テンプレ通りの神様転生を経て、チートスキルを貰い、IS〈インフィニット・ストラトス〉の世界に降り立った主人公は、生前とは違い女の子として生を受ける。

 性別の違いや新しい家族に四苦八苦しながらも、新たな人生を楽しもうとする主人公だったが、小学一年生のある日、それは脆くも崩れ去ることになる。

 凡人なオリ主の篠ノ之箒転生ものです。ハイスペックな身体にロースペックな頭脳がついたら、物語はどう変化するのかというお話。原作知識ありです。


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 神様転生というものがある。転生ものと呼ばれる小説の一ジャンルで、内容は現実世界で死んだ人間が、神様などの超常的な存在の介入を経て、それまで生きてきた世界から全く別の世界へと転生――つまり、生まれ変わるというものだ。

そんなもの創作物の中だけの出来事だとずっと思っていた。というか、普通はそれが一般的な見解だと思う。俺だって自分で体験するようなことがなければ信じなかったし、一笑に付したことだろう。

 それに、やっぱりそういうのに選ばれるのって何か特別な人間だと思うし。主人公っぽい奴とか? でも、何の因果か平凡を絵に描いたような一般人であるこの俺が選ばれてしまった。選ばれたっていうのには語弊があるけど。



これはテンプレの物語だと思う……

「……オレ……、ホーキのことが好きだ!」

 

 小四の頃、姉貴が白騎士事件を起こし、俺たち家族は原作と同じように重要人物保護プログラムで一家離散することになった。

 

 俺にとってこのことは確定事項だったので、それに対して特に感傷があるわけじゃない。それどころか逆に少し安堵したくらいだ。

 

 どうしても原作の箒のことが頭にあるからだろうか。すでに出来上がっているものに俺という異物が紛れ込んでいるような、そんな感じがずっとしていた。

 

 これならいっそのこと原作知識なんて持たずに生まれれば良かったと思う。なまじ俺にとっては良い人たちだっただけに、そう感じずにはいられなかった。

 

 神社の神主と道場経営者の二足の草鞋を履く厳格な父と、おっとりしてたおやかで大和撫子を体現したような母。後に天災と呼ばれるが少しコミュ障なきらいがあるものの自分には優しい姉。

 

 だけど、何も言わず去るのは悪いと思って、一夏にそのことを伝えたら、帰ってきたのは告白の言葉だった。

 

 正直、なんで一夏が俺に惚れたのかがさっぱり理解できない。何か一夏の気を惹くような働きかけをした覚えもないし、俺としては普通に友達として接していただけだ。まあ、それでも俺の答えは最初から決まっていた。

 

「ごめん。俺は一夏のこと友達だと思ってるから……」

 

 俺がそう返すと、一夏は目に見えて消沈した。かわいそうだと思うが、俺には前世の――男として生きていた頃の記憶がしっかりと存在しているし、身体は変わっても意識はそのままだから、今は女でも男とそういう関係になるのはどうも抵抗がある。

 

「……で、でも、また会えるよな?」

 

 顔を下に向けたまま、拳を握り締めながら震えるような声で一夏が訊いてくる。

 

「それは……」

 

 原作のストーリーを知っている俺からすれば、再会はもう決まりきったことだ。けど、何も知らない一夏にしてみれば、今生の別れと感じても仕方がない。だから俺は言ってやった。

 

「ああ、またきっと会えるよ」

 

 ――六年後のIS学園で。

 

 

――――――

――――

――

 

 今の私は篠ノ之箒ではなく、篠崎あかりと名乗っている。篠は篠ノ之から取り、崎は前世の名字から、あかりは箒をほうき星にして、星から連想した名前だ。

 

 篠ノ之という名字は全国的に見ても珍しいし、いま現在、世界的に有名なISの開発者と同じ名字なため、否が応にも人目につく。わざわざ重要人物保護プログラムで一家離散しているのに、名前がそのままでは意味がないと思ったから私から提案して偽名を名乗ることにした。

 

「あ……えーと、篠崎さん。ちょっといいか?」

 

 私が新しい友達を作ろうと奮闘していると、背後から一夏が話しかけてきた。まあ、名前は違っても、かつての幼なじみとそっくりな顔をした人間が目の前に現れれば、気にもするか。

 

 しかし、あまりここで話しかけて欲しくはなかった。クラス中が一夏に注目している状況で、その一夏が私に話しかけるっていうのはどうしても目立つ。後で何かしら詮索されるだろうな。まあ、それをキッカケにして友達になるというのも手か。

 

 

――――――

――――

――

 

「それで、織斑くん、私に何か用?」

 

 原作とは真逆だが、一夏に屋上に連れてこられた私は、さっそく一夏に用件を尋ねる。十中八九、あのことだろう。

 

「……お前、名前は違うけどもしかして箒なのか?」

 

 その質問は既に想定済みだ。でも、私はできることなら原作にはあまり関わりたくない。もともと争い事は好きではないし、特に痛いのは嫌だ。それに命の危険だって付き纏う。そうでなくても私の場合、ISの開発者「篠ノ之束」の妹というどう足掻いても厄介事から逃れられない立場なのは分かっているが、いや、だからこそ私は平穏無事な人生を望む。

 

 そのためには、私はできるだけISや原作に関わらない必要がある。……あるのだが、やっぱり原作の一ファンとして近くで原作を見てみたいとは思う。織斑一夏やヒロインたちのドタバタを。だからここでの私のスタンスは、ヒロインの一人である篠ノ之箒ではなく、篠崎あかりというクラスメイト(モブ)の一人であり、その他大勢である。

 

「いや、それだけ似てて別人ってのは、無理があるだろ!」

 

「似てるって言われても、私はその人を知らないから答えようがないんだけど……」

 

 一応、否定はしたが、やっぱり一夏は納得できないようで、渋々といった感じで引き下がった。




 この作品はテンプレ的神様転生をしてIS〈インフィニット・ストラトス)の世界に篠ノ之箒として生を受けた主人公(元男)が、平穏な人生を勝ち取るために一般人として精一杯頑張る話です。

 コンセプトは原作箒SUGEEE。外見(肉体)は篠ノ之箒でも、中身(精神)が一般人かそれ以下のスペックしかない普通人の主人公が、エリートばかりが集められたIS学園で、偽名を名乗ってモブとして過ごしていきます。

 突発的に思いついた設定を書き散らしているだけなので、エタる可能性大です。途中の展開は色々と考えましたが、結末は未定なので短編小説として公開します。

 ※作者はSFとかメカ(ISやその武装の設定など)とか、軍事、政治は全くの門外漢です。なので、作中では敢えて触れないか、書いても原作沿いになると思います。それによって、明らかにおかしな展開や設定などの矛盾が発生すると思いますがご容赦ください。

 お詫び
 いつの間にか手違いで、まだ発表できる段階にない書きかけの作品が公開されていました。
 早急に何とか読めるレベル(一話完成)にします。すみません。

2018年02月03日


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