Fate/Grand Order ぐだ男とぐだ夫 作:八神っち
原作:Fate/Grand Order
タグ:R-15 ボーイズラブ ガールズラブ オリ主 残酷な描写 アンチ・ヘイト Fate Grand Oder フェルグス
人理を守る為に設立された特殊機関『カルデア』
約1年という期間で各地より集めたマスターと英雄の力によって過去に出来た特異点を修正し未来を取り戻す戦いをする……はずだったのだが反逆者によって集めた48名のマスターが残り2人になるまでに減ってしまう事件があった。
そんな残った2人のマスターの1人、自身の契約しているサーヴァント以外から「ぐだ夫」と呼ばれている一般公募枠の内の1人のマスターはあるサーヴァントを探すため紙束を携え施設の中を進んでいた。
「おーいネロさーん。どこ行ったんだー」
「どうかされましたか?マスター」
「あ、ハサンさん。赤い方のネロさんを見なかった?」
「赤い方のですか?私は見ませんでしたね。少しお待ちください」
そう言って契約しているサーヴァントの4人の内の1人『百貌のハサン』は各施設に居る自身の分身から情報を集める。数舜で見つかり報告する。
「どうやら食堂の方で弓兵のエミヤを相手に色々注文している様です。呼びますか?」
「いや、自分で食堂に向かうよ。ネロさんには向かう事を伝えといて」
「伝えておきます。ご一緒しましょうか?」
「お願いするよ」
「承知」
ハサンは返事と共にぐだ夫の後ろにまわり乗っている車椅子を押して食堂へ向かう。その途中でぐだ夫を見つけて話しかけてくるサーヴァントが2人。
「お、ぐだ夫じゃねえか!こんな所でなにしてんだ」
「ぐだ夫か今日も元気そうで何よりだ。今夜は久々にどうだ?」
「クーさんにフェルグスさん。今から食堂に居るネロさんとアレについての話し合いを。今夜は一緒しようかな。エミヤさんには肴を用意して貰うか……何人程?」
「む?そうだな今夜は10人程だ」
「エミヤのメシがつくのか!こりゃあ今から待ち遠しいな叔父貴!」
「応ッ!こうしてはおれん!酒もさらに確保しなければ!では用事が出来たのでまた後でだぐだ夫!」
もう1人のマスターと契約しているクー・フーリンとフェルグス・マック・ロイはエミヤの肴と聞きテンションを上げながらその場を去る。ハサンは「いいのですか?」と尋ねるが「大丈夫でしょ」と気楽に答えた。
その後何事もなく食堂に着くと何人かのサーヴァントがエミヤの作った飯を食べている。その内の1人、件の赤いネロがこちらに気付くと手を振ってアピールする。ハサンにお礼を言い自身で操作しネロの元へ向かう。
「ぐだ夫よアポは貰ったが余に用事とは、いつものアレか?」
「いつものアレですネロさん」
「今回は早いなマスター。何か食べるか?」
「ティーチさんが前々から書いてたネタらしいから。あ、軽いモノでお願い」
「軽いモノか。分かった少し待っておけ」
4人の内の1人エミヤが自身のマスターの注文を受け厨房へ戻る。先に紙束を受け取り内容のチェックを行っているネロに「どう?」と尋ね「うむ!」とチェックを終えてぐだ夫の方を向く。
「魔法少女モノとは変わっているが悪くはないな。しかし少女同士の戦闘だからいつもより殺陣の迫力には期待できんな。どうエフェクトをつけるかがカギだな」
「その辺りはネロさん達の裁量に任せるよ」
「うむ!余に任せろ!」
今、カルデアでは契約したサーヴァント達が暇潰しも兼ねてネロの宝具である黄金劇場内で催す演劇が娯楽として楽しまれている。
アンデルセン等の作家陣やティーチ等の趣味で物書きをしている者が書いた脚本やもう1人のマスター通称『ぐだ男』の聖杯探索の冒険譚を寸劇にして楽しむというモノである。
脚本の出来もさることながら一番の特徴は英霊による本気の殺陣だ。黄金劇場内で少し力が制限されて宝具は使えないもののダ・ヴィンチちゃん特製の「英霊が使っても壊れない武器」を使った仕合は見る者の心を熱くし、また演じている方も普段は出来ない仕合が出来ると好評で、特に戦闘が好きな男性サーヴァントに人気である。
「してぐだ夫よ」
「なんでしょう」
そんな事情はさておいてとネロが少し不満気な顔で愚痴をこぼす。
「最近、奏者が余り構ってくれない」
「あー」
「この様な劇も悪くはないのだが余としては特異点に行って少しでも絆を深めたいのだ!なのに最近入ったライコー?だったかに出番が取られて暇なのだ!」
第6の特異点で敵の編成がより複雑により頑丈になっているために、火力が高い新参のバーサーカーである『源頼光』が一気にスタメンに押しあがってしまったのである。今までその立場に居て敵を薙ぎ払っていた広範囲宝具持ちが暇になったと愚痴をこぼすのはぐだ夫にとってはもう見慣れた光景である。
「だから奏者がレイシフトから帰ってきたら抗議をしようと作戦をだな」
「落ち着いて下さいネロ。ぐだ夫はともかくマスターを困らせてはいけません」
「む、青い騎士王か。しかしだなこう放置されると鬱憤が溜まるモノでな」
「その鬱憤を晴らすための演劇でしょう」
ネロをなだめるのは常に食堂に1人は居るアルトリア・ペンドラゴン。その中で聖剣を持つ青い方である。待つのも仕事だと茶碗を片手に話すその姿は何とも言えないが、苦笑いしながら言い合う2人を眺めているとエミヤが飯を持って来た。
「ほらマスターとネロ持って来たぞ。アルトリアはおかわりはいるか?」
「ありがとうエミヤさん」
「くるしゅうない」
「お願いできますか」
アルトリアは手に持った茶碗をエミヤに渡しアホ毛をぴょこぴょこ動かしながら待つ。さ
「それで今マスターはどちらに」
「ぐだ男くんなら何かステッキから羽根をもいでくるって言って新しく出来た特異点に行ってるよ」
「そうですか。ステッキから羽根の意味がイマイチわかりませんが……ではぐだ夫は何を?」
「うーん……暇だと言っていたアストルフォさんなんかを連れて宝物庫にでも行こうかなと思ってるよ」
「ぐだ夫も足さえどうにかなれば何人か移るでしょうに」
「あはは。こればっかりは仕方ないかな」
ぐだ夫は今は無い両足を気にせず飯を食べ進める。
先の事件に巻き込まれ両足を失ったぐだ夫はマスターとしての資格はあるが特異点に行っての直接的な聖杯探索が出来ない。
そのためぐだ夫のカルデアでの役割はもう1人のマスターであるぐだ男の契約しているサーヴァントの世話である。世話とは言っても所謂「暇つぶし」の提案をしたりするのであるが。
1日毎に代わる修練場に行き戦闘と言う名の運動をするついでにスキル石やピースといったサーヴァントの霊基やスキルを高める物を集めたり、はたまたバーサーカーのクラスを借りて種火と呼ばれる霊基を成長させる糧を貯蔵したりとサーヴァントに関わるモノから、先の演劇など娯楽の提供、各人の愚痴を聞いたりと多種にわたる。
聖杯探索を行っている年下のぐだ男の負担を少しでも軽くするためにこの役割を買って出ているが、サーヴァントによってはこちらのぐだ夫と接している時間の方が長い。
「そうですね。すいません失言でした」
「気にしてないよ」
「だが足がどうにかなったら誰が移ると思うのだ?青い騎士王よ」
「フェルグスは間違いなく移るでしょう。飲み仲間で仲も良いですし」
「あのタケシか。ふむ確かによく歩みを共にしておるな」
「ええ。ただ鞍替えの時に貞操が危なそうですが」
「その辺りはどうなのだぐだ夫」
「ん?んー……」
その話を振られるとは思っていなかったぐだ夫は噛んでいた物を飲み込み考える。数舜考え答えを口にする。
「別に体を委ねていいかな」
まさかの答えに尋ねた2人は鳩が騎士は徒手にて死せずを喰らった顔をしていた。一時の間の後、椅子からガタッと立ち上がりぐだ夫の肩を掴む。
「正気かぐだ夫よ!話を振っといてアレだが!」
「そうだぞぐだ夫!まさかお前がそんな趣味だったとは!」
「いやそういう趣味ではないけど……お世話になってるし、それに足が治るとも思えないし」
「うっ……むぅ」
足が治ったらというもしもの話であり、それはありえないと自身で理解している故の答えである。義足を提案された事もあるにはあるが整備に手間がかかるため却下した。今ならば自身の契約しているサーヴァントの1人ニコラ・テスラがノリノリで作るであろうが。
「ほらアルトリアおかわりだ。マスターは食べ終わったか」
「いただきます」
「うん。あ、そういえば夜にお酒飲むから何かお願いできる?」
「俵から食料が支給されているから問題無いが、またフェルグス達とか?」
「バレてたか」
「ハサンから話は聞いているからな」
「じゃあ頼むよ」
「やれやれ、ほどほどにな」
「善処するよ」
用事を済ましたぐだ夫は食堂を後にする。なお、食堂の他のサーヴァントが話を誤解しぐだ夫が男好きという噂が広まったのは余談である。レイシフトから帰って来たぐだ男から尻を守ろうと何人かのサーヴァントがぐだ男の後ろに着いてたのはさらに余談である。
ぐだ男(16):カルデアのメインマスター。多くのサーヴァントと契約するジゴロ。
ぐだ夫(24):カルデアのサブマスター。契約サーヴァントはエミヤ・俵・百貌のハサン・ニコラの4名。お酒好き。