Fate/after Redoing   作:藤城陸月

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 相当にお久しぶりです。藤城です。

 まさか、前回投稿から一年以上過ぎてしまうとは……。まことに申し訳ありませんでした。
 前話で新宿の感想を書いていたのに、もうすぐアナスタシアとか嘘だろ……。Apocryphaの放送は終わり、Extraも投稿予定時間(4/1)で十話とか嘘だろ……。

 言い訳は後書きでします(震え)。



 ────────それではどうぞ。





二章 当たり前の非日常で - stained glass -
1騎目 0 追憶────────足音


 ───君に会ってもらいたい人がいるんだ。

 

 第四次聖杯戦争が終わってから2週間ほど過ぎたある日。

 昔から交流のあった魔術師の青年──その頃の私はおじさん、と呼んでいた──から、そんなことを言われた。

 

 

 第四次聖杯戦争で、私の父親は死んだ。

 遠坂家の──魔術師の一族の当主として、聖杯戦争で死亡した際の備えはしてあった。

 

 私が最期に言われたことは、魔術師としての言葉。

 つまり()()()()()()

 敬愛していた父は、私が魔術師として生きていくことを期待していた。

 

 ───ならば、私は魔術師として生きていこう。

 

 私が尊敬し、憧れていた父親の死を自分の中で、自分なりに整理し、そんな風に決意した。

 

 

 彼が遠坂の屋敷を訪ねたのは、そんな頃の事だった。

 

 

「───久しぶりだね、■ちゃん」

「そうですね■■■おじさん」

 

 思っていたより硬い声が出た。

 

 

 三人掛けのソファーに座り、テーブルを挟んで向かい合う。

 目の前にいるのは、今この場に居ない、妹()()()女の子とよく遊んでくれた青年。

 それ以外にも、母親の幼馴染────兼、今は亡き父親の(元)恋敵……だったらしい。

 

 そして、第四次聖杯戦争の参加者。

 

 私は彼が──彼らがどの様な戦いを繰り広げたかを知らない。

 知っているのは、精々が結果──聖杯戦争の余波による大災害ぐらい。

 私は其処に至るまでの顛末を知らない。

 そう、全く知らないのだ────。

 

「おじさんが──いや、俺が会いに来たのは、君に会ってもらいたい人がいるからなんだ」

 

 私の振舞いが、どことなくよそよそしい事の原因を既に察しているであろう、目の前の青年はほんの少し所作を直してから切り出した。

 

「私に、ですか?」

「そう、■ちゃんに────遠坂家の次期当主にして、冬木の次期管理人(セカンドマスター)の魔術師である遠坂■。

 ───君に会ってもらいたい人がいるんだ」

 

 

 

 ──────どうかね?

 ──────もう少ししたら起きると思うわ。

 ──────ふむ。()は寝起きが悪いからな。

 ──────悪かったわね。

 ──────いや、別に悪い物ではなかったぞ。

 ──────その余裕たっぷりな顔、むかつくわ。

 

 

 

 聖杯戦争に参加して生き残った()マスター。

 事情が有って、そのまま冬木市に住むことにした魔術師。

 

 

「───そうなんですか」

「そうなんだ、彼から仲介を頼まれてね」

 

 霊地を管理し、其処に定住したい魔術師がいるのならば監視し、問題があるのならば正しく『対処』する。

 其れは、冬木のセカンドマスターの役割────魔術師としての、遠坂の後継者としての果たさなくてはならない役割───義務。

 

 我ながら単純だと思うが、先ほどまでの遠慮がちな態度は彼方に消え、私の心は使命感に支配されていた。

 

「それでっ、その人ってどんな人なんですか!?」

「こら、■、少し落ち着きなさい」

「あ……ごめんなさい。お母様」

「ありがとう■さん」

 

 暖かで、柔らかい。そんな紅茶の香りが広がる。

 母からの"お叱り"とホッとする紅茶の香りが心を落ち着ける。

 

 三人分の紅茶とお茶請けのクッキーを持ってきた母は、そのまま私の左隣に座る。

 化粧を使って、顔色を誤魔化している事が何となく分かった。

 

 

 父が死んだことで、母が精神的に参ってしまっていることは知っていた。

 私に余計な心配を掛けないように気丈に振る舞っている事を、子供心ながら何となく悟っていた。

 だからこそ、私は早めに立ち直らなくてはならないと思った。

 そして、今だから分かる事だが、私が早めに立ち直ろうとしている事を知っていた母は、私に『決断』をさせてしまった事で、さらに自分を責めていた。

 

 間桐■■────。

 それが、目の前にいる青年の名前。

 私が父以外で初めて親身に接した男性にして、私が二人目に知り合った魔術師。

 だから、父が死んだ後に会えて話が出来た事はすごく嬉しかった。

 そして────多分だが、母も同じだったと思う。

 

 

「───さて、どんな人か、だったね」

「あ……。ごめんなさい。

 それは、私が聞いてもいい話なのかしら?」

「出来たら■さんにも聞いて欲しいかな」

「なら、私も此処で聞かせてもらうわ」

「分かった。それじゃぁ────」

 

 会って欲しい人の名前は■■■■(■■■ ■■■■)。30歳ぐらいの魔術師の──いや、魔術使いの男性だ。

 目的は、冬木市に定住したいから。基本的に、魔術師が定住するには、その土地の管理人(セカンドマスター)に一度会っておく必要がある。

 この街に住む予定なのは、私に会いたいらしい人と彼の協力者二人。それと、彼らが引き取った男の子。そして、奪い返す予定の女の子が一人、だ。

 俺も詳しい事は知らないけど────。

 引き取った少年は、彼ら三人が先日の大災害で助けたらしい。その子は家族を失っていたらしいから、引き取ることにしたらしい。

 女の子の方は……そうだね。悪い人たちに人質にされているから、俺も協力して、助けに行くことになっているんだ。

 

 …………大体こんな感じかな?

 いや、一つだけあったね────。

 

 

 何よりも先に言うべきことだったけど。

 そう前置きしてから。

 

「彼が、第四次聖杯戦争の実質的な勝利者だ」

 

 一言一言区切るように発せられた事実。

 その内容は私の──私たちに重く響いた。

 

「遠坂■■を殺したのは彼ではない。でも、戦うことになったら勝ち目はないだろう。

 魔術師として戦う限り、彼に勝つことはほぼ不可能だろう。

 故に『魔術師殺し(メイガス・マーダー)』──それが彼の忌み名(代名詞)だ」

 

 父を殺したのは彼ではない。

 その一言で、私の心に湧き上がって来た、黒く重い感情は矛先を失って、ある程度は弱まった。

 そして、彼の持つ二つ名を聞いて治まった。

 

「────魔術師、殺し……」

 

 私に宿った仄暗い感情は、その単語の発する恐怖に霧散した。

 

『今』の私でも、空恐ろしくなる程のパワーワード。

『その頃』の私なら……まぁ、推して知るべき、だろう。

 

 簡潔に言うと、もの凄く恐ろしかった。

 何せ、魔術師として生きていこう、と自分なりの一大決心をしたばかりなのだ。

 それ以前に、聖杯戦争の勝利者ということは、私たち──遠坂の人間よりも聖杯に詳しいのではないのか?

 直接の関係はないが、聖杯戦争の勝利者という一言で思い出した。目の前の青年は聖杯戦争に参加して生き残った魔術師(マスター)──言い換えれば、『魔術師殺し』と呼ばれる男と戦って生還したのではないのだろうか?

 その前に、『彼ら』がこの街に住む理由は何なのだろうか?別に他の街でも構わないだろう。むしろ、聖杯戦争に参加した事が周りにバレているのだったら、この街に定住することはデメリットにしかなりえない筈。自分が狙われる立場にあることを理解していない筈がない。

 どうしたらいいのだろうか。

 ナニをどう考えたらいいのか、それが全くわからない。

 

「落ち着いて■ちゃん」

 

 両肩に手のひらが置かれる。

 その心強さに、瞬間、頭の中で絡まっていた考えがバラバラになった。

 

「大丈夫。おじさんも一緒に会うから」

「■■おじさん……」

「それに──────最強のガーディアンもいるからね」

 

 

 それは───いや、()は突然現れた。

 

 

「初めまして、レディ。

 私は暗殺者(アサシン)のクラスで召喚されたサーヴァントです」

 

 ダークスーツを身に纏った、濃紺の髪と双眸を持つ長身の青年。

 

 

 ───しかし、姿形は人間だが()()()()()()

 

 

 転移の魔術などで現れたのではないと直感で分かった。

 こんなに、存在感が強いヒトを私は知らない。

 

 そう、彼は───彼らは──────

 

「──────サー……ヴァン、ト」

 

 英霊(サーヴァント)────。

 聖杯戦争に参加する魔術師が召喚。私たち魔術師はマスターとして、魔力提供と令呪によって彼らを使い魔として使役する。

 彼らの正体は、信仰によって精霊の領域に押し上げられた英雄。その魂。

 言うまでも無く、聖杯戦争において最も重要な要素(ファクター)。聖杯戦争に参加する魔術師は英霊(サーヴァント)を一騎召喚し魔術師(マスター)となる必要がある。そして、聖杯戦争を生き残ったマスターとサーヴァントのみが聖杯を手にする権利を持つ。

 つまり、だ──────。

 

「──────今回の聖杯戦争は失敗だった」

「──────え?」

 

 当時の私が──────私たちが結論に達する前に、魔術師(マスター)聖杯戦争を生き残った青年は切り出した。

 

「聖杯が完成する前に小聖杯が破壊された。結果、聖杯は制御を失い災害を撒き散らした。

 儀式の途中で小聖杯が破壊されたことで最悪の事態は避けられたが、それでも()()だけの被害を出した。出してしまった。

 また、聖杯戦争の途中で小聖杯が破壊されたことで、何人かの英霊(サーヴァント)が消滅することなく現界している」

 

 口を挟ませない様な早口で、誰とも目を合わせないように下を向きながら。

 事実だけを淡々と告げる。

 

「──────■■■」

 

 私たちが声を掛ける前に、自罰する男にその従者(サーヴァント)が声を掛ける。

 

「■■■。貴方も分かっているだろうが、今回の件は貴方が責任を負うべきものではない。

 そして、貴方が納得できない事も分かっている。

 ならば、後悔しながらでも良いから行動すべきだ」

「分かってるよ、アサシン」

 

 三秒。

 目の前で目を閉じ、軽く息を吸う。

 此方を見る目は決意と意志に満ちていて──────。

 

「さて、改めてだけど──────」

 

 

 ──────君に会ってもらいたい人がいるんだ。

 

 

 その目は真摯で、真っ直ぐで、透き通るようで──────。

 

 

     †††††

 

 

 

 微かに香る、紅茶の香りで目が覚る。

 

 ──────懐かしい夢を見た。

 

 低血圧故に、寝起きの気分は良くない事がほとんどなのだが、今日は極めて爽快に感じた。

 

「起きたか。気分はどうだ?」

「大丈夫そうよ」

 

 目に入るのは二人のサーヴァント。

 ──────紅茶を飲む女と給仕する男。

 

「相変わらず鏡を見ている気分だわ」

「……それこっちの台詞」

「やめたまえ。自分同士で争う事以上に虚しい事はないぞ」

「……貴方がいうと説得感が凄いわね」

「同感。いっそ哀れですらあるわ」

 

 

「ただいまー」

 

 虚空から実体化し、足音を立てて登場する紅いコートの少年。三人目のサーヴァント。

 

「おかえり」「おかえりー」「帰ったか。単独行動とは感心しないな」「いやー……ごめんごめん。ちょっと伝えないといけない事があってね──────」

 

 

「──────俺は……僕は今日帰ってくる」

 

 

 ──────息を飲む。

 息子が。聖杯戦争に参加するマスターの一人が冬木に帰ってくる。

 七騎のサーヴァントが参戦する正式な聖杯戦争において参加が確定している御三家のマスター。冬木に来ることは無いアインツベルン、間桐の令呪を移植した私。そして、遠坂の枠で参加するマスター。それはつまり──────。

 

「そうか、つまり」

 

 給仕をしていたサーヴァントが代表して問う。

 

 

「──────そう、間もなく第九次聖杯戦争が始まる」

 

 

     †

 

 

 ──────何かの間違いがあって鉢合わせしたりしたらマズいから、これから杉羽良にとんぼ返りするよ。まぁ、今日は別れの挨拶も兼ねて。

 

 じゃあまた、と言い残して窓から飛び去って行く。

 

「全く、妹と弟にあったら問題がある──────とはいえ、何も窓から出て行くことはあるまいに」

 

 そう言って、男は窓を閉める。

 飛び立った方向を名残惜し気に眺めていた。

 

 

 

「さて、起きぬけに驚いただろう。君の分の紅茶を入れようか?」

 

 予め分かっていたとはいえ、寝起きの頭での急展開に落ち着きを欠いていた私に男はそう提案する。

 ありがたいので、その提案を受けることにする。

 

「了解した。まぁ、その前に、顔を洗っておくといい」

 

 そう言って、何処から取り出したか判らない、温水の入ったプラスチック桶やタオルにコップ、歯ブラシなどを残して部屋を出て行く男。

 部屋に残された私たち二人。

 

「さて、この後どうなるのかしらね」

 

 なんて、無責任に聞こえるような事を言われる。

 

「なるようにしかならないわよ」

 

 こちらも無責任な事を言い返す。

 今回の聖杯戦争で、私は()()()()()()()()()()()()()

 それが、私がアイツを──────暗殺者(アサシン)を召喚した時に決めた方針。

 

「まぁ、そうね」

 

 私の目線に気付いたのか、申し訳なさそうにするサーヴァント──────()()()()()()

 

本人(あなた)には日常を守る責任がある。

 対して、偽物()には(アキラ)を守る義務がある。

 だから──────」

「分かってる」

 

 贖罪のような言葉を遮る。

 

「そんな事は分かってるのよ」

 

 こんなに無力感を感じたのは何時ぶりだろうか。

 だからこそ──────

 

 

「頼んだわ私──────いえ、()()()()()

 

「そんな事いまさらよ」

 

 

 臍を噛む私に、一瞬戸惑った顔をしたが、こちらを安心させるような誇らしげな笑みを浮かべるキャスター。

 

「安心しなさい私──────マスター。

 私たちにはセイバーやランサもいるし、(アキラ)本人もアーチャーとして呼ばれている。宝石剣を宝具として持っている私と成金女がいるから魔力供給に不安はない」

 

 正直、過剰戦力だから安心しろ、と言われる。

 だが、それでも──────

 

「それでも心配なのは分かるわ」

 

 読まれていたか。

 

「なら、(アキラ)を信頼しなさい」

 

 ──────そうか。

 それならば安心だ。

 あの子なら、何があっても帰って来てくれるに違いない。

 

 ──────まるで、あの時のように。

 

 

     †

 

 

「熱いから気を付けろ」

 

 そう言って紅茶が差し出される。

 

 

 差し出された紅茶に、「ありがと」とお礼を言って、口を付ける。

 起きたばかりで本格的に動いていない、低血圧な私の頭に多幸感を伴って染み込むような、そんな飲みなれた味。

 

 

 遠くから二人の足音が聞こえてくる。

 

 ──────その足音は私に日常を伝えて来る足音なのか。

 

 飲みなれた紅茶の香りを堪能しながらそんな事を考えた。冬の朝だった。

 

 

 




 ──────三話。一章の2に続く。


『過去/第四次聖杯戦争終結後』

・ 間桐■■(■■■):第四次聖杯戦争に参加した魔術師(マスター)
       アサシンを召喚。第四次聖杯戦争から生還。

・ 暗殺者(アサシン):第四次聖杯戦争に参加した英霊(サーヴァント)
      間桐■■に召喚された。第四次聖杯戦争から生還。

『現在/第九次聖杯戦争開幕前夜』

・ 遠坂(■■):第九次聖杯戦争に参加する魔術師(マスター)

・ 暗殺者(アサシン):第九次聖杯戦争に参加する英霊(サーヴァント)


 ──────という訳で回想回でした。長らく投稿出来てなかった割に短い、というツコッミはやめてください(怯え)。
 予告通り、今回から新章です。
 一章での抜けていた部分や裏側、サーヴァント及びマスターなどの登場人物紹介とかがメインとなります。


 さて、言い訳です。
 書きにくくて、書いたり消したりを繰り返した、とかも在ります。が、基本的にリアルが忙しかった、というだけのことです。実験とか、教職とか、合宿とか、イベントとか、FGOとか、ボックスガチャとか……アレ?
 時間なくて書けない⇨設定だけ溜まっていく⇨設定忘れが怖いのでPCの保存⇨設定の粗が気になる⇨設定を練り直す⇨時間が無くなる──────というアホな事をしたりもしました。設定だけなら聖杯戦争が三回ぐらい出来るくらい。

 ……我ながら迷走具合が可笑しい。
 言い訳で自分の首を絞めかねない件。

 あなたが本話を読んでいる頃、私は──────OBに酔いつぶされているでしょう。
 初めて予約投降をしました。初利用なので若干不安ですが、便利ですね。

 俺、宴会(徹夜)が終わったら──────六時ごろに朝帰りして、起きた後にエイプリルフール企画を楽しんで、録画しているLast Encore見るんだ……。そして───そして、三日までに教職の書類を完成させて、四日に学校が始まって、帰ったらアナスタシアやるんだ……。……やばいな。希望の花生えそう。
 今日(4/1)投稿しなかったら、アイフェエエエ!アイフェ!?アイフェナンデ!?などと遊んだり、アナスタシアが尊すぎて北海道民呼びして遊べなかったり出来ないから頑張りました。キャスターの真名が師匠だったら千里眼持ってるからグランドキャスターだなぁ……なんて考えながら頑張りました。



 次回更新は来月には投稿する予定なので、よろしくお願いいたします。







 ──────あ、Extraの二次も同時に予約投稿しました。良かったらどうぞ。

 …………石を投げないでください(震え)。

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