要するにそういう事。

※この世界のスタンドはサイオンで構成されているという性質にしているので、一般人にも見えます。
※クレイジーダイヤモンドは触れなければ治せないのですが、この作品では今の所書くつもりはないですが、自分が触れたサイオンであれば直せるという設定になっています。
※サイオン構成体である為、ある程度の自律行動が可能となっています。
※超適当でいい加減なことを勢いに任せてそれらしく言ってます。この理論が正しいかは作者も知らないです。先ず信じ込まずに怪しんで、各自で調べてみてください。もし作者の理論が間違っていたら、全ては葉山さんの所為にしといてください。オネシャス!
※真上のことに関して、「だが断る」は無しでお願いします。
※お兄様は、どっかの東方君のようになる恐れがあります。具体的にはリーゼントになるかもしれないし、LOVE&PEACEなアクセサリーをつけるかもしれない。
※続きは……、書きたい人がどうぞ。

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何やってんだお前はって感じですね。
でも、スランプはスランプなんだ。ちょっとは回復したけど。


ダイヤモンドは砕けない

「やっと、ですか……」

 

 その部屋は闇の底のように暗く、夜を切り取ったかのように静謐な空間であった。

 外は未だに光があるというのに、部屋に飲み込まれては清涼へと熱を奪われて、ひやりとする空間の空気と一緒くたになる。

 呟かれた言葉は、年齢不詳のその男、葉山忠教の口から齎せられたもので、部屋は葉山に逆らいはせずに、その響きを久遠に響かせることなく、溶け込むように消して行った。

 葉山は窓の向こうを眺めて、片手に持ったワインを一口。

 

「達也様、これからが楽しみです」

 

 葉山は笑う。

 それはそれは愉快そうに。

 

「……葉山さん。私が貴方の主人なのだけど、そこの所はよろしくて?」

「居たんですか、真夜様。少々お待ちください。準備をいたしますので」

「無視ですかそうですか」

 

 今日も四葉は忙しい。

 

 ーーー

 

 所変わって、沖縄。

 襲撃が起きていた。大東亜連合に寄る襲撃だ。

 100年過ぎて、魔法という便利な手段が確立しても人の血なまぐさい歴史は消えない。それどころか、新しく得た手段も古きから学び得た手段も全てが、自分たちの首を絞める戦争に使われる。

 神がこの世にいるのなら嘆いただろう。悪魔がこの世を見ているのなら抱腹絶倒しているだろう。

 人は醜い。それは絶対の事だ。

 そして今、司波達也は誰よりも、何よりも強く、それを理解している。

 目の前に横たわっているのは、自身が唯一愛せる、愛することのできるただ一人の少女、司波深雪が倒れている。

 血まみれで横たわっている。シミひとつの無い綺麗な白い肌は、感情の希薄な達也さえも恐怖を覚えさせる魔力を持った赤に染められている。

 腹部を見れば銃創がある。銃に打たれたのだろう。ならば、銃を打った奴がいる。いや、そいつは始末した。

 そして、そいつは人間だった。いや、人間以外にいるはずがないではないか。

 人間は人間を殺す。自分の最愛の妹でさえも例外ではない。

 そうだ。人が人を殺す。

 人が人を死なせる。

 

「俺には……何も出来ないのか……!」

 

 達也は自分の掌を見て、眩暈を覚えた。

 銃を撃って弾丸を深雪にくれてやったのは自分ではない。だが、守るべき対象から離れて、戻ってみれば何も出来ずに、その命と唯一の心を散らすことしか出来ない。

 分解という超弩級の魔法が使えて、四葉という環境で大切な深雪を守る為だけに研鑽を積んできた。

 なのに、この始末だ。

 達也は自分を呪う。もう一つの魔法を使えない自分の菲才を。死ぬ気でも魔法の研鑽を積んでいなかった自分のみっともなさを。兄なのに、ガーディアンなのに、ただ散り行くしかない主人の、妹の、最愛の女性を抱きとめるしかない自分の愚かしさを。

 だが、全てが遅い。

 戦場に『次』などありはしないのだから。

 

「お、にぃ、さ、ま……」

「っ⁉︎ 深雪! 深雪、しっかりしろ!」

 

 抱えていた体の腕が上がる。達也の耳には金糸雀よりも美しい声音が弱々しく響く。

 達也は殆ど反射で呼びかける。心のあらん限りに叫ぶ。自分でも分かる。きっと泣いている。

 それでも達也は気にしない。気にしている暇などない。自分の涙をすくうぐらいなら、今目の前で苦しむ愛する少女の命を救い上げたいのだから。

 

「お、にい、さまの、なき、がおっ……を、はじめて、みま、した」

 

 深雪は殊更に嬉しそうに言う。対照的に深雪の目にも涙が溜まっている。

 馬鹿なこと言う。本当にこの場で何を言うんだ。そんなくだらない事をどうして。達也の頭の中は普段は全く浮かばないような深雪への叱責でいっぱいだ。

 しかし、口から出てくれない。出て行くのは噎ぶ声だけ。

 

「ふふふ、さいごに、おにいさ、まの、めずらしい、すがたを、みれただ、けでも、じゅうぶん、に、幸せ、です……ゴホッ……」

「深雪ッ! もう喋るな!」

「おにい、さま……みゆきは、ずうっと、ごかいを、して、いました」

 

 深雪は血を吐きながら、しかし、弱ること無く口を開いていく。達也は、止めたいのに止められない。

 今すぐにでも深雪を苦しみから解放してやりたい。今すぐにでも痛みから解き放ってやりたい。

 それでも、そうできないのは全て自分の弱さの所為だ。

 達也は深雪に触れるべきではないのではないかと思い、しかし自分の心を優先し、深雪を抱きしめ続ける。

 達也は既に自分に深雪を抱く資格はないと思っている。ただ、自分の心が叫ぶのだ。離すな。放すな。ずっと握っていろ。

 ずっと抱いていろと、そう叫ぶ。

 

「みゆき、は、おにいさまを、はくじょうな、ひとだと」

「そうだ、深雪。俺は、お前だけを、愛せるのに、お前しか、居ないのに、それも、守りきれない、薄情な奴だ」

「みゆきは、おにいさまを、ひとを、あいせない、ひとだと」

「そうだ、深雪。俺に、人を、愛する心はない」

「みゆきは、おにいさまは、みゆきを、あいして、くれないと」

「それは違うッ!」

 

 達也は、深雪の言う全てがその通りだと既に分かっている。

 本当に愛しているのなら、どうして彼女を苦しみから解放してやらないんだ。本当に愛せているのなら、どうしてこの苦しみを代わってやらないんだ。本当に愛する心があるのなら、どうして都合良くも彼女を救う力に目覚めたりしないんだ。

 でも、救うことができなくても、助けることが叶わなくても、変わりに死ぬことが出来なくても、深雪を愛している。

 その感情に間違いは無い。

 

「俺は! 深雪を愛している! 俺に残っているのは深雪だけなんだ!」

 

 故に叫ぶ。腹の底から。息が底をつくまで。

 深雪に思いが届くまで。

 

「俺は! ……深雪だけを愛せれば、それで十分なんだ」

 

 達也は、強く深雪を抱きしめながら、耳元で囁く。

 体と体が触れ合って、達也は深雪の死が近いことを悟り、深雪は間も無く死ぬことを悟った。

 だから深雪もそれに応えるように、

 

「みゆきも、たつや、おにいさま、だけを、おしたい、して、おります」

 

 ーーー

 

 その時、達也の中の何かが切れた!

 そう、時が来たのだ!

 覚醒の時!

 達也は悟った。

 自分に深雪を救う力が発現したことを!

 なんと都合の良いことか! なんと運命的な事か!

 しかし、そんな作為などはどうでもいい。

 達也には、深雪だけが救えればそれでいいのだから!

 達也は名前を叫ぶ!

 

「来い! クレイジィイイイイ! ダイヤモンドオオオオッッ‼︎‼︎」

 

 途端、達也の保有サイオンのほぼ全てが空になる。

 しかし、達也は止めない。どころか、深雪の微かに感じる鼓動の音を感じて、あるはずのないサイオンを絞り出す。

 それは、普段でも規格外の達也のサイオンの約二十倍。

 普通の人間であれば、およそ千人は搾りかすになってミイラとなってその辺で朽ち果てる量だ。

 それでも、深雪のために覚醒した達也ではそれもほんの極少量だ。深雪の為なら、まだこれの千倍だって、一万倍だって絞り出すだろう。

 

「オオオオオオオオオオオッ!」

 

 一人の漢の呼びかけに馳せ参じたのは、愛と平和の為に拳を振るう、世界一優しい能力を持った巨漢。

 全身を青と桃色に染めているが、その心意気は真っ赤に燃える漢のハートだ!

 

「『治せ』! クレイジィダイヤモンドォ!」

「オオッ!」

 

 巨漢、クレイジーダイヤモンドは、達也ごと深雪を包み込む。

 すると、達也と深雪を構成していた全てが回復していくではないか!

 瞬く間に効果は全身に及び、どころか服飾すらも綺麗に戻した! まるで何もなかったかのように!

 あとは意識だけだ。

 

「……あ、あれ? 傷が……」

「深雪っ!」

「お、お兄様⁉︎」

 

 成功だ。

 達也は、胸一杯の安堵を大切にしようと思った。

 クレイジーダイヤモンドは一人、妹の為に命を投げ打とうとした男の勇姿を、自分のマスターながらグレート、と賞賛した。

 そして、クレイジーダイヤモンドは部屋の外を警戒する為に外に去る。

 クレイジーダイヤモンドはクールに去るぜ。

 

「お、お兄様、嬉しいのですが、お母様と桜井さんを……」

「そんな事はどうでもいい!」

「ええ⁉︎」

 

 ーーー

 

「あの子の異常な力は二つ。深雪さんも既に見たでしょうが、あの何処かのジジイのスタンドを彷彿とさせる形態をとっているあれが、達也の異能の一つ、『再成』です」

「す、凄い」

 

 深雪は達也の出撃の後で、母親の深夜より達也の異常性について聞いていた。自分しか愛せないことを重点的に。深雪は溢れかえる歓喜が抑えられなかったが、一つ疑問があった。

 凄いとしか言えないのだが、何処かのジジイとは誰の事なのだろうか。深雪が知っているのは、葉山くらいなのだが、まさかあの完璧執事の葉山さんの事なのだろうかと、深雪は葉山を疑う事を覚えない。

 しかし、それは違う方向からの援護射撃ですぐに印象は変わる。

 

「深夜様! あまり葉山さんを悪く言ってはなりません! あのジジイ、四葉所属の人間の弱味を全て念写で知っていますから!」

「あら、そうだったわ。ごめんあそばせ」

「そうです! あのジジイ、十日前はスタープラチナで10秒くらい時間を止めてやがりましたから!」

「穂波さんもお口の方を気をつけたほうがよろしいのではなくて?」

「いえいえ、言える時に言っておかないといつ爆発してしまうかわからないですから」

「いえ、でもハイーーー」

『穂波さん、ハイウェイ・スターで聞いてますからね』

「え?」

 

 ぎこちなく、桜井さんは声のした方を向くと、グネグネと気持ち悪い関節の動きをする人間っぽい何かが居た。

 深雪、桜井、深夜の全員の目がそこに向くと、一瞬の内の消え失せた。薄気味悪い謎の笑みを浮かべて。

 

「やられたああああああ!」

「あ、お母様。お兄様が写りました」

「お兄様? あのジジイと同じ人種を敬ってはいけません」

「は、はい」

 

 強烈な叱責を深雪は貰う。

 確かに女性をストーカーするのはあれだが、どうしてそこまで目の敵にするのかがよく分からない。

 と思っていると、察した深夜が深雪に説明を始める。

 

「良いですか? あの人種はまだあのジジイと達也以外に居ないようですが、あのジジイと同じというだけで軽蔑して尚、余りあります」

「ど、どうして蔑むんですか?」

「具体的には、オラオラ言って殴りかかってきたり、無駄無駄言って殴りかかってきたり、終いには、なんか痛ましいポーズをとりたがります」

「なにそれ怖い」

 

 しかし事実。事実なのか?

 深雪にはよく分からなかったが、深夜の顔を見る限りでは本当のことであるようだ。

 一体どうしてそんなのが執事長なのか分からない。

 次期当主と目されている自身を見つめて、今から胃が痛くなる深雪であった。

 

「見なさい」

 

 深夜がテレビの中を指し示す。

 其処には達也が写っている。達也は味方の軍の人間と同じ格好をして、敵陣へと殴りかかっている。

 

「あれが達也の…………分解……?」

 

 深夜は疑問視する。

 確かに達也、否、クレイジーダイヤモンドが殴りかかった後は猟奇殺人の遺体のようにバラバラのグシャグシャだ。

 とても深雪に見せるものではないが、どことなく空中を黄色いスパークが走るのは幻想的であり、それが焼くように散らかった死体を粉塵へと帰す。

 だが、達也の分解は、達也が手をかざすだけのお手軽なものであって、クソジジイのようにポケットに腕を突っ込んで、悠々自適とばかりにスタンドにオラオラさせているようなものではない。

 だが、いつもの通りに敵の肉体は粉微塵に分解されている。

 深夜が一体全体と何が何だかわからないという顔をしていると、妙にやる気を出した桜井が急にしゃしゃり出てきた。

 

「いえ! あれはクレイジーダイヤモンドの圧倒的な拳の速度によって衝撃波が生じて、空気中を伝うソニックブームによって体内の血液の沸騰及び肉体の空気摩擦による加熱が起こり、奴らの肉体は砂塵と化しているのです!」

「では、あの黄色のは?」

「空気との摩擦によりスパークが生じております。また、拳の速度は達也君の感情の爆発により上下していると思われ、現状では時速3,000キロ、凡そマッハ3くらいはあると思われます!

 彼奴は大したシスコンですよ! 深夜様!」

「そ、そうですね。穂波さん、ちょっと落ち着きましょう」

「うおっ、更にスピードが上がった! ありゃ多分、徐々に妹の惨状を思い出してきてるぜ! ナニィ⁉︎ プ、プラズマまで起こしてやがる! 遂に電子さえも離れる程の超高温の拳を振るい始めたのか!」

「……穂波さんは放っておきましょう。深雪さん、あれをどう思いますか」

 

 怒涛のラッシュは達也だけに止まず。

 兎にも角にもと、深夜は頭痛のする頭を抑えながら、深雪にスタンドを使う人間の異色さを示そうとし、今正に凄まじく不思議な格好をとっている達也を例にした。

 達也は、指を指しているだけだ。しかし、妙にスタイリッシュだ。まるで、何処かのジョジョが乗り移ったかのように。

 

『てめーは俺を怒らせた』

「流石です! お兄様!」

 

 こいつはダメだ。

 深夜に最早、進行を止める手立てはなかった。

 願わくば、深雪だけは変な風に染まらないように願うまでである。

 

 ーーー

 

「ーーーという話が姉さんから来ましたが、どうすればいいと思いますか、葉山さん」

 

 カオスの状況に陥っているらしいが、いつでもパーフェクトで瀟洒な執事長、葉山忠教は自信を持って進言するのみ。

 

「取り敢えず、達也様の名前を序葉徐也にでも変えましょう」

「いや流石にそれはどうかと思われます」

「……やれやれだぜ」

 

 真夜の最もな言葉を、葉山はしかし憮然とした表情で首を横に降る。

 下手に様になっているのは、此奴が一応、完璧なバトラーだからだろうか。

 

「……葉山さん、もう少し執事らしくして貰えませんか?」

「それは私にどういったメリットがあって?」

「それを聞く時点で執事として終わっていますが……。えーっと、もう少し給料を上げてもいいです」

「ふむ、それは弱みを握られている人間の発言なのだろうか?」

 

 葉山は笑う。それはそれは人の良い笑顔だ。

 やっている事は実にエゲツない、本当に(変態)紳士だ。

 実際問題、自分の半分も年下の娘の弱みを握るとか、どんな高齢者のやる事だ。

 

「グウッ。で、では、貴方の願いを可能な限りで一つ叶えますので」

 

 最大の譲歩はしかし、

 

「だが断る」

 

 葉山の心に響かない。

 

「この葉山忠教の最も好きな事のひとつは、自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやる事だ」

「もうやだこいつ」

 

 今日も四葉は騒がしい。




兎も角、最後に言いたいことがあるのです。


「お兄様のあそこがクレイジーダイヤモンド」という下ネタが浮かんで来て辛かった。

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