時を跨ぐ私は猫又   作:クラサナ

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遅くなってしまいました。゚( ゚இωஇ゚)゚。すいません




先生

「凜々蝶様・・・本当にいってしまわれるのですか、僕を捨てて・・・」

 

「すぐ戻る」

 

「すぐとは・・・?離れている間の一瞬が千秋のように感じてしまうのに・・・」

 

「君」

 

「凜々蝶様・・・っここでずっとお帰りをお待ちしております・・・!!」

 

 

「トイレぐらいは普通に行かせんか!!」

 

ここはとあるデパート、何故こんな所にいるかというと、3時間前に遡る

 

反ノ塚と朝ごはんを食べている凜々蝶、甲斐甲斐しく反ノ塚のこぼしたカレーうどんの汁を拭いてあげたりしている

ここは妖館、先祖に妖怪の血が混じる一族の先祖返り達が集うマンション

凜々蝶達先祖返りは純粋な妖怪に疎まれ狙われている、だからこのマンションがつくられたのだ

 

 

「おまえ仲良くしてんじゃん、最初はすぐ解雇すんのかと思ったけど」

 

「・・・・・・・」

 

御狐神は凜々蝶のシークレットサービスを務めている人で、凜々蝶の素直じゃない心を温めてくれる人である

 

 

『僕は変わらなくてはいけない、自信を得て真っ当に人と関われる自分になるまでは・・・それまでは1人でいないと・・・・・あの時のように、先生を・・・・・それに人を傷つけるだけだ・・・・』

 

『(先生・・・・?)僕は凜々蝶様といて不快な事など全ありませんよ』

 

『そ、そんなことあるか!それに僕は冗談も言えないし話の種になるような趣味もないし・・・君だってすぐ飽きる・・・』

 

『では

試してみましょう』

 

 

 

というように、凜々蝶を癒してくれたのだ

あぁ、そうだ

この話によく登場する先生というのは、凜々蝶がイジメらてるのを見て助けてくれ、そして家の見返りなんて求めない凜々蝶が大好きで憧れていた先生である

 

「ふん、べつにまぁいつまで持つかは知らんがな」

 

「お、なになに気に入っちゃった?良かったじゃん、仲良なさいよやっと出来たお友達、ママ嬉しいわりりちよちゃん、凜々蝶が大好きだったあの先生は友達ではなかったもんな」

 

「ち・・・・・違う!」

 

「困った時はアレだおまえの〔必殺☆言いにくい事は文に認める〕みょ~~~~~~にスナオなんだよな文面だと。あれキュンときたよ?」

 

「忘れろ!言っただろう、あれは字の練習だと・・・・・先生のは違うが」

 

「へいへい」

 

「それと、これ、カレー染みに」

 

「おー(律儀なんだよななぁ)」

 

 

と、そんなこんなで、御狐神と朝の挨拶

朝ごはんをと勧めた御狐神にもう食べたと伝えた時の反応がとても面白かった。

それからそこに反ノ塚が合流し、3人でお出かけに行くことになった・・・・・

 

 

 

そんな経緯で現在に戻る。

 

 

 

 

「お二人は仲がよろしいのですね」

 

凜々蝶と反ノ塚の会話を聞いて、急にそんな事を言い出した御狐神

 

「は?君の目は節穴か 」

 

「まーな、付き合いも長いし、まー俺は凜々蝶にとってお兄さんみたいなもんかな」

 

「ただの近所のな」

 

「こいつ周りに敵つくりまくりじゃん、ついつい頼れるお兄サンやっちゃうみたいな?」

 

「近所の ただの な」

 

「先生が学校やめてからは更にな、お兄様って呼んでいーぜ」

 

「凜々蝶様のお兄さまのような方でしたら是非そのように・・・・」

 

「呼ばんでいい」

 

「いいじゃんりりちよ、先生だって俺のこと兄貴みたいだって言ってたし」

 

「せ、先生がか?」

 

 

未だに頭に乗せられている手をどかそうとした凜々蝶は、先生という言葉に異様に反応を見せていた、そんな凜々蝶の様子が気になったのか、御狐神は先生と呼ぼれる人について聞いてみることにした

 

 

「以前から気になっていたのですが、先生・・・・とは、いったいどなたの事なのですか?」

 

あそこまでして、人を拒絶していた凜々蝶が唯一名前を出し、なおかつ優しい笑みをしていたのだ、それは気になるだろう

 

「なに、りりちよお前言ってないの?あんなに大好きなのに?」

 

「・・・言う必要はないと判断した、だが御狐神君がそこまで気になるというなら、教えてやらんこともない・・・・・」

 

「またまたぁー聞いてほしいくせに、先生の事」

 

 

そんな言い争いをしながら、3人は近くのベンチに腰掛ける、勿論御狐神も隣に座らせた

 

 

「それで?御狐神さんは何を聞きたいの?」

 

 

「はい・・・・凜々蝶様が、何かある度にその名を口にしていたので・・・・・先生とは、いったい」

 

 

「先生は・・・・・僕がまだ小学生だった頃の副担任だった人だ、誰にでも隔てなく接してくれる先生が、僕は大好きだったんだ・・・・・・」

 

 

凜々蝶は尊敬するような、寂しそうな顔で、先生の事を語っていた

 

 

「俺もりりちよとよくつるんでたから、その先生の事はだいたい知ってるんだけど・・・・・なんつうか、変わった人だったかな」

 

「僕もそう思う、先生は僕達の家柄なんか関係無しに僕達を助けてくれた」

 

「いっつもりりちよの隣にいてさ・・・・・・周りの皆が嫉妬するぐらいりりちよはベッタリ」

 

反ノ塚があの頃を思い出しながら苦笑いをする、いつもはここで反発する筈の凜々蝶もその時は何故か大人しかった

 

「お優しい方だったのですね、その先生というお方は・・・・その人の名前を聞いてもよろしいでしょうか」

 

「そうだな、その先生の名は・・・・・・又星 満(またほし みつる)と言うんだ、男のような名前だが、満先生は綺麗な女性だったんだ」

 

 

満の話をする時、凜々蝶は満面の笑みで語っていた

お綺麗な方なんですね、と御狐神が返せば

多少興奮した様に、満の事を語って見せた

 

 

「そろそろ暗くなってきたなー」

 

「・・・・すまない、僕の話に付き合わせてしまったな」

 

「大丈夫ですよ凜々蝶様、凜々蝶様のお話はとても楽しいものでした」

 

「そうか・・・・」

 

 

 

満の事を話していると、あたりはいつの間にかオレンジ色になっていて、凜々蝶は申し訳なさそうに俯いたが、御狐神が楽しかったと言えば、その顔は明るく照らされた

 

 

「では、帰りましょうか」

 

「そうだな」

 

 

 

その後、無事に妖館に到着したものの

髏々宮が帰ってきていないと知り、3人でまた外に出る、初めて買った携帯の使い道が人探しに使われるなんて思っても見なかっただろう

 

髏々宮を探そうと反ノ塚が一反木綿に姿を変え、風に飛ばされながら探すという、本気で飛ばされていることに気付いた凜々蝶が、反ノ塚を追おうとした瞬間

足元から、黒い壁のようなものが出てきた

 

 

 

「凜々蝶さま!」

 

 

御狐神が叫ぶもそれは遅く、凜々蝶は黒い壁に飲み込まれた

その瞬間、凜々蝶は見たのだ

 

 

 

 

 

 

自らを身分を捨ててでも守ってくれた、先生の背中を

 

 

 

 

 

 

『見つけた』

 

 

 

 

 

「なんだここは・・・!?それにさっきのは・・・・いや、気のせいだろうな」

 

 

 

先生によく似た背中に動揺を見せた凜々蝶だったが、すぐに考えを改めて数歩後ろへ下がる、とんと背中に当たるものが壁だということに気付いた凜々蝶は、何の妖怪か検討がついた

 

 

「凜々蝶さま!凜々蝶さまご無事ですか!?」

 

 

「おいおいどうしたよコレ」

 

 

こちらは、凜々蝶がいなくなって慌てている御狐神と相変わらずのんびりな反ノ塚

凜々蝶を閉じ込められて怒った御狐神は変化して刀をその手に握った

 

 

「おーい、りりちよー」

 

「反ノ塚!」

 

「無事か?」

 

「ふん、愚問だ

これはただの〔塗り壁〕だ、夜道に現れ道を塞ぐというそれだけの妖怪だ」

 

 

凜々蝶の様子を見てくるように言われた反ノ塚は、凜々蝶に説明されて、安心したのかその場で横になり始めた

 

 

「順応力高すぎだろう」

 

 

突っ込む凜々蝶に反ノ塚は半分冗談だと返して、凜々蝶と再び話し出す、凜々蝶は御狐神が買い物に付き添ってもらっただけで嬉しそうにしていたのを思い出しす

 

 

「ふん・・・こんなもの・・・破って通ればいい」

 

 

化け狐と鬼に変化したふたりは、同時に走り出し塗り壁を切り捨てた

その後何処からともなく鳴り出す携帯を取り出して、髏々宮が帰ってきたとの連絡を受ける

 

 

「おかえりなさーい&妖館へようこそ♡」

 

 

帰るとクラッカーを鳴らされ歓迎会だと聞く、凜々蝶はまた人を不快にさせると思って遠慮しようとしたが、それが御狐神の為でもあると聞いて、歓迎会を一緒にする事にした、その日の夜に凜々蝶は買った携帯で初めてのメールを送る事に成功したのだった

 

 

「(メールって手紙と違って読み返せるから恥ずかしい・・・・!)」

 

 

そんな凜々蝶の2日間を御狐神に見つかることなく見守っていた人物があった

 

 

『よかった、心配していたのだけれど・・・・・大丈夫みたいね』

 

 

黄金色の猫目を光らせ、ベランダの手摺に優雅に座る黒猫が、赤面している凜々蝶を優しく見つめている

 

 

「先生にも、会いたいな」

 

 

顔を赤くしながらも先生を思っている凜々蝶に黒猫は更に目元を緩ませた

 

 

『もうすぐ会えるわ

 

 

待っていて、凜々蝶』

 

 

 

かすかなその声が、凜々蝶の耳に届き

顔を上げると、とても美しい満月が顔を覗かせていた

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