ポケットモンスター special of transporter (熨斗付けた紅白蛇)
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序章 介入はしないが、イエロー編
第1話 なあ、こんなこと、信じるか?(改稿)


初めまして。ポケモンでは初めて書く
熨斗付けた紅白蛇、略して熨斗蛇というやつです。

ポケモン、以前から書いてみたいとは思ってはいました。
今回、もう少ししたら最初に書いていた小説を一時的に更新停止にしなければならなくなったため、その間腕を落とさないという意味で、そして、書いてみたかったからという理由で書き始めました。
練習……という意味も、この小説にはあります。戦闘描写や一人称視点の。
もともとは、Fateのキャラの誰かを別の作品に……というものを考えてたんですけど、思いつかなかったんで……
そうこうしているうちに、ポケモン熱が再燃。
今に至ります。



まず最初に

※作者に文才はありません。非常に下手です。
※この作品は、作者が一人称視点と戦闘描写の練習の意味でも作りました。
※主人公になる子の口が悪いです。口が悪いのから唐突に普通の口調になることもあります。
※作者のバトル描写は下手です
※独自解釈、含みます
※ポケスペ9割、残り1割をアニメとゲーム成分です。
※ラティアスの擬人化……ポケスペでやってたし
※伝説や幻が1匹だけって、誰が決めたの?

18.4.1 流石に伝説は全部送られてくるのは無しとします。嘘ではなく本当に。

……Are You OK?(良いですか?)

So let's move on to the next.(それでは、次に進みましょう)




なんでこんなことになったのか理由がさっぱりわかんねぇ。

誰でも良いから理由を説明してくれ。

 

元々、俺はポケモンのアルファサファイアで、弓なりの島を探していた。

あの島、とことんまで出てこねぇ。オメガルビーの方では出てきたのに全く出てこない。

 

確かその日も結局出てなかった。だから、仕方ないからイーブイの厳選をしていた気がする。理由は可愛い上に進化系も豊富で、その進化系たちもみな一様にかわいらしいものだったから。

 

厳選と言っても、別に俺はそこまでガチ勢って訳じゃない。なんなら知識も中途半端。6Vとかは諦めて、必要な能力のところにVが入っていてなおかつ性格も悪くないと自己判断したポケモンを選んで育てる。

色違いなんて運任せだ。一つの作品で1匹出れば万々歳。

 

 

 

そんな俺だった。そうだったはずなのにだ。

 

 

「まさかのポケモンの世界に入る羽目になるとはなぁ……」

 

理由、説明を求める原因は、この世界だ。

あの鼠みたいのはコラッタだし、あの鳥はポッポ。ビードルまでいる。

 

見間違えるはずもない、ポケモンたちの姿。

 

寝て起きたらポケモンのいる世界というのは、どんな冗談なんだ。

 

確かに好きだ。ポケモンは大好きだ。正直ポケモンの世界に入りたいと思ったことも一度や二度じゃない。

だがこうやって実際に、突然入ってしまうと心の準備もなにもできてないし、なおかつ危険だ。

野生のポケモンは、人を襲う。

 

なんで入ってしまったのかと心当たりを考えて思いつく。

 

 

「……うそだろおいふざけんなっ!!!!!?」

 

思わず叫んだ。俺が突然叫んだことでポッポが驚いて飛びだったが、そんなこと気にしていられなかった。

なぜポケモン世界に入り込んだのかと言う理由を思い出した。あまりにも馬鹿らしい心当たりだったが、そんな理由しか思い当たらなかった。

 

夢の中に現れたアルセウスに、ポケモンの世界に行きたいかと聞かれて、Yesと答えた。実際には言葉などではなく、そういう雰囲気の鳴き声だったが、それに応えた。

 

「……あれ、夢じゃなかったのかよ」

 

夢だと思って面白半分で無駄に流暢にYesと応えた。

 

原因が判明したところで、もう仕方ないと割り切った。この世界にはモンハ○も遊○王もないけど、本物の生きているポケモンたちがいるということで満足する。

そう決めたところで、自身の現状を確認して逃げることにした。

 

 

「「「「「「「ポッポー!!!」」」」」」

 

「あの大量のポッポを捲きながらこの森から抜けよう」

 

先程の大声に対して混乱してバタついているポッポの群れだった。このまま居ては巻き込まれる。

 

アルセウスが現れた時の自分が出る場所の指定もポケモンを持たせてもらうということも考えていなかったことを呪う。せめてポケモンを持たせて貰えていればポッポの対処は可能であった。フタバタウンやマサラタウンなら、そもそもにして安全だっただろう。後悔後先たたずと内心で舌打ちしながらポッポの群れから逃げる。

 

ちらりと見やったポッポの大軍の中にきらりと光るゴールデンなポッポが見えた。色違いだ。そこら辺に都合よくボールが落ちているなどということも無く、諦めてスタコラサッサと逃げた。出来ることならまたあの金のポッポにだけは遭遇したい。




……やはり、一人称視点は苦手です。
次からは三人称視点……いや、もうしばらく一人称視点でいきます。
そうしないと……腕をあげることにもならないですし。

あ、ゴールドとキャラがかぶってるって思うかもしれないですけど、そこら辺は男女の差でカバーしま……す。
よくよく考えたらこの主人公趣味以外むっちゃ男の子っぽかった。可愛いの好きだけど、服とか興味無い。芸能もコンテスト以外興味無い。
……なんとかなるよね、きっと。


________
かなり地の文を描き直しました。前に比べると荒っぽい口調の地の文ではないため、読みやすくなっていると思い……たいです。


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第2話 マサラタウンに、こんにちわHELLO

……アニメの歌が旅立ちの歌なら、こちらはこれからマサラタウンに来る人から向けられる言葉だ!

さあ、行け、主人公!名前はテケトーに行け!
あ、見た目どんなのにしようかな?楽しみダネ。フシギダネ。


「ぜぇ…ぜぇ……!」

 

やっと逃げ切った……!俺は勝ったぞ……!逃走成功だ……!

さあ、賞金をくれ……って、これ逃○中じゃねぇし。戦○中でもねぇけど。

 

さて、ゴールデンポッポは惜しいがなんとかポッポ軍団から逃げ切ったわけだが、ここはどこだ?

見渡す限りの緑の森、草むら。舗装されていない道。

 

……お、看板みっけ。なになに〜?

 

「こちら、一番道路」

 

なるほどなるほど、一番道路かそうかそうか

 

「……え、まじ?」

 

 

一番道路だとっ?!

つまりそれは最初の主人公の家が近いということであるがたしかホウエンとシンオウは100番台200番代だから除外してえーと確かカントーとイッシュとカロスが一番道路だがってああそういえば出てくるポケモンでわかるよな……

 

 

……って、観察してて出てくるのがポッポにコラッタってカントーじゃないですかヤダー

つまり真っさらマサラに繋がってるわけねー

寧ろイッシュやカロスの一番道路でポッポが出たらびびるわ。

 

 

……そういえば俺、何持ってるんだっけ。唐突?気にすんな。

 

「……えーと、動く指が手足合わせて合計20本に、腕と足が2本ずつ。欠損なし。

それから目ん玉があって、鼻があって、なんか白い髪の毛があって、歯があって、メガネが無い。

それからいたって普通な女の体で、来ている服は黒のジーパンに靴に、黒のコート。コートの中身は、普通な白Tシャツ

……以上。

って、完全なる身一つじゃねぇか!!」

 

あとサラッと流したけど、白い髪ってどゆこと?!

俺いたって普通な日本人だったぞ?!黒目黒髪の純和風!

…いや、純和風はないな。俺の髪、茶色がかってたし。

 

って、ボケてる場合か俺!

つまり身元を証明するものも、何も無いってことだ!

いや、最悪俺が無駄に持ってるポケモン知識を使ってオーキド博士の役に立って、研究所に置いてもらうという方法が無いわけではないのだが……

 

 

 

 

 

 

よし、あとは運に任せよう。

 

 

もう知るか!これ以上考えてたら脳みそがパンクするわ!

とにかく行く、何があろうが行く。

あとは野となれ山となれだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

マサラタウンにこんにちわHELLO

 

マサラタウンへの挨拶は程々に、オーキド研究所に向かう。

ほんのちょっとの知識を披露した程度なら、相手は博士だから、相手にされないだろう。

だから、本気で押し売並みの自己アピールをやってやる……!

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言おう。

 

……なんか、手が回されてた。俺の覚悟返せ。

 

 

俺が来る数時間前、電話が来たそうだ。

 

『おそらく今日明日、一人の白い髪をした10歳前半の女の子が来るはずだ。

その子はとてもポケモンの知識がある。だが、いかんせんなかなかに無茶な子だ。私たちが止めるのも聞かず、ポケモンも連れていないのに博士のところに行くと言って身一つで飛び出してしまった。

どうか、彼女が来たら、博士の研究所に置いてやって欲しい。おそらく、彼女はきっと役に立つだろう。

どうか、よろしく頼む』

 

そんな電話一方的にが来て一方的に切れた。

いたずら電話かと思えば、本当に俺が来たってわけだ。

 

だがしかしだな

 

 

「君!聞いているのかね!」

 

「……聞いていますよ」

 

「そもそも、ポケモンも連れずに町を飛び出すなど以ての外! 野生のポケモンに襲われでもしたらどうするつもりじゃったんじゃ!」

 

もう少しマシな言い方はなかったのか?

ポケモンを連れずに出て行ったことにされるとか、スゲー哀しいんすけど。

 

 

そんなわけで、オーキド博士に説教されること2時間。正座していた足が痛いし痺れてるしで散々だった。

 

 

 

 

「ところで、君の名前はなんというのかね?」

 

説教が終わってすぐ、名前を尋ねられた。

そういえば、すぐに説教に入ってしまったから、名乗る暇すらなかった。

……よし、現実にいた時の名前じゃなくて、やっぱりポケモンの世界で主人公につけたことのある名前にしよう。

そうだな……

 

 

「トゥルー。トゥルーです」

 

昔、ブラックでレシラムにあやかってつけた名前にしよう。

トゥルー。真実。

安直だけど、現実の名前よりもずっといい。

 

うん、今日から自分の名前は、トゥルーだ。

 

 




主人公の顔とかは各々で想像してくださいね
目は水色 髪は白
レシラムカラーだぞ☆
だからと言ってレシラムの擬人化に乗り移ったとかそんなことはないよ。擬人化はラティアスでしかする気ない。

……自分で書いてて呆れた。☆ってなにさ。

ところで、この小説何番煎じなんでしょうね。
オリ主がポケスペ原作介入する系の二次小説としては。


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第3話 ここは"どのポケモンの世界"なんだ?

ポケモンといっても、幾つかの世界に別れる。
一つ、ポケアニ
一つ、ポケスペ
一つ、ゲームポケモン
一つ、Pixivレッド←それ違う


この世界に来て、早くも一週間経った。

それはいい。

 

…俺、若くなってたんだよなぁ……

 

もともとの俺は大学生だった。

だが、この世界に来たことで俺の見た目は十代前半ぐらいの見た目になっていた。

 

そして、見た目も変わっていた。

白い髪と、青い目のまあ見た目のいいのにな。

しかも髪は無駄に指通りが良いし。

 

レシラムカラーだひゃっほいはしてない。

 

どうせ、リアルの世界だと俺はいたって普通のポケモンとかが好きなだけの一般人だったし、もしかしたらこっちのが良いかもな。

……どうせ、あの先もダラダラと安寧を貪るだけだっただろうし。

 

 

 

っと、良い加減そこから離れるか。

 

俺は今、オーキド研究所で手伝いをしている。

基本的には研究所にいるポケモンの世話。

 

何百体といるからな。おかげで疲れるが良いふれあいになっている。

 

……俺、ポケモン図鑑に載ってた説明を大体で覚えてたから習性は知ってても、世話の仕方だとかそんなのはてんでダメだったからな。

 

……良いよな、ポケモンが喜んで食べている姿って。

 

 

あ、話が脱線した。

俺は研究所を手伝いながら、

このポケモンの世界がどのポケモン世界なのか

っていうのを調べていた。

 

アニメなのかゲームなのか漫画なのか……そこら辺を知らなきゃここから先どうやって原作に介入すればいいかわからんし。

……介入する気しかねぇし。

 

 

……で、ある程度わかった範囲ではだ。

このマサラから、図鑑を持って旅立っていった3人のトレーナーがいる。

彼らの名前と肩書きは、

ポケモンリーグ優勝者レッド

ポケモンリーグ準優勝者グリーン

ポケモンリーグ第3位ブルー

 

……名前だけなら、ゲームかもしれないって思ったさ。

けどな、あの肩書きとかポケモンリーグが開催されたのが二年前で、今レッドが行方不明で捜索中。

そして、こないだ来た通信で見たのが麦わら帽子のイエローポニーテール。耳に傷入りのピカチュウ付き。

 

 

 

 

 

 

ポケスペですね本当にありがとうございました。

しかも、感じからしてイエロー編。初代 赤青緑と金銀クリスタルの中間。

 

……ポケモン貰って、戦略考えてってことしねえと原作に介入したら生き残れねぇわ。

原作に介入しないって選択肢は無いのかって?

うん、無い。

 

憧れのポケスペだぜ?あのロケット団幹部が強いポケスペだぜ?

むっちゃ介入したい。

 

……その前にポケモン貰わないとな。あと、出来れば図鑑。

 

 

ポケモンは、ポケモンが居て始めて成立する物語だからな。

 

 

……俺はどんなポケモンを持つことになるのかなぁ〜。楽しみだ。

リザードンとかバクフーンとかそんなのがいいなぁ。

つまりヒトカゲやヒノアラシだな。

……空飛べる分、ヒトカゲの方が良いんだろうけどな。



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第4話 不思議は不思議を引き寄せる……のか?

さてさて、あれから早いことに半年経ったぜこんなろー。

あ?時間の進むスピードが早い?気にすんな。

どうせこの半年は大体ポケモンの世話ばっかだったから。

 

合間でやったことなんざ……あれだ、オーキド博士の許可もらって研究所の庭の片隅に木の実畑を作ったぐらいだ。

あ、一応俺バイトみたいな立ち位置だから、給料貰ってるぜ?

その給料で鍬とか木の実買ってきて、畑の概要作って耕して植えた。

 

目指せ、突然変異。

特にネコブとかのシリーズが欲しい。あれ便利。

 

突然変異だけじゃなく、普通の木の実も栽培するさ。

好きな味の木の実食ってるポケモンたちって、本当に嬉しそうだからな。

 

……ついでに、何匹かのポケモンに木の実栽培の方法でも伝授するか?

エスパータイプのポケモンって大体頭いいから物覚えいいし。

そしたら、俺が旅に出ている間も木の実食えるし……

 

あー、でもそれやったら喧嘩になりそうだしなぁ……

『折角自分が育てたやつを、なんで他のやつに分けなきゃいけないんだ』的なの。

 

……うん、無しだな。

それだったら木の実の木をカロスにあったみたいな大木にした方がマシだ。あれだったら消えずに残ってるし。

でも、時間かかりそうだなぁ…育つまでの間に鳥ポケモンやらにやられたらアウトだろうし。

 

……いや、やってみなくちゃわかんねぇよな。

うん、やってみよう。

 

とりあえず俺が旅に出るときは幾つかの木の実を冷凍保存して、また俺が帰ってきたときに埋めるって方向性で。

あとは、試しに木の実の大木を作るだけだな。

 

 

 

………………………………あ、無茶苦茶話がずれた。

いつの間にか木の実栽培の話になってるし。

 

大体俺が話してると話がズレるんだよなぁ。まあいいか。

 

 

なんで、今回の話が半年も経ってからのスタートなのか。

これは、今回の事件が原因だ。

 

頭の上にモンスターボールがポコンッと落ちてきた。

 

……笑うか?大いに笑うか?笑いたけりゃ笑っても良いぜ?

まさかのボール、しかも中身入りが落ちてきたんだぜ?

 

あ、ちなみに中身はリザードンだった。

俺としては欲しいポケモンの一体。

 

だがしかし、ボールに入ってるってことは誰かのポケモンってことだ。

とりあえずオーキド博士に見せに行こう。

 

 

 

 

ーーー

バタンッと乱暴に開かれる扉。

 

「オーキド博士〜!」

 

オーキドの名前を呼びながら駆けてくるトゥルー。

その手にはモンスターボール。

 

「どうしたんじゃトゥルー。なにかポケモンにあったのか………………そのボールはどうしたんじゃ」

 

「頭の上に落ちてきました」

 

「真面目に答えなさい。どこで拾ったんじゃ?」

 

「真面目に答えてます。頭の上に落ちてきました」

 

あの口の悪いトゥルーがいたって普通に話しているとかは気にしてはいけない。場面によって口調を変えてるとか気にしてはいけない。

 

トゥルーが言った、中身入りのボールが頭の上に落ちてくる。

普通そんなことありえない。

そんなこと

 

ドジなトレーナーが鳥ポケモンにボールを盗られた時ぐらいだ。

 

 

「……確かボールには持ち主のトレーナーIDを登録する機能が付いておるはずじゃ。

それで誰のボールなのかはわかるじゃろう」

 

「ふぅん、そうですか。無駄に便利ですね」

 

「もし仮にボールを失くしても誰かが拾って届けてくれればすぐにわかるようにという意味合いもあるんじゃ。

もっとも、盗まれたら元も子もないがの」

 

 

トレーナーID。

トレーナー 一人一人に与えられたコードである。

抽選のときにも使われるが、五桁の数字で構成されている。

 

なお、交換した場合ボール本体に登録されるIDは交換先のトレーナーのものに変更されるが、ポケモンの情報に登録されているIDは変更されないのである。

 

 

オーキドは、ボールをパソコンのボールを置くところに置くと、検索を始める。

 

 

 

待つこと数分。

 

「……これはどういうことじゃ」

 

オーキドがありえないと言いたげな口調で検索結果を見る。

 

「なにか分かったんですか?」

 

「……このボールには、持ち主がおらん」

 

「……はい?」

 

「そして、このリザードンにも"おや"がおらん」

 

そもそも、トレーナーIDはモンスターボールを買った時点でボールに登録する手続きをする。トレーナーはモンスターボールを買う際、必ずトレーナーカードを提出しなければならない。

そのため、ボールにトレーナーIDが登録されていないなど、余程の不備がある場合でない限りありえない。

 

「弱ったの、このままでは おや に返すこともままならん」

 

オーキドは困ったように頭を掻きながら椅子に座る。

 

だが、トゥルーは違った。

 

「……返せないのなら、俺が世話しても良いですか?」

 

「お前さんが?じゃが……」

 

「リザードンが気性荒めのポケモンってことは知ってます。

けど、だからって触れ合ったり分かり合うのとかを避けてちゃダメでしょう」

 

「しかしのう……」

 

「あ、ご心配なさらず。おやが見つかったら、ちゃんと返します」

 

「そういうことではないのじゃが……

まあ良いじゃろう」

 

「よし、ありがとうございます。

それじゃ、早速仲良くなってきまーす」

 

「あ、こら待ちなさい!」

 

許可をもらうと同時に外に飛び出していくトゥルー。

その足取りは、待ちきれないと言いたげに軽やかなものだった。

 

 

 

 

 

 

「……ふっふっふ…………アルセウス様々だぜ」

 

なんか不穏な笑い声だが、それはそれである。




このくらいですね、連続投稿は。
これからは時間かけて1話ずつ投稿していきます。


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第5話 アルセウス様々だな。あと、旅に出る。

さすがはアルセウス、気がきくと言うかなんというか。

 

オーキド博士が調べてる間、俺にだけ聞こえていたっぽい声がした。アルセウスの声が。

もちろん、人間の言葉じゃなかったけど、大体言いたいことは伝わってくる。

 

それよると、このモンスターボールの中のリザードンは、俺がゲームで育てたリザードンらしい。

で、これから先も、時代が進む度に俺がゲームで育てたポケモンがなんらかの方法で俺のところに来るってさ。

…………基本的に頭の上にボールで落ちてくるらしいけど。

 

で、今回はこのリザードン。

さあて、カロスで育てたやつかはたまたハートゴールドで育てたやつか……どっちか楽しみだな!

 

 

 

「出て来いっ、リザードン!」

 

煙はもくもく、影はユラユラ

ばさっと翼を広げて

 

「……」

 

 

……………………

 

 

 

 

 

「咆哮無しかよ!」

 

そこは吼えようぜ?!そしたらいい具合に格好ついたよな?!

……いや、格好なんか求めるべきじゃないな、うん。

 

 

「……えーと、リザードン?」

 

「……グルル…?」

 

あ、唸り声で返事してくれんだ。可愛い。

 

「えーと……お前は、昔俺が育てていたリザードンで良いんだよな?」

 

「……(こくっ)」

 

あ、小さく頷いた。

 

「……で、えーとさ

 

なんかアルセウスの計らいで俺もこの世界にいて、お前も俺んとこに来たわけなんだが……

 

俺さ、もうしばらくしたら旅に出ようと思ってるんだ。その時の旅に、ついてきてくれねぇか?」

 

 

これはまじ。旅に出るのはマジ。

ゴールドとかよりは早めに出たい。具体的には最低でも一ヶ月後あたり?

もうオーキド博士には言ってある。

で、あとは準備するだけってところで、この出来事。

さすがアルセウス。タイミングが良いよな。

 

なんだが……

 

 

「……」

 

 

……うわー、むちゃくちゃ考えてる。

これ、リザードンが行くっていう同意をしてくれないと……

 

 

「……………………………………」

 

……なんか、長いな…………。

 

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………スヤァ…………」

 

 

 

…………………寝てやがるぅぅぅぅぅ?!

 

「リザードン!起きろ?!」

 

「……(ハッ)」

 

起きた……こいつ絶対

性格うっかりやで個性が昼寝が好きってやつだろ……

そしてその性格はハートゴールドで育てたやつか。

 

「リザードン、もう一回言うぞ、

俺の旅についてきてくれないか?」

 

「……(こくっ)」

 

一瞬で頷きやがった!

え、なにさっきの考え込んでたように見えたのって、最初から寝てやがったってことか?!なにそれ傷つくわ!

いやまあうん、それはいいか、うん、いいか。

 

 

「よし、それじゃあリザードン。これからよろしく頼むな」

 

「…グ……ルル!」

 

 

リザードン が 手持ち に 加わった !




トレーナープロフィール

名前:トゥルー(本名???)
性別:女
肉体年齢:12歳(第5話現在。)
体重:……〈ここだけが、燃やされたように焦げて読めなくなっている…〉
髪色:白(現実:茶色がかった黒)
瞳:青(現実:黒)

現実世界からやってきたポケモンプレイヤー。
アルセウスにポケモン世界に行きたいかと聞かれたのを夢だと思って無駄に流暢な発音でYesと言ったら本当にポケモンの世界に入っていたやつ。
女らしい言葉遣いが出来ていないが、それはそれと割り切っている。
しかし、言葉の使い分けはしている。

目下の目標として、原作に介入しようとか思ってる。


手持ち
リザードン 40Lv

なお、あまりにもレベルの高いポケモンはLv40にまで下げられてからアルセウスが彼女の元に送ってくる。


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第6話 備えあれば、憂い無し…………荷物重い幾つかパソコンに預けよう。あと、新しい旅の仲間が増えたぜ。

……ニックネーム考えねぇと


水筒よし。

サイフとトレーナーカードよし。

ポケモンフーズよし。

寝袋よし。

テントよし。

きのみ(in真空パック)よし。

キズ薬よし。

ボールよし。

それから……

 

 

あ?なに道具の名前羅列してんだって?わかんねぇか?

旅の装備の最終確認に決まってるじゃねぇか。

 

リザードンを手持ちにして一週間。あれから慌ただしく一週間経った。

具体的にはどれだけ慌ただしかったかと言うと……

 

 

「ブイッ!」

「ブイブイッ?」

「……」

 

…………イーブイ3匹が足にじゃれ付く足にホールド、頭の上に登る頭の上で落ち着く。

 

 

……………………

 

可愛いけど忙しさ倍増なんですけど?!

ああ、そうさ!俺の(ゲームで)育てたイーブイズだ!しかも進化させる前!

それぞれシャワーズサンダースブースターに進化させてたやつら!

つまりあれか?!アルセウスは俺に再びイーブイズを進化させてやれっていってんのか?!

ちくしょう、やってやらぁ!進化の石見つけて何としても進化させるさ!ここでエーフィやブラッキーに成られたらやばい能力値だしな!

 

 

 

と、愚痴はそのくらいにしてだな。

こいつらは、ボールが降ってきたのパターンじゃない。

 

野生のまま、自分の足で、他のトレーナーから逃げ回りながら俺のとこにやってきたやつらだ。

 

……ゲームでもポケモンの世界でも、共通してイーブイっていうのは野生では出にくい。

見つけたら捕獲。そしてメタモンと一緒に育て屋で増やす。

おまけで、イーブイのメスはさらに出にくい。タマゴの確率だと……あたりのゲームソフトでも三分の一もないとか聞いた覚えが……まあとにかく。

Vの厳選がめんどくさかったポケモンだったな。

それがORASで野生で1匹でも捕獲すればサーチしてってことが出来るようになってからはかなり楽に…………

 

……まあ、あれだ。

このイーブイズは、そのORASで捕獲した三体だ。

たしかそれぞれ体力、素早さ、こうげきがVだったはずだ。

他の能力値のV?忘れた。いちいち覚えてられるか。

 

 

とにかくだ。

こいつらは、俺のイーブイ。

オーキド博士が驚くぐらいの珍しいポケモンでも、俺のイーブイ。

きっちりめんどうは見るし、育てる。

ちゃんと育てれば、レッドのイーブイ程ではないにしろ戦えるようになるはずだからな。

 

……こいつらも旅に連れて行くさ。ポケモン泥棒に気をつけつつな。

 

 

 

で、問題はだな。

 

「……全部イーブイだから、名前決めないとなぁ…」

 

「ブイ?」

「……」

「……ブブイッ?」

 

同じポケモンだから、当然名前も同じ。このままだとこんがらがる…

いや、それぞれ

 

てれや がまんづよい

きまぐれ ちのけがおおい

がんばりや いたずらがすき

 

っていう性格の差はあるんだが……

 

……性格のことは気にすんな。能力値が可もなく不可もなくな性格なのは気にするな。

 

見分けるだけなら性格見てれば分かる。

だが、呼びかけるときに『イーブイ』だけだったら全員来るぞ。

さすがにそれは避けたい。

だから、なんかニックネームを考えて……

 

 

 

あ、そうだ。

進化させる先を連想させる名前で…

 

「シャボン」

 

「……?」

 

「ホムラ」

 

「ブイッ!?」

 

「ライカ」

 

「……ブイ?」

 

てれやなのがシャボン。

きまぐれがホムラ。

がんばりやがライカ。

そのままだなとかは受け付けん。

 

「よし、お前らの名前はそれで決定な」

 

「ブイッ!」

 

「ブイ」

 

「…………ブイブイ」

 

「あ? シャボンじゃ嫌か?」

 

てれやのがシャボンだと嫌だと抗議してきおった。ホムラとライカはこれでいいみたいなのに。

 

「んー、他の名前かー。

……シズクとか?」

 

「……」

 

「あ、これでいいか?」

 

「……(こくっ)」

 

よし、納得してくれた。

と、なると……

 

「リザードンもなんかニックネーム考えるか〜。」

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………スヤァ………………」

 

また寝てやがるけどな。旅の準備しながら考えるか。

 

 

 

 

「ブイっ」

 

「ブーイっ!」

 

「……」

 

「えーい!背中に飛びつくな頭の上に乗るな!膝の上は良いぞ!」

 

ホムラとライカとシズクに邪魔されながらな!

頭の上に乗ったのがライカで背中に飛びついたのがホムラ。

膝の上に乗ったのはシズクだ。これが一番大人しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水筒よし。

サイフとトレーナーカードよし。

ポケモンフーズよし。

寝袋よし。

テントよし。

きのみ(in真空パック)よし。

キズ薬よし。

ボールよし。

料理器具よし。

保存食よし。

ハチミツよし。

紅茶パック(in袋with乾燥剤)よし。

砂糖よし。

ゴールドスプレーよし。

虫よけスプレーよし。

あなぬけのひもよし。

 

…………………………………………………………………………………………………………入れすぎた。重い。

きのみ5キロはパソコンに預けよう……まだ重い。他は……

 

「ブーイ!」

 

あー、紅茶パックもかぁ。しゃーない、50袋の中の47袋預けよう。

他は

 

「……ブイっ」

 

え?美味しいお水?あー、しょうがないな。30本のうち……24本預けるか。

 

「ブイ」

 

え?サイコソーダとミックスオレ?

……わかった。合わせて10本になるまで預けるから。

他は……

 

「……グルルっ」

 

あ、ゴールドスプレーと虫よけスプレーと砂糖とハチミツも減らせ?

……わかったって、減らす減らす。

 

……って

 

「リザードン起きたのか」

 

「……グルル」

 

何気に流すところだったけど、起きてきてたのか。

と、そうだ、

 

「ニックネーム、付けないとな」

 

「……グル?」

 

ニックネームは大事。うん、大事。

さっき準備してる間に考え込んでたが、考えついたからな。

 

「リザードンに付けるのは……

カリュウかな?」

 

リザードンって、火龍だし。

 

「……」

 

あ、指立ててもう一声だと?

えーと、じゃあ

 

「ヒリュウ。」

 

飛竜だしな?!ワイバーンじゃねぇけどさ!

 

「……」

 

あ、これで良いみたいだな。

 

「よし、それじゃあヒリュウ。改めてよろしくな」

 

「……(コク)」

 

 

 

……とりあえず、預けれる道具はパソコンに預けよう。まだ重い。




手持ち
リザードンLv40 ♂【NN(ニックネーム):ヒリュウ】
性格 うっかりや
個性 ひるねをよくする

イーブイLv10 ♀【NN:シズク】
性格 てれや 個性 がまんづよい

イーブイLv10 ♂【NN:ホムラ】
性格 きまぐれ 個性 ちのけがおおい

イーブイLv10 ♂【NN:ライカ】
性格 がんばりや 個性 いたずらがすき


イーブイズ の レベル は アルセウス が 調整 し ました。


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第7話 旅立ちの日に……そんな名前の曲があったな……

※今回から三人称が出現頻度を高くします。
間違ってない。"三人称"が、出現頻度を増やします。
三人称の出現頻度が増えるとも言いますけども。


(何を言いたいのかとか深く考えずにヌルーしてください。)


 どこかからポッポの鳴き声が聞こえる。

 朝の日差しはマサラの地を照らす。

 

 ○月△日 水の日

 

「ん〜!良い天気だな、お前ら!」

 

「ブイッ!」

「……」

「…………ぶぁ〜ひ」

「……グル……」

 

 絶好の旅たち日和。

 ここに、一人のトレーナーが新たに旅立つ。

 

 それぞれ元気な、眠たげな、大あくびをしている3匹のイーブイと、リザードンを連れたトレーナーが。

 

 

「しっかし、俺の出身地マサラタウンで登録しちまってよかったんです?オーキド博士?」

 

「お前さんがどこ出身なのか最後まで言わんかった結果じゃろうが。どうせこのマサラタウンから旅立つんじゃ、別にええじゃろう」

 

「デスヨネー。まあ良いけど。実際マサラから旅立つんだし」

 

 白い髪の上にデニム生地のキャスケットを被り、白のワイシャツと黒の半パン。上着らしい黒い服を腰のあたりで袖を縛って

 皆さんお馴染みBダッシュシューズを履いて。

 

 本日、ポケモントレーナーとなったトゥルーは旅立つ。

 

 まさか現実の地名を言うわけにはいかず、出身地を黙ったままだったらそのままマサラタウンにされてしまったが、トレーナーになるためだし仕方ないと割り切り、今日まで準備をし続けてきた。

 どうせ帰ってくるのもマサラタウンだ。主に研究所のポケモンたちと仲良くなってしまったからにはまた会いたいと思えたため。

 

 

 

 

「……それじゃ、オーキド博士、今までお世話になりました!」

 

 にっこりと笑って、敬礼。(なぜとか突っ込んではいけない)

 リザードンの背に乗り込めば、イーブイたちも乗ってくる。

 

「うむ、口が悪いがお前さんには世話になった。本当ならカントー最初の3匹のうちの一匹を渡そうと思っておったんじゃが……」

 

「お気遣い、感謝。でもまあ、リザードンもいますし、それは別のトレーナーたちにでも」

 

「うむ、そう言ってくれるのなら、そうしよう。とは言っても、餞別は渡さんとな。ほれ」

 

 オーキド博士が渡してきたのは皆さんお馴染みの赤い図鑑

 

「……え、マジで?他に渡すやついるんじゃないんじゃねぇの?」

 

「心配せんでも、それはまた別に作ったやつじゃ。お前さんオンリーの図鑑じゃよ」

 

 なん……だと?

 そんなネタがぴったりな驚愕した顔でマジマジで図鑑を見る。

 

「ブイッ?」

「ブイッ!」

「……?」

 

「……マジで感謝しますわ。オーキド博士、今回以上に感謝したことは無いですわ……」

 

「それほど喜んでくれるのは良いが、大事にしてくれたまえ。

 普通ならば3機1組の図鑑とお主だけのを作ったので材料が足りなくなりかけたからの。ギリギリ足りたが。」

 

 衝撃の事実。まさかの余分に作れるだけの材料が残っていた。

 

「大事にしますこれほど嬉しいこと無いんではい。……今度こそ、

 リザードン!」

 

 

 _____ォォオオオウウウ!

 

 翼を一度羽ばたかせれば、あっという間に上昇する。

 

 下を見れば、オーキド研究所と手を振っているオーキド博士が見える。

 

 リザードンに指示を出し、研究所の上空を一度旋回し

 

 

 

 

 

 

 

 旅立つ。

 

 マサラの家々が離れていく。オーキド研究所は小さくなっていく。

 

 空は青かった

 雲は白かった

 朝日は美しかった

 緑は豊かだった

 

 

『そう、その時、俺の旅が始まったんだ。本当の意味での、俺の旅が。

 

 憧れの、ポケモン世界の主人公たちがしてきた

 夢の旅が』




反省も(少し)後悔もしている。
だが、この主人公が図鑑を手に入れようと思ったらこれか、イエローが手に入れたような方法しかないんや……!


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第1章 金・銀・クリスタル編
第1話 金・銀・クリスタルからのスタート


つまり初代主人公ズとイエローが先輩なわけですね



 時間は進むものである。

 そして……

 

 

 

「ホムラ! スピードスター!」

 

 イーブイの放った黄色い星は、相手のイトマルに命中する。

 

「くそっ、イトマル! いとをはく!」

 

 指示を受けたイトマルが口から糸を吐く。

 

「……かげぶんしん!」

 

 かげぶんしんによって出来た分身に、糸はあたる。だが、本体に影響は無い。

 

 

 

「そして……でんこうせっか!」

 

 一瞬の早業、先制攻撃のでんこうせっかがイトマルにあたり、イトマルは目を回して戦闘不能となる。

 

「ちっ! 覚えてろ!」

 

 イトマルをボールに戻した

 Rの文字が書かれた黒ずくめの服の男は逃げ去っていく。

 

 

「ハッ! おととい来やがれ! 俺の大事なポケモンに手ェ出そうなんざ万年早ぇんだよ!」

 

 そう口悪くいいながら、逃げ去っていく男に中指を立てる仕草を向ける。

 

 

「全く、わかってはいたが本当に泥棒やらなんやらが来まくるな。返り討ちにはするが……あれロケット団のやつだしなんかマチスの部下だったやつっぽいし……

 まあいいか。ホムラ、お疲れさん」

 

 

 ロケット団団員にイーブイ目当てで襲われたのを返り討ちにしたトゥルー。見事に撃退したイーブイことホムラを労う。

 

 

 

 

 

 時間とはカットされる(キングクリムゾン!)されるものである。

 トゥルーが旅立ってあっという間に半年近く経った。

 

 

 

 

 

 

 そして、

 

「ええっ?! ワ…ワニノコのボールが……ない!!!」

 

 ウツギ研究所で、事件が起こる時になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しっかし、オーキド博士から図鑑が盗まれたなんて連絡が入ってくるとは……これはついに始まったかな?

 ポケスペ原作、金・銀・クリスタル編が」

 

 つい数日前、トゥルーのポケギアにオーキド博士から連絡が入った。

 3機のポケモン図鑑の内の一つが消えたという話だった。

 

「金・銀・クリスタルかぁ……ゴールドにシルバーにクリスタルの3人……

 ゴールドはやんちゃ小僧だがポケモンに対する思いは本物。

 シルバーは初代のロケット団ボスにしてトキワジムリーダーサカキの息子。ゴールドとは正反対の冷静型。ただし、今の段階ではまだまだ。

 そして、ゲットのスペシャリスト、クリスタルことクリス。ゴールド曰く真面目学級委員長タイプ。現在はジョバンニのポケモン塾にいる……

 なんだろうな、ゴールドが一番普通な感じがする。でも、あれゲームの主人公が元になった奴なんだよな…まあ、そのうち成長するから、置いとこう」

 

 何故か主人公たちに関する情報に飛躍した。関係はある話であるが。

 

「……で、図鑑にしろこのあとのワニノコにしろ、犯人はシルバーなんだよな。

 だがしかし、ゴールドが作ったテキトーモンタージュのおかげで事なきを得た……と。……よし、ゴールドのテキトーモンタージュ、笑うために入手しよう。あれマンガで見た時も笑わされたし」

 

 なにやら変なことを決めていた。

 そんなことを考えていると

 

 pipipipi……

 

「あ? なんだ?」

 

 ポケギアに誰かからの着信が入る。

 取り出して画面を見ると、そこにはオーキド博士の文字。操作をして着信を繋げる。

 

「やっほー、オーキド博士。なにか?」

 

『うむ、先日ぶりじゃな。トゥルー君。

 さて、無駄話無しで進めるが、先日わしのところから図鑑が盗まれた話は覚えておるな?』

 

「覚えてますよ。3機の内1機が無くなったって」

 

『そして、今日ウツギ研究所からワニノコが奪われた』

 

「……もしかして、その犯人と図鑑盗んだ奴が同じ可能性があるって言いたいんで?」

 

『察しがいいの、その通りじゃ。

 そして、わしは今ジョウト地方におるが、なんでもワニノコを奪った犯人と戦った少年がおるらしくての。今からその少年に会いに行ってみようと思っておる。

 そして、君も犯人に関してなにかわかったら知らせて欲しいのじゃ』

 

「あー、なるほどね。分かりました。

 有耶無耶になるかもしれねぇけど、やってみます」

 

『うむ、どうかよろしく頼みたい。あと、もう少しポケモン図鑑を埋めておいて欲しいの』

 

「あー、それは考えときます。それじゃ」

 

 pi…

 

 電話を切り、ポケギアの画面を変える。

 

 

「……オーキド博士がゴールドと接触するか。

 確か……ヨシノシティに警察はあったな」

 

 ポケギアの画面に表示されるマップ。

 

 

「……ここから、ヨシノシティまでは……まあ、飛んでいけばなんとかなるか」

 

 イーブイのホムラをボールに戻し、リザードンを出す。

 

「ヒリュウ、悪いけどヨシノシティまで飛んでくれるか?

 いや、ヨシノシティというか、正確にはその付近で特訓しているであろう奴が見つかればそいつのとこだ」

 

「……」

 

 その言葉を聞くと、リザードンはヨシノシティの方向を向き、翼を低くして上に乗りやすくする。

 そこへヒラリとトゥルーが飛び乗ると、リザードンは大きく羽ばたく。

 

 

 

「目指すは……大雑把にヨシノシティ。本命はその周辺で無茶な特訓やってるやつ、だ」



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第2話 (加筆・修正)

2017.06.09
書いていた話がどうやってもこの話の次に書くにしては区切りが悪すぎました。
ですから、追加しました。


 日は沈みかけている。辺りは闇に包まれ始めている。

 

 けれども、闇に覆われきらず、光と闇の混沌とした時間。

 大禍時__逢魔が時__と呼ばれる、最も魔の気配が強い時間。

 

 その時、ヨシノシティに彼女は降り立った。

 

 

「よっと……うん、ヒリュウお疲れさん。思ってた以上に早く着いた」

 

 ここまで運んでくれたリザードンの頭を撫で、ボールに戻すと、ポケギアを取り出しマップを見る。

 現在地から目的地であるヨシノ警察は、それなりに距離距離があった。

 

「……無駄に遠いなぁ。ま、歩いてりゃそのうち着くか」

 

 そう呟いて、彼女は歩き出す。

 

 

 だがしかし、彼女は忘れていた

 

 それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………あれ? ここどこだ?」

 

 彼女ことトゥルーは、自身が初めて行く場所では必ず迷う

 

「えーと? あっちが北でこっちが南で? 向こうが東でこっちが西なら……あ、方向間違えた」

 

 軽度の方向音痴だということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局のところ

迷うだけ迷って途中で必要なものを買ったりしたりとしていたら、トゥルーがヨシノ警察にたどり着く頃にはすっかり暗くなっていた。

 既に指名手配犯の掲示板には、あの大笑いするために入手しようとしたゴールドの(トゥルー曰く)『テケトーモンタージュ』が張り出されていた。

 それを見てしまったトゥルーは一瞬固まったかと思えば、

 

「くくっ……くくくくくくく…………」

 

 勝手に動く腹筋によってもたらされる顔の筋肉の運動を堪える羽目になった。

 こんなところで突然笑い出したら変な目で見られる。今も変ではあるが。

 

 

 

 

「ゴールドのやつ、自分で捕まえたいからってこれはねぇだろ!」

 

 なんとかヨシノ警察の前から離れ、路頭で配られていたチラシにプリントされた『テケトーモンタージュ』を入手した後、街の外で腹を抱えてヒィヒィ言いながら、ゴールドへの文句という名の世辞を口にする。

 とにかく笑うだけ笑った後、モンタージュを折り畳み、荷物の中に仕舞い込む。

 

 

 

 

 

 

「………………さて、これからが問題だな」

 

 スタスタと街から離れつつ、イーブイのシズクをボールから出して抱き抱えながら進む。シズクは大人しく抱かれている。

 

「とりあえず今日はこの辺りで野宿するが、明日はこの辺りにあるであろう川を雨が降る前に探さないといけない」

 

 川。

 原作ポケスペでゴールドがオーキドとのバトルの翌日、崖から川に落ちたタロウのコラッタを助けるために飛び込んだ。

 過程は省くが、どうにかコラッタは助かり、あとはゴールド自身とヒノアラシだけ。だが、特訓のし過ぎで動けなくなったヒノアラシをどうにかして岸に送り、あとは自分だけというところで滝が見え……

 

 

 

 滝壺に落ちるところを、オーキドのレディバに救助された。

 

 

「……まあ、考えても仕方ないか。どうせ暗いからまた明日からだしな」

 

 そこで一度思考を止め、辺りを見渡す。

 

「よし、今日はここで野宿だな」

 

 木が一本ある以外あたり一面の草原。

 野生のポケモンに見つかりやすく、野生のポケモンを見つけやすい。

 逃走には不利だが、追跡には有利な場所。

 万が一の場合、迎撃するという意図を感じさせる場所のチョイスである。

 

 シズクの他に、ホムラやライカ、ヒリュウも出して辺りの警戒を頼むと、キャンプの準備をしていく。

 木の根元でテントを張るための杭を刺そうとしたところで、そこに穴があるのに気がついた。

 

「……誰かのキャンプ跡か?」

 

 穴と言っても、四角い穴。四角の中に更に深めの四角が入っている風な感じで窪んだ穴。

 

「……まさかとは思うが……

 ライカ!」

 

 何かを思いついたのか、イーブイのライカを呼ぶトゥルー。

 呼ばれたライカは、不思議そうに駆け寄っていく。

 

「一応、一応念のための確認だが…

 ライカ、この穴に

 

 "ひみつのちから"だ」

 

 ひみつのちから

 ポケモンの技の一つ。威力70 命中100のノーマルタイプの技だが、使う場所によっては追加効果が変わっていく。

 そして、この技を特定の場所で使えば……

 

 

「うわぁ……ビンゴかよ…」

 

 ひみつのちからを使うと、真っ黒な空間が姿を表す。

 ライトで穴の中を照らすと、草原のはずなのに岩の地下洞窟が広がっていた。

 

「……たしか、金銀とかの時代には秘密基地の系列は無かったけど…なるほど、こんな形であったのか。こんなん誰が気付くかって話だな」

 

 秘密基地というギミックがあった。それはRSEの時代に追加された機能だが、文字どおりプレイヤーは自分の秘密基地を作ることが出来る。それは次のDP世代にも引き継がれた。

 それ以降長らく無くなっていたが、RSEのリメイクであるORASで復活した。

 そして、今回見つけた穴。それはRSEで壁にあった窪みと同じ形だった。つまり、これは秘密基地の場所になることが出来る場所である。

 

「ようし、お前ら、今日はこの中を拠点にする……かもな」

 

 そう言って、トゥルーは本来脱出用の道具であるあなぬけのひもを、木に結びつけると、穴の中に垂らしていった。

 

 

 

「おー、やっぱ広いなぁ〜」

 

 降りた先の空間は広く、中々にたくさんのものを置けそうな空間となっていた。

 

「ゲーム内で見たらきっと長方形の秘密基地だったんだろうな」

 

 草原の ど真ん中 木の 下の 空間の 秘密基地

 中は 快適だが 入る時に 足を 滑らせて 落ちない ように 注意

 

 きっとそんな説明文が出てきただろう危なっかしい秘密基地であった。

 

「誰だ危なっかしい言うやつは」

 

「ブイ?」

 

「あ、すまんシズク。どうやら幻聴だったようだ」

 

 地の文に文句を言ってシズクに不審なものを見る目で見られたが、気にしすぎずに秘密基地の中を一度見渡す。

 

「まあ、本音で言えば階段が必要になるところが良いが……今は階段も買ってないし、長居もしないしでここでも良いか。

 ライカ、ホムラ、ヒリュウ、シズク。今日はここで一宿するぞ〜」

 

「ブーイっ!」

「ぶいぶいっ!」

「……ブイっ!」

「…………Zzz」

 

 その言葉に、それぞれ嬉しげに鳴き声をあげる。約一匹がいびきで返事をしたのは些細なこととされ、各々好きなように好きな位置で眠る準備をしだしたのだ。すでに寝ている一匹を除く。




足元にも秘密基地用の穴がある…………

地下にあってもいいでしょ?!DPPではそうだったんだしさ?!(あれは地下通路の壁だ)



そんなわけで、一ヶ月以上ぶりの更新です。
いやー…………


スランプよ、どこかに消え去るが良い。
むしろ、スランプという存在自体に災いあれ。
大体は書いたっていうのに、最後のあたりが全然思いつかなかったというね…
ひどい話だと思いつつ、ストックがないと嘆く私です。
これから先も不定期更新です。すいません、ごめんなさいm(__)m
ゆっくりと更新していきます。


2017.6.09
追加と修正しました。
そして最近作者は
"さすがに全部の伝説がやってるのはどうなんだろう…"
と、思いだしました。
そんなわけで、伝説・幻が全部やってくるっていうのは九割九分の確率で無くなると思います。


…………………………


ラティ兄妹は出しますからね?!


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第3話

目を覚まして、自分が誰なのか確認し、この肉体が自分のものであると認識し、ここはどこなのかと考えて、夢ではなくここはやはり現実だと再確認する。
そんな過程を経てようやく彼女は彼女の存在を、この世界で確立する。
年齢の逆行に容姿の変化、知ってはいるが現実ではなかったはずの世界の現実としての受け入れ。それらはただの一般人でしかなかった彼女の精神に大きな負担を強いた。一見冷静なように見えた彼女だが、一歩間違えれば狂気に陥っていたのか。性別までも変わっていなかったのは不幸中の幸いか。…肉体を"持ち物"と考える程度の狂気の片鱗があった時点でやはり不幸なのか。
その彼女も、一年程の存在の確立を経て、漸く安定してきた。精神的な癒しとなるポケモンたちの存在も大きいが、やはり前の世界への執着というものが少ないということもあげられる。
まあ、いつこの世界で死んでも構わない程度の覚悟が出来ているというべきか。
だがしかし、だがしかし、簡単に死んでも困ります。



もっと生きて貰わなくちゃ。ただの人間の時間しか無いんじゃつまらない。
望んで臨んだのなら、存分に面白い"人生"を歩んでね?


 ザアザアという音で目を覚ます。自己を認識して、夢じゃ無いことを確認して、体を起こす。

 目をこすりながら音のする方を見れば、出口にあたるであろう穴から、水が降ってきている。雨だなあと思いながらポケギアで時間を確認する。

 

 

「…………………………………………あ、やべ、寝過ごした」

 

 ポケギアが示す時間は昼過ぎ。そして外は間違いなく豪雨である。完全に寝過ごした上に川も見つけて居ない。雨のためにリザードンに乗って行くという選択肢を消していた。

 

「あーもう、これは足を使って川探さないと……と、その前に

 

 お前らー! 昼過ぎだぞ起きろー!」

 

 寝袋の中に入ったまま、そこら辺で寝ているイーブイたちとリザードンに大声で起こしにかかる。

 

「……ブイ?」

 

「………………ブィ〜……」

 

「…………ブ……イ……」

 

「………………すぴー」

 

 普通に起きる、欠伸をしながら起きる、起きた様に見せて頭をガクッと落としながら再び寝る、起きる気配無し。四者四様、なんとも様々な反応を見せる。

 その中でも再び寝たイーブイのホムラは、

 

「ブイッ!」

 

 のしっ

 

「ブイ"っ?!」

 

 隙ありと言うようにライカが上から勢いよくのし掛かる。その勢いが強すぎたのか、ホムラは苦しげな声を漏らしてようやく起きる。

 

「ブイブーイっ!!」

 

「ブーイ(笑)」

 

 怒った様な反応を見せたホムラはライカを追いかけだした。それをライカは笑っているような反応で楽しげに追いかけ回される。

 

「………………」

 

 そしてそれを、シズクが眠そうながらも呆れたように見つめていた。

 

 一方、完全に最初から起きなかったヒリュウはと言うと。

 

「ヒリュウ〜? 起きろ〜?」

 

 トゥルーが寝袋を片付けてから、近くに寄って声をかけて起こそうとしていた。

 

「………………すー……すー……」

 

 だが、起きない。

 

「………………ああ、もういいか。このままボールに入れとけばどうにでもなるか」

 

 ヒリュウが寝ることが好きなことを半年ほどの付き合いで悟っていたトゥルーは起こすことを諦め、ボールにヒリュウを入れることで出発の準備を進める。

 

「ホムラ、ライカ! そろそろ出るから追いかけっこは程々にしとけ! シズクは悪いけど先にボールに入ってくれ。外は雨だからお前らを連れ歩けないんだ」

 

「ブイッ!」

 

「ブゥイッ!」

 

 怒ったように、楽しそうに返事をしたホムラとライカを確認すると、シズクをボールに入れようとボールを持って近づいていった。

 

「……ブイ」

 

 だが、シズクはボールに入りたくないと言うように首を振る。

 

「……いや、雨に濡れるよな?流石にそれは嫌だろ?」

 

「ブイっ、ブイブイ」

 

「……嫌じゃないのか?」

 

「ブイっ……!」

 

 濡れることを嫌がることを懸念してボールに入れようと考えていたトゥルーだったが、シズクは別に嫌ではないと主張しするように見つめてくる。

 

「………あー、そうか。そういえば、シズクはシャワーズになってたんだったか……なら、雨で濡れることぐらいなら慣れてるか」

 

「……ブイ!」

 

 トゥルーが言ったことは当たっていると言いたげにこくこくと嬉しげに頷くシズク。かつてシャワーズに進化していた記憶があるシズクにとって、水は馴れ親しんだものなのだ。

 

「でも、後で濡れた毛を乾かすの面倒だから、ビニール袋で簡易の雨合羽作るからな」

 

「………………ブイ」

 

「おい、残念そうな反応するな」




…………超特急で、書き上げた結果、イーブイズの可愛い様子に。なんでこうなった(真顔)
いやまあ、書けたのは嬉しいことなんですけどね。この調子でスランプを完全に抜けたいなあ……一年と一週間も掛けてしまいましたしね……


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4話 シズクと"水"の残滓

 ざくピチャ、ざくピチャ

 

 さくさくさくさくさくさく

 

 隣に簡易の雨合羽を着せたシズクを伴いながら、雨に濡れた草原を傘をさして歩いて行く。

 地図には大まかなことしか書かれていないため、川の方向ぐらいしかわからなかった。片手にコンパスを持ち方向を確かめながら進みながら、となりのシズクを見やる。

 

 非常に楽しげに、シズクは歩いていた。水の冷たさが心地よいとばかりに脚が濡れることも気にせずに、さくさくと歩いて行く。

 雨の中を歩くことを選んだのは、シズクだけだ。ホムラは嫌そうに鳴くとボールに入り、ライカは特に何の反応も示さずボールに入った。進化前でありながら示される反応はまるで進化後のようで。それはたしかに、かつてのゲーム時代の残滓だった。

 

「シズク、雨は良いか?」

 

「……ブイッ」

 

「水は好きか?」

 

「ブイっ……!」

 

 問いかけられることに愚問だと主張するように、シズクは雨合羽を邪魔そうにしながら歩みを止めることなく雨の降る空を見上げる。雨を見つめる。

 

「……そうか。水が好きか」

 

「ブイ……!」

 

 川を探すと言う目的を半分忘れ、機嫌良く雨の中を歩いているシズクを見ながらトゥルーは考える。

 シズクという名前は元々シャワーズになっていたからと付けた名前だった。ホムラとライカも同様だった。だが、今のシズクたちはイーブイに戻っている。つまり、好きなタイプになる権利を再び手に入れているのだ。今までトゥルーはまた同じ進化先にするつもりでそれに対応するニックネームを付けた。進化させる先を決めていた。

 だが、この世界ではトゥルーだけでなくシズクたちも意思や感情がある。

 ならば、

 

「進化先を選ぶ権利は、シズクたちにもあるよな」

 

「……ブイ?」

 

 ポツリと呟くように言われた言葉に気づくと今まで雨に見惚れるようにしていたシズクは不思議そうにトゥルーを見つめる。

 その視線に気づいたトゥルーはふわりと普段見せないような柔らかい笑みを浮かべる。

 

「シズク、なりたい進化先があるのなら、それになっていいからな」

 

「………………ブイ?」

 

「言葉のままだから深く考えなくていいぞ」

 

 突然のことに訝しげにトゥルーを見ていたシズクだが、なぜ言う必要のないこと(・・・・・・・・・)を言うのかと不思議そうにしながらも気にせずに歩みを進めた。

 

 

 雨は、弱まってきていた。

 

 

 

「………………あ、しまった。川は見つけたけど時間かけすぎた」

 

 

 

 _________

「それじゃ! 行くぜ!!

 またな! ゴロウ! オーキドのじーさん!」

 

 トゥルーがいる場所から少し離れた場所で、少年がオーキド博士とゴロウという少年に別れを告げて旅立って行く。

 ゴーグルを身につけて、スケボーに乗って、隣にヒノアラシを連れて。

 

「目指すはあのヤローと盗まれたワニノコ」

 

「さあ行こうぜ! ……相棒!」




トゥルーさんは、思考が脱線しまくったら色々と脱線する人です。または他の物事が疎かになるとも言います。
……ダメじゃん(汗
次はもう少しましな動きが出来たら…いいな……


実のところこの話、シズクの進化先決定話だったりします。今まではそれぞれのNNが表すタイプに進化させる予定でした。進化の石で進化できる先とも言います。
ですけど、それはある意味ゲームの時の感覚が抜けてなかったからこそ付けた名前だった訳です。
ゲーム時代の残滓のようなホムラとシズクの反応を見はしました。ですけども、あくまでも残滓。
ホムラは嫌がりはしました。けれども、実際にブースターなわけではない。シズクは水を好みましたが、シャワーズなわけではない。
進化の可能性のかたまり、イーブイ。三匹はたしかに進化前でしかなく、例え進化後を体験したことがあっても、再び同じ進化をしなくても良いわけです。

まあ、シズクは悩む必要なんて無かったんですが。


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第5話 思考回路の短絡さは損を招く

  結局のところ、俺はまあ、重要な場面を見逃したらしい。雨も上がり、辺りは傾いた日とそれに照らされる雨に濡れた草原。目の前には落ちればやばい崖とそこを流れる川。やけにぬかるんだ崖の上は、きっと、あいつの無茶な特訓の跡なのだろう。 ……会ってみたかったなぁとか、話してみたかったなぁとか、トレーナーとしては向こうのが先輩だよなとか、色々と考える。

 

 ゴールド。金銀編の主人公の1人。悪がきでいつもエイパムとイタズラでもしていたらしいが、ポケモン達のことは大事にしていた。ひねくれた熱血ともいうか、素直じゃないというか。まあ、結構好きな部類のやつだった。

 誤解からシルバーを追って行ったわけだが、その後も追って行って……ライバルって、いいよな。生まれも育ちも何もかも違うし反発もするけれど、それでも互いを高め合える……。

 思考が逸れたな。けどまあ、会ってみたい奴でもあるし、どの道会うつもりだが……俺は俺の道を進まないとなぁ。ジムに挑んで、ポケモン育てて……ああ、良いなぁ、うん、やっぱそうでないとな、ポケモンって。今はハヤテもジムリーダーではないし、ツクシもアルフの遺跡で忙しいはずだ。そうなると……

 

「…みなさんのトラウマミルタンクが初ジム戦とかなんの嫌がらせか」

 

コガネジムのアカネが、この位置からなら近い。本音は挑みたくないでござる。転がるとかメロメロとかミルクのみとかあいつの相手めんどくせえんだよふざけんな何度ゲーム機放り出しかけたことか……アリゲイツを選んだ時は、いかりが出せたらメロメロ解けたんだよな、うん、あれ知ってから本当に助かったよな。それでも痛かったのは変わりなかったんだけど。

 

とりあえず、挑むといいのならば、私は全力を投じなければならないだろう。正直、今の手持ち達はオスばかりでメロメロが怖いところではあるが……

 

それで臆して避けるとか、1トレーナーとして有り得ないよな?

 

 

そうと決まればやることは単純明快、俺は俺なりにポケモンたちと強くなるのみ。トレーナーとバトルして野生ポケモンとバトルして、レベルと技術をあげて強くなる。その為にも今回は……

 

「さあて、楽しい楽しい歩き旅でもやってみるかあ。いつまでも空の旅ばっかじゃ体力つかないしな」

 

あと単純に、空でのバトルはヒリュウしかバトル出来ないからヒリュウ以外が強くならんのだわ。野生のポケモン以外のバトルが無いからある意味安全ではあるんだが。

 

そんなこんなな思考回路で歩き旅でコガネに行くことにした俺。普通にコガネに着いてからその周辺でバトルすりゃよかったじゃねえかと気づいたのは、つながりの洞窟を抜けてからの話。




……(・∇・) 前回から1年経ってた。


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第6話 うっかりでは無かった

およそ2年ぶりに続きを思いついたので投稿します。
ゲームと原作とで違うところは多々ありますが、そこはある程度リアルになったら辻褄が合うだろうものにしています。

サブタイトルを変えてみました


 基本的に準備は周到であるが抜けている。ライトは持っていてもあなぬけのひもは何故か持っていない。暗い洞窟にピチョンと水滴の落ちる音が響く。バサバサと聞こえるのはズバットの羽音か。

 トゥルーは現在進行形で迷子になっていた。歩いていくと決め、キキョウシティを超え、つながりの洞窟に足を踏み入れたが、似たような景色ばかりのために迷ったのだ。

 

「おかしいなあ、あなぬけのひも入れたと思ってたのになあ……」

 

 入れていたはずのあなぬけのひもが見つからず、ブツブツとつぶやきを零しつつ、手に持ったライトの灯りを頼りに歩を進めていく。相も変わらずゴツゴツとした岩壁と時々聞こえる水滴が滴る音、そして何かしらのポケモンの気配を感じながら。

 どうにもおかしいと感じ始めた。旅立ちの初めに、あなぬけのひもを三本入れた記憶がトゥルーにはある。今までの旅の中で、あなぬけのひもを使った場面は無い。そのような記憶はない。つまり背中の大容量リュックサックの中にはあなぬけのひもが無くてはおかしいのである。しかし、あなぬけのひもは無かった。おかしい。そしてなにより

 

「.....どうにも寒いなぁ」

 

 そう、寒いのである。洞窟の中であると言っても限度がある。息をハァっと少し吐くだけで白くなる。この時点でトゥルーの疑念は確信に至った。腰に付けていたボールを引っ掴むとポケモンを出し即座に指示を出す。

 

「出て来いっ!ヒリュウ!!周辺にかえんほうしゃだ!!」

 

 十分な高さと広さがある洞窟内がボールから出た瞬間にかえんほうしゃを周辺にばら撒くように吐いたヒリュウによって、途端に明るくなる。チリチリと周辺に火の粉が舞う。かえんほうしゃは止まった。火の粉が舞っている中、燃え盛るボール状の何かが炎を振り払うように周辺を飛び回っていた。炎を振り払いきったそれに、実体は無かった。足もなかったが口と手はある。

 

「ゴーストか」

 

 全国図鑑NO.93ゴースト。ふゆうポケモン。ゴーストタイプ・どくタイプのポケモンであり、ポケモン世界においてゴーストタイプのポケモンが居ると周辺気温が下がるという傾向がある。そのため、周辺気温が異常に低かった原因はゴーストであるだろう。しかし、トゥルーの頭の中を占めているのは1つの疑問である。

 

「(なんでこんなとこにゴーストがいるんだ?)」

 

 本来、つながりの洞窟にゴーストは野生では生息していない。進化前のゴースならマダツボミの塔やスズの塔、サファリゾーンに出現するがゴーストは最後のサファリゾーンにだけ出現する。そのための疑問であった。トゥルーの目の前で、散々燃やされたゴーストは苛立つように体を動かすとヒリュウに向かって近づくと影から拳を繰り出す。

 

「シャドーパンチだ、かみなりパンチで受け止めろ!」

 

 ヒリュウは雷を纏った拳で受け止める。互いにダメージが入ったようであるが、ゴーストの方が先ほどのかえんほうしゃ含めダメージが大きいようである。すると、ゴーストはフッと姿を消す。突然姿を消したゴーストを警戒する。ハッとトゥルーが足元の影に身を紛れさせるようにして現れたゴーストに気づき指示を出そうにも遅く、ゴーストは一瞬の隙をついてヒリュウに一撃を与え、すぐさま離れていく。差程のダメージは無く、ヒリュウはほんの僅かにイラついたように炎を揺らめかせる。だが、再びゴーストを見た途端、

 

ビタンっ!!!!!

 

とそのしっぽを荒々しく叩きつけた。

 

 ゴーストは離れた位置でオボンの実を食べていた。そのオボンの実は、ヒリュウが持ち物として持っていたもので、ヒリュウの好物であった。"どろぼう"されたことにヒリュウは静かに激怒した。そして密かに楽しみとして取っておいた好物を盗られた恨みは恐ろしいものであった。

 オボンの実を食べ、体力が回復したゴーストは行動に移ろうとしていた。しかし、そのゴーストの目に見えたのは自身を噛み砕こうと言う牙であった。バクりと噛み付かれたゴーストは逃げ出そうとシャドーパンチやシャドーボールを繰り出すが、食べ物の恨みは恐ろしく、ヒリュウは決して離そうとしなかった。噛み付いたままブンブンと頭を振り、洞窟の壁にゴーストを叩きつける。逃げることも出来ずに振り回され、ぶつけられ続けたゴーストの抵抗が弱まり出したところで、ヒリュウは噛み付いたまま離すことなく、かえんほうしゃをゼロ距離でゴーストにぶつけた。

 ようやく噛みつきから解放されたゴーストはボロボロで焼け焦げ、目を回していた。そしてゴーストの体からはみ出すように、ボロボロになった三本のあなぬけのひもが見つかった。



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