夜な夜な土方の部屋に通う近藤。
お妙さんのかわりに抱かれる土方、嫌気がしながらも股を開いていた。そんな中、万事屋に相談して……。
「トシ、いいか?」
このところ、夜になると近藤さんが部屋にやって来るようになった。決まってあの女の所に行った日に………。
キャバ嬢がつける香水と酒の臭いをプンプンさせながら俺を抱きに来る。
あの女と同じ黒髪の俺を………。
「あぁ。」
いつからだろう?自分の気持ちに嘘を付いてまで抱かれるようになったのは……。
こんな自分が嫌で、吐き気さえ覚えるも干したての布団の上で、つい相手を誘ってしまう。
「でさぁ、マジあり得なくない。今から、抱くって言うのに別の女の匂いプンプンさせてくるんだよ。」
「それって、身体だけの関係じゃねぇ?」
「でしょ?金貰ってさっさと別れようかなぁ?って思ってんだよね。」
「それ、別れるべきじゃん。早い方がいいって……。」
見回りで外を歩いていると、前からクレープを食べながら歩いてきてる女の子たちの会話が耳に入ってきた。
まるで俺のことだと思った。このままの関係続くのかと思うと嫌気がさす。
「多串くん?」
彼女たちの会話に夢中になってると、目の前に万事屋がいた。
「なにぼーっと歩いてるの?あぶねぇよ?」
いつもならここでなにか言うけど、今はそんな気分になれない。
「ねぇ~今夜呑まねぇ?ちょっと、お金入ったんだよね。奢るからさぁ?」
「奢るって、お前より俺の方が奢ってる回数多いと思うけど?」
「湿気た面してるってまたなんだろ?」
いつの頃からか、こいつは俺と近藤さんの仲を勘づいてたまに愚痴を聞いて貰う仲になっていった。
「いつもの店でな。」
俺の返事を待たずに万事屋は去っていった。
その日の夜、俺は万事屋との待ち合わせ場所に向かった。
「こっちこっち~♪」
先に呑んでいたらしく、頬を赤らめながら手招きして呼んでる。いつもはカウンターだが、今日は座敷らしい。
「俺ってさぁ、お前の話し聞くのもさぁ………。」
「ん?」
「今日で最後にしたいんだよね。」
万事屋が頼んでいたおでんを食べていると、急に言われた。
それまで、ガヤガヤと五月蝿かった
そんなのイヤだ。万事屋がいたから……こんな気持ち悪い俺を受け止めてくれたから……だから、俺は…………
「…………オイ!俺の話聞いてますか?副長さん?ホテルに行こうって言ってるんだけど、具体的に言わせんなよ。」
「へ?」
ほてる?なんの事だ?俺は、今万事屋に何を言われてるんだ?
「ハァ~、やっぱり俺の話聞いてなかったろ。俺さぁ、お前の事………好きになっちゃったんだよね。だから、あんなゴリラ忘れてさぁ、俺のもんになっちゃえよ。」
そういって、向かいに座っている俺の頬を撫でた。その手は、異様なまでに気持ちよくて………俺が落ちるのにそう時間はかからなかった。
気がつくと、ダブルベッドの中央に寝かされていた。枕元のピンク色の照明、ドア付近から聞こえてくるシャワーの音。すぐにここがラブホだと理解できた。
なんとも言えない酒を呑んだ後の浮遊感に目を細めた。
「起きたみたいだな。」
髪を拭きながら、ベッドに上がってくる万事屋は何故かカッコよく見えた。
「ここまで運んでくるの大変だったんだからな。感謝しろよ。」
髪を撫でられ、ひどく安心する自分がいた。このまま、
気がつくと、自らkissしてた。酒の匂いとピチャッピチャッと響く水音に興奮して万事屋の首に手を回す。バランスを崩した万事屋が俺の上に股がり、太ももに固く熱いものがあたる。
こんな俺に、欲情しているのかと思うと嬉しく思えた。
「よろずや……」
酸素不足で頭の回らない中、無意識に呟いていた。
「お前さぁ、こういう時は名前言えよ。」
「ぎんとき……」
目に涙が溜まっているのか、よく顔が見えない。
「いいよ。泣きたいだけ泣けば。」
抱き締められ、涙が溢れてくるも必死に押さえた。
「抱いて……俺が泣いても止めなくていいから。」
相手に自分の気持ちを伝えると、楽になった。
「了解、お姫様〃〃」
まるで腫れ物に触るような優しいkiss。そこで俺の意識は途切れた。
「っん………」
眩しくて目を覚ますと、隣に銀時はいなかった。身体もベタついてない。銀時が洗ってくれたのか?目を擦り身体を起こす。
「おはよう。ほら、水。」
「銀時、帰ったんじゃないのか?」
「ほたって帰るわけねぇだろ?それと、ヤってねぇからな。」
「へぇ!?」
ヤってない?
「なんで?」
「お前ってばモテそうなのに、そこら辺鈍感て言うか………あ・の・な、意識ない奴とヤって気持ちいい訳ないだろ?」
ベッドに腰掛け話しかけてくる。
「それにさぁ………名前呼びながらしたいし……俺と、本気で付き合って欲しいし……」
そういうのが早いか、銀時に押し倒された。
「今から、するけど今更逃げねぇよな。」
「あぁ、忘れさせてくれ。」
銀時の首に手を回し、顔を近づける。
「もう、あんな奴に抱かれんな。夜は俺んとこに来いよ。鍵開けとくから……」
そう言った銀時の顔は、誰よりも悲しげだった。
銀時との関係を持ち、俺は近藤さんを避けるようになった。仕事以外は極力逢うことも話すこともしなくなっていった。毎日、銀時の所に行くのも気が引けて適当に外で朝になるまで時間を潰した。毎日、朝帰りをする俺の事を隊士たちは快く思わなくなった。
今まで、仕事がなくても残業してたのにそれをしなくなったんだ。陰では、結婚したからだとか変な噂がたってる。まぁ、男に抱かれてると知られてないだけまだマシなのだが………。
その日もいつものように銀時に連絡をいれ、万事屋へと向かっていると、口元に布を当てられクスリを嗅がされた。抵抗しようにも相手の力も強く思うようにいかない。
薄れ行く意識の中、瞼に銀時の顔が浮かんだ。
「っん~」
頭が酷く痛い、身体もだるく、瞼を開けることも
こいつが、俺を監禁した人物………。どこか独り言のように思った。
その影が次第にこちらへと向かってくる。恐怖から逃げたくても動く事も許されずに、ただ身体を強ばらせた。
影は、枕元に手を伸ばした。不意に辺りが明るくなり、電気を点けたのがわかる。眩しさに目を細めるも次第に慣れ、影の輪郭がはっきりしてくる。
「こ、近藤さん?」
自分の目を疑った。犯人と思っていた影が近藤さんだったなんて、これで助かると思うも近藤さんの表情は固かった。
「目が覚めたみたいだな。トシ。」
「近藤さん、これ外して……」
ジャラジャラと音を鳴らし訴える。
「なんで、俺を避けるんだ?トシ。」
「避けて……「避けてるだろうが!」
「うっ。」
言葉を遮られ、腹を蹴られた。
手を繋がれていて、擦ることも許されずただ前のめりになり痛みに耐える。
「なんで、こんなことするんだよ。近藤さん。」
「ッ!……なんでだと?そんなのお前がよく知ってるんじゃないのか?」
ワカラナイ、ナンデ
何度殴られたのだろう?腹も背中も足も腕も顔さえも痛いのすらわからなくなってきた。
「………っん~」
次に目が覚めると白い天井が目にはいる。俺は助かったのか?なら、近藤さんは?ここはどこだ?なんで、身体が動かない?なんで………なんで………、幾つもの疑問が浮かぶもそれを応えてくれる人はいない。
ガラガラと、ドアの開く音がしそちらに目線をやると銀時が入ってきた。
「目覚めたんだな。」
声を出したくても上手く発することが出来ない。
「まだ、寝てていいからな。安心しな。俺が守るから……」
優しく頬を撫でられて、眠りについた。