前々から予告していた通り、今回は説明回です。
誰だよ、新宿のアーチャーが魔弾の射手のマックスって言った素直過ぎる奴。
…………私です。
真名予想でストレートに考えるっていうミスをしました。猛省。
何と言うか……中途半端に掠ってて、逆にもやもやするんですけど…………。
────というか、なんで棺桶から銃弾出るんですか!?
マシュ☆マリと槍ヴラドでフルボッコにしました。いやぁ、棺桶背負ってるなんて準備が良いなぁ…………。
内藤ワールドから我がカルデアに来てください。お待ちしてます。
彼が、アーチャーではなくセイバーだったら、ビームだったに違いない。
カヴァスⅡ世の正体ってもしかしたら…………。
しかし、蝶は何処から来たのだろうか…………。
────新宿。
其れはマシュが側にいない初めての旅。
何となく──いや、理由は分かっている。
その旅は、どうしようもなく心許なかった。
それでは────────
…………やれやれ。
何となくな感じでいいから、と押し切られてしまった。
まぁ、することもなかったから別に構わないけれども。
さて、彼らの物語は語り部の青年と主人公の少年が出会うことで、ひとまず区切りとなる。
これから見てもらうのは聖杯戦争が終わってから暫くした後の話。言うならば説明回。
今までの『流れ』を確認したいのならば読むことを勧めるけど、話がくどかったり、あんまり関係ない事とかも話しているみたいだから、別に読まなくても問題ないよ、ってことは先に伝えておくよ。
詰まるところ……まぁ、興味のある人だけ読んで欲しいかな?
さて、『
────────それではどうぞ。
「────なんだこれは?」
「報告書ですよ。──裏の、ですけど」
────時計塔。
魔術協会三大学部の最大勢力。
ロンドン郊外に位置し、四十を超える
そんな時計塔の、現代魔術科に属する複数の学術棟の何処か────。
俺、遠坂晶が普段から世話になっている現代魔術科の
個人的な感想だが、魔術師の私室は陰気な印象を受けることが多い。だが、この部屋は例外のような気がする。
……それが、心因的なモノが原因かどうかは分からないが。
「裏の、か。──確かに、これはそういう類のモノだな」
「前に送ったのは上層部向けの、必要なことしか書いてない表向きの物です」
「やれやれ……お前もめんどくさい物を提出してくれたものだ」
20分ほど掛けて全てのページをざっと読んでから、教授は重々しく口を開く。
「しかもこれ、途中だろ」
「その5まであります」
「…………ファック」
因みに、提出した裏報告書は一冊が100ページを軽く超える。なお、時計塔上層部に提出した報告書は20ページ程度である。
残りの4冊を机の上に置く──静かに置いたが、机が僅かに軋む音がした。
教授は苦虫を噛み潰したような渋い顔をした。
机の上に鎮座している分厚い紙の束の向こう側。
教授は初めに渡した裏報告書(その1)をじっくりと読み直している。
「────読んでいる最中ですが教授。いくつか知りたいことがあるのですが──」
「杉羽良で行われた亜種聖杯戦争についてだろう」
めんどくさげな声が質問を──質問の前口上を中断させる。
目で文字列を追いながら。初めから想定していたとでも言いたげな雰囲気で。
「私に聞かなくても知っている──いや、
はぁ、と小さくため息をつき、途中のニュアンスを変えながら、何処か気だるげに────
────
「────日本で聖杯戦争が勃発した」
頭痛と共に、視界が白く染まる。
『日本で聖杯戦争が勃発した』
突然呼び出され、急いで駆け付けた
『────────え』
『それは本当ですか?』
『残念ながら、な』
その一言が意味する事。
あっさりと肯定された事柄は余りにも重い。
『但し、召喚されるサーヴァントは5騎。スキルや宝具に欠損は無いが、その規模は若干小さ目と言える。亜種聖杯戦争、とでも言うべきだろうな』
俺は、余りの事に唖然としている■■を気遣いながら────────
────フラッシュバック。
強引に呼び起こされた記憶の残滓は未だ濃い。
「────『召喚されるサーヴァントが5騎しかいないのは、間桐と遠坂が参加していないからだ』」
「『なるほどな、確かにそう仮定すれば辻褄が合う』」
───なんだ、覚えてるではないか。
教授は僅かな間こちらに視線を向け、無言でそう告げる。
「だからって、こんな手を使わなくてもいいじゃないですか」
「八つ当たりだ。こんな量の報告書を急に出された身にもなれ、愚痴ぐらい言いたくなる」
「非道い愚痴ですね」
「全くだな。────ところで、これを見たまえ。酷い量だろう」
「全くですね。こんな量の報告書を提出する人は、よっぽど捻くれた人でしょうね」
「全くだな。私もそう思う」
「ですよね。ぶっちゃけると、半ば嫌がらせに等しいですよね」
空々しい笑い声が虚しく響く。────生々しい打撃音がそれに続く。
「────お前は相変わらず懲りないな」
「普段は自重してますよ。ここ以外では猫被ってるんで」
「ここでも自重しろ」
閑話休題。
……体中が痛い。
「────さて。お前は杉羽良で行われた亜種聖杯戦争について、ある程度の事は
つまりお前は、ある程度以上の事を知りたい、ということでいいのか?」
「その通りです。
俺は──
「大まかな情報、か」
目が合う。
その眼光は、知っていることを言え、と無言で促していた。
「俺が知っているのは────
遡ること22年────。
2008年に杉羽良で亜種聖杯戦争が行われた。
この聖杯戦争に参加したのは5組の主従。
───水晶のように透き通った大剣を持つ
───宝具として義手の右手を持つ白銀の
───最強の英雄から譲り受けた弓を持つ
───輝く戦車に乗り、弓や槍などの多くの武器を持つ
───無数のスフィンクスを呼び出して放置した、謎の
────以上の5騎が確認されており、
その亜種聖杯戦争で、杉羽良の
その影響で後始末が滞った結果、華楼一族はセカンドマスターを解任。彼らの代わりに後始末の大半を行った野蒔夜栖が杉羽良のセカンドマスターの任に着いた。
────大体これくらいですね」
「そうか。──正直、それだけ知っていれば十分なんだが…………。
お前は、それ以上を知りたいのか」
「そうです。
何としても知らなくてはならない──そんな、強迫観念じみた意思があるんです」
そうか、という微かな呟きが耳に届く。
疲れ果てたような、何かをあきらめたような、そんな顔をしていた。
「教えないと言ったらどうする」
「そうですね……。
時計塔でサバゲーでもしましょうか。イイワケは教授の許可を取った、で」
ふ、と小さく、かつ軽やかな──まるで、お前なら何が何でも聞き出すのだろう?とでも言いたげなため息が聞こえた。
……その軽やかな溜め息とは対極的な、胃痛を感じていそうな眉のひそみ具合と頬の微かな引きつりが教授の心情をよく表していた。
今度、良く効く胃薬でも
「────それ以上、か」
裏報告書を読みながら、そう呟いた。
その表情は紙の束に遮られて見えない。
「さて、何から話したものか」
声音から感じられるのは──寂寥、だろうか?
何となくだが、報告書の向こうを見ようと思ってはいけない気がした。
初めに言うと、杉羽良での戦いの情報はほとんどない。
ライダーを召喚した華楼英作と優勝者の野蒔夜栖以外のマスターは亜種聖杯戦争以前の経歴が不明。しかも、野蒔夜栖以外のマスターは全員死亡または行方不明。
あの戦いの詳しい顛末を知っている者が居るのだとしたら、第九次聖杯戦争の監督役も務めた美作修摩だけだろう。
優勝者である野蒔夜栖について分かっていることは余りない。
コイツは戦いが勃発する数年前から、杉羽良に住んでいた魔術師──だが、その数年前以前の情報がない。
野蒔という名字の魔術師は彼以外に存在しない。……時計塔の情報では、な。
しかしながら、時計塔に提出した特許申請などから、ある程度の魔術の腕を持っているであろうことが分かる。
名門の魔術師の隠し子だったとか、魔術刻印の株分けを受けた魔術師だったとか──そこから推測できることはほとんどないがな。
野蒔夜栖とアインツベルンの間に何かしらの関係があるのでは、という疑いもあったが真偽は定かではない。
アイツの召喚した
まぁ、アステカで行われた第八次聖杯戦争において、大量のジャガーを呼び出した2騎目の
話が逸れるが、このアヴェンジャーの真名はテスカトリポカ──正確には、テスカトリポカへの生贄に選ばれた青年、だがな。
これは完全に余談だが、1騎目のアヴェンジャーは菅原道真。日本で召喚され、梅の花と大宰府に由来する固有結界とアヴェンジャーというクラス故に雷神としての力を持つ超一線級のサーヴァントだったらしい。
さて、話を戻すと、杉羽良での亜種聖杯戦争のバーサーカーの正体は何らかの要因でファラオと同一視された無名の人物だった──なんてな。まぁ、推測の域を出ないがな。
…………────ふむ、なるほど……正体不明のミイラが触媒、か。
確かに、時計塔でもエジプトから不法に盗掘されたミイラや副葬品を大量に回収している。ミイラならファラオだろう、という意見は暴論だが筋は通っている。野蒔夜栖がファラオではない適当なミイラを触媒にした、というお前の推測は的外れではないだろう──というか、それが正解な気さえする。
同様に、アインツベルに関しての情報もほとんどない。
そもそも、大聖杯が何時設置されたか、という情報さえないからな。
だが、アインツベルンが関与したことだけは確かだ。
亜種であろうが聖杯戦争を行うには相応の準備が必要だ。
具体的には、小聖杯を作るための錬金術、令呪を作成するための支配の魔術、そして霊脈をもった土地。
以上の三つ──そして、それらを準備するための膨大な時間──は聖杯戦争の情報が公開された今でも必要とされている。
聖杯戦争の情報が公開されたのは、ルーマニアで行われた合計23騎のサーヴァントが参戦した聖杯大戦とも呼ばれる第六次聖杯戦争の後のことで、杉羽良での戦いは大戦の前に行われている。
お前の父親の推測通りだが、アインツベルンは遠坂と間桐の協力なしに聖杯戦争を行おうとした、というのが正解だろう。
あのアインツベルンが、十分な準備が出来たにも関わらずに、大聖杯を使っているのに5騎しかサーヴァントを呼べないのはあり得ないからな。
「────なるほどな」
教授が報告書を閉じる。
やっと読み終わった。そんな、溜め息と共に吐き出した一言は疲労を隠せていなかった。
「─────
2030年12月1日────此処に7騎のサーヴァントが召喚され、第九次聖杯戦争は幕を開けた。
お前は──
その目的は未だ見えず、その結果を知る者もいない」
こういう流れか。鋭い目線が
その気迫は此方を気後れさせるには十分以上のものがある。
「その通りです教授。
俺──そう、
「いや、別に責めているワケではない。
幾ら第九次聖杯戦争のバーサーカーが芸達者とはいえ、バーサーカーは斥候に向いたクラスではない。
イレギュラーが発生したら警戒する。そして、その裏──例えば、バーサーカーが他のサーヴァントと同盟を組んでいる、などの可能性──を想定した……。お前の──
「まぁ、そうですね」
「もしかしてお前……何となくで戦闘を止めたりしたのか…………」
「いえ……ちゃんと考えましたよ────本能と直感で」
「全く、お前らは…………」
「────で、あと4冊あるわけか」
「そう、ですね…………」
「まぁ、お前と私は構わんがね────」
「────
「あらかじめ了承は取ってます。二人とも楽な体勢ですし、そもそも寝てますし。
ぶっちゃけ、俺が立ちっぱなしなんですけど…………」
「知らんわ」
剣騎士「
槍騎士「最果ての聖槍を此処に。この輝きを振るうことが我が王の御為になるものと信じて」
弓騎士「弓使い殺しの弓使いという不遇っぷりを嘆いていたが、騎乗兵が弓を使っている件」
騎乗兵「余には何としてでも
狂戦士「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」
???「やれやれ……。ボクは間違ってもこんな恐ろしい聖杯戦争には参加したくないなぁ」
・ ???:早く帰って来て。
────という訳で説明回でした。
なお、第七次聖杯戦争および第八次聖杯戦争について書く予定は全くありません。悪しからず、です。
さて────以前からの予告通り、次回から2章の予定。
次回更新もよろしくお願いいたします。
プロトアーサー実装だと…………ッ!!
相変わらず、天草は凶悪なピックアップを連れて来るなぁ……。
全体バスター宝具セイバーは居るし、無課金だし────今回はいい、かな……?
────────だが、ガチャしない、とは言っていない。