合宿から帰って来てから具合が悪い、藤城です。
さて、今回は説明回も兼ねているので、タイトルのようになっています。
また、道教や仙人の説明がありますが、一部独自解釈があります。あらかじめご了承ください。
遠坂晶のチートの説明その2(多分)。キーワードは『■■■(三文字)』です。
それでは、どうぞ。
武家屋敷の土蔵。
開放的な造りの日本家屋は、魔力が散逸しやすい、という欠点があり、大魔術───今回行う
だが、木造平屋な日本風の家屋でも開放的ではない、閉塞的な場所もある。
例えば、今いる土蔵のような。
ここはかつて幾人もの魔術師に受け継がれてきた工房だった。
最後にその工房を用いた魔術師は■■■■──────遠坂晶の実の父親であった。
床に残るのは膨大な魔力によって焼き付いた魔法陣の跡。
もちろんだが、
とはいえ、これを利用したほうが簡単なのは自明の事だろう。
──────さてと。
コートの中から、大小さまざまな布を取り出し、魔法陣の痕跡の周りに敷いていく。
布に刻まれているのは様々な魔法陣。
更にコートから透明な───トレーシングペーパーのような───使い捨ての、特殊な紙を取り出し、先ほどの布や魔法陣の痕跡の上に敷く。
次に取り出したのは、十数個の小粒の宝石。
光源の少ない土蔵の中でも、なお煌めくそれらは、魔術師の手の中で液化する。
錬金術と宝石魔術によって操られた液体は透明な紙の上に緻密な
──────準備完了。
思ったより準備が早く終わったのか、青年は一息入れることにした。
彼は土蔵の中を懐かしそうに見渡し、中央の魔法陣の跡に手を伸ばす。
その魔法陣は、まだ召喚の魔法陣として成立していないので、召喚は行われない。
──────閃光が、旋風が舞い散る月下の召喚──────
──────涼やかな青白い月光と、風になびく金砂の髪──────
──────凛とした美貌の、蒼銀を纏う女騎士は小さく口を開く──────
ノイズ塗れの
脳裏に映るは何時かの記憶。
誰が見たものなのか、あの美しい騎士が誰なのかは知らない。
──────だが、
魔法陣の跡から手を放し立ち上がる。
召喚の予定の時刻までもう少し。
締め切られた扉の向こうには満天の星空があった。
──────現在判明している参加者の情報だが…………。
──────教えてくださいっ。
──────よし。先ずはだな…………
お前以外の6人の内、アインツベルンと間桐の2枠は既に確定している。
そして残る4枠の内3人までの情報を手にしている。
──────凄いです教授。そこまで分かったら事前準備としては最上に近いではないですか。
──────そこまでの事ではない。その3人の内二人は事前に通達が有った。
──────それでも凄いですよ。俺では手に入れることすらできなかった情報なんですから。
──────…………フン、まあいい。さて、誰から話したものか。
うん?情報量の少ない順……か。分かった。
先ずは、アトラス院から一人。
先方曰く、”プロビデンツ”の運用実験。
そもそもアトラス院は優れた魔術回路を持つものが少なく、そこの魔術師
だが、アトラス院には『自らが最強である必要はなく、最強であるものを作り出せばよい』というコンセプトが有る。
その考えから、錬金術師の集団であるアトラス院は数多くの『兵器』を作り上げてきた。
そして今回の件についてだが、アトラス院が錬金術師の集団であることや、奴らの宣告の言葉尻を捕らえると、
正直、『
そもそも、アトラス院は『自己の研究は自己にのみ公開する』という規律が、有名無実化しているとはいえ、時計塔よりは徹底されており、その『兵器』の情報が流出することさえ稀だった。
今回、何故彼らが大々的に公表したのかは分かっていない。
だが、推測するのならば、
もしこの推測が真実ならば、その性能は計り知れないだろう。
召喚の触媒は候補が多すぎる。一覧を資料として渡すから、飛行機の中ででも読んでおけ。
次は、今次の聖杯戦争の開催地の杉羽良及び付近の土地の
──────
管理は確りと行はれているとはいえ、本来ならこの男はセカンドマスターに、しかも杉羽良のような霊脈の強すぎるような、重要な場所の担当に値するほどの魔術師ではない。
この男がセカンドマスターに任命された理由は、この土地で16年前に行われた亜種聖杯戦争だ。
元々、杉羽良はそれほど霊脈の強い土地ではない。…………そうだな、どれ程過大評価しても、冬木より勝るという事は無い、という程度だった。
5騎のサーヴァントが召喚された、その亜種聖杯戦争において、杉羽良のセカンドマスターを務めていた一族が没落。
この戦いにおいて、
その戦いの後、杉羽良の霊脈が
それと並行して、時計塔は野蒔夜栖をセカンドマスターとして認定した。
この男が聖杯に依ってどのような願いを叶えたのか、詳しいことまでは分からない。
しかし、その願いが魔術師としての願いならば、全ての魔術師の天敵である、今のお前の敵ではないだろう。
触媒については、何かを取り寄せた、という情報は一切知りえない。
本人との相性での召喚。又はお前のように、元々持っているかだろう。
最後は時計塔から。
召喚科の一級講師、バーナード・ライナス・タウンゼント。
この名前はお前も知っているだろう。
というより、こいつが一級講師になった要因の一つはお前だからな、向こうもお前のことをよく知っているだろう。
触媒についてだが、特殊な召喚をする為、不要とのことだ。
聖杯戦争において、
基本となるクラスは、
その中で、
そして、三騎士以外の四つの枠は基本となるクラスとは異なるクラス、エクストラクラスとして呼ばれることがある。
エクストラクラスの例として、冬木の
ところで、特定のクラスで
──────それならば、エクストラクラスで意図的に、
私、バーナード・ライナス・タウンゼントは道教における、仙人、という存在に目を付けた。
仙人とは道教における不滅の存在であり、神と同一視されることも有る。
本来、仙人は不老不死であるために英霊の座に登録されることは無いが、何かの要因によって『仙人の力を失った、元仙人』だったら召喚は可能だろう。
そのような『元仙人』であっても、サーヴァントは全盛期の状態で招喚される為、『仙人の状態』で招喚される。
聖杯戦争のルールでは東洋の
これから行う召喚では、道教に関係しない、つまり中華を中心とした東洋の英霊以外が現れることは無い。
もし、仙人を呼ぶことが出来たのなら、そのクラスは
仮に失敗して、エクストラクラスで
例えば、道教において神に祭り上げられた
場所は、杉羽良にある霊脈の側に、半月の時を掛けて作成した地下工房。
そして、目の前には
さて、始めよう。
──────『
これを知った時、この聖杯戦争に参加しようと思ったことを後悔し、直後に大きな機会だと思いなおした。
この男の持つ『遺産』や『簒奪物』を手に入れれば、我々の研究にどれ程の助けになるだろう。
無尽蔵に、無秩序に、無頓着に振るわれるそれら。
たとえ断片だとしても、私たちにとっては探求という暗闇に差し込んだ一筋の光なのだ。
そもそも、私が召喚科の一級講師になれたのは、あの恐怖の具現とでも言うべき男が、
その時殺された魔術師の中に、偶然私の前任がいた。
詰まるところ、私はただおこぼれを貰ったに過ぎないのだ。
実のところ、一連の行為の証拠も理由も分かっておらず、犯人も正確には分かっていない。しかし、実行犯はほぼアイツで確定している。
現代魔術科のロードに匿われたことで、うやむやになってしまったが。
──────
この男には勝てない。
強固な工房を作り上げても、幾人もの手練れを集めても、あの男はその全てを突破し、撃破した。
数少ない例外として、当代の執行者最強の一角と言われる極めて強力な封印指定執行者がいるが、あの女でも殺すことは出来なかったと聞く。
因みにその時は、依頼者を皆殺しにして逃げ切ったと聞く。その中の一人が私の前任だったのだが…………今だけはどうでもいい。
これらの事を総合すると、遠坂晶の打倒には究極の『個』を以って当たるしかない。
そう、例えば──────。
光が溢れる。
聖杯戦争におけるサーヴァント召喚のシステムに則り、英霊の座から一人の稀人が招かれる。
そこにいたのは、小柄な人影。
──────圧倒的な存在感を放つ存在。
──────サーヴァント。
聖杯戦争において最も必要な
「─────問おう、──────」
口を開く。その一言はこの領域を支配する。
「──────お前が俺のマスターか」
この瞬間。私、バーナード・ライナス・タウンゼントの聖杯戦争の幕が開ける。
時計塔に渡ることが決まった時、俺は一つだけ『わがまま』を言った。
──────旅をしたい。
表向きの理由は父親の痕跡を辿りたいから。
本当の理由は知れなくてはならない事があったから。
自分は何が出来るのか、何をしなくてはならないのか。
──────どうすれば、自分の身を守れるのか。
さて、旅と言ってもその経路は非常に単純。
──────飛行機などの空路を一切使わずに時計塔に──────否、ヨーロッパにたどり着くだけ。
東シナ海を船で渡り、ヒマラヤを踏破し、インドを横断し、紛争地帯を駆け抜け、鉄道に揺られる。
当たり前ではあるが、
──────そして、『旅を通して得たもの』が無ければ、俺は時計塔で何度も命を落としていた。
これは分かり切ったことだった。
そして恐らく、母親
そうでなければ、単なる『わがまま』で二年間も留学を引き延ばすはずがないのだから。
■■■■の息子。
それだけで、狙われる理由は十分だった。
いや、正確には『■■■■の魔術の全てを引き継いだ
──────殺してでも奪い取る──────
時計塔は魔窟だった。
敵対者を殺す…………だけでは足りなかった。
自らの力を、敵意を、恐ろしさを示す。
遠坂晶に戦いを挑んでも無駄死にするだけだ、という事を骨の髄まで理解させる。
その為に、襲い掛かってきた相手の魔術刻印や礼装を全て奪い、『残骸』を中途半端に焼くことで証拠をある程度残す。
──────奪った魔術刻印は、全て俺に移植した。
俺の──────遠坂晶の起源は『解析』と『構築』の二つ。
その二つを兼ね備える俺の起源を言い換えれば、適応。又は、学習。
どのような毒や精神汚染、拒絶反応も俺には効果を示さない。
それらの構造を『解析』し、その解決策を『構築』すれば、多少時間は掛かるが、それらの全ては無力化される。
──────本来、膨大な記憶を持つであろうそれらから読み取れた記憶は、人間性に乏しく、一辺倒な物ばかりで非常に薄く、何処か味気ないものに感じられた。
とは言え、『一代で固有結界に至った魔術師』に匹敵する魔術師などまずいないだろうし、『その男』より記憶の親和性(とでも言うべきナニカ)が高い人物もいない事から、当然の事ではあるが。
宝石の属性を利用することで多彩な魔術を操ってきた。
しかし、取り込んだ無数の魔術刻印に刻まれた魔術を全て『解析』し、新たに『構築』することで、ほぼ全ての属性及び系統の制度が飛躍的に向上した。
そして、当然のことながら反感を買う。──────狙い通りに。
──────その全てを叩き潰した。
一連の騒動は半年に渡って続き、終止符を打ったのは──────最強の執行者。
初めて、
戦闘を初めてすぐに勝てないことを悟った。
俺の持ちうる全てを利用し、何とか逃げ延びた。
先に結論を言うと、正式な方法で彼女に命令が下されていたら、俺が死ぬのは時間の問題だった。
具体的には、依頼者──────敵対者をその関係者ごと粛清した。
件の封印指定執行者結果があまり乗り気ではなかったことも有り、彼女には殺されなかった。
しかし、新たな敵対者が現れることを予想するのは非常にたやすく、俺は何れ死んでいただろう。
──────”教授”が庇護してくれなかったら。
──────俺への襲撃が始まってからの半年、魔術に関係する人の中で初めて、人道的な面で接触してきた人物だった。
それからの一年半で、教授に『魔術師としての振舞い』を叩きこまれた。
俺にとっての”魔術師としての祖”は彼以外には存在しないのだ。
─────気が付けば、召喚予定時刻の直前となっていた。
物思いに耽ってしまうことは悪い癖であることは自覚している。
さて、気持ちを切り替えろ。
先ほどよりも、幾分か高価な宝石を溶かし、中央の『魔法陣の跡』を『正式な魔法陣』に作り替える。
魔術回路を完全に励起。
戦闘時を除いて厳重に掛けている、『■■■■の魔術刻印』の封印を完全に解く。
続いて、
──────始めよう。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公」
──────詠唱を始める。
──────魔法陣に、魔力に起因する光が強く走る。
「祖に──────」
──────一息。
「祖に我らが恩師、グレートビックベン☆ロンドンスター」
──────彼なりの敬意を彼なりに誤魔化しながら、詠唱は続く。
「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
──────一言一言区切りながら詠唱を続ける。その一言一言に思いを込めるように。
「
──────次第に魔力の消費が激しくなり、
「繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
──────それに応じるかのように魔法陣の放つ光が強くなる。
「────告げる」
──────大きく、息を吸う。
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
──────赤光が舞い、旋風を招く。
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
──────激しい魔力消費に体が悲鳴を上げる。
「誓いを此処に」
──────魔術回路が限界まで酷使され、体は激痛を訴える。
「我は常世総ての善と成る者」
──────だが、それは当たり前の事。覚悟は初めから出来ている。
「我は常世総ての悪を敷く者」
──────この聖杯戦争に参加する事も、魔術師として生きることも。
「汝、三大の言霊を纏う七天」
──────余りの光量に、その光が魔法陣が放つ光なのか、それとも単純に意識を失いつつあるのか分からなくなる。
──────魔法陣は与えられた役割を果たすため、限界を超える魔力をつぎ込まれながらも、最後の瞬間まで耐え抜いていく。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!」
──────全てが弾け飛んだ。
初めに光が目と体を焼き、直後に暴風が襲い掛かる。
衝撃の激しさに、失いかけていた意識が一瞬で覚醒する。
──────目を開けた時、そこには一人の騎士が立っていた。
まだ、召喚の余波である光と風が吹き荒れる中、その騎士は告げる。
「─────サーヴァント、ライダー。召喚に従い参上しました。
問おう、──────」
──────貴方が私のマスターか。
それは、遠坂晶が見た
彼が、第二魔法の使い手に連なる家系の血を引いており、また、ほんの一端とはいえ、それを使いこなすことが出来ることが原因で偶然たどり着いた、
目の前の騎士は、身長などの体格は異なるが、その時に見た女騎士とよく似ていた。
・
杉羽良の地のセカンドマスターを務める魔術師。
第九次聖杯戦争における、三人目のマスター。
・ バーナード・ライナス・タウンゼント
時計塔における召喚科の一級講師。
第九次聖杯戦争における、五人目のマスター。
今回例に挙げた斉天大聖は仙人という過程を通して神になったわけではないです。
また、冬木の聖杯戦争でアヴェンジャーが召喚されたことは明らかになっています。
さて、今回もそこそこ長くなってしまいました。
体調があまり良くない事やもうすぐ夏季休暇が終わることなどから、次回の投稿は未定とさせていただきます。
申し訳ありませんが、『待て、しかして希望せよ』な気分でお待ちいただけると幸いです。
最後に騎乗兵のステータス(一部)を掲載します。
クラス:ライダー
マスター:遠坂晶
真名:?????
属性:中立・善
性別:??
【ステータス】
筋力:C 魔力:A
耐久:B 幸運:A
敏捷:B 宝具:B+
【クラススキル】
・ 対魔力:A
Aランク以下の魔術を無効化する。
現代の魔術師が、魔術でダメージを与えるのは非常に困難。
宝具【?????】によってランクが大きく向上しており、通常はCランクである。
・ 騎乗:A+
騎乗の才能。
幻獣・神獣の類でも乗りこなすことが出来る。
ただし、竜種は該当しない。
【保有スキル】
・ ???:?
??????????
・ ???:?
??????????
・ ???:?
??????????
【宝具】
・ ?????
ランク:D 種別:対人(自身)宝具
レンジ:0 最大補足:一人
?????
ステータス隠蔽効果があり、宝具の大部分と保有スキルを隠蔽する。??????。
また、外見から本来の性別を知ることが困難になる。
・ ?????
ランク:C++ 種別:対人宝具
レンジ:? 最大補足:?
??????????
・ ?????
ランク:B+ 種別:対軍宝具
レンジ:? 最大補足:?
??????????
・ ?????
ランク:EX 種別:??宝具
レンジ:? 最大補足:??
??????????
今回も読んでいただきありがとうございました。
次に会える時を楽しみにしております。