零×愚者   作:ふゆゆ

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大分擦れてます。けれど根っこは湊です。
昔の仲間に対しアンチがあるかもしれません。
続けないつもりでしたが、かなりゆっくりでも連載する事にしました!
それでもいい方はどうぞ!


愚者の旅路は零から始まる

 ハルケギニアにある、国の一つ。トリステイン王国。その中にある、貴族の子弟が通うトリステイン魔法学院。

 

 学院に通う二年生の生徒達が、大きな庭にて行うは、魔法使いには重要な使い魔召喚の儀式。

 進級試験であり、属性の決定を含める人生を左右する儀式を。

 

 

 用いられるのは、『サモン・サーヴァント』と呼ばれる、始祖ブリミルの時から伝わるコモンマジック。

 これにより自身のもっとも相性のいい使い魔を呼び出し、『コントラクト・サーヴァント』によって契約する事が儀式の順序だ。そしてその召喚者の多くは、生涯をその時召喚した使い魔と共にすることとなる。

 

 

 更に言えば、呼び出される使い魔は呼び出す者の力量にも左右される。つまり強力な使い魔を呼び出せば貴族として名声が上がる事になるし、自身が強力なメイジだという証にも繋がるという事だ。

 

 

「ふむ。よろしい。では、最後にミス・ヴァリエール」

 

 そして、そんな儀式も、いよいよ最後の一人となった。

 名を呼ばれ前へと出るのは、ピンクブロンドの髪、整った容姿、気品を感じさせる何気ない仕草。この歳にしては少し見た目は幼いが、それでも可憐な美少女。

 

 名をルイズという。トリステイン有数の大貴族であるヴァリエール家の三女。

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

 

 彼女は返事をし、中央へ歩む。そして召喚のため杖を構えると、何故か周りの生徒はひそひそと囁き始めた。

 

 

「おいおい、あいつ本当に召喚するのか」

 

「一人で儀式して、誤魔化すと思ってた」

 

「てかさ、『ゼロ』には無理だろ。『ゼロ』だぜ、『ゼロ』」

 

 

 侮蔑と共に放たれる『ゼロ』という言葉。

 

 『ゼロのルイズ』。それが彼女につけられた二つ名。

 二つ名とはそのメイジを表すあだ名のようなもの。多くは名誉なもので、誇るべきものだ。しかし彼女はその言葉を聞いた途端に険しい表情を浮かべる。

 

 

 

 ここで一つ言っておくと、ここハルケギニアにある国は、全てどの国もメイジによって支配されている。

 必然ハルケギニアでは魔法こそが全てであり、魔法が全てだという価値観が長き歴史の中で育まれてきた。

 

 

 そしてここトリステインは、他国に比べ特にそれが大きく、『メイジに非ずは、人に非ず』と傲慢な考えが当たり前である国だった。

 そしてルイズは、魔法が使えない。いや、全ての魔法が使うと、失敗し爆発してしまうのだ。

 

 

 

 そこからついたあだ名が、魔法成功率ゼロ。『ゼロのルイズ』。

 

 

 

 更にルイズはこの国の大貴族の娘。

 それにも関わらず魔法が使えない。だから余計に周りはルイズを蔑むのだ。自分より立場が上である大貴族のルイズを蔑み、自分がまるで強く、偉くなったと勘違いし、その優越感に浸る為に。

 

 

 

「…………っ」

 

 

 無論ルイズはそんな声にも負けず、家族からも哀れまれながらも毎日努力し、勉強、練習をし続けている。が、全くまともに魔法を使えないのだ。

 

 毎日、気絶しそうになるほど練習し、あらゆる工夫をし、夜は遅くまで勉強を欠かさない。もちろん泣いた日も、幼き頃の優しき婚約者を思い弱音を吐いた事もある。でも頑張ったのだ。誰にも負けないほどに。学院の教師にすら見捨てられても。ひたすらに自分を信じて。

 

 おかげで座学の試験では、いつもぶっちぎりの一位だった。

 それでも誰もルイズを認めない、ルイズの努力を認めない。

 ただ、魔法が使えないからというだけで。

 

 

 

 

 

「……っ。ふぅッ……」

 

 

 

 

 

 だから、この儀式は自分を軽く見る者達を見返す絶好のチャンスでもあり。

 もし成功しなかった場合はピンチ、貴族としてメイジとして本当のゼロになる。

 そんなルイズにとって、召喚は人生の分水嶺。他の生徒以上に緊張のする一瞬だった。

 

 

(大丈夫かしら……もしも召喚できなかったら、私は本当の……ううん! 私なら大丈夫。絶対、絶対に凄い使い魔を召喚して、馬鹿にした奴らを見返してやるんだから!)

 

 

 

 そう、名誉挽回を心に決めたルイズに、丁度良く今回の使い魔召喚担当の教師コルベールから声がかかる。

 

 

「では、ミス・ヴァリエール。お願いします」

 

 

「――……はい! ミスタ・コルベール。……いきます」

 

 

 

 

 

 そしてルイズ一世一代の使い魔召喚が始まった。

 

 

「―――るペンタゴン。この宇宙のどこかにいる、私に相応しき、賢く強く魅力にあふれた使い魔よ! 私の下にぃ――来なさいっ!」

 

 

 詠唱を終えたルイズが、杖を振ると爆発が起きた。周りは「またか」と嘲笑し、コルベールもその落胆を隠さない。

 

 

 しかしルイズは諦めない。失敗しても諦めない。

 周りの嘲りなどは日常茶飯事なのだ、こんなことには負けはしない。

 

 これが駄目なら繰り返せばいい。詠唱を変えて、杖の振り方を変えて、何度でも何度でも。

 これまでだってそうだったのだ。

 

 だから、だから負けない、精神力が尽きるまで、いや尽きたって絞り出せばいい。限界まで繰り返してやる。絶対に負けはしない……!! 

 

 

 

 そんなルイズの思いに応えるように、一陣の風が逆巻き煙を吹き飛ばす。

 果たして、そこには―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煙が晴れたそこには、()がいた。

 深い海色の髪。空色の瞳。中性的な容姿。丈の短いローブのようなものを羽織り、胸にかかるマジックアイテムらしき何か。そこから繋がる糸の先には平らな光沢のある何かに繋がり、首に掛けられている。

 腰に巻かれた白色のベルトらしきモノ。左腰には装飾剣でも入れてあるのか、布が細工され長方形の袋のようになっていた。

そして右腰には巾着袋が下がっている。

 

 そんな彼は召喚の副作用だろうか。空色の瞳の焦点も合わないまま、周りを見渡している。左手は左腰の袋にあてられ、猫背な彼の瞳はどこか曇ってるように思えた。

 

 彼は独特の雰囲気を持っていた。それは薄く霞み消えそうでありながら、とてつもなく大きな存在感。場の者は不覚にも、空気に呑まれ動けないでいた。

 

 

 それは最初に我を取り戻したコルベールも一緒だ。

 彼はこう見えて歴戦の戦士であった男である。こんな幼い少年に気圧されるような男ではないはずであった。

 

 

「……っ!」

 

 

 コルベールは静かに杖を構えた。

 彼に戦場でよく嗅いだ臭いを感じた。即ち、“死”の香り。

 そもそも召喚で人が出てくるなど前代未聞。雰囲気も少年に似つかわしくない、とても重苦しい物だ。そしてあの曇りきった瞳が気になった。

 何もかもに価値を見出せず、世界全てを無価値だと感じている無味乾燥な無機質な瞳。

 

 ――どうしたらあのような瞳が出来るのだ。

 

 

 コルベールは恐ろしくて堪らなかった。あれは死者の瞳だ。光無き瞳だ。生きているものでは決して出来ぬはずの瞳だ。

 

 冷や汗が額を滑る。杖を持つ手が震える。歯を食いしばらなければ、無様な音を鳴らしていた事だろう。

 

 

 

 そしてそれは一人だけではなかった。

 タバサ。

 

 召喚された少年に似た、けれど色の浅い髪をした華奢な少女。一見すれば幼き子供にも見える彼女は、しかしメガネを掛けた外見とは裏腹に鍛え上げられた戦士であった。

 その実力は二年どころか、三年の中でもトップクラス。いやそこらの兵士などでは束になろうとも敵わぬ程の手練れであった。

 しかし今、彼女は自身の死を覚悟していた。それほどのナニカを召喚された少年から感じたのだ。先ほど自身が召喚した韻竜。

 シルフィードと名付けられた彼女。精霊にすら迫り、人など木端にも等しい彼女すらも怯えるのみであった。いや感覚が鋭い分それは人などよりも、余程に恐れていたかもしれない。彼女は感じていた。彼が内包する絶大な力を。彼に纏わりつく死そのものともいうべきナニカを。

 

 

 あれは精霊どころではなく、世界を滅ぼしうる力を持ったナニカだ。

 

 

 それが友好的ならばいい。けれどあの瞳からは何も感じられない。混沌とした瞳。調和をとれずぐちゃぐちゃとしたそれは、しかし何故か何もない虚空を思わせた。

 

 矛盾したそれは、生物の本能を揺さぶる。今すぐにでもここから逃げ出したくて堪らない。それは召喚された他の使い魔も同じであった。

 

 しかし、出来ない。

 動けば、そう思った瞬間殺される。いや存在すらも消される。そんな予感が彼らを動かせなかった。

 

 

 しかし人は違った。

 その雰囲気を特異だとは感じても、瞳がどうだとかは感じられないし、ましてや人の形をしているという時点で恐れるようなものではなかった。そんなことは考えもしなかった。

 彼らに大事なのは、貴族かそうでないか。

 

 メイジか、そうでないか。

 

 

 

 そして一人の少女、ルイズがはっと我を取り戻す。

 ピンクブロンドをたなびかせ、恐れることなく少年へと近づいていった。

 

 少年の視線がルイズに固定される。コルベールはいざというときは自分を犠牲にするつもりで身構え、タバサも身構える。

 

 

 そしてルイズは少年へと問いかけた。

 

「あんた誰?」

 

 

 あまりにぞんざいな問いかけに肝を冷やす一部の面々を余所に、少年が焦点の定まらぬ瞳でじっとルイズを見た。

 そしてもう一度ルイズが問いかけようとした寸前に、そっと口を開く。

 

 

「有里、湊」

 

 

 虚無と、死で立ち止まる愚者の邂逅であった――




因みにFES後です。
全部覚えています。ただどうしてゼロ魔にいるのかは分かりません。
恐らくべス様が救ったのだと思います。そして召喚の鏡にかっさらわれたという……
そして、今の湊君は全てに絶望しています。それは、まあ……FESの関係で……


湊君は情緒不安定です。仲間なんて信じません。ペルソナは愚者と、死神しか使えません。自分に被害を齎すと思ったら躊躇なく殺しにかかります。更には利用されるのも嫌いです。
ギーシュは兎も角、多分ワルドとか軍人は殺されるかもしれません。ルイズとも上手くいかないかもしれない……など色々難しい設定にしてしまったので、多分続きません。

続きました。
P3inP4中心ですので、こちらはかなり遅くなりますが、これからよろしくお願いします!
一部直しました!
これからも指摘お願いします!
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