堕天の王 (危機一発)
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0話

初投稿です!
最初は三人称視点です。最後に主人公視点があります。


「ねぇ!玄界(ミデン)っていう星聞いたことある?」

 

 数多の星が存在する世界、近界(ネイバーフッド)のある国で一人の少女が突然話し始めた。

 

「その国では、この世界と違って一つの大きな惑星にとてもたくさん国があるんだよ!」

 

とても興奮してその話をとても楽しそうに話す少女のそばにいた大柄な男がその少女の話をとても興味深そうに聞いていた。

 

「へぇー、だがそんなひとつの星にそんな国があっちゃ戦争が絶えねぇだろうなぁ」

 

男が興味深そうにそれで少し嫌なことを思い出したようで顔を顰めた。

 

「それがね、そうでもなくて国同士の争いがないんだよ!」

 

その少女の争いがないという言葉に少女の向かいに座っていた赤い髪の女性が反応する。

 

「そんなわけないだろう。どの世界だろうと戦争が、争いがない世界なんてないさ」

 

彼女の厳しく、そして優しく諭すような言葉に隣に座っていた同じ赤い髪の男の子が喋る。

 

「そうだよ。世界っいうのはそんなに優しい世界じゃないんだ」

 

その二人の言葉に少女は拗ねたように言う。

 

「ほんとのことだもん。」

 

その話に今まで聞いているだけだった少し気だるそうな青年が喋る。

 

「でも、そんなに平和な世界だってんなら行ってみてぇよな~」

 

その青年の言葉にその隣に座っていた二人の男女が反応する。

 

「そうね。平和な世界ってやっぱり憧れるわね」

「そうだな。そんな世界一度でいいから行ってみたいものだ」

 

そんな二人の真正面に座っていた顔や身長が瓜二つのふたりの少女も同意した。

 

「そんなに平和な世界ならきっと住めたら幸せだろうな~」

「幸せだよね~」

 

そんなふたりの近くに座っていた寡黙そうな青年も言った。

 

「・・・そうだな。行ってみたいな」

 

静かに、でも少しだけ嬉しそうに言った。そのみんなの言葉に少女は

 

「そうだよね!行ってみたいよね~」

 

とても嬉しそうに話していた。そして

 

「ねぇ、二人はどう思う?」

 

自分の右隣にいた黄金の髪を持つ少年と白銀の髪を持つ少女に聞いた。

 

「そうだね。そんな素晴らしい世界、一度でいいから見てみたいね」

「そうね。こんな国を出て行ってみたいわね。」

 

みんな思っていた。そんな世界に行ってみたいと。この地獄のような日々から抜け出して幸せな日々を過ごしたいと。そんな時一人の青年が看守と思われる二人の男達に引きずられて自分達のいる牢屋に投げ込まれた。体が血まみれの状態で

そんな青年にみんなが血相を変えて駆け付けた。

 

「悠!しっかりして!」

「布だ!なんでもいい!布をくれ!」

「すぐ持ってくる!」

「クソ!今日は一段とひどいぞ!」

「お願い!急いで!」

「悠!悠!」

 

 

 

「・・・んっ」

 

悠、そう呼ばれた青年はしばらくしてから目を覚ました。目を覚ました彼にみんなが駆け寄った。そんなみんなを見て彼は起き上がろうとした

 

「悠、まだ起き上がっちゃだめだよ」

「まだ安静にしていなさい」

 

金髪の少年とこの中で一番年上と思われる女性にそう言われた。

 

「ありがとう。だが大丈夫だ。もう傷も癒えた」

 

そう言ったがみんな納得はしなかった。

 

「だめだよ!何回も言うけどそんなに早く起き上がっちゃ傷がまた開いちゃうよ!」

「うん。まだ起き上がっちゃダメ」

「絶対ダメ」

 

そうみんなに言われて彼も観念した。起き上がりはしなかったが上半身だけ起こした。

 

「・・・わかった。みんなすまない。心配かけたな」

「何度も言うが、おまえが傷つくと俺たちも辛い。おまえ一人が責任を負う必要はないんだ」

「俺らの失態をおまえ一人に負わせられねぇんだ」

 

「・・・お前たちの言う失態は失態のうちに入らない。あいつらの暇つぶしだ。そんなに気負う必要はない」

「でもっ!」

 

「それに俺はお前たちを率いているってことになってる。奴らには目障りなんだろう」

 

その言葉に全員がとても悔しそうに顔をした。そんなみんなを見て彼は困ったように笑った。

 

「それより、何か面白い話はないか。あったら聞かせてくれ」

 

その言葉に今までの悲しみを一回忘れてみんなでさっきの話を彼に聞かせた。そしたら彼は

 

「そうか、そんな世界がこの世にはあるんだな」

 

その言葉にみんなが一気に笑顔になった。そして彼はとんでもないことを言い出した。

 

 

「いつか全員で玄界(ミデン)にいこう」

 

 

その言葉にみんなが驚愕した。そんなこと出来るわけがない、不可能だと。

だが、こうも思った。彼についていけばいつかいけるのではないかと。この地獄を抜けて本当の幸せを手にできるのではないかと。

 

「いつか玄界(ミデン)に行き全員で暮らそう。戦争もなく毎日を幸せに過ごせるように」

 

その言葉にみんなが自分の玄界(ミデン)に行ったら何がしたいかというのを言い合った。みんなで玄界(ミデン)に行くという大きな希望を抱いて

 

 

 

 

「全員!固まるな!動け!ハチの巣にされるぞ!」

 

今、彼らがいる国奴隷国家ディリスは敵対国家から攻撃を受けている。敵は基本的にトリオン兵を使い攻撃を仕掛けてくる。そしてその中にトリガー使いを数人送り込んでくる。だがこちらは

 

「きゃあ!」

「!?負傷している者はすぐに下がらせろ!」

 

こちらはその名の通り奴隷だ。自分たち奴隷兵士として他も星から連れ去られてきてこうして戦場に駆り出される。しかも

 

「っがは!」

「決して深追いするな!下がれ!」

 

彼らにトリオン体のあるトリガーは渡されていない。トリオン体が形成できるトリガーはこの国では希少のため奴隷に渡されたのはトリオンのブレードだけなのである。

 

「何をしている!このゴミども!死ぬまで戦え!」

「っクソ!」

 

そしてこの国の上の人間にとって奴隷などただの捨て駒に過ぎないのである。

 

「悠!まずい、このままでは押し負ける!」

 

その仲間の言葉に彼は決意する。

 

「俺がこのまま駆け抜けて敵の指揮官を殺す。お前たちはできる限り無茶はせず戦ってくれ」

「!?正気か!いくらお前でも死ぬぞ!」

 

目の前には千を遥かに超えるトリオン兵がいる。いくら彼でも無謀だ。だが

 

「だが、そうでもしないと奴らには勝てない。やるしかない」

 

その彼の覚悟にうなずくしかなかった。

 

「・・・わかった。だが、死んだら承知しないぞ!」

「あぁ、必ず戻る!」

 

そうして彼はトリオン兵の中を駆け抜けた。およそ生身とは思えないほどの速さと身軽さで。

彼は目の前にいる二体のモールモッドが自分に反応するよりも早く二体を切り裂いた。そこに追い打ちをかけるようにもう一体のモールモッドの攻撃をかわし一刀両断にした。そして進んでかわしては切りまた進んだ。敵の指揮官の下にいっこくも早く着くために。

 

(あいつらは大丈夫か。いや絶対に大丈夫だ。信じろ)

 

そんなとき目の前に一人のトリガー使いが立ちふさがった。彼は直感した。

 

「・・・(ブラック)トリガーか」

 

何回か見たことはある圧倒的なまでのトリオン量と性能、まさに最終兵器

 

(流石にまずいな。(ブラック)トリガー相手じゃいくら俺でも勝ち目はない。まさか投入してくるとはな)

 

勝ち目のない相手、だが

 

「ここで引く理由にはならない。悪いがそこを通らせてもらうぞ」

 

 

 

「もうやめておけ。死ぬぞ」

 

彼はもう限界に近かった。体中傷だらけでもはや立っているのも辛い状況だ。そんな彼に敵の(ブラック)トリガー使いは言った。だが

 

「余計なお世話だ。何故わざわざそんなことを言う」

 

そういうと相手は

 

「・・・俺たちは、お前たちを殺しに来たんじゃない。あの国を壊しに来たんだ。あの国の醜さはお前たちが一番よく知っているはずだ。こちらに来い、もうあんな国にいる必要はない」

「そして俺たちはまた戦場に駆り出されるのか」

「お前たちの戦闘能力はとても素晴らしいものだ。それをあんな国のために使う必要なんてない。こちらに来ればちゃんとトリオン体のトリガーを支給しそれなりの地位も与えられる。もう一度言う、こちらに来い」

 

彼は、言った

 

「あいつらの中には俺よりも幼い奴がいる。」

「・・・・・・」

「俺たちが素晴らしい戦闘能力をもっている。そう言ったな。そうじゃない。みんなそうならざるをえなかった。毎日毎日戦った。この国に来てから戦わない日はなかった。もう俺たちはうんざりなんだ。俺たちは必ずこの国を出る。そして必ず玄界に行く。そう決めたんだ」

 

その言葉に敵は

 

「・・・そうか。だがこちらにもなさねばならないことがある。悪いが通すわけにはいかない」

 

決して譲らない二人。二人が駆けトリガーがぶつかる瞬間、それは起きた。

突然後ろにまぶしい光が現れたそしてその光は、ちょうどみんなが戦っているところに落ち、大爆発を起こした。

 

「!?おまえらーーーーー!」

 

そう。こちらの国が自分の国の奴隷もろとも今まで貯めていたトリオンの爆弾で吹き飛ばしたのだ。彼は目の前の敵に見向きもせず背を向け今自分が出せる全速力で戻っていった。そして戻れば

 

「!!」

 

自分仲間たちがあまりにも多い傷を負って倒れていた。彼はすぐに自分の仲間たちを連れてすぐ近くにある森の中に連れて行った。そして彼は急いで手当をしようとした。

 

「お前らしっかりしろ!大丈夫だ!まだ生き残れる!」

「・・・いや、もういいよ」

 

だが、彼らは拒んだ。

 

「!?何言ってんだ!諦めるな!」

「・・・ううん、もういいよ」

 

全員もう自分が助からないことは理解していた。

 

「悠、最後に一つ頼みを聞いてくれないか」

「!?縁起でもないこと言うな!」

 

そして仲間の金髪の少年は話した。

 

「僕たちを玄界に連れて行ってくれないか」

「・・・・は?」

 

彼は突然言われたことに驚いた。なぜならそれはあの日自分が約束したこと何故か今言われたからだ。

 

「そんなの当り前だろう!だからお前たちの手当てをっ!」

「・・・僕たちはもう助からない。だからせめて僕たちが死んだあと僕たちを連れて行ってほしい」

「なっ何を!]

 

そしてそこにいたみんなが自分のトリガーを持ち何かし始めた。突然トリガーと彼らが光りだした。なにをしようとしているのか理解してしまった。

 

「!?お前らまさか(ブラック)トリガーを!」

「僕たちは一人一人のトリオン量は少ないけど全員合わせれば何とかいけると思ったんだ」

 

そのみんなの行動は本気というのが伝わってくる。だが

 

「・・・・・ふざけるな!!」

 

彼は認めなかった。いや認められなかった。

 

「お前らは玄界に行くと言ってただろう!」

 

彼は双子の少女と活発な少女に

 

「お前たちは学校に行ってみたいと言ってただろう!友達を作りたいと!」

 

年上の二人の男女に

 

「玄界に行って幸せになると言ってただろう!」

 

気だるそうな青年に

 

「自分の家を持ってずっと寝ていたいと!」

 

赤い髪の姉弟に

 

「二人でゆっくりしていたいと!」

 

寡黙な青年に

 

「一日中本を読んでいたいって言っていただろう!」

 

大柄な男に

 

「普通の仕事をしてみたいと!」

 

そして黄金の髪の少年と白銀の髪の少女に

 

「もっと世界を見てみたいといっていただろう」

 

全員が思った彼は本当に自分たちの王なんだと。彼だからこそ託せられるのだと。

 

「ありがとう。そんなおまえだからこそ託せられる。俺たちのすべてを」

 

「「「「「「「「「「「「本当にありがとう」」」」」」」」」」」」

 

 

そしてとてつもない眩さ包まれ残ったのは彼ひとりと、彼の手の中にある黒と銀の指輪だけだった。

彼はひとりしばらく呆然としていたがしばらくして立ち戦場に戻っていった。

 

 

 

戦場では敵国が今にもディリスに攻めようとしていた。その時彼が戦場に戻ってきた。

 

「!?あいつは・・・」

 

そして彼は向かいあった。

 

「ふん!ようやく!もどってき」

 

自分の通信機から耳障りな声がしたので通信機を取り壊した。そして仲間の、友の形見のブラックトリガーを取り出し

 

「・・・・・トリガー・オン」

 

トリガーを起動した。

 

「!?」

 

途端敵国の(ブラック)トリガー使いはとてつもない悪寒を感じ臨戦態勢をとった。目の前に現れたのは黒銀の鎧のようなものに赤い布を腰に付けた禍々しくも美しい姿だった。だが攻撃してくる様子はなかった。そして

 

「・・・お前たちとやりあうつもりはない」

「・・・・・・」

「お前たちは言っていたな。この国を壊しに来たと」

「あぁ、そうだ」

「この国は俺が滅ぼす。お前たちは自分の国に帰れ」

「お前一人でか?」

「この国にはもう俺の大切な仲間も誰もいない。全員死んだんだ。もういい」

 

(ブラック)トリガー使いは少し悩んだ。だが

 

「・・・わかった。俺たちは引こう。あとは任せたぞ」

「・・・言われるまでもない」

 

相手は引いていった。そして完全に引いたのを確認したら彼は立ち今まで過ごした忌まわしい国を見つめた。そして

 

「・・・もう、終わらせる」

 

そして大虐殺が始まった。女も子供も関係ない彼はすべて殺した。トリガー使いもすべて。そして

 

「やっやめろ!来るな!こんなことしてどうなるかわかっ!」

 

ディリスの王であった人間を追い詰めた。彼らの周りにはいくつもの死体が転がっていた。奴がなにかを言い終わる前に彼は手に持っている黄金に輝く剣で奴の両手を切り落とした。

 

「・・・答えろ。この国の(マザー)トリガーはどこにある」

「ちっ地下だ!この城の地下にある」

「・・・そうか」

「たっ頼む!たすけ!」

 

奴の首を落とし地下に向かう。そこにはとても巨大なトリオンキューブがあった。

 

「・・・これで、終わる」

 

彼はそのトリオンキューブに自分の剣を突き立てた。その瞬間この国が、いやこの星が揺れ始めた。彼は予め見つけておいた遠征用の船で一人脱出した。

彼の心にはこの世界に対する恨みがあった。だがそれ以上にもう疲れたという気持ちと玄界に行きたい。こいつらと一緒に行きたいという希望と一緒に。

 

「・・・行こう。玄界(ミデン)に」

 

 

 



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オリ主設定

今回はオリ主の設定です。


オリジナル主人公

 

【悠(苗字不明)】

 

年齢 (おそらく)15歳

身長 181cm

誕生日 不明

血液型 不明

星座 不明

職業 不明

好きなもの 仲間たち

家族 父 母(死去)

 

 

子供の頃はある国に住んでいて両親とごく普通の一般的に言えば幸せな暮らしをしていたがある日を境にその生活が一変した。

彼が6歳のとき突然彼の住んでいた家の近くにバムスターが現れ近くの人間を襲い始めた。そしてそのとき彼は両親と一緒に買い物に行っていたのだがその帰り道にバムスターに遭遇し彼らは襲われたが両親がこのままでは逃げられないと悟ったのか悠一人だけ逃がそうとした。

 

そのとき悠は目の前でバムスター踏みつぶされた両親を見てしまった。そして目の前で両親が死んで呆然とした状態の悠をそのバムスターは回収して自分の国に帰っていった。

そのさらわれた国の名前が奴隷国家ディリスと呼ばれる国であった。その国は近辺国家からも嫌に思われるほど残酷な国だった。ディリスにさらわれた悠がまずされたのはディリスの国の所属奴隷ということを示す烙印を押されることであった。熱した鉄の印を背中に押された彼は悶絶した。

 

その次に行われたのは彼のトリオン量をは測ることであった。ディリスの研究員が測ったところ驚くべきことがわかった。悠には無いにひとしいといえるほどトリオン量がなかった。バムスターは基本的に高いトリオン量の人間を連れてくることが多いのだがこんなにもトリオン量が少ない人間は研究員達もはじめてみた。そしてそれと同時に悠を嘲笑った。あまりにもトリオン量が無い悠を出来損ないとして彼らは馬鹿にした。このままいても邪魔なだけなのだが使えるだけ使って機能しなくなったら捨ててやろうということにして他の奴隷にも渡しているトリオン体のないトリオンのブレードだけのトリガーを使わせ戦場に行かせる奴隷兵士にした。

 

彼は最初から戦場に出しても死ぬだけなので最初の1年は国の中で毎日地獄のように訓練という名の拷問を受けていた。その時彼は一度崩れそうになったが自分と同じくらいの年だろう二人の少年と少女にあった。彼はその二人に励まされ元気つけられその1年という長い拷問を耐え抜いた。そしてそれと同時に自分のわかりたくない才能に築いてしまった。

 

彼はそのあとの戦場に駆り出されその才能を明確に理解した。自分の戦闘に特化しすぎた才能に。そして彼の頭脳も他の者たちとレベルが違っていた。その頭脳に研究員達も目を付けていた。戦場ではそのあまりに人間離れしたその戦闘力を。研究員達にはそのあまりにずば抜けた頭脳を。彼はそのあといろんな人間とであった。訓練時代に会った金髪の少年と銀髪の少女に会い、このような地獄でそんなもの気にしないとでもいうような活発でいつも笑顔な少女、自分の嫌な過去と向き合いながら毎日戦い続ける大柄な男、おそらく一緒に連れてこられたであろう鮮やかな紅い髪の姉弟、自分よりも幼いであろう双子の姉妹、この中でおそらく一番年上と思わしき二人の男女、気だるそうだがその眼の中に何か確かな意志のある青年、寡黙だがとても優しい青年、悠はこんな地獄の中で彼らがいたおかげで頑張れてこれた。悠は彼らを仲間と呼ぶと同時に”友”と呼んだ。

 

そうして彼らはおよそ10年間毎日戦い続けた。毎日死と隣り合わせの戦いを彼らとしてきた。時にはぶつかる事もあったが彼らの絆は決して切れることはなかった。そして彼らはみんなで玄界に行くという約束をした。

その数日後に近辺国家の連合軍がディリスに仕掛けてきた。その戦いは今までの戦いとは比べ物にならないほどの戦力を投入してきた。そして仲間たちが傷ついていくのをみて悠は一刻も早く終わらせるために敵のトリオン兵があふれていく中を蹴散らしながら進んで敵の指揮官を殺しに行ったがその途中で敵が投入してきたブラックトリガー使いに遭遇して戦うしかなくなったが悠でもトリオン体のない生身でブラックトリガー使いと戦うのは無謀というものだった。ボロボロになった悠だがここでひいては仲間たち危険が及ぶかもしれないのでそのまま戦うことを選び戦おうとした矢先それは起こった。ディリスの国が貯めていたトリオンを爆弾として戦場に放った。その付近にいた仲間たちを巻き込んで。彼はすぐに戻り仲間たちの元に戻った。みんな瀕死の状態でこのまま戦場にいては危険なのですぐ近くの森に入った。その中で彼はすぐに応急処置を行おうとしたが仲間たちがそれを拒否した。もう自分たちはダメだと手遅れだと気づいていた。彼はそんな彼らに今まで貯めこんでいた自分の本当の気持ちをはきだした。そんな彼を見てみんな思った。悠は誰よりも強くて、本当は誰よりも弱いのだと。そして誰よりも自分たちのことを想ってくれていたのだと。そんな彼だから自分たちは付いていったんだと。彼は自分たちの王なのだと。こんな彼だから自分たちのすべてを任せられる。そうして感謝し彼らは死んだ後も彼を支えられるようにブラックトリガーとなった。

そして彼はブラックトリガーとなった彼らを抱きしめ涙を流した。彼はそのまま戦場に戻りすべてを終わらせた。そしてディリスの遠征艇を盗み玄界に行くことにした。

 

 

パラメーター【黒トリガー装備時】

トリオン 62

攻撃 27

防御・援護 16

機動 13

技術 8

射程 13

指揮 5

特殊戦術 4

トータル 148

 

 

黒トリガー

 

堕天の王(ルシファー)

彼の12人の仲間たちの命によって作られた黒トリガー

起動すると体を黒銀の鎧のようなもので身を包み腰に赤い布を巻いている。(参考、グラブルの復活したルシファー)

まだ分かっていることは何もなくほとんどすべてが謎に包まれている。




今回はこの話の主人公の設定を書きました。
こんな感じのキャラクターいればいいなという妄想をそのまま書いてみました。


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玄界来訪編
1話


今回から原作に入っていきます。


三門市

人口28万人

 

ある日この街に異世界からの門が開いた

 

近界民(ネイバー)」後にそう呼ばれる異次元からの侵略者が(ゲート)付近の地域を蹂躙、街は恐怖に包まれた。

 

こちらの世界とは異なる技術を持つ近界民(ネイバー)には地球上の兵器は効果が薄く、誰もが都市の壊滅は時間の問題と思いはじめた。その時

 

突如現れた謎の一団が近界民(ネイバー)を撃退しこう言った

 

「こいつらのことは任せてほしい」

「我々はこの日のためにずっと備えてきた」

 

近界民(ネイバー)の技術を独自に研究し「こちら側」の世界を守るため戦う組織

 

 

界境防衛機関『ボーダー』

 

彼らはわずかな期間で巨大な基地を作り上げ、近界民(ネイバー)に対する防衛体制を整えた

 

それから4年、門は依然開いているにも拘わらず三門市を出て行く人間は驚くほど少なく、ボーダーへの信頼に因るものか多くの住人は時折届いてくる爆音や閃光に慣れてしまっていた....

 

わいわい..がやがや..

 

「昨日の戦闘望遠で撮った」

「うおお!近界民(ネイバー)でけー!」

 

「先輩の彼氏ボーダーにスカウトされたらしいよ」

「えーほんと!?すごーい!」

 

「あー俺もボーダー入りてーな!」「トリガーオン!」

「にあわねぇ~~~~~!」

「絶望的」

 

そんな一般的なよくある学校の風景があった。その中に

 

「・・・・・・」

 

一人の眼鏡をかけた少年が静かに自分の座席に座っていた。その時

 

ボスッ「!」

 

「ぶははは!パス失敗」

「あんくらい取れよおまえ」

 

教室のうしろの方で三人のガラの悪い少年達が一人の気弱そうな少年の筆箱で遊んでいた

 

「かえしてよ~~~~~」

 

少年は必死に取り返そうとするが相手が三人がかりで取り返せない

 

「おいメガネそれこっちよこせ」

 

その三人のなかでリーダーっぽい少年が眼鏡をかけた少年に言った

 

「・・・・・・」

 

少年の手には今飛んできた彼の筆箱があった。彼は立ち上がりすぐ後ろにいる三人のうちの一人の横を素通りして気弱そうな少年に筆箱を返した

 

「お?」

「あ、ありがと...」

 

彼はお礼を言って立ち去ったが後ろにいた二人から白い目で見られた。

 

「かっこいー」ヒュー

「マジかこいつ超冷めるわ」

 

「・・・・・」

 

そんなことが起きているときも教室内は騒々しい

 

「先生来ないんだけど」

「転校生の相手してるんじゃない?」

「あー」

 

そんな言葉が突然聞こえてきた

 

「めずらしいよな。三門に転校してくるって」

「転校していくならわかるけどな」

 

「しかも転校生二人らしいぜ」

「マジ!どういうことだ?」

「もしかしてボーダー関係者だったりして」

 

そんな話が飛び交ってる中、眼鏡の少年【三雲 修】はある単語に反応した

 

ピクッ修「ボーダー関係者・・・・!?」

 

 

 

そんなある中学校でいろいろ噂が飛び交っている頃その付近の道路で

 

ピーポー ピーポー

 

「本当に平気?体、どこもおかしくない?」

 

事故が起きていた

 

「うん、へーき。」

「遊真、気を付けろと言っただろう」

「ごめん悠、いそいでたから」

 

一人の少年が車に引かれていた....はずだった

 

「いや、だってきみ思いっきり撥ねられてたよ・・・・・?」

 

その場に居合わせた警察官も驚いていた。なぜなら

 

「だいじょうぶだって、ケガなんかしてないって」

「大丈夫だ、こいつはこう見えて結構頑丈なんだ」

「こう見えてってどういう意味だ」

「そのままの意味だが」

 

引かれた少年とその近くにいた保護者らしき青年はこのような場でも緊張感のない話をしていた

 

「そっちこそいいの?クルマへこんだけど」

「すまない。必ず弁償しよう」

「いやいやいや!キミが無事ならいいんだ!キミが無事なら!」

 

少年を撥ねてしまった男性も気が動転してるのかとても焦っていた

 

「一応書類作るから、名前と住所を教えてもらえるかな?一緒にいたあなたの名前も」

 

そういわれて嫌でも目についてしまう白髪に近くの中学校の制服を着ているが小柄で小学生に見える少年と反対に同じ制服を着ているが背が180をおそらく超えていて左の頬のところに斜めの傷、そして黒髪に蒼の瞳をもったこれまた特徴的な目の鋭い青年の名前を聞いた

 

「空閑 遊真、クガ・ユーマだ」

「空閑 悠」

 

その二人の名前を聞いて

 

「ああ、二人は兄弟かい?」

 

そう聞いた。その言葉に

 

悠「...ああ。そんな感じだ」

 

黒髪の青年が答えた。次に警察官は住所を聞いた

 

遊真「住所・・・・住所はえーと・・・」

 

白髪の少年が思い出そうとしているのか考えていると彼の服の中から黒い何かが出てきたが、その前に

 

悠「三門市麓台町8-5-1だ」

 

黒髪の青年が言ってくれた

 

悠 side

 

危なかった。その一言だった。

 

遊真「いやー、日本も意外とキケンだなー」

 

そんなことをいっていた。

 

悠「おまえはもう少し周りを見た方がいいぞ」

【悠の言う通りだ。生身だったら損傷していたのはユーマのほうだったろう】

 

遊真の服の中から黒い小さなトリオン兵がでてきた。遊真のお目付け役または保護者のレプリカだ

 

遊真「事故ったのはレプリカと悠が急がせるからじゃん」

悠「急がせる理由を作ったのは遊真だろう」

レプリカ【すでに25分の遅刻だ、急いだほうがいい】

遊真「うお やべ。トリガー使っていい?」

レプリカ【それを決めるのは私ではない。ユーマ自身だ】

遊真「・・・じゃあ、やめとこ」

悠「その方がいいだろう」

 

そう雑談しながらも俺たちはその足を一切緩めなかった

 

遊真「先に『基地』を見に行ったのは失敗だったなー。『学校』のあとにすればよかった」

悠「そうか?俺は先に見て正解だったと思うぞ。...いろいろ知りたいことも知れたしな」

遊真「...そっか」

 

そして俺たちは『学校』に着いた

 

悠「俺は先にここの先生に謝ってくる。お前は待っていてくれ」

遊真「俺も行かなくていいのか?」

悠「いや、大丈夫だろう。すこし行ってくる」

 

 

そして学校の職員室では

 

「保護者にも連絡がつかんのかね?」

「はい...」

「まったく、初日から遅刻とは...」

 

二人の教師が顔を悩ませていた

 

「受験を控えたこの時期に転校してくるだけでも面倒なのに、非常識な家だ!」

 

そう男性教師が悪態をついていると

 

悠「...すまない、少しいいか」

 

突然、職員室の扉が開き黒髪の青年が入ってきた。その声に男性教師はやっと来たのかと苛立ちと非常識さに叱ろうと扉のほうを向いた

 

「!?ようやく来たのか!いったい初日から遅刻とはどういうことだ!しかもなんだその言葉つかっ!?」

「!?」

 

男性教師と彼と話していた女性教師は彼の方をみて驚愕した。彼はあまりにも中学生には見えなかった。180はあろう身長に彼の左頬についた斜めの傷、中学生にしては大人びていた。

 

「っ!キミが今日の転校生か、もう一人いるはずだが」

悠「今弟は扉の向こうで待っている。今回は遅れてすまない」

 

悠なりの精一杯の謝罪だった

 

「うちの学校に入るのならまずその言葉使いをどうにかしろ!いままでは海外で暮らしていたようだから今回は見逃すが次からは気を付けろ」

「出来る限り頑張ろう」

 

そうは言うが口調を直さない悠に男性教師は青筋を立てた。そして

 

「それと遅れるのならお前達から保護者に連絡するよう言わないか!」

 

そう言ったがその言葉を使ったことを後悔した

 

 

悠「いや、俺たちに両親はいない。俺と遊真だけだ」

 

 

その言葉を聞いてその場にいた全員が冷や水を被ったような気分になった

 

「....すまない」

「いや、べつに構わない。もう俺たちも慣れてる」

 

そんな中学生くらいの青年が言うにはあまりに重い言葉にみんなの顔が沈んだ

 

悠「今遊真を連れてこよう」

 

そういって悠は後ろの扉を開けた。だがそこには誰も居なく悠は静かにため息をついた

 

遊真「おおー・・・・」

 

その頃遊真教室を見て回っていた。

 

遊真「ほんとにみんな同じ服着てるぞ・・・・流行ってんのか?」

レプリカ【よかったのか。悠は待っていろと言っていたぞ】

遊真「扉の前でとは言ってなかったぞ。それにレプリカもいいっていってじゃん」

 

そう言ってもう一度教室内を見た

 

レプリカ【管理者側が服装を指定しているようだ。おそらくは所属機関を明確にするためだろう】

遊真「なるほど礼式兵装みたいなもんか」

 

そうこうしていると

 

「・・・・きみどこのクラスの子?」

 

教室の中にいた先生に見つかり急いで立ち去ろうとすれば

 

悠「...遊真、待っていろと言ったはずだぞ」

 

呆れた様子の悠が近づいてきた

 

 

修 side

 

先生が連れてきた二人の転校生はとても不思議な二人だった

 

遊真「空閑 遊真です!背は低いですが15歳です!」

 

一人は背が小学生なんじゃないかと思うほど低く何よりも髪が白く赤い眼をした少年だった。そしてもう一人が

 

悠「空閑 悠だ。この国のことはあんまりわからないがよろしく頼む」

 

背はさっきの少年とは逆に180あるんじゃないかというほど高く左の頬に大きな傷があり黒髪だが眼に色は蒼の冷静なとても大人びた少年というより青年だった。

 

遊真「遅れて申し訳ない!」

悠「遅れてすまない」

「空閑君たちは最近まで海外に住んでいて日本に住むのは初めてだそうなのでみんなで助けてあげましょう」

 

うちの担任の先生がそう言った。周りではいろんな言葉が飛び交っている

 

「外国人?」

「帰国子女ってやつでしょ」

「ちっさいほうかみ白いなぁ」

「あの背高い人ちょっと怖いけどかっこいい!」

 

みんなそれぞれの憶測なんかを小声で喋っていると後ろからヒソヒソと小声が聞こえて

 

「センセー!そのちっこいやつ指輪つけてます!校則違反じゃないんスかあー?」

 

「指輪・・・?」

 

そう聞こえて白髪の転校生の左手を見ると人差し指に黒い指輪をつけていた。

 

「あら本当。空閑くんアクセサリはだめなのよ」

遊真「ふむ?」

 

後ろの奴らいかにも楽しそうに笑っているというのが見えてなくても分かる。

 

「はずしなさい。私が預かる。さあ」

 

教頭先生が言うと

 

遊真「えっ・・・・ムリです」

「・・・・は?」

 

教頭先生は一瞬呆然とした。だが

 

「『ムリです』じゃないよ。ほら渡しなさい」

遊真「いやいやいや、ムリムリ、ほんとムリ」

「アクセサリは禁止!校則でそう決まってるんだよ!学校に通う以上は守ってもらう!」

 

その言葉に少年は愕然とした

 

「な!じゃあ学校はあきらめます・・・おじゃましました・・・」

「はあ!?ちょ、待ちなさいキミ・・・!」

 

そんな会話が続いてると隣にいた青年が突然首に手をやり

 

「...付けていなければ問題ないか?」

 

そう言って首にかけていたと思われる紐の通された黒と銀を合わせたような色の指輪を取り出しポケットの中に入れた。

 

「な!?」

 

教頭先生はそんな彼らを見て言葉を失っていた。そこまでして手放したくないものなのだろうと思い僕は言った

 

「先生。何か事情があるんじゃないでしょうか。その指輪を外せない事情が」

 

なにかあるのだろうと思った

 

「事情・・・?」

「三雲くん」

 

「出たこれメガネ」

「マジ男前なんだけどww」

 

僕の言葉を聞いて教頭先生は彼に聞いた

 

「・・・何なのかね?その指輪は」

「・・・親の形見です」

 

その言葉を聞いて

 

「「!?」」

 

うちの担任の先生と教頭先生は驚愕していた

 

「センセー!実はきのうの没収された漫画じいちゃんの形見なんです!」

「先週取り上げられたゲームもそうなんすわー」

「そこ!静かにしろ!」

 

そう言って先生は彼の方を向き

 

「・・・本当か?」

そう言った。みんなびっくりしていた。僕もびっくりした。教頭先生は校則などに特に厳しくしていたはずなのに僕の話を聞いただけで耳を貸していた

 

遊真「本当です」

「・・・そうか」

 

教頭先生は一度何故か隣にいた彼の方を見た。そのとき彼は軽くではあるが会釈をしたように見えた

 

「では、そういうことにしよう。これからクラスのみんなと仲良くするといい」

「じゃあ、この時間は自習!三雲くん二人のことお願いね」

「え?」

 

なんだかよくわからないが任されてしまった

 

遊真「よろしく」

修「・・・よろしく」

 

ちいさい少年、空閑があいさつをしてきた。そして

 

悠「すまない。さっきは助かった、ありがとう」

修「い、いやいいんですよ」

悠「さっきも言ったが空閑 悠だ。遊真と苗字が同じだから俺は悠でいい。あと敬語もいらないぞ」

修「そ、そっか。僕は三雲 修だ。好きなように呼んでくれ。これからよろしく」

悠「ああ、よろしく頼む、修」

 

 

悠side

 

座っているところは後ろから2列目の窓側から修、遊真、俺という順番だ。今の時間は自習という自分で好きなように勉強する時間らしい。正直言ってこの『世界』に来た時この世界についての資料は大体見たからわかるのだがどうしようと悩んでいると

 

ぺしっ ~コロコロ

 

遊真「・・・・・?」

 

なにか軽いものが当たったような音がしそっちを見ると遊真が不思議そうに後ろを見ていた。足元には紙を丸めたものが転がっていた。

 

 

なるほど

 

 

 

修「!?おい・・・・」

遊真「・・・なあ、なにこれ?どういうあれ?」

 

「『なにこれ』だってよ」ぷぷっ

「アイサツだよ。アイサツ」

「日本式歓迎のアイサツ」

 

そんなことを後ろの奴らは言っていた。そいつらに

 

「随分な阿呆がこの国にはいるんだな」

 

思わずそう口が出てしまった

 

「!?なんだとてめぇ!」

 

奴らの真ん中に座っていた奴が何か吠えていたが特に気にするほど価値のあるやつには思えなかった。だから無視した

 

修「おいおまえらやめろ!こんなことして恥ずかしくないのか!ぶっ」

「『ヤメロッ!』『ハズかしくないのかッ』」

「おめーとは会話してねーんだよ」

「おまえが恥ずかしいわ」

 

いわゆるお人好しというやつか修は。あいつらの姿が脳裏に浮かぶ。

 

修「・・・・」

遊真「・・・なるほど、あいさつね」

 

キュッ・・・キュッ・・・ギュッ・・・

 

どれだけ建前を立てようが

 

ビシッ「!?」

 

遊真に嘘は通じない

 

「うおっ!?」

修「!?」 ガラン ガラン

 

「なっ・・・」

「なにしてんだてめー!」

 

遊真「おや?あいさつでは?」

 

まわりにいる他の奴らは笑っていた。それもそうだろう自分からけしかけてやりかえされるなどあまりに滑稽だ。やられた男は立ち上がり遊真に掴みかかった

 

「なめてんのか?クソチビ・・・!」

「つまんないウソつくねオマエ、おれと仲良くなりたいのか?」

「あァ!?」

 

今にも殴りかかりそうな男はこっち矛先を向けた

 

「てめえーもなに白けてんだ!」

 

そう言ってきた。だから

 

悠「それはそうだろう。お前、あまりに滑稽で笑いそうになったぞ」

 

真実を言った

 

「てめえーー!」

 

奴はこっちに殴りかかってきた。いい加減鬱陶しくなってきた

 

 

悠「いい加減、やかましいぞ」

 

 

そう言った。それだけ

 

「「「!?」」」

 

それだけで奴らは後ずさり冷や汗を流しながら尻餅をついた

 

 

 

 

修side

 

修「・・・おまえああいう連中は相手にするなよ」

遊真「ほう?なんで?」

修「やり返したら事が大きくなるだろ。あれだけ恥かかせたら今に仕返しされるぞ」

悠「・・・逆に聞くがお前ならどうする」

修「それは、だから口で注意するとか無視するとか・・・」

遊真「へえー!日本だとそうなのか。いままで言ったどの国でも、やり返さなきゃやられっぱなしなのが当たり前だったけどなー」

修「・・・・・!それは・・・」

 

その時

 

「よう チビ。ちょっと付き合えよ」

「おいデケーおめーもだ」

「イヤでもつれてくけどね」

 

さっきの奴らが立っていた。しかもあいつらに加えてさらに増えてた

 

遊真「ほう・・・・・?いいよ」

悠「好きにしろ」

修(!?ほら見ろ・・・!)

 

「あーおまえはイラネ」

修「!」

「帰ってメガネしまって寝ろ」

 

ここで行かせてしまったらきっと後悔する!

 

修「・・・待て!」

「あ?」

修「空閑と悠を放せ。大人数で報復なんて・・・この僕が許さないぞ」

 

「よっわ!え?マジ?」

「正義の味方よっわ!」

「マジ想像を絶するわ」

 

ボコボコにされていた

 

修「こいつら・・・よってたかって卑怯な・・・!」

遊真「いやー数はケンカの基本でしょ」

悠「・・・何故着いてきたんだ?はっきり言って弱いぞ」

修「・・・・・『弱いぞ』は余計だ!」

 

修「おまえらわかってるのか?この辺りはもう警戒区域・・・・ボーダー以外は立ち入り禁止だ・・・!近界民に襲われたらひとたまりもないぞ!」

 

どかっ

 

修「ガハッ」

「んなこたカンバン見りゃわかんだよ。日本語読めねーとでも思ってんのか?あ?」

「人がいないからいーんだよ。ためしに『タスケテー』って言ってみ?ほれ『タスケテー』

修「ゴホッ、ゲホッ」

 

痛いが我慢はできる

 

「おトモダチがピンチだぞ。助けてやれよほら。」

遊真「助ける?おれが?なんで?」

悠「修が自分から関わってきたことなんだ。自分で終わらせるのが道理だろう」

 

二人はそう言った。周りは笑っているが僕は何となく理解できた。その通りだ

 

ガラン「おい コラ白髪。他人事みてーな事言ってんじゃねーぞ。オレはメガネより・・・てめーにムカついてんだよ!!」

 

リーダーっぽいやつが近くの鉄筋を持ってなんと空閑に襲い掛かった。やめろ、そう僕が言う前に勝負はついた

 

ズドン「・・・・・!?いッ・・・・ッ痛えええあああ!!!」

「!?」

 

「!?てめーー!」

 

もう一人がナイフを手にこちらに突っ込んできた。悠が僕たちの前に立ち

 

悠「・・・・・・・」

「!?」

 

一瞬でナイフを奪い取り持ってたやつが仰向けに倒れそいつの顔のすぐ真横に奪ったナイフを突き立てた

 

遊真「・・・やっとおれの番?それとももしかして・・・・・もうおわり?」

悠「・・・得物をもったって事は殺される覚悟がある・・・・・そういう解釈でいいんだな」

 

周囲に怖気が走った

 

「・・・・・・・・おまえら・・・こいつらをぶっ殺せ!!!」

 

 

ウウーーーーーーーーーーーーー

 

 

「!」

「「「・・・・・!?」」」

 

レプリカ【ユーマ。来るぞ、かなり近い】

悠「・・・随分近くに出たな」

 

【門発生、門発生・・・座標誘導誤差7.66】

 

「近隣の皆様はご注意ください」

 

遊真「おっバムスター」

悠「だな」

修「近界民だ!!逃げろ!!」

 

「おっおいこっち来んぞ!!」

「おわっ・・・おわああああ」

 

遊真「おお ラッキー、あっち行った。逃げようぜメガネくん」

 

「待っ・・・足、足が」バクン

「うわあああ!」

「おい!食われた!」

 

修「・・・・・」

悠「・・・どうした修?」

ダッ

修「僕はあいつらを助ける!空閑と悠は避難しろ!」

遊真「・・・・・へ?」

悠「・・・・・・」

遊真「おいおい!あいつら自業自得じゃん!勝手に立ち入り禁止に入ったからじゃん!」

悠「・・・何故お前が助けに行くんだ?」

 

修「・・・僕がそうするべきだと思ってるからだ!!・・・トリガー・起動(オン)!」

 

キイイイン 僕は起動して大型の近界民に立ち向かった

 

「たっ助けて、助けてーーー!」

 

修「逃げろ!!」

遊真「あいつボーダーだったのか!」

悠「・・・らしいな。だが」

レプリカ【出力が足りていない、あれではバムスターの装甲は破れないぞ】

 

くそっ!このままじゃ!

 

修「うわっ!うぐっ!」

 

悠「・・・俺はああいう馬鹿なお人好し嫌いじゃないな」

遊真「・・・だな!レプリカ、トリガー使っていいか?」

レプリカ【それを決めるのは私ではない。ユーマ自身だ】

悠「・・・俺は行かなくていいか?」

遊真「いいよ。それにもう決めたんだろ。戦わないって」

悠「・・・そうだな」

 

遊真「・・・トリガー・起動(オン)

 

 ドンッ

 

遊真「行くぞレプリカ、『弾』印(バウンド)

レプリカ【心得た】

 

空閑が何か黒い姿でこっちに目にも止まらない速さできた

 

遊真「『強』印(ブースト )二重(ダブル)・・・・・・せーーーのっ!」

 

周囲にボンッという音とともに近界民が粉々になった

 

遊真「よう、平気か?メガネくん」

修「・・・・・!・・・メガネくんじゃない。三雲 修だ」

遊真「そうか、オサムか・・・・おまえトリガー使っても弱いね。かっこつけて飛び出したわりには」

修「ぐ・・・・他の連中は・・・?」

悠「逃がしておいたぞ」

 

いつの間にか悠がこっちまで来ていた

 

悠「遊真、派手にやったな。」

遊真「いやあ、一番早く終わらせられたから」

 

悠が呆れた様子で空閑に言った

 

遊真「おまえって変な奴だな。トリガー使えばあんな連中楽勝だろ」

悠「おそらくそのトリガーの一般人への使用が禁止されてるんだろ」

修「そうだ。それに・・・それは僕のやり方じゃない」

 

僕は空閑のトリガーが気になった

 

修「・・・そのトリガー、お前もボーダーの人間だったんだな」

遊真「いやおれはボーダーじゃないよ。こいつはおれの親父のトリガー、死んだ親の形見。『もし、オレが死んだら日本に行け。オレの知り合いがボーダーっていう組織にいるはずだ』親父はいつもそう言ってた、だからおれは日本に来たんだ」

修「なるほど、親父さんがボーダー関係者だったのか・・・」

遊真「いやいやちがう、ボーダーなのは『親父の知り合い』親父はボーダーとは関係ない」

修「・・・・?」

 

どういう事だ・

 

修「関係ないはずないだろ。トリガーを持てるのはボーダーの人間だけだ」

悠「・・・それは『こちらの世界』の話だろう」

修「はあ?」

 

そして二人はとんでもない事を口にした

 

 

 

遊真「俺たちは(ゲート)の向こうの世界から来たんだ」

悠「こっちの世界のお前らが言う所の『近界民(ネイバー)』というやつだ」

 

 

修「・・・・・・!?なっ・・・・」

 

 

驚きで声が出なかった

 

 

 

 

   

 

 

 




基本的に原作通りにいきたいです。
その原作にオリ主が介入していく話を書けたらと思います。


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2話

 

 

「現着した。大型近界民(ネイバー)の撃破を確認。かなり派手にやってる、どこの部隊の仕業だ?」

【調べるわ。ちょっと待って】

 

現場についてみればいるはずの近界民(ネイバー)は粉々になっていた

 

「すっげーバラバラじゃん。こりゃあA級の誰かだろ」

「・・・だろうな」

【・・・おかしいわね、先着した部隊はいないわ。私たちが一番乗りのはずよ?】

「・・・なに?・・・どういうことだ?じゃあいったい・・・誰がこれを?」

 

 

 

修side

 

修「おい!待て!空閑!悠!お前たちが近界民(ネイバー)ってどういうことだ!?近界民(ネイバー)っていうのは今みたいなのを言うんだろ!」

 

頭がこんがらがってきた。いきなり自分たちは近界民(ネイバー)だという二人にどういうことだと問いただした

 

悠「今、お前達が戦っていたのは『トリオン兵』というあっちの世界で使われる兵隊人形だ」

遊真「(ゲート)の向こうに住んでるのはみんな俺たちみたいな『人間』だよ」

修「なっ!」

 

意味が不明だった。そんなこと聞いたこともない

 

遊真「・・・ホントに知らない?ボーダーなのに?」

修「そんなこと聞いたことないぞ!」

悠「この日本じゃあっちの事はそういう話になってるのか」

遊真「うーむ・・・こりゃ親父の話とだいぶ違うな」

レプリカ【早めに現場を離れて正解だったな】

 

なにやら空閑と悠がちいさい声で話している

 

遊真「・・・よし、わかったオサム。いま言ったこと全部ナシね」

修「・・・・は!?」

 

いきなり訳のわからない事を言い始めた

 

遊真「おれたちは近界民(ネイバー)じゃないよ。すごくニホンジンだよ」

悠「・・・はあ」

修「待て待て待て!!なんだそれ逆にあやしいだろ!」

 

本当に無茶苦茶だ。悠の方はちょっとあきれている

 

悠「・・・もし、本当にわからないなら今の事は忘れた方がいいぞ。それが互いのためだ」

修「!?」

 

あやしすぎる・・・こいつらは一体何者なんだ・・・!?さっきは僕を助けてくれたし悠もすこし怖いが悪いやつにはみえない・・・でも、少なくとも空閑は『トリガー』を・・・近界民(ネイバー)の武器を持っている。ボーダーの一員として目を離すわけにはいかない!・・・そういえば悠はどうなんだ?さっきは空閑が助けてくれたからわかったが悠は『トリガー』を持っているのか?

 

ぐうう~~~

 

突然隣からそんな音が聞こえた、空閑だ

 

遊真「腹がへったな。とりあえずなんか食おうぜ」

修「なんか食おうぜってお前ら日本のお金持ってるのか?」

悠「ああ、持ってるぞ」

 

そう言って空閑と悠がカバンの中からあるものを取り出した

 

遊真「えーと・・・こんな紙切れしかないけど100枚あればなんか買えるだろ」

悠「この紙がこの国では一番高価な金銭らしいぞ」

遊真「えっマジで?こんな紙切れが?」

 

二人は分厚い札束をそのまま取り出した。おそらく二人とも100万は持っているだろう

 

修「・・・!?おい!お前ら早くそれを仕舞え!」

 

こいつら!「日本は初めて」って聞いてはいたけどそこまでなんにも知らないのか・・・!?危なっかしすぎる!

 

修「いいか空閑、悠。人前で金を出すな。無用のトラブルを招くぞ」

悠「すまない。気を付けよう」

遊真「そうなのか?」

修「さっきもやたらざわざわしてただろう」

 

そのとき向かいからガラの悪い二人組の男が近づいてきて空閑にぶつかった

 

どしっ修「!」

遊真「おっごめ・・・」

「うお~~~痛ってえ~~~」

 

そしてやつらはわざとらしく痛がった

 

「やっべ折れたわ足これ。100%おれてるわ」

修「・・・!?」

 

そいつらは金を要求してきた。くそっ、さっきの金を見られてたのか

 

修《空閑!相手にするな!あの程度で折れるわけがない!》

遊真「ふむたしかに」

悠「馬鹿丸出しだな」

 

その時折れたと言っていた男が僕の腹を殴ってきた

 

「オレらが折れてるって言ったら折れてるんだよ。とっとと金出せボケ!」

 

遊真「なるほどね」

 

ズドンという音ともに空閑が言っていた男の足の骨を折った。やりすぎだ!

 

「ナーーーッッッ!!!!痛ってえーーーーー!!!」

悠「ちゃんと折れたな」

遊真「ふむ、ちゃんと折れてる」

修「・・・・!?」

遊真「ほいイシャ料10枚、これでお互い納得だ。な?」

 

その空閑をみて二人は走り去っていった

 

遊真「すべてが丸くおさまった」

修「どこがだ!やりすぎだろ!」

悠「やりすぎ?そいつはおかしいぞ。遊真は奴らの要求通りにした。納得しなければおかしい」

 

やっぱりこいつらどこか違う。こっちの人間とは・・・

 

遊真「さて食べ物を・・・」

修「待て!僕が買ってくる!」

遊真「いいよ。自分のお金で買うよ」

修「いいから僕に任せろ!お前達は日本に慣れてなさすぎる。ここでおとなしくしてろ!目立つなよ!」

悠「・・・少し用を足しに行ってくる」

修「わかった!お前も目立つなよ!」

 

空閑は心配だが悠大丈夫だろう

 

 

 

悠side

 

随分拙い尾行だな。あれで隠れているとでも思っているのか?

さっきから俺たちをつけてきている奴らがいる。用を足しに行くついでにそいつらを俺の方に誘導した。歩いていると工事中の建物の中に入り奴らが出てくるのを待った。そして

 

「ははは!馬鹿なやつだな!自分からこんなとこに入りやがってよ!」

「おい坊主!お前の金、全部よこせよ。そうすりゃあ半殺しで済ませてやるよ!」

「おお!さすがアニキ!やっさしーー!」

 

出てきたのはいかにもガラの悪い男達だった。さっきの二人組がかわいく見える。人数は15人くらいか

 

「おいおい!こいつ何もしゃべんないぜー!」

「もしかしてコワいんでちゅかー!」

「あはは!そんなにいじめんなよ!かわいそうじゃねえかー!」

 

俺はそんなこいつらをつまらないものでも見るような目で見た

 

「・・・てめえ、なんだその目はよ。なめてんのか!」

 

そう言って奴らの一人が掴みかかってきた。ようやくか

 

「・・・・・へ?」

「・・・・は?」

 

俺は掴みかかってきたやつの腕をひねり上げ地面にやつの体をたたき落としボキッという音とともにやつの腕の骨を折った。この国には正当防衛という制度があるらしい

 

「痛ってえーーーーー!!!」

「おい!このくそガキ!」

 

男は無様に地面でのたうちまわった。『腕が折れた程度』でなにを悶絶しているんだと思った。そんな男を見てほかの奴らも全員俺に殴りかかってきた。中にはナイフを持った奴もいる

 

悠「・・・・・」

「くそっ!なんで当たんねえんだよ!」

どいつもこいつも動きが遅く俺にとっては当たるわけもない事だった。ただそろそろ修が飯を買った頃だろうから俺はさっさと終わらせた

 

 

 

 

「ば、化け物ぉ・・・」

「い、いてえよぉ、いてえよぉ」

 

こいつらを黙らせるのに1分もかかってしまった。早く行こう。っとその前に

 

悠「・・・おい」

「!?は、はい!」

悠「今回は見逃そう。・・・だが、次は無いぞ」

 

そう言って俺はその場をあとにした

 

 

 

修side

 

買いに行って戻ってきてもまだ悠が戻ってきていなかった。もしかして何かに巻き込まれたんじゃ、そう思い空閑に行こうというと空閑はマイペースに

 

遊真「ああ、悠は大丈夫だよ。あいつには俺でも勝てないしそこらへんにいる奴じゃ何人で束になっても勝てないよ」

 

そんな事を言っていた。そのあと僕は空閑といろいろ話した。お前の行動は暴力的すぎると言えば空閑は

 

遊真「『ルールってのは世界を回すためにある。お前をまもるためじゃない』親父が昔そう言ってた。いざって時自分を守れるのは自分の力だろ。・・・あとはまあ逃げ足とか数の力とか・・・」

 

そんなことを言っていた。言っていることは小学生みたいな理屈なのに、なぜか重みを感じる

 

遊真「でも、そうか。日本じゃまずいのか」

修「・・・!そ、そうだ!日本だとまずいんだ!

遊真「ふむ、だったら・・・オサムが俺たちに日本のことを教えてくれよ」

 

そう言われてぼくは僕がこいつらに日本のことを教えなければと思いその頼みを引き受けた。そしてしばらく歩いていると向かいの道路から悠が歩いてきた。空閑は悠に気づき近づいていったが

 

修「・・・あ!おい!」

遊真「ん?」

修「赤・・・・・!!!」 ドシャッ

 

その音とともに空閑が車に撥ね飛ばされた

 

修「空閑!!」

 

遊真「・・・あーしまった。またやった。赤は『止まれ』だった」

 

ぶつかった空閑何事もないように立ち上がり顔を上げた。その顔は左目の部分に縦に罅が入っているように見えた。だが、それはすぐに直っていった。

 

悠「はあ、遊真気を付けろと言っただろう」

遊真「ごめんごめん。次から気を付ける」

 

そんな何事もないように話す二人を見て思った。こいつらは本物の近界民(ネイバー)だと

 

 

 

 

悠side

 

次の日の昼俺たちは屋上で飯を食べていた。

 

修「いいか空閑、あと一応悠も。昨日の事は誰にもしゃべるな禁止区域で近界民(ネイバー)に襲われたことも、もちろんお前達が近界民(ネイバー)だってこともだ」

遊真「ふむ」

悠「・・・なるほど」

 

そう言われ俺はすぐに納得した。それはそうだろうと

 

修「あとできるだけ目立つな。人を殴るな、蹴るな。トリガーは絶対使うな」

遊真「なかなかきゅうくつな暮らしですな」

悠「今は修の言う通りにした方がいいだろう。郷に入っては郷に従えということわざが日本にはあるらしいからな」

 

そうして昼飯を食べていると耳障りな声が聞こえてきた

 

「オイオイどうなってんだあ~?」

「なんだか人がたくさんいるぞお~?」

「おめーら誰に断って屋上使ってんだ?あ?」

 

昨日の阿呆どもが屋上に上がってきた

 

修「あいつら・・・?」

遊真「昨日の3バカじゃん。あんな目にあったのに元気だな」

「キミたち一年生?」

「ごはんもう食べた?おいしかった?」

「え・・・その・・・」

 

奴らは近くにいた後輩と思しき男子たちからたかり始めた

 

「屋上使用料払ってけ、一人500円な」

「ワンコインでけっこうでーす」

 

そんなやつらに修は

 

修「おい!ふざけたマネはやめろ!」

「・・・あ?」

 

ドスッという音とともについている松葉杖で修を突き飛ばした

 

遊真「なんだこいつら、記憶力ゼロえもんか?」

修「・・・ちがう。こいつらは多分昨日のあとボーダーに保護されたんだ。ボーダーに保護された一般人は機密保持のため記憶を処理される・・・こいつらには昨日の記憶がない」

遊真「ほう?」

悠「記憶を消す技術か。随分便利だな」

 

そうして奴ら近くにいた女子たちにもたかり始めた。彼女たちは同じクラスの女子であった。いい加減鬱陶しくなってきた。それに、脳裏にかつての仲間たちが浮かんでくる

 

「おい、お前らもだ。女だろうが払ってもらうぜ」

「え、えっと・・・」

「もし払えないって言うんだったらてめえらのか

 

 

 

 

「おい」

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

 

 

「邪魔だ。とっとと失せろ」

 

 

 

 

軽く殺気をやつらにだけ込めて言った

 

「「「ひ、ヒイ~~~~~!!」」」

 

そしてやつら情けない声を出しながら屋上から出て行った。

 

悠「遊真、修行くぞ」

遊真「オッケー」

修「!?あっおい待て!」

 

そして屋上を出る前に屋上にいた生徒たちに謝罪した。自分がもっと早く対処すればよかったと

 

悠「・・・すまない」

 

階段を降りる途中で遊真が言った

 

遊真「今のは俺じゃないけどかなり平和的だったろ殴ってなかったし」

修「うーん・・・まあ平和的・・・か?というか何をしたんだ?」

悠「・・・ただ、話し合いをしただけだ」

 

そして教室に戻りさっきの屋上にいた生徒たちが戻ってきた

 

「悠すごいな!あいつらの事ただの話し合いで出て行かせたし!」

「なんか随分怯えて逃げていったように見えたけどあいつらのあの情けない声は笑ったよなー」

 

そうしているとあのたかられていた女子たちが近づいてきてお礼を言われた

 

「・・・本当にありがとう!」

「同じクラスの連中だけど怖くて助かった。ありがとう!」

 

とても元気そうに言われたが俺はこの女子たちがかすかに震えていることに気が付いた。それはそうだ。たとえ同じクラスの人間だろうが男に脅迫されれば普通女子は怖がるものだ。その彼女たちを俺は自分の責任で怖がらせてしまったので落ち着かせるためにかつての仲間たちにしていたように二人の頭に手を乗せ撫でた。

 

「・・・あっ」

「・・・えっと」

悠「すまない。俺はこういうやり方しか知らない。だが、もう大丈夫だ」

 

そうしてしばらく撫でた。撫で終わり手を離すとあっという言葉が二人の口から洩れた。その顔は俯いていたが耳まで真っ赤になっていた。

 

「や、やべえ・・・」

「とんでもない男だ・・・」

 

周りにいた他の生徒たちは驚いていたり顔を真っ赤にしていたりしていた。遊真はやれやれといった感じでこっちを見て修に至っても顔が赤かった

 

「そ、そういえば空閑君たちが前に住んでた国ってどんなとこ?なんていう国?」

 

先ほどまで顔を真っ赤にしていた女子の一人が聞いてきた

 

修《変なことしゃべるなよ》

遊真《はいよ》

 

あとは遊真にまかせよう

 

遊真「うーん、国の名前言っても分かんないと思うよ」

「そうそう、すげーマイナーな国らしいぞ。空閑達野球もテニスもサッカーも知らなかったし」

「サッカー知らないってどんだけだよ!」

「少なくともヨーロッパ圏じゃないな」

「じゃあさその国ってなにが流行ってたの?趣味とか音楽とかスポーツとか」

 

俺らがいままで行った国。俺はある一時期に遊真と出会いこうしていっしょに日本に来た。だから俺たちが行った国は少し違うが基本的にどこも

 

遊真「ふーむ・・・・戦争?」

 

戦争ばかりしていた

 

「「「「戦争!?」」」」

 

遊真「いろんな国まわったけど大体どこも戦争中だったよ。ほとんど毎日戦闘状態だったし、物心ついたころからずっとそんな感じ」

「紛争地帯にいたってことか・・・!」

「ひえー想像つかない・・・!」

「えっ、つまり悠君も?」

 

そう聞かれたので

 

悠「・・・そうだな。毎日どこの国もつまらない理由で戦争をしていたな」

 

そう言っておいた。間違ってはいない。

 

「でも紛争って言うなら三門市だってある意味戦争中だよな」

「あーそうかも」

「空閑君たち近界民(ネイバー)って知ってる?」

 

修が少しドキッとしたように見えた

 

遊真「うーん、あんまりしらない」

悠「・・・俺は少し知ってるな」

 

「4年くらい前にね街中にいきなり黒い穴が開いて近界民(ネイバー)ってやつらが攻め込んできたの。たった二日で東三門あたりは壊滅状態、犠牲者は1200人以上400人以上が今も行方不明」

遊真「なんと・・・!」

悠「・・・・・・」

 

「もーあの時は超怖かった!」

「オレんちもぶっ壊された、家族は家空けてて助かったけど」

「わたしの家も。三雲くんは?」

修「いや、ぼくは小学校は蓮乃辺だったから・・・」

「あっそっか隣町か」

「まあそんなわけで今も三門市は近界民(ネイバー)と戦争中ってっわけよ」

 

・・・わかってはいたが、こちらの世界にとって近界民(俺たち)は最悪の存在という事か

 

遊真「ふむ・・・でもその割にみんなのんびりしてるよね。あんまりピリピリしてない」

「そりゃボーダーがいるからな!」

「また始まった・・・」

「ボーダーは近界民(ネイバー)の技術『トリガー』を解析してそれを武器に戦う特別防衛機関なのだ!」

「ほら、あそこに基地が見えるだろ?あの基地ができるまでは三門市のあちこちで近界民(ネイバー)が沸いてたんだ。でも今はあの基地にある誘導装置が近界民(ネイバー)が出てくる場所を基地の周りだけに限定してんだ」

「だから町は安全オレらも安心。あー、オレもボーダーに入りてー」

「おまえじゃムリだ」

 

遊真「ふむ?ボーダーに入りたいならオサムに・・・」

修「!!おい空閑話がある!ちょっと来い!」

 

そうして修は遊真を連れて教室を出て行ったので俺も追いかけた

 

悠「教えてくれて助かった」

 

そう言い残して教室をあとにした

 

 

遊真「なーんだ、オサムがボーダーってのはヒミツだったのか」

 

俺たちは空き教室を見つけて入った

 

修「そうだ!いいか、二人とも誰にもしゃべるなよ!」

遊真「でもさっきの話だとボーダーってヒーローっぽいじゃん。なんでヒミツにすんの?」

修「それは・・・おまえたちには関係ない!」

悠「それはそうだ。しかしわかってはいたがこちらでは近界民の印象は最悪のようだ。修、俺たちのことを黙っていていいのか?」

 

前から気になっていた。いくらお人好しといっても限度がある。何故近界民と知った俺たちの事をずっとボーダーに黙っているのか

 

修「・・・ぼくにはおまえたちが他の近界民と同じに思えない。それに昨日助けてもらった恩もある。・・・でも、もしお前たちが悪事を働いたらそのときは僕はお前達をかばわないしむしろ僕が通報する!いいな!」

 

その言葉に思わず笑みがこぼれた。こいつは本当にどうしようもないお人好しだ

 

遊真「ようするにあれだな。初めて会ったボーダーがオサムで俺たちは超ラッキーだったってことだな」

悠「そうだな」

修「なんだそりゃ?」

 

そんな話をしていると突然そいつらは出てきた

 

ウウーーーーーー

 

〈緊急警報 緊急警報、(ゲート)が市街地に発生します。市民の皆様は直ちに避難してください。繰り返します。市民の皆様は直ちに避難してください〉

 

突然トリオン兵が出てきた。しかも

 

修「警戒区域の外に近界民が・・・!?どうなってるんだ!?」

遊真「モールモッドか」

悠「それも2体か」

修「基地からこんな離れた場所に門が開くなんて・・・!」

 

「みんないそいで!訓練通り地下室へ避難して!早く!」

「生徒の避難は!」

「こっちはなんとか・・・でも南館が・・・!」

修「南館・・・!」

 

モールモッドは学校の中に入っていった

 

「うわあああ!!」

「逃げろ!こっちはだめだ!」

 

そして修は

 

遊真「どうする気だ?オサム」

修「決まってるだろ!近界民(ネイバー)を食い止める!」

悠「待て修」

修「・・・!?」

 

修に真実を話した。おまえでは勝てないという真実を

 

悠「あれはモールモッド『戦闘用』のトリオン兵だ。昨日の『捕獲用』バムスターとはわけが違う。修、おまえの腕では死ぬだけだ」

修「!?だからって放っておけるか!!」

遊真「・・・いやだから、オサム死ぬぞ?」

修は呆然としていた

 

修「でも!このまま待ってたら手遅れになる!」

悠「・・・修、モールモッドを倒すには少なくともおまえが20人は必要だ。もしそれで勝てても18人は死ぬ」

修「ッ・・・・・!」

悠「修、生きなくては意味はないんだぞ」

 

その言葉に修は何か考えそして決意した

 

修「それでも、逃げるわけにはいかない!トリガー・起動(オン)!」

 

そして修はトリガーを起動した

 

修「二人は安全な場所に避難してくれ!」

 

そのまま行ってしまった

 

遊真「うーむ・・・大丈夫か・・・?」

悠「おそらくやられるだろうな。」

遊真「どうする?」

 

遊真がそんな事をきいてきた。そんなこと決まっている。

 

悠「逃げ遅れたやつらを連れ出してくる。前も言っただろう、俺はああいうバカなお人好しは嫌いじゃない」

 

 



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3話

以前書いたものが何故か消えていたので新しく書きました。
大体は同じ内容に仕上げました。



 

修side

 

「きゃあ!!?」

「やばい!!」

「戻れ!戻れ!!」

「バカ!後ろからも来てんだよ!!」

 

まずい!このままじゃみんなが!?

 

「挟まれた!!」

「来るぞおい!!」

 

間に合え!?

 

「!!?」

修「うああああ!!!」

 

危なかった!

 

修「今のうちに上に逃げるんだ!急げ!!」

「三雲くん・・・!?」

「ボーダー隊員だ!」

 

そう言ったが向かいにいた近界民(ネイバー)が生徒に襲い掛かろうとした

 

「きゃあ!!」

修「危ない!?」

 

間に合わない!!そう思っていると目の前を目にも止まらない速さで何かが通過して生徒を守った。それは

 

悠「・・・ギリギリだったか」

修「悠!?」

 

悠が助けてくれた

 

悠「修、こいつらは俺が屋上に連れて行くぞ」

修「わかった!!」

 

そして悠はみんなを連れて行った。ぼくは目の前の近界民(ネイバー)を見た

 

修(他の隊員が着くまでぼくがみんなを守る・・・せまい場所なら体が小さい方が自由に動けて有利なはず・・・ぼくにだってやれるはず・・・!)

 

ぼくはそう思っていた。ぼくにもできると・・・だけどそれは自惚れだった

そんなこと思っているとぼくの左手が切り落とされていた

 

 

「どうなった!?」

「煙でよく見えない」

 

遊真は他の生徒に交じって屋上にいた

 

遊真「ほらみろ。ふつうにやられてんじゃん」

レプリカ【オサムのトリオン体は限界が近い、トリオンを失いすぎた】

 

そんなことをレプリカと話していると

 

悠「おまえらはここにいろ」

 

屋上に悠がきた。遊真は彼に近づいた

 

遊真「悠、どうする?オサムはそろそろ限界っぽいぞ」

悠「・・・行くぞ」

 

そして二人は誰にも気づかれないように屋上から出た

 

レプリカ【オサムは『トリガーを使うな』と言ったぞ。ユーマとオサムのトリガーではトリガーの性能が違いすぎる。ここで戦えばボーダーに感知されるだろう。近界民(ネイバー)だと知られれば追われることになる】

遊真「おれはいいぞ。それでも」

悠「・・・おまえがよくても修が困るだろう」

レプリカ「近界民(ネイバー)を匿っていたことがばれてしまう】

遊真「あっそうか」

 

そんな話をしていると

 

レプリカ【!?(ゲート)がさらに現れた!もう一体来るぞ】

遊真「えー、マジか」

悠「・・・俺がそっちに行こう。遊真は修の方に先に行ってくれ」

遊真「・・・大丈夫か?」

悠「危険になったら・・・最悪『トリガー』を使うさ」

遊真「・・・そっか。わかった」

 

そして二人は別々の方向に向かった

 

 

 

悠side

 

俺は遊真と別れて新たに現れた方へ走った。すると先には

 

「みんな早く外か屋上に走ってください!」

「急いで!!」

 

何故か逃げずにまわりを先に逃がしている顔が似ている二人を見つけた。その時

 

「!?副!危ない!?」

「!!?」

 

彼らの後ろに新たに現れたモールモッドが出てきた・・・まずいな。モールモッドのブレードが二人に襲い掛かろうとしていた

 

「「・・・!?」」

 

・・・間に合うか

 

悠「・・・ふぅ」

「「・・・え?」」

 

危なかったな。ギリギリで二人を脇と肩に担いでモールモッドの攻撃をかわした

 

悠「・・・お前達、なにをしていたんだ?」

「・・・え?」

「あっあの」

悠「・・・まあいい」

 

何故かはあとで聞くとしよう。今は目に前のこいつだ。

 

悠「さて・・・どうしたものか」

 

トリオン兵はトリガーがなければ殺せない。俺も持ってはいるが使うつもりはない。

 

悠(一番現実的なのは修を助けた遊真がこのままこっちに来ることか)

 

それにはまず・・・こいつらを逃がす必要があるな

 

悠「・・・お前達、俺が合図したら逃げろ」

「・・・えっでも」

「それじゃあ、先輩が・・・」

悠「いいから逃げろ、いいな」

 

そして二人は小さく頷いた・・・よし

 

悠「・・・今だ、逃げろ」

「「!?」」

 

俺はモールモッドの攻撃の一瞬の隙を見て奴から離れ二人を逃がした・・・さて

 

悠「あとは、こいつをどうするかだな」

 

正直、今の俺では奴の攻撃を避けれても攻撃する手段が無い。そんなことを考えていると隣に誰かが来た

 

悠「・・・随分遅かったな」

遊真「ごめんごめん」

 

見慣れないトリガーを使っている遊真がきた

 

悠「それは修のトリガーか?」

遊真「うん、そう」

悠「なるほど、考えたな」

 

遊真のトリガーではすぐにボーダーにばれてしまうが()()()()()()を使えば確かに問題ないな。そして遊真はすぐにモールモッドを倒した

 

悠「・・・そういえば修はどうした?」

遊真「今来るよ。なんかレして欲しいことがあるんだって」

悠「・・・ほう」

修「・・・はあ、はあ、まっ待ってくれ・・・」

 

すこししてから修が息切れをしながら来た

 

修「はあ、はあ、ゆっ悠、大丈夫だったか・・・」

悠「ああ、問題ない」

遊真「まあ、悠だからな」

 

そしてしばらくして修が落ち着いてくるとレプリカが修にして欲しいことがあると言った

 

 

 

「・・・・!!」

「出てきたぞ!!」

 

俺と遊真は修に肩を貸してもらっているようにして校舎から出た

 

「無事だぞ!」

「逃げ遅れたやつらもいっしょだ!」

「三人とも大丈夫!?ケガはない!?」

修「はい・・・」

 

そして修のまわりに生徒たちが押し寄せて行った

 

修「うわっ」

「三雲くん!!」

「助けてくれてありがとう!!」

「ていうかボーダー隊員だったのか!?いいなあー!!」

みんな修に対して感謝をしていた。だがされている本人は

 

修(近界民(ネイバー)を倒したのはぼくじゃないのに・・・)

 

まるで自分がやったんじゃないとでも言いたげな顔だった・・・何を言ってるんだか

 

悠(お前は間違いなくみんなを守ったヒーローだろうに)

 

俺は修の近くから離れ近くの木に寄りかかりそんなことを考えていた。すると俺の近くに

 

「・・・あっあの」

「・・・せっ先輩」

悠「・・・?」

 

突然声が聞こえそちらを見てみると俺が逃がした二人がいた。改めて見ると本当によく似ていた

 

悠「・・・お前達、大丈夫だったか?」

「はっはい」

「あの、ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」

 

そう言ってお礼を言ってきた。俺はさっき疑問に思ったことを訊いた

 

悠「お前達、なんでさっき自分たちは逃げず先に他に人間を逃がしていた?」

「・・・そっそれは」

「・・・・・」

 

俺がそう聞くと二人は言いずらそうにしていたがその理由を話した。

自分たちの兄がボーダー隊員でしかもとても優秀な人だから自分たちも兄にとって恥じない人間になりたいと

 

悠「・・・・・」

 

俺はそれを聞いた・・・なるほど

 

悠「・・・ひとつ聞くが、お前達はボーダー隊員なのか?」

「いっいえ・・・」

「わたしたちは・・・ちがいます」

 

まあ、そうだろうな

 

悠「・・・人ってのは、守るためには力が必要だ。お前たちにはあるか?」

「「・・・・」」

悠「力の無い者は結局無力で守られるだけだ。お前たちはまだ守られる側の人間だ」

「「・・・・!?」」

 

二人はそう言われ顔を伏せた、とても悔しそうな顔で。真実を言わないとあとでこいつらが辛くなるだけだ。

その時

 

「これは・・・もう終わっている・・・!?・・・どうなっているんだ・・・!?」

「嵐山隊、現着しました」

 

なにやら赤い服を着た、ボーダー隊員と思われる奴らが来た・・・随分遅い登場だな

 

「嵐山隊だ・・・!」

「A級隊員だ!」

 

どうやらあいつらは嵐山隊というA級隊員らしいな。しかしこの二人と似た顔の奴がいるな・・・まさか

 

悠「・・・あいつがお前たちの兄か?」

「・・・はっはい」

「オレたちの兄ちゃんです・・・」

悠「・・・そうか」

 

なるほどな、たしかに優秀なんだろう。そしてあいつがおそらく隊長だから嵐山というのだろう

 

嵐山「到着が遅れてもうしわけない!負傷者は!?」

「今、確認できました!全員無事です!」

嵐山「よかった・・・!!」

 

嵐山は本当に安心しているようだ。好青年だな

 

嵐山「しかし・・・これは・・・一体誰が・・・!?」

 

そしてやった()()である修が嵐山の前に出た

 

嵐山「きみか・・・?」

修「C級隊員の三雲 修です。ほかの隊員を待ってたら間に合わないと思ったので・・・自分の判断でやりました」

嵐山「C級隊員・・・!?」

「C級・・・!?」

 

そして修は自分がやったと言った。その言葉に嵐山は

 

ガッ修「!!」

嵐山「そうだったのか!よくやってくれた!!」

修「・・・えっ?」

嵐山「きみがいなかったら犠牲者が出てたかもしれない!うちの弟と妹もこの学校の生徒なんだ!」

 

そして嵐山が何かを探すようにしてこちらを、いや正確には俺の近くにいたこの二人を見て抱き着いてきた

 

嵐山「うお~~~~っ!副!佐補!」

「あっ兄ちゃん・・・」

「・・・・・」

嵐山「・・・?」

 

なにやら嵐山は二人の様子が変だと気づいたようだ・・・さすが兄妹・・・か

 

嵐山「それにしてもすごいな!ほとんど一撃じゃないか!しかもC級のトリガーで・・・こんなの正隊員でもなかなかできないぞ!」

修「いえそんな・・・」

遊真「いえいえそんな」

「なんで空閑くんが謙遜するの?」

 

そんな話をしていると

 

ジロリ・・・

 

嵐山隊の女の隊員が修を睨みつけていた・・・なんだ、あいつは

 

嵐山「おまえならできるか?木虎」

「・・・・・」

 

木虎と呼ばれた女はモールモッドの目の前に行きブレードのトリガーを出しモールモッドをバラバラにした

 

「おお~」

「すげー」

 

木虎「できますけど、私はC級のトリガーで戦うような馬鹿な真似はしません。

そもそもC級隊員は訓練生、訓練以外のトリガーの使用は許可されていません。彼がしたことは明確なルール違反です嵐山先輩。違反者を褒めるようなことはしないでください」

修「・・・・・!」

木虎はそう言っていた・・・だが、こいつのこの言葉にはどこか嫉妬のような感情が含まれているな

 

嵐山「たしかにルール違反ではあるけど、結果的に市民の命を救ったわけだし・・・」

「そうです!」

「三雲先輩はおれたちを助けてくれたんです!」

 

嵐山や生徒たちがそう言っているが

 

木虎「・・・人命を救ったのはもちろん評価に値します。けれど、ここで彼を許せばほかのC級隊員にも同じような違反をする人間が現れます。

実力不足の隊員がヒーロー気取りで現場に出ればいずれ深刻なトラブルを招くのは火を見るよりも明らかです」

修「・・・・!」

木虎「C級隊員に示しをつけるためボーダーの規律を守るため、彼はルールに則って処罰されるべきです」

 

木虎はそう言った。確かにこいつの言葉は正論だ。組織とはそういった規律で出来ているものだ・・・・・だが

 

悠「それならば、お前らがもっと早く来ればよかっただけの話だろう」

木虎「・・・!?」

 

俺はまず気になったことを正直に言った

 

木虎「・・・あなた誰?」

悠「話を逸らすな。もし修がいなければ死者が出ていただろう」

木虎「彼は規律を破ったからその責任を!」

悠「そもそも、お前らボーダーは市民を守るためにいるのだろう?それならばお前らがもっと早く来ればよかっただけの話だ。そうすれば修もトリガーを使わず処罰も受けなかったはずだ」

木虎「そっそれは!私たちは警戒区域の中を見回っていたから・・・!」

悠「それは遅れたからの言い訳でしかないだろう。それともお前にとって市民の命とはそんな言い訳で済む程度の軽いものなのか?」

木虎「そんなこと・・・!!」

修「おい悠!?いくら何でも・・・!」

悠「黙れ修。今俺はこいつと話しているんだ」

 

俺はこの女に確信に迫った

 

悠「お前は修に嫉妬してるんだろ」

木虎「・・・・・なっ!!」

悠「お前のそれはプライドからくる対抗心か?ならそんなゴミみたいなプライドはさっさと捨てろ」

木虎「・・・・・っ!」

悠「・・・別にプライドを持つのは悪いことではない・・・・だがなそのプライドを振りかざしていいのはそのプライドにあった戦果と貢献を出したものだけだ」

 

俺はそう言って近くにいた嵐山の弟妹の二人の頭に手を置いた

 

「「・・・・・えっ?」」

悠「そういう意味ではこの学校の教員、修、そしてこの兄弟だ」

 

俺はそう言った。二人とも何故という顔で俺を見てきた

 

悠「お前たちは確かに力を持たない子供だ。

・・・だがな、お前たちがしたことは間違いなくみんなの命を救ったんだ」

「「・・・・・っ!?」」

そして俺の言葉にこいつらは泣いてしまった。俺はしばらくこいつらの頭を撫でていた。

 

悠「・・・だが、お前は何かしたのか」

木虎「・・・・・」

 

 

 

悠「思い違いをするなよ。何もしなかったお前に修をとやかく言う権利なんざ無い」

 

木虎「・・・・・・っ!?」

 

 

 

 

俺の言葉に木虎は悔しそうに、でもなにも言えず俯いた

 

悠「まず、修の処罰はお前たちがすることではないんだろう」

「うん、そうだよ。現場調査は終わった。回収班呼んで撤収するよ」

木虎「時枝先輩・・・」

時枝「木虎の言う分も分かるけど、三雲くんの処罰を決めるのは()のひとだよ。オレたちじゃない。ですよね、嵐山さん」

嵐山「なるほど!充の言うとおりだ!今回のことはうちの隊から報告しておこう。三雲くんは今日中に本部へ出頭するように。処罰が重くならないよう力を尽くすよ。きみには弟と妹を守ってもらった恩がある。本当にありがとう・・・!」

修「そんな・・・こちらこそ・・・」

 

そう言って嵐山隊は去っていった。最後に木虎が少しこちらを見て行った

 

 

 

 

木虎side

 

私はさっきのC級隊員と話に入ってきたあの目が鋭い青年のことを思い出していた

 

木虎(私が対抗心?C級隊員に?そんなのありえない!)

 

私はA級隊員の木虎。C級隊員に対抗心なんて・・・

そう思っていたのに私の心にはなにかモヤモヤしたものがあった

 

時枝「さっき、あの背の高い彼が言ってた」

 

突然時枝先輩が話だした

 

時枝「確かにそうだと思ったよ。オレたちは遅れてなにもしなかった。そのオレたちはなにも言えない」

嵐山「ああ、そうだな。今回は本当に三雲くんに助けられた」

 

目の前にいる二人に先輩がそう言っている時、わたしは彼の言葉を思い出した

 

【お前のそれはプライドからくる対抗心か?ならそんなゴミみたいなプライドはさっさと捨てろ】

【思い違いをするなよ。何もしなかったお前に修をとやかく言う権利なんざ無い】

 

私はそんな彼の言葉を思い出していた

 

 

 



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4話

修side

 

放課後になり教室にぼくと悠と空閑だけが残っていた。ぼくは深くため息をついた

 

修「は~~~~~~~・・・」

遊真「?どうした、オサム?」

修「そりゃあ、ため息もつきたくなるよ。悠、お前ボーダーの人間に噛みつくなよ。感づかれたらどうするんだ、しかもあんな言い方・・・」

悠「俺は何か間違った事を言ったか?俺は当たり前の事しか言った覚えはないぞ」

修「でも・・・」

悠「過ぎた事を話していてもしょうがないだろ。この学校の生徒を救ったのは修・・・お前だ。嵐山たちじゃない」

 

悠はそう言っているがぼくが規律違反をしたことは事実なんだ。だからぼくはその処罰を受けなければならない

 

悠「はあ~、まあいい修はこのあとボーダーに行くんだろう。とりあえず帰る準備をしろ」

修「あ、ああ・・・」

 

そして、僕たちは荷物を持って教室を出た

 

 

 

悠side

 

遊真「オサムはこのあとボーダーにいくんだろ?」

修「そうだ、本部に出頭して処罰を受ける。嵐山さんとの約束だからな」

遊真「ふむ」

 

そうして俺たちは帰路についていると校門付近に人だかりができていた

 

修「・・・・・ん?なんだ?」

 

「写真撮ってもいいですか?」

木虎「あー悪いけどそういうのはやめてくれる?写真なんて」

 

あの嵐山の部下の木虎というあの女だった

 

木虎「正直迷惑なの。芸能人じゃあるまいし・・・」

 

そう言って写真を断っていたが次第にポーズを決めて写真を撮られていた。俺たちは呆然としていた

 

遊真「なにやってんだ?こいつ・・・」

木虎「はっ・・・!・・・・待っていたわ、たしか・・・三雲くんだったわね

私はボーダー本部所属、嵐山隊の木虎 藍。本部基地まで同行するわ」

「A級隊員が三雲先輩を迎えに・・・!?」

「三雲先輩すげー・・・!?」

 

修の横顔を見てみると何なんだコレはという感じの顔をしていた。その修に苦笑していると木虎は俺の顔を見ると顔を逸らした。どうやら予想以上に俺の言ったことが気になっているようだ

 

悠「行くんならさっさと行こう」

修「あ、ああ」

遊真「はいよ~」

木虎「!?まっ待ちなさい!」

 

そうして俺たちはボーダー基地に向かった

 

 

 

木虎side

 

木虎「勘違いしないでほしいんだけど」

 

私この三雲くんの本部への出頭に同行していた。

 

木虎「私はあなたのエスコートをしに来たわけじゃないわ。あなたが逃げないように見張りに来たのよ」

修「見張られなくたって逃げたりなんかしないよ」

 

彼はそうは言うが私は信用できなかった

 

木虎「簡単にルールを破る人間の言葉が信用できる?もう少し自分の立場を自覚したほうがいいわね」

 

そう言って私は彼を睨みつけた。彼は確かに市民の命を救った。それはとても素晴らしい功績だと思う。でも

そう思って私は現場にあった近界民(ネイバー)の残骸を思い出した

 

木虎(今日のあの近界民(ネイバー)・・・一撃で正確に心臓部が破壊されていたわ・・・止まっている相手ならともかく敵のブレードを掻い潜りながらそんな正確な攻撃ができる・・・?しかも訓練用のトリガーで・・・!

先輩たちの手前、私も出来るって言ったけど、あそこまで鮮やかには・・・

なんであんなことができる人間がC級隊員にいるの・・・!?しかも同い年・・・もしかして私より優秀・・・!?

そんなわけないわ!私はA級隊員・・・!私の方が!)

 

そこまで考えると何故か一緒についてきているこの一人だけ背が高く蒼い目が鋭い彼の言葉をまた思い出してしまう

 

【お前のそれはプライドからくる対抗心か?ならそんなゴミみたいなプライドはさっさと捨てろ】

【思い違いをするなよ。何もしなかったお前に修をとやかく言う権利なんざ無い】

 

その言葉を思い出した。

わかってるわよ!これがただの嫉妬だってことくらい!

 

私は自分のトリオン量の低さに悩んでいた。でも、それでも諦めたくなくてずっと努力してきた。そして嵐山隊に勧誘されてやっと私の努力が報われたと思った。私が入ってから嵐山隊は前よりずっと勝てるって先輩たちが言ってくれた。そんな私の努力が同い年のC級隊員に負けているなんて認めたく無い!

 

そうして悩んでいる私を背が高い彼が見ていた

 

 

 

悠side

 

なにやら考え込んでいるようだな。大方自分の修に対する感情が嫉妬だということに悩んでいるのだろう。その感情に自分で気づけている時点で十分優秀なんだがな。それでも悩まずにはいられないんだろう

 

木虎「そういえば、あなたたちはなんでつい来ているの?」

 

そんなことを思っていると木虎は気を取り直したようで俺と遊真に尋ねてきた

 

遊真「ちょっとボーダー基地が興味あるから」

悠「俺たちは転校生だから少し興味があってな」

 

実際には学校に入る前に見ているのだが口裏を合わせておいた

 

木虎「あんまり興味本位で見に行くところではないわ。帰りなさい。彼はC級隊員なのにトリガーを使った処分を受けるために行くのよ」

遊真「そのことだって、オサムは怒られるのわかっててやったんだろ。むしろエラいんじゃないの?」

木虎「言ったでしょう。彼はC級隊員はトリガーを外で使ってはいけないの。正規隊員じゃないからよ」

遊真「オレはそのC級とかA級とか知らないよ」

 

そう遊真が言うと木虎が説明しはじめた

 

木虎「・・・なら覚えておきなさい。A級隊員はボーダー全隊員の上位5%を占める精鋭中の精鋭よ」

遊真「精・・・鋭・・・?」

木虎「何よその疑いの目は!?」

 

木虎も徐々に元の調子を取り戻してきたようだ。そうこうしていると修が俺も気になっていたことを木虎に聞いた

 

修「・・・そうだ。訊かなきゃいけないことがあったんだ。今日の学校の近界民(ネイバー)・・・あれはなんだったんだ?なんで警戒区域の外に近界民(ネイバー)が・・・?」

遊真「そういやそんなこと言ってたな。本当なら基地のまわりにしか出ないはずだろ?」

確かにそんなことを言っていた。普通は出ない市街地に出たと

 

木虎「・・・部外者がいるから話せないわね」

遊真「オレと悠は部外者じゃない、被害者だよ」

木虎「・・・そうね、C級には知りえない情報だもの。私が教えてあげるわ

まだ詳しいことはわかってないけど・・・どうやらボーダー基地の誘導装置が効かないイレギュラーな(ゲート)が開き始めてるみたいなの」

修「・・・!?」

木虎「今、本部の技術者たちが総出で原因をさぐってるわ」

修「イレギュラーな(ゲート)・・・!?」

 

・・・なるほど、それが原因か。だがそれだけじゃどうして学校に出たかまではまだ分からないな

 

木虎「あなたたちの学校以外でも警戒区域外に近界民(ネイバー)が現れる事例が昨日から6件報告されているわ」

修「・・・・・!」

悠「・・・6件?」

木虎「ええ、今までの6件は偶然は非番の隊員が近くにいたから犠牲者は出なかったけどこれからどうなるかわからないわ。パニックを避けるため公表はされてないけど、今この街はどこに近界民(ネイバー)が出現してもおかしくない状態よ」

 

・・・イレギュラー門の近くに非番のボーダー隊員、ボーダー隊員はトリオン能力の高い集団・・・なるほど、そういうことか。だが、そうなると今回の学校襲撃の辻褄が合わなくなる。

考えられる可能性としてはうちの学校にほかにボーダー隊員がいたということだがそうなるとまずそいつが相当なヘタレでもない限り修より先に動くはずだ。そうなるとあとの可能性としては

 

 

一般市民の中に高いトリオン能力をもった人間がいたか

 

 

そんなことを考えていると

バチッバチッという音とともに近くで(ゲート)が開いた・・・またか、なるほど俺の想定は大体あっていると思っていいな

 

遊真「おいおい、忙しい日だな」

【緊急警報、緊急警報、(ゲート)が市街地に発生します。市民の皆様は直ちに避難してください。繰り返します、市民の皆様は直ちに避難してください】

 

そう警報がなった。空を見ると空を飛んでいる魚のような形をしたトリオン兵がいた・・・これは、また珍しいヤツが出てきたな

 

木虎「何!?この近界民(ネイバー)・・・!こんなの見たことないわ・・・!」

修《空閑こいつは・・・!?》

遊真《イルガー・・・珍しいな。イルガーは『爆撃用』のトリオン兵だ」

 

そしてイルガーは腹の部分にある爆弾を何個も地上に落とした

 

修「!!」

木虎「街が・・・!!ほかの部隊を待っていられないわね・・・私が行くわ」

修「!?ぼくも行く!」

木虎「あなたまた出しゃばるつもり!?そもそもあなた空の相手に何ができるの?」

修「それは、向こうで考える」

 

「「トリガー・起動(オン)!!」」

 

そして二人はトリオン体に換装した。だが

 

修「・・・・!?」

レプリカ【武器を作るためのトリオンが足りていない』

悠「学校の戦いで消耗しすぎたな」

木虎「・・・やっぱりC級ね。そこでおとなしくしていなさい」

悠「・・・木虎、あれはお前も初めてみるタイプの近界民みたいだが勝算はあるのか?」

木虎「!?・・・・・私は、A級隊員よ。市民の命を守るのが私たちボーダーの務め、あの近界民(ネイバー)は、私が始末するわ」

 

そう言って木虎はイルガーのところに向かった。なるほど、あれがボーダーの人間か

 

悠「さて、木虎は行ったが修、お前はどうすつもりだ。武器無しで戦うわけではないんだろう」

修「ああ、今回はA級の木虎がいる。あの近界民(ネイバー)は木虎に任せる。ぼくは街の人を助けに行く。武器が無くてもやれることはあるはずだ」

悠「そうだな、それが賢明な判断だ」

遊真「よしじゃあオレも手伝うか?」

修「・・・いや、空閑は木虎に付いてくれ」

 

修ならばそういうだろうな

 

修「木虎も初めて見る近界民(ネイバー)だ。いくらA級でも一人じゃ手に負えないかもしれない。木虎がもしやばそうだったらばれない程度に手を貸してやってくれ」

遊真「え~~~~、本人が『自分でやる』って言ってんだから放っておいてもいいんじゃないの?」

修「頼む」

遊真「・・・・・やれやれ、オサムは面倒見の鬼だな」

悠「フッ・・・ああ、まったくだ」

修「ぐっ・・・」

悠「遊真がそっちに行くなら俺は修の方を手伝おう」

遊真「おう、よろしく。レプリカ」

レプリカ【心得た】

 

そうしてレプリカは自分の体の一部を分裂させて修に預けた

 

レプリカ【持っていけオサム。私の分身だ。私を介してユーマとやりとりできる」

遊真「困ったときはすぐ呼べよ。悠、オサムを頼んだ」

悠「ああ、任せろ」

修「わかった」

 

そして俺と修は遊真と別れ市街地に向かった

 

 

 

木虎side

 

木虎(あの装甲と距離じゃ弾丸は通らないわね・・・何より街にあの巨体を墜とすわけにはいかない・・・!やつは周回軌道で爆撃してる。移動ルートを先読みして川の上で墜とす・・・!」

 

 

 

悠side

 

市街地に来ては見たがひどい状況だな

 

悠「修、お前はあっちを頼む。俺はこっちの市民を救助する」

修「でも、悠お前は生身だろ。それでどうやって・・・」

悠「お前は俺の正体を忘れたのか?」

修「!?」

悠「同じところを二人で助けても効率は悪い。人海戦術でいくぞ」

修「・・・わかった。頼む」

悠「任せておけ」

 

そして俺と修は別々のところで救助活動を行う

 

「また来るぞ!今のうちに地下堂に・・・」

「ママー!ママー!」

「そこの人たちと一緒に早く逃げなさい!ママは大丈夫だから!」

「やだぁー!ママもいっしょがいいー!」

「バカ!言うことを・・・・・・!!」

 

俺の前の方で子供が一人でいたその前には瓦礫の阻まれて子供の方に行けない母親らしき女性がいた。そのとき子供の上にその子供と同じくらいの大きさの瓦礫が落ちてきた。このままでは子供が下敷きになる。

 

悠「・・・間に合うか」

 

俺は全力で走り子供が下敷きになる前に子供を抱え瓦礫をよけた。ギリギリだったか

 

悠「・・・大丈夫か?」

「・・・うん、ありがとう。でもママが」

 

目の前で瓦礫で遮られたところにいる女性を子供は指さした・・・生身の俺ならギリギリ動かせるか

 

悠「念のためそこから離れていろ」

「わっわかったわ」

 

俺はこの瓦礫に手をやり今の俺が出せる全力で動かした。何とか瓦礫を動かすことができた。その中からは子供の母親の他にも何人かの市民がいた

 

「ママ!!」

「よかった!本当にありがとうございます!!」

「ありがとう!助かったよ」

「ありがとうございます!!」

 

市民の人たちにお礼を言われた

 

悠「ああ、とりあえず早く避難できるところに避難しろ」

 

そういって俺は他の人たちを助けに行った

 

 

 

木虎side

 

私は鉄橋を登りあの近界民(ネイバー)の背中部分に飛び乗った

 

木虎「空飛んでるだけあって上はがら空きね」

 

そう思っていると背中の部分から大量の触手のようなものが生えてきた

 

木虎「!?」

 

そしてそれらが大きな音とともに爆発した

 

木虎「この程度?」

 

そして私はその触手のようなものを切り裂き剥き出しになった部分を銃型のトリガーで撃った。これで終わる、そう思っていたら

 

バシャッという音がして周りを見るとトリオンの塊がむき出しになりこの近界民が市街地に降下し始めていた

 

木虎「・・・!?なに!?・・・なんなのこれ」

 

いったいどういう事かと思っていると市街地に墜ちていくこいつを見て最悪の事態を考えた

 

木虎「!!こいつまさか・・・このまま街に墜ちるつもり!?」

 

まずい!?このままじゃ!?そう思い剥き出しになっているトリオンの柱を攻撃したが硬くブレードが通らない

 

木虎「止まれ!!!止まりなさい!!止まって!!!」

 

駄目だ・・・!!止められない!

 

そのとき、突然この近界民(ネイバー)が大きく揺れた

 

木虎「!?」

 

そしてそのまま、まるで引きずり込まれるように川の中に私もろとも墜ちて行った。私は何とか川の中から這い上がった

 

木虎「げほっ!げほっ!」

 

川から上がった私はさっきのことを考えていた

 

木虎(・・・今のはなに?近界民(ネイバー)が川に引き戻されていった・・・!?あのままいけば近界民(ネイバー)は間違いなく街に墜ちていた・・・助けられたということなの?」

 

彼の言葉を思い出す

 

【別にプライドを持つのは悪いことではない・・・・だがなそのプライドを振りかざしていいのはそのプライドにあった戦果と貢献を出したものだけだ】

 

この言葉に思わず笑ってしまう。まったくその通りだ。自分はなにもしていない。出来ていない。

そう思いながら私は川沿いに向かうと三雲くんが市民に囲まれていた。私が戦っている間にまた市民相手にポイント稼ぎ・・・そんなに人気者になりたいわけ。

・・・前までならそう思ってた。でも、今となってはそんなに嫉妬していた私はあまりに滑稽で笑えてくる

そんなとき

 

修「あっ彼女です。皆さん、彼女が近界民を倒してくれたんです」

木虎「・・・・・!」

 

なにを・・・

 

「そうなのか!?」

「あっあれ嵐山隊の木虎じゃん!」

「ありがとう!さすがA級隊員だ!」

「命の恩人だな!」

木虎「・・・・・・」

悠「どうした、惚けて」

 

後ろを見ると一緒に来ていた二人がいた

 

悠「大方、驚いたんだろう。ポイント稼ぎしていると思っていた男が自分に手柄を譲るみたいな真似をしたんだからな」

木虎「あなたたちは・・・」

悠「木虎、別に他者に対して嫉妬するのは恥ずかしいことでもなんでもないぞ」

木虎「・・・・・!?」

 

いきなりそんなことを言われて心の中を暴かれたんじゃないかと思いドキリとした。それなのに不思議と彼の言葉に耳を傾けた

 

悠「嫉妬ってのは悪い事でもなんでもない。人間ならば誰しもが持っている感情だ。なんなら修だって持っているだろう」

木虎「・・・・・」

悠「他者に対する僻みや妬みは時には人を強くする。それはプライドだって同じことだ」

木虎「・・・でも、あなたが以前そんなプライドは捨てろって」

悠「俺の言ったことを覚えていないのか?俺は【そのプライドを振りかざしていいのはそのプライドにあった戦果と貢献を出したものだけだ】といったんだ」

木虎「でも、私があの近界民(ネイバー)を墜としたわけじゃないわ。他の誰かが」

悠「確かに結果はそうだ。結果は重要なものだ。だが、お前は【市民の命を守るのがボーダーの務め】そう言ってお前は一人で近界民(ネイバー)を倒しにいった。これは他には変えられない立派な貢献だ」

木虎「・・・・・!!」

悠「お前は自分の務めを果たしたんだ。それを誇っていいんだ」

 

彼ともう一人の少年はそう言って三雲くんのところに向かった。体の奥が熱くなる。誇っていい、そんな風に言われたのは初めてであった。心の奥にあったモヤモヤが消えていくのがわかる。

嫉妬することは別に恥ずかしい事じゃない。いままで考えたことが無かった。私は今回のことを誇っていいんだ。

彼が行ってしまう前に私は慌てて呼び止めた

 

木虎「まっ待ちなさい」

 

そして彼が振り向いた。同い年の男子でも滅多に見ないほどの長身、そして黒髪に蒼い瞳、すこし目つきが鋭いがその整った顔を見て恥ずかしくなり顔を背けながら彼に聞いた

 

木虎「・・・・・あなたの名前をまだ聞いてなかったわ」

悠「・・・・・?」

木虎「・・・そっちだけ私の名前を知っているのは不公平だと思うの。だから教えて」

 

彼はしばらく悩んでいたが教えてくれた

 

悠「・・・空閑 悠だ。そしてあいつは空閑 遊真。一応俺が兄だ」

 

遠くの方で小さい方の空閑くんが手を振っていた

 

木虎「・・・兄弟なのね」

悠「・・・ああ、そうだな。好きなように呼んでくれ」

 

両方空閑くんじゃこんがらがるわね。それじゃあ

 

木虎「・・・それなら、あなたの事は悠くんと呼ばせてもらうわ」

悠「ああ、そうしてくれ」

 

彼の事を名前で呼ぶと自分で言ったのにちょっと恥ずかしいわね。そう思っていると

 

「馬鹿言うな!なにが『助かった』だ!うちの店が壊されちまったんだぞ!」

「俺の家もだ」

「うちのマンションも」

「ボーダーは何をやってる!?」

「なんで街に近界民がでるんだ!?」

修「それは・・・」

 

これ以上は三雲くんでは対処しきれないわね

 

木虎「近界民による新手の攻撃です。詳しくは近々ボーダーからの発表があると思います。損害の補償について関する話はその時に」

修「!」

木虎「C級隊員は下がってなさい。私が対応するわ」

修「あ・・・・ありがとう」

木虎「被害にあわれた方々はまず避難所へ移動してください。非常時です。ご協力をお願いします」

修「・・・・・」

 

 

 

修side

 

街は見るも無残な姿になっていた

 

修「街がこんなに壊されるなんて・・・・こんな光景を見るのは4年半ぶりだ・・・」

レプリカ【イレギュラーな(ゲート)をどうにかしない限り、また同じようなことが起こる可能性があるな】

修「・・・・・!」

 

そうか、まだ終わってないんだ・・・

 

悠「今のお前が深く考えても答えはまとまらないだろう。それにお前はこの後基地にも行かなくてはいけないんだろう」

修「・・・ああ、そうだったな」

悠「終わったらお前は今日は休め。お前は出来ることはやっただろう」

遊真「そうだな、ここから先はボーダーのお手並み拝見だな」

 

 

 

そこは警戒区域の中だその中にサングラスをかけた若い青年がいた。彼の耳に付いていた無線機が鳴った

 

「はいはいもしもし?」

【俺だ。片付いたか?】

「こっちは終わりました。むこうのチームももう終わりでしょ」

【よし、おまえは本部に直行しろ。城戸さんが呼んでる】

 

彼はその言葉を聞き積み上げた10数体の上で立った

 

「ほう。本部指令直々に・・・この実力派エリートをお呼びとは」

 

彼の名は迅 悠一

彼こそボーダーに二つしかない黒トリガーの使い手にしてボーダー最高戦力の一人である

 

 

 

 



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5話

悠side

 

【トリガー認証】

 

市民を避難させたあと俺たちはボーダー基地につながる直通通路の前に来ていた。どうやらボーダー基地にはボーダーのトリガーを持ったものしか入れないようになっているらしい

 

遊真「ふむ、トリガーが基地の入り口の鍵になってるわけか」

悠「これならボーダー以外の人間は勝手に立ち入れないというわけか」

木虎「ええ、そうよ。ここから先はボーダー隊員しか入れないわ」

 

俺と遊真はここまでのようだ

 

遊真「じゃあおれたちはここまでだな。なにかあったら連絡くれ」

修「・・・・・わかった」

悠「それではな修、木虎」

 

その俺の言葉に木虎が少し目を見開いたが

 

木虎「・・・ええ、それじゃあね・・・悠くん」

 

そう言って木虎は通路の中に入っていった。修も彼女に続いていった。そして俺は遊真と少し話した

 

悠「遊真、レプリカ、俺は少しこの後寄るところがある。先に帰っていてくれ」

 

俺がそう言うと遊真も行きたい場所があると言った。どうやら同じことを思っていたようだ

 

遊真「オレとレプリカも少し気になっていたことがあってね」

レプリカ【おそらく悠が行こうとしている場所と同じところだろう】

悠「それなら一緒に行くか」

遊真「うん、行くか」

 

そうして俺と遊真、レプリカは今日俺たちが襲われた学校に向かった

 

 

 

迅side

 

俺はうちのボスが本部に行ってくれと言っていたので本部に来ていた

 

迅「うい~~~す」

「あっ迅さん!」

「どうも、迅さん」

「げっ迅さん」

「玉狛支部の迅だ・・・!」

「なんで玉狛の人間が本部に・・・!?」

迅「そりゃ、たまには本部にだって来るさ。実力はエリートだからな」

 

そんな風にみんなと軽くあいさつしながら指令室に向かっていると前方にスーツ姿の女性が見えた

 

さすりと俺は女性のお尻を軽く撫でた

 

「ぎゃっ!」という声を出して女性はこちらに振り向き睨んできた

 

「迅くん!」

迅「やー沢村さん、今日も美しい」

 

彼女、本部長補佐の沢村 響子さんだ

 

沢村「最低!最悪!セクハラは犯罪よ!両手がふさがっているところを狙うなんて!」

迅「まあまあ」

 

俺はそう言って沢村さんが持っていた資料らしきものを半ば強引奪い取った

 

迅「お詫びにこれ持つよ。沢村さんも上行くんでしょ?」

沢村「・・・その程度ですむかっ!」

 

ビシッ

 

迅「あだっ」

 

お尻を蹴られさすがにちょっと痛かった。そんなこんなで指令室に着いた

 

迅「迅 悠一、お召しにより参上しました」

 

そこにはいつ見てもなかなか威圧感のある顔に傷がある人を筆頭にボーダーのトップたちと一人の少年がいた。おっ秀次も『予知』通りいるな

 

「御苦労」

 

顔に傷のある人が言った。この人こそボーダー本部指令の城戸さんだ。そして俺は座るよう指示された少年の隣に座った

 

迅「おっキミは?」

修「あ・・・三雲です」

迅「ミクモくんね、おれ、迅よろしく」

 

彼の顔を見ると数年前俺が助けた少年だった。ボーダーに入ったのかと思っていると俺の『サイドエフェクト』で未来が見えた

 

彼の友人らしき二人の男子、一人は小柄で白い髪の少年、もう一人は180を超えていると思われる身長、日本人のような黒い髪なのにアンバランスな蒼い瞳、鋭い眼が特徴の青年のような少年

そして近々起こると思われる近界民による大規模侵攻

敵と思われる存在達と戦う未来、そして【12枚の黒い羽を持ち黒銀の鎧のようなものを纏った青年がこの三門市を滅ぼす未来】が見えた

 

迅「・・・・・!?」

修「・・・え?」

 

俺は思わず彼から退いてしまっていた

 

「?迅、どうした?」

 

その時、指令室にいたうちのボスに心配された

 

迅「あっいや、大丈夫です」

「そうか?ならいいんだが」

 

そう言って話を進めてもらった。今の最後の未来は絶対に回避しなければならない!

 

城戸「では、本題に入ろう。昨日から市内に開いているイレギュラー(ゲート)の対応策についてだ」

「待ってください。まだ三雲くんの処分に結論が出ていない」

 

そう城戸さんに待ったをかけたのはボーダー本部長の忍田さんだ

 

「結論?そんなもの決まっとろぅ。クビだよ、クビ。重大な隊務規定違反、それを一日に二度だぞ?」

「他のC級隊員にマネされても問題ですし、市民に『ボーダーは緩い』と思われたら困りますからねぇ」

 

この二人は本部開発室長の鬼怒田さんと根付さんだ。たまに偉そうにしている二人と言われているがこの二人がボーダーからいなくなればその損害は計り知れないものだ。

それほどこの二人もボーダーにとって欠かせない人たちだ

 

鬼怒田「そもそもコイツのようなルールを守れんヤツを『炙り出す』ためにC級にもトリガーを持たせてるんだ。バカが見つかった。処分する。それだけの話だ」

迅「おお、すごい言われようだな」

修「・・・・・」

 

すごい人ではあるんだが少し言動が荒いところがある人だ

 

忍田「私は処分には反対だ。三雲くんは市民の命を救っている」

根付「近界民を倒したのは木虎くんでしょう?」

忍田「その木虎が三雲くんの救助活動の功績が大きいと報告している」

修「・・・・・!」

迅「へえ、あの木虎が」

 

正直、意外だった。木虎といえば自尊心の高い奴だ。特に同年代に対して負けたくないという対抗心を剥き出しにしている。その木虎が同い年に・・・か。何か心境の変化でもあったんだろうか

 

忍田「さらに嵐山隊の報告によれば三門第三中学校を襲った近界民(ネイバー)は三雲くんが単独で撃退している。隊務規定違反とはいえ緊急時にこれだけの働きができる人間は貴重だ

彼を処分するより、B級に昇格させてその能力を発揮してもらう方が有意義だと思うが?」

 

俺もそうした方がいいと思っているが

 

城戸「本部長の言うことには一理ある・・・・が、ボーダーのルールを守れない人間は私の組織には必要ない」

 

まあ、城戸さんはそう言うよな

 

城戸「三雲くん、もし今日と同じようなことがまた起きたら、きみはどうするかね?」

修「・・・!それは・・・目の前で人が襲われてたら・・・やっぱり助けに行くと思います」

 

『メガネくん』君はやっぱりそういう選択をするんだな

 

鬼怒田「ほら見ろ!まるで反省しとらん。クビで決まりだ」

(馬鹿正直なヒーローだな・・・これでクビとはもったいない・・・)

根付「三雲くんの話はもういいでしょう。今はとにかくイレギュラー(ゲート)をどうするかです!

先ほどの爆発で分かっているだけでも18名が死亡、重軽傷者は100名以上、建物への被害は数知れず。第一次近界民(ネイバー)侵攻以来の大惨事ですよ!」

 

確かに今回のは俺も読み逃してしまっていた

 

根付「このままでは三門市を去る人間も増えるでしょう。被害者への補償も大変な額になりますよ。ねえ、唐沢さん」

 

そう言って一人煙草を吸っている人に聞いた。外務・営業部長の唐沢さんだ

 

唐沢「いや、金集めは私の仕事ですから、言ってもらえれば必要なだけ引っ張ってきますよ。

しかし、今日みたいな被害が続くとさすがにスポンサーも手を引くかもしれませんね。開発部長」

鬼怒田「・・・それはわかっとる。しかし開発部総出でもイレギュラー門の原因がつかめんのだ。今はトリオン障壁で(ゲート)を強制封鎖しとるが・・・それもあと46時間しかもたん。それまでにどうにかせんと・・・」

 

そんな話を聞きながら手元にある端末を見ていた。なるほど、俺の仕事は

 

「・・・でおまえが呼ばれたわけだ。やれるか?迅」

 

そう、うちのボス林道さんが聞いてきた。

 

迅「もちろんです。実力派エリートですから」

鬼怒田・根付「「・・・!?」」

根付「どうにかなるのかね!?」

迅「任せてください。イレギュラー(ゲート)の原因を見つければいいんでしょ。その代わりと言っちゃなんですけど

彼の処分はおれに任せてもらえませんか?」

 

俺は代わりに彼の事を任せてもらうという条件をだした

 

城戸「・・・・・彼が関わっているというのか?」

迅「はい、俺の『サイドエフェクト』がそう言ってます」

忍田・三輪「「・・・・・!」」

 

城戸「・・・いいだろう。好きにやれ」

鬼怒田「城戸指令・・・・!?」

城戸「解散だ。次回の会議は明日21時よりとする」

 

そして解散となった。

 

迅「さて、よろしく頼むぞ。『メガネくん』」

修「!は、はい!」

 

迅「おれが原因見つけてくるから、そのあとはよろしくね、鬼怒田さん」

鬼怒田「わかっとるわい!」

 

迅「根付さん、根付さん、これ見てこれ」

「瓦礫に埋まって出られなかったんだ」

「それをボーダーが助けてくれて・・・」

「そうそうあのメガネの子」

 

迅「これ三雲くんのことですよ。根付さんに味付けでうまいことすれば・・・」

根付「ふーむ・・・!ボーダーの株を回復させられるかもしれないねぇ・・・!・・・ん?これは?」

迅「ん?こっちは・・・」

「背の高い青年が私たちを助けてくれたんです」

「すごくかっこよかった!」

「そういえば彼助けてくれたけど彼ボーダーじゃないように見えたよ」

 

根付「ん~~?これは誰の事いってるんですかねぇ?迅くん?」

迅「・・・・・」

 

多分これはあの未来で見たあの・・・

そんなこんなで俺はメガネくんと一緒にボーダーを出た。少しメガネくんが遅れて出てきたのはおそらく秀次に何か言われたんだろう

 

 

 

 

指令室には城戸指令と三輪隊員だけが残っていた

 

三輪「城戸指令、うちの隊で三雲を見張らせてください。三雲は近界民(ネイバー)と接触している疑いがあります」

城戸「ほう、どういうことだ?」

三輪「今日学校で回収したモールモッドは三雲本人のトリガーで倒されていました。

しかし昨日のバムスターからは()()()()()()()()()()()トリガーの反応が検出されました。

ボーダーのものではないトリガー、すなわち近界民(ネイバー)のトリガーです」

城戸「・・・なのに彼はそれを()()()()()()といっている・・・か」

 

彼はA級7位の三輪隊 隊長、三輪 秀次である

 

三輪「証拠は挙がっています。すぐにボロを出すはずです」

城戸「なるほど、任せよう」

三輪「もし実際に近界民(ネイバー)が絡んでいた場合は?」

城戸「決まっている」

 

城戸指令の目はどこまでも冷たかった

 

城戸「始末しろ。近界民は我々の敵だ」

 

 

 

 

修side

 

昨日のひと騒動から朝が明けた。昨日の夜、空閑や悠に聞いた。サイドエフェクトとは何か。要するにトリオン能力の高い人間がそのトリオンが脳や感覚器官に影響を及ぼし稀に超感覚を発現させるらしい

僕は昨日迅さんと約束した場所に移動することにした

 

そして僕は迅さんと約束した場所についた

 

迅「よう、メガネくんおまたせ」

修「あ、おはようございます」

 

待っていると後ろから迅さんの声がした

 

迅「さあ、この先にイレギュラー(ゲート)の原因を知ってる人間がいる」

修「!迅さんの知ってる人ですが!?」

 

驚いた。昨日の今日でもう原因を見つけたのかと。だが

 

迅「いや、全然」

修「・・・・え!?」

迅「でも多分メガネくんの知り合いだと思うよ」

修「ぼくの・・・!?どういう意味ですか!?」

 

そう聞きながら歩いているとあるところに着いた

 

修(ここは・・・)

 

そこは僕が一昨日大型近界民(ネイバー)と遭遇して空閑に助けられたところだった。そこには二人の見知った顔が

 

遊真「ん?」

悠「・・・・修?」

 

そこには昨日の夜も話していた悠と空閑が何かをしていた

 

修「・・・悠!空閑!」

迅「・・・・・」

修「?迅さん?」

迅「・・・ああ、やっぱり知り合い?」

 

迅さんは最初何か考えていた

 

遊真「おう、オサム。・・・・とどちらさま?」

迅「おれは迅 悠一!よろしく!」

遊真「ふむ?そうかあんたがウワサの迅さんか」

迅「おまえちびっこいな!何歳だ?」

遊真「おれは空閑 遊真。背は低いけど15歳だよ。そしてこっちが」

 

空閑がそう言って悠の事も迅さんに紹介しようとしたら

 

悠「・・・・・」

迅「・・・・・」

 

二人は何故か互いを見て黙っていた。いったいどうしたんだ?

 

遊真「?どうしたんだ、悠?」

悠「・・・いや、何でもない。俺は空閑 悠だ。何となく分かっていると思うが遊真の兄だ。俺の事は好きなように呼んでくれ」

迅「・・・ああ、俺は悠って呼ばせてもらうよ。よろしくな。」

悠「ああ、よろしく頼む、迅」

 

悠が先輩である迅さんにため口を聞いていてさすがに注意した

 

修「おい悠、迅さんは先輩なんだから、さすがに言葉遣いを」

迅「いや、メガネくんいいよ・・・敬語とかあんまり得意じゃないからそのままでいいよ。よろしくな!悠!」

悠「すまないな。こちらこそよろしく頼む」

 

そして二人が握手した。険悪にならなくてよかった

 

迅「遊真、悠、おまえたち()()()()()()から来たのか?」

修「・・・!?」

遊真「!」

悠「・・・・・」

 

その瞬間、空閑が迅さんから離れた。悠も離れはしなかったが少し目を細めたように見えた。その二人に迅さんは慌てて訂正した

 

迅「いやいや!待て待て!そういうあれじゃない。おまえたちを捕まえるつもりもない。

俺はむこうに何回か行ったこともあるし、近界民(ネイバー)にいい奴がいることも知ってるよ」

修「・・・・・!」

 

なんだって!今迅さんはとんでもない事を言った。むこうの世界に行ったことがある?つまり近界民(ネイバー)の世界に?

 

迅「ただ俺のサイドエフェクトがそう言ったから、ちょっと訊いてみただけだ」

修「迅さんサイドエフェクトって・・・!?」

 

そして迅さんは話してくれた自分にある副作用のことを

 

迅「おれには未来が見えるんだ。目の前の人間の少し先の未来が」

修「・・・・未来!?」

悠「・・・・・未来視というやつか」

 

迅「昨日基地でメガネくんを見たとき今日この場所で誰かと会ってる映像が見えたんだ。その『誰か』がイレギュラー(ゲート)の謎を教えてくれるっていう未来のイメージだな。

多分それがこいつらだ」

 

そう言って迅さんは悠の顔を見ながら空閑の頭をわしわししていた。というか

 

修「!じゃあ悠、空閑お前達・・・突き止めたのか!?原因を!」

遊真「うん。ついさっき」

悠「イレギュラー門を出していたのはこいつだ」

 

悠はそう言って他に比べたら小型の近界民(ネイバー)を持って俺たちに見せた

 

修「・・・!?なんだこいつは・・・!?トリオン兵・・・!?」

レプリカ【詳しくは私が説明しよう】

 

そう言ってレプリカが空閑の服の中から出てきた

 

レプリカ【はじめましてジン、私はレプリカ、ユーマにお目付け役だ】

迅「おお、これはどうも。はじめまして」

レプリカ【これは隠密偵察型トリオン兵『ラッド』、ただし(ゲート)発生装置を備えた改良型のようだ。昨日と一昨日の現場を調べたところバムスターの腹部に格納されていたらしい。一体掘り出して行動プログラムを解析してみた。

ラッドはバムスターから分離した後地中に隠れ周囲に人がいなくなってから移動を始め散らばっていく。人間の多い場所付近で(ゲート)の起動準備に入り、近くを通る人間から少しずつトリオンを集めて(ゲート)を開く】

悠「ボーダー隊員の近くで(ゲート)が開くことが多いのは、高いトリオン能力を持つ人間からは大量のトリオンを得られるからだ」

 

僕はその説明を聞いて納得した。そういうことかと。でも、それなら

 

修「じゃあつまりそのラッドを全部たおせば・・・」

遊真「いや~きついと思うぞ」

レプリカ【ラッドは攻撃力を持たないいわゆる雑魚だがその数は膨大だ。今探知できるだけでも数千体が既に潜伏している】

 

その数に僕は驚いた

 

修「数千・・・!」

遊真「全部殺そうと思ったら何十日もかかりそうだな」

迅「いや、めちゃくちゃ助かった。こっからはボーダーの仕事だ」

悠「・・・ボーダーのお手並み拝見だな」

 

 

そして迅さんの指揮のもとC級隊員を動員した小型トリオン兵の一斉駆除作戦が昼夜を徹して行われた

 

 

【反応はすべて消えた。ラッドはこれで最後のはずだ】

迅「よーし、作戦終了だ!」

 

そしてすべてのラッドが倒された。

 

修「これでもうイレギュラー(ゲート)は開かないんですよね?」

迅「うん。今日からまた平常運転だ。」

修「・・・よかった」

 

本当に良かった。

 

遊真「しかしホントに間に合うとは。やっぱ数の力は偉大だな」

迅「何言ってんだ。間に合ったのは遊真と悠とレプリカ先生のおかげだよ。お前たちがボーダー隊員じゃないのが残念だ。表彰ものの手柄だぞ」

悠「・・・そうか。ならその手柄は修につけておけ。そのうち俺と遊真で返してもらうさ」

修「・・・え?」

 

え?

 

迅「あーそれ、いいかもな。メガネくんの手柄にすればクビ取り消しとB級昇格は間違いないよ」

修「ま、待ってください。ぼく、ほとんど何もしてないですよ!?」

 

本当にぼくは今回いもしていない。それなのに

 

迅「メガネくんがいなかったら遊真たちに会えてないし、地味に重要人物なんじゃない?」

修「そんな無理やりな・・・」

遊真「いいじゃん、もらっとけよ。おれたちの手柄がナシになっちゃうじゃん」

修「・・・・・」

 

それでも、ぼくは・・・

 

迅「B級に上がれば正隊員だ、基地の外で戦っても怒られないしトリガーも戦闘用のが使える。

俺の経験から言って・・・パワーアップはできるときにしとかないと、いざって時に後悔するぞ。それに確かメガネくんは・・・

助けたい子がいるからボーダーに入ったんじゃなかったっけ?

修「・・・・・!」

 

そうだ。ぼくは・・・

 

遊真「・・・ふむ?」

悠「・・・・・・」

 

そして僕たちは解散したが最後に迅さんが悠に少し残ってほしいらしく悠も残った。ぼくと空閑は先に帰路についた

 

 

 

迅side

 

・・・・・ようやく、話せる

 

迅「悠、単刀直入に聞きたい」

悠「・・・・・なんだ」

 

 

迅「おまえはこの三門市を滅ぼすつもりか?」

 

 

悠「・・・・・・・」

 

俺が見た三門市が壊滅する未来でその中心に立っていたのは間違いなく悠だ。最初、悠を見たとき確信した。だから俺はこいつに聞かなけらばならない

 

迅「・・・もし、お前がこの三門市を壊すつもりでいるなら俺は今ここでお前を殺さなくてはいけない」

悠「・・・・・・・」

 

俺は自分の腰に付いたホルダーから亡き師匠の形見である(ブラック)トリガーを取り出す。もし悠がこちらに敵意があるなら迷わず殺せるように

悠は視線だけをこちらに向けた。鋭い目、その目が語っていた。いままでのあまりにも壮絶であろう人生を。

俺は未来が見えるだけでその人の過去が見えるわけじゃない。それでもわかってしまう。敵意を向けるのならすぐに殺せる。自分はただの獲物でしかないということが

 

悠「・・・・・俺は」

 

そして悠が今の心情を語りだした

 

悠「俺は、もう戦いはうんざりなんだ。あっちの世界で毎日のように戦いそのたび死んでいく俺と同じ立場の奴らを見てきた。

そんなとき、仲間の一人が教えてくれた。玄界(ミデン)という星があると。地球という平和な星があると。そして俺たちは誓った。みんなで行こうと。みんなで地球に行こうと、みんなで幸せに暮らそうと」

 

彼はそんなことを話していた。俺にはわかったことだが、今にも泣いてしまいそうな顔で話していた

 

悠「・・・だが、世界は俺たちを見放した。仲間が死にそうになっても世界は決して助けてはくれない。あいつらが死ぬ前に言ってた。

【ありがとう】・・・と。俺はあいつらになにもしてやれなかったのに。そしてあいつらは最後に俺に命を託して消えていった」

 

そう言って悠は首に手をやり紐にかけられた黒銀の指輪を手に取り握りしめた・・・・・まさか

 

悠「俺は世界を恨んだ。神を憎んだ。だが、俺は、俺たちはもう疲れたんだ。もう休みたいんだ。だから、俺たちはこの国で静かに暮らす。それだけだ。」

 

そう言って悠は歩き始めた。俺は何もできない。出来るわけがない。

 

悠「・・・・・・・だが」

 

そう言って悠はこちらに振り向いた

 

 

 

悠「もしお前らが俺たちを殺そうと言うなら・・・・・俺はこの星を滅ぼそう」

 

 

その瞳はどこまでも澄んだ蒼色だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?side

 

わたしはある人との約束のため川沿いを歩いていた

 

(ちょっと早く着きすぎたかな・・・・・)

 

そう思いながら川沿いをあるいていると後ろからガシャンと大きな音が聞こえた。後ろを見ると

 

「うーむ・・・手強い」

「全然だな」

 

倒れている自転車とその自転車に乗って転んだと思われる白い髪が特徴的な少年とその少年のお兄さんのような人がいた。私はとりあえず少年に駆け寄った

 

「だ、大丈夫!?」

「ふむ?平気平気、ぜんぜん平気、ケガなんかしてないよ」

よかったと思い男の子を見た

 

(わたしと同じくらいの背・・・小学生かな・・・)

 

そんなことを思っていると

 

「次はもっとバランスを取れるようにした方がいいぞ、遊真」

 

もう一人のお兄さんらしい人がこっちに来た。『お兄さん』・・・か。そんなことを思いながらも私はその人を見て思わず止まってしまった

こっちの男の子とは真逆で180cmはあるかもしれない身長、そしてこれも男の子とは違い黒髪であった。そしてなによりわたしが思わず見惚れてしまったのが彼の瞳だった。

この男の子の赤い瞳と違いどこまでも澄み渡った、まるで空が閉じ込められたのかと思うほどの蒼い瞳であった。わたしはしばらく見て固まってしまったが

 

「?大丈夫か?」

「!はっはい・・・」

 

この人に声をかけられ何とか戻った。そして男の子に話しかけた

 

「自転車の練習してるの?」

「友達を待ってんだ。その間ヒマだから練習してるだけ」

 

わたしといっしょだ

 

「そうなんだ。わたしもここで待ち合わせしてるの」

「そうなのか、奇遇だな」

「おまえ・・・自転車乗れる?」

「え?うん、一応・・・」

「・・・・・やるね」

「これを乗れるのか?すごいな」

「そ、そうかな」

 

すこし照れちゃうな

 

「こんな絶対転びそうな乗り物がどんな仕掛けでまっすぐ走ってるのかと思ったら、別になんの仕掛けもなかった!驚愕の事実・・・!

これで倒れずに走れるのが不思議だ・・・日本人は何か特別な訓練でもされてるのか?」

(外国の人たちなのかな・・・?)

 

そんなことを思っていると私の携帯が鳴った。たぶん『修くん』だ

 

「もしもし。・・・うん、わかった。待ってる、じゃあね。」

「おまえの知り合いか?」

「うん、すこし遅れるみたいで」

 

何故か会ったばかりの人なのに話してしまう。本当は危ない事だけどこの人は大丈夫な気がする

 

「それなら、すこしあいつを手伝ってやってくれないか」

「・・・え?」

「俺もあれの乗り方を知らなくて教えられないんだ。だから、頼めないか」

 

「わっ!大丈夫!?」

「大丈夫、大丈夫」

 

そして私は男の子に自転車の乗り方を教えてあげている

 

「おっ?おおっ!?これは!?

走ってる!ちゃんと走ってる!これはつかんできた!だんだんコツ掴んできたぞ!!つかん・・・どぅわー」

「わあ!?」

 

まだまだ道のりは長そうだね

 

「いやーあぶなかった。せっかく買った自転車が川の藻屑になるとこだった」

「まったくだ、言っただろう。バランスを取れと」

落ちた男の子と自転車をお兄さんが引き上げた二人ともずぶ濡れだ

 

「二人とも、大丈夫?」

「うん、大丈夫だ」

「ただ濡れただけで怪我とかはしてないさ」

 

そう言って二人ともずぶ濡れの服をしぼっていた。あんまり見ないようにした。その時、目の端にお兄さんがしぼっていてお腹の部分が見えてしまった

 

「・・・・・・・え?」

 

お兄さんの体は細いけどお腹に筋肉がちゃんとあり6つに割れていた。でも私はそれ以上にそのお腹にあった無数の傷に思わず言葉を失った

 

「?どうしたんだ?」

「・・・いえ、何でもないです」

 

私は何も言わなかった。もしかしたら言ってはいけないことだと思って

 

「でも確実になにかつかめたな」

「フッ・・・そうだといいがな。彼女のおかげだな」

「・・・え?」

「そうだな。おまえのおかげだ。えーと・・・名前まだ聞いてなかったな」

「わたしは千佳、雨取 千佳」

「そうかチカか。おれは遊真。空閑 遊真」

 

そしてお兄さんも

 

「俺は空閑 悠だ。好きなように呼んでくれ。遊真を手伝ってくれて助かった。ありがとう」

遊真くんと悠・・・さん?なのかな

 

千佳「あの遊真くんと悠さん?は」

悠「ああ、兄妹だ。俺が兄だ」

 

本当に『お兄さん』だったんだ。そんなことを思っていると

 

ウウーーーーーー

 

警報が鳴った。ここにいたら駄目だ

 

遊真「おっ警報、けっこう近いな。でも警戒区域の中か・・・」

悠「みたいだな。こっちには来ないだろう」

ダッ

遊真「ん?」

 

いますぐここを離れないと

 

千佳「ごめん!わたし行くね!」

 

そしてわたしは『警報が鳴った方』に向かった

 

 

遊真「おいおいそっちは警戒区域・・・近界民(ネイバー)がいる方だぞ?」

悠「・・・・・まずいな」

レプリカ【彼女・・・・警報が鳴る前に襲撃に気づいていたように見えたが・・・】

遊真「・・・え?」

悠「・・・遊真、お前はここで修を待っていてくれ。俺が行ってくる」

遊真「わかった」

 

 

 

私は警戒区域の中に入った

 

千佳(ここまでくれば街の方には行かないよね・・・)

 

そう思っていると目の前でズシンズシンという音がしたので前を見ると大きな近界民がいた

 

千佳「・・・・!」

 

私はすぐにそこから離れて建物の陰に隠れた

 

千佳(大丈夫、わたしは見つからない。落ち着いて・・・自分を空っぽにするの・・・)

 

そう思いながら心を無にする。そのとき

 

ピロリロリとわたしの携帯が鳴ってしまった。近界民(ネイバー)がわたしに気づき大きな口を開けて襲い掛かってきた

 

千佳「・・・・・・!!」

 

終わるのかな・・・そう思い身を任せていたが謎の浮遊感がわたしを襲った。機械のような冷たさではなく、人の体の温もりを感じた

 

千佳「・・・・・?」

 

恐る恐る目を開けるとそこには

 

悠「・・・・ふぅー、危なかったな」

 

悠さんがわたしを抱えて走っていた

 

千佳「・・・・悠さん!?」

悠「千佳、大丈夫か?」

千佳「はっはい」

悠「何故、こんなところにいるのかあとで教えてもらうぞ」

千佳「・・・・・」

 

悠さんはそう言いながら走っていた

 

悠「・・・さて、どうしたものか。修が早くついてくれるといいんだがな」

千佳「・・・・・え?」

 

わたしは知っている名前が出てきてびっくりした

 

千佳「『修』・・・?」

悠「修を知ってるのか?・・・修にもあとでいろいろ聞く必要があるな」

 

そう悠さんが言っていると目の前の近界民がいきなり後ろを向いた。その先には修くんがいた

 

修「アステロイド!・・・スラスターON!」

 

修くんは目の前にいた近界民(ネイバー)を倒してくれた。遊真くんが何故か一緒にいた。いろいろと頭が混乱してきた

 

修「千佳!!なんでおまえが警戒区域に入ってるんだ!バカなことはやめろ!悠、千佳を助けてくれてありがとう!」

千佳「ごめん。街の方にいたらあぶないと思って・・・」

 

修くんにおこられてしまった。それとどうやら修くんと悠さんと遊真くんは知り合いみたいだ

 

悠「修、説明しろ。お前は千佳と知り合いということでいいんだな」

修「・・・・・ああ、今日は千佳に合わせたくておまえたちを呼んだんだ。悠、空閑、レプリカ、お前たちの知恵を貸してくれ」

そして修くんは話した

 

修「こいつは近界民(ネイバー)を引き寄せる人間なんだ」

 

わたしの秘密を

 

悠「・・・・・」

遊真「ふむ・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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6話

悠side

 

修「こいつは、近界民(ネイバー)を引き寄せる人間なんだ」

遊真「ふむ・・・?近界民(ネイバー)を引き寄せる・・・?」

悠「なるほど。そういうことことか」

 

修は今日、俺たちと千佳を会わせるために呼んだようだ

 

レプリカ【話をするなら場所を変えようオサム。付近に他のボーダーがいる】

修「・・・そうだな、移動しよう」

 

そう言ってこの場から移動することにしたが

 

悠「・・・俺は少し疲れたから飲み物を買ってくる。先に行っててくれ」

修「え?わっわかった。この先の廃駅にいるから早く来いよ!」

悠「・・・ああ、わかった」

 

そして俺は飲み物を買いに行くためにその場を離れた。

・・・そういえば、あの後を尾けていた奴らはどこに行った?

 

 

 

修side

 

修「・・・というかそもそも」

 

僕たちはあの場を離れて近くにあったもう使われていない廃駅にいた

 

修「なんでおまえたちが一緒にいたんだ?」

 

僕はなんで千佳が空閑達と先に会ってたのか気になった

 

千佳「えっと・・・待ち合わせの橋の下で知り合って・・・」

遊真「自転車を押してもらって川に落ちた」

修「・・・さっぱりわからん」

 

訳がわからなかった

 

修「まあいい、ひとまずお互いを紹介しておこう。

こっちは雨取 千佳、うちの学校の二年生。僕が世話になった先輩の妹だ」

千佳「・・・よろしく」

修「こいつは空閑 遊真、最近うちのクラスに転校してきた。外国育ちで日本についてはまだよく知らない」

遊真「どもども」

 

僕はとりあえず今目の前にいる二人の事をお互い紹介した

 

千佳「えっ修くんと同級生!?じゃあ年上!?

ごめんなさい、わたしてっきり年下だと・・・」

遊真「いいよべつに年の差なんて」

修「そして今ここにはいないけどさっき飲み物を買いに行ったやつが空閑 悠、空閑の兄だ」

千佳「うん、さっき教えてもらった」

修「そうか」

 

そう紹介して僕は本題にはいった

 

修「空閑は近界民(ネイバー)で・・・じゃない、近界民(ネイバー)に詳しいんだ。千佳が近界民(ネイバー)に狙われる理由も知ってるかもしれない」

千佳「そっか、遊真くんもボーダーの人なんだ」

修「う・・・まあ大体そんなもんだ」

遊真「そんなもんのようです」

 

一瞬ドキッとしたがなんとか平静を保てた

 

遊真「・・・しかし、近界民(ネイバー)に狙われる理由なんてトリオンくらいしか思い浮かばんなー」

修「トリオン・・・!?トリオンが何か関係あるのか・・・!?」

 

トリオン!トリオンが一体なんの関係があるんだ?

 

遊真「関係あるもなにもこっちの世界に来る近界民(ネイバー)はだいたいトリオンが目的だよ。

トリオン能力が高いやつは生け捕りに、トリオン能力が低いやつはトリオン器官だけとっていく。そうやって集めた兵隊とトリオンを()()()の戦争で使うわけだ」

修「な・・・・!!」

 

なんだって!?

 

修「なんでわざわざこっちの人間を・・・!?」

遊真「そりゃこっちのほうが人間がたくさんいるからだろうなあ。

近界民(ネイバー)的にはトリオンの強い人間のほうが欲しいだろうから千佳がしつこく狙われるのはそれだけトリオン能力が高いってことかもな」

 

なるほど。そういう理由で近界民はこっちの世界に・・・

 

千佳「トリオン能力?・・・って?」

修「近界民(ネイバー)の武器を使うための特殊な力のことだ」

遊真「なんなら試しに測ってみるか?なあレプリカ」

レプリカ【そうだな、そうすればはっきりする】

 

空閑がそう言ったら空閑の指にはまっている指輪の形をしたトリガーからレプリカがでてきた

 

千佳「わっ」

レプリカ【はじめましてチカ。私はレプリカ、ユーマのお目付け役だ】

千佳「は、はじめまして」

 

そしてレプリカの口の部分からあるものがでてきた

 

レプリカ【この測定器でトリオン能力が測れる】

遊真「どうぞご利用ください」

千佳「う、うん・・・でもちょっとこわいな・・・」

 

そう言って千佳はすこし怖がっていた。・・・よし

 

修「レプリカ、僕が先に測っていいか?」

千佳「・・・!」

レプリカ【了解だ】

 

そして計測して数秒してから

 

レプリカ【計測完了】

修「・・・!」

 

目の前には僕の顔と同じくらいの大きさの光の立方体(キューブ)が出た

 

レプリカ【この立方体(キューブ)はオサムのトリオン能力を視覚化したものだ。立方体(キューブ)の大小がトリオン能力のレベルを表している」

修「このサイズはどのくらいのレベルなんだ?」

遊真「うーん、近界民(ネイバー)に狙われるにはこの3倍はほしいかな」

修「・・・別に狙われたいわけじゃない」

 

これで千佳ももう怖がらないだろう

 

修「千佳、おまえも測ってもらえ。大丈夫だ」

千佳「・・・うん。修くんがそう言うなら・・・」

レプリカ【少々時間がかかりそうだ。楽にしていてくれ】

千佳「うん」

 

そして千佳が測ってもらっていると

 

遊真「オサムとチカって付き合ってんの?」

修「!?ばっ・・・」

 

空閑がいきなりそんなことを言ってきた

 

修「ち、ちがう!全然そんなんじゃない!!」

遊真「なんだそうなのか」

修「千佳はお世話になった先輩の妹で・・・それで知り合ったってだけで・・・」

遊真「ふーん、まあいいけど」

 

そんなことを言ってると空閑がボーダーに助けてもらえばと言ってきた。そして

 

遊真「そういえば、悠ずいぶん遅いな」

 

 

 

 

悠side

 

俺は一度警戒区域を出て飲み物を近くのコンビニに買いにいった。そして修が言っていた廃駅に向かっていると

 

迅「よお、悠」

悠「・・・・・迅?」

 

目の前に迅がいた

 

悠「どうした迅、俺の未来でも見えたか?」

迅「まあ、そんな感じなんだ。少し来てくれないか?」

悠「・・・あの俺たちを尾けていた奴らの事か」

迅「!?・・・すごいな、あいつらかなり距離開けて尾行してたんだけどな。そいつらがおそらくそろそろメガネくんたちと接触するから」

悠「・・・まあいい。たとえそいつらでも遊真には勝てないだろうがな」

迅「ああ、そうだな。とりあえず行こう」

 

そして俺は迅についていった

 

 

 

 

修side

 

僕は半年ぐらい前のことを思い出して空閑の言ってたことに答えた

 

修「・・・千佳は他の人間を巻き込みたくないらしい」

遊真「ふむ・・・?」

修「他人を巻き込むくらいなら一人で近界民(ネイバー)から逃げ続ける。そういうわけわかんないやつなんだ」

遊真「ふーむ・・・」

 

空閑はしばらく考えていると

 

遊真「・・・あれ?おれは巻き込まれていいの?」

修「おまえは近界民だし巻き込んだのはぼくだからいいんだ」

遊真「ほう、ならいいな。しかしチカはよく一人で逃げられるなー、トリガーもないのに」

修「あいつは自分を狙う近界民の居所がわかるらしいんだ。今まで半信半疑だったけど・・・」

 

千佳のその力はおそらく・・・

 

遊真「あ、サイドエフェクトか」

修「・・・たぶん」

遊真「なるほどね。そんでオサムはチカを助けたくてボーダーに入ったわけか」

修「別にあいつを助けたいわけじゃ・・・ぼくは街を守るために・・・」

 

図星をつかれてすこし言いよどんでしまった

 

遊真「おまえ、つまんないウソつくねー。ごまかす必要ないだろ。誰かを助けたいってのは立派な理由じゃん」

修「・・・そんな立派な話じゃない。ぼくがボーダーに入ろうと思ったのは・・・何もできない自分に腹が立ったからだ」

遊真「・・・・・」

 

そんな話をしていると

 

レプリカ【計測完了だ】

 

そうしてレプリカと千佳の方を見ればそこには千佳の体の大きさを遥かに超えているとても巨大な立方体(キューブ)があった

 

修「・・・!?」

遊真「うおお・・・!でっけー!オサムの何倍だ?これ!」

千佳「・・・・・」

レプリカ【尋常ではないな。これほどのトリオン器官はあまり記憶にない。素晴らしい素質だ】

遊真「すげーな、近界民(ネイバー)に狙われるわけだ」

修「安心してる場合じゃない!」

 

これではっきりした

 

修「千佳が狙われる理由はわかった。問題はそれをどう解決するかだ!」

レプリカ【最も現実的なのはやはりボーダーに保護を決めることだと思うが】

遊真「でもチカはそれイヤなんだろ?」

千佳「・・・うん。あんまり他の人に面倒かけたくない・・・

今までも一人で逃げてこれたからこれからもたぶん大丈夫だよ」

修「おまえそんなわけ・・・」

 

そんな話をしていると

 

コツッ

 

遊真「?」

 

後ろから足音がした。振り返ると

 

三輪「動くな、ボーダーだ」

修「!?」

三輪「間違いない、現場を押さえた。ボーダーの管理下にないトリガーだ」

レプリカ【・・・・・!】

三輪「近界民(ネイバー)との接触を確認、処理を開始する」

 

 

 

三輪 米屋「「トリガー・起動(オン)」」

 

 

 

ぼくは目の前の人を見た。この人は・・・

 

修(城戸指令の横にいたA級隊員の・・・!!)

米屋「さて、近界民(ネイバー)はどいつだ?」

修「・・・・・」

修(まずい・・・!レプリカを見られた・・・!)

 

そう心配していると

 

三輪「今、そのトリガーを使っていたのはそっちの女だ」

修「!?」

千佳「え・・・・・?」

米屋「初の人型近界民(ネイバー)が女の子か~ちょっと殺る気削がれるな~」

三輪「油断するなよ。どんな姿だろうと近界民(ネイバー)は人類の敵だ」

 

この人たちはとんでもないことを言いだした。ちがう!こいつは

 

修「ま、待ってください。こいつは・・・」

遊真「ちがうちがう、近界民(ネイバー)はおれだよ」

三輪 米屋「「!!」」

修(空閑・・・!)

千佳「近界民(ネイバー)・・・!?」

空閑!おまえ!

 

三輪「おまえが近界民(ネイバー)だと・・・?」

遊真「うん、そう」

三輪「・・・間違いないだろうな?」

遊真「まちがいないよ」

 

ドンドンドンという音とともにA級の人が空閑を撃った。なっ!

 

修「何してるんですか!!!」

三輪「近界民(ネイバー)を名乗った以上見逃すわけにはいかない。近界民(ネイバー)はすべて殺す、それがボーダーの務めだ」

遊真「おいおい・・・おれがうっかり一般人だったらどうする気だ」

修「空閑!!」

 

よかった!あの盾みたいなトリガーで防いだ

 

米屋「うおっマジかこの距離で防いだ!」

遊真「あのさボーダーに迅さんっているだろ?おれのこと訊いてみてくれない?いちおう知り合いなんだけど」

 

そうだ!迅さんなら

 

修「そ・・・そうです!迅さんに訊いてもらえればわかるはずです。こいつが他の近界民(ネイバー)とちがうって・・・」

三輪「・・・・・迅、だと・・・?やっぱり一枚噛んでいたか・・・()()()()の玉狛支部が・・・!」

修「『裏切り者』・・・!?」

 

どういうことだ?裏切り者?いったい・・・

 

三輪「退け三雲、俺たちは城戸指令の特命で動いている。これ以上邪魔をするようなら・・・実力で排除するぞ」

修「退きません。ぼくは・・・」

遊真「さがってろオサム、こいつらが用があるのはおれだ。こいつらとは・・・おれ一人でやる」

 

そして空閑はトリガーを起動した

 

遊真「オサムはチカに付いてやれ」

修「・・・わかった」

遊真「わるいなチカ、巻き込んで」

千佳「・・・・・!」

 

そして空閑は一人で目の前の二人と対峙した

 

遊真「そういえば、悠ホントにおそいな。どうしたんだ?」

レプリカ【わからないが、悠ならば何も問題ないだろう。今は目の前のボーダーに集中しよう】

遊真「そうだな。あいつに万が一もあるとは思えないし」

 

 

 

 

悠side

 

俺は迅に付いていき着いたのは修が言っていた廃駅の近くにある建物の屋上だった。

 

悠「迅、何故ここにいる必要がある?中に入ってしまえばいいだろう」

迅「いや、ここでいいと思うぞ。そろそろ遊真と三輪たちがバトり始める頃だろうからさ」

悠「・・・なるほど、そういうことか」

 

そういって俺はこの建物の向かいにある二つのビルの屋上を見た。そこには二人の狙撃手(スナイパー)がいた。

 

迅「・・・?はあー、なんであんな位置にいる奈良坂と古寺が見えるんだ?」

悠「慣れだな」

迅「マジか。とんでもないな」

悠「遊真もやり始めているな」

 

そう言って俺は駅の中の戦いを見ていた。すると

プルルルル ピッ

 

迅「はいはいもしもし?こちら実力派エリート、どうしたメガネくん」

 

迅の電話に修がかけてきたらしい。どうした・・・ね、理由なんざわかってるだろうに

 

修【迅さん!助けてください!A級の部隊が空閑を・・・】

迅「うん知ってる。三輪隊だろ?」

修【・・・え!?】

迅「知ってるっていうか見えてる。今悠と一緒に見てるよ」

修【え!?っていうか悠もいるんですか!」

迅「うん、いるよ。今ちょうどバトりだしたな」

修【な・・・それなら・・・】

 

迅「大丈夫大丈夫、安心して見てなよ」

修【・・・!?】

迅「三輪隊は確かに腕の立つ連中だけど遊真には勝てないよ。あいつは()()だからな」

 

そして迅は電話を切った

 

迅「じゃあ悠、一つ頼まれてくれないか」

 

突然そんなことを言ってきた

 

悠「・・・どうした?」

迅「悠さ、あそこの屋上にいる狙撃手(スナイパー)のところに向かってくれない?」

 

そして迅は狙撃手のいる二つのビルのうちの一つを指さした

 

迅「あそこにいる古寺はたぶんあのビルから動かないからさ。頼む」

 

迅はそう言って俺に頼んだ

 

悠「・・・貸し一つだ。それでいいな」

迅「うん。それでいいよ」

悠「・・・はあー、行くぞ」

 

そう言って俺と迅はそれぞれ行くビルまで向かった

 

 

 

 

修side

 

三輪「一発を警戒しろ。大型近界民(ネイバー)をバラバラにした相手だ」

米屋「そんなでかいのくらわないって」

 

迅さんはそういって電話を切った。空閑が特別?そして目の前では壮絶な戦いが繰り広げられていた

 

米屋「挟んだ!」

遊真「『弾』印(バウンド)

 

そして挟まれた空閑は上空に飛んだ。危なかった、そう思っていると遠くのビルから空閑が狙撃された

 

千佳「遊真くんのうでが・・・!」

 

やっぱり無理だ。A級二人にスナイパーまで・・・!でも・・・それにしても

 

米屋「あーあやっぱサシで戦りたかったなー。反撃がなきゃイジメみたくなっちゃうじゃん」

・・・そうだ、空閑にしてはおとなしすぎる

 

修「空閑はなんで反撃しないんだ?」

レプリカ【ふむ、私が考えるにその理由は二つほどある。

まず一つは単純に相手の位置取りがうまい。近づくときは絶えず片方がユーマの死角に回り込みユーマが一方を相手すればもう一方がすぐにその隙を突けるように動いている。

ユーマは広い場所に出て挟み撃ちを回避しようとしたが、それも読まれていて狙い撃ちされた。なかなか戦い慣れた部隊だ】

修「じゃあ普通に手も足も出ないってことなのか!?」

 

それじゃあ!もうだめなのか!

 

レプリカ【いや、確かに手強いがユーマが勝てない相手ではない。ユーマが反撃しない二つ目の理由は・・・オサムの立場を考えているのだろう】

修「ぼくの・・・?」

 

どういうことだ?

 

レプリカ【オサムがせっかくB級に上がったのに自分を匿っていたせいでそれが無になるかもしれない。そう思って平和的に交渉しようと試みたんだ。

だが、相手は聞く耳を持たなかった。オサムの立場を悪くしたくないがかといっておとなしく殺されるわけにはいかない。いまユーマは、『いかに穏便に相手を無力化するか』を考えているんだ】

 

なんだって?

 

修「『穏便に』・・・そんなやり方で勝てるのか・・・!?」

レプリカ【私は難しいと思うが決めるのはユーマ自身だ】

 

ぼくのために・・・空閑は

 

千佳「遊真くんって本当に近界民(ネイバー)なの・・・?」

修「・・・そうだ。でも他の近界民(ネイバー)とはちがう。ぼくも何度も空閑に助けられたし・・・近界民(ネイバー)だけど空閑は友達だ。・・・千佳はどう思うんだ?」

 

そうぼくは千佳に聞いた。そして千佳は

 

千佳「・・・うん、わたしも・・・近界民(ネイバー)でも・・・遊真くんは怖くない」

修「・・・そうか」

 

その千佳の言葉に安心していると

 

千佳「ねえ、修くん」

修「どうした千佳?」

千佳「遊真くんが近界民(ネイバー)ってことは・・・悠さんも近界民(ネイバー)なのかな?」

修「・・・ああ、悠も近界民(ネイバー)だ」

千佳「・・・そっか」

 

そう言って、千佳は静かになってしまった。そういえば空閑は・・・

 

三輪「手古摺らせるな近界民(ネイバー)。そろそろ観念して、おとなしく死ね」

遊真「・・・・『盾』印(シールド)

 

三輪先輩が銃で空閑を撃った。空閑は盾で防ごうとしたがなんと撃ったトリオン弾が盾を貫通して空閑に当たった

 

遊真「!?」

修「!!」

遊真「重っ・・・なんだこりゃ」

レプリカ【トリオンを重しに変えて相手を拘束するトリガーだ。直接的な破壊力がないかわりにシールドに干渉しない仕組みのようだ】

遊真「ふむ」

 

まずい!このままじゃ空閑が!

 

三輪「これで終わりだ近界民(ネイバー)!!」

修「空閑!!!」

 

やられる!

 

レプリカ【解析完了。印は『射』(ボルト)『錨』(アンカー)にした】

遊真「OK。『錨』印(アンカー)『射』印(ボルト) 四重(クアドラ)

 

空閑がそうつぶやくと空閑がさっき三輪先輩が撃っていたトリガーを撃ち返した!

 

三輪 米屋「「!?」」

三輪「ぐっ!!」

米屋「うおっ!!」

 

そういって空閑にとどめを刺そうとした二人が身動きが取れなくなっていた。どういうことだ!

遊真「おおーいいなこれ、かなり便利だ」

修「相手の攻撃をコピーした・・・!?」

三輪「いや、この威力はそれ以上の・・・!!」

米屋「・・・やっべー」

遊真「おおー穂先が自由に変形できるのか。だからギリギリ避けても食らったんだな。なるほどなるほど」

 

 

 

 

その光景を見ていた二人の狙撃手は危機感を抱いていた

 

奈良坂(三輪と陽介がやられた。やつは危険だ、ここで始末する・・・!!)

 

そう思い引き金を引こうとしたとき

 

迅「よう奈良坂、ぼんち揚食う?」

 

後ろに迅が立っていた

 

奈良坂「・・・!迅さん!?」

迅「もうやめとけ。あいつを、いや()()()()を敵に回すと損するぞ」

 

迅はそう言った

 

迅「もう古寺の方にも一人行ってるしな」

奈良坂「!?章平・・・!」

 

そう言って奈良坂は自分の後方にいる古寺の方を見た。その古寺は

 

古寺「三輪先輩と米屋先輩が負けた!?それに奈良坂先輩のところに迅さんが・・・!」

 

三輪と米屋がやられ奈良坂のところに迅がいるこの状況に古寺は混乱していた

 

古寺「いったいどうすれば・・・」

 

そう悩んでいると

 

 

 

「動くな」

 

 

 

 

突然後ろから首に刃を当てられたと錯覚するほどの殺気が込められた冷たい声で言われた

 

古寺「!?」

 

あまりに突然のことで一切の身動きが取れない

 

「その持っているトリガーを置いてこっちを向け」

 

古寺は下手に逆らったらまずいと本能的に悟り狙撃銃のトリガーを地面に置いて振り返った。そこには

 

古寺「・・・・!!」

 

そこには自分よりも背が高い中学生の制服を着た冷たい眼をした青年がいた。その青年は古寺がこっちを向いたのを確認すると電話をかけ始めた

 

悠「・・・迅、こっちの狙撃手(スナイパー)を見つけた。今そっちに連れていく」

古寺「・・・!?」

 

目の前の彼は迅の知り合いだと知って古寺は驚いた。彼は電話をかけ終わると古寺の方を見た

 

悠「・・・来い、迅のところに行くぞ・・・下手な真似をするなよ」

古寺「・・・・・」

 

古寺は彼の言葉に従って彼に続いた。

 

 

 

 

修side

 

今目の前ではさっきまでの状況と逆転していた

 

遊真「さて、じゃあ話し合いしようか」

三輪(こいつは・・・こいつのトリガーは・・・こちらの攻撃をコピーして何倍もの威力で打ち返してきた・・・!

『他者の攻撃を学習するトリガー』・・・!!そんな反則みたいなトリガー()()なのか・・・!?)

 

すごい!A級のボーダー隊員を一発で・・・!

 

修「やっぱり迅さんの・・・」

迅「おれの言った通りだったろ?」

修「!・・・迅さん、悠!」

悠「よう、修」

 

迅さんの声がして後ろを向くと迅さんと悠、そして知らない人たちがいた

 

迅「いやー、ついでだから悠と一緒に来たんだ。おっなんかかわいい子がいるな、はじめまして」

千佳「えっは、はじめまして」

迅「遊真たちはあっちか?悠、先に行ってるぞ」

悠「ああ、すぐに行く」

 

そして悠がこっちに来た

 

悠「大丈夫だったか修、千佳・・・?」

修「あ、ああ。そういえばどうして迅さんと一緒に?」

悠「飲み物を買ってそのまま行こうとしたんだがな、途中で迅に会って付いていくことになったんだ」

修「そっそうか」

 

そう言って悠は千佳に近づいた

 

悠「・・・・・」

千佳「・・・・・」

悠「・・・どうやら俺と遊真の事は聞いているらしいな」

修「・・・ああ」

悠「・・・そうか」

 

そして悠は千佳を見た

 

悠「無理をして接することはない」

千佳「・・・えっ?」

悠「おまえは近界民(ネイバー)の怖さをよく知っている。それなら無理をして俺たちに付き合う必要はない」

千佳「・・・・・」

悠「だがな」

悠は少しだけだが申し訳なさそうにしていた

 

悠「遊真とは仲良くしてやってほしい」

千佳「・・・・・えっ?」

悠「・・・あいつは父親を亡くしてずっと一人で戦ってきた。そんなあいつには修のような友達がいて今までよりずっと楽しそうだった」

修「・・・ぼくが?」

悠「ああ、だから千佳も遊真と仲良くしてやってほしい。頼めないか?」

 

悠はそう言っていた。千佳は少し何か悩んでいるようだった

 

千佳「わたしは・・・」

 

そして決意したように話した

 

千佳「いままで怖かった。ずっと狙われてきたから。でも・・・遊真くんは怖くない」

悠「・・・そうか」

千佳「そして、それはあなたもです。悠さん」

その千佳の言葉に悠は少し目を見開いて驚いていた

 

千佳「あんまり表に出さないけど、悠さんが遊真くんや修くんと話しているとき少しですけど、確かに楽しそうにしているんです」

悠「・・・・・」

千佳「そして、わざわざわたしを追ってきて助けてくれました。悠さんもわたしは、怖くありません。

だから、わたしは悠さんとも友達でいたいです」

 

千佳・・・おまえ・・・

 

悠「・・・はは」

 

悠がいきなりちょっと笑った

 

千佳「どっどうしました?」

悠「・・・いや、なんでもない。ただ」

 

そして悠はこちらを向いた。その顔はすこしだけど確かに、いつもよりやわらかい顔をしていた

 

悠「おまえの知り合いはどいつもお人好しばかりだと思ってな」

 

そうして小さく笑った

 

悠「ありがとう、千佳。これからもよろしく頼む」

千佳「うん。よろしくお願いします」

悠「俺は遊真と同い年だから敬語は不要だぞ」

千佳「あっそうだね。よろしくね・・・悠くん」

そうして二人は握手した。なんとかなったな

 

悠「俺は少し遊真のところに行ってくる」

修「ああ、わかった」

そして悠は迅さんと空閑のところに行った

 

迅「おーなんだ遊真、けっこうやられてるじゃんか」

遊真「おっ迅さん」

三輪「・・・!」

迅「油断したのか?」

遊真「いや、普通に手強かったよ?」

 

そう言っていた

 

悠「遊真、こいつらはどうだった?」

遊真「あっ悠。そうだなー、まあ強かったよ」

悠「・・・そうか」

 

迅さんに三輪先輩は恨みがましい顔で睨みつけていた

 

三輪「近界民(ネイバー)を二人も匿っておいてわざわざ俺たちを馬鹿にしに来たのか。」

迅「ちがうよ。おまえらがやられるのも無理はない。なにしろこいつのトリガーは、(ブラック)トリガーだからな」

 

迅さんが突然そんなことを言った。(ブラック)・・・トリガー?

 

三輪「・・・!?」

米屋「マジで!?」

奈良坂・古寺「「・・・・・」」

 

迅「むしろおまえらは善戦したほうだな。遊真におまえらを殺す気がなかったとはいえ・・・さすがA級三輪隊だ」

三輪「・・・・・」

 

迅さんはそんなことを言った

 

修「・・・レプリカ、黒トリガーって何だ?」

レプリカ【ふむ。黒トリガーとは優れたトリオン能力を持った使い手が死後も己の力を世に残すために、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

黒トリガーとは作った人物の人格や感性が強く反映されるため使用者と相性が合わなければ起動できないという難点があるがその性能は通常のトリガーとは桁違いだ】

修「自分の命と全トリオンを・・・」

空閑の言っていたあれは・・・

 

レプリカ【まあ、中には()()もいるがな】

修「例外・・・?」

 

そう言ってレプリカは静かにしている悠の方を何故か見ていた

 

迅「このところ普通の近界民(ネイバー)相手でもごたごたしてるのに黒トリガーまで敵に回したらやばいことになるぞ。

『こいつを追いまわしても何の得もない』、おまえらは帰って城戸さんにそう伝えろ」

奈良坂「・・・その黒トリガーともう一人の近界民(ネイバー)が街を襲わないっていう証拠は?」

迅「おれが保証するよ。クビでも全財産でも賭けてやる」

 

迅さん!やっぱりこの人は・・・!

 

三輪「・・・『何の得もない』・・・?損か得かなんて関係ない・・・!近界民(ネイバー)はすべて敵だ・・・!!」

遊真「・・・・・」

悠「・・・・・」

三輪「緊急脱出(ベイルアウト)!!」

 

そして三輪先輩は緊急脱出(ベイルアウト)していった

 

遊真「うおっ飛んだ」

悠「・・・あれは?」

迅「緊急脱出(ベイルアウト)、ボーダーの正隊員のトリガーはトリオン体が破壊されると自動的に基地へ送還されるようになってる」

悠「・・・なるほどな」

遊真「負けても逃げられる仕組みか、便利だなー」

 

そう言っていると

 

米屋「あー負けた負けたー!しかも手加減さてたとかー。さあ好きにしろ!殺そうとしたんだ、殺されても文句はいえねー」

悠「・・・ほう?」

遊真「・・・どうする?悠」

 

空閑は一度悠にどうするか聞いたが

 

悠「戦ったのは俺じゃなくおまえだ。決めるのはおまえだ」

遊真「ふむ、べつにいいよ。たぶんあんたじゃおれは殺せないし」

米屋「マジか!それはそれでショック!じゃあ今度は仕事カンケーなしで勝負しようぜ!サシで!」

悠「・・・戦いが好きなのは結構だが、お前は俺たち近界民(ネイバー)を恨んでいないのか?」

悠がそう言った

 

米屋「おれは近界民(ネイバー)の被害受けてねーもん。正直別に恨みとかはないね。けどあっちの二人は近界民(ネイバー)に家壊されてるからそこそこ恨みはあるだろうし

今、飛んでった秀次なんかは姉さんを近界民(ネイバー)に殺されてるから一生近界民(ネイバー)を許さねーだろーな」

遊真「・・・・・なるほどね」

悠「・・・・・・・」

 

空閑達はなにか話していた

 

奈良坂「陽介!ひきあげるぞ!」

米屋「おーう。じゃあな!次は手加減なしでよろしく!」

 

そして三輪隊の人たちは去っていった

 

迅「さてと、三輪隊だけじゃ報告が偏るだろうからおれも基地に行かなきゃな。メガネくんはどうする?どっちにしろ呼び出しかかると思うけど」

修「・・・じゃあぼくも行きます。空閑と千佳、悠はどこかで待っててくれ」

千佳「うん」

遊真「OK」

悠「わかった」

修「千佳、空閑たちはまだ日本のことよく知らないから面倒見てやってくれ」

千佳「うん、わかった」

修「じゃあ二人とも、またあとで」

 

三人にそう言ってぼくは迅さんとボーダー基地に向かった



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7話

悠side

 

俺たちは修と別れたあと近くにあった人気のない神社に来ていた

 

遊真「おお~いい感じのところだな」

千佳「そうかな。人が来ないし場所もちょうどいいからときどき隠れ家に使わせてもらってるの」

悠「なるほど、確かにいいところだ」

遊真「まあ飯でも食ってオサムを待とうぜ」

千佳「うん」

 

俺たちはそう言って神社の腰かけた。そして俺たちは飯を食べていると

 

千佳「遊真くんも・・・本当に近界民(ネイバー)なんだよね?」

遊真「そうだよ。悠も言ったんだよな」

悠「ああ、俺も近界民(ネイバー)だと言ったよ。それでも千佳は怖くないと言ってくれたよ」

遊真「あ、でも俺も悠もこの街を襲ってるやつらとはカンケーないよ」

千佳「うん、わかってる。修くんにも聞いたから」

 

そして千佳は何か言いたそうにしていた

 

千佳「・・・・・・あのね、遊真くんに聞きたいことがあるんだ」

遊真「ふむ?なに?」

千佳「近界民(ネイバー)にさらわれた人は近界民(ネイバー)の戦争に使われるって言ってたでしょ?それって・・・どんなふうに使われるの?」

千佳がそんな質問をしてきた。

 

遊真「ふーむ、それはさらわれた『国』によるかな」

悠「そうだな」

千佳「『国』・・・!?」

悠「そうだな。()()()の世界にもいろんな国があるんだ。それぞれの国でやり方が違うんだ」

遊真「()()()の世界に来てる近界民(ネイバー)も同じに見えて別々の国の近界民(ネイバー)だったりする。

だからさらわれてった国の状況・・・戦争に勝ってるか負けてるか兵隊を鍛える余裕があるかないか、司令官がデキるやつかダメなやつか、いろんな事情で話は変わってくる」

悠「だが、トリオン能力も高い人間は()()()でも貴重だ。ほとんどは戦力として優遇されるはずだ。」

遊真「チカとか超大事にされるかも」

悠「?修からなんとなくしか聞いてないがそこまでなのか?」

遊真「うん。やばいよ」

 

それが千佳が狙われる理由か

 

千佳「じゃ・・・じゃあ、さらわれた人がむこうで生きてるってことも・・・」

遊真「ふつうにあると思うよ」

千佳「そっか・・・そうなんだ・・・」

 

そして千佳はどこか安心したような顔をした・・・なにかありそうだな

 

遊真「なんだ?だれか知り合いがさらわれたのか?」

千佳「・・・ううん、ちがうの。ちょっと気になっただけ」

 

そう言った千佳を遊真がじっと見つめた。嘘か

 

遊真「・・・おまえ、つまんないウソつくね」

千佳「えっ」

遊真「こっちだけしゃべらせてそっちはヒミツかー。まあいいやあとでオサムに訊こう」

悠「・・・そんなに言えないことなのか?」

千佳「ごっごめん。待って待って!」

 

そう言って千佳は真実を話した

 

千佳「えっとね・・・ほんとはそうなの。近界民(ネイバー)にさらわれたの、小学生の時仲良くしてくれた友達とわたしの・・・兄さん」

悠「・・・・・」

千佳「二人がさらわれたのはわたしのせいなの。二人ともわたしが相談なんかして巻き込んだから・・・」

遊真「なるほど・・・だからもう他の人には頼りたくないって言ってたわけか、ボーダーとかにも」

千佳「うん・・・だって迷惑かけるだけだから・・・」

遊真「まあキモチはわからんでもないけどなー。おれと悠も今回オサムとチカを巻き込んだし・・・」

悠「確かにな。俺たちを匿っていたからな、それで修の昇級をふいにしたかもな」

遊真「もうしわけないな」

修は自分のことよりも俺たちを優先してくれていたからな

 

千佳「それは大丈夫だよ。修くんはたぶんそんなこと気にしない。『自分の意志でやったことだ』『おまえたちが気にすることじゃない』・・・って言うよ、たぶん」

悠「・・・フッ」

遊真「うーむ、言いそう」

 

確かに修が言いそうな事ですこし吹いてしまった

 

千佳「修くんはさっきも自分じゃなくて遊真くんの心配してたよ」

遊真「あいつは自分の心配と他人の心配のバランスがおかしいからな」

悠「そうだな。それに遊真は心配する必要はないんだがな」

千佳「え、でもボーダーの人が遊真くんと悠君を狙ってくるんでしょ?」

 

千佳はそう言って俺たちを心配してくれた。うれしいことだが

 

遊真「ボーダーが何人で来ようと、本気でやればおれとレプリカが負けるような相手はいないよ」

 

遊真はそう言っていたが俺は一人遊真では勝てるかわからない奴がいる

 

遊真「・・・いや、一人だけいるか・・・迅さん」

千佳「あのおでこにサングラスの人・・・?」

遊真「そう」

 

遊真では迅に勝てるかわからない・・・だが

 

遊真「でも、もし悠が戦うと決めれば迅さんでも勝てないよ」

千佳「・・・え?」

 

そう言って千佳がこちらを見てきた

 

遊真「おれが知ってる中で最強は悠だからな」

千佳「でも、悠くんはトリガーを」

悠「持ってるぞ」

千佳「え?持ってるの?」

悠「ああ」

 

そう言って俺は首からさげている()()()()の形見であるトリガーを取り出した。普通は見せないが千佳は信用に値するやつと判断したからだ

 

千佳「・・・きれいだね」

悠「・・・ああ、そうだな」

 

そう言って俺は指輪を握りしめた。千佳はそんな俺を不思議そうに見ていた

 

遊真「それに、迅さんは敵にはならないよ」

千佳「・・・え?」

悠「フッ・・・そうだろうな」

 

 

 

 

修side

 

迅「それは出来ません」

 

今、目の前では城戸指令が迅さんに空閑の(ブラック)トリガーの確保を命令していた。でも迅さんはそれを断った

 

鬼怒田「何ィ!?」

根付「どういうことかね?迅くん、最高司令官の命令に従えないと?」

迅「おれは玉狛支部の人間です。城戸指令に直接の指揮権はありません。おれを使いたいなら林藤支部長を通してください」

 

やっぱり迅さんは・・・

 

鬼怒田「何をまどろっこしいことを・・・結局は同じことだろうが」

城戸「・・・・・林藤支部長命令したまえ」

林藤「やれやれ・・・支部長命令だ迅、(ブラック)トリガーを捕まえてこい」

迅「はい」

修「・・・!」

 

そんな!

 

林藤「ただし、やり方はおまえに任せる」

城戸「・・・!?」

 

!?いったいどういう・・・

 

迅ニッ「了解!支部長。実力派エリート迅、支部長命令により任務を遂行します!」

 

迅さん・・・!

 

城戸「・・・・・林藤・・・!」

林藤「ご心配なく城戸さん、ご存じの通りウチの隊員は優秀ですから」

迅「さあて行くかメガネくん」

修「・・・はい!」

 

やっぱりこの人は・・・他の人とちがう・・・!

 

鬼怒田「やはり玉狛なんぞに任せておけん!忍田くん、本部からも部隊を出せ!」

忍田「城戸司令が決めたことだ。迅に任せればいいだろう」

鬼怒田「それはそうだが・・・」

唐沢「・・・・・三雲くん、ちょっといいかな」

修「・・・えっ?はい」

 

  どうしたんだろう?

 

唐沢「きみの友人の近界民(ネイバー)()()()に来た目的は何なのか、きみは聞いてないか?」

修「目的・・・ですか?」

唐沢「そうだ。『相手が何を求めているのか』それがわかれば交渉が可能だ。たとえ別世界の住人でも」

鬼怒田「交渉・・・!?近界民(ネイバー)相手に何を悠長な・・・」

唐沢「排除するより利用できないかと考えてしまうんですよ。根が欲張りなもので」

 

目的・・・そういえば

 

修「『父親の知り合いがボーダーにいる』『その知り合いに会いに来た』・・・たしかそう言ってました」

忍田「ボーダーに知り合い・・・!?誰のことだ?」

修「いや、名前は聞いてないんですが・・・」

鬼怒田「曖昧過ぎて何の足しにもならん話だな!」

根付「キミの作り話じゃないだろうねぇ?」

 

確かにそうだ。ぼくの話だけじゃ

 

唐沢「その『父親』の名前は?・・・いや、きみの友人たち本人の名前でもいい」

修「父親の名前は知りませんが、本人の名前は・・・空閑 遊真と空閑 悠です」

 

空閑達の名前を言った瞬間

 

林藤「『空閑』・・・!?」

忍田「『空閑』・・・!?」

城戸「『空閑』・・・だと・・・!?」

 

どういうことだ!?もしかしてこの三人が空閑の親父さんの知り合い・・・?

 

 

 

 

悠side

 

千佳「そういえば悠くんと遊真くんってどうして()()()の世界にきたの?」

 

突然、千佳がそんなことを訊いてきた。この質問に遊真が

 

遊真「親父が死んだから」

千佳「えっ、ご・・・ごめん」

遊真「いいよ、そんなべつに」

 

遊真はそう言った。俺の場合、本当は違うのだがそれは後日修も一緒にいるときに話すとしよう。こいつらになら話してもいいだろう

 

遊真「ちっちゃい頃から、親父と・・・悠と三人であちこちの国まわってて、たしかおれが11の時に親父が死んだ。

『もしオレが死んだら日本へ行け』『知り合いがボーダーっていう組織にいるはずだ』親父がよくそう言ってたから日本に来たんだ」

千佳「・・・そうだったんだ」

遊真「親父はボーダーのことを()()()の世界と近界民をつなぐ()になる組織だって言ってたけど」

悠「・・・実際に()()()に来てみればボーダーは近界民を目の敵にしてるがな」

遊真「親父に聞いてた話とだいぶちがうな」

千佳「そうなんだ・・・お父さんってどんな人だったの?」

 

千佳はそう聞いてきた

 

遊真「変な人だったよ・・・例えばおれが6歳のときに聞かされた親父の『3つの教え』ってのがあるんだけど」

千佳「『3つの教え』・・・?」

遊真「その1『自分のことは自分で守れ』[親はいつでもおまえを守れるわけじゃない][自分でどうにかできないものには近づくな][想像力を働かせて危険を避けろ]

その2『正解はひとつじゃない』[物事にはいろんな解決法がある][逆に解決法がないときもある][ひとつのやり方に狙われるな]

そして、その3『親の言うことが正しいと思うな』

千佳「・・・!?」

遊真「・・・な?」

 

確かに変わった父親だと俺も()()()()()()とき思ったな

 

千佳「たしかに変わったお父さんだね」

遊真「だろ?まあそういう親父だったから、()()()の世界が親父と違っててもそんなにびっくりしなかったよ。

問題は・・・『親父の知り合い』がまだボーダーにいるのかどうかだな」

 

 

 

修side

 

城戸「『空閑』・・・『空閑 有吾』か・・・!?」

 

城戸司令、忍田本部長、林藤支部長・・・この人たちが

 

鬼怒田「クガ・・・?何者ですかな、そのクガとやらは?」

根付「我々にもご説明願いたいですねぇ」

 

その言葉に忍田本部長が説明してくれた

 

忍田「空閑 有吾・・・有吾さんは・・・4年半前にボーダーの存在が公になる以前から活動していた、言わばボーダーの創設に関わった人間。ボーダーの最初期のメンバーの一人だ。

私と林藤にとっては先輩にあたり、城戸さんにとっては同輩にあたる」

 

空閑の親父さんがボーダーの創設期の一人!

 

修(あいつら適当なことを・・・いや、単に知らなかっただけか?)

忍田「有吾さんは・・・その子の親は今どこに?きみは聞いてないか?」

 

空閑の親父さんは・・・

 

修「亡くなったと聞いてます」

忍田「!?」

城戸「・・・・・」

林藤「・・・!」

 

三人とも驚いたようななんとも言い難い顔をしていた

 

忍田「・・・・・そうか。

・・・しかし、そういうことならこれ以上部隊を繰り出す必要はないな。有吾さんの子と争う理由などない」

城戸「・・・まだ空閑の子お確認できたわけではない。名を騙っている可能性もある」

忍田「それはあとで調べればわかることだ。迅、三雲くん()()()をよろしく頼むぞ」

修「・・・はい!」

迅「そのつもりです、忍田さん」

城戸「・・・では解散とする。進展があれば報告するように」

 

僕たちはそう言って指令室から出た。何人か残っていた人たちがいたがぼくが気にするべきはこの後だ。悠と空閑をどうするか。それを考えながら帰路についた

 

 

 

 

悠side

 

遊真「おっ来た来た。オサムと迅さん」

 

俺たちは神社から出て歩いていると奥の方から修と迅が歩いてきた

 

悠「どうだった修?」

修「処分はひとまず保留になった」

遊真「おーそりゃよかった。一安心だな」

修「まだ安心じゃない、ボーダーが空閑のトリガーを狙ってくる可能性があるんだ」

悠「・・・諦めるわけはないか」

 

黒トリガーは確かにそれほど価値はあるからな・・・・・だが、気に入らないのも確かだ

 

修「・・・これからどうすればいいですか?迅さん」

迅「うーん、そうだな。いろいろ考えたけどこういう場合はやっぱシンプルなやり方が一番だな」

修「シンプルな・・・」

遊真「やり方・・・?」

 

なにを言うつもりだ?

 

迅「・・・うん。たぶん悠は断ると思うけど・・・悠、遊真おまえらさ・・・ボーダーに入んない?」

修「・・・!?」

悠「・・・・・なに?」

遊真「おれが・・・!?」

 

・・・なんの冗談だ?

 

修「空閑と悠をボーダーに入れる・・・!?」

迅「おっと、別に本部に連れていくわけじゃないぞ。ウチの支部に来ないかって話だよ。

ウチの隊員は近界民の世界に行ったことあるやつが多いからおまえらが()()()出身でも騒いだりはしないぞ。とりあえずおためしで来てみたらどうだ?」

遊真は

 

遊真「ふむ・・・オサムとチカが一緒ならいいよ」

修・千佳「「!」」

迅「よしじゃあ遊真は決まりだな・・・悠はどうだ?」

 

そう言って迅はこちらを見てきた

 

悠「・・・まず、はっきりさせたい」

迅「・・・・・ああ」

悠「俺は以前、お前に言ったはずだ。もう戦わないために日本に来たと。静かに暮らすために来たと」

迅「・・・・・」

修「・・・悠?」

千佳「・・・・・」

俺は・・・もう戦わない。そう決めた

 

悠「そんな俺に、お前はボーダーに入れというのか」

迅「・・・そうだ」

悠「・・・・・」

 

だが、行くだけなら別に・・・構わないか

 

悠「・・・はあー・・・案内しろ」

迅「・・・え?」

悠「お前が言ったんだぞ。お試しで来たらどうだと。それなら別に構わないさ」

迅「!?ああ!!こっちだついてきてくれ!」

 

そういって迅は先頭を歩いた・・・やれやれ

 

遊真「・・・よかったのか?もう戦わないつもりだったんだろう?」

悠「・・・ああ、そのつもりだった・・・でもな」

 

俺はそう言って前にいる修と千佳を見た。この国で初めてできた友達のあの二人がどことなく()()()()に似ていて・・・

 

悠「・・・危なっかしくて放っておけない、それだけだ」

遊真「・・・そっか」

 

そんなことを話しながら俺たちは迅に続いて玉狛支部とやらに向かった。そして

 

迅「さあ、着いた。ここが我らボーダー玉狛支部だ」

 

着いた場所は何故か川の上に建っている建物であった

 

修「川の真ん中に建物が・・・!」

迅「ここは元々は川の何かを調査する施設で使われなくなったのを買い取って基地を建てたらしい。いいだろ」

 

確かに敵に攻め込まれにくいいい場所だな

 

迅「隊員は出払ってるっぽいけど何人かは基地にいるかな?ただいまー」

 

そんなこんなで建物に入るとそこには

 

「しんいりか・・・」

 

奇妙な生き物に乗った子供が一人いた

 

迅「陽太郎ただいま。あと『新入りか』じゃない」

陽太郎「おぶっ」

修「・・・・・」

遊真「・・・ふむ」

 

そんな子供を見ていると

 

「迅さんおかえり~」

 

2階の方から声が聞こえてきた。そっちを見ると修と同じでメガネをかけた女がいた

 

「あれっえ?何?もしかしてお客さん!?

やばい!お菓子ないかも!待って待って!ちょっと待って!」

 

何やらドタバタしていた

 

 

 

宇佐美「どら焼きしかなかったけど・・・でもこのどら焼きいいやつだから食べて食べて。アタシ宇佐美 栞よろしくね!」

遊真「これはこれはりっぱなものを・・・」

修「いただきます」

悠「・・・どら焼きか」

 

そうして食べようとしていると遊真の目の前にあるどら焼きをさっきの子供が横取りしようとしていた

 

宇佐美「あっ陽太郎!あんたはもう自分の食べたでしょう!」

陽太郎「あまいなしおりちゃん、ひとつでまんぞくするおれではない

おぶっ

 

食べようとしていたどら焼きを遊真が取り返していた

 

遊真「わるいなちびすけ。おれはこのどら焼きというやつに興味がある」

陽太郎「ぶぐぐ・・・おれのどらやき・・・」

 

こうしてみるとこの子供ほどではなかったがあの双子の姉妹を思い出した。

 

悠「・・・食べるといい」

陽太郎「・・・・!」

宇佐美「ごっごめんね!こら!陽太郎あんたねー」

悠「別にいいさ。正直言って俺は今あまり腹がすいていないんだ。それなら腹がすいている子供にあげた方がいいだろう」

 

俺はそう言いながらいつの間にか俺の膝の上にいる子供・・・陽太郎と言ったか。この子の頭を撫でた

 

宇佐美「・・・こんな陽太郎、はじめて見た」

悠「・・・子供ってのは小さい時にいっぱい食べないとな」

 

俺はそう言いながら陽太郎が満足するまで撫でていた。気が付くと陽太郎は寝ていた

 

修「なんていうかここは本部とは全然雰囲気が違いますね・・・」

宇佐美「・・・えっ?そう?」

 

宇佐美はすこし惚けていたが気を取り直したように話す

 

宇佐美「まあウチはスタッフ全員で10人しかいないちっちゃい基地だからねー。

でも、はっきり言って強いよ」

修「!」

悠「・・・ほう」

宇佐美「ウチの防衛隊員は迅さん以外に3人しかいないけどみんなA級レベルのデキるひとだよ。玉狛支部は少数精鋭の実力派集団なのだ!」

 

少数精鋭の部隊・・・か

 

宇佐美「キミもウチに入る?メガネ人口増やそうぜ」

修「・・・・・」

 

そんな話をしていると

 

千佳「あの・・・さっきあの迅さん・・・が言ってたんですけど宇佐美さんも()()()の世界に行ったことがあるんですか?」

宇佐美「うん、あるよ。1回だけだけど」

 

千佳・・・おまえ

 

千佳「じゃあ・・・その()()()の世界に行く人ってどうやって決めてるんですか?」

修「・・・!?」

宇佐美「それはねーA級隊員の中から選抜試験で選ぶんだよね。大体は部隊単位で選ばれるからアタシもくっついて行ったんだけど」

千佳「A級隊員・・・ってやっぱりすごいんですよね・・・」

宇佐美「400人のC級、100人のB級のさらに上だからね。そりゃツワモノ揃いだよ」

 

やっぱり気になっていたか。あの遊真の話を聞いた時からか。

 

迅「よう、4人とも。親御さんに連絡して今日は玉狛に泊まってけ。ここなら本部の人たちも追ってこないし空き部屋もたくさんある。宇佐美面倒見てやって」

宇佐美「了解」

迅「遊真、メガネくん、悠、来てくれ。うちの支部長が会いたいって」

 

俺たちはそう言われ行くことになった俺は膝の上にいる陽太郎をソファに寝かせ向かった

 

迅「失礼します。三人を連れてきました」

林藤「おっ来たな。おまえたちが空閑さんの息子か・・・」

支部長と言われた男は俺の方を見ていた。どこか探るように

 

林藤「はじめまして」

遊真「どうも」

悠「・・・・・」

 

林藤「いろいろ聞きたいことがあったんだが、まずなによりも先に聞いておかなきゃいけないことが出来ちまった」

 

そして男は俺の方を見て

 

林藤「正直に答えてくれ・・・・・・お前は、空閑さんの息子か?」

 

そう言ってきた・・・なるほど、ちゃんとできる上司のようだな

 

修「・・・え?なっなに言ってるんですか?そんなのあたりま・・・!」

 

俺は修が言い切る前に手で制した。修にも真実を言わなくてはいけない

 

悠「・・・ああ、俺は空閑じゃない」

修「・・・・・え?」

遊真「・・・・・」

迅「・・・・・!」

林藤「・・・やっぱりそうか」

 

俺は真実を話した。俺は空閑という性ではないということを

 

修「・・・どういうことだよ!!悠!お前は空閑の兄じゃなかったのか!!」

悠「俺もこの日本を目指していてその道中で遊真と会ったんだ。最初は互いを警戒していたが少しずつお互いのことを知ることが出来た」

迅「・・・・・」

悠「そして目的地が同じで日本では苗字が必要だと知った。だから俺は遊真の苗字『空閑』を名乗っていた」

修「意味がわからないぞ!自分の苗字を名乗れば」

 

悠「自分の苗字なんてとっくの昔に忘れたさ」

 

修「・・・・・え?」

俺はいままでの自分の過去を話した。

もう忘れてしまった故郷からトリオン兵に囚われ見知らぬ国に連れ去られたこと。

そこでいろんな奴らと出会い仲間と呼べる存在が出来たこと。

奴隷として毎日戦い続け最後に仲間が自分にすべてを託して死んだこと。

 

俺はすべてを話した。まだ、林藤や迅を信用しきったわけではないが、修には知っていてもらうべきだと思った

 

修「・・・・・そっそんなことが!?」

迅「・・・・・・!?」

林藤「・・・そうか」

 

すでに事情を知っている遊真以外の三人が顔を伏せていた・・・これ以上ここにいてもしょうがないな

 

悠「・・・俺は先に出ている。用があれば声をかけろ」

 

俺はそう言って部屋を出た

 

 

 

 

修「悠に・・・あんな過去が・・・」

 

修はいまだ理解できないでいた。そんな過去をもった人間を見たことがなかった

 

林藤「・・・遊真、お前は知ってたのか?」

遊真「うん、一緒にこの国に向かう途中で聞いた」

林藤「・・・そうか」

 

林藤も一体なにを言えばいいかわからなくなっていた。最初に見たときに思った。澄んだ蒼い瞳の中にどこか黒く冷たい感じがしたからである。

それに、もう忘れてしまった故郷、それも気になっていた

 

迅「・・・・・」

 

迅もあの時の悠を思い出していた。

 

玄界(ミデン)という星があると。地球という平和な星があると。そして俺たちは誓った。みんなで行こうと。みんなで地球に行こうと、みんなで幸せに暮らそうと』

 

あの時あいつは・・・

 

 

 

 

俺は屋上に出てこの街を眺めていた。そこにはどこまでも平和な世界が広がっていた

 

悠「・・・この景色をお前たちと一緒に見るはずだったのにな」

 

俺は指輪を握りしめながらそう呟いた。

 

ガタン悠「・・・・・」

迅「・・・よう、悠」

 

後ろの扉が開いたと思えば迅が来た

 

悠「・・・どうした?」

迅「いや、ちょっとな」

 

そして迅は俺の横にきた

 

迅「遊真なんだけどさ、ウチに入るってさ」

悠「そうか」

迅「驚かないのか?」

悠「おおかた修と千佳が関係してるんだろ」

迅「・・・ああ、そうだ」

 

どうやら、千佳が遠征隊というのを目指したいらしくそれを聞いた修が遊真を誘ったらしい・・・やれやれ

 

悠「・・・本当に、お人好しが過ぎるな」

迅「そうだな・・・なあ、悠」

 

そう言って迅はこちらに頭を下げてきた

 

迅「・・・すまなかった」

悠「・・・なにがだ?」

迅「・・・俺は結局自分の事ばかりだ。未来をいい方向に向けるために俺はお前を利用しようとした。

・・・本当にすまない」

 

そういって何回も頭を下げてきた。今にも罪悪感に押しつぶされそうな顔で

 

悠「・・・未来視ってのも難儀なものだな」

迅「・・・・・」

悠「俺はボーダーには入らない」

迅「・・・ああ」

悠「だがな」

 

俺はそう言って迅の方を向いた

 

悠「俺に・・・お前の真価を見せてみろ」

迅「・・・・え?」

悠「そうすれば一度くらいはお前に力を貸してやる」

迅「・・・ああ、任せてくれ」

 

俺はそう言って屋上から出て行った

 

 

 

 

 

 

 



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8話

悠side

 

宇佐美「さて諸君!諸君はこれからA級を目指す!」

 

俺たちは昨日この玉狛支部に泊めてもらい一日が過ぎた。そして朝になり部隊を組むことになった修、千佳、遊真は宇佐美から説明を受けている

・・・ちなみに俺は迅に「ついでだからお前も聞いておけ」と言われたからついでに聞いている

 

宇佐美「・・・そのためにはもうB級になってる修くんを除いて、千佳ちゃんと遊真くんの二人にB級に上がってもらわなければならない!それはなぜか!」

 

宇佐美が説明しているとまだ寝ぼけ眼の陽太郎が俺の所に来て俺の膝の上で寝た。・・・まだ子供が起きるには早い時間だったか。そう思いながら陽太郎の頭を撫でた

 

迅「・・・ホントに、随分なついたな」

 

迅が俺と陽太郎を見てとても意外そうな顔をしていた

 

宇佐美「まずはB級・・・正隊員にならないと防衛任務にもA級に上がるための『ランク戦』にも参加できないのだ!」

遊真「『ランク戦』・・・?」

宇佐美「そう『ランク戦』、上の級に上がるためには防衛任務の手柄だけじゃなく、『ボーダー隊員同士の模擬戦』でも勝たなきゃダメなの。

それが通称『ランク戦』。同じ級の中で競い合って強い人間が上に行くってわけ」

 

『ランク戦』・・・か。わかりやすいな

 

遊真「ふむ、つまりおれがB級になるにはC級のやつらを蹴散らしてくればいいわけだな」

 

とりあえず遊真と千佳はまずそこからになるな

 

遊真「それいつからやるの?今から?」

宇佐美「まあまあ落ち着きたまえよ。ボーダー本部の『正式入隊日』ってのが年3回あって新人隊員が一斉にC級デビューする日なんだけど、その日まで遊真くんもまだランク戦できないんだよね」

遊真「え~~~~・・・」

 

遊真はそう言って少し残念そうにしていた。そもそも

 

悠「遊真の場合、おそらく黒トリガーは使えないんじゃないか?」

遊真「・・・え?そうなの?」

迅「ああ、そうだ。おまえはボーダーのトリガーに慣れる時間がいる。ランク戦にはおまえの黒トリガーは使えないよ」

 

そりゃあそうだろうな

 

遊真「ふむ・・・?なんで?本部の人に狙われるから?」

悠「いや、単純に黒トリガーは強すぎるからだろ」

迅「うん、だから黒トリガーは自動的にS()()()()になってランク戦から外されるんだ。メガネくんや千佳ちゃんと組めなくなるぞ」

遊真「ふむ・・・そうなのか。じゃあ使わんとこ」

 

そんな話をしていると

 

千佳「・・・ねえ、本当に悠くんはボーダーには入らないの?」

 

千佳が少し寂しそうな顔で聞いてきた。そういえば千佳には言ってなかったな。

 

修「・・・・・」

 

修も何も言えない顔だった。さすがに何も知らないこいつにはきつい話だったか。俺は二人の頭を軽く乱暴に撫でた

 

修「・・・・・!」

千佳「・・・・あっ」

悠「・・・気にするな。おまえたちは自分で前に進んだんだ。ちゃんと前を向け」

修「・・・ああ」

千佳「・・・・うん」

 

二人が少しでも気が楽になるといいがな

 

宇佐美「千佳ちゃんはどうしよっか。オペレーターか戦闘員か・・・」

遊真「そりゃもちろん戦闘員でしょ。あんだけトリオンすごいんだから。それにこの先近界民に狙われた時のためにもチカは戦えるようになった方がいいだろ」

修「・・・・・!」

 

そうだな。狙われるのなら自分で自分を守れた方がいい

 

宇佐美「千佳ちゃんってそんなにすごいの?」

遊真「見たらびびるよ」

千佳「わたしも・・・・自分で戦えるようになりたいです」

宇佐美「なら戦闘員で決まりだね!じゃあ次はポジション決めよっか」

千佳「ポジション・・・?」

宇佐美「防衛隊員は戦う()()によってポジション分けされてるんだよね。『攻撃手(アタッカー)』『銃手(ガンナー)』『狙撃手(スナイパー)』の3つ・・・でどれが千佳ちゃんに合ってるかって話なんだけど

千佳ちゃんは運動神経いいほう?足速い?」

千佳「いえあんまり・・・」

 

そして千佳に質問が始まった

 

宇佐美「数学は得意?」

千佳「成績はふつう・・・です」

宇佐美「将棋とかチェスとかしたことある?」

千佳「ないです・・・」

宇佐美「チームスポーツも経験なしかー。う~ん・・・」

千佳「すみません・・・取り柄がなくて・・・」

宇佐美「えっ、ううん大丈夫だよー。参考にしてるだけだから」

 

千佳は自分に誇れるものが無いと落ち込んでいた

 

悠「・・・修、お前は知らないか?千佳の特技を」

修「・・・えっ?なっなんでぼくに!」

悠「いや、ただ付き合いが長いみたいだから何か知ってるんじゃないかと思ってな」

修「・・・・・」

 

修はすこし考えていると

 

修「・・・千佳は足は速くないですけどマラソンとか長距離はけっこう速いです」

宇佐美「おっ持久力アリね」

修「それに我慢強いし真面目だしコツコツした地道な作業が得意だし集中力があります。あと意外と身体が柔らかいです」

遊真「おおー・・・!」

悠「フッ・・・」

 

なんだ、知ってるじゃないか

 

宇佐美「ふんふんなるほど・・・よしわかった!

わたくしめの分析の結果千佳ちゃんに一番合うポジションは・・・」

迅「狙撃手(スナイパー)だな」

宇佐美「あー!!迅さん!!アタシが言いたかったのに!」

 

そんなことを話していると廊下からドタバタと足音が聞こえてきた。そしてこの部屋の扉を開けたのは

 

「あたしのどら焼きがない!!!誰が食べたの!!?」

 

長髪な気の強そうな女が入ってきた

 

「陽太郎がまた食べたの!!」

 

そして女は陽太郎の名前を言って俺の膝の上にいる陽太郎を見つけた

 

宇佐美「こなみごめ・・・」

「またおまえか!?」

 

そう言って陽太郎に掴みかかろうとした・・・まったく

 

 

 

悠「おい」

 

「・・・・!?」

 

悠「子供が寝ているんだ。お前は少し静かにしたらどうだ」

 

入ってきた女は俺と陽太郎に近づこうとしたが俺が一言言うと後ろにさがり俺を見ていた

 

「・・・・・・っ!」

悠「・・・・・」

 

俺とこいつはしばらく互いを見ていると

 

宇佐美「ごめ~んこなみ。昨日お客さん用のお菓子に使っちゃった。また今度買ってくるから~・・・?こなみ」

「・・・・・」

 

こなみと呼ばれた女は今も俺の方を見ていた。すると

 

「なんだなんだ、騒がしいな小南。?どうかしたのか?」

「どうしたんすか?」

 

随分鍛えた男ともう一人日本でいう『男前』が入ってきた

 

「・・・おっこの4人、迅さんが言ってた新人すか?」

「新人・・・!?あたしそんな話聞いてないわよ!?なんでウチに新人なんか来るわけ!?迅!!」

 

すると迅は

 

迅「とりあえず、最初に言っておくけどこいつは新人じゃないよ」

席を立って俺の後ろに立ち俺の頭に手を置いた

 

「?そうなんすか?」

「じゃあなんでウチにいるのよ?」

迅「実は、こいつも誘ったんだけど断られちゃってさ。昨日泊めてたからついでにこの3人の説明を一緒に聞かせようと思ってさ」

「つまりは部外者だろ。聞かせちゃマズいんじゃないのか?」

迅「いや、レイジさん。こいつは部外者じゃないよ」

 

そう言って迅は俺の正体を話そうとした・・・なんだ、もう話すのか

 

迅「こいつとこいつはあっちの世界から来たんだ」

修・千佳「「・・・!?」」

 

迅は俺と遊真の正体を明かした。修と千佳は驚いていたが心配はないだろう

 

「・・・どういうことか、あとで説明しろ」

 

そう言って終わった。次に迅が

 

迅「ちなみにこの二人は俺の弟と妹なんだ」

 

そう言って今度は修と千佳の頭に手を置いた。すると

 

「えっそうなの?」

 

このこなみと呼ばれたこいつが本当に信じてしまった・・・

 

「迅に兄弟なんかいたんだ・・・!とりまる、あんた知ってた!?」

「もちろんですよ。小南先輩知らなかったんですか?」

 

男前の奴がさらりと嘘をついた。見ていて面白いものだ

 

小南「言われてみれば迅に似ているような・・・レイジさんも知ってたの!?」

木崎「よく知ってるよ。迅が一人っ子だってことを」

小南「・・・!?」

 

小南というやつが訳がわからないという顔で周りを見ていた

 

宇佐美「このすぐダマされちゃう子が小南 桐絵 17歳」

小南「だましたの!!?」

迅「いやーまさか信じるとは。さすが小南」

宇佐美「こっちのもさもさした男前が烏丸 京介 16歳」

烏丸「もさもさした男前です。よろしく」

宇佐美「こっちの落ち着いた筋肉が木崎 レイジ 21歳」

木崎「落ち着いた筋肉・・・?それ人間か?」

 

どうやらこの3人がこの玉狛支部の精鋭らしいな・・・確かに実力はありそうだ

 

迅「さて、全員そろったところで本題だ。

悠以外の3人はわけあってA級を目指している。これからの厳しい実力派の世界に身を投じるわけだが、さっき宇佐美が言ったようにC級ランク戦開始までまだ少し時間がある。次の正式入隊日は1月8日、約三週間後だ。

この三週間を使って新人3人を鍛えようと思う。具体的には・・・

レイジさんたち3人にはそれぞれ、メガネくんたち3人の師匠になってマンツーマンで指導してもらう」

 

そういうことか。それならばボーダーのトリガーを初めて触る遊真や千佳とまだ実力的に不足している修を鍛えるわけか。これなら短期間での成長が期待できるな

 

小南「はあ!?ちょっと勝手に決めないでよ!あたしまだこの子たちの入隊なんて認めて・・・」

迅「小南・・・これは支部長(ボス)の命令でもある」

小南「・・・支部長(ボス)の・・・!?」

 

迅が林藤の名前を口に出せば小南の表情が変わった

 

木崎「林藤さんの命令じゃ仕方ないな」

烏丸「そうっすね。仕方ないっすね」

小南「・・・・・わかったわ。やればいいんでしょ。でもそのかわり、こいつはあたしがもらうから」

 

そう言って小南は遊真を選んだ。まあ、おそらく妥当なところだろう

 

小南「見た感じあんたが()()()()でいちばん強いんでしょ?あたし弱いやつはキライなの」

遊真「ほほう、お目が高い」

宇佐美「じゃあ千佳ちゃんはレイジさんだね。狙撃手(スナイパー)の経験あるのレイジさんだけだから」

千佳「よ、よろしくお願いします・・・」

木崎「よろしく」

烏丸「・・・となると俺は必然的に・・・」

修「・・・・・よろしくお願いします」

 

そしてそれぞれのパートナーが決まった

 

迅「よーしそれじゃあ3人とも師匠の指導をよく聞いて三週間しっかり腕を磨くように!」

小南「あっ!ちょっとまって!」

迅「うん?どうした小南?」

 

突然小南が迅を呼び止めた。そして小南は俺の方を見て

 

小南「鍛える前にこいつの実力を見ておきたいのよ」

迅「・・・・・マジで?」

小南「ええ、別にいいでしょ?」

 

小南は俺の実力を知りたいようだ

 

小南「あんたも()()()の世界から来たんならトリガーの一つや二つ持ってるでしょ?」

迅「・・・・・うーん。でもなー・・・」

木崎「何かマズいことでもあるのか?」

迅「いや・・・でも・・・」

 

迅はそう言って悩んでいた・・・仕方ないか

 

悠「・・・それは模擬戦のようなものか?」

小南「えっ?ようなものかっていうか模擬戦だけど?」

悠「・・・そうか」

 

()()()()()()じゃないんなら別に構わないか

 

悠「・・・迅、お前もついでに入れ」

迅「えっ?・・・いいのか?」

悠「・・・ああ。こういうのはこれっきりだがな」

小南「はあ?あたしと迅二人相手ってちょっとなめすぎ・・・」

悠「・・・なにを勘違いしているんだ?」

 

俺はそう言って陽太郎を千佳に預け立ちこの支部の精鋭たちを見た・・・実力を見させてもらうか

 

 

 

 

悠「小南、木崎、烏丸、そして迅。お前たち全員でかかってこい。実力を見せてみろ」

 

小南「・・・・・なっ!!」

木崎「・・・・・・」

烏丸「・・・マジっすか」

迅「・・・あちゃー」

 

 

 

修side

 

ぼくは驚いていた。悠が突然迅さんたちと戦うことになった。ぼくと空閑と千佳は宇佐美先輩に連れられオペレーティングルームに向かっていた

 

遊真「それにしてもこなみずいぶんあれてたな」

千佳「あはは・・・そうだったね」

 

小南先輩が「そのくそナマイキな口閉じさせてやるから!」といって会議室から出て行った。それに続いてレイジさんと烏丸先輩が出て迅さんが悠に「・・・本当にいいのか?」と言っていた

 

宇佐美「それにしても本当におどろいたよ~。あの4人にあんなこと言った人みたことないからさ~」

 

そう宇佐美先輩が言った

 

修「小南先輩たちってどのくらい強いんですか?」

宇佐美「・・・ん~?そうだね~?本部に行ってもトップの部隊の人たちと渡り合えると思うよ~」

修「・・・・!」

 

先日空閑に襲い掛かってきた三輪先輩たちは確かA級7位って言ってた。そのA級のトップの人たちと同じくらい・・・

 

修(ぼくたちは本当にすごい人たちに教えてもらえるんだ・・・)

 

そんな話をしながらぼくたちはオペレーティングルームに着いた。そして宇佐美先輩はパソコンの前に座って・・・

 

宇佐美「ここからトレーニングルームの様子が見えるんだ~。みんなは001号室にいるね」

そう言われ見てみるとこの基地の中とは思えないぐらい広い空間が広がっていた

 

修「・・・!こんな広い部屋いったいどこに・・・」

宇佐美「ああ~これはねトリガーで創った空間なんだよ~」

修「・・・トリガーでこんなことまで・・・!?」

ぼくはただ驚いていた

 

宇佐美「迅さんになんでか容量を全部使っちゃっていいよって言われてるから今はこの部屋しか使えないけど002号室と003号室もあるよ」

 

そんな話をしていると部屋のドアが開けられて

 

林藤「よう」

 

林藤支部長が入ってきた

 

宇佐美「支部長(ボス)!どうしたんですか?」

林藤「迅に呼ばれてな。なにか見せたいものがあるみたいでな・・・なるほどな」

 

林藤支部長がモニターを見て納得していた。そしてヘッドホンをぼくたちももらうと声が聞こえてきた

 

小南【あんたのこと後悔させてやるんだから!!】

烏丸【さすがにキツいんじゃないすか?】

木崎【・・・本当にいいのか?迅】

 

そんな声が聞こえてきた

 

迅【・・・悠、おまえもう戦わないって・・・】

悠【・・・ああ、もう()()()()()()はうんざりなんだ・・・だが、模擬戦は死にはしないんだろう】

 

悠・・・・・

ぼくは昨日の話を聞いている。だからもう悠の事情は知っているつもりだ

 

小南【コテンパンにしてやるんだから!!】

烏丸【迅さんがいいって言ってるしやりますか】

木崎【そうだな】

迅【悠、行くぞ】

 

 

 

「「「「トリガー・起動(オン)!」」」」

 

 

 

画面の中にいる先輩がトリガーを起動した

小南先輩は長かった髪が短くなって両手に斧のようなトリガーを持っていた

烏丸先輩は銃のトリガーを

レイジさんは大きなその体にあった大きい銃のトリガーをもって

迅さんは唯一服装がトリオン体でも変わらず腰に付けていたホルダーのようなものから昨日見せてくれた迅さんの師匠の形見と言っていた(ブラック)トリガーを持っていた・・・というか

 

修「迅さんの持ってるのって(ブラック)トリガーですよね!それじゃあ・・・!?」

宇佐美「うん。わたしも最初聞いた時驚いたよ。今でも驚いてるんだけど・・・」

 

迅さんは(ブラック)トリガーはさすがにやりすぎと宇佐美先輩は言ったらしいが迅さんは「いや、このくらいしないと一瞬だからさ」と言っていたらしい

 

小南【ちょっと迅!いくら何でも(ブラック)トリガーはやりすぎでしょ!!】

烏丸【さすがにこれじゃあ・・・】

木崎【・・・なにかあるのか?】

 

迅【・・・・・みんな、ちゃんと保ってくれよ・・・オレもどのくらい立ってられるかわからない】

 

迅さんはそう言った

 

修「そういえば空閑は知ってるのか?悠の力・・・」

遊真「うん、一回だけ戦ったことあるよ」

修「・・・そうなのか?」

 

目の前のモニターに悠が映った

 

悠【・・・・・・・・】

 

そして首に提げていた指輪を手に取り、握りしめた

 

遊真「・・・はっきり言って勝てるミライがみえなかったよ・・・」

修「・・・・・えっ?」

 

 

そして

 

 

 

 

悠「・・・トリガー・起動(オン)

 

 

 

 

 

終末が顕現した

 

 

 

 

 

 

迅side

 

おれは目の前の存在を思わず見入ってしまった。黒銀の軽鎧を身にまとい腰に赤い布をつけていた

 

烏丸「・・・・・!」

木崎「・・・・・・」

 

レイジさんも京介もその姿になにも言えずにいた。本当に中学3年生なのかというほどに細身でありながら極限まで鍛え抜かれたであろう身体・・・そして

 

小南「・・・・・・っ!!」

 

その体中に刻まれたいままで壮絶な人生を物語るありえないほどの無数の傷

 

迅「・・・・・」

 

なにも言えなかった。言えるはずがなかった。

 

 

 

 

悠「・・・さあ」

 

 

 

 

そして悠は右手に黄金に輝く剣を・・・左手にまるでいままでの敵の血を吸ったかと思えるほどの朱い剣を出した

 

 

 

 

悠「お前たちの力を見せてみろ」

 

 

 

 

 

 

(ゲート)発生 (ゲート)発生】

 

ボーダー本部の中で突如(ゲート)が発生した。その(ゲート)からは

 

【遠征艇が着陸します。付近の隊員は注意してください】

 

(ゲート)の中から大きな生き物のような足のついた船が出てきた。

そこには鬼怒田、根付、唐沢、そして城戸がいた

 

鬼怒田「待ちくたびれましたな」

 

遠征部隊(トップチーム)の帰還です」

 

 

 

「これが今回の遠征の成果です。お納めください、城戸司令」

 

司令室には鬼怒田、根付、唐沢、城戸の他に三輪、奈良坂と3人のボーダー隊員がいた。その3人の中で一人、身長が低い、目が鋭い少年が城戸司令にボーダーのものではないトリガーを渡した

 

城戸「御苦労、無事の帰還なによりだ。ボーダー最精鋭部隊よ」

 

背の低い少年、いや青年はA級3位 風間隊 隊長 風間 蒼也。21歳のNo.2アタッカー

背の高い男がA級2位 冬島隊 当真 勇。No.1スナイパー

そして目が格子状になっている男がA級1位 太刀川隊 隊長 太刀川 慶。No.1アタッカーである

 

鬼怒田「おお、すばらしい!未知の世界のトリガーだ!

これでボーダーはトリガー技術は更なる進化をとげるぞ!」

 

鬼怒田は見たことのないトリガーに心躍っていた

 

当真「鬼怒田さんさ~、遠征艇もうちょいでっかく作れね?オレ足なっげーから窮屈で死にそうだったぜ」

鬼怒田「バカ言え!あれよりでかいのを飛ばそうと思ったらトリオンがいくらあっても足らんわい!」

当真「ありゃそーなの?」

 

ここで城戸が本題に入った

 

城戸「・・・さて帰還早々で悪いがおまえたちに新しい任務がある。

現在玉狛支部にある、(ブラック)トリガーの確保だ」

風間「(ブラック)トリガー・・・!」

太刀川「玉狛?」

城戸「三輪隊、説明を」

奈良坂「はい」

 

そして遊真の(ブラック)トリガーの説明をした

 

奈良坂「12月14日午前追跡調査により近界民(ネイバー)を発見。交戦したところ(ブラック)トリガーの発動を確認。

その能力は『相手の攻撃を学習して自分のものにする』」

風間「・・・!!」

 

その後は玉狛支部の迅隊員が戦闘に介入

迅隊員とその近界民(ネイバー)に面識があったため一時停戦

その近界民(ネイバー)の他にもう一人近界民(ネイバー)を確認

その近界民(ネイバー)は迅の手引きで玉狛支部に入隊した模様

 

奈良坂「ちなみに入隊したのは(ブラック)トリガーを使っていた近界民(ネイバー)の方でもう一人は迅隊員の勧誘を断ったようです」

太刀川「・・・・・」

当真「近界民(ネイバー)がボーダーに入隊!?なんだそりゃ!」

風間「玉狛ならあり得るだろう。元々、玉狛の技術者(エンジニア)近界民(ネイバー)だ。

今回の問題はただの近界民(ネイバー)ではなく(ブラック)トリガー持ちだということだな。玉狛に(ブラック)トリガーが二つとなればボーダー内のパワーバランスが逆転する」

城戸「そうだ。だがそれは許されない。おまえたちにはなんとしても(ブラック)トリガーを確保してもらう」

 

そして彼らはどうするかを考えた

 

太刀川「『(ブラック)トリガー』の行動パターンは?一人になる時間帯とか決まってんの?まさか玉狛の全員を相手にするわけにはいかないだろ」

奈良坂「『(ブラック)トリガー』は毎朝7時頃玉狛支部にやってきて、夜9時から11時の間に玉狛を出て自宅に戻るようです。現在うちの米屋と古寺が監視しています」

根付「チャンスは毎日あるわけだねぇならばしっかり作戦を練って・・・」

太刀川「いや」

 

太刀川は言った

 

太刀川「今夜にしよう。今夜」

三輪・奈良坂「「・・・!?」」

鬼怒田・根付「「今夜!?」」

 

太刀川はとんでもないことを言いだした

 

三輪「・・・太刀川さん、いくらあんたでも相手を舐めないほうがいい」

太刀川「舐める?なんでだ?三輪。相手のトリガーは『学習する』トリガーなんだろ?今頃、玉狛でうちのトリガーを『学習』しているかもしれない。時間が経つほどこっちは不利になるぞ」

三輪「・・・!」

太刀川「それに、長引かせたら見張りしてる米屋と古寺に悪いだろ。サクっと終わらせようや」

当真「なるほどね」

風間「・・・確かに早いほうがいいな」

 

そして太刀川は城戸に進言した

 

太刀川「それでいいですか?城戸司令」

城戸「いいだろう、部隊はお前が指揮しろ。太刀川」

太刀川「了解です。さて、夜まで作戦立てるか」

風間「襲撃地点の選定が先だな」

太刀川「なるほど」

 

そうして3人は出て行ってしまった

 

三輪(太刀川 慶・・・この人は昔から苦手だ・・・)

 

三輪は心の中でそんなことを思っていた

 

 

 

 

修side

 

ぼくは三日前のことを思い出しながら玉狛支部に向かっていた

 

 

 

 

今、目の前のモニターの中では誰もが予想もしなかった光景が広がっていた

 

宇佐美「・・・うっうそ・・・」

林藤「こりゃあ・・・」

千佳「・・・・・!」

遊真「・・・・ふむ、やっぱりこうなったか」

修「・・・・・・」

 

モニターには

 

小南【・・・・・くっ!】

烏丸【・・・・マジっすか】

木崎【・・・とてつもないな】

迅【さすがだな、悠・・・】

 

先輩たちが使っていたトレーニングルームのなかは市街地に設定されていたのにその場所は辺り一帯が更地とかしていた

 

悠【・・・終わりだな】

 

ボロボロの迅さんたちに対して悠は傷と言えるものを全く受けていなかった

 

悠【・・・お前たちは強かった。それは事実だ】

小南【・・・・・!】

烏丸【・・・・・・】

木崎【・・・!】

迅【・・・はは】

 

悠はそう言って先輩たちに・・・

 

悠【・・・だが、悪いな・・・俺はもう負けるわけにはいかない】

 

その刃を振り下ろした

 

 

 

修(そのあとは・・・いろいろあったな)

 

そのあと小南先輩が悠に「次は絶対負けないから・・・!?」と捨て台詞のように言って出て行った。それを迅さんたちはなにやら暖かい目で見ていた

そしてそのあとすぐ小南先輩が帰ってきて先輩たちがぼくたちに指導してくれて現在になっている

 

そんななんだかんだ考えていると玉狛支部についていた。

そして

 

宇佐美・小南「「おおお!?」」

小南「なに!?この数値!!(ブラック)トリガーレベルじゃん!!」

宇佐美「千佳ちゃんすごーい!!」

小南「どうなってんの・・・!?」

遊真「うまいうまい」

 

ぼくたちは今お昼休憩をとっていた。レイジさんが作ってくれたサンドイッチを食べている

 

木崎「雨取のトリオン能力は超A級だ。忍耐力と集中力があって性格も狙撃手(スナイパー)向き。『戦い方』を覚えればエースになれる素質はある」

宇佐美「おお~・・・!レイジさんがそんなにほめるとは、こりゃ千佳ちゃんが一番の有望株か~?」

小南「うちの遊真のほうが強いよ!今でも余裕でB級上位くらいの強さはあるしボーダーの武器に慣れればすぐA級レベルになるんだから!」

遊真「こなみ先輩より強くなります」

小南「それはない。調子に乗るな」

宇佐美「ふむふむじゃあ遊真くんにはトリガーの説明したほうがいいかもね。普通はB急に上がってからなんだけど」

 

そしてぼくの話になった

 

小南「そっちはどうなのよとりまる。そのメガネは使い物になりそうなの?」

烏丸「うーーーーーーん・・・・・

『今後に期待』としか言えないすね」

小南「なにそれ。つまり現時点で全然ダメってことじゃん。ちゃんと強くなるんでしょうね?玉狛の隊員に弱い奴はいらないんだけど」

修「うっ・・・・」

 

そうだ・・・強くならないと

 

烏丸「いや、でも小南先輩。こいつ小南先輩のこと『超かわいい』って言ってましたよ」

修「!?」

 

いきなりなんのことだ!?

 

小南「えっ・・・!?そうなの!?」

遊真「うむ、言ってた気がする」

小南「ホントに!?ちょっとあんたやめてよねそういうお世辞。お世辞じゃないかもだけど!?」

修「いや、その・・・」

 

騙されやすすぎる!

 

烏丸「すいません。ウソです」

小南「・・・・・!?」

烏丸「お世辞じゃなくてウソです」

小南「なっ・・・だましたな!?このメガネ!!」

修「だましたのはぼくじゃないですよ!」

 

そんなこんなで休憩が終わった。それぞれがトレーニングに戻ろうとすると

 

小南「?遊真、そういえば()はどうしたの?」

遊真「おや、こなみ先輩は悠のことが気になっているんですかな」

小南「そっそんなんじゃないわよ!たっただ、今日こそあいつをぶっ飛ばしてやろうと思っただけで!」

 

そんな小南先輩に空閑はニヤニヤとしていた。小南先輩は「なによ!?」といって

 

遊真「悠は、今日なんか用事があるって言ってたな」

 

空閑はそう言った

 

 

 

 

【目標地点まで残り1000】

 

夜の警戒区域の中を高速で走る集団がいた。遊真の(ブラック)トリガーの捕獲を命じられた太刀川たちである

 

太刀川「おいおい三輪もっとゆっくり走ってくれよ。疲れちゃうぜ」

三輪(・・・・・やっぱりこの人は苦手だ・・・」

 

それぞえが様々なことを考えている中徐々に距離が近づいてきた

 

【目標地点まで残り500】

 

残り500mのところに差し掛かったとき突然

 

太刀川「!!止まれ!」

 

突然太刀川が来ている全員にストップをかけた。前を見てみるとそこには迅が立っていた

 

太刀川「迅・・・!!なるほどそう来たか」

迅「太刀川さん久しぶり。みんなお揃いでどちらまで?」

 

 

 

 

 

迅side

 

迅「みんなお揃いでどちらまで?」

 

俺はそう言って()()()()襲撃にきた太刀川さんたちの足止めをすることにした

 

当真「うおっ迅さんじゃん。なんで?」

迅「よう当真。冬島さんはどうした?」

当真「うちの隊長は船酔いでダウンしてるよ」

風間「余計なことをしゃべるな当真」

 

冬島さんは来てない。それと風間さん、相変わらずだなー

 

太刀川「こんな所で待ち構えてたってことは俺たちの目的も分かってるわけだな」

迅「()()()()()にちょっかい出しに来たんだろ?」

 

絶対に・・・

 

迅「最近、玉狛(うち)の後輩たちはかなりいい感じだから、ジャマしないでほしいんだけど」

太刀川「そりゃ無理だ・・・と言ったら?」

迅「その場合は仕方ない。

実力派エリートとしてかわいい後輩を守んなきゃいけないな」

 

あいつらに手出しはさせない

 

三輪「・・・・・!」

太刀川「なんだ、迅いつになくやる気だな」

当真「おいおいどーなってんだ?迅さんと戦う流れ?」

風間「『模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる』。隊務規定違反で厳罰を受ける覚悟はあるんだろうな?迅」

 

なんだ、そんなことか・・・それなら

 

迅「それを言うならうちの後輩だって立派なボーダー隊員だよ。あんたらがやろうとしていることもルール違反だろ、風間さん」

風間「・・・・・!」

三輪「『立派なボーダー隊員』だと・・・!?ふざけるな!近界民(ネイバー)を匿っているだけだろうが!!」

迅「近界民(ネイバー)入隊させちゃダメっていうルールはない。正式な手続きで入隊した正真正銘のボーダー隊員だ。誰にも文句は言わせないよ」

三輪「なん・・・」

 

太刀川「いや、迅。おまえの後輩はまだ正式な隊員じゃないぞ」

迅「!」

太刀川「玉狛での入隊手続きが済んでても()()()()()を迎えるまでは本部ではボーダー隊員と認めてない。

俺たちにとっておまえの後輩は1月8日まではただの野良近界民(ネイバー)だ。仕留めるのになんの問題もないな」

三輪「・・・・・」

迅「へえ・・・・・」

 

太刀川さん意外と痛いとこをついてくるな

 

風間「邪魔をするな、迅。おまえと争っても仕方がない。俺たちは任務を続行する。

本部と支部のパワーバランスが崩れることを別としても、(ブラック)トリガーを持った近界民(ネイバー)が野放しにされている状況はボーダーとして許すわけにはいかない。

城戸司令はどんな手を使っても玉狛の(ブラック)トリガーを本部の管理下に置くだろう。玉狛が抵抗しても遅いか早いかの違いでしかない。

おとなしく渡したほうがお互いのためだ・・・それとも(ブラック)トリガーの力を使って本部と戦争でもするつもりか?」

 

風間さんはそう言った。確かにそれは正しい事かもしれない・・・・・でも

 

迅「城戸さんの事情は色々あるんだろうがこっちにだって事情がある。あんたたちにとっては単なる(ブラック)トリガーだとしても持ち主本人にしてみれば命より大事な者だ。

別に戦争するつもりはないけど、おとなしく渡すわけにはいかないな」

 

 

風間「あくまで抵抗を選ぶか・・・

おまえも当然知ってるだろうが遠征部隊に選ばれるのは、(ブラック)トリガーに対抗できると判断された部隊だけだ。

他の連中相手ならともかく俺たちの部隊相手に、おまえ一人で勝てるつもりか?」

迅「おれはそこまで自惚れてないよ。遠征部隊の強さはよく知ってる。それに加えてA級の三輪隊、おれが(ブラック)トリガーを使ったとしてもいいとこ五分だろ」

 

そう。この人たちは強い。一人じゃ俺でも引き分け覚悟だ・・・だが

 

迅「『おれ一人だったら』の話だけど」

風間「・・・!?なに・・・!?」

 

後ろから足音が聞こえてきた。やっと着いたか

 

太刀川「!!」

嵐山「嵐山隊現着した。忍田本部長の命により玉狛支部に加勢する」

風間「嵐山・・・!」

三輪「嵐山隊・・・!?」

太刀川「忍田本部長派と手を組んだのか・・・!」

嵐山「遅くなったな、迅」

 

よし、これなら

 

迅「いいタイミングだ嵐山。助かるぜ」

嵐山「三雲くんの隊のためと聞いたからな。彼には大きな恩がある」

迅「木虎もメガネくんのために?」

木虎「・・・そうかもしれませんね」

迅「・・・・・!」

 

俺は太刀川さんたちのほうをみた

 

迅「嵐山たちがいればはっきり言ってこっちが勝つよ。おれのサイドエフェクトがそう言ってる。

おれだって別に本部とケンカしたいわけじゃない。退いてくれるとうれしいんだけどな、太刀川ささん」

太刀川「なるほど、『未来視』のサイドエフェクトか。ここまで()()のおまえは久々にみるな。おもしろい、おまえの予知を覆したくなった」

 

太刀川さんはそう言って弧月を抜いた。やっぱりそうなるよなと思いおれも『風刃』を抜こうとしたとき

 

迅「・・・・・・!?」

嵐山「?どうした迅?」

 

おれはあってはならない未来を見てしまいおもむろに左の真っ暗な道を見た

 

太刀川「?迅のやつどうしたんだ?」

風間「・・・・・?」

 

俺はその道をずっと見ていた。すると突然足音が聞こえてその姿を現した・・・なんで

 

 

迅「・・・・・なんでおまえがこんなところにいる!!悠!!」

悠「・・・・・迅」

 

 

 

現れたのは悠だった

 

 

 

 

 

 

 

悠side

 

俺は今目の前にいる存在の名前を言った

 

悠「・・・・・迅」

迅「なんで、なんでおまえがこんなところにいるんだ!?」

 

迅はそう言って詰め寄ってきた・・・・随分、暑苦しいな。その後ろには

 

嵐山「・・・!彼は!」

時枝「・・・はい、あの時の」

木虎「・・・・・っ!・・・悠、くん」

 

そして俺は次に左にいる遊真と俺を殺しに来たであろうボーダーの人間を見た

 

太刀川「・・・・・三輪、あいつは?」

三輪「あれが・・・・・もう一人の近界民(ネイバー)です!!」

風間「!あいつがそうなのか・・・」

当真「はあー?どういうことだ?間違えて来ちまったか?」

 

奴らはそんなことを言っていた。すると迅が

 

迅「おまえどうなるかわかってるのか!おまえが出てくれば太刀川さんたちの標的はおまえになるんだぞ!」

悠「・・・・・迅、あれらは俺たちを殺しに来たってことでいいんだな」

迅「!?おまえ・・・まさか!!」

 

俺は迅の手を振り払い奴らの前に出た

 

悠「・・・・・」

太刀川「・・・・・」

風間「・・・・・!」

当真「マジかよ。武装してる敵の前に堂々と出てきやがった」

三輪「・・・っ!!?」

 

悠「・・・迅。こいつらの相手は俺がやる」

迅「・・・おまえ」

木虎「・・・・・っ!」

嵐山「そんな!」

 

そして俺は奴らと向かい合った

 

太刀川「都合がいいな。ボーダーに入ろうともしていない近界民(ネイバー)を放置しておく理由がない」

悠「・・・・・・」

風間「おまえがどんなものであれ俺たちはおまえを処分する」

 

悠「・・・・・迅、今のお前が見える未来はどう向かっている」

迅「・・・えっ?・・・・・・・・!?」

 

迅がなにかを見たように目を見開いた

 

迅「まさか・・・おまえ・・・」

悠「・・・・・少しはいい未来にいってるといいな」

 

俺はそう言った。次の瞬間、俺の顔の位置を変えた。見るとそこは狙撃されていた

 

太刀川「!?・・・・おいおいマジかよ」

風間「今のは古寺か!」

当真「やばっ」

三輪「・・・・・っ!」

 

木虎「・・・・・・っ!」

嵐山「なんてことを!!」

時枝「・・・・・・・」

迅「・・・・・!」

 

どうやら今のはあの三輪とかいう奴が部下に狙撃をさせたらしいな・・・まあ、どうでもいいが

 

悠「迅、嵐山隊、お前たちは下がってろ」

木虎「!?でっでも」

悠「足手まといだから言ってるんじゃない。こいつらとは俺一人でやった方がいろいろと都合がいいからな」

木虎「・・・・・わかったわ」

悠「すまない。ありがとう」

木虎「・・・!?・・・ええ」

 

そして迅と嵐山隊を下がらせた

 

悠「・・・今のは、宣戦布告ということでいいんだな」

太刀川「・・・・・!?」

風間「・・・・・」

悠「それならば容赦する必要などないな」

 

俺はそう言って首から下げた指輪を手に取りあいつらに謝った

・・・・・すまないな。もう戦わないと決めたのに、またお前たちを戦場に行かせることになって。だがな、俺にも守りたいと思う者たちが出来てしまった。だから・・・・・あと少しだけ力を貸してくれ

そう思った瞬間、あいつらが笑っていたような気がした・・・ホントに、どこまでも・・・おまえらは・・・・

 

風間「・・・太刀川!」

太刀川「・・・・・・!?」

三輪「近界民(ネイバー)・・・!!」

 

 

行くぞ・・・・・あいつらを守るために・・・・・

 

 

 

 

 

 

悠「堕天の王(ルシファー)

 

 

 

 

 

 

 




大規模侵攻まで主人公はトリガー使わないつもりだったんですけど少し早い段階で一度使わせようと思います。
次はついに遊真の黒トリガー争奪戦ですが主人公対遠征部隊&三輪隊のオリジナル展開になります。


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9話





 

太刀川「・・・・・」

風間「・・・これは・・・」

当真「おいおい・・・・冗談じゃねえぞ」

三輪「・・・・・っ!?」

 

その場にいた全員が確信した。今、目の前にいる存在がとてつもない()()()だということに。

 

悠「・・・・・・・」

 

自分の(ブラック)トリガーを起動させた悠は冷静に目の前の()を見ていた

 

悠(・・・全員、確かな実力者のようだな)

 

黒銀の武具を身に纏った悠の姿はひときわ異彩を放っていた。それを遠くで見ている迅と嵐山隊は

 

迅「・・・・・」

時枝「・・・・・あれは」

木虎「・・・・・っ!」

嵐山「・・・迅、あれは、いったい・・・」

佐鳥「・・・・・すっげー」

 

嵐山が困惑したように迅に尋ねた。当然だろう。あれは明らかに普通じゃないと見れば誰でもわかってしまう。

 

迅「・・・・・あれは、悠の持っている(ブラック)トリガーだ」

嵐山「!それじゃあつまり、彼が」

迅「いや、ちがう。狙われているのは遊真で今は玉狛にいるんだ」

時枝「ということは、彼らはもう一つ・・・」

迅「・・・・・」

木虎「・・・・・悠、くん」

 

 

 

今、襲撃部隊は目の前の存在にどう動けばいいのか分からなかった

 

風間「さて、どう動く?」

太刀川「・・・どうするか、この()()()

当真「とりあえず、どさくさに紛れて狙撃手(スナイパー)組は下がりますわ」

そして、戦いが始まった

風間隊の3人は隠密トリガー(カメレオン)によってその場から消え狙撃手(スナイパー)組はすぐこの場から離れた。太刀川、三輪、米屋がそれぞれ弧月を持ち悠に切りかかった

 

太刀川「・・・・・!」

太刀川はすぐさま弧月を持っていない左手で()()()()()の弧月を持ち切りかかる・・・が

 

悠「・・・・・」

 

悠は右手に黄金に輝く剣を出現させその一本を片手で持ち太刀川の斬撃を軽々と防いだ

 

太刀川「!・・・・なんだそれ・・・」

三輪「・・・・・!?」

米屋「はあっ・・・!」

 

太刀川の斬撃を防いだ瞬間、両脇から三輪と米屋がそれぞれ刀と槍の形をした弧月で切りかかってきた。悠は防いでいた太刀川を弾き飛ばし左手に朱い剣を出して二人の吹き飛ばした

 

太刀川「・・・・・っ!!」

三輪「・・・・・くっ!」

米屋「・・・・・やべっ」

 

悠はそのまま朱い剣を逆手に持ちそのまま誰もいなかったはずの後ろに突き刺した。そこには徐々に隠密トリガー(カメレオン)が解けていく風間隊の髪が長めの男が悠の剣に突き刺されていた

 

「・・・・・っ!」

悠「・・・・・愚かだな」

 

その男はそのまま緊急脱出(ベイルアウト)していった。悠がその男に気を取られている隙に前方に来ていた風間と隊員の男が悠に切りかかるが

 

悠「・・・フン」

 

悠は右手の剣をひと薙ぎした。ただそれだけで目の前の二人が後方に吹き飛ばされた

 

風間「・・・・・っ!」

「・・・・・!?」

 

二人はなんとか体制を持ち直したが、今の薙ぎ払いで持ってた()()()()()()が砕かれ二人の腹部に大きな裂傷ができそこから大量のトリオンが漏れ出ていた。

たった一度剣を振るわれただけ彼らのトリオン体はボロボロになっていた

 

「・・・風間さん、どうしますか?菊地原が・・・」

風間「あの馬鹿め。相手との力の差も分からないのか・・・未熟者め」

 

実のところ、あの髪が長めの男、菊地原 士郎は隠密トリガー(カメレオン)を知らないであろう悠なら自分が後ろから行けばばれないだろうと高を括っていたのだ

 

菊地原【・・・風間さん、すみま・・・】

風間【謝罪と反省会なら後でするぞ・・・いいな】

菊地原【!?・・・はい・・・】

 

そして、風間は通信を切った。菊地原に対して呆れているというのもあるが悠相手に通信をしている余裕なんてなかった

 

風間「・・・歌川、俺たちはいったん下がって体制を立て直すぞ」

歌川「・・・了解・・・」

 

風間と歌川と呼ばれた男はもう一度隠密トリガー(カメレオン)を使いその場から姿を消した。今悠の目の前には太刀川、三輪、米屋、そして太刀川と同じ隊服をきた男がいた。その男が

 

「アステロイド」

 

そう呟くと男の両手に巨大な立方体(キューブ)が現れてそれが細かくなり悠の方に向かって飛んで行った。彼の名前は出水 公平。太刀川隊のもう一人の戦える隊員である

 

悠「・・・・・」

 

しかし、悠は左手の剣を一度消し向かってくる小さなトリオンの砲撃に対して手を翳した。その手からは巨大なトリオンの壁ができそのトリオンをすべてかき消した

 

出水「!?おいおい、勘弁してくれよ・・・」

 

今の出水の攻撃は彼自身がかなりのトリオンで創ったものだったにも拘わらずそれをすべてかき消されてしまった。そのとき彼らのはるか後方にいた3人狙撃手(スナイパー)がそれぞれ一発ずつ狙撃をしてきたが悠はそれを避けると同時に後方にあった廃墟の屋根に飛び乗って

 

悠「・・・・・消えろ」

 

彼は左手からとてつもないトリオンを3つに分け狙撃手(スナイパー)に撃った。すると

 

当真「・・・ケンカ売る相手、間違えたんじゃねーの?」

奈良坂「・・・・・!?」

古寺「・・・そんな!!」

 

後ろの3人も緊急脱出(ベイルアウト)した

 

出水「マジでこれ、冗談にならないぞ・・・槍バカ」

米屋「ああ・・・マジでサシでやれる状況じゃないな・・・弾バカ」

三輪「・・・・っ!!?」

太刀川「・・・やばいな」

 

そして、襲撃部隊が動かないでいると、悠が左手に再び朱い剣を出して、廃墟から降りた。そして初めて悠が自分から動いた。一瞬で太刀川たちの背後に移動し彼らを左手の剣で切り払った

 

太刀川「・・・・っ!」

出水「・・・・・うそだろっ!?」

米屋「・・・・・はやっ!」

三輪「・・・・・くっ!?」

 

太刀川たちを切った直後に今まで隠密トリガー(カメレオン)により姿を消していた風間隊の二人が後ろから攻撃をしてきた・・・だが

 

悠「・・・・・下らん」

風間「・・・・・っ!?」

歌川「・・・・・!!」

 

悠は右手の剣を後ろにまわし二人の攻撃を防ぎ、そのまま二人を切り捨てた

 

風間「・・・・・!」

歌川「・・・しまった!?」

 

そして二人が緊急脱出(ベイルアウト)して残りは目の前にいる太刀川たちだけになった

 

太刀川「・・・ははは、マジか」

出水「やばいっすね・・・太刀川さん」

米屋「・・・つえー」

三輪「近界民(ネイバー)・・・!?」

 

そして太刀川たちは意を決して悠に向かった。最初に三輪が鉛弾(レッドバレッド)を悠に向かって撃ち、出水がメテオラと呼ばれる爆発する炸裂弾を撃ったが悠はそれらをかわし隙を突いて切りかかってきた太刀川と米屋を両手の剣で切り裂いた

 

太刀川「・・・・・っ!?」

米屋「・・・・・!?」

 

二人が緊急脱出(ベイルアウト)をし出水が二人に気を取られている隙に剣を消した左手で出水にトリオンの砲撃を撃って出水も緊急脱出(ベイルアウト)した。残ったのは

 

三輪「・・・・・くそっ!!?」

悠「・・・・・」

 

三輪だけとなった。自分以外の全員がやられたが三輪の目は悠に対する憎悪でいっぱいだった

 

三輪「・・・何故だ!?何故おまえらは平気な顔をして人を殺せる!!おまえたちが来なければ・・・!」

 

三輪は怒り狂っていた。その理由は悠も知っていた・・・・・だからこそ

 

悠「・・・姉が、近界民(ネイバー)に殺されたらしいな」

三輪「!?何故きさまがそれを・・・!!」

 

三輪は驚いていた。悠は続けた

 

悠「訂正する気はない。お前の言う通り近界民(ネイバー)は簡単に人を殺す」

三輪「・・・・・!?」

悠「恨むのならば恨み続けろ・・・・・だが、俺にもあいつらとの約束がある」

 

「死ぬわけにはいかない」、悠はそう言って三輪の首を切り落とした

 

 

襲撃部隊は全滅した。たった一人の男によって

 

その光景を見ていた迅と嵐山隊は

 

嵐山「・・・とてつもないな」

時枝「・・・本当に一人で・・・全員倒しちゃいましたね」

佐鳥「しかも、ほとんど・・・一撃でしたね」

木虎「・・・・・」

嵐山隊は全員が今見たことが本当に現実なのかと疑っていた。自分たちよりもランクが上のチームを約4部隊相手にして圧勝してしまったのだから。そして迅は

 

迅「・・・・・っ!?」

 

とても申し訳なさそうにして顔を俯かせていた。そして決心したように顔を上げて悠に近づいて行った。そんな迅に続いて嵐山隊も悠に近づいた

 

悠「・・・・・」

 

悠はトリガーを解除して迅達の方を向いた。その彼に迅は近づいて

 

迅「・・・悠、本当にすまな・・・あだっ」

 

迅がいきなり謝ろうとしたのを悠は迅の頭に拳骨をくらわせる形で阻止した。その光景に嵐山隊は呆然としていた。悠は謝ろうとした迅に対してため息をして

 

悠「難儀なものだな、未来視ってのは」

迅「・・・えっ・」

悠はやれやれといった感じで

 

悠「『未来視』、確かに便利な力ではある」

迅「・・・・・」

悠「そして、それ以上に・・・・残酷な力だな」

迅「・・・・・」

 

迅は目を見開いた

 

悠「見たくもない未来を無意識に見て、そして勝手に期待される。この上なく残酷な力だと思わないか?」

迅「・・・・・」

悠「・・・それでも、お前は前に進むつもりか・・・」

迅「・・・ああ、そうしておれは『最良』の未来をつかむつもりさ」

悠「・・・そうか」

 

悠はそれだけ行ってどこかに行こうとした。彼は後ろを向いて

 

悠「・・・早く来い」

嵐山「・・・えっ?」

悠「迅、本部に行くんだろう。俺も行くから早くしろ」

迅「ああ、そうだな。行くか!」

そして悠と迅は本部に向かった

 

嵐山「まっ待ってくれ!」

時枝「・・・・・」

佐鳥「待ってくださいー」

木虎「・・・・・!」

 

その彼らに嵐山隊のみんなは続いた

 

 

 

 

 

 

 

鬼怒田「・・・一体どうなっとるんだ・・・」

 

指令室で鬼怒田が困惑していた。いや、鬼怒田だけではない。根付、唐沢、城戸、そして迅に救援を出した忍田もみんな困惑していた

 

鬼怒田「迅の妨害はあった、嵐山隊の玉狛についた・・・だが、それよりも・・・たった一人の近界民(ネイバー)精鋭部隊(トップチーム)がが敗れた?」

無理もない。(ブラック)トリガーにも対抗できるやつらばかりを集めた精鋭部隊(トップチーム)がたった一人の男に壊滅させられたのだから

 

鬼怒田「そもそも・・・忍田本部長!!何故嵐山隊を玉狛側につかせた!?なぜ近界民(ネイバー)を守ろうとする!?ボーダーを裏切るつもりか!?」

 

鬼怒田はそう言って忍田に言った。だが忍田は憤慨していた

 

忍田「・・・精鋭部隊(トップチーム)を倒した男についてはあとで迅に聞くとしよう・・・だがな

『裏切る』・・・?論議を差し置いて強奪を強行したのはどちらだ?」

鬼怒田「・・・・・!」

忍田「もう一度はっきりと言っておくが私は(ブラック)トリガーの強奪には反対だ。ましてや相手は有吾さんの子・・・これ以上刺客を差し向けるつもりなら、

次は嵐山隊ではなくこの私が相手になるぞ、城戸派一党」

鬼怒田・根付「「・・・・・」」

 

忍田はまるで鬼のような顔で彼らを睨みつけた

 

唐沢(忍田本部長はA級1位太刀川 慶に剣を教えた師匠。ボーダー本部においてノーマルトリガー最強の男

怒らせたのはまずかったかな、やはり強硬策より懐柔策を・・・)

 

唐沢がそんなことを思っていると

 

城戸「なるほど・・・ならば仕方ない、次の刺客には天羽を使う」

忍田「!!?」

鬼怒田「なっ・・・」

根付「天羽くんを・・・!?」

 

みんなが驚いていた。それも無理はない

 

唐沢(S級隊員『天羽 月彦』・・・!迅 悠一と並ぶもう一人の(ブラック)トリガー使い。素行にいろいろと問題はあるが単純な戦闘能力では迅 悠一をも凌ぐという

城戸司令はとことんケンカするつもりだな)

根付「い・・・いやしかしですねぇ城戸司令・・・彼を表に出すとボーダーのイメージが・・・

なんといいますか天羽くんの戦う姿は少々()()()()しておりますからねぇ・・・万が一市民に目撃されると非常にまずい・・・」

城戸「A級トップ全員を単体で倒した近界民(ネイバー)に忍田くんが加わるとなれば、こちらも手段を選んでおれまい」

忍田「城戸さん・・・街を破壊するつもりか・・・!!」

 

そんな感じで司令室の中が緊迫していると

 

迅「失礼します」

城戸「・・・・!?」

迅「どうもみなさんお揃いで会議中にすみませんね」

 

入ってきたのは迅であった

 

鬼怒田「きっさま~~~!!よくものうのうと顔を出せたな!」

迅「まあまあ鬼怒田さん、血圧上がっちゃうよ」

城戸「何の要件だ迅。宣戦布告でもしに来たか」

 

城戸は厳しい顔で迅に言った。それに対して迅は

 

迅「ちがうよ城戸さん。今回は少し会ってほしいやつがいるんだ」

城戸「・・・・何?」

迅「・・・入ってきていいぞ」

 

迅がそう言うと後ろの扉が開いた。そして入ってきたのは

 

鬼怒田「・・・・・なっ!!」

根付「・・・・・っ!?」

唐沢「・・・これは・・・」

忍田「・・・・!」

城戸「・・・迅、その男は・・・?」

 

そう言って城戸は迅に問いかけた。それに対して迅は笑顔で彼を紹介した

 

迅「うん、紹介するよ。こいつはもう一人の近界民(ネイバー)で今回太刀川さんたちをボコボコにした悠だ」

悠「・・・よろしく・・・とだけ言っておく」

 

全員が驚愕する中迅は司令室に入ってきた青年、悠を紹介した。

 

 

 

 

 

 

 

悠side

 

鬼怒田「・・・どっ」

 

迅が俺の事を紹介し終えると左に座っている肥満体系の男が

 

鬼怒田「どういうつもりだ!迅!!

 

とても大きい声で俺と迅に言ってきた・・・やれやれ、やかましいな

 

迅「まあまあ、だから落ち着きなよ鬼怒田さん」

鬼怒田「ふざけるな!これが落ち着いていられるか!どういうことだ、近界民(ネイバー)をこの基地内に連れ込むなど!!」

迅「それも、事情があるんだって」

鬼怒田「おまえの事情など・・・!」

城戸「・・・落ち着きたまえ。鬼怒田開発室長」

 

憤慨する鬼怒田と呼ばれた男を中央に座っている顔に傷のある男がなだめた

 

鬼怒田「!?城戸司令!!しかし・・・」

城戸「いいから落ち着きたまえ。・・・迅、どういうことだ。説明はあるんだろうな」

迅「うん。もちろんですよ」

 

そして迅はどうして俺がここに来たかを説明した

 

迅「今回は交渉しに来たんだ」

鬼怒田「交渉だと・・・!?裏切っておきながら・・・」

唐沢「いや・・・そこの彼が本部の精鋭を撃破して本部長派とも手を組んだ。戦力で優位に立った今が交渉のタイミングでしょ」

迅「こちらの要求はふたつ、うちの後輩空閑 遊真のボーダー入隊を認めて貰いたいのとこいつとこいつの(ブラック)トリガーの安全だ」

 

そして迅が本題に入った

 

鬼怒田「何ッ!(ブラック)トリガーだと!?」

根付「彼も持っているのですか!!」

迅「太刀川さんが言うには本部が認めないと入隊したことにならないらしいんだよね」

唐沢「なるほど・・・『模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる』・・・か」

 

迅がそんな事を言っていると

 

城戸「私がそんな要求を飲むと思うか・・・?」

 

城戸と呼ばれたこの男がばっさり切り捨てた。

 

迅「もちろん、タダでとは言わないよ」

 

そして迅が切り出した。手札を見せるなら今だな。迅は自分が持っている『風刃』を机に置き

 

迅「かわりにこっちは『風刃』と・・・・・悠を本部に渡す」

 

城戸「・・・・・!?」

鬼怒田・根付「「な!!?」」

忍田「・・・何を!?」

 

さあ、手札は切った。あとは迅次第だ

 

忍田「どういうことだ、迅!お前は何を言って・・・!」

迅「本気だよ。こっちは『風刃』と悠の身柄を本部に渡す」

鬼怒田「・・・本気か!?迅!」

根付「なんと・・・!!」

 

城戸「どういうことだ迅?風刃を渡すのはわかるが何故その男をいきなり本部に渡す気になった?」

 

城戸がそう言った。それはそうだろうな。今まで渡さないと言っていた男をいきなり渡すと言い出したんだからな

 

迅「なにも悠を渡すのはそっちで処分してくれとかそういう意味で渡すんじゃないよ」

忍田「どういうことだ迅?」

迅「・・・悠を本部所属のS級隊員にして欲しいんだ」

 

迅があり得ないことを言ったと思ったのか

 

鬼怒田「何をバカげたこと言っている迅!そいつを本部のS級隊員にしろだと!?」

根付「いくら君でも考えがおかしいと分からないのかい?」

城戸「そのようなふざけた事を私が許可すると思っているのか?」

迅「城戸さんさ、この後最悪天羽刺客にするつもりでしょ?」

城戸「・・・・・!」

迅「はっきり言う。天羽でもこいつには勝てないよ」

城戸「なんだと?」

 

そして迅はそのまま話す

 

迅「それどころかボーダーの全勢力でこいつを倒そうとしてもこいつには勝てない」

鬼怒田「・・・・・なっ!!」

根付「それは本当かい!?」

迅「はい。おれのサイドエフェクトがそう言っています」

 

そして迅があることを話し始めた

 

迅「おれが前に言ったことがあるけどもう少しすると大規模侵攻があるって前に言ったでしょ」

城戸「・・・それがどうかしたのか?」

迅「はっきり言って、こいつがおそらく一番のキーマンになるんだ。おそらくこいつがいるのといないのじゃ、市民の生存確率も全然違う」

根付「・・・それはっ!?」

 

そして迅は城戸に

 

迅「それに、こいつは城戸さんの()()()()に絶対に役に立つよ」

城戸「・・・・・」

迅「おれのサイドエフェクトが・・・そう言ってる」

 

 

 

 

迅「ふぅー、緊張したなー」

悠「・・・そうか?そんなふうには見えなかったが?」

俺と迅は司令室から出て廊下を歩いていた

 

迅「そんなことないさ。実はめちゃくちゃ・・・ん?」

悠「・・・・・」

 

そして歩いていると目の前に俺がさっき戦った二人がいた

 

太刀川「・・・・・」

風間「・・・・・」

迅「ようお二人さん・・・ぼんち揚げ食う?」

悠「・・・はあー」

 

 

 

 

 

俺と迅は二人を連れて外に出て自動販売機のところで話していた

 

太刀川「・・・まったくお前は意味不明だな。なにあっさり『風刃』渡してんだ。しかも、こいつを本部に所属させるとか」

 

どうやら俺の情報はもう伝わってるようだな。太刀川がぼんち揚げを食いながら俺を見て言った

 

太刀川「というかお前、(ブラック)トリガーだったのか。どーりでやばかったわけだ!よし、また俺と勝負しろ!」

悠「・・・そのうちな」

迅「ははは、この人、戦闘狂だから勘弁してやってくれ、悠」

太刀川「戦闘狂ってどういうことだ!」

風間「そのままの意味だろう」

 

そう言いながら風間がぼんち揚げを食いながら

 

風間「(ブラック)トリガー奪取の指令は解除された・・・『風刃』を手放す気があったなら何故こいつを本部に渡すんだ?」

 

風間がそういうと迅は少し言いずらそうにして

 

迅「・・・実は本当は俺と嵐山隊で太刀川さんたちに勝って『風刃』の()を上げるっていうのが当初の俺のやろうとしてたことなんだ」

太刀川「何ィー!おまえなー!」

風間「・・・だが、それをこいつが来て状況が変わったと」

迅「・・・ああ、こいつが未来を無理やり変えてくれたんだ。それで太刀川さんたちを一人で圧倒してくれたこいつが本部に行くと言ってくれたんだ」

悠「・・・・・」

 

俺にもまた・・・守りたいと思うものが出来たからな

 

太刀川「そうやって『風刃』とこいつを売ってまで近界民(ネイバー)をボーダーに入れる目的はなんだ?何を企んでいる?」

迅「・・・・・その玉狛(うち)に新しく入った遊真ってのとこの悠はけっこうハードな人生送っててな、おれは遊真に『楽しい時間』を作ってやりたいんだ」

太刀川「『楽しい時間』・・・?それとボーダー入隊がどうつながるんだ?何か関係あるのか?」

迅「もちろんあるさ」

 

迅がとても楽しいことを思い出すように言った

 

迅「おれは太刀川さんたちとバチバチ戦り合ってた頃が最高に楽しかった」

太刀川・風間「「・・・・!」」

迅「ボーダーにはいくらでも()()()()がいる。きっとあいつも毎日が楽しくなる。あいつは昔のおれに似てるからな。

そのうち()にあがってくると思うから、そん時はよろしく」

太刀川「へえ・・・そんなに()()()やつなのか。ちょっと楽しみだな」

 

そんな話をしていると

 

風間「・・・そいつは『楽しい時間』と言ったな。それならこいつ・・・名前はなんだ?」

悠「・・・・・悠だ。よろしく頼む、風間」

風間「・・・おまえ、その制服中学生だろう。おれは今21だぞ」

悠「そうなのか?小さいから俺よりも下だと思っていたよ」

太刀川「ブフッ!?」

迅「~~~~~!?」

 

太刀川と迅がなにやら笑いをこらえていた。目の前の風間は

 

風間「・・・・・本部所属になったのなら、おれがおまえに年上に対する礼儀を叩き込んでやる。覚悟しておけ」

悠「すまんな、敬語は使ったことがないんでな。よろしく頼むよ」

 

俺の受け答えに風間は青筋を立て太刀川と迅はいまだに笑いをこらえていた。そして風間は気を取り直して

 

風間「悠は何故ボーダーに入れる必要があった?あとおまえ苗字も何で名乗らない」

迅「!そっそれは・・・」

悠「いや迅、いい。俺の事だからな。俺が話そう」

 

そして俺はこいつらにも俺の今までの人生を話した。そして俺が静かな平和な暮らしを求めてこの国に来たことを。この話に二人は

 

太刀川「・・・悪い」

風間「・・・・そういう事情か」

悠「別に構わない。それに・・・もう決めたからな」

 

静かで平和な暮らしをするために。そして、守りたいものたちを守るために・・・

 

風間「・・・理解した。だがこの国で暮らすにはおまえは物事を知らなさすぎる。まず俺がおまえに年上に対する礼儀を教えてやる」

悠「・・・ああ、風間。よろしく頼むよ」

風間「まず、おれの名前の後ろには『さん』をつけろ。まずはそこからだ」

悠「ああ、わかった。風間・・・さん?」

 

風間さん?はそれに納得したようだ

 

太刀川「おれは敬語とかいいからさ、また戦ってくれよ!な!」

迅「太刀川さん・・・」

悠「さっきも言ったがそのうちな」

 

そんなこんなで(ブラック)トリガー争奪戦は幕を閉じた

 

 

 

 

 

 



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幕間

今回から何話か日常編を書いていきます。
完全オリジナル回です。


 

悠side

 

昨日の夜、俺は遊真の(ブラック)トリガーを奪いに来た襲撃部隊を追い返した俺もボーダー本部に行き俺は今、ボーダーのS級隊員ということになった。

俺はその事を修たちに報告するために今玉狛支部に向かっていた。遊真には昨日の夜に伝えてある

 

遊真「オサムたち驚くだろうなー」

悠「そうだな。お前はその割だったがな」

遊真「まあね。戦うか決めるのは悠自身だからな」

悠「・・・そうだな」

 

しばらく歩いていると玉狛支部に着いた。何回か入っているから俺たちは遠慮せず入った。そこには

 

宇佐美「?あっ遊真くん、悠くんおはよ~」

そこには宇佐美が荷物を持っていた

 

遊真「おはよー、ウサミセンパイ」

悠「おはよう、宇佐美」

宇佐美「おはよ~修くんと千佳ちゃんはもう来てるよ」

遊真「おっちょうどいいな」

悠「ああ」

そうして俺たちは修たちのいるリビングにいった。そこには修と千佳の他に小南、烏丸、木崎と迅以外の全員がいた

 

修「・・・?空閑、悠も一緒に来たんだな」

千佳「あっ遊真くん、悠くん」

 

修と千佳が俺たちに気づいて小南たちも俺たちに気づいた

 

小南「ああ!遊真、遅いじゃない。あと、悠!何で昨日来なかったのよ!」

悠「・・・?なにか問題があったのか?」

小南「そっそんなんじゃないわよ!ただ今度こそコテンパンにしようと思っただけで・・・!」

烏丸「いや、小南先輩。いくら何でもそれは無理がありますよ」

小南「・・・!なっなっ!!」

 

そう言って小南は顔を赤くしていた。まあいい

 

悠「・・・修、千佳少しいいか?」

修「・・・?どうかしたのか?」

悠「ああ。昨日来なかった理由を一応言っておこうと思ってな」

千佳「・・・なにかあったの?」

悠「ああ、実はな・・・」

 

俺はそう言って昨日あった事を話した。小南たちもいるがそれについては別に問題はない。

昨日襲撃にあった事、その襲撃部隊を追い返した事、そして俺がボーダー本部所属のS級隊員になった事をすべて話した。そして反応をしたのは

 

小南「・・・・あんた」

悠「・・・?どうした、小南?」

小南「あんたーー!それどういう事よ!なんで玉狛(うち)に入らないで本部所属なのよーーー!!」

 

そう言って小南は俺の突っかかってきた。何故か俺は小南の機嫌を損ねたらしい。すると迅がリビングに入ってきた

 

迅「・・・はあー、やっぱりこうなったか」

悠「・・・・・迅、小南を退けてくれ」

迅「おはよう。今やるよ」

 

そして迅が俺から小南を引き離してくれた

 

小南「ちょっと、なにすんのよ!迅・・・!」

迅「小南落ち着けって。俺が詳しい事を説明するから・・・」

木崎「・・・迅、どういう事なんだ?」

迅「・・・うん、実は悠が本部に行くことになったのはほとんど俺のせいなんだ」

 

そして迅が昨日起きた事の詳しい説明を修たちにした。そして全部聞いたこいつらは

 

小南「・・・・・・」

烏丸「・・・それじゃあ、仕方ないっすね」

木崎「それがお前たちが選んだことなら俺からはなにもいう事はない」

 

木崎と烏丸はどうやら納得したようだ。小南は何故か俯いていた。そして修と千佳は

 

修「・・・そうか、悠は自分で決めたんだな」

悠「ああ」

千佳「・・・それなら、私たちからは何も言えないよ」

悠「すまないな」

 

俺はそう言って二人の頭を軽く撫でた。そして

 

小南「・・・・・わかったわよ」

 

小南が何かを絞りだすように言った

 

小南「・・・迅の言う通り、未来のために必要なことなんでしょ」

悠「そうだ」

小南「・・・本当は納得なんてしたくないけど、しょうがないから認めてあげる・・・その代わり」

 

そう言って小南は顔を上げて俺を見た

 

小南「悠、あんたちゃんと一週間に一回は玉狛(うち)に来なさいよ!!」

 

小南そう俺に言ってきた。烏丸や木崎、迅がやれやれといった感じだった。まあ、俺もここの雰囲気は嫌いじゃないからな

 

悠「ああ、そうさせてもらおう」

 

そう言った。そして俺は少し雑談して本部に行くことにした

 

悠「このあと鬼怒田に呼ばれているから俺はもう行くよ」

修「わかった。それじゃあ」

千佳「またね」

遊真「じゃあな、悠」

迅「それじゃあな」

小南「絶対きなさいよー!」

 

俺はそうして玉狛支部を出て、ボーダー本部に向かった

 

 

 

そして俺はボーダー基地の目の前に来ていた。俺は事前に渡されていたトリガーを使って基地の中に入った。

改めてとても大きいなと思う。俺は今までここまで巨大な建物に入ったことが無い。だから迷ってしまいそうだ。

しばらく廊下を歩いていると少しずつボーダー隊員の姿が見えてきて、少し大きい空間に来た。俺は鬼怒田の所に向かって歩いていると周りの人間の声が聞こえてくる

 

「おい、あんなヤツ見た事あるか?」

「いや、ない。つーかあいつの着てるあれ私服じゃね?」

「えっ、じゃあトリガー使ってないのか?」

「一体誰だよ?」

 

そんな言葉が飛び交っている中、特に気にせず俺は進んでいると今度は扉が沢山あり、中央の巨大なモニターに部屋の番号と隊員が戦っている映像が映っていた

 

悠「ここは・・・」

 

そんな感じで移動しているとまた話声が聞こえてきた

 

「おいおい、なんだアイツ?」

「なんであいつ、トリガー起動してないんだ?」

「ねえ、なんかあの人かっこよくない!?」

「私はなんかちょっと怖いかも・・・」

 

そして歩いていると

 

米屋「・・・おお、あの時のやべーヤツじゃん!!」

出水「ホントだ。太刀川さんから聞いたけどボーダーに入ったってマジだったんだ」

 

そう言って昨日の襲撃にいた二人が近づいてきた

 

悠「・・・お前たちは・・・昨日の」

米屋「そういえばオレの名前言ってなかったな。オレは米屋 陽介。陽介でいいよ」

出水「オレは出水 公平。オレの事も好きなように呼んでくれ」

悠「そうか。俺の名前は悠だ。色々あってボーダーに入った。よろしく頼む、陽介、公平」

米屋「おお、よろしく」

 

こいつらは比較的接しやすい奴らだな。助かるな

 

出水「そういえば、今日はどうしたんだ?」

悠「ああ、鬼怒田に今日来いと言われたからな今から鬼怒田の所に行く」

米屋「鬼怒田さんが?なんの用だ?」

悠「さてな、そこまでは俺も知らされていない」

そう言って俺は鬼怒田を待たせるのもあれかと思い

 

悠「さて、俺は鬼怒田の所に行ってくる」

出水「おお、じゃあな」

米屋「今度、一対一(サシ)で戦ろうぜ!」

悠「機会があればな」

 

俺はそう言ってその場から立ち去った

 

 

 

出水「いや、あいつと一対一(サシ)とか一瞬でやられる未来しかみえねえよ」

米屋「なんだと、弾バカ!今から戦るかー」

出水「上等だ槍バカ!ハチの巣にしてやる」

 

 

 

 

俺は陽介、公平と別れ鬼怒田の所に向かって歩いていた。すると

 

「・・・はぁ・・・はぁ」

 

目の前から色素の薄い髪をした女が壁に手をやりながら浅く息をつきながら歩いてきた。その姿は今にも倒れそうだった。そして

 

「・・・あっ・・・」

悠「・・・・・っ!」

 

彼女はいきなり前へ倒れそうになった。俺はすかさず彼女の近くに走っていき彼女が倒れる前に支えた

 

悠「・・・大丈夫・・・ではないか」

「・・・あっ・・・あ、の」

悠「しゃべるな。まず深呼吸をして落ち着け」

「はっは、い・・・・・すぅー・・はぁー・・すぅー・・はぁー」

 

彼女は深呼吸をしてまだ息は浅いがとりあえず、落ち着いたようだ。だが、このままにしておくのも危ないな

 

「あっあの・・・ありがとうございます・・・」

悠「いや、いい。とりあえず医務室に連れていくぞ」

「いっいえ・・・大丈夫ですので・・・・」

悠「医務室は確か・・・」

木虎「悠、くん?何を、しているの・・・?」

 

俺が医務室がどこか思い出そうとしていると木虎が後ろにいた。ちょうどいいな

 

木虎「悠くん、一体なにを・・・」

悠「木虎、医務室は何処だ?」

木虎「・・・えっ?那須さん?」

悠「彼女はまだ安静にしておいた方がいい。医務室に連れていく」

「あの・・・わたしは大丈夫ですから・・・」

悠「目の前で倒れたやつを放っておくほど俺はクズではないのでな。それで木虎、医務室は・・・?」

 

木虎はすぐに事態を察したようだった

 

木虎「・・・医務室に案内するわ。ついてきて」

悠「助かる。それじゃあ少し失礼するぞ」

「・・・えっ・・・きゃ・・・」

俺は彼女をすぐ横に抱えてそのまま立ち木虎に案内してもらう事にした

 

「・・・・・えっえっと」

悠「よし、木虎、案内してくれ」

木虎「・・・・・」

悠「・・・?木虎、何を呆けているんだ。早く案内してくれ」

木虎「!えっええ、わかったわ。こっちよ・・・」

 

そして俺は彼女を抱えたまま医務室に急いだ。

そして俺たちは医務室についてすぐに彼女をベッドに降ろした

 

悠「ここの責任者にも確認をとった。しばらくここで休んでいるといい」

「えっと・・・ありがとうございます・・・」

 

彼女はそう言って俺にお礼を言ってきた。そして

 

木虎「あの、那須さん・・・大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ。ありがとう木虎ちゃん」

悠「・・・?木虎、知り合いだったのか?」

 

どうやら二人は知り合いだったらしい

 

木虎「ええ、この人は那須さん。この人もボーダー隊員よ」

那須「はじめまして、私は那須 玲です。今回は助けてくれて本当にありがとうございます」

悠「いや、別にいい。俺は悠、悠と呼んでくれ」

那須「はい。ありがとうございました、悠さん」

 

そう話していると

 

木虎「那須さん、彼、私と同い年ですから、敬語じゃなくていいんですよ。彼那須さんより年下なんですから」

那須「・・・えっ?そうなの?」

悠「すまないな。俺は敬語が苦手でな。勘違いさせてすまない」

那須「いっいえ、そんなことは・・・ただ、大人っぽいから年上かと思ってしまって・・・」

悠「いや、俺の方こそすまないな。だから別に敬語じゃなくていいぞ。俺も敬語は使えないが」

木虎「・・・あなたは敬語を使いなさいよ。那須さんは年上なんだから」

悠「そういえば、それを昨日風間さんにも言われたな」

 

俺は木虎となんやかんやと話していると

 

那須「・・・ふふっ」

 

なにやら那須が笑った

 

悠「・・・?どうかしたのか、那須?」

那須「ふふっ・・いえ、何でもないの。ただ、木虎ちゃんが同年代の人とこんな風に話してるの初めて見たから・・・」

木虎「・・・なっ・・・!」

悠「・・・そうなのか?」

木虎「・・・そっそんなこと・・・」

 

木虎はそう言って俯いてしまった。どうしたんだと疑問に思っていると

 

那須「今回は本当にありがとう。それじゃあ、私もあなたのこと悠くんって呼んでいい?」

悠「ああ、それじゃあ俺は・・・」

 

そう言うと彼女は

 

那須「じゃあ、私の事は玲って呼んでくれない?」

木虎「・・・・・っ!?」

 

そう言ってきた。俺は構わないので

 

悠「ああ、それじゃあ俺も玲と呼ばせてもらうよ」

那須「ええ、よろしくね」

木虎「・・・・・」

悠「・・・?どうしたんだ木虎?さっきから・・・」

木虎「・・・いえ、別に」

その木虎の様子に俺が首を傾げ、玲が笑っていると

 

那須「!・・・けほっ・・・けほっ」

木虎「・・・!那須さん!!」

悠「木虎、水を持ってきてくれ」

木虎「わかったわ」

 

そして木虎は水を取りに行き俺は玲を落ち着かせた

 

木虎「水よ・・・!」

悠「ありがとう。玲、一度起こす。そしてゆっくり水を飲むんだ」

那須「けほっ・・・ありがとう・・・・・ゴクッ・・ゴクッ・・・」

 

そして玲は水を飲み一度落ち着いた。そして俺は玲をベッドに寝かせた

 

悠「あとは寝て安静にしていろ」

那須「ありがとう・・・悠くん・・・」

 

そして、俺はベッドに寝かせた玲を落ち着かせるように頭を撫でた。すると

 

木虎「・・・・・っ!!?」

那須「・・・・・あっ・・・」

悠「・・・大丈夫だ」

 

そしてしばらく撫でていると玲は安らかな寝息をたて眠っていた。俺は玲が完全に寝たのを確認すると手を放し木虎に

 

悠「木虎、俺は鬼怒田の所に行かないといけないからあとは・・・」

木虎「・・・・・」

悠「・・・本当にどうしたんだ?」お前も体調不良か?」

木虎「・・・・・」

悠「・・・やれやれ」

 

俺はこの姿になんとなく見覚えがあった。昔のあいつらの一人のどこか素直になれなかったあいつにどこか似ていた。だからか、手が自然と木虎の頭に伸びていた

 

木虎「・・・・・!?」

悠「・・・あとは、頼んだぞ。木虎」

木虎「・・・えっええ」

 

俺はそう言って医務室を後にした。俺が出て行った医務室では

 

木虎「・・・・・っ!?」

 

木虎が顔を赤くしていた。

 

 

 

 

 

 

那須side

 

私は今ボーダー本部に来ている。昨日、作戦室に忘れ物をしてしまい取りに来た。そして帰ろうとしたら突然苦しくなった。

那須「・・・はぁ・・はぁ・・」

 

どんどん息が浅くなり私は壁に手をついて歩いていた。そういえばトリガーはどこだったかなとトリガーを探したけど判断力も落ちてどこにトリガーがあるか分からなかった。

前の方で誰かが歩いてるけど私には気にする余裕がなかった。迷惑をかけたくなかったけど熊ちゃんを呼ぼうとしたら

 

那須「・・・あっ・・・」

 

私は足がもたつき前に倒れそうになった・・・あっ倒れると思った瞬間、私は誰かに身体を支えられる感覚を覚えた

 

悠「・・・大丈夫・・・ではないか」

那須「・・・あっ・・・あ、の」

多分前の方を歩いていた人だと思う。私はその人に声を掛けようとすると

 

悠「しゃべるな。まず深呼吸をして落ち着け」

 

その人は静かに、それでいてどこか暖かい声音で私にそう言った。私は彼の言葉に従って深呼吸して自分の身体を落ち着かせた

 

那須「あっあの・・・ありがとうございます・・・」

 

私はそう言って助けてくれた彼の顔を見上げると

 

那須「・・・・・っ!」

悠「いや、いい。とりあえず医務室に連れていくぞ」

 

私は思わず息を呑んでしまった。彼は普通の日本人特有の黒髪だったけど私が思わず見てしまったのはその瞳だった。

どこまでも澄んだ蒼い瞳。その眼に見つめられ私は顔が熱くなるのが分かった。彼は私を医務室に連れ行くと言った。そこまでしてもらっては彼に迷惑だと思い、断ろうとしたら

 

木虎「悠、くん?何を、しているの・・・?」

 

後ろを見てみると木虎ちゃんが呆然とした表情で立っていた。悠くん?って、木虎ちゃんはこの人と知り合いなのかな?

 

悠「木虎、医務室は何処だ?」

木虎「・・・えっ?那須さん?」

悠「彼女はまだ安静にしておいた方がいい。医務室に連れていく」

 

そう言って私を医務室に連れて行ってくれようとしてくれている。私はこれ以上迷惑になりたくなったけど

 

悠「目の前で倒れたやつを放っておくほど俺はクズではないのでな。それで木虎、医務室は・・・?」

 

彼はそう言ってくれた。木虎ちゃんはすぐに事情を理解したらしくついてきてと言った。すると

 

悠「助かる。それじゃあ少し失礼するぞ」

那須「・・・えっ・・・きゃ・・・」

彼は木虎ちゃんに同意して次の瞬間、私をいわゆるお姫様抱っこといわれるやり方で私を抱え上げた。私は一瞬呆けてしまった

 

那須「・・・・・えっえっと」

悠「よし、木虎、案内してくれ」

木虎「・・・・・」

悠「・・・?木虎、何を呆けているんだ。早く案内してくれ」

木虎「!えっええ、わかったわ。こっちよ・・・」

 

彼と木虎ちゃんはそう言って私を医務室に連れて行った。私はその間、抱えている彼の男性特有の体の硬さと体の熱さに私は顔を熱くしていた

そして彼らは医務室に着いて私をベッドに降ろしてくれた

 

悠「ここの責任者にも確認をとった。しばらくここで休んでいるといい」

那須「えっと・・・ありがとうございます・・・」

 

彼はそう言ってくれた。改めて彼を見てみると、彼はとても背が高く多分180cmはあると思う。私はこの彼にさっきまでお姫様抱っこされていたと思うと顔が熱くなる

 

木虎「あの、那須さん・・・大丈夫ですか?」

那須「ええ、大丈夫よ。ありがとう木虎ちゃん」

悠「・・・?木虎、知り合いだったのか?」

 

やっぱりこの二人は知り合いみたい

 

木虎「ええ、この人は那須さん。この人もボーダー隊員よ」

那須「はじめまして、私は那須 玲です。今回は助けてくれて本当にありがとうございます」

悠「いや、別にいい。俺は悠、悠と呼んでくれ」

那須「はい。ありがとうございました、悠さん」

 

多分この人は年上だと思うから敬語を使った。でも木虎ちゃんは敬語を使ってなかったし・・・

 

木虎「那須さん、彼、私と同い年ですから、敬語じゃなくていいんですよ。彼那須さんより年下なんですから」

那須「・・・えっ?そうなの?」

悠「すまないな。俺は敬語が苦手でな。勘違いさせてすまない」

那須「いっいえ、そんなことは・・・ただ、大人っぽいから年上かと思ってしまって・・・」

悠「いや、俺の方こそすまないな。だから別に敬語じゃなくていいぞ。俺も敬語は使えないが」

木虎「・・・あなたは敬語を使いなさいよ。那須さんは年上なんだから」

悠「そういえば、それを昨日風間さんにも言われたな」

 

彼らはそう言って木虎ちゃんが悠さんに突っかかっていた。正直意外だった。木虎ちゃんは基本的にクールで同い年の人には基本的にこんな風に突っかかったりしてるのを私は見たことが無かった。だから

 

那須「・・・ふふっ」

 

おもわず笑ってしまった。この木虎ちゃんがあまりに新鮮で

 

悠「・・・?どうかしたのか、那須?」

那須「ふふっ・・いえ、何でもないの。ただ、木虎ちゃんが同年代の人とこんな風に話してるの初めて見たから・・・」

木虎「・・・なっ・・・!」

悠「・・・そうなのか?」

木虎「・・・そっそんなこと・・・」

 

とりあえず彼は私より年下で彼も敬語はいいと言ったから

 

那須「じゃあ、私の事は玲って呼んでくれない?」

木虎「・・・・・っ!?」

 

私がそう言うと木虎ちゃんがなんとも言えない顔をしていた・・・・もしかしてかな

悠「ああ、それじゃあ俺も玲と呼ばせてもらうよ」

那須「ええ、よろしくね」

木虎「・・・・・」

悠「・・・?どうしたんだ木虎?さっきから・・・」

木虎「・・・いえ、別に」

 

木虎ちゃんがそう言って拗ねていた。悠くんはどうしたんだと首をかしげていたけど私にはわかった。もしかして木虎ちゃん、彼の事・・・

そう言っていると

 

那須「!・・・けほっ・・・けほっ」

木虎「・・・!那須さん!!」

悠「木虎、水を持ってきてくれ」

木虎「わかったわ」

 

私はまた息が苦しくなった。木虎ちゃんが水が取りに行って悠くんが私をまた落ち着かせてくれた。

そして木虎ちゃんが持ってきてくれた水を飲んで私はベッドに横になった

 

悠「あとは寝て安静にしていろ」

那須「ありがとう・・・悠くん・・・」

 

私はそう言って寝ようとしたけれどなかなか寝付けなかった。すると悠くんが突然頭を撫でてくれた

 

木虎「・・・・・っ!!?」

那須「・・・・・あっ・・・」

悠「・・・大丈夫だ」

 

彼はそう言ってくれた。彼の手の温もりにとても安心して私はそのまま眠った

 

 

 

私は眠って目が覚めるとそこには

 

「・・・あっ玲!やっと起きた・・・」

「那須先輩!大丈夫ですか!!」

「よかったです・・・」

 

そこには私のチームメイトがいた

 

那須「熊ちゃん、茜ちゃん、小夜子ちゃん・・・」

「まったく・・・心配させないでよ」

那須「・・・うん・・・ごめんね、熊ちゃん」

 

彼女は熊谷 友子、熊ちゃんで私の親友

 

「心配しましたー!」

那須「ごめんね、茜ちゃん」

 

この子は日浦 茜ちゃん、私の大切な後輩

 

「・・・大丈夫ですか、那須先輩?」

那須「うん、もう大丈夫よ小夜子ちゃん」

 

彼女は志岐 小夜子ちゃん。私たちの隊のオペレータをしてくれている私の大切な後輩

 

熊谷「いきなり、木虎ちゃんから電話があって玲が基地で倒れたって言うから急いで来たんだよ」

那須「そっか、ごめんねみんな」

 

私はそう言った。そして

 

那須「あとで木虎ちゃんと()()()にもちゃんとお礼を言わないと・・・」

 

私がそう言うと

 

熊谷「・・・玲、その()()()って誰?玲を連れてきてくれたの木虎ちゃんじゃないの?」

那須「うん。木虎ちゃんもそうだけど私を抱えて連れてきてくれたのは悠くんなんだ・・・」

 

私はそう言って。彼にお姫様抱っこされた事、そして眠るときに彼に頭を撫でられたことを思い出した。そして私は無意識に手を頭にやって

 

那須「・・・・・っ!」

熊谷「・・・玲?」

日浦「那須先輩?」

志岐「・・・どうしたんですか?」

那須「・・・っ!うっううん、何でもないの!気にしないで・・・!」

 

私は赤くなった顔を見られないように誤魔化した。

 

 

 

 

 

悠side

 

俺は玲を医務室で寝かせたあと、鬼怒田のいる開発室に来た。そして、開発室の扉を開けると

 

鬼怒田「おそいわ!何をしとったんじゃ!!」

 

と、開口一番にそんな声が聞こえてきた

 

悠「すまないな。いろいろあって遅くなった」

鬼怒田「それなら連絡ぐらいせんか!」

悠「連絡手段を持っていなくてな。次からは気を付けよう」

 

俺はそう言って奥にいるもう一人に目がいった

 

悠「鬼怒田、あの男は・・・?」

鬼怒田「おまえ・・・まあもうよいわ。ついでに紹介するわい。おい、雷蔵」

「・・・?どうしたんですか?」

 

奥にいた男はそう言ってこっちに近づいてきた

 

鬼怒田「こいつはボーダー本部(うち)の開発室のチーフエンジニアの寺島じゃ」

寺島「・・・彼は・・?」

鬼怒田「こいつは今日からボーダー本部(うち)S級隊員になった・・・おまえの名前は確か・・・」

悠「悠だ。よろしく頼む」

寺島「・・・よろしく」

鬼怒田「こいつは敬語が使えないが勘弁してやれ」

 

そして鬼怒田は俺を適当な場所に座らせ今回ボーダー本部に来させた理由を言った

 

鬼怒田「さて、今回おまえをボーダー本部(うち)に呼んだのはおまえのトリオン能力と・・・おまえの(ブラック)トリガーを一度調べさせてもらうためだ」

悠「・・・そうか」

 

俺はそう言って指輪を握りしめた。大体予想通りか

 

鬼怒田「おまえもボーダー本部(うち)の隊員になったのなら協力はしてもらうぞ。(ブラック)トリガーは貴重だからな」

悠「・・・ああ・・・わかってる」

 

俺はそう言って指輪を首から外し鬼怒田に渡した

 

鬼怒田「安心せい。使えなくなるなんてことにはならん。あとでちゃんと返してやる」

悠「ああ、丁寧に頼む」

 

俺は指輪を鬼怒田に預けた

 

鬼怒田「さて、調べる間おまえ自身のトリオン能力も調べるが・・・」

寺島「・・・あっすみません室長。実は新しい方の測定器が壊れていて」

鬼怒田「・・・なに?」

 

どうやら新しい測定器が壊れ古い方しか使えないらしい

 

鬼怒田「・・・すまんが、古い方しか使えない様だ。そっちを使ってくれ」

悠「ああ、構わない。どうすればいい?」

鬼怒田「古い方は服を脱がなくては出来ないやつだ。上だけでいい。すまんが服を脱いでやってくれ」

悠「了解した」

 

そして俺は上の服を脱いだ。すると

 

寺島「・・・・・!?」

鬼怒田「・・・・・なんじゃ・・・それは」

悠「・・・?どうかしたのか?」

鬼怒田「いっいや、なんでもない。その中に入ってくれ。すこし時間がかかる・・・」

悠「ああ、わかった」

 

そして俺は人ひとりが入れるくらいのカプセルの中に入り計測が終わるまで待った

 

 

 

 

鬼怒田side

 

わしは目の前で服を脱いだこやつに驚愕した。脱いだことではない。こやつの身体はとても中学生とは思えないほどに極限まで鍛え上げられていた。そしてその身体にあった無数の傷がこいつの壮絶な人生を物語っていた。

それなのにこやつはまるでこの身体の傷が当たり前のものかのようにわしらに接した。

 

寺島「・・・・・何者なんですか、彼・・・」

鬼怒田「・・・・・」

 

寺島の疑問は当然だった。だが、わしは答えられない。そしてわしたちはやつの(ブラック)トリガーを調べていると

 

寺島「・・・?なんですかね、これ?」

鬼怒田「・・・どうした、雷蔵?」

寺島「・・・これ」

 

そして見てみるとこの(ブラック)トリガーは変わっていた。

普通(ブラック)トリガーは一人の大きなトリオンを持つ者によって創られる。だから(ブラック)トリガーには一人分の巨大なトリオンが内包されている・・・だが、これは

 

鬼怒田「・・・12個のトリオン?」

寺島「・・・一体、どういう・・・」

 

やつの(ブラック)トリガーには12個の性質の違うトリオンが静かに、それでいて穏やかにまるで所有者を守るかのように駆け巡っていた。そしてわしはとんでもない可能性が頭をよぎった。

鬼怒田「・・・まさか・・・そんなことがあり得るのか・・・」

寺島「・・・室長?あっ彼のトリオン能力がわかりました・・・えっ」

鬼怒田「・・・これ・・は」

悠「終わったか・・・」

 

そしてやつがカプセルの中から出てきた。そして結果を見ると

 

悠「やはり、こんなものか」

鬼怒田「・・・おまえ」

悠「どうした、鬼怒田?」

 

わしはどうしても聞かなくてはいけない。これは・・・

 

鬼怒田「・・・一つ聞くぞ」

悠「・・・なんだ」

鬼怒田「・・・この(ブラック)トリガーは何人の命で創られた?」

悠「・・・・・」

 

こいつそのまま(ブラック)トリガーの情報が出ているモニターの方を見て

 

悠「・・・やっぱり、こうなってんのか」

そう言ってどこか懐かしむような顔で見ていた。そしてわしらの方を見て

 

悠「・・・黒トリガー(こいつ)がどうして出来たのか、お前たちにも言っておこう」

 

やつはそう言って自分が体験したすべてを話した。

故郷から攫われ、奴隷兵士として長い間生き、最後に仲間たちが自分の命と引き換えにこの(ブラック)トリガーを創った事、そして仲間たちとの約束を守るためにこの街に来た事を。

こいつはすべてを話した

 

悠「今のが俺の人生のすべてだ」

寺島「・・・・・」

鬼怒田「・・・・・・」

 

わしらは何も言えなかった

 

悠「この話を信じるかどうかはお前たちに任せる」

 

こいつは調べ終わった(ブラック)トリガーを首に提げそのまま部屋を出て行った

 

 

 

 

 

 



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幕間2

 

悠side

 

先日、本部で俺のトリオン能力と(ブラック)トリガーを調べたあと俺はそのまま帰った。

あの日から数日たった今日、俺は迅に連れられまた本部に向かっていた

 

悠「迅、一体本部に何の用があるんだ?」

 

俺がそう聞くと迅は少し申し訳なさそうにしていた

 

迅「実は、太刀川さんから悠を連れてきてくれって言われたんだ。多分、また戦いたいんじゃないか?」

 

その言葉を聞いて俺は思った。

あいつは本当に戦闘狂だな・・・と

 

悠「・・・やれやれ、仕方ない・・・か」

迅「悪いな、悠」

悠「別に構わないさ。俺ももう・・・()()()()()()だからな」

 

俺がそう言うと迅はどこか安心したように笑った

 

悠「どうした?何か良い未来でも見えたか?」

迅「いや、何でもない」

 

そう言って話しているといつの間にかボーダーに着いていた。そして俺たちは太刀川の隊室に向かった

 

悠「そういえば言っていたな。もう少しで近界民(ネイバー)の大規模侵攻があると」

 

俺は迅から聞いていた大規模侵攻の事について迅にもう一度聞いた。迅は慌てて

 

迅「・・!ゆっ悠、それはまだほとんど知らないことだからあまり公にできないんだ!?」

悠「なんだ?そうなのか?」

 

まあ、それはそうか。余計な情報はいらない誤解を招きやすいからな。

そんな話をしていると俺たちは太刀川隊の部屋に着いた

 

迅「ここが、太刀川さんたちの部屋だ」

悠「ほう、ここが・・・」

 

そして、迅が扉をノックすると中から出てきたのは

 

「はいは~い。どちらさま~?」

 

やけにのびのびとした声の女が出てきた。いったい誰だ?

 

迅「おっ、国近ちゃんだー。ひさしぶりー」

「あれ~、迅さんだ~。それと~・・・」

 

そう言ってこっちを見てきた

 

「えっと~~、こっちの人は?」

迅「ああ、こいつは・・・」

太刀川「おお!やっと来たか」

 

迅が俺の事を説明しようとすると奥から太刀川が来た

 

太刀川「待ちくたびれたぞ!さっさと入れ!」

「この人も太刀川さんのお知り合い?」

太刀川「ああ、今日は本当は迅じゃなくてこいつを呼んだからな」

迅「太刀川さんいきなりすぎるからー」

 

そう言って俺と迅は太刀川たちの部屋に入れてもらう事にした。そこには

 

出水「・・・ああ!くそ、惜しい!!」

「そんな!ぼくの最強のキャラが・・・!」

 

中に公平ともう一人見知らぬ男がいた

 

出水「?おっ悠じゃん。どうしたんだ?」

「・・・?出水センパイ、だれですか?」

「・・・?ゆう?」

出水「ああ、すみません。柚宇さんじゃなくてこいつですよ」

「・・・?」

 

何やら混乱しているようだ

 

太刀川「ああ、そういえば名前知らない奴が何人かいたな。せっかくだから紹介する」

迅「そうだね、太刀川さん」

 

そう言って太刀川が自分の隊員の紹介をした。

 

太刀川「まず俺の事は知ってるだろうから省くし、見た感じ出水もこいつの名前とか知ってるっぽいな」

出水「はい。以前聞きました」

太刀川「それじゃあ後の隊員の紹介をする。

こいつがうちのオペレーターの国近 柚宇だ」

国近「よろしく~~」

 

そう言って太刀川が自分の隊のオペレーターを紹介した・・・なるほど柚宇(ゆう)か。それで・・・

そして太刀川がもう一人のこの男を紹介・・・

 

太刀川「さて、じゃあ国近にこいつのこと・・・」

「待ってください!太刀川さん!!ぼくの紹介が・・・!?」

太刀川「・・・?唯我、まだいたの?」

「ひどい!!」

 

そう言って同じ隊服を着ているこの男が言った

 

太刀川「・・・はあ、こいつは唯我。うちの隊の唯一の足手まとい・・・」

唯我「・・・ひどい!?」

 

説明した。とても嫌そうに・・・なるほど、確かに足手まといらしいな

 

迅「それじゃあ、こいつの事紹介するわ。こいつは悠。つい最近ボーダーに入ったS級隊員だ」

国近「悠・・・?」

唯我「S級・・・!?」

悠「よろしく頼む」

 

そう言って驚いていた

 

国近「じゃあ、さっき出水くんが言ってたの彼の事だったんだ」

出水「はい、そうです」

 

そんな話をしていると

 

唯我「・・・?彼の名前はわかりましたが、苗字は何ですか?」

 

突然唯我と呼ばれた男がそこに気が付いた。まあ、それはそうか

 

太刀川「・・・・・」

迅「・・・・・」

出水「・・・?太刀川さん、どうしたんですか?」

 

公平がそう言うと、太刀川は唯我に

 

太刀川「・・・唯我、お前今日は帰れ」

唯我「・・・えっ?・・・でも」

太刀川「帰れ

唯我「・・・っ!はっはいーー!?」

 

そう言って唯我は怯えたように帰っていった。公平と国近が少し呆然としていた

 

悠「・・・あいつ、本当にお前の隊員なのか?」

太刀川「まあ、あいつはある方法でこの隊に入っただけのやつだ。あんまり気にしないでくれ」

悠「そうか。ではそうしておこう」

国近「えーーっと、太刀川さん?・・・どういう事?」

太刀川「ああーー・・・」

 

そう言って太刀川はこっちを見てきた。話していいかという事だろう

 

悠「お前が信用している二人ならば問題ない」

迅「・・・いいのか?」

悠「ああ、今更隠すことではなくなったからな」

太刀川「・・・そっか」

 

そして太刀川は二人に俺が誰であるか、そして俺の過去を話すことにした

 

太刀川「おまえら、これから話すことは他言無用だ。いいな?」

出水「・・・わかりました」

国近「わかりました・・・」

 

そして俺が近界民(ネイバー)であること。

そして俺が太刀川に話した俺の過去をすべて話した。それを聞いた公平と国近は

 

出水「・・・ほんと、わるい」

国近「・・・・・」

 

そう言って公平は本当に申し訳なさそうに、国近は何も言えずにただ俯いていた。

・・・やれやれ、俺はこんな空気にしたかったわけじゃないんだがな。俺はそう思いながら二人のおでこを軽く指ではじいた

 

出水「あいたっ・・・」

国近「・・・いたっ」

 

俺はそのまま手を頭の上に置いた

 

悠「フッ・・・気にするな。もう終わったことだ」

出水「・・・だけど、お前はまた・・・」

悠「俺がボーダーに入るのは自分で決めたことだ。いつまでも迷っていたら・・・あいつらに笑われちまうからな」

 

俺はそう言ってこいつらの頭を軽く撫でた・・・やれやれ、お人好しが多いな。この国は

 

国近「・・・っ!」

出水「・・・はずかしいから、ヤメろ・・・」

悠「フッ、すまんな」

 

そう言って俺は撫でていた手を離した

 

出水「・・・まったく・・・」

国近「・・・・・っ」

太刀川「こいつは・・・」

迅「まったく・・・」

 

手を離した俺を太刀川と迅がニヤニヤしながら見ていた。さてそろそろ本題に入るか

 

悠「さて、自己紹介も終わったからな・・・太刀川、今日は何の用で呼んだんだ?」

 

俺がそう本題を切り出すと太刀川が思い出したようにいった

 

太刀川「ああ!そうだ、今日またおまえと戦り合いたいと思ってたんだ!?」

迅「予想通り・・・」

悠「・・・だな」

 

俺はそんな戦闘狂な太刀川に呆れていると

 

太刀川「・・・でも、今日はやる気なくなっちまったな」

迅「・・・へっ?」

悠「なんだ、そうなのか?」

 

迅が意外そうな声を上げていた

 

迅「あの365日24時間ランク戦で戦いまくりの戦闘狂の太刀川さんが自分から戦おうとしないなんて!!」

太刀川「迅、おまえ俺のことそんな風に思ってたのか?」

 

そして太刀川が続けた

 

太刀川「なに、今日は戦る気が起きなくなっただけだ。いずれ戦ってもらうぞ」

悠「・・・ああ、そうさせてもらおう」

 

そして用がなくなった俺は

 

悠「それじゃあ、俺はかえ・・・・」

 

帰ろうとしたら太刀川、迅、公平に体をつかまれていた

 

太刀川「まあ、待てよ。せっかく来たんだ、ゆっくりしていけよ」

出水「そうそう。せっかくだしな」

迅「太刀川さんたちもこう言ってるしさ」

 

俺はそれでも帰ろうとすると背中に人の温かさを感じた。後ろを見ると国近が何故か俺の背中に抱き着いていた

 

悠「・・・?どうした、国近?」

国近「・・・・・っ」

 

そう言ったが国近はいっこうに喋らなかった。この様子を他の三人が目を見開いてみていた。

俺の背中に抱き着いていた国近は少し震えていた・・・・仕方ないな。俺は国近の頭に手を置き

 

悠「・・・少し、ここでゆっくりさせてもらうか」

国近「・・・っ!・・・うん!」

 

そして俺は太刀川の隊室にしばらくいることになった。部屋の中はなにやらいろんなものでいっぱいであった。俺はテーブルのような毛布のあるものが気になった

 

悠「・・・これは?」

太刀川「ああ、こいつは()()()っつってなこの毛布の中が暖かいんだ」

悠「・・・ほう?」

 

そう言って俺たちはこの()()()に入った。それなりに大きいこたつは四角形で俺たちは5人いるから最初に太刀川以外の4人でそれぞれ一辺の所に入った。その瞬間

 

悠「・・・・・!」

迅「はあ、やっぱり冬はこれだよなー」

出水「そうっすねー」

国近「やっぱりこたつはいい~~」

太刀川「しばらくしたら俺もいれろよー」

 

それぞれがそんな事を言いながら暖まっていた。そして俺も

 

悠「・・・ああ、暖かいな」

 

そんな事を言いながらこのこたつで暖まっていた。

しばらくすると、太刀川が限界を感じたのか

 

太刀川「・・・もう我慢できん!迅!変われ!!」

迅「・・・ええーー、もう少し・・・」

そんなことを言っていた。どうやら寒いらしい

 

悠「それなら、俺が・・・」

太刀川「いや、おまえは出るな」

出水「まだあったまっとけよー・・・」

 

そう言われた。そして太刀川と迅のこたつ争奪戦が始まろうとしたとき

 

国近「・・・あっ!それならこうしよう~~」

太刀川「・・・?どうした国近?いきなり立って・・・」

 

国近はこたつを出て太刀川にこっちこっちと言いいままで自分が座っていたところに太刀川を座らせた。それでは国近はどうするのかと思っていると

 

国近「・・・よいしょっと」

迅「わーお・・・」

出水「・・・だいたんだなー」

太刀川「・・・なるほど」

悠「・・・・・」

 

国近は言葉通り俺の()()に来た。別に構わないが。このこたつが少し大きめで助かったな

 

国近「・・・ふふっ、あたたかいね~~」

悠「・・・ああ、そうだな」

 

こうして、俺たちは全員こたつで暖まっている。こたつの上には黄色の果物が置いてある

 

太刀川「やっぱり、こたつと言えばみかんだな」

たまに買い物をしている時に見るみかんというものらしい。買ったことがないから分からないが。ちなみに迅はいつも通りぼんち揚げを食っている

 

出水「・・・このみかん特有の酸味がたまらねー!」

迅「・・・こたつで食べるぼんち揚げも格別だなー」

太刀川「あっ迅。何食ってんだ、俺にもよこせ」

 

いいものだな、こういうのも。

そんなことを思っていると国近がみかんを俺にくれた

 

国近「はい、悠くん。みかんだよ~」

悠「ああ、ありがとう」

 

俺はそう言ってみかんを受け取った。俺は周りがやっているようにみかんの皮をむこうとした。だが、なかなかに難しく途中で切れてしまう。

公平や太刀川を見ると綺麗にむけていた・・・どうやっているんだ?そんなことを思っていると

 

国近「・・・わたしがむこうか?」

悠「・・・すまないな。頼めるか?」

国近「うんっ」

 

国近にやってもらう事にした。彼女はとても綺麗にむけていた。そしてむけたものを俺にくれた

 

国近「・・・はい、どうぞ~」

悠「ありがとう」

 

俺はもらったみかんを太刀川たちがやっているように何個かに分けて一欠けら口に運んだ。口の中に果物の甘さとこのみかん特有と言っていた酸味を感じた。

 

国近「・・・どう?」

国近は俺に感想を聞いた。もちろん俺は

 

悠「・・・ああ・・・うまいな」

 

そう真実を言った。そんな俺を他の奴らはどこか安心したような顔をしていた

 

 

 

俺はしばらくゆっくりしていると部屋にあるテレビの近くにある機械が気になった

 

悠「・・・?これは・・・?」

国近「・・・?ああ、これ・・・?」

 

国近はそう言ってその機械を指さして言った

 

国近「これはね~、ゲームって言うんだ~」

悠「・・・ゲーム?」

 

また初めて聞く単語だ

 

太刀川「こいつはこっちの世界で作った、いわゆる娯楽の一種なんだ」

悠「・・・ほう、娯楽か・・・」

 

娯楽・・・俺の今までの人生とは無縁の存在だな

 

国近「・・・やってみる?」

悠「いいのか?」

国近「・・・うんっ!やろう~~、太刀川さんたちも」

太刀川「おっそうだな。いっちょやるか」

出水「よしっ!今日こそ柚宇さんに勝ってやる・・・!」

国近「ふふ~ん。わたしに勝とうなんて百年早いよ~」

悠「迅は・・・?」

迅「おれはいいから悠がやりなよ・・・」

悠「・・・ああ、すまないな」

 

そして俺たちは4人で出来る対戦するゲームを俺たちはやった。

ちなみに一番勝ったのは国近であった。そんなこんなで俺は太刀川の部屋でしばらくゆっくりしていると

 

「太刀川く~ん、いるかしら~・・・」

 

そんな声が部屋の外から聞こえてきた。女の声であった

 

悠「・・・?この声は・・・?」

迅「おっ・・・この声は・・・」

悠「迅、知っているのか?太刀川を呼んでいるようだが・・・?」

 

俺はそう言って太刀川の方を見るとそこには

 

太刀川「・・・・・」

悠「・・・太刀川?」

 

顔を真っ青にしている太刀川の姿があった。どうしたんだ?迅がこたつから出て扉を開けに行った。なにやら太刀川が止めようとしていたが

 

迅「はいはーい、どちらさま~?」

「・・・あら?迅くんじゃない・・・」

迅「おっ、久しぶり・・・加古さん」

「太刀川くん、いるかしら?」

迅「はい、いますよ。入っていいですよ・・・」

 

どうやら来たやつを部屋に入れたらしい。入ってきたのは容姿の整った金髪の髪の長い女がいた。

 

「・・・太刀川くん、すこしいいかしら・・・あら?」

 

そして女は俺の方を見て不思議そうな顔をしていた

 

「・・・見た事のない人がいるわね」

迅「ああ、加古さんにも紹介しておくよ。こいつは悠、最近ボーダーに入ったS級隊員だ」

「あら、そうなの?彼が・・・」

どうやらボーダーにS級が入ったのは知っているらしい

 

迅「それで悠、こっちの女性は加古 望さんだ。この人はA級の加古隊の隊長なんだ」

悠「・・・そうか。俺は悠。よろしく頼む、加古」

加古「よろしくね、悠くん」

俺はそう言って加古と握手を交わした

 

国近「・・・・・」

悠「・・・?どうした、国近?」

国近「・・・別に~~」

 

そう言って国近は拗ねていた

 

加古「・・・あらあら」

 

加古はそんな俺と国近を見て微笑を浮かべていた。そういえば

 

悠「加古、お前は太刀川に用があるんじゃなかったのか・・・?」

加古「ええ、太刀川くん・・・また、味見お願いね~」

太刀川「・・・・・」

加古はなにやら太刀川にお願いがあるらしい。味見?

 

出水「・・・あちゃ~」

迅「・・・・・ははは」

 

何やら、公平と迅が苦い笑いをしていた。太刀川はずっと顔が真っ青だった

 

悠「・・・?一体、なんの味見だ・・・?」

加古「私が作る炒飯よ・・・悠くんも食べてみる・・・?」

何故、太刀川が顔を真っ青にしているのか分からないが炒飯というのは少し興味があるな

 

悠「・・・そうだな。頂けるというならもらおう」

太刀川「・・・!?マジか・・・!!」

国近「・・・・・っ!?」

 

太刀川がまるで「正気かっ!!」と言わんばかりの顔で俺を見てきた。公平と迅も同じような顔で見てきた

 

加古「それじゃあ、行きましょう。もちろん太刀川くんも・・・」

 

そして俺もこたつを出ようとすると

 

ギュッ国近「・・・・・」

悠「・・・・・国近?」

 

国近が頬を膨らませ俺の服を掴んで離そうとしなかった。

俺は快活で笑顔の絶やさなかったあいつがたまに拗ねたような顔で俺の服を掴んで離さなかった時を思い出した。

国近がどこかあいつに似ていた。俺はあいつのにやっていたように頭を撫でた

 

国近「・・・・・っ」

悠「・・・また、来るさ」

国近「・・・ぜったい」

悠「ああ、必ずな・・・」

 

そうして俺はこたつを出た

 

出水「・・・・・」

迅「・・・・・ひゅー」

太刀川「・・・・・天然っていうやつだな」

加古「ふふっ・・・」

 

そして俺と太刀川は加古についていく事になった。迅は玉狛支部に戻るようだ。俺は修たちの事を頼んで太刀川隊の部屋を出ることにした

 

出水「じゃあな、悠。今度、槍バカと挑ませてもらうぜ」

悠「ああ、そのうちな・・・」

国近「また、ぜったいきてね~~!」

悠「ああ、必ず来るさ・・・」

 

俺はそう言って太刀川と一緒に加古について行った

 

 

 

 

 

 

国近side

 

悠くんはそう言って行ってしまった・・・寂しいな~~

 

出水「さて、それで・・・」

 

そう言って出水くんがニヤニヤしながらこっちを見てきた。まあ、だいたい予想はつくけど

 

出水「なんでいきなりなんですかーー?どうし・・・ぶっ」

国近「はいはい~、それ以上は言わせません~~」

 

わたしはそう言ってそれ以上の追求をさせなかった。

・・・なんで、か。正直言ってわたしにもわからなかった。

初めて見たとき第一印象は少し怖い人だなって思った。そしてわたしは彼の過去を聞いてとても怖いと思ってしまった・・・そしてそれ以上にとても強い人だと思った。

そんな地獄を経験していながらも彼は前に進んでいる。その姿にわたしはどこか憧れのようなものを抱いた。彼の事を考えるとか身体と顔が熱くなる。

なんで・・・か。わからない。わたしは信じていなかったけど、こういうのが

・・・・・一目惚れっていうのかな

 

そんなことを思いながらわたしと出水くんとトリガーの事について話した

 

 

 

 

 

悠side

 

俺は太刀川隊の部屋から出て今太刀川と一緒に加古について行っている

 

悠「・・・加古、俺たちはどこに向かっているんだ?」

加古「私たちの隊室よ。部屋で料理も出来るのよ」

悠「ほう、随分便利だな」

 

そんな話をしながら俺たちは歩いている。太刀川はさっきから放心状態だ

 

加古「・・・そういえば」

 

加古が突然俺に話しかけてきた

 

加古「悠くんって国近ちゃんとどういう関係・・・?」

悠「・・・?国近と・・・?」

加古「ええ」

 

いきなりそんなことを訊いてきた。関係?

 

悠「・・・太刀川の所のオペレーターでこたつやゲームを教えてくれた優しいやつだ」

加古「・・・えーっと、私が言ってるのはそう言うのじゃなくて・・・」

太刀川「・・・ああー」

今まで放心状態だった太刀川が復活してなにやら加古にこそこそと話していた

 

太刀川「・・・実は国近とこいつが会ったの・・・今日が初めてで

加古「・・・えっ、うそでしょ・・・

太刀川「いや、ホントのことで国近の方が・・・

加古「・・・・・

 

太刀川と加古が俺に聞こえないように小さな声で話して加古が呆然としている

 

悠「・・・・・おい、太刀川?」

太刀川「・・・!いっいや、何もいってねえよ・・・!?」

悠「まだ、何も言ってないが・・・」

 

そこまで言うと加古が俺の方を見てきた

 

加古「・・・・・」

悠「・・・・・?どうした、加古?」

加古「・・・なんでもないわ、気にしないで・・・」

 

加古はそう言ってまた前を見て歩き出した

 

加古(・・・いわゆる、天然っていうのかしらね)

 

加古はそのまま何も言わずに歩いて俺たちもその加古について行った。

しばらく歩いて着いたのは蝶のマークをしたエンブレムのある扉であった。どうやらここが加古隊の部屋らしい

 

加古「さあ、入ってちょうだい・・・」

悠「失礼する・・・」

太刀川「・・・・・」

 

そして俺たちは中に入るとそこにはあと3人いた。そのうち一人は知っていた

 

悠「・・・風間さんか」

風間「・・・?悠か?どうしたんだ一体・・・?」

悠「ああ、加古が炒飯をくれるというからな」

風間「・・・そうか。それより・・・」

 

風間さんは立って俺の所に来て俺の頭に一度手刀をくらわせた

 

風間「・・・敬語を覚えろ」

悠「ああ、気を付けよう」

風間「・・・はあー、まあいいか」

 

そう言って風間さんは元の所に戻った。すると

 

「・・・風間さん・・・あの男は?」

風間「・・・ああ、お前たちに紹介しておこう」

 

そう言って風間さんがあとの二人を俺の所に連れてきた

 

風間「悠、紹介する。こいつらは堤と二宮だ。お前の年上だ。堤、二宮こいつは悠だ。最近ボーダーに入ったS級隊員だ」

堤「彼がそうなんですか!おれは堤 大地だ。よろしく」

二宮「・・・二宮 匡貴だ」

悠「よろしく頼む。堤、二宮」

 

そして俺は挨拶をしたが風間さんにため息をつかれた

 

加古「ふふっ・・・それじゃあ、作り始めるわね」

 

加古はそう言って炒飯を作りに厨房に行った。その間俺と太刀川、風間さんたちはみんなでテーブルを囲みしばらく話していた

 

風間「そういえば、悠。何故太刀川と一緒に来たんだ?加古は太刀川を呼びに行ったはずだが・・・?」

悠「ああ、それは・・・」

 

そして、俺は何故来たのか話した。

太刀川に勝負するために呼ばれた事。勝負をやめてしばらく太刀川の部屋でゆっくりしていた事。そして太刀川を呼びに来た加古に炒飯を作ってくれるという事でついて来たこと。

それらを話すと風間さんが太刀川に

 

風間「・・・太刀川、おまえ・・・レポートはもちろん終わらせているんだよな」

太刀川「・・・・・」

 

太刀川は風間さんにそう追求されて顔を背けた

 

堤「・・・本当に、(ブラック)トリガーを持ってるのかい・・・?」

悠「・・・ああ」

 

堤が突然そんなことを訊いてきた。俺はそれを肯定して指輪を見せた

 

悠「・・・これが・・・俺の(ブラック)トリガーだ」

堤「・・・そっか」

二宮「・・・・・」

 

そしてしばらく待っていると加古が俺たちの所に来た。どうやら出来たらしい

 

加古「出来たわ~」

 

そう言って加古はまず俺と風間さんのところに出来たものを置いた

 

加古「はい、風間さんと悠くんにまず出来たものよ。名付けて・・・サケいくら炒飯よ」

風間「・・・ほう」

悠「・・・これが、炒飯・・・」

 

目の前にある料理は白米を炒めたようなものでそれに調味料や卵、そして具材に今加古が言ったサケといくらというのが入っているんだろう。とてもいい匂いがした

 

堤「・・・あっあの、加古さん。俺たちもこれなんですよね」

加古「いえ?やっぱり一番年上の風間さんと初めての悠くんには最初はやっぱりシンプルな炒飯を食べてもらいたいのよ」

太刀川「じゃっじゃあ、俺たちもそれを・・・」

加古「あなたたちには私の特別ブレンドの炒飯を食べさせてあげるわ」

 

そんなことを加古が言った。その言葉に太刀川と堤が顔を真っ青にし、二宮がとても嫌そうな顔をしていた。俺と風間さんは目の前にある炒飯を食べた

 

風間「・・・ほう、うまいな」

加古「・・・ふふっ、ありがとう風間さん。それで悠くんは・・・」

 

そう言って加古は俺の方を見ていた。俺は正直な感想を言った。本当に

 

悠「・・・ああ、本当に・・・美味いな」

 

とても美味しかった。()()()の世界に来てからいろんなものを食べたがその中でこれは断トツで美味い

 

風間「・・・フッ、そうか」

太刀川「・・・・・」

加古「・・・・・そう、よかったわ」

 

こんな美味いもの、あいつらにも・・・食わせたかったな

俺はそう思いながらこの炒飯を食べた。加古は満足そうにして太刀川たちの炒飯を作りに行った

 

 

そのあと二宮は何故か具合が悪いと言い出て行った。そして加古が作っても二宮は戻ってこなかった。風間さんはこの後防衛任務があるらしく行ってしまった

 

加古「・・・あら?二宮くんはいないの?」

悠「ああ、どうやら具合が悪かったらしい」

加古「そうなの?どうしようかしら、これ。作っちゃったんだけど・・・」

 

どうやら、二宮の分も作ってしまったらしい

 

加古「太刀川くんか堤くん、食べれるかしら・・・?」

堤「・・・・・っ!」

太刀川「・・・・・っ!?」

 

二人は首を横に振って否定した

 

悠「・・・それならば、俺がもらっていいか?」

堤「・・・・・!!」

太刀川「・・・・・なっ!」

加古「・・・あら、いいの?」

悠「ああ、捨てるのはもったいないからな・・・」

 

そして俺は二宮の分をもらった。その炒飯は

 

加古「名付けて・・・生クリーム炒飯よ」

太刀川「・・・・・」

堤「・・・・・」

悠「・・・・・ほう」

 

第一印象はすこし甘みのある匂いだと思った。俺と太刀川、堤はそれを一口くちに運んだ。次の瞬間

 

太刀川「・・・・・っ!!」

堤「・・・・・!!?」

 

太刀川と堤が白目をむき後ろに倒れた

 

加古「・・・あら?どうしたのかしら・・・?」

悠「・・・加古」

加古「・・・?どうしたの?」

 

俺はまた正直に思ったことを言った

 

悠「・・・すこし、甘みが強いんじゃないか?炒飯には合わない気がするが・・・」

加古「・・・そうかしら?やっぱりまだまだね」

悠「美味いとは思うがな・・・少し合わない気がするな・・・」

加古「・・・なるほどね。ありがとう、これでまたいろんな味を試せるわ」

 

そして倒れた太刀川と堤をそれぞれの隊員に連れて行ってもらうらしい

 

悠「・・・加古、炒飯美味かったよ」

加古「・・・ふふっ、ありがとう。また食べに来てね」

悠「ああ、また来よう」

 

俺はそう言って加古隊の部屋を出て、家に帰った

 

 

 

 

 

 




今回から小説情報にハーレムを追加しました。
こういう感じの話にしたいなーという感じで書いています。
まだまだ拙く荒いところがあると思いますが、これから見てくださるとうれしいです


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ボーダー入隊・大規模侵攻編
10話


今回からまた本編に戻ります。
玉狛第二ボーダー入隊編と大規模侵攻編を書いていきたいと思います。


 

修side

 

ぼくたちはこの3週間先輩たちに指導されて少しずつ変わっていった・・・そして、今日1月8日

 

遊真「さあ、いよいよスタートだ」

 

空閑と千佳がボーダーに正式入隊する日だ

 

修「ふーー・・・なんだか緊張してきた・・・」

遊真「なんでだよ。オサムはもう入隊してるじゃん」

 

空閑はそう言っているが緊張するものはするんだ・・・

 

修「よし・・・確認するぞ。C級隊員の空閑と千佳はB級を目指す」

空閑「オレたちがB級に上がったら3人で隊を組んでA級を目指す」

修「A級になったら遠征部隊の選抜試験を受けて・・・」

千佳「近界民(ネイバー)の世界にさらわれた兄さんと友達を捜しに行く!」

 

修「・・・よし!・・・今日がその第一歩だ・・・!」

 

 

 

 

忍田「ボーダー本部長忍田 真史だ。君たちの入隊を歓迎する」

 

今、正式入隊した新入隊員の前にはこのボーダーの本部長、忍田がいた

 

忍田「君たちは本日C級隊員・・・つまり訓練生として入隊するが、三門市のそして人類の未来は君たちの双肩に掛かっている。

日々研鑽し正隊員を目指してほしい。

君たちと共に戦える日を待っている」

 

その忍田の言葉に新入隊員たちは胸を躍らせていた。そして

 

忍田「私からは以上だ。この先の説明は嵐山隊に一任する」

 

嵐山隊という言葉にほとんどの人間がざわざわしていた。

嵐山隊が出てくると

 

「嵐山隊・・・!本物だ!」

「嵐山さん!」

 

このように嵐山隊は世間にも知られ人気がある

 

遊真「おー、あいかわらず人気だなー、アラシヤマ」

 

しかし、中にはそれを知らない者たちもいる

 

「あーあー喜んじゃって・・・」

「素人は簡単でいいねえ」

遊真「・・・?なあ、それどういう意味?」

「なんだこいつ」

「頭白っ」

 

そのうちの一人が言った

 

「無知な人間は踊らされやすいって意味さ。

嵐山隊は宣伝用に()で選ばれたやつらだからな。実際の実力は大したことないマスコット隊なんだよ」

遊真「・・・?」

 

このようにやつらは他の人間を無知というが

 

遊真「こいつら本気か・・・?ウソは言ってないっぽいけど・・・

レプリカ【無知ゆえに踊らされている可能性があるな

 

こいつらの方がよっぽど無知であった

 

嵐山「さて、これから入隊指導(オリエンテーション)を始めるがまずポジションごとに分かれてもらう。

攻撃手(アタッカー)銃手(ガンナー)を志望する者はここに残り狙撃手(スナイパー)を志望する者はうちの佐鳥について訓練場に移動してくれ」

修「一人で大丈夫か?千佳」

千佳「うん、平気」

佐鳥「はいはい、狙撃手(スナイパー)組はこっちだよ~」

 

そう言って千佳は佐鳥に連れられて他の新入隊員と一緒に行った

 

嵐山「改めて、攻撃手(アタッカー)組と銃手(ガンナー)組を担当する。嵐山隊の嵐山 准だ。

まずは、入隊おめでとう」

 

そう言って嵐山は一瞬修と遊真を見た。二人も気づいて軽く挨拶した

 

嵐山「忍田本部長もさっき言っていたが君たちは訓練生だ。B級に昇格して正隊員にならなければ防衛任務には就けない。

じゃあどうすれば正隊員になれるのか、最初にそれを説明する。

各自、自分の左手の甲を見てくれ」

 

嵐山がそう言うと時枝が手元にある端末を操作すると訓練生たちの左手にそれぞれ数字が浮かび上がってきた

 

遊真「『1000』・・・?」

嵐山「君たちが今起動されているトリガーホルダーには各自が選んだ戦闘用トリガーが一つだけ入っている。左手の数字は君たちがそのトリガーをどれだけ使いこなしているかを表している数字だ。

その数字を『4000』まで上げること。それがB級昇格の条件だ」

 

嵐山がそう説明した。遊真の左手の甲には1000と出ていた

 

遊真「ほう」

嵐山「ほとんどの人間は1000ポイントからのスタートだが、仮入隊の間に高い素質を認められた者はポイントが上乗せされてスタートする。

当然その分即戦力としての期待がかかっている。そのつもりで励んでくれ」

 

遊真はそばにいた3人組の数字を見てさっきの態度に納得いった。それぞれ2200、2100、1900と書かれていた

 

遊真「ははあ・・・だからなんかえらそうだったのか」

嵐山「ポイントを上げる方法は二つある。週2回の合同訓練でいい結果を残すか、ランク戦でポイントを奪い合うか。

まずは訓練のほうから体験してもらう。ついて来てくれ」

 

そう言って訓練生は嵐山について行った

 

「三雲くん」

 

修は遊真に一緒について行っていると後ろから声をかけられ振り向くと木虎がいた

 

修「木虎・・・」

木虎「なんであなたがここにいるの?B級になったんでしょ?」

修「転属の手続きと空閑の付き添いだよ」

そして遊真も木虎に気づいてあいさつした

 

遊真「おっキトラ、ひさしぶり。おれボーダーに入ったからよろしくな」

木虎「・・・ええ、よろしく」

 

そのとき木虎は彼も近界民(ネイバー)なのだと考えていた

 

木虎(・・・彼も悠くんと同じ近界民(ネイバー)なのよね・・・)

 

そんなことを考えていると

 

遊真「おれ、なるべく早くB級に上がりたいんだけどさなんかいい方法ある?」

木虎「簡単よ。訓練で全部満点を取ってランク戦で勝ち続ければいいわ」

遊真「なるほど。わかりやすくていいな」

 

そんな話をしながら歩いていると

 

遊真「そういえばさ、キトラ今日悠のこと見た?」

木虎「えっ?・・・いえ、見てないわよ・・・?」

遊真「そっか。先に家を出たからもう来てるはずなんだけど・・・」

木虎「・・・そっそう」

 

そう言って木虎は静かになってしまった。そして着いたところは

 

嵐山「まず最初の訓練は・・・対近界民(ネイバー)戦闘訓練だ。

仮想訓練モードの部屋の中でボーダーの集積データから再現された近界民(ネイバー)と戦ってもらう」

「いきなり戦闘訓練・・・!?」

遊真「ほう」

 

訓練生のほとんどは最初から()()戦闘をするということにざわついていた

 

木虎「私のときもいきなり()()だったわ」

修「ぼくの時も・・・」

木虎「これで大体わかるのよね。()()()()()かどうか」

 

木虎はそう言っていた

 

嵐山「仮入隊の間に体験した者もいると思うが仮想戦闘モードではトリオン切れはない。ケガもしないから思いっきり戦ってくれ。

今回戦ってもらうのは『初心者(ビギナー)レベル』の相手・・・君たちも見たことのある大型近界民(ネイバー)だ訓練用に少し小型化してある。攻撃力はないがその分装甲が分厚いぞ。

制限時間は一人5分、早く倒すほど評価点は高くなる。自信のある者は高得点を狙ってほしい。

説明は以上!各部屋始めてくれ!」

 

 

 

 

 

悠side

 

・・・始まったか

俺は今日、遊真たちの正式入隊日なので先に本部に来ていた。千佳が佐鳥の方に行ったが木崎がしっかりと指導していたから問題ない

俺は人数の多い遊真たちの方を見に来ていた。

 

悠「修も来ているようだな」

 

修は今、木虎と話しているようだ。聞いたところによると毎年嵐山隊がこの役目を担っているらしい。そんなことを思いながら俺は訓練生たちを見ていた。

・・・しかし

 

悠「・・・大型近界民(バムスター)相手に5分も使うやつなどそうそういないだろうに」

「相手は訓練生だ。仕方ないだろう」

 

そんな言葉が聞こえてそっちを見ると風間さんと風間さんの部下の二人がいた

 

悠「・・・風間さんか」

風間「おまえから見て訓練生はどうだ?」

悠「・・・伸びしろはあるだろう。まあ、それが実戦で使えるかは別だがな」

菊地原「・・・・・」

歌川「・・・・・」

 

俺と風間さんが話していると後ろの二人は黙ってこっちを見ていた

 

悠「・・・なんだ?」

歌川「・・・いや、俺たちは実際会ってなかったから半信半疑だったけど、本当にボーダーに入ったんだと思ってな」

菊地原「・・・・・」

悠「ああ、そういうことか」

 

どうやら俺が入ったことは知らなかったらしい。そして俺はさっきから一言も喋らない男に言った

 

悠「・・・どう思った?一人で先走って勝手に自滅して」

菊地原「・・・っ!なにそれ・・・嫌味?」

悠「いや?ただ単純に気になっただけだ。風間さんと反省会をしたんだろう・・・?」

菊地原「・・・・・っ!?」

 

そしてこいつ・・・たしか菊地原といったか。俺はこいつに対して羨ましかった

 

悠「反省が出来るだけ、まだマシじゃないか?」

菊地原「・・・はっ?」

悠「お前たちはまだ生きて反省が出来るだろう。

・・・俺はそれが羨ましいよ」

菊地原「・・・・・」

歌川「・・・・・なにを」

風間「悠・・・・」

 

そう言って俺は再び訓練生を見るとどうやら1分をきった者が出たようだ。しかし

 

悠「大型近界民(バムスター)に1分・・・時間を掛けすぎだな」

風間「そうだな。いいところ10秒以内だ」

悠「そうか?それなら遊真はお眼鏡に適うんじゃないか・・・?」

風間「・・・ほう?」

 

そして遊真の出番が来たらしい

 

悠「あいつが遊真だ・・・」

風間「・・・あれがそうか」

 

そして遊真の部屋が始まった瞬間、遊真は大型近界民(バムスター)を一瞬で終わらせた。

 

【0.6秒・・・!!?】

「な・・・・」

遊真「よし、どんどんいこう」

 

遊真が部屋から出てくるとなにやらさっき1分を切った男が遊真に文句を言い始めたな。そして何故か遊真がもう一度やることになったようだ

今度は0.4秒になったようだ。さっきので少し慣れたようだ

 

風間「あれが迅の後輩か・・・なるほど、確かに使()()()()なやつだ」

菊地原「そうですか?誰だって慣れればあのくらい・・・」

歌川「素人の動きじゃないですね。やっぱり近界民(ネイバー)か・・・」

悠「フッ・・・手厳しいな」

 

そうなことを話しているとどうやら修と木虎が話している。学校でのことがバレたようだな

 

「修」

修「あ」

木虎「あ・・・烏丸先輩」

烏丸「おう木虎、久しぶりだな」

木虎「お久しぶりです。烏丸先輩」

 

どうやら烏丸も来たようだ。なんだかんだで心配だったのだろう。烏丸が木虎を見て

 

烏丸「・・・木虎、なんか変わったか?」

木虎「・・・そうですね。そうかもしれません」

烏丸「そうか・・・」

 

そう言って烏丸が少し安心したように言った

 

烏丸「今回も嵐山隊が入隊指導の担当か。大変だな」

木虎「いえ、このくらい全然大丈夫です」

 

そして烏丸が修の事を自分の弟子だと言うと

 

木虎「・・・そうだったんですね。少し納得しました」

烏丸「・・・?そうか?」

 

どうやら、何事もないようだ。・・・そういえば千佳の方はどうだろうか

俺はそんな事を思っていた

 

 

 

 

 

 

佐鳥「さあ、狙撃手(スナイパー)志望の諸君。

ここがオレたちの訓練場だ。10フロアぶち抜きで奥行き360m、基地の中で一番でかい部屋だ」

「広い・・・!」

「これホントに建物の中・・・!?」

 

そこは狙撃手(スナイパー)用の広大な訓練部屋だった

 

佐鳥「キミたちにはここでまず、訓練の流れと狙撃(スナイパー)用のトリガーの種類を知ってもらう。

えーと、今回の狙撃手(スナイパー)志望は1 2 3・・・全員で7人か」

千佳「あ、あの・・・すみません8人です・・・」

佐鳥「うおっと!女の子を見逃すとは!マジでゴメン!8人ね!」

(ちっちゃ・・・)

(こんな子が戦えんの・・・?)

 

千佳を見た第一印象で他の訓練生がそう思った

 

佐鳥「よし!じゃあ正隊員の指示に従って各自訓練を始めよう!」

 

そしてそれぞれが各場所についた。千佳を見てくれる人は長髪の男性だった。その彼に

 

千佳「・・・・・あの・・・」

「ん?どうした?」

千佳「撃ったあと・・・走らなくていいんですか?」

 

千佳は自分の思った疑問を伝えてみると他の正隊員とその長髪の男性が驚いた顔をした

 

「・・・?走る?」

「えーと、今は走らなくていいんだよ」

千佳「そうなんですか。すみません・・・」

狙撃手(スナイパー)は走んないでしょ。隠れて撃つのが仕事なんだから。謎すぎ」

 

そう言って訓練生は千佳を笑っていたが正隊員は違った

 

(いや・・・この子の言っていることは正しい。

狙撃手(スナイパー)は位置を知られると大きく不利になる。数発ごとに狙撃地点を変えるのが基本だ。だから走る。

普通はB級に上がってから教えることだが・・・この子の師匠は少なくとも、この子がB級に上がる事を確信しているってことか・・・

誰が師匠なんだ・・・?)

 

そう千佳の近くにいた男、東 春秋は思っていた

 

佐鳥「んじゃ次は狙撃(スナイパー)用のトリガーの紹介ね。狙撃(スナイパー)用トリガーは全部で3つある。

みんなが今使ってる『イーグレット』は射程距離を重視した万能タイプ。これ一本で大体OK。

軽量級の『ライトニング』は威力は低いけど弾速が速くて当てやすいチクチク型。

重量級の『アイビス』は対大型近界民(ネイバー)用に威力を高めたドッカン型。でも弾速は下がってるから当てにくい」

 

佐鳥は狙撃手(スナイパー)用のトリガーの説明をし終えた

 

佐鳥「まずは百聞は一見にしかず。女の子二人に試し撃ちしてもらおっか。アイビスであの大型近界民(ネイバー)の的を狙おう。

はい、よーし構えて・・・3・・2・・1・・・発射(ファイア)!」

 

ズドンッ

佐鳥の合図で千佳はアイビスで撃つと千佳の膨大なトリオンをそのまま撃ったのか的を飲み込んで壁に大穴を開けた

 

佐鳥「・・・・・・・・」

千佳「・・・・・・・・

その・・・・ご・・・・ごめんなさい・・・・・」

 

その場にいた全員がしばらくの間かたまっていた・・・

 

 

 

 

 

 

悠side

 

「・・・よし、お前の強さがまぐれじゃないことはわかった。合格だ。

俺たちと組もうぜ。強者同士が手を組めばより()を目指せる」

 

なにやら遊真を誘おうとしている奴らがいるな。まあ、遊真はもともと組む奴を決めているが

 

風間「・・・興味が沸いたな」

悠「・・・どっちだ?」

風間「どちらもだが強いて言えば・・・あいつだ」

 

そう言って風間さんが()の方を見た・・・そうか

 

悠「・・・なら、あいつを見極めてくれ。風間さん」

風間「そのつもりだ・・・」

 

そう言って風間さんはあいつらの方に行き俺は訓練室を出ようとした

 

歌川「・・・?どこに行くんだ?」

悠「あとは、あいつらが自力でどうにかするさ」

菊地原「・・・何?まさか、風間さんに勝てると思ってるの・・・?」

 

俺が立ち去ろうとすると歌川と菊地原が声を掛けてきた・・・やれやれ、そんなことか

 

悠「修では、風間さんに勝てはしないさ」

菊地原「なんだ。逃げるの・・・?」

歌川「おい、菊地原・・・」

悠「・・・お前、本当に風間さんの所の隊員なのか・・・?だとしたら、笑いものだな」

菊地原「・・・・・なっ!?」

 

相当プライドが高いのか知らないがこいつの言っていることはまるでガキの挑発だな

 

悠「風間さんが修の何を見極めようとしているのかも分からないようじゃ、お前は随分お気楽な頭をしているな」

菊地原「・・・・・っ!」

歌川「・・・・・なにを」

 

そう言って俺は訓練室を出て行った。しかし、なにやら騒がしいな

 

「・・・おい!なんか、狙撃手(スナイパー)用の訓練室で壁に大穴開けたやつがいるらしいぞ」

「はあ?どういう状況だ、それ・・・」

 

そんな話が聞こえてきた・・・やれやれ、忙しいやつらだな

俺はそれを聞き狙撃手(スナイパー)用の訓練室に行った。そこには

 

千佳「ほんとうにごめんなさい。

壊したカベは一生かけてでも弁償しますので・・・」

佐鳥「なっえ!?こちらこそ!」

 

何故か土下座している千佳とその千佳につられて一緒に土下座する佐鳥がいた

 

東「顔、上げなよ。大丈夫、訓練中の事故だ。責任は現場監督の佐鳥が取る」

佐鳥「ひええ!?東さん!?」

 

やれやれどこでもこいつらは注目の的だな

 

悠「・・・千佳。佐鳥」

千佳「・・・あっ悠くん・・・」

佐鳥「・・・ああ!キミは・・・!?」

東「・・・・・?」

 

俺は千佳の傍に行った

 

悠「・・・どうした、千佳?」

千佳「わっわたし、壁に穴をあけちゃって・・・」

悠「らしいな・・・」

 

俺はそう言って壁の穴を見た。さすが、というべきだな。俺は千佳の頭を撫でて安心させた

 

悠「心配するな、千佳。これの責任は全て佐鳥がとってくれるらしい」

佐鳥「・・・えっ!!」

悠「・・・そうなんだろ?」

 

俺がそう聞くと長髪の男が頷いた

 

東「きみは本部の隊員じゃないな。トリオンの測定記録がない。そのエンブレムは・・・」

千佳「・・・玉狛支部の雨取 千佳です・・・

あの・・・わたしのせいで玉狛の先輩が怒られたりとかは・・・」

東「しないしない。彼も言っていたが責任は全て佐鳥にある」

佐鳥「ですよね!やっぱり!」

 

そんな話をしていると大きな声が聞こえてきた。まあ、来るだろうな

 

鬼怒田「なんだこれは!何故穴が開いとるんだ!?誰がやった!?」

 

鬼怒田の姿を見て千佳が俺に隠れてしまった

 

悠「・・・鬼怒田、少しいいか?」

鬼怒田「・・・!悠・・・!」

佐鳥「・・・・・」

東「・・・っ!」

 

全員が驚いている中、鬼怒田が俺に近づいてきた

 

鬼怒田「まさかおまえ・・・!トリガーを使ったのか・・・!?」

悠「・・・いいや、どうやら佐鳥が責任を取ってくれるというからな」

鬼怒田「・・・そういえば現場監督はあいつだったか・・・」

 

そして佐鳥がやけにかっこつけて責任は自分にあると言うと鬼怒田は当たり前だと佐鳥の頭に手刀を食らわせた。そしていろいろ問答していると

 

千佳「すみません!わたしがカベを壊しました!」

鬼怒田「何・・・?」

 

鬼怒田が心底驚いたような顔をした

 

鬼怒田「東くん、本当かね!?」

東「それは事実です。彼女がアイビスで開けました。玉狛支部の雨取隊員です」

鬼怒田「なんだと・・・!?玉狛の・・・!?」

 

 

 

 

 

修「千佳!!」

 

修と遊真は急いでいた。千佳がボーダーの壁に穴を開けたという。それでボーダーに目を付けられるかもしれない・・・と

二人が狙撃手(スナイパー)用の訓練室に行くと

 

修「・・・!?」

鬼怒田「そうかそうか、千佳ちゃんと言うのか。

すごいトリオンの才能だねえ。ご両親に感謝しなきゃいかんよ」

悠「・・・はあ、やれやれ」

 

そこには千佳の他に鬼怒田となんと悠が既にいたのだ

 

修「鬼怒田開発室長!?」

遊真「あれ?悠じゃん」

悠「・・・ようやく来たか。修、遊真」

鬼怒田「む・・・?

三雲・・・?そうか玉狛に転属しおったのか。おいこらメガネ!ちゃんとこの子の面倒を見んか!」

修「・・・!?はい、すみません」

 

そして他の訓練生が千佳に詰め寄った

 

「あんたすごいね!なんであんなの撃てるの!?」

千佳「わっ」

 

その光景を東は見ていた

 

東(玉狛ってことは迅の後輩・・・この子の半端ないトリオン性能を報告しなかったのは本部で派手にデビューさせるためか・・・?

迅や林藤さんが考えそうなことだ・・・しかし)

 

そう言って東は修と話している悠を見ていた

 

東(鬼怒田さんと話しているから本部の隊員なんだろうが、俺は見たことがないな。

佐鳥も知ってるみたいだったし・・・何者だ・・・?)

 

そう思いながら悠を見ていた

 

迅「よしよし、みんな無事入隊したか。

派手に目立っただろ、あの3人。サイドエフェクト使わなくても分かる。おれの後輩だからな、今頃きっとウワサになってるぞ」

 

迅の言葉通り3人とも噂になっていた

あるところで

 

「戦闘訓練で1秒切った新人がいるらしいぞ」

「1秒!どういうことだ!?」

「ありえねえ!」

 

またあるところで

「こないだ基地の壁に穴開いたじゃん。あれって新人の女の子がアイビスで開けたんだって」

「さすがにそれはウソだろ~~~」

 

そしてあるところでは

 

「B級上がりたてのメガネが風間先輩と引き分けたって話だぞ」

「マジかよ・・・!」

「絶対A級に上がるなそいつ」

 

それぞれが思いもやらぬところで噂になっていた

 

迅「・・・けど、あの3人が注目されるのは・・・まだまだこれからだ」

 

 

 

歯車はまだ回り始めたばかりだ

 

 

 

 

 



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11話

 

悠side

 

翌日、修、千佳、遊真はそれぞれ別々に行動することにした。

俺は訓練に行くという遊真について行った。遊真は今日出来る一通りの訓練を終えた

 

遊真「ふむ・・・これで訓練は一通りやったな。

満点だと訓練一つで20点か。前回と今回の戦闘訓練と合わせて+100点、のこり2900点」

悠「・・・なかなか増えないものだな」

時枝「まあね。そんな簡単には増えないよ」

 

その場には俺と遊真の他に時枝もいた。嵐山に見ておいてほしいと頼まれたらしい

 

遊真「えーとつまり、4000点になるには・・・」

時枝「合同訓練は週2回。満点を取り続けた場合19週くらいで4000点になるね」

遊真「19週間って何日?」

時枝「133日」

悠「・・・そんなには待てないだろう?」

遊真「うん・・・となると・・・『ランク戦』で稼ぐことになるわけか」

 

俺たちはランク戦のエリアに来ていた。ランク戦が一番手っ取り早いらしい

 

時枝「ここがC級ランク戦のロビー。ランク戦のやり方を教えるよ、空いてるブースに入ろう」

 

そう言って俺たちは空いてる一部屋に入った

 

時枝「C級ランク戦は基本的に仮想戦場での個人戦だ。やり方は簡単」

 

目の前にはパネルがあり、そこにいろんな訓練生の番号が出ていた

 

時枝「このパネルに武器とポイントが出てるだろう?これが今ランク戦に参加してる隊員。

好きな相手を選んで押せば対戦できる、逆に向こうから指名される場合もある。対戦をやめたいときはブースを出ればOKだよ」

悠「・・・ほう」

遊真「なるべく早くポイントを稼ぎたいときはどうすればいいの?」

時枝「ポイントが高い相手に勝つほど点がたくさんもらえるよ。

逆に自分よりポイントが低い相手に勝ってもあんまりもらえなくて負けたときはたくさん取られる」

遊真「ふむふむ、なるほどね」

 

数字上、自分より格上の相手に勝てばいいわけか

 

遊真「おれ一人のためにわざわざありがとう、キトラの先輩」

時枝「時枝だよ」

遊真「ありがとう、ときえだ先輩」

悠「助かったよ、時枝」

 

時枝はそう言って部屋を出て行った。さて遊真はどうするのか・・・

 

悠「どうする、遊真?誰と戦う・・・?」

遊真「ふむ・・・出来るだけ早く上がりたいから上の奴にいくよ」

悠「まあ、お前相手に互角に戦える訓練生はいないと思うがな・・・」

 

そして遊真は手ごろな相手を選び戦った。相手は遊真でいう新3バカだった。

遊真は当然のように勝った

 

遊真「おお~、訓練よりこっちのほうが断然早いな!」

レプリカ【そのようだな。自分のポイントが高くなるほど点が取りにくくなるが】

悠「どうする・・・?」

遊真「新3バカにもう1周もらっとくか」

レプリカ【絞り取りすぎて心を折るなよ】

 

今頃、3バカの方は阿鼻叫喚だろうな

 

 

 

 

 

 

城戸「あれが空閑の息子か」

林藤「そう、空閑 遊真。なかなかの腕だろ」

ボーダーの会議室には城戸、林藤、忍田、風間がいた

 

城戸「・・・風間、おまえから見てやつはどうだ?」

風間「・・・まだC級なので確実なことは言えませんが明らかに戦い慣れた動きです。戦闘用トリガー使えばおそらく、マスターレベル・・・8000点以上の実力はあるでしょう」

忍田「8000・・・!!それなら一般のC級と一緒にしたのはまずかったかもしれんな。

初めから3000点くらいにして早めにB級に上げるべきだった。たしか木虎は3600点スタートだったろう?」

林藤「そうしたかったけど、城戸さんに文句言われそうだったからなー」

 

彼らはそんな話をしていた

 

城戸「・・・やつはなぜ(ブラック)トリガーを使わない?()()()と同じでS級なればいいだろう」

林藤「いやいや、遊真は修たちとチームを組むって約束があるし、あいつが(ブラック)トリガーを使ったら難癖つけて取り上げる気満々のくせに。

『入隊は許可したが(ブラック)トリガーの使用は許可していない』とか言って」

城戸「・・・・・」

城戸は先日の千佳の件を会話に出した

 

城戸「・・・先日、訓練場の壁に穴を開けたのも玉狛の新人だそうだな、『雨取 千佳』」

林藤「あの子はちょっとトリオンが強すぎてね、いずれ必ず戦力になるから大目に見てやってよ」

城戸「(ブラック)トリガーの近界民(ネイバー)にトリオン怪獣(モンスター)・・・そいつらを組ませてどうするつもりだ?」

 

城戸は林藤にそう尋ねた。・・・異端の存在を集めて何をするつもりだと

 

林藤「別にどうもしないよ。城戸さんって俺や迅のこと常に何か企んでると思ってないか?

チーム組むのもA級を目指すのも本人たちが自分で決めたことだ。千佳の兄さんと友達が近界民(ネイバー)にさらわれてて、あの子は二人を取り戻したくて遠征部隊選抜を目指してる。

遊真ともう一人の隊員の修はそれに力を貸してるんだ」

風間(・・・なるほど、そういう目的だったか)

 

林藤はそう言うが城戸はそれを否定した

城戸「近界民(ネイバー)にさらわれた人間を近界民(ネイバー)が奪還するか・・・馬鹿げた話だ・・・

近界(ネイバーフッド)には無数の国がある。どの国にさらわれたか判別するのは困難だ。そもそも被害者がまだ生存しているかどうか・・・残念だが救出はあまり現実的ではないな」

忍田「だから助けに行くのはやめろと?可能性で論じることではないだろう!」

城戸「子供が想像するよりも世界は残酷だという話だ・・・それに、世界の残酷さは・・・()が一番よく知っているだろう」

林藤「・・・そうかもね。でも何か目標があった方がやる気出るでしょ、救出だろうが、復讐だろうが。

なあ?蒼也」

 

林藤はそう言って風間を見ると

 

風間「・・・三輪あたりはそうでしょう・・・自分は別に兄の復讐をしようとは思っていません」

林藤「お?遠征で少し価値観変わった?」

風間「自分は何も今までと変わりません。ボーダーの指令に従って近界民(ネイバー)を排除するのみです。

三輪は先月の小競り合い以降、何やら悩みこんでいる様子ですが・・・」

林藤「ありゃまどしたの?」

風間「どうやら悠に何か言われたようで・・・」

 

そんな話をしていると会議室の扉が開いた

 

迅「どもども遅くなりました。実力派エリートです」

忍田「よし揃ったな。では本題に入ろう。

今回の議題は近く起こると予測される・・・近界民(ネイバー)の大規模侵攻についてだ」

 

 

 

 

 

悠side

 

俺たちはある程度遊真が点を取ると部屋を出た。今は自動販売機の前にいる

 

遊真「ふーむ・・・」

「玉狛の白頭だ・・・!」

「戦闘訓練1秒切りの・・・!」

遊真「オサムの話ではこの鉄っぽいのもおカネらしい。だが、鉄のやつよりも紙のやつのほうがずっと価値は上だという・・・紙なのに・・・」

レプリカ【ふむ。見たところ、基本的に数字が上がるほどサイズが大きくなっているようだ】

悠「このまま金属にすると重すぎて持ち運びが難しくなるからな。それを避けるために紙を使用しているんだろう」

遊真「ふむ・・・いちおう納得できる」

 

そして俺と遊真が飲み物を買うと釣りが出てきて遊真はこれも不思議に思っていた。

遊真が釣りを落とし転がっていった方を見てみるとそこには

 

遊真「お・・・?」

悠「・・・・・」

三輪「我が物顔でうろついているな・・・近界民(ネイバー)・・・!」

悠「・・・あの時の奴か」

遊真「あんたは・・・『重くなる弾の人』」

 

そこには三輪と呼ばれていた男がいた。三輪は遊真に落ちた金銭を渡した

 

遊真「どうも」

 

そして三輪はそのまま飲み物を買っていた

 

遊真「どうした?元気ないね、前はいきなりドカドカ撃って来たのに」

三輪「本部がおまえたちの入隊を認めた以上・・・おまえを殺すのは規則違反だ」

悠「・・・そうか」

「おっ!黒トリの白チビと悠じゃん!」

突然声が聞こえそっちを見るとそこには陽介と陽太郎、らいじん丸がいた・・・どうしたんだ?

 

陽太郎「がんばっとるかね?しょくん」

米屋「そういやボーダー入ったんだっけか!」

悠「陽介と・・・陽太郎?どうしたんだ・・・?」

米屋「こいつのお守してんだ」

陽太郎「陽介はしおりちゃんのいとこなのだ」

遊真「ほう、しおりちゃんの」

 

そう言って陽太郎はこっちに近寄ってきた。俺は陽太郎の頭を撫でた

 

陽介「つーか秀次、おまえなんか会議に呼ばれてなかったっけ?」

三輪「・・・風間さんに体調不良で欠席すると言ってある」

遊真「ふむ、体の調子が悪いのか」

米屋「ちがうちがう。近界民(ネイバー)をぶっ殺すのは当然だと思ってたのに、最近まわりが逆のこと言い出したから混乱してるんだよ」

 

なるほどな。気にしてるわけか

 

遊真「あーそっか、お姉さんが近界民(ネイバー)に殺されてるんだっけ」

三輪「・・・!!なぜそれを・・・!?」

米屋「・・・・・」

悠「・・・・・」

 

そんな話をしていた。姉を近界民(ネイバー)に・・・か

 

遊真「仇討ちするなら力貸そうか」

三輪「・・・・・!?なに・・・!?」

遊真「おれの相棒が詳しく調べればお姉さんを殺したのがどこの()のトリオン兵か、けっこう絞れるかもよ?

どうせやるなら本気でやったほうがいいだろ」

三輪「・・・・・・・・」

 

遊真はそう言ったが三輪は

 

三輪「・・・ふざけるな・・・!おまえの力は借りない・・・!

近界民(ネイバー)は全て敵だ・・・!」

そう言って三輪はどこかに行こうとした

 

米屋「おい秀次、どこ行くんだ?」

三輪「・・・会議に出る」

米屋「やれやれ、マジメなやつはつらいねえ・・・」

悠「・・・・・」

 

そこまで言って陽介は遊真に

 

米屋「あ!そういえばオレ、おまえと勝負する約束だったよな!ヒマならいっちょバトろうぜ!悠とはまだやってねえけどよ・・・」

悠「フッ・・・そのうちにな」

遊真「正隊員と訓練生って戦えるんだっけ?かざま先輩は戦ってくれなかったけど」

米屋「ポイントが動くランク戦は無理だけどフリーの練習試合ならできるぜ。

風間さんはプライド高いから、ガチのランク戦で戦いたいんだろ」

悠「・・・想像できるな」

 

確かに風間さんならそう言いそうだな。そう言って俺たちはランク戦の会場に行くとやけに人がいた

 

米屋「なんだあ?やけに観客多いな」

 

そして俺たちは画面を見てみるとそこには三雲と書かれていた

 

遊真「『三雲』・・・?」

【十本勝負終了。10対0、勝者 緑川】

 

そんな音声が聞こえてきた

 

陽太郎「あっおさむ!?負けた!!」

悠「・・・陽介、修の相手は・・・?」

米屋「あいつは緑川・・・なんでメガネボーイと?」

悠「・・・緑川か」

 

この観客を集めたのはあいつか・・・おそらく、理由は

修が部屋から出てくると

 

陽太郎「こらおさむ!負けてしまうとはなにごとか!」

遊真「なんか目立ってんなー」

修「陽太郎・・・!?空閑と悠も・・・!」

 

緑川が出てきて

 

緑川「おつかれメガネくん。実力は大体わかったからもういいや、帰っていいよ」

悠「・・・ほう」

 

そして周りの声を聴いてみると

 

「なんか全然だったなあのメガネ。動けなさすぎでしょ」

「期待はずれ」

 

「年下の緑川に完全に舐められてるし」

「風間さんと引き分けたってのもガセだなこりゃ」

 

理由はおそらく、修の評判を落とすことか

 

悠「・・・緑川、この観客を集めたのはお前か?」

緑川「・・・誰か分からないけど、オレは何もしてないよ。風間さんと引き分けたってのを聞きつけたんじゃない?」

悠「・・・・・ほう?」

 

俺は遊真じゃないが俺でもわかるほど分かちやすい嘘だな

 

遊真「へえ・・・おまえ、つまんないウソつくね

緑川「・・・!?」

 

遊真が緑川に話し始めた

 

遊真「悠、こいつとはおれがやるよ」

悠「・・・そうか」

 

俺はそう言ってその場から下がった

 

遊真「おれとも勝負しようぜ、ミドリカワ。もしおまえが勝てたら・・・おれの点を全部やる。1508点」

緑川「な・・・!?」

米屋「あれ?オレとの勝負は?」

悠「今回は諦めろ。どうやら遊真はあいつと戦うらしい」

 

緑川は何か考えている様子だったが

 

緑川「1500って・・・C級じゃん。訓練用トリガーでオレと戦うつもり?」

遊真「うん。おまえ相手なら十分だろ」

緑川「・・・・・!!」

 

そして緑川が降りてくると

 

緑川「・・・いいよ、やろうよ。そっちが勝ったら何がほしいの?3000点?5000点?」

遊真「点はいらない。そのかわり、おれが勝ったら『先輩』と呼べ」

緑川(『先輩』・・・?年上だったのか。チビだから年下だと思った)

 

そして緑川が遊真の提案を承諾したが

 

緑川「・・・OK

万が一オレが負けたらいくらでもあんたを『先輩』って呼んであげるよ」

遊真「いや、おれじゃない」

 

そして遊真は修を指さし

 

遊真「ウチの隊長を『先輩』と呼んでもらう」

緑川「・・・!?」

陽太郎「お・・・!?意外とゆうまおこってる?」

 

そうして二人がそれぞれの部屋に入っていった

 

米屋「くっそ~白チビはオレが先約してたのに~」

修「あ・・・三輪隊の・・・」

米屋「米屋 陽介。陽介でいいよ。メガネボーイ」

修「メガ・・・!?」

 

そして修と陽介が話していると

 

米屋「あ~あ~、どうしようか~・・・あっ!そうだ!」

 

そう言って陽介が俺の方を見てきた・・・・やれやれ

 

悠「・・・俺と戦りたいって?」

陽介「今ヒマだろ~!頼むよ~!」

悠「・・・はあー」

 

どうしたものかと悩んでいると

 

「おう!槍バカじゃん。それに悠も・・・!」

「・・・ん?出水・・・知り合いか?」

「・・・どうしたんだ?」

「おい、鋼!なんで、オレが・・・ん?」

 

後ろからなにやら公平と一緒に誰かが来たな

 

米屋「おい、弾バカ!説得手伝ってくれよ!悠が戦ってくれなくてよ~」

出水「えっ!マジで・・・!悠、頼むよ~!」

悠「お前はいきなりだな、公平」

「・・・なあ」

 

陽介と公平が話しかけてくると後ろから、帽子をかぶった男が話しかけてきた

 

「・・・そいつは?見た事無いが・・・」

出水「ああ、すみません荒船さん。紹介します」

 

そして出水が俺を紹介した

 

出水「こいつは悠。最近ボーダーに入ったS級ですよ」

「何ッ!こいつが・・・!?」

 

そう言って三人が俺の事を見て来た。そもそも

 

悠「・・・公平。お前が俺の事を紹介しても、俺はこいつらを知らないんだが・・・」

出水「・・・ああ!わるいわるい」

 

公平はこの三人の事を紹介した

 

出水「この帽子をかぶってる人が荒船さん。B級の荒船隊の隊長だ」

荒船「よろしく・・・・」

出水「そしてその隣の人が村上先輩で鈴鳴第一の隊員で攻撃手(アタッカー)4位の人だ」

村上「よろしくな」

出水「・・・で、ちょっとこの目つき悪い人が影浦先輩でこの人も影浦隊の隊長だ」

影浦「目つき悪いってどういう意味だコラ・・・!」

村上「いや、そのままの意味だろ」

 

そうして俺に紹介した。随分個性がある奴がいるが

 

悠「・・・そうか。俺は悠。よろしく頼む」

 

そう言っておいてさっきの話に戻る

 

悠「・・・俺と戦うとは言うがどうするんだ?このランク戦のところでやれるのか・・・?」

米屋「・・・えっ!戦ってくれるのか・・・!」

悠「・・・はあー、一戦だけだ」

出水「よっしゃ!?」

 

そう言って俺は迅に電話した。以前鬼怒田に言われ買っておいたものだ

 

迅【はいはい、どうした悠・・・?】

悠「・・・迅、C級のブースで俺のトリガーは使えるのか?」

迅【・・・はい?】

 

そうして俺がどうしてそうなったのかを説明すると

 

迅【・・・あちゃー、そうなったか・・・】

悠「おまえでも読み切れなかったのか・・・?」

迅【おまえに関してはいろいろといイレギュラーが多くてな・・・それでランク戦のブースでも使えるかだっけ】

 

B級のブースに行けば一応使えるらしい

 

悠「・・・そうか。それじゃあ一度陽介たちと戦うぞ」

迅【あんまりみんなの目に入れたくはなかったけど仕方ないか・・・】

悠「・・・安心しろ。一戦だけだ」

 

俺はそう言って電話を切り部屋に入ろうとすると

 

荒船「・・・なあ、それ俺たちも入っていいか?」

悠「・・・・・?」

 

荒船に呼び止められた

 

米屋「・・・?どうしたんすか・・・?」

荒船「いや、俺たちはちゃんと(ブラック)トリガーと戦ったことが無くてな」

村上「少し、興味があるな・・・」

影浦「・・・・・」

出水「・・・どうする、悠?」

 

公平がそう聞いてきたが俺は別に構わない

 

悠「ああ、別にいいぞ」

荒船「・・・・へえ」

村上「面白そうだな・・・」

影浦「・・・だな」

 

そして俺たちはB級のブースに向かった。そこはA級とB級が一緒になっているらしい

 

悠「ここが、B級のブースか。ここも変わらず広いな・・・」

荒船「・・・まあ、そうだな。それなりにボーダーには人もいるしな」

悠「・・・なるほどな」

 

そんな話をしながら歩いていると

 

「・・・あれ、悠くん?」

 

そんな声が聞こえてそっちを向くとそこには

 

悠「・・・玲か、久しぶりだな」

那須「・・・うん。久しぶりだね、悠くん」

 

そこには玲と彼女と同じ服を着たやつが二人立っていた。玲の隊員か・・・?」

 

熊谷「・・・ねえ、玲。もしかして彼が・・・?」

那須「あっうん・・・二人にも紹介するね。彼が悠くん、私を助けてくれたの」

日浦「・・・そっそうなんですか」

 

玲に紹介されたから一応俺も挨拶をした

 

熊谷「・・・わたしは熊谷 友子。よろしく」

日浦「わっわたしは日浦 茜です!よろしくお願いします・・・!」

悠「初めましてだな。俺は悠。よろしく」

 

そう言って挨拶すると俺は陽介と公平に引っ張られた

 

悠「・・・?どうした?」

米屋「おまえ、那須さんと知り合いなの・・・!どういうことだ!?

出水「しかもおまえ!那須さんを名前呼びって・・・!柚宇さんに言いつけるぞ・・・!!

悠「何故ここで国近が出てくるんだ・・・?」

 

よくわからないが二人が嘆いていた

 

那須「悠くん、今日はどうしたの?このブースに・・・」

悠「・・・ああ、こいつらが戦いたいようでな。俺のトリガーが使えるらしいこのブースに来たんだ」

那須「・・・悠くんのトリガー?」

悠「ああ」

 

俺はそう言って首に提げた指輪を見せた

 

那須「・・・とても、きれいだね」 

悠「・・・ああ」

 

俺はそう言って部屋に入ろうとすると

 

熊谷「・・・ねえ、わたしも一緒にいい?」

悠「ああ、いいぞ」

熊谷「えっ?・・・ずいぶん、簡単にOKするんだね?」

悠「・・・別にこの際構わないさ」

 

すでに何人か増えているしな。そう言えば迅が言っていたな

 

迅【後で迎えに行くから。みんなを鍛えてくれ。()()()()()に備えて・・・な】

 

そう言っていたな。俺は部屋の一つに入り中でトリガーを使用する

 

悠「・・・いくか」

 

トリガーを起動して待った。戦うのは『陽介』、『公平』、『荒船』、『村上』、『影浦』、『熊谷』の6人・・・か

しばらく待っているとパネルから陽介の声がした

 

米屋【悠、聞こえてるか・・・?】

悠「ああ、聞こえているぞ」

米屋【・・・よし、パネルの一番上に黒い部分があるだろ】

悠「・・・ああ」

 

陽介の言う通りパネルの一番上に黒い部分があった

 

米屋【そこを押せばチーム戦が始まるから。オレたちは先に入ってるぜ】

悠「ああ、わかった・・・」

米屋【それじゃあ、頼むぜ!】

そう言った。俺も行くとしよう。俺は黒い部分を押しチーム戦を始めた

 

 

 

 

 

 

 

米屋「そろそろ、来るぜ」

出水「よし!リベンジマッチだ・・・!」

 

すでに仮想戦場には悠を除いた全員がいた。荒船は狙撃手(スナイパー)のため既に遠くに移動していた

 

荒船【米屋、いいのか?先に入ってて】

米屋「大丈夫ですよ。あいつにはもう言ってるんで」

影浦「・・・どんな奴なんだろうな~」

そう言いながら全員が待っていた

 

村上「・・・そういえば、米屋と出水は戦ったことがあるんだよな?どんな戦い方なんだ・・・?」

米屋「・・・えっ?どんな・・・?」

出水「うーん、どんなって言われるとなー・・・」

熊谷「・・・?戦ったことあるんでしょ?」

米屋「・・・そうだなー。あえて言うなら・・・」

 

そして米屋と出水は口をそろえて言った

 

米屋・出水「次元がちがう」

 

そのとき悠がついにこの空間に来た

 

米屋「・・・おっ、ようやく来たか」

出水「主役はおくれて登場するってか」

悠「・・・悪いな」

 

悠が出てくるとその姿を初めてみた者たちは

 

影浦「・・・・・っ!」

村上「・・・・・なっ」

荒船【・・・・・やばっ】

熊谷「・・・・・・っ!?」

 

全員がその姿に言葉を失っていた

 

米屋「さあ、みなさん。言葉を失っている暇はないですよー」

出水「こいつ相手に気を一瞬でも抜くと瞬殺ですよ・・・」

 

米屋と出水のその言葉に全員が気を取り直し武器を構えた。それを見た悠は

 

悠「・・・よし」

 

左手に朱い剣を出現させ

 

悠「さて、始めるか・・・」

 

彼らの模擬戦が始まる

 

 

 

 

 

 

 

那須side

 

那須「・・・・・・」

 

わたしは目の前のモニターに映された光景に言葉を失い、目を奪われていた

 

日浦「・・・・・っ!那須、せんぱい・・・あれ・・・」

 

茜ちゃんも必死に言葉を紡いでいた

 

「・・・なんやねん、あれ」

「やば・・・」

 

「あれ?なんでカゲが戦ってるの・・・?しかも、あの相手・・・」

「・・・みたことないやつだね」

 

このブースにたくさんの人が集まっていた。中には

 

太刀川「あっ!出水のやつ!俺より先に戦いやがって・・・」

嵐山「・・・彼は!?」

木虎「悠くん・・・」

 

A級の人たちも中にはいた。わたしはモニターに映っている悠くんの姿を見た

 

悠【・・・・・】

 

明らかにボーダーのものではないトリガーを使いそのトリオン体は異彩を放っていた。

黒と銀色を合わせたような武具を身に纏い、腰に紅い布を付け左手に朱い剣を出したその姿。そしてわたしが見たのはその体。

武具が全身を纏っているわけでは無い。だからこそ、その体が見えた。体のある無数の傷。以前木虎ちゃんが彼がわたしより年下だと言っていた。

彼の体はとても中学生とは思えないほど細身ながらも鍛えられていた。そして体にある無数の傷跡

 

那須「・・・・・っ!?」

 

 

 

 

本来ならあんまりジロジロ見ちゃいけないのに、わたしはその姿に見入ってしまった

 

 

 

 

 

 




今回は後半主人公主体のオリジナル回になりました。
次回も前半は主人公対米屋たちチームで戦うオリジナル回になります。


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12話

国近side

 

国近「おわった~~・・・」

「けっこう遅くなっちゃったね」

 

わたしは今、他のオペレーターの子たちと一緒に本部の中を歩いていた。

今、隣を歩いているのは嵐山隊の綾辻ちゃんと風間隊の三上ちゃん、二宮隊の氷見ちゃんだ

 

国近「みんな、この後どうするの~・・・?」

綾辻「わたしはこの後また隊室に戻るよ」

三上「わたしは今日は防衛任務はないので帰る予定ですね」

氷見「・・・わたしも隊室に一度戻りますね」

 

どうやらみんなそれぞれ戻るらしい。もし暇なら一緒に買い物に行きたかったけど・・・まあ、今日じゃなくてもいいかな。

そんなことを考えながらわたしたちはB級のブースの前を通るとやけにブースの中が騒がしかった

 

三上「・・・?どうしたんですかね・・・?」

綾辻「今日、ずいぶん多いね」

国近「・・・・・?」

 

わたしたちは気になりすこしブースの中に入ってみると、そこにはB級やA級の人たちがたくさんいた。中には

 

太刀川「あっ!出水のやつ!俺より先に戦いやがって・・・」

国近「あっ、太刀川さんだ・・・」

太刀川さんや嵐山さん、木虎ちゃんもいた

 

国近「・・・太刀川さ~ん」

太刀川「・・・?おっ、国近じゃん」

綾辻「嵐山さん、どうしたんですか・・・?」

嵐山「綾辻!いや・・・実はな・・・」

 

そしてわたしはなんで太刀川さんがいるのか聞いた

 

国近「太刀川さん、どうしたんですか?」

太刀川「いや、出水が悠と戦うって聞いたんでな」

国近「えっ・・・悠くんが・・・?」

 

わたしはそれを聞いてブースにあるモニターを見た。そこには・・・

 

国近「・・・・・えっ?」

太刀川「あー・・・そういえば国近は見た事無いんだっけか・・・」

画面に映っていたのは

 

綾辻「・・・嵐山、さん。あの人は・・・」

嵐山「・・・・・あれは」

木虎「悠くん・・・」

 

見た事のない姿、見た事のない剣を持ち・・・体に無数の傷がある悠くんの姿だった

わたしは彼の過去を聞いた。あの姿はまさにその全てを物語っていた。こたつも、娯楽も、みかんも何も知らなかった彼の過去を

 

国近「・・・・・っ!」

太刀川「・・・あいつの過去を俺たちも受け入れなくちゃいけない」

国近「・・・っ!・・・はい」

 

そして戦いが始まった

 

 

 

 

 

 

米屋【ここからは秘匿通信で・・・】

出水【・・・OK】

 

両者、正確には米屋たちはその場から動けないでいた。米屋と出水は以前、一度戦ったことがあるがそれでもいきなり突っ込む気にはなれない。

それほど、悠には隙というものが無い

 

悠「・・・・・」

村上【・・・こっちを見定めているって感じか・・・?】

陽介【そうっすねー】

出水【・・・しかも槍バカ、悠の武器見てみろよ】

陽介【・・・・・ん?】

 

そう言って米屋は悠の手元を見るとそこには左手に朱い剣を出している()()だった

 

米屋【・・・ハンデでもくれてるのかねー?】

出水【はは・・・だろうな・・・】

熊谷【・・・・・?】

 

そして米屋たちが動かないでいると

 

悠「・・・そっちから来ないのなら、こっちから行くぞ」

 

悠が動いた

 

出水「・・・!全員、かまえ「遅いぞ」・・・!」

 

悠は一瞬で出水の懐に来て出水の腹部に強烈な蹴りを一発入れた。その勢いで出水は遥か後方に吹き飛んだ

 

熊谷「・・・・っ!」

影浦「・・・ラァ!!」

 

その瞬間熊谷と影浦が左右から斬りかかった。だが、悠はそれを軽くいなし熊谷の手首を掴みそのまま出水を蹴飛ばした方に投げ飛ばした

 

熊谷「・・・・!?」

影浦「・・・・・シッ!」

 

影浦が遊真も使うスコーピオンをまるで鞭のようにしならせながら使った

 

悠「・・・・ほう」

 

悠はそれを興味深そうに見ていると

 

ドォン

 

悠「・・・・・」

荒船「・・・!マジかよ・・・自信なくすぜ・・・」

 

荒船が狙撃をした。そのタイミングはまさに完璧といえるようなものだったが、悠はそれを体を逸らして躱した

そのタイミングを狙い住宅街から出てきた米屋と村上が斬りかかる

 

米屋「・・・・シャア!」

村上「・・・・・!」

 

米屋の槍と村上の刀とレイガストの二刀流が悠に休む暇を与えず斬りかかった

 

悠「・・・・・へえ」

 

悠はその攻撃を左手の剣でさばいていると

 

出水【・・・そこから離れな、3人とも】

米屋「・・・・!」

村上「・・・・・っ!?」

影浦「・・・チッ!」

 

悠と剣戟をしていた二人が突然その場から離れた。次の瞬間空から無数のトリオンが降り注ぎ悠のいたところに着弾し爆発した

 

出水「・・・ふうー、少し休憩していいか・・・?」

米屋「トリオン使いすぎだ、弾バカ」

熊谷「でも、倒しちゃったんじゃ・・・」

出水「・・・・・いや」

影浦「・・・・・っ!?」

 

ここで突然だが影浦には『感情受信体質』という副作用(サイドエフェクト)がある。自分に向けられた感情が肌で感じ取ることが出来るというものだ。

影浦は悠と戦っていて思った。何も感じないと。そんな副作用(サイドエフェクト)を持っているから分かってしまう。

目の前の()()はまだ生きていると

 

 

悠「・・・・・フッ、やるな公平」

 

出水「・・・そりゃあ、そうだよな」

 

悠は右手をかざしトリオンのシールドを作り出水の変化炸裂弾(トマホーク)を全て防いだ

 

熊谷「・・・うそでしょ・・・」

村上「・・・・・」

出水「かなりのトリオン使ったのに、傷一つなしか・・・」

悠「そうか?なかなか、危なかったぞ・・・」

米屋「おまえに傷与えなきゃな・・・」

悠「フッ・・・そうか」

 

そして悠は彼らに言った

 

悠「・・・お前たちを侮りすぎていたようだな」

 

悠は右手にもう一本違う形をした朱い剣を出した

 

影浦「・・・・っ!」

米屋「・・・!マジか・・・」

 

悠は今まで黄色の剣とあの朱い剣の二本を持っているのだと思っていたがもう一本彼は持っていた

悠「・・・・・さあ」

 

その二本が宙に浮き柄頭の部分が繋がった。そして回転しながら高速で米屋たちの方に向かった

 

出水「ウソだろっ・・・!」

米屋「・・・・やべっ!?」

影浦「・・・・・っ!」

 

悠「逃げてみろ・・・逃げられるというのならな」

 

その一瞬の攻撃で出水、米屋、影浦は避けれたが村上と熊谷のトリオン体を斬り裂き

 

村上「・・・・・すまん」

熊谷「・・・・!?」

 

緊急脱出(ベイルアウト)した。荒船がすぐさま悠を撃ったが彼はその狙撃をシールドで防いだ

 

悠「・・・少し焦ったか?」

荒船「・・・・・!?」

 

悠は右手でトリオンの弾を作りそれを光速の速さで荒船を撃ち抜き荒船も緊急脱出(ベイルアウト)した。悠の二本の剣は彼の手元に戻り残ったのは

 

悠「さあ、どうする・・・?」

出水「・・・チクショー」

米屋「どうする・・・?」

影浦「・・・クソッ」

 

米屋たちは少しも諦めてなどいなかった。悠はその姿をどこか眩しいものでも見るように見た

 

悠「・・・・フッ」

そして米屋と影浦が一気に悠に迫り槍型の弧月と鞭のようにしならせたスコーピオンで攻撃しつつ後ろの出水がアステロイドでカバーした

 

米屋「・・・・・っ!」

影浦「・・・シッ!」

出水「あれ捌き切るって、おかしいだろ・・・太刀川さんでも出来るかわかんねえぞ」

 

悠は米屋と影浦の攻撃を捌きつつ出水のアステロイドを自分の剣で斬り裂いていた。そして

 

悠「・・・悪くない連携だったぞ」

米屋「・・・くっそー」

影浦「・・・・・っ!?」

 

二人が作ってしまった一瞬の隙をついて悠は二人を斬り出水の前まで来た

 

悠「・・・フッ、まだまだだな」

出水「・・・くくっ、また挑ませてもらうぜ」

悠「ああ、待っているぞ」

 

そして出水の体を真っ二つにし出水、米屋、影浦が緊急脱出(ベイルアウト)した

 

 

 

ブースの中にいたほとんど全員が呆然としていた。ほとんどが米屋たちが勝つと思っていたからだ。

だが、勝ったのは悠だった。その事実にみんな呆けていた

 

太刀川「おれも戦いてーなー・・・」

嵐山「やはり彼はすごいな・・・」

木虎「・・・・・そうですね」

 

一度彼と戦った者、戦いを見ていた者たちを除いて

 

那須「・・・・・」

国近「・・・・・・・」

 

そして戦いを終えた米屋たちがそれぞれの部屋から出てきた

 

米屋「・・・くっそー!勝てねえ・・・!」

出水「予想はしてたけどやっぱ悔しいなー・・・」

 

米屋と出水が出てきて

 

村上「・・・一瞬だったな」

影浦「この戦闘のログ、残ってるよな・・・」

熊谷「たぶん・・・ね」

荒船「・・・ちょいと見直すか」

 

それぞれが出てきた。その彼らにそれぞれの隊員と思われる者たちが近づいた

 

太刀川「おい、米屋!出水!」

出水「・・・あれ?太刀川さん来てたんすか?」

太刀川「ああ、おまえらが戦うっていうんでな!なんでおれも呼ばなかった!おれを呼べ・・・!」

米屋「すいません・・・忘れてました・・・」

太刀川「おい!」

 

「ちょっとカゲ、大丈夫?」

「・・・負けたね」

影浦「・・・ああ。帰ったら今日のログ見るぞ」

「おおっ、了解」

 

「荒船。盛大に吹っ飛んだな・・・」

荒船「・・・言うな、恥ずかしい」

 

「鋼、大丈夫かい・・・?」

村上「来馬先輩、すみません。帰ったら俺も今日のログ見たいです」

 

そして熊谷は

 

熊谷「・・・まさか、あんなに強いとはね」

日浦「センパイ!どうでしたか・・・!」

熊谷「米屋くんや出水くんが言ってたけど・・・本当に次元がちがうね、彼は・・・」

那須「・・・そう」

 

 

 

 

 

那須side

 

熊ちゃんはそう言った。彼は次元がちがうと。その言葉にわたしは空返事で返した

 

熊谷「・・・?玲、どうしたの?」

那須「・・・!ううん、なんでもないよ」

熊谷「・・・・・そう」

 

わたしはそう言ったが心の中ではとても動揺して落ち着かなかった。彼の体の無数の傷、そしてとてつもない強さ。

どこか彼を遠くにわたしは感じてしまっている。そして

 

悠「・・・・・」

那須「・・・あっ、悠くん」

 

悠くんが出てきた。そして悠くんの所にたくさんの人たちが行った

 

「おまえ、何者だよ!すげえじゃん・・・!?」

悠「・・・・・?」

「なあなあ!おれたちの隊に来いよ!」

悠「・・・いや、俺は・・・」

 

いろんな人が悠くんに詰め寄って悠くんが困っていた。わたしが助けようとしたとき

 

嵐山「・・・みんな!それ以上は彼が困っている!」

 

そう言ってたくさんの人たちを嵐山さんが解散させてくれた。さすが広報もしているから影響力がすごいわね

 

嵐山「すまない、悠くん!みんな、珍しいからね」

悠「いや、こっちも助かった。嵐山」

そう言っているといつの間にか太刀川隊の国近ちゃんが

 

国近「・・・・・悠、くん」

悠「・・・国近?来ていたのか・・・?」

 

悠くんがそう言うと、次の瞬間国近ちゃんが

 

ギュッ国近「・・・・・」

悠「・・・・・?どうした、国近?」

 

なんと悠くんに抱き着いたのだ。わたしは突然のことで思わず固まってしまった

 

木虎「・・・なっ、なっ」

太刀川「・・・・・やるな」

 

「・・・マジかいな」

「ヤバいっすね・・・あれ」

 

荒船「・・・・・」

「・・・・・」

 

その場に残っていた全員がこの光景を見ていた

 

国近「・・・・・」

悠「・・・やれやれ」

 

悠くんはそう呟きながら国近ちゃんの頭を撫でていた・・・なんだか、おもしろくないな

 

熊谷「・・・玲?」

那須「・・・・・」

 

そんなことを考えていると

 

迅「・・・おお、悠。なかなか有名になってるじゃないか」

悠「・・・・・迅?」

 

迅さんがB級のブースに来た。それに後ろにメガネをかけた子と白い頭の子がいた

 

迅「・・・しかし、モテモテだな」

悠「モテモテ?」

 

悠くんはモテモテという言葉に顔を傾げていた。

 

迅「悠、少し来てくれ。ちょっと城戸さんが遊真と悠に用事があるって」

悠「ああ、わかった」

 

そして悠くんは国近ちゃんに

 

悠「・・・国近」

国近「・・・・・」

悠「・・・今度、必ず太刀川隊の部屋に行こう」

国近「・・・っ!・・・うんっ!!」

 

そうして悠くんに抱き着いていた国近ちゃんが彼から離れ、彼は迅さんの所に行くためわたしの横を通り過ぎる際

 

悠「・・・またな、玲」

那須「・・・!うん、またね・・・悠くん」

 

わたしの頭を軽く撫でてくれた。

彼はそのまま迅さんについて行った。わたしは顔が熱くなるのを感じた

 

那須「行こう、熊ちゃん。茜ちゃん」

熊谷「あっ、玲・・・?」

日浦「まっ!待ってくださーい・・・!」

 

そしてわたしたちは自分たちの隊室に戻ることにした。 戻る際に国近ちゃんと目が合った

 

那須「・・・・・」

国近「・・・・・」

 

お互い少し見つめあってそのまま戻った。多分、わたしたちは同じことを思った

 

那須・国近((負けない・・・!))

 

わたしは自分で思った。

・・・どうしようもないくらい、彼に惚れちゃったんだ・・・と

 

 

 

 

 

 

悠side

 

迅「ほんとにモテモテだな、悠」

 

迅は俺にそう言いながらニヤニヤしていた

 

悠「・・・さっきから気になっているんだが、そのモテモテってどういう意味だ・・・?」

迅「・・・えっ?・・・えーと」

 

俺は自分の疑問を迅に問うと迅は言いにくそうにして

 

迅「・・・まあ、それは自分で気づくのが一番だ」

悠「・・・・・?」

 

よく分からなかった。俺は遊真があの後どうなったか聞いた

 

悠「そういえば、遊真。緑川との勝負はどうだった・・・?」

遊真「ああ、実は・・・」

 

そして俺は遊真からその後の事を聞いた。

遊真曰く、緑川が勝負を仕掛けてきた理由はどうやら迅の後輩というのが気に入らなかったらしい。

緑川は迅をとても慕っていてその迅の後輩というのが気に入らなく、だから修の評判を落とそうとしたらしい。

そのあと、遊真は緑川と戦い勝った。そして緑川が遊真の強さに気づき自分の考えを改めて最後の二勝負はいい戦いをしたらしい。そのあと、緑川は修と遊真に謝ったようだ

 

迅「駿は根はいい奴だからさ、勘弁してやってくれ」

悠「別に俺が何かやられたわけでは無いからな。修が許しているのならそれで構わない」

 

そして俺たちは城戸たちのいると言う所に向かった

 

迅「駿はどうだった?遊真、手強かったか?」

遊真「けっこう強かったかな。こなみ先輩と10本勝負してなかったらやばかったかも。これからもっと強くなるやつだと思うよ」

迅「ふんふん。メガネくんは?」

修「ぼくは・・・手も足も出ませんでした。

風間さんの時とちがって全然動きが読めなくて・・・動きに整合性がないというか、きまぐれというか」

なるほど、そういう感じの奴だったのか

 

迅「なるほど。そのへん遊真はどう戦った?」

遊真「おれはそういう時は大体、相手を『動物』だと思って戦うよ」

修「『動物』・・・!?」

遊真「『人間はけっこう理屈に合わない動きをする』。『理屈より習性とか性格とかを読んだ方がいい場合も多い』ってむかし親父が言ってた」

悠「・・・面白い考え方だな」

遊真「かざま先輩みたいなキチンとした人は理詰めでいけるけど、ミドリカワみたいな天然系は動物として見たほうがいい」

迅「おお、そうかもなー」

 

そうして話していると

 

迅「悠は?米屋たちはどうだった・・・?」

悠「・・・・・即興のコンビネーションとしてならなかなかのものだったぞ」

迅「おっ、けっこう高評価だな」

あいつらの動きは決して悪くない。むしろ即興でよくあれだけの動きが出来たものだと感心さえ出来る

 

悠「だがな、お前も知っているとは思うが(ブラック)トリガーはそれぞれのなった者たちの個性が出ている。中にはかなり特殊なものもあるというからな。俺の戦いはそこまで参考になるとは思えないな」

迅「うーん、まあなー・・・」

 

迅はそう言って何か言い淀んだ。そして城戸たちがいるという部屋に着き扉を開けた

 

迅「失礼します」

鬼怒田「遅い!何をモタモタやっとる!」

迅が扉を開けて中に入ると鬼怒田の怒鳴り声が聞こえてきた。鬼怒田も居たのか

鬼怒田以外のも忍田、風間さん、三輪、林藤、宇佐美がいた

 

迅「いやー、どもども」

陽太郎「またせたな、ぽんきち」

鬼怒田「なぜおまえが居る!?」

 

鬼怒田は陽太郎の事を知っているようだ

 

宇佐美「陽太郎!陽介はどこいったの?」

陽太郎「かれはよくやってくれました」

悠「・・・フッ」

城戸「時間が惜しい。早く始めてもらおうか」

 

城戸が急かすように言った

 

修「あの人が城戸司令・・・近界民(ネイバー)嫌いのボーダーで一番えらい人だ

遊真「ほう」

そして忍田が今回の本題を話した

 

忍田「我々の調査で近々、近界民(ネイバー)の大きな攻撃があるという予想が出た。先日は爆撃型近界民(ネイバー)一体の攻撃で多数の犠牲者が出ている。我々としては万全の備えで被害を最小限に食い止めたい。

平たく言えばきみたちに近界民(ネイバー)としての意見を聞きたいということだ」

三輪「・・・・・」

遊真「ふむ。近界民(ネイバー)としての意見」

悠「・・・そう言う理由か」

何故俺たちを連れてきたのかは理解できたな

 

鬼怒田「近界(ネイバーフッド)にいくつもの国があることはわかっとる。いくつかの国には遠征もしとる。だが、まだデータが足らん!

知りたいのは攻めてくるのがどこの国でどんな攻撃をしてくるかということだ!おまえたちが近界民(ネイバー)側の人間だろうがなんだろうが、ボーダーに入隊した以上は協力してもらう!」

 

なるほどな・・・となると

 

悠「俺が与えられる情報は少なそうだな」

三輪「・・・何!」

悠「・・・俺の過去を一応話しておこう」

 

そして俺はまだ話していない三輪と一応宇佐美にも分かるように俺の過去を話した

 

三輪「・・・・・っ!!?」

宇佐美「・・・・・うそっ・・・」

悠「・・・俺はあの国にずっと居たからな。悪いが俺は他の国についてはあまりよく知らない」

忍田「・・・そうか。ありがとう、話してくれて」

悠「別にいい。もう終わったことだ」

 

そして俺が話し終えると遊真が

 

遊真「・・・そういうことなら、おれの相棒に訊いたほうが早いな。よろしく」

レプリカ【心得た】

「・・・・・!?」

 

レプリカが突然現れたことに全員が驚愕していた

 

レプリカ【はじめまして。私の名はレプリカ、ユーマのお目付け役だ】

忍田「・・・!?」

鬼怒田「なんだこいつは・・・!?」

レプリカ【私はユーマの父、ユーゴに造られた多目的型トリオン兵だ】

三輪「トリオン兵だと・・・!?」

城戸「空閑 有吾・・・!」

 

レプリカが自分の正体を言うと三輪が驚いた顔で見ていた

 

レプリカ【私の中にはユーゴとユーマが旅した近界(ネイバーフッド)の国々の記録がある。おそらくそちらの望む情報も提供できるだろう】

忍田「!」

鬼怒田「おお・・・!」

レプリカ【だが、その前に・・・】

 

レプリカは一度言葉を切り城戸たちに問いかけた

 

レプリカ【ボーダーには近界民(ネイバー)に対して無差別に敵意を持つ者もいると聞く。私自身まだボーダー本部を信用していない。

ボーダーの最高責任者殿には私に持つ情報と引き換えにユーマの身の安全を保証すると約束して頂こう」

城戸「・・・・・」

 

さて、どうする・・・

 

城戸「・・・・・よかろう。

ボーダーの隊務規定に従う限りは隊員空閑 遊真の安全と権利を保証しよう」

悠「・・・・・フッ」

レプリカ【確かに承った。それでは近界民(ネイバー)について教えよう】

 

そしてレプリカが近界民(ネイバー)について話し始めた

 

レプリカ【近界民(ネイバー)の世界・・・すなわち近界(ネイバーフッド)に点在する『国』は()()()の世界のように国境で分けられているわけでは無い。

近界(ネイバーフッド)のほとんどを占めるのは果てしない夜の暗黒でありその中に近界民(ネイバー)の国々が星のように浮かんでいる。

それらの国々はそれぞれ決まった軌道で暗黒の海を巡っており、ユーマの父ユーゴはその在り方を『惑星国家』と呼んだ」

修「『惑星国家』・・・!?」

悠「・・・・・」

 

レプリカ【太陽をまわる惑星の動きとは少々異なるが惑星国家の多くは()()()の世界をかすめて遠く近く周回している。

そして()()()の世界と近づいた時のみ遠征艇を放ち(ゲート)を開いて侵攻することができる。

『攻めて来るのはどこの国か』、その問いに対する答えは『今現在()()()の世界に接近している国のうちのいずれか』だ」

鬼怒田「そこまではわかっとる!知りたいのは『それがどの国か』!その『戦力』!その『戦略』だ!」

 

鬼怒田はそう言うが

 

悠「・・・悪いが、それを明らかにするにはこの配置図だけでは分からないぞ」

鬼怒田「・・・何っ!そうなのか!!」

レプリカ「その通りだ。私の持つデータを追加しよう。

リンドウ支部長」

林藤「OK、レプリカ先生。宇佐美、よろしく」

宇佐美「あいあいさー」

 

そして目の前の配置図にレプリカの中にあるデータが付け加えられた。その量は莫大であった

 

レプリカ【これが、ユーゴが自らの目と耳と足で調べ上げた惑星国家の軌道配置図だ】

 

その莫大な量に全員が驚いていた

 

陽太郎「おお~!でかい!」

鬼怒田「これは・・・!」

忍田「さすがは有吾さんだな・・・」

修「これが・・・近界民(ネイバー)の世界の地図・・・!」

修(もしかしたらこの中に、千佳の友達や麟児さんをさらった国が・・・!)

三輪「・・・・・!」

 

なにやらそれぞれが思う所があるようだな

 

レプリカ【この配置図によれば現在()()()の世界に接近してきている惑星国家は4つ。

広大で豊かな海を持つ水の世界、海洋国家リーベリー。

特殊なトリオン兵に騎乗して戦う、騎兵国家レオフォリオ。

厳しい気候と地形が敵を阻む、雪原の大国キオン。

そして近界(ネイバーフッド)最大級の軍事国家、神の国アフトクラトル】

悠(・・・リーベリーか)

 

俺は遊真と会う前にリーベリーに居たときが会ったがあの国は基本的に争いを嫌悪していたはずだ。あの国が来るのは考えにくいな

 

城戸「その4つのうちのどれか・・・あるいはいくつかが大規模侵攻に絡んでくるというわけか?」

レプリカ【断言はできない。未知の国が突然攻めて来る可能性もわずかだがある。

また、惑星国家のように決まった軌道を持たず()ごと自由に飛び回る『乱星国家』も近界(ネイバーフッド)には存在する】

城戸「・・・・・!『乱星国家』・・・!」

忍田「細かい可能性を考えだしたらキリがないな」

 

・・・イルガーを使っている国はどこだろうな?あまり見ないが

 

風間「話を戻しましょう。先日の爆撃型トリオン兵と偵察用小型トリオン兵、あれらを大規模侵攻の前触れとして対策を講じるという話だったはず」

遊真「それだったら確率が高いのはアフトクラトルかキオンかな。イルガー使う国ってあんまりないし。・・・ていうか

そういうの迅さんのサイドエフェクトで予知できないの?どこが来るかとか」

迅「おれは会った事もないやつの未来はみえないよ。

『近々何かが攻めて来る』ってのはわかってもそいつらが何者かはわからない」

遊真「ふむ・・・なるほど」

悠「・・・・・・・」

 

とりあえず、その2国が来ると思った方がいいな

 

城戸「なるほど。次に知りたいのは相手の戦力と戦術、特に重要なのは敵に(ブラック)トリガーがいるかどうかだ」

修「(ブラック)トリガー・・・!」

レプリカ【我々がその2国に滞在したのは7年以上前なので、現在の状況とは異なるかも知れないが私の記録では、当時キオンには6本、アフトクラトルには13本の(ブラック)トリガーが存在した】

忍田「13本・・・!」

悠「・・・13・・か」

レプリカ【しかし(ブラック)トリガーはどの国でも希少なため通常は本国の守りに使われる。遠征に複数投入されることは考えづらい。多くても一人までだろう】

 

まあ、それはそうか

 

レプリカ【また、遠征に使われる船はサイズが大きいほどトリオンの消費も大きい。

攻撃には卵にして大量に運用できるトリオン兵を使い、遠征の人員はできる限り少数に絞るのが基本だ】

忍田「つまり、いずれにしろ敵の主力はトリオン兵で人型近界民(ネイバー)は少数だということだな」

レプリカ【現在の情報ではそうなる】

悠「・・・・・」

 

城戸「では、人型近界民(ネイバー)の参戦も一応考慮に入れつつトリオン兵団への対策を中心に防衛体制を詰めていこう。

・・・三雲くん」

城戸が修に言った

 

城戸「きみは爆撃型と偵察型両方の件を体験している。何か気づいたことがあったらいつでも言ってくれ」

修「は、はい!」

忍田「遊真くんたちには我々の知らない情報の補足をお願いする」

遊真「了解了解」

悠「出来る限りの事を話そう」

 

そして俺たちは

 

忍田「さあ、近界民(ネイバー)を迎え撃つぞ」

 

大規模侵攻に向けて動いた

 

 

その後、話を終えた俺たちは戻ろうとすると

 

迅「・・・悠、少しいいか?」

悠「・・・?どうした、迅?」

迅「ここじゃ話せないから、ついて来てくれ・・・」

悠「・・・・・」

 

俺はそう言われて迅について行った。着いたのはボーダー本部の屋上だった

 

悠「・・・どうしたんだ迅、何かあったのか・・・?」

迅「・・・・・実はさ、おまえに頼みがあるんだ」

悠「頼み?なんだ・・・?」

 

迅は少し言いずらそうにしたが

 

迅「・・・実は、今度の大規模侵攻でとんでもない敵が来る。多分、おれたちじゃ勝てないレベルの・・・」

悠「・・・そのおれたちに俺は入ってるのか?」

迅「・・・はっきり言って、五分五分だ」

 

迅は続けた

 

迅「・・・もしかしたらおまえに敵が複数つくかもしれない」

悠「・・・・・」

迅「今回の大規模侵攻で悠が来る前はおれの予知ではメガネくんが死ぬ未来や千佳ちゃんが攫われる未来があったんだ・・・」

悠「・・・修と千佳が?」

迅「・・・ああ。でも、おまえが来てくれてその未来がなくなったんだ」

悠「・・・そうか」

迅「・・・・・その代わり、新しい未来が見えた」

 

迅は俺をはっきり見て言った

 

迅「・・・おまえがその敵に負けて連れ去られる未来が見えたんだ」

悠「・・・なるほどな」

迅が言いづらそうにしていたのはそういうことか

 

迅「悠がそいつらと戦うことになれば未来はかなりいい方に傾く。・・・だけど」

悠「それならば、迷う必要などないだろう」

迅「・・・えっ?」

悠「この街がいい未来にいくというなら、その未来を実現させよう」

迅「・・・だけど」

悠「それに・・・」

 

俺はそう言って今度は迅の顔を見て言った

 

悠「俺が勝てばいいだけの話だろう・・・?」

迅「・・・!ははっ、その自信はどこから出てくるんだ・・・?」

悠「当たり前だろう?こいつらが一緒にいるんだ・・・負けるわけにはいかない」

 

俺はそう言って指輪を握りしめた・・・なあ、おまえら

 

 

 

あの会議から数日たった今日、迅の予知では今日敵の襲撃が来るらしい

 

悠「・・・本当に、最初俺は出なくていいのか?」

迅「ああ、出る頃になったら教える。最初から出れば敵がいらない警戒心をだして慎重になるからな」

悠「・・・それもそうだな」

 

俺は今、ボーダー本部に居た。本当は学校があったが休んで本部にいてくれと迅に言われたからだ

・・・そして

 

迅「うお、早いな」

悠「・・・・・始まったか」

 

空が暗く淀み、数え切れない(ゲート)が出現した。あらかじめ付けていた通信機から声が聞こえてきた

 

(ゲート)の数38,39,40・・・依然、増加中です!!】

忍田【任務中の部隊はオペレーターの指示に従って展開!トリオン兵を撃破せよ!!1匹たりとも警戒区域から出すな】

 

忍田の声が聞こえてきた

 

忍田【非番の正隊員に緊急招集を掛けろ!全戦力で迎撃に当たる!!】

 

指輪を握りしめる・・・さあ、始まるぞ

 

 

 

 

 

忍田【戦闘開始だ!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回で遊真と千佳のボーダー入隊編が終わり次回から大規模侵攻編に入ります。
原作にすこしオリジナル展開を入れようと思います。


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13話

今回から大規模侵攻編に入ります。
基本的には原作通りですが所々オリジナル展開を入れたいと思います。


 

(ゲート)発生。(ゲート)発生。大規模な(ゲート)の発生が確認されました。警戒区域付近の皆様は直ちに避難してください】

 

空が暗黒に染まりそこから無数の(ゲート)が出現した。

まるで4年前のように・・・

修たちのいる中学校でも大騒ぎであった

 

「なにあれ・・・!」

「基地の方が真っ黒だ・・・!!」

 

そんなとき屋上にいた修と遊真が教室に入ってきた

 

修「先生!」

「三雲くん」

修「呼び出しがあったので現場に向かいます!学校のみんなをなるべく基地から遠くに避難させてください!」

「わかったわ」

 

修は必要なことを先生に伝えた

 

「三雲!」

「もしかしてヤバいのか!?これ・・・!」

修「近界民(ネイバー)が警戒ポイントを越えるかもしれない。先生に協力してみんなを避難させてくれ。頼んだぞ」

「わ・・・わかった!」

「気を付けてね・・・!」

 

そして修、遊真、千佳と千佳の友人になった夏目は学校の外に出た

 

修「千佳、おまえはみんなと一緒に避難しろ。警戒区域には絶対近づくな。必要な時は迷わずトリガーを使え。みんなを助けるんだ」

千佳「うん、わかった」

修「夏目さん。千佳のこと頼む」

夏目「了解っす、メガネ先輩!」

 

そして修は遊真に聞いた

 

修「空閑、悠は本部にいるんだよな・・・」

空閑「ああ、迅さんにそう言われたみたい」

修「・・・そうか」

空閑「まあ、悠なら問題ないさ・・・」

修「・・・そうだな」

 

修「よし。空閑、一緒に来てくれ。トリオン兵を食い止めるぞ」

空閑「そう来なくっちゃ」

 

そして遊真が千佳にちびレプリカを渡す

 

遊真「チカにもちびレプリカを渡しとく。危ない時は呼んでくれ。おれかオサム、なんだったら悠が絶対助けに行く」

千佳「うん・・・!」

 

そして修と遊真がトリガーを取り出した

 

修「行くぞ!!」

修・遊真「「トリガー・起動(オン)!!」」

 

二人はトリガーを起動して警戒区域の方に向かった。

その頃ボーダー本部では・・・

 

「トリオン兵はいくつかの集団に分かれてそれぞれの方角へ市街地を目指しています!」

 

忍田の補佐を務めている沢村が現状の報告をしていた

 

沢村「本部基地から見て、西・北西・東・南・南西の5方向です!」

忍田(分かれたか・・・厄介だな。こちらの戦力も分散する。

だが、追うしかない。各個撃破では間に合わない)

 

忍田は戦力を3つに分散させることにした

 

忍田「現場の部隊を三手に分けて東・南・南西の敵にそれぞれ当たらせろ!」

沢村「了解!」

 

しかし、この判断に不安を思う者もいる

 

根付「ちょちょっと待ってください、本部長!西と北西はどうなるんです!?」

忍田はすでにこのことについても対策済みだった

 

忍田「心配はいらない。西と北西にはすでに迅と天羽が向かっている。あの二人に任せておけば問題ない」

根付「おお・・・!こういう時は頼もしいねぇ・・・!」

忍田「問題は他の三方だ。防衛部隊が追いつく前に市街に入られるわけにはいかない。鬼怒田開発室長」

鬼怒田「わかっとる。すでに冬島と組んで対策済みだわい」

 

その通りに市街地ではトリオン兵を(トラップ)が阻んでいた

 

沢村「(トラップ)起動!トリオン兵を捉えました!」

鬼怒田「いざとなれば基地から砲撃もできるが、早う隊員が着かんと基地のトリオンが空っケツになるぞ」

忍田「いや、充分だ。部隊が追いついた」

 

戦場ではトリオン兵の元に防衛部隊が到着していた。

あるところでは

 

「諏訪隊、現着した!近界民(ネイバー)を排除する!」

 

以前、加古の炒飯を悠と一緒に食べた堤が所属しているB級10位 諏訪隊。別の所では

 

「鈴鳴第一、現着!戦闘開始!」

 

以前、悠と戦った村上が所属しているB級8位 鈴鳴第一。そしてまた違う所には

 

「東隊、現着。攻撃を開始する」

 

千佳の担当指導をしていた東率いるB級6位 東隊が戦闘を開始した。その他にも様々なところで防衛部隊が戦闘を始めている

 

沢村「風間隊、嵐山隊、荒船隊、柿崎隊、茶野隊もトリオン兵を排除しつつポイントへ向かっています!」

忍田「よし、合流を急がせろ。各隊連携して防衛に当たるんだ」

 

その頃、修と遊真は警戒区域の中に入っていた

 

レプリカ【ボーダーとトリオン兵が交戦し始めたようだ】

修「状況は!?」

レプリカ【数ではトリオン兵が圧倒しているが敵はなぜか戦力を分散している。後続の部隊や非番の隊員が駆けつければ戦況はボーダー有利に傾くだろう。

予知と備えで敵の初動を捉えられたのが大きかったな】

修「・・・!それじゃあ・・・」

遊真「いや、まだだ」

 

修は安心しかけたが遊真がそれを否定した

 

遊真「今攻めて来てんのがこないだのラッド騒ぎと同じ国のやつらだとしたらボーダーの戦力が大体どのくらいかは予測済みのはずだろ。

それでも仕掛けてきたってことは向こうに勝算があるってことだ」

修「・・・・・!」

 

遊真は自分の経験から油断するなと修に忠告した

 

遊真「気を抜くなよオサム。戦いってのは基本的に数が多い方が有利だ」

 

 

 

 

 

 

 

悠side

 

太刀川「早く、俺の出番来ねーかなー・・・」

悠「・・・迅に少し待てと言われたんだ。待つしかないだろう」

太刀川「それもそうか」

 

俺と太刀川は今、ボーダー本部の屋上で戦況を見ていた

 

悠「・・・随分、奇妙だな」

太刀川「・・・?なにがだ?」

悠「戦力を分散させた事だ。この大規模侵攻と以前のラッド、タイミング的にはおそらく同一国だろう。それならば、奴らはボーダーの戦力を分かっているはずだ」

太刀川「・・・確かにな」

悠「だが・・・奴らは貴重な戦力をわざわざ四方に分散させた」

 

・・・何故、戦力を分散させる必要がある?トリオン兵を散らせば隊員も分散せざるを得ない。だが、このモールモッドやバムスターなどではボーダーの戦力なら勝てない相手という事は分かっているはず・・・

・・・つまり

 

悠「・・・ボーダー隊員に勝てるトリオン兵を用意している」

太刀川「・・・・・」

 

 

 

 

 

「東さん、最後の一匹片付けました!」

東「よし。じゃあ他の隊の加勢にいくぞ」

 

東隊が付近にいるトリオン兵をあらかた排除して次に行こうとすると

 

バキリ、バキバキバキ

東「・・・?」

 

後ろのバムスターから奇妙な音が聞こえ、東がそっちを向くと背中の部分が崩れ中から見た事のないトリオン兵が出てきた

 

東「・・・!?」

 

その姿は人間のように二足歩行で手の部分が大きく頭に耳のようなものが生えていた

 

東「なんだ?こいつは・・・」

 

そのトリオン兵は他の所でも見られていた

 

「なんか出たぞオイ」

堤「新型・・・ですかね?」

 

「お、大型の腹の中から新しいやつが・・・!!」

村上「下がってください来馬先輩。こいつはヤバそうだ」

 

そして東隊の所では東がどうしようか悩んだ

 

東(・・・!また新手の群れか・・・睨めっこしてる場合じゃないが、少々間合いが近すぎる・・・)

そして東の部下の奥寺という少年が

 

奥寺「東さんはむこうをやってください!こいつはオレらが・・・」

 

そこまで言ったが、それどころでは無かった。なぜなら

 

東「・・・!奥寺!!」

奥寺「・・・えっ?」

 

その異形のトリオン兵が奥寺のすぐ目の前まで迫っていたからである。そのトリオン兵は奥寺を右手の部分で弾き飛ばした

 

「お・・・」

東「奥寺!応答しろ!」

奥寺「だ・・・大丈夫・・・です」

 

奥寺は返事をしたが仲間がやられたことに激昂したもう一人の隊員小荒井がトリオン兵に立ち向かおうとするが

 

小荒井「・・・・・この野郎!!」

東「止せ小荒井!奴の狙いは隊の分散だ!奥寺が戻るまで待て!」

 

東が止めに入るが小荒井が止まる前にトリオン兵が小荒井を右手で掴み壁に叩きつけた。小荒井は抵抗しようと両手で弧月を突き立てようとするが

 

小荒井「離せこの・・・」

トリオン兵の左手で両手を掴まれその両手を引きちぎられた

 

東「!!!」

 

そして、トリオン兵はなんとむ胸部にまるで収納スペースがありそこから鉤爪のようなものが出てきて小荒井を捕えようとした

 

小荒井「なっ・・・!?うわっ!?な、なんだこれ!?」

東「小荒井!!」

 

東は咄嗟に持っているアイビスでトリオン兵を撃ったが奴は左手でアイビスの攻撃を防いだ

 

東「!!」

小荒井「うわあああ!!東さん!!!」

 

東は小荒井が捕らわれそうになり小荒井の頭部をアイビスで撃ち抜き緊急脱出(ベイルアウト)させた

 

小荒井「!!!」

【戦闘体、活動限界 緊急脱出(ベイルアウト)

 

そして小荒井が緊急脱出(ベイルアウト)した

 

 

 

 

 

悠「・・・・・?」

 

突然、空に誰かが緊急脱出(ベイルアウト)したあとが見えた

 

太刀川「・・・?誰かやられたな」

悠「・・・・・」

 

東が小荒井を緊急脱出(ベイルアウト)させた後、この新型トリオン兵の情報を忍田に報告した

 

東「忍田さん、こちら東!新型トリオン兵と遭遇した!サイズは3メートル強、人に近い形態で二足歩行、小さいが戦闘能力は高い!

特徴として隊員を捕えようとする動きがある。各隊、警戒されたし以上」

 

その報告を忍田は

 

忍田「隊員を捕える・・・!?・・・わかった。増援が着くまでうまく凌いでくれ!」

 

その情報を悠たちも訊いていた

 

悠「・・・なるほどな」

太刀川「・・・・・」

悠「わざとトリオン兵を分散させたのはこちらの戦力も散らしバラバラになった()()()()()するためか」

太刀川「なるほどねー・・・」

悠「・・・・・」

太刀川「・・・・・?どうした?」

 

・・・まだ、何か引っかかるな。

そして、このトリオン兵をレプリカは知っていた。名称は『ラービット』と言い悠の想定通りこいつは『トリガー使いを捕獲するためのするため』のトリオン兵らしい

 

根付「な・・・」

鬼怒田「なんだと!?」

レプリカ【他のトリオン兵とは別物の性能と思った方がいい。A級隊員であったとしても単独で挑めば食われるぞ】

 

そして、諏訪隊の所にも現れており隊長である諏訪がラービットに捕まっていた

 

堤「諏訪さん!!!」

 

そのまま堤も捕らわれそうになるが

 

「あれが新型?思ったより小さいですね」

風間「舐めてかかるなよ。見た目より手強いぞ」

 

風間隊が救援に来た

 

菊地原「・・・わかってます。もういきなり退場はこりごりだ」

堤「・・・風間さん!」

風間「退がってろ、諏訪隊。この新型は俺たちがやる」

 

そして、風間隊が本部に連絡した

 

風間「本部、こちら風間隊。諏訪が新型に食われた。直ちに救出に入る」

菊地原「うわ、こっち見てる。きもちわる・・・」

 

その後、笹森が自分も戦いたいと言ったが風間は冷たい言葉を掛けた。歌川に説得させられ笹森も納得し堤と別の所に向かった

 

風間「三上、この区画の情報を」

三上【了解です。支援情報を視界に表示します】

風間「敵の数が多い。さっさと片付けて次に行くぞ」

「「「了解!」」」

 

風間隊がラービットとの戦闘を始めた。その頃、本部では

 

沢村「基地東部、風間隊が新型と戦闘を開始!諏訪隊は一名捕獲された模様!基地南部、東隊は一名緊急脱出(ベイルアウト)!柿崎隊と合流して新型と交戦中!南西部では茶野隊、鈴鳴第一がそれぞれ新型と遭遇しています!

新型の妨害でトリオン兵の群れを止められません!警戒区域を突破されます!」

根付「いかん!それはいかん!市民に被害が出ればボーダーの信用が・・・」

忍田「捕獲された諏訪の状態はどうだ?」

 

根付が心配そうにしていると忍田が諏訪の状態を聞いた

 

沢村「トリオン体の反応は消えていません!緊急脱出(ベイルアウト)はできないようですが・・・」

忍田「よし、諏訪は風間隊が取り戻す!」

根付「忍田本部長、すぐに部隊を回してください!このままでは街が・・・」

忍田「部隊の合流が先だ!戦力が劣った状態で敵には当てられない!迂闊に動けば新型の餌食だ!

それにトリオン兵の群れを追った先でまた新型が現れる可能性もある!南と南西には嵐山隊と非番の隊員が向かっている。交戦中の部隊は戦力に維持を最優先しろ!」

根付「し・・・しかしそれでは・・・」

城戸「戦力をここで失えばこの()が苦しくなる。私は本部長の判断を支持する」

 

 

 

 

 

 

悠「・・・戦況がすこし変化し始めたな」

太刀川「どういうことだ・・・?」

悠「もしラービットに戦力を集中すればそれで市街地にトリオン兵がながれ市民が食われる。もし、市街地を守ろうとすればその背後をラービットに食われる。戦力を散らすわけにはいかない・・・か」

太刀川「・・・なんだか、まるで」

悠「ああ・・・遊ばれているな」

 

その時、修と遊真たちの所では

 

修「流されてくるトリオン兵が増えたぞ!」

遊真「正隊員はラービットの相手か。さすがにこれ以上兵を散らせられないもんな」

悠と同じことを思っていた

 

遊真「半端に兵隊を分ければ敵の思う壺だ。ラービットに集中するのはいい判断だと思う」

修「で、でもそれじゃ・・・」

 

城戸「・・・だが、そのやり方では・・・新型に手古摺ればその間に市街地が壊滅するぞ」

忍田「わかっている。待つのはA級が合流するまでだ。新型はA級部隊が止める。

そしてB級部隊は()()()()()で市街地の防衛に向かう」

根付「全部隊・・・!?それでは・・・東・南・南西一箇所しか回れんのじゃないかね!?」

忍田「・・・いや」

 

忍田「・・・そろそろ、迅から()に出撃命令が出されるはずだ」

鬼怒田「・・・・・」

 

忍田が言うと城戸が

 

城戸「・・・万が一、A級でも新型を止められなければどうする?」

忍田「・・・・・・・・」

 

忍田は少し静かになり

 

忍田「有り得べからざることだが・・・その場合は、私が出る」

 

 

 

 

 

 

その頃、風間隊はラービットとの戦闘をしていた

 

風間「掴まれるなよ!雷撃にも注意しろ!」

歌川「了解!」

菊地原「()()()じゃないんです。捕まりっこないですよ。こんな単純な動き・・・」

そう言っているとラービットが右手を大きく上げて地面に叩きつけた。地面が砕け周りに砂塵が舞った

 

「「「!!」」」

 

ラービットは菊地原の前に来て左手で菊地原を殴り飛ばした

 

菊地原「はいはい、こっちこっち」

 

ラービットが菊地原に向けて高速で移動していると、突然耳のような部分が動き口の部分を閉じた。その瞬間に風間と歌川が切りかかっていた

 

菊地原「もー何やってんですか・・・一瞬で決めてくださいよ。せっかくぼくがおとり役になったのに・・・」

風間「隠密(ステルス)攻撃に反応されたか」

歌川「こいつも耳がレーダーっぽいですね。()よりは鈍いみたいですが」

どうやらあの耳は周りにあるトリオンを感知するもののようだ

 

風間「菊地原、装甲が厚いのはどのあたりだ?」

菊地原「特に厚いのは両腕あとは頭と背中、これ削り切るのしんどいですよ」

風間「薄い所から解体(バラ)していけばいい」

 

風間は菊地原の言った情報から次をどうするかを迅速に命令した

 

風間「まずは耳、足、それから腹だ」

 

 

 

 

「おいおい・・・もうラービットとまともに戦えるヤツが出てきたぞ」

 

そこは船の中。どこにあるかは分からない。その船の中に6人の人間と思しき者たちがいた。その中の一人の人間以外には全員頭部に()が生えていた

 

「いやはやこれは・・・玄界(ミデン)の進歩も目覚ましい・・・ということですかな」

「大したことねえよ。ラービットはまだプレーン体だろが」

「いやいや、分散の手にも掛からなかったしなかなかに手強いぞ」

 

その中にいた一番年少と思われる者が

 

「我々も出撃致しますか?ハイレイン隊長」

 

ハイレインという隊長と思われる者に訊いた

 

ハイレイン「いや、お前たちが出るのは玄界(ミデン)の戦力の()を見てからだ。慌てることはない、()はまだたくさんある」

 

彼らこそ、今回三門市に来た近界民(ネイバー)、神の国 アフトクラトルの部隊だ。

この隊長 ハイレインとその部下たちエネドラ、ランバネイン、ミラ、ヒュース、そしてヴィザだ

 

エネドラ「玄界(ミデン)の猿相手にビビりすぎなんじゃねーの?隊長さんよ」

ヒュース「口を慎めエネドラ。上官相手に無礼だぞ」

エネドラ「あ?てめーこそ誰に口利いてんだ?雑魚が」

 

エネドラとヒュースが険悪な雰囲気になろうとしていると

 

ヴィザ「ほっほいやいや、お二人にケンカされては船がもちませんな」

 

一人の老人、ヴィザが言った。見た目は人のよさそうな老人だがその雰囲気はまさに戦士そのものだった。エネドラは

 

エネドラ「・・・チッ・・・イライラするぜ!!このクソ狭めー船はもううんざりだ!なあ、オレを出せよハイレイン!玄界(ミデン)の兵なんざオレ一人で皆殺しにしてやる!」

 

エネドラがそう言うとランバネインが

 

ランバネイン「皆殺しはともかく、確かにそろそろ体を動かしたいものだな。兄・・・いや、隊長」

 

首の骨を鳴らしながら言った

 

ハイレイン「もう少し我慢しろ。すぐにお前たちの出番は来る。ミラ」

ミラ「はい。次の段階へ進みます」

 

ハイレインはまだ何かを隠していた

 

 

 

 

 

 

レプリカ【敵の数が多すぎるな。ここは退いたほうがいい】

修「でも、ここを通したら千佳たちが・・・!」

レプリカ【B級隊員は全員合流せよとの指示が出ている。一箇所ずつの各個撃破に切り替えたようだ。たしかにB級単体では新型に捕まる危険性が高い】

修「一箇所ずつ・・・!?じゃあその間ほかの場所は・・・千佳たちはどうなるんだ!?」

レプリカ【トリオン兵の排除は避難の進んでいない地区を優先するとのことだ。避難がスムーズな千佳たちは後に回されると思われる】

修「そんな・・・」

 

修とレプリカが話していると修の目の前にあるアパートの中からラービットが出てきた

 

修「新型トリオン兵・・・!?」

 

ラービットはその目を修の方に向け修に攻撃した。修は自分のトリガーをシールドにして防いだがそれでもきつかった

 

遊真「『強』印(ブースト) 五重(クインティ)!」

 

遊真が咄嗟に(ブラック)トリガーを使い修を助けた

 

修「空閑!おまえ・・・」

遊真「うお、こいつかってーな」

修「(ブラック)トリガーは使うなって言ったろ!ぼくや林藤支部長じゃ庇いきれなくなるぞ!」

遊真「けどこのままじゃチカがやばいんだろ?出し惜しみしてる場合じゃない。一気に片付けるぞ」

 

遊真はそう言って行こうとすると途中でB級の茶野隊が遊真を敵と思い攻撃してきた。だがその背後にまだラービットが倒されておらず茶野隊も捕まりそうになったがラービットが大量のトリオン弾に撃たれた

 

「目標沈黙!」

修「あ・・・嵐山さん!」

嵐山「三雲くん!無事か!?」

 

嵐山隊が追いついて間に合った

 

「あ・・・嵐山先輩!人型近界民(ネイバー)が・・・!」

嵐山「落ち着け茶野、彼は味方だ」

「味方・・・!?」

 

嵐山、木虎、時枝が降りてきた

 

遊真「どうも、助かったよときえだ先輩」

時枝「あれ?そんな格好だったっけ?」

木虎「例の(ブラック)トリガーですよ、先輩。ていうかあなたそれ、城戸司令から使用許可下りてるの?」

遊真「下りてないけど、非常時なもんで」

 

そして嵐山が本部に報告しようとすると回線がうまく繋がらなかった

 

嵐山「・・・?本部・・・!?」

【・・・砲で・・・迎撃・・・近・・・】

嵐山「・・・!?」

 

その場にいた全員が本部を見るとそこにはボーダーに突っ込むイルガーの姿があった

 

 

 

沢村「爆撃型トリオン兵接近!!」

鬼怒田「砲台全門撃ちまくれ!!」

 

ボーダー本部にイルガーが接近していた

 

沢村「一体撃墜!!もう一体が来ます!!」

忍田「衝撃に備えろ!!」

 

一体は倒したがもう一体がいて基地の衝突した。その瞬間爆発し基地が崩壊したと思ったものがいたが心配には及ばなかった

 

鬼怒田「この間の外壁ぶち抜き事件以降、装甲の強化にトリオンをつぎ込んで正解だったわい」

沢村「第二波来ます!!三体です!!」

忍田「一般隊員はシェルター室に避難!装甲の修復に限界までトリオンをまわせ!!」

鬼怒田「・・・!待て、それでは間に合わん!!」

忍田「問題ない。一体は慶が・・・あと二体は()がやってくれる」

 

次の瞬間、一体は背中の部分から十字に斬られ残りの二体は極大のトリオンの砲撃により消滅した。そこには太刀川の姿と体に黒銀の武具を纏った()の姿があった

 

鬼怒田「太刀川!!それにあやつも・・・!」

根付「おお!!」

忍田「よし、今のうちに外壁を修復し次に備えろ」

 

 

 

 

 

 

少し前、悠は迅から連絡を受けていた

 

ピピピッ悠「・・・・・迅か」

太刀川「おお、そろそろか・・・?」

 

悠は迅からの通信を受けた

 

悠「・・・・・迅」

迅【悠、そろそろ基地にあの爆撃型が来るからそれを太刀川さんと一緒に倒してくれ】

悠「そのあとは・・・?俺はどうすればいい?」

迅【悠も新型を片付けてくれ。おそらく・・・そろそろ敵が出てくる」

悠「・・・ああ。了解した」

 

そしてしばらくしているとイルガーが迫ってきて基地に一体衝突した。そして第二波で三体が基地に向かってきた

 

太刀川「おお。来た来た」

悠「どうする?俺が二体やるか・・・?」

太刀川「そうだな。頼むぜ」

 

そして悠は指輪を握りしめた

 

悠「・・・行くぞ」

 

 

 

今度は守るために戦おう

 

 

 

悠「堕天の王(ルシファー)

 

悠は自分の(ブラック)トリガーを起動した。それを見て太刀川はイルガーの方に向かった

 

太刀川「どっちが多く新型狩れるか勝負しようぜ」

悠「早く行ってこい」

 

そんな太刀川に呆れながらも悠は笑った。太刀川が旋空弧月で一体を墜とすと悠は後の二体のイルガーに対して右手をかざし

 

悠「・・・何処の誰だか知らないが、こちらの世界に土足で踏み込んだんだ」

 

悠はイルガーにトリオンの砲撃アキシオンを撃った

 

 

 

 

 

悠「楽に死ねると思うな」

 

 

 

 

 

悠はそのまま墜ちていくイルガーを見て言った 

 

 

 

 

 

 

 




今回はほとんど主人公を出せませんでした。
次からは主人公も戦うことになるのでたくさん出せます。


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14話

嵐山「基地は大丈夫だ!太刀川さんと悠くんが爆撃型を墜とした!」

修「悠が・・・!?」

 

嵐山たちは悠と太刀川がイルガーを撃墜させてすこし安心した

 

遊真「悠は当然だろうけど、タチカワさん・・・?迅さんのライバルだった弧月の人か」

修「A級1位の・・・!」

 

太刀川の実力に遊真も驚いた

 

遊真「自爆モードのイルガーを斬って墜としたのか。しかも普通のトリガーで・・・すごいな」

修「空閑から見てもやっぱりすごいのか?」

遊真「自爆モードはかなり頑丈になるからな。こないだみたく引きずり墜とすほうがまだ楽かもしれん」

木虎「・・・!!」

 

その遊真の言葉を聞いて木虎は以前自分を助けてくれたのが誰かわかった

 

木虎「・・・あの時、あれを倒したのは空閑くんだったのね」

遊真「・・・あっ」

遊真はしまったと思ったが木虎は

 

木虎「ありがとう。あなたのおかげで助かったわ」

遊真「・・・えっ?」

木虎「あなたがやってくれなければ街にさらに被害が出ていたわ。本当にありがとう」

 

そう言って木虎が礼を言うと遊真は意外そうな顔で見て

 

嵐山「・・・木虎・・・」

時枝「・・・・・」

 

彼女の先輩たちは暖かく見守った。

その後、遊真の無断での(ブラック)トリガー使用により修と遊真は修が千佳を助けに行くためその場で別れることになった。そしてアフトクラトルの船の中で

 

エネドラ「なんだ、あの出鱈目な砲撃は!」

ハイレイン「ミラ!今の攻撃は・・・?」

全員が悠の常軌を逸した力に驚愕していた

 

ミラ「はい!今の出力は(ブラック)トリガーです!しかも、普通じゃない・・・」

ヒュース「どうされますか!隊長・・・!」

ハイレイン「・・・おそらく、奴が玄界(ミデン)の最強だ。しかも、あの力は・・・」

その時、突然ヴィザが

 

ヴィザ「・・・以前、訊いたことがあります。あの極悪非道の国、奴隷国家ディリスが一人の(ブラック)トリガー使いによって滅ぼされたと」

ランバネイン「・・・あの畜生どもの国か」

ヴィザ「・・・その時、ちょうどある国がディリスに攻撃を仕掛けましたがその時戦っていた奴隷の中に13人のまるで部隊のように統率のとっていた者たちがいたとか。

その中のリーダーらしき者がその国の(ブラック)トリガー使いと戦っていた。その時にディリスは自分の国の奴隷諸共トリオンの爆撃で攻撃したと」

ヒュース「・・・なっ!」

ミラ「・・・・・っ!」

 

その話を訊きヒュースは驚きミラは顔を顰めていた

 

ヴィザ「その13人のうち12人がその爆撃に巻き込まれリーダーと思われる少年は全員を近くの森の中に連れていった。そして・・・」

ハイレイン「・・・どうなった?」

ヴィザ「・・・その少年は戻ってきたときには一人だけであったと。トリガーと思われる指輪を握りしめて。

トリガーを使った彼の姿は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と」

エネドラ「・・・・・!」

 

そのイルガーから見た悠の姿は正にそのままであった

 

ハイレイン「・・・・・」

ヴィザ「その時相対していた者はこう思ったようです。彼は『王』だと」

ランバネイン「・・・・・」

ヴィザ「・・・おそらく、同一人物でしょう」

 

ハイレインはしばし考えた。そして

 

ハイレイン「・・・少し、作戦を変更する。エネドラ、ランバネイン、ヴィザ」

ハイレインは3人の名前を呼び見回した

 

ハイレイン「お前たちはこいつを倒し()()しろ。おそらく、(ブラック)トリガーだけでは意味がないだろう。これほどの力是非とも部下にしたいところだ」

エネドラ「・・・チッ」

ランバネイン「・・・了解した。隊長どの」

ヴィザ「私も少し、この者には興味があります」

 

そしてヒュースは自分はどうすればと訊くと

 

ハイレイン「この男も是非欲しい所だが、ヒュース。おまえにも仕事はある。

我々の目的は玄界(ミデン)の占領や支配ではない」

 

その頃、風間隊は新型を倒していた

 

菊地原「嵐山隊が先に新型倒しちゃったらしいですよ。二人が慎重すぎるから・・・一対一ならともかく3人掛かりで負けるわけないのに・・・」

風間「別に競争してるわけじゃない」

菊地原「そりゃそうですけどー・・・」

 

そしてラービットの中からは立方体(キューブ)が見つかった。菊地原が無神経なことを言いながら風間は次に向かった。

その頃、迅は

 

迅「おいおい。真っ平じゃんか、天羽」

「迅さん・・・」

 

迅の目の前にいるのは天羽 月彦。本部にいるもう一人の(ブラック)トリガー使いだ

 

迅「おまえなーもうちょっと加減しろよ」

天羽「やだよめんどくさい・・・どいつもこいつもつまんない()のザコばっか。全然やる気起きないよ・・・」

迅「うんうん。余裕があっていいことだ」

天羽「なんなら、迅さんの知り合いの()とやりたいね」

迅「・・・?彼・・・?」

天羽「うん・・・最近、入ってきたあの悠?って人」

迅「あー・・・」

 

天羽は一度本部を歩いていた悠を見たことがあった

 

天羽「あんな()の人、初めて見たよ。戦ってみたいね」

迅「・・・そのうち紹介するよ。それとさ、悪いんだけどおまえ、おれの担当もやってくんない?基地の西っかわ」

天羽「ええー・・・なんで・・・?」

迅「そろそろ敵さんも本格的に動き・・・!」

天羽「・・・迅さん?」

 

迅が突然、目を見開き黙った。そして

 

迅「・・・頼んだぞ、悠・・・」

 

 

 

 

 

 

悠side

 

俺は今現在、あまり避難が進んでいないらしい基地の東部でトリオン兵を排除していた

 

悠「・・・・・・・・」

 

そこにはモールモッドやバムスターが百を軽く超え、そしてラービットが何体かいた。俺は迫ってくるモールモッドやバムスターを砲撃で一掃しラービットの攻撃をを剣で捌いていた

 

悠「フン・・・・・」

 

ラービットが一瞬の隙を見せた瞬間に俺は二体のラービットを斬った。ラービットの胸部からはトリオンの立方体(キューブ)が出てきた

 

悠「・・・・・これがそうか」

そう言って立方体(キューブ)を持ち立ち去ろうとすると後ろに大きめの(ゲート)が現れた。そして中から

 

「・・・チッ、バケモンだな・・・」

「はっはっは、確かにな」

「ほっほ、いやはやとてつもない」

 

そこから、3人の人間が出てきた・・・出てきたか

 

悠「・・・・・」

 

俺は出てきた敵を観察した。頭に角が生えた人間が二人、そして一人だけ明らかにレベルが違う戦士の雰囲気を纏った老人が一人・・・か

 

悠「・・・こちら悠。本部、聞こえるか・・・」

忍田【こちら忍田だ。どうした?】

悠「目の前に人型3人だ。奴らのうち2人の頭に角が生えている」

忍田【なっ!ということは・・・】

悠「ああ、間違いなく敵は『アフトクラトル』だ。迅から聞いていると思うが俺の所には救援は送るな。その分、周りの被害が出ているところに送れ」

忍田【・・・わかった】

 

俺はそう言って通信を切った。そして右手に黄金の剣を持った

 

「・・・ほう?」

「これは、簡単にはいきそうにないな・・・」

「・・・・・」

 

角の生えた偉丈夫の男と不機嫌そうな男が退がり、杖を持った老人と対峙した

 

「・・・あなたは私の事を知らないと思うが、私は・・・あなたの事を知っていますよ」

悠「・・・・・」

「出来ることなら・・・あなたとは穏便に済ませたい。こちらに来ませんか・・・?」

悠「・・・・・・フッ」

 

俺は、奴らに向けてトリオンの砲撃を浴びせる。何を言うかと思えば

 

悠「心底どうでもいいな。お前たちはこの街に手を出した。生きて帰れると思うなよ」

 

俺は奴らを否定し、その存在を拒絶する

 

「・・・さすがに、そう簡単にはいかないか」

「チッ・・・なら、力尽くで連れて行くだけだろうが・・・」

「そのようですな。エネドラ殿、ランバネイン殿。援護をお願いします」

「しょうがねえなぁ・・・」

「ヴィザ翁の邪魔をするわけにはいかないからな」

 

そしてヴィザと呼ばれた老人が俺に向かい合った

 

ヴィザ「・・・あなたの考えはわかりました。しかし、こちらも任務ですので、負けてもらいます」

悠「・・・やってみろ」

 

そして、その瞬間世界が斬り刻まれた

 

 

 

 

ヴィザ「・・・『星の杖(オルガノン)』」

 

 

 

 

 

 

 

悠が3人の人型近界民(ネイバー)と戦闘を開始し始めたころ修は木虎と共にC級隊員の援護に向かっていた

 

修「そこらじゅうトリオン兵だらけだ・・・!」

木虎「この数、4年半前の第一次侵攻を超えてるわね」

修と木虎が少しでも早く向かっているとレプリカが修の隊服の中から出てきた

 

レプリカ【今報告があった。悠が3人の敵と戦闘を開始したそうだ。敵の正体は『アフトクラトル』の様だ】

木虎「・・・!悠くんが・・・!」

修「『アフトクラトル』・・・!」

 

木虎はともかく、修はあの時の会議で聞いていた。敵の確認するものを

曰く、アフトクラトルの最大の特徴は頭に角があるところだ。その角により本来存在するトリオン能力を向上させるものだと

 

レプリカ【一つ、腑に落ちないところがある。()()()の世界にこれだけの戦力をつぎ込むのは謎だ】

修「どういうことだ?」

レプリカ【攻めて来ているのがアフトクラトルというのはわかった。今、先程のラービットを解析してみたが、あの一体に相当な量のトリオンが使われていた。他のトリオン兵も併せれば莫大な費用(コスト)だ。

これほどのトリオンを()()()の世界に投入すれば『本国』の備えが手薄になる通常は避けるべきことだ。

しかもその『本国』を手薄にしてまでつぎ込んだ戦力を集中せずわざわざ分散して使っている。運用の意図が読めない】

木虎「敵の狙いならもうわかっているわ」

 

木虎は続けた

 

木虎「敵の分散にこっちが対応するのを待って、バラけたところを新型で捕獲でしょ?即戦力になるトリガー使いを攫うのが目的よ。

だから忍田本部長がバラけたB級を合流させたんじゃない」

レプリカ【たしかにその可能性もある。しかしボーダーには緊急脱出(ベイルアウト)がある。『捕えられる前に緊急脱出(ベイルアウト)を徹底すれば極端な話、被害はゼロに抑えられる。

ラッドの調査を経て満を持して攻めてきた敵がそんな簡単なことを見落とすだろうか?四方へのトリオン兵の分散進攻、ラービットによる隊員の捕獲、本部基地への爆撃、それらの陰に・・・

敵の真の目的が隠されている気がする】

 

レプリカがそんな考察をしている頃、悠は敵の老人の不可視の斬撃を間一髪で避けていた

 

悠「・・・・・っ!」

ヴィザ「・・・!・・・ほう」

エネドラ「なっ!?・・・」

ランバネイン「・・・ヴィザ翁の星の杖(オルガノン)を初見で避けた・・・!」

 

悠は一度退がった。悠は今までの生身での戦闘を経て尋常ではない五感を身に付け、周りの空気の振動や風の変化を感じ間一髪で避けていた

 

悠(・・・・・とてつもないな。一体、どんなトリガーだ?)

 

彼らの周り一帯にあったはずの建物がすべて斬り刻まれ崩れ落ちた

 

悠(・・・威力を考えれば(ブラック)トリガーなのは間違いない。一瞬にして自身の周りを斬り刻んだ。形状は刃だろうがどのような動きだ・・・?)

 

悠が考えていると、次の瞬間地面から微かに何かが迫る音が聞こえ悠はその場から跳躍し地面から出てきた黒いトリオンの刃を避けた

 

エネドラ「チッ・・・!」

悠は跳躍するとそこに大量のトリオンの砲撃が飛んできた。悠は左手で(シールド)を造り、その攻撃を防いでいると下にいたヴィザも跳躍し手元にある仕込み杖で悠に斬りかかる

 

悠「・・・くっ」

ヴィザ「・・・凄まじいですな。この3人の攻撃を凌ぐとは・・・しかし」

 

悠は右手に持つ剣で、ヴィザは仕込み杖で神速の如き速さで斬りあっていたが

 

ヴィザ「剣の腕ではこちらが一枚上手のようだ」

悠「チッ・・・!」

 

ヴィザの攻撃が悠のトリオン体を致命傷には至らないが傷をつけた。悠は一度地面に降り、体制を立て直す

 

悠「・・・・・っ!」

悠は高速でヴィザの後ろにいるエネドラとランバネインの元に移動し二人に斬りかかった

 

ランバネイン「・・・・・っ!」

エネドラ「・・・・クソッ!」

 

だが、ランバネインは宙に飛び、エネドラは斬ったが手ごたえが無く見てみると斬れた筈の体が黒くそのまま戻った

 

悠(あの偉丈夫の男は射撃タイプのトリガーだろう。そして、おそらくこっちの男もあの老人と同じ(ブラック)トリガーか)

 

悠はいち早く二人のトリガーを想定した

 

悠(飛べる上にその射撃の一発一発が大きいな。そして、この(ブラック)トリガーは刃を液体化し攻撃するものか・・・いや)

 

悠はそこまで考えそれが違うと確信した

 

悠(さっきから漂っているこの空気・・・なるほど。奴の(ブラック)トリガーの能力はトリオン体を液体、個体、そして()()に変形させる能力か・・・)

 

そこまで考え悠はこの敵を倒すか考えた

 

悠(一番危険なのはやはりあの老人だが、この2人を殺さないことには奴を殺るのも難しいか)

 

そう考え悠はエネドラにトリオンの砲撃を浴びせた。その巨大な砲撃にエネドラは回避しようとしたが回避しきれず左腕の部分の()()()()()が破壊された

 

エネドラ「・・・!!クソがっ・・・!!」

悠「・・・なるほど」

 

悠は僅かにあった手ごたえから奴の中にコアがあることがわかった。そして飛んでいるランバネインの元に急接近してランバネインの右足と羽の部分を斬り落とし、ランバネインを左手で殴り地面に叩き落とした

 

悠「・・・フンッ!」

ランバネイン「ぐっ・・・!」

地面に落ちたランバネインにそのまま剣を突き立てようとするとヴィザがその攻撃を防ぎ悠を遠くに吹き飛ばした

 

悠「チッ・・・!」

ヴィザ「大丈夫ですかな、ランバネイン殿・・・」

ランバネイン「助かりました、ヴィザ翁」

エネドラ「・・・・・っ!!」

 

悠は体制を立て直し敵の姿を捉える

 

悠(あの男の(ブラック)トリガーの仕組みはわかった。一見、無敵に見えるが体の中に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という感じだな。あの男に関しては射撃型トリガーと高性能のシールドで戦っているようだな)

 

そして悠は老人 ヴィザの姿を捉えて

 

悠(達人級の剣の腕、そして不可視の斬撃)

 

悠はこの手強い相手に思わず笑った

 

悠「フッ・・・一筋縄ではいきそうにないな・・・」

 

そして、悠が3人の近界民(ネイバー)と戦っている頃、他の場所ではそれぞれの戦闘が行われていた

 

歌川「風間さん。このさっきからくる振動やあの砲撃は・・・」

風間「ああ、悠が近くで戦っているらしい。人型3体とらしい」

菊地原「・・・ぼくたちは行かなくていいんですか?いくらあいつでも3体相手じゃあ・・・」

風間「いや、迅が悠が『戦ってくれている間に少しでも多くトリオン兵を減らしてくれ』だそうだ。ここのトリオン兵を全て排除したら行こう」

歌川・菊地原「「了解」」

 

また、別の所では

 

荒船「東さん・・・!こっちは終わりました!」

東「よし、次の所に行こう・・・!」

那須「・・・!熊ちゃん・・・!?」

熊谷「ありがとう、玲・・・!」

 

忍田の指示通り修を除くB級の全員が合同でトリオン兵の排除を行っていた

 

「帯島ァ!もっと気合いれろやァ・・・!」

「はいっス!」

 

「王子、こっちは終わったぞ・・・」

「OK。クラウチ、カシオ、次に行こう」

 

B級の中にも確かな実力者は大勢いるのでその全員が合流して戦えばそこらへんのトリオン兵では歯が立たない

 

那須「・・・・・・」

熊谷「・・・・・玲?」

那須「・・・!なっなに・・・?」

熊谷「大丈夫だよ・・・()は強いよ。もしここにいたら『自分の事に集中しろ』とか言われるよ」

那須「・・・そうだね」

 

そして、次のポイントに移動した。その頃修と木虎はC級の所にたどり着き修はモールモッドと、木虎はラービットと戦っていた

修は今までの自分なら決して勝てなかったモールモッドに単独で勝ち、木虎の所に向かうと

 

修「・・・!?これは・・・!?」

 

木虎は無数に張ったトリオンの鋼糸で高速で動き回りながらラービットに銃弾を浴びせていた

 

「なんだ、あの動き・・・」

「すげえ・・・」

夏目「トリオン兵ぼっこぼこじゃん。やっぱA級はバケモンだわ」

修「速い・・・!」

レプリカ【援護する隙がないな】

 

修に気づいた千佳と夏目が近づいてきた

 

千佳「修くん!」

夏目「メガネ先輩」

修「千佳!夏目さん!危ないぞ!みんなと一緒に避難しろ!」

夏目「でもなんかもう勝てそうじゃないっすか?嵐山隊のヒト強いっすよ?」

修「たしかに木虎は強い。でも相手は初めて戦う(タイプ)だ。何をしてくるかわからないぞ」

 

修がそう言った瞬間、木虎の攻撃を受けていたラービットが突然上に飛んだ

 

木虎「!!」

「!?」

「飛んだぁ!?」

木虎(上を取られた・・・!)

 

ラービットは木虎に攻撃すると思いきや首の方向を変えて木虎の後方の市民が逃げているところに砲撃した

 

木虎「な・・・」

修「無差別攻撃!?」

レプリカ【住民を救援しに行った方がいいな】

木虎「こいつ・・・!!おまえの相手は私よ!!」

 

そう言い木虎は飛んでいるラービットに向かうとラービットはまるで待っていたかのように木虎に猛突進してきた

 

修「・・・!木虎・・!!」

 

このままでは木虎がラービットにやられると修は思った・・・が、木虎はそのラービットの行動にくすりと笑い

 

木虎「・・・かかったわね」

 

ラービットが突進してくるその先にトリオンを多めにして造った見えにくい鋼糸でラービットは体制を崩し木虎はそのラービットの横を通り過ぎて鋼糸で半回転し体制を崩したラービットに接近しブレードで目を斬った

 

『お前は自分の務めを果たしたんだ。それを誇っていいんだ』

 

木虎「私はもう負けるわけにはいかないの。そして侮りもしないわ。決してね・・・」

 

そして、木虎はラービットを単体で倒した

 

「うおおお!!倒した!?」

「すげえ!!」

修「・・・すごい」

修(これが、木虎の・・・A級の力・・・)

 

そして、その光景をまた違う者たちも見ていた

 

ミラ「目標確認。雛鳥の群れです。住民の避難にあたっていた模様」

ハイレイン「なるほど。()を叩いても出てこないわけか。ヒュース」

ヒュース「はい」

 

そして、ハイレインは動き始める

 

ハイレイン「おまえも出てくれ。雛鳥を捕まえよう」

 

そして木虎、修、C級隊員のいるところにラービットが新たに5体追加された

 

木虎「!まさか・・・」

修「新型が5体!?」

木虎「全員、逃げなさい!!こいつらの狙いはC級隊員よ・・・!」

 

次の瞬間、中央にいたラービットが手を液体の刃に変えて木虎に襲い掛かった

 

木虎「・・・!?」

 

木虎は躱したが左手が斬り落とされた

 

修「・・・!木虎!!」

木虎「三雲くん・・・!!C級を連れて逃げなさい!?」

修「・・・でも!!」

木虎「早くしなさい!!」

修「・・・!わかった・・・!?」

 

木虎の気迫に押され修は千佳たちC級隊員を連れてその場から離れた。木虎は逃げていくC級隊員を見て目の前のラービット5体に集中した

 

木虎(・・・逃げてとは言ったものの、正直この数相手に一人はキツイ・・・けど)

 

木虎は右手のブレードを握り直し

 

木虎「・・・逃げる理由にはならないわ」

 

そうして、ラービットが木虎に向けて殴りかかった。木虎は反撃しようとすると横からいきなり何かが飛んできて3体のラービットを吹き飛ばした

 

木虎「・・・えっ?」

「ふー、大丈夫?木虎ちゃん・・・」

そして現れたのは

 

木虎「こっ小南先輩!それに・・・烏丸先輩も・・・!!」

烏丸「大丈夫か、木虎?」

木虎「はっはい・・・ありがとうございます・・・」

 

そして小南、烏丸、木崎、そして木虎が並んだ。

 

小南「出てきたわね・・・」

烏丸「どうしますか、こいつら?」

木崎「木虎、京介。お前はこのまま修たちを追ってくれ。小南、俺たちはこの新型をやる」

小南「フフッ・・・余裕ね」

烏丸「わかりました」

木虎「了解」

 

そして木虎と烏丸は修たちの所に走り小南と木崎はラービットの相手をした。その頃、修は本部に連絡した

 

修「忍田本部長!現在新型数体と戦闘中!敵はまだ増える可能性があります!狙いはC級隊員です!」

 

それを訊いた忍田は

 

忍田「状況はほぼ把握した。東部と南部にも色違いの新型が出現している。大丈夫だ三雲くん。()()()()()()()()()がもうすでにそちらに到着しているはずだ」

修「ボーダー最強の部隊・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

ヴィザ「・・・本当に・・・素晴らしい力です」

ランバネイン「・・・ククッ、とてつもない・・・」

エネドラ「・・・チッ、クソが・・・」

 

3人のアフトクラトルの戦士はヴィザは体の所々を斬られトリオンが漏出し、エネドラは左手と体を、ランバネインは右足と左手首を斬り落とされていた。そしてその目の前には

 

ヴィザ「・・・ですが、私たちも負けるわけにはいきませんので・・・」

悠「・・・・・・・」

 

 

 

体を斬り刻まれそこかしこからトリオンが漏れ出ている、剣を地面に突き立て体を支えている悠の姿があった



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15話

C級隊員と一緒に避難している修は後ろから誰かが近づいてくる音に気付いた。見てみるとそこには木虎と自分の師匠の烏丸がいた

 

修「・・・!木虎と烏丸先輩・・・!」

木虎「無事なようね・・・」

烏丸「大丈夫か、修?」

修「はい・・・!」

 

修はボーダー最強の部隊が来ていると言っていたのが玉狛の人たちだと理解した

 

修「あの新型は・・・!」

烏丸「心配ない。小南先輩とレイジさんが相手をしてくれている」

修「・・・わかりました」

 

修は小南先輩とレイジさんならば心配ないと何故か安心した。すると木虎と烏丸が来た方向に不自然なタイミングで(ゲート)が出現した

 

修「・・・!(ゲート)!」

 

(ゲート)の中から出てきたのは修や木虎と同じくらいの年であろう頭に『角』の生えた少年が出てきた

 

修「・・・!頭に、角・・・」

烏丸「・・・あれがそうか」

木虎「・・・・・っ!」

 

木虎と烏丸が戦闘態勢に入った

 

ヒュース「これより雛鳥を捕まえます」

 

そして戦闘が開始されようとした瞬間

 

「京介!木虎!待ってくれ・・・!!」

 

突然、上空から声が聞こえ修たちがそっちを見てみるとそこには

 

迅「こいつの相手はおれがやるよ」

修「迅さん・・・!!」

迅「おまえたちはこのままC級を避難させてくれ」

烏丸「・・・なにか、あるんスね・・・」

迅「ああ」

 

烏丸は少し考えたが、迅を信じ

 

烏丸「わかりました。ここは頼みます・・・」

迅「ああ、任せてくれ」

烏丸「修、木虎、行くぞ・・・!」

修「はっはい・・・!!」

 

そして修たちがC級と逃げてヒュースが追いかけようとすると迅が後ろに防御用トリガー『エスクード』を出して道を塞いだ

 

ヒュース「・・・・・っ!?」

迅「悪いけど、これ以上は行かせないし、もうこれ以上は行けないよ。

・・・おれの副作用(サイドエフェクト)がそう言ってる」

ヒュース「・・・・・?」

 

そして、迅とヒュースの戦闘が始まろうとしていた。アフトクラトルの遠征艇の中では

 

ミラ「隊長、ヒュースが玄界(ミデン)の戦士に道を塞がれました。いかがされますか?」

ハイレイン「・・・いや、問題ない。もう少しでこっちの戦闘が終わるだろう」

 

そうしてハイレインの前に映し出された映像にはエネドラ、ランバネイン、ヴィザの前に剣で体を支えている悠の姿があった。

その頃、ボーダー本部基地付近の南東部では鈴鳴第一の村上が3体のラービットの相手をしていた。村上のトリオン体は右腕が無く体のあちこちからトリオンが漏れ出ている満身創痍の姿だった

 

村上(色がつくと攻撃方法が変化するのか。さすがに3匹はしんどいな。だが)

 

村上は先日の悠との戦闘を思い出した

 

村上(あいつほど強くは無い・・・!)

 

そうして向かってくるラービットの一体の攻撃を躱し股下からレイガストをブレードモードにし真っ二つにした

 

村上「よし・・・・・ぐっ!!」

 

だが、次の瞬間、別のラービットに吹っ飛ばされた。村上は態勢を整えたがさすがにもう限界が近かった

 

村上「・・・ここまでか」

 

そう思った、次の瞬間聞き覚えのある声が聞こえてきた

 

「よう、村上。悠との勝負で何かつかめたのか・・・?」

村上「!?」

「俺、忍田さんにこいつら斬ってこいって言われてんだ。()()()()いいか」

村上「・・・どうぞ。太刀川さん」

 

その男は二ヤっと少し笑い腰に携えた弧月に手を添えた

 

太刀川「旋空弧月

 

弧月専用オプショントリガー『旋空』を使い残りの2体を真っ二つにした

 

太刀川「国近、新型撃破数ランキングはどうなってる?」

国近【嵐山さん3体、風間さん3体、小南2体、B級合同2体、木虎2体、ミクモ?1体、あっあと悠くんは2体倒してるね!太刀川さんは今の3体でトップタイだね】

太刀川「まあ、悠は今人型3人とやってるみたいだからな。新型やってる暇ないみたいだな」

国近【・・・悠くん、大丈夫だよね・・・?】

太刀川「・・・なんとも言えねえな。迅が言ってたが敵の最強も悠についてるみたいだしな」

国近【・・・・・・・】

太刀川「まあ、あいつなら大丈夫だろ。それにもし本当にヤバかったら俺たちが助ければいいさ」

国近【・・・!うん!そうだね・・・!!】

太刀川「あ。あと俺のから2匹村上につけとけ。けっこうダメージはいってた」

国近【了解!】

 

国近との通信を切った太刀川が村上の方を見た

 

太刀川「悠になにか刺激を受けたか・・・?」

村上「・・・そうですね。そうかもしれません・・・」

太刀川「・・・フッ。そうか」

 

そして太刀川は村上に訊いた

 

太刀川「さて、次はどこに行きゃいいんだ?」

村上「ご存じの通り、彼が3人の人型と戦闘中です」

太刀川「うーん・・・その戦いに関しては迅に『悠に任せてほしい』って言われてるし、今回の指揮官は俺じゃないからな」

 

そして、その太刀川の通信に忍田がかけてくる

 

忍田「慶は東部地区に向かえ。風間隊と悠が先にいる。風間隊と共にトリオン兵を排除しろ。もし、悠が危ない時は迷わず助けろ」

太刀川「太刀川了解。村上、まだ戦えるな」

村上「はい、もちろん」

太刀川「おまえも基地南部のB級合同に合流してまた斬ってこい」

村上「了解」

 

そうして、村上は他のB級がいる基地南部に、太刀川は風間隊と悠がいる東部に向かった。

すこし前にその南西部には嵐山隊と遊真もいた。そこに迅が現れた

 

迅「おー、頑張ってるな遊真」

遊真「迅さん」

嵐山「迅!おまえ西部地区の担当だったんじゃないのか?」

迅「むこうは天羽に頼んできた」

 

そして迅は遊真の頭に手を置いた

 

迅「遊真。悪いんだけど俺と一緒にメガネくんたちの救援に行ってくれ」

遊真「・・・?でも、さっきダメってキドさんに言われたよ?」

迅「それについても許可は取ったよ。悪いけど嵐山、こいつ借りるよ」

嵐山「別に構わないが、何かあるのか?」

 

迅は少し言いずらそうにしていた

 

迅「・・・実は敵さんがまだ残ってて、もしかしたら少し危ないかもしれない」

遊真「・・・『最悪』の未来ってこと?」

迅「ああ。以前は『最悪』の未来で千佳ちゃんが攫われる未来やメガネくんが死ぬ未来があったんだ」

遊真「・・・!」

嵐山「三雲くんが!!」

迅「ああ。でも、悠がボーダーに入ってくれてその未来がなくなったんだ。・・・でも」

遊真「・・・でも?」

 

そして迅は新しくできた『最悪』の未来を話した

 

迅「『最悪』の場合、悠が敵に連れ去られる」

遊真「・・・・・悠が?」

嵐山「・・・!!」

迅「その未来を変えるためにも俺たちも動く必要がある」

遊真「・・・わかった」

嵐山「了解した!彼を頼む・・・!」

迅「ああ」

 

そして基地南部ではB級合同部隊が戦闘を続けていた

 

二宮「犬飼、辻、次に行くぞ」

「「了解」」

 

影浦「おい、ゾエ!もう少しちゃんと狙ええ!」

「いやいや、ゾエさんちゃんと狙ってるよ」

 

そうして戦っているとその付近では出水、米屋、緑川が戦って次に玉狛の救援に行こうとしていた

 

出水「よし!さっさと玉狛の救援行くぞ!」

米屋「OK」

緑川「了解!」

 

そして迅は敵のヒュースと戦い遊真は修たちの周りを陰ながらトリオン兵を狩っていた。出水、米屋、緑川は玉狛の救援に。そして

 

ヴィザ「さて、我々の元に来てもらいましょう」

悠「・・・・・」

 

未来の分岐点に差し掛かろうとしていた

 

 

 

 

 

 

 

悠side

 

ヴィザ「さて、我々の元に来てもらいましょう」

悠「・・・・・」

 

俺は目の前の存在を確認する。満身創痍な二人の男に体に傷を負った老人

 

悠「・・・・フッ」

 

情けないな。あれだけ迅に勝てばいいなどと言っておきながらこのざまか・・・だが、負けられん。決して

 

悠「・・・・・」

ヴィザ「・・・・・・」

エネドラ「・・・チッ、まだ立ちやがる」

ランバネイン「さすがに驚きだな・・・」

 

俺は自分の足で立ち右手に黄色い剣を、左手に朱い剣を持ち奴らと向き合う

 

ヴィザ「隊長殿が『最悪、この男だけでも必ず捕獲する』と言っておりました。この者が部下になれば領有権は私のものになり得ると」

エネドラ「・・・・・」 

ランバネイン「ならば、やるしかありませんな」

そして奴らは己の武器を構えこちらを見た

 

悠「・・・・・っ!」

 

俺は奴らよりも先に動いた。老人の懐に入り自分の剣で老人に斬りかかる。老人 ヴィザは持っている仕込み杖で攻撃を防ぎ地面からエネドラの液体化したブレードが出てきた

 

悠「・・・チッ」

ランバネイン「・・・これで、どうだ!」

 

俺はギリギリ躱したが射撃の男 ランバネインはいつの間にか飛んで俺にトリオン弾の雨を浴びせてきた。俺は(シールド)で防いだがその隙にヴィザが俺にあの不可視の斬撃で攻撃してきた。俺は避けきれず所々トリオンが漏れる

 

悠(・・・!おそらく、あれは・・・)

 

さっきからこの攻撃を受けていた俺は理解した。奴の(ブラック)トリガーの力に・・・

 

悠(こいつはおそらく『奴を中心に同心円状に複数の円を広げてその円周上を超高速の刃が通る』能力だろう」

 

こいつの能力は自身の周りを走る超高速の刃、一見シンプル、それゆえに最凶ということか

 

エネドラ「・・・オラァ!」

悠「・・・・・!」

 

エネドラの液体化のブレード攻撃とランバネインの高威力の射撃が俺の機動力を奪い、そのうちにヴィザが俺に斬りかかる。ヴィザは俺に話しかけてきた

 

ヴィザ「奴隷国家ディリス」

悠「・・・っ!おまえ・・・」

ヴィザ「やはり知っている。あの国を滅ぼしたのはあなたですね」

悠「・・・・・」

 

悠は二人の攻撃を避けながらもヴィザとの斬りあいを続ける

 

ヴィザ「あの国は我々の国からも奴隷として連れ去っていったことがある」

悠「・・・だからなんだ」

ヴィザ「連れ去られたのは黄金の髪を持つ少年と白銀の髪を持つ少女でした」

悠「・・・・・えっ」

 

・・・何を、言っているんだ・・・?何故、二人の事を・・・?俺は一瞬、何を言っているのか分からなかった

 

ヴィザ「・・・どうやら、知っているようですね」

悠「・・・・・あいつらが、アフトクラトルの・・・」

ヴィザ「・・・はい。ウソ偽りなく・・・」

悠「・・・・・」

ヴィザ「・・・その、(ブラック)トリガーの中にはその二人もいるのですね」

 

ヴィザが何か言っているが俺は混乱していた。あいつらが・・・アフトクラトルの。それじゃあ、俺は・・・

俺はヴィザから離れ放心していた

 

ヴィザ「・・・こちらに来てください。ここは貴方のいる所ではない」

悠「・・・・・」

 

・・・そうなのか?俺は、ここに・・・いるべきではないのか・・・

 

 

悠「・・・・・?ここは・・・どこだ?」

 

俺は戦いの最中だというのに呆然としてしまって気づくと自分以外何もない真っ暗闇の空間にいた

 

悠「・・・・・俺は」

俺はこの街に・・・玄界(ミデン)にいてはいけないのか・・・そう思っていると、背後から

 

「そんなに悩んでいるところ、初めて見るよ」

「悠らしくないわね」

 

そんな絶対聞こえるはずがない自分にとって忘れられない大切な存在の声が聞こえてきた・・・そんな、まさか

俺は恐る恐る後ろを振り返る。そこには

 

悠「・・・なんで・・・どうして」

「どうしたんだい、悠?」

「そんなオバケでも見たような顔をして」

悠「おまえら・・・」

 

先ほどヴィザとの話でも出てきた二人がいた。それだけじゃない

 

「大丈夫、悠・・・?」

「かはは、らしくねえなぁ!」

「ほんとにね・・・」

「意外な一面、見ちゃったな」

「くくく、なんだよその面、らしくねえぜ」

「やれやれ、やはりまだお前は子供という事か・・・」

「フフッ、みたいね」

「悠ってこどもなんだー」

「なんだー」

「・・・大丈夫か?」

 

全員がいた。俺は訳が分からなかった。けど、一つだけ

 

悠「・・・・・」

「・・・?ホントにどうしたんだい?いきなり頬を触って」

「フフッ、少しくすぐったいわ」

 

こいつらは今確かに、俺の目の前にいた。俺は感極まって二人に抱き着いた

 

「おっと。悠・・・?」

「どうしたの?いきなり・・・」

悠「おまえら!おまえら・・・!!」

 

俺は情けなくも耐え切れず泣いてしまっていた。そしたら二人がやれやれと言った感じで俺の頭を撫でてくれた

 

「ははっ、以前とは逆だね」

「前は悠がわたしたちの頭を撫でてくれたもんね。そのお返し・・・」

 

そしてそれに呼応するようにその場にいた全員が俺の頭を撫でてくれた。

俺たちはしばらく話をしていた。あれからの話やこの玄界(ミデン)に来てからの話。みんな興味深そうに聞いていた。どうやら、俺のあれからの旅をこいつらも見ていたらしい。俺は玲や国近の頭を撫でた事を何故か女性陣に怒られ、男性陣に笑われた

 

悠「・・・俺は、こっちの世界に居ちゃいけないのか」

「・・・・・」

「・・・それは」

悠「あの老人、ヴィザに訊いた。お前たちはアフトクラトルから連れ去られたと」

「・・・うん。そうだよ」

 

俺はどうしたらいいのか分からなくなっていた。そうして俺が悩んでいると

 

「・・・てい」

悠「・・・あだっ」

 

俺はデコピンされていた。どうしたんだと見てみると、そいつは怒っているような顔をしていた

 

「悠はこっちの世界でも守りたい存在がいるんだろう」

悠「・・・ああ」

「それなら、迷わないで」

悠「・・・・・」

 

そして続けた

 

「悠。君は僕たちの『王』だ。僕たちの『王』はそんな簡単なことで悩んでなかったよ」

悠「簡単な事・・・?」

「あなたは自分が酷い人だと思っているかもしれないけどそんな訳ないじゃない。

あなたはわたしたちを守ってくれた。これまでも。これからも。」

悠「・・・・・」

「君に守りたいものが出来たのなら僕たちも守りたい。僕たちはみんな、いつも君の傍にいる」

 

そう言ってみんなが俺を見た

 

「「大切なものを守るために、僕(わたし)たちと一緒に戦おう」」

 

そしてみんなが手を一つに重ねて俺を見た。

・・・そうだな

 

悠「・・・ああ。そうだな」

 

俺もこいつらと手を重ねる・・・とても、暖かい

 

悠「おまえら、頼む。力を貸してくれ。あいつらを守るために」

 

あいつらは俺の言葉に微笑んでいった

 

 

 

 

 

悠「・・・・・・・」

 

悠が放心状態となり下を向きその場で止まってしまった

 

ランバネイン「ヴィザ翁・・・これは・・・」

エネドラ「どうしちまったんだ・・・?」

ヴィザ「・・・・・」

 

ヴィザは黙ってそのまま悠を見続けていた。すると

 

悠「・・・行こう、おまえら」

 

悠はそう呟いた。そして悠の周りを漆黒のトリオンが覆った

 

エネドラ「・・・・っ!」

ランバネイン「これは・・・!」

ヴィザ「・・・・・」

 

悠を囲む漆黒のトリオンは彼らが肌で感じれるほど濃密なトリオンだった。そしてトリオンは徐々に姿を変え、まるで翼のようになり悠の姿が中から現れた

 

ヴィザ「・・・あれは」

 

漆黒の十二枚羽に彼の後ろから青黒いトリオンが出て彼の周りにまるでペンデュラムのようなものが8個、そして朱い二つの剣と黄金の剣を携えた。そしてさっきまで黒かった髪が()()に変色していた。その姿は

 

エネドラ「・・・悪魔」

ランバネイン「・・・・・なん、という」

悠「・・・神の国、と言ったか」

ヴィザ「・・・・・!」

悠「お前たちが神を名乗るのなら、俺はお前たちを否定し、拒絶しよう」

 

今、ここに終末を齎す存在が顕現した

 

 

 

 

 

 

 

悠「神は堕ちる。お前たちに終末を齎そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




申し訳ありません。今回は少し短いです。
ついに悠が漆黒の12枚羽を携え次は戦わせたいです。
原作基準といったのですが結構オリジナルが入ってしまいました。原作より早めに終わると思います。
少し次の更新に長引きそうです。これからも読んでくれると嬉しいです。


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16話

沢村「・・・なに、これ・・・」

忍田「・・・どうした!沢村君・・・!」

沢村「これを・・・」

忍田「・・・?・・・っ!?なんだ、これは・・・!!」

 

ボーダー本部の指令室で忍田たち幹部はとんでもないものを見た。ボーダー基地の東部にて異常な反応が現れた

 

鬼怒田「なんじゃ、これは!?」

根付「・・・・・・」

ボーダー東部に突如としてとてつもないトリオンが検出されたのだ

 

城戸「・・・・・やつか・・・」

 

そしてそのトリオンはアフトクラトルの船の中でも

 

ミラ「隊長!これを・・・!!」

 

そしてミラはハイレインにその異常なトリオン反応を見せた

 

ハイレイン「・・・っ!?こんなことが・・・!!」

 

ハイレインはヴィザたちが戦っている映像を見るとそこには・・・黒き十二枚羽を携えた悠の姿が映っていた

 

ヴィザ【・・・ハイレイン殿。こちら、ヴィザです・・・】

ハイレイン「・・・・・っ!」

ヴィザ【どうやら、あれが彼の本当の姿のようです・・・】

ハイレイン「・・・・・・」

 

その頃、南東部で修たちとC級を逃がした迅はヒュースと戦っていた。ヒュースは謎の黒いトリオンで迅に攻撃していた

 

迅「・・・・・・っ!?」

迅はヒュースと戦いながら新たに未来が見えた。その未来は思いもよらなかったものであった

 

迅「・・・!」

ヒュース「・・・・・?」

 

迅は一度ヒュースから距離を取り頭の整理をした

 

迅(・・・まさか・・・そんなことがあるのか・・・?)

ヒュース「・・・・・」

 

迅は考えてきたがヒュースにはそんなことは関係ない。間髪入れず迅に攻撃を続ける

 

迅「・・・・・っ!!」

 

迅もそれに気づきヒュースの攻撃に対応する

 

迅(未来は間違いなくいい方向に向かってる!今は目の前のこいつをおれに()()()にさせる・・・!)

 

そして迅は願う。この未来を実現させてほしい・・・と

 

迅(頼んだぞ・・・悠)

 

そして、その悠のところでは・・・

 

悠「神は堕ちる。お前たちに終末を齎そう」

世界を終わらせるほどの力が動いた

 

 

 

 

 

 

エネドラ「こんなの・・・どうすりゃ、いいんだよ・・・」

ランバネイン「・・・・・くっ・・!」

ヴィザ「・・・・・」

 

エネドラ、ランバネイン、ヴィザは目の前の存在にどうすればいいのか分からなかった。呆然とするしかなかった

 

悠「・・・・・・」

 

悠は目の前の存在をジッと見つめていた。彼の姿は変容していた。

彼の背中に生えた漆黒の十二枚羽、彼の背後から出ている青黒いトリオン、腰回りに静かに浮いている8個のペンデュラム、そして彼の目の前にある二つの朱い剣と一本の黄色い剣。

それは正に『堕天の王』の名にふさわしい姿であった

 

エネドラ「・・・・・っ!」

ランバネイン「どうされますか、ヴィザ翁・・・?」

ヴィザ「・・・・・」

 

3人とも動けなかったが、エネドラは何に怒りを抱いたのか、突然

 

エネドラ「・・・・クソがーー!!?」

ランバネイン「・・・!エネドラ・・・!!」

 

エネドラは突然、悠に向かい高速で動いた。そして悠の目の前に移動して自身の体から液体化するブレードを出し攻撃した・・・だが

 

エネドラ「おれが玄界(ミデン)の猿なんざに・・・!」

悠「・・・・・フン」

エネドラ「・・・・・っ!?」

悠にとってそんな攻撃は無意味だった。悠は自身の周りに展開させているとてつもない硬度のシールドでエネドラのブレード攻撃を無効化した。そしてエネドラを弾き飛ばすと上空からランバネインの砲撃が悠の元に降り注いだが

 

悠「突然の衝動的攻撃をいち早く理解してそれに合わせた死角からの砲撃か」

エネドラ「・・・・・!?」

ランバネイン「・・・くっ!」

 

悠は上空に飛んでいた。そしてヴィザたちに右手をかざし

 

 

悠「力の差を教えてやる」

 

 

右手からとてつもないトリオンの砲撃を彼らに撃ちだした。その砲撃は今まで彼が撃って来たものの比ではなかった

 

エネドラ「・・・・・っ!?」

ランバネイン「マズい・・・!!」

ヴィザ「・・・・・!」

 

次の瞬間、そのあたり一帯が更地となった

 

 

 

 

その付近では風間隊や太刀川も戦っていたが、突然の爆音と爆発に驚いた

 

風間「・・・・・!なんだ・・・?」

菊地原「あっちって、確かあいつが戦ってる方でしたよね?」

歌川「なにかあったんでしょうか・・・?」

 

その風間隊の近くでトリオン兵を排除していた太刀川もその爆発に気づいていた

 

太刀川「うわ、なんじゃありゃ?まさか、悠の仕業か・・・?」

 

アフトクラトルの船の中ではこの力を見てもはやモタモタなどしていられなかった

 

ハイレイン「ミラ、おれをすぐに雛鳥の元に転送しろ」

ミラ「了解!」

 

ハイレインは急いでいた。彼の力を見てこれは捕らえるのも無理かもしれないと判断したためだ

 

ハイレイン(これはマズい。あれほどの力、エネドラとランバネインは無理だろうがヴィザはまだ分からない。ヴィザがあの男に勝てればいいが最悪の可能性もある。少しでも雛鳥を捕まえなくては・・・!)

 

そしてハイレインはミラにも出るようにと命令した。そして残っていたラービットをすべて投入した。

その頃、修たちは少しでも早くボーダー本部に向かっていた

烏丸「修、木虎、急ぐぞ・・・!」

修「はい!」

木虎「了解・・・!」

 

修たちは走っていたがその背後に7体のラービットが出現した

 

烏丸「・・・!何・・・!!」

修「そんな・・・」

木虎「くっ・・・!」

烏丸「走れ・・・!!」

 

このままではマズい・・・!そう思っていると上空からトリオンの雨が降り注ぎラービットたちに襲い掛かる。更に二人の攻撃手(アタッカー)が降りてきてラービットに斬りかかる

 

修「!?」

夏目「うわっ、何!?」

 

修たちはがよく見るとその姿はよく見た事のある姿だった

 

緑川「硬っ。なにこいつ」

米屋「ウワサの新型だろ。ウジャウジャいんなー」

修「緑川!!米屋先輩!!」

米屋「木虎1人で新型倒したんだって。すげえじゃん」

木虎「どうも」

緑川「三雲先輩おまたせっす!遊真先輩は?」

修「空閑は・・・」

 

そこまで修が言うと奥にいたラービットが襲い掛かってきた。そのラービットは修の後ろにいた千佳たちに向かう

 

修「・・・!千佳・・・!」

千佳「・・・・・っ!」

 

修は千佳の元に行こうとした瞬間横から突然黒い影がラービットを吹き飛ばした。それは遊真だった

 

遊真「だいじょうぶか、オサム・・・?」

修「空閑・・・!」

緑川「遊真先輩!何それ・・・!」

米屋「おっ、黒トリじゃん」

緑川「えっ!遊真先輩、(ブラック)トリガー持ってんの・・・!!」

遊真「まあな」

 

修は空閑に

 

修「空閑!何してるんだ・・・!ここでは・・・」

遊真「だいじょうぶ。迅さんがキドさんに許可取ったって言ってたから」

修「そ、そうなのか・・・」

 

それなら大丈夫かと修は安心していると

 

出水「よー京介。先輩が助太刀してやるぜ。泣いて感謝しろよ」

烏丸「泣かないですけど感謝しますよ」

 

出水が京介に話しかける

 

烏丸「C級を基地まで逃がします。迅さんの指示です、敵を引きつけてください」

緑川「迅さん!?」

出水「了解」

 

そして出水は両手に大きいトリオンの立方体(キューブ)の造りだした

 

出水「アステロイド」

修(・・・!射手(シューター)・・・!)

 

修は驚きて出水の肩にあるエンブレムを見るとそこには

 

修(『A級1位』・・・!)

 

出水はそのまま屋根に登りながらラービットに小さく分けたトリオン立方体(キューブ)を無数に撃ちだした。その間にC級は逃げるが何匹か抜けてくる。それを烏丸と木虎、修たちは戦う。そのうちの一匹が修の周囲に黒い弾丸を撃つと

 

修「!?これは・・・!!」

 

突然、修の体が地面に叩きつけられる。これはヒュースの能力と同じものだ。ラービットがその状態の修に詰め寄ろうとすると近くにいた千佳と夏目が来て夏目が手元にあるアイビスでラービットを撃った

 

修「何してるんだ二人とも!ぼくは大丈夫だ!緊急脱出(ベイルアウト)が・・・」

千佳「修くん、わたしのトリオンを使って!」

【トリガー臨時接続】

 

修はその千佳の覚悟を信じて千佳のトリオンを自分のトリオン体に一時的に使えるようにした。そして修はラービットに向けて

 

修「アステロイド!」

夏目「でかっ!!」

 

そのままラービットを粉々にした

 

出水「うおっ!?なんだこりゃあ!?」

烏丸(千佳か・・・!?いやアイビスじゃない。誰だ・・・!?)

 

その光景にほとんどが驚愕し遊真は笑っていた。そしてその光景をハイレインとミラも見ていた

 

ミラ「ラービット全壊・・・!これは、一体・・・!」

ハイレイン「(ブラック)トリガーか・・・!」

ミラ「いえ、これは普通の・・・でも、これは・・・」

 

ハイレインは少しニヤッと笑った

 

ハイレイン「これは『金の雛鳥』か。もしかすればここで『神』を拾えるかもしれん」

 

そして、修たちは次のラービットを倒していた。出水はナニモンだと言っていたが修が千佳のトリオンだと言い出水は噂の『トリオン怪獣(モンスター)』かと納得した。このままいけると思っていると

 

千佳「・・・!」

夏目「・・・?どした?チカ子」

千佳「鳥・・・!」

 

千佳は奥にある建物の屋上を見るとそこには透明な鳥が飛んでいた。その下には人影があった

 

ハイレイン「もう二体目がやられたか。急ぐ必要があるな」

修「人型近界民(ネイバー)・・・!!」

 

そしてハイレインが動き始める

 

ハイレイン「『卵の冠(アレクトール)

 

ハイレインがそう呟くと飛んでいた鳥が一気にC級の元までたどり着きC級隊員に当たった。すると当たったC級は次々と立方体(キューブ)になった

 

烏丸「・・・!?鳥にさわるな!!立方体(キューブ)にされるぞ!!」

修「人が立方体(キューブ)に・・・!」

烏丸「修!おまえはC級を連れて今すぐ退け!!」

修「・・・!了解!!」

レプリカ【・・・!待て、オサム】

 

そう言ってレプリカは修の右手に付いていたヒュースの攻撃の痕を消した

 

レプリカ【どうやら()()()()の様だ。外しておく】

修「・・・!ありがとう、レプリカ!!」

遊真「チカたちを頼んだぞ、オサム」

修「ああ!!」

 

そう言って修は他の残ったC級と共に急いでその場を後にした

 

ミラ「・・・!申し訳ありません、()()()()を外されたようです・・・」

ハイレイン「・・・構わない。こいつらを排除して『金の雛鳥』の元に急ぐぞ」

ミラ「はい」

 

ハイレイン、ミラの目の前には残った遊真たちが対峙していた

 

遊真「オサムたちの元には行かせない」

ハイレイン「早く終わらせるぞ」

 

そして、遊真たちの戦いが始まった

 

 

 

 

 

 

 

悠「・・・・・・・」

 

その頃、悠は目の前の光景を見ていた。自身が放った砲撃で一帯更地となった地面に敵の3人はまだ生きていた。ランバネインの最大限のトリオンを使ったシールドとヴィザのトリガー『星の杖(オルガノン)をシールドの様に使い悠の攻撃を防いでいた

 

ランバネイン「・・・・・く、そっ・・・!」

エネドラ「・・・チッ・・・!」

ヴィザ「・・・・・・!」

 

防いではいたが彼らは満身創痍だった。エネドラとランバネインはほとんどのトリオンを使い果たした。唯一動けるのはヴィザだけであった

 

悠「・・・・・」

 

悠は彼らに休む暇など与えない。悠は一瞬でエネドラとランバネインの背後に移動し2人を斬る。そしてトリオン体が解けた2人を殺そうとすると

 

ヴィザ「・・・・・っ!」

悠「・・・・・くっ」

 

ヴィザが彼らの間に入ってきて悠の攻撃を防ぐ。ヴィザは後ろの2人に撤退するよう言った。すると後ろの2人の近くに黒い()の様なものが出現した

 

ミラ「急いで。もう時間がないわ」

ランバネイン「・・・ああ、そうだな」

 

そして、もう一人の男もさっさと回収しろと言うと女は手を伸ばした。次の瞬間、男の左手が切断された

 

エネドラ「・・・っぐああああ!!!」

ミラ「回収を命令されたのは『泥の王(ボルボロス)』だけなの」

エネドラ「てめえ・・・・・!!」

ミラ「とても悲しいわ。昔は聡明で優秀な子だったのに・・・さようなら、エネドラ」

 

そして、ミラはエネドラの『泥の王(ボルボロス)』だけを回収してエネドラは串刺しになり、死んだ

 

悠「一枚岩ではないか」

ヴィザ「ええ、我々も隊長の指示が絶対ですので」

 

悠はヴィザと向き合っているとそこに

 

風間「悠・・・!」

菊地原「・・・・・っ!」

歌川「あれは・・・・・」

太刀川「やっべー・・・!」

 

それぞれ違う方向から風間隊と太刀川が悠の元に来た。風間たちは悠のその変貌した姿に声が出せなかった

 

風間「・・・その姿は・・・」

悠「風間さん、周りのトリオン兵は・・・?」

風間「俺たちと太刀川で終わらせた」

悠「それなら、そこの死体を回収してくれ」

風間「・・・・・?」

 

風間は転がっている黒髪の男の死体を見た

 

悠「鬼怒田に頼めばその男の脳を調べることくらい出来るだろう。少しでも多く情報を引き出すんだ」

風間「・・・ああ、わかった」

太刀川「その爺さんはどうすんだ・・・?俺も戦いたいんだが・・・」

 

太刀川はそう言いながらわくわくしているように見える。だが悠は

 

悠「いや、こいつは俺がやる。太刀川、お前は今回新型狩りなんだろう?」

太刀川「はいはい、了解。その代わり、今度今のお前と戦わせろよ・・・!」

悠「ああ、今度戦ろう」

 

そう言って、風間隊はエネドラを抱えてボーダー本部に一回戻り、太刀川はまたトリオン兵を狩りに行った。そこに残ったのは悠とヴィザだけだった

 

ヴィザ「どうやら、このまま戦うしかないようですな」

悠「何を今更言っている。お前たちがこの世界に来た時点で決まっていることだ」

 

そして悠はヴィザに向かい高速で移動する

 

ヴィザ「・・・・・!」

悠「決して許しはしない」

 

ヴィザの神速の剣術と悠の三本の剣による追撃は余りにも早くここに他の者がいたとしても目で追えない様なものだった

 

ヴィザ「・・・しかし」

悠「・・・・・?」

 

突然、ヴィザが後ろに退がった。そして悠を真正面から見る

 

ヴィザ「この極限を極める命の取り合い、長らく忘れていたもの・・・とても、心地よい」

悠「・・・・・・・」

 

そのヴィザから放たれるとてつもなく不気味で刃の様に鋭い殺気が悠にぶつかる

 

悠「・・・そうか」

 

悠は上空に飛びヴィザを見下ろす

 

悠「それならば、お前に死の安息をくれてやろう」

 

悠の背中に生えた黒き十二枚羽から黒くそれでいてとても重く感じるトリオンを放出した。ヴィザはそのトリオンを直に受けた。すると

 

ヴィザ「・・・・・っ!」

 

何か自分のトリオン体に違和感を感じた

 

悠「さあ逃げろ。逃げられるというのならな」

 

悠は自身の朱い二つの剣を繋げ高速で回転しながらヴィザに向かった。ヴィザは『星の杖(オルガノン)』を重ねシールドの様にして防ごうとしたが、悠のその剣は星の杖(オルガノン)の盾を紙切れの様に斬り裂きヴィザの左腕を斬り落とす

 

ヴィザ「・・・・・!?」

 

ヴィザは驚愕した。自分の『星の杖(オルガノン)』はこんなにも容易く斬れるものではない。どういうことだと。そしてヴィザは思った

 

ヴィザ「まさか、さっきのあれは・・・!」

 

ヴィザは確信した。さっきの悠の自分にやったものは

 

ヴィザ「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もの・・・!!」

悠「ほう?さすがだな」

 

そして悠はヴィザに更なる追い打ちをかける手元にある黄色い剣でヴィザに斬りかかりヴィザは左足も斬り落とされる

 

ヴィザ「・・・・・くっ!」

悠「お前は確かに強い。俺以外ならば勝てはしないだろう・・・だがな」

 

そして悠は黄色い剣を上に掲げ

 

 

悠「俺はこいつらの意志と命を受け継いだ。負けはしない」

ヴィザ「・・・完敗・・・ですな」

 

 

 

 

そして、悠は剣を振り下ろしヴィザのトリオン体は剥げ周りを煙が覆う。そんな中

 

ヴィザ「・・・また、いずれ会いましょう」

悠「・・・・・・」

 

悠は剣で煙を斬り払うとそこにヴィザはいなかった。悠は逃がしたようだがまあ、別に構わないかと思いながら修たちが心配になり空を飛び修たちの所に向かった

 

 

 

 




少し長引いてしまいました。
今回、悠とエネドラ、ランバネイン、ヴィザで戦いましたが正直、悠を圧勝させてしまいました。本当はヴィザともうちょっと互角に戦わせられないかとオリジナル展開を考えたんですが考えた結果悠の圧勝になってしまいました。
オリジナル展開でおそらく次には終われるかなと思うので暖かく見守って頂けるとうれしいです。


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17話

ハイレイン「・・・!?まさか、ヴィザが・・・!!」

ミラ「はい!今、ヴィザ翁を回収しました・・・」

ハイレイン「・・・くっ!」

 

悠がヴィザを倒した頃、遊真たちはハイレイン、ミラと戦っていた。ハイレインの『卵の冠(アレクトール)』トリオン体をトリオン立方体(キューブ)にする能力とミラの『窓の影(スピラスキア)』空間移動と黒い釘のようなものを出す能力に苦戦していた

 

緑川「あぶなっ・・・!」

米屋「おっと・・・」

 

ミラが緑川と米屋に『小窓』という黒い釘で串刺しにしようとしたが二人がそれを避けるとハイレインの卵の冠(アレクトール)で追い打ちをかける

 

出水「アステロイド!」

遊真「『射』印(ボルト)『強』印(ブースト) 三重(トリプル)!」

 

出水のアステロイドと遊真のトリガーでその蜂の姿になった卵の冠(アレクトール)を相殺した

 

米屋「あっぶねー」

出水「ボケっとすんなよー」

緑川「ありがとう!遊真先輩!」

遊真「おう」

 

ハイレインとミラに一瞬の隙が生まれたのを見逃さず烏丸と木虎、緑川、米屋が追撃する

 

ハイレイン「チッ・・・!」

ミラ「・・・・・っ!?」

 

ハイレインとミラは二人とも(ブラック)トリガーではあるが彼らが戦っている遊真たちはこのボーダーきっての戦闘能力を持つ精鋭ばかり。さすがに二人ではキツイ

 

ハイレイン(これでは『金の雛鳥』どころではない!・・・くそっ!!)

 

そして、遊真はレプリカと話していた

 

レプリカ【ユーマ、今はこっちが押しているがこのままではジリ貧だぞ】

遊真「あの生き物になるトリガー・・・何かわかる?」

レプリカ【ふむ。あれはおそらく・・・ユーマ、周りの建物で奴を押しつぶすんだ】

遊真「!?了解!『射』印(ボルト)『強』印(ブースト) 二重(ダブル)!」

ハイレイン「・・・!?」

 

そして遊真はハイレインの周りにある建物を崩壊させてハイレインを押しつぶす

 

出水「うひょー!すげえな!」

緑川「すっげー!」

烏丸「どうしたんだ、遊真?」

レプリカ【私の推測が正しければ、おそらく・・・】

 

そして、遊真たちは潰されたハイレインの方を見るとそこには()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいた

 

ミラ「隊長!」

ハイレイン「・・・・・」

レプリカ【あの男のトリガーは()()()()()()()()()()()ようだ】

木虎「・・・!なるほど・・・」

 

そう。ハイレインの卵の冠(アレクトール)()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というものだ

 

遊真「なるほど。それなら、策はあるかな」

レプリカ【ああ、そうだな】

遊真「『錨』印(アンカー)『射』印(ボルト) 四重(クアドラ)!」

ハイレイン「・・・・・!」

ミラ「隊長!!」

 

遊真は三輪からコピーした()()()()()()()()()()被弾すると体が重くなるトリオン弾を撃った。それは数発ハイレインに命中した

 

ハイレイン「・・・くっ!」

出水「ほら、チャンスだぞ!攻撃手(アタッカー)組!!」

緑川「よっしゃ・・・!!」

米屋「そら!!」

 

そして、攻撃手(アタッカー)の緑川、米屋、木虎、烏丸がハイレインに向かって動くが突然その彼らの前に大きな黒い『窓』が出現して、彼らを飲み込んだ

 

レプリカ【マズい!誘われた!!】

遊真「・・・・・」

出水「くそっ!」

 

どうやら、これも策の一つのようだった。あえて隊長を囮にしミラへの注意を逸らし一気に畳みかけに来たところ『大窓』で全員を遠くに飛ばす

 

出水「・・・やるじゃねえか」

ハイレイン「なかなかに危なかったがな」

出水「・・・・・チッ」

 

そして、その場には遊真、レプリカ、出水とハイレイン、ミラが残っていた

 

出水「やれるか?白チビ」

遊真「もちろん。あとオレは遊真だよ」

出水「おう、遊真」

 

 

 

 

 

 

 

米屋「うおっ」

緑川「うわっ」

木虎「・・・・・っ!」

烏丸「・・・くっ」

 

少し遠くに飛ばされた米屋たちは悪態をついていた

 

米屋「くそっ、急ぎすぎたか・・・」

緑川「早く行かないと・・・!」

 

そして米屋たちがもう一度行こうとした時、上空から

 

「陽介、烏丸、どうした?こんなところで・・・」

 

とても聞き覚えのある声が聞こえてきた。それにつられて上空を見るとそこにはいままでの彼とは変わった姿が見えた

 

米屋「・・・えっ」

緑川「・・・・・」

烏丸「お、まえは・・・」

木虎「・・・・・悠、くん」

悠「それに緑川に木虎も・・・どうした」

 

そこには悠がいた。しかし、その姿は今まで自分たちが見てきた姿とは全く違っていた。

背中に生えているように見える漆黒の十二枚羽

背後から漏れ出ている青黒いトリオン

腰回りに浮かんでいるペンデュラム

そして、以前は黒かった髪が()()になっている。以前とは明らかに姿が違っていた

 

米屋「おい、悠・・・」

烏丸「おまえ・・・・・それ・・・」

悠「()()については気にはなるだろうが今はそんなこと気にしている時ではないだろう」

烏丸「あ、ああ・・・」

 

そして、悠は行く前に木虎の近くにより彼女の頭を撫でた

 

木虎「・・・・・っ!」

悠「助かったぞ、木虎。お前のおかげで修や千佳が生き延びた。本当にありがとう」

木虎「え、ええ」

 

そして悠はそのまま重力に逆らい飛び去っていった。木虎はトリオン体ではあるが少し体が熱くなっている感覚があった

 

 

沢村「今現在、出水隊員と空閑隊員が人型2体と交戦中!」

忍田「よし!鬼怒田開発室長、悠が倒した例の近界民(ネイバー)の死体からなにか分かったか?」

鬼怒田「今調べてるところだが奴の角は脳までわたっていた。おそらくなにか情報を得られるだろう」

 

ボーダー本部では忍田が現在の状況を訊いていた

 

沢村「基地南部ではB級合同部隊がトリオン兵を全て排除し次のポイントに移動、東を担当していた風間隊や太刀川隊、嵐山隊などA級部隊も次々とトリオン兵を排除しています。」

忍田「・・・そうか」

 

あとは人型をどうにかすれば・・・忍田はそう考えていた。そして

出水「さあ、正念場だ」

遊真「ああ」

ハイレイン「・・・・・」

ミラ「・・・いかがされますか?」

 

出水と遊真は目の前の敵に注意しながら見ていた

 

ハイレイン(『金の雛鳥』はまだ避難していない。このままこいつらを倒してすぐにでも雛鳥たちの元に行かなくては・・・)

 

ハイレインは急いでいた。今回の任務でエネドラの始末という()()()()()()()()()は達成できていた。だが、今回の侵攻にはとんでもないイレギュラーが存在していた

 

ハイレイン「さっさと終わらせて『金の雛鳥』を捕らえにいくぞ」

ミラ「はい」

遊真「行かせないって言ってるじゃん」

 

そして戦闘が開始されようとしていると、その時上空に大きな影が出現した

 

出水「・・・?・・・おい、マジか」

遊真「・・・ずいぶん、おそかったね」

「済まないな、遊真、公平」

 

そこには悠が漆黒の十二枚羽を携えてハイレインたちを見ていた

 

ハイレイン「・・・くっ!もう・・・来たのか」

ミラ「・・・・・っ!?」

悠「こいつらは俺がやろう。遊真、お前たちは念のために修と千佳の所に行ってくれ」

遊真「了解」

出水「それじゃあ、おれは別の所に救援に行ってくるぜ」

悠「ああ、頼む」

 

遊真は修たちの所に向かい、出水は他の隊員の所に救援に行った

 

悠「・・・さて」

ハイレイン「・・・・・!?」

ミラ「・・・っ!」

 

悠は改めてハイレインたちをとても冷たい目で見ていた

 

悠「お前たちがどんな目的でこの国に来たかなどこの際興味は無い」

ハイレイン「・・・・・」

悠「・・・この国は唯々平和に暮らしていただけだ。だが、お前たちはこの玄界(ミデン)の地を土足で踏み荒らした」

ミラ「・・・・・」

 

 

悠「とっとと帰るか、ここで死ぬか、どちらか決めろ」

 

 

 

 

 

 

 

ハイレイン「・・・・・っ!」

 

ハイレインはすぐに自らの生き物のトリガーを悠に向けて放った。ミラはその間に『大窓』で悠の背後に空間移動し『小窓』悠の頭上から黒い釘を出した。悠は目の前に3本の剣を出現させ

 

悠「まずはお前からだ・・・死ね」

ミラ「・・・・・っ!!?」

悠は一瞬で背後を取ったミラの更に背後に移動し自分の目の前にある黄色い剣でミラに振り下ろす。ミラは回避しようと『大窓』を出し中に入ろうとしたが悠の黄色い剣はミラの体を斬り裂く。そしてハイレインの生き物の形をしたトリガーを巨大なトリオンの砲撃で掻き消す

 

ミラ「・・・・・!?」

ハイレイン「・・・っ!!」

 

ハイレインは魚の形を蜂の形にして四方に飛ばし砲撃では消せないようにしたが

 

悠「・・・・・」

 

悠は超高速で飛び回りハイレインたちより少し上空に移動すると

 

悠「黒に染まり、速やかに朽ちろ」

 

まるでそれは呪いの様に悠は口ずさみ、ハイレインたちに向かって十二枚羽から巨大なトリオンの波動を飛ばした

 

ハイレイン「・・・・・っ!?」

ミラ「・・・・・!!」

 

飛んでいた無数の蜂のトリオンを一掃した。ハイレインはすぐに別のトリオン弾を用意しようとしたが

 

ハイレイン「・・・・・これは・・・!?」

ミラ「『大窓』が開けない・・・!?」

ハイレイン「・・・くっ!?」

 

ハイレインはトリオンのほとんど形成できず少量の弾しか出せずにいた。ミラもまだ『大窓』を出せるトリオンは残っていたはずだが『大窓』が造れないでいた。悠はそんな彼らを見てすかさずトリオンの砲撃を行う

 

悠「消えろ」

ハイレイン「くそっ・・・!?」

悠は砲撃を避けているハイレインに朱い剣を飛ばし斬り刻もうとするが、ハイレインは間一髪で自分の出せるトリオンで盾を造り朱い剣を立方体(キューブ)にしていた

 

ハイレイン「・・・チッ!?」

悠「さあ、どうする?」

 

悠はハイレインに向かって高速で移動し黄色い剣を振り上げてハイレインを見る

 

悠「・・・・・フンッ!」

ハイレイン「くっ・・・!?」

ミラ「隊長!?」

 

悠はハイレインの左腕と左足を斬り落とす。ハイレインは()()()()()()()()()()()()()()少しトリオンを取り戻した。だが、それでは補えないほどに損傷が激しかった

 

ハイレイン「・・・・・ここまでとはっ・・・!?」

ミラ「・・・・・っ!?」

悠「・・・・・」

 

悠は地面に転がり落ちた2人を見た

 

悠「・・・そろそろ、終わらせるとしよう」

 

そして悠は今いる所よりも更に上空に飛んだ。そしてある程度の位置に来て地面を見た

 

悠「・・・周りに市民はいないらしいな」

 

そして、あるのは倒れた2人とその周りに蔓延る大量のトリオン兵であった。もうすでに戦っている最中に警戒区域内に入っているのでもう市民が使っている建物も無かった

 

悠「俺はこの世界でも生きていいんだよな」

 

悠は願った。この戦いを終わらせてまた平和な日々に戻そうと。あいつらが憧れたこの国を守り抜こうと

 

悠「・・・そのために、お前たちには死んでもらう」

 

だからこそ、悠は敵にはどこまでも非情になる。彼の大切な者たちを守るために

 

悠「さあ、やろう。お前たち」

 

そして悠は敵には呪いの言葉を、味方には祝福の言葉を口ずさむ。この戦争を終わらせるために

 

 

 

 

 

 

悠「パラダイス・ロスト」

 

 

 

 

 

 

そして、絶望の雨がハイレインたちに降り注いだ

 

ハイレイン「・・・・・っ!!?」

ミラ「・・・!!『大窓』、開きます!?」

 

ミラはギリギリで『大窓』を開き、自分とハイレインを自分たちの船に転送した。そしてハイレインたちが消えたそのあたりにいたトリオン兵は一匹残らず塵と化した

 

 

 

 

 

 

 

沢村「・・・・・」

忍田「・・・・・」

 

ボーダー本部の幹部たちは全員その光景を見ていた。ボーダー基地の南西部の警戒区域内で突如、上空から降り注ぐ黒いトリオンの雨。それが南西部に降り注いだ

 

沢村「南西部にいた・・・トリオン兵の反応が・・・全て消えました」

鬼怒田「これは・・・」

根付「なんという・・・」

 

全員が呆然としていた。それもそうだ。目の前で今まで見た事もない光景を見たのだから

 

城戸「・・・敵の、人型の反応は?」

沢村「・・・人型の反応も消えています」

忍田「そうか・・・」

 

ボーダー本部の幹部たちは何とも言えない顔をしていた。そして、その光景は他の者たちも見ていた

 

風間「・・・・・」

菊地原「・・・・・うわあー」

歌川「これは・・・」

 

太刀川「・・・さすがに俺もこれは勝てる気がしないなー。まあ、勝負は面白そうだが」

 

「・・・なんですか、あれ・・・」

「あいつは・・・」

 

嵐山「・・・本当にとてつもないな」

時枝「はい・・・」

 

熊谷「・・・あれは」

那須「・・・・・悠くん」

 

烏丸「あれが悠の本当の力・・・か」

木虎「・・・・・」

 

そして、アフトクラトルの船の中では

 

ハイレイン「・・・!?はあ・・・はあ・・・」

ミラ「・・・!!間一髪・・・でした」

 

ハイレインとミラがギリギリで戻ってきていた

 

ランバネイン「・・・・・」

ヴィザ「隊長殿・・・」

ハイレイン「・・・・・くそっ!」

 

ハイレインは滅多に自分の感情を表に出すことは無いのだが今回だけは自分の内にある苛立ちを口に出した

 

ハイレイン(こんな事が・・・くそっ!!なんなんだ、奴は・・・!?)

 

そして、その頃三門市ではアフトクラトルの船が離れた瞬間、三門市の空が晴れた。その空を悠も見ていた

 

悠「・・・・・ようやく、晴れたな」

 

 

 

 

 

三門市の空が晴れると、ボーダーの隊員たちは残っていたトリオン兵の掃討にかかった。小南は残りの避難が進んでいない南東部に移動しトリオン兵を狩っていたが

 

近界民(ネイバー)が来るぞ!」

「きゃあああ!!」

小南(敵が散りすぎてあたし一人じゃカバーしきれない・・・!)

 

小南がどうすればいいのかと悩んでいると後ろから射撃がされてトリオン兵が倒れた

 

小南「!?」

佐鳥「市民の皆様お待たせしました!唯一無二のツイン狙撃手(スナイパー)、この佐鳥賢が来たからには・・・ん?」

 

そこまで言ってカッコよく決めようとした瞬間遠くにいたバムスターの攻撃を受けた

 

佐鳥「こんにゃろう!」

そして、その近くでは嵐山と時枝もトリオン兵を倒していた

 

「あ・・・嵐山隊!」

「嵐山隊だ!」

小南「准!」

嵐山「迅の指示で加勢しに来た!一人でよくがんばったな桐絵!」

佐鳥【小南先輩~~オレの必殺アクロバティックツイン狙撃(スナイプ)見ました?」

小南「はいはい見た見た」

 

この小南と嵐山は互いに名前で呼んでいるが、実はこの二人従兄妹なのである。そしてその近くでは他の隊員も他の地区のトリオン兵を排除して後はこの南東部だけなのである。そしてその近くでは太刀川と風間隊もトリオン兵を排除していた

 

太刀川「あとはもうここだけだったっけ?」

風間「ああ、他の地区のトリオン兵も全て排除した。残りはこの地区だけだ」

太刀川「よし、ならさっさと終わらせて餅食わねえとな」

風間「そう言えば、お前レポートは書いたのか・・・?」

太刀川「さあ。次だ次・・・」

 

そしてB級合同部隊もまたこの地区で市民の避難に当たっていた

 

東「避難してください。もう大丈夫ですので」

 

「大丈夫ですか!今すぐ避難してください!」

 

そして嵐山たちの所では

 

嵐山「南西部は全て、悠くんが倒してくれたらしい。俺たちは少しでも早く街の被害を抑えよう!」

小南「・・・ええ」

 

小南はなにか考え込んでいたが今はそれどころでは無いと考えトリオン兵を排除しようとすると、近くにいたトリオン兵が斬られていた

 

嵐山・小南「「!」」

「・・・残念」

 

そっちを見てみるとそこには悠に炒飯をごちそうしてくれた加古ともう一人背の低い女の子が弧月を持って立っていた

 

加古「なんだかもうほとんど終わってるのね。出遅れちゃったわ」

小南「加古さん!」

加古「桐絵ちゃん、嵐山くん。こっちサイドは任せて。遅れた分はしっかり働くから。

行くわよ、双葉」

「はい!」

 

そして逃げていた修と千佳、そしてボーダーのトリガーに変えていた遊真の所では

 

修「・・・終わった・・・のか?」

遊真「ああ、どうやら・・・悠が終わらせたらしい」

千佳「そっか・・・」

 

そこには他のC級を先に避難させて残った修、千佳、遊真の姿があった。そして

 

「無事だったか、修、千佳。」

修「・・・!?」

千佳「えっ・・・?」

 

突然、自分たちの上空から聞き覚えのある声が聞こえそっちを見てみると、そこには自分たちの知っているす姿とは別の悠がいた

 

修「悠、なのか・・・?」

悠「どうした?俺に見えないか?」

修「いや・・・なんでもない。気にしないでくれ」

悠「フッ、そうか」

 

悠は地面に降りてくると修と千佳の頭を軽く撫でた

 

悠「よく頑張ったな、お前たち」

修「・・・ああ!」

千佳「うんっ!」

悠「遊真とレプリカも助かったぞ」

遊真「いちばんがんばったの、悠じゃん」

レプリカ【ああ、そう通りだ】

 

そして、迅は()()()()()()()()()()ヒュースと対面していた。ヒュースはどうなっているんだと呆然としていると、迅の通信機に

 

宇佐美【人型近界民(ネイバー)は撤退!終わったよ!迅さん!!】

 

その言葉を聞き迅は気が抜けたように地面に寝転がった

 

迅「くあ~~~~~っ」

ヒュース「!?」

迅「もう大丈夫だ。メガネくんと千佳ちゃんも助かって、悠も無事だ」

 

そして迅は思う。本当に悠が頑張ったおかげだと

 

ヒュース「・・・・・貴様・・・!!」

迅「足止めして悪かったな。おまえをフリーにすると少しマズかったんだ。

・・・けど、多分おまえ()()()に残って正解だったと思うよ。なんか事情があるんだろ?おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

ヒュース(こいつ・・・)

そして迅の近くに車が到着した

 

迅「もうおれたちが戦っても意味はない。投降しろ、悪いようにはしない」

 

その頃、アフトクラトルの船ではハイレインは落ち着きを取り戻した。そしてヴィザが訊いた

 

ヴィザ「ハイレイン殿、ヒュース殿は・・・?」

ハイレイン「『金の雛鳥』と()()()を捕え損ねた。ヒュースは連れて帰れない」

ヴィザ「なるほど・・・。・・・しかし惜しいですな、あれほど優秀な人材を・・・」

ハイレイン「元より決めていたことだ。連れ帰ればヒュースは我々の()になる」

 

そしてハイレインは悠の事について考えヴィザに訊いた

 

ハイレイン「ヴィザ、あの男はどうだった。俺は正直言ってあれほどの男を見たことがない」

ヴィザ「私とて同じですよ。あれは(ブラック)トリガーの性能も次元が違いますが、使い手もあの年では考えれられないほどの修羅場を通っているでしょう」

ランバネイン「・・・でしょうな。あの(ブラック)トリガーは・・・」

ヴィザ「・・・おそらくですが」

 

ヴィザは自分の考えている推測を口にする

 

ヴィザ「あの(ブラック)トリガーは複数の命で創られたものだと思われます」

ミラ「・・・・・っ!!」

ヴィザ「(ブラック)トリガーの能力はその者の性格、特徴も影響します。おそらく、あれほどの多様性、破壊力はおそらく一人で出来たものではないでしょう」

ハイレイン「では、あの俺たちがトリガーを使えなくなったのは・・・」

ヴィザ「おそらく、ハイレイン殿やミラ殿が受けた攻撃は私の推測でしかありませんが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というものかと思います」

ミラ「・・・・・!?」

ハイレイン「・・・本当に、イカれた能力だな」

 

それほどの力と使い手、部下に出来ればアフトクラトルの実権は握ったも同然だが、それ以上に奴は危険だとハイレインは思った。奴は本当に()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ランバネイン「エネドラは死にヒュースを捨て帰り道は艇が広いな!」

ハイレイン「・・・俺のやり方は厭わしいか?ランバネイン」

ランバネイン「・・・いや、当主の命令だ。文句は言わんさ」

ハイレイン「・・・作戦は終了だ。本国に着くまでゆっくり休んでくれ。『金の雛鳥』と『奴』を逃したのは惜しいが・・・

エネドラとヒュースの件も含めて()()()()()()()()()()

 

そしてハイレインたちが帰還している頃、三門市では防衛隊員が本部に報告していた

 

太刀川「こちら太刀川、近界民(ネイバー)は片付けた。俺の見た限りC級でも連れ去られている奴はいないな」

東「本部、こっちも連れ去られたC級はいない」

 

そしてその報告を訊いた本部の幹部たちは全員安心したような顔をした

 

根付「はあ~~、市民の重傷者もほとんど出ず連れ去られた者も0に抑えられました」

鬼怒田「今回の侵攻では死者も敵以外は出ていないな」

 

そして城戸の通信に迅から連絡が入る

 

迅【城戸さん。もう敵戦力の追加はないよ】

城戸「・・・迅、この結果はおまえの予知の中ではどのあたりの出来だ?」

 

そして迅は周りを見回しながら言った

 

迅「何人か重傷者も出たけどはっきり言っておれの未来に中では『最良』の未来だよ。

みんな・・・そして、悠が厄介な敵を一人で引き受けてくれたおかげだよ」

城戸「・・・そうか・・・わかった。御苦労」

 

 

民間人 死者 0名 重傷 4名 軽傷 26名

ボーダー 死者 0名 重傷 0名 軽傷 0名

近界民(ネイバー) 死者 1名(近界民(ネイバー)の手に因る) 捕虜 1名

 

 

近界民(ネイバー)大規模侵攻 三門市防衛戦はこれにて終結した

 

 

 

 




少し早めに大規模侵攻編は終わりました。
原作よりも侵攻による被害はとても少ないのもオリジナルにしました。
次回から何話かまた日常編を書こうと思います。


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幕間3

悠side

 

あの大規模侵攻から2日たった。俺はボーダー本部に呼ばれていた

 

悠「一体本部が俺に何の用だ?」

 

あれから2日、俺はその間玉狛で修たちの事を一緒に見ていた。俺も戦闘に関しては他の奴らよりも知っている。遊真に関しては問題ないが修と千佳は人間との戦闘などほとんどしたことが無いから俺も教えられる程度の知識は教えた

 

悠「しかし・・・さすがに見られるか」

 

俺はボーダー本部に入り自分に視線が向けられているのを感じた。やはりこの()は気になるようだな。俺はそのままボーダー内を歩いていると目の前から見覚えのある顔が見えた

 

米屋「おっ!悠じゃん!」

出水「久しぶりじゃねーか!」

緑川「・・・あっ」

悠「陽介に公平・・・緑川も、どうした?」

 

そこには陽介たちがいた。おそらくランク戦をやっていたんだろう

 

出水「本部に何しに来たんだ?」

米屋「何ならまた戦おうぜ!」

悠「すまんが今回も本部に呼ばれてな。また今度にしてくれ」

米屋「ならしょうがねーか」

緑川「・・・・・」

出水「・・・?どうした、緑川?」

 

緑川が何か言いづらそうにして俺から目を逸らしたが、すぐに俺の目を見て突然

 

緑川「すみませんでした、悠先輩」

悠「・・・・・?」

出水「・・・・・へえー」

緑川が唐突に謝ってきた・・・どういうことだ?

 

緑川「この前、三雲先輩の事みんなの前で恥を掻かせるような真似をしてすいませんでした」

悠「・・・なるほど。その事か」

 

そういえばこの前迅が言っていたな。根はいい奴だと。確かにその通りのようだ

 

悠「・・・・・フッ」

緑川「えっ?」

悠「もう気にするな。修も許したんだろう。それならば俺が言うことなど何もない」

 

俺はそう言いながら緑川の頭を少し乱暴に撫でまわす

 

悠「くくっ、そんな悩んだ顔をするな。反省したのならばそれを次に活かせ。いいな」

緑川「・・・!うんっ!わかった!!」

出水「あっ!そうだ!悠、今晩東さんが焼肉に連れてってくれんだけど一緒に行かねーか?」

米屋「おっそれいいなー!」

悠「焼肉?俺も行っていいのか・・・?」

出水「俺らから東さんに言っとくよ!」

悠「・・・そうか。それなら俺も行こう」

 

俺は緑川、陽介、公平とそんな話をして陽介たちと別れた。別れ際に『今度、戦えよー!』と言われたから次に戦う約束をしてその場から離れた。そして俺は指定された司令室に着いた

 

悠「失礼する」

鬼怒田「ようやく来おったか」

 

入るとそこには城戸、忍田、鬼怒田がいた。どうやら根付と唐沢はいないらしい

 

城戸「今回は突然呼び出してすまないな」

悠「別に構わないさ。それで、一体何の用だ?」

忍田「今回の大規模侵攻で大きく活躍した者に与える論功行賞を君にもと思ってね」

悠「論功行賞か」

忍田「ああ。特級、一級、二級とあってな。一応一通り発表しよう」

悠「ああ、頼む」

 

そして忍田はその論功行賞の人間を言った

 

特級戦功 褒賞金150万+1500P

悠 『基地を襲う爆撃型トリオン兵を迎撃し、単独で敵の人型近界民(ネイバー)を全て引き受け撃破。南西部地区のトリオン兵を一掃し人的被害をゼロにした。新型(ラービット)撃破数 2』

太刀川 慶『 基地を襲う爆撃型トリオン兵を迎撃し、その後、東部地区で新型を中心に敵の戦力を大きく削った。新型(ラービット)撃破数 17』

天羽 月彦 『単独で西部、北西部地区を広範囲にわたって防衛、人的被害をゼロに抑えた。新型(ラービット)撃破数 3』

忍田「本来、褒賞金150万と1500Pなんだが君の場合、一人で人型を全て撃破した。この貢献はこれだけでは足りないから300万と3000Pになる。

ありがとう。本当に君のおかげで今回の被害はほとんどゼロに抑えられたよ」

悠「・・・そうか」

忍田「次に一級戦功だ」

 

一級戦功 褒賞金80万+800P

空閑 遊真 『(ブラック)トリガーを使いトリオン兵を撃破。その後、C級避難の手伝う。新型(ラービット)撃破数 7』

三輪 秀次『 新型を中心に撃破し市民の被害を抑える。その後、南東部にて市民の救援を行う。新型(ラービット)撃破数 3』

迅 悠一『 南西部地区から基地へ避難するC級隊員を援護。人型近界民(ネイバー)を足止めし、捕虜にした。』

 

悠「ん?捕虜がいたのか?」

忍田「ああ。迅が捕らえたから今は玉狛支部にいるらしい」

鬼怒田「ふん!迅のやつめ、あまい事を・・・」

悠「なるほど」

忍田「まだ一級はいるぞ」

 

風間隊 『東部にて太刀川 慶と共にトリオン兵を撃破。人型(遺体)を基地に運んだあと南東部に移動し残ったトリオン兵を撃破。新型(ラービット)撃破数 7』

小南 桐絵『 南西部地区から基地へ避難するC級隊員を援護。その後、南東部に移動しトリオン兵を駆除し、人的被害をゼロにした。新型(ラービット)撃破数 4』

忍田「そしてあとは二級戦功、嵐山隊、玉狛支部の木崎、烏丸、東に出水、米屋、緑川・・・とこんな感じだ」

悠「なるほど」

 

今回の大規模侵攻では敵の目的が分からずそこを狙われた。それで危うくC級隊員が連れさられる可能性もあった

 

悠(なにより、奴らは千佳のトリオン能力を見て千佳に狙いをつけた。さすがに千佳をいつまでもC級にはしておけないな)

 

俺はそう考えて城戸に提案をした

 

悠「城戸、少し頼みがある」

城戸「なんだ?」

悠「今回の戦いで最後に千佳が狙われていた。千佳をこのままC級にしておくのは少し危険だ」

城戸「・・・・・」

悠「俺が貰う3000P、これを千佳に渡して千佳に緊急脱出(ベイルアウト)を持たせた方がいい」

鬼怒田「確かにその通りだ!彼女のトリオン能力は貴重だ!彼女を失うわけにはいかない!!」

忍田「私もその考えには賛成だ。悠くんがいいというのなら彼の3000Pを彼女に与えてB級に上げた方がいい」

城戸「・・・・・・」

 

城戸は少し悩んでいたが少しして

 

城戸「・・・確かにそうだな。わかった、お前の要求を吞もう」

悠「助かる」

城戸「ではこの話は終わりにして次の話に移ろう」

 

そして城戸、忍田、鬼怒田は俺の方を見る

 

城戸「以前もやったかもしれんが、おまえのトリオン能力とその(ブラック)トリガーを調べたい。わかっていると思うがな」

悠「ああ、予想はしてた」

城戸「それでは頼む。今回の議題は以上だ」

 

そう言って城戸は終わらせた。俺は鬼怒田について行き司令室を出ると

 

忍田「悠くん」

悠「・・・?どうした、忍田」

 

俺は忍田に止められた

 

忍田「今回は本当にありがとう」

悠「ああ、気にするな。俺は自分の未来を平和に暮らすためにやっているに過ぎない」

忍田「それでもだ。迅に君が連れ去られる未来があると聞いてたのに私をそれを承知で君に一人で戦わせてしまった。ありがとう。そしてすまない」

忍田はそう言って俺に礼と謝罪をしてきた・・・やれやれ

 

悠「何度も言うが気にするな。あとな勘違いをしているぞ」

忍田「・・・・・えっ?」

 

俺は指輪を握りしめながら言う

 

悠「俺は決して一人じゃない。こいつらがいる」

忍田「・・・!ははっ、そうか」

 

そして忍田は俺にもう一度礼を言って立ち去った。俺はそのまま鬼怒田について行って開発室に来た

 

寺島「・・・あっ、室長。それに悠くんも・・・」

悠「久しぶりだな、寺島」

 

俺は寺島に軽く挨拶をし鬼怒田に指輪を渡す。そして以前は使わなかった新しい計測器を使い自分のトリオンを測る

 

鬼怒田「聞くがその髪はおそらく今回の()()が原因でいいんだな?」

悠「原因かどうかは知らないがな」

 

俺はそう言いながら計測し、鬼怒田と寺島は『堕天の王(ルシファー)』を調べていた

 

鬼怒田「やはりな。以前とは比べ物にならないほどのトリオンだ。こんなもの見たことが無いぞ」

寺島「・・・・・」

鬼怒田はそうぼやきながら何かを考え、寺島は呆然としていた。そして俺が測っていると後ろから扉が開く音が聞こえた

 

「鬼怒田開発室長、今回の結果をお届けに来ました」

鬼怒田「・・・ん?ああ、そう言えば今日はその日じゃったか。そのあたりに置いといてくれ」

 

後ろから女の声がして、俺がそっちを見るとそこにはオペレーターの服を着たやつがいた

 

「ん?あれ?きみは?」

「・・・?どうしたの、綾辻ちゃん?」

「・・・どうしたの~?」

 

そして扉の奥からは何人もの声が聞こえて中には俺が知っている声も聞こえてきた

 

「ああ、すみません・・・」

 

そう言ってオペレーターの女が中に入ってくるとそれに続き何人ものオペレーターと思われる集団が入ってきた。そして俺の知っている声の主も入ってきた

 

「・・・!悠くん!」

悠「国近か。久しぶりだな」

国近「悠くん・・・!」

悠「おっと・・・」

 

国近は俺を見つけると俺の元に小走りで近寄り抱き着いてきた

 

「・・・えっ?・・・えっ!?」

「どっどういうこと?」

「もしかして、国近先輩の彼氏さん・・・?」

 

後ろのやつらが何やら騒いでいた。俺は国近の頭を撫でながら訊いた

 

悠「どうした、国近?」

国近「だって・・・太刀川さんが悠くんに敵の人たちがついてるからもしかしたらって考えちゃって・・・それにその髪・・・」

悠「なるほどな」

 

太刀川の説明の仕方が悪かったか。俺は国近の頭を撫でて落ち着かせる

 

悠「確かに敵は強かった」

国近「・・・・・」

悠「・・・だが、俺はこうしてここにいる。そうだろう?」

国近「・・・!うん・・・!」

悠「フッ・・・」

 

俺がそう言うと国近が笑顔を見せてくれた。国近には笑顔がよく似合う

 

悠「そういえば、何かを提出しに来たんだろ」

国近「あっ!そうだった~・・・」

そして国近は俺から離れ何やら提出しに行った。それを他のやつら見ていた

 

「・・・・・」

「なんというか・・・」

「すごいですね・・・」

 

そんな俺たちを見ていたオペレーターを見ていると何やら見慣れたエンブレムを数人見つけた

 

悠「・・・・・嵐山の所のオペレーターか?」

「・・・えっ?あっはい!」

 

そう言って、そいつは元気よく挨拶した

 

綾辻「はじめまして。私は綾辻 遥といいます。嵐山隊のオペレーターをしています」

悠「やはりそうか。俺は悠だ。嵐山や木虎、時枝には世話になった」

 

そう言うと彼女に続き他にいたオペレーターたちも何故か挨拶した

 

三上「私は三上 歌歩といいます。風間隊のオペレーターをしている者です。風間さんに悠さんの事を訊きました」

悠「風間さんのオペレーターか。よろしく頼む」

氷見「氷見です。二宮隊のオペレーターをしています」

月見「私は月見 蓮よ。太刀川くんや米屋くんがお世話になってるみたいね。お礼を言わせて」

悠「・・・?何故、隊が違う太刀川と陽介なんだ?」

月見「ああ、私は太刀川くんと幼馴染でね。米屋くんは私が三輪隊のオペレーターだから」

悠「そういうことか」

 

そして自己紹介が続く

 

仁礼「アタシは仁礼 光!この前はウチのカゲが世話になったな!」

悠「カゲ・・・?ああ、影浦のことか」

加賀美「私は加賀美 倫。荒船さん、一撃で撃ち抜かれたって嘆いてたよ」

悠「フッ、そうか」

小佐野「わたしは小佐野 瑠衣っていうんだ。堤さんが『加古さんの炒飯大丈夫だろうか』って言ってたよ」

悠「普通に美味かったがな。堤は途中で寝てしまったからな」

今「わたしは今 結花です。鈴鳴第一のオペレーターで鋼くんが『次はどう悠と戦おうか』ってログ見ながらしゃべってましたよ」

悠「くくっ、いつでも受けて立つとでも言っておいてくれ」

藤丸「アタシは藤丸 のの!弓場隊のオペレーターだ!すげえじゃねーか!一人で敵と戦ったんだろ!」

橘高「ののちゃんったら。わたしは橘高 羽矢って言うの。王子隊のオペレーターをしてるの。よろしくね」

悠「ああ、俺は悠。よろしく頼む」

 

そして挨拶していると一人のオペレーターのエンブレムに目がいった。そいつは他のオペレーターに隠れていたが少し顔を出した

 

志岐「・・・志岐 小夜子です。・・・那須隊のオペレーターをしています」

綾辻「・・・え?小夜子ちゃん?」

三上「うそっ・・・」

 

他のオペレーターが何やら驚いていたが

 

悠「那須隊・・・ああ、玲の所か」

志岐「・・・・・っ・・・はい」

悠「・・・・・?」

先ほどからこいつは俺に対しての接し方が妙であった。話そうとしているが無理をしているのが一目瞭然だった・・・なるほど

 

悠「俺が怖いか・・・?」

志岐「・・・・・っ!?」

三上「あっあの!」

悠「いいんじゃないか?」

三上「・・・えっ?」

志岐「え?」

 

俺は自分の思っていることを素直に口にした

 

悠「怖いのなら怖いで無理に話す必要はない」

志岐「・・・・・」

悠「昔、俺の知り合いに人が怖いと思ってた二人がいた。そいつらはしばらく他人と何も話さなかった」

国近「・・・・・っ!」

悠「だが、そのうち次第に一言ずつ話すようになっていつの間にか他のやつらとも普通に話せるようになってた」

月見「・・・・・」

悠「仲間ってのはそういうものだと俺は思っている。

そして俺はこのボーダーにいる奴ら全員を仲間だと思っている。まあ、俺が勝手に思ってるだけだがな」

国近「そんなことない!悠くんは仲間だよ!!」

悠「・・・フッ、そうか」

 

そして俺は志岐の目を見て言った

 

志岐「・・・・・っ!」

悠「だから、今無理に話すことはない。ゆっくりでいい」

志岐「・・・はい」

 

志岐はそんな俺を見て怖がっているがしっかりと俺を見て言った

 

氷見「・・・・・」

綾辻「・・・・・」

他のオペレーターがそんな俺たちを呆然と見ていると

 

藤丸「くうーー!泣かせるじゃねーか!」

悠「・・・・・どうした、藤丸?」

 

藤丸が俺の所に来て俺の首に腕を回してきた。その顔は何とも嬉しそうな肝心したような顔をしていた

 

藤丸「よし!悠!おめえの事、気に入ったぜ!今からウチの隊室に来い!あと、アタシの事はののと呼べ!」

橘高「ちょっ!ちょっと、ののちゃん!」

悠「そうか、ではののと呼ぼう。あと済まないが俺はまだトリオンを計測中なんでな。また今度行こう。今日はこの後公平たちに焼肉を誘われてな」

藤丸「それなら今度絶対ウチに来いよ!」

悠「ああ、約束しよう」

 

俺はののにそう言われながら引っ付かれていると

 

国近「むう~~!」

悠「・・・・・?国近?」

 

国近は頬を膨らませて拗ねたようにこっちを見ていた。そして俺のトリオンを計測し終え後は『堕天の王(ルシファー)』を調べ終わるのを待つだけだ

 

悠「鬼怒田、もう少し掛かりそうか?」

鬼怒田「いや、もう終わったわい」

悠「そうか」

 

俺はそう言われ『堕天の王(ルシファー)』を受け取った。そして俺は首にかけて開発室を出る時に

 

鬼怒田「ああ、そうじゃ」

悠「・・・?どうした?」

 

鬼怒田は俺を呼び止めた

 

鬼怒田「そのうち、おまえの(ブラック)トリガーの性能を確かめたい。前の選抜とは違う新たに選抜する部隊と戦ってもらうぞ」

悠「ああ、そんなことか。わかった」

鬼怒田「頼んだぞ・・・」

 

俺は鬼怒田とそんな話をして開発室を出ると

 

藤丸「そんじゃあ、今度絶対ウチにこいよ・・・!」

国近「わたしたちの所にも絶対来てね!!」

悠「ああ、必ずな」

 

俺はそう言って帰路についた

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、悠は出水に誘われて三門市のある焼き肉店の前に来ていた。悠はそこで待っていると

 

出水「悠!はえーな!」

米屋「誘った俺たちの方が後に来るって・・・」

緑川「センパイたちが準備に手間取るからですよ~」

出水・米屋「「いやおまえも大概だったぞ!」」

東「ははは」

 

悠が待っている所に出水、米屋、緑川、そして東が歩いてきた。悠は東に礼を言う

 

悠「今回は俺も誘ってもらって悪いな、東」

東「いやいや、今回の大規模侵攻の一番頑張ったんだろ。それなのに飯の一つも奢れないんじゃ先輩としての立場が無いしな。今回は俺の奢りだから好きなだけ食べてくれ」

悠「すまないな。言葉に甘えよう」

 

そして悠たちは焼き肉店に入り一つのテーブルに着いた

 

東「おまえたちも頑張ったからな。好きなだけ食べていいぞ」

出水・米屋・緑川「「「あざーす!!」」」

 

そして悠たちはメニューを見て一通り注文すると全員が気になっていたことを東が代表して悠に訊いた

 

東「・・・なあ、悠。一つ訊いていいか?」

悠「・・・?どうした?」

東「さっきから気になってたんだが、その()はどうしたんだ・・・?別に答えられないんなら答えなくていいんだが・・・気になってな」

出水「俺らも昼会ったときに気づいてたけど訊いていいのかちょっと迷ったもんな」

米屋「まあな。いきなり黒から銀色に変わってたらな・・・」

 

悠はそのことに少し考えこんで

 

悠「・・・大体の予想はつく。だが、済まないな。詳しくは俺もよくわからん」

緑川「・・・そうなの?」

悠「ああ・・・・・・だが・・・」

 

悠は指輪の形をしたトリガー『堕天の王(ルシファー)』を握りしめながら言う

 

悠「・・・こいつらが・・・なにか、したのかもな」

東「・・・・・そうか」

出水「・・・・・・」

米屋「悠・・・おまえ・・」

悠「フッ、なにしけた顔をしている。せっかく焼肉を食べに来たんだ。楽しんで食べるぞ」

緑川「・・・うん!そうだね!」

出水「・・・だな!」

 

そして悠たちの所に肉と野菜が到着するとそれぞれが網の上に並べる。悠は焼肉は初めてのため東などにやってもらっている

 

東「いいか、悠。基本的に豚と鶏は完全に焼けるまでは食っちゃだめだ」

悠「そうなのか・・・?」

米屋「ああ、生のまま食うと腹痛くなるぞー」

悠「そうか。なら、気を付けよう」

出水「んで、牛は多少生でもいけるから大丈夫だ」

悠「・・・ほう」

 

悠は何故豚と鶏がダメなのか気になったが今はそんなことよりも焼肉を楽しむということを優先した

 

緑川「あっ!悠先輩!このカルビはもういけるよ!はいっ!」

悠「ありがとう、緑川」

緑川「オレのことは駿って呼んでよ!」

悠「わかった。ありがとう、駿」

 

そう言って緑川は悠の小皿に焼けている牛カルビをのせる。悠はその牛カルビをあらかじめ入れておいたタレに少しつけて肉を口に運んだ

 

悠「・・・・・」

東「どうだ・・・?」

悠「・・・ああ・・・・・うまいものだな」

東「・・・そうか」

 

悠は牛カルビを食べてそう答えた。その顔はいつもよりも穏やかな顔だった

 

出水「おれも食う!」

米屋「ああっ!おれにもよこせ・・・!」

緑川「おれにも!」

東「ははっ、いくらでも食っていいからな」

悠「・・・・・」

 

出水、米屋、緑川による肉争奪戦が行われ、その隙を狙い悠が肉を掻っ攫う。その光景を東が笑いながら見て肉を食べた。そして全員がお腹いっぱいになり解散することとなった

 

悠「今回はありがとう、東。焼肉、本当に美味かった」

東「・・・そうか。また、いつでも連れて行ってやるぞ」

悠「ああ、ありがとう」

出水「悠、またウチの隊室に来いよ!」

悠「国近とも約束してるからな。必ず行こう」

米屋「・・・また、今度バトろうぜ!」

悠「ああ、そのうちな」

緑川「遊真先輩と三雲先輩に会ったらよろしく伝えてね!」

悠「言っておこう・・・」

 

そして、悠は東たちと別れて焼肉店を後にした。そして歩いていると悠はふと気分転換に三門市にある高台に行った

 

悠「・・・・・」

 

悠はその高台から三門市を見下ろし『堕天の王(ルシファー)』を握りしめた

 

悠「俺は・・・この街で、この世界で生きよう。お前たちと共に」

 

悠はそう誓いながら三門市を暫く眺めていた

 

 

 



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幕間4

更新を遅れてしまい申し訳ありません。
どうやってアフトクラトルに遠征させる設定にするか考えて更新に遅れてしまいました。
今回は短めになりました。


先日、悠は東、出水、米屋、緑川と一緒に焼肉を食べに行って少しずつ彼らと分かり合えた。

そして4日経った今日、悠はまた本部に呼ばれていた。悠は何回か行っている開発室に着いた

 

悠「鬼怒田、来たぞ」

鬼怒田「ようやく来おったか。来い、少しお前に会わせたい奴がおる」

悠は鬼怒田に言われてついて行った

 

悠「俺に会いたい奴ってのは・・・?」

鬼怒田「わしらが何を訊いても正確な事を言っているようにはおもえん。だが、おまえを連れてくれば本当の事を言うと言っておってな・・・」

悠「・・・・・」

そして悠は鬼怒田について行った。そして着いたの所には強化ガラスがありその中に

 

悠「・・・ラッドか?」

鬼怒田「ああ」

 

そこには、以前この三門市に潜入していた小型偵察用トリオン兵の『ラッド』だった。しかも、色が違う()()()()()

 

悠「どういうことだ・・・?」

鬼怒田「いま見せる。おい、寺島」

寺島「はい」

 

近くにいた寺島は目の前にある端末を操作した。するとラッドになにやらトリオンらしきものが注入された

 

【・・・・・・】

 

すると、ラッドの頭に()()()が生えてきて目が開かれた。そして

 

【・・・よぉ。遅かったじゃねえか】

悠「・・・お前は」

突然、ラッドから声が聞こえた。その声は悠も訊いたことのある声だった

 

【久しぶりじゃねえか・・・化け物よぉ】

悠「・・・そういうことか」

 

それは、悠の目の前で()()()()()()に殺されたエネドラの声だった

 

悠「どうやったんだ?」

鬼怒田「ああ、お前の指示で運んできたやつは()()()()()()()()

あれはやつの()をラッドに乗せかえた物だ。」

悠「・・・ほう?」

鬼怒田「やつらの角には移植された者の生体情報(データ)を収集する機能があるようでな。しかもこいつの角は脳ミソと一部同化しとった。人格や記憶まで保存されとったのはそのせいかもしれん」

悠「なるほどな」

そして悠は先ほど鬼怒田が言っていたことについて聞いた

 

悠「それで、こいつが俺になら本当の事を話すと言っていたのか?」

鬼怒田「ああ。何故だかは知らんがな」

悠「・・・そうか」

そして悠は寺島にこっちの声も届くようにして欲しいと言って、エネドラにも悠と鬼怒田の声が聞こえるようにした

鬼怒田「おい。連れてきたぞ」

エネドラ【ふん!遅えんだよ、玄界(ミデン)の猿が】

悠「・・・・・」

 

悠は静かにエネドラを見て確かに人格も受け継いでいるらしいなと思った

 

悠「鬼怒田から聞いた。俺には本当の事を言うらしいな」

エネドラ【ああ。おめえになら何でも話してやるよ」

悠「何故だ?お前が死ぬ原因になった人間に何故お前はそこまで協力的になる・・・?」

 

悠がそう聞くとエネドラは迷わず言った

 

エネドラ【そりゃあ、おまえならハイレイン共をぶっ殺せるからさ】

悠「・・・何?」

エネドラ【おれはおれを裏切ったあいつらがゆるせねえ!そのあいつらを唯一皆殺しに出来るほどの力を持ったてめえにならなんだって話してやるよ!】

悠「・・・寺島。一度、回線を切ってくれ」

 

寺島は一度悠に言われた通りエネドラとの回線を切りこっちの声があっちに聞こえないようにした

 

悠「鬼怒田、これは今度遊真を連れてきた方がいい。俺もある程度の嘘なら分かるが完璧に分かるわけじゃない。その点、遊真ならこいつの嘘も分かるだろう」

鬼怒田「なるほど。ならば今度連れてくるとしよう」

悠「ああ、その方がいい。今回は俺もこいつに訊きていことがあったからな」

 

そして寺島はまた回線を繋げエネドラと話せるようになった

 

悠「お前は確か・・・エネドラと言われていたか・・・」

エネドラ【おお、おれの名前をわざわざ憶えているとは光栄だねえ】

悠「茶化すな。今回、俺がお前に訊きたいことは一つだけだ」

 

そして悠はアフトクラトルにいたエネドラに気になっていたことを訊いた

 

 

悠「お前たちが今まで攫ってきた人間でこの街の人間はいるか?」

鬼怒田「・・・!?」

 

 

その言葉に鬼怒田、寺島が驚いたような顔をしていた。そしてその言葉にエネドラは答えた

 

エネドラ【ああ、いるぜ。玄界(ミデン)の猿は昔は捕まえやすかったからなー】

鬼怒田「・・・!貴様・・・!」

悠「そうか」

 

悠は()()()()がアフトクラトルの出身であるのをヴィザが言っていたのを知っていたが、今はそれよりも気になっていたことがあったので捕虜となったエネドラに訊いたのだ。アフトクラトルに三門市の人間が連れ去られたことがあるのかどうかという事を

 

悠「やはりそうだったか」

エネドラ【そりゃあ玄界(ミデン)には大量の猿がいるからな。連れ去れば捕虜に困ることはねえからな】

悠「基本的にどんな扱いをしている?」

エネドラ【まあ、言ってもそこまでいるわけじゃねえし正確な雑魚の数なんておれは知らねえがほとんど兵士として使われてんじゃねえの?】

悠はその他にも何個かエネドラに話を訊いて開発室での用を済ませた

 

悠「・・・・・鬼怒田。今城戸は司令室か?」

鬼怒田「・・・?ああ、今は司令室で今度の遠征の資料を見ているはずだ。なんだ?何か用でもあるのか?」

悠「ああ。少し用が出来た。今から行ってくる」

 

そして悠は鬼怒田と別れて本部の中を歩いて司令室の前までやってきた。悠は司令室のドアをノックする

 

コンコン

 

悠「失礼するぞ」

城戸「ああ」

 

悠は城戸の声を訊きドアを開けるとそこには机に向かい何かを見ている城戸がいた

 

城戸「何か用か?」

悠「ああ。今開発室に行ってきてな。あの捕虜に会ってきたところだ」

城戸「なるほど。それで・・・?」

悠は今会ってきたエネドラの話を城戸にした

 

城戸「・・・なるほど。やつの国に攫われた者たちが・・・」

悠「ああ。それで一つ提案がある。鬼怒田が言っていたが今次の遠征について考えていたんだろう」

城戸「ああ」

 

そして悠は城戸に一つある提案をした

 

悠「次の遠征先をアフトクラトルにするのはどうだ?」

城戸「・・・・・」

悠「基本的に遠征先をどこにするかは決めていないんだろう?それならば奴のいたアフトクラトルにしてはどうだ?アフトクラトルには三門市の人間もまだいるらしい」

城戸「どうやってアフトクラトルまで行く?」

悠「行くときには遊真からレプリカを借りていけばいい。レプリカは遊真と遊真の父と一緒に行ったことがあるらしいからな」

城戸「・・・空閑、有吾」

 

城戸は顔の傷を指で押さえていた。まるで古傷が痛むかのように

 

悠「これは提案だ。却下するならばそれでいい」

城戸「・・・いや。貴重な提案だ。道案内する者もいて行かなければならない理由も出来た」

 

城戸は悠を見て言う

 

城戸「おまえの提案を採用しよう。次の遠征先をアフトクラトルに決定する」

悠「そうか」

 

悠は自分の用事を済ませ司令室を出ようとすると城戸から声を掛けられる

 

城戸「悠、私からも提案があるのだがいいか?」

悠「・・・?なんだ?」

城戸「まず一つ、玉狛支部にいる雨取隊員を借りたいと思っている」

悠「千佳を・・・?」

城戸「ああ。雨取隊員がいれば遠征艇を更に大きくし遠征に行ける人数を増やせるからな。これが一つ目の提案だ。そして二つ目だが・・・」

 

城戸は悠の目を見ながら言った

 

城戸「・・・悠。次のアフトクラトル遠征にはおまえも同行してもらいたい」

悠「・・・S級隊員、(ブラック)トリガー使いを遠征に投入するのか」

城戸「先日の大規模侵攻で敵の戦力の一部を知ることが出来た。おまえが居たからこそ死者や攫われた人間をゼロに抑え込むことが出来たんだ。だが・・・敵の本拠地には今回の侵攻を遥かに超える戦力が待ち受けている」

 

城戸は話し続ける

 

城戸「(ブラック)トリガーが13本・・・この数を相手に捕虜にされている者たちを助け出すのははっきり言ってA級の遠征部隊でも不可能だ。それらに対抗できるのは唯一・・・おまえだけだ」

悠「・・・・・・」

城戸「・・・あくまでこれは提案だ。断るのならばそれで構わない」

悠「いや、自分から提案しておいて俺はこの街で残っているというのは理に適ってない。それに俺はお前の部下だ。提案というのは違うだろう・・・」

城戸「・・・・・そうだな。悠」

 

城戸は少し驚いたような顔をしたがしっかりと悠を見て言った

 

 

 

 

 

城戸「おまえは次の遠征に同行しアフトクラトルに捕らわれている捕虜の救出をしてもらう」

悠「ああ。了解した」

 

 

 

そして、ついに修たち『玉狛第二』の戦いが始まる

 

 

 




今後更新が遅れます。
今後は基本的に原作通りに修たち『玉狛第二』のランク戦にちょくちょく主人公を出していきたいと思います。
更新が中々出来ない状況になりますが、今後もあたたかく見守って頂けると嬉しいです。


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B級ランク戦編
18話


更新が遅れてしまい申し訳ありません!
今回からB級ランク戦が始まります。


林藤「千佳をB級に上げようと思ってる」

 

ある日、玉狛支部にいた修、千佳、遊真が林藤に呼ばれていた。そして唐突に千佳をB級に上げたいと言い出した。これには修たちも混乱した

 

修「どういうことですか?」

林藤「悠が貰った3000Pを千佳に移して昇級させるみたいだ」

遊真「ほう?悠の・・・」

修「そんなこと出来るんですか!?それに・・・なんで悠が貰ったポイントを・・・」

レプリカ【チカのトリオンは貴重だ。今回の大規模侵攻の様にまた狙われる可能性が高い。それを危惧しての事だろう】

林藤「レプリカ先生の言う通り。普通は出来ないが今回は例外的に『千佳に緊急脱出(ベイルアウト)を持たせるべき』って悠が上層部に進言したみたいでな」

千佳「・・・・・」

 

修たちは林藤の言葉に呆然としていた

 

林藤「まあ千佳のトリオンに関してはボーダーとしても放っておくわけにはいかないからな」

 

そして林藤は修たちにエールを送る

 

林藤「よし。2月の頭からいよいよランク戦が始まる。そこでB級部隊(チーム)『玉狛第二』のお披露目だ」

 

 

そして2月1日。ついに三雲隊(玉狛第二)のボーダーB級ランク戦が始まる

 

 

 

 

 

悠side

 

今日は2月1日、ついに修たちのランク戦での戦いが始まる。俺はそう思いながら基地内を歩いていた。

 

悠「そういえば、何やら今日は解説者というのを頼まれていたな・・・」

 

そのまま歩いていると目の前に今日の主役たちの姿が見えた

 

悠「修」

修「・・・!悠・・・!」

悠「千佳に遊真も中々似合ってるじゃないか」

遊真「サンキュー」

千佳「ありがとう」

 

目の前の三人の姿はすでに部隊(チーム)としての隊服となっていた。よく見ると修と千佳は何やらそわそわしていた

 

悠「修と千佳はまだ緊張しているか?」

修「・・・ああ」

悠「くくっ。お前たちならば問題ない。全力で勝ちに行ってこい。俺も観覧席で見ているぞ」

千佳「うん。ありがとう」

遊真「あれ?おれには・・・?」

悠「ふっ、おまえに必要か・・・?」

 

そんな冗談を話して修たちは準備室に向かっていった。そして俺は一足先にB級ランク戦のロビーに足を運んだ。すると、そこにはすでに何人かの隊員の姿があり既に座っていた

 

悠「少し早めに来たが随分といるものだな」

 

来ている隊員はB級に限らずC級も何人かいた。俺は解説者を頼まれており解説席に向かった

 

「・・・!おい、見ろよあの人・・・」

「この前、A級の米屋先輩や出水先輩たちと戦って圧勝した人じゃん・・・」

 

「改めて見ると、やっぱりちょっと怖いよね・・・」

「でも、かっこいいよね・・・」

 

俺が階段を降りていく途中でいろんな言葉が飛び交っていた。そして俺が解説席の所に着くとそこにはすでに誰かが解説席で何かをしていた

 

「・・・ぐふふ」

悠「・・・・・?」

 

そいつはオペレーターで見たことのない女だった。何やら解説席の端末で設定していた

 

「さてさて、今日の解説は確か佐鳥先輩と・・・」

悠「おい」

「わひゃ・・・!!」

 

俺が声を掛けるとそいつは変な声を上げて驚いていた。そしてゆっくり俺の方へ振り返った

 

悠「・・・どうかしたのか?」

「い、いえいえ!なんでもないですよ・・・!!」

悠「そうか」

 

そして気を取り直したようにそいつは俺に自己紹介をした

 

武富「す、すみません。少し作業をしていまして。わたしは武富 桜子と言います。B級海老名隊のオペレーターをしている者です!」

悠「そうか。急に話しかけて済まないな。俺は悠、今回解説者をやってくれと言われてな。それでここに来たんだが・・・」

武富「・・・!?そうでしたか!どうぞどうぞ。こちらに座ってください・・・!!」

悠「ああ、わかった」

 

そして俺は武富の座っている所の隣に座った

 

悠「それで、俺は何をすればいいんだ・・・?」

武富「えーっと、まずはこのヘッドホンを付けてください。これで戦闘状態がクリアに聞こえてこのロビーに自分の声が響くようになっています」

悠「なるほど」

武富「ランク戦まではまだ10分位ありますのでそれまではゆっくりしてください!」

悠「俺とあと一人は誰が解説者を務めるんだ・・・?」

武富「もう一人は佐鳥先輩が来てくれます・・・!」

悠「ほう。佐鳥か・・・」

 

そして悠はランク戦が始まるまで解説席でゆっくりしているとランク戦のロビーがどんどん隊員で埋まってきた。そして突然後ろから訊いたことのある声が聞こえてきた

 

「あら?もしかして今回の解説者は悠くんなの・・・?」

悠「・・・?お前は・・・」

武富「あっ!加古先輩・・・!」

加古「こんばんは、桜子ちゃん。悠くんも」

悠「加古か。久しぶりだな」

 

加古が俺の隣の通路に来て挨拶をしてきた。そこにはもう一人いた。背の低い少女、千佳と同じくらいか?

 

「・・・・・」

悠「・・・・・?」

俺は何やらこいつにジッと見られていた

 

悠「加古。こいつは・・・?」

加古「ああ。悠くんはまだ会った事無かったわね。この子はウチの隊の子でね。ほら双葉」

「・・・・・はい」

 

背の低い少女は俺を鋭い目で見ながら自己紹介をした

 

黒江「・・・黒江 双葉です」

悠「初めましてだな。俺は悠だ。よろしく頼む」

黒江「・・・どうも」

加古「あら・・・?」

 

そして黒江は加古の背中に隠れてしまった

 

加古「ごめんね、悠くん。普段はこんなに人見知りしないんだけど・・・」

悠「別に構わない。それより、どうして来たんだ?B級のランク戦に・・・」

俺がそう聞くと加古はくすっと笑いながら言った

 

加古「将来期待できる新人がいたらスカウトしたいと思ってね」

悠「なるほどな」

加古「でもラッキーだったわ。今回悠くんが解説するなんて知らなかったから」

悠「解説と言っても今回俺は初めて来たからな。あんまり期待はしないでくれ」

加古「ふふ。それでも楽しみにしてるわ。あとまた今度私の炒飯を食べに来てね」

悠「ああ。またご馳走してくれるのならばありがたく行かせてもらおう」

 

そう言って加古と黒江は上の席に行った。そして

 

佐鳥「ごめんごめん!遅れた・・・!」

武富「ギリギリセーフでしたね!あと悠さん!加古さんと知り合いなんですか・・・!」

悠「ああ。少しな」

 

そしてB級ランク戦の初日の戦いが始まるまであと少しとなった

 

 

 

 

 

 

 

加古と黒江は悠と話をした後ロビーの後方の席に座った

 

加古「双葉、どうしたの?悠くんにやけに人見知りしてたけど。あなた人見知りなんて滅多にしないでしょ?」

黒江「・・・・・」

 

加古は黒江が何故か悠に人見知りしていたのかを訪ねた。すると黒江は言葉を詰まらせながらも言った

 

黒江「・・・自分でもよくわかんないんです」

加古「・・・え?」

黒江「最初は加古先輩に馴れ馴れしくしてるのが気に食わないと思ってたんですけど。自分でもなんだかそれが違う事に気づいて・・・それでなんなんだろう・・・」

加古「・・・・・えーっと」

黒江「・・・すみません。わたしにも分からないんです。でもなんだか・・・怖いんです。よくわかんないんですけどあの人が怖いんです」

加古「・・・・・」

 

加古は黒江が言っていることを訊いて

 

加古(双葉は山育ちだから、もしかしたらそういうのを無意識に感じちゃってるのかもしれないわね・・・)

 

加古は持ち前の観察力から悠が何となく普通の人生を送ってきていないというのを感じ取っていた。もしかしたら黒江も山育ちゆえのそう言う感覚が敏感になっているのかもしれないと思った

 

加古(・・・これに関しては時間で解決するかどうかね。私的には双葉にも悠くんと仲良くしてほしいし。ただまあ、悠くんって天然だからもしかしたら・・・)

 

そこまで考えて加古はもう少しでランク戦が始まると思い今はとりあえず悠の初めての解説を訊こうと思った

 

 

 

 

 

 

 

 

悠side

 

加古と話し、そのあとに佐鳥が遅れてきた。そして少し準備をしてついにその瞬間がきた

 

武富「ボーダーのみなさんこんばんは!海老名隊オペレーターの武富 桜子です!

B級ランク戦新シーズン開幕!初日・夜の部を実況していきます!本日の解説は・・・

『オレのツイン狙撃(スナイプ)見た?』でおなじみ!嵐山隊の佐鳥先輩!」

佐鳥「どーもどーも」

武富「そして、こちらにいるもう一方・・・

先日の近界民(ネイバー)大規模侵攻で大活躍しましたS級隊員!悠さんです!」

悠「よろしく頼む」

武富「今回はこのお二方と解説をしていきたいと思います!」

そして今回のランク戦の隊員たちが転送された

 

武富「それでは初日という事で佐鳥先輩。簡単にB級ランク戦の説明をお願いします!」

佐鳥「OK、桜子ちゃん!

B級って上位、中位、下位って三つにグループ分けされてんのね。今、21部隊(チーム)だからちょうど7部隊(チーム)ずつ。

そんでグループん中で三つ巴・四つ巴のチーム戦をやってバリバリと点を取り会うわけ」

悠「なるほど。それで隊員たちは他の部隊(チーム)の隊員を倒せばいいのか・・・?」

佐鳥「その通り!よその隊員を倒せば一人に付き1点。最後まで生き残った部隊(チーム)にはボーナス2点。これだけ!

点取って順位を上げて上のグループを目指せ!B級の1位と2位はA級への挑戦権がもらえる!がんばれ!おわり!」

 

佐鳥はそう言って締めくくった。本当に簡単に説明したな

 

武富「佐鳥先輩ありがとうございます!・・・一つだけ補足させていただくと前シーズン上位だった部隊には順位に応じて初期ボーナスが付きますのでその分有利がありますね!」

佐鳥「それそれ!」

 

そしてモニターにはすでに転送された遊真たちの姿があった

 

武富「さあ!吉里隊、間宮隊、玉狛第二、転送完了!すでに戦いは始まっている!

さて、今回初めての解説という悠隊員ですがどこか注目している部隊はありますか?」

悠「そうだな・・・」

 

ここは公平に言いたいところだが・・・

 

悠「やはり初めてのランク戦ということで玉狛第二だな。どんな戦い方をしてくるのか楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

悠がそう言っていた頃、目の前のモニターではバラバラに転送された遊真の所に吉里隊の2人が既に着いていた吉里隊の2人は遊真に向かっていたが遊真はすぐさま手にスコーピオンを出し2人の首を斬り落とした。その光景を見ていた観客席では

 

武富「!!?は!!?早い!!吉里隊の2人があっという間に全滅!?残された吉里隊は隊長一人だ!というかなんだあの動きは!吉里隊長は今は・・・」

 

そしてその頃吉里隊の隊長は別の所にいた修と戦っていた

 

武富「なんと別の所で玉狛第二の隊長三雲隊員と交戦中!隊長同士の戦いどうなる!」

 

吉里と修の戦いは吉里の方が有利に見えた。吉里の銃が修を狙い撃ち続けられる

 

修「くっ!?」

 

修はそれを苦しながらに避けていた。そして修はとうとう壁際に追い込まれていたが

 

悠「・・・修。おまえならば出来るはずだ」

 

悠は静かに小さく口ずさんだ。彼の勝利を確信して。

吉里は修を仕留めるために追い打ちを掛けようと彼に近づいた。いや、()()()()()()()()。次の瞬間、吉里の両脇からアステロイドが出てきて吉里に当たり左足を喪失した

 

修「うおおおお!」

「!!?」

 

修はその隙を見逃さず手に持っているレイガストのスラスターをオンにして吉里に一気に近づき吉里を真っ二つにした。そして吉里は緊急脱出(ベイルアウト)した

 

武富「なんと吉里隊長も緊急脱出(ベイルアウト)!これで吉里隊は全滅してしまった!・・・しかし、あのアステロイドは・・・」

悠「簡単な話だ。吉里は自分の所の隊員が緊急脱出(ベイルアウト)したことに焦りを感じそのことを逆に修に利用されたんだ。吉里は修を倒すことしか頭になかったようだからな。それをいち早く感じた修が時間差で発射されるアステロイドを両脇に仕込んでおいた。修はあまりトリオン操作が得意というわけでは無いからな」

佐鳥「もしそれでも当たらなかったらどうするつもりだったんだ・・・?」

悠「修は他にも考えていたんだろう。まあ、その答えは修にしか分からんがな」

武富「そう言う事でしたか・・・さて!残ったのは玉狛第二と間宮隊だ!」

 

そして間宮隊は建物の物陰に隠れていた

 

「あいつ緑川に勝って噂になってたやつだぞ」

「あのメガネも風間先輩と引き分けてたってやつだ」

「まともに当たるのは良くないね」

武富「・・・っと動かない!間宮隊建物に身を隠して動かない!」

佐鳥「これは『待ち』っすね。寄ってきた所を全員の弾で削り倒す感じじゃないすか?」

武富「なるほど!間宮隊は全員が射手(シューター)!三人同時両攻撃(フルアタック)が決まれば強力です!これは迂闊に手は出せないか・・・!?」

悠「残念ながらそうはいかないだろうな」

武富「・・・え?」

 

その頃、玉狛第二の作戦室にいたオペレーター宇佐美は

 

宇佐美「千佳ちゃん。あの建物を撃ってくれる?」

千佳【・・・はい!】

悠「そこは千佳の射程範囲内だ」

 

次の瞬間、モニターに極太のレーザーが見えた。千佳がアイビスで撃ったためだ

 

「うおあ!!?」

武富「どああ!!?なんだコレは!!」

佐鳥「出たあ!!」

 

千佳が撃ったレーザーの先には間宮隊が隠れていた家があり家はレーザーによって木っ端みじんに崩壊し間宮達も吹き飛んだ。そしてそこに既に到着していた遊真が間宮隊を斬り刻んだ

 

武富「しょ・・・衝撃の結末!!狙撃手(スナイパー)雨取隊員がアイビスで障害物を粉砕!!というか威力がおかしいぞ!?

生存点の3点を含めて一挙9得点!?強い!強いぞこのチーム!!この一戦で暫定順位は12位まで急上昇!早くも中位グループに食い込んだ!この勢いでどこまで行けるか玉狛第二!水曜日に当たる第2戦の相手は・・・

暫定順位10位荒船隊!そして同じく8位の諏訪隊!B級に現れた新星の戦い、次回も大注目です!」

 

 

 

 

 

悠side

 

陽太郎「しょくん!きのうは初しょうりおめでとう!」

昨日のB級ランク戦を終えて翌日、俺は玉狛第二に来ていた。遊真たちの初勝利を祝うのに何故か俺は呼ばれた

 

悠「予想はしていたが見事な勝利だった。修も一皮むけたんじゃないか・・・?」

修「あはは・・・ありがとう」

烏丸「確かにな。まさか自分で倒すとはな・・・すごいじゃないか」

修「・・・ありがとうございます」

悠「千佳も見事に吹き飛ばしたな。すごかったぞ」

千佳「ありがとう、悠くん」

 

そして話していると小南が俺に突っかかってきた

 

小南「悠!あんた最近全然ウチに来てないじゃない!たまに来なさいって言ったでしょ!」

悠「悪いな、小南。最近本部で結構立て込んでいてな」

小南「なら、しょうがないから許してあげる。その代わり今度あたしの買い物に付き合いなさい!」

悠「ああ、わかった。今度付き合おう」

小南「ほんと!ぜったいよ!」

悠「ああ。約束だ」

 

俺がそういうと小南は後ろを向きガッツポーズをしていた。そして話していると

 

小南「あんたたちは今回は勝ったけど油断は禁物よ。

あんたたちが蹴散らした下位グループとは違って水曜に戦うB級中位グループはそこそこまあまあよ。部隊ごとに戦術があってちゃんと戦いになってるわ」

修「『そこそこまあまあ』・・・?」

遊真「ふむ。じゃあ上位グループは?」

小南「上位グループはかなりまあまあ。どの隊にもA級レベルのエースがいるわ。A級にいたことある隊もあるし名実ともにA級予備軍ね」

遊真「・・・じゃあA級は?」

小南「A級は・・・全力でまあまあね」

遊真「まあまあしかいないじゃん」

修(小南先輩負けず嫌いだな・・・)

 

小南はそう言っていた。確かに・・・

 

悠「確かに油断は出来ないな。俺は以前、荒船や他のB級とも戦ったことがあるが少なくとも今の千佳や修よりはずっと戦いというものを知っている奴らだ」

烏丸「舐めてかかれる相手じゃないぞ」

遊真「おれたちが次に当たるすわ隊とあらふね隊ってどんな部隊なの?」

烏丸「諏訪隊は・・・」

「京介」

 

突然声が聞こえ声のした方を見るとそこには木崎が立っていた

 

木崎「なんでもかんでも教えるな。自分たちで調べされろ」

烏丸「レイジさん・・・」

木崎「作戦室に過去のランク戦のデータがある。宇佐美が来るまで見ておけ」

修・千佳「はい!」

遊真「了解」

 

そして遊真たちは行った。小南は修たちがデータの見方知らないからついて行くと言った。行くときに「今度絶対に付き合いなさいよ!」と言っていたから必ず行くと約束した

 

悠「さて、俺はまた本部に行ってくる。太刀川や陽介たちが勝負しろ勝負しろとうるさいからな」

烏丸「そうか。また来いよ」

木崎「今度美味いものでも作ってやる」

悠「ああ、今度ごちそうになろう」

 

そして俺は玉狛第二から出て本部に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

玉狛で修たちが作戦を考えようとしている頃他の部隊も同じく別の所で対策を考えていた。諏訪隊は

 

諏訪「玉狛第二ってあれだろ?あの白いチビがいるところだろ?」

堤「風間さんと引き分けたメガネくんがいる部隊です」

笹森「昨日の試合見てないんですか!?狙撃手(スナイパー)の子がヤバいんですよ!」

小佐野「全員しら~~ん」

 

ボーダー本部のラウンジで次のランク戦の作戦を考えていた

 

諏訪「おお!!?おおお~!!」

 

諏訪たちは昨日の修たち玉狛第二の映像を見ていた。その口からは驚きの声しか出ていなかった

 

諏訪「なんだこりゃ大砲じゃねーか!!」

笹森「この空閑君もやっぱりすごいですね」

小佐野「どっちもちっちゃい」

笹森「隊長の三雲って人も一人倒してますけどやっぱりこの二人がこの隊のキーマンだと思いますね」

堤「そういえば今思い出しましたけど悠くんって確か玉狛によく通ってるみたいだから何か知ってるかもしれませんね」

小佐野「?そうなの・・・?」

諏訪「・・・誰だ?その悠って・・・?」

 

諏訪がいきなり訊いたことのない名前を訊いて堤に訊き返した

 

堤「ああ。そういえば諏訪さんはまだあった事無いんでしたね。悠くんってあのこの前米屋や出水たちと戦って勝ってたあのS級隊員ですよ」

諏訪「なに!あいつそうなのか!てかなんでお前があいつのこと知ってんだ・・・?」

堤「・・・・・まあ、いろいろありまして・・・」

 

諏訪がどうしてと訊くと堤はとても苦い思い出があるような顔をした

 

小佐野「へえー。悠くんって玉狛の人たちとも仲いいんだ」

諏訪「小佐野もあいつの事知ってんのか?」

小佐野「うん。この前開発室にあの大規模侵攻のデータを提出しに行くときに開発室の中にいたんだ~」

諏訪「くっそ~!あいつを勧誘したかったのにー!!」

堤「無理ですよ。彼S級なんですから・・・」

 

諏訪隊がラウンジで作戦を立てている頃荒船隊は自分たちの作戦室にいた

 

穂刈「やべえな。何回見てもこの威力」

半崎「オレこの子訓練で見ましたよ。そん時はイーグレット使ってたけど」

荒船「基地の外壁をぶち破ってた子だな」

 

荒船隊も諏訪隊と同じく昨日の修たちの映像を見ていた

 

穂刈「来たか?狙撃(スナイパー)界に新しい波が」

半崎「この威力で狙撃ポイント潰されまくったらダルいすね」

荒船「それは大丈夫だろ。ド派手すげて居場所が丸わかりだ。二発目を撃つ前に補足できる」

加賀美「クガくんのデータあったよ。緑川くんとソロ戦してるやつ。ミクモくんのもあったけど10-0で負けてた」

半崎「ミクモって射手(シューター)でしたっけ?今回のでもそんなに戦ってないし」

荒船「データは全部出しといてくれ。動きの癖を頭に叩き込む。あとは・・・()()()()()()()()()だな・・・」

 

そして、その頃悠は

 

悠「どうした太刀川、公平、陽介。もうギブアップか?」

太刀川「はは。冗談」

出水「まだまだ!」

米屋「これからだぜ・・・!」

悠は現在B級、A級の模擬戦のロビーで太刀川、出水、米屋を相手にしていた

 

悠「フッ、ならば遠慮する必要などないな。さあ、いくぞ・・・」

太刀川「上等だ!」

出水「よっしゃー!」

米屋「こいや!」

 

それぞれが様々な事をして時間が過ぎていきそしてB級ランク戦ROUND2が始まろうとしていた

 

 

 

 

 

 




これからも少し更新が遅れてしまうと思いますがこれからも暖かく見守って頂けたらと思います。


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19話

2月5日水曜日。今日はB級ランク戦の2戦目が行われる日。ランク戦のブースには夜だというのに既に何人ものボーダー隊員もの姿があった

 

武富「B級ランク戦新シーズン!二日目・夜の部がまもなく始まります!実況は本日もスケジュールがうまいこと空いたわたくし武富桜子がしたいと思います!」

 

ランク戦のブース内に突然女性の声が聞こえてきた。以前、悠が解説をした時にもいた武富桜子である。今日も彼女が進行する様だ

 

武富「解説席には先日の大規模侵攻で多大な活躍をされた東隊の東隊長と草壁隊の緑川くんにお越し頂いております!」

東「どうぞよろしく」

緑川「どもっす」

 

武富の隣には東と緑川が座っていた。どうやらこの二人が今日の解説役のようだ。東が解説するという事で見ようか迷っていた隊員たちも続々とブース内に入ってきた。中には

 

嵐山「彼らがどんな戦いをするのか楽しみだな!」

時枝「ですね」

木虎「・・・・・」

 

米屋「双葉ちゃん!こっちこっち!」

黒江「・・・どうも」

武富「今日の注目はなんと言っても前回完全試合で9点をあげた玉狛第二!注目度の高さからか会場にもちらほらと非番のA級の姿が見られます!」

 

そう。会場には普段はあまり防衛任務などで来ることのないA級隊員が所々いたのだ

 

武富「さて、東隊長。試合開始までまだ時間がありますので今回の注目ポイントはどんなところでしょうか・・・?」

東「やっぱり玉狛ですかね。1試合で9点というのはなかなかないですからね」

武富「それだけ玉狛第二が新人離れしてるということでしょうか?」

緑川「遊真先輩は強いよ。あっという間にB級に上がったし」

 

解説席でそんな話をしている頃後方にいた嵐山たちは

 

嵐山「さて、三雲くんたちがどんな戦いをするのか・・・」

木虎「そうですね。前回は全勝しましたが・・・今回は以前と部隊とは違いますからね」

時枝「荒船隊は狙撃手(スナイパー)だけの遠距離特化チーム。諏訪隊は攻撃手(アタッカー)の笹森を主軸にしたチーム。この異なった二つのチーム相手にどんな作戦を立てて来るか・・・」

嵐山「ああ!彼らの進化が試されるな!」

 

嵐山たちはそう考えていた。するとその時彼らの後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた

 

「ほう。今回はお前たちも見に来ていたのか。嵐山」

嵐山「・・・!君は!」

 

突然聞こえてきた声に驚き嵐山たちが後ろを振り返るとそこには悠が立っていた

 

木虎「悠くん・・・!」

悠「木虎、久しぶりだな。嵐山に時枝も」

嵐山「久しぶりだな、悠くん!」

時枝「ひさしぶり」

木虎「悠くんも見に来たの?」

悠「ああ。今回の相手は修たちにとっても戦ったことのない相手だからな。どんな戦いをするのか見に来たんだ」

 

どうやら悠は修たちが心配で見に来たようだ

 

悠「・・・しかし、今日はずいぶん観客が多いな」

嵐山「ああ!今日は東さんが解説をしてくれるからな!」

悠「・・・なるほど。今日の解説は東と駿か。

嵐山、済まないんだが他に座るところがあまりないらしい。ここに座っても大丈夫か?」

嵐山「ああ!木虎の隣が空いてるぞ!」

悠「木虎。隣に座っても大丈夫か?」

木虎「えっええ。大丈夫よ」

悠「失礼するぞ」

 

そして悠は木虎の隣が空いているのでそこに座った。木虎は隣に悠が座って少しどきどきしていた。木虎はふいに思わず悠の髪に目がいってしまった。以前は黒かった髪が銀色に変わっていれば誰でも気になるものだ。悠は木虎の視線に気づき少し苦笑いをした

 

悠「・・・気になるか?」

木虎「!?ごっごめんなさい。つい見てしまって・・・」

悠「別に構わないさ。突然髪の色が変わっていれば誰だって気になるものだ」

木虎「・・・その髪は大規模侵攻で?」

悠「ああ。そうだ。トリガーを使っていたらいつの間にか変わっててな。俺も戦っている最中は気付かなかった」

木虎「・・・そう」

 

そこで会話が途切れてしまった。木虎はもっと悠と話をしたいと思っているのだがこれ以上彼の事情を訊いてはいけないと思ってしまっていた。自分が訊いても何もできない。その情けなさに木虎は腹が立っていた。その時

 

悠「・・・大規模侵攻では助かった。ありがとう木虎」

木虎「・・・え?」

悠「お前が修たちの所にいてくれたおかげで修も千佳も誰も傷つかずに済んだ」

木虎「そんな。わたしは・・・」

悠「お前だ。お前がいてくれたからなんだ。本当にありがとう」

木虎「・・・!ええ」

 

木虎は胸の中が熱くなった。『木虎がいたから』。そんな言葉を初めて言われとても嬉しかったのだ

 

悠「今度何か礼をさせてくれ」

木虎「そっそんな!いいわよ別にお礼なんて・・・」

悠「させてくれないか?」

木虎「・・・!それじゃあ。今度嵐山隊の部屋に来て。それで私と戦ってほしい」

悠「・・・・・ああ。わかった。必ず行こう」

木虎「ええ!」

 

そう言って木虎はとても嬉しそうな顔で答えた。そしてついにランク戦が始まる時間になった

 

武富「さあステージが決定されました!玉狛第二が選んだステージは・・・」

 

画面が変わり映し出されたのは傾斜の激しい市街地だった

 

武富「『市街地C』!坂道と高低差のある住宅地ですね!」

悠「・・・ほう」

東「・・・!?」

武富「しかしこれは狙撃手(スナイパー)有利なステージに見えますが?」

東「狙撃手(スナイパー)有利・・・ですね」

武富「道路を間にはさんで階段状の宅地が斜面に沿って続く地形です。登るにはどこかで道路を横切る必要があるので狙撃手(スナイパー)が高い位置を取るとかなり有利ですね。

玉狛には超強力な狙撃手(スナイパー)がいますが高台を取ればあるいは・・・という作戦でしょうか?」

東「う~んどうだろう・・・狙撃手(スナイパー)としての熟練度が違いますからね。そう簡単にはいかないでしょう」

緑川「こりゃあ狙撃手(スナイパー)がいない諏訪さん切れてるだろーなー」

 

その頃それぞれの作戦室でもマップが公開され緑川の予想通り諏訪は切れていた

 

諏訪「はぁ!?市街地『C』!?くそMAPじゃねーか!」

堤「こりゃなかなかきつい・・・」

笹森「玉狛は狙撃が怖くないんですかね?」

小佐野「スタートはバラバラだからまだチャンスあるよ」

諏訪「取られる前に全力で高台取るしかねーな!ここで勝ちゃ上位入りだ!やるぞ!」

「「「おう!!」」」

 

他の荒船隊の作戦室でもマップを見て訝しんだが特に気にせずやることにしていた。そして玉狛第二は

 

宇佐美「よし!みんな!準備はいいね!」

修「あれこれ考えたら逆に混乱してきました」

千佳「いっぱい調べて作戦立てたんだもん。だいじょうぶだよ」

遊真「心配すんなって」

宇佐美「負けても死ぬわけじゃないよ。自分たちが考えた事をしっかりやっといで」

修「はい!

よし・・・行こう!」

 

そしてそれぞれの部隊が市街地に転送された頃、観客席では木虎が難しい顔をしていた

 

木虎「市街地『C』・・・どういうつもりなのかしら。事前に相手の情報は調べているはずなのに・・・まさか狙撃戦で勝てると三雲くんは思っているのかしら?」

悠「修はそこまで馬鹿ではない。何か作戦があるのだろう」

木虎「悠くんはなにか聞いてないの?時々玉狛支部に行っているのでしょう?」

悠「俺もそこまでは聞いてないさ・・・だが、修は作戦も無しに突っ込みはしないだろう」

嵐山「なるほど!楽しみだな!」

 

そんな話をしているとモニターに映し出された映像に動きが出た

 

悠「どうやら諏訪隊は先に上を取られたくはないらしいな」

 

そう。当然だが狙撃手(スナイパー)だけで形成されている荒船隊は当然としてその荒船隊を警戒している諏訪隊も荒船隊よりも先に上を取った方がいいと判断したようだ。だが玉狛は

 

武富「どうやら玉狛は部隊(チーム)の合流を優先したようだ!」

東「転送直後は一番無防備な時間帯ですからね。合流するのはありです」

 

そして玉狛は他よりも先に合流して行動した。その頃少しでも早く上へ行こうとしている笹森は少し焦っていた

 

笹森(このままじゃ荒船隊に上を押さえられる・・・!転送位置が悪かった。急げ・・・!)

 

そう思っている笹森は急いでいたが

 

悠「・・・その焦りは危険だな」

 

笹森が建物の間から出ようとした時後ろから服を掴まれた。次の瞬間目の前に狙撃と思われるトリオン弾が飛んできた。もう少し遅れていれば笹森はランク戦開始早々緊急脱出(ベイルアウト)していた

 

笹森「!?諏訪さん!」

諏訪「飛び出すな。壁に張り付いてねーと死ぬぞ」

 

寸前で諏訪が笹森を助け出していた

 

武富「笹森隊員間一髪!」

東「穂刈の牽制ですね。躱されましたが諏訪隊は進みづらくなった。いい仕事です」

武富「この隙に荒船隊長も脇をする抜けて登っていく!荒船隊が完全に上を取った!」

 

そして荒船が上を取った瞬間下から巨大な砲撃が荒船を襲った。そこを見るとすでに合流していた修たちがいた。荒船隊はすぐさま修たちを撃ったが修がシールドでいくらか防御していた

 

修「・・・もう一発だ千佳!今光った所を狙え!」

千佳「うん!」

 

撃たれていた修は千佳にもう一度指示してもう一発荒船の所に狙撃した。もっとも千佳の場合、狙撃ではなく砲撃だが

 

悠「・・・なるほど。修も考えたな」

木虎「?どういうこと?」

悠「確かに千佳の砲撃は誰から見ても脅威だ・・・だがな、つい最近までC級だった人間をいままで戦ってきた者たちはどう見る?」

嵐山「なるほどな。トリオンは脅威だがはっきり言って狙撃の腕などを総合すると自分たちに比べればまだまだだな」

悠「その通りだ。結局は修もましてや千佳も戦闘においては素人も同然だ。もちろん狙撃もな。それを頭では荒船隊も理解している。

・・・だがな、どんなに頭で理解していてもやはり考えてしまうんだ。『彼女を放っておいては危険だ』・・・とな。だからこそ荒船隊も千佳に思わず注意を向けてしまう。いや、()()()()()()()んだ」

時枝「()()()()()()()?誰に?」

悠「決まっている。修にだ」

木虎「・・・え?」

 

そして目の前のモニターには予想もしなかった展開がきり広げられていた

 

加賀美【荒船君】

荒船「!」

 

突然加賀美からの呼び声が聞こえ警戒をしたが既に遅かった。なんと千佳に注意を向けていた荒船はその隙を見て上に登ってきていた諏訪に気づくことが出来なかったのだ。諏訪は荒船に散弾銃型のトリガーを放ち荒船は避けたが右足に受けてしまった

 

諏訪「はっはぁ!よォ荒船!!」

荒船「チッ・・・!!『2対1』か・・・!!」

武富「あーっと!!砲撃の陰で諏訪隊が登ってきていた!!」

東「さっきの砲撃は諏訪隊の援護ですね。長距離戦で荒船隊に勝てないのは織り込み済み。ステージの選択から敢えて状況を荒船隊有利に偏らせることで諏訪隊と玉狛第二の利害を一致させた。玉狛第二は地形戦をよく練ってますね」

 

そう。修は元から荒船隊と互角で戦りあおうとは思っていない。相手の有利を逆手に取り諏訪隊とその場限りの共闘をするように仕向けたのだ

 

木虎「・・・・・」

悠「あいつは戦いとは力だけがすべてではないことを分かっている。今回限りだが地形の理解、敵の戦術、そして三つ巴のメリット。それらで自分は戦う、戦えるとわかっているんだ。それが修の戦い方だ」

嵐山「・・・すごいな!三雲くんは!」

悠「ああ。さてここからはお前の出番だぞ、遊真(エース)

 

そしてここから玉狛、修たちの追撃が始まった

 

修「千佳はここから別行動だ!絶対に顔を出すな!宇佐美先輩の指示を聞いてもしぼくたちがやられたら緊急脱出(ベイルアウト)しろ!」

千佳「・・・うん。わかった!」

修「空閑!点を取りに行くぞ!」

遊真「おう!」

 

そして千佳が修たちと離れて修も遊真と別れたあと荒船は諏訪に狙われていた

 

武富「荒船隊有利から一転!玉狛の砲撃を隠れ蓑にして諏訪隊が獲物に食らいついた」

 

そして荒船は防戦一方だったがその時荒船の後方にあった高めの建物から諏訪の頭に狙撃が入った。諏訪の頭にヒットしたかに見えたが諏訪は自身の顔の部分にのみシールドを張って無傷だった

 

悠「ほう。あの諏訪という奴も中々な男だな」

武富「なんと諏訪隊長!ヘッドショットをピンポイントで防御!」

東「半崎の狙撃の正確さが仇になりましたね」

武富「なるほど!」

 

だが諏訪も荒船や半崎に気を取られすぎたのか真横からの穂刈の狙撃を避けきれず左足を失ってしまった

 

武富「さらに一発!今度は防げなかった!目の前の荒船隊長に追いつけない!しかしこれで荒船隊は全員の居場所が割れた。この距離でこれはでかいですよ」

東「諏訪も脚の一本くらいは必要経費と思っているのでしょう」

 

そして半崎の元に堤が追いつこうとしていたがその前に

 

加賀美【下から来る!気を付けて!】

半崎「見えてますよ。堤さんでしょ?」

加賀美【違う!玉狛よ!!】

 

すでに遊真がバックワームで身を隠し迫ってきていた。遊真は高速で半崎に近づき斬りかかるが半崎はすでに遊真の動きを映像で見ていたからギリギリ躱せていた

 

半崎「うお。速っえ!」

遊真(急所を外された。もう一発・・・!)

 

だが、堤もすでに到着していた。半崎と遊真に対してまとめて仕留めようとしたが遊真は避け半崎だけが緊急脱出(ベイルアウト)した

 

武富「半崎隊員緊急脱出(ベイルアウト)!」

東「狙撃手(スナイパー)は寄られるとこうなります。寄られちゃだめですね」

 

そして堤は遊真も仕留めようとした。遊真は素早く避けながら徐々に堤に近づいていた

 

堤(速い・・・!でもそのくらい動けるのはもうしってるんだよ)

 

堤は遊真の行動を先読みし遊真は空中に飛んだ先に照準を合わせた。だが、遊真はその時突然元居たところに軌道変更してそのまま堤に近づき堤を真っ二つにした

 

武富「おおお!?今の動きはグラスホッパー・・・!?空中機動を可能にするジャンプ台トリガー!前回は使っていなかった気がしましたが・・・!?」

緑川「オレが教えました。昨日」

 

悠「遊真も新しいトリガーを使ってきたか」

時枝「昨日の覚えたてにしては随分うまいね」

悠「あのトリガーはあいつが持ってる(ブラック)トリガーに似たような物があるからな」

 

そして遊真はそのまま荒船たちが戦闘を行っている所に向かって走り出したが、その途中で遊真に一本の弧月が襲い掛かる

 

遊真「()()()で来たか・・・まあそれはそれで」

荒船「クソ生意気な新人(ルーキー)だ。ぶった斬ってやるぜ」

 

そして荒船と遊真のエース同士の斬りあいが始まった

 

武富「さあ!剣も狙撃もマスタークラス!武闘派狙撃手(スナイパー)荒船隊長!

攻撃手(アタッカー)から狙撃手(スナイパー)という異色の経歴の持ち主です!たしか私がB級に上がった頃には荒船隊はすでに狙撃手(スナイパー)3人部隊だったと記憶していますが・・・」

緑川「荒船さんは8ヵ月前まではバリバリの攻撃手(アタッカー)で順位もかなりよかったよ。今もたまに弧月でランク戦やってるし」

 

嵐山「彼が攻撃手(アタッカー)を辞めたと知った時驚いたものだ」

悠「ほう?そんな経歴があったのか」

木虎「そうね。わたしも最初はどうしてと思ったわ」

 

荒船は遊真と斬りあいをしていた。遊真の持つスコーピオンと荒船の持つ弧月では刃の硬度が違い遊真は積極的に行けずにいた。そして遠くにいた穂刈も荒船の援護に狙撃をしている

 

加賀美【諏訪隊の2人がレーダーから消えてる。奇襲警戒!】

穂刈「登ってこれねーだろ諏訪さんは。吹っ飛ばしたからな片足。来るとしたら・・・」

 

そして穂刈の元に諏訪と別れていた笹森が来ていた

 

笹森「穂刈先輩をマークしました!」

穂刈「この野郎。忙しいんだよオレは」

 

そして戦場は徐々に傾き始めていた

 

武富「諏訪隊も二手に分かれそれぞれ得点を狙う!状況が混沌としてきた!」

東「各隊ここが勝負所ですね。荒船隊は二人ともマークされていて諏訪隊もバラけた。これは玉狛が当初から狙っていた状況にかなり近いはず。

最大のチャンスをものにできるか、逆にそれを跳ね返せるか、あるいは自分たちのチャンスに変えられるか。荒船と空閑のエース対決を中心にしておそらくここで決まります」

 

そして荒船と遊真の対決は佳境に差し掛かっていた

 

木虎「悠くんは荒船さんと空閑君、どっちが勝つと思う?」

悠「さてな。俺は遊真の戦闘能力は知っているが荒船は狙撃手(スナイパー)としての実力しか知らない。

・・・だが、そうだな。純粋な()()というものに関して言えば遊真の方が知っているだろう」

嵐山「・・・?それはどういう」

悠「見ていれば分かる」

 

そして修はある程度の距離にいて自分がいるという精神的攻撃を与え下手に荒船隊の2人に動かせないようにしていた

 

穂刈(三雲の射線がジャマで制限されてるな、逃げ場が。追いつかれるぜ)

 

事実、穂刈も修に意識を持っていかれ下手に動けなかった

 

穂刈「・・・おい、笹森。いいのか?諏訪さんについてなくて・・・それとも()()()()()?戦力的に。お前じゃ勝てねーもんな荒船には」

 

穂刈は笹森にわざと声を掛けイラつかせようとしたが

 

笹森「そうすね。でも、今は穂刈先輩をおさえるのがオレの役目なんで」

 

笹森は冷静に穂刈の問いに答えた。知っていると。穂刈も以前から知ってはいるからこんなに冷静な男だったかと意外に思った

 

穂刈「・・・こりゃ死んだなオレ」

 

穂刈はそう言いながら咄嗟に遊真に銃口を向けて撃った。遊真は突然の狙撃に対処しきれず左肩の部分をもろに受けた

 

武富「穂刈隊員捨て身の狙撃!?」

 

今この瞬間会場の誰もが遊真が負ける。そう思った

 

緑川「まだだよ」

悠「やれやれ」

 

・・・この二人を除いて。遊真は自身の後ろに上に飛ぶようにグラスホッパーを設置した

 

荒船「逃がすか!!」

 

だが、これは遊真の罠だった。遊真はそのままグラスホッパーを踏むと思わせてそのまま後ろの壁を蹴り一気に荒船に近づいて両足を斬り飛ばした

 

緑川・東「上手い!」

 

【警告。トリオン漏出莫大】

荒船(この場面でフェイントのためだけにグラスホッパーを・・・!?このチビ、戦い慣れしすぎだろう・・・!!)

 

そしてその場に諏訪も現れ二人を一気に倒そうと思っていた。遊真はすぐにその場を離れ家の屋根に登ったが

 

修「空閑!笹森先輩がそっちに向かった!カメレオンを起動!宇佐美先輩サポート頼みます!」

宇佐美【OK!遊真くん真後ろのちょびっと左!すぐ来るよ!」

遊真「了解」

 

そして遊真は笹森が攻撃しようと顔を出した瞬間に殺そうと考えていたが、その時突然遊真に誰かに抱えられたように浮き上がった。笹森がカメレオンのまま遊真を抱えたのだ。遊真は背中から刃を出し笹森を倒すが緊急脱出(ベイルアウト)するまで少し時間があった

 

笹森「諏訪さん!!止めました!!」

諏訪「よくやった日佐人。吹っ飛ばす!!」

 

諏訪は笹森諸共遊真を倒すという手段を使うつもりのようだ。だが

 

悠「勝つために手段を選ばない。いい選択だが、どうやら玉狛の方が一手先の様だ」

 

次に瞬間、今まで隠れていた千佳が諏訪に向けて砲撃を食らわせた。というよりは諏訪たちのいた家を吹き飛ばしただけだが。まだ生きていた荒船はすかさず居場所が割れた千佳を撃ち千佳と先ほど遊真にやられた笹森が緊急脱出(ベイルアウト)した

 

武富「笹森隊員と・・・雨取隊員が緊急脱出(ベイルアウト)!狙撃の隙は逃さない!荒船隊が1点もぎ取った!」

 

そして諏訪は残った遊真に向けてトリガーを撃っていた。諏訪は左足が無く満足に動けないが遊真が攻撃するには寄るしかないから遊真から諏訪に近づくが諏訪は堤との戦闘を知っているため次に遊真が取る行動を先読みして遊真は諏訪の銃口に捕らえられた

 

武富「読み切った!」

東「勝負ありですね」

 

そして諏訪の左側に()()()()()()()()修がいた

 

悠「玉狛の勝ちだ」

 

修はそのままアステロイドで諏訪に撃ち放った。諏訪も最後の抵抗で遊真を撃つが遊真はシールドを展開しギリギリで耐え、諏訪は修のアステロイドで緊急脱出(ベイルアウト)した

 

武富「諏訪隊長・荒船隊長が緊急脱出(ベイルアウト)!!ここで決着!最終スコア6対2対1!

玉狛第二の勝利です」

 

 

 



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