インフィニット・オーケストラ   作:剣とサターンホワイト

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明けましておめでとうございます。今年も応援よろしくお願いします。

さぁ、新年1発目はクラス対抗戦から…そう言えば去年の1月ってどんな話書いてたっけ?……まぁいいや、それじゃあ、いってみよー!


1-14:必然の対決 突然の出来事

クラス対抗戦の日。結局あれ以来鈴音はまた口を利かなくなり、特訓中のアリーナにも現れなくなった。鈴音が何を望んでいるのかわからない一夏は、ずっとモヤモヤしたままこの日を迎えたのであった。

 

さて、今一夏はピットにて第1試合に向けて準備の最中である。ちなみに第1試合は一夏vs鈴音という組み合わせになっている。

 

「悩んでいるようだね」

 

そんな彼の後ろから掛かる声があった。

 

「トシさん…!?」

 

岩崎仲俊、愛称『トシ』。IS学園で3人の男子生徒の1人で、一夏の友人でもある。

 

「じゃあ、4組の専用機持ちって…」

 

「あぁ、もちろん僕()()()()()

 

「……え?」

 

「間に合わなかったんだよ、僕の専用機は。加えて言えば、僕はクラス代表でもない」

 

「……は?」

 

一夏はさっぱり意味がわからなかった。……無理もない、元々このクラス対抗戦に出場できるのはクラス代表のみ。それなのに己の目の前にいるこの男は代表ではないと言い切ったのだ。

 

「じゃあ何でここに?」

 

「なぁに、担任の命令で『代表代理で出ろ』って言われて出てるだけさ。ついでに僕ァ第2試合に出るための準備があるからねぇ」

 

岩崎は何でもないように言った。

 

「……って、ちょっと待って下さいよ、俺が悩んでるって…」

 

「だって今の君の顔、明らかに戦いに赴く顔じゃないからね。…と言うか考えてることが顔に出過ぎだよ、君の場合は」

 

言われて一夏は妙に納得してしまった。以前箒に文句があることを表情から見抜かれたことがあったからだ。

 

「まぁ悩みかどうかはさておき、今は戦いに集中しないと。さもないとリンさんにボロ雑巾にされちゃうよ」

 

「う…それは嫌だな……よしッ!」

 

一夏は自分の顔を2,3度ほど叩き、気持ちを切り替えた。ちょうどその時……

 

『第1試合、1年1組vs1年2組…出場選手はアリーナへ入場してください』

 

アナウンスが流れ、一夏はカタパルトに立った。

 

「じゃあトシさん…俺、行ってくるぜ!」

 

「うんうん、ベストを尽くすんだよ」

 

互いに言葉を交わし、一夏は出撃していった。

 

―――――――――

 

一方…

 

「織斑くん、大丈夫ですかね…?」

 

「ここしばらくは特訓に身が入っていないとお聞きしましたが…」

 

「…………ッ」

 

3人の男子生徒のうち、唯一試合に出ない竹内はセシリアや箒、その他クラスメートの皆と共に観客席にいた。竹内とセシリアは気掛かりである一夏の話をしていた。彼らは諸用により、鈴音乱入以降の特訓には参加できなかったが、特訓の様子は見学に行った人たちの噂話を聞いていた。曰く「よく壁にぶつかっている」とか、「なんかフラフラしてる」とか。

 

そんな中、箒は会話には一切加わらず、ただただじっとアリーナを見ていた。

 

―――――――――

 

さて、場所は戻ってアリーナ。一夏が出撃すると、すでに自らの専用機・甲龍(シェンロン)を纏った鈴音が待ち構えていた。

 

「来たわね、一夏!」

 

「あぁ…お前、約束忘れてないだろうな?」

 

「…アタシとの約束を間違って覚えてたアンタにそれを聞かれるなんてね…アンタこそ、この勝負の結果次第でどうなるのか分かってるわよね?」

 

「あぁ…俺が負けたら、お前の言いなりになるってやつだろ?」

 

「そうよ…で、アンタが勝ったらあの約束の意味を教える…けど、勝つのはアタシだからそこは関係ないわね!」

 

「俺を侮るなよ鈴!確かにお前に比べりゃ俺はズブの素人かもしれないが、俺だってみんなと特訓してきたんだ!」

 

互いに闘志をぶつけ合う。どうやら臨戦態勢に入っているようだ。その証拠に2人ともすでに武器を手に持っている。

 

『1年1組vs1年2組、試合開始!』

 

試合開始のアナウンスが流れると同時に2機のISはぶつかり合った。白式の雪片弐型と甲龍の青竜刀・双天牙月の鍔迫り合い、時折火花が飛び散る。

 

「っ…何てパワーだ…」

 

「アンタこそ…ねっ!」

 

鈴音が双天牙月の重さを活かして白式諸共雪片を押し退ける。一夏はなんとか体勢を整え着地する。そこに鈴音が畳み掛けるように接近し、勢いそのままに斬りかかった。しかし、単純な剣の腕なら一夏に一日の長がある。これを何とか見切り、雪片で受け止めた。それでもただでさえ大きな双天牙月、そこに接近時のスピードも加わり、振り下ろした際の破壊力は凄まじいものだ。

 

一夏は重い一撃を凌ぎきり、一度距離を取ろうと後ろへさがった。そしてそこから再接近を図ろうと飛び立ったその時…!

 

「そこッ!」

 

鈴音の声と共に肩アーマーが開く。この様子に一夏は何かを察したか、突っ込むのをやめて右へ方向転換をした。その数秒後衝撃音がし、一夏がその方向を見るとそこにはひどく抉られた地面があった。

 

「な、なんだこりゃ…?」

 

何とか躱す事はできたが、一夏は何が起こったのか頭がついていけない。

 

「へぇー、初見で避けるなんてなかなかやるじゃない。この龍咆は砲身も砲弾も目に見えないのが特徴なのに…けど、今のはジャブだからね!」

 

軽く説明したあと、鈴音はさらに攻撃を仕掛ける。一夏は襲い来る龍咆を必死に躱し続けた。

 

―――――――――

 

「な、何だあれは…!?」

 

一方その頃、観客席では箒が抉られた大地を見て驚きの声をあげた。

 

「…ねぇ、今のって凰さんが何かやったの?」

 

その他クラスメートたちもざわつき出す。

 

「……『衝撃砲』ですわね」

 

セシリアがみんなの疑問に答えた。

 

「衝撃砲…?」

 

「えぇ、私のブルー・ティアーズと同じ第3世代型兵器ですわね…中国でも搭載していらしたとは…」

 

セシリアの説明を聞いて、みんな心配そうに戦況を見つめる。

 

―――――――――

 

鈴音はなおも龍咆で攻め続けるが、一夏が回避に集中し始めた事もあり、なかなか決定打を与えることができない。とは言え、見えない攻撃を回避し続けることは容易ではなく、クリーンヒットはなくとも掠り当たりの回数は増えていく。

 

「あぁ~もう、ちょろちょろと!!」

 

元々気の短い方である鈴音、我慢が出来なくなり今までより大きな一発を放った。この一撃で優位に立ち、そのままラッシュを叩き込めば自分の勝利は揺るぎない。そう思った。

 

「ここだ!」

 

しかし、今度は一夏が瞬時加速を仕掛けた。まるで龍咆が見えているかのような回避だった。

 

「そんなっ…!?」

 

想定外の事態に鈴音は驚いて固まってしまった。

 

「勝負はこっからだ!」

 

一夏が啖呵を切り、改めて雪片弐型を構える。鈴音も双天牙月を握り直す。そして両者一斉に飛び出そうとしたその時…!

 

――ドォォォォォン!

 

何かがシールドを突き破って現れた。

 

「うわぁ!な、何だ?!」

 

謎の存在の落下してきたことで砂塵が舞い上がり、肉眼で見ることができない。

 

『試合中止!織斑!凰!直ちに退避しろ!』

 

千冬の指示が飛んだ。次第に観客席がシェルターに覆われていく。

 

「…何だ…何なんだよあれは…」

 

一夏は急な状況に呆気に取られてその場に立ち尽くしている。

 

「一夏っ、何やってんのよ!?試合は中止よ!早くピットに戻って!」

 

そんな一夏に、鈴音が通信を入れる。同時にモニターには所属不明ISにロックされたことが表示される。

 

「(あれがIS…?アイツにロックされてるのか…?)」

 

「一夏、早く!」

 

なおも動こうとしない一夏を鈴音が急かす。

 

「お前はどうするつもりだよ?」

 

ようやく鈴音の声が届き、一夏は彼女に聞き返す。

 

「アタシが時間を稼ぐから、その間にアンタは逃げなさいよ!」

 

鈴音が双天牙月を構えながら言う。恐らく龍咆の砲身も乱入ISの方を向いていることだろう。

 

「ふざけるな!お前を置いて俺だけノコノコと逃げるなんてできるかよ!」

 

「バカ!アンタの方が弱いんだからそうするしかないでしょ!」

 

またも始まってしまった言い争い。すると敵ISは鈴音に向けて何かを撃った。

 

「!!」

 

「危ねェッ!」

 

いち早く一夏がそれに気付き、鈴音に向かって突進する。その甲斐あって、2人は敵ISの攻撃を躱すことができた。一夏はモニターに表示された今の攻撃についてのレポートを見た。

 

「…ビーム兵器かよ……それもセシリアのヤツより出力が断然上だ…!大丈夫か、鈴!」

 

「あ、ありが……って、何してんの放しなさいよ!」

 

「わっ、バカ暴れるなって!」

 

鈴音が暴れるのも無理はない、彼女は今一夏に抱き抱えられているのだ。それもご丁寧に所謂"お姫様抱っこ"でだ。気になる男にそんなことをされて冷静でいられるほど鈴音は大人じゃなかった。そんな彼女が暴れるせいで、一夏の飛行高度はどんどん不安定なものになっていく。それでも一夏は敵の攻撃を何とか掻い潜り、攻撃が止んで一息ついたところでやっと鈴音を解放した。

 

その時、通信が入った。

 

『織斑くん、凰さん!今すぐアリーナから離れてください!』

 

それは管制室の真耶からのものだ。

 

『あとは教師部隊が、あのISを抑えます!だから2人は早く撤退を…!』

 

真耶は必死に2人に撤退するように促す。しかし…

 

「ですが先生、アイツはシールドを破ってここに乱入してきました。今ここで俺たちが逃げたら、他の生徒のみんなに被害が出てしまう……だから俺たちが残って食い止めます!」

 

『そ、そんな!ダメです!生徒の皆さんに何かあったら…』

 

真耶がそこまで言いかけたとき…

 

「来るわ!」

 

「ッ…!」

 

敵ISのビームが襲い掛かる。

 

「あっちはやる気満々みたいね…やるわよ、一夏!」

 

「おう!」

 

2機のISが乱入者との攻防を開始した。

 

―――――――――

 

「もしもし織斑くん!?聞こえますか!?凰さん!?」

 

真耶が必死に呼び掛ける。が、通信を切られているのか、2人ともまるっきり反応がない。

 

「……本人たちがやると言っているんだ、やらせてみよう」

 

ため息を吐きつつ千冬がいった。

 

「織斑先生…何を呑気なことを」

 

「落ち着け、コーヒーでも飲め。糖分が足りないからイライラするのだ」

 

千冬は新しくコーヒーを入れる。そしてスプーン2杯の白い粉をそこに混ぜる。

 

「あのー、…織斑先生?それは…」

 

「何だ?」

 

千冬がそのコーヒーを飲もうとカップを口元へ運ぶ。だがそれは…

 

「非常に申し上げにくいのですが…それ、お塩ですけど……?」

 

「…!?」

 

千冬はすんでのところで手を止めた。そう、真耶の言う通り、千冬が混ぜた白い粉。それは砂糖の隣に置いてあった塩だった。……それにしてもいったい誰がこんな紛らわしいもの同士を並べておいたのか……?

 

―――――――――

 

少し時は遡り、観客席では…

 

「な、何!?」

 

「攻撃が逸れたの?」

 

「隕石が落ちたの!?」

 

突然の事態に、多くの生徒が慌てふためいている。

 

「何がどうなっていますの!?」

 

「シールドを突き破って何かがっ…!?」

 

セシリアと竹内もビックリして頭が回らない。

 

『観客席にいる生徒は直ちに退去、避難せよ』

 

避難を促すアナウンスが流れ、生徒が出口に向かって殺到する。しかし、また問題だ。一向に人の数が減らない。

 

「どうかなさいましたの!?」

 

セシリアが出口付近まで人の波をかき分け、周囲の生徒に事情を尋ねる。

 

「セシリア!?ドアが開かないの!」

 

「何ですって!?」

 

実はあのISが乱入した後、遮断シールドのレベルが4となり、出口となる扉が全てロックされたのだ。お陰で現在、誰1人逃げられない状況となっているのだ。現在、3年生の精鋭たちがシステムクラックを実行中である。

 

「仕方ありませんね……皆さん、お下がりください!」

 

セシリアはブルー・ティアーズを展開し、ビット兵器の集中砲火でドアを破った。そこから付近の生徒は脱出していく。

 

「ユートさん、ユートさん!」

 

セシリアはISの通信機能を使って竹内に呼び掛ける。

 

『は、はいっ!』

 

「どうやらこの人混みの原因は閉ざされた扉ですわ。私たちで扉を破りますわよ!」

 

『えっ!?そんなことやっちゃっていいんですか!?』

 

「この非常事態ですのよ!皆さんの避難が優先ですわ!」

 

『…!わかりました!』

 

竹内は意を決して承諾した。

 

『それで、僕はどこから解放すればいいでしょうか?』

 

「そうですわね…私は北側へ回りますわ、ユートさんは南側からお願いしますわ」

 

『了解!』

 

竹内の返事を聞いてから、セシリアはもう一度「お願いしますわ!」と言ってから通信を切り、次の扉の解放に向かった。

 

竹内も無断でISを使うのは少々気が引けたが、「この緊急事態だ…話せば先生方もわかってくださるはず…」と自らに言い聞かせ、汐風を展開。"LOCKED"と表示された扉に向かい、順次解放していく。

 

だがこの時、このゴタゴタに紛れてただ1人全く別の方向に走り込んだことを、セシリアも、竹内も、誰も知らない…。

 

―――――――――

 

さて、謎の乱入者と激闘を繰り広げる一夏と鈴音。なかなか一夏が攻撃を当て切れず、戦いが長引いていた。その中で一夏は妙な違和感を感じていた。

 

「なぁ、鈴。アイツの動き…何かおかしくねぇか?何て言うか…機械じみてるって言うか…」

 

「何言ってるの?ISは機械なんだから当然じゃない」

 

「そうじゃなくて…あれには人が乗ってるのか…?」

 

「ハァ?当たり前じゃない。ISは人が乗らないと動かな……」

 

そこまで言いかけたとき、鈴音も一夏の言う違和感に気付いた。

 

「……確かに変ね、こうやってアタシ達が話してるときも、全然攻撃してこないわね…まるで興味があるみたいに聞いてるような………」

 

「…だろ?」

 

そう、先程からこの敵IS、追い討ちを仕掛けて来ない。が、鈴音は首を振った。

 

「でも無人機なんて有り得ない。ISは人が乗らないと動かない…そう言うものだもの」

 

敵ISが立ち上がり、2人を見据える。

 

「…仮に…仮にだ、仮にあれが無人機だとしたら……」

 

一夏が呟くように言う。

 

「無人機だったら何だって言うのよ?」

 

「……全力で攻撃ができる」

 

一夏が不適に笑った。

 

「俺が合図したら衝撃砲を撃ってくれ、最大威力でな」

 

「いいけど当たんないわよ?」

 

「良いんだよ、当たらなくて」

 

2人の作戦が纏まり、いざ作戦開始と行こうとしたその瞬間…!

 

「一夏ァァァァアアアアア!!!」

 

「!?」

 

予想外の人物の声が耳に入った。その声の主は一夏に喝を入れようと駆け付けた篠ノ之箒だった。ピットゲートに立ち、息を弾ませている。彼女は大きく息を吸った。

 

「男なら………男なら!それくらいの敵に勝てなくて何とする!」

 

すると敵ISが箒の方に向き、ビーム兵器の狙いを定めた。

 

「あの馬鹿ッ…!箒、逃げろ!」

 

一夏は箒を助けようと飛び出した。しかし敵ISとも、ましてやピットとも距離がありすぎる。瞬時加速を使おうにも、チャージする時間もない。

 

「クッソォッ……!」

 

一夏の脳裏に絶望的状況がよぎる。その時、ISを展開した何者かが箒の前に立ち塞がり、敵ISに向けて2発銃撃を行った。その射撃は正確で、不意を突かれる形となった敵ISの右腕のビームの発射口に撃ち込まれ、暴発を起こした。一夏たちが驚いていると、2人に通信が入ってくる。

 

「もしもーし?生ーきてるかーい?」

 

緊迫した場には場違いな呑気な声。モニターに映る灰髪。

 

「「トシ(さん)!!」」

 

そう、α社製量産IS"鳴狐(めいこ)"を纏った岩崎だった。

 

「トシさん!箒は!?」

 

「もちろん無事さ。今はちょっとビックリして腰が抜けてるみたいだけどね。とにかく、彼女の事は僕が何とかするから、君たちは戦いに戻ってくれ」

 

「了解!箒を頼みます!」

 

彼の言う通り、箒は岩崎の後ろで座り込んでいる。岩崎は目線だけ箒の方に向けた。

 

「い…岩崎……」

 

「彼らにはああ言っておいたけど、本当に大丈夫かい?」

 

「あ…あぁ…」

 

箒は何とか返事をするとゆっくりと立ち上がった。

 

「ここは危ない、君も早く避難した方が良い」

 

「な、何だと!?私は…」

 

一夏から離れたくない箒は反論する。が、

 

「残るってかい?腰を抜かすほど驚いていた人の台詞とは思えないなぁ」

 

「ぐっ…」

 

岩崎の一撃で脆くも崩れてしまった。さらに岩崎の言葉は続く。

 

「それに生身の君がここにいるんじゃ、彼らだって戦い難いだろう。守りながら戦うのは、ただ普通に戦うより大変なことなんだ。…もうすでにここは戦場なんだ。ここだって、流れ弾が飛んできたりで絶対に安全だなんて事は無いんだ」

 

「ッ………」

 

もはやぐうの音も出ない箒。

 

「だから早く逃げるんだ、いいかい?…あぁそれと、こんな事をしたことに関する、うまい言い訳を考えておくと良いかもね」

 

「…………くっ………わかった……」

 

箒は悔しそうに避難していった。

 

その頃、一夏と鈴音は先程の作戦を実行した。

 

一夏が合図を出し、鈴音が衝撃砲の準備をする。すると、一夏が衝撃砲の射線軸に入った。

 

「ちょっ…バカ!何してんの!退きなさいよ!」

 

「いいからやってくれ!早く!」

 

こうしている間にも、敵ISは残った左腕で2人を狙う。このままでは、あともう少しでチャージが完了してしまう…。

 

「……あーーーーもーーーーーー!!どうなっても知らないわよ!!」

 

鈴音はやけくそになって龍咆を撃った。それは当然一夏に直撃するが、一夏はその砲撃を瞬時加速の推進力に変え、通常の瞬時加速より明らかに早いスピードで敵ISに向かっていく。さらに一夏は衝撃砲に撃ち出されると同時に唯一仕様特殊能力、零落白夜を発動した。

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

迷いなく一夏は敵ISの残った左腕を切り落とした。しかし、敵ISが一夏を蹴り飛ばして反撃した。

 

「一夏ッ!?」

 

鈴音が叫んだ。一夏は敵ISの乱入時に出来たクレーターの縁に叩きつけられる。両腕を失ったISが一夏にトドメを刺そうと近づいてくる。だが……

 

「……狙いは?」

 

一夏がニヤリと笑って尋ねた。

 

「うんうん、完璧だね」

 

その声に答えたのは岩崎だった。彼はスナイパーライフルの狙いを付け、引き金を引いた。弾は敵ISの胴体を貫き、敵ISの動きが鈍る。

 

「僕に出来るのは残念だがここまでだ。鈴さん、あとは任せたよ」

 

「!!わかったわ、トシ、ありがとう!一夏、何とかそこから離れて!!」

 

「OK…!」

 

一夏は残った力を振り絞り、クレーターから脱出、その間に鈴音が代わりに近付き、龍咆の照準を合わせる。

 

「これでおわりよ!」

 

鈴音も持てる全ての力を龍咆に込め、敵ISに撃ち込んだ。やがて敵ISの動きは止まり、戦いは終わりを迎えた。

 

「やれやれ……ところで、よく僕が狙撃しようとしていることに気付いたね」

 

岩崎が一夏に言った。

 

「へへっ、何故かはわからないけど、トシさんなら狙っていてくれるって思ってたんです!」

 

「それよりトシ、アンタなんでここに…」

 

鈴音が尋ねた。

 

「目の前で篠ノ之さんが飛び出していったんだ。なら僕がいかないわけにはいかないだろう。それに、君たちの試合の後は僕の試合だったんだ。だから、ISはいつでも動かせる状態にあった…そう言うことさ。さぁ、早く戻ろう。この事を早く先生方に報告しなくちゃね」

 

――――後に、織斑一夏、凰鈴音、岩崎仲俊、セシリア・オルコット、竹内優斗、篠ノ之箒が織斑千冬に呼び出されたが、一夏と鈴音は今回の件の当事者としての事情聴取が、岩崎は事情聴取とISの無断使用の件で口頭での注意がなされた。セシリア、竹内も同様の注意を受けるも、扉破壊の件は緊急事態ゆえお咎め無しとなる。その一方、1人勝手な行動を取り、さらに一時的とはいえ事態を混乱させた箒には反省文10枚の罰が下されることとなった…。

 

なお……

 

「……どうだ?」

 

「えぇ………やはり無人機でした……登録されていないコアです」

 

敵ISを解析してわかったことはこれだけで、他のことは一切わからなかったようだ。…尤も、千冬は誰の差し金か薄々見当がついているようだが……。

 

一方……

 

「……そう言えば……鈴、試合後の約束のこと、どうする?」

 

一夏が帰り際、思い出したように言った。

 

「あー…そうね……あんなことになっちゃったことだし……無しってことにしましょ。あぁなんだったらあの約束のことも忘れてくれちゃって良いわ!」

 

「えっ?いやそれは……」

 

「いいの!アタシが忘れなさいって言ってるんだから忘れなさいよ!!」

 

「わわ、分かったから急に怒るなって…!」

 

「何だよー」と言いながら先を行く一夏の背中を見詰めながら鈴音は

 

「(もう一度…あの時以上の勇気が出せるようになったら…その時はちゃんと言うんだから…あの2文字(『好き』)を……)」

 

新たな決意を胸に抱き、学生寮へ帰っていくのであった。




いやいやぁ、一時はどうなるかと思ったけど、これでまたまた一件落着!…と言うわけだね。それじゃあ、次は僕の番だ。織斑くんが特訓してる裏で僕に起こったことを教えるよ。「エピソードof岩崎」でね。

to be continued...

どーも明けましておめでとうございます、知らん内に首に切り傷ができてた剣とサターンホワイト、縮めて剣サタでーす……カマイタチにでも遭ったのかね……。あ……後書きに書こうと思ってたネタがいっぱいあったはずなのに忘れちまったい……。

ならば言いたいことを言っておきましょう。前にもチラリと言いましたが作者は原作小説をあまり読み込んでいません。せいぜい古本屋の立ち読み程度でしか読めていません。それ故、ISストーリーはアニメ版を軸にして書き進められていくと思います。だから今回箒さんは放送室じゃなくてピットゲートにいたんですね…。…そうだ、これが後書きに書くネタの1つだった…。

そして前書きに書いた去年の1月に上げた話は何だったのか?答えは……「序-4:第2の織斑一夏を見つけ出せ!…って、あれ?」でしたね………。

遅ッ!!!Σ( ̄□ ̄!)

こんなことで今年中に完結するのか……しないな。

とまぁ、こんなワタクシですが何卒今年もよろしくお願いします。

【追記】

書きたかったネタを思い出したので軽~く追記。

もう薄々感付いていらっしゃる方もいるとは思いますが、今回の次回予告も岩崎くんにやってもらいました。ボキャブラリーがないのは私のせいです。すみません…。

ちなみにこちらは没になったネタですが、竹内くんが幻視技能を駆使して不可視のはずの龍咆の砲身及び砲弾が見える…というネタを考えていました。没になった理由は簡単、またまた私のボキャブラリー不足が原因です。そんな状態で事情の説明なんてさせてみろ、「竹内くん…変なものが見えるんだってねぇ…」って、周りから白い目で見られること請け合いでしょう。というわけで、静かに観戦させました。
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