魔本と戦い見事打ち勝った亜衣夢。亜衣夢は能力を扱えるようにもなり魔本を従えることも出来た。しかし、まだ亜衣夢は己の身体が蝕まれていることに気づいていなかった。
「亜衣夢はいるかしら?」
いきなり亜衣夢の自室に入ってきたのはモップとバケツを手に持っていた咲夜だった。突然の訪問に亜衣夢は驚きを隠しきれなかった。というか、ノックすらされ図いきなり開けられてしまえば誰でも驚くだろう。
「どうかしたのですか?」
「ちょっと人里に行ってもらいたいのよね。色々必要なものがあって...」
「あ、いいですよ行きますよ。」
「いいの?じゃあこの紙に用件を書いておいたから。お願いね。」
「了解しました〜」
「あ、言い忘れていたけど。もう一人いるから、宜しくね。」
「......はい?」
咲夜はそれを言い残してすぐにその場から立ち去った。その後ろ姿には何か違和感を感じ、亜衣夢の頭を過ぎるのはとある人物。今までのパターンではまともな者は来るはずない。
「い、嫌な予感しかしない...」
きっと気のせい。そう信じて亜衣夢は恐る恐る玄関へと向かって言った。しかし、亜衣夢の嫌な予感はバッチリ当たっていたのだ。玄関を出て門の方へ行くと人影が二つ。
一つは門番である美鈴。これはいて当たり前だが、もう一つは見覚えのある姿だったのだ。メイド服で羽が生えていて青髪。そう、彼女だったのだ。
「ス、スィーフ...さん?」
「あ!亜衣夢さんやっと来ました!待ってたんですよ!」
「ん...?誰?」
「亜衣夢さんですよ!覚えてないのですか?」
「あー...いたね。そんなの。」
「そ、そんなのって...いや、そこはいいです。美鈴さん、この人ですか?俺と一緒に行くって人は...」
「そうなりますね...」
美鈴は申し訳なさそうにそう言った。おおよそこちらの心中を察したのだろう。それもそのはず。このスィーフこと『スィーフ・トリノイア』。彼女はこの紅魔館でも随一の天然であるのだから。
...いや、天然と言うよりは『何も考えていない』の方が正しいだろう。それぐらいのものであるのが人里へ行く。不安しか出てこないだろう。
「お嬢様は一体何を考えているのですか...」
美鈴は深く息を吐いてそう言う。レミリアの考えることは希に斜め上であることがあり、咲夜でさえ翻弄されてしまう始末なのだから。
それでも命令となれば従うしかない。主従関係とはこういうものである。
「...とりあえず、行ってきますね。」
「亜衣夢さん、達者で...」
「ん?行くの?」
「そうですよ、行きますよ。」
「んー。」
-なんだろう...子どもかご老人を相手にしてるみたいだ...
そんな感情を抱いて亜衣夢は人里へ旅立った。その時誰もが2人を心配した。本当に、帰ってこれるのかを......
◇
「.........はい、予想通りですよ!!」
亜衣夢は叫んだ。紅魔館を出てから早30分、まだ人里までの道程で半分も行っていない。亜衣夢が先日行った時はもう人里に着いて寺子屋の子達と話していただろう。
しかしどうだ。まだ半分も辿り着けて無い。スィーフがこれほどに手強い相手なんて亜衣夢は思いもしなかった。
「スィーフさん!いちいち寄り道しないでください!帰るとき真っ暗になりますよ!」
「あー...それは困るね。」
「そうでしょう、なら早く行きますよ。」
「うん...あ、チョウチョ。」
「言ってるそばから!?」
亜衣夢はマッハ(あくまで気持ち)でスィーフを捕まえる。そしてスィーフの手首をがっちり掴み移動の主導権を握る。こうでもしなければ、帰るのは次の日になるからだ。
「...なんで手首を掴むの?」
「それは、これ以上どこかに行かせないためですよ!」
「ふーん...」
...Dーt(ボソッ)
「何か言いましたか!?」
「んー?」
「すっとぼけおって...」
「あ、そうだ。えーと...王蟲?」
「『亜衣夢』!です!それは何処かのダンゴムシでしょうが!...それで、何ですか?」
「今からどこに行くんだっけ?」
「...」
亜衣夢は今一度大きく深呼吸をして心を落ち着かせる。2回ほど深呼吸をして、高らかに叫んだ。
「くっそめんどくせぇぇぇ!!!!!」
◇
一方そのころ紅魔館では...
「亜衣夢は大丈夫でしょうか...」
咲夜は窓の外を見てそう言う。心配するのも無理は無いであろう。相手が相手であるのだから。それを聞いたレミリアは飲んでいる途中の紅茶を口から離して一言言った。
「大丈夫でしょ。」
「よくとまぁ堂々と言えるわね。相手はスィーフよ?」
「そうですよお嬢様。亜衣夢さん過労死しますよ?」
皆がそう言ってる中、レミリアは全く動じること無く話を聞いていた。まるでこの後の結末を既に知っているかのように、動じることが無かった。
その様子を見た咲夜とパチュリーは諦めが着いたのかハァッと息を短く吐きしぶしぶ咲夜は仕事に、パチュリーは図書館に戻った。
「ふふ...頑張るのよ。」
レミリアは飲みかけであった紅茶を再び口元へ運び飲み直す。
◇
「...やっと...着いた...」
「ん...?ここ?」
「そうですよ、ここですよ。念願の人里!!」
いつもの倍以上の時間をかけて辿り着いたこの人里。亜衣夢はあまりの苦労と感動に感極まって涙が出るのではというほどだった。
「では行きますよスィー...フ...さ..ん.........」
早速目的を達成しようとスィーフの方を見ると、既に姿は向こうの店に移っていた。あまりの行動と忘却の早さに亜衣夢は唖然とした。しかしそうもしていられない、急ぎスィーフを捕まえ引きずるようにして走った。
「いい加減にしてくださぁぁあい!」
〜十分後〜
「...よし!もう、無いな...目的達成!ゼェゼェ...」
「ZZZZ...」
「ね、寝てる...」
スィーフはあろうことか寝ているのだ。亜衣夢が買い物している時も移動する時も寝ていたのだろう。ここまで着いてきたのが謎である。
「ちょ、スィーフさん!起きてください!もう帰りますよ!?」
「んーもう食べられない...」
「そんなテンプレ極まりないセリフなんて求めてませんから!起きてください!」
「......ZZZZ...」
(もうダメだァ...おしまいだァ!どうする...いや、手段は幾つかある。)
手段1・意地でも起こす
手段2・置いていく
手段3・自らが運ぶ
手段4・己の無力に嘆き、悲嘆にくれ、絶望する。
(4は無いな。ていうかなんだよ、厨二か。2は...まずいな。怒られる。てか殺される。1は、さっきやったやん。てことは...)
『2・運ぶ』
(これかぁ...でも、帰るためだしな...はぁ。)
しぶしぶ亜衣夢はスィーフを背負い運ぶことにした。小柄な身体のため重量に苦しむことは無かったが一番気になるのは周りの視線である。メイドを背負う外の人。なんとも奇妙な絵である。
(誰かに見られるのは仕方ない。だけど、アイツらにだけは見られたくn)
「あーあの時の!」
「..._(/3 」∠)_」
予感は的中。亜衣夢の前にはだかるのは、前回の人里でもいた、生意気な子ども達である。状況は最悪。初対面であの言われようなのだから、顔見知りとなった今何を言われるのか分かったのもではない。
他人の振りをして逃げようとした。が、しかし回り込まれてしまった。
「何してんのー?」
「だれその人ー?」
「まさか、よばい?」
「誰がするか!!てか今は昼じゃ!」
「おぃっ」
ゴン!×3
『きゅ〜』
「あ、あなたは!」
亜衣夢を助けてくれた人、それはあの時の人ではなかった。慧音ではなく、違う人だったのだ。彼女には、そこらの人とは違う雰囲気をただよわせていて、まるで何百年も生きているかのような貫禄をも感じられた。
なのにも関わらず見た目はとても若い。亜衣夢が唖然として見ているとそれに気がついたのかこちらを見てきた。
「すまねぇな、またか?迷惑かけちまって。」
「はい、えっと...」
「『藤原妹紅』(ふじわらのもこう)だ。慧音の古くからの知り合いでな、こいつらの面倒見てたんだよ。」
「そうでしたか!だから助けてくれたのですか。」
「そういうこと、こいつらはいつも手を焼かせてな。口だけは達者なんだよ。」
「なんだよー」
「文句あるのかー?」
「文句しかないよ。さっさと帰って算数やってろ。」
『むきー!』
子ども達は逃げるように走ってどこかへ言ってしまった。妹紅はやれやれといった感じになっていて、亜衣夢はそれを見ていることしか出来なかった。
「えっと、君はなんて言うんだ?」
「あ、三紗亜衣夢です。紅魔館の奴...使用人をしています。(危ない...奴隷と言いそうになった。お嬢様め!)」
「そうなのか?あそこは辛いだろ。レミリアの奴は我儘で面倒くさいし。」
「いや、意外とそうでもない一面もありますよ。」
「そうなのか?...ひとついいか。」
「はい?」
「それずっと背負っているが、辛くないのか?」
「...辛いです。」
それもそのはずだ。今までずっとスィーフを背負っていたのだから。いくら小柄であるとはいえそれを数十分も背負えば疲れるだろう。
流石に顔に出てしまったのか、その光景に耐えれなかったのか、妹紅はそれについて触れてきた。
「いいよ、私がおぶってやる。」
「え?」
「どうせ紅魔館まで運ぶんだろ?それぐらいしてやるさ。」
「すみません何から何まで。」
「気にするな、元々世話焼きな性分だから。...よっと。」
そうすると妹紅は軽々とスィーフを背負い紅魔館を目指して歩みを進める。亜衣夢もそれに続いて歩く。スィーフは未だに眠っており、亜衣夢は重荷が無くなったはずなのに謎の疲れがドッと出てきた。
「君は外から来た人なのかい?」
「あ、はい。そうなりますね...」
「帰りたいとかは思わなかったのか?」
「...はい。あっちには飽きたので。」
「...そうか。幻想郷は全てを受け入れるからな。君みたいな変わった一般人も、妖怪も、私みたいな奴も...な。」
「あ、そういえば疑問だったのですが、妹紅さん。」
「ん?何だ?」
「今おいくつd」
《パーフェクトフリーズ!!!》
《スターダストレヴァリレ!》
ピチューン
「亜衣夢ぅぅう!?」
突如亜衣夢の正面からやって来た球体は迷うことなく亜衣夢を飲み込んだ。そのすぐ横にいた妹紅は間一髪で被弾せずにすんだが亜衣夢は無事ではなかった。例の音と共にPを残して消えたのだ。
「だ、大丈夫か!?」
「うぅ...なんと、か。」
「そうか...でも、残機がひとつ減ったな。」
「...?」
「......あのスペルは...魔理沙とチルノか?」
弾幕の出てきた方を見ると、そこには妹紅の予想した通り魔理沙ともう一人幼子の見た目の少女が戦っていたのだ。
彼女らはなにか言い合いながら弾幕を放っていて近くに行くとかなりうるさかった。
「おい、お前ら何をしているんだ。」
「ん?おぉ妹紅か。いやな、ちょっと前に...」
◇
数分前〜
「よう、チルノ。」
「よう魔理沙!」
「お前って...馬鹿だよなwwwwww」
「なんだと!?誰が馬鹿だ!」
「お?怒った怒った!」
「クソー!」
《アイシクルフォール!》
「あっぶね!やったな!」
「こんにゃろ〜!」
◇
「...てな訳だよ。」
「...」
「...」
『お前のせいじゃねぇか!?』
「えぇ?」
「いや、『えぇ?』じゃねぇよ!完全にお前が挑発したからだろ!」
「そうですよ!俺なんてとばっちり受けてますし!」
「そうか?いやーそれはすまなかったww」
『草生やすんじゃない!』
「ハーイ」
「まったく...」
「まぁいいですよ、とりあえず行きましょ?」
「...そうだな。」
妹紅と亜衣夢(+スィーフ)は魔理沙達と別れ紅魔館へ再度向かう。途中後ろの方でまた癇癪を起こしたような声が聞こえてきたが、二人共に無視をした。
◇
〜それから数十分後...
「やっとつきました〜」
「おう、お疲れさん。それじゃここにこれ置いておくぞ。」
「いやいや、まるで荷物のように扱わないで下さいよ。確かにそんなかんじですけども。」
「おっとすまなかった。全く動じなかったのでな。」
「ZZZZ...」
『...』
それから、亜衣夢は妹紅と別れしぶしぶスィーフを背負いなおして紅魔館の中へと入って行った。門に行くと美鈴がまた居眠りをしていて亜衣夢は揺さぶり起こそうとするも返事が無かったので放って置くことにした。
その後怒鳴り声が聞こえたのは言うまでもない。
「三紗亜衣夢、只今帰還しました〜」
「おかえり亜衣夢。無事で何よりね。」
「ふふ...どうだった、ソレの扱いは?」
「...どうだったと思います?」
「あー...なんとなく察したわ。というか、予想通り?」
「ソレのマイペースさには誰も勝てなかったのよ。そこで亜衣夢にやらせてどうなるか知りたかったのよ。ただそれだけよ。」
「なんかもう、お嬢様の無茶振りにも、慣れたような... 」
亜衣夢は憔悴しきって床に座り込んでしまった。既に外は光を無くし闇夜となっていたのだ。体力的にも精神的にも疲れは酷いものなのは言うまでもない。
そして、そこから逃げるようにサッサと自室へと帰って行った。
「...スィーフ、解雇したら?」
「...実際考えたけどダメよ。面白味が一つ減ってしまうもの。」
「レミィ...あなたは本当に暇が嫌いなのね。」
「言ったでしょ?永遠のような時間を待つのは良いけど刹那のような短い時間を待つのは嫌いだって。」
「長生きって不便ね。」
「ふふふ...そうね。なら、飲み直しましょう。この100年間熟成させたワインでも。」
「実際の熟成期間は一時間のくせに。...まぁいいわよ。今日は付き合うは。」
こうして紅魔館の静寂にグラスのぶつかり合う音、つぐ音が響き、芳醇な香りが辺りに広がっていった。
◇次の日〜
「...何で。」
「ZZZZ...」
「何でアナタがここで寝てるんですかぁぁあ!!!!!」
亜衣夢が寝ていたベッドに何故かスィーフの姿があった。その後、他の妖精メイドがやって来て問題となったのはだいたい予想がつくであろう。また亜衣夢は小一時間かけて誤解を解くのであった。
「ほんとに勘弁してくださいぃいい!!!!」
...すみません、二ヶ月も投稿遅れてしまい。
いや、何も言えません。言い訳にしかならないので。一応生きてます。まだ書いてます。一言だけ言うならただやる気が出なかっただけです。
次こそはほんとに早く投稿致します。出来なければ...もう、辞めるかなぁ...(遠い目)
そうならないよう頑張りますのでどうかよろしくお願いします。