自動書記の、自動書記による、禁書目録のための。   作:ふらみか

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行間五

*行間 五*

 

 私と彼が会話に花を咲かせていると、何処からともなく声が聞こえた。

「お久しぶりです」

 私に言ったのか、それとも彼に言ったのかは、分からない。

 突然の声に驚き、私が辺りを見回すと、

「――……私?」

 真後ろに私が居た。

「はい。正確には、『自動書記』です」

「『自動書記』……」

 魔道書の知識は今、綺麗に全て抜け落ちている。けれど、その単語には覚えがあった。

「なんだ、早かったな、お前」

 どうやら彼も知ってるようだ。

「一日目が終わったところです」

 彼と『自動書記』は面識があるようだ。私にはわからない、二人だけが分かるような会話をしている。

「もうちょっとゆっくりさせてくれよ」

「それは、貴方が体感する時間の流れが早かっただけではないですか?」

「ははは、かもな」

 もしかして、仲、いいのかな?

 なんて考えていると、『自動書記』は私の方を向いた。

「禁書目録」

「えっ? わ、私?」

「私を覚えていますか?」

「えっと……あんまり、記憶にないけど……」

 私らしくない言葉だと思う。

「第三次世界大戦時、右方のフィアンマの手で遠隔制御霊装を操作され、少々強引ではありましたが、私は覚醒しました。しかし、『首輪』の消失により、貴女は休眠状態になることはなく、半覚醒状態にあったはずです。私の事を近からず遠からずの距離で眺められたと思うのですが」

「……ごめんね。やっぱり、あんまりよく覚えてないんだよ」

「そうですか」

「こう言っては失礼だけれど、覚えていたとしても、なんだか思い出したくないかも」

「いえ、正当な感情です」

 この、私そっくりな『自動書記』は、私なのだろうか。覚醒したとかどうとかいうから、多分他の人も見たことがあるのかもしれない……複雑な気分。

「あ、ねぇ。えっと……『自動書記』って呼べばいいのかな?」

「ペンデックスです」

「ぺ、ぺんでっくす?」

 ……なにそれ。

「はっはは、なんだそのセンスのない名前は」

 どうやら彼も同じように思っているようだ。

「あの方に付けてもらいました愛称です」

「アイツかよ」

 あの方? アイツ? 誰だろ。

「それで、何ですか、禁書目録」

「あ、あのね、えっと、あなたはとうまを見たことがあるのかなって」

「俺? あるけど? な?」

 あん時のお前おっかなかったよなー、と彼は呟いている。

 その彼の方を向いて『自動書記』は話しかけた。

「……確かに、彼、上条当麻とは対峙したことがあります。しかし、彼女のいう『とうま』は貴方ではない方の『とうま』でしょう」

「あー。あっちね」

 あっち?

 私は要領を得ていない表情をしていたのだろう。彼は私を見てにこりと笑った。

「ほら、ペンデックスさんが俺の代わりに説明を始めるてくれるみたいですよーっと」

「禁書目録。貴女の目の前にいるのは、去年の七月二八日までの彼です。貴女の質問に、正確に答えます。ここにいる『彼』とは去年の七月二〇日に会っています。さらに、貴女の言う普段の『上条当麻』とは去年の一〇月一八日に、右方のフィアンマが操作する遠隔制御霊装によって、会っていることになっています」

「え? え? あの、え? ちょ、ちょっと待って! 整理させてほしいんだよ。えっと……ここにいる『とうま』は、その、やっぱり記憶を失う前の『とうま』なの?」

「なんだ、分かってなかったのか? 案外鈍感なんだなお前」

「むっ、それは……今は置いておくんだよ。えっと、じゃあ私の知ってる『いつものとうま』はどこ?」

「ここにいるだろおい」

「えーっと……」

 私と『自動書記』の二人(?)で彼をじっと見つめる。

「あ、悪い悪い。そんなに困らせるつもりはなかったんだ。単なるジョークですよ、ジョーク」

「……そこら辺はやっぱり『とうま』かも。で、いつもの『とうま』はどこなのかな?」

 『自動書記』は、改めて私に向かい合い、口を小さく開く。

「そのためにはまず、ここがどういうところなのかを説明しなければなりませんね」

 

 

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