自動書記の、自動書記による、禁書目録のための。   作:ふらみか

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第九章 ~ 会議三

*第九章*

 

 土御門から言われてから三日後。七月二四日。小萌先生が出した補習課題を小萌先生宅でやっていると、ペンデックスが起き上がった。

「――正常な覚醒を確認しました。おはようございます、上条当麻」

 土御門の言う通りだったが、俺は結構びっくりしていたりする。

「ホントに三日後に起きやがったな、この眠り姫は。おはよう、ペンデックス」

「……。お腹が空きました」

 一見して無表情の姫は何を考えているのか分からない。が、その彼女からクゥ~と可愛らしい音が聞こえてきた。そりゃ、普段あんだけ食べるインデックスが三日も飲まず食わずで寝っぱなしだったら腹も減るだろ。

「三日ぶりだからなー。安心しろ、ちゃんと用意してある。さっき小萌先生が作ってくれたんだ。冷めてないと思うけど……」

「感謝します」

 今まで広げていた課題の数々をどけ、適当な古新聞を敷いて、その上に小さい土鍋を置く。中身はお粥だ。

「病人でもねえんだろうけど、空っぽの胃には優しいもんを、だってさ」

 お椀に盛って、ペンデックスの前に配膳すると、彼女は手を組んだ。

 食前の祈りだ。

 なんと神々しいことか。

 聖女になれるぜ、ペンデックス。

「……。いただきます」

 組んだ手を解く瞬間に、俺は名残惜しそうな目を送ってしまった。

 いやいやいや。

 中身ペンデックスさんとはいえ、これはインデックスさんですし。今までこいつが祈ってるところなんてしょっちゅう見てきたじゃないですか。何を改めて思ってるんですかね、俺は。

「あの、上条当麻」

「えっ!? あ、な、なに? どうした?」

「? 何をそんなに慌てているのですか?」

「なんでもないなんでもない……。で、なんだ、ペンデックス」

「頼みがあります」

「頼み?」

「夕方辺りに、お湯をいただきに行きたいのですが」

「ああ、なんだそんなこと。確かに四日間そのまんまだしな。いいぜ、案内するよ」

「助かります」

 ってことは、後で銭湯だな。

 

 

 

 

 

*会議 三*

 

 神裂火織は日が暮れる頃、学園都市のとある交差点付近が見えるビルの屋上に佇んでいた。

「……、」

 彼女は、これから自分がやろうとしていることに、戸惑いを感じていた。

「どーしたんだにゃー、ねーちん」

 神裂の横には土御門元春が、金髪アロハサングラスという出で立ちで、彼女と同じ方向を眺めている。彼の口元には、思惑のはっきりしない笑みが貼り付けられていた。

「まさか、自分で言っておきながら『やめたい』だなんて言うんじゃねぇだろうにゃー」

「そ、そんなことは……」

「女教皇であり聖人でもある神裂火織ともあろうお方が、約束を破るなんてがっかりだぜい」

「やりますよ! やりますから! ……しかし、」

 彼女の腰にあるウエスタンベルトに力がかかった。そこに通してある七天七刀を握る手に力が入ったからだ。

「しかし……もう一度、彼の前に立てというのは、不本意です」

「しかたねーにゃー」

「分かっています。あの子のため、ですから。ですが……」

「はぁ……そんな煮え切らないねーちんのために、土御門さんからのプレゼントだぜい!」

 土御門はポケットから粉末の入った小さな袋を取り出した。それを、神裂へと差し出す。

 怪訝な表情を浮かべながら、彼女は小さな袋と土御門を交互に見やる。

「……これは、いかがわしい薬とかではありませんよね?」

「まぁあながち間違いじゃねーがにゃー。そいつを全部飲むと、四日は眠ったままになるぜい」

「なるほど……。念のために聞いておきますが、術式などは?」

「正真正銘、薬品の塊だぜい。かみやんにも効くぜよ。学園都市製だから安全も問題ないんだにゃー!」

「ふむ」

 神裂は小さな袋を受け取り、ジーンズのポケットにしまった。

「これで、必要以上に傷付けなくて済むぜい。良かったにゃー、ねーちん」

「……一応、恩に着ます」

 彼女はこれで決意を固めた。

 現在のターゲット、上条当麻を強行的に眠らせ、四日間行動不能にする、という仕事をする決意を。

 

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