたいの?」

 

「え?」

 

「この魔本は私達の魔力を吸収して成長する。今はあれだけど大きくなって力をつければ意思もハッキリしてくる。そうなればどうなるか分からないわ。」

 

「………」

 

「…気持ちはわかるけど、何か起こってからじゃ遅いのよ。」

 

「…じゃあ、ください。」

 

「えっ?」

 

「俺に、その本をください!」

 

 

その発言で辺りは静まった。小悪魔とパチュリーはあぜんとして驚きの表情すら出てこなかった。

 

 

「…正気?」

 

「はい。」

 

「あなたがもらってどうするつもりなの?」

 

 

それはもっともな意見だった。このまま育て上げれば、どうなるかわからない。が、亜衣夢は納得できなかった。何もしてないのに消されるのが、認められなかった。

 

 

「こいつ、魔力で育つのですよね? なら、魔力の無い俺が持てば、大丈夫ですよ。」

 

「あのねぇ、無理。魔力がないなら違う力を吸収するのよ。魔力の無いあなたは霊力を取られる。取られすぎれば死ぬのよ?」

 

「……」

 

「パ、パチュリー様少しいいですか?」

 

「何?」

 

「あの、別に渡してもいいのでは?」

 

「あなたまで…どうなるかわかってるの?」

 

「はい、ですがあくまで可能性の問題で本当になるかわからないじゃないですか。」

 

「……あ~はいはい、わかったわ。」

 

 

パチュリーは深いため息をつきそう言った。その表情はもう駄目だなと諦めたものだった。パチュリーは苦い表情をしながら話を続ける。

 

 

「なら亜衣夢、あなたはやるべきことができたわ。」

 

「え?」

 

「この本を、屈服させなさい。」

 

「…はい?」

 

 

あまりに突然のことで意味が理解できなかった。本を屈服させる。人はそれを聞いてどう思うかなど、言わずもがな。である。

 

 

「意思があるなら確実にこちらに反抗もする。なら、その芽を今のうちに潰すのよ。」

 

「ですが、どうやってですか? 火でも近づけて脅すのですか?」

 

「魔本にそういった物理的なことは効かないわ。だから、魔本の中に入って倒してやればいいのよ。」

 

「中に入る…?」 

 

「そう、正確には精神の中、ね。転送魔法というのがあって自分の体を一度原子レベルまで分解、そして今度は――」

「まぁまぁ、そんな話はいいとしまして。早速亜衣夢さんを移動させましょうよ。」

 

「……そうね、でもこれは亜衣夢あなた一人でやるしかないのだからね。本は全力を持って対抗してくるわ。…覚悟、できてる?」

 

「……っ。」

 

 

亜衣夢は少し怖気づく。それも仕方ない、一人で得たいのしれないのと戦わなくてはならないのだから。だが亜衣夢はそんな迷いをすぐさま捨て去り強く、言った。

 

 

「…出来てます。」

 

 

この一言でパチュリーは納得したのか本を手に持った。そして何やら呪文を唱えたかと思うと亜衣夢の足元に魔法陣が出てきた。と思えばすぐさま転送がはじまった。

 

 

「ちょっ、まだ覚悟はできてもここ―」

 

 

魔法陣は亜衣夢の言葉を遮って飲み込んでいった。飲み込み終わると魔法陣は徐々に小さくなり、静かに消えていった。残されたパチュリーと小悪魔は亜衣夢のいるであろう本を心配した顔で見ていた。

 

 

 

 

 

 

〜魔本の精神内〜

 

 

「……ここが、本の、精神、内……」

 

 

そこは何もない、真っ白な世界が広がっていた。きっと魔本の精神が未熟ゆえ、この世界となったのだろう。

歩いて見るが世界は変わらなく本当に歩いているのか疑うほどだった。

 

しばらくすると、純白の世界に黒い物体が浮かんでいるのが見えた。それは何か負のオーラを纏っているのがわかり、本の正体と亜衣夢は理解した。

 

 

「…………」

 

「…これが、魔本?」

 

「………!」

 

 

魔本は亜衣夢の姿に気が付くやいなやすぐさま襲いかかった。魔本の攻撃が亜衣夢に向くと世界が崩れ落ちるように一変した。純白の世界からあの大図書館へと移り変わり亜衣夢はあまりに突然のことで判断が追いつかなかった。

 

そんな亜衣夢にも魔本は容赦なく攻撃を仕掛ける。本が開き始めたと思うとそこから直径50センチぐらいの火球を二発放ったのだ。とっさの判断でギリギリかわすことはできたが、後ろの方で爆発が起きたのを聞きゾットする。

 

「………!!」

 

「くっそ! まだ撃って来んのかよ!」

 

 

魔本が再度火球を撃とうとしたので亜衣夢は急ぎ背後にある大量の本棚の裏へと逃げていった。魔本も逃がすまいと放つが亜衣夢の方が早く回避に成功した。さらに奥へ奥へと逃げ、魔本は見失ってしまう。

 

 

「……!? ……」

 

 

魔本はその場に留まり本をたたみ浮遊していた。まるでその様子は亜衣夢の登場を待っているかのようだった。

 

 

 

◆ 

 

 

 

「……さて、逃げたはいいがどうするか。」

 

 

出来る限り逃げてきて本棚の影に隠れているが、反撃のしようが見つからない。敵は魔本、『スペルブック』。魔法はもちろん、そのうち何かを召喚してくるであろう。 

 

それにも関わらずこちらは丸腰で武器は何もない。弾幕は未だに撃てず能力もあてにならず。まさに絶望。人間一人がどうこうできるものではなかった。それを思い知らされる状況であった。

 

 

「くっそ…いや、考えろ。ここは図書館の中。パチュリー様やコアさんは何故かいないがあの真っ白な世界とは違って色々物がある。」

 

 

本棚の影からちらりと魔本の姿を確認する。どういうことか魔本は先程の場から動こうとしなかったのだ。疑問に思ったが今はそれを考えている暇はない。

 

体を元の位置に戻そうとすると肩が本棚に当たってしまいバサバサと本が落ちてきてしまった。亜衣夢は焦って戻そうとすると過って踏んでしまいその上破ってしまった。

 

 

「…! まじかぁ…」

 

 

それを拾おうとすると亜衣夢の手がほのかに光り始めたのだ。亜衣夢は一瞬驚いたがもしやと思い破れた本に触れると破片同士がくっつきあって元のものに戻ったのだ。

 

 

「…! こ、ここで…出来たのか!?」

 

 

亜衣夢はもう一度試しに本を取り出し破いてみて意識して触れる。すると、また同じように直ったのだ。確信した、ついに能力をこの土壇場ではっきできたのだ。すると、能力が出てきたついでに魔本を倒す手が浮かんだ。

 

 

「……うまくいけば、勝てるかも…」

 

 

僅かな期待と大きな不安を胸に、亜衣夢は早速仕掛けにでた。

 

 

 

 

 

 

□ここは、どこだ? なんだ? 

 

 

生まれた時はぎゅうぎゅうに敷き詰められたところにいた。自分を押しつぶすように寄ってくるモノに問いかけるが返事は来ない。  

 

 

□何だ? こいつら、口が聞けないのか? くっ、なんとか、抜け出せ…

 

 

バサッ! 

 

 

□いてて…なんとか出れた。 …ん? 動けない…? 何でだ? まあいいや。後で考えよう。…お? 誰か、来た?

 

 

「…あら? 本が落ちてるわね。」

 

 

□…なんだこの小娘。へんな格好だな、紫で部屋でも帽子を被って。おい、俺を外に出せ。…いや、待ってください元に戻さないでごめんなさい私が言い過ぎましただから―――

 

 

ボスッ

 

 

□ちきしょぉぉおおおお!!

 

 

「なんで落ちてるのかしら…小悪魔、見落としたわね。まったく。」

 

 

□…ちくしょう、出鼻くじかれたぜ。あいつ、許さん。なんかあいつの近くにいると力が沸くから、何とかして、反撃してやる!

 

 

〜3日後

 

 

□…よし、今日はへんな男が来るらしいな。そいつをのっとって、やつを倒す!!

 

 

「消す。」

 

 

□…へ?

 

 

「邪魔になるし。」

 

「でも、命があるのでは...」

 

□そ、そうだそうだ!俺だって生きてるんだぞ!

 

「微々たるものよ。考えることも出来ていないはずよ。」

 

□一寸の虫にも五分の魂!微々たるってなに!?しかも俺は今立派に考えてます!くそぅ...やっべ。死ぬ。復讐の前に死ぬ。どうしよどうしようとどうし

「俺が、もらいます…」

 

 

□…んん? なんて? もらう? まじで?Foー!こいついいやつ! のっとるとかいってごめんまじ!

 

 

「霊力を取られすぎれば死ぬのよ?」

 

「……」

 

 

□おぉい! そこ黙るなよ!反論して!

 

 

「なら、本を屈服させなさい。」

 

 

□んん?

 

 

「ちょっ、まだ心の準備がー」

 

 

□……あ、なんか来た。よし、なら俺はそれ相応の対応でやつを倒す!!さぁ、来い!!

 

 

 

 

 

 

□………と、思ったのだが、全然来ねぇ。先手必勝かけたが一目散に逃げおった。…しゃあねぇ、奴が来るまで待つとしよう。これぞ男気(?)!

 

 

魔本がそう思い待ち続けていると、ついに亜衣夢の姿が見えた。時間にして亜衣夢が隠れた時から三十分は経っていた。

 

 

「ふぅぅう…よう、またせたな。魔本…」

 

 

□ついに来たな…えーと…なんだっけか…………男!!!

 

 

「覚悟しろ…今からお前を……」

□観念せい…これで貴様を……

 

 

 

『屈服させる!!』




「いやったぁぁぁ!」

ど、どうしたのですか!?亜衣夢氏よ!

「だってよ!ついに!能力がFOー!!」

-このままどこかへ走り去っていった。

......えぇ...と...は、はい。こんなのでありますがどうぞよろしくお願いします。本当に...
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