次にキャラクターについてですが、原作の荒野のコトブキ飛行隊のキャラクターに物語の進行を依存していないという点も良かったと思います。もちろん自分は原作キャラクターを使って大きく物語を動かす形式の小説も好きなのでどちらでも構わないのですが、この小説は現時点ではあくまでリューヤのノボルを主軸とした物語であるという書き方に感じ、それが良かったと思いました。著者の推しキャラクターであるエンマがストーリーの主軸にまだ大きく絡んでいないという形になっているだけなのかも知れませんが、むしろ推しキャラクターに依存せずにここまでのストーリーを書いたという事が自分の場合は出来ないだろう事で凄いと思いました。
　7話からは他著者のコトブキ二次創作小説を借り三次創作小説という形で書いたという事ですが、申し訳ありませんがまだそちらの小説は読み込んでいないので、お借りしたキャラクターがどのぐらい元の小説の書き方に寄せられているかという事については回答出来ません。ただ、イサカとヤマダの間にそれなりの絆がある事やイサカが実力者であり、それ相応の熱意や目標を持っているキャラクターとして描かれている事は読み取れました。

　次にエアレース、戦闘機の機動の描き方についてです。コトブキ飛行隊の世界観においてエアレースについて言及するシーンはそこまで多くないため新鮮であり、コトブキ飛行隊の世界ではエアレースはこう行われているのだろうからこう進行するという書き方や設定で、イジツの持つ可能性をちゃんと広げられているようでとてもワクワクしました。6話までの一つ目のエアレースは、この小説のこの部分はこの作品と似ているという感想の書き方は作者にとって辛い場合もあると理解しながらも言わせていただきならば、スターウォーズEP1のポッドレースのようなイメージで読めました。小説を読んで具体的なイメージが湧いたので臨場感があったという事になります。
　自分は飛行機についての知識は皆無なので、正直に言えばこの描写は詳しいものなのか正しいものなのか？という事はどれも分からないのですが、最新話までで何も分からなくても緊張感を持って読めたというのは小説においてとても重要で優れている要素だと思います。何か一つお願いをするならば、7話以降のレースにおいてレースはこういったコースで進行するという具体的な図が有ればもっとレースの内容を深く飲み込めると思いました。

　最新話でリューヤは2つの愛機の内片方である隼2型を失ったという事になりますがこれからどうなっていくのか……？何を為そうとしているのか？ゴールはどこなのか？本当に気になる所です。それだけのめり込める小説なので読んで良かったと思います。これからのストーリーの進行に………忙しければ概要でこうなっていくという形でもいいので読んでみたいです。

　感想としてはとても長く読み辛いものになったかも知れませんが、思いの丈を書かせていただきました。良い小説をありがとうございました！！

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