図書館の清掃をしていた亜衣夢。その時不思議な本を見つけパチュリーに聞くと魔本と呼ばれるスペルブックの一種であった。亜衣夢はそれを屈服するため本の精神内へと向かったのだった。
『屈服させる!!』
「おらぁぁ!」
先手をうったのは亜衣夢の方だった。真っ直ぐに魔本へと向かっていきチャンスを掴もうとする。魔本は亜衣夢が来るのと同時に赤い魔法陣を浮かび上がらせそこから火球を何発も放つ。
―勝負は、ここで決める!
亜衣夢はポッケに隠し持っていた本の破片を幾つか取り出す。ここで、亜衣夢は先程の土壇場で出来た能力を発動させる。
『モノを回復させる程度の能力!』
能力発動と同時に手に持っていた破片が光だし、何処からか本が飛んでくる。亜衣夢が破片を手放すと飛んできた本と合体し、元の状態へ戻った。それらは丁度いい感じに火球を防ぐ盾となったのだ。
□何ぃ!? あいつ、こんなことができたのか!?
「あっちぃ! …ふっ、どうだ? 俺の能力はまだまだ続くぜ!」
□くそ! 負けてられるか!
魔本は次に青い魔法陣を出す。亜衣夢はそれを見て一度引こうとしたが少し遅かった。魔法陣からはすでに魔法が出ていたのだ。その魔法は先程の火球とは違って澄みきった青色をした球体だった。
亜衣夢が同じように本を盾にして防ぐと、ソレは着弾と同時に水しぶきを上げながら弾け飛んだ。顔にかかる液体で判断した。
「これは…み、水か! あいつ、火以外も使えんのかよ!」
□ふふふ、驚いてるな。だが、これで終わりでない!もう一つ、魅せてやる!
今度は黄色の魔法陣をだす。亜衣夢はそれを見て、次こそはやばいと確信した。その魔法陣からはすでにバチバチと静電気が音をたてていたのだ。
□喰らえ!
黄色の魔法陣からは亜衣夢の予想通り電撃の魔法が発動された。その電撃は放射状に広がっていき途中にあった水により濡れた本に当たると一瞬にして黒焦げなった。
「やっべぇ! あの水、ただの水じゃねぇ!」
亜衣夢はソレを間近で見てさらに恐怖する。電撃はその本のところでちょうどきれてしまっていたので亜衣夢に当たることはなかった。
しかし、それでも脅威なのは変わりない。どれも当たれば致命傷レベルの魔法。一つでも当たってしまえば終わり。それが亜衣夢の足をすくませる原因となった。
「く……。」
□ふふふ、どうだ! 貴様と俺とでは雲泥の差であろう! どんなに本の盾を作ろうと俺の魔法の前では無意味よ!
明らかに不利な状況。普通ならここで白旗でも上げて降参するだろう。しかし亜衣夢は違った。目にはまだ力がある。まだ、この形勢を一人で逆転させる手があるのだ。
―もう少し、もう少しなんだ…あと、あいつが少し…
□ん? もう終わりなのか? なら仕方ない、これで終わらせてやるよ!
魔本はとどめを刺そうと赤い魔法陣を出す。ただの魔法陣ではない、今までよりも巨大であり確実に亜衣夢を殺しにかかったものだった。だが亜衣夢にとってそれは最大の好機でもあった。
□ふふふ、これなら避けれまい。さっきのように本でガードするがよい。全く無意味だがな!!
「………おい。」
□ん?
「そんなにでかいんだったら、火の玉出すまでの時間も長いんだろ?」
亜衣夢は魔本を舐めたような口調で尚且つ挑発するように言った。魔本はだから何だというように無視して準備を進めた。魔法陣からは陽炎が発生しており確実に火力の違いを目指できる。
それなのにも関わらず亜衣夢の顔には恐怖を感じられなかった。逆に、勝ち誇った顔であった。
□おのれ…だが、なにができる? 貴様のそんな余裕ももうこれで終わりだ。これを喰らえば灰すら残らん。…チャージ完了。
魔法陣から巨大な火球が溢れるように一部を見せる。その一部分の大きさですでに亜衣夢と同じぐらいであった。熱さも比例した大きさで亜衣夢はあまりの熱さで体をそむける。
□いくぞ!
「…この時を、待っていたぜ。」
□!?
亜衣夢はポッケに入っていた木の破片を取り出し魔本に見せつける。破片を持っていたその手には切り傷がいくつかあったのを魔本は確認した。
「これを手に入れるの大変だったんだよ、まさに骨が折れるような作業だった。で、これなんだか分かるか?」
亜衣夢は挑発するように見せびらかすが魔本には訳がわからなかった。ソレが解ったのか亜衣夢は完全なるゲス顔で答えた。
「これは本棚の一部だよ。」
□………あ
ここで魔本は全てを理解した。今から亜衣夢が何をするのかも。後ろからは何かを砕くような音が響いており、恐る恐る後ろを向く。
メキメキィ…バキィ!!
眼中に迫ってきたのは魔本が発射しようとした火球と同じぐらい巨大な本棚であった。ソレは亜衣夢の手元の木の破片に向かって恐ろしい速度で迫ってきたのだ。
□何ぃ!?こ、こんな本棚ぐらい、破壊してやる!
魔本はやむを得ず溜めに溜めた火球を急遽本棚に向けて放つ。火球が本棚と接触すると普通なら本棚の方が爆発し破壊されるはずだった。しかし、現実は違い火球が弾かれるように四散した。
恐らく唖然としている魔本に向けて亜衣夢が勝ち誇った口調で淡々と言い放つ。
「お前が最初に撃った火の玉、あれ本棚に当たってたんだけどよ、本棚がほぼ無傷だったんだよ。多分パチュリー様辺りが何か仕掛けをしていて、だから今もお前は壊せなかったんだ。」
□ちょっと待ってくださいやめて許してください。
「悪いな。だけど、勝負だし…ね?」
□いや待ってほんとに慈悲をください慈悲を――
「じゃあの(^^)/」
亜衣夢は手に持っていた破片を手放し一目散に逃げ出した。魔本はその場から動くことができず迫りくる本棚にぶち当たってしまう。図書館中に激しい衝突音と本の崩れ落ちる音が響き渡る。
しばらく静寂が続き完全に魔本の動きが止まったことを確認すると、吊られていた糸を切られたように亜衣夢は脱力して倒れ込んでしまう。
「………か、勝てたぁ……」
まさかここまで上手くいくとは思いもしなかった。全ては運任せであり、もしも能力が発動しなかったら…と考えると亜衣夢のノミの心臓が痛くなる。
そうしていると周りの景色がどんどん剥がれ落ちるように変わっていく。それと同時に亜衣夢は徐々に意識を失っていった。
「よし…これで終わった…な……」
◆
「モンサンミッシェル!?……………あれ?」
亜衣夢は謎の奇声を上げて意識を取り戻し起き上がった。その奇声は近くにいたパチュリーと小悪魔を非常に驚かせるものだった。
「び、ビックリした…」
「亜衣夢、起きたのね。目を覚ましたということは、倒したのね。」
「はい、やってやりましたよ。」
「……そう。よかった。」
二人は安心した表情で亜衣夢を見ていた。亜衣夢は自分が眠っていた間に何か起きたのかを聞いてみると驚きの物事が起きていた。
まず一つは本棚が揺れたり、本が大量に落ちてきたりなど魔本の精神内と同じようなことが起きていた。その証拠に辺りが本で散らかっているのがわかり、さらにへこんでいる所も多々見られた。
「そういや、なんで魔本の攻撃は効かなかったんだろう。」
「? なんの事?」
「実は…魔本が火の玉とか水の玉とか雷とか、いろいろな魔法?を使ってきまして。その時魔法が本棚に当たったのですが本棚はほぼ無傷でして…何でですか?」
「ここ一帯の物には『対魔力防壁』という魔法をかけたのよ。」
「対魔力…防壁?」
「そう、要は名前の通り魔法に対するコーティングをかけたのよ。そんじょそこらの魔法程度なら逆に跳ね返すこともできるのよ。」
「だから、あの時守れたのか…」
「…? まぁ魔本の精神内で何があったかはよく知らないけど私の魔法に傷つけるのだから、相当な威力のようね。あなたにかすったとしても、生きていられたかしらね?」
―ナニソレコワイ
「そ、それよりも何故そんなものをつけたのですか?」
「…前家に魔理沙が来たでしょう。」
「来ましたねぇ。」
「あいつは堂々と魔法を使ってこの紅魔館の壁に穴を開け前々から目をつけていた本を素早くてにとりまた魔法を利用して帰る。」
この発言で確信した。対魔力防壁は、あの魔理沙をここに入れない、そして閉じ込めて仕留めるためのものだったと。運良くそれが対魔本戦で使えたのは幸いだったがなにか複雑な気分であった。
パチュリーは相当な恨みがあったのか笑っていたが目が完全に死者の目であり亜衣夢は恐怖に染まった。それに気づいたパチュリーはコホンと咳払いをして話を変えた。
「とりあえずは、お疲れ様ね。魔本は私が見ておくから明日来なさい。話はそこからよ。」
「えっ? てことは今は…」
「もう夜よ。大丈夫、仕事に関しては咲夜に伝えたし、代わりに小悪魔に行かせたから。」
「はいぃ?」
「亜衣夢さん…いつも御苦労様です…」
「ご、ごめんなさい! 自分の仕事をやらせてしまって!」
「いえ、いいんですよ…」
「じゃ、二人ともお休み。」
『お休みなさぁ〜い…』
亜衣夢と小悪魔は疲弊仕切った状態で自室へ向かっていった。二人共床に着くとともに溶けるように眠ってしまった。
◆
……今日は何用ですか? えーと…紫さん?
「あらあら? 私がいない間に成長したわね。」
えぇ、おかげさまで。
「今日はあなたに説明したいと思ったのよ。」
説明? 何のですか?
「スペルブックよ。」
!?
「あの本は他のと違い自我がかなりハッキリしていたのよ。だから、扱いを間違えれば屈服させたとはいえ、何かはしてくるわよ。そうならないため、今から教えることをちゃんと覚えてね。」
な、なるほど…
「まずスペルブックというのは魔法や召喚を手助けするものであってそれがあると魔力の消費も少なくなる。けれどあのスペルブックは自らが魔法を唱えているのよ。」
それは自我があるからですか?
「いえ、恐らくもともと本に備わってあった魔力が多かったのよ。それに合わせてパチュリーと小悪魔の魔力を吸収。そうして成長したと思うわ。」
そうだったのですか…
「だけど、それはあなたにとっては都合がいいと思うわ。」
えっ? 何でですか?
「あなたがスペルブックを使えば、魔力を使わずにして魔法を唱えられるわ。」
!?
「魔法を唱えるには術者自身の魔力を糧にしなくてはならない。けれどもスペルブックが魔力を持っているから詠唱さえできればあなたもできるわ。」
ほ、本当なのですか…?
「ええ。そのために使い方を今から教えるわ。」
…お、お願いします!
「まずは、読みなさい。」
………え?
「スペルブックを知りなさい。あれも一応本よ。なら読んでどういうものなのか理解しなさい。そうすれば自然とわかってくるから。」
そういうものなのですか…?
「そういうものよ。根気よくね。じゃぁ、また会いましょう。」
ま、また突然のわか―
◆
□…………おい。
―ん…んん?
□……おい、そろそろ起きろ。
―なんだぁ…声が…頭に…響く…
□仕事、行かなくていいのか?
―…仕事…?…………!?
亜衣夢は跳びはねるようにして起き上がった。頭の中に最悪の予感がよぎる。時計を慌ててみると、針は午前三時を指していた。
「…おいクソ本。」
□ん? 何だ行かんのか?
「まだ…仕事の二時間前じゃねえか!!!」
亜衣夢は魔本を力任せに掴み取り大きく振りかぶってベッドのシートに投げつけた。魔本は抵抗することも出来ず叩き付けられてしまった。
□き、貴様…カフッ
「てか、何で話せんだこいつ…眠たすぎて気付かんかったわ。」
□ん? そんなに不思議か?
「本が喋ってんだぞ?不思議っていうか不気味だわ。」
□おっ? うまいこと言うねぇ~
―うっぜぇぇ……
□で? どうするんだ? 寝直すか?
「どこぞのアホのせいで目覚めだから気晴らしに散歩でもしてくるよ…」
亜衣夢はまだ覚めきってない目をなんとか開けベッドから起き上がるとあることに気づく。何故、魔本がここにいるのか。
バッと振り向き魔本を掴み、問いただす。
「お前…確かパチュリー様のとこにいたはずだよなぁ…なんでここにいんだよ…」
□なんだ今更。もちろん逃げてきたに決まってんだろ。
「に、逃げてきた!? おいおい…」
□まぁ、バレなきゃいいんだよ。
「そういう問題じゃねぇんだよ…てかお前、どうやって話してんだよ。さっきから頭痛いんだけど。」
□ん? そりゃもちろん直接脳内に話しかけてんだよ。だからお前はさっきから独り言を言ってるようにしか思われない。
「……」
亜衣夢は振り返って後ろを見る。ドアは開いておりそこには何とも言えない目をした咲夜がいて目が合ってしまった。
咲夜は何事もなかったかのように振る舞いそそくさとその場を立ち去った。
「……おいカス本。」
□ん? なんだ? ……あれなんかデジャb
「てめぇのせいでまた誤解解くはめになったじゃねぇかぁ!!!」
□ぎにゃゃああああ!!?
◆
〜場所は八雲家にて…
「…紫様、亜衣夢様の様子はどうでしたか?」
「えぇ…今はまだ大丈夫よ。でも、着々と進行しているわ。」
「なかなか進行が遅れているのですね。何故?」
「恐らく、レミリアの運命操作が無意識に発動して変えているのかも知れないわ。」
「そうなのですか…?」
「あくまで予想。今はまだ大丈夫よ。でも一つ気がかりがあるのよね…」
「気がかり…ですか?」
「亜衣夢の身体能力が上昇している傾向にあるのよ。吸血鬼の身体能力が備わって来てるのよ。」
「………」
「でもまぁ、しばらくは様子見ね。」
紫は隙間を作り藍と共にその中へ消えていった。残ったのはまだ寝ている橙の姿のみだった。
「んん…藍様ぁ……」
...ふぅ。
「どうした?」
実は.....いや、やっぱり言わないでおく。
「は?」
だってさ、『亜衣夢のやろぅ!無駄に強くなりやがって!まじ腹立つ!死ね!〇〇〇〇!』...なんて言えないじゃん(´^∀^`)
「...おう、そうだな。とりあえず...死ね!!」
おんおんおん?来んのか?来いよ亜衣夢!武器なんか捨ててかかって来いよ!
「野郎☆オブ☆クラッシャー!」
貴様と俺とでは!天と地ほどの力のs
「本棚アタック。」
ゴフッ(^q^)
ナレーター「...いつもの御二方が乱戦中にて、私が代わりに。ここまで見てくださりありがとうございました。これからも投稿期間をしっかり守り善処致しより良いものを作っていきますので、どうぞよろしくお願い致します。」