「ふーん・・・コイツが怪しいな・・・他は多分ダミーとかフェイクだろうけど。」
ファイルの中から一人の女性の写真を見る。名前は 桜音 葵《サクラネ アオイ》
令嬢のようで本丸も金、財力で手に入れたようだ。
「にしてもこれはないわあ・・・」
そのブラック本丸リストによると、刀剣男士への過剰な命令。休息を与えないだけでなく、
怪我の治療もしない。この前本丸に捜索が入ったらしいが成果は出なかったようだ。
「そんな知能犯に真っ正面から向かっても意味ないでしょうに・・・」
ため息をついて資料を元に戻し少女は資料室から退出した。
「また潜入捜査になるかな・・・太郎太刀、留守番お願いしていいか?」
彼女は背中の大太刀を正面に持ち話しかける。
「・・・って聞かなくても大丈夫だったね。」
少女は薄く笑みを浮かべて鞘を撫でた。
「さて・・・また手続きしなくちゃダメですね・・・面倒ですけど。」
いつもと変わらない、その事実に少女の表情は皮肉じみた笑みへと変わり、再び歩き出した。
「作戦とかはあっちで考えるかな・・・」
その足並みは軽く、儚く、どこか消えてしまいそうなほど不安定だった。
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新月の夜、一人の女は問う
「私の事、愛してる?」
男は答える
「無論、大嫌いだ」
女は愉快そうに口角をあげて、その幼い顔に似合わないほどの邪悪な笑みを浮かべた。
そして、手に持っていたその包丁で男の体に傷をつけた。
男「~ッ!?」
男はその痛みに耐え、気丈にもその女を睨んだ。
女「・・・その反抗的な態度は嫌い。こんなに愛してるのに、どうして答えてくれないの?」
冷たいその目が、光のない目が男を捕らえる。
まるで、自分こそが正しいとでも言うように。
男「何でだろうな?・・・ただ一つ言えるのは、」
俺は、お前のような女が嫌いだ。
女「へえ・・・後悔しても知らないわよ?私、執念深いのよ。」
男「分からないのに反抗などしないだろう・・・何より、俺がお前に屈する事などない。」
女「見た目が美しいだけじゃなくて、心も強いのね・・・でも、それが折れる瞬間が楽しみだわ。」
女はクスクスと笑い、追い討ちをかけるかのように言葉を紡ぐ。
女「今度、見習いの女がこの本丸に来るのよ」
男「ッ!?」
女「安心して頂戴、前と同じようにたっぷり私が遊んで」
壊してあげる。
女はケタケタと笑う。男は悲しそうに、悔しそうに顔をふせた。
小さな箱庭の王女は夢をみる自分が美しき三日月の王子に愛される夢を。
一人、暗きその部屋の中でまるで人形のように。
久々の更新です・・・短い。
男と女については大体検討がつくと思うのであえて伏せておきますね。