魔砲少女プリズマフェイト ~dulce espejismo del destino~ (上城麟32)
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プロローグ
第1話 ~転生~


初投稿なので……稚拙な文章が多々あるかもですが。
めげずに頑張っていこうかと。

※注意書き※
1.書きたいことを適当に書きつつ、勢いだけで突っ走ります。
2.ついてこないと振り落とされます。その場合は、回避推奨です。
3.これが私の全力全壊です。
4.オリ主転生ものです。
5.テンションの浮き沈みが激しいです。支離滅裂多々有り。

それでは、以上の注意事項に同意できる方は、
気をつけていってらっしゃい。


-リニスside-

 

届くことは絶対にありえない……

それなのに、私はありえない希望に(すが)った。

次元の狭間に消えていくそれに願いを託す。

消えいくそれに、私の運命を重ねて…。

 

-side end-

 

 

 

あなたに未来を託します。

 

私には時間がありません。

プレシアを止めるための時間も。

フェイトにたくさんのことを教える時間も。

 

プレシアは後悔の念に取り付かれています。

 

今は私がいるから、フェイトへのあたりも抑えられていますが。

私がいなくなったときのことを考えると心配でたまりません。

 

私の想いを(つづ)った日記を次元断層の彼方へ送りました。

 

私は耐えられなかった。

独りで解決できない自分がもどかしくて。

時間がないのが悔しくて。

 

ですが、本当に奇跡があるのなら。

誰かに私の願いが届くのなら。お願いです。

どうか、フェイトを……プレシアを救って下さい。

 

私にはあの2人を救うには時間が足りません。

 

フェイトにはたくさん友達を作って欲しかった。

プレシアにはアリシア亡き後に生まれた命をもっと大切にしてほしかった。

アリシア…すいません。私はあなたのことを記憶から消されました。

猫のときの記憶。あなたと一緒に過ごした記憶。

きっと大切だった思い出。

私の記憶はもうないけど、せめて、あなたの妹と母は救いたい。

 

お願いです。どうか…私の大切な人達を。

 

 

━━━━

 

 

 

 

 

 

日常が壊れる瞬間それは誕生する。

 

 

 

 

 

…………暗転…………

 

 

 

やれやれ、思いの強さというか思い込みの強さというかなんというか。

ただの妄執で転生までたどり着く人間がいるとはね。

 

ここのゲートが開いた以上、対応しないわけにもいかないか。

ほんと。どうしたものやら。

勘違いもここまでくるといっそ気持ち悪いよ。

ストーカークラスだね。全く、清々しさの欠片もないよ。

書き換えも多いし……ん?なんだいコレ━━

 

転生者の覚書

1.魔力量ありえないくらい…。

2.幸運と直感はレベル振り切れるくらい。

3.2機のインテリジェントデバイス。

4.クラスカード全種類所持。

 

はぁ……まったく要望だけは多くて困るよ。

さて、そろそろ起きてくれないかな?

は?目も開けないし話せないって?

はぁー。君は本当にアレだね。体なんて想像するから余計な思念が働くのさ。

よく言うだろ心の目とかいうだろ?アレだよ。

想像で超えて来たなら、想像で対応してみせてよね。

まったく愚鈍な人だね。お兄さんは。

これからもっと大変な場所に転生しに行くのになさけないね。

 

「おい」

 

お、やっと話せたのかい?おめでとう!

これでお兄さんにも魂のなんたるかは理解できたのかな?

 

「ちょっと待て、まったくわけわかんねーよ。」

 

なにが?

 

「言葉ままの意味だろーがよ!

 なんで俺はここにいるんだ?てか学校は?

 いや、俺…就職したはずだろう!?

 ココドコだよ?」

 

不可解な物言いだね。

お兄さんが望んだ場所にきた。

ただ、それだけだよ。

あ、いや、まだ記憶が混乱してるのかな。

そう、ここは望む場所に行く少し前だ。

だけど、もう着いてるともいえる。

さて………………

 

「あのな、禅問答してるんじゃないんだ。質問には完結に答えてくれ。

 なぜ俺の体がないんだ?

 魂?はぁ?何それ?美味しいの??」

 

やれやれ。魂なんてのは君の分かり易い概念の話で……

そも魂とは………となると説明するのに……

だいたい君の人生の倍はかかるよ。

それにそんな時間ないんだよね。

君が召喚されたというか転生させられたせいでもあるんだけど。

 

「なんなんだよいったい……ん?

 転生?召喚って……まさかのご都合主義なんじゃ。」

 

さてね。説明できるものでもないし、理解できることでもない。

なら、受け入れて進めばいいよ。

召喚されるなんていうのもいい体験になるんじゃないかな?

英霊の気分初体験てやつだよ。

 

「……はぁ、説明する気はないんだな。」

 

俺が脱力すると。

 

説明しても理解できないだろうからね。

まぁ、端的に言うなら、君は死んだ。

思いのほか不可解な死だったため、

転生して今後の生をそこでの生を受けることによって補填しようと考えたわけだ。

そうして、君の魂は通常ではこれない場所に辿りついてしまった。

これもまた、なぜか生前の君とゆかりのある日記によって、

これからとある場所に召喚さるという具合さ。

その転生準備中段階が今のこの場所ということになるかな。

説明をかるーくまとめるとこんなところだよ。

 

「………いやいやいやいや!全然意味わかんねーよ!」

 

おっと、時間だ。ごめんね。そろそろ転移が始まっちゃう………

ゲートもこのまま開きっぱなしだと

イロイロと混ざってしまうからマズイんだよね。

収集がつかなくなるってやつ?

 

少年はやれやれという風に降参のポーズをとる。

 

「ゲート?てか転移とか転生とか……いったい何だ!?」

 

君が望んだ場所へ。

達者でねお兄さん。また会えるといいね!

そうだ。せっかくだし、お兄さんに新しい名前を贈るよ。

 

「はっ!?いらねーよ!いったいなにが……………」

 

 

 

 

━━前えと進むもの、強き思いを携えるもの、己の意思を貫くもの

 

 

 

 

「一志」

 

 

少年に名を呼ばれた瞬間に黒い闇に飲まれるように俺の意識は遠のいた。

 

 

 

 

はふー、やっと終わったー。

でも、なんでここに来れたのかなー。

 

たしかに強い願いの波動みたいのは感じたけど…

それに召喚されるって、普通に理解できないし…

うーん…もしかして、あの日記…

あれのせいで一瞬だけど繋がったから…

その影響で願いに呼応した魂が呼び寄せられて、

流されてきたってことかな。

いや、まぁ、いいか。

 

 

 

じゃあ、またね、お兄さん。よい旅を…




初めまして、駄文極まりないですが。。。
末永く、暖かく見守っていただけると幸いです。
なるべく定期的に更新できればと。。。
飽きたり他の作品書こうとしたりで浮気性なところあるので、
なかなか進まないかもです。


蛇足


クロスゲート存在世界。
語りのモチーフは舞姫のナギ。

悩みながらも随時更新していきます。
駄文極まりないですが、ご容赦願います。
今後も気が向いた時にでも見てやってください。

更新は不定期になりそうな…


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第2話 ~カレイドライナー~

※注意書き※
1.書きたいことを適当に書きつつ、勢いだけで突っ走ります。
2.ついてこないと振り落とされます。その場合は、回避推奨です。
3.これが私の全力全壊です。
4.オリ主転生ものです。
5.テンションの浮き沈みが激しいです。支離滅裂多々有り。
6.勝手に文章変える。それ、デフォルトだから。
7.駄文、それこそが至高。

それでは、以上の注意事項に同意できる方は、
気をつけていってらっしゃい。


フヨフヨと海の中を漂っているような感覚だ。

そうまるでハンモック……に揺られてって……

 

さて、どうしたものか。

というか、あれはなんだったんだろう。

夢の中で出会ったような?そうでないような……

 

 

永遠にも似た時間、ただ漂っていた。

━━━━というか流され続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………好転…………

 

 

 

 

やれやれですねー。

最高位の魔術礼装である私たちが、まさか男のマスターに仕えなければ、

この状況を打破できないとは……世も末です……

 

いいえ、姉さん。経緯はどうあれ、

この方は私たちのマスターとして相応しい魔力量です。

どういった人であっても敬意を払うべきです。

 

あれ、サファイアちゃん今のは……

 

…………

 

…………

 

「ってなんか話せよ!」

 

<あ、やっと起きましたね!>

 

<お目覚めですか?>

 

 

…………んん???

これって、もしかして……。カレイドステッキか……??

 

<そうです!私たちはカレイドステッキと呼ばれる、

 最高位の魔術礼装。

 しかも、魔力供給無制限、A+ランクの魔術障壁や物理保護、

 常時リジェネ、身体能力強化改、

 マスターの空想を元に現実に奇跡を具現化する

 などなどetcetcが付与される!!!

 私たち姉妹さえいれば、だいたいどんなことでもできてしまう!

 ほんとにーにありえないくらい、素敵なスッテキなんです!!>

 

「うっ……いや、近いし、意味不明だから!」

 

凄い勢いで迫ってきた迫力に押されて息を呑む。

 

<姉さん、面白い冗談でしたよ。

 でも、そんなに迫っても事情を把握しないうちは何が凄いのか、

 理解できないしょう?まずは自己紹介から始めませんか?>

 

<仕方がありませんねー。

 では、改めまして!

 私は愛と正義のマジカルステッキ!

 ルビーちゃんです!どうぞ宜しく!>

 

<サファイアと申します。姉がお騒がせして申し訳ございません>

 

「もう何が何やら……

 なぜに、カレイドステッキがここに……

 てか、俺はどうしてここに?とかイロイロあるんだけど……。

 とりあえず、 俺の名前は一志。

 よろしくな。ルビー。サファイア」

 

<<はい、よろしくお願いします一志さん>>

 

ルビーとサファイアにギュッと手を握られる。

あの羽みたいなのは手の役割でも果たしているのだろうか…。

 

<からのー……

 ルビーエンジェルボイスレコーダーかつて在りし日の赤い悪魔の悶絶!>

 

「はっ……!?なにか誰かのあられもない声が聞こえてくる!!」

 

<ふふふ、これはいつぞやの復讐のために取っておいた

 秘奥義!!秘中之秘というやつです!>

 

<まったく、姉さん…いったいどこでそんな声を録って来たんですか?>

 

<あの日あの時であの場所で!そんな感じです、サファイアちゃん!>

 

なんてイイ形のサムズアップしやがるんだ……

てか、俺それどころじゃねーし。なにせ……

こんな状態だからな⇒( ̄TT ̄)

 

「くっ…これはDTには辛い。

 反則級の耳がシャーワセアタックだと…!?」

 

<うふふふ。さて、そろそろいいでしょうか?>

 

<そうですね。これくらいの量があれば、十分です>

 

「なに!?いったいどういうことだ!?」

 

<契約には「名前の認証」「体液の採取」「直接接触」という

 決まりがあるんですよ!そのためのDTへのダイレクトアッタクです!>

 

<姉さんの物言いには若干の訂正を加えます。

 別にDTじゃなくても、だいたいはこのような方法で大丈夫です>

 

「ちょ、お前ら存外に酷いぞ……いくら俺が妖精前だったとはいえ。

 容赦ないな……。もうちょっと優しくしてくれ」

 

<まぁまぁ、いいじゃないですか~そのおかげで、

 耳が幸せボイスを聞けたんですから。

 そして、おめでとうございます!一志さん!

 これであなたは私達姉妹のマスターとなりました!>

 

ドンドンドンパフパフ~!!

という効果音がなりそうなくらいはしゃぐルビー。

 

<よろしくお願いします。マスター>

 

「なんか、納得いかないが……

 改めて、よろしくなルビー!サファイア!」

 

<では、改めて、今の状況を整理しましょう>

 

<さすが、サファイアちゃん!>

 

「そうだな。お互いが知ってる情報を共有しておこう」

 

 

 

 

 

<では、まず私たちがここに至る経緯をお話します>

 

<私達は別の異世界からやってきました。

 私達を作った人は、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。

 通称:大師父と呼ばれています。よく平行世界を旅している変態老人です。

 あるとき、私達は平行世界へ行くとろこを生徒に見せるため、

 手伝ってくれと大師父に言われました>

 

「大師父ってのは、あの?

 五人の魔法使いのうちの1人で、

 第二魔法「平行世界の運営」の使い手だったよな?」

 

<そうですね。よく知ってますね?>

 

「あぁーまぁ、あれだよくあることだよ」

 

<………??そうですか?なんか怪しいですけど。

 まぁいいです。今は不問にしておきましょう>

 

<私たちの元いた世界のマスター達が、

 小学校の夏休み中だったので、

 この機会に私達姉妹も一度ロンドンに帰省しよう。

 ということになったんです>

 

「ん?ちょっと待て。小学生のマスターって……

 もしかして、銀髪の幼女か??」

 

<またまたよく知ってますね~一志さん>

 

「ん?うん。そう、よくあることなんだよな」

 

ルビーのジトーっという視線を感じるが、

無視してサファイアに話の先を促す。

 

<私たちが時計塔に帰ると大師父が第二魔法「平行世界の運営」

 を授業としてやってみることにする……ということで、

 私達もちょうど帰省していたので、お手伝いすることに。

 そして、それは時計塔での唯一の登校日に

 授業を執り行うことが決まったのです>

 

<しかし、運悪く、なぜか大師父と元に訪れていた……

 赤い悪魔と青い乳魔神に、

 私達が平行世界に行く授業をすることがバレてしまいました>

 

<ほんとーにあの二人に困ったものですねー。

 呼んでもいないのに授業に参加したあげく、あの騒ぎですからねー>

 

<はい、本当に困ってしまいます>

 

「その……悪魔と魔神ってのは…

 もしかして、遠坂さんとルヴィアさん?」

 

<……もうなんで知ってるかは問いません。

 そうですよ。その二人です>

 

「で、その人達を授業に参加させるのが、

 なんで、困ったことになるんだ??」

 

<あの二人が揃うというのがもうフラグですよ!

 一志さんもご存知なら理解できそうなものですけど…>

 

<そうです。あの方たちが揃ってしまった以上、

 あの事態は避けられるものではなかったでしょう。

 そもそも、お二人がこの授業を受講するには

 まだ、単位も足りないため、来年以降になるはずでした。

 ただ、この大師父の授業は常に不定期開催ということから人気が高く。

 あのお二人も例に漏れず、受講したいというのは後が立たなかったのです>

 

<まぁ、熱意だけはある人たちですからねー。

 大師父もあの勢いで詰め寄られたら、ノーとは言えなかったんでしょう>

 

<大師父はお二人のうちどちらかを授業に特別に招待するとか

 言ってしまったのが、問題でした>

 ━━━━これは、マズイなと思ったときには……

 もう既に、口論が展開され、ガンドの撃ち合いが始ってしまい。

 危険を察知した大師父は平行世界に逃げようとしましたが。

 一瞬遅く…次第にエスカレートする撃ち合いは、果ては

 宝石魔弾の撃ち合いになり……

 1時間もしないうちに時計塔がほぼ全壊しました……>

 

<その影響かはわかりませんが。

 大師父が中途半端に使用した第二魔法の影響なのか、

 時計塔が崩壊したせいか定かではありませんが…

 魔力の力場が、おかしな方向に作用して次元の歪みが発生>

 

<私達2対のステッキは半ば事故に巻き込まれるようなカタチで、

 次元断層に放り込まれてしまったのです>

 

「壮絶な顛末だな……。

 というか、それさ……

 時計塔にいた人達や遠坂さんやルヴィアさんは無事なのか??」

 

<大師父は元より、お二人も無事でしょう>

 

<そうですねー。殺しても死なないというのが正しいかもしれませんが>

 

「え、なにそれ怖い」

 

<ともかく、私達2対のステッキは、

 この次元断層からの脱出を図るも、

 自力での脱出は不可能と判断>

 

<このまま大師父が見つけてくれるまでの永遠にも似た時間を

 この何もないところで過ごすのかと嘆いていたところに……>

 

<そうです!そんな、悟りを私たちが開こうかとしているとき、

 ありえないというか、バカげた魔力を探知しっちゃったんですよねー>

 

「それが俺だと??」

 

<ご明察ですー>

 

<まさにその通りです。

 永遠に次元断層を漂うわけにもいかないので、

 私達のマスターとして半ば強引に契約させてもらいました。

 私達の状況はこんなところです。

 それでは、一志さんはなぜこんな場所に?>

 

 

 

「うーん……

 なんか、変な場所で変な奴に会って、

 飛ばされたと思ったら、ここにいたみたいな?」

 

<というかですねー、一志さん。

 ここは人間が自己を保てるような場所ではないわけなんですよねー。

 なぜ、一志さんは自己を保っていられるのでしょう?>

 

「そんなこと言われてもな。。変な奴がいろいろやってくれたから?とか。」

 

<はぁー変な奴ですか?>

 

またもジト目でこちらを見るルビー。

いやわかるよ。目なんてないよね。ステッキだもの……

だけど、それくらいの圧力かける言い方だったんだよ……

俺もわかってるんだよ。おかしいってのは重々と承知の上さ。

だけど、仕方ないじゃないか、しょうがないじゃないか。

だって、前に出てくるから!?!?って違った……

これって転生だよな……俗にいうところの……。。

しかも、あのナギっぽい少年めー。なにが召喚されるだ……

全然目的の場所だかに着いてないし、流されまくってるじゃないか。

 

 

まぁいいか。

存在しちゃったんだから。

存在することは悪じゃないって言うし。

うん。たぶん大丈夫!

こういうとき、男ならドンと胸を張るんだw

って、トムさんが言ってたw

 

てか、俺の能力ってそもそもなんだろう……

もしかして、さっき言ってたバカげた魔力なのか??

たしか覚書だかになんか書いたような記憶が薄らと…

それだけでも凄いチートだし、ルビーとサファイアもいるから、

━━━━あれ、考えてみなくてもこれって俺最強なんじゃね…。

 

 

 

 

 

 

内心で一志がこんなアホなことを考えてる最中。

ルビーとサファイアはそんなアホについて念話中であった。

 

 

 

 

 

<姉さん>

 

<なんですかサファイアちゃん>

 

<一志さんはきっと人間ではありませんよ?>

 

<まぁーそうですよねー。

 こんなところに存在できる人間がいるわけないですよね>

 

<大師父でさえ、私達を見つけられるか微妙な場所ですからね。

 なにせ、ここは、魔力すら存在しない場所なのですから>

 

<そうなんですよねー。

 でも、一志さんが来てからはなぜか溢れんばかりの魔力が、

 そこらじゅうから吹き出していますからねー>

 

<これは、私の推測になりますが、

 バカげた魔力が彼に与えられている理由は、

 途方もない祝福のおかげか、

 とんでもない幸運の付与がされているのではないでしょうか?

 それこそ、神々の祝福ともいえるほどの……。>

 

<考えられる線はそれくらいですねー。

 私達が契約できたのも魔力が溢れ出したからというのが本音ですし。

 そこは神だか変な奴だかというのに感謝感激ですけどねー>

 

<そうですね。私達も当分は元の場所に帰れなそうですから。

 一志さんとご一緒するのも悪くないかもしれません>

 

<そこでなんですよねー。

 帰る方法わからないですからねー>

 

<なんとかマスターになった一志さんに頑張ってもらって、

 いつか元の世界に返してもらうというのが、今後の目標になるでしょうか?>

 

<そうですねー。マスターになったんですから、

 それくらいやってもらわないと割に合わないですよ!>

 

<そうですね。姉さん>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<どうやら、一志さんの言う召喚された場所に

 そろそろ着くみたいですね>

 

 

<みたいですね~なにやらあたりに光が差し込んできたような…

 では、一志さん!サファイアちゃん!

 そろそろ対物理結界と魔術障壁を展開しておきましょう>

 

<はい。姉さん>

 

 

光が強くなって目が眩む。

 

<一志さん気をしっかり持ってください>

 

<そうですよ!マスターたる者、この程度の光源に負けてはいけません!>

 

<出ます>

 

「えっ!??!!ちょっ……はゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-リニスside-

 

あの日記を次元断層に放り込んだ数日後……

 

 

 

 

 

今日もフェイトとアルフには課題を与えて、

近くの森でアルフと稽古に励んでいる。

 

フェイトの成長スピードは驚くほど早く、

アルフも使い魔として順調に成長している。

 

ただ、プレシアはもっと早くフェイトに

管理外世界の遺跡等の調査をさせたいらしく、

フェイトへの風当たりは日を追うごとに強くなっていく。

 

本当に時間は残酷ですね。

私の命ももう……。

 

 

「リニス!!」

 

「どうしました、アルフ?」

 

「外にすっごく大きい魔法陣が!?」

 

「え?」

まさか管理局?いえ、ありえません。

いきなりここがバレるなんてことは……。

 

「アルフ、フェイトはどこです?」

 

「フェイトは今、魔法陣に備えて結界貼ってるところ……」

まさか!?いけない。もし、管理局だったら……

プレシアが危険な研究をしてることもそうですが……

フェイトも……。

 

 

私は急いで外に出た。

そこには、ありえないほど大きな転移魔法陣が描かれていた……

なんですかアレは……。

ありえないと呟きながら、魔法陣を注視する。

見たことがない……。この世界の魔法陣なのでしょうか……。

 

「リニス」

 

私が呆けてるところにフェイトが近寄ってきたようです。

「フェイト、大丈夫ですか?」

 

「うん。結界貼っておいたから、うちには被害が及ばないと思う」

 

本当に素直なイイ子ですねフェイトは。

好ましいと思う反面、危うさも孕んでいる。

そんな、気がします……私がいるうちは気をつけたいですね。

「ありがとうございます。フェイト。

 ただ、ここは危険なので、アルフと一緒にお部屋に戻っていて下さい」

 

「でも、リニスはどうするの?」

 

「私は大丈夫ですよ。さぁ、フェイト、アルフをお願いします」

 

「うん。わかった。でも、リニスもちゃんと戻ってきてね?」

 

私の心配をしてくれる。優しい子。

「はい。もちろんですよ。フェイト。

 あなたにはまだ教えることが山ほどありますからね」

 

「うん!リニス、待ってるから」

「早く戻ってねー」

そう言って、アルフとフェイトは部屋に戻る。

本当に優しい子に育ってくれました。

純粋にただ母のためにと。。

でも、フェイトが愛情を向けている母親……

プレシアはフェイトにまるで関心がない気がします。

気づかないフリをしているとでもいうのでしょうか。

はぁー、あんなイイ子を……どうして?という疑問が頭をよぎります。

どうしたものでしょうね……。

 

さて、愚痴はここまでにして、そろそろ転移魔法陣から本命が出そうですね。

 

 

眩いほどの光が魔法陣から放たれた後、

それは何事もなかったかのように消失した。

 

 

いったい、どういうことでしょうね。

 

人が降ってきました……。

 

あれほどの魔法陣から、ただの人が降ってくるなんて……

ありえるのでしょうか???

しかも、少年のように見えますね。

なぜか裸っぽいような……考えても始まりませんね……

 

さて、あれが管理局の人間かそうでないか。

いったいなぜここに来たのか。

厄介事はまた増えてしまったようですね。

これ以上は本当にいらなかったのですが……

 

いやはや、どうして、本当にままならないものです……。

 

 

 

-リニスside end-




進まない…まったく進まない。

いやーやってしまった。
プリヤ好きだからカレイドルビー・カレイドサファイアが友情出演ですw
イリヤとかクロ出したいけど、構想が浮かばない…

しかも、プロローグは3話構成にしたいのに、終わるのかな…

ていうか、フェイトどうした。
ヒロインちょこっとしかでないって。

むしろリニスがヒロインなんじゃね?
いや、まぁ、それでもいいかなーなんて…
次こそフェイトちゃんを押して…ってどうなるだろう…
頑張ります…。


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第3話 ~裸の漂流者~

※注意書き※
1.書きたいことを適当に書きつつ、勢いだけで突っ走ります。
2.ついてこないと振り落とされます。その場合は、回避推奨です。
3.これが私の全力全壊です。
4.オリ主転生ものです。
5.テンションの浮き沈みが激しいです。支離滅裂多々有り。
6.勝手に文章変える。それ、デフォルトだから。
7.駄文、それこそが至高。

それでは、以上の注意事項に同意できる方は、
気をつけていってらっしゃい。


光から抜けるとそこは広大な緑が広がっていた。

 

「……まって、これ落ちてるんだけど!!?!?!?」

 

 

<そうですねー。これは垂直落下といってー>

 

「ってルビーいいから早くなんとかしてくれー」

 

<やれやれ、魔力はバカみたいにあるのに使い方を知らないようですね。

 まったくマスター選びを間違ったような気がします>

 

<姉さん。ボヤいてないで、早く助けてあげましょう。

 じゃないと、

 一志さんの頭部が腐ったトマトばりにベチャベチャになってしまいますよ?

 主に頭部を挫傷して……>

 

「おいサファイア、なんて不吉なことを!?

 って、おおー!?!?!!」

 

<まったくさっきから何度叫んだら気が済むんですか?

 なんとか飛行できるようにしましたけど、

 これは魔力ダダ漏れですね。まるでおもらしです>

 

<一志さんしっかりと制御しないと、

 このままだと墜落の運命は変わりませんよ>

 

「いや、お前たち好き勝手いうけどな、俺は魔法とか初めてで使い方も……」

 

やれやれ、せっかくアレだけの要望に応えたのに、

使う本人が忘れていたら、しょーがないね。

 

一瞬そんな言葉が脳裏を掠めた。

 

「て、待てよ。俺使い方、解かるのか……」

 

落ち着け。思い出せ。何ができて何ができないのか。

イメージだ。もう解は出てる。なら問題は実行方法だけだ。

そう、赤の弓兵が言っていたじゃないか。

イメージするのは常に最強の自分だ。

己に克つのは常に己自信だとかなんとか。

なら……イメージしろ。厨二好きの俺ならできる!

 

 

「できた!」

 

<お見事です!!>

 

「ありがとう、サファイア」

 

まぁ、できたのがTOSのイケメンの羽みたいで若干遺憾だが……

今の感覚でだいたいの事情も把握できた。

 

なぜ、魔法が使えるのかとか直感がありすぎるのもなーとか。

なぜ、自身が前世とも来世とも言える記憶を所持してここに存在するのか。

理解はできないが、感覚として、この魔力の使用方法は理解した。

ぶっちゃけ……ありえなーい。

ほど、楽しい……。なんてことだ。

飛べたよ。俺。すげー。魔力すげー。

ってか魔法って。奇跡じゃん。うわー興奮するわマジ。

 

 

 

 

 

<サファイアちゃん>

 

<なんですか姉さん>

 

<規格外の魔力だけでも人外なのに、

 もう自力で自分の魔力をセーブしだしてるのって一体どういうこなんでしょうね>

 

<えぇ、姉さん。でも、なんだか一志さん楽しそうですよ?>

 

<それなら、いいんですけどねー>

 

<一志さん、はしゃいでないでそろそろ現状の把握をしませんか?>

 

「おぉ、さすがサファイア。」

 

<そうですねー。まずここがどこかもわからないと身動きとれないですし>

 

 

途端、俺の周りに雷がほとばしる。

 

 

<一志さん!回避して下さい!!>

 

<サファイアちゃん、障壁全方位展開!!>

 

「いったいなんだ!?!?」

 

いきなり攻撃された……どこから!?

 

「さて、なんだというのはこちらのセリフなのですが…

 抵抗はしないで下さい。こちらの質問には完結に答えて下さい。

 いいですか?あなたは何者で、どこから来たのですか?

 ━━━━━━それより……服を着て下さい!!!」

 

「えっ……?」

 

あ、マズイ。俺全裸だ。

これは間違いなく不審者という奴だろう……。

あーミスった。最初に服とか所望するべきだっただろう……。

 

<着いていきなり魔導師に遭遇するとは運がないですね>

 

<そうですね。ところで、一志さん……

 戦闘ってしたことありますか?>

 

「は?なにそれ、美味しいの?」

 

なにやら2機からすごい盛大に呆れられた感があるけど…

しかたない。なにせ前は平和の園にいたんだから。

 

<それはもう、しかたありません。最初は誰もが通る道といいます。

 一志さんのアドバンテージはセンスと魔力量でしょう。

 つまり、スペックです。私達もいるので、それも問題ないでしょう。

 ただし、相手の方が実践慣れしてるでしょうから。

 圧倒的にこちらが不利な状況ですね。

 ━━━━━━一志さん??>

 

 

「キャー変態!見るなー!

 ていうか、お前全然なってない!

 なんだって聞いたときは、普通……

 なんだかんだと言われたら!って返すだろう?!」

 

「変態はどっちですか!?転移いしてきて…

 いきなり、裸を見せるなんて。あなた正気ですか?!」

 

俺の返答に敵(仮)は鋭いツッコミを入れる。

ていうか、あれどう見てもリニスだよな……

ということはあれか……ここはアルブヘイムオンライン……

じゃなかった。アルトヘイムってことか……

 

━━━━俺が思考に耽っている最中に

 

<サファイアちゃんの話をきけー!

 このアホマスター!ルビーサミング!!>

 

「ぐっはぁー、目がーメガー……あぁー……」

 

<姉さん……何してるんですか。

 いくら一志さんが変態でDTをこじらせているからといっても、

 目潰しはいけませんよ。こじらせられなくなるように、

 今度からは王に点をつけたほうを潰したらいいと思います>

 

<……サファイアちゃんも案外トサカにきてたんですね>

 

「お前ら、少しは俺を優しく扱うとかないのか?

 仮にもマスターだぞ。」

 

<あ、復活しましたね。

 ところで、さっきから敵(仮)さんが呆然としていますよ?>

 

「なに!?ルビーのせいで呆れられたんじゃないか?」

 

<いやいや、一志さんが初っ端にありえないボケをかますからですよ。

 むしろなぜ裸なのか私達が聞きたいくらいですよ?>

 

━━━━━━ゴゴゴゴゴ

 

「ルビー……サファイアがありえないくらい怖い。」

 

<そ、そうですねー>

 

<二人共そろそろ黙って下さい。

 そして、一志さんは服を着てください>

 

「いや、そんなこと言われても……どうしたら……」

 

 

しばらく惚けていた敵(仮)さんはふぅーっと息をついて……。

 

「もう一度、聞きます。あなた達は何者です?何をしにここに来たのですか?」

 

 

<ど、どうします?一志さん>

「いや、どうするも何も、ここは俺にまかせろ!」

<<…………>>

 

2機のステッキは黙りつつも疑いの目線をマスターに向ける。

 

「いや、お前らの気持ちはわかるけど。ここは任せてくれ。」

 

<しかたありません。姉さん。

 ここは一志さんに任せてみましょう。

 ただし、先程のようなおフザケに走るようなら……>

 

わかってますね?とでも言いたげな視線をマスターに投げつけるサファイア。

 

うぅコエーヨ……大丈夫だと言って敵(仮)さんに目を向ける。

 

「俺の名前は一志だ。

 なぜ裸とか聞かれても決して露出狂などではないぞ。

 たまたま、服を着ていないだけだ。

 そして、ここには偶然……飛ばされたというか、召喚されたというか。

 あれだ、漂流者だ!!」

 

愕然とするような声が2機のステッキから聞こえてくる。

ん?俺なにかマズイこと言ったか?

 

「そうですか……では、変態漂流者の方々。

 ここを速やかに去るのならこちらから攻撃は致しません。

 早く私の目の前から消えてください。」

 

ニコニコしながら、辛辣な発言をしてくる敵(仮)…たぶんリニスさん。

たしかに、漂流者で裸ってのは怪しすぎる。

 

明らかに変態ちっくな自分たちをそうそうに追い出したい気持ちはわかるが。

ここはなんとか話し合いでなんとかできないかと思案するも。

そもそも、裸の男と変なステッキなんてレッテルが貼られては、

いかんともしがたいのも事実である。

 

さて、と思案を重ねていると。

 

<当然の対応です>

 

とサファイアが辛辣な言葉を投げてくる。

いや、たしかに説明下手だったけどさ……

それ以上に俺たちの状況をどう言えって言うんだよ。

自分たちの状況を説明するにも……。

極めつけが裸で転移魔法陣出てきた男って……。

まぁ、関わりたくないよね……

 

 

「どうしたのですか?

 立ち去らないなら、強制的に出て行ってもらいます。」

 

笑顔で言ってるわりに、怖いな……。

 

しかも、左手に魔力、右手に気……って感卦法か!?

いや、そうじゃないか…魔力貯めてるってどうして!?

などと、内心取るに足らないツッコミを入れつつなんとか平静を保つ。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!

 俺たちは別に君に危害を加えるつもりは……」

 

 

「リニス??」

 

「なっフェイト!?!」

 

……あ、やっぱり?リニスって言ったよね。

間違いない…あれがリニスかー。

なんかすげー綺麗だなー。

モンスター娘的な位置づけなんだろうか…

使い魔だからそんな感じか?

なによりも見惚れてしまうほどの魅力があのケモ耳にはあるな。

リニス恐ろしい子!

 

てか、フェイトもいるんだー。

当たり前かー。当たり前に可愛い……

あれを虐待できるプレシアとかマジ処す処す!!

 

 

<一志さん、何惚けているんですか!?

 なんか敵(仮)さんの様子が……>

 

「なんだよルビー進化するとでもいうのか?」

 

<一志さん……>

 

サファイアの無言の圧力により、しかたなく

おちゃらけるのをやめる。

 

━━うーん……こうなったら。

無理矢理にでも話を聞いてもらうしかないな。

決意を込めて呟く。

 

「カレイドライナーツヴァイフォーム」

 

というか最初からこのフォームになっていれば、解決したのかも。

凄い、今更感あるけど……

 

<なっ!?>

<どうして!?>

 

2機がおかしな声をあげる。

 

「説明してる時間はない。

 敵(仮)さんを黙らせる。そして、話を聞いてもらう。」

 

はぁー。と2機から溜息が聞こえるが……。

 

<姉さん>

 

<そうですねー。一志さん。

 なぜできるのかとかはこの際どうでもいいですが……

 このフォームになることはそもそもリスクが伴います。

 例え、一志さんがバカげた魔力量を持っていたとしてもです>

 

<姉さんの言う通りです。

 魔力の総量でいうなら、一志さんは規格外のEX。

 ですが…… その総量をもってしても、

 今の状態は長く続けられません。

 一志さんの魔力運用の知識が足りないというのありますが、

 なにより、このフォームは諸刃の剣です。

 リンカーコアを著しく傷つける可能性を孕んでいます。

 仮にリンカーコアを傷つけないようにして、

 あらゆる神経系を魔術回路にみたて

 擬似的な魔術回路を作ったたとしても、

 もって、3分でしょう>

 

わかった。そう言って、俺は敵(仮)さんと向かい合う。

内心ではウルトラマン一志か…

やべーちょっとテンション上がるとか思っていたが。

さすがにもう怒られたくなかったので、真面目にやることにする。

なんだかんだと、初陣になってしまったが。

自分の力を確認できる。良いチャンスだと捉えることにした。

 

心を切り替える。

 

途端……来る!

 

直感が告げていた。

さすがに、直感と幸運のレベル振り切っただけはあるな。

私にも敵(仮)が見える!

 

空戦機動において、大事なのはセンスだ。

必要なのはセンス。そうバカげた才能が必須スキルだ。

 

(仮)の動きは早かった。

きっと目では追えていなかっただろう。

 

だけど、直感した。死角から来ると。

 

初撃はスタン系の直接攻撃ってことかな。

 

つまり、あれだ。

当たらなけれえば、どうということもない!てやつだ。

直感力がアホほど高いせいか、空戦機動もものの数秒で慣れた。

これならイケル。てか俺……すげー!大興奮だ!!

めちゃめちゃイケてるー!ひゃっふーって感じだ。

 

<……一志さん。先ほどから飛行の際に、

 無闇に興奮して、笑顔になりながら戦闘するのは止めて下さい。

 不気味すぎます。怖いです>

 

えっ顔に出てたの……

サファイアに注意されつつも、リニスの攻撃を回避する。

攻撃が短調すぎて、怪しい。

直感はこういう回避面でも大いに役立ってくれるな。

 

「ルビー、敵(仮)が魔術拘束をしてくる可能性がある。

 素早く解けるように準備しておいてくれ。」

 

<はぁ、そんな兆候は見れませんけど……

 全くステッキ使いの荒いマスターですねー>

 

そんなことを言いつつもリニスの攻撃は止まない。

単調な攻撃とはいえ、雷槍の雨がアホほど降り注いでいる。

 

スピードを活かして森に逃げ込めんでみたものの、

雷槍の雨は木々を縫うようにこちらに飛来してくる。

 

森を抜けると思った瞬間にバインドが展開された!

 

「もう、鬼ごっこは終わりです。」

 

「そうだな。」

 

こっちもそろそろ時間に限界がきてる。

素早く決着を付けようと思ってたのに……

楽しくて忘れていたわけでは……ない。決して……。

スプライトムーブばりの回避スピードを実現できたのが嬉しくて、

目的を忘れていたわけでも……ない。決して……。。

 

「フォトンランサー・ファランクスシフト」

 

瞬間……高密度の魔力槍が周りに展開され、無数の雷槍が放たれる。

雷槍が回転をあげて幾度も迫る。

 

 

 

「━━スパークエンド。」

 

 

 

しかし、こちらには届かない。

 

<一志さん。バインド解除完了です>

 

「ありがと。サファイア。

 さすがに、あれは防御しないとマズイね。」

 

そういえば、カードもあったはずだ。

……試してみるか。

 

「クラスカード召喚。アーチャーインストール! 

 熾天覆う七つの円環(ロ ー  ア イ ア ス)

 

4輪の花弁が展開されて、(仮)の攻撃を防ぐ。

初のカードインストールだからかランクが落ちていたようだ。

魔力量的にはランク落ちしないで展開できそうなもんだけど。

それは今後の課題かなんて、考えつつ。

なら…上書き(オーバーライト)夢幻召喚(インストール)も試すか……

 

「ここからずっと俺のターンだ!

 告げる!

 汝の身は我に!

 汝の剣は我が手に!

 聖杯のよるべに従い

 この意この理に従うならば応えよ!

 誓をここに!

 我は常世全ての善と成る者!

 我は常世全ての悪を敷く者!

 汝 三大の言霊を纏う七天!

 抑止の輪より来たれ天秤の守り手よ!

 上書き(オーバーライト)夢幻召喚(インストール)

 クラスカードセイバー!!」

 

「なっ」

 

それは誰の驚きだったか……

異世界からのカードによる英霊召喚。

このカードを介して英霊の力を擬似再現できる。

 

「サファイア…ルビー…

 バインドの準備はいいか?」

 

<準備完了です>

<大丈夫ですよ>

 

獣縛の六枷(グレイプニル)を模したバインドをルビーとサファイアが展開する。

 

「ロック!」

 

「バインド!?いつのまに!?」

 

「空中戦ならば、地上を焼き払う。。憂いもない!!」

 

それは人々の想いを糧に星によって編まれた……

最強の幻想(ラストファンタズム)

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」




はぁ…全部会話じゃね?
もうね。そうよ。
そうなんですよ。
ごめん。文章力ってないの。

想像力…もとい妄想力しかないの。
それも書くとなると…
一割も伝えられてるかどうか…。

戦闘中の妄想BGMは「ヤーチャイカ」

てか、3話でプロローグ終わるんじゃなかったの??
えっと…終わりと続きを見いだせないままここまできてしまって。

たぶん5話くらいになればいいかなーと。
いろいろ書き足したり、修正したりしつつ、また更新できるよう精進します。


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第4話 ~裸の漂流者2~

※注意書き※
1.書きたいことを適当に書きつつ、勢いだけで突っ走ります。
2.ついてこないと振り落とされます。その場合は、回避推奨です。
3.これが私の全力全壊です。
4.オリ主転生ものです。
5.テンションの浮き沈みが激しいです。支離滅裂多々有り。
6.勝手に文章変える。それ、デフォルトだから。
7.駄文、それこそが至高。
8.話のテンポ悪い。。中だるみ有り。
9.文章が会話頼み。

それでは、以上の注意事項に同意できる方は、
気をつけていってらっしゃい。


-リニスside-

 

「フェイト!?」

家の中で待っていてと約束したのに!

念話を使って、アルフを呼び出す。

 

<アルフ?フェイトが外に……>

 

間髪入れずにアルフが叫ぶ。

<ごめんよリニス。フェイトがどうしてもリニスが心配だから、

 ちょっと見に行くだけだって言うから……>

 

こめかみを押さえつつも嘆息する。

<アルフ、約束は破るものではないですよ?>

 

うぅ、ごめん…としなだれるアルフ……

もう…しょうがないですね。

フェイトに念話を送る。

 

<フェイト、彼が何者かわからない以上、近づくのは危険です。>

 

<でも、魔法陣から人が……>

 

<フェイト、私は彼を元の場所に帰ってくれないか説得してきます。

 フェイトは大人しく家で待っていて下さい。>

 

<でも!何をしに来たかも、目的も何も聞かずに帰れなんて……>

 

<プレシアは今、研究で忙しいでしょう。

 きっと、得体の知れない彼を研究の邪魔だ、と思うはずです。

 そうなるとあなたの今の行動が、

 母の研究を間接的に邪魔している……

 という風にプレシアに捉えられてしまうかもしれないのですよ??>

それでも、いいのですかと無言で問いかける。

 

<わかった……リニスの言うとおり、家の中に戻る。>

 

さすがに母親をダシにするのは卑怯でしたね……反省です。

さて、残ったのは不審な自称漂流者さんと奇妙なステッキ2対……。

 

プレシアはきっと研究に没頭して外の事態に気がついてないでしょうが…

もし、気づかれたらきっと漂流者さんがピンチになってしまいます。

そうなる前に出て行ってもらわないと……

 

イマイチ話し合いができませんでしたが……。

致し方ありません。あまり、気は進みませんが。

強制的に出て行ってもらいますか。

 

思考を切り替えると、素早く魔法陣を展開し、

プラズマランサーを周囲に展開。無数の雷槍が出現する。

 

あとは魔力ダメージでKOして。

気絶してるうちに適当な場所に転移させれば、終了ってところですかね。

 

と見せかけておいて……

ソニックドライブで近接攻撃。

ゼロ距離からのサンダースマッシャーで終わり!

 

しかし、スマッシャーは擦りもせずに避けられる。

 

反応された!?確実に仕留めた間合いだったはず……

 

リニスは混乱しつつも体制を立て直して、雷槍で仕留めにかかる。

 

森の中に逃げ込まれてしうのは厄介だとリニスは感じつつも。

相手のスピードが思いのほか早い。

 

フェイトと同じいえ、それをも凌ぐかもしれないほどの天性のスピード。

 

スプライトムーブに似たような、もしくはそれ以上の鋭い機動で躱されていく。

それはまるで舞でも見ているかのような軌跡……

ついついそれを見入ってしまった。

 

━━いけない

と、リニスは気を引き締め直す……

 

そうだ、躱されるのなら、躱されないように工夫するだけ。

 

リニスは森を抜けるタイミングを図ってバインドを展開。

 

凄い子、年もフェイトより少し上?くらいなのに。

こんなに凄い子が他にもいたなんて……

 

驚いていた。だが、表情は変えずに、淡々と告げる。

 

「もう、鬼ごっこは終わりです。」

 

高密度の魔力槍をあたり一面に展開。

フェイトにいずれ教える、あの子の切り札になる魔法。

 

「フォトンランサーファランクスシフト」

 

防御すら貫く無数の雷槍を幾重にも放つ。

無慈悲なまでの貫通力をもつ雷槍の雨を降らす。

 

「……スパークエンド。」

 

さて、これであとは漂流者さんを回収して、転移させて一件落着ですかね……

 

爆煙が晴れていく……

 

ありえないと今日何度目かの呟きを漏らす。

届いていなかった…

最高の貫通力を誇る雷槍をもってして、無傷。

 

「ここからずっと俺のターンだ!」

 

漂流者の声が聞こえる……。

そして、爆発的な魔力に応えるように魔法陣が展開される。

 

なんて魔力量……SSSを遥かに超えている…………

驚愕に染まるリニス……

 

「クラスカード召喚。セイバーインストール!」

 

あれは!?騎士甲冑……?白い綺麗な色………

そういえば、さっきから魔法陣も見慣れない魔法陣を展開している気が…

ベルカ式の魔法?それに騎士の鎧。

マズイ!?ベルカの騎士……

 

瞬間……リニスの手足が拘束される。

 

「バインド!?いつのまに!?」

 

見たこともないバインドに阻まれて、

動けないリニスに最悪の報が舞い込む……。

 

<リニス…!?フェイトが……

 フェイトが戻らないんだ……>

 

なっ!?アルフの言葉はあまりに衝撃的だった…

 

フェイトが戻っていない……

 

━━近くでこの戦闘を見ている?!

 

「空中戦ならば、地上を焼き払う…憂いもない!!」

 

見たことのない術式。

なかなか解けないバインド。

所在不明のフェイト。

 

リニスが焦るほどにバインドは自身を締め付ける。

 

そして、光が一面を覆い尽す。

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

リニスの驚愕は続く。

あまりにもありえない力を前にしての驚愕と、

自身を庇うように極光の前に出てきたフェイト。

 

リニスにとって完全に予想外な出来事であった。

 

「いけません!フェイト!!!」

 

-リニスside end-

 

 

 

 

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

 

………………………………あれ???

 

 

<一志さん。>

 

サファイアの落ち着いた声が響く。

 

「━━━━これってどういうこと?」

 

<3分経ちました。時間切れです。

 なので、エクスカリバーは発動しませんでした。>

 

………………えっ。

 

いつの間にかセイバーの甲冑は消え、

ツヴァイフォームも消え、裸に戻っていた……

 

そして、また……。

 

<サ、サファイアさん!?これ落ちてませんか??>

 

<そうですね。魔力切れによって飛行を保てません。>

 

<魔力運用できていないのにあんなバカスカ魔力消費するからですねー。

 ただ漏れの尿がごとくってやつですよ…おじいちゃんかと思いましたよ。>

 

ルビーとサファイアにまたも辛辣な言葉をかけられる。

 

話そうとしても意識が朦朧としてくる。

あれ??なんか急激に……。

 

<それは魔力切れってことですね~。>

 

そんなルビーの言葉を聞きながら、俺の意識は途切れた……

 

 

-リニスside-

 

フェイトが盾になろうと、飛び込んで来た時には、

生きた心地がしませんでしたが。

 

なんとか二人共、無事なようです。

しかし、よく無事でしたね。

あれほどの魔力が一瞬で消失したのにも驚きですが。

彼はまるで原石ですよね。

あんなに凄い魔力があるのに、一瞬で使い尽くして、魔力切れでダウン。

素人なんでしょうか……まさかですよね。

 

リニスが思考に耽っている間にフェイトは落ちていった漂流者を助けていた。

その顔には若干の赤さがあるようだが、裸に少し照れているのかもしれない。

 

リニスは微笑みながらも。

 

さて、フェイトにもお説教をしないとですし、

さっきは、服も着ないでここに漂流してきた……

という彼の話を半ば強引に遮って、

あのような形になってしまったので……

少し……間違えました。

厳重に拘束して、話でも聞いてみましょうか。

 

リニスはにこやかに物騒なことを考えつつ、帰路につくのであった。

 

 

 

-リニスside end-




会話ばっかりのストーリー進行は治らず。

…5話でプロローグ終わるかなー??

アドバイスなどなど是非お願いします。


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第5話 ~願い~

※注意書き※
1.書きたいことを適当に書きつつ、勢いだけで突っ走ります。
2.ついてこないと振り落とされます。その場合は、回避推奨です。
3.これが私の全力全壊です。
4.オリ主転生ものです。
5.テンションの浮き沈みが激しいです。支離滅裂多々有り。
6.勝手に文章変える。それ、デフォルトだから。
7.駄文、それこそが至高。
8.話のテンポ悪い。中だるみ有り。
9.文章が会話頼み。
10.オリキャラ迷走中…

それでは、以上の注意事項に同意できる方は、
気をつけていってらっしゃい。


目を覚ます。

白基調の落ち着いた部屋。

 

意識がはっきりとしない。

俺はこんなに朝に弱かったのか?

そう思いながらも、自身の体のダルさを実感する。

 

さて、何があったかは思い出せる……

しかし……どうして、こうなった……

 

白いローブみたいなのに着替えさせられている。

ちゃっかり下着も履いてる。

誰かが着替えさせてくれたのだろうか?

 

どうしようかと思っていたら、

犬耳の少女が傍にいた。いやもうアルフじゃん!

尻尾をパタつかせ、こちらを見ている。

 

「起きたんだ!リニスに知らせなきゃ!」

 

ピューっと素早く離れていくアルフ(犬耳少女)。

か、可愛い!なんてこったい。

自分に犬耳属性とかないはずだけど、すげー心躍る!

犬耳ъ(゚Д゚)グッジョブ!!

 

そういえば、あの煩いデバイス……

もとい、ルビーとサファイアはいったいどこに?

 

念話をしても反応がない。

うーん……

と思考に耽っているところに、

 

「お目覚めですか?体調はどうです?」

 

「あ、あの、服ありがとうございます。

 体調は少しダルいです。けど、大丈夫です」

 

裸だったことや、服を着せ替えられたことから、

少し気恥ずかしさを感じながらも、丁寧に答える。

 

「そうですか。良かった。

 あなたに聞きたいこともありますが……。

 まずは、朝ごはんを食べて。それからいろいろお話しをしましょうか」

 

にこやかに手を合わせて、そんな提案をされたら、

断るすべもなく……答えるよりも先にお腹が鳴ってしまい。

俺は、頷くことしかできなかった…

 

もう、気恥ずかしさはピークに達している。そのため若干顔が熱いが…

 

「はい。あの、俺のデバイスは?」

 

「あの2機なら大丈夫ですよ。ちゃんとメディカルルームで待機中です。

 あとで案内しますから、安心して下さい。

 取ったりしないですよ」

 

ゼロスのような決めポーズで言われてしまったので、

これ以上の追求を諦めて、

……ルビーとサファイアが無事ということに少し安心した。

 

食事が用意されている最中に最初に会ったアルフ(犬耳少女)

と、自己紹介を交わす。

 

アルフ(犬耳っ子)は、俺を助けてくれた子の使い魔で、

(まぁ知っていることなんだけど)

助けてくれた子の名前はフェイト。

今は朝のトレーニング中らしい。

 

アルフは好奇心旺盛なのか食事が用意されるまでの間、

たくさん質問されたし、たくさんアルフの話をしてくれた。

 

先ほど、俺と話していた人はリニスと教えてくれたり、

アルフとフェイトの家庭教師をしているということ。

ただし、家庭教師といっても、前の世界でいうところの

ただ勉強を教えるだけではなく。

魔法についても実践形式を交えて教えたりもしているらしい。

(まぁ、これも知っているわけだが)

 

俺についても、何処から来たのかとかモロモロ質問されたが…

遠い場所からとかなんとか、ありきたりに誤魔化しておいた。

 

それでも、アルフとの会話は弾んだ。

よく出てくるのはリニスとフェイトがどれだけ凄いかという話だったが…

それすら、アルフと話すのは楽しくて、

話しているうちに、アルフが可愛すぎて、ついつい頭を撫でたくなってしまい

 

「アルフは偉いな。いつも2人を気にかけているなんて」

 

と、ついつい頭を撫でてしまった……

 

「ふぇ」

 

となぜ褒められて頭を撫でられているか、あまり理解していない様子だったが。

嬉しそうに目を細めて顔を赤くする様は大変可愛くて、

お持ち帰りしたいほどだった。

 

これ以上、撫でるとリミットブレイクしそうになったので、

一旦撫でるのをやめる……すると、なぜかアルフが(ムクリと起き上がって)

残念そうにこちらを見てきたので(……仲間にしますか?popup)

 

(はっ?!アルフが可愛すぎてドラクエ風ポップアップが出てしまった!)

 

もう一度、頭を撫でると、くすぐったそうに、嬉しそうに顔を赤くしながら、

それでも大人しく撫でられるアルフ。

 

今度は食事が始まるまでずっと撫でさせられた……

 

 

 

 

アルフとは一気に仲良くなった。

自覚はなかったが、やはり撫でたのがデカかったのだろうか。

食事のときの席も俺の隣に陣取る始末。

リニスは苦笑していたようだけど、やはり嬉しそうに見えた。

 

フェイトは食事の用意が終わる頃に戻ってきた。

食事するまで、こちらをチラチラ伺うように見ていたようだけど。

なぜか顔を赤らめていた……

やはり、俺が裸だったことを気にしているのだろうか。

自己紹介のときも緊張からか、しどろもどろになっていたからな。

 

食事を終えて、いよいよ、本題に入ろうかとしたところで、

 

「今日は一志も一緒に勉強しようよ!」

 

ということで、フェイトとアルフと共に魔力運用についての勉強をすることに…

 

リニスの授業は実践も交えるためか、案外すんなり頭に入ってきた。

前世の学校の勉強と少し似ていたけど、

魔法というものに興味が先行するのか、

思いのほか集中していたのが要因だろう。

 

若干余裕もできて、周りに気を配ってみると

 

フェイトはやはりというか、真剣にリニスの話を聞いて質問したりしていた。

 

アルフはこちらをちょくちょく見ていたから、

リニスの話に今日はあまり集中できなかったようだ。

 

 

 

 

しばらくして、お昼になり、今日は天気がいいから

昼は外でランチになった。

外でのランチが終わって少ししたら、フェイトとアルフは寝てしまい、

フェイトとアルフには聞かれたくないこともあるので、ちょうどよかった。

そのタイミングでリニスと話をすることに。

 

「さて、一志がどうしてここにやってきたのか。教えてもらえますか?」

 

俺はリニスとこの世界で会ってから、ずっと考えていた。

ここに来た理由をどう伝えたらいいか。

自分の知ってるこの世界と今の現状とのギャップ。

プレシアについて。

アリシアについて。

━━━━そして、リニスの日記について。

 

俺は、ふぅーっと息をついて…

━━ゆっくりと自分について話し始めた。

 

「俺はリニス……あなたの願いによってここに召喚された」

 

「私の願い?召喚されたとはいったいどういうことです?」

 

「正確には届かないと思っていたはずの

 あなたの日記が俺に届いた……

 そして、向こうの世界での死後。

 その日記との縁によって、俺はこちら側に召喚された」

 

リニスは驚愕していた。

自分が届くはずもないと思ったものが誰かの目にとまり。

それに、その行為によってこの少年はここに召還されたと…

 

リニスは黙って考え込むように俯いてしまった。

たしかに、信憑性のない話ではある。

ありえないと本人すら今尚思っているところだろう。

 

それでも俺はリニスの日記や願いについて、

俺の知っていることも交えて、淡々と話した。

 

話が終わる頃には夕日が差し込むほどの長話になってしまい、

フェイトとアルフを起こして帰路についた。

 

 

 

━━━━夜、リニスが俺を訪ねて部屋に来た。

 

 

 

「お昼に聞いた話にわかに信じられません。

 あなたが異世界から来たことも、私の日記を読んだことも。

 ですが、あなたの話にウソはありませんでした。

 たしかに、私が書いた日記とあなたの話の内容が一致します。

 なによりも……私の願いが叶うというなら。

 私はあなたを信用することにします」

 

「信じてくれて、ありがとうリニス。

 じゃあ、まず、リニスの願いが叶うために必要なことを話す。

 リニスの残された時間は後どれくらいなんだ?」

 

「それはなんとも言えないですが。

 おおよそでよければ……あと3ヶ月程度といったところでしょうか」

 

「なるほどな。じゃあ、まず、プレシアとの使い魔契約を破棄し、

 僕と契約して、魔法少女になってよ!」

 

(◕‿‿◕)

 

「………???それは不可能です」

 

「はっ!?いや、違う。間違った。俺の使い魔になってくれ」

 

「どちらにせよ、そんなことプレシアがまず許さないでしょう。

 それに、私のことより、アリシアとプレシアのことを!」

 

「そのためにも、リニスがプレシアの負担になることを回避し、

 かつ、プレシアの病をこれ以上進行させないために必要なことだ」

 

「ですが……」

 

「はっきり言う。プレシアの病はもう末期だ。

 延命しても数年後の生存率すら危ういだろう。

 だから、今すぐにでも君に割いている魔力の負担を軽くして、

 早急に集中的な治療に取り掛からないといけないんだ。

 それについては、こちらでどうにかできる可能性がある。

 リニス。君が使い魔契約を破棄し、プレシアから離れれば、

 フェイトやアルフと別れることもない。

 そして、俺にはプレシアもアリシアも救える可能性がある。

 信じてくれるというなら、頼む。俺に任せてくれ」

 

リニスは盛大にため息をついて……

 

「本当に突拍子もないですね。なぜ病のことも知っているのです?

 私ですら最近知ったことなのに……」

 

「ともあれ、リニスにもプレシアにも時間がないことは確かだ」

 

「そうですね。わかりました。あなたに全てお任せします。

 どうか、プレシアとアリシア……フェイトをお願いします」

 

あれアルフは?と思ったでしょう?

計画どおり(°┌・・°)ホジホジ♪

 

「わかっている。それに、お互いこれから長い付き合いになるんだ。

 俺達であいつらを幸せにしてやろう。

 後悔なんてさせてやらないくらい忙しく楽しい日を毎日プレゼントしてやる。

 だから、これからは俺を信じ、俺のため…家族皆のために生きてくれ」

 

こんな少年じみた奴に言われても実感わかないかなと心配していたけど、

リニスは少し目に涙を浮かべていた。

 

それでも笑顔で、

 

「わかりました。これから宜しくお願いします。マスター」

 

「ああ、まかせてくれ。じゃあ、プレシアとの契約を強制的に破棄させる。

 っと、そのためにはあいつらが必要なんだ。そろそろ返してくれないか?」

 

リニスが頷くと念話が突然……

 

<<一志さん!?大丈夫ですか??>>

 

<ルビー。サファイアも。ありがとう。大丈夫だよ。

 ただ、ちょっと、紆余曲折あってさ。

 手を貸して欲しいんだ。こっちに来てくれるか?>

 

<了解です。すぐに向かいます。>

 

<というか~……一志さん……あれはないですねー。

 魔力切れでダウンして意識飛んじゃうなんて…

 そんなマスター今までで、初めてでしたよ。>

 

うっルビー。俺だって気にしてるのに……

 

<姉さん、ともかく、今は私達も一志さんも無事だったんですから。

 小言は後でたっぷりと言えます。今は急ぎのようですし、行きますよ?>

 

━━サファイアの小言は確定かよ……。

 

と落ち込んでいると、すぐに2機が合流する。

 

「始めるぞ」<<了解>>

 

「クラスカード召喚。キャスターインストール!」

 

纏った黒いローブと短剣(破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)

を用いてリニスと向かい合う。

 

「いくぞ」「いつでも、どうぞ」

 

そして、ゆっくりと短剣をリニスの胸に突き刺した。




たまーに全部書き直したくなる衝動にかられるときってありますよね。
ええ。そう。たまーにですよ。たまーに。

プロローグ終わらないなー。
なんか補足ばっか書いてるからストーリーが進まない。
亀のようなペースで書いて亀のようなノロさで進むストーリー。
それでも大丈夫って人、募集中。。。

ちなみに、リニスの胸に短剣を刺したのは・・・・
完全に趣味です!


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第6話 ~プレシア~

※注意書き※
1.書きたいことを適当に書きつつ、勢いだけで突っ走ります。
2.ついてこないと振り落とされます。その場合は、回避推奨です。
3.これが私の全力全壊です。
4.オリ主転生ものです。
5.テンションの浮き沈みが激しいです。支離滅裂多々有り。
6.勝手に文章変える。それ、デフォルトだから。
7.駄文、それこそが至高。
8.話のテンポ悪い。中だるみ有り。
9.文章が会話頼み。
10.更新頻度・ストーリー進行度:亀ペース

それでは、以上の注意事項に同意できる方は、
気をつけていってらっしゃい。


-リニスside-

 

私が彼の使い魔になってから1ヶ月が経ちました。

その間に本当に色々なことがありました。

まるで、もう何年か一緒にいるみたいな。そんな感覚です。

 

フェイトとアルフは彼に凄い懐いていて、

一緒に寝て、起きて、ご飯を食べて、勉強をして……

本当に家族のように過ごせた毎日でした。

 

一志を教えていて、感じたことは、

一志の才能がもはやフェイト以上だということでしょう。

最初こそ魔力運用や並列処理などに戸惑っていましたが。

持ち前のセンスとデバイスのお陰で、

自分の魔力の使い方はほぼ完全にマスターしているようです。

こと戦闘においては私とフェイト・アルフが組んで一志と模擬戦をしても

頑張ってもせいぜい引き分けが精一杯という散々たる結果です。

戦績は1勝3敗15分と私たちの負け越しですしね。

 

明らかに手加減されているときもあるので、

フェイトはそれが不服のようです。

そのため、フェイトとアルフが何度も

再戦をせがむ光景が日常化しています。

なんだかんだと言っても負けず嫌いなのでしょうか。

 

ですが、フェイトが一番楽しそうなのは、

一志と一緒に空を飛んでる時でしょうね。

自分と同じような速さで、いえ、

それ以上の速さで前を飛ぶ人は初めてでしょうから。

一志と一緒に飛んでいるからか、フェイトの成長も著しく。

速さでは、たしかに今は一志には少し及ばないですが、

これからデバイスを手に入れて、もっと成長したら、

どれだけ凄いことになるか、今から楽しみで仕方ありません。

 

アルフに至っては片時も一志の傍から離れようとしないほど懐いていて、

フェイトが若干嫉妬をしているくらいです。

そのせいかたまーにフェイトまで一志と一緒に寝たりするので、

一志は困っていましたが。私はとても嬉しかった。

 

一志のデバイス

ルビーとサファイアとは一志と使い魔契約してから話せるようになりました。

それまでは2機のデバイスの声が聞こえなかったのですが。

人間のように話すデバイスが存在してることに驚きましたが。

異世界からきたデバイスということで、また二重に驚きました。

ただ、一志と使い魔契約した私は、

2機とも話せるし声も聞こえるからいいのですが……

フェイトとアルフには2機の声が聞こえていないようで

よく、羨ましいと言われ通訳させられるので、少し困っています……

 

ルビーは明るくて話していて楽しいですし、

サファイアは冷静で落ち着いていて、フェイトに少し似ていますね。

 

そろそろフェイトもデバイスを持ってもいい頃になりましたから、

サファイアによくデバイスについて相談しています。

異世界の知識があるため、サファイアの話は非常に参考になります。

フェイトへプレゼントするデバイスは、

制作段階よりも数段上の性能にできそうです。

 

それに、一志の提案でCVK-792R型を搭載したいとのことで……

フェイトが成長したら、搭載しようという話に発展していまい。

これも今の段階ではまだ無理難題なのですが……

 

それでも、フェイトに合うように、

身体的に負荷がかからないように、慎重に設計をし直してるところです。

 

「サファイア?やはり、カートリッジにする場合は弾に篭める魔力は……」

 

「そうですね。一志さんの魔力をベースにリニスが安定させれば……」

 

「そうなると、基本フレームから強化していかないと…」

 

「それはゆくゆくフェイトが成長してからでも遅くはないかと…」

 

「最初は軽くしていおいて、スピードを目一杯出せる仕様にしておいて…」

 

「そうですね。後から重さと鋭さを増すように、フレームの強化を…」

 

 

……だいたいこんなことをもう10日くらいずっと話ています。

 

 

 

そして、今問題なのは、一志とルビーのほうでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━1ヶ月前

 

 

 

 

 

 

 

 

「リニス!これはどういうこと!?」

 

そう言ってプレシアは鬼のような形相で一志の部屋に入ってきました。

 

「あなたが、プレシア・テスタロッサか?

 初めまして、プレシア。俺がリニスの新しいマスターだ。」

 

「あなた……。いったいどういうつもり、リニス?」

 

いきなりのプレシアの乱入と自分が一志の使い魔になったことで、

魔力量が大幅に増えたことを驚いていたので、すぐには思考がまとまらず。

 

「やれやれ、いきなり乱入した挙句、俺を無視してリニスを問い詰めるなよ。

 もうリニスはお前の使い魔じゃないんだからな。」

 

「子供は黙っていなさい。今は私がリニスに話しているの。」

 

プレシアは凄い怒気を孕んだ口調でした。

もう私は内心では凄く取り乱していて、

どうしたらいいか検討もつきませんでした。

 

「はぁー。本当に自分しか見えていないんだな。

 そんな状態で、アリシアを生き返えらせても、

 本当に彼女の居場所をつくれるのか?」

 

瞬間、空気が凍ったように感じました。

まるで、静かな殺気を全身に浴びたような薄ら寒い感覚です。

 

「あなた、いったい何を言っているの?

 まさかと思うけど、私の邪魔をしに来たとでも言うのかしら?」

 

口調こそさっきより落ち着いた感じでしたが、

殺気を杖に乗せて、プレシアは黒い雷を一志に放ちました。

わざと外したのでしょう。

 

それでも、一志は微動だにもせず。

 

「今まのままではアリシアもあなたも助からない。

 もし、アリシアを救えたとしても、あなたは助からない。

 どちらかが死ぬような結果を俺は黙って見過ごせない。」

 

「なら……一体どうしろっていうの!?

 あの模造品に私の愛情を注げとでも言うつもり!?

 私の愛はアリシアのためにあるの!!

 あんな失敗作を愛するために私は生きてきたわけじゃないわ!!」

 

先ほどとは比べようもないほどの殺気を放ち、

魔力を収束していくプレシアを一志は思いのほか冷静に諭していました。

 

「だから、アンタたちを救ってやるよ。

 俺の全てをかけて。俺はそのためにここに呼ばれたんだからな。」

 

「なにを言っているの。子供がそんな世迷言を言うためにだけに…

 あなたはそんなことのためにリニスを使い魔にしたとでも言うつもり?!

 いったいどんな方法でそんなことをやってのけたかは、わからないけど。

 あなたを殺せばいいだけよ。そうすれば、私がリニスと再契約して終わり。

 簡単なことよ。あなたさえ、いなくなれば、元通りなんだから……!!」

 

プレシアが黒い雷をあたりに落としていく。

一志はまるで落ちる場所がわかるかのように回避して、

飄々とプレシアを諭す。

 

「悪いがそうはならないよ。

 アンタにはまず、その厄介な病を治してもらはないとな。

 そうじゃないと、リニスもフェイトも悲しむからな。」

 

「私が病になろうとも、アリシアさえ戻ってくるなら、

 なんだってしてみせる!アルハザードへの扉だって開けてみせるわ!

 あの失敗作がどう思っていようが知ったことじゃないわ!!」

 

プレシアが一志に接近します。

間に合わない……と思った瞬間…

 

「それじゃあ、困るんだよね。

 悪いけど……その幻想をブチ壊す!

 夢見る準備は万端か?プレシアテスタロッサ!

 クラスカード召喚!アーチャーインストール!

 投影、開始(トレース、オン)

 ――――憑依経験、共感終了

 ――――夜天の書……吸収。

 夢の中でちゃんと話し合ってきな。親子水入らずでな。」

 

プレシアが一志に接近し、杖に溜め込んだ魔力を

黒い魔槍にして一志を貫こうとしたときには

黒い本の中に吸い込まれて行きました。

 

 

 

 

 

 

一瞬の出来事だったため……

私は全く反応できず。

後で、一志を問い詰めたところ、

結界魔法の一種で一志の持っている本の内部に取り込んだらしいです。

それはどうでもいいので、早くプレシアを返してください!…というと。

 

一志は少し落ち込みつつも…

 

夜天の魔導書の内部で幻術を施し、

プレシアが望む幸せな世界と、

アリシアが望む幸せな世界を

混ざり合わせて、それらを同一空間に置換し、創造したと…

イロイロな想いがごちゃまぜになった状態だけど、

だんだんと安定してくるだろから…大丈夫だろうと……

 

強い意思があれば、

自分で勝手に抜け出すこともできるし。

……と一志は言っていましたが。

 

━━正直、意味がわからなかったです……。

 

でも、一志がプレシアとアリシアを想って

してくれた行為であると私は信じています。

 

ただ、明らかにプレシアがそこから出てくることはないでしょう…

 

愕然としている私に、一志は「それはない」と否定してきたので、

なぜかと聞くと、「アリシアがそれを望まないと思う」と。

 

それに、長くても1ヶ月も経たずに俺の魔力も限界になるだろうから。

いくらルビーやサファイアのサポートがあるとはいえ、

あれほどの結界をずっと保っていられないらしいです。

 

それでも、プレシアにとっては永遠にも似た時間らしく、

それが終わる頃には親子できちんと話し合いができてるだろう。

……と一志は楽観していましたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━そして、そろそろ1ヶ月が経ちます。

 

 

 

ルビーの力を借りて、一志は何度も、

あちらの結界内に飛んでいるようです。

 

そのためか、最近は疲労が抜けないのか、

よく朝も寝坊するようで、フェイトやアルフからも

かなり、心配されている様子です。

 

もっと気になるのは、極稀に戦闘があったのかと思うほど、

消耗して一志が帰ってくるときがあるのが、すごく心配です。

 

私が心配しても、なかなか言うことを聞いて休んではくれません。

そういうところはプレシアに似ているなと感じて、少し釘を刺したら、

 

「もう少しの間だけだから、大丈夫だ。」

 

……と言って、なぜか頭を撫でられてしまいました。

年下に頭を撫でられて嬉しかった。

そんな以外な感情が、自分にもあったようです。

案外悪くない体験でした……

今度また撫でてもらいましょう……

できれば、今度は顎の下あたりを優しく撫でてもらいましょう。

 

 

 

さておき、一志に聞いたところによると、

プレシアの性格は激変したようで、

一志のことを一志さんと呼ぶようになったり、

料理を振舞ってくれたり、

家族のような扱いをしてくれたり、

と等等……明らかに変わった態度に

一志も少し戸惑っているようでした。

 

きっとプレシアは、一志のおかげでアリシアと会えたと思い。

そのせいで、恩人として見られるようになったのでしょう。

 

当のアリシアとも会って話をしているようで、

最近ではフェイトやアルフ……

私のことも話題に出ると言っていました。

 

それについて、驚いたことに…

少しずつですが、プレシアからも私たちの話題が出ると……。

 

プレシアは変わり始めてるのかもしれません……。

私の知らない時間を経て、一志とアリシアとの触れ合いを経て。

 

嬉しいと思う反面……

 

私ができなかったことを、

いとも簡単にやってのけた一志に対して、

少なからずの嫉妬を覚えたりもします。

 

でも、嫉妬より幸せに思う気持ちや

ありがとうという気持ちのほうが数段優ってしまうので、

 

一志には今度きちんとお礼しないといけませんね。

 

「さて、サファイア?そろそろ一志達が戻る時間ですか?」

 

<そうですね。リニス。そろそろ戻る頃合です。>

 

ふぅーっと私は息をつき自分を落ち着かせます。

 

<緊張しているのですか??>

 

「そうですね。中々平常心とはいきませんよ。

 なにせ、プレシアがどうなったか、

 話では聞いていても実感がわかないですから。」

 

<きっと大丈夫です。一志さんと姉さんなら。>

 

「ありがとう。サファイア。」

 

本当に一気に家族が増えてしまったようで、

私もフェイトもアルフも楽しい日々でした。

これからもずっとこんな日が続けばいいのにとさえ思います。

だから、その日々にプレシアやアリシアがいて欲しい。

 

 

 

今度はきっと二人も一緒に家族みんなで幸せに暮らしたい。

 

 

 

私の願いは今日叶うのでしょうか。マスター……




修正しました。

夜天の書にフェイトちゃんが吸収された際に、
いた空間を想像しているのですが。
文章にするとどう伝えていいやら。

初期の構想はアヴェンジャークラスのカード召喚して
無限の残骸(アンリミテッド・レイズ・デッド)
を使用したことで、アリシアの意識の残滓が…
みたいな感じから発展していこうと思っていたのですが。
fateネタ使う知識の無さから、断念しました。

誤字とか脱字があれば、ご指摘いただけると幸いです。
精進します。それではまた・・・

 \
 (/o^)
 ( /
 / く  まずはそのふざけた
       幻想をぶち殺す

そげふ


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第7話 ~アリシア~

うーん。前書き…
ずっと同じ文章だよね。
ちょいちょい変えてるけど。

今回は、ちょっと趣向を変えます!
なにせ、目標ではこの話でやっとプロローグが終わる予定なのですから!

そう、プレシアの帰還とバルディッシュ誕生を書きたいなと。

そして、アリシア復活エンドへ行くためにー。

今回はサービスサービスー!

……でも、もしかしたら、話を分ける可能性もあるので、
あしからず……


「あ、一志!とついでに、ルビー。

 来てくれたんだ。」

 

「ついで、とは失礼ですね。アリシアさん。」

 

「ルビー落ち着け。アリシアも来たそうそうくっつくな。」

 

 

ここは夜天の魔道書の内部。

アリシアとプレシアの夢の中。

 

俺はリニスを使い魔にした後、

プレシアと紆余曲折ありながらも、

プレシアを吸収して、

アリシアが保管されてる研究室で、アリシアも吸収し、

アリシアとプレシアが望む空間を

夜天の書内部に作り上げた。

 

つまり、この空間の創造主たる我はいつでも、

夜天の書内部と夜天の書内部外部を行き来できるというわけだ。

 

「一志~?」

 

はっ!?なんか金ピカみたいなこと考えてたら、

アリシアに心配されてしまった……!?

 

「いや、なんでもない。というか本当に離れてくれ。

 嬉しいけど、動けない。」

 

「ぶーぶー。全く一志はいけずだねー。」

 

「ぶーぶー。一志さんのいけずー。」

 

そうこう言いながら、アリシアはしぶしぶ離れてくれる。

ふぅー…くっつきすぎだろう。さすがに、年下とはいえ、

DTにとって肉体接触というのは難易度高すぎるのだよ。

 

「ん?ていうかルビーはなんでアリシアの味方をするんだ?」

 

「やですね~一志さん。私は常に可愛い子の味方に決まってるじゃないですか!」

 

ったくイイサムズアップしやがる。

気持ちはわかるけどさ。

 

もうかなり前になるけど、

アリシアがこちらで目覚めたとき、随分と混乱していた。

自分のこと、母親のこと、リニスのこと。

たくさんの話をした。それこそ日が暮れるまで、ずっと。

俺とルビーが根気よく話したからかようやっと落ち着いたアリシアは、

眠そうに目を擦り、なぜか俺の膝に頭を乗せて寝始めた……

 

そしたら丁度、アリシアに膝枕した瞬間、

プレシアが黒い笑みを浮かべて登場………。

なぜか黒い雷をそこらじゅうに落とされた…。

幸い、アリシアが膝の上にいたからか、

全部外してくれたようだけど……。

明らかに俺の寿命は縮まったことは言うまでもない。

 

「まったく自分の娘に当たったらどうするつもりだ!?

 考えなしにもほどがあるぞ!」

 

「あなただけに当てる手段もありましたが、

 もしも、ということもあるので、わざと外してあげたのです。

 感謝くらいあってもいいのですよ?」

 

━━━━━━ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

と、黒い闘気を纏つつプレッシャーをかけてくるプレシア。

 

 

「まだ、私だってアリシアに膝枕してあげてないのに!

 どうして、あなたのようなDTにその栄誉を奪われないといけないの?!」

 

「そうです!納得できませんよ!なぜ私ではなくDTの膝なんですか!?」

 

いやいや、お前らちょっと待て……

いくら俺が鋼でも心まで鋼じゃないんだぞ?

ってネタはいい。

 

「なぜルビーまでプレシアの肩を持つんだ?

 ていうかルビー膝ないだろ?」

 

やれやれという風にルビーは溜息をつきながら…

 

「それはですねー。美少女への膝枕なんて、

 永遠の夢だからに決まってるじゃないですか!!」

 

ガシっとプレシアを握手するルビー……

もうお前ら勝手にしてくれ。

ともあれ、寝ているアリシアをプレシアは回収して、

家に戻っていった。

 

「さて、一志さん。

 これからどうするんですか?」

 

ルビーに言われるまでもなく、

今まで俺も今後どうするか考えてはいたんだが………。

結局は様子という、なんとも在り来たりな手法に落ち着いてしまったのである。

どうする行動するにしても、アリシアの状態やプレシアの気持ちを考えると、

なかなか動き出せずにいるのが本音だ。

 

そうこうしている内に、

昼は夜天の書外部でリニス達と生活し、

夜は夜天の書内部でプレシア達と生活するサイクルになっていた。

 

そんなサイクルになってから早2週間。

残り半月ほどでこの空間を維持できなくなる。

グダグダしてないで、

そろそろアリシアとプレシアに話しておかないといけないな…

という決意を秘めて一志はここに来たのである。

 

本当のことを告げるのは実際は勇気がいることである。

相手の反応が予想できないというのもあるが、

嫌われるかもしれないとか、傷つけてしまったらどうしようとか、

話す以前に余計なことをたくさん考えてしまうから、

それで躊躇ってしまう。本当のことを言うことを。

 

だけど、それでも、この結果を作り出したのは自分だ。

良かれと想ってやったことで、

もし、余計に相手を傷つけてしまったのなら、

なぜ自分がそうしたのか、きちんと相手と話さなければならない。

 

だから……

 

「そうだな。まずはアリシアと話すよ。

 これからのこと、アリシア自身がどうしたいのか。

 俺の考えてることもそのときにな…。」

 

 

 

 

 

━━━━夜半、ちょうどアリシアは目が覚めた。

 

 

 

 

そこにアリシアの部屋に不法侵入した少年とステッキが……

 

「キャーーーーーー!!」

 

「おわ!?ちょ・ちょっと待てアリシア!

 俺だ。一志だ。少し落ち着いてくれ。」

 

「……一志?とルビー?

 びっくりしたよ!?なんでいきなり私の部屋にいるの!?

 ていうかどうして私の部屋に入れるのかな!?」

 

「まぁ、そこはほら……うちのルビーが……」

 

「あ~なるほどね………。」

 

アリシアは若干顔を引きつらせながらも、納得してくれたようだ。

ルビーはなぜか大変興奮しているようだけど…、

突っ込んだら敗けな気がするからここは黙っておく。

 

「さて、悪いな夜遅くに。

 でも、そろそろアリシアとちゃんと話したかったんだ。

 この世界のこととか、アリシアのこれからのこととか。」

 

アリシアは少し寂しそうに微笑んで。

 

「うん、わかってるよ。私は本当は死んでるんだよね?

 だから、この世界が無くなれば、当然私も消える。」

 

「……そうだ。アリシアは、本当はもう死んでいる。

 たしかにこの世界が無くなれば今のアリシアは消えることになる。」

 

━━そっか━━と呟くアリシア。

 

なぜかあまり悲壮感は感じないな。

知っていたのか?それとも予想していたのか…。

 

「一志はどうして、私達にそこまでしてくれるのかな?

 私やお母さんも救おうとしてくれてるよね?

 リニスも救ってくれたみたいだし、

 なんでこんなことをしているのか理由教えてほしいんだけど…。」

 

上目遣いでこちらを覗き込むアリシア。

予想外の質問にすこし考えをまとめる。

なぜか………迷いながらも思ったことを言葉にこめる。

 

「誰かに誇れるほどの、そんな大層な理由なんてない。

 ただ、俺の大切な使い魔の最初の願いくらい…

 なんなく叶えてやるのが主だろう。

 理由なんてその程度のもんだからな。

 でも、もし、お前たちにも願いがあって、

 それがもし、リニスと同じ願いなら…

 俺は全力でお前たちの願いを叶えるよ。

 ………なにがあってもな。」

 

「………そっか、ありがとね!お兄ちゃん!」

 

「待ってくれ…なぜ、その呼び方になるんだ?

 一瞬前までは呼び捨てだった気がするんだが…。」

 

「うーん…なんかそんな感じがしたからかな。

 しっくりきたし、今度からはそう呼ぶね!

 でも、二人っきりのときにしか呼ばれたくないなら、そう言ってね!」

 

どうしてこうなった…と思いながらも、もういいや。

と半ば諦めて、アリシアを今の状態から救う方法を話すことにした。

まず、今のままではどのみちアリシアに未来はないこと。

そして、アリシアが外の世界で復活するためには、

ロストロギア━━ジュエルシードが相当数必要であること。

それだけでは、もちろん復活はままならないので、

ルビーをリンカーコアに見立てて、

ジュエルシードとルビーを体内吸収することで、コアの再生を果たす。

記憶転写についても夜天の書とプレシア、リニスの協力があれば、

なんとかなるだろう。というようなことを大まかに説明した。

 

「ふーん。つまり今は無理だけど、いつかは復活させてやるよ!

 ってこと?」

 

「うっ!?たしかに今すぐには無理だけど。」

 

「それにたしかここの空間だってそうは持たないって、

 お兄ちゃん言ってたよね?」

 

「あ、それ嘘な。」

 

「え!?」

 

「いや、正確には嘘ってほどでもないんだけどな。

 俺が外に出たりってのが今みたいに頻繁にできなくなるってことかな。

 つまりな、ここの維持だけに努めて、あまりここから出ないようにすれば、

 別に1ヶ月なんて期間の制限は受けないんだよ。」

 

本当はこのような魔力の使い方をしたら、

いつ倒れてもおかしくはないとサファイアに言われている。

だから、早くこの話はしなくちゃいけなかった。

でも、親子水入らずでの会話もさせたかったし、

二人だけの時間ってのも作ってあげたかった。

自分がなんとかすれば、誰かに幸せな時間を与えられるなら、

精一杯やってみたいと2機にお願いして、

ルビーにも多大な負担をかけて今はなんとか保っているのだ。

 

「ほんと困ったマスターですねー。

 私達にまで嘘の片棒を担がせるなんて、

 酷いお兄ちゃんだと思いませんか?アリシアさん?」

 

なぜかルビーに責められるてしまったが。

 

 

 

 

 

その後のプレシアの説得は俺よりアリシアのほうが、

余程適任なので、お任せするとものの数分で説き伏せてることに、

成功したらしい。俺だったらきっと、一日がかりだろうなと、

呟いたら、ルビーに

 

「一日で済めば、いいですけどね~」

 

なんて嫌味を言われてしまった。

 

そうこうしながらも、俺たちは無事?

アリシアとプレシアの説得?というか

親子(プレシア)の楽しい時間を若干邪魔しながらも、

なんとか当初の目的を果たせたのである。

 

 

 

 

 

 

 

そして、瞬く間に時間は過ぎて、半年の時間が経過する頃。

 

 

プレシアが管理外世界のとある場所で、

ジュエルシードらしき反応を特定したと報告してきた。

 

これから、アリシア復活大作戦が始まろうとしていた………。




というか、親子水いらずで話せって言ってなかったっけ??

はい、断念です。

親子の会話被せちゃうとどうしても、
プレシアがアリシアに説得される未来しか思いつかなかったので、
そうすると1ヶ月も経たずに出てきてしまう…
ちょっとそれは困る!

という個人的な都合から、二人の夢の中へ介入を開始したわけです。
いえね、言い訳すると一志が介入していない時間は親子水入らずなわけで…
って本当に言い訳ですね。

結構な難産でした。
ですが、なかなか難しくてこれも変える可能性を十分に孕んでいるので、
もし、変えることがあれば、活動報告でお知らせするつもりです。

では、また。
次は外伝予定です。
登場はもちろんリニスですが何か?


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外伝1 ~リニスの日常~

会話だけかもしれないです。
やりたかったことや、やり切れなかったことをこちらで憂さ晴らし。
もとい補完です!

まぁ、本編とはあまり関係持たせないように…
とか言いつつ無理でしょうね。
きっと補完要素多めです。
私説明下手なんですよね。
そして、少し恋愛的な要素も持たせたい今日この頃。

頑張っていきます。では、いってらっしゃい。


━━朝

 

まず、一番最初に起きて、プレシアにコーヒーを持っていきます。

それから朝食を作り、フェイトとアルフを起こしに行きます。

一志はその頃になると起きてトレーニングに出ているので、

一志が帰るタイミングを見計らってタオルと特製ドリンクを用意します。

 

一志が帰ってくると皆で朝食です。

 

私の号令で皆が食べ始めます。

最近はプレシアも朝ごはんを食べるようになってくれて、本当に嬉しいです。

やはり家族は皆揃って、ごはんを食べる時間があるべきですね。

 

これも一志のおかげです。

 

プレシアは帰還してから随分と変わりました。

体調も良くなっているようで、

 

(これは一志が何かしたようなのですが、

昏睡状態のプレシアの肉体には治療を施したとか言っていましたが。

今の魔法でもかなり手遅れな状態だったのに、一体どうやって…)

 

最近はよく外に出てくることも多くて、

私の授業を手伝ってくれることもあります。

そのおかげもあってか、フェイトの成長が凄いの一言です。

前も授業には集中していましたが、

プレシアの授業となると目の色をかえて受けるような印象です。

 

私は少しプレシアに嫉妬しつつも、やはり嬉しい気持ちがあります。

なぜこうも変わったのか、疑問に思って質問したところ、

 

「アリシアに言われたわ、妹が欲しいって言った約束。

 覚えててくれて、ありがとうって。

 私は、本当にとんでもない間違いを犯す前だった。

 あの子には辛いあたりかたをしてしまっていたけど、

 まだ間に合うって一志も言ってくれたのよ。

 だから、少しでも一緒にいたいの、皆と。」

 

そう言ったプレシアの表情はなんだか凄く晴れやかで、

女の私が見ても見惚れてしまうような笑顔でした。

 

昼食はだいたい外で食べることが多くなりました。

プレシアが外に出るようになったのと、

一志とフェイトの模擬戦をして、

フェイト専用デバイスを作成するための参照データを作るためです。

 

模擬戦の戦績はフェイトの負け越し。

15敗3分けです。

ただ、プレシアが見るようになってからは、

1敗3分けです。

そして、今日もまた決着がつかないまま模擬戦は終了。

戻ってきたフェイトを出迎えるプレシアは本当に前とは大違いですが、

それでも、フェイトが嬉しそうに甘えるような仕草はとても可愛く思います。

 

夜になるとフェイトとアルフ、

それに最近ではプレシアも夕食作りを手伝ってくれます。

ただ、一志だけはなぜかトレーニングに出かけてしまい、

おちゃらけている風に装うくせに真面目だったりと、

なかなかに難しいマスターです。

 

夕食後はフェイトとアルフ一緒にお風呂に入ることがほとんどですが、

最近ではフェイトとアルフが一志も一緒にお風呂に入るように説得した

(明らかに意図せずに女の武器である上目遣いをダブルで使用した)結果

一志はなし崩し的に一緒にお風呂に入っているようです。

私もたまに一緒に入りますが、そのときの一志の慌てっぷりは、

何回もからかいたくなるくらい、

普段の感じとは違って、可愛い狼狽えっぷりでした。

 

ほどなくして、フェイトやアルフが寝静まる頃、

私は一志の勉強をみたり、サファイアとフェイトのデバイスについて

最終調整をしたりと、忙しく動き回ります。

プレシアも手伝ってくれて最近では凄く捗っています。

フェイト自身で自分の道を切り開いてくための力。

それをしている時間が経つのが非常に早く、

作業が一段落する頃には深夜になっているのですが。

 

では、私は今日は一志のところで寝ますかね。

たまにはマスターとの交流も深めておくべきでしょう。

最近はなぜかトレーニングで時間的にすれ違うこともありますから。

ここらで、使い魔としてのスキンシップを図るべきですね。

 

そう思い、私は一志の傍で眠る。

 

少し幼い容姿の主の姿は、しかし、内面は非常に大人びていて、

思慮深いところもあるような。変なマスター。

私を救ってくれて、私の願いを叶えてくれたマスター。

私一生この人の傍にいる。

そう願いを込めて今日も一志の寝床に忍び込む。

言い訳を用意しながら………。




外伝っぽくしたかったのに…
なぜか本編を補足するような形に。
いやとうとうプロローグが終わったので、
せっかくだから外伝を…と思ったのですが。

うまくいかなかったです。

さて、次回ようやっと白い悪魔さんの登場です。
あとオコジョと……いや、エロフェレットと。
魔砲少女なのに、戦闘描写がほとんどない…
これいかに。いえ、ちゃんと増やす予定ですよ。
えぇ、もちろん!プロローグさえ終わってしまえば。きっと!!
次回、管理局入る前の白い悪魔とバルディッシュサファイア!


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NANOHA Another ~1st~
第8話 ~邂逅~


アルフが探知魔法を使うと球体が出現し、球体に光点が現れる。

 

「よし、行くぞ」

 

「「うん」」

 

 

ジュエルシード集めのために降り立ったのは海鳴市という、

第97管理外世界、極東地区、現地惑星名称・地球の一都市だ。

 

海鳴市に来てから早3日ジュエルシードのおおよその反応を頼りに、

一志達は順調にジュエルシードを回収していった。

 

「ジュエルシード集めるの大変かと思ったけど。

 今まで順調にきてるし、このままだと、

 早めに全部回収できそうじゃない?」

 

「アルフ、油断したらダメだよ。

 確かに今まではあまり苦戦しないで回収できたけど、

 もしかしたら、予測できない事態になる時だってあるかもしれないんだから。

 今は外に出れないアリシアのためにも全力でやらないと」

 

話をしつつも、探知魔法で見つかった光点が、2つに分かれていく。

 

「ジュエルシードの反応が分かれたな。

 近いところはフェイトが行ってくれ。

 俺とアルフは他のところを捜索してくるから。

 フェイトのこと頼んだぞサファイア」

 

「わかった」

 

「わかりました」

 

フェイトのデバイス。

バルディッシュは、カートリッジ使用時の使用者への

身体的な負担を軽減するため、リニスが最終調整している。

 

そのため、今回の探索ではフェイトをゲスト登録することで、

サファイアと一時的に契約し、カレイドに変身できるように調整したのだ。

そして、フェイトは一志から、

もしものために、とセイバーのクラスカードを渡されている。

 

一応、使い方については一志から学んではいるし、

何度か模擬戦で試したりもした。

その結果、なぜか自分とセイバーのカードの相性はいいようで、

一志より上手く扱えるとルビーからのお墨付きをもらったほどである。

 

今回は管理外世界とはいえ、

特に危険な生物がいる世界ではないと調べはついていたので、

本当に念のため、サファイアにフェイトに付いてもらったのだ。

 

 

 

ただ、このセイバーのクラスカードが後に大きな事件を起こすことになる……

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━半年前

 

 

 

 

リニスにプレゼントがあると、言われて渡されたのは、

金色に輝くデバイス。名をバルディッシュ。

運命を切り裂く力、フェイトのために作られたフェイトの相棒。

バルディッシュは、フェイトの力次第で、

全てを断ち切る閃光の刃となるとリニスは教えてくれた。

 

自分のために一志やリニスが作ってくれたデバイス。

 

貰ったときフェイトは嬉しくて泣いた。

 

一志はその時オロオロしていたが。

リニスが優しく抱きしめしてくれた。

そして、リニスは少し強ばった顔で私に、大切な話があると言った。

 

「フェイト。あなたに大切な話があります。

 あなたの生まれについてと……。

 あなたのお姉さんについて」

 

「私のお姉ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時のことを思い出して、ふぅーっとフェイトは溜息を吐いた。

 

「フェイト様?どうしました?飛行速度が落ちていますよ」

 

サファイアが心配そうに私に呼びかけてくれる。

なぜか様づけなのが気になるけど、

この件はサファイアが全く折れなかったのだ。

様はつけないで、ただフェイトと呼んで欲しかったのだが、

サファイアが、仮であれマスターとなるのであれば、

敬意を払うのは当然です。と故に、フェイト様と呼ばせて欲しいと……。

 

そのときなぜか一志が「え?!」と驚いていたのは言うまでもない。

 

所謂、それはそれ!これはこれ!である……。

 

「ううん。なんでもない。大丈夫だよサファイア」

 

そう言って、フェイトは自身のモヤモヤを心の奥に仕舞う。

そうだ、今はアリシアが戻ってきてくれるっていう喜びだけでいいはずだ。

なにも間違ってない。

だから、早くジュエルシードを集めて、

アリシアといっぱいお話するんだ。

これからのことと、これまでのこといっぱい。

 

「ジュエルシードの反応接近」

 

「分かってる。……あれがジュエルシード?」

 

そこにいたのは大きな黒豹だった。

黒豹にしては大きすぎるし、爪も鋭い。

どことなく目付きも鋭くなっている。

 

「サファイア、あれってジュエルシードが変異して?」

 

「そのようです。

 なにかの生物の純粋な欲求を叶えた結果ああなったのでしょう」

 

「どっちにしても、ジュエルシードを封印して回収する。サファイア!」

 

「了解!」

 

新生!カレイドサファイア!プリズマフェイト!爆誕です!!

 

「……サファイア。今のルビーみたいなの必要だったかな?」

 

すごく微妙そうな顔で言うフェイト。

そして、ものすごく恥ずかしそうである。

 

「すみません、フェイト様。姉さんにどうしてもやれと言われてしまって。

 断りきれませんでした。フェイト様それよりも、戦闘態勢に」

 

ジュエルシードによって変質した異相体はフェイトに襲いかかる。

 

「うん。問題ない」

 

それを難なくディフェンサーで防いだフェイト。

 

返す刀でステッキ形態のサファイアに魔力を込めて、

雷斧のようにして、反撃を加える。

 

止めとばかりに、フェイトは手を掲げる。

天候魔法サンダーレイジ。

フェイトの得意な雷系の天候魔法。

 

 

 

 

放つ瞬間……邪魔が入った。

 

 

 

 

「えーい!」

 

魔力を全身に纏い、ブッパしてきた少女。

 

「ジュエルシード封印!」

 

しかし、油断大敵である。

封印するまでの僅かな隙をつき、異相体は逃げだそうとする。

 

逃げだそうとする異相体にフェイトが追いつく、

 

「ジュエルシード封印!!」

 

逃げる異相体の後ろから、雷斧で一刀両断。

 

フェイトが封印したジュエルシードを回収しようとすると……

白い少女が声をかける。

 

「あの!待って!

 あなたもその……ジュエルシードを探してるの?」

 

「……それ以上、近づかないで」

 

雷槍を周りに展開し、警戒を強めるフェイト。

 

「あの、ただ、私お話したいだけなの。

 あなたも魔法使いなのとか。

 なんでジュエルシードを集めてるのとか。

 だから!……!?」

 

瞬間。展開していた雷槍が放たれる!

 

それを危なげなく躱す白い少女。

 

そこにフェイトの雷斧が迫る。

 

「待って!私は戦う気なんてない!」

 

「だったら、私とジュエルシードに関わらないで」

 

「でも、ジュエルシードはユーノ君が!」

 

鍔迫り合いから押し負けて後退する白い少女。

 

━━フェイトは追い打ちをかける。

 

 

サファイアは考える。

なぜ、フェイト様はセイバーのカードとああも相性がいいのか。

なぜ、フェイト様はもう身動きも取れないであろう少女に、

雨のように雷槍を降らすのか。

いつもなら決して無闇に人を傷つけようとしないはずなのに。

今はなぜこうも躊躇いすらなく攻撃を続けられているのか。

釈然としない気持ちはあったが、今は戦闘中だ。

そして、自分は一志さんからフェイト様を任された身。

ならば、自分が考えるのはマスターであるフェイト様の勝利。

きっと、間違ってはいない。

敵対した者に対して少し度がすぎる威嚇射撃をしただけだと、

サファイアは熟考するのを止める。

 

 

 

フェイトは自問する。

普段は最小限の攻撃で最大限のダメージを与えればイイと思っている。

しかし、今に限っては違う。

相手を完膚なきまでに叩き潰す。

そんな攻撃だ。まるで容赦がない。

考え事のせいだろうか。さっきサファイアに大丈夫と言ったのに。

でも、考えるのを止められない。

私の胸のモヤモヤは晴れない。

リニスの話を聞いてから、お姉ちゃんの存在を知ってから、

 

私は……

 

考えている間にも雷槍の雨は止まず、攻撃は止まらない。

止めようとも思わない。白の彼女を心配する気持ちはあるのに、

なぜか、私は攻撃をやめられなかった。

そして……

 

「ごめんね」

 

酷く矛盾する言葉を最後に呟いて、

フェイトはようやっと雷槍の雨を止めたのである。

 

あれだけ攻撃をくらえば、さすがに追ってはこれないだろう。

 

「フェイト様。ジュエルシード回収しました。大丈夫ですか?」

 

「うん。サファイア。……私、話し合ったほうが良かったのかな?」

 

「こちらの事情の全てを話すわけにもいきませんから。

 フェイト様の判断に任せます。

 ……ただ、彼女達とは、また会うかもしれませんね」

 

「……そうだね。ただ、今度は手加減できないかもしれない。その時は……」

 

セイバーのカードを握り締めながら呟くフェイト。

 

 

 

 

 

 

 

そして、これから3日後。

事態は思いがけない方向に進展する。

 

 

「フェイト!セイバーのクラスカードを今すぐ手離せ!!」

 

「お願いだフェイト一志の話を聞いてよ!」

 

「フェイトちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━雷槍の雨が白い少女に降り注ぐ少し前

 

 

 

ルビーの好奇心によって一志はフェイト向かった場所へ来ていた。

近くに身を潜めて、フェイトとサファイアの戦いを観戦していた。

 

正確には、フェイトのカレイドへの変身シーンを一度生で見たいと、

ルビーにせがまれ、しかたなく一志はこちらに来たわけなんだが。

 

最後の攻撃。雷槍は1つ2つで良かったはずだ。

未熟な子相手に雷槍の雨を降らせるのはやりすぎなんじゃないか?

下手したら大怪我してしまうんじゃ……。

 

と相手の子(後の管理局の白い悪魔)のことを心配した一志だが。

ルビーに可愛い子だから助けるってことですね!さすがはロリ好きマスター!

と不名誉な褒められ方をされつつも。

 

一志はアーチャーのクラスカードをインストールし、

熾天覆う七つの円環(ロ ー ・ ア イ ア ス)を展開、

少女(たぶん、なのは)がダメージを負わないよう影から援護していた。

 

フェイトが去るのを確認してから、ひっそりと出てきて、なのはに駆け寄る。

 

「おい大丈夫か?」

 

「あ、あの、ありがとうございます。

 さっきの防いでくれたの、あなただってユーノ君が」

 

「ユーノ?誰だそれ?」

 

「一志さんアレですよ。彼女の近くにいるフェレットみたいなの」

 

「なるほど、オコジョの使い魔か」

 

さすがに、スクライアの家の子だよね?

遺跡発掘とか探査系の魔法はお手の物の……。

なんて言えない……。

 

「僕はオコジョでも使い魔でもないです。

 ユーノ・スクライアです。

 あの、あなた達はいったい?」

 

「ユーノ君はやっぱりオコジョっていうより、フェレットだよね」

 

「なのは!?」

 

ツッコミに勢いがあるなオコジョよ。

 

「俺は一志だ。こっちはルビー。

 ルビーこの子、血が出てるから回復しないと」

 

「やれやれ、可愛い子にだけは優しいんですから。

 まぁ、私も否やはないんですけどね~」

 

「いいから、リニスに治癒についても少し習ったんだから、やるぞ」

 

「はいはい」

 

一志が手をかざすと、数秒で少女が流していた血は止まり、傷口は完治していた。

 

「ふぁー、凄い。ユーノ君の回復と同じくらい凄い!」

 

「いや、なのは、レベルで言うなら彼の回復は僕の数段上だよ」

 

「ん?そうなのか?初めてやってみたんだが。

 上手くできたようで、なによりだ」

 

あとで、気がついたことだが……。

回復が上手いのはルビーのリジェネ機能や、

直感スキルが高レベルであるため、

上手く治癒を促進させることができているらしい。

 

「それで、貴方達はどうしてこの場所に、もしかしてジュエルシードを?」

 

「そうだ。俺の目的はジュエルシードの回収だ」

 

「じゃあ、私達と同じだね!

 私はなのはだよ!高町なのは。カズ君、ルビーよろしくね!」

 

「カズ君……ま、まぁ、いいか。確かに目的は同じだな。

 だが、俺達はあくまでもアレを利用するつもりだ」

 

「ダメだ、危険だよ!アレは人の手でどうにかできるものじゃないんだ!」

 

瞬間、彼の顔つきは驚くほど変化した。

 

「危険なのは承知の上だ。

 そして、俺たちにはアレが必要だ。

 例えば、お前達はアレさえあれば救える命を見捨てることができるか?

 危険だから封印しろと言われて素直に頷けるか?

 救える人間が大切であれば、あるほど、

 お前達の今の言葉は上辺だけの言葉に成り果てるんだよ。

 まぁ、今のお前たちには到底理解できないだろうがな」

 

彼の言葉から暖かさと親しみが消えていった。

さっきまでの穏やかな雰囲気は消え。

瞳はまるで別人になってしまったように錯覚するほど、

淡々と吐き捨てる言葉はまるで冷気放っているかのように感じるほどだ。

 

それでも、少し悲しそうな。

そうさっきの黒い少女と同じような瞳をしたこの少年が、

なのはは気になった。さっきの子には話を聞けずに終わってしまったけど。

この少年なら、少しは話しを聞いてくれるかもしれない。

と一抹の希望をかけて少女は言葉を紡ぐ。

 

「でも……人の手でどうにかできる代物じゃ……」

 

「どういうこと?事情があるなら話して!

 なにか私達で力になれることがあるかもしれない!」

 

めんどくさそうに溜息を吐く一志。

 

「はぁ……断る。

 さっきお前を撃った子と俺は無関係じゃない。

 悪いがアイツが事情を話さないのなら、

 尚更、俺も話すことはできない」

 

ただ……と彼は続けた。話を聞いてもらう方法がないわけじゃない。

普通、大切な人を救いたい時に人の話を聞く余裕なんてない。

まして、それが他人の言葉なら尚更だ。

 

私達の言う言葉は軽く聞こえると。

 

そして、もし、他人じゃなくなれば、言葉は届くかもしれないと。

 

すぐ言葉を届けたいと願うなら、相手に聞いてもらう環境をつくることだ。

それが例え力づくになろうともな。

 

そんなことを言う彼は、明らかに楽しんでいて、

それに、なぜか私を試しているような気がした。

 

 

「じゃあ、なんでさっきは助けてくれたの?

 あのままだったら、私はあの子の攻撃でやられてたはずだよ」

 

「ただの気まぐれだ。

 いつものフェイトじゃなかったから気になっただけだ。

 いつもならスタン狙いの一撃だけ済ませたはずだ。

 それだけ、君と彼女には差があった。

 なのになぜあんな大袈裟な攻撃を放ったのか……。

 それに、フェイトは自分と話そうと近づいて来てくれた人を、

 無闇やたらと傷つけたりしない。そんなことしたら、後で後悔しそうだしな」

 

そんな風に話す彼の顔つきは、お兄ちゃんに似ている気がした。

あの子を心配している様子・雰囲気が、

私のお父さんが入院しているときに見せた、

お兄ちゃんに少し似ている。私を心配してくれた。

状況を憂いているような、それでいて私を慈しんでいるような。

すごく寂しいようにも感じるその瞳を私は知っている。

 

あの子もそんな瞳をしていた。

綺麗で真っ直ぐで、それでいて、すごく寂しそうな瞳。

そんなあの子と関わりがある彼もまた同じような瞳をしてる。

 

きっと私は放ってはおけないと勝手に思い込んでしまったんだろう。

その瞳を見たときから私がしたいことは決まった。

 

絶対に事情を聞いてみせる。

そして、彼と彼女、二人と友達になりたいんだって!

だから……

 

「か、カズ君!私と付き合って下さい!」

 

「はい?!!」

 

という声が重なると同時に一瞬で空気が弛緩する。

 

「な、なのは!?付き合ってっていうのはいったいどういう?」

 

ユーノが狼狽えながらも質問する。

 

「うん。カズ君に私のトレーニングに付き合ってほしいの。

 私はユーノ君と一緒にジュエルシードを集めることを止められない。

 だから、きっとこの後もあの子とぶつかり合うこともあると思う。

 今のままだとお話すらできない。聞いてすら貰えない。

 だったら……お話、聞いて貰えるようにあの子の隣に立てるくらい、

 強くなりたい!!」

 

なんて紛らわしいことを言うんだ。この白い悪魔は……。

と外面では苦笑しつつも、内心ガックリとうな垂れながら、反論する一志。

 

「イヤだ。だってそれおかしいだろ。

 俺はアイツらの関係者なんだぞ。

 なぜ、敵かもしれない奴に稽古をつけないといけないんだよ……」

 

乗り気になれずに、断ろうとすると……

 

<一志さん、これはフェイトさんのためにもなるんじゃないですか?

 さっきのフェイトさんは少し様子が変でしたから、

 なにかあったときに手は多い方がいいですし、

 それに、私もあの時フェイトさんが無闇に人を傷つける方法を選択したのが、

 どうしてなのか、引っかかってますからね>

 

ルビーが念話で俺の意識に割り込む。

 

<それと、彼女を鍛えるのは関係ないんじゃ……。

 確かに俺もフェイトが無闇に人を傷つけようとした理由は気になるけど>

 

一志は若干思案するようなフリをする。

しかし、うるうるしながら、小動物のように、

こちらを上目遣いで見上げる可愛い子を無碍に扱うことできず。

(DTにはかなりの難題だったため)

一志はものの数秒で陥落宣言する。そう、まるで自分を納得させるように……。

 

「今後も対峙することが多くなるなら、自衛くらいできてほしいからな。

 仕方ない。少しだけだぞ、それに基本はデバイスに習えよ。

 俺とのトレーニングはそれを復習するための模擬戦形式でやるからな」

 

「うん!!ありがとう!カズ君!」

 

満面の笑顔で答えるなのは。

 

さすがにすごい破壊力のある武器が備わっている。

伊達に、悪魔の名を配してはいないというわけか。

 

 

<なに赤くなってるんですか!このロリコン!

 まぁ、それよりも……アホみたいな魔力量は、

 一志さんと似た感じの子なんですから、

 改めて、手とり足とり教えるのも吝かではないんじゃないですか~?>

 

なんて、お気楽に言うルビー。

まぁ、確かに似たり寄ったりな感じだけど、

俺もリニスに教わって、まだちょっとしか経ってないのに……

人に教えれるかな……。

 

 

なんとも前途多難な師弟関係の始まりである。




やっと更新できたー。

カズ君。そうカズ君です。このための名前か!当たり前のパーペキです。


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第9話 ~トレーニング~

一志と出会った日。なのはは、すぐに模擬戦を申し込んだ。

回復もしてもらったから、大丈夫!とは本人談だ。

 

一志達は半ば呆れていたが、なのはの強引さに負けて、

渋々といったかたちで、模擬戦に付き合ったのである。

 

結果から言うと、なのはは一志に惨敗した。

ハンデとしてルビー抜きでの戦闘だったにも関わらずである。

 

「Shooting mode.

 Divine buster Stand by.」

 

「当たって!」

 

「だから……何度も同じ手を見せるな!

 一撃の威力は確かに凄そうだけど、

 直射砲撃を何度見せても高速機動型は捉えられないぞ。

 バインド制御すらままならない状態では、ただの隙になるだけだ!」

 

そんなやり取りも、もう何十回目である。

 

バインドで一志を拘束してから魔力砲の一撃によって、KOする。

戦略としてはシンプルで分かり易いが、今のなのはには致命的な欠点がある。

 

まず、複数の思考行動・魔法処理を並列で行う(マルチタスク)能力がない。

今の段階でシングルアクションで全て終わってしまっていて、

次に繋がる攻撃になっていないこと。

攻撃方法がパターン化されていて、とても対人戦をやるレベルにないこと。

 

上げれば、まだまだありそうだが……。

 

一志はルビーと相談しながら、なのはの行動・戦闘データを分析し、

そのように考えていた。

 

それを踏まえて、レイジングハートと話し、なのはのトレーニングを組み立てる。

まず、マルチタスクは必須だろう。

射砲撃型に最も必要とされる能力の一つだ。

 

まぁ、型に限らず、魔法戦をやるなら必須なんだが……。

 

ともあれ、方針は決まった。

肝となるのはバインドで相手を拘束してから魔力砲の一撃によって、KOする。

この戦術事態はなのはに適しているのだから。

 

そこがまず軸になる。

あとはその軸となる攻撃パターンを増やすこと。

 

そこを重点的に強化していけば、フェイトを捉えることもできるかもしれない。

 

この日、なのはは一志を一度も捉えることもできないまま、

模擬戦は終了したのである。

 

 

━━トレーニング初日

 

一志は前日と同様に攻撃を行わないで回避に徹していた。

驚いたことに、なのはは一日で、一志の回避行動に付いてくるようになっていた。

まだまだ、荒削りな部分は確かにあるし、攻撃も相変わらず当たらなかったが。

 

初日とは打って変わって、

確実に一志の動きを目で捉えて、攻撃してきたのである。

最後のほうは攻撃を掠めるくらいになっていた。

成長速度が本当にチートである。

 

「一志さんが言えることじゃないんですけどね~」

 

なんてルビーに言われながら……。

 

 

 

 

━━トレーニング二日目

 

さすがに避け続けるのも限界が近くなってきたため。

この日から攻撃を加えるようにした。

 

「レイジングハート、お願い」

 

「Protection.」

 

「だから!防御しただけで満足するな!

 そこから攻撃にいかに繋げるかが問題なんだろうが!」

 

「ふと思ったんですけど~。一志さん。キャラ変わってません?」

 

なんてことをルビーに言われながら……。

だって、頼られること少なかったから、

なんかテンションが変な方向にヒートアップしてしまって……。

 

そうこうしながらも、なのはの成長は著しく。

最後のほうでは一志の攻撃を防御しながらも、

持ち前の空間把握と目の良さを活かしたカウンター攻撃をしたり、

バインドを試みたりと、一志を驚かせていた。

 

ただ、如何せん直感がアホほど高いチート転生者相手では流石に荷が勝ちすぎたようで、ついに捉えることはできずに二日目の模擬戦も終わってしまった。

 

 

 

 

「ねぇ、カズ君。私、下手くそなのかな……」

 

「なんだよ。落ち込んでるのか?」

 

「だって、今日も頑張ってレイジングハートと戦術立てて来たけど、

 まったくカズ君に当てれなかったんだよ?」

 

となのはは何か自信を無くしているようだった。

 

「というかだな、なのははすげーよ。ほんとに。

 俺はほんとは攻撃加える気なかったんだよ。

 この三日間はただ、回避に専念して、

 対人戦で人に攻撃を当てることの難しさを徹底して教えるつもりだった。

 なのに、なのはときたら、持ち前の目の良さと空間把握能力で、

 俺を目で追えているだろ?それって普通ありえないからな」

 

「そうなの?カズ君は確かに速くて、追いつけないけど……」

 

「実際、一志さんを捉えることができる魔導師なんて限られますからね~」

 

「えぇーカズ君ってそんなスゴイ人だったの?!?!」

 

「まぁ、魔力量もセンスも人とは思えない部類に入りますからね。

 そも人なのかを心配したほうが、いいんじゃないですか?」

 

ルビー言い過ぎだろ……俺だって心までは鋼じゃないんだぞ。

って二回目だったかコレ。

 

「まぁ、いい。ともかく。なのは。

 お前は規格外の俺にちゃんと付いてきてる。

 確かにまだ攻撃は当たっていないけど、

 それだって明日にはどうなるかわからないよ。

 それだけ、なのはの成長は早い。自信持て」

 

<なんだかんだで、美少女に甘いですよね~一志さんて。>

 

<たしかに……でも、これはしょうがなくないか?!>

 

<はぁー。というか、他のジュエルシード集めのメンバーには、

 そろそろサボってることバレますよ?>

 

<それね……明日どうしよう。まぁ、なるようになるさ。>

 

そんなやり取りを念話で二人がしている間、なのはあることを決意する。

 

「あのね!カズ君。もし、明日の模擬戦で私の攻撃が一撃でも当たったら、

 なんでジュエルシードを集めるのか理由話してもらえないかな?」

 

「よし、わかった。ただし、俺が逃げ切ったら、

 なのはは俺とサーヴァント契約を結ぶこと。いいな?」

 

「サーヴァント契約?よくわからないけど、わかったよ!明日絶対だよ!」

 

「え!?あっおいちょっとなのは!?」

 

なんていいながら帰路に向かうなのは……。

 

「なぁ、ルビー」

 

「なんですか鬼畜外道の一志さん」

 

「……すんませんっした!!だって冗談だったのに、普通に帰るんだもん!」

 

「あぁーもうこれだからアホマスターなんですから!」

 

なんていいながら、転移魔法で帰還するルビーと一志。

明日はまた大変そうである……。

 

━━トレーニング三日目

 

 

「おはよう。なのは」

 

「おはよう。ユーノ君」

 

「今日も早いね」

 

「うん!今日もレイジングハートとトレーニングした後に、

 カズ君と模擬戦なの!」

 

 

なのははトレーニングを順調にこなしていた。

 

ただ、明らかになのはの成長速度は一志の予想を超えていた。

……さすがは白い悪魔である。

 

今日は総仕上げとして、朝から模擬戦をするつもりだった一志だが……。

思わぬ展開になっていた……。

 

「なぁ、リニス……本当に付いてくるのか?

 いつもはプレシアと家で留守番してるのに」

 

「何をしているのか真相を確かめるべきだと思いまして」

 

笑顔が怖いよリニス。

なぜ怒っているんだ……。

 

そうこう話しながらも目的の場所についた一志達。そこへ……

 

「カズ君?そのネコさんは?カズ君のネコさんなの?」

 

「あ~えっとだな……。今日は特別講師にお越しいただいた。

 俺の使い魔、リニスだ」

 

なのはが首を傾げていると……。

 

「一志の使い魔がネコだというのは不思議なんですか……?」

 

なぜか苛立っているリニスさん。コエー。

 

「ふぇぇぇー!?ネコさんが喋った!」

 

「いや、待て。ユーノだって喋ってるだろうが。

 なぜネコが喋ったらそんな反応なんだ?というかリニス、

 そろそろ機嫌治してくれよ」

 

頼むと言いながら一志は頭を下げる。

カズ君がネコに頭下げてる……。と、なのはは何か驚愕していたようだが。

 

「仕方ないですね。この件はキッチリ後で問いただすとして。

 さて、なのはでしたか?初めまして。一志が大変お世話になっております。

 私は一志の使い魔、リニスと言います。以後、お見知りおきを」

 

人型に戻り、きちんとおじぎするリニス。

なぜか一志の使い魔部分がかなり強調されていたように聞こえたが、

あまり触れると大変なことになりそうなので、放っておくことにした。

 

「さて、なのは。今日はリニス先生も加わっての模擬戦だ。

 昨日よりもハードになるが。準備は万端か?」

 

「うん!気力も体力も満タンだよ!カズ君!」

 

「そうですね。私が扱くのですから、

 それくらいの気合でなければ、生きて帰れないですよ?」

 

あれ……リニスがなんか怖いことを言っている気がする……。

俺なんか怒らせることしただろうか……。

 

「これだから一志さんはダメなんですよね~。まったくダメダメですよ~」

 

なぜかルビーにも非難されまくりなわけだが。

誰か俺に優しくしてくれないだろうか……。

 

「か、カズ君?なんか私、リニスさんに失礼なことでもしたかな?

 笑顔が、さっきからなんか凄い威圧感があるような……気がするんだけど……」

 

「やっぱり、そう思うか?俺もさっきから考えているんだけど、

 なぜかわからないんだ……」

 

小声でコソコソと話す二人にリニスは益々笑顔になっていく。

こめかみをヒクヒクさせながら……。

 

「さて、もう準備はいいのですよね?

 なら始めましょう。まず、私がなのはの実力を見るということでいいですね?」

 

 

有無を言わさぬとはこのことか……

 

 

「えっとよろしくお願いします。……いくよレイジングハート!」

 

「stand by ready.

 set up.」

 

「さて、一志が鍛えたほどを見せてもらいましょうか」

 

高速機動型の魔導師であるフェイト以上のスピードを誇る一志。

その一志を捉えるようになったというのは偶然ではありえない。

ならばとリニスは思考する。

 

まず、こちらが先手を取る。

 

 

「ジェットスマッシャー!」

 

「flash move.」

 

「これを躱しますか。

 本当にこれでトレーニングを始めて三日目とは……恐れ入ります。

 ですが、私も一志の使い魔として主の前で醜態を晒すわけにもいきません」

 

<えーと。これ模擬戦だよね。ルビー……>

 

<そうですね~。一志さん。>

 

<なんかリニスの気合の入り方おかしな方向にいってないかい?>

 

<一志さんのせいですよ~。きっと。

 自分に秘密にして、こんな可愛い子とイチャイチャしていたとなれば、

 それはリニスさんとってはイイ気分じゃないでしょうからね。>

 

<いや、それはおかしいぞ、ルビー。だって、模擬戦してただけだし……

 それにイチャイチャしてたことないだろ?>

 

<ほら、あれですよ。朝もトレーニングで最近はあまり話してなかったですし、

 夜は夜でなのはさんのトレーニングメニュー考えたりで、

 話せてなかったですし、なんか鬱憤でも溜まっていたんじゃないですか?>

 

<そうだったか?至って普通に会話していたような気がするが……。>

 

なぜかため息をつくルビー。

念話中にも戦闘は継続中である。

 

巧みな戦術で、自分に有利な場所へなのはを誘導し、

トラップバインドをそこかしこに設置したリニス。

 

対して、防戦一方ながらも、目の良さと空間把握の上手さによって、

危機を間一髪で躱すなのは。

 

しかし、それもそろそろ限界か。と予測する一志とルビー。

確かに、ジュエルシードの異相体クラスなら、なんなく倒すことも可能だろう。

ただ、いくら危機を回避しても防戦一方では勝てないのだ。

 

それは、なのは自身も気づいているのか、

ようやくバインドでリニスを捉えることに成功する。

 

 

だが、これはきっと……

 

「撃ち抜いて――ディバイン!」

 

「Buster!」

 

「甘いですよ!なのは!」

 

リニスは、一志との契約により、魔力量がAAAを軽く超えてしまっていた。

このような魔力量を得たことにより、

前々から試したかったことをリニスはやってみることにした。

それは、一志が前にリニスのバインドを無理やり破った、

魔力に任せたバインド外しである。

 

要は力技にて枷を外す行為である……。

 

それを見ていた一志は、

 

「え~~~!?」

 

「一志さん……アレ一志さんのやった無理やり罠外しですよね」

 

「魔力に任せたヤリ方だったから、後でリニスに凄い怒られたのに……」

 

そうまでして勝ちたいのかリニス……。

そして、なのはは凄いな。

それほど、強くなっているリニスを、

一瞬とはいえ追い詰めるに至ったということだろう。

 

リニスの罠にハマった、なのははバインドで拘束される。

 

そして……

 

「では、これで終わりです!プラズマ……」

 

 

 

 

 

 

 

突如、アルフとサファイアから念話が入った。

 

 

 

 

 

<リニス!一志!大変だ!フェイトが……!!!>

 

<姉さん、一志さん緊急事態です!セイバーのクラスカードが暴走を……!>

 

 

 

━━━━アルフとサファイアから突然の念話がくる少し前。

 

ここは海鳴市付近にある海の上空。

 

フェイトとその使い魔であるアルフは、

地上ではあらかたジュエルシードを回収してしまったため、

他のジュエルシードを求めて海上からの探索に切り替えていた。

 

すると、ここでアルフの探知魔法に複数の反応が現れる。

それを見たフェイトが魔力雷を打ち込んでジュエルシードを一旦暴走させて、

位置を割り出してから、複数同時封印を試みる。

ということをアルフに提案したところである。

 

 

「ね、ねぇフェイト。やっぱり、危険だよ。

 確かに、一志が来てからフェイトは随分強くなったよ。

 でも、複数あるジュエルシードを一斉に封印するなんて……。

 そんな無茶しなくても、一志を待てばいいだけじゃないか」

 

「フェイト様、ここは一志さん達を待つのも手です。

 これだけのジュエルシードを、

 フェイト様達だけで回収するのは危険だと、私も思います」

 

 

「ごめんね。アルフ。サファイア。でも、早く回収したいんだ。

 これさえ終われば、アルトセイムでゆっくり皆と暮らせる。

 これさえ回収すれば、アリシアも帰ってくるから……」

 

だから!と、フェイトは魔力雷を海中へ打ち込む。

 

 

サファイアはなぜか落ち着かなかった。

さっきから、セイバーのクラスカードが、

妙にフェイトの魔力に反応しているようなのだ。

どうにもおかしい。未だインクルードさえしていないのに、

なぜカードが反応するのか。

 

だから、サファイアはジュエルシードの回収を待って欲しかった。

一志達が合流するまで……。

 

 

アルフはわからない。

どうしてフェイトがこうも必死なのか。

いや、なぜ辛そうなのか考えたことがないわけじゃない。

 

たしかに、フェイトの生い立ちについて自分も聞かされている。

そのとき悩むしぐさこそなかったけど、

ここまで思いつめたような感じはなかった……。

 

それに、一志が来てからは兄ができたように慕っていたし、

フェイトに姉までいることがわかって、すごく嬉しそうだった。

 

それは、アタシの勝手な思い込みだったのかい……?

 

「フェイト……」

 

アルフの呟きは落雷と共に掻き消えた。




更新頻度が結構不定期になりそうです。

なかなか進展しませんが。

次回「フェイト vs なのは」

こんなタイトルにするかな?思案中です。


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第11話 ~暴走~

フェイトvsなのは???え??



まさかの方向転換です。ほんと、ごめんなさい!


サファイアとアルフのからの念話後、リニスとなのはの模擬戦は一時中断となり、

現在、フェイト達に合流すべく全速力で現場へ向かう途中……。

 

リニスが周辺空域に結界が貼られていることに気がついた。

 

「一志?気がついてますか?」

 

「あぁ、これは囲まれているな。

 どこの連中か知らんが、随分威勢がいいじゃないか」

 

獰猛な笑みを浮かべる一志。

 

「どうしたの二人共?」

 

遅れてきた、なのはが一志達が止まっていることに気がついて速度を落とす。

 

<どうします?ここで時間をくうわけにもいきませんよ>

 

<ざっと確認できるだけでも、30人以上に囲まれてますね~。

 これはすぐに突破できそうもないですよ>

 

<どうするもこうするも強行突破以外に方法はない。

 俺達がここで捕まれば、アリシアを救えないんだからな>

 

「あ、あの~カズ君、大丈夫?」

 

「ふむ……。なのは。頼みがあるんだが、聞いてくれるか?

 もし頼みを聞いてくれるなら、

 俺達がジュエルシードを集める理由を話すよ。どうだ?」

 

「うん!カズ君の頼みなら、なんでも聞くよ!」

 

なんでもと言われて若干興奮しながらも、苦笑しつつ答える一志。

 

「あ、ありがとな……」

 

 

<なんでもって言われると興奮しますね。一志さん>

 

<うるさいよ、ルビー>

 

ルビーはエスパーか何かかまったく。

 

「頼みというのは……今、俺達の大切な仲間が、

 ちょっと、トラブルにあったようなんだ。

 俺としてはそちらが気になるからすぐに向かいたいんだけど……」

 

「うん!きっとカズ君の大切なお仲間さんを助けてみせるから!」

 

話を最後まで聞かずに元気よく了承する。

それでいいのか、なのは……。と思いながらも止めない一志。

 

「頼んだぞ」

 

と言いながら、アーチャーのクラスカードをインストール。

 

「……一志、後で、なのはとの関係を詳しく!

 説明してもらいますからね……」

 

なんかやけに詳しくの部分を強調されたんだが……。

 

「いや、そんな、詳しく説明するほどの仲じゃないんだけど……」

 

「はぁ、仕方ないですね~一志さんは。

 では、私がサファイアちゃん達のところに先に向かいます。

 だから、結界と囲んでいる人達についてはお任せしますからね」

 

「ああ」「分かっていますよ。ルビー」

 

 

ルビーの案内で、なのははフェイトの元へ急ぐ。

 

 

「じゃあ、まぁ、久しぶりのコンビだ楽しんでいこうか、リニス」

 

「はい。マスター」

 

「――――投影、開始」

 

一志は黒剣を無数に展開する。

 

「――――工程完了。全投影、待機」

 

「フォトンランサー・ジェノサイドシフト」

 

そして、フォトンランサー広域拡散版、ジェノサイドシフト。

黒い雷槍の群れが辺り一面を埋め尽くす。

 

空一面を覆う黒剣と黒い雷槍の群れが展開される。

 

「行きます!R&K中距離殲滅フォーメーション!!」

 

「「レギオン・オブ・ジェノサイド・ブレイカー!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━時空管理局、次元航行艦船アースラ内部

 

 

数日前

 

最近、管理外世界地球でどうにも魔力量の判定がおかしい数値を出していると、

報告が上がっていた。その報告により、一応、調べに来ていた管理局執務官。

 

そこで随分予想外のものを彼は発見する。

 

黒服の少年は呟いた。

 

「なぜあんなものがこの星にあるんだ……」

 

快活そうな少女は心配そうに見上げる。

 

「なにかあったの?」

 

「至急、艦長に繋いでくれ。確かめないといけないことがある」

 

 

 

 

 

━━━━アースラ内部にある応接室

 

 

ホロウインドウを通して、

一志達が閉じ込められた結界内部の映像を見ている、

エメラルド色の髪をポニーテールにまとめてている妙齢の女性。

 

リンディ・ハラオウン

このアースラの艦長。時空管理局艦船司令官である……。

 

 

数時間前に局員を現地、管理外世界へと派遣。

魔力量のすごい一団を発見したとの報告を受けてから数十分後、

膨大な魔力反応を感知。

 

そして、ロストロギアの発見……。

 

この一団もロストロギアに関わっている可能性が非常に高いと判断した執務官は、

結界内に一団を閉じ込めるために局員を数十人派遣。

 

現在、結界内に彼らを閉じ込めることに成功したのだが……。

 

「あら、お話を聞きたかったのだけど。

 結界破られてしまったわね。

 これは、クロノに行ってもらうしかないかしら……」

 

「艦長。失礼します」

 

「クロノ執務官、どうしたの?」

 

「これは!?さっき結界内に閉じ込めたと報告が上がったばかりでは……」

 

「逃げられちゃったみたいね。

 これは私も行かないとお話を聞くのも大変なんじゃないからしら?」

 

「艦長ご自身を危険に晒すわけにはいきません。

 僕が行きます。艦長はアースラの指揮をお願いします」

 

「わかったわ。くれぐれも無茶をしないでね」

 

「失礼します」

 

 

ため息をつくリンディ。

ロストロギア。自分と息子には随分深い関わりがある。

 

因縁ある古代の遺産。

 

「あの子には随分と背負わせてしまっているわね」

 

再度、溜息をつくリンディ。

 

「何事もなく回収できれば、いいのだけれど」

 

相当甘い抹茶を飲みながら、彼女は今は亡き夫に祈る。

息子が無事に戻るようにと……。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━

 

 

結界を破るまでは良かった。

しかし、それ以上の戦果がここにあった。

 

 

「やりすぎたかな……」「やりすぎですね」

 

 

 

二人が同時に呟く。

二人の魔砲のお陰で結界は無くなり、

なのはとルビーがフェイトの元へと向かえたのは良かったのだが、

あまり加減せずにブッパしてしまったため、

辺りを囲んでいた人のほとんどが、方方に吹き飛んでいたのである。

 

 

「リニス、今気がついたんだが、こいつら局員じゃないか?」

 

「そうですね……。服装といい管理局の局員でしょうね」

 

「マズイな」「マズイですね」

 

二人が唸っていると。

 

「そこの二人。動かないでくれ」

 

リングバインドにより、一志とリニスは拘束されてしまう。

 

<一志、どうします?ここで捕まるわけにもいかないでしょう?>

 

<もちろん。動くなと言われて、はい、わかりましたと言うつもりはないよ>

 

<なら、決まりですね>

 

二人が行うのはもちろん、魔力に任せたバインドの解除である。

 

著しく魔力を消費するため、本来リニスはこれに否定的な立ち位置にいるが、

今は、緊急時であることを考慮にいれて、この方法をとるようである。

 

「悪いね管理局の人。ちょっと急いでるんだ。

 話はまた今度にしてくれないかな?」

 

笑顔で応答しながらも、リニスと一志はバインドを解除する。

 

「な、君達!待つんだ!」

 

静止を振り切って、一志とリニスは最早彼方へ飛び立った後。

まんまと逃げられてしまったのである。

 

クロノはホロウインドウを表示してエイミーを呼び出す。

 

「エイミー捕捉できるか?」

 

「ごめんクロノ君。早すぎて追えなかった」

 

「わかった。行き先の検討はついてる、追跡はこちらで行う。

 エイミーは医療班をこちらにまわすように手配してくれ。

 それと、直ちに追跡班の編成も頼む」

 

「了解!クロノ君も気をつけて」

 

クロノはホロウインドウを閉じ。

彼らの向かったであろう場所を目指し、飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━一方、海鳴市とある海の上空

 

 

 

フェイトとアルフ、サファイアが暴走したロストロギアの封印に苦戦していた。

海底に複数あったジュエルシードを暴走させ、

場所を特定したまでは良かったのだが、その際に、予期せぬ事態が発生していた。

 

フェイトが魔力雷を放った後、

ジュエルシードの場所を特定したまでは良かったが、

一志から預かっていた、セイバーのクラスカードが、

ジュエルシードとフェイトの魔力に反応して暴走。

 

ジュエルシードを海底から吸収し、黒い騎士の英霊を呼び出したのだ。

 

「どうして!カードから英霊が現れるなんて!?」

 

サファイアが驚愕の声をあげる。

 

「リニスと一志を呼んだけど、まだ来ないみたいだし。フェイトどうする?」

 

「うん。予想外だけど、複数を一辺に封印するより手間が省ける。

 一志達が来る前に片付ける」

 

「いけませんフェイト様。あれは完全な英霊ではなくとも、

 英霊の現象だと私は思います。迂闊に近づくのは危険です」

 

「ありがとうサファイア。でも、大丈夫。

 アルフもサファイアもいる。だから、大丈夫。

 一志達が来る前に終わらせるから!」

 

サファイアを手に杖の先端に魔力を集め斧のようにして、

黒騎士に攻撃する。が、黒い霧が集まって斧を弾く。

 

フェイトは弾かれた衝撃を利用して、黒騎士の剣から逃れる。

 

アルフがチェーンバインド等で、でセイバーの動きを止めようとするも、

黒い霧によって弾かれてしまい、一瞬も隙を作れない状態である。

 

「フェイト様だけで立ち向かうには、明らかに危険な相手です!」

 

サファイアが叫ぶもフェイトは攻撃を止めない。

 

「うん。そうかもしれない……。でも」

 

明らかに強い相手。一志クラスの相手。なら尚更引けない。

 

私の生まれた経緯について母さんと話した。

アリシアのコピーとして生まれたことも聞いた。

 

今までのこともこれからのこもいっぱい話して、

話の終わり際に、母さんに愛してると言われたときは、嬉しかった。

母さんと話していて、くすぐったい気持ちになることが増えた。

 

前は話さえできなかったのに、今はたくさん話せる。

いつも笑顔を私に向けてくれる。

 

一志が来てからほんとに毎日が楽しくなった。

そこに、リニスが、アルフが、母さんがいる。皆私の家族。

 

でも、怖いんだ。アリシアが戻ってくるのが。

 

私の居場所が無くなるかもしれないのが。

 

怖い。

 

だからせめて、今は家族の役に立ってみせる。

一志のほうが強いし、速さでも負けてしまうかもしれない。

 

だけど、アリシアのため、これから一緒に過ごす家族のために、私は負けない。

 

だって、きっと負けたら……

私の居場所もアルフも一志もリニスも母さんも……

 

全部アリシアに取られるかもしれないんだ。

いらないと思われるかもしれない。

 

アリシアさえいれば、私はいらなくなるかもしれない。

 

せめて、戦闘だけは役に立つんだ。だから!

 

「私は絶対に負けられない!」

 

悲痛な声が木霊する。

 

フェイトは黒騎士に何度も向かっていき、

その度に、黒い霧に弾かれ、黒剣により斧を払われる。

 

もちろん、フェイトが弱いわけではない。

魔力による攻撃は全て黒い霧によって阻まれてしまうのだ。

 

未だにフェイトは致命傷を与えていないが、

逆に黒騎士もフェイトを捕らえていない。

千日手のようになっていたが、数十分経った頃均衡が崩れ始める。

 

サファイアの回復も追いつかなくなってきているようで、

徐々に、黒騎士の攻撃がフェイトを捕らえ始めたのだ。

 

いくらサファイアといえど、英霊の攻撃を回復させつつ、

体力の回復にも務めるのは些か無理がある。

 

ここにきてフェイトのスピードとキレが失われつつあった。

攻撃は単調になり、黒騎士のカウンターにより、

弾き飛ばされたフェイトは大きく距離を取らされた。

 

黒騎士はその隙を逃さずに、黒剣に魔力を蓄える。

 

「フェイト様、撤退して下さい!あれは防ぎきれません!」

 

「無理だよフェイト、あんなのくらったら、

 いくら障壁があっても無事じゃすまないよ!」

 

サファイアとアルフが撤退するようにフェイトを説得するが。

 

「撤退はしない。私がジュエルシードを回収する」

 

「フェイト様!」「フェイト!」

 

フェイトは防御ではなく、砲撃で相殺することを選択する。

 

「サファイア、撃てるよね?」

 

「相殺するつもりですか?フェイト様、ですが、それは……!」

 

「フェイト危険だよ!」

 

「大丈夫。上手くやってみせるから」

 

「フェイト様……」

 

フェイトを心配しながらも、主の命に従うサファイア。

魔力を溜め終えた両者の魔砲がここに激突する。

 

「サンダースマッシャー!!」

 

黒騎士が反応する。

 

魔力を溜め込んだ黒剣を構える。

そこには絶対的な力が溜め込まれていた。

 

全てを無に帰すような一撃を放つ騎士。

 

果たして、その一撃はフェイト達を飲み込んだ……。




あ、ちなみにアルフの外見はロリ設定です。
あれは省エネ体型らしいし、フェイトの負担も軽くなるからという一志の勧めでそうなったということにします。外伝かなんかにはそのへんの件も書こうかと……。

そして、タグに不定期更新を追加しようかと。
なかなか乗れないのが現状なので……。
随時更新できなくてほんと申し訳ないです。

皆様、気長に待ってくれてありがとうございます。


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第12話 ~影と霧~

━━━━黒騎士の一撃がフェイト達を飲み込む少し前

 

 

「ルビーちゃん24の秘密機能の一つ、ネックレス形態ですよ!

 これで、なのはさんがどれだけブッパしても、

 魔力の回復を私が自動で行います!安心決定ですね!! 」

 

臨時措置として、なのはさんをゲスト登録したまではいいのですが、

杖が二つだとさすがに運用しづらいでしょうからね。

 

「それきっと意味が違うと思うんだけど。

 でも、これで、随分魔力も回復してきた。

 これなら、きっとカズ君のお仲間さんも助けられる! 」

 

「それなんですけど~なんで、そんなに一志さんに拘るんですか?

 トレーニングの件もそうですけど、ジュエルシードを集める理由とか。

 ただ、危ないものだからってだけじゃない気がするんですよね~。

 ルビー乙女センサー的に」

 

「……えーと、そう言われても、なのはは、

 ちょっと気になっただけと言いますか、

 仲良くなりたいとか友達になれたらと思っただけと言いますか」

 

なぜに、ですます調になるんでしょうか。

それにしても、一志さんも以外なところでフラグ建築に勤しむとか。

リア充爆発しろってやつですね。

テスタロッサ姉妹にリニス、アルフ、プレシア。

さらに、美少女率を増やすとは、一志さん恐るべし。

 

「なるほどなるほど。つまり、気になる男の子だから接近したと」

 

「にゃ!?ち・違うよ!そのそういう意味での気になったとかじゃなくて、

 ちょっと気になったというか、えっとその……」

 

赤面しつつ、しどろもどろになりながらも反論するなのは。

これに、ルビーが刺激されてしまい。

 

「おや~やっぱり、気になってしまうということですね!

 これは一志さんに念話してお伝えしておいたほうが、いいかもですね!

 では早速。ルビーちゃん24の秘密機能の━━━━」

 

<ルビー?そっちはもう合流できたのか?>

 

言ってるそばから念話ですか。噂をすれば影がさすってことですかね。

 

<ん?なんか言ったかルビー?>

 

<いえいえ~何も言ってませんよ。こちらはそろそろ合流できそうですが、

 一志さん達はどうなんですか?そろそろこちらに追い着く頃かと思いますけど>

 

<うーん。それなんだがな。倒してしまった奴らが、

 どうも管理局の連中だったんだよ。

 今追尾してる奴らを撒いてるところだから、ちょっと遅れそうだ>

 

<管理局?全くいつもだいたい厄介なの引き寄せるますね。一志さんは>

 

<俺のせいかよ。今回も事故のような気がするけど。俺たちも追いつけるようにするが、

 そっちであんまり無茶なことをしてくれるなよ。なのは共々な>

 

<そこは保証しかねますね~。何せ、なのはさんを鍛えたのは一志さんですからね~>

 

軽口を叩きあえるほど、余裕が無かったのか頼んだぞと念話を切られてしまいました。

あちらはあちらで、忙しいということですかね。

管理局というのはロストロギア絡みでは確実に出しゃばってくる組織ということでしたが。

この状況で関わってくるといのは想定外だったようですね。

 

そろそろ、ロストロギアの反応があった地点に到着しそうですね。

 

しかし、なのはさんも随分と速くなりましたね。

さすがに一志さんクラスにはまだ比較すべきでもないですが、

一志さんのトレーニングの成果ということでしょうかね。

このデバイス、レイジングハートさんとの相性がイイというか。

成長速度でいったら、一志さんと同じかそれ以上ですね。

あの人も人外な早さで上達しますから。

 

と、そろそろ見えてくる頃ですけど、おかしいですね。

ジュエルシードの反応が一つにまとまっています。

たしか複数発見していたはずでは……。

 

 

「ルビーあそこに人が見えるよ!きっとカズ君のお仲間さんだよね?! 」

 

「え、もう見えてるんですか!?

 魔力反応から言ってまだかなり離れていそうな距離なのに?」

 

「うん!黒い騎士みたいな人も見えるよ! 」

 

黒い騎士!?もしかして、それがサファイアちゃんが言っていた、

クラスカードの暴走の元凶ということですかね~。

 

「ちょっと私には魔力反応が大きすぎて、

 詳細な状況が把握できてないんですよね~。

 サファイアちゃんもさっきから念話に応答してくれませんし」

 

「黒い騎士が魔力を貯めてるように見えるかな」

 

ほんとーに、黒騎士の魔力反応が大きいですね。

フェイトさんはスピードがあるので、

避けることに徹したら問題無いと思いますけど……

 

「ルビー。あの子も魔力貯めてるから相殺するつもりなんじゃ!?」

 

「!?フェイトさんの魔力が溜る前に相手が撃ってきますよ!! 」

 

 

その瞬間、なのはは弾丸のような早さでフェイト達の元へと向かった。

 

 

 

━━━━そして、黒い騎士から絶対的な力が放たれた。

 

 

 

 

 

 

どうして……私はこんなに弱いんだろう。

 

 

私、勘違いしてた。自分が強いって。

一志が来るまで自分の得意な戦術に持ち込めば、

完敗したと思うような敗けは一度も無かった。

 

一志が来て、私は何度も完敗した。そこで初めて自分よりも強い人がいることを知った。

 

確かに一志は強かったし、センスもあった。私より速くて、私よりも強い。

成長速度は私なんかの比じゃなかった。

 

 

 

でも、負けても私は嬉しかったんだ。楽しかった。

一緒に強くなろうって言ってくれて、嬉しかった。

 

自分と同等以上に強くて、挑むべき相手ができて。

お兄ちゃんみたいだなって思った。

強くてカッコ良くて、優しくて。

 

だから、一志みたいに私も強くなろうって思ってた。

何回も模擬戦して、最近では引き分けることが多くなってきて、

一志もルビーも私のこと強くなったって褒めてくれた。

そして、私には今サファイアがいる。

アルフだって補助してくれてた。

大切な人を守れるくらいには強くなれたと思ってた。

 

だけど━━━━違ったんだ。私、まだ弱かったんだね。

 

「ごめんね。アルフ。サファイア」

 

 

 

フェイトの放ったサンダースマッシャーは黒騎士の一撃を相殺できずに、

黒い斬撃に飲み込まれるはずだった。

 

 

そこに一陣の風が現れる。

 

 

突然、目の前に現れた乱入者にフェイトが目を丸くしていると、

 

「レイジングハート!お願い! 」

 

「Divine Buster」

 

「シュート!! 」

 

少女の放った一撃により、なんとか黒騎士の斬撃と拮抗する。

 

「あ、サファイアちゃん。良かった無事だったんですね」

 

 

「姉さん!?そんなことよりも、あの子はいったい??」

 

「サファイアちゃん。まず、ちょっと聞きたいんですけど、この状況は」

 

「そうでした。これまでの状況を説明します。姉さん」

 

少し落ち着いたサファイアちゃんと念話で話したことをまとめると。

 

1.セイバーのクラスカードからジュエルシードを吸収して出てきた英霊の現象のようなものが現在交戦中の黒騎士であるということ。

 

2.黒騎士への攻撃が纏っている黒い霧により無効化されているということ。

(黒い霧はたぶん魔砲全般を受け付けない魔術障壁でいうならAランク相当のものだということ)

 

3.クラスカードからの英霊召喚なのか不明瞭のため魔力が枯渇することも断言できない厄介な相手であるということ。

 

 

「うーん英霊の現象ですか~。また厄介な相手ですね。

 倒してしまえれば、カードに戻るということでしょうかね?」

 

「わかりませんが。倒せるのですか?

 まずはあの黒い霧をどうにかしないと」

 

「あれをどうにかできれば、魔砲を撃てるというわけですか。

 なら、その点は心配ないかもですよ。サファイアちゃん」

 

「ブレイクシュート!! 」

 

 

掛け声と共になのはとフェイトの砲撃は合わさり、黒騎士の斬撃を相殺していた。

 

 

「━━━━姉さん。」

 

「なんですか?サファイアちゃん?」

 

「あれはどういうことですか?」

 

「なのはさんのことですか?まぁ、なんというか一志さんの弟子ですよ」

 

「「一志(さん)の弟子!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、なんか悪寒がするな。

 

 

「一志?大丈夫ですか?」

 

「いや、なんでもない。向こうの魔力反応が尋常じゃない。急ぐぞ」

 

「そうですね。さっきから念話をしようとしているのですが」

 

「反応がないってのはなんとも不安な展開だな」

 

「はい。皆無事だといいのですが」

 

「魔力反応から全く無事ということもないだろうけど、

 ヤヴァイ事態じゃないことを祈ろう」

 

と、二人はまた全速力でフェイト達のいる場所へ向かって行った。

 

 

尾行しているクロノには気づかずに。

 

 

「しかし、彼らに気づかれないように尾行するのは骨が折れる。

 こちらが補足されてないのは運がいいのか。

 それとも他に気にすることがあるからか。

 いずれにしても、彼らには聞くことが多そうだ」

 

溜息とともに尾行を再開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子。たしかこの前ジュエルシードを探してる時に会った子だ。

その子がどうして一志の弟子に。

最近、一志がジュエルシード探しをサボってるって、

アルフとサファイアが言っていたような気がするけど。

 

ジュエルシードを探さないで、あの子と遊んでたんだ一志。

なんかすごく嫌だな。なんでだろう。

 

 

「る、ルビー。そんなことよりも、あの黒い騎士さんを早くどうにかしないと」

 

「そうですね。なのはさん。といってもやることはもう決まっているんですけど」

 

首をかしげるなのはさん可愛いですねー。

それよりもこの作戦で鍵を握るのは連携なんですけど。

一志さんがいれば、問題なかったんですけど。

 

なのはさんとフェイトさんですか。

不安ですね。なんだか、フェイトさんがさっきからなのはさんを凝視している気がするのも気のせいじゃないでしょうね。やっぱり弟子発言は不味かったですかね。

 

まぁ、なるようになりますよね。

もし、どうにもならなくても一志さんに丸投げしましょう。

 

「えーとですね。まずは、フェイトさんが接近戦で黒騎士の注意を引きつけて、その間になのはさんが魔力を溜める。そして、なのはさんの砲撃であの黒い霧を吹き飛ばします。というのが私の考えた作戦なんですけど」

 

「うん!私頑張るよ!行くよレイジングハート」

 

「All right, my master.」

 

さすがに、並列処理できるようになったからか、決断も速いですね。

ああいうところが一志さん的には好ましいんですかね。

 

「フェイト様?どうしました?」

 

「注意を引きつけるだけじゃなくてジュエルシードを封印するためにあの英霊を倒してもいいんだよね?もしかたら、倒せばカードに戻るかもしれないし」

 

「フェイト様単独での近接戦闘は先刻から刃すら通らない状況なんですよ!

 やはり単独での英霊の打倒は危険過ぎます! 」

 

「セイバーのクラスカードから出てきた英霊。そのスゴさは身を持って経験してるからわかってる。サファイアの言うこともわかるしルビーの作戦は正しいと思う。でも、私がジュエルシードを封印するんだ」

 

サファイアちゃんの言った通り、ここは連携したほうがこちらの安全も確保できるんですけどね。単独で攻撃を繰り返しては黒い霧の餌食になることは先ほどサファイアちゃんから貰った映像を見ても明らかですし。なぜフェイトさんが意固地なるのかわかれば、少しはフォローもできるかもしれませんが、何もわからない状況で余計な手や口を出すと余計に本人が殻に篭ることもありますし……。これはあまりいい傾向とは言えないですね~。うーん。とりあえず、一志さんが来たら相談してみましょう。とその前に

 

<サファイアちゃん。これはいったいどういうことです?>

 

<すみません姉さん。なぜかはわかりませんが。フェイト様はお一人でジュエルシードを回収したいと先刻からずっと>

 

<一志さんがいたときはそんな風に意固地になることはなかったように思えるんですけど。なにかあったんですかね?>

 

<理由はよくわからないんです。さっきからそればかりで>

 

 

 

「そこの子。悪いけど、前みたいに邪魔しないで、私がジュエルシードを回収する」

 

「あ、あのね!さっきルビーが言ったように連携してあの黒い騎士を倒さないと。

 そのほうが、怪我も少ないだろうし、

 それに、カズ君と約束したの。きっとあなた達を助けるって。だから! 」

 

フェイトに睨まれ、たじろぐなのは。その様子にフェイトはムッとしながらも、

 

「助けなんていらない。あなたは霧さえどうにかしてくれればいい。

 あとは私がなんとかするから」

 

直後、フェイトは黒騎士へと攻撃を再開する。

 

なのはは若干呆気に取られながら、

レイジングハートやルビーのサポートを借りつつ魔力を溜める。

 

両者が戸惑いながらも動き始めた頃、サファイアとルビーの念話は未だに続いていた。

 

 

<姉さん。先ほど、なのはさんが仰っていた約束というのは一体?>

 

<サファイアちゃん達を助けてくれるならジュエルシードを集める理由をなのはさんにお話するという約束を一志さんはしたんですよ>

 

<それで彼女は今手伝ってくれていると>

 

<そうですね~まぁきっとそれだけが理由ってわけじゃないと思いますけど>

 

 

 

 

 

あの子と初めて会った時、私は一方的にやられちゃって、お話するどころじゃなかった。だけど、今はちゃんと横に並べる。

まだあの子に私の言葉は届かないけど。

でも、前よりはずっと近づけた気がする。

 

ジュエルシード。ユーノ君が困ってるから助けたくて集めてたけど。

今は、そんな危険な物をどうしてあの二人が集めるているのか、すごく気になる。

だから、教えてもらうんだ。

 

だから、全力で約束を守らないと。

そして、ちゃんと伝えるんだ。私の気持ちを。

 

今はあの子の目に私は映っていないけど、言葉だって届いていないけど。

でも、きっと届けてみせる。

 

お友達になって欲しいんだって。

 

 

私はあの子とカズ君ともっと仲良くなりたい!

だから、今は拒絶されてもあの子を助けたい!

 

「レイジングハート――もっと溜めるよ! 」

 

「All right, my master!」

 

 

 

 

 

あの子、すごい。

前に会った時とは全然別人だ。

 

前は一志にも匹敵するくらいの魔力量があるのに上手く扱えていないように見えた。

今はデバイスの補佐はあるとはいえ、思考や魔力の並列処理をきちんとできている。

 

魔力を溜めながらも要所で私の援護もしてくれる。

一志の弟子っていうのは本当なんだ。

 

でも、私だって模擬戦での一志との実戦経験は誰よりもある。

これはリニスにだって負けてない。

あの白い子にだって、まだ負けられない!

 

<アルフ援護して、あの子と連携してバインド合わせて>

 

<フェイト……わかったよ。でも、無茶だけはしないでよ>

 

<うん。わかってる>

 

「そこの子アルフと私にタイミング合わせて、数撃加えてアルフのバインドで拘束したら魔砲を撃つ」

 

「うん!わかった!レイジングハートいくよ! 」

「サファイア、アルフお願い」

 

「all right.」「了解です。フェイト様」「わかったよ」

 

 

フェイトは宣言通り、初撃を大剣のような大きな魔力刃にて攻撃、

黒騎士と鍔迫り合い黒騎士のパワーにわざと押し負けるように飛び退く、

そして二擊目、サンダースマッシャーを即座に放つ。

瞬間、タイミング良くアルフが鎖状のチェーンで黒騎士を縛る。

そして、フェイトが黒騎士の周囲にフォトンランサー・ファランクスシフトを敷く。

 

なのはが魔力をチャージ完了すると同時にフェイトは雷槍の雨を黒騎士に降らす。

雷槍の雨が黒騎士に降り注ぐ中、なのはは溜め込まれた魔力を開放するための言葉を放つ。

 

「これが、私の全力全開!スターライト――ブレイカー!! 」

 

「スパーク――エンド」

 

 

 

二つの魔砲が黒騎士を包み。霧を晴らすこに成功。

 

「やりましたね!フェイト様」

 

「これで、なのはさんも一志さんの弟子の面目躍如ですね~」

 

安心した直後、黒騎士から膨大な魔力反応が現れる。

 

「!?これだけの魔砲を喰らいながらも反撃の準備をしていたなんて」

 

「さすが英霊ですね。セイバークラスは伊達じゃないって感じです」

 

「姉さん。何を関心しているんですか。さすがにこの状況はマズイですよ」

 

かなりマズイ状況ですが。随分、落ち着いて観戦できちゃいますね。

 

「そうですね~。サファイアちゃん。本来かなり厳しい状況でこちらも直撃を喰らう可能性がありましたけど……やっと到着ですか一志さん」

 

黒騎士から絶対なる一撃が放たれる。

そこに間一髪間に合うかたちで5輪の花の盾が展開される。

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

「すみません。ルビー。サファイア。遅くなりました! 」

 

リニスが一志のフォローにまわりプロテクションEXを自分と一志の周囲に展開。

 

一志とリニスの連携により黒騎士の一撃を防ぎきる。

 

 

 

 

「悪い。遅くなった」

 

管理局の奴が随分しつこく追ってくるもんだから、かなりの遠回りをしいられた。

時間はロスしたが、こいつらのピンチに間に合ったのは僥倖だったな。

 

それにしても……

 

<ルビー。なぜ連携せずに前・後衛で分かれて攻撃していた?>

 

<一志さん見えていたんですか?さすがに人外な視力ですね~>

 

<ちゃかすな。それに、見えていたわけじゃない。

ただ、状況をなんとなく把握しているだけだ>

 

<はぁ?それも直感ってやつですか?まったくチートな性能ですね~。

そうですね~。フェイトさんがなぜか連携を嫌がりまして。

なので、仕方なく、なのはさんが後衛に回りフェイトさんが前衛になったという感じです>

 

<フェイトが連携を嫌がったって?イマイチ状況がわからんな>

 

<一志ごめんよ。その、アタシ、フェイトの使い魔なのに、フェイトが悩んでいるのに全然気がつかなかったんだ>

 

アルフの言い分はわかるが。なぜ悩んでいるかというのはわからんな。

何で悩んでいるかということなら、たぶんアリシアのことだろうというのはわかるが。

 

だが、俺と話した時は戸惑っているという感じは見受けられても、

姉ができることに対してネガティブな印象を持っているようには思えなかったんだけどな。

 

<アルフ、気にしすぎですよ。私も一志の使い魔ですが、一志がサボって美少女とイチャイチャしていたというのを知ったのもさっきでしたから>

 

<ちょ!?リニスいったいなぜ今それが関係あるんだ?!!>

 

いかん。なぜかリニスの琴線に触れる会話になっているだと!?

フェイトの心配をしているはずが、なぜか矛先が俺を貶める会話に変換されてしまっている。これはピンチだ。

 

この前、なのはとやり合った時のフェイトと同じような感じだな。

最近は一緒にいなかったから、あんまりわからなかったけど。

 

<リニス、なんかフェイトさ。危うさが増している。そんな気がするんだよ>

 

<一志。それは話題転換としてはイイ振りですね?さすがにマスターをこれ以上イジメるのも私としても心苦しいですし、からかうのはこれくらにしましょう。確かに、フェイトは我慢するのが得意な子です。なにか悩んでいたとしても心の中にしまいこんで私たちに心配かけまいとするでしょう。ですが、プレシアからの愛情を向けられるようになってからは少しずつですがワガママも言うようになりました。あなたならわかっているはずですよ。安定してきていたところでアリシアの存在を意図的にフェイトに伝えたあなたなら、こうなることも予想できたのではないですか?>

 

<予想できたからといって対応できるかということは別問題だ。

そもそもフェイトに打ち明けるのは全員で相談した結果だろう。

まぁ、俺が発案ってのは認めるけどさ>

 

<はいはい。痴話喧嘩もほどほどにしてくださいよ~。二人共>

 

<すまん><すいません。ルビー>

 

とはいえ、予想はしていたけど。

なぜこうなったかは微妙にわからんな。

 

アリシアのことでこうなったというよりは、もとからの気質によるところが大きいような気がするけどな。要するに気にしすぎというかなんというか。

 

<とにかく、あの黒いのをどうにかしないと話もままならん。リニス行くぞ>

 

<はい一志。なのはとフェイトはどうしますか?>

 

<うーん二人は一旦下がってもらおう。魔力も消費しているし、この間にサファイアとルビーは二人の回復に専念。なにかあったときは俺たちのフォローに回れるようにしてくれ>

 

<了解です><了解ですよ~>

 

「それじゃ、やりますか」

 

「はい。マスター」

 

夢幻召喚(インストール)クラスカード・アーチャー」

 

一志はアーチャーをインストールし、大量の宝具を召喚する。

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

 

一志は大量の宝具を放ち、黒騎士の動きを制限する。

 

そして、自身も双剣を手に突貫し、双剣と周囲に展開した無数の宝具により手数で黒騎士を圧倒する。それでも黒騎士に決定打は与えられない。

 

そこで、一志は大きく飛びのきバインドで黒騎士を捕らえる。

 

世界蛇の口(ヨルムンガンド)! 」

 

動けなくなった黒騎士を前にリニスが大剣を構えて魔力を収束する。

 

「確かめさせてくださいね。黒騎士さん。あなたの凄さを。プラズマセイバー! 」

 

そして、剣先から大量の魔力を解放する。

 

「スパーク・エンドッ!! 」

 

一志とリニスの連携により黒騎士は為すすべもなく霧散し、カードに戻った。

 

その後、すぐにジュエルシードがカードから飛び出し、なのはとフェイトが少し反応が遅れながらも回収。

 

人心地ついたところで、全員にバインドがかけられる。

 

「そこまでだ! 全員動かないでもらおう。僕は時空管理局クロノ・ハラオウン執務官だ。先の戦闘で著しく消耗している君達に対して少々卑怯な手かもしれないが。こちらも切迫した状況なんだ。悪いが、君たちを時空管理局・次元航行船アースラに連行させてもらう」

 

 




遅くなりました。

すいません。未だに不調ですが、なんとか書いてます。

次回はとうとう1stも最後に差し掛かる感じなので、頑張ります。

ただ、外伝も挟みたいので、もしかしたら、また長くなるかもです。

悩みながらもボチボチ書いてますので、気長にお待ち下さい。


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外伝2 ~井戸端会議~

あまり書こうとしてこなかった部分を少し。

補足とか理由とか言い訳部分にもなるのですが。


いつもより気楽に書いてみる所存です。


ここはアルトセイムの森の中にひっそりとたたずむ小屋。

 

リニスが造ったバンガローにも似たこの小屋は一志も気に入ったことから二人の主従はトレーニングの休憩がてらによくここを利用していた。

 

椅子に座って向かい合いながらしゃべっているのが一志とプレシア。

 

一志の傍らに立ち給仕のようなことをしているのがリニス。

 

そんな、三人が話し合いという井戸端会議を開催しているところである。

 

 

「さて、皆に集まってもらったのは他でもない。管理局についてということだが」

 

一志のボケは盛大にスルーされ。

 

「はい。私たちがロストロギアを探すにあたって一番接触してはならない組織でしょう」

 

「そうね。異なる次元に生きる人々を管理するなんて大それていることを掲げてる組織ではあるわね。私もリニスに賛成するわ。アリシアのためとはいえ、古代遺失物に手を出すとなるとあの局の治安と平和の維持という観点から危険な思想の人物という風に判断されて、拘束あるいは処断なんていうことも有り得ないとは言えないでしょうし」

 

「そうです。法の守護者という大層な名ですが、未だに歴史は浅く理念だけが先ん出てしまっているように思えます」

 

「つまり、接触すると、ナニ危険なモノに手を出しているんだ?とイチャモンつけられて連行されると?」

 

「要約しすぎな気がしますが、その通りです」

 

「そうね。アリシアのためとはいえ、要約しすぎね」

 

 

━━━━

 

 

「プレシア?真面目に話していたのではなかったのですか?」

 

「なにを言っているのリニス?私は至極真面目な話をしているのよ」

 

「あー。リニス止めとけ。アリシアに関する振りはなんであれプレシアにご褒美与えてるみたいなもんだから。正直な話、俺もルビーも闇の書内にある精神世界に何度も行くのは身体的にも精神的にも良くないと口を酸っぱくして言ったにも関わらず、そいつは毎日行くし。しかも調子悪くなるどころか持病がなぜか回復するは魔力量がなぜか行く前より帰ってきたときのが増えてるとか意味不明な女だぞ。アリシアのこととなるとなぜか神懸かり的な存在に昇化するとみえる」

 

「プレシア~。私のマスターが言うことを聞けないどころか、そんなことまでしていたんですか!? 」

 

「落ち着いてリニス。親が子どもと一緒にいるのにそんな影響受けるわけないじゃない。むしろ、それすら乗り越えて強くなってみせるのが親子の絆というものよ」

 

キラキラと目を輝かせながらもグッと拳を握り力説するプレシアに対して溜息もでない様子の二人。

 

<正直、親バカなのはわかっていましたがここまで凄い……もといヒドイなんて>

 

<そうだな。まったくもって予想以上すぎてついていけないよ>

 

二人がプレシアのことを諦めた瞬間だったという。

 

「それはともかく、一志。あの結界はそんなに保てないものなのでしょう?体は大丈夫なのですか?」

 

「それなんだがな。中でアリシアとプレシアには言っておいたが、あの結界内に俺が入ろうとしなければ、それほど難しいことじゃないんだよ。行ったり来たりするのが問題なだけであって、結界の維持だけに務めるならそれほど苦ではないんだ。最初からな。ただ、プレシアとアリシアの夢の中っていうものに俺という異物を混入するには相当な誤魔化しが必要で、そうなると魔力も相当消費するわけ。だから行ったり来たりしてたときは正直ルビーとサファイアには滅茶苦茶無理させていたからね」

 

「でも、今もプレシアはだいたい行ったり来たりですよね?大丈夫なんですか?」

 

「それは問題無いとは言わない。さっき言ったように身体的にも精神的にも魔力的にも負担になる。だが、プレシアはなぜかそれを超越し始めたからもうほっといてる」

 

お手上げのような仕草をしている一志。

そうですか……とリニスは少し心配が無くなりましたと笑顔である。

 

「貴方達は仲いいのね。私とアリシアに比べたらまだまだだけど」

 

「プレシア~。アリシア贔屓なのは仕方ないですけど、未だにフェイトは少し遠慮するところがあるのですから平等にとは言いませんがフェイトにもちゃんと接してあげてくださいね」

 

「あら、それは私にではなく、あなたのマスターに言うべき言葉でもあるのではないのリニス?最近はトレーニングとジュエルシード集めのために中々ここにも来れない状況だとアルフからも聞いていたから、あなたは一志さんに構ってもらえていないのではないかと私は心配に思ったのだけど」

 

笑顔のまま、口撃し合う二人をみて、この二人相手に言い合いするのは絶対に負かさせるから止めておこうと直感から判断する一志。

 

「それな、まぁジュエルシードを集めはアリシアのためでもあるし、トレーニングの基本骨子はルビーとサファイアが考案してくれたものにリニスが改良したやつをやってるからリニスだってトレーニングのときに一緒にやるときもあるんだけど」

 

一志は上目遣いを試みた!

 

「アリシアのために苦心して、尚且つ、ジュエルシード集めにも積極的に動いてもらえるだけで、私は本当に嬉しいのよ。ありがとう、一志さん」

 

プレシアが凄い笑顔で一志の手を握る!

なんとDTにオーバーキル的なダメージを与えているー!

 

それを見たリニスが若干イラッとしつつも。

 

「一志。そもそもそういう話ではなく私との時間をもっと大切にしろとプレシアは言っているのですよ?」

 

その言葉にビクっとして手を離すDT。

いやーそのーと言い訳を探しつつ目を泳がせる一志。

 

「あら、リニス。そういうオネダリもできるようになったのね。主が変われば、使い魔の気質も少しは変わるのかしら?」

 

ニヨニヨしながら、リニスを見るプレシア。

 

「プレシア。いいですか?私はマスターである一志の要望によりトレーニングに付きあったりもしているのです。そのマスターへ敬意こそあれ、私への扱いに不満を覚えるなんてことは有り得ません。ただ、プレシアに少し感謝していることがあるとすれば、それは私ですら気がつかなかった構って欲しいという感情を気ずかせて貰えたところです。そこは感謝しています」

 

少し顔を赤くしつつ後半、尻すぼみになりながらもプレシアに感謝を述べるリニス。

 

プレシアは微笑みながらそれを聞きつつ一志に目配せをする。

 

要約するとこんな感じの内容だろうか。

 

<私の可愛い元使い魔を寂しがらせるなんてことにならいように、日頃からきちんと相手してあげなさい>

 

優しく目だけでそれを訴えるとはさすがはプレシア。

一志も持ち前の直感でそれを悪寒レベルで感じとり、大仰なリアクションで首を縦にふり、頑張りますと決意をプレシアに返す一志。

 

「さて、元使い魔と主をからかうのもこれくらいにして、本題に入りましょう」

 

「本題?管理局のことが今日の集まりの本題だったんじゃないのか?」

 

「それももちろん大切なことだけど……一志さん。アリシアにお兄ちゃんと呼ばせているらしいわね?」

 

まるで、スタンドでも出てきそうな凄い闘気を纏ったプレシアに見つめられて苦笑するしかない一志。そんな戦慄を初めて味わっているところに使い魔からの追い打ちがかかる。

 

「一志それは聞き捨てなりませんね?いったいどういうことか説明して下さい」

 

「それはなんというか。えーと。わざわざ、呼んでくれと言ったわけじゃなくてだな。流れでそう呼ばれるようになったというかなんというか」

 

かなり挙動不審になりながらもなんとか答える一志。

 

「どちらでも結果は変わらないわ。一志さん。あなたがどう思おうとアリシアにお兄ちゃんなんて呼ばれてる状況。なんて!なんて羨ましい! 」

 

えっそっち?という表情にリニスと一志がなりながらも。

 

「あの天使のような笑顔でお兄ちゃんだなんて、それはもう天使と見間違うくらいしかたないレベルよね。それを通り越して、アリシアのあの愛らしさはもう国から天然記念アリシアとして特定保護対象にされてしまうわ。そもそも、アリシアの声聞いただけで、すわセイレーンかと思うほどなのだけど、その声でお兄ちゃんなんて呼ばれた日には小一時間いえ単位を間違えたわ。もう一年間くらい、いやいや、一億光年くらい、ご飯無しでも生き抜ける自身があるわ。これは別にアリシアの声が一年間聞けなくて大丈夫ということではないのよ?アリシアの美声を持ってすればご飯なんかに頼らなくても生きていけるという公然の事実をただ言っただけなのよ。ともあれ、アリシアにお兄ちゃんと言われるのは私のママと同じようにアリシアに言ってもらいたい呼称1位につけるだけあるわ。その破壊力はそうね、さしずめリニスのプラズマセイバーをも上回るレベルよ。正直、私はアリシアにママと言われるたびに魔力が回復したり魔力が増えたりするような心地良さに包まれてしまうのよ。パパって呼び方にもかなり後ろ髪を惹かれるけど、そこは我慢よ。なんといっても私はあの子達の母親なんですから」

 

アリシア語りを始めてからこっちキラキラと輝き始めるプレシアに対して、なぜか魔力が吸い取られたような面持ちになる一志とリニス。

 

その目はまるで憔悴しきった魚のようだった。

 

しかし、ここで二人は諦めない。見事なアイコンタクトでたくさんの突っ込みどころをあえてスルーすることを決め、まだまだ止まらないアリシア語りを止めようと連携し始める。

 

 

「プレシア、それならここで一志を足止めせずに早く行かせたほうがアリシアのためにもいいのではないですか?」

 

「あら、そうね。一志さん。ごめんなさい。アリシアのこととなるとつい」

 

「大丈夫だよ。それだけ愛情を注がれてるというのは羨ましいかぎりだし、なによりもそこまでアリシアのことを大切に思っているなら、こちらとしても頑張りがいがあるよ」

 

「そう。ありがとう。本当に言葉では足りないくらいの感謝をしているのよ。リニスのこもと私のこともフェイトのこともアリシアのことも。私の家族の全てを救ってくれようと動いてくれたこと。言葉だけでは私の生の全てを感謝に費やしても足りないほどのことをあなたはしてくれた。だからというわけではないのだけど、よければ、あなたも私の子にならない?」

 

優しい口調で、かつ自然な流れで、なんでもないことを言うかのように言われた言葉に一志はついていけずに固まってしまう。

 

「はい!?ちょっと待ってくれ。確かに今この世界に俺の身寄りはないが。もとより家族みたいに接してもらっているし、それ以上は望んでいないよ。俺だって感謝している。そこになにか対価が欲しいわけでもないんだ。あまり気を使わないでくれ」

 

「一志?そういう時、少しは対価があったほうがこちらとしても安心するものなんですよ」

 

リニスにまで優しく諭されてしまい。八方塞がりの一志。

そこへプレシアが追い打ちをかける。

 

「まぁ、すぐに答えてほしいというわけではないから考えておいてほしいの。アリシアもフェイトもあなたのことを兄のように慕っているのは私も見ていてわかっているし、もし、本当の家族になれたらきっと二人共凄く喜ぶと思うのよ。それに、ここまで家族のために苦心して動いてくれた人と家族になれるなら私としても嬉しいのよ。だから少し考えてみれくれないかしら」

 

そんな優しい笑顔で言われると一志としても何も言い返せず。

考えておきますと精一杯答えて、逃げるようにジュエルシード集めに出ていった。

 

取り残された二人は笑顔で談笑を続ける。

 

「プレシア、サプライズにしてはやりすぎですよ?」

 

「あら、そんな笑顔で言っても説得力ないわよリニス」

 

「それは勿論。私のマスターが元マスターの養子になるなんて凄く嬉しいことですから。私としても願ったり叶ったりです」

 

「そうね。でも、本当にあの子は不思議な子ね。他人の家族のためにああも献身的になれるなんて。普通考えられないわ。献身的というのも語弊があるわね。強迫観念にも似たような。何処か狂気じみた想いがある。なにか裏がある。そう疑われるレベルよ」

 

 

 

 

 

 

━━━━当時を思い出して苦笑するリニス。

 

届くはずのない願い。私の日記を見て助けに来た。

 

私の願いを叶えるために召喚された。

 

そんな妄言みたいなことを言う少年だった。

 

不思議な雰囲気のある奇妙な自信を持った少年。それが私の一志への第一印象でした。

 

私は、もっとフェイトやアルフと一緒にいたい。どんな手段を使っても、二人とは一緒にいなければいけない。そう思っていました。

 

そうしないと、いつか取り返しの付かないことになってしまう。

家族がバラバラになってしまうと、私は危惧していました。

 

だから、もう数ヶ月も無かった私の寿命を延ばすことができる。

プレシアへの負担も軽くなる、尚且つ、病すら治すと。

 

そんな夢みたいなことできるわけないと思いました。でも、それだけじゃなくて、私は心の奥底では「良かった」これで私もずっと皆と一緒にいられると嬉しく思ってしまったんです。

 

人知れずいなくならなくて済む。消えないで済む。

私の未来に広がるのは不安しかなかったのに、この少年はそれすら希望に変えてみせた。

 

疑うことができなかった私は、その少年をひとまず、利用することに決めました。

 

なぜか彼は、私の日記を見た以上のことを知っているようでした。

 

どうして、そんなことを知っているのか?

 

どうして、私達にそこまで良くしてくれるのか?

 

正直、信頼よりも疑問や疑念が湧き出るほうが早かったです。

 

ただ、私の願いを叶えられるのは彼しかいませんでしたし、私には悩む時間なんてありませんでした。

 

だから、私は彼に全て任せました。

 

疑いながら、迷いながら、それでも前に進みたかったんです。

 

そうして、言われた言葉が「俺達であいつらを幸せにしてやろう」でした。

私はなぜか嬉しくて、涙ぐんでしまいました。

 

予想外でした。日記のこと以外にも訳知り顔で語りだす少年に、あなたにいったい何がわかるのですか?という言葉を投げかけるわけではなく先に涙ぐむなんて完全に不覚をとりました。

 

これはもう私の敗けだなーと思った瞬間でした。

 

ここまで、完敗だと感じたことは初めてでしたし、何よりもこの人を信じてみたいと思ったんです。

 

「有り得ないほど、私達に尽くしてくれて、己の身を削ることさえ厭わない。私も最初こそ疑っていましたが。一志が私に言った言葉は今でも忘れません。私たちでテスタロッサ家の皆を幸せにしてやろう。おおよそ、そのようなことを言って。しかも、なんなくそれを実行されてしまうと、なんだか疑っている自分が情けなくなってしまって、最終的に一志のことを自然と(マスター)と認めていました」

 

 

「ふふ。確かにね。ああも真っ直ぐに来られると眩しすぎて直視するのが辛いときもあったけど。でも、今は微笑ましいかぎりよ」

 

「あんまり一志をからかわないで下さいねプレシア。ああ見えて繊細なところもあるんですから」

 

「まぁ、さすがは使い魔。マスターの危機には敏感ね。なら、あなたも追いかけたほうがいいんじゃない?アルフから最近、一志さんはジュエルシード集めをサボって何かしてるなんて報告を受けているわよ?」

 

「待ってくださいプレシア。なぜアルフは私ではなくプレシアにその話を?」

 

「さぁ、私に聞かれてもわからないけど。大方、一志さんの話をするときにあなたの嫉妬にさらされるのをアルフが獣的直感で察知して私に話したというところだと思うわよ」

 

「アルフとも今度きちんと話さないといけませんね。それよりも一志です。一体アルフに心配させてまでやっていることというのはなんでしょうね」

 

嬉しそうに自分と一志さんの昔話を話していたかと思えば、黒い笑顔を浮かべたり、急に心配顔に変わったりする元使い魔。

 

主を変えただけで、こうもコロコロと表情を変えられるのかと、なんだか嬉しく想う反面少し寂しくもあるわね。でも、その表情が凄く可愛いから、今後もからかうのは止められそうにないと密かに新たな楽しみを見つけた子供のようにプレシアは微笑むのであった。

 

 

 

 

 

━━第9話トレーニング3日目幕間━━

 

「なぁ、リニス。ほんとーに付いてくるのか?」

 

「当然です。今までどうして私を留守番としていたのかのほうが疑問です」

 

「いや、それはほら管理局も絡むから、集める組みと居残り組みで分けようって話したじゃないか」

 

「確かにその通りです。ただ、集める組の誰かがサボっているようなので、私がサボらないように見張る必要があると判断します」

 

なぜか嬉しそうに話すリニス。

久しぶりにマスターと一緒に行動できて嬉しいと感じているリニス。が、一志はアリシアのためにジュエルシードを集めるのが嬉しいんだなと勘違い炸裂。

 

「一志。どうして最近サボっているのですか?」

 

「うーん。まぁ、フェイトと関わりのあることでもあるんだけどな。少しトレーニングをつけている奴がいてさ」

 

「トレーニング!?一志がですか?」

 

「なんだよ。悪いか?ちょっと危なっかしい奴でさ。なんかルビー的にも俺が見たほうが似た者同士だからイイとかって言うし」

 

「ルビーまで関わっているのですか」

 

ルビーまで関わって、トレーニングを見ている相手。

 

NANOHAと言うらしい。

 

そのNANOHAはなかなか凄いとルビーと一志の二人をして褒めちぎられるほどの人物らしい。そして、ルビー曰く美少女だと。

 

「要約すると美少女と秘密の特訓をしていたんですよねー。一志さんは」

 

「ちょっ!?ルビー!?いきなり喋ったと思ったらそれはないよ!」

 

「ほぅ。一志。それは聞き捨てなりませんね。美少女と秘密の特訓ですか。一体どういった特訓を行ったのか事細かく教えて貰いますよ。トレーニングの場所につくまでの間にみっちりと」

 

 

その後もしつこくリニスに尋問されながら、なんとかなのはとのトレーニング場所へとたどり着くのであった。




はい、言い訳回の完成です。

あれ、ほぼ会話じゃないかって?
仕方ないんです。私会話好きですから。

6/25に後半部分を少し修正しました。


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第13話 ~呼声~

お待たせしすぎております。ボチボチラスト近い感じです。


ホロウインドウに映る姿はかなり疲れてみえた。

汗を拭った後、焦燥した表情が浮かび上がる。

こんなにも疲弊している彼を見るのは初めての経験だった。

 

<エイミー。こちらクロノ。目標の追跡に成功した。位置を送る>

 

<了解!>

 

<艦長には知らせないでくれ。僕一人でやる>

 

無理してるのかなって思う。

腐れ縁というのかなんというか、ずっと一緒だから彼がこういう時に独りで無理するのはよっぽどのことだと理解できる。言いだしたら聞かない性格なのを知ってるから。

 

<クロノ君……>

 

ちょっと融通がきかない頑固なところがある友達。

 

私は止めようとした言葉を飲み込んで、頭を切り替える。

彼がしたいことを全力でサポートするんだ。だって、それが私だから。

 

<しょーがない。私が座標固定して結界張るから、それに合わてバインドを仕掛けて。そしたら、数名の局員を補助に向かわせるから>

 

<助かる。すまないエイミー>

 

<さ、そうと決まれば、行動あるのみだよ。気をつけて、クロノ君>

 

<あぁ。わかっているさ>

 

<そういえば、クロノ君は覚えてる?訓練校にいたころ毎日自分より強い相手と模擬戦してたよね。魔力運用さえしっかりできれば、どんな相手とでも渡り合えるって言ってさ>

 

<あぁ。あの時から今まで、ずっとそう思って訓練もしてきた。実戦でもそうやって対応してきつもりだ。ただ、黒い騎士を倒した二人。あの二人はそれでも通じない相手なのかもしれない。こちらの、結界魔導師数十名を一瞬のうちに吹き飛ばした魔砲。あれだけの魔砲を放ち、その上で黒騎士を打倒した。信じられるかエイミー?僕の追跡を躱すためにも随分な距離を全力で飛んでいたはずだ。それなのに未だにこの魔力量だ。正直、艦長でも手こずる相手だと思う。だから>

 

だからこそ、艦長には教えられない。僕らだけで彼らを捕まえるんだ。

 

<うん。わかってるよ。クロノ君。確かにあの二人も凄いけど、他のメンバーも凄いよね。なんで辺境の惑星にこんなに原石がいるだろうって感じ。全員すぐにでも管理局で働いてくれないかなー。そして、私の後輩として育てていきたい>

 

エイミーはおちゃらけた風に言って場を和まそうとしてくれている。

本当に彼女には頭が上がらないかもしれないな。

いつもサポートしてくれて、そのくせ尻拭いさえもなぜかやってくれてる。

そんな彼女に応えるためにも、彼らの危険な行動を黙って見過ごすわけにはいかない。

 

<こんな辺境にいるのはまず間違いなくロストロギア絡みだろう。どういった事情があるにしても、ジュエルシードをなぜ集めるのか。なんのためにあんなものが必要なのか。あんなものを集めるくらいだ。理由だってろくなものではないかもしれないが。あれを理解せずに用いればどれほど危険なことが起こるか。彼らの真意を確かめる必要がある>

 

<そうだね。まずはどういう状況かあの子達の話も聞かないとね!結界固定準備できたよクロノ君! >

 

程なくして彼の声が響きわたる。

それは、さっきまで話していた不安なんて、まるでなかったかのような透き通った声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてあの二人は気づいていたかのような反応ができるんだ!?

今、結界の準備ができたと同時に仕掛けているんだぞ!

おかしい。エイミーの結界を張るタイミングを読んでいたとしか思えない。

 

そんなことあり得るのか?

 

落ち着け。今はそんなことよりも反応が遅い他のメンバーからバインドをかけて拘束する!

あの二人に構っている暇はない。

 

「そこまでだ! 時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━時空管理局、次元航行艦船アースラ内(応接室)

 

 

捕まった一志達は丁重にアースラへ連行されていた。

 

道中、一志がまず艦長と話がしたいとクロノに打診。

 

それを聞いていたリンディがすかさず、ホロウインドウを通じて話に参加。

 

チーム年齢不詳と(一志・リニス・リンディの年齢は不詳)チーム子供(雰囲気的に若い)

 

このチーム編成で分かれて、交流をしようと一志提案。

 

リンディ艦長が面白そうね。と了承。

 

クロノ・アルフ反対といった流れがあったが、最終的には渋々了承し、今にいたる。

 

その後、フェイト達はメディカルチェックと精密検査のため、

管理局付きの医療スタッフにより別室へ移動。

 

拘束なしでいいのかと一志が尋ねるも、拘束については艦長の意向らしく、

お話をするのに拘束なんてしていたらせっかくのお話もできなくなってしまうかもしれないでしょ。とクロノがしかめっ面で説明してくれた。

 

だがしかし、通された部屋にて。

現地の風習に習うのが交流の近道だと信じてやまない艦長の意向により用意された純和風の部屋(なぜかメタリックな壁が見えている。なぜか日本風の茶器や鹿威し、抹茶がある。いかにも和な設備が所狭しと置いてあるような場所)へ案内されて、一志達は困惑を隠せないでいた。

 

 

 

捕まった当初の予定としては「フェイトの兄の座は渡さんぞクロノ! 」

と言うことが俺の目的だったと言っても過言だ。

 

まぁ、たしかに、原作通りなら、和風チックな場所に案内されるんだろうなー。

なんて安易に考えていたけど。

知ってるだけってのと、実際目にするのでは違うんだよねー。

今の俺の気持ちは、かの首領・クリー●のような気分だった。

 

あ、あれはただ知らなかっただけなんだっけか。

 

<一志どうするんです?予定通りと言えば、たしかにそうですが>

 

<なのはやフェイトまで捕まるのは予定外とかって言うなよ。「いちいち追い回されるのも面倒だから。一旦捕まって、管理局がどういう対応をしてくるか探ってみるのも一興じゃね」って提案した時には、俺たち以外全員バインドで拘束されてたんだからな。つーかさ、誰もアレに突っ込まないのはなぜなんだ。どうして桜が艦内に!? とか、なんでそんなに抹茶に砂糖入れるのとか。テュッティのパクリなのか!? とかイロイロあるだろ! >

 

<正直私だって気になるところはありますが、今はそれよりも今後のプランをどうするかです! 他のメンバーが捕まってしまった要因はあの騎士を打倒した直後でしたからね。勝利直後は気が緩んでしまうものです>

 

<そうですね~。なのはさんとフェイトさんの魔力はそこそこ回復できましたけど、精神的なところはなかなかケアできないですからね。なんにせよ、この状況は私達にとって渡りに舟ということですかね>

 

<!? ルビー!お前なのはに付いてたんじゃなかったのか?>

 

<なのはさんの回復力は一志さんと似たようなレベルみたいですね~。魔力はもうかなり回復しましたよ。それに、向こうは向こうで、メディカルスタッフが付くみたいですし。サファイアちゃんと相談した結果こっちに来ました。そういえば、向こうにはユーノさんもいたみたいですよ>

 

<つーかさ。なんでオコジョまで捕まってるんだよ。チルチルみたいに可愛いアホの子なら許すけど。なんなの?チルチルみたいに寝てたら捕まっちゃったみたいなことなの。いったいどういうことなの>

 

<なぜかユーノには辛辣ですよね一志。ユーノなら、トレーニング中もずっとなのはの服の中で休んでたじゃないですか。それもこれも一志が原因でしょう。なんだか、おかしなことをブツブツと呟いていると思ったら「そんなのチルチルじゃない」とか意味不明なことを言ってユーノを昏倒させたじゃないですか。そんなことよりも、チームを分けた意味なんてあるんですか?>

 

チルチル発言はスルーかよ。二人共。

しかし、あのエロオコジョめ!

 

チルチルじゃないオコジョなんていらない!

という俺の心の叫びが、まさか行動に出てしまっていたなんて。

なんてこと!

 

あのオコジョとはいつかキッチリと話をつけないといけないだろう。

 

<ま、チーム分けについては特に理由ってほどのもんはないが。俺らは連戦でもほどなく戦えるからな。そういうのでもあるし、あっちはあっちで人選的にも間違ってないはずだ。管理局的にも厄介な俺たちは同じ空間でこの艦で一番強い人の近くにいさせたほうが安心なんだろう。そこらへんの兼ね合いがお互いにマッチした感じだったから提案したし、相手もなんだかんだと了承したわけだ。お互いの理由についてはたぶんそんなとこだろ。ともかく、この妙齢の美人さんとの交渉は俺に任せておけ>

 

美人という言葉になぜかリニスが反応した気がしたが気のせいか。

さっき自己紹介した時もなんかこっちをチラチラと伺っていたんだよなー。

自己紹介のときに俺を見てどうするんだリニスよ。

せめて、相手の艦長さんを見なさいと念話したらなぜか足をつねられるし。

 

うーん。

 

<一志さん。それフラ>

 

グとルビーが言い終わる前に、目の前にいる女性が話し始める。

 

 

「さて、貴方達の目的は当然ジュエルシードの回収よね。知っていると思いますが、ジュエルシードは次元干渉型のエネルギー結晶体です。流し込まれた魔力を媒体として次元振を引き起こす可能性のある危険物」

 

「ああ、知っているさ。あれを複数個集めて魔力を流し込んだ時。その被害は次元振どころか次元断層を引き起こす危険性があるってこともな。そうなると、世界の一つや二つ簡単に滅ぶだろうな」

 

しれっと危険なことを言ってのけるこの少年。先程の自己紹介の時にも感じたことだが、彼の言い方はどうにも上から目線のきらいがある。

それなのに、なぜかその尊大な物言いもしっくりくるような不思議な少年だなと思う。

 

「それがわかっているなら、なぜ貴方達はあれを回収するの? 理由を教えて欲しいわね。私の仕事はそんな危険な事態を起こさないように、起きないように、ロストロギアを正しく管理すること。だからこそ今貴方たちが回収しているジュエルシードは正しく封印処理を行ったのちに、しかるべき場所に保管させてもらいます。それが私達の目的です。ですから、今後ジュエルシードの回収は私達が担当します」

 

まるで自分達こそがロストロギアを回収するに相応しいとでも言うつもりかよ。

 

「論外だな。危険な物だから管理局が管理するなんて正論のように言うなよ。百歩譲って、お前たちを信じたしても、お前らの上の連中がそれを悪用しないとは限らない。つまりどうあっても今の状態でお前たちに任せるという選択肢は有り得ない」

 

「それはどういうことでしょう? まるで、管理局の誰かが悪用すると言っているようにしか聞こえないのだけど」

 

「さてな。そう聞こえるならそうなんだろう。 要するにお前達を信用も信頼もできないのに危険だから任せろ。はいわかりました。なんてことにはなるはずないだろ」

 

<一志。本題からそれていますよ。すぐに熱くなるんですから>

 

<わかってる。だけど、自分たちこそ正しいんだ。なんて言われるとなんかイラっとくるだろ。口論することが目的じゃないから、ちゃんとするけどさ>

 

<ほんとに大丈夫なんですかね~>

 

ルビーからは疑いの視線を感じるが。

 

きっと、たぶん、めいびー。一石二鳥な展開になるはずだ。いや、そうに違いない。

 

「とにかく、ここで言い合っててもしょーがない。あんたらが目の色変えて回収したいロストロギアの件。俺が提示するある条件飲んでくれるなら、回収を任せてもいい」

 

「?! どういうつもりなの? さっきと言ってることがチグハグな気がするのだけど。それに条件というのは? 」

 

「艦長さんもなんで俺たちがあんなものを集めるのか興味はあるだろう。しかも、危険なものと知っているのに、どうしてそれを利用しようとしているのか。今言う条件を飲んでくれるなら、その辺の事情も説明する。どうだろう? これから言う俺の条件を飲んでくれる気になったかい? 」

 

「それは……。どういう条件かにもよりますが」

 

「もちろん。そうだろうな。条件は単純なことだ安心するといい。俺と結婚を前提に付き合ってほしい」

 

「はっ? 」

 

という言葉が重なった気がした。

 

「というのは、じょ」

 

「一志」

 

な、なんだろう。振り向くのが怖い。いつもよりなんかドスの聞いたような声が。

 

「はぁ~まったくも~。一志さん。冗談もほどほどに、さすがに擁護するのが大変な状況になるのだけは勘弁ですからね」

 

ルビーの一言で一瞬リニスが止まる。

 

「い、いや冗談って言ったつもりなんだけど、なんかリニスの威圧感ハンパじゃなくて。ちょっと言葉に詰まった」

 

「もう。とにかく続きを話してください」

 

「コホン。俺と模擬戦をしてほしい。万が一、いや億が一俺が負けたら、艦長さんの言うとおりにしよう。ロストロギアからは手を引くし、今回収してるロストロギアも渡す。だが、俺が勝ったら、俺達がロストロギアを回収して、使用するのを黙認してくれ」

 

どうだ? となぜか勝ち誇ったような顔でリニスとルビーを見る一志。

 

そんな一志を見た二人何とも言えない表情のまま固まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━アースラ内(食堂)

 

クロノとエイミー。フェイトとなのは。

アルフ・サファイア・ユーノ組はお互いの自己紹介を終え、

まったりと食堂で休憩していた。

 

その間、自己紹介前にユーノが人型になったせいで一部混乱が起きたり、なのはの自己紹介の時、一志の弟子であると付け足したことにアルフが難癖をつけたりと、まるで話が進まなかったものの。

 

捕まった当初の予想とはだいぶ違う対応を受けたせいで、概ね良好な関係を保てたようである。そのため、なのはやアルフ、ユーノはそれなりに警戒心を残しつつもリラックスムードを漂わせていた。

 

その間、なぜかフェイトだけは自己紹介もしなかったため、アルフやサファイアが代わりに話をしてフェイトを皆に紹介した。フェイト以外は気楽に話せているようで、なのはに難癖つけていたアルフもなぜかなのは膝の上にちょこんと座っていたりする。

 

もちろんアフルから座ったわけではなく、なのはが力業(撫でたり、モフモフを実行することでアフルをメロメロにした)でアルフを膝の上に座らせているわけだが。

 

サファイアはエイミーやユーノと話をしているようで、時折そちらからも笑い声が聞こえてくる。クロノは少し離れたところから監視している体を保ちながらもエイミー達の会話に時折混ざっている。

 

ただ、そんな雰囲気をよそにフェイトだけは会話に参加せずに終始無言を貫いていた。

 

 

 

 

 

なんで。

 

どうして、あの子はあんなにも楽しそうに話しをするんだろう。

 

何が嬉しくて管理局の人達に事情を話すの。

 

わからない。

 

一志の弟子って言ってた。

 

それなら私だって一志とは模擬戦をたくさんしてきた。

数で言ったらリニスよりも多いくらい。

あの子よりずっと傍にいて一緒に過ごしてきた。

 

「なのはとユーノの事情は把握した。次にフェイト達がジュエルシードを集める理由を教えてくれないか?」

 

ジュエルシードを集める理由もあっさりと管理局の人に話したみたい。

 

どうして簡単に思いを話せるの。

 

どうして、私はアリシアのためにジュエルシードを集めるんだろう。

 

お姉ちゃん。嬉しかったはずなのに、どうして迷ってるんだろう。

 

母さんも喜んでた。笑顔が増えて、私とお話してくれることも多くなった。

 

一志もずっと一緒だと思ったのに。

 

なんでこうなったんだろう。

 

お姉ちゃんが出来たからお母さんと上手くいったはずなのに。

 

でも、お姉ちゃんがいなかったときのほうが一志とリニスとアルフとの時間はあって。

 

ずっとあの場所で皆一緒だと思ってたのに。

 

今はこんな遠くにいる。

 

なんでだろう。どうして上手くいってるはずなのに気持ちが悪い。

 

私はなんでジュエルシードを集めてるんだろう。

 

最初は確かにお姉ちゃんのために、母さんのために。

 

そう思ってた。一志もいてアルフとの時間もあってジュエルシード集めは楽しかった。

 

今思えば、三人でピクニックしてるような気分だったのかもしれない。

 

私の気持ちはなんなんだろう。

 

どうしたかったんだろう。私は……

 

 

 

「あの、フェイトちゃん達も事情があってジュエルシード集めてるってカズ君が言ってたの。だからその」

 

何も話さないフェイトを心配してか、しどろもどろになりながらも、

なのははフェイト達のフォロー入れるようとクロノの話に割り込む。

 

いよいよい反応しないフェイトをサファイアとアルフが心配そうに見つめていると、

フェイトがおもむろに口を開く。

 

「理由はある。アリシアを、私のお姉ちゃんを生き返らせるために私達はジュエルシードを集めてる」

 

「フェイト(様)! 」

 

「フェイト! なんでこんな奴らに事情を話すんだよ! 一志達だって言ってただろ?管理局に事情を話したって理解されないって」

 

「でもアルフ、一志はそのジュエルシード集めをサボったうえに、あの子と修行してたんだよ。しかも、ジュエルシードを回収するとき対峙した相手を弟子にとるなんて」

 

「フェイト様。一志さんは確かにサボっていましたし、なのはさんとトレーニングしていたのも事実かもしれません。しかし、それ以外にも理由が」

 

「そうだよ。フェイト。一志だって、なにもジュエルシード集めを軽く見てたわけじゃないと思うんだ。だから」

 

アルフとサファイア。皆驚いてる。

誰かを生き返らせるためにジュエルシードを集める。

危険な思想の持ち主として拘束されるだけの発言を今私はしたんだから。

 

「でも、一志はこっちに来てから一回も回収してない。私と行動するのも減った。その理由はその子がいるからだよね!? 私よりもアリシアやリニスよりも、その子が大切なんだよ一志は」

 

私達がジュエルシードを集める理由。

 

あの子が一志から話してもらうはずだった理由を私が話したんだから。

 

なんだか清々しい。さっきまでの陰鬱した気持ちが嘘みたい。

 

ずっと思ってた。私の気持ちやっと気がついた。

 

私はきっと誰よりも皆とアルトセイムの森でただ静かに暮らしたかった。

 

一志と一緒に模擬戦したり、一緒に勉強していたかっただけだったんだ。

 

なのに、近くにいなくて。他の子と一緒にいて。

 

ジュエルシードが集まったら、今以上に会えなくなって、

 

お姉ちゃんが生き返ったら、皆お姉ちゃんに取られるかもしれない。

 

私を必要としてくれた人達、皆取られちゃうのかな。

 

それだけは絶対に……。

 

 

「フェイトちゃん?」

 

 

フェイトの顔を覗き込むようにして心配をした様子のなのは達。

だが、フェイトの思考は止まらない。

 

 

この子がいなくなって、このジュエルシードさえ無くなれば、

 

皆とずっと一緒にいられる。もうどこにも行かなくてもいいんだ。

 

この邪魔な子をどうにかして、私が今持ってるジュエルシードさえ渡さなければ、

 

アリシアに皆取られなくて済む。

 

この子にもアリシアにも私の大切な人達を渡さない!

 

 

「誰にも私の居場所を渡すもんか! 」

 

 

 

 

 

 

そして、カードが黒く輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━アースラ内(トレーニング施設)

 

黒いカード出現前。

 

応接室での珍妙なやり取りをした後、紆余曲折はありつつも、なぜだか模擬戦はすることになった一志とリンディ。

 

一方、付き添いであったはずのリニスとルビーはモニタールームに待機させられていた。

ルビーを介してサファイアにこの模擬戦の映像を送る役目を頼まれてしまったので、しぶしぶ待機を了承したようである。

 

一志はリンディにジュエルシードを集める理由話しながらトレーニングルームへと向かっていた。

 

「まぁ概要としてはこんな感じだ。正直信じてもらえるなんて思ってないから安心しな」

 

「それもそうですね。何より突拍子がないにもほどがあります。流石に誰も信じないでしょう。貴方が言わないかぎり」

 

即興で結界魔導師数十人を集めて作らせた擬似空間は思いのほかよく出来ていた。

 

船の内部とは思えないほどの出来だ。近代都市風の設定なんだろうな。まぁ、結界内だし多少の無茶はご愛嬌だろ。これなら、アースラを焼き払う憂いもない!

 

なんて、誤魔化してみたものの。

 

あの説明じゃ、流石にご納得いただけないだろうな~。

 

ん?あれ?

 

「へぇ~案外信じてくれてるってことかな?」

 

「ふふ。どうかしら?ただ、信じないと断言するだけの要素も考えつかないだけかもしれないわね」

 

「こっちとしてはどっちでもいいさ。やることは変わらない」

 

「そう?では始めましょうか?」

 

最強はやっぱり初撃必倒! と意気込みたいんだけども。あの人アースラからの魔力供給あるんだよな。

 

まぁ、俺もルビーと離れているとはいえ魔力供給はされてるんだけど。

 

問題はディストーションシールドなんだよな。基本は初撃必殺「龍拳爆発! 」っていきたいところだけども。

 

あっちは模擬戦とはいえ本気っぽいし、なんせデュランダル持ってきてるし。

 

はぁ~。さすがに凍結させられるのも癪だ。最初からアレで行くか。

 

「いつでもどうぞ」

 

クラスカード、ランサーをインストールする。

 

デュランダルの対策はいいとしても、問題はやっぱりディストーションシールドか。

空間歪曲を用いた広域型空間防御。アレを発動されると流石にめんどーだ。

 

ゆっくりとナイトウォーカーの魔槍を構える。

 

間髪入れずリンディは魔砲を発動する。

 

「エターナルコフィン! 」

 

「おいおい。相手の姿勢も崩さずに最大魔砲か? 焦りすぎだろ。エクスプロージョン! 」

 

エクスプロージョンにより、リフレクターに反射するはずだった氷結の魔力は斬撃によって霧散する。そこから一志が畳み掛ける。

 

「爆裂演舞! シルファードライブ! 」

 

メルフォオースで加速したのちエクスプロージョンとシルファリオンを同時に発動。

 

一瞬にして怒涛の爆撃がリンディを襲う。

 

すかさず、リンディはディストーションシールドを展開。

 

空間を歪曲させて一志の攻撃を防ぎきる。

 

「やっぱりそれが難題だな。魔槍だけでも充分だと思ったんだけど」

 

「貴方を過小評価するわけにいかないもの。私の全力でお相手するわ」

 

「それはまた随分光栄な話しだね。まぁ、だとしても万が一にも俺の負けは有り得ないわけだけどね」

 

カードに影響されたからか。そもそも傲慢だったかは不明だが。

 

不遜な言い方でリンディを挑発する一志。

 

ともあれ、ディストーションシールドのおかげで、

なんとか一志の攻撃を防いでいるリンディ。

アースラからの魔力供給があるから魔力切れの不安が無いとはいえ。

 

話しながらも一志の攻撃は繰り返される。

手を止めることは相手に攻撃のチャンスを生む。

一志は今は攻める以外の選択肢がなかった。

 

エクスプロージョンで近代ビル群が次々と破壊されていく。

 

 

今戦ってる彼はなぜか必死だった。リンディからしてみれば、ただ闇雲に攻撃を繰り出しているように映った。模擬戦前の飄々とした感じは消え、デバイスは使わないと強がったり、

私に冗談を言ったりもしたおちゃらけた雰囲気もなく。

ただ必死にこの防御を崩そうとしている。

 

不思議な子だなとつくづく思う。

 

私達を説得しようと材料を出してきたつもりなんだろうけど、

変わった交渉だったせいもあって、あまり上手く乗せられた感じはない。

 

私はただ興味があった。彼らがジュエルシードを集める理由に。

 

あれほどの危険なものを人を助けるためだけに使うと信じてやまない彼。

そんな言葉を信じる信頼関係でもない。

ジュエルシードで誰かを救えたなんて情報も持ち合わせない。

それを話しても彼は折れるどころか、おちゃらけてさえいた。

 

本当なら私はあの言葉を聞いて怒るべきだったのかもしれない。

 

「誰もできなかったからって、俺ができないなんて誰が決めたんだ?」

 

おちゃらけたもの言いだが、逆面白くって笑ってしまった。

 

「ふふふ。そうね。あなた達なら出来るのかもしれないわね」

 

そうやって、からかったらなぜか不思議そうな顔してた。

 

まさか怒るでも止めるでもなくて笑うなんて

選択肢でくると予想していなかったのでしょうね。

 

時に傲慢に不遜にそして生意気に。

 

だけど、必死な顔をして今模擬戦をしている彼は、

ただ我を通したいだけの子供みたいにみえる。

ちょっとしか言葉を交わしていないのに、不確かな確信を私は感じた。

 

飄々として見せてるのはこんなことたいしたことないと虚勢を張るため。

 

そうしないと心配する人がいるから。

 

だから、彼は強がる。だからきっと彼の言葉は強く聞こえる。

 

だから、きっと彼がなぜ必死なのかわかった気がした。きっとこの錯覚は確信だ。

 

きっと彼は必死にここまでやってきたんだと思う。

 

なぜかわからないけど、自分と血も繋がってない子を助けるというその一心で。

 

そんな不確かな確信を。

 

そんな不確かな彼の想いを。

 

ある種親近感にも似たような不思議な感情をこの模擬戦で今尚感じている。

 

そして、勝負は決する。

 

彼は風を巻き起こす。

 

「印空連携! メルフォース! 」

 

距離を取ったあと、槍を捨て呟いた。

 

上書き 夢幻召喚(オーバーライトインストール)クラスカード『アーチャー』」

 

なぜかわからないけど、破られるはずのないこのシールドが破られる気がした。

 

I am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)

 

偽・螺旋剣(カラドボルグ)! 」

 

直撃をさけるためにビルまで凍らせ、間に幾重にも氷塊をつくり行く手を阻む。

 

矢はまるで暴風のように吹き荒れ氷塊を貫いてくる。

 

マルチディフェンサーも展開して防御を固める。

 

しかし、矢はそのことごとくを貫通し。最後にディストーションシールドを貫いた。

 

 

 

 

 

模擬戦の決着は案外早かった。

 

そんな状況をモニタールームから見守る二人はなにやら複雑そうな顔をうかべていた。

 

リニスの心配は一志の体のこと。

そしてルビーの心配も一志の体のこと。

 

だが、ここで決定的に違うのは、リニスが模擬戦の疲れや連戦について心配しているのとは別に、

ルビーは上書き 夢幻召喚(オーバーライトインストール)の多用していることに心配をしていた。

 

あれの多用をしているのに負荷がかからないなんてありえませんね。

明らかになんらかの負担がかかっています。

それが見える部分なのかそうでない部分なのか。

後でサファイアちゃんと検査してみないとわかりませんね。

 

なにせ次元断層に放り込まれてもへっちゃらな子でしたから。

その祝福っぷりはカンパネーラ。かみまみた。

 

コホン噛みました。

 

ともかく、祝福は凄いとしてもあれほどの連発に体がついてきているかどうか。

 

あのようなランサーの英霊聞いたこともない。

サファイアちゃんと話してもわからない英霊。

 

いったいどこからカードを手に入れているんでしょうか。

 

それに、あやふやにされてしまいましたが、ツヴァイフォームといい。

 

なぜか答えを知っている。いえ、そこに至る過程全て省くことで結果を導き出す。

 

まるで大師父から聞いたことのある「答えを出すもの(アンサー・トーカー)」のような能力ですね。

 

あらゆる事柄に対して即座に答えが浮かぶ。

 

確かに一志さん曰く直感力はハンパないとかって話しでしたけど。

 

ピンチになるというか集中力が高まったり魔力的に昂ぶるとそういう感覚があるということでしたが。

 

まさかそういった能力なんですかね……。

 

全くもって興味のつきない人ですね~。

 

 

<ザザ姉さ……姉さん! >

 

<サファイアちゃん?どうしました?>

 

<カー……が! 黒い━━━━>

 

<サファイアちゃん?サファイアちゃん! >

 

なんでしょうね。またセイバーのクラスカードが何かあったのか。

 

なんにしても、早くフェイトさん達がいる食堂に向かわないとですね。

 

<一志さん! リニスさんも緊急事態です! 早くフェイトさん達のところに向かいますよ! >

 

 

 

 

━━━━アースラ内(食堂)

 

「フェイト様!?」

 

サファイアは状況もわからないままフェイトに掴まれる。

 

黒く光りだしたカードがジュエルシードを取り込んだように見えた。

 

そして、サファイアが異常に気がついた時には、すでに念話さえも困難な状態になっていた。

 

そこにスプライトムーブをさらにブーストしたような速さでリニスと一志(ルビー装着済)が突然食堂に駆け込んでくる。

 

「フェイト!セイバーのクラスカードを今すぐ手離せ!!」

 

一志やリニスの尋常じゃない焦り具合からも不穏な空気がいち早く周囲に伝達される。

 

「お願いだフェイト一志の話を聞いてよ!」

 

「フェイトちゃん!」

 

懇願するような使い魔の言葉。

 

自身の敵と改めて認識した相手の言葉。

 

フェイトにとってどちらの言葉も今は等価値であった。

 

ひとつ明確な行動理由は、自身の居場所を奪うものの排除。

 

それのみを彼女はジュエルシードに願い、そして呟いた。

 

「セイバー夢幻召喚(インストール)

 

ここが食堂であるに関わらず、問答無用で膨大な魔力が溢れかえる。

 

その瞬間、一志とリニスは食堂を結界で閉じ込めた。

 

そこへクロノやアルフ、ユーノが加勢、結界をさらに強化。

 

リンディ提督も念話でエイミーに結界強化を施したのち食堂空間ごと地球へと転移させるように指示。

 

エイミーはすぐにブリッジに戻り結界内の全てを先ほど座標固定しておいた。

地球、海鳴市の海上へと転移させることに成功。

 

そこにいたものは、もはや英霊だったのかもしれない。

 

黒い鎧を身に纏い、黄色い線の入ったようなバイザーをつけた。

 

セイバーの英霊が佇んでいた。




大変お待たせ致しました。

またまた何ヶ月も経ってしまった。

夏っていつ終わったんだろう。

まるでAirのようですね。

さてラスト近いです。どうなるか続くのか。

それともラブライブやらけいおんにいくのか。

悩んでます。ではまた気長にお待ちください。


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幕間 ~リニスと一志~

大変お待たせしてます。
イロイロと悩みまして……
まだまだ書けない状況ですが、外伝をいくつかはさみつつ。
本編進めます。


「一志はどうしてそこまで尽くしてくれるんですか?」

 

 

ある日、バルディッシュ制作中の一幕。

リニスは彼に語りかける。

 

 

一体何度目の問答だと、そう思いながらも小さく溜息をつきながら律儀に答える一志。

 

 

「俺はあの日記によって生み出されたような存在だからな。

 その日記に込められた願いを叶えるのが俺の使命だと思ってる。

 だから他の理由を探したいならリニスが勝手に理由を捏造したらいいんじゃないか」

 

いつも通り適当に流される。使命だなんだと言いつつ照れ隠しなのか理由を濁して伝えようとする一志に苦笑するリニス。いつものやり取りだった。

 

 

ただ、これまでと少し違ったのは、いつもは引くリニスが今日はここで終わらせなかったこと。

 

 

「ですが、あなたのその献身に対して私が返せるものはなにもありませんよ。正直、そこまであなたがフェイトや私に尽くしてくれる理由が全くわからないんです」

 

なぜ自分を助けたのかもと小さく呟き、今日ばかりは逃がさないという気概を言外に含む。

 

 

 

日記の話。大切な話を。

自分が尽くすに値する理由をただ日記のためとか、契約や義理なんて思い込みで縛られたくない。何もかもを抜きにしても尽くせるかと自分にも問いかけているような。

言葉だけの信頼をでは足りないけど、それでも、言葉さえ足りなかった今までを甘んじて受け入れていた心地のいい関係を。

ただ、彼の気持ちを知りたい好奇心で壊したい。

迷いや不安の混じった心音に載せられる言葉はきっと。

 

 

 

それでも、彼の言葉はいつも決まっている。大層な理由なんてない。

と、その繰り返しだ。

 

 

「理由もなく助けてもらったり、契約によってのみ主従の関係となる。

 そんな状態は何だか不安なんです。だから」

 

 

安心が欲しいと、見返りを求めないこと、なぜ尽くすか。ずっと、そう感じていた。

 

あの場は納得せざるおえなかった。だけど……いや、だからこそ。

 

溜息ひとつ聞こえた後、彼の独り言は始まった。

 

 

「ただ、許せなかっただけだ」

 

 

誰がとも、何をとも言わなかった彼の意図は私にはきっとわからないけど。

 

それはきっと誰がということではなかったんだと思う。

 

事象なのか状態なのか、あるいは自分自身への憤りなのか。

 

いや、きっと理不尽な何か全てに対して彼は激情を感じていたのかもしれない。

 

 

「あの日記は捨てられたもだ。届くことは有り得ないような場所で捨てた日記だったろう。だけど、あの日記は俺に届いた。

諦めて、でも諦めきれなくて、自分でなんとかしたいのに、時間がなくて、誰に頼ることもできない。そんな状態のお前が書いた誰にも打ち明けられない日記。それでも、誰かに、何かに希望を託して、夢を託して。そして、捨てられた日記だったと思う。だから届いたときうれしくて、かなしくて、もう消えそうだったのに戻された」

 

 

自分の自我を現世に留まらせるほどの想いの詰まった日記だったと。

 

 

「あれは、大切な誰かの幸せを願ったものだった」

 

 

だからと彼は呟き

 

 

「ただどうにかしたかった。衝動的なもんだ。俺をこの世に留めた日記に込められた想いに応えたいと。受け取った想いに名前を付けるなんて殊勝なことはできないが、それよりなによりも、貰った恩に何も返しもしないのは格好悪いだろう。嘆いてなお、迷ってなお、届ける想いを受け取った。だから願いを託された俺はこれからお前達家族に尽くすから。リニスも馬車馬のごとく俺と一緒にがんばってこーぜ」

 

 

彼は照れ笑いうかべながら、少し顔を赤らめて自分のことを想いを初めて語り終えた。

 

もう勘弁してくれと一方的に彼は話を終わらせた。

 

自分の問への返答にしては、見当違いな話だったように思う。

 

いつもそう。信頼を言葉にして行動にして返してほしいと私は欲張る。

 

それを彼はいつもはぐらかす。その関係が心地いい感じに思えるようになったのは最近だ。

 

尽くす理由は今も判然としない部分もまだある。

 

足早に切り上げられたことも納得はしていない。

 

でも、彼の気持ちは聴けた。

 

まだまだ時間はある。どんどん問いただしていけばいい。

 

そう考えれば、その都度困りながらも答えてくれる彼はなんだか可愛く思えてくる。

 

「ほんと、毎回毎回しょうがないマスターですね」と呟いてリニスはその日から笑顔が増えていった。




お待たせしてます。簡単な幕間です。
そして次は外伝になります。


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外伝3 ~夢と、願いと、寂寞と~ 前編

待たせたうえに進まない。そして外伝なのに前編って。申訳ない。

本編はまだまだかかります。気長にお待ちいただけると幸いです。


とある日、フェイトの日記より

 

 

 

「フェイト、おはようございます」といつも笑顔で、リニスが起こしにきてくれるところから私の朝は始まる。

 

私も挨拶を返して、リニスと二人でアルフを起こす。

 

いつもアルフは私のベットで一緒に寝るからアルフが来てからは暖かくて嬉しい。

 

アルフが起きたら一緒に、トレーニングを開始する。

 

最近は、アルフとの連携強化やタッグ戦を想定した模擬戦。

 

それから、リニスが朝ご飯を作ってくれる。

 

お昼ご飯は私とアルフで料理をお手伝い。

ご飯の後はお勉強。

 

母さんは研究者だから、すごく頭が良いってリニスが教えてくれた。

魔導師としても優秀で私もその才能を受け継いでいるって。

だから、私は勉強が好きだった。母さんに少しでも近づける気がして。

 

たまにアルフと昼寝をする。リニスは勉強も大事だけど、休むときは思いっきり休むことがいいと昼寝タイムをもうけることがある。アルフはこの時間が一番好きだって言ってた。

勉強や読書はもちろん好きだけど、リニスとアルフと一緒に静かに森に揺られて寝るこの時間も大好き。

 

 

勉強をして模擬戦にも慣れてきたこの頃、リニスから「さすがは、プレシアの子です」と褒められることが多くなった。私が母さんに近づいてる気がして嬉しい。

 

 

 

だけど、母さんは一度も私を見に来てくれない。

「研究が大変だから早くフェイトにも手伝って欲しいとプレシアが言っていましたよ」

とリニスはいつも励ましてくれる。

 

優しいリニス、いつも私の側にいてくれるアルフ。

 

それだけでも、本当は充分なのに、いつからか、私は願うようになった。

 

 

母さんと話しがしたい。母さんに私をみてほしい。

 

 

その気持ちを抱えるようになってからか、勉強やトレーニングをしていてもどこか気が入らず。

 

上の空でいる私を二人が心配そうに見ていることが増えていった。

 

「どうしましたフェイト? 心配事でもあるんですか」

 

突然だった、最近はあまり母さんのことを私の前で触れないようにしていたリニス。

 

「大丈夫。リニスとアルフがいるから」

 

そのとき、きっと私は笑えてはいなかったんだと思う。

 

だからだろうか。

リニスに抱きしめられ、アルフも心配そうにこちらに寄り添ってきた。

私はこれ以上、二人に心配かけまいと、なにかを必死に堪えていた。

 

 

いつからか、我慢するようになった。

あまり母さんの話をリニスの前でもしないようにアルフの前でしないように。

我慢する私を見せないように。

 

きっと、もうずっと前から二人は気づいている。

私が母さんのことを聞くのをやめて。

アルフも母さんのことをふれなくなって。

そして、リニスも母さん話題を私の前でしなくなって。

 

 

皆が母さんの話をしなくなっていった。

 

 

 

別にトレーニングしたからとか、勉強したからって見返りを求めていたわけじゃない。

 

私の気持ちを聞いて欲しかったわけでもない。

 

 

 

だけど、ただずっと我慢してる。日々が過ぎていっても、またいつかは……と願いながら。

 

 

いつかは母さんと一緒の日常を。

 

 

 

 

━━━━━━

 

 

叶わない願いと知りながら、何かに追われ焦り願い続ける日々が続いたある日。

 

見たこともないほどの巨大な魔法陣が突然現れた日。

 

その魔法陣から召喚された人によって私の日常は一変した。

 

 

 

私の大切な人達を救ってくれた人。

 

リニスが時折見せる寂しそうな顔を笑顔に変えてくれた人。

 

母さんを救ってくれた人。

 

そして、私の願いを叶えてくれた人。

 

 

 

━━━━━━

 

 

 

「なぁ、フェイト」

 

「どうしたの一志?」

 

「いや、なぜこのコンビなのかと思ってな」

 

「きっと、ルビー達にも何か考えがあってのことなんじゃないかな」

 

まだ言ってると思いながらもフェイトは笑顔で応える。

 

念話で愚痴りながら、きっちりと周辺探索を怠らない。

最近、最も多く模擬戦をしている相手。

 

最初はただ、魔力に振り回される素人だったと思う。

たしかに初対面がアレだったから冷静な判断で見れていたかは別だけど。

 

 

でも、一志の凄さは魔力量だけじゃない。

勘の良さは正直リニスも舌を巻くほどにイイ。

 

一志はほとんど見たことない初見の魔砲を顔色も変えずに対応して防ぎきる。

稀に少し被弾するときもあるから、まだ不安定なときがあるのかもしれないけど。

それでも、一志のあのセンスはほんとに凄いと思う。

 

例えば、魔砲戦闘なんて素人だった一志が一回見ただけで私の動きに合わせてくるようなことがよくあった。

その中でも回避だったり近接での冴えというのは一志以上の人はいないんじゃないかと思う。

 

ただ、回避ばかりに力を入れすぎてたまにリニスに攻撃を任せすぎのこともある。

そのときは回避ばかりしないで下さいとリニスに釘をさされることが最近よくある光景だった。

 

「当たらなければ、どうということはないだろ」

 

なんて言いながら得意げに回避する一志はいつも楽しそうだ。

 

 

そうやって最近一志と一緒に飛ぶことが多い。

空でずっと二人で追いかけっこしたりして……。

 

でもまだ速さでは負けたことないから一志も躍起になって追いかけてくる。

ほんとにそろそろ追いつかれそうだけど、まだ負けない。負けれられない。

 

 

と、いけない今はジュエルシード探さないと。

アリシアもそろそろあの結界にずっといるのは退屈だろうし。早く一緒に遊びたいな。

 

 

 

 

━━━━━━

 

 

 

 

正直に話すと探索には不向きなメンツだと思う。

アルフやリニスが居たほうがもっと手早くジュエルシードを集められるはずだ。

なぜ今日に限ってこうなった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━およそ数時間前

 

 

 

 

 

 

「今まで通りに組んだほうが早くないか?」

 

「なるほど、一志はそれほどまでに私といつも一緒がいいと」

 

「いやそこまで言って」

 

なんか凄い睨まれていて最後まで言葉を続けられないな。

だいたい今更なぜ変える必要があるんだ?と納得いかない様子。

 

(一志は私と組むの嫌なのかな?そうだよね。あんまり二人っきりで行動したりはないから。

リニスとかアルフといる時間のほうが多いし、きっと私より他の人といたいんだよね)

 

「全く、アホマスターですね~。組む相手を替えてみたいって言ったのは一志さんじゃないですか。だから、今回は前衛オンリーコンビで探索してみましょうという話しですよ。それに~フェイトさんと仲良くなりたいと言っていた張本人がなにを恥ずかしがっているんですか~?」

 

「ちょっ!?」

 

「正直、一志さんとフェイト様を組ませるのは大変遺憾ではございますが。この際、背に腹は変えられません」

 

愕然とした言い分を聞きながらもこれは決定事項なんだと悟る一志。

 

「いやいや、おかしいだろ?俺は探索とかできないし!?そんな器用なことできないぞ。

 探知や探索系の練習とかしてない新人とフェイトを組ませるのは危険だと思わないのか?」

 

必死に説得を試みる一志。

なぜここまで必死かというとめんどくさいと思っているのが7割。

あと3割は彼の欠点が判明したために少し不安があったのである。

 

サファイア、ルビー、リニス、プレシアがある恐ろしい実験をしてわかったことだが。

一志の直感は普段C+までランクが下がっていた。

 

集中している戦闘時などと日常の私生活を送っている状態ではかなりランクに差があった。そのことから、普段から直感が高いと自身への負担相当かかるようで本能的に抑制している可能性があると判明した。

 

戦闘時などに集中力が増した際には相手の行動を予見していたのかと思うほどの直感の冴えを魅せるのだが。

 

この実験は昼夜とわず行われていたようで、日常で少しでも気を緩めるとリニスやプレシアに不意打ちされる日々を10日間ほど彼は体験した。実験期間はまさに地獄のような毎日だったとは本人談である。

 

 

そういった経緯もあり彼なりに一抹の不安があったのかもしれない。

 

 

「確かに、不満はありますが。一度別のパートナーと組むことによって今後の戦術の幅が広がると言ったのはあなたですよ。それに……このコンビに不安があるのはお互い様です」

 

 

なぜか不満があるのにこうなるんだ。しかも最後のあたり若干小さい声になっていたが。

 

 

疑問は感じながらも最終的にはリニス達に丸め込まれた一志。

どうにも今回の突然のパートナー替えには作為的なものを感じる。と一人物思いに耽っていると

 

 

「一志は私と組むの嫌かな?」と不安そうな目でフェイトがこちらを見ている。

 

そんな声で聞いてくれるなフェイト。

 

「むしろ、俺にとってはご褒美です」

 

「そ、そうなんだ。よかった」

 

 

今更な感じのタッグだし、作為も感じる。

 

「けど、まぁ、こうなったら早めにジュエルシード見つけて、リニス達をびっくりさせてやろう」

と文句を言いながらも前向きになる。地味にポジティブな男だった。

 

 

だが、実はこのコンビ結成について、前々からリニス達が親睦を深めようと画策していたことを彼らは知らない。

 

 

何かにつけて模擬戦はするし、人見知りに見えるフェイトも一志相手だとあまり物怖じせずに話していることがあった。それはもちろんリニスの恩人で、フェイトにとっても母との関係を良い方向にしてくれた恩人でもあるからだとリニスは思っていたが。

 

案外、違うのかもしれないと最近思い始めた。

最初の印象はさておき。恩人と感じているからこそ円滑に仲良くなっていった二人だ。

 

ただし、必ず誰かが側にいた。つまり、二人きりでほとんど話してこなかった二人。

逆に言えば、誰かいる状態であればいつも一緒にいた二人である。

 

家族の誰かがいない状態でも、気兼ねなく話せるように二人にはもっと仲良くなって欲しいという想いがリニスにはあった。

 

ただ、そこの仲良くしてほしいという想いには本人としても若干苦心するところがあったらしく、それをサファイアに相談(愚痴)すると……

 

「一志さんが喜ぶだけの計画では物足りませんね。

 最近、模擬戦や魔砲の勉強なども適度に手を抜いてごまかしているようですし。

 ここはひとつ、試練を用意してより真摯に取り組んでもらえるようにしたらいかがでしょうか」

 

そこへたまたま計画を聞いていたルビーが乱入

 

「面白そうなことを考えてますね~サファイアちゃん。

 たしかに最近の一志さんは少し気が抜けていて前より直感も不安定な感じありますしね~

 それはベリーグッジョブな計画じゃないですか!

 なにかハプニ……もとい試練に必須な要素を考えると、ここはやっぱり触手しかないですね!

 ついでにこの間、勉強したAMFとかいう、とんでも機能を触手につけて、

 擬態もできる烏賊マンをつくって試練を与えちゃいましょうよ~」

 

 

こうしてルビーも途中参加したことにより二機のデバイスがノリノリで邪悪な計画を仕上げていった。

 

リニスは後に、あの場で私が止めておけばこんなことにはならなかったのにと後悔することになるのだが、それはまた後の話。

 

 

 




後編も頑張って書いてます。
なんとか早めに投稿できるようにします。


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外伝3 ~夢と、願いと、寂寞と~ 後編

各人の思惑がありつつ、ジュエルシード集めに、とある管理外世界に訪れたフェイトと一志。

アルトセイムの森よりも一層深い密林地帯を探索中の出来事。

 

森を歩き、広大な空を飛び、交代交代で陸と空で探索を続ける二人。

 

もうこれいっそ脱ぐ! そして、エクスカリバーブッ波して~と思いながら。

探索中はあまり話さずに、もくもくとジュエルシードを探していた。

 

「なぁ、フェイト~」

 

「?どうしたの」

 

声の届かない距離だが、一志が突然ホロウインドウでフェイトを呼び出した。

 

「なんか水の音が聞こえてきたんだけど、そっちから水辺とか見えないか?」

 

「待って……。こっちからは特に水辺なんて見えてこないけど」

 

あたりを見渡すが森が鬱蒼と茂っているため、空からは視認できない。

 

なぜ一志が突然脱ぐだのと、SAN値が低下した発言をしたかというと、この密林暑いのだ。

普段デバイスがあったり、バリアジャケットがあったりで、適温になっている状態で模擬戦や戦闘訓練をしていたため、この慣れない気温や湿気といった部分が今は一番の大敵であった。

 

ジュエルシードを探すにも魔力は使うし、魔力を行使するということは集中を求められるものだ。

 

高温多湿の場所で熱気が体に纏わりつく。そんな状態で、二人の探索作業は遅々として進んでいなかった。

 

「やっぱり、ここからだと聞こえるんだよな~フェイト一旦こっちに合流してくれ」

 

「うん。わかった」

 

ジュエルシード集めは?と思いながらもフェイトも暑かったので、すぐに一志に合流した。

 

集中して探してみると確かに水音が聴こえる方角があり、そこへ向かおうとするも、一定の距離まで近づくとなぜか別の場所から水音が聴こえるようになるという怪奇現象が起きる。

 

明らかに結界が貼ってあると言う一志の言葉を信じてフェイトがサンダーレイジをあたり一帯に放つ。

 

そこから返ってきた反応で結界の位置とおおよその範囲を一志が特定。

 

すでに一志がアーチャーのカードをインストールして構える。

 

「偽・螺旋剣! 」

 

結界が破られ、目の前に広がる綺麗な湖を前にして一志が歓喜の声をあげる。

 

「ヤックデカルチャー!!」

 

フェイトがなに?という顔をしていたが、そこはスルーで頼むよ。

 

「やった。たどり着いたぞ。ついにやった!やってやったぞー!」

 

という意味不明な叫び声を発しながら湖のようなところに飛び込んで行く一志。

 

フェイトは苦笑しながらも自分も暑かったため、一緒に付いて行くことに。

 

「一志待って。この湖、上からは確認できないほどの結界があったから、湖に入る前にも結界が……」

 

貼ってあるかもと言い終わる前に一志は結界によってトランポリンのごとく弾き飛ばされてフェイトのほうに戻ってきた。

 

「ぶべら!?!?!?…………ふふふふふふふうふふふふふ」

 

なぜか不気味に笑いながら立ち上がる一志。

 

フェイトの呼びかけも聞こえていないようだ。

 

「結界ごと焼き払ってやる! このエクスカリバーでな! 」

 

手にはいつの間にかカードが握られており、今にもインストールしてセイバーになりそうな勢いだ。

 

それをすると湖の水まで蒸発しちゃうんじゃと考えたフェイトは速かった。

 

一志が怒りで我を忘れているとはいえ、見事な一撃を一志の後頭部に見舞ったのである。

 

「ごめん一志、ちょっと落ち着いて」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━二人がこのやり取りをする数十分前の出来事

 

 

「うーん。やっぱり先に放し飼いにしておいて、タイミングよくバインドを外して二人に一気に近づかせることができれば、いくら一志さんの直感を持ってしても反応は一瞬遅れると思うんですよね~」

 

「そうすると、誰がバインド制御するかですね。私なら問題なく制御はできますが……」

 

「そうですね~。制御に関しては確かにこの中ではリニスさんが一番なんですが、一志さんの痴態を見た瞬間にタイミングを外してしまいそうなので、ここはサファイアちゃんにお願いします! 」

 

「わかりました。姉さん。ただ、私もフェイト様の危機になればどう判断するかは保障できませんが」

 

「仕方ないですね~。他に適任もいないことですし。それではイカを湖に放しますよ~」

 

「準備完了です。バインド正常に機能しました」

 

こちらの魔砲形態については今一再現できる確証はなかったのですが。案外、一志さんも私たちも問題なく適応できている不思議があるんですけどね~。そこは召喚という状態だったために何かこちらが適正を持たされたということなんですかね~。

 

 

等とルビーは思考しながらも、イカは奥深くに潜っていくそこに光る宝石に魅せられて……。

 

 

 

━━━━━━

 

 

 

 

 

10分ほどで目が覚めたのか起き上がってくる一志。

 

「あれ、フェイト」

 

「起きた?さっきはごめんね。頭大丈夫?」

 

と心配そうに寄り添いながら、頭を撫でてくるフェイト。

 

ただし、服装はかなりラフというか湖仕様に早変わりしていた。

 

上は黄色いキャミソールに下は間違いないあれはパンツさんじゃないか!

 

心の中で俺はロリじゃない。俺はロリじゃない。俺はロリじゃない……

と連呼してから目の前の女神を見つめる。

 

あぁ、もう俺ロリでいいや。と諦めて、しかし、頭大丈夫って発言はどうよ。

 

「悪いフェイト。ちょっと取り乱してた」

 

あれでちょっとなんだと苦笑しながら、フェイトが一志の手をとって湖に連れて行く。

 

「ここの湖、すごく水が綺麗なんだ」

 

とフェイトが呟きながら、手を取り合って湖に入っていく。フェイト、俺のHPはもうゼロだ。

 

「俺もう死んでもいい」

 

フェイトは、そんな発言に気を取られないくらい綺麗な湖で遊べることが、楽しかった。

今度は家族皆でこれたらいいなと思うくらいである。

そこに姉も入るのかと思うと少し胸が痛い気もするが、今は楽しいことを優先することにした。

 

最終的に水の掛け合いをしながらもキャッキャウフフ展開になってまたも一志は感涙していた。

 

フェイトと水遊びしながらも、ジュエルシードのありかについて思考する。

そうでもしないと思考がロリで埋め尽くされそうになっているため、必死である。

 

 

フェイトと一緒の探索は当初から難航するのは目に見えていたけど。

最近は特に、支援が得意なルビー達頼みだったからな。あとで帰ったら感謝しておこう。

さすがに今後は探索のときはアルフかリニスが必須だということは今回で嫌というほどわかった。

広大な場所を支援が得意じゃない二人だけで探索するのは今回で最後にしたい。

ただ、それにしても痕跡一つ見つからなかったのはおかしい。

1日中さがして2日目の朝を迎えようとしていた段階で湖が見つかるとかもう出来過ぎていると感じる。

違和感があった場所、湖、結界付き、タイミング、すべて怪しすぎる。

直感が反応するためにわざわざここにおびき寄せられていた気すらしてくる。

ここだけおかしいですよ~気付いて下さい~とルビーあたりが言わんばかりの仕掛け満載じゃないか。

さっきから敵意じゃないけど、何かの視線は直感に反応している感じがする。

ここで動いても感謝から入らないとリニスあたりの機嫌が悪くなりそうだから、この視線の先への対応は後で考えるとして、今はフェイト楽しく遊びますか。少し遊んでから今回のことと、今後のことへの話を視線の奴らと話し合っても罰は当たらんだろう。

 

思考するのもやめて、笑っているフェイトを見ると、初めて会ったときを思い出す。

最初はビクビクして、アルフとかリニスが傍にいないと話しかけてさえこなかった子が、二人っきりでも笑顔を向けて話してくれているというのは非常に感慨深いなとパンツを見ながら笑顔の少年。

 

 

 

 

そんな、一志が楽しんでいる傍で、二人を見ながら悪だくみをする影が三つ。

 

 

 

 

「ん~ん~~」

 

「サファイアちゃんなんとか抑えておいてくださいね」

 

「了解です。ただ、フェイト様達に気付かれない状態のままリニスさんをいつまでも抑えていられませんよ」

 

「仕方ないですね~予定とは違いますが、ここで投入しましょう~。サファイアちゃんバインド解除です! 」

 

「了解しました姉さん。イカを戦線に投入します」

 

 

 

一志が違和感を感じて小さな魔力が反応したような場所に意識を向けた瞬間

それは突然襲ってきた。

 

 

 

所謂あれはイカだなと、悠長に構えている俺は未だに目の前の光景を受け入れられていない。

というか、なんで日が出ているうちからあんな生物が堂々と出てくるんだ。

普通はそんなこと想像しないじゃなイカ!!

決してフェイトと二人だから今のうちにイイ思いをしておこうとか思っていたわけじゃない。決して!そう決してだ!!

 

フェイトが驚いたような声が聞こえた時には、イカの触手に捕獲されてた。

しかも、あの触手なぜか服を溶かすというナイスな……。もとい、なんてけしからん触手だ。

そして、あのイカはなぜに陸上を走って逃げるんだよ。以外に速いし服が溶けていくのはなんだか見ていて楽しとかって俺よそんな場合じゃないだろ!

 

イカが速い。それに文字通り密林を縫うように走っていくし、擬態しながら追撃を器用に躱していやがる。なかなかのイカだ。なにせカメレオンばりの擬態で見失うし、密林内の木に紛れて移動しているのがマジで分からなくなる。目に頼る動きじゃだめだ。

魔砲を周囲にバラまいて音と反響と魔力感知でなんとか居場所探りながら追うしかない。

というか追っても追っても見失う。一瞬で距離を離される……。

フェイトが捕まったのも、間違いなくあの擬態能力が凄かったからだろう。

そして、そろそろいい感じに触手が溶けた服と嚙み合ってエロ……ゲフンゲフン。

 

追いかけながらも眼福を楽しんでいるような変態はさておき。

 

 

「もう少しでバレるところでしたね」

 

「全くリニスさんにも困ったものです。追い詰めるまでは気取られないようにって言ってたじゃないですか~」

 

「すいません。どうにも自分を抑えられなくて……」

とシュンとしているリニス。

 

「まぁ、あれは間違いなくあられもない姿のフェイトさんを視姦していた目でしからね~」

というかあんなに大きく作ったつもりはなかったんですけどね~。魔力量まで増えたように感じますし。まさかと思いますが、意外とピンチになったりして。」

 

「ただ、あそこまでやる必要があったのでしょうか。フェイト様が捕まってしまうのは予想外です」

 

三人はそれぞれに不安がありながらも、今計画の第一段階を成功させたことにより少しは安堵していた。

 

ただ安堵していたのもつかの間、予想外のことにイカは予定とはかけ離れた動作と高性能さを発揮して地上を逃走していったのである。

 

三人は茫然と追いかける一志を見送りながら、一旦の思考停止を挟みつつもリニスがまず回復。

 

「お、追いかけましょう! あれはかなり予想より高い性能になっているようですが、ルビーがこの仕込みを?」

 

「そうですね~やったこととしては擬態できるようして、そのうえ、高機動脱がしスライム乙型で衣服すら溶かすぬるぬと、捕らえた相手を逃げられないように微小なAMFを発生させ触手で拘束するという最新型スライムイカですからね~。概ね予想通りの展開なんですけど。触手に触れている間だけAMFが対象に発動しているだけだったはずですから、AMFが一志さんの魔砲にまで干渉するような性能ではなかったはずですね……」

 

「そうするとフェイトは触手に捕まれていて、魔力も貯まらないということですか……」

 

そうやって三人が顔を見合わせてイカの高性能な能力談義をしている間にも一志とイカのチェイスは続く。

 

そもそも今回の当初予定していたプランは「イカから一志を救出せよ! 」というオペレーション。

一志がイカに捕まり、フェイトが颯爽と助けに入る。このミッションを成功することによりお互いの仲が深まり連携も発展してくれればという流れに持っていきたかったのである。普通は助けに入るのは男のほうではないかと展開が逆に感じると思うが。

「フェイト様が捕まるのは却下です」とサファイア。

「そのほうが展開的にもネタ要素的にも面白いですね~」とルビー。

二機によるプラン変更要請があったために、このプランで落ち着いたのであった。

 

ただし、リニス達が見落としたことがまだある。

なぜイカが突然高性能になったのか。

当初の予定と狂ってしまったことで判断が遅くなり、対応が後手に回ってしまったことによって、見落としたこと。それは、湖の奥底にジュエルシードが眠っていたという事実。

ジュエルシードがあったことにより改造されたイカがジュエルシードと超融合し、誕生した超スライムイカになっていたということをこの時点ではまだ誰も知らなかった。

 

 

その事実に三人が薄っすらと気が付き始めるのは、一志の魔砲がイカに通用しない状況になってからである。

 

 

「ちくしょー擬態と速さをイカしやがって、全くこっちの魔砲が当たらないな。それに案外賢いじゃねーか、あのイカ。まさかフェイトを中に取り込んでこっちが全力出せないようにしたってのも計算なのかね。」

 

悪態を吐きながらもスプライトムーブで華麗に木々を躱しながらイカを追いかける一志。

そのイカは木々に擬態しながらも全力で逃げる一択。

一志はこの追いかけっこの最中に何度か魔砲を撃って動きを牽制しているのだが、スルーされている。

本来なら当たれば、足止めにもなるし、致命傷になり得るほどの威力の魔砲を撃っているわけだが、AMFがなぜかイカを中心して周辺に発生しているため、上手く魔力も込められないし、無理な態勢で撃っても弾かれてしまうため、全く牽制の意味を成していなかった。

フェイトを傷つけないように抑えて撃っていることもあり、徐々にイカと一志の距離は広がりつつあった。

フェイトを傷つけずに撃ち込むには、魔力を微調整できないという彼の弱点が大いに足を引っ張る結果になっていた。

 

「しかし、あのAMF今の威力じゃ全然貫通できる気がしないな。しかも心なしか少しイカが大きくなっていっているように見えるが気のせいかな」

 

ブツブツと独り言が多くなってきたのは焦りからなのか、気遣いながら魔砲を打ち込めない状況にとまどいながら一志は悩んでいた……フェイトが多少ケガしてもクラスカードをインストールするべきかどうか。

 

「一志! 早くそのイカを止めて下さい」

 

「おぉ!? 今取り込み中だ。ってかなんでイカのこと知ってるんだ?やっぱりあれ、お前たちが……」

 

「一志さ~ん。今は問答している場合ではないんですよね~ちょっぴりこれは大ピンチってことでして~」

 

「一志さん。一刻も早くアレを止めて下さい。アレは再現なく大きくなっている可能性があります」

 

「サファイアまでいるのか!?」

 

「早くなんとかしてくださいよ~マスター」

 

「ルビー、よ~く見てくれ。明らかにデカすぎるだろ!結構離されたはずなのに、あいつがデカくなったせいか近くに見えるだろ!!」

 

「これはもしかしたらですが、ジュエルシードの影響かもしれません」

 

「やっぱり、そうですよね~明らかに当初予定していた性能と差がありすぎます。イカが大きくなった分、触手も肥大化、それに比例してAMFの範囲も大きくなったと考えられますね~」

 

「冷静に状況を分析しているところ悪いけど、AMFだけでも厄介なのに、フェイトにケガさせないよう助けるとか、高難易度すぎるんだが、早めに助言プリーズ!」と叫んでいる彼の言葉を拾うものは誰もいない。

 

一志達が問答を繰り広げている間にもイカはフェイトの服を溶かしきり、イカの目の上になぜか付いている水晶球のようなところにフェイトは入れられご丁寧にその場所にもAMF完備という万全の対策をしているのであった。

 

 

「くそ、今のままじゃ、じり貧だな。インストールしてでもAMFは突破しないと、フェイト救出どころか俺まで餌食になりかねないな。ここらでバシッといきますよ!やっておしまいリニスさん!」

 

「熱血しているところ申し訳ありません。一志さん、それはない思います。イカはフェイト様一直線でしたし、一志さんも狙えたはずなのにスルーですから。それは察して下さい」

 

「女子限定とかいうことか!!あの触手は女子限定なのか、サファイアさん!?

気付いていたさ。明らかにフェイトまっしぐらだったと思ったさ。ちくしょう。

俺の純情を弄びやがって。許さん! もうこれはブッパしかない! リニスさん。問答無用でやっておしまいなさい!」

 

「一志、勝手に盛り上がるのはいいですが、具体的にどうするのです? 今のところフェイトを傷つけずに救出する手段が無いから手をこまねいているわけですよ」

 

「ふっふっふっ、こんなこともあろうかと!! 日夜練習に練習を重ねたあのフォーメーションでいくぞ!」

 

「まだ調整も不安定なフォーメーションですか……。たしかに対策としては有効な手ですね。

しかし、一志の提案を吞んだとしても未完成なものではフェイトがケガをしたり最悪命の危険に晒す可能性すらあります。魔力調整ができるようになっていない今の一志とフォーメーションは少し一志でいうところの高難易度すぎるものではないですか?それに一志自身も自分の魔力調整が出来ずケガですまない可能性もあるのですよ」

 

「と優しい口調でリニスさんが諭してくれても、考えるのが得意じゃないアホマスターは大丈夫とかいうのでしょうけどね~」と小声でルビーが呟いたタイミグで、

 

「それでも今はそのフォーメーションで行こう!それに、俺はどっちかと言うと実践派。やってみれば、案外大丈夫!」

 

根拠のない自信が子供たる所以ですよね~。

しかし、きっと一志さんには甘々なリニスさんですから、おそらく試すことになるのでしょうね~。

 

「はぁ~たしかに、一志さんは実践で成長していくタイプですしね~。悪い案ではないですが、あまり試していないフォーメーションに頼らず、今後は切り抜けたいものですね~。今回は緊急ということで仕方ないですね~。一志さんの魔力の微調整は私がやります」

 

「リニス様も姉さんも一志さんに甘いですが、フェイト様を助けるためには仕方ありません。AMFの中和は私が担当します」

 

デカくなった分だけ、細かい移動で擬態を用いれなくなっているな。

小さいほうがまだ、擬態とのコンビがマッチしていたが、デカくて移動も遅ければ、追いつける。

 

イカの動く先に一志が回り込み、後からリニスがイカを挟む。

 

「いくぜクラスカード、セイバーインストール!これが、本家本元R&K近距離サンドイッチフォーメーション」

 

「そのネーミングは後で変更を要請します。ライトニングアクセル全開」

 

「ほんと話していないときは可愛い顔だから許せるんですけどね~。今回は人助けですからね。特別ですよ~ユニゾンイン!カレイドルビーですよ~」

 

「AMF中和フィールド展開します」

 

リニスが光剣をだし、一志はエクスカリバーを構える

 

「「一撃必倒!ダブルエクスカリバー!!!」」

 

 

 

 

その後、イカからフェイトを助けることはできたが、全員がべとべとになったため、イカが誕生した湖に戻って全員で水浴びをした。顛末はルビー達から説明されたが、まさかジュエルシードがピンポイントで湖にあるとは思っていなかったようだ。

たまたまだったと言っているが、明らかに動揺しているあたり、寸前で気が付いていたが、面白そうだからとりあえず試した可能性が高いとみている。さすがに魔力探知していなかったとかないだろうし……。

 

フェイトはリニスの膝枕でぐっすり寝ている。

ぬるぬるのなかもがいてAMFを切り抜けようと頑張っていたから疲れたんだろう。

ただ膝枕する担当を後でリニスに代わってくれと頼もう。

決してエロい意味じゃない。

誠心誠意を見せてたら、俺にもフェイトを膝枕する権利がもらえるかもしれない。

ともかく、無事ジュエルシードを回収はできた。

まだまだ先は長いが、なんとか回収してアリシアのリンカーコアをまず作れるようにしないとな。

 

 

 

 

 



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