自宅で寝てたら幻想入りしたんだけど (マム)
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1話 目覚め
此度はこの小説を手に取っていただきありがとうございます。 初めてなのでおかしいと思う所がありましたら指摘等お願いします。それでは本編です。ごゆっくりどうぞ。
「あれ?ここは…」
俺はなぜ森にいるんだ?確か自分の家で寝ていたはずなんだが。
「誘拐か何かの類か?だけど今の俺は一人暮らしだし人の気配がないな。」
とある都会の高校に通うために引越してきたからそんなに高い物は持ってないし事件の線は違うな。だとしたら何だろうか…。周りは暗いが月明かりがうっすらと差している。かなり深い森である事が分かる。
「ホントに何処だろうここ、富士の樹海とか?」
とりあえず適当に歩きだすとしようかな。川が流れていれば下流に何かしらあるだろうし、動かないよりマシだろうと思い俺は歩きだした。
______________________________
歩き始めてから1時間ほど経っただろうか。周りはまだ暗く木々の隙間から月明かりが差している。時間が分からないから今が何時か知らないけど深夜だと思う。そういえば今は春の終わり頃だよな。…もしクマとかに遭遇したらどうしよう。目と目合わせて後ずさるんだよな……あれ?死んだフリするんだっけ?
ガサッ!
「!?な、なんだ!!」
物音がした方を向けると茂みから黒い服を着た金髪の女の子が出てきた。は?なんで女の子が1人でここにいるんだ?しかもこんな夜遅くに。明らかに不自然としか思えないな。すると女の子は俺を見つけるなりこう言った。
「あなたは食べてもいい人類?」
「え?」
耳を疑った。女の子がこんな事を聞くわけがないと思い聞き返す。
「え、えーと、今なんて言ったのかな?」
「?あなたは食べてもいい人類?」
やっぱり聞き違いじゃなかった。だけど女の子は本気で言っているみたいだしなんて応えよう。
「うーん無理かなー、ごめんね~。」
「そーなのかー。じゃあ、力づくで食べるのだー。」
「!?」
(おいおいどういう事だ!!女の子が浮いたぞ!?最近の子供は空飛べるのかよ!?)
すると女の子の目の前に丸い玉のようなものが現れた。何だろう?前に尻尾の生えた子供がボールを探す漫画を読んだ時に見たものと同じにみえる。そう思っていると女の子はその丸い玉を俺に向けて飛ばしてきた。
「!?」
咄嗟に避けたが腕が痛む。どうやら掠ってしまったようだ。すると少し後に大きな音がしてガサガサッと木が揺れる音がした。振り向くと木の幹がへこんでいる。背中がゾッとした。寒気がするとはこういう事なのだろうか。あれが俺に当たった時を考えないようにした。女の子に振り向くと目をぱちくりさせていた。
「人間なのに避けるなんて凄いのだー。」
人間?何を言っている?女の子も同じ人間…いや、あんなものを見せられて人間だと思えるか。俺は怖くなり全力で走りだした。何とかしてあの子から逃げなきゃということで頭がいっぱいになった。
「あっ!待てー!」
女の子が呼び止めるが気にしない。身の危険があんなにも近くにいると分かったら怖くてたまったもんじゃない。……だけど女の子は追ってこない。それに声も聞こえなくなった。女の子の言ったことを思い返すと確か、あなたは食べてもいい人類?だったような。もしそれが空腹を意味するなら食べ物を求めていたのかもしれない。俺は音を立てずに戻ってみる。すると女の子はうつ伏せで倒れていた。
「やっぱりお腹がすいているのか?」
この女の子は危険だ。怖い。だけど放っておけない。また襲われるかもしれないけどこの子が可哀想に思えてくる。…俺は何をしているんだろう、こんな事したらかすり傷程度では済まないかもしれないというのに。
…俺は悩んだ末この子を背負いこの森を出るついでに食べ物も探しに再び歩きだすことにした。
いかがでしょうか。未熟なんで文章力が…
誤字脱字等ありましたら指摘お願いします。
そしてタグの通り不定期更新なので気長に待っていてください。遅くならずに投稿しますので。それではまた。
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2話 妖怪ルーミア
友達はUA4桁いくしどんどん話も進めて凄いな~。
僕も負けないように頑張ります。
お待たせ致しました。2話ですどうぞ。
女の子を背負い歩きだしたのはいいけど何処に向かえばいいんだろう?川がないし湖や沼すらも見つからない。水辺があれば近くに食べられるものがあると思ったのに、見つからなければ意味がないな。
歩き始めてからかなり時間が経っている。俺は体力が人並みより少し多いから疲れはまだ感じないけど早めに森から出たい。それに…この子の食べ物も早めに見つけておかなければならない。というか大丈夫かな?目を覚まさないけど。他に異常があるとかないよね?
「…うぅ…ん。」
「お、目が覚めたみたいだな。」
「あれ?あなた何で?」
目が覚めてビビったけどどうやら俺を食べる気はないみたいだな。普通に喋れるから他に異常はなさそうだ。
「俺は食べられないけど一緒に食べ物を探すことは出来るから手伝うよ。」
「!そ、そーなのかー。」
なんだ、普通に素直じゃないか。少なくとも人間とは思えない女の子だけど、案外良い子なのかもしれないな。そうだ名前聞いてみよう。名前呼べないんじゃ不便だしな。
「あのさ、君の名前は何ていうの?」
「ルーミアなのだー。」
「そうか、ルーミアか。良い名前だね。」
「そーなのかー?」
「あぁ、良いと思うぞ。」
ルーミアか。外国人とかか?金髪だし。いやでもあの弾出したから違うか。
「あなたは何て名前なのだ?」
「あぁ、俺か。俺は桜庭 叶夢。叶う夢と書いてかなめだ。」
「叶夢。いい名前なのだー。」
「ははっ、ルーミアの方がいい名前だよ。」
「両方いい名前なのだー!」
「あぁ、そうだね。」
なんだやっぱり良い子じゃないか。出会ったあの時が嘘みたいだ。あぁ、俺もこういう妹が欲しかったな。しかし何故1人でいたのだろう。
聞いたらルーミアは妖怪のようだ。それに人喰い妖怪らしい。どおりであんな事を言ったわけだ。現代で妖怪がいるなんて珍しい。しかも人の姿をしているのだから全く分からなかった。まぁ、あの弾を出したんだから人間以外の、それか舞空術を習得している人以外ありえないな。あぁ、そうだ。ここが何処なのか、妖怪のルーミアなら分かるかな。
「なぁルーミア、ここって日本のどこなんだ?」
「日本?」
「そう日本。それか外国かな?」
「外国?」
あれ?ご存知ない?てことはここどこ?俺どこに来ちゃったんだ?
「ここは幻想郷なのだー。」
「えっ、ゲンソーキョウ?どこそこ?」
「?幻想郷は幻想郷なのだー。」
マジでどこ?アニメやゲームじゃあるまいし。召喚されたとか?非現実的だけど気のような弾を出した妖怪のルーミアがいるわけだしなぁ。ていうかいつの時代だ?日本も外国も分からないとなれば相当昔の時代、戦国時代よりも前の時代かもしれない。
そう考えながら歩いていると道に出た。といっても歩きなれた砂利道のような道だ。これなら道に沿って歩けば家くらい見つかるだろう。
「この道見覚えあるのだー。」
「お、マジで。なら何かしら見つけられるかもしれないな。」
ルーミア曰くこの近くに知り合いの家があるらしい。ならそこで色々と詳しく幻想郷について教えてもらうとしよう。俺はルーミアに道を教えてもらい知り合いの家を目指した。
読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字等ありましたら報告してください。
もっと上手く書けるよう努力していこう。
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3話 博麗の巫女
今回は少々長めとなりました。あと更新できて良かったです。 早く文章力高くなりたい。
ルーミアが教えてくれた方の道を進んでいくと、結構な長さのある石段が現れた。うわぁ、マジかよ、こんなの上るのかよ。
ルーミアを背負いながら長い石段を上る。何事もなく上り終えた。かなり段数が多かった。100段くらいあったぞ。肩で息をし終えて前を向くとそこには神社があった。森の中に神社があるなんて不思議と思った。
神社は大きくもなく小さくもないごく普通の神社であった。それにその神社は新しくもないどこにでもある神社である。かといって廃れてもなく生活環境は整っていると思える。するとルーミアが突然飛んで賽銭箱らしきものの目の前に降りると大声を出していた。
「おーい、れーいむー!」
「そんな大声出して大丈夫なのか?今、夜中だぞ?」
「大丈夫なのだー。」
ルーミアが呼んだがれいむという人はまだ出てこない。
夜中ということもあるからぐっすり眠っているのだろう。
「あれー、おかしいのだー。」
「仕方ないだろ、夜中なんだからぐっすり眠ってるだろ。」
「そーなのかー。」
丁度良いから今の状況を見直しておこう。
まず、自宅で寝ていたら幻想郷という場所の森にいた。次に空腹のルーミアに出会い共に行動することになる。そして森の出口と食料を探しに歩き回ったけど何も見つからない。そしたらルーミアの知り合いという人の神社を見つけた。森の出口は未だに見つからず神社のれいむという人も眠っているようでまだ出てこない。行き詰まっている。そういえば持ち物はどうだ?森にいて少し動揺してて持ち物とかは気にとめていなかった。
まず服装は部屋着であるピューマのロゴが入ったジャージを着ている。財布やスマホは?ポケットを探ったけどそのようなものは無かった。あるとすれば財布は無かったけど代わりにガマ口があった。中身は小銭が1500円くらいしか無い。何も出来ないしお賽銭でも入れておくか。ここが幻想郷だというなら帰れる見込みはありそうにもないし。
チャリーン
「どうか無事でいられますように。」
よし、これでいいかな。 そう思い石段に向かって歩いた瞬間、どこからか物音が聞こえた。物音がする方向を見ると神社の裏の方からだということが分かった。しばらくすると寝間着姿の着物をきた女の人が歩いてきた。
「あ、霊夢ー!」
「…なんでルーミアがいるのよ。」
ふむ…、どうやらあの人がれいむというらしいな。やっぱり寝ていたのか。寝ているところ悪かったな。
「で、素敵な賽銭箱にお賽銭を入れたのは貴方?」
「はい、そうですが。」
「いくら?」
「え?」
「いくら入れたのか聞いてるのよ。」
「えと…100円ですが。」
「…そう。」
な、何だ?いきなり金額を聞いてくるとか。ここの巫女さん…だよな?なんか考えているようだけど。こっちの用事を済ませよう。
「あのー、よろしいでしょうか?」
「ん?何よ。」
「食べ物ってありますか?ルーミアがお腹空かせているので何か食べさせたいんですが。」
「あぁ、それなら私の神社に来なさい。」
「ありがとうございます。」
これでルーミアの件は大丈夫だな。あとはここの事についてだな。幻想郷とか言ってたけど、どういう所なのかな。
「それと。聞きたい事があるんですが。」
「あー…それは中で話しましょう。ルーミアにご飯を食べさせている時に話すわ。」
「あ、分かりました。」
「やったーやっと食べれるのだー!」
俺はれいむの家へと招かれて居間へとやってきた。俺とれいむは机をはさんで座っている。ルーミアは食事に夢中だ。
「さてと、話の前に自己紹介かしらね。私は博麗霊夢。この博麗神社の巫女をやっているわ。」
「俺は桜庭叶夢って言います。叶う夢と書いてかなめです。」
「そう、叶夢ね。あーあと敬語なんていらないから適当に話してちょうだい。」
「じゃあ、そうさせてもらうよ。」
霊夢は代々受け継がれてきた博麗神社の巫女らしい。どうりで神社の外見が歴史を感じさせると思った。
「それで、聞きたい事って何なの?」
「幻想郷についてわルーミアから少し教えてもらったけど詳しくは分からないんだ。」
「幻想郷について…ね。その服装といい、幻想郷を知らないなんて、やっぱりあんた外来人ね。」
外来人?また聞き慣れない単語が出てきたな。渡来人は知ってるけどそれとはまた違うのだろうか。
「お腹いっぱいなのだー!」
「もう食べ終わったのね。ならもう早く帰りなさい。」
「分かったのだー。」
あれ、帰らせるのか?夜中なんだから危ないんじゃ。
「心配そうな顔してるけど大丈夫よ。ルーミアはああ見えて妖怪なんだから。」
やっぱり妖怪だったのか。いや、確信はもっていたし本人?も言っていたしな。
「さてと、あんたの寝床をつくってあげるからちょっと待ってなさい。」
「えっ、あの、いい…のか?」
「外で寝させたって生身の人間なんだから妖怪に食べられてお終いよ。妖怪みんながルーミアみたいなのじゃないんだから。」
正直俺は縁側か賽銭箱の裏で寝るつもりだった。それなのに寝床をつくってくれるとは悪く感じるな。
「あぁそうそう、何かやましい事でもしたらただじゃおかないわよ。」
「!わっ、分かってるよ。」
恐ろしい。俺でも分かる殺気を飛ばされたような気がした。何もしないけど気を付けなくちゃだな。寝床は隣の部屋となった。霊夢達3人でいた部屋の隣だ。霊夢は俺が寝ている隣の部屋にいる。
幻想郷が何処なのか。幻想郷は何なのか。俺はどうして幻想郷に来てしまったのか。今分かりたいのはこの3つ。それが明日話されるのだから大人しく待っていよう。とにかく今夜はルーミアに出会ったり長い距離を歩いたりと疲れているから早く眠りにつけそうだ。夢オチだったらどうしよう。少なくとも退屈なあの世界とおさらば出来るならこっちで暮らしたい。そう思いながら、俺は意識を手放した。
読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字、ちょっと違和感がある箇所があるなら報告してください。お直し致しましょう。
UA100突破、お気に入り登録者も増えました!ありがとうございます!!これだけでも頑張れる単純なんでこれからもよろしくお願いします!それでは、次の話で会いましょう!
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4話 妖怪の賢者
今週からテストなんで勉強が大変なマムです。もう勉強やりたくない。
…見知らぬ部屋にいた。あぁ、確か幻想郷ってところに来たんだっけ?そして博麗霊夢っていう人が泊めてくれたんだったか。気だるく起き上がると音が聞こえてきた。音のする方へ行ってみると霊夢が朝ご飯を作っていた。なるほど、さっきのは料理を作っていた音か。邪魔しないように見ていると霊夢がこちらに気付いた。
「あら、遅かったわね。」
「…夜行性なんだよ。朝は苦手な方でさ。」
「なによそれ、あともう少しで出来上がるから昨日の部屋で待っていてちょうだい。」
軽く返事をして隣の部屋で座って待つ。暫くすると霊夢が朝ご飯を持ってきてくれた。メニューは白米に味噌汁、焼き魚。いたって普通の食事だ。
「「いただきます。」」
パクッ。
お、美味いな。味噌汁は濃くなく薄くもない。魚も丁度良く焼きあがっている。当たり前だけど俺よりも上手い。正直、羨ましい。そう思いながら何事もなく食べ終わった。
「「ごちそうさま。」」
「あぁ、食器は俺が片付けるよ。」
「そう、じゃあ言葉に甘えさせてもらおうかしら。」
泊まらせてもらって朝食まで作ってもらったんだ。お礼とかしなくちゃダメだからな。
食器を片付け終え居間に戻ると霊夢が話しかけてきた。
「それじゃあ、あんたと幻想郷について教えてあげるから、外で待っててくれる?」
「ん、あぁ、分かった。」
なぜ外に出るのか疑問に思いつつ待っていると数分後に霊夢が紅白の服を着て境内に出てきた。
「おまたせ。」
霊夢は巫女服を着てきた。だがその巫女服が不思議であった。普通、巫女服は上が白に下が赤い袴なのに彼女は、頭に大きなリボン。下はスカートに白い袖、しかも肩と脇があいている。
「さて、じゃあ本題に入るとしましょう。」
「お、おう。」
「昨日言っていたとおりここは幻想郷。忘れ去られたあらゆるものが集まる場所よ。そして幻想郷は、あんた達の住む外の世界の隣にあるようでないような場所なの。」
「ちょっと待て、どういう事だ?隣にあるようでない?」
「そうよ、そして幻想郷は外の世界にとって、なくてはならない存在なの。」
「えっと、じゃあ外の世界?が俺の元いた場所なのか?」
「えぇ、そして外の世界も同じように幻想郷はなくてはならない存在なのよ。」
えーっと、どういう事だ?外の世界、地球と考えていいのか?それで地球の隣に幻想郷があるようでない。そしてその幻想郷と地球はなくてはならない存在という。よく分からないが手が届くようで届かないようなものと考えてもいいのかな。そして最大の疑問が。
「どうして俺が幻想郷に来てしまったんだ?」
「それは今からある妖怪を呼ぶから待ってちょうだい。」
「え?妖怪?」
「紫ー!どうせ近くで見てるんでしょー!出てきなさーい!」
紫という妖怪を呼んでいるようだけど周りは静かで誰かいるような気配はしない。そう思っていると目の前に縦の線がはいったと思うと線が開き中から長い金髪の見るからに胡散臭い女性が現れた。
「あら霊夢~、どうしたの?」
「この人、あんたの仕業でしょうね。今度は何を連れてきたのよ。」
「ふふ、私は知らないわ。」
「とぼけないで。」
この人が妖怪の紫らしいな。しかしいったいどこから出てきたんだ。
「初めまして、貴方が桜庭叶夢ね?私は八雲紫。この幻想郷の妖怪であり、賢者でもあるわ。」
「あ、初めまして。よろしくです。」
「ふふ、よろしく。」
凄く綺麗だ。つい見とれてしまった。こんな綺麗な人は元の世界にもいなかった。
「それで、この人はどんな訳ありよ。」
「あぁ、それはね叶夢に能力が生まれてしまったからよ。」
「え、俺に能力?」
「えぇそうよ、例えば私は境界を操る程度の能力で、霊夢が空を飛ぶ程度の能力よ。」
「それで、どんな能力なのよ?」
「そうね、叶夢の能力は。」
お読みいただきありがとうございます。
実は叶夢の能力は決まっていますので次回のお楽しみということで。 それではまた。
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5話 叶夢の能力
という訳でちょっと読みにくかったらごめんなさい。
「叶夢の能力は…。」
紫さんはなにやら考え込んでしまっている。もしかして相当ヤバいやつか言い難いくらい可哀想な能力なのかと思ってしまう。霊夢が空を飛ぶ程度の能力で、紫さんが境界を操る程度の能力という凄そうな能力がある分その逆もある可能性がある。地面に潜る程度の能力とかだったらどうしよう。考え終わったのか紫さんが顔を上げ俺の目を見て。
「草を操る程度の能力よ。」
と言った。
ー紫sideー
「叶夢の能力は…。」
能力は分かるのだけどイマイチ分からないのよね。私には草を操る程度の能力かと思ったのだけど、もっと強大な能力を秘めているような気がするのよ。草だけじゃなくそれよりも大きなモノを操れるような。それともう一つ、裏に何かしら能力があるかもしれないわね。こっちは草木を操るのと違って、…何かしらね?無?かしら。強大なチカラと無、何の関係があるのかしら。
黙り込んでしまい我に返って叶夢の顔を見ると不安そうな顔をしている。あぁ、可愛いわねぇ。じゃなかったわ、そろそろ伝えてあげなきゃね。
「草を操る程度の能力よ。」
「草を操る程度の能力?何ですか、それは。」
「その名の通り草を自由自在に動かすんじゃないの?」
「半分正解、半分外れね。草を操るっていうのは成長を早めたり、逆に枯らすっていうことも可能よ。」
「…それ役に立つんですか。」
「まだ話は終わってないわ。他には、草を飛ばして攻撃したり、集めれば隠れたり防御も出来そうよ。」
「おぉ、忍術の木ノ葉隠れみたいなのとか出来るのか。」
「その忍術というのはよく分からないけど使い用によっては攻守共に優れていそうね。」
不安は取り除けたようね。強大なチカラは後で考えるとしましょう。それより今は叶夢に弾幕ごっこを教えてあげなきゃね。
「叶夢、貴方に弾幕ごっこについて教えるからマヨヒガに来なさい。」
「…弾幕ごっこ?」
ー叶夢sideー
弾幕ごっこ?また聞き慣れない単語が出てきたな。ごっこっていうから子供達が遊ぶようなごっこ遊びなのか?
「そうね、能力も分からないし弾幕も出せないようじゃ妖怪に襲われてお終いね。紫なら私より教えるの上手だから行った方がいいわね。」
「霊夢も弾幕出せるのか?」
「私は主にお札や陰陽玉を使うわ。」
と言いお札と陰陽玉を見せてきた。なるほど、巫女だからなのかな。紫さんについて行くって事は修行でもするのだろうか。…滝うちとかするのかな。
「分かりました。マヨヒガに行きます。」
「あら、意外と決断が早いわね。」
「えぇ、こんな能力持ってちゃ元いた世界に戻っても居場所がなくなるだけになりそうですしね。」
「物分りが早くて助かるわ。」
自分の身は自分で守らなくちゃな。いつも霊夢に助けられてたら迷惑だしな。
霊夢にお礼を言い紫さんが出したスキマへと足を踏み入れた。
マヨヒガ。藍様が出ますね。
藍しゃま大好き。
それと視点で何かありましたら報告ください。
誤字脱字等もよろしくお願いします。
それではまた。
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6話 弾幕の練習
スキマの中は瞳のようなものが多くあって不気味だ。スキマに入ったらいつの間にか田舎に建っているような木造建築の家の目の前にいた。
「いらっしゃい、ここがマヨヒガよ。」
「お世話になります。」
どうやらこの家がマヨヒガらしい。周りを見渡すと木が多く立っていて出口が見えない。普通に入ったらすぐに迷って出られなくなってしまいそうだ。なるほど、だからマヨヒガなのか。そんなことを考えていると紫さんが誰かを呼んでいる。他にも誰かいるのかと思い待っていると、九つの黄色い尻尾を生やした女性が出てきた。
「紹介するわ、私の式神の藍よ。」
「紫様の式である八雲藍だ。よろしく。」
「え、あ。桜庭叶夢です。よろしくお願いします。」
(な、なんだ?この人も妖怪なのか?)
心の声が顔に出ていたのか紫さんが藍さんについて教えてくれた。
「藍は最初、九尾の狐だったのよ。それで九尾の藍を私が式にしたのよ。」
「へぇー九尾なんですか。」
九尾の狐なんて妖怪の中じゃ最高クラスじゃないか。そんな強い藍さんを式神にしている紫さんはもっと強いんだろうな。
「そこで藍に貴方の弾幕の修行をさせるために連れてきたのよ。」
「なるほど、しかし紫様が教えて差し上げれば良いのでは?私より詳しいじゃないですか。」
「私は他にやる事あるのよ。それじゃよろしく頼むわねー。」
そう言い残すと紫さんはスキマでどこかへ消えてしまった。藍さんはなにやら考え込んでいる。しかし改めて見ると綺麗だな~。1度で良いからモフモフしてそうな尻尾を触りたいな~。
「どうした?そんなにジロジロ見て。」
「あ!いえ、何でもありません!」
「妖怪が怖いか?」
「いえ、あーでも最初にルーミアと出会った時は流石に怖かったんですが普通にしていれば全く大丈夫ですね。ルーミアは素直ですし、藍さんは綺麗ですし。」
「!そ、そうか。」
良かった、なんとか誤魔化せた。
「改めて自己紹介しよう。八雲藍だ。よろしく。」
「桜庭叶夢です。よろしくお願いします。藍さん。」
「藍さんなんて堅苦しいから呼び捨てでかまわないぞ。」
「それじゃそうさせてもらいますね。」
「それと敬語も使わなくても良いんだが。」
「そうなのか?それじゃそうさせてもらおうかな。」
「うむ。そっちの方が接しやすくて良い。」
自己紹介を済ませたらマヨヒガの裏に連れられてきた。かなり広いからここで弾幕と能力について教えてくれるのかな。というかただの人間の俺がルーミアみたいなものとか出せるのか疑問に思うけど霊夢が弾幕を出せるから俺でも出せるのかな。
「まず叶夢の能力はなんだ?」
「草を操る程度の能力だよ。」
「草を操るか、少し動かしてみてくれないか。」
言われた通りに草を動かしてみたがやっぱり無理だった。どう動かせばいいのか全く分からないし、なにしろまだ実感がわかないからな~。
「まぁ、最初はそんなものだから弾幕から頑張っていくといい。」
「その弾幕はどう出せばいいんだ?」
「そうだな、私は妖怪だから妖力というもので作り出している。」
「妖力?」
「うむ、妖怪には妖力。人間には霊力があるな。」
「じゃあ俺は人間だから霊力があるのか。」
「他にも神の神力というものある。叶夢は他の人よりも霊力が高い方だな。」
他の人より霊力があるのか。確かに幽霊とかの類は見えてしまう方ではある。てか神力があるって事は幻想郷には神様もいるのか?そう思っていると藍が弾幕の見本を見せてくれた。光る球体を出し、それを近くの木に飛ばして揺らしてみせた。
「このように力を一点に集中し、弾を作り出すような感じでやってみたらどうだ。」
「了解。やってみるよ。」
言われた通りに力を一点に集中してみたけどやっぱり無理だった。かなり難しく、藍は「練習あるのみだ。」とか言って微笑みを向けてきたし、どうすることも出来ない。とりあえず言われた通りに頑張って練習するしかなさそうだ。
数時間経ち周りも暗くなり始めた頃、頑張りのおかげかやっと出せるようになった。人間頑張れば何でも出来るんだな。…しかし。
「小さいな。」
「小さいね。」
かなり小さかった。それもビー玉くらいの大きさである。だけど数時間でここまで出来たのは良い方らしいので今日はこれくらいにしてもらえた。
「疲れただろう。風呂が出来ているから、先に入るといい。」
「ありがとう。そうさせてもらうよ。」
平気そうに立って話しているけど、結構疲れているのだ。霊力が少ないのもあるけど最近運動とかしていないせいでもある。体力の無さを実感したな。風呂に入れば一気に疲れが吹き飛んで極楽気分だった。
風呂から出たら紫さんが帰ってきていた。
夜になるまで一体どこで何をしていたんだろう。
「お疲れね、弾幕はどうだった?」
「凄く難しいですね。小さい弾しか出来ませんでしたし、能力も使えませんでした。」
「あらあら、最初だから仕方ないわね。これからも頑張りなさい。」
「えぇ、そのつもりです。」
夕ご飯まで時間があるから紫さんに連れてこられた部屋で待つことにした。弾幕が出来るまでここにいても良いらしいから言葉に甘えさせてもらうことにした。
夕ご飯の時間になり居間に来てみると1人…いや、黒い猫耳の二尾の妖怪がいた。
「この子は私の式神の橙だ。ほら、橙挨拶しなさい。」
「橙です!人間さんよろしくです!」
「桜庭叶夢だよ。よろしくね。」
夕ご飯を済ませた後部屋に戻り弾幕や霊力について考えていた。人間の俺が出来るわけないけど霊夢が霊力で弾幕をしているから不可能ではないのだろう。そんな事を考えていると眠気が襲ってきた。風呂に入ったもののまだ疲労は残っているのだろう。布団に入り横になればさらに眠くなってきた。
(今日はもう寝て明日に備えよう。)
沈みゆく意識の中、襖が開く音がして誰かが入ってきたような気がしたが俺はそれを知ることは無かった。
誤字脱字等ありましたら報告お願いします。
それではまた。
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7話 弾幕はイメージだ
保存日時:2017年06月01日(木) 17:17
「パパー!ママー!見て!きょーそうでまた1位だよ!!」
「あら、凄いわね~!流石は私達の息子ね。」
「速かったなー!叶夢は将来スポーツ選手だな!」
「うん!ボク、スポーツ選手になるー!!」
笑い合う家族の姿がみえる。これは…俺が子供の頃の思い出か。楽しそうだなぁ。
「ん、んぅ。」
気持ちのいい朝の暖かさで目が覚めた。見慣れない景色だから幻想郷に来たのだと納得させられる。
「懐かしい夢をみたなぁ。」
あの夢は俺が6歳くらいの時の思い出だ。両親とも運動が出来る方なので遺伝で俺も小さい頃から運動は良かった方なのだ。運動会で競走して1位になって親に自慢し褒めてもらえた。一般的な家族の姿だ。もう元の世界に戻ることがないから思い返していたんだろうな。
「さてと、顔を洗いに行くか。」
布団から出ようとすると隣に違和感があった。なんだろうと思い布団をめくってみると、なんと紫さんが隣で寝ていたのだ。
「うおぁっ!!な、なんで!?」
「あら、おはよう叶夢~。」
「なんだ?どうした、叶夢。」
さっきの大声で近くを通りかかった藍が襖を開けてきた。そうだ、藍に紫さんをどうにか言ってもらおう。
「藍!いい所に来た!」
「どうしたんだ?」
「紫さんが俺の布団の中に!何か言ってくれ!」
「何してるんです?紫様。」
「昨日の夜疲れちゃったのよ、それで自分の部屋行くのめんどくさいから叶夢の布団にお邪魔したのよ。」
「紫様、叶夢は男なんですからそういうのは辞めて下さい。」
「いいぞーもっと言ったれーい。」
「それに叶夢は私の教え子なんですから。」
「あら、私はその教え子の面倒を見る権利はあるのよ。」
「紫様がそうなら。」
「??」
「私も叶夢と寝させてもらいます。」
んんんんんんんん!?何を言っているんだ藍さんよ。目的を見失ってないか?
「ダメに決まっているじゃない。それに、貴女には橙がいるでしょう。」
「3人仲良く川の字で寝れば問題ありません。」
「大ありです!!俺は1人で寝たいの!!紫さんは布団に入らないでください!藍も何を言っているの!」
「うぅ、ごめんなさい。」
「す、すまない。」
「あっ、えと。こちらこそすみません。朝から大声出して。」
しまった。俺としたことが。この空気、どうしよう。
「さ、さぁ。朝ご飯にしよう!藍、何か手伝う事はあるか?」
「う、うむそうだな。じゃあ味噌汁を頼もう。」
「よし!それじゃあ早速作ろう。紫さんも早く来てくださいよー!」
「えぇ、分かったわ。」
なんとか大丈夫かな。早く弾幕の練習もしなくちゃだしな。そのために朝ご飯をしっかり食べなきゃ。
ちょっと後ろから舌打ちのような音がしたけど聞かなかったことにしよう…。
無事食事も終わり食器を片付けている。橙は遊びに行き、紫さんはまたどこかへ、俺と藍は弾幕の練習を始めた。
「それじゃ、続きを始めるぞ。」
「りょーかい。」
弾幕を出す練習が始まったけどやっぱり出ない。そこで俺はどうにかして出ないものかと昨日の夜に考えていた。そして俺が出した結果はイメージをしてみる事だ。例えば、サッカーボールの大きさをイメージするとそれと同じくらいの大きさの玉が出るような感じだ。試しにやってみると。
「お、出た。」
「おぉ、やるじゃないか。」
実際に出てきた。イメージするとかなりやりやすくなるな。藍の顔を見ると驚いていた。
「凄いな。正直こんなに早く出来るとは思わなかった。」
「元いた世界の物をイメージしてやってみたんだ。上手くいって良かったよ。」
「なるほど、その手があったか。」
イメージして出来たから後は繰り返しやってもっと上手くするだけかな。
時間が経ち辺りは薄暗くなり始めた頃、弾幕の練習をし続けていた俺は短時間でかなり成長していた。今では15個くらい多く出せている。能力の方も弾幕の練習のおかげか少しずつ草を操れるようになっていった。
「だんだん良くなってきたじゃないか。」
「これで少しは俺も戦えるようになれたよ。ありがとう、藍。」
「私は何もしていないさ、叶夢が自分で頑張った結果だ。」
「いやいや、藍が教えてくれたから出来たんだ。感謝するよ。」
弾幕は出来るようになってきたし後は能力を完璧に使いこなす練習かな。草を操るくらいなら簡単だし今の俺なら出来るだろう。
練習の終わりにゆっくりと風呂に入る。湯船が温かく疲れがとれて休められる。風呂は本当に最高だな。
「叶夢、タオルはここに置いておくぞ。」
「あぁ、ありがとう藍。」
風呂の扉の向こうで藍がタオルを置いてくれた。本当に気が利くな。流石紫さんの式神だなと感心する。
風呂から出て自室に向かい寝る準備をした。明日もきっと疲れるだろうから早めに寝て体力を回復させなくちゃ。
俺は布団に潜り眠りについた。
誤字脱字等ありましたら報告お願いします。
それではまた次回で。
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8話 叶夢の真の能力
そういえばあともう少しでUAが1000いきます。いつも見ていただきありがとうございます!
初めて弾幕を出せた日から数十日が経った。今では簡単に弾幕を出すことができ、能力も思い通りに使いこなせている。藍が言うには短い期間でこんなに上達するなんて凄いと驚いていた。しかしまぁ、退屈だった日常がまさかこんな非日常になってしまうなんて。人生は何が起こるか分からないものなんだな。
「そういえば叶夢はなぜ外の世界に戻りたがらずに幻想郷にいるんだ?親とかは心配しないのか?」
「うーんそうだな。強いて言うなら戻りたくないから、かな。」
「なぜだ?向こうで嫌なことでもされているのか?」
「いや、そうじゃないんだ。向こうでの生活に飽きちゃったんだよね。それと。」
「それと?」
「実は両親とも交通事故で死んでいるんだ。だから心配する人もいないし、多分友達も忘れるだろうし。」
「そうか、すまない嫌な事を思い出させたな。」
「藍が謝ることないよ。親はいなくなっちゃったけど、これで自由に好きなことも出来るし不幸なことはないよ。」
俺と俺の両親は2年前くらいに一緒に買い物へ出掛けたその帰りで事故にあった。俺らが乗っていた乗用車と居眠り運転をしていた大型トラックの衝突事故で乗用車は大破し、トラックは横転した。トラックの人は脚の骨を折ったり横転した時に頭を打って出血をする程度だった。両親は前のシートに座っていたということもあり衝突した時に死んでしまった。俺はというと後ろに座っていたからか死にはしなかったが全治4ヶ月もの大怪我をした。そのうちの1ヶ月は生死の狭間を彷徨っていたらしい。医者は助かったのは奇跡だと言うくらいの相当な怪我だったようだ。
退院後の学校や日常は忙しかったけど時間が経てば皆忘れていった。最初は可哀想だの困ったら助けるだの言ってはくるもののいずれは忘れてしまう。人ってのはそういう生き物だしな。騒ぎの後の日常はとても退屈で何もする事がなかったけど、幻想郷に来れて嬉しいと思っている。こんなにも素晴らしい世界があったなんてなぁ。
「それに幻想郷っていいよね~。自然豊かで気持ちがいい。」
「そうだな、幻想郷は良いところだ。叶夢も気に入ってくれて嬉しいぞ。」
「うん、すぐ気に入ったよ。」
幻想郷は都会と違い高層ビルが無く、森が多い。動物や花などの自然が好きな俺にとっては凄く良いところなのだ。
「それで、俺は次何をやれば良いのかな?」
「ふむ。それじゃ、空を飛ぶ練習をしよう。」
「え、空って飛べるの?霊夢の能力じゃないのに?」
「うむ。私や紫様も飛べるぞ。」
そう言って藍は飛んでみせた。そういえばルーミアも飛んでいたのを思い出す。空を飛ぶのは人の夢だけどとても難しいと思うんだけど、どうやって空を飛ぶのだろうか。
「だけどどうやって飛ぶんだ?俺は生身の人間だし。」
「そうだな、私は妖力で飛んでいるぞ。方法はあまり考えた事がないから分からないが、叶夢は霊力で飛べるんじゃないか?」
「そうか、やってみるよ。」
とは言ったものの方法が分からないんじゃ飛びようがないな。とりあえず霊力を身体に放出して纏ってみるかな。すると俺の体は少し宙に浮き始めた。
「おぉ!すげぇ!浮いてる!!」
「うむ。初めてにしては良い方だな。やるな叶夢。」
「うん。でも藍みたいに高くは出来ないな。もっと練習しなくちゃ。」
「その心意気だぞ。頑張れ。」
「おう!」
霊力を身に纏い浮いてみるけどほんの数センチしか浮かばない。やっぱり難しいなと思っていると風が吹いてきたような気がした。何だったのだろうと思いながら練習を再開すると、また風が吹いてきたと思うと風が俺を中心に吹いているような気がした。風はそのまま俺の周りを吹きながら宙に浮かせた。驚いていたのもあって何もしないでいたら周りの木よりも高く浮かんでいた。俺は驚き戸惑い焦ってバランスを崩したら風が消えて背中から落ちていった。
「え、あ。うわあぁぁぁぁ!!!!!」
ー藍sideー
叶夢は凄いな。こんなに早く弾幕と能力を使いこなしてしまうなんて。それに空を飛ぶことだってすぐに宙に浮かんでいた。本当に人間なのか疑ってしまうほどに上達が早い。しかしやはり空を飛ぶことは難しいようだな。何度も霊力を身に纏って試みてはいるが数センチくらいしか浮かんでいない。どうすれば良いのかこちらも考えていたがいきなり風が吹いたかと思うと消えてしまい、気付くと叶夢を中心に風が吹いていた。
(…おかしいな、私は草を操るとしか聞いていないが。)
第2の能力でも持っているのだろうかと思っていると、叶夢は高く浮かんで行き木の高さを越えていた。だが様子がおかしい。飛んではいるものの叶夢は風の存在に驚いていた。ということはあの風は叶夢の能力ではないのだろうか。色々と考えていると叶夢が体勢を崩し落下し始めた。
「え、あ。うわあぁぁぁぁ!!!!!」
(危ない!!)
言うより先に行動に移し空中で叶夢をキャッチする。
「おっと。」
咄嗟の出来事で抱きかかえたからか叶夢が恥ずかしがっている。ふふ、可愛いな。
「ありがとう、藍。助かったよ。」
「あぁ、どういたしまして。」
地上に降りてあの風について考えていた私は叶夢に聞いていた。
「あの風は何だったんだ?まるで叶夢が操っていたように思ったんだが。」
「それが俺も分からないんだ。いきなり来たと思ったら俺の周りで吹いていて、そしたら浮かんだんだ。」
「ふむ、不思議だな。紫様がいれば分かると思うんだが。」
「それは大体見当がついてるわよ。」
「紫様!」
「紫さん!」
不思議な出来事だが見当がついていると言った紫様なら分かっているのだろう。私は静かに紫様の言葉を待った。
ー叶夢sideー
いやぁビビった。まさか落ちるとは思わなかったし、藍がいてくれて本当に助かったよ。また後で礼を言おう。そして紫さんがいつの間にか現れてあの出来事について何かを言うようだ。
「叶夢の能力の事なのだけど。」
「はい。」
「実は草を操るんじゃないみたいなの。」
「…え?じゃあ俺の能力は一体。」
「それが叶夢の弾幕や能力の上達の速度が能力を覚醒させたみたいで、叶夢の能力は自然を操る程度の能力になったのよ。」
「え、自然を…操る?」
「えぇ、じゃなかったらあの風は説明のしようがないわ。」
なんてこった。俺の能力が草から自然を操る程度の能力になるなんて。自然操ったら凄くね?草木に空気、水や重力とかも操ることが出来るんだろ?ハッキリ言ってチートじゃん。
「それと叶夢、これから博麗神社に行くわよ。」
「何しに行くんです?」
「弾幕ごっこの練習よ。霊夢に手伝ってもらうわ。」
「分かりました。」
霊夢の所に行くのか。霊夢と弾幕ごっこやるとか強そうだな。全く歯が立たなそう。
藍に礼を言い紫さんのスキマに入り博麗神社に来てみたら黒いとんがり帽子を被って箒を持ったいかにも魔女っぽい金髪の少女が霊夢と話していた。
少々長くしてみました。ここからまた調整していきます。
それではまた。
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9話 初めての弾幕ごっこ
初の戦闘シーンで不安ですが良かったら読んでください。
金髪の少女と話していた霊夢がこちらに気付いたので手を振ると振り返してくれた。それに気付いた少女がこっちを向いて首を傾げていた。
「お前が叶夢だな。私は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだ!」
「その通り、桜庭叶夢だよ。よろしく。」
「あぁ、よろしくだぜ。」
話してみたら独特的な口調だな。俺の事を知っているということは霊夢から聞いているんだろうな。しかも魔法使いか。幻想郷は本当に何でもいるんだな。
「久しぶりね、叶夢。弾幕はどうかしら?」
「まぁ一応戦えるようにはなれたかな。」
「そこで霊夢と弾幕ごっこをやってもらいたいのよ。頼めるかしら。」
「はぁ?何で私がやらなくちゃいけないのよ。他をあたればいいじゃない。」
「お、弾幕ごっこか?なら私が相手してやるぜー。叶夢の実力がどのくらいか見てみたいからな。」
「お、サンキュー魔理沙。」
霊夢じゃなく魔理沙と弾幕ごっこをやる事になった。俺の中の魔法使いはメ〇や〇ャドとかを出すイメージだけど魔理沙はどんなんだろう?
「あ、叶夢は初めての弾幕ごっこなんだからちゃんと手加減しなさいよ。」
「分かってるって。あ、でもスペカは1枚使わせてもらうぜー。」
「はぁ!?何言ってんのよ。ダメに決まってるじゃない!」
「まぁまぁ落ち着いて霊夢。俺が被弾しなければ良いだけだろ。」
「ほらほら、叶夢もそう言っているんだし大丈夫だって。それにちゃんと手加減するからさ。」
「ダメなものはダメ。叶夢も何言ってんのよ。」
「いいじゃない霊夢。叶夢のスペカの勉強にもなるじゃない。」
「よく分からないけど大丈夫だって。心配すんな。」
「あーもう分かったわ。無茶しないでよね。」
スペカっていうのはよく分からないけど弾幕ごっこの中で見られるから楽しみにしといてやっと霊夢からの許可が出た。
「境内に結界を張っておいたからこちらは心配しなくて大丈夫よ。」
「分かりましたー。」
よし、結界で周りを心配する必要は無くなったから思うようにいけるかな。そういえば俺は何の武器を使おうかな。どうせなら素手より何かしら持っていた方が良いだろうし。そんな訳で俺は能力で木を加工して木刀を作ってみた。なるほど自然を操るってのはこういう事も出来るのか。そのままじゃ不安だから少し霊力を加えた。
「今更だが叶夢の能力は何なんだ?」
「自然を操る程度の能力だよ。前は草を操るだけだったけどね。」
「ほぉー、そんな事が出来るのか。」
「魔理沙は?」
「そのまんま、魔法を使う程度の能力だぜ。」
本当にそのまんまだな。能力の関係上魔法使いになったのかな。一体どんな魔法を見せてくれるのか。
「それじゃあ、始めようか。」
「あぁ、弾幕はパワーだぜ!」
最初に動いたのは俺だ。まずは弾幕を出し魔理沙に向けて真っ直ぐ放つ。しかし魔理沙は難なく箒に跨り飛んで避ける。俺は追撃を緩めず放ち続ける。流石は幻想郷の住人、こんなのも朝飯前なんだろうな。
「へぇ、悪くないな。」
「そりゃどうも。」
会話するくらい余裕があるようだ。俺の弾幕はまだまだ未熟だということだろう。俺は上空に移動し魔理沙が避けている先に待ち伏せる。弾幕と俺の挟み撃ちだ。しかし魔理沙はスピードを緩めず俺に向かって飛んでくる。何か考えがあるのだろう。じゃなきゃわざわざこっちに向かってくるわけがない。警戒しつつ木刀で叩く間合いを待つと魔理沙は上に上昇した。
「やっぱりそうだよなぁ。」
「何!?」
しかしその先には木刀を横に構えた俺がいた。なぜ俺がいるというとあのスピードで下に向かえば地面にぶつかる可能性があるし、そのまま俺に突っ込めば魔理沙も怪我をする事になる。だから上に回避するしかなくなるのだ。その先に俺がいるっていうことは読みが当たったのだ。
大乱闘系のゲームをやっていた経験がここで発揮するとは思わなかった。
「そぉい!」
木刀を横に薙ぎ払ったが手応えが無い。猛スピードで魔理沙が避けたのだろう。
「いやぁやるな叶夢。あれはビビったぜ~。」
「うーんおしい。あともう少しだったのになー。」
「私はそんなに甘くはないぜ。」
あの読みはいい線いってたと思ったのにな。やっぱりゲームと違って上手くいかないか。
「さて、次はこっちからいくぜー!」
「かかってこい!」
魔理沙は星の模様が付いた丸い玉を4つ出すとそこから弾幕が放たれた。道具に魔力を溜めて放つような仕組みになっているようだ。俺は体を捻ったり木刀で叩いたりして回避する。しっかし弾幕が多いな、避けるので精一杯だ。この状況を打破するべく木刀で叩いたり弾幕同士で相殺したりしながら距離を詰める。そして俺の間合いに入りスキをうかがう。そして僅かに出来た弾幕の穴を見逃さずに一気に間合いを詰める。魔理沙の右斜め上に出て木刀を振りかざしたが俺は後悔した。俺の視線の先にはニヤリと笑う魔理沙と目が合った。
「そう来ると思ったぜ。」
魔理沙は懐から八卦炉を取り出し俺に向けた。
「行くぜ叶夢!これがスペカだぜ!」
(マズい!ほぼゼロ距離で間に合わない!!)
「スペルカード!恋符マスタースパーク!!!!」
八卦炉が光りだし目の前が真っ白になると俺は吹っ飛ばされていた。凄いなこれがスペルカードなのか。まともに喰らったからダメージがデカい。結界が消え霊夢が魔理沙に怒鳴っているのが見える。全身が痛い。俺は痛さから逃げるように意識を手放した。
誤字脱字等ありましたら報告お願いします。
次回はなるべく早くします。
ではでは
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10話 叶夢の拠点
「はっ!ここはどこ!俺は誰!?」
「ここは博麗神社であんたは叶夢よ。」
「おぉ、霊夢。あの後どうなったんだ?」
「魔理沙のマスタースパークをまともに直撃して3時間くらい寝ていたわ。」
3時間も寝ていたのか。その間霊夢が色々と世話してくれたようだ。後で礼を言わないと。
「お、よー叶夢。大丈夫か?」
「お、魔理沙か。大丈夫だぜ~。」
「いや~悪いな~。つい熱くなっちまったぜ。」
「大丈夫だよ。てか魔理沙って強いなー。」
「そうだぜ!私は強いんだぜ!」
魔理沙があんなに強いなら霊夢はどれだけ強いのだろうか。それと紫さんの強さはどれくらいなのだろうか。九尾の藍を式神にしているのだから相当強いと思う。俺も魔理沙と互角に戦えるように頑張ろう。
「そういえば紫、叶夢の住むところはあるのかしら?」
「そうねぇ、マヨヒガはもう無理になっちゃうからどこかないかしらね。」
「あぁそれなら人里に空き家がいくつかあったはずだぜ。」
「人里?」
「その名前の通り人がいる里よ。人は多くて賑やかよ。」
幻想郷にそんな所があるのか。てっきり妖怪しかいないのかと思った。少し興味があるな。
「じゃあ俺は今から人里ってところに行こうかな。魔理沙、案内してくれよ。」
「いいぜー。」
「話をするなら寺子屋にいる上白沢慧音って人に聞くといいわ。あと魔法の森入り口にある香霖堂の霖之助さんにも会うといいわ。役立つ物があるはずよ。」
「分かった。上白沢と霖之助だな。サンキュー霊夢。」
「それじゃあ私はマヨヒガに戻るとするわね。」
そうだ、世話になったから紫さんにお礼を言わなきゃ。俺の能力とか弾幕について色々と教えてくれたしな。
「紫さん色々と世話になりました。ありがとうございます。」
「私は何もしてないわ。したのは藍よ、後でちゃんと礼を言っておきなさい。」
「はい。」
そうだな、藍にもしっかりお礼を言っておかなきゃだな。藍には本当に世話になったしな。
「それじゃ俺も行くとするよ。じゃあなー霊夢。」
「はいはい、頑張ってねー。」
霊夢と紫さんと別れて俺と魔理沙は人里へ向かう。博麗神社からはそんなに遠くない場所にあるというからゆっくりと空中散歩を楽しみながら向かっていく。
「そういえば魔理沙はどこに住んでいるんだ?」
「私はな魔法の森っていう所に住んでいるんだぜ。」
「魔法の森?そういえば霊夢も言ってたな。」
「魔法の森は魔法を使うのに必要な物が色々ある森なんだ。例えばキノコとかその森にしかない不思議な物とかがあるんだ。」
「へぇ、行ってみたいな。」
「だけどキノコの胞子で体調を崩したりするぜ。そのせいで妖怪もあまり近づいてこないしな。」
「やっぱやめよう。」
そんな場所があるなんて。なんとまぁ健康に悪い森なんだ。
「だけど魔理沙はその森に住んでいるんだろ?大丈夫なのか?」
「あぁ、大丈夫だぜ。ようは慣れだ。」
「それって慣れるもんなの。」
そうこうしているうちに人里に着いた。魔理沙は家でやる事があるらしいから帰るのでここでお別れだ。一応人気の無い場所で降りて人里に入る。霊夢が言った通り人里は人が多く賑やかである。人里の中を歩くと周りは俺を好奇の目で見ていた。まぁ周りは着物とかなのに俺だけ黒めのジャージだし変に見られても仕方ないしな。取り敢えず寺子屋がどこだか聞いてみるか。
「すみませんちょっとよろしいですか?」
「お?何だい。にーちゃん。」
「寺子屋ってどこにありますか?」
「寺子屋かい?それならここをもっと向こう行かなきゃいけねぇよ。」
「分かりました、ありがとうございます。」
もっと向こうか。人里がどのくらい大きいのか知らないけど遠くなければいいんだけどな。しばらくすると市場の様な場所に出てきた。ここなら分かるかもしれないな。近くの八百屋に聞いてみるとしよう。
「すみません。」
「何だい変わった兄ちゃん!どれも美味くて新鮮だよ!」
「あ、いえ買いに来たんじゃなくて。聞きたいことが。」
「おう、何だい。言ってみ。」
「寺子屋ってどこですか?そこの上白沢さんに用がありまして。」
「なんだ慧音さんに用があるんか。それならあそこの角を曲がってすぐのはずだ。」
「分かりました、ありがとうございます。あ、今度野菜買わせて頂きますね!」
「おう!待ってるぞ変わった兄ちゃん!」
聞いた道を歩いていくと少し大きめの家屋が見えた。大きさからにあれが寺子屋だろう。寺子屋の前に立つと中から声が聞こえてくる。すると扉が開いて子供達がゾロゾロ出てきた。その奥には青い服を着た女性が子供達と話している。子供達の会話からするにあの人が上白沢慧音で間違いないだろう。向こうがこっちに気付いたから軽く会釈をする。子供達がいなくなったのを確認し上白沢慧音が近づいてくる。
「誰だ?」
「貴女が上白沢慧音さんですね。俺は桜庭叶夢です。霊夢から聞いてやってきました。」
「霊夢からか。それで、何の用だ?」
「少し前に幻想入りしたんですよ。それで住む場所がなくて。人里には空き家がいくつかあると聞いて来たんですが。」
「なるほど。それじゃ阿求の所へ行くか。」
「阿求?誰ですか?」
「まぁ、この里のお偉いさんだな。」
「阿求に頼めば大丈夫だろう。案内するぞ。」
「分かりました。」
阿求はこの里で最も偉い人らしい。一体どんな人なのか気になるな。
しばらく歩くと大きな屋敷が現れた。どうやらここが阿求さんが住んでいるらしい。
「慧音だ。阿求に用があって来た。」
慧音が門番に言うと中に入れてくれて扉から使用人が迎えてくれた。
「いらっしゃいませ慧音様。どうぞこちらに。」
客間に案内され少し待つようにと言われた。
数分後襖が開くとさっきの使用人が来て小さな女の子を連れてきた。まさかこの人が阿求なのか。
「こんにちは慧音さん。と、そちらの方は?」
「少し前に幻想入りした叶夢だ。」
「初めまして、桜庭叶夢です。」
「初めまして、私が稗田阿求です。」
誤字脱字等ありましたら報告お願いします。
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11話 初めてのお使い
「私が稗田阿求です。」
へぇこの人が阿求さんか。てっきり老人が出てくるのかと思ったけどかなり若い人が出てきた。身長は低いけど20歳くらいかな。
「それで、用とは何でしょう。」
「里で誰も住んでいない家を叶夢に住まわせてやりたいのだが、大丈夫だろうか。」
「えぇ、構いません。」
「本当ですか。ありがとうございます。」
「いえいえ、何か場所とかの指定はありますか?」
「そうですねぇ、人付き合いが苦手なので少し離れた場所がいいんですが。」
「それなら、大丈夫です。少し端になってしまいますがいいですか?」
「大丈夫ですよ。」
無事家を手に入れることができて阿求さんに教えてもらった場所を慧音と一緒に訪れた。空き家と言っていたけど住むには十分だった。周りは雑草が生い茂っているが家自体はしっかりしていそうだし何かあったら能力で建て直す事も出来るから大丈夫だろう。
「いきなり来たのに手伝ってくれてありがとうございます。」
「なに、大丈夫さ。私は帰るが後は大丈夫か?」
「大丈夫です。あ、魔法の森ってどこにありますか?」
「森ならこの里の裏にある。しばらく行けば着くだろう。」
「分かりました。」
「気を付けるんだぞ。あと、敬語じゃなくても良いぞ。」
「ん、わかった。」
「うん。そっちの方が良い。それじゃ、私はこれで。」
慧音と別れてすぐに香霖堂に行きたいが、まずはこの雑草を除草しよう。能力で雑草を枯らし軽く自然発火を起こしてみる。雑草は燃えて無くなりスッキリした。というか自然発火を故意的に起こしたら自然じゃなくなるな。
そんな事は気にしないで俺は香霖堂を目指し飛び立った。しばらくすると森の前に古風な味を出す香霖堂と書かれた建物があった。
「すいませーん。うわ、なんだこりゃ。」
中に入ると置物やら雑貨やらでいっぱいだった。すると奥から男性が現れた。
「おや、誰だい?見ない顔だね。」
「最近幻想郷に来た桜庭叶夢っていいます。よろしくです。」
「外来人か、僕は森近霖之助だよ。よろしく。」
「ここはどんな所なんだ。」
「ここは見ての通り道具屋だよ。物を売っているけど買取も行っているよ。」
道具屋か、なら色々と役立つ物が見つかるかもしれない。周りを物色しているとある物が目に付いた。刀やナイフといった様々な武器だった。多くの武器がある中俺は1本の木刀が気になった。なぜ木刀を気になったかは分からなかったけど何か不思議なものを感じ、手に取ってみると妖しい感じがした。これはいわゆる妖刀というものなのだろうか。しかし木刀の妖刀は聞いたことがない。俺はこの木刀に興味を持ち霖之助に話しかけた。
「霖之助ーこの木刀貰って良いかな?」
「それかい?それは僕も不思議に思い気に入ってる物なんでね、残念だが非売品だよ。」
「そこを何とか、手持ち無くて1400円しかないから後払いになるけど。ダメかな。」
「…円?聞いたことないな。それはお金なのかい?」
「え、まぁそうだけど。」
「ちょっとよく見せてくれないか。」
「どぞ。」
興味津々にお金を見たがっているので100円を渡す。すると霖之助は目を光らせて大声で騒いでいた。
「これは凄い!外の世界にこんな物があるなんて。あ、その木刀は持っていって良いよ。それよりも珍しい物が手に入ったからね。」
「お、本当か?サンキュー。」
まさか不思議な木刀が100円で買えるとは思わなかったな。霖之助が100円で騒ぐなんて幻想郷の通貨はどのくらいなのだろうか。1000円札を見せたらどんな反応をするのだろう。
「あとこういうのもあるよ。」
「ん?何だいこの紙きれは。」
「それもお金だよ。」
「これもお金なのかい!外の世界は不思議なお金を使っているんだな。」
予想通りの反応につい笑ってしまう。そういえば香霖堂は買取もやっていると言っていたな。1000円が何円に売れるかな。
「それ幻想郷では使えそうにないんで買い取ってくれないかな。」
「本当かい!ありがたく受け取るよ。」
「ありがとう。それで、何円になるかな。」
「ちょっと待っていてくれ。すぐ戻るから。」
そう言って霖之助は店の奥に消えていった。しばらくすると布地の袋を持って帰ってきた。
「この中に二銭銅貨が30枚入っている。僕はそれくらいこれに価値があってもいいと思っているからね。」
「ありがと。」
お礼を言い袋の中身を確認し、さらに売れないかとお金を出しているとお金をガマ口から落としてしまった。
「なんだ、ちゃんと持っているじゃないか。」
「え?でもこれ1円玉だよ。」
「幻想郷で1円は一番高いお金だよ。」
「え!そうなの!?」
マジか。幻想郷では1000円よりも1円の方が高いのか。
確か一銭銅貨は100円で二銭銅貨は200円でその下の半銭銅貨が50円、その下の一厘銅貨が10円だったはず。それよりも高いってことは10000円くらいと考えても良いだろう。俺が貰った二銭銅貨30枚は200×30なので6000円になる。つまり無一文の始まりがいきなり幻想郷での金持ちになったのだ。これは素晴らしい。
「だけど1円は3枚しか持っていないなー。他の売るか。」
「とするとこの銀のお金で100って書いてあるやつ2枚だね。それだと一銭銅貨5枚と交換だね。」
「ありがとう。」
これでしばらくはお金に困らないな。現在の所持金は3円と一銭銅貨が5枚、二銭銅貨が30枚で現代にすると36500円か。しっかり計画的に気をつけて使わなきゃだな。気に入った武器も手に入れたし香霖堂ですることは無くなったからそろそろ帰るとするかな。最後に霖之助にお礼を言い人里を目指し飛び立った。
これよりテスト期間に入りますのでしばらくの間更新が遅れます。テストが終わったらしっかり更新しますのでお待ちください。
それではまた。
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12話 異変発生
UA2000人突破しました!読んでいただきありがとうございます!!頑張ります!!
家に帰る頃には辺りは薄暗くなっていた。周りに人ひとりもいない家の前に降り中に入る。
「ただいまーって言っても誰もいないんだけど。」
殺風景な部屋、と言うより布団しか無い部屋のど真ん中に座り込み香霖堂で買った木刀を眺める。修行で霊力が高まったから木刀から妖力を感じることができる。香霖堂で感じたのは間違いじゃなかった。
「にしても不思議だな~日本のアニメとかゲームじゃこんな設定の武器無かったし、あったとしても真剣と普通に戦える洞爺湖っていう木刀だから本当に珍しいな。」
この木刀の正体を知るためには霊夢に聞いてみようかな。霊夢なら何か知ってそうだし魔理沙がいれば魔法で何か分かるかもしれない。そうと決まれば明日から博麗神社に行ってみるとしよう。
~~〜~~~〜~~
「あぁ~よく寝た。」
軽く伸びをして布団から出て朝の支度をする。朝食を食べ終えて木刀を見る。普通に見ればただの木刀なのに相変わらず妖力を放っている。
「そういえば買ったはいいけどこれちゃんと使えるのか?」
俺は基本霊力を使って弾幕を張るけど妖力はどうなんだろう。この木刀で試しに色々と調べてみるとするかな。
「えぇーと、まずは何をすればいいんだ?」
とりあえず木刀に霊力をながしてみるか?でもどうやってやればいいんだ?それじゃ手から霊力を放出させて木刀に流してみようかな。掌に霊力を集中させてっと。
「ん~やっぱり何も起こらないか。」
なんか拒否反応みたいなの起こして妖力めっちゃ増幅してるような気がするんだが。あーどうしようこれ、何が起きるか分からないから落ち着くまでそっとしておこう。やっぱ詳しそうな霊夢に聞いてみるしかないかー。どうせ暇だろうし早速行こうかな。
「さぁてと霊夢は~っと。」
お、いたいた。暇そうに境内の落ち葉を掃き掃除しているのが見える。
「おーい、霊夢ー。」
「ん?あぁ、叶夢ね。魔理沙かと思ったわ。」
「あいつそんなにここきてんだ。」
「それで?何の用なの。」
「これを見てもらいたいんだ。香霖堂で見つけた木刀なんだけど。」
「たく、なんで私が。こんなの普通の木刀じゃ…ないわね。なによこれ。」
「それが俺にも分からなくてさ、霊夢に聞きに来たんだ。」
「いろんな物見てきたけどこんな物初めてみるわ。」
「そうか霊夢でもわからないか。」
うーん霊夢も分からないか。紫さんに聞いた方がいいかもしれないけど忙しそうだから聞きづらいんだよな。他にあてはないしなー。ん?何かがこっちに向かってきている。魔理沙じゃないような。
「霊夢さーん!!」
「あら、文じゃない。」
なんだ?この人は。白シャツに黒いスカートをはいて頭には天狗が被っていそうな角張った帽子?を被っている。空を飛んできたってことは妖怪なのかな。
「お久しぶりです。ところでこの方は。」
「この前幻想入りした桜庭叶夢です。」
「あややや、そんなに畏まらなくて良いですよ。」
「えと、んじゃ分かった。」
「では改めまして。私は清く正しい射命丸文です。早速なんですが取材させてもらっても良いですか?」
「取材?」
取材ってことは新聞記者なのかな。メモ帳持ってるしカメラぶら下げてるし。でもまさか俺が取材されるなんて。
「私はこの文々。新聞の発行者でして皆様に幻想郷で起こったことをこうしてお届けしているんですよ。」
「へぇー面白いな。」
「だからこうして叶夢さんも取材させていただきたいなーと。」
「やめておきなさい叶夢。そいつの新聞ほとんどデマしか書かないわよ。」
「む、そんな事無いですよ。私はちゃんと真実しか載せませんよ。後はそこに私が付け加えるだけです。」
「その後付けがいらないのよ。」
「まぁまぁ私なりの工夫があっていいじゃないですか~。」
そのような会話を聞いて少し不安になったけどちゃんとした取材で内容は元の世界で何をしていたか、幻想郷に来て一番大変だった事とか特に怪しい事は無く発行された新聞を見たけどおかしな所は無く取材は終わった。
「いや~取材の協力ありがとうございます。おかげで良い記事が出来ました。」
「いやいや俺も貴重な体験出来たし良かったよ。」
完成した新聞を見たら正確に記事が載せられていた。日本の新聞よりも面白いかも。
「そういえば知ってますか?霧の湖の奥に赤い館が建てられたんですよ。」
「赤い館?」
赤い館か。俺が幻想入りした頃と同じくらいに建てられたのかな。
「紅魔館といって吸血鬼が住んでいるらしいですよ。」
「はぁ、吸血鬼ねぇ。別に悪さしなければ何でもいいわ。」
「吸血鬼かぁなんだか怖そうだなぁ。」
「叶夢さんが来る前からありましたし何もしてこないんじゃないですかねー。」
そんな事を話していると突然空が薄暗くなり見上げてみると赤い雲なのか霧のようなものが空を覆いつくしていた。いや、赤というより紅の方がこの状況に合っているな。そのせいで明るかった幻想郷が一気に紅く染まり薄気味悪い。
「あやややー、噂をすればなんとやらですね。」
「ちょ、何よこれどうなってんのよ。」
「うっわ、薄気味悪いな~。なんだこれ。」
「どうやら館からのようですねー。」
「おーい!れーいむー!なんだこの霧は、異変か?」
「あら魔理沙じゃない。えぇ多分そうね、霧の湖の近くに住みついた吸血鬼の仕業らしいわ。」
異変?あぁこんな変わった出来事を魔理沙がさっき言った異変っていうのか。紅い霧の異変だから紅霧異変といったところかな。
「そうか異変か!なら話は早い。さっさと解決しようぜ霊夢。」
「お、早速行きますか。流石魔理沙さん!」
「へぇ魔理沙と霊夢って異変を解決したりしてるんだ。」
「本来なら博麗の巫女の仕事なんですがね、あぁやって魔理沙さんも手伝っているんですよ。」
「まぁそうね、けど魔理沙は邪魔をしてくるのよね。」
「私はただ手伝っているだけだぜ。もしかしたら異変の発生源に何か良い物やお宝があるかもしれないからな。」
「博麗の巫女の仕事なんだから邪魔なのよ。」
異変を起こすくらいだから強いはずなのにその根源を倒すってことは霊夢は本当に強いんだな。もしかして幻想郷最強?主人公補正でもかかっているのかな。
「それでは頑張ってくださいね~。」
「頑張ってな~お二人さん。俺は文とお留守番してるよ。」
「おいおい、何言ってるんだ?叶夢も一緒に行こうぜ。」
「えー俺痛いの嫌なんだよな~。」
「ダメよ行きなさい叶夢。」
「うぉ!?紫さん!」
いきなり現れてビックリした。霊夢は慣れているのか平気そうだけど魔理沙と文が驚いてるよ。けどなんでダメなんだ?俺何も関係無くないか?
「丁度貴方にピッタリな弾幕練習じゃない。頑張ってきなさい。」
「えぇ、それマジで行かなきゃいけないんですか?」
「えぇそうよ。」
「決まりだな。行こうぜ叶夢。」
「足引っ張らないでよ?」
あぁ、勝手に決まっちゃった。なんてこったい俺痛いの嫌なのに。でも紫さんが行けって言うなら行かなきゃいけないしなー。しょうがないから行くしかないのか。
「はい、分かりました。」
「素直でよろしい。」
あぁ、その笑顔が心底楽しそうで怖い。この異変は絶対に静かに行動しよう。そうしよう。
紅魔郷編入れた~!あ、あとテスト期間で小説書ける余裕がありそうなので次からテスト期間でも書いていきます。こんなに長く待たせる事は無くなりそうです。良かった。
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13話 紅魔館のメイド
もっと早く更新出来るよう頑張ります。
余談ですがアトレ秋葉原の東方の夏祭りに行ってきました。素晴らしいです。
はぁどうしてこうなったんだ。いきなり俺も異変解決の手伝いみたいな事やらされるなんて聞いてないよ。あ、そうだ紫さんにこの妖しい木刀の事を見てもらおう。流石に紫さんなら分かるかもしれないし。
「紫さん、この木刀を見てほしいんですが。」
「どれ、見せてみなさい。」
「香霖堂で見つけた妖力を纏った木刀です。」
「あらこれ、付喪神ね。でも…何かしらの力で呪われているようね。」
「付喪神なんですか。でも呪われるってことあるんですか?」
「あまり聞いたことは無いわ。とにかく呪いを解かないと何するか分からないわ。」
そう言うと紫さんは何やらブツブツ言い始めた。すると木刀に纏っていた妖力は少しずつ消えていき霊力が戻り始めてきた。流石は妖怪の賢者呪いを難なく解いた。
「これで大丈夫なはずよ。」
「ありがとうございます。」
「大丈夫そうね、それじゃ行くわよ。」
「頑張って来てくださいね~。良いネタを宜しくお願いします~!」
紫さんから木刀を受け取り霊夢と魔理沙と一緒に紅魔館を目指し飛び立った。
~〜~~~〜~~~〜
1時間もしないうちに紅魔館らしき門の前に着いた。俺の身長よりも大きい門の後ろには赤よりも紅い館が薄気味悪く建っている。その上には周りにはっきり分かるくらいの大きな時計塔のようなものがある。館ということであるのか門の前には緑色のチャイナ服を着た赤髪で長髪の門番がいるけど。
「気持ちよさそうに寝てるな。」
「なら侵入は簡単ね。上から行くわよ。」
門を飛び越えて館の中へと入り込む。なんだか外の世界のゲームにあった脱出ホラーゲームのジェイルハウスみたいだな。なんだかもう帰りたくなる。と、そんな事を思いながら中の庭園を通り抜けて扉の前に立つ。扉を開け中に入るとホールが広がっていて正面には階段がある。よく見渡すと中まで紅一色であり目がチカチカする。
「なんつーところだよ。気味悪さが増すな。」
「嫌な場所ね、さっさと解決して帰りましょう。」
そうだここはもう敵地の中なんだ。油断しないで気を引き締めて行こう。しかし行ける道が多いな。どこから行こうか。こういう時俺は利き手じゃない方から行くんだよな~。
「俺左から行くわー。」
「私もついて行くぜー。お宝がこっちにありそうなんだ。」
「はいはい、じゃあ私は一応右を見ていくわね。…誰?」
「おいおいどうした霊夢?誰もいないぜー?」
「どした?」
魔理沙の言う通り誰も見当たらない。物音一つも聞いていないし人影もない。俺は視力は良い方だけど薄暗くてよく見えない。しかし霊夢はホール奥の階段を見据えている。すると階段の方から声がかえってきた。
「はぁ、あの門番は何をしているのかしら。仕事が増える私の身を考えなさいよ。」
その声は呆れているようで、俺たちの相手をしている暇がないように聞こえる。階段から降りてきて少しは見えるようになる。
「ここは紅魔館。今はお取り込み中ですので後日いらしてください。」
声からして女性なのだろう。ハッキリと姿が見えてくると彼女はメイド服を着ていた。薄暗くだけど見えた彼女が階段を降りる仕草、歩き方。そして言葉遣いといいこの館のメイドの中でも偉い人かな。
「あんたの所の主人に用があるのよ。会わせてくれないかしら。」
「貴女、見た目的に巫女のようね。もしかして博麗の巫女なのかしら?」
「えぇ、そうよ。この邪魔な霧を辞めてくれないかしら。迷惑なのよ。」
「お嬢様の命令は絶対なのでそのような事は出来ません。お帰りになられないのでしたら、力づくで帰すまでです。」
そう言うと彼女はいつの間にかナイフを持っている。これは戦うしかないようになってしまった。話し合いで解決してくれたら嬉しいのにな~。ここは霊夢にまかせてどっか行こう。
「じゃあ霊夢、後はよろしく。」
「はぁ?何言ってんのよあんたも手伝いなさいよ!」
「やだよ相手の武器がナイフなんだし弾幕初心者じゃ無理無理。足引っ張るわ。」
「じゃあな霊夢。頑張れよー。」
「ちょ、魔理沙まで!?あんたは残りなさいよ!」
遠回りしてメイドの後ろの階段を上って行こうとした時、いきなり目の前に二十数本のナイフが現れた。
「お嬢様の所へは行かせない!」
(やばい!避けきれない!あぁ、人生オワタ…)
目を思いっきり瞑り痛みを覚悟するがいつまでも痛みは来ない。恐る恐る目を開けるとナイフが全部床に落ちている。見ると霊夢が弾幕で弾いてくれたようだ。
「あんたの相手は私よ。」
「…流石は博麗の巫女ね。」
い、今のうちに行かせてもらおう!全力疾走で扉を開け中に入りこの場を退場した。あのメイドは霊夢にまかせてさっさと行こう。魔理沙とはバラバラになって俺は2階の東、魔理沙は1階の西に向かった。窓の少ない長い廊下を歩きながら他の部屋へと目指す。俺が言うのもどうかと思うけど霊夢を一人にして大丈夫だったかな。まぁ妖怪退治してるって言ってたし強いだろうし俺がいても邪魔なだけだとついさっき知らされたしな。そんな事を思っていると他の部屋よりも一際大きな扉が出てきた。なんというか、嫌な予感しかしない。
「…何もありませんように。」
扉を開けると中はソファと大きなベッドがある。そして部屋の奥には外を眺めている人影が一つ。
「あら、こんな所に客人なんて来ないのかと思ったけれど、珍しいわね。」
その背中にはコウモリのような羽があり、白の強いピンクの服にフリルのスカートを穿き、後ろには大きなリボンが結んである。そして背中の羽も驚いたけどそれよりも驚いたのが、
「子供?」
まだ10歳くらいといった少女だった。
咲夜とレミリアの口調が難しい。これであっていれば良いんだけど。
何か違和感があれば言ってください。
それでは
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14話 時間を操るメイド長
子供とはいえここにいる以上敵かもしれない。警戒しておかなくちゃだな。
「初対面に向かって子供だなんて、失礼ね。良いわ自己紹介をしてあげる。」
いやいや見た目が子供だから子供と言って何が悪いんだ。それとも子供のごっこ遊びか何かか?
「私はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主にして吸血鬼の最高の貴族である。」
吸血鬼?俺が知ってるのはスーツ着てマントしているやつとか石で出来た仮面を付けたら吸血鬼になるあれと同じ吸血鬼なのか?しかもこんな子供が主だって?
「私だけ名乗るなんておかしいじゃない。貴方の名前は何よ。」
「…桜庭叶夢だ。悪いんだけどこの霧を消してくれないかな。」
「それは出来ない相談ね。貴方も知っているでしょう?吸血鬼は日の光に弱いの。だからこうして空を覆いつくせば外でいつでも動けるってわけよ。」
「そんなの夜に動いていれば良いじゃないか。わざわざこんな事しなくたって…。」
そこまで言うとレミリアは鋭く睨み殺気を放った。さっきまでの気品のある佇まいから獲物を狙う肉食獣のような雰囲気に変わった。
「…分からないの?私は気高き吸血鬼の貴族なのよ。それなのになぜコソコソと夜に動かなきゃいけないの。私は幻想郷の人間を支配するのよ。」
「…ッ!」
いままでの妖怪とは比べ物にならないくらいの妖力の多さと殺気を放っている。ライオンとウサギが対峙しているように力の差が歴然としているのがはっきり分かる。
(ダメだ。負けるのが目に見えている…。どうしよう。)
ー霊夢sideー
いきなり叶夢に飛んでいくナイフを落として叶夢を助けたは良かったけどさっきのは何よ。気付けばあのメイドも違う場所へ移動しているし何が起こったのよ。
「逃がしてしまったか、まぁいいわ貴女を倒してすぐ追いかければ間に合うわ。」
「あまり博麗の巫女をナメないでほしいものね。」
そう言いお祓い棒と札を手にし構える。相手はナイフを持っているけど構えてこないのはなぜかしらね。
「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私は十六夜咲夜。この紅魔館のメイド長を務めているわ。」
「ご丁寧にどうも。知っての通り私は博麗の巫女をやっている霊夢よ。悪いけどあんたを倒してこの異変を終わらせてもらうわ。」
そう言ってまずは手始めに札を飛ばし攻撃してみる。放たれたお札は咲夜目掛けて真っ直ぐ飛んでいく。被弾したと確信した瞬間咲夜の姿が消えていた。
「な…!どこいったのよ!?」
消えるなんてどうなってんのよ!あれがあいつの能力なの?あんなのとどうやって戦えばいいのよ。
「私がそんな札だけで倒せると思ってるの?素敵な巫女って頭まで素敵なのね。」
「なんで私があんたに罵られなきゃいけないのよ。」
ったく、私の周りはこういうヤツばっかなのかしら。疲れるこっちの身にもなってほしいわね。
「さっさと貴女を倒してお嬢様の下へ行かせてもらうわ。」
そう言い咲夜はナイフを私に投げてきた。そんな少ないナイフで私を倒せると思ってるのかしらね。お祓い棒を構えて避ける準備をしていると気が付くと目の前に大量のナイフが迫ってきていた。
「ッ!?」
数十本ある大量のナイフを避けたりお祓い棒で弾いたりして全てを避けきった。何よあれ聞いてないわよ!
「あれを全て避けるなんてやるわね。流石素敵な巫女ね。」
「褒めてるのか貶してるのかどっちなのよ。」
「さぁ、貴女にまかせるわ。」
「まぁいいわ。それよりあんたの能力が分かったわ。あんた、時間を止める能力とかそういう系の能力でしょ?」
「…根拠は?」
「私の勘はよく当たるのよ。」
これで時間に関係する能力だったら一つ策があるけど。
「…えぇそうよ、貴女の言う通り時間を操る程度の能力よ。まぁ、知ったところで貴女は何も出来ないでしょうけどね。」
ビンゴね、よくやったわ私の勘。でもこの策は一発勝負だから決めなきゃ負けるかもしれないわね。とりあえず攻撃を仕掛けなきゃ何も始まらないわ!
「いけぇ!」
私は札の量を増やして咲夜目掛けて飛ばす。はっきの量より何倍の札を放つ。
「そんなもの無駄よ。」
気付けばまた咲夜の姿が消えている。さっきの札も全て避けられるなんて時間を操るなんて厄介ね。
「これで終わりにするわ!」
また大量のナイフが来る!この後が勝負の決め手になるわね、集中!!
「貴女の時間も私のモノ。人間から忌み嫌われてきたこの能力本気でふるえば、貴女は何も理解出来ぬまま死ぬ。解除!」
「…ぁ。」
乾いた声の後に私目掛けて飛んでいったナイフは次々と突き刺さっていく。…が私の体は札となり咲夜に飛んでいった。
「ッ!?」
「結界『拡散結界』!!」
私が発動させたスペルカードが咲夜を囲むように結界が張られていく。これが私の残した勝てる策よ。相手の行動を封じればこっちのものよ。
「これで終わりよ!!」
懐から取り出した陰陽玉を咲夜に当て霊気を注ぎ込み大きくし咲夜に放つ。相手が人間でも十分なダメージを与えることが出来るため咲夜にちょうど良い。
「はあぁぁぁぁ!」
「かはっ!」
放った陰陽玉は咲夜を巻き込みながら吹っ飛び豪快な音をたてて消えていった。確認したらちゃんと息してるし死んではいないようね。はぁ、厄介な相手だったわ。
「待ってなさい叶夢!」
今は早く叶夢の所に行かなきゃ。かなり遅くなったけど叶夢の後を全速力で追いかけた。
戦闘シーンってムズい
次は早めに更新できるように頑張ります。
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15話 人間対吸血鬼
夏の課題や夏休み明けテスト勉強ですっかり忘れてました!
これからは必ず早く投稿するよう心掛けます!
ー叶夢sideー
「あらあら何をしているの?避けてばかりじゃ何も出来ないわよ。」
「クソッ!」
十数秒前に殺気を放っていたレミリアが弾幕を飛ばしてきた。それを躱しつつ対抗してこちらからも弾幕を放つ。しかし全部軽々と避けられてしまう。
「そんなもので私を倒せると思っているのかしら?滑稽ね。」
「それでも抗わなきゃダメだろ?人間をあまり嘗めてると痛い目みるぞ。」
「私が人間なんかにやられるわけないじゃない。そっちこそ甘く見ないことね。」
言われなくてもそんなことしないし俺じゃ出来ない。どうにかして倒せる方法はないのか、と考えていると。
「叶夢ー!!!」
「れ、霊夢!?」
勢いとともに部屋に入ってきたのは霊夢だった。走ってきたのか息が荒い。
「そう、咲夜は倒されたのね。流石は博麗の巫女ね。」
「あんたが今回の異変の張本人ね?今すぐあの霧を消すか私に退治されてから消すか、二つに一つよ。」
「嫌よ。私はこの幻想郷を支配するの。退治されるわけにはいかないわ。」
「霊夢、俺も手伝うよ。」
「わかったわ。足手まといになるんじゃないわよ。」
「いいわ、二人同時にかかってきところで負けるわけないわ。」
「後悔すんなよ?」
「こんなに月も紅いから本気で殺すわよ。」
まずは俺が多めの弾幕を放ち始めた。その横で霊夢は追尾型の御札の弾幕を放つ。けれど吸血鬼持ち前の身体能力で俺の弾幕は躱され霊夢の御札はレミリアの弾幕で撃ち落とされていった。あれだけ多くの弾幕を躱したレミリアは余裕の表情で笑っている。
「ふふ、人間が二人いてもその程度なのかしら?所詮人間は人間ね。」
そう言うとレミリアから弾幕が放たれる。大量の弾幕を躱し、時には木刀で叩き落とす。霊夢は結界を張り防いでいるようだな。よそ見をしていたら躱しそこねた一個の弾が足に被弾する。
「っ!!」
「叶夢!!」
一個だけしか当たっていないのに凄く痛い。一つ一つに殺意があるみたいだ。
「俺は大丈夫!気にしなくていい!!」
「飽きたわ、まずは貴方から殺してあげるわ。」
「!!危ない!!!」
「スペル!」
ヤバい、足が意外とダメージ受けてて速く動けない。こうなったら紫さんから貰ったスペルカードを即興で作って防ぐしかない!何か良い防御技を!!
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!!」
「神木『神聖な結界』!」
ドゴォォォォンと大きな音が鳴り響いた。自分でも何がどうなったかわからない。痛みは来ないからして無事なようで安心した。
「な、私のスペルが防がれた!?」
「スペル!霊符『夢想封印』!」
「ぁ、しまっ!」
霊夢が一瞬の隙をついて勝負が決まったようだ。これでこの異変は解決したことになるのかな。あとは魔理沙を探して帰るだけか。
「あんた足大丈夫なの?」
「ん?あぁ最初は痛かったけどもう大丈夫だよ。」
「そう、なら良かったわ。」
「さて、魔理沙の所に行こうぜ。」
______________________________
「さてとー魔理沙はどこかなー?」
「魔理沙なら大丈夫なハズよ。負けるわけがないわ。」
魔理沙を探しにホールまでやって来た。確か魔理沙は俺とは逆方向の西に行ったんだっけな。こんなに広い館だから手分けして探すかな。俺は一階を探しに、霊夢は二階を探しに行った。
廊下を歩いていると少し大きな両開き扉が見えてきた。中が広そうだしここから調べてみようと扉を開けると広い空間がひろがっていて目の前に大量の本と大きな本棚がズラッと並んでいる。本だけでも数千冊いや数万冊以上ありそうだ。
「凄い…まるで図書館みたいだな。」
近くの本棚から目に入った本を取り出して中を見てみる。中を見てみると読めない文字や魔法陣の様な図形、何かの調合法などが書かれていた。
「なんだこれ全然分からねぇ。」
別の段の本や反対側の本棚や別の本棚を見てみると全て似たような内容だった。
「まさかこれ全部こういう本なのか?」
周りを見渡せば本棚は天井近くにもありそこにも本がビッシリ並んでいた。天井近くにまである本を眺めていると近くから大きな音が聞こえてきた。音のする方へ行ってみると魔理沙と宙に浮いている人が対峙していた。奥の方では頭と背中に黒い羽を生やした悪魔っぽい少女がわたわたしている。
「魔理沙ー!どうしたー!」
「あぁ叶夢!いいとこに来てくれた!」
「なぜこんな状況に?」
「いやーここに来たら珍しい本がいっぱいだから借りていこうとしたら見つかっちゃったんだぜ。」
「何が借りていくよ!理不尽な理由で持っていこうとした盗人のくせに!」
「そんなに大声出すもんじゃないぜー?喘息って言ってたじゃないか。」
「このくらいだいじょ…けほっ。けほっ。」
「ほら言わんこっちゃない。」
「と、とにかくその本は返してもらうわ。それがなきゃ困るもの。」
そうか魔理沙は魔法使いだからこういう珍しい本とか好きそうだなー。
「ちなみにどれくらい借りるの?」
「あぁ私が死ぬまでだぜ?」
「酷い理不尽!?」
なんて理不尽なんだ。これじゃお相手さんが怒るのも無理ないな。これには俺が手を貸す必要ないだろうし適当に時間潰して待っていよう。
「じゃあ魔理沙頑張ってね。」
「え、おい叶夢は何もしてくれないのかよー?」
「だって俺何もしてないもん。魔理沙と向こうの問題だから待ってるよ。」
「なんだよーそれー。」
そう言って図書館から出ていく。図書館の奥にまだ廊下が続いてたからそこに行ってみよう。
叶夢のスペカを考えたりレミリアとの弾幕ごっこを書いたりと難しかった…。
次こそはこんなに期間を空けないで投稿します。
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16話 狂気は強い
あと、感想文とか書くより小説書いてた方が楽ですよね。絶対。
図書館から出て廊下の奥へと向かう。奥には地下へと続く階段があった。こんなに大きい屋敷なのに地下まであるとかどんだけ金持ちなんだよと思いながら階段を降りていくとその先には扉が一つあった。扉を開けると中は円型の部屋になっていて奥の方にはベッドがある。
そのベッドの前に赤い服を着てサイドポニーの薄い黄色の髪の幼女が座っていた。容姿は普通なのだが唯一普通じゃないのが背中についている羽だ。羽なのだろうが翼腕に七色に光る硬質のものが釣り下がったような形状をしている。
幼女は音に気づいたのかゆっくりと立ち上がりこちらを振り向いた。幼女の手には頭が無いクマのぬいぐるみを持っている。部屋の全体を見ると床には様々な壊れた人形やぬいぐるみが転がっていた。
「あなた、誰?」
紅い目で尋ねてきたその子に一瞬恐怖を覚え一歩下がる。
「新しいおもちゃ?」
目の前まで来た幼女に背筋に悪寒が走る。
「さ、桜庭叶夢だよ。」
なんとか振り絞った声で応える。幼女は「ふぅーん」と返事をした後元いた場所に戻り話し始めた。
「私フラン。フランドール・スカーレットっていうの。」
「お、おう。」
「私ね、ずっとここに閉じ込められているの。ここにはおもちゃしかないし、誰も遊んでくれない。」
閉じ込められている?壊れているおもちゃさえなければ大人しそうなこの子が?
「あなた人間よね?生きたままの人間は初めて見るの。だから…」
「私叶夢で遊ぶ!!!!」
「!?」
いきなりフランドールから飛んできた弾を間一髪で避ける。
「すごーい避けた避けた!!」
「いきなり何すんだ!!」
あ…危なかった。目が合った時に警戒していなければ避けられなかった。
「人間なのに避けるなんてすごーい!」
「当たり前だ、どんだけ修行したと思ってんだ。」
無邪気な笑顔でピョンピョン跳ねながら喜んでいる。それだけなら可愛いと思えるのにこの状況じゃ全く思えないな。
「じゃあこれはどーかな!」
フランドールはカードを取り出し宣言した。
「禁忌『フォーオブアカインド』!!」
そう言うとフランドールが四人に分身した。それぞれの分身から弾幕が放たれる。僅かな隙間を見つけて避けたり木刀を使って打ち落としたりして被弾を防ぐ。しかし四人による密度の高い弾幕が続くため疲労がたまり腹や頬を掠める。
全て避けきるには息があがり肩で息をしていた。
「これも避けるなんてすごい!」
フランドールは目を輝かせて楽しんでいる。俺はこんなに疲れているっていうのに。
「なら、次はこれだよ!禁忌『レーヴァテイン』!!」
そう高らかに宣言した途端、フランドールの手に炎を纏った剣の様なものが現れた。というか炎の剣のようだ。
「アハハハハハハハハ!!!!」
狂気じみた笑いとともにレーヴァテインを掲げてくる。俺は咄嗟に木刀に霊力を注ぎレーヴァテインを受け止める。レーヴァテインを受け止めると火の粉が弾け近くにいるだけでも熱い。
「すごい!アハハハハ!」
笑いながらレーヴァテインを力尽くで振り回してくる。フランドールの身体とバランスが悪いはずの大きさと長さなのに軽々と振り回してくるということは彼女はレミリアの妹なのだろうか。
「守ってばかりじゃツマラナイワ!!モットアソボウヨ!!」
「ぐっ!くそ!」
狂気じみた言動がさらに狂気を増しているように思える。フランドールの1枚目のスペカに続いてのレーヴァテインでは疲れがたまりすぎている。一瞬でも気を緩めたら…
「アハァ!」
「っ!!」
一瞬でも、気を緩めてしまった…。左側にはあるはずの腕が無い…無くなっている…。
「コレデオワリヨ!」
「ごふっ…」
そして続けざまに胴体をレーヴァテインで貫かれてしまった。焼かれるような痛みが内側から全身に走っていく。
「あーあ、また壊れちゃった。」
おもちゃが壊れたからかフランドールの狂気は消えていた。そしてフランドールがベッドに向かうところで俺の意識は途絶えた。
ーフランsideー
(まーた壊れちゃった。)
壊れた叶夢をつまらない目で見て興味をなくす。眠くなったからベッドへと向かおうとすると背後から物音がした。振り向くとそこには殺したはずの叶夢が立っていた。
(なんで!?あれだけの傷を負って立てるはずないのに!)
頭の中がはてなマークでいっぱいになっていく。だけどそれよりも不思議なのが。
(斬ったはずの腕と身体が治ってる!?)
そう、叶夢が完全に治っていたの。私は不思議でたまらなく、そしてワクワクしていたわ。だっていくら遊んでも壊れないおもちゃなんて初めてだもの!
レーヴァテインを構え直して再び叶夢に斬り掛かる。だけど叶夢は何も反応をしてこない。無防備に立ったままだった。警戒しつつレーヴァテインを叶夢目掛けて振り下ろす。しかし叶夢は避けてそして木刀で反撃をしてきた。
「!?」
一瞬の出来事に理解が出来なかった。私はよろめきながら体勢を立て直し再び斬り掛かる。だけど全て交わされてしまい反撃を受けてしまう。そして私にはそれが楽しくて仕方がなかった。
「アハ、アハハハハハハハハ!アハハハハハハハハハ!」
狂気じみた笑いをあげ全力で斬り掛かる。だけどそれすらも止められてしまう。激しい鍔迫り合いの最中、叶夢が私の頭に手を翳してきた。すると私の中で何かがフッと消えた感覚があった。
「なに…した…の?」
するといきなり睡魔が私を襲いそれに抗えることなくその場で眠りについてしまった。
これをいつも書く時間が夜中になってしまうので僕も睡魔と戦いながら作業しています。
それではまた。
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17話 和解
そしてUAが累計5000を突破しました!ありがとうございます!!
この調子で頑張ります!
ー叶夢sideー
目を覚ますと真っ赤な部屋の中にいた。確か自分は腕を切り落とされ体を貫かれて死んだと思っていた。しかし腕があるどころかほとんど無傷の状態でいる。不思議に思っていると扉が開いて銀髪のメイドが入ってきた。
「あら、お目覚めになられたのですね。気分はどうですか。」
「あ、あぁ不思議な気分だよ。えっと…。」
「咲夜で結構です。食欲はどうでしょうか、サンドイッチと紅茶を用意しましたのでお召し上がりください。」
「ありがとう。それとそんなに畏まらなくて良いよ。俺そんなにお偉いさんじゃないし。」
「分かったわ。それじゃ、ゆっくりしているのよ。」
咲夜が部屋から出ていくのを見送りサンドイッチを食べようとした時、ふと誰かが覗いているのが見えた。誰かと思い近づくとそこには昨日戦ったフランドールがいた。
(くっそ!こんな時に見つかるなんて、早く逃げなきゃ!)
そう思い慌てて窓から飛び降りようとしたとき。
「ぁ、待って!違うの!」
大声で呼び止められ動きを止めてフランドールを見る。なんだか困っているような少し怯えていて今にも泣き出しそうな雰囲気だ。
「あの、えっと、傷つけてごめんなさい!」
…え?これがあのフランドールなのか?全然別人なんだが。いきなりの出来事に戸惑っているとさらに人が入ってきた。
「フランがなぜこうなったか教えてあげるわ。」
紫の帽子に紫のゆったりとしたローブを着ていて髪も紫といった、全身がほとんど紫で統一してある人が入ってきた。あの人は確か魔理沙と言い争っていた魔法使いか。あまり関わったことがないから全く知らないけど。
「私はパチュリーよ。貴方は魔理沙から聞いたわ。それでフランの事なんだけど、貴方が対峙した時におかしくなかったかしら。」
「あーうん、確かに狂気を感じたね。」
「その通り、フランは生まれながら周りの妖怪より狂気的なものが多くて危険だからあぁやって閉じ込めていたの。」
あーだから地下で1人でいたのか。それは可哀想だけど…仕方の無い事なのかな…。
「けど貴方達が戦ったあとフランを調べたら狂気がほとんど消えていたの。貴方何かした?」
「いや、俺は何も。というか狂気のフランに身体貫かれてそこから先の記憶がなくて。」
「そう。でも貴方がやったとしか考えられないのよね。だからお礼を言わせてもらうわ、ありがとう。」
「いやいや、そんなお礼なんて言われても。」
「私からも言わせて叶夢お兄さま!ありがとう!」
「お兄さま!?」
そこまで言われたら素直に受け入れるしかなくなってしまう。しかもそんな天使のような笑顔で言われたら誰だってノックアウトでしょ畜生可愛いわ。
「じゃあ私は戻るわね。それだけ伝えたかっただけだから。」
「おーありがとなー。」
フランの頭を撫でながらパチュリーにお礼を言って見送る。
「あんまりフランにベタベタするとレミィから雷が落ちるかもしれないから気を付ける事ね。」
「はっ!い、いやこれは仕方なく!」
「叶夢お兄さまは仕方なくフランと仲良くしてくれるの?」
「違うよフランちゃん俺はもっともっと仲良くなりたいと思ってるよ!!」
「やったー!」
危ない危ない、天使を悲しませるところだった。こんな素直で可愛い子どこにもいないよ。俺の妹に欲しいくらいだよ。
______________________________
サンドイッチを食べ終えてフランと話をする事になった。遊び相手のいなかったフランはお喋りしている事に楽しそうにしている。
「フランは狂気が無くなってどんな気分?」
「うーんあんまり分かんない。でもそれが無くなったからお外にも行けるようになったの!って言ってもまだお屋敷のお庭までだけど。」
「へぇ、でも良かったじゃん。お庭までなら自由に行動できるようになったんでしょ?フランにとっては大きな一歩だよ。」
「うん!これも叶夢お兄さまのおかげだよ!ありがと!」
「うんどういたしまして。」
にしてもほんとにいい子だなー。この子に狂気があったなんて信じられない。少しの間フランとお喋りをしていたら咲夜が来た。
「叶夢、お嬢様が呼んでいるわ。ついて来なさい。」
「分かった。ごめんなフラン、ちょっと行ってくるね。」
「フランも行くー!」
「え、いやでも。」
「大丈夫よ、お嬢様ならきっと許してくれるでしょう。」
「そうか?じゃあ一緒に行くか。」
フランと一緒に咲夜の案内で部屋に入るとレミリアが紅茶を飲んで待っていた。改めてみると気品のある立ち振る舞いでいて気高い雰囲気を出している。
「あら、フランもいるのね。まぁいいわ、まずはフランの狂気を無くしてくれて感謝するわ。」
「どういたしまして。と言っても覚えてないんだけどね。」
「フランもすっかり貴方に懐いているみたいだし友達が出来て私としては嬉しいのだけど、ちょっと仲良し過ぎじゃないかしら?」
「あ、あはは。」
レミリアが笑って言ってくるが目が全然笑っていない。もう今にも殺すと言ってグングニルが飛んできそうでシャレにならないくらい怖い。そんな事を余所にフランは俺の腕に抱きついてニコニコしている。それを見ているレミリアから何かオーラ的なものが出てて本当に殺されそうだからそろそろやめて欲しいんだけど…。
「…それじゃ、本題に入るわね。貴方紅魔館の執事になる気はないかしら?」
「執事?」
僕もフランと仲良くなりたい。
くっそ叶夢め!羨ましい!
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18話 執事の仕事1
それと風邪気味になってしまいました。皆さんも風邪をひかないようお気をつけください。
「貴方紅魔館の執事になる気はないかしら?」
「執事?」
「えぇそうよ、貴方のような面白い人間を側におきたいの。部屋も用意するし、朝昼晩の食事も食べさせてあげるわ。」
「ちょ、ちょっと待ってよいきなりそんなこと言われても困るよ。」
執事ってあれでしょ?主に忠誠を誓って身の回りの世話や家事などをやる人のことでしょ?そんなの出来るわけがないでしょ。
「執事って何すればいいのか分からないし、何も出来ないよ?」
「それなら大丈夫よ、咲夜が手取り足取り教えてくれるわ。頼むわよ咲夜。」
「かしこまりました。」
「ちょっと、まだやるとは決まってないんだから話を進めないでよ。」
「叶夢お兄さま、お姉さまのしつじってやつになるの?」
「いや、それはな。」
と、フランに断ろうとしたとき、ふとレミリアの口元がニヤッとつり上がっているように見えて嫌な予感がした。
「そうよフラン、叶夢は私の執事になるの。けどフランの執事でもあるのよ。だからたくさん遊んでもらいなさい。」
「やったー!!」
…的中した。レミリアのやつめ、フランを使うなんて卑怯すぎるわ。こんな輝いてる笑顔してたら断るに断れないじゃないか。これじゃやるしかないじゃん。
「はぁ、わかったよやるよ執事。」
「あら、意外とすんなり受け入れるのね。もっと粘るかと思ったわ。」
「ただし!五日間だけならな。」
「十分よ、それじゃこれからもよろしくするわ、叶夢。」
「よろしく!叶夢お兄さま!」
「覚悟しなさいね、叶夢。」
「う、うん、よろしくね。」
しかしなぜ俺が執事になれって言われたんだろう。けど決まっちゃった事は取り消せないし約束事は守るタイプだし、しっかりやらないとだよなぁ。
「それじゃ早速着替えてもらうわ。咲夜、案内させてあげて。」
「かしこまりました。こっちよ叶夢。」
「え、もうやんの?今からやんの?1日くらい休ませてくれたっていいんだよ?」
「何言ってるのよ叶夢、貴方三日もずっと寝てたのよ。」
「えっ!?」
俺そんなにも寝てたのか…。これは結構迷惑をかけてしまっているようだし精一杯執事の仕事をやらないとだな。
咲夜に案内されてきた部屋は好きに使っていいらしくてベッドまでついている。外の世界の俺の部屋よりも広くて豪華だなんて、ここで暮らしたいくらいだと思わせた。咲夜が出してくれた執事服に着替えて身だしなみを整えて咲夜にチェックしてもらう。着替え終わった姿をレミリアとフランに見てもらうと2人とも固まっていた。
「どうかな…っておーい?どうしたー2人とも?」
「ふ、ふーん結構似合ってるじゃない。」
「叶夢お兄さま凄くカッコイイ!」
「そ、そうかな?少し照れるな。」
どうやら俺の執事服は結構似合っていたそうでかなりの高評価だ。フランなんて俺の腕に抱きついて来てるし。
「あとは言葉遣いね、主と従者なんだからそこもちゃんとしくちゃね。」
「分かってるよレミ…ごほん。レミリアお嬢様、これでよろしいですか?」
「えぇ、大丈夫そうね。」
「ねぇねぇ!フランにも!フランにも言って!」
「分かりました。フランお嬢様。」
「えへへ〜。」
あまり、というか全くこういう言葉遣いを使わないから難しいし変な感じがする。というか変な感じしかしない。
「叶夢も執事になったことだし早速仕事をしてもらうわ。叶夢、咲夜について行きなさい。」
「えぇ〜もうや…「こほん。」」
「…かしこまりました…。」
危ない…ちゃんと執事をしないとレミリアは何してくるか分からないから言動に気を付けなきゃ怖いな。
咲夜についていったら紅魔館の庭に到着した。俺はここで何をすれば良いんだろう?
「叶夢にはこの庭を手入れしてちょうだい。主に花に水をあげたり雑草を抜いたりしてもらうわ。」
「最初の仕事がそれだな。よーし!任せとけ!」
「えぇ、あと門番が寝ていないか見ておいてちょうだい。美鈴ったら居眠りしてて困ってるのよ。」
「分かった、寝てたら起こしとくよ。」
さてと、なんだか雑用っぽい仕事をさっさと終わらせて他のことやろう…と思ったけど少し、というより結構広くね?これ俺1人で大丈夫かよ。
「はぁ、気が遠くなりそうだけどやってやるかぁ。まずは雑草から抜いていくか。それが終わったら花に水をあげて、あとは害虫でもいたら駆除しておこう。他は後回しで良いだろ。」
と計画を立ててやっていくことにして俺の初めてのお仕事が始まった。
半分くらい雑草を引っこ抜いて気付いてしまったけどこれって俺の能力でやった方が早いんじゃ?と思う。前に自分の家の周りの雑草も能力で燃やして綺麗にしたし、別の方法を使うにしてもそっちの方が効率的に良い気がする。…けど後のことをよくよく考えると残った灰をどう処理すればいいか分からないし庭を荒らしたくないし、なにより使えるには使えるけどまだ使いこなせていないからやめた方がいいな。
「あと少しだし頑張るか、能力に頼りっぱなしは良くないし。」
三日間も寝ていたし身体がなまってそうだから体力回復のつもりでやっていこう。そして休もう。
執事って良いですよねー何か恰好良く思える。
誤字脱字がありましたら報告待ってます。
それではまた。
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19話 執事の仕事2
11月は忙しくて…
12月は大丈夫と信じたいので頑張ります
「ふぅ〜やっと終わった〜。」
雑草を抜いたり花に水をあげたりして庭の仕事は終わった。そういえば、咲夜から門番の様子を見てほしいと頼まれていたのを思い出した。
門番の名前は美鈴といっていつも居眠りをしているらしい。そういえば、俺と霊夢と魔理沙で来た時も立ちながら眠ってたっけ?異変を起こしていた側が警戒しないでよく眠れていたな。門を飛び越えて様子を見ると案の定寝ていたから名前を呼びながら揺らして起こしてみるか。
「おーい、めーりーん!起きろー!」
「んむぅ…もう食べれませんよぉ…咲夜さん……。」
「立ちながら夢見て寝てるなんて凄いな。何しても起きなさそうだし知らせてくれって言ってたから咲夜に報告だな。」
「さてとー咲夜はどこかなー、館に入ったはいいものの広くて分からないな。とりあえず適当に探してたら見つかるかな。」
にしても門番の仕事は楽そうだな。どうせなら楽したいし咲夜に言って門番の仕事させてもらおうかな。
「あら、聞き慣れない足音かと思えばやっぱり叶夢だったのね。」
「うお!?」
「あ、驚いたかしら?ごめんなさいね。」
「いや、大丈夫だよ。けどなんで分かったんだ?」
「あぁそれはね、この館って外観の割には中が広いじゃない、それは私の時間を操る能力を応用して空間も操ることが出来るのよ。時間を速めたり遅くしたりして、空間を小さくしたり拡げたりできるの。それと同じように時間を操って物音が響く空間を小さくしているのよ。」
「う、うーんなんか凄い難しいな。」
「こんなの慣れれば大丈夫よ。」
能力ってそんなことも出来るのか。この館は外観でもかなり大きいぞ。それなのに中はさらに広いなんて体がもたなそう。
「それはそうと、私に何か用でもあるのかしら?」
「あぁそうだ、庭の仕事終わったんだけど何をすれば良い?」
「あらありがとう。そうね、確かパチュリー様が図書館を掃除してほしいと言っていたから行ってみたらどう?」
「図書館か、何か面白そうな本でもあったらいいな。分かったありがとう。あ、それと美鈴が居眠りしてたよ。」
「分かったわ、報告ありがとうね。」
そう言い咲夜と別れ図書館へ向かう。
図書館の前まで来て咲夜に門番の仕事をさせてもらいたいと言うのを忘れていたのを思い出す。さっき別れたばかりだけど咲夜を呼ぼうとした時…
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
外、門の方から中にいても届く悲鳴が聞こえてきた。何事かと見に行くとさっきまで寝ていた美鈴の額にナイフの先っちょが刺さっていた。面白い格好で倒れている美鈴の額からナイフを抜いてあげる。そんな美鈴を見て。
「門番の仕事をしてみたいなんて言わなくて良かった…。」
そうつぶやきながら図書館へと向かう。
______________________________
図書館の中に入ると埃っぽい匂いが充満していた。こんなところにいれば嫌でも病気になりそうな場所だな。そんなことを思っていると目の前に異変の時の悪魔が本を積んで歩いていた。
「ちょっとそこの君、半分持とうか?」
「えぇ?あ、ありがとうございます。えーと、異変の時の方。」
「お?知ってるの?」
「あ、えっと金髪の魔法使いさんと一緒にいたのを見ていましたので。」
「あ、だからか。」
とりあえずこの人について行ってパチュリーの所に案内してもらおう。もしかしたら行く場所が目的地だったりするし。
「あ、そうだ。君の名前は?俺は桜庭叶夢、よろしく。」
「ご丁寧にどうも、私は小悪魔っていいます。」
小悪魔?それって種族とかの名前じゃないのか?
「名前が小悪魔?って顔をしていますね。私って名前がないんですよ。」
「あぁごめん。失礼だったよね。」
「いいんですよ、私はパチュリー様の使い魔ですし。それにあの人のことを尊敬していますし、そばにいられるのならどんな呼び方でも嬉しいです。」
「へぇ、小悪魔はパチュリーのことが好きなんだな。」
「はい!」
主を尊敬している従者がいるなんてパチュリーも恵まれているな。紅魔館気に入ったかも。
「パチュリー様ー!お持ちしましたー!」
「ん、そこに置いといてくれる。」
「分かりましたー!」
「よっこいせ。ふぅー。」
「あら貴方、まだいたの?…しかもその格好。」
「はは、レミリアに捕まっちゃってね。」
「貴方も大変ね。」
「まぁ、面白いからいいけどね。ところで掃除してほしいところがあるんだって?」
「本棚の埃や塵をまとめてちょうだい。この図書館の全部。」
「え、これ全部俺一人で?」
「本を傷めつけないようにね。全部大切なものだから。」
「まかせとけって、これでもラノベたくさん読んでるから。」
「…?まぁとにかくよろしく頼むわね。」
さぁてこれ全部一人で頑張りますか。とはいうもののホントに広いな。まさかここも咲夜が?パチュリーの魔法かもしれないか。今日中に終わるかなーこれ。
仕事や勉強って辛いですよね。楽していきたい。
前回のサブタイトルを「執事の仕事1」に変えさせてもらいます。
誤字脱字、感想等お待ちしております。
それではまた。
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