タイトル幽霊の巣で犯した犯罪小説ID148907
原作現代 / ホラー作者南 秀憲
あらすじエブリスタに投稿。

 当然この世に生きている人ではないと、理性が勉にささやく。殆ど何も見えない暗い空間なのに、男が着用している紺色の作業服が、鮮血で赤く染まっているのが見えるのだ。作業服を着ている男ばかりか、髪を足元まで伸ばした、真っ裸で奇怪なシワだらけの老女も、彼に迫ってくる。老女の顔の肉は、腐って爛れており、老女の全身の殆どがミイラ化している。無数のハエが群がって、老女の腐った肉の中まで入って、卵を産みつけているのだろう。一瞬のうちに、無数のウジ虫が老女の体を見えなくし、老女の形をした無数のウジ虫が、こちらに向かって迫ってくる。
 瞬く間に、勉の心は恐怖に凍って、今にも吐きそうになったが、そんな暇すらない。  次々と、地獄の亡者が向かってくるからだ。学校の理科室にある、赤い筋肉をあらわにした人体標本のパレードさながらだ。
 勉は震えながら確信した。
(ここは、悪霊どもや妖怪の通り道に違いない! いわゆる、霊道だ!) 
 今度は、下半身が千切れ、クネクネと動いている大腸と小腸を、ホコリっぽい廊下に引きずった上半身だけの男が、まるで飛んで来るかのように素早く、勉に向かってやってきた。男の口には、焦げ茶色に変色した血が、ベットリとまつわりついている。その男は、喉の奥から絞り出すような家を振動させる大声を出して、勉にペコペコ頭を下げて懇願≪こんがん≫してくるのだ。
「頼む。頼む。頼む。頼む。頼む。頼む。頼む。頼む。……後生だから、お前の脳味噌をこのわしにくれ! わしを助けてくれ! 痛いだろうが、ほんの一瞬の辛抱だよ。何も怖がることはない! イーイヒヒヒ、ケケケケ、イーイヒヒヒ、ケケケケ、イーイヒヒヒ、ケケケケ……」
 今まで何度も怨霊に遭遇している勉もでさえも、こんな怨霊は初めてだったので、体全体がブル、ブル、ブル、ブル……と震えてしまい、思わず後ずさりしたてしまった。すると、ドンと背中に誰かが当たった。その弾みで、側面の壁にあちこちに衝突しながら、階段を転げ落ちたのだ。勉には、まるでマネキンが落下するような光景に見えた。だが、マネキンではなく雄太の妹、妙子だった。
タグホラー 怪談 完全犯罪 殺害 幽霊 怨霊 霊道 ウジ おぞましい
必須タグR-15 残酷な描写
掲載開始2018年02月21日(水) 23:30話数短編 1話UA310
最新投稿2018年02月21日(水) 23:30しおり1件お気に入り0件
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