咲夜と美鈴の組手を見た後すぐに弾幕ごっこをやらされた亜衣夢。その次の日は洗濯物を洗うという作業でそれに手こずる姿をレミリアに見られており、自暴自棄となってしまった。
月日は流れて行き亜衣夢が紅魔館に入って二十日が経った。寝る前も惜しんで(強制)弾幕を出す練習を美鈴としていたが、あまり進歩が無く頭を悩ませていた。
亜衣夢は負けじと頭の中でイメージをしてやるも良い結果はなかなか出ずかなり気がまいっていた。
レミリアもその進歩の無さにイラつきを覚え始めてきて亜衣夢は焦るばかりだった。
そして、その晩。ついにレミリアが我慢の限界をこえ、声を張り上げて強く言い放った。
「亜衣夢!」
「ふぁい!」
「一体いつになったら出せるようになるのよ!いい加減にしなさい!」
「そ、そんなこと言われましても・・・」
「私は永い時間待つのは好きだが、刹那のような時を待つのは嫌いだ!前にも言っただろう!?」
「そ、そうですが・・・」
「いい?今日の練習で弾幕の欠片も出せなかったらお前の血を一滴残らず絞りとってやるからね!覚悟しなさい!」
「は、はいぃぃい!」
やべぇ、がちでやべぇ。死ぬ。今日が俺の命日だ。出せる訳がねぇ。今までやってきたけど何も起きなかった。できるわけがないんだ。もう駄目だ、お終いだぁ。
・・・・・いや、諦める訳にはいかない、諦めたら、駄目だ!安○先生だって言ってたじゃないか!《諦めたらそこで試合終了ですよ》ってな!
良いじゃねえか、逆境結構!やってやるよ・・・・やってやんよ!
「早く食え。」
「はい。」
そして、運命の練習が始まった。もし、今日の練習で亜衣夢が弾幕を出せなければ、ここで人生に幕を降ろすことになる。それはなんとか阻止しようと亜衣夢は全力で挑んだ。
「〜〜〜!」
「頑張って下さい!良い所まで来てますよ!あまり力まず!柔らかいイメージで!」
「――――!」
「後少しです!」
「・・・・・ぷはぁ!」
「あぁ・・・駄目でしたか。」
「うぅ、申し訳ないです。自分が不甲斐ないばかりに・・・」
「そんなことないですよ!亜衣夢さんは十分頑張っていますよ!ですが、何かが足りない気がするんですよね?」
「足りない・・・・?」
「そうなんですよ。私にもよくわからないのですが。」
「そんなぁ・・・・」
ぐぬぬ、やばいぞ、このまま時間が過ぎれば、俺の命日になる!それだけは阻止しなくてわ・・・しかしどうする?手も足も出ないこの現状。
詰んだ\(^o^)/
「足りないもの、ね。」
遠くで亜衣夢と美鈴の修行を観察していたレミリアと咲夜。その会話を聞いたレミリアは今まで険しい顔で一言も話さなかったが、今いきなり口を開いたのだ。
「いかがなされましたかお嬢様。」
「いい方法を思いついたのよ。」
「? それは一体―――あ!お嬢様!」
レミリアは咲夜の言葉に聞く耳を持たずに亜衣夢の元へ向かっていった。咲夜は小さく溜息をつき、その場に留まった。
「う~ん、どうしましょうか。」
「中国、退きなさい。」
「へ? わゎっ!お嬢様?」
レミリアは亜衣夢の前にいた美鈴を無理矢理押し退け亜衣夢の前に立った。その顔は至って冷酷。氷のように冷たい視線が亜衣夢に突き刺さる。
「ついてきなさい。」
「え?」
予想もしなかった発言に亜衣夢は一瞬理解が遅れた。殺されると思いその恐怖で顔が引きつり言葉も出せなかったが、その一言で我を戻した。
だが、結末は変わらないであろう。そう思うとまた、恐怖で声が出せなくなってしまった。
「動けないのかしら? じゃあ、無理矢理連れて行くわ。」
「!!」
亜衣夢は服を掴まれたと思う暇もなくレミリアに連れ去られた。その速さは尋常ではなく瞬間で闇夜の中へと消えていった。
美鈴は唖然として思考がしばらく停止しており、その後気づき追おうとするも無駄だと解ったのですぐに歩みを止めた。
「亜衣夢さん・・・・」
美鈴はとても心配な表情で亜衣夢の消えた軌跡を目で辿っていった。
ぎゃぁあああぁ! 速い速い速い!!
亜衣夢は凄まじき速さでレミリアに連れ去られていた。あまりの速さに亜衣夢はまともに呼吸もできずにいた。
速い速い速い速い速い速い速いはや―――――
「着地。」
あべしぃ! ・・・・・気持ち悪ぅ・・・・(デジャヴ)
さらにレミリアの急ブレーキにより亜衣夢は目がまわり無事でいた事が逆に不思議に思えてくるほどだった。
「さて、あなたには何故ここに連れてこられたわからないでしょう。とりあえず周りを見てみなさい。」
「ま、周り・・・・・・!? こ、ここは・・・・」
「そう、ここはあなたがルーミアに襲われるきっかけとなった人里近くの森よ。」
なんてこった、こんなところに拉致されるだなんて。・・・でも、なんでここなんだ?そもそも、なんで拉致られたんすか俺?
「私は思ったのよ。このままのやり方ではこれ以上の進歩は見込めないと。」
「では、どうすればいいのですか・・・」
「だから、ここ来きた。」
「・・・はい?」
「ここは知っての通りルーミアから野良妖怪が大勢いるわ。そいつらはもちろん人喰い。あなたのようになんの力もない奴が来たら、間違い無く死ぬでしょう。」
じゃあなんで連れてきたんだよ
―――――なんて言えたらどんなにスッキリすることか・・・
「では、俺に死ねと言うのですか?」
「それはあなた次第。ここで生き残ることができれば色々と変わるでしょう。安心しなさい。生きていれば助け出してあげるわ。それじゃあ。」
「ま、待ってくださ―――」
レミリアは亜衣夢の声を遮るように闇夜へ飛び立っていった。月明かりすら入ってこないうえ人喰い妖怪の住処のこの森に無力な人間一人残されてしまった。
一人いなくなっただけ。それだけで亜衣夢の孤独と恐怖感は体の奥から湧き上がってきた。亜衣夢は急いでここから出ようとするが、飛んで来たのでどこから出ればいいのかわからない。
「マジかよ・・・・くそっ!どうしろってんだよここで・・・・」
いきなりの事で亜衣夢は混乱しており苛立ちも覚えた。何故ここなのか?もっといい場があるのではないのか?それに、何故美鈴の教授では駄目なのか。様々な疑問だけ思いつくも、答えは一向に見つからない。
「とにかく・・・ここから出ないと。」
亜衣夢が一歩踏み出すと、ある音が鳴ると共に体中が震えた。何故か。その答えは亜衣夢の足元にあった。
「・・・・! うぅ・・・!?」
亜衣夢の足元にあったのは何か棒みたいなもの。だが、棒は棒でも木の枝などではない。ようやく目が暗闇に慣れよく見るとそれは湾曲しており、苔が生えており緑っぽかったがほのかに白い。これらの条件により、何かをすぐに理解できた。
「ほ、骨・・・・!」
そしてすぐに吐き気がやってきた。亜衣夢はソレを出すまいと必死に押さえ込む。
なんとか吐き気が収まったが、それでも良い気分ではない。恐怖感はどんどん加速していき亜衣夢の膝は震え上がりまともな状態では無かった。
くそっ!動け!この脚!!
バァン!!
亜衣夢は震え上がっていた自分の脚を思い切り叩き痛みで起こした。それでなんとか動くようにはなったが、やはりまだ力が入りにくい。
そんな中、不幸はまだ続いていた
ガサッ
「!?」
亜衣夢はすぐさまその音のした方向をむいた。そして確信した。何かがそこにいると。
こんな時に出てくるのはもう決まっている。
「ゲ、ゲゲゲ・・・・人・・・間・・・」
「・・・! よ、妖怪!?」
出てきたのは獣だった。もちろんタダの獣ではない。見た目は犬のようだが大きさが仔牛の一回り大きいぐらい。だがかなり痩せこけていた。目は真っ赤で燃えているかのよう。数十メートルは離れているのに鼻に突き刺さるような悪臭。さらに人語をしゃべる。
「ググ・・・ゲ・・久シ、ブリノ・・・人間!!!!」
その獣は有無言わず亜衣夢に飛びかかる。暗闇でも見える赤い目。黄色で鋭利な爪。亜衣夢はあまりの恐怖により脚に力が入らず尻もちをついてしまった。しかしそれは今では好機だった。
獣は首を狙っていたのでいきなり尻もちをついた亜衣夢の頭上を通り抜け後ろにあった木に激突した。
バキバキ!メシィ!
あの飛びかかりで高さ十メートルあるであろう大木が簡単にへし折られた。その残骸から、また獣は起き上がりこちらを向く。
「ひ、ひぃ・・・・」
「逃ゲルジャネェヨ、俺ハ腹ガ減ッテンダ。オトナシク喰ワレロ・・・!」
◆
「・・・・・こんなものでいいかしらね。」
レミリアはまだ森の中にいたのだ。何をしていたかというのは足元を見たらすぐに解る。
大量の妖怪が倒れているのだ。全員血まみれで起き上がることは無かったがかろうじて生きていた。
「ぐっ・・・紅魔館の主が俺たちになんのようだってんだ・・・」
「ちょっと家の使用人を強くしようとしてね、そこであんたのとこの雑魚犬借りたのよ。」
「まるで意味がわからんぞ」
「あんたらじゃ強すぎるのよ。だから一番弱くて頭も無い馬鹿犬を連れ出したのよ。」
「・・・理解できん。きっと今見ているであろう皆様も理解できていないはずだ。そうだろう!?」
「誰に言ってんよの。」
「気にするな。だが、非常にまずい。」
「何がよ。」
「この中にボスがいない。つまりその使用人とやらのとこに行ってるはずだ。ボスは人肉に目がないからな。今っころ死んでるんじゃ――――」
ザクッ
「うぎゃあああ!テメェ!何しやがる!」
「それを先にいえ!くっ、計算ミスね。」
レミリアは背中にある巨大な翼を広げて一瞬で飛び去った。
「・・・・何がしたかったん・・・だ・・・・ガクッ」
◆
亜衣夢は逃げようと後ずさる。しかし獣はゆっくりと距離を詰める。その距離はだんだんと縮まる。亜衣夢が数メートル後退したとき、手元に何かがあるのがわかった。
これは、棍棒?なぜこんなところに・・・・だけど、今は好都合!
亜衣夢は棍棒を強く握りしめる。そうすると不思議と勇気が湧いてきた。亜衣夢は距離を見計らい、タイミングを伺う。
「ナンダァ?モウ鬼ゴトハ終イカ?ジャア、死ネェ!」
「死ぬのは、てめぇの方だぁ!」
バキィ!!!
周囲に鈍い音が響き渡る。それもそのはず。石ぐらい硬い棍棒で力一杯殴ったのだから。その衝撃が亜衣夢の手にまで伝わる。
「・・・テメェ、痛ェジャネエカヨ!」
なんと獣はほぼ無傷に近かった。亜衣夢はもう一度殴ろうとしたが違和感があった。
「・・・・!」
あろうことかの一番太いところが砕け散っていたのだ。一メートルはあったはずの棍棒も、今では三十センチぐらいになってしまった。
「ドウヤラモウ万策尽キタヨウダナ。今度コソ死ネェ!」
「万策尽きた?何言ってんだ。俺はこれを待ってたんだよ!」
グチャ
「グルォォアアアガァァアアアオ!!」
亜衣夢は割れた棍棒の先端部分を獣の目目掛けて突き刺したのだ。効果は抜群。簡単に突き刺さりニチャニチャと汚い音がした。
「最初に殴ったのはお前を倒す為じゃねぇ、こうやって刺せるように尖らすためだ!お前が硬いのはさっきのでわかった。だがな、目とかそういう所まで硬いやつはいねぇ!さっさと、死にやがれ!」
亜衣夢は棍棒から手を離し突き刺さっている状態の棍棒目掛けて蹴りを放った。さらに深く刺さり獣は倒れた。微妙に胸が上下していたのでまだ死んではいなかった。
「よし、逃げよう!」
妖怪を倒したことにより先程までの恐怖感は消え去り、代わりに違う感情がでてきた。
しかしそれも一瞬の出来事だった。
ドォォン!!
大きな地鳴りがしたかと思うと亜衣夢の胸元に何かが飛んできた。それは暗紅に光輝く弾幕だった。
ソレは亜衣夢に着弾すると同時に弾け飛ぶ。亜衣夢は派手に吹っ飛ばされた。
「・・・・・・! ?」
そしてそのまま獣が倒した大木の所まで飛ばされ激突する。息が出来なくなる。さらに体中から鈍い音が響いてきた。
骨が折れたのだ。それも一本ではなく数本も。
痛みと呼吸困難で意識が朦朧とする。そんななか声が聞こえた。酷くくぐもってきる重低音の声が。
「何でったってこんなとこに餌がいるんだ?・・・まぁいいがな、俺の今日の食料だ!」
そして亜衣夢は視界が真っ暗になった。薄れゆく意識の中分かったのは、巨大な何かに殴られこうなった。そう思った時、亜衣夢の意識は張られた糸を切られたかのようにブツリと途切れてしまった。
いやぁ...すみませぇん。投稿遅れてしまいまして。
いい訳はしません!遅れたことに変わりはありませんので。
まぁ、分かってるとは思いますが私は酷い気分屋ですので気分が乗らないと書く気になれないんですよ。
次こそは!早めに投稿致しますので!次回も宜しくお願いします!!