ヤンデ"レン" (狩宮 深紅)
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素敵な彼女

僕には少し変わった(素敵な)彼女がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の名前は小比類巻香蓮。北海道出身で今はお嬢様大学に通っている自慢の彼女だ。

僕自身も身長には自信があったが彼女の方が数センチ高く、モデルの様にスラリと伸びた手足に、とても無駄のない女性的な肉付き。背中まで伸びた黒い艶やかな髪は彼女の魅力を1層引きたてている。

それだけではなく、彼女が忙しい時以外に毎日作ってくれる料理も、付き合い始めた頃に比べて格段に上手くなり僕はもう胃袋を掴まれたと言っても過言ではないだろう。

 

 

そんな彼女だが、僕のことを普段からところ構わず好意を向けてくれるから、一緒に外出するときはいつも周囲からバカップルを見る目を向けられる。

付き合い初めたころ、1度恥ずかしいから少し控えめにしてくれるように頼んだことがある、そうしたら彼女は。

 

「どうして?何を恥ずかしがることがあるの?私は○○のことがこの世で1番好きで、貴方は私の彼氏。○○に変な虫が着く間もないくらい見せつけてあげればいいんだよ。それとも、○○は私の事好きじゃ無くなっちゃたの・・・?」

 

涙目でこちらを見つめてくる彼女に僕はもう白旗を挙げるしかなかった。

 

まぁ、これに関しては僕自身も彼女のことを好きになってしまったから惚れた弱みということで今はもう受け入れている。

 

 

 

 

だけど1度僕が大学で同じゼミ内の女の子に飲みに誘われることがあった。

その女の子もとても魅力的ではあったが、香蓮の方がもっと魅力的であるため、彼女がいるからと断ったのだが、なかなか諦めては貰えず困っていた所に香蓮がたまたま通りかかった。

 

香蓮は僕と女の子を見ると、ニッコリと笑い女の子の手を掴んだ。

 

「痛っ、ちょっと!私は○○さんに用があるんですけどー。それにあんた誰?」

 

「そういう貴女こそ誰?何様のつもり?わたしの彼氏になんの用かな?」

 

この時点で香蓮は今すぐにでもこの生意気な虫を首を絞めて殺してやりたかったが、そんなことをしたら○○と一緒に居られなくなるため、理性で必死に堪えていた。

 

「ふーん、あんたが○○さんの彼女ー?顔はいいけど、私の方が可愛いわね。ねぇ、○○さ〜ん。彼女さんなんか放っておいて一緒に飲みに行きましょうよ〜。もしきてくれたらぁ私のこと好きにしたって・・・。」

 

そう言って女の子は手を掴まれていない手で胸元を少し開け僕に見せてくる。

 

その瞬間、香蓮は女の子の頬を平手でぶった。

 

 

───パチィン!

 

という音が響くと、女の子はいきなりぶたれたことに呆けてしまい、動けずにいた。

 

 

そうすると、香蓮は僕の手を引っ張り、僕と香蓮はその場から去った。

まぁ、これだけで終われば少し嫉妬深い女の子とその彼氏で終わったかもしれない。

だが、香蓮は僕を引っ張り、自分のマンションに連れ込むと、玄関で僕を押し倒した。

 

「○○。○○がいけないんだよ?私という彼女がいながら他の女とあんなに近くくっつくなんて・・・!今日は私も疲れてるし辞めておこうかなと思ったけどやっぱり予定変更。今日は寝かさない、他の女なんて目に映らないくらい私のことを○○に焼き付けるんだから!」

 

僕はその日、香蓮に言葉通り寝させられず、それどころかその次の日の昼まで搾り取られた。

 

結局その日は大学を休まざるを得なくなり、その日も彼女のマンションに泊まることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他にもこんなことがあった。

 

香蓮の友人である篠原美優さんにであった時のこと。

僕が香蓮マンションに遊びに行くと、香蓮と僕が使う以外の女性物の靴があったことに少し驚きながらも中に入ると、香蓮程では無いものの、世間一般的に言えば美人の部類に入る女性が遊びに来ていた。

 

───えーと、初めまして。香蓮の彼氏の○○です。

 

「あ、初めまして〜。私はこひーのマブダチやってる篠原美優でーす。ふむふむ、顔は合格だねぇ。身長もこひーと同じくらいで良し。おぉ、少し前まで彼氏いない暦=年齢だったこひーがこんなにいい彼氏を見つけるなんてやるじゃないの〜。」

 

「もう、そういうのは辞めてってば。それに直ぐに男を見つけては別れてるみゆには言われたくないよ。○○もここに座りなよ。ずっと立ってるのは辛いでしょ?」

 

そう言われ、僕は香蓮の横に座ると、香蓮の継いでくれた飲み物に少し口をつける。

 

──篠原さんと香蓮はいつからの付き合いなんですか?

 

「篠原さんなんて堅苦しい呼び方はしなくていいって。こひーと同じで、みゆって読んでよ。」

 

──分かりました美優さん。

 

「んー、まぁいいっか。んー、こひーとの付き合いかー、多分小学校のころだね。香蓮ってばその頃から身長高かったからねー。」

 

「むー、みゆ、本気じゃないことは知ってるけどあんまり言うとみゆでも怒るからね。正確には幼稚園は違ったけど近くに住んでたから良く遊んでたかな。」

 

──なるほど、そんなに長い付き合いだったとは・・・。

 

「はっはーん?もしかして嫉妬しちゃった?そうだよーこひーとの付き合いは○○さんよりも長いんだぜー。」

 

──いえ、嫉妬という訳ではなく香蓮にも親友と言える友達がいて嬉しいのですよ。

 

「な・・・。○○さん。もしかして心までイケてる感じ?ねぇねぇ。こひー、一日でいいから最近振られた私のためと思って○○さんを貸してくれない?ま、冗談だけd───「みゆ?」──ひえっ・・・」

 

「少し、向こうでお話しよっか。」

 

「い、いや。冗談、冗談だって。い、嫌だなーこひー私達親友だろ?冗談の1つや2つ───「しよっか。」──・・・・はい。」

 

「○○、少し待っててね。少し、この親友にお話しないといけないから。大丈夫、そんなにかからないから。」

 

そういうと、香蓮は美優さんを別室に連れていき、リビングには僕だけが残された。香蓮の顔は笑ってはいたが、目は全く笑ってはおらず、俗にいうハイライトが消えている、という状態だった。

 

 

 

 

後に香蓮式お話を聞かされた篠原美優ことフカ次郎はこう語った。

 

「いやー、もし、私がこひーの親友じゃなかったら今頃私はこひーに殺されて死んでいたね。正直言ってALOであの〈絶剣〉と対峙したときよりも怖かったわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ、こんなふうに少し愛情表現が他人より少し変わっている僕の彼女だけど可愛い面も沢山ある。

 

あれはそう、僕と香蓮が付き合い初めて2ヶ月程たった頃の話だ。

 

僕は最近流行りのVRMMOに必要なアミュスフィアをお金をコツコツ溜めやっとの思いで買うことができたのである。最初は香蓮がお金を出そうとしていたが、流石に彼氏として彼女にそこまで甘える訳にはいかない、と断りを入れた。その時は少し不満げな顔をしていたので今度また別のことで頼らせてもらうと言ったら、機嫌が治ったので良かった。

 

その日はデビューということで、このVRゲームというジャンルを薦めてくれた大学の友人と一緒にやろうとしていたが、直前にその友人が急遽予定が入ったため、初プレイはまた今度ということになった。

 

「残念だったね○○、ずっと前から楽しみにしてたけど・・・。ごめんね、もし、私がやっていたら一緒にできたのに。」

 

──香蓮が謝ることは無いよ。それにゲームはいつだってできるさ。それよりもせっかく時間ができたんだ。良ければこれから一緒に食事に行かない?

 

「え!?本当に?嬉しいよ!」

 

──まぁ、予約も何もできていないし、お金もそこまであるわけじゃないから近くのファミレスとかになっちゃうかもしれないけど。

 

「ううん、大丈夫。それにお金なら私が出すよ。それを買う時に別のことで頼るって言ってくれたでしょ?ね?今回は私に任せて。」

 

──分かった、香蓮にそう言われると僕は何も言えないね。

 

「ふふ、ありがとう。ついでにお店も私が選んでいい?」

 

──もちろん。君の行きたいお店でいいよ。

 

「○○ありがとう!それじゃあ早速行こう♡」

 

そうして僕と香蓮は少しおしゃれをした後、香蓮が選んだお店に向かった。

 

 

 

 

 

「着いた、ここが私が○○と行きたかったお店だよ。」

 

そういう香蓮と僕の前にあるのは都内にあるそこそこ有名なレストランだった。高級レストランではないが、僕みたいな裕福ではない人間がなかなかくることのないお店だった。

 

──香蓮、ここってそこそこ高いレストランじゃないか?

 

「うん、そうだよ。でも私が全部出すから気にしないでね。」

 

──そういう訳には・・・。

 

「もう、いいからいいから。」

 

そう言って香蓮は僕を無理やりお店の中に入れる。

 

中に入ると、店員さんが"いらっしゃいませー。"という声が聞こえ、今更ここから出ることがはばかられてしまった。

 

「2名様でよろしいでしょうか?」

 

「はい、大丈夫です。」

 

20代後半程の男性のスタッフがこちらを尋ねてきて、このような場に慣れておらず、緊張している僕の代わりに香蓮が答える。

 

「かしこまりました。ではこちらの席にどうぞ。」

 

そう言ってスタッフさんが席に案内してくれた場所は窓際の外の景色が見える場所だった。

 

香蓮と僕は席に座ると、メニューを見る。

 

「○○は何を頼むか決まった?」

 

──うん、僕はこのディナーセットAにしようかな?

 

僕が選んだのは比較的メニューの中で安いAセット。いくら香蓮からお金を出して貰えるとしても、ここだけは譲れなかった

 

「ふふ、もう少し高いのを頼んでもいいんだよ。まぁ、○○がそれにするなら私も同じものにしようかな。」

 

香蓮は席のテーブルの備えつけられているベルを鳴らす。そうすると10秒もしないうちに中からスタッフさんがこちらにくると、メモ用紙を取り出した。

 

「お待たせしました。ご注文はお決まりですか?」

 

「このディナーセットAを2つお願いします。」

 

「かしこまりました。」

 

 

そして、五分もしないうちに料理が運び込まれ。

僕と香蓮は少し早めのディナーをすることになった。

料理はこのレストランの中でも比較的安いものを選んだつもりだったのだが、想像以上に美味しかったく、今度は、お金を貯めて僕が香蓮にこのお店に連れてこようと心の中で決意した。

 

 

その後、レストランを後にした僕と香蓮は、香蓮のマンションに行くことになった。

 

「ただいま。」

 

──おじゃまします。

 

部屋の中に入ると香蓮はベッドに座ると、横に来いと言うように、横をぽんぽん叩いていた。

僕はそれに応え、香蓮の横に座ると香蓮はいきなり口づけをしてくる。

 

「ん、んむぅ、ん、んん。はぁ。」

 

──今日はいつもより激しいね。

 

「だって、ほんとなら今日○○はずっとゲームに入り浸って私のことを見てくれないって思ってたから・・・。」

 

──大丈夫、僕も君のことは第1に考えているから。香蓮が言ってくれればいつでも辞めたよ。

 

「それでも・・・。私は○○が男ならいいけど、他の女と一緒にいるって考えたら私、私、いても立っても居られなくて・・・。重い女ってのは美優からも言われてるから何となく理解できているつもりなんだけど。やっぱり○○が他の女の子と仲良くしているのをみると感情が抑えられなくなって、、だって、○○はこんなデカ女な私を受け入れて、抱きしめてくれた大切な人だから・・・。」

 

──香蓮。

 

「え?つぅっ!?」

 

俯いていた香蓮に優しく声を掛けてこちらを向いたところに軽くデコピンする。

 

──自分を卑下しないでっていつも言ってるよね。僕はそうやって泣いている香蓮よりも笑っている香蓮の方が好きだよ。僕も香蓮を泣かせてしまうことが無いように頑張るからさ、ね。笑って?

 

「っ〜〜〜もう///○○がそういうのなら分かったよ。・・・でもさ、やっぱり少し不安かな。だから、私を思いっきり抱きしめて。」

 

──分かった。

 

僕は香蓮にそう答え、腕を彼女の肩に回し、ぎゅっと抱きしめる。先程のキスに加え香蓮のとてもいい匂いが鼻をくすぐり、悲しいかな男の性が少し反応してしまったが何とか理性で押し留めた。

 

だが、香蓮はそれを見逃さなかった。

 

「○○、私に反応したくれたんだ。とっても嬉しいよ。」

 

彼女はそういうと抱きしめられた状態で僕をベッドに押し倒し、僕に覆いかぶさると、もう一度僕にキスをした。

今度はさっきのような激しいキスではなく。今度は軽く何度も啄むようなキス。

 

「しよっか。」

 

──香蓮が望むのなら。喜んで。

 

 

 

そのあとはどちらかが気絶するまでお互いを求めあった。いや、どちらか、と言うより結局僕が先に気絶倒れてしまった。それでも翌日の朝に安らかな顔で眠っている可愛い香蓮の顔を見れたことは良かったことだ。

 

 

 

もう一度言おう。

僕にはとても愛おしい(素敵な)彼女がいる。

 




好評だったら続く・・・。


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夢中な彼女

続きました。

物語の進行上、原作キャラの年齢を少し上げさせて貰いました。
ここはどうか二次創作ということで許したくだされ・・・。

さらに、香蓮ちゃんの身長へのコンプレックスは主人公のおかげで、原作よりも緩和されております。


僕には歌手に夢中な(素敵な)彼女がいる。

 

 

 

 

 

 

 

彼女の名前は小比類巻香蓮、僕が香蓮の彼氏になる前から神崎エルザという女性シンガーソングライターのファンである。

 

今回話すのは僕が香蓮と付き合い始めて最初の神崎エルザのライブをきっかけに起こった出来事だ。

 

 

 

 

 

△月✕日

 

とある休日、僕は香蓮のマンションに招かれ、二人きりでの休日を楽しんでいた。そこそこなインチを持つテレビで少し前に流行ったアクション映画を2人で観ていた。

物語は佳境を超え、クライマックスが終わりエンディングが流れ出した。

 

「んんー!はぁ。あー、面白かった。これだけ面白かったら映画のスクリーンで観たらもっと凄かっただろうね。○○はどうだった?」

 

──うん、特に主人公が装備を整えて大きな銃を肩に担ぎながら敵の潜んでいる所に行くシーンの迫力が凄かった。

 

「あ、分かる分かる!最後に昔の上司に、残っているのは死体だけです。っていって助け出した娘と去るシーンも良かったよねー!やっぱりシリーズものと言うだけあって過去作のオマージュがあって鳥肌がたっちゃったよ!」

 

──ところで映画終わっちゃったけど次はどうする?

 

「あ、そうだね。うーん、とりあえずエンディングが終わってから考えようかな。時間はたっぷりあるし、それにこの映画のエンディング曲は神崎エルザが担当しているから最後まで聴いておきたいんだよねー。」

 

──神崎エルザって前に香蓮が好きだって言ってた歌手さんだっけ?

 

「そうそう!○○に出会うまでは彼女の歌が私の心の支えだったんだよね。あ、だけど、今は○○が私の全てだから嫉妬しちゃ駄目だよ?○○がもし神崎エルザのファンを辞めろっていったら少し惜しいけど辞めるくらい○○のことが大好きだから、ね♡」

 

──僕はそんなことは言わないよ。僕も僕の幸せは、君の幸せだから。それに、神崎エルザさんの曲を聴いているときの香蓮の顔はとても可愛いから感謝はすれこそ嫉妬はしないよ。

 

僕がそういうと香蓮は少し複雑そうな顔をする。

 

「・・・まぁ、いいか。○○は神崎エルザに迫られてもデレデレしちゃダメだからね?」

 

──大丈夫だよ。僕は香蓮一筋だから。僕にとって香蓮以上に魅力的な女性はいないよ。例えそれが世界的に有名なモデルや女優さんだとしてもね。

 

そう言って、それを証明するためにいつもは香蓮から迫ってくるキスを今回は僕から香蓮の唇を塞ぐ。

 

勇気を出してやってみたのだが、香蓮は少し驚くだけで直ぐに目を閉じてキスに応じてくれた。

 

「───んむぅ、ん。ふぁ、○○からしてくれるなんて・・・嬉しい。それに、今のでスイッチ入っちゃった。責任、とってよね♡」

 

──あはは・・・。お手柔らかに、ね。

 

 

結局その後、香蓮のスイッチがoffになるのに日が沈むまでかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

昨日は香蓮のマンションに泊まり、置いてある着替えを着て大学に行くことを香蓮に話すと喜んで泊めてくれた。恐らく何も言わなくても香蓮ならば泊めてくれそうだが、そこはきちんと話し合って筋を通すべきだと僕は考えている。

 

 

──おはよう香蓮。

 

「あ、おはよう○○。意外と起きてくるのが早かったね。朝ごはんもう、できてるよ。」

 

食卓の方を見るとトーストとハムエッグ、サラダにコーヒーといった洋食のモーニングが用意されていた。

 

僕は席に着き、香蓮が席に着くのを待ちながら昨日読み残してい本を読む。数分もしないうちに香蓮も席に着くと、僕も本をしまいお互いに手を合わせ食事の挨拶をする。

 

「いただきます。」

 

──いただきます。

 

 

 

 

 

食事後、僕が大学に行くための準備をするために1度家に戻ろうとしていたときだった。

香蓮が何だかそわそわしており、携帯をいつもより高い頻度で見ていた。

 

──香蓮どうしたんだい?気になることでもあった?

 

「あ、○○えーとね。昨日言ってた神崎エルザの事なんだけど、今日は神崎エルザのライブのチケットの当選発表日なんだ。当選倍率が高いから当たるか不安で・・・。」

 

なるほど、そういうことだったのか。僕にもそういう経験はあるため香蓮の気持ちはよくわかった。

 

──気休めになるか分からないけど、香蓮が当選するように僕も願っておくよ。

 

「ふふ、ありがとう。○○がそう言ってくれたから安心できるよ。」

 

──良かった、それじゃあ行ってきます。

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

──あ、そうそう1つ忘れてた。香蓮少しいいかな?

 

「どうしたの?」

 

そう言ってをこちらに手招きし、近づいてきた香蓮に顔を近づけると頬に軽くキスをする。

 

「え?あ、ど、どうしたの急に?」

 

今回は流石に驚いたのか狼狽えてくれる香蓮に少し喜んでしまう。

 

──え、と。おまじない、かな?やっぱり言葉だけじゃ足りない気がしたから。それじゃあ今度こそ行ってくるね。

 

香蓮は言葉を返してくれなかったが、僕自身も自分のした行動が少し恥ずかしくなってしまい、逆にそれが良かったとおもう。

 

 

 

 

 

 

 

 

○○が玄関から出ていった後の小比類巻香蓮は・・・。

 

「・・・やばい、ちょっと濡れちゃった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

あれから時間が経ち、午後の講義も後1時限という頃になっていた。

 

携帯からLINEの着信音が鳴り、誰かな?と思って確認すると、送り主は香蓮であった。LINEを開き、文章を確認すると文章と一緒に1枚の写真が貼られており、そこにはライブチケットの落選メールの写真が貼られていた。

 

『落選しちゃった・・・。』

 

『──残念だったね・・・。何か僕にできることはあるかな?』

 

『慰めて。』

 

『──分かった、そっちに行くね。』

 

よっぽどきているのか、香蓮から女性関係以外でストレートに表現してくるのは珍しいためこれは緊急性を要するな、と思い。

 

出席日数も足りているため、欠席しようと思っていたときだった。

 

「どうしたぁ?○○、そんな張り詰めた顔して。」

 

そう言って話しかけて来たのは以前僕にVRゲームを勧めてくれた友人、七海透だった。

 

──あぁ、透か、ちょっと彼女がライブチケットに落選したみたいでね。悪いけどノート取っておいてくれないか?借りはちゃんと返すから。

 

「それはいいけど。ちなみになんて言うアーティストのライブなんだ?」

 

──神崎エルザって言う女性のシンガーソングライター。

 

「はぁぁ、俺はお前の彼女のことを知ってるが○○も彼女に甘すぎだぞ。だがまぁ仕方ねぇ、分かったノートは任せとけ。返しはそうだな・・・今度昼飯奢ってくれよ。」

 

──それくらいならお安い御用さ透。ありがとう、それじゃあ。

 

僕は透にそう言うと、香蓮が通っている大学に向かった。

 

 

 

 

香蓮の大学に着くと、明らかに落ち込んでいる雰囲気の香蓮がいた。

 

──香蓮、大丈夫・・・なわけ無いよね。ほら、こっちにおいで一緒に帰ろう?

 

「うん、ありがとう○○。」

 

そこから、香蓮のマンションに着くまで彼女は絡めた腕を離すことはなかった。・・・僕に何かできることはないだろうか。かといってネットオークションなどで転売屋から高額で売られているチケットを買っても香蓮は喜ばないだろう。

 

 

そう言えば・・・これもあまり香蓮は喜ばないかもしれないけどあの人に聞いてみるか。

 

その後、香蓮を寝かしつけた僕は携帯を取り出し、ある人に連絡を入れた。

 

3コールもしないうちに通話が繋がった様で、もしもしーという声が聞こえる。

 

──お久しぶりです枳殻虹架(からたちにじか)さん。今時間は大丈夫でしょうか?

 

『そんなに畏まらなくてもALOみたいにレインでいいよ。時間は大丈夫だけど、どうしたの?』

 

──実はかくかくしかじかで・・・。、

 

『なるほど。それで、神崎エルザさんのチケットを譲ってくれそうな人は居ないかと。』

 

──はい、無理のない範囲で構わないので良ければ協力して頂けませんか?

 

『分かった。こっちでも探してみるね。』

 

──ありがとうございます。借りは近い内に返しますので・・・。

 

『そう?それじゃあ今度ALOでクエスト手伝ってくれない?○○の彼女さんだってそれくらいは許してくれるでしょ?』

 

──・・・分かりました、では見つかった際はALOでまた詳しい話をしましょう。それでは失礼します。

 

『はーい、ばいばーい。』

 

そういうと枳殻さんとの通話が切れる。

 

──これで何とかなるとは思っていないけど少しでも希望があるかもしれないから試してみないとね。

 

電話が終わり、香蓮の方をみると、いつの間にか起きていた様でこちらをじっと見つめていた。

 

──あ、香蓮、ごめんね起こしちゃったみたいで。

 

「女の人の声だった。」

 

──え?

 

「今の電話先の人、女の人でしょ。」

 

──あはは・・・。よく分かったね。だけど浮気はしてないよ。さっきの人はゲームで知り合った人だし、僕が彼女持ちだってことも知ってる人だから───。

 

安心して大丈夫だよ。僕がそう言い切る前に香蓮が僕をベッドの中に引きずり込む。

 

「忘れたの?○○に近づく悪い虫たちは彼女持ちだって知っていても近寄ってくるの。本当なら○○に私以外の女と電話することだって嫌だけどそれは、○○が困るから仕方なく許してるんだよ。いくらVRゲームの中だっていや、VRゲームの中だからこそ○○に近寄ってくることだって・・・!」

 

──・・・心配させてごめんね。その代わりと言ってはなんだけど今日は香蓮の望むことならなんでもするよ。

 

「ほんとに?」

 

──うん、ほんとだよ。

 

「なら今日もうちに泊まって、半径1メートルから離れちゃやだ・・・。」

 

涙目でこちらに訴えかけるように言う香蓮に抱きしめ了承の意を伝える。

 

この日は本当に最後まで香蓮の1m以上離れることはなかった。

翌日、スッキリとした表情を浮かべる香蓮を見て、僕は少しだけだけど安心することができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

それから約1週間たった頃の夜だった。

 

僕は七海を含めた何人かでALOをプレイしており、解散しようかという話がでていた。各々がログアウトしていたとき、フレンドのレインさんからのメッセージが届いた。

 

『朗報!神崎エルザのライブチケットを譲ってくれるかもしれない人見つけたよ!』

 

『──本当ですか!?良ければ今からレプラコーン領まで向かいましょうか?』

 

『あ、いいよいいよ。クエスト攻略でインプ領近くまで来てるからそっちに行くね。』

 

『分かりました。では入口で待ってます。』

 

 

仲間達に別れを告げ、インプ領入口で待っていると5分もしないうちにレインさんがやってきた。

 

「こんばんは、悪いわねこんな時間に。」

 

──いえ、こちらこそ女性なのにこんな時間まで起きさせてしまって申し訳ありません。

 

レインさんに頭を下げ、僕は話を切り出した。

 

──ところでチケットを譲ってくれそうな方とはどなたでしょうか?ぜひお話をしたいと思っているのですが・・・。

 

「あぁ、その子ならそこにいるわ。シリカ(・・・)、そろそろ出てきていいわよ。」

 

「は、はい!初めまして、シリカです!(い、イケメンさんだーー!!)」

 

近くの木の影に隠れていたのか、ケットシーの小柄の女の子とペットモンスターの小さな竜がいた。小柄な女の子に寄り添う小さな青い竜どこかで聞いたことがあるような・・・。

 

──もしや、竜使いシリカさんですか?お目にかかれて光栄です。

 

「あ、いえ、一応そうですけど、その二つ名はあまり好きではありませんので普通にシリカと呼んでください。」

 

──そうでしたか。分かりました、よろしくお願いしますシリカさん。

 

「はい、こちらこそよろしくお願いします!」

 

僕とシリカさんそう言ってはお互いに握手を交わす。

 

──急かすようですみません、がシリカさんが神崎エルザさんのチケットを譲ってくださるのですよね。

 

「はい、ライブの日と、どうしても外せない用事が被っちゃって、そんな時にレインさんから声をかけていただいたんです。」

 

──本当にありがとうございます。これで香蓮が喜びます。

 

そう言って僕は再びシリカさんの手を握り、深く頭を下げる。

 

「ひゃぁ!?そ、そんなに頭を下げないでください。困っている時はお互い様です!」

 

──そう言って頂けると幸いです。

 

「・・・もう!二人ともいつまで手を繋いでいるの!○○さんも彼女さんに怒られるよ!」

 

レインさんがそう言って、僕とシリカさんの手を無理やり剥がす。

確かにそうだ、香蓮はこういうことに関してはエスパー並の感知力を持っている。香蓮には不機嫌な顔より笑っている顔の方が好きだしこれ以上は香蓮を悲しませてしまうかもしれない。

 

「あ、ごめんなさい。あれ?○○ってリアルネームのことですか?。」

 

──あぁ、だけど変哲のない名前だから気にしてないよ。○○なんて日本中探せばどこにでもいるからね。

 

「ふふ、確かに。それじゃあチケットの受け渡しはどうします?リアルで会いますか?」

 

──いや、さっき聞いたかも知らないけど僕には少し一般の人より嫉妬深い彼女がいてね。そういうのに敏感だからリアルで会うのはやめた方がいいかな。

お二人はリアルで知り合っていますか?私とレインさんはお互いにリアルで面識があるので最悪、香蓮と一緒にレインさんの方に向かうことができますが・・・。

 

「あ、それなら大丈夫だよー。私とシリカはリアルであったこともあるしそうした方がいいかもね。シリカもそれでいい?」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「それじゃあチケットを渡す日は一旦私とシリカで決めてそれから大学で渡すね。」

 

──分かりました。それでお願いします。

 

「それじゃあ解散ー!」

 

 

レインさんのその言葉を最後に僕とシリカさん、レインさんはALOからログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

後日、僕は枳殻虹架さんからライブのチケットを受け取り、シリカさんにお礼のメールを送った。

 

そして、その日の夜。

 

僕は香蓮のマンションにサプライズで訪ねた。

 

「どうしたの?○○、私としてはいつ来てもらっても嬉しいけど、連絡を入れないなんて珍しいね。」

 

──これ、香蓮に渡したくって。

 

そう言って僕はカバンの中に入れていた神崎エルザのチケットを香蓮に見せる。

 

「え、え、ええ!?そんな、これって○○。これってまさか!神崎、、エルザの・・・ライブ・・・チケットぉぉぉ・・・・うわぁぁぁん!」

 

香蓮はよっぽど嬉しかったのかその場で泣き出してしまった。そのまま僕のところに飛び込んできたのでそれをしっかりと受け止める。

 

──あ、えっと。とりあえずマンションの中に入ろうか。

 

 

 

 

 

 

その後、香蓮が泣き止むまで頭を撫で続けた。

 

 

 

「ぐすっ○"○"、どうやってこれを手に入れたの?」

 

──ALOで知り合った人に譲ってもらったんだ。

 

「・・・スンスン。香水の匂い。それも、女性もの。ねぇ、○○。これを譲ってくれたのはどんな女?」

 

──あ、えーと。持ち主のリアルは分からないんだけど、その人とから仲介として渡してくれたのは僕の大学の知り合い、、です。

 

そういうと、香蓮の目からハイライトが消え、僕に迫ってくる。

流石に香蓮の為とはいえ、やっぱり女性から受け取るのは不味かったのかな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ま、いいや。私のためにしてくれたんでしょ。○○が他の女と必要以上にくっついたことは少し嫌だけど。私のためにしてくれたんだもん。怒るのはおかしい話だしね。ありがとう○○、大好き。」

 

そう言って香蓮は僕の唇を彼女の唇で塞いだ。

 

その時の彼女の笑顔はとても眩しく、この笑顔が見れただけでもレインさんに頼ったかいがあったと思った。。

 

「ねぇ、○○。ALOってPKありなゲームなの?」

 

ふと、香蓮が世間話をふるように気軽に言ってきたので思わず知っていたことをそのまま答えてしまった。

 

──え?うん。一応PKもほかのゲームに比べては激しくないけど推奨はされているかな。

 

「・・・分かった。私もALOする。」

 

──え。

 

 

 

 

その後、ALO内にある1人のプレイヤーに近づく女性プレイヤーだけを狙ってPKする謎のシルフのプレイヤーが現れることはこの時誰も知らない。

 

 

 




意外と好評だったので続きました。

一応参考のためにアンケートと活動報告を設けてやって欲しいシチュエーションなどを募集します!気軽に答えていってください!


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弱気な彼女

7月24日22時頃。
( ̄∀ ̄)〈よーしお気に入りとか増えてるかなー?

お気に入り約320超え

(°д°)

(ーー゛)〈は、はは、そ、そういうこともあるよね。さてとランキングでも見て落ち着くか。面白いのないかなー?

ランキング29位!!

(°д°)



2話しか投稿してないのに、お気に入りが300に一瞬だけでしたがランキングにも乗ることができたのはこれも皆さんのおかげです!
これからも精進して行きたいと思います!




僕には弱気になっても可愛い(素敵な)彼女がいる。

 

 

 

 

 

 

彼女の名前は小比類巻香蓮、僕のことに関してはエスパー並の感知力を持っていたり、少し愛情表現が変わっているし、それでいて少し抜けているところがある可愛い彼女である。

 

 

 

 

今回話すのは香蓮がGGO・・だったかな?そのVRゲームを始める少し前の出夏の来事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

◇月☆日

 

 

その日はちょうど僕が大学の講義が早く終わるので香蓮を迎えに行く日だった。

しかし、いつもなら大学から出てくる時間になっても香蓮は出てこなかった。

講義が長引いているのかな?と思い、それから10分程待ってみるがそれでも出てくる気配はなかった。

講義がまだ続いていたら申し訳ないと思いつつ、やはり心配が勝りLINEで香蓮に呼びかけてみる。それでも返信は無く、仕方なく電話をかけると5コール程で繋がった。

 

──香蓮?大丈夫かい、いまどこにいるんだい?

 

『えーと、小比類巻香蓮さんの彼氏さんですか?』

 

香蓮が電話にでたと思っていたが声の主は香蓮ではなく別の女性のものだった。

 

──はい、そうですがどちら様でしょうか?もしかして、香蓮に何かあったんですか?

 

『はい、少し前に体調不良ということで保健室に来たのですが、そのまま寝込んでしまって・・・。体温を測ったのですが38℃を超えていて・・・。』

 

っ、そういう事だったのか。香蓮が心配だ、早く迎えに行かなければ。

 

──わかりました、僕が今から迎えに行きますので、できたらで良いので香蓮に迎えに行くと伝えてください。

 

『わ、わかりました。』

 

──その言葉を聞いて、僕は通話を切る。

 

その辺にいた女子学生に保健室の場所を聞いてすぐに駆けつけると、とても辛そうな表情をした香蓮がいた。

 

──香蓮!

 

僕の声が聞こえたのか、香蓮は目を覚ますと弱々しい声で僕の声に答えた。

 

「あ・・・○○。ごめんね、心配、かけちゃって。」

 

──気にしなくていいよ。さあ、もう帰ろう。タクシーも呼んであるから。

 

「うん・・・。ありがとう。」

 

僕は香蓮を背負うと香蓮の荷物を右手で持ち、保健室を出る。

 

「あ、○○さん、手伝います!」

 

保健医さんが僕の荷物だけでも、と手伝おうとするが僕は首を振って断りをいれる。

 

──いえ、大丈夫ですよ。それに香蓮は僕の大切な彼女です。このくらい余裕です。

 

そう言って自分は香蓮を背負って保健室から出て外で待てせてしまっているタクシーに載せる。

 

──すみません、お待たせしました。

 

「いえいえ、構いませんよ。彼女さんに付いてい上げてください。どこまで送りますか?」

 

──✕✕マンションでお願いします。

 

「かしこまりました。」

 

 

運転手さんは短くそう言うと、タクシーを走らせる。

こちらの事情を察してかいつもタクシーに乗る時よりも安全運転をしてなるべく車体が揺れないようにしてくれているようで、その配慮がとても嬉しかった。

 

途中、香蓮が力は全く入っていなかったがこちらの手を握ってきたので僕はそれに答えるように優しく握り返した。そうすると少し安心してくれたのか、辛そうながらも少し笑ってくれた。

 

 

そうしているうちに、香蓮の住んでいるマンションに着いた。

 

タクシーの運転手さんにお礼と料金を渡し、再び香蓮を背負いエレベーターまで香蓮の部屋がある場所まで上がる。そして、香蓮がいつも家の鍵を入れているズボンの右ポケットに手を入れ鍵を取り出し鍵を開ける。

 

部屋の中に入り、エアコンを起動し、少しでも早く部屋を涼しくするために勢いを強くする。香蓮をベッドに寝かせ、布団をかける。

 

香蓮の額に手を当て、改めて熱を確認する。

案の定、素人の僕でも感じられる程の熱が香蓮から感じることができた。

 

 

冷えピタや、風邪薬を探してみるがそれらしきものが見当たらず、香蓮に聞こうにも熱にうなされ、無理して会話をさせるのは気が引けた。

 

だがこの時、僕はこのマンションに香蓮の姉夫婦が住んでいることを思い出した。

 

──あの人達なら常備しているかもしれない・・・。

 

そう呟いて、香蓮の個室に1度戻り、眠っている香蓮の近くに行って膝をつき、彼女の手を握る。

 

──すぐに戻ってくるから、ちょって待っててね。

 

返事はなかったが、その言葉が聞こえていたのか僕が握っている手に少し力が入り、言葉の代わりに返事をしてくれたのかな、と思った。

 

 

 

僕はすぐに香蓮の部屋を飛び出し、香蓮の姉夫婦がいる部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

香蓮の姉夫婦の住んでいる部屋に五分もかからずに到着し、インターフォンを押す。

 

すると、中から「はーい」という女性の声が聞こえると、扉が開かれる。

 

「・・・えーと、どちら様かな?」

 

──初対面なので信じてもらえないかもしれませんが、僕は○○って言います。香蓮の彼氏です。すみません、香蓮が今熱を出して寝込んでいて大変なんです!冷えピタとか、風邪薬とかありませんか!?良ければ少し譲って貰えませんか!

 

無我夢中で捲したてるように言ってしまったせいか、少し引かれてしまった様だった。

 

──あ、すみません・・・。急にこんなこと言って!でも!本当なんです!

 

「あー。おーけーおーけー。君が香蓮の言っていた彼氏ねぇ。ちょっと待っててね。」

 

そう言うと、香蓮のお姉さんは中に入って行くと、ガサゴソという音が聞こえ、探してくれていると考えると少し安心してしまった。

 

いますぐにでも香蓮のお姉さんから風邪薬等を貰い、香蓮のところに駆けつけたいが、そこをぐっと堪え、その場に留まる。

 

 

 

 

三分ほど経つと、香蓮のお姉さんが出てくるとその手には冷えピタと風邪薬と思われる錠剤が握られていた。

 

 

「お待たせ、これでいいかしら?」

 

──はい、ありがとうございます!すみません、僕はこれで失礼します、お礼は必ずします!

 

 

僕はそう言ってお姉さん夫婦の住んでいる部屋から離れ、香蓮のいる部屋へと戻る。

 

 

「いやぁ、青春だねぇ。本当なら私が行かないといけなかったのかもしれないけど。任せてみてもいいかもねぇ。香蓮もいい彼氏を見つけたもんだ。うんうん。」

 

 

 

 

 

 

 

──香蓮、ただいま。今戻ったよ。

 

僕がそう言って扉から中に入ると、ふらふらになりながらも外に出ようとしている香蓮がいた。

 

「あ、・・・○○。帰って、来たん、だ。○○にうつさない、ようにマスク、買いに行かなきゃ・・・。」

 

そう言うと、香蓮はバランスを崩してしまい、転びそうになったところをすんでのところで受け止める。

 

──香蓮!休んでなきゃダメじゃないか。それに、僕なら大丈夫。それよりも、さ。お姉さんのところから冷えピタと風邪薬貰ってきたから。もう一度休もう。僕もお粥くらいなら作れるから────。

 

部屋で休んでいよう。そう言おうと思ったが、香蓮をもう一度一人にさせたらまた、ベッドから抜け出してしまうかもしれないと考えた。

 

──少し、リビングのソファーに横になっていよう。いっぱい食べて、薬を飲んで、しっかり休めばすぐに風邪も治るよ。

 

「・・・うん。分かった。」

 

いつもより元気がないものの、香蓮は僕の言葉にそう頷くと、リビングのソファーに横になる。

 

──冷えピタ貼るね?これで少しは楽になればいいけど・・・。

 

僕はそう言って横になっている香蓮に冷えピタを貼る。

 

「ん、○○・・・。ありがとう・・・。」

 

──良いってことだよ。彼女が大変なときは彼氏が支える。当然じゃないか。

 

「ふふ、やっぱり、○○大好き。」

 

──うん、僕も香蓮のこと大好きだよ。愛してる。

 

そう言うと、赤かった顔がさらに赤くなり、そっぽを向かれてしまった。

そんな姿もまた可愛い。

 

 

おっと、早く香蓮のために食べ物を作らないと。

 

 

台所に行くと。今日の夜ご飯は和食だったらしく、何品かの仕込みがして合った。炊飯器を開けるとすでに炊き上がったご飯があり、申し訳なく感じながらも炊飯器の中にあったご飯を一旦取り出し、ラップで包んだ。

 

予備のお米を改めてお粥用に準備し、冷蔵庫の中身を見た。

 

(ふむ、これなら・・・。)

 

 

 

〜〜少年料理中。

 

 

 

 

少し時間がかかってしまったが、何とか自分でも満足のいく出来映えのお粥ができた。と言っても僕が作ったのは普通の卵粥だけどね。

 

──香蓮、お粥作ったよ。今、食べられるかい?

 

「んぅ、大丈夫。」

 

そう言って香蓮はソファーに座り直すとボーッとした表情で口を小さく開けた。

 

 

──それなら良かった。それじゃあ、あーん。

 

「あーん。」

 

すでに食べやすいように冷ましてあるため、スムーズに香蓮の口の中に入れることができた。きちんと食べてくれたことから、ちゃんと食欲があるようで安心した。その後も2口、3口と問題なく食べてくれた。

 

5分ぐらいたって全部食べ終わり。僕の手には空になった容器とレンゲがあった。食事をしたからか、先ほどよりも香蓮の顔色も良くなったように見える。

その後、お姉さんに貰った風邪薬を香蓮に飲ませ、一段落ついたころだ。

 

 

──どう?少しはお腹も膨れた?

 

「うん、ありがとう○○。」

 

──どういたしまして。香蓮も早く元気になってね。

 

「うん、頑張る。」

 

そう言って香蓮は小さく笑った。

僕は香蓮をソファーからお姫様を抱っこして、香蓮の個室に連れていく。

 

「ふぇ!?○○・・・!?」

 

──ん?嫌だったかな?

 

「あ、いや、そういう訳じゃないけど・・・///。」

 

 

──なら問題ないよね。香蓮は病人なんだから、いつも以上に僕に甘えても良いんだよ。

 

香蓮をベッドの上に下ろすと、香蓮は僕に抱きついたままの状態になり、僕から離れようとしなかった。

 

「甘えて、いいんだよね?」

 

──あぁ。もちろんだよ。あ、でも。少しだけいいかな?汗かいてるみたいだから僕が身体拭いてもいいかい?

 

「う、ん。お願い・・・。」

 

僕がそう言うと香蓮はしぶしぶといった感じで体を離してくれた。離してくれた香蓮を待たせるわけには行かないので、洗面台からお湯とタオルをもってくる。

 

 

──どうする香蓮。自分で脱げるかい?

 

「・・・脱がして。」

 

──分かった。それじゃあ脱がすね。

 

薄い明かりのみの部屋で香蓮の服を脱がす。

夏だからか、香蓮の服装は軽装でありとても脱がしやすかった。

まぁ、いつも何やかんやで香蓮の下着は脱がしたことがあるため、そこまで苦労はしなかった。

 

香蓮に配慮し、一応香蓮の手が届かない範囲を濡れタオルで拭く。

 

5分もしない内に拭き終わり、後は香蓮でも拭ける正面だけになった。

 

──香蓮、後ろは拭いたよ。後は自分でできるだろう?

 

 

そう言って濡れタオルを渡すが何故か香蓮はそれを受け取ろうとしなかった。

首を横に振って濡れタオルを僕に返してきた。

 

 

──ん?どうしたんだい?

 

「・・・拭いて。」

 

──え?

 

「○○、前も拭いて、やって、くれるでしょ?お願い・・・。」

 

そう言いながら、香蓮は僕に対して上目遣いで頼んできた。

香蓮はそれを分かっているのか分かっていないのか、彼女に甘い僕がそれをされてしまうと断れなくなってしまう。

 

──・・・分かった、じゃあ拭くね?

 

確認するように聞くと、香蓮は小さく頷いて、僕が拭きやすいような体勢にしてくれた。

 

 

香蓮の生まれたままの姿は何度も見たことはあるが、拭くためとはいえ、改めてこのシミ一つないこの綺麗な身体に触れることができているという事実に、ドキドキしてしまうが、気合いでそれを香蓮に悟らせまいとした。

 

数分もしない内に拭き終わり、何とか理性も保つことができて一安心していたところに香蓮が僕の服の裾を引っ張った。

 

「○○・・・。その、無理なら、いいんだけど。風邪、移しちゃうかもしれない、けど。今日は泊まっていって、欲しいの・・・。1人は、寂しいよぉ・・・。」

 

その言葉に僕はできる限りの笑みを浮かべて香蓮に答えた。

 

──いいよ、元からそのつもりだし。彼女が苦しんでいるのに放ってなんておけないよ。

 

「ありがとう・・・○○・・・。」

 

──僕もシャワー浴びてくるね。すぐに戻ってくるから香蓮は先にベッドの中で待っていてくれないか?

 

「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

──戻ったよ。香蓮。

 

このマンションに置いてあった着替えの予備を着て、香蓮の寝室に行くと。香蓮はすでに寝てしまっており、時折少し苦しそうにしていた。

 

 

──今夜は寝られないかな?

 

僕は濡れタオルと氷を持ってきて香蓮の看病を続けた。

 

──ふふ、こんなの漫画やアニメだけって思ってたけど、本当に体験するとは思ってなかったな。頑張って、僕の世界一愛している人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

〜翌日

 

 

小比類巻香蓮は昨日の熱にうなされている状態から打って変わって、とても健康的な気分で朝を迎えた。

 

「んん・・・!!はぁ。風邪はもう大丈夫かな。あっ・・・。」

 

 

香蓮がベッドの横を見ると、まるで漫画やアニメのワンシーンのように香蓮の手を握りながら、ずっと看病していてくれたのだろうと分かる○○の姿があった。

 

「ありがとう、○○。私も大好きだよ。私の世界一愛している人。・・・ふふ。」

 

 

 





今回はヤンデレ要素皆無ですみません!!<(_ _)>
次回はちゃんとありますのでぇ!!どうかお許しを・・・。


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サマーな彼女

お ま た せ


感覚が空いた理由としては最近TRPGのシナリオも書いておりまして。
それを書いたり修正したりしてたらこんなに遅く・・・。

次はもっと早くに投稿できると思いますのでお楽しみに〜。


 

僕には水着姿も美しい(素敵な)彼女がいる。

 

 

大学生の夏!照りつける太陽!そして、可愛い僕の香蓮!

 

そんな僕と彼女のある夏のできごと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

それは、香蓮のある一言から始まった。

 

「〇〇、海に行こう!」

 

──へ?

 

「だからぁ、海に行こう!」

 

──あはは・・・。唐突だね。僕はいいけど、いつ行くんだい?

 

「確か、〇〇明日空いていたよね?」

 

──まぁ、そうだね。明日は香蓮と一緒に映画でも見に行こうかと思ってたけど・・・海か・・・。いいね、とてもいい。

 

「良かった。それじゃあ早速水着を買いに行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでも一悶着あったのだが、その話はまた今度。

 

 

──────────────────────

 

〜翌日

 

「やってきました海!」

 

──いやー、暑いねー。それに、香蓮のお父さんには感謝しないとね。

 

旅費の半分(香蓮の分)も出してもらえたし。

おかげで出費が半分に抑えられた。一人暮らしの僕の環境にはとてもありがたかった。

 

「ふふ、確かに。ともかくさ、早く荷物を置いて遊ぼう!」

 

──そうだね。一旦ホテルの方に行ってから着替えてビーチに出ようか。

 

僕と香蓮はビーチの近くのホテルにチェックインした後、荷物を置いてビーチに向かった。

 

 

 

 

 

僕が香蓮より先に着替え終わったので、先にパラソルを立てたり、簡易テーブルを組み立てて待っていると。

 

「お待たせー、先に準備してくれていてありがとう。」

 

香蓮の声が聞こえたので、後ろを振り返るとそこには、昨日一緒にショッピングモールで買った黒い、ビキニタイプの水着を着た香蓮がいた。

香蓮のモデルのようなスタイルに、ふくよかな胸部も強調され、より一層香蓮の魅力を引き立てていた。

 

「あはは・・・似合ってるかな?」

 

──うん、とても似合ってる。流石は香蓮だ。今の君はこのビーチの誰よりも美しいよ。

 

「え、えへへ、そうかな?まぁ、そう言ってくれると嬉しいよ。〇〇もその水着似合ってるよ。」

 

──ありがとう。あ、そうだった。ちゃんと日焼け止めは塗ったかい?

 

「いいや、せっかくだから〇〇に塗って貰うかなって。」

 

そう言うと香蓮は、敷いていたブルーシートに寝転がると、水着の紐を外して

蠱惑的な笑みを浮かべ、こちらを挑発しているかのように見えた。

 

その表情に思わずドキッとしてしまったが何とか直ぐに平常心を取り戻す。

 

──僕でいいのなら喜んで。

 

日焼け止めを手に馴染ませ、香蓮の背中などに塗り込んでいく。

 

「ん、ん、ふぅ。〇〇意外と上手いね。」

 

色っぽい声を出す香蓮にドキドキにしながら、変な気を起こさないように鋼の精神で耐えながら何とか香蓮の背中全体に塗ることができた。

 

──これで大丈夫かな?

 

「うん、ありがとう〇〇。あとは私でもできるから・・・と思ってたけど前もしたい〜?」

 

今度はからかう様な口調で言う香蓮に、僕も少し仕返しをしてやろうという気持ちが湧いてきた。

 

──そうだね。香蓮さえ良ければさせてくれないかい?

 

顔をグイッと近づけて逃げられないように優しく手を握って迫るように言う。

 

「え?あ、う、うん。お、お願い?」

 

──分かった、任せて。

 

ニッコリと笑い、今度は日焼け止めを手で温めずにブルーシートの上で仰向けになっている香蓮のお腹に直接つけてやる。

 

「ひゃあっ!?」

 

それをねちっこく、少しいやらしい感じで触れる。

 

「ちょっと、〇〇、まってぇっ!?」

 

──早く海に入りたいよね。だから少し我慢してね?

 

いつもなら僕が先にドキドキして辞めてしまうかもしれないが、今の僕は夏の暑さに当てられたのか、それとも香蓮というとても魅力的な女性の水着姿を目の前にして抑えが効かなくなってしまっているのか。その手を止めることはできなくなっていた。

 

 

 

 

〜10分後。

 

──よし、これで日焼けの心配はないね。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。〇〇・・・。そ、そうだね・・・。」

 

──どうしたの香蓮、まだ塗り足りない所でもあった?

 

「い、いやぁ!そんなことない、バッチリだよ!」

 

──それなら良かった。さぁ、早速海に入ろうよ。

 

〇〇ってあんな面もあったんだ・・・。一方的に責められるのも悪くない・・・。にへへ・・・。」

 

──ん?なにかいい事でもあった?

 

「え?あー。うん、そうだね新しい発見ができたよ。ふふ。」

 

──?まぁ、香蓮が嬉しそうならいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

その後、僕と香蓮はこのビーチで時間も忘れて遊びまくった。

 

水の掛け合いっこをしたり、沖の手前で潜って一緒に魚を見たりした。

他にもたくさんのことをしたが、時間もお昼を過ぎて一旦休憩しようということになった。

 

 

──それじゃあ香蓮少し待っててね。直ぐに食べ物買ってくるから。

 

「うん、あ、かき氷のシロップはイチゴでお願いね〜。」

 

──了解、それじゃあ行ってくるから。

 

僕は香蓮にそう言って屋台の方に向かう。

 

 

 

そして、僕はこの時に起きていた事はこれからも先ずっと知らないだろう。

 

 

 

 

 

「あいよ!焼きそばお待ち!」

 

──ありがとうございます。美味しく頂かせていただきます。

 

「いいってことよ!それと・・・。」

 

そう言って屋台のおっちゃんは僕に耳うちしてきた。

 

「いつもより少し量を増やしておいたから、彼女さんと仲良く食いな。」

 

──!ありがとうございます!それでは!

 

僕がおっちゃんの優しさに感動しながら、かき氷屋の方に向かっていた時だった。

 

 

「ねぇねぇ、そこのお兄さん。少しいいかな?」

 

──?はい。どうされましたか?

 

振り返ると高校生位の女の子が複数人がいた。

全員水着でいる所から、グループで遊びに来ているのだろう。

 

「いやー、お兄さんとてもイケメンだなぁって思ってー!」

 

「良かったら私達と一緒に遊びませんか?」

 

──ごめんね、僕には彼女がいて、今その彼女を待たせているんだ。それに、僕よりかっこいい人なんてここにはもっといるからそう言う人に声をかけるといいよ。

 

「そうですか・・・。それは仕方ありませんね。あ、お兄さん。その彼女さんってのはあの人ですか?」

 

そう言ってそのグループの女の子の1人が指をさした方向を見るが、香蓮の姿はない。

 

──多分だけど違うんじゃないかな?それじゃあね。ばいばい。

 

「急いでいる所ごめんなさーい。」

 

これ以上香蓮を待たせる訳にはいかないので、この女の子達に申しわけないが早めに立ち去った。

だからだろうか、立ち去る時に誰かが僕の上着からなにか盗られたことに気づけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

──あ、あれ?財布がない。

 

かき氷屋の目の前で財布を取り出そうとしたが、どこにもない。

もしかしてどこかに落としてしまったのだろうか・・・。

 

焼きそばの屋台から来た道を何度も探して見るが、僕の財布は見当たらない。

 

不幸中の幸いか、焼きそばを買った時のお釣りはズボンのポケットの中に入れていて1つ分は買うことができるが・・・。

 

「もう、なにやってるの。財布、落としてたよ。」

 

僕が財布を落とし、オドオドしていると、待っているはずの香蓮が僕の財布を持って僕を迎えに来てくれた。

 

──あ、やっぱり。ごめんね香蓮。

 

「本当に。やっぱり〇〇は私から離れちゃダメなんだから。」

 

──あはは・・・。面目ない。

 

「さ、早くかき氷を買って食べよっ。」

 

──うん。そうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

僕と香蓮は少し遅い昼ご飯の後の腹ごなしにビーチを散歩していると、屋台連の少し外れた所に。占いの館を見つけた。

 

「ん?もしかして!ねぇねぇ!あの占いの館に言ってみようよ!」

 

──興味あるのかい?

 

「うん、しかもあそこの占いって結構当たるって評判がいいんだよ。」

 

──へぇ。それならさっき財布を拾ってくれたお礼もあるし行こうか。

 

「うん!」

 

その当たると評判の占いの館に入ると、いかにもな雰囲気を醸し出していた。

 

目の前には物腰柔らかなお姉さんがおり、空調も効いており、以外に涼しかった。

 

「いらっしゃいませ。さっそく席におすわりください。」

 

お姉さんに催促され、香蓮と僕は席に座る。

 

その後、カードを操作したり、簡単な質問に答えたりして10分ほどたったころだった。

 

「結果が出ました・・・。」

 

そう言うとお姉さんだが、顔色があまり良くない。

なにか良くない結果でも出てしまったのかと、少し不安になるが、香蓮はそれに気づいていないのか、結果が出るのをまだかまだかといった状態だった。

 

 

「お二人のこれからの関係は、とても安定しています。それこそ彼女さんがなにか大きな犯罪を行わない限りは決して揺らぐことはありません。」

 

「ま、そうだね。私と〇〇はラブラブだし。」

 

「ですが、一つだけ気をつけておいてください。彼氏さんの方に女難の相の傾向があります。彼氏さんがいくら彼女さんに誠実だとしてもそれは現れる可能性が高いので充分お気をつけください。」

 

「・・・なるほど、ねぇ。ありがとうございます。大丈夫です!私は絶対に〇〇以外の人間を好きになることはないでしょうし、離しませんので。」

 

──そうだね、僕も香蓮以外の人を好きになったりはしないよ。

 

 

僕と香蓮はお姉さんに料金を支払い、館を去った。

 

 

 

「確かに、離れられないだろうねぇ。だってあの二人が繋がっているのは赤い糸なんかじゃなくて鎖なんだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

楽しい海のデートも終わり、僕と香蓮はホテルで夕食を食べ終え、僕と香蓮はベットの上でくつろいでいた。

 

 

「ねぇ〇〇、良かったら一緒にお風呂入らない?」

 

──いいけど、ここでかい?

 

「うん、パッと見結構広いし、大人二人分くらいなら入る広さだからどうかな?」

 

──分かった。それじゃあ入ろっか。

 

 

 

 

 

「・・・意外ときついね。」

 

──まぁ、そもそも2人用じゃないしね。仕方ないよ。それにこうすれば大丈夫じゃないかな?

 

香蓮に1度立ってもらい、僕が下になって改めて香蓮に僕の上に座って貰う。

 

──これならさっきよりは楽だし、それに、こうして触れ合えるからいいんじゃないかな?

 

「う、うん。(少し恥ずかしいけど)確かに楽だね。あっ」

 

──あー、うん。節操無くてごめん。でもこんなに魅力的な女性がこんなにも近くにいたら我慢できない、かな?

 

「実は・・・私も、日焼け止めを塗られたときからずっと我慢してたんだよ?」

 

──それじゃあ合意ということで。

 

「もちろん。んむ・・・。ん・・・。」

 

──ん、大好きだよ。香蓮。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

時は数時間遡る。

 

とある岩場、数人の女子高生程の女の子達が集まっていた。

 

「いやぁ、本当に楽勝だね!これだから海に来るのはやめらんないよ!」

 

そう言う彼女の手に入る〇〇から盗んだ財布が握られていた。

 

「先輩流石です!これでライブのチケットも買えますね!」

 

「美穂ちゃん。そろそろやめた方がいいよ・・・。やっぱり人から財布を盗むなんて・・・。」

 

「由希、お前まだそんなこと言ってんの?ゆーてお前も共犯者だからな、この前買ったアクセもこうやって勝ち取った金で買ったんじゃねぇか。」

 

「で、でも・・・。」

 

「あーもう。分かった分かった。しょーがねぇーからこの金でなんかまた買ってやるよだから──『そのお金で何を買うつもりなの?』──は?」

 

彼女達が話していると見覚えのない長身の女性が彼女達のいる岩場の入口にいた。

 

「あんた誰よ?」

 

「そうね、私はあんた達が盗んだ財布の持ち主の彼女って言えば分かるかしら。」

 

そう言ってその女性は岩場の中に入って行き、リーダー格と対面する。

 

「ふーん。それでその彼女さんがなにかよう?」

 

「今ならまだ許してあげるかその財布を返してくれないかしら。今返せば警察にも言わないであげる。」

 

「はっ、返すわけないじゃない。まんまと盗まれた間抜けなアンタの彼氏が悪いんじゃない。ま、間抜けな男にデカ女、カップルとしてはお似合いじゃない?あははははっ。」

 

「・・・そう。そう言ってくれたおかげで私も罪悪感が無くなった。」

 

「はぁ?」

 

「お巡りさん。この子達です。」

 

「ご協力感謝します。」

 

その女性がそう言うと、外に待機していたのか、2名の警察官が現れるとその女の子達を捕まえる。

 

「くそっ!あんた私を騙したな!?」

 

「捕まるだけで済むんだからましじゃない。ま、もちろん〇〇に被害届けも出させるし、なんなら裁判も起こしてあげる。本当なら───。」

 

そう言って香蓮はリーダー格の女子高生に詰め寄り、頬を掴み顔を近づける。

 

「半殺しにした後。あんたの身ぐるみ全部剥いで男達がいる場所に放り込んでやるつもりだったんだから。〇〇を馬鹿にしたあんたは特に許すつもりはない。覚悟しとけよ。」

 

そう言ってその女性は女の子を警察官に渡す。

 

「・・・さて、と。早く〇〇に財布を届けなきゃね。」

 

 

 

 

 

 

 





うーん。ヤンデレ要素がまだまだ少ないな・・・。
もっと精進しなければ・・・。


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ガンゲイルな彼女 1

皆さん、お久しぶりです!

覚えている人はいらっしゃるのでしょうか・・・。

今回は待望?のGGO回です。
ですが、私は銃やガンゲームの知識はにわかなもので、それを補うための独自解釈と、オリジナル設定を少し加えています。

それが無理!と、言う方は今すぐブラウザバックをお願いします。




僕にはGGOに夢中になっている(素敵な)彼女がいる。

 

 

最近になってVRゲームを初め出した香蓮。

僕はGGOをまだ少ししかしたことがないから分からないけど、ちっちゃい香蓮もとても可愛いと思った。

 

バイト、増やさなきゃかな?

 

 

 

 

今回はそんな秋の出来事。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

今回の出来事は香蓮の一言から始まった。

 

 

 

「ねぇ、〇〇。GGOってVRゲームを知ってる?」

 

──GGO?あぁ、そう言えば透がお試しでプレイしてたね。僕はまだプレイしていないけど・・・。

 

「なるほど、〇〇はまだプレイしてないのね。」

 

──うん。銃ゲーは今までプレイしたことないから少し・・・。

 

「意外とやってみると楽しかったから〇〇もやってみない?」

 

──うーん。香蓮がそういうのなら僕もお試しでやってみようかな。

 

僕がそう言うと香蓮は顔をパァーっと明るくさせる。

 

「本当に!?そうと決まれば早速プレイしてみようよ。美優が来たとき用の予備のアミュスフィアがあるからそれを使って実際にやってみよ!」

 

──ふむ、そうだね。分かった、それじゃあ布団敷いてもいいかな?流石に床は痛いからね。

 

僕がそう言うと香蓮は不思議そうな顔をして首を傾げた。

あれ?何かおかしなことを言ってしまったでのであろうか。

 

「何言ってるの〇〇、ほら、ここに座って。」

 

そう言って香蓮はベッドに乗って、その横をポンポンと叩く。

 

──なるほど・・・。でもいいの?香蓮のスペースが狭くなっちゃうけど。

 

「何言ってるのよ、いつもベッドの上で色んなことヤってるじゃない。」

 

──・・・いや、まぁ。そうなんだけど。香蓮がそれでいいならいいんだ。

 

「アカウントはどうする?もともと〇〇が持ってるIDのキャラクターをコンバートするのもいいけど。お試しだし。別のアカウント作ったほうがいいんじゃないかな?」

 

──うーん。いや、せっかくだしコンバートしようかな。持ち物はギルドのストレージに全部預ければいいから。

 

「そう?〇〇がそれでいいのならいいけど・・・。」

 

──それに、香蓮がそこまでハマるゲームなんて僕も興味があるからね。

 

「あー、うん。そうなんだよ。きっとGGOの私を見たら〇〇驚くよ!GGOだけがアバター気に入ったからなんて言えない・・・

 

──へぇ、それは楽しみだ。それじゃあ準備するから。少し待っててね。今は・・・あ、奏がログインしてる。ちょっとALOにログインしてアイテムとかを預けてくるね。

 

僕は香蓮にそう言ってアミュスフィアを被る。香蓮の横に寝転んでALOに繋げてあの言葉を呟く。

 

──リンクスタート。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

「・・・〇〇の寝顔可愛い。でも、〇〇のこの顔を見ていいのは私だけ、他の女なんかには絶対に見せたくないなぁ・・・。」

 

そう言いながら香蓮は意識のない〇〇の唇に軽くキスをする。

1秒にも満たない短いキスだったが、それでも香蓮の気分を高揚させるには充分だった。

 

顔を赤らめ、恍惚とした表情からうって変わり、香蓮はいつぞやに〇〇が寝言で言っていたレインという人物に思考を向けた。

レインという名前は恐らくALOの中で知り合った人物であり、女の勘がその人物は女だと言っている。

 

「ほんと、〇〇って罪な男ね。そのせいで貴方に近づく虫達が寄ってくるから私も困っているのよ?」

 

香蓮は〇〇の頬をゆっくりと撫でながら加虐的な笑みを浮かべる。

 

「なるべく早めにあのレインとかいう虫を処理したいところだけど、それを表立ってすれば〇〇に迷惑がかかる。それにリアルの方を処理しないと根本的な解決にはならない・・・。だけど一人処理したところで私の〇〇に擦り寄ってくる虫共は後を絶えない。はぁ・・・。本当なら一人づつ私の手で殺してやりたいけど、それをしたら〇〇は私を嫌いにならないけど、〇〇はとても困るでしょ?・・・本当に罪な男。」

 

香蓮は〇〇の唇に再びキスをして顔を離す。

 

「やっぱり、エッチしまくってデキ婚しかないかな・・・。既成事実を作ってしまえば〇〇も私から逃げられないし、他の女も諦めるだろうし。それでも諦めない女がいたときは────。」

 

そんな風に考えを巡らせ10分ほど経ったころだった。

 

〇〇が目を覚まし、アミュスフィアを外す。

 

──準備はできたよ。ん?香蓮どうしたの?

 

〇〇にそう言われ、意識をはっとさせ表情を元に戻す。

 

「い、いや、ちょっとね。〇〇ならどんな武器が合うかなーって考えてたんだ。」

 

──そうなの?僕はALOでは大型の槍を使ってたんだけど。何か合いそうなものあるかな?

 

「んー、大型の槍ってことは筋力にステータス振ってる感じ?」

 

──そうだね。基本的にタンクをやってたから筋力と耐久にステータス振ってたよ。

 

「うーん。それならミニガンとかスナイパーライフル?まぁ、とりあえず早速やってみよう。チュートリアルやってみて、それから決めて見ても良いんじゃない?」

 

──あ、良かった。チュートリアルはちゃんとあるんだね。

 

「うん、だから初めての銃ゲーでも大丈夫だと思うよ。」

 

──分かった。それじゃあ早速やってみようかな。

 

僕がそう言うと、香蓮は慣れた手つきでアミュスフィアをPCに繋いで頭に被る。

僕もそれに続くようにアミュスフィアを被り、香蓮の手に触れる、

 

──せっかくだから一緒に、ね?

 

「・・・そうだね//。それじゃあ行くよ。せーの。」

 

───リンクスタート「リンクスタート」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

意識が覚醒すると、目の前には、まさに荒廃した世界だと直感的に分かる光景が広がっていた。

 

──アバターは・・・。あまり変わってないな。少しガタイが良くなっただけか。

 

「〇〇っ!」

 

目の前の鏡のようなガラスで自分の姿を確認していると、香蓮の声が聞こえた。反射的に声のした方向を見ると、大きめのフードを被った小さな女の子がいた。

完全に姿を見た訳では無いが、声のした方向も考えて、この女の子が僕の愛しい女性だと直感的に理解した。

 

 

──香蓮。その姿もとても可愛いよ。

 

「っ!・・・良く分かったね。驚かせようと思ってたんだけど・・・。」

 

そう言って香蓮はフードを脱いで可愛らしいピンクの帽子を被った可愛らしいアバターを僕に見せてくれた。

 

──香蓮も僕のことが直ぐに分かったでしょ?それと同じだよ。

 

「ふふ、そう言ってくれて嬉しい//。あ、私も〇〇のこと、すぐ分かったからね!」

 

──分かってるって。それじゃあ早速チュートリアルやってみたいんだけど・・・。

 

「あ、そ、そうだね。それじゃあこのコンソールを開いてここを押せばチュートリアルをプレイできるよ。」

 

香蓮が教えてくれた通りにコンソールを操作すると、周りの景色が再び変わり、無機質な射撃演習場のような場所へと変化した。

 

──へぇ。いかにもって感じだね。

 

「よく来たなゴミ虫!」

 

いきなりの罵声を浴びさせられ、声のした方向を振り向くと、これまたいかにもと言ったような女性型のNPCが鋭い目線をこちらに向けていた。

 

──あ、ははは・・・。いきなりゴミ虫扱いか。まぁ、世界観的に手取り足取りなわけないよね。

 

NPCからの扱いに納得しながら、緩んでいた気持ちを入れ直す。

 

 

 

 

さて、と。精一杯頑張ってみますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

〜一方その頃。

 

「あら、レンちゃんじゃない。」

 

「あ、ピトさん!」

 

レンはよく共に遊んでいる人物、ピトフーイの声に気づき手を振る

 

「レンちゃんログインするなら言ってくれたら良かったのにぃ。私も1人で暇だったんだよ?」

 

わざとらしく、泣き真似をするピトフーイにレンは苦笑いしながら言葉を返す。

 

「あー、うん。ごめんねピトさん。今はリアルでの知り合いとプレイしてて・・・。」

 

「ふーん。それって少し前に言ってた地元の友達?」

 

「あ、えーと、まぁ、そんな感じ、かな?」

 

はっきりとしないレンの言い方に怪しんだピトフーイは少し鎌をかけてみた。

 

「へぇ、て言うことはその友達って女の子だったよね。良かったら私にも紹介してよ。女子3人パーティなんてこのゲームじゃ滅多にできないしぃ?」

 

「そ、それは・・・。そうだけど。その友達はなんて言うか、ひ、人見知りって言うか・・・。」

 

「あれ?そうだったっけ?レンちゃん前にその友達が彼氏と別れた時の話をしてなかった?しかもそのあと直ぐに新しい彼氏を作ったって話も・・・。そんな子が人見知り?本当は違うんじゃなぁい?」

 

「あ、え、と。その・・・。そ、そう!じ、実はその友達は、男も女も食べちゃうような危険な子なの!だからピトさんに合わせるのは危険だから今回は────。」

 

美優に心の中で土下座をしながら、

内緒にしておこう、と言おうとした瞬間にピトフーイは言葉を重ねる。

 

「あら、私もどっちも行けるから大丈夫よレンちゃん。むしろ私が食べちゃおうかしら?」

 

レンの様子からある程度察することができたが、途中から楽しくなってしまったピトフーイはサディスティックな笑みを浮かべながら追い詰めていたつもり。否、直前までは本当に追い詰めていた。だが、ピトフーイの最後の言葉はレンにとって地雷以外の何者でも無かった。

まぁ、ある意味、両者共に自業自得であるのだが。

 

「は?」

 

先程までの様子とは打って変わって、雰囲気が一気に変わったレンにピトフーイは地雷を踏んでしまったことに気がついた。

 

(あちゃー、すれすれだと思ってたけど案の定かぁ・・・。)

 

「ねぇ、ピトさん。今さっき、なんて、言ったぁ?」

 

被っていたフードを脱いで、ピトフーイの首に巻き付けるようにすると、それを思いっきり下に引っ張り、膝をつかせ、その首筋にナイフを向ける。

 

「お、落ち着いて、レンちゃん。冗談、冗談だってば!」

 

「ピトさん。私ね。そう言って誤魔化そうとしてきた人、何人も見てきたんだあ。だからその言葉信じられないよ。」

 

「あー、なるほどね。レンちゃんはそう言うタイプね!大丈夫だって、私も彼氏いるからさ、浮気はダメだよね。うん。分かってる分かってる。」

 

「ふーん。ピトさんは彼氏がいるのに他の人の彼氏に手を出すような人なんだ、ふーん。」

 

咄嗟の嘘で何とかしようとするが、逆効果だったようで、首筋に当てられたナイフにさらに力が込められ、ここがフィールドの中であれば、赤いポリゴンエフェクトが出ると同時に、HPバーが減少していただろう。

 

ピトフーイは、間近に迫った擬似的な死の恐怖に悶えながらも、一瞬このままでも良いかと思い始めた時だった。

 

 

 

 

 

──か、・・・レン。僕は大丈夫だから。その人を離してあげて。

 

男の声が聞こえると、レンの力が少し弱まり、ピトフーイはその隙に何とか拘束を解き離れる。

 

「〇〇・・・。でも、ピトさんが〇〇を・・・!!」

 

──うん、僕はさっきチュートリアルを終えたばかりだからよく分かってないけど。か、・・・レンが僕のためを思って怒ってくれてるんだよね。ありがとう。

 

そう言ってしゃがみこんで香蓮と目線を同じ高さにして、香蓮の唇を軽く奪う。

数秒にも満たないキスだったが、香蓮を落ち着かせるには充分だったようだ。

 

「・・・もう、そうされたら私が何も出来ないの知っててやってるでしょ・・・。」

 

──そうかな?僕はレンが好きだからそうしてるだけだよ?

 

「・・・私も、大好き。世界で1番。」

 

香蓮は機嫌を直したのか、いつもとは違ったこれまた可愛らしい表情で笑う。

 

──ありがとう、僕も世界で1番大好きだよ。

 

 

「あー、お二人さん。お似合いで熱々なのはよーく分かりました。このピトフーイ、魂で理解しましたとも。」

 

 

ピトフーイという女性がやれやれといった様子でそう言ってくる。

香蓮は彼女をまだ少し睨んだままだが、さっきのように今にも襲い掛かるといった状態ではないため大丈夫だろう。

 

「ピトさん、隠してたのは悪かったけど、もし、〇〇に手を出したら・・・。」

 

「はいはい、あんなことされて手を出すわけないじゃん。あ、彼氏かいるってのも嘘だから安心してね、レンちゃん。」

 

「は?」

 

──まぁまぁ。レン落ち着いて。あ、チュートリアルの結果なんだけど。狙撃銃が1番向いてるって言われたよ。サブマシンガン?とかアサルトライフル?とかの1度でいっぱい撃つ銃は向いてないって言われたけど・・・。

 

「なるほど・・・。〇〇にも乱射の楽しみを知って欲しかったけど仕方ないね。でも、私は逆に狙撃銃は向いてないって言われたからちょうどいいんじゃないかな!」

 

──うーん。だけどレンさえ良ければサブマシンガンとかの撃ち方を教えてくれないかな。絶対どこかで役に立つと思うから。

 

「っ!そ、そうだね!よーし!私が手取り足取り教えてあげる!」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、レンちゃんは男持ちだったか。だけどまぁ。あの視線に殺気、堪らなかったわね・・・!あの彼氏君がトリガーみたいだし、面白いことになりそう。」

 

 

「ピトさーん!行きますよー!」

 

「え?私も行っていいの?」

 

「何言ってるんですか、私はまだピトさんを許したなんて一言も言ってませんよ。〇〇の武器選びに強制参加です!」

 

「たはは・・・。しょうがないなぁ。」





休んだ分。すぐに次を出すのでお楽しみに〜。


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ガンゲイルな彼女2

前回の続きです!


 

「さて、と。何をやるにしても資金調達しないとね。私とレンちゃんがいるからいくつかクエストをクリアして稼いでもいいんだけどぉ。」

 

ピトフーイは〇〇とレンの前を歩きながら、振り向き妙案があるように人差し指を横に振る。

 

「やっぱり、こういう世界だから1度は体験しないとね!」

 

そう言って、二人を連れてきたのはGGOの中でそれなりの人気を誇るスポット、そう、カジノである。

 

「ピトさん、流石に初心者にこれは・・・。」

 

「あら?逆に初心者だから体験しておいた方がいいと思うわよ。初心者なら所持金は最低限だけど全部失っても安いし、クエストに行けばまた直ぐに同額稼げる。勝てば初期所持金の何十倍、何百倍のお金を稼げるのよ?」

 

「いやいや、絶対ピトさん適当なこと言ってるでしょ!そもそも────。」

 

──ふふ、任せてよレン。僕はこれまでの人生で1度もジャンケンで負けたこと無いんだ。

 

「お、ノリがいいねぇ。それじゃあ早速行こうか!」

 

雰囲気に当てられたのか〇〇まで変なテンションでカジノに入って行く。

ピトフーイと〇〇を止められなかったレンは仕方なく、2人の後を追うのであった。

 

レンとピトフーイは知っている。

このゲームのカジノはRMTがある分、換金率が無茶苦茶悪いことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

・・・結果はと言うと。

 

──まさか、本当に勝ってしまうとは・・・。

 

結果だけ言うと、勝った。

勝利、大勝利である。

香蓮から聞いた話によると、このゲームのカジノはRMTというシステムがある以上、換金率が無茶苦茶悪いらしいが、それを考慮してでも莫大なお金を手に入れるほどの大当たりである。

 

──これがビギナーズラックというものか・・・!

 

「〇〇の所持金が今の私の何倍にも・・・・。これなら私も・・・。」

 

「あー、レンちゃん。その考えでギャンブルをするのは止めた方がいいよ。負け越して損する落ちが見えるから。」

 

──ん?そう言えば、あれも景品なのかな?

 

〇〇が指さしたのは景品コーナーに飾られてある。某ロボットアニメに登場するビー〇マグナ〇にそっくり、と言うよりほぼそのものであった。

 

〇〇の疑問にピトフーイが答える。

 

「あれも一応景品だけど、初心者が扱える代物じゃないから辞めた方がいいと思うけど。だってあれ、完全にビ〇ム〇グナムじゃん。」

 

「ビームマグナムってなに?ピトさん。」

 

「おっと、せっかく伏字を意識してたのにレンちゃんは無視しちゃうかぁ、まぁ、それもレンちゃんのいいところだけど。」

 

──えー、と。確か超高威力だけど燃費が悪くて普通のロボットなら1発撃つだけで腕が壊れるようなやつだった気が・・・。

 

「まぁ、そんな感じ、扱い的には光学銃だから、光学銃の実銃よりも軽いからSTR値が低くても扱えるっていうメリットがあるのに、この銃はSTR値が高くないとまともに撃てないだろうし・・・。いわゆるネタ武器だね。」

 

──だけど、ロマン武器でもある・・・!

 

「・・・ふっ。分かってるじゃん彼氏君!そう、GGOはロマン溢れる世界!不利は上等!効率なんてクソ喰らえだ!まぁ、トッププレイヤーを目指すなら必要だけど。そんなもの目指してなくて、エンジョイするだけなら全然アリ!」

 

・・・ピトさんと〇〇なんか仲良くない・・・?

 

──レンはどう思う?一緒にプレイする君の意見も聴きたいな。

 

「え、あ、私!?う、うん。いいんじゃないかな?それに〇〇言ってたじゃんSTR値とVIT値を上げてるって。スキルポイントはALOで使わない分沢山あると思うから、今から振り分ければ十分に戦えるようになるんじゃない?」

 

「なるほど、彼氏君はコンバート勢か、あげてる数値的にも狙撃銃が向いてるわけだ。私は交換してもいいと思うよ。最悪使えなかったら売りに出して元は取れなくても少量の金になるだろうし、初期配布の狙撃銃でも最初はそここ戦えるからね。」

 

経験者の二人の言葉に、なるほど。と納得した〇〇は交換することを決めた。

 

──分かった。二人がそういうんだったら多分大丈夫なんだろうね。交換してくるよ!

 

 

意気揚々と交換所に行き、〇ームマグ〇ムを交換する〇〇。一応正式名称はハイパーメガブラスターマグナムと、同じような名前が二つ重なったなんともトンチキな名称である。

 

交換する〇〇を見たプレイヤー達も、まさかそんなバカなことをと言わんばかりの表情で彼を見ていたが、〇〇はそれを全く意に返さない様子で交換する。

表情があまり変わらぬ交換所のNPCでさえもこれには苦笑いしているようにも見えた・・・。

 

 

 

 

 

──交換してきたよ!

 

新しいおもちゃを得てはしゃぐ子供のようにハイパーメガブラスターマグナム(以下HMBM)を見る〇〇。

 

「ふふっ、こういうとこレンちゃんとそっくりだねぇ。」

 

「えー?私ピーちゃん買った時あんな顔してたの?でも、〇〇と同じかぁ・・・。いい。」

 

「・・・ツッコミはもう良いかな。ていうか、私こういうキャラじゃないんだけど・・・。」

 

やれやれと言った顔でため息をつくピトフーイのことなどつゆ知らず、レンは話を切り替える。

 

「それじゃあ早速クエストに行ってみようよ。〇〇はGGO初めてだし、最初は簡単なクエストから行かないとね。」

 

「あー、それならいいクエストがあるよレンちゃん。」

 

「本当ですか!?ピトさん!」

 

──やっぱり最初だから小型モンスターの討伐とかですか?

 

〇〇がそう聞くと、ピトフーイはイタズラをする子供のような笑を浮かべてこう言った。

 

「そう、(君が持っている武器を使えば多分)簡単なクエストだよ。簡単な♪」

 

「・・・本当?何か含みがあるように聞こえるんだけど・・・。」

 

「そんなことないよレンちゃん。私を信じて?今まで私が嘘ついたことあった?」

 

「はい、何度も。」

 

「ひどぉーい(棒)。まぁまぁ、最悪私とレンちゃんが二人がかりでやれば直ぐに終わるクエストだから、ね、ね?」

 

即答するレンに大仰な仕草で嘘泣きをするピトフーイだが、10秒もしないうちにケロッとした表情に戻り手を合わせて頼むようにするピトフーイを、レンは冷めた目で見ていた。

 

──レン、僕は大丈夫だよ。GGOは初めてでもVRゲーム歴はレンより長いから。それに、いざと言う時はレンが僕を守ってくると嬉しいな。

 

「・・・・・・・・・・・あー、もう!〇〇にそう言われちゃ断れない!いいよ、ピトさん!行くよ!〇〇がダメージを受ける前に全部ぶっ倒してやる!」

 

被っていたピンクの帽子を深く被り直し、なにかに悶えるようにして、少しの沈黙の後、なにかが吹っ切れたかのように叫び、愛銃であるピーちゃんことP90を右腕で持つともう片方の手で〇〇の手を引っ張ってクエストカウンタへと歩き出した。

 

──お、とと・・・。ふふ、レンにあんな一面があったなんて驚いたよ。新たな一面を見れて僕は嬉しいな。

 

「〜〜///!!いいから行くよ!///」

 

「ちょっと待ってよレンちゃん。クエストの内容知っているの私なんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

「ねぇ、ピトさん。私、簡単なクエストって言ったよね。」

 

「うん、言ったよ。だからちゃぁんと簡単なクエストを受注したじゃない。」

 

「まぁ、確かに簡単だよ。・・・だけどこれは私達にとって簡単なクエスト!!GGO初心者で尚且つ1度も使ったことの無い武器を持った〇〇に相手させるエネミーじゃないから!!!」

 

ボスエネミーから放たれるレーザーを躱しながらピトフーイに叫ぶレン。

彼女の言う通り、レベルもそこそこ上がっており、GGOの経験をそれなりに積んだプレイヤーにとって簡単な難易度である6mほどの蜘蛛を模した機械型ボスエネミー。

だが、このボスエネミー。通称イキリ殺しとプレイヤー間で呼ばれており、少し経験を積み、それなりにプレイできるようになって調子に乗った初心者上がりプレイヤーをその硬さと攻撃力で無慈悲に返り討ちする強さを持っている。危険なボスエネミーでもある。

 

経験者の二人は敢えて攻撃はせず、ヘイトを集める役割を担っているが、それでもボスエネミーから放たれるレーザーとミサイル攻撃は〇〇に流れ、その攻撃を避けるのに手一杯になっており、HMBMを撃つ余裕すらない。

 

「〜!!ピトさん!私あいつぶっ殺したい!!」

 

「だーめ、それじゃあ彼氏君のためにならないよ〜。していいのはアドバイスだーけ。」

 

「あー!くそ!!〇〇!ミサイル攻撃は3連続しかしてこないから必死で避けて!」

 

──っ!了解だよ!

 

「その次に真ん中のコアみたいなところから大きめのレーザーを撃ってくるから気をつけて!当たったら今の〇〇のステータスと装備じゃ一撃で死んじゃうから!でもそのあとは大きなチャージ動作に入るから撃つならその時だよ!」

 

──ありがとう!レン!

 

レンの言った通り、ミサイル攻撃が終わり、真ん中にある赤いコアのような物体が2、3回点滅すると、さっきまで足の先から放たれていた細いレーザーとは違い、大きく、着弾した地面が抉れるほどの威力を持った赤いレーザーを横凪に放った。

 

「今!前方に回避して!」

 

レンの言葉に素早く反応した〇〇は前方に前転するようにそのレーザー攻撃を回避すると、立ち上がらず、膝立ちの状態でHMBMを両手でがっちりと握り、バレットサークルが最も縮小した瞬間にその引き金を引いた。

 

 

その瞬間、どこかで聞き覚えのあるような効果音と共に、HMBMの銃口から激しい光と巨大な光弾が放たれ、先程の瞬間までレーザーを放っていた赤いコアを一撃で貫き。ボスエネミーの5本あったHPバーを全て0にした。

 

 

 

 

《Quest clear!》

 

空中に英語の文字列が並び、クエストの終了を知らせると共に参加者のストレージにクエスト報酬が入る。

システムからのファンファーレが鳴り響く中、その空間は異様な空気になっていた。

 

「・・・はっ?」

 

走り回っていた足を止め、思わず間抜けな声を出してしまうレン。

それもそのはず、いくら弱点部位に攻撃を当てたとして、SRの最高レアリティであるAMRはともかく、通常のSRであってもよっぽどのカスタマイズと強化をしても最低2発以上必要であるのに対して、HMBMは一撃でその全てHPバーを消し飛ばしたのである。

これを対人として使った場合、少なくとも対光学銃防護フィールド発生機を装備したプレイヤーでも数人まとめて一撃死させることができるだろう。

少なくとも掠めただけで、そのプレイヤーの身体は真っ二つである。

 

 

 

「は、ははは!馬っ鹿みたい!ノーカスタマイズで一撃!いやー、流石はビ〇ムマ〇ナムってとこね。」

 

──た、確かに凄い威力だ・・・。だけど、これを使いこなすには骨が折れるどころじゃ済まされない、かな・・・。

 

そういう〇〇のHPは敵からの攻撃を食らってもいないのに残り3割を切っており、引き金を引いた手の腕からは、赤いポリゴンエフェクトが出ており今にもちぎれてしまいそうであった。

 

「っ!?〇〇!」

 

〇〇の状態に気づいたレンはすぐさま彼の元に行くと、ストレージから回復装置を取り出し、〇〇に当てる。

 

──あはは・・・。ありがとう、レン。助かったよ。

 

「もー!〇〇はしばらくその武器使うの禁止!使っていいのはもっとレベル上げてちゃんとノーダメージで撃てるようになってから!分かった!?」

 

涙目で鬼気迫るように言うレンに〇〇は苦笑いしながらコクリと頷いた。

 

──分かってるよ。それまでは普通の狙撃銃をメインで使うことを約束するよ。

 

「・・・分かっているならよろしい。」

 

回復装置を〇〇の身体から離し、少し不服そうな表情をしながら回復を終える。

 

 

 

その後は最初にスポーンした街(SBCグロッケンと言うらしい)に戻り、武器をSRに切り替えてピトフーイさんとレンの3人で何クエストか行った。

まぁ、レンやピトフーイさんが僕がSRを撃つ前にほとんど倒しちゃったからあまり活躍出来なかったけど・・・。

 

それでも、GGOという新しい世界は色々な意味で新鮮な物や驚きがあっていいなと感じた。

こっちのレンもすごく可愛かったしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

僕がGGOからログアウトすると、先にログアウトした香蓮が僕を押し倒すような状態でこちらをじっと見ていた。

 

──・・・えーと、香蓮どうしたの?

 

「ねぇ、〇〇。私ね、〇〇のこと大好きよ。それこそこの世界の全てお金持ちやイケメンに告白されても絶対になびかないくらい。」

 

──それは嬉しいな。大好きな人にそこまで言って貰えるなんて。でも急にどうしたの?

 

「〇〇があのビームマグナムとかいう変な銃を撃って死にかけたとき、私、ね、怖くなったんだ。本当に死ぬわけじゃないのに、HPが0になってもあのSAOみたいに死ぬわけじゃないのに・・・。」

 

──香蓮・・・。ごめんね、僕も香蓮が心配性だって分かってたはずなのに配慮が出来なかったよ・・・。

 

僕がそう言うと香蓮はゆっくりと首を横に振り、僕の言葉を否定する。

 

「ううん、〇〇は悪くないよ。私だってGGOはそういう世界だって知ってたはずだし、そもそも薦めたのは私。でも、でも・・・。やっぱり私、例えゲームの中であっても〇〇が私の目の前から消えちゃうなんて嫌だよ・・・。」

 

──なるほどね。大丈夫、僕はずっと香蓮の傍にいるから。

 

「・・・本当に?」

 

──うん、本当に。

 

「ずっと一緒?」

 

──ずっと一緒だよ。

 

「死ぬまで?」

 

──もちろんさ。

 

「それなら・・・。良かった・・・。」

 

僕に乗るようにくっついて来る香蓮の頭をゆっくりと撫でながら。愛おしい気持ちを実感していると。急に香蓮が僕に跨るような姿勢になる。

 

「良いこと考えた・・・。」

 

──?いい事って?

 

「〇〇は今日からGGOで1デスする度に私とエッチすること♪」

 

──・・・へ?

 

「もちろん、する時はゴム無しでね♪」

 

──いや、それだといつか妊娠しちゃうんじゃ・・・。

 

「何か問題でもある?私は〇〇のことが大好きで、〇〇も私が大好き。そして、さっき死ぬまで一緒っていうことは、結婚してくれるってことでしょ?どこも問題がないじゃない。」

 

──いや、僕達まだ学生だし、それに、香蓮だって学生のうちに妊娠しちゃったら大学を退学しなきゃならないよ・・・?

 

「そうなったらそうなった時よ。最悪お姉ちゃんやお兄ちゃんのコネがあるから働き口はなんとでもなるし。」

 

部屋が暗くてよく見えないが、恐らく今の香蓮は何を言っても聞いてくれない状態だろう。僕的にはまだまだ学生の内に香蓮と楽しみたいことがあるけど、それが香蓮の選択ならできる限り尊重してあげたい。

 

──・・・はぁ、分かったよ。

 

「やったぁ!〇〇大好き♡それじゃあ早速・・・。」

 

そう言って香蓮は僕のズボンを脱がそうとしてくる。

僕は必死に脱がされまいとズボンを死守しようとするが、抵抗虚しく脱がされてしまう。

 

──ちょ、ちょっと香蓮!?

 

「ん?どうしたの何か問題でも?」

 

──今日は1デスもしてないはずだよ!?

 

「うん、知ってる。だからちゃんとゴムは使って上げるから安心して?」

 

──いや、そう言う意味だけどちょっと違うような・・・!

 

「それとも、〇〇は私とエッチするの嫌・・・?」

 

香蓮は少し涙目になりながら僕の胸元にひっつきながらそう行ってくる。

 

僕は香蓮の弱いところを色々知っているが、香蓮も僕の弱いところをたくさん知っているからかそれを上手く使ってきた。

 

──う、・・・分かったよ。でも、1度シャワー浴びよう?もしかしたら僕汗臭いかもしれないから。

 

「いーや♪それに私は〇〇の匂い大好きだから問題ないよー♡ん・・・。」

 

そう言うと香蓮は僕の口を塞ぐ。

僕の口の中を侵略するように香蓮の舌が中に入ってきて、こうなった香蓮はもう止まらないと、経験上で分かってしまった。

 

 

 

 

 

 

その夜は結局、香蓮が持ってきていたゴムを全部使い切るまで寝させて貰えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




うおぉぉ!ガンプラ作るのたのしぃぃぃ!
ごめんなさぁぁぁあい!!


いや、本当に早くだす詐欺してすみません、はい・・・。


次はまた日常回になります!


追記。

この話を投稿した後にお気に入りを確認したら、な、な、ななんと!
お気に入りが1000を突破していました!!
皆さん本当にありがとうございます!!
これから頑張らせて頂きますのでよろしくお願いします!!


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