深夜廻・廻 (色龍一刻)
しおりを挟む

01・プロローグ


あなたは夜の怖さを、覚えていますか?


鈴の音がした気がして、目をあけた。

 

その夜はいつものように、ひとりぼっちで、何もないように感じて、

それでもそんな自分の部屋の隅っこに、何かが動いているように思えた。

 

気のせいだ。

この街は、あの町ではない。

 

ベットから起き上がり、小さい方の電球を付ける。

これで少しは明るくなった。

 

ママとパパは今日もお仕事だ(帰ってこれていない)

それでも、勉強机に置かれている、

手作りの首下げできる大きなライトに、

娘を心配する姿が垣間見えた。

 

まだ残暑が続く、9月の夜は、とても早く来てしまう。

真っ暗な深夜に彼女は動き出した。

 

 

 

 

まだ片手で服を着替えることになれない。

バッサリと、綺麗としか言いようがないほどの、

美しく、そして無惨な左腕の残り物は、いまだに少し疼く。

 

右肩に比べ、簡単に通すことができる左の肩口は、右に苦闘する風に煽られる。

 

 

 

今夜はどうしようか。

この街の見回りは半分ほど終わらせたし、続きを頑張ってみようか。

それとも_________

 

 

 

鈴の音が聞こえた気がした。

 

 

 

()()をどうにかしないと。

 

 

 

 

この街は、あの町よりも、とてもお化けが少なかった。

ただ歩いていても見つからない。

注意して探してみて、やっと(小さ)いのが見つかる。

ほんの数回見つけられた、(大き)いお化けは、新聞や噂で見聞きした、

()()()()と呼ばれる心霊スポットや、怪異と呼ばれる類いのようだった。

 

それでも、やっぱりお化けはお化けで、

私を追いかけてこようとするから、

あまり、あの町と変わらないなとも思った。

 

そんな、引っ越してきて一週間、

この夜の町を廻っていた時のことだった。

 

小さな神社を見つけた。

 

 

神社...というより神様には、良い意味でも、悪い意味でも縁がある。

その一つは、もう一人の神様に切ってもらった。

腕と一緒に。ユイと一緒に。

 

 

外に出て、庭に出る。

庭の隅に置かれた小屋には、チャコが寝ている____

 

「チャコ、今日もお留守番、お願いできる?」

 

____ことはなかった。

小屋から飛び出し、ハルに体を擦り付け、任せろとばかりに一声鳴く。

 

チャコは寝てくれない。私が寝た後にしか寝ようとしていないみたいだ。

まるで、私がふらりと居なくならないよう見張っているみたい。

 

現にそうなのだろう。

腕を失ったあの日、薄れ行く意識の中、ユイの声と、チャコの鳴き声が聴こえた気がした。

あの時、約束をしたのだろう。大事な大事な、約束を。

 

 

苦笑しながらチャコを撫でる。

 

「ユイもチャコも心配性だなー。この街は大丈夫だよ。少しはいるけど、ただそれだけ。ちゃんと、帰ってくるから。」

 

くぅーん と、少し困ったような、呆れたような声をあげて、ハルから離れると、庭の真ん中に陣どって座る。

 

いつも、ハルが帰ってくるまでの居場所だった。

 

 

「行ってくるね。チャコ。」

 

 

 

 

そして、彼女たちの夜が、廻りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この物語をお読みになる前に、

 

お願いがあります。

 

 

これから、またも、夜がやってきます。

 

どんなに不安でも、心細くても、

 

夜から逃げないでください。

 

 

よろしいですか?

 

 

あなたは、ひとりじゃありません。

 

その手をまた握ってくれる、あなたにとって大切な手を、

 

今度こそ、ぜったいに、はなさないでください。

 

 

約束できますか?

 

 

本当ですか?

 

 

 

 

 

 

 

      >【はい     いいえ

 

 

 

 

 

 

今度こそですか?

 

 

 

 

 

 

 

      >【うん

 

 




どうも、どうも、

そろそろ夏だなぁ → 夏といったらホラゲーかね → ヒャア↑夜廻実況がやっぱ最高だわ → ハーメルンに夜廻あるかね...?

ということで、深夜廻二次創作RTA、はっじっまっるっよー。
投稿ボタンを押すと同時にタイマースタート、連載表示が完結表示になったらタイマーストップです。
二次創作RTAは実質私しか走者がいないので(暫定)一位確定です。やったね。
(もっと夜廻作品増えろ増えろ...)

息抜きの息抜きの息抜きに書きました。
ぶっちゃけ思い付いてから冒頭部分のチャート作るまで授業一本分です。
執筆が捗るなあ。(白目)
こうやってまた連載中の作品が増えていくんだ...


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

02・一廻り 鈴の音


その鈴の音が聴こえますか?


夜の道を駆ける。

空虚な気配(お化け)を大回りに回避しながら、耳をすませる。

 

鈴の音が聞こえた。

 

「やっぱり。」

 

その音の方向は_______

 

 

 

2日前の夜。

 

ひっ越してきて一週間、

この夜の町を廻っていた時のことだった。

 

小さな神社を見つけた。

 

神様。慈悲深くも恐ろしい存在。

 

警戒しつつ、いつでも()()を取り出せるよう構えながら、

鳥居の隅をくぐり、境内へと向かう。

 

空虚な気配(お化け)は、無い。

コトワリ様の神社のように、荒れ果ててなく、

それどころかとても綺麗に掃除、手入れがされている。

 

当たり前か。

この街はあの町より賑やかで発展している。

私の家がある住宅街からも徒歩十数分。

逆に人が来ない理由も無いだろう。

 

嘆息。少し警戒を緩め、拝殿へと向かう。

神様。慈悲深くも恐ろしい存在。

お参りは大事だ。

何度お地蔵様やコトワリ様が、護ってくれたか。

 

ポケットから10円玉を取り出し、賽銭箱に入れて、祈る。

 

ママとパパが早く帰ってきますように。

チャコが危ないめに会いませんように。

街のお化けで困る人がいませんように。

 

贅沢なんだろうけど、

無理なお願いなんだろうけど、

願いは願いで、希望なんだと思うんだ。

 

困っていたら助ける。

人や動物、お化けに関わらず。

そうして夜を廻っていれば、いつかユイのことも______

 

風が吹いた。

バサリと音が聞こえ、慌てて振り向くと____

 

「わぷっ」

 

なんか顔にへばりついた!

 

バサバサと何かが風に煽られる音が耳元に響く。

 

待って!待って!なんなの...もう!

 

顔からにっくき何かを剥ぎ取って____紙?チラシ?

 

今の風で飛んできたの?

まだ暑いけど秋だものね風も吹いてくる季節だものねと考えつつ、

いまだに暴れる鼓動を静めてつつチラシを見る。

 

鈴鳴神社のご案内。

 

それはこの神社のパンフレットのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

心臓が跳ねる(鼓動が速くなる)。お化けが近い。

ライトを素早く全方へ滑らし、

滲み出た影から目線を反らし全力で別の道へと駆ける。

 

「鈴鳴神社、すずなり様。危ないこと(危険)良いこと(吉報)を鈴の音で知らせる神様。」

 

それが、あのパンフレットに書いてあったこと。

優しそうな神主さんの写真や、神社の歴史がつらつらと書いてあったけど、

私にとって大事なのは、伝承や伝説、噂の欄である。

 

 

鈴の音が聴こえた方に移動した直後、もといた場所に落石が。

鈴の音が聴こえた直後、子供ができたという連絡が。

鈴の音の方向(導き)が、遭難者を村に戻してくれた。

 

 

危ないこと。良いこと。私の場合は、どっちなのだろう。

夜しか聴こえない鈴の音。

やっぱり、お化けに関係することなのだろうか。

 

「...着いた。」

 

徒歩十数分。お化けの妨害もあったけれど、

それでもやっぱり近いところだと思う。

 

 

 

 

リィィィィーン...

 

 

 

 

「っ...行こう。」

 

鳥居をくぐり、境内へ。

 

「......。」

 

慎重に周囲を警戒しながら、拝殿へと向かう。

そして、

 

「着いた...ん?」

 

 

そこはごく一般的な神社の施設が並んでいる中心部。

拝殿へと伸びる参道の真ん中に、何かが浮かんでいるのが遠目でも確認できる。

 

気配は無い。でも、嫌な予感がする。

 

「戦うのは嫌いだけど...逃げるだけじゃ助けられないものもあるかもしれないから...もしもの時は...コトワリ様...。」

 

コトワリ様。

縁切りの神様。

人の歪んだ望みを叶えていたら、

一緒に歪んでいってしまった神様。

私の腕を持っていってくれた神様。

 

バックから、大きくて真っ赤な、鋏を取り出す。

コトワリ様から戴いた、縁を断ち切る祭具(神器)

 

お化けにある生前の執着、未練と呼ばれる過去との縁。

それを断ち切り、無理矢理消してしまう(成仏させる)可哀想な戦い方(対処方法)

死して尚想い続けているもの。

それが消えるのは苦しくて悲しいこと。

私も、自分で決めたことなのに、泣いて、泣いて、泣いて...

今も、完全には乗り越えられていないから。

 

それでも...

 

「それでも、生きていく必要があるから。」

 

その大きな鋏は、残った右()腕では十分に持ち上げることのできないので、腕に抱えるように参道を歩く。

 

浮遊物は、灰色に光っているように見える。

いや...

 

「水の中? ガラスを沢山重ねたみたいな...? ううん、何であんなのが浮かんでいるんだろう...。」

 

ハルは目が良い方だ。

それでもあの灰色の光が、ぼやけて、霞んで、重なって、滲んで、周囲の暗闇を掻き回しているように見える。

 

 

さながら、空間が歪んでいるかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは人を導きます。

 

それは人の願いを叶えようとします。

 

 

それがそれらの根本なのですから。

 

 

例え望まない願いだったとしても。

 

例え歪んだ願いだったとしても。

 

 

あなたの願いを教えてください。

 

 

 

 

 

うん     やだ

 

 

 

 

 




ハルらしい子供思考ができない...難しい...
どれほど深夜廻を書いた人の表現力が素晴らしかったのか痛感します。
私の実力不足です...ちょっと大人っぽくなったハルということで許してください何でもしますから。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

03・二廻り 歪み

もう一度、逢いたいですか?



よく、わからない。

お化けもよくわからないものも多いが、元々どういうものだったか、どういう特性を持つのか程度ならわかることが多い。

 

しかし、

 

あれは...なんだろうか。

 

「...空間がぐちゃぐちゃ?」

 

その瞬間だった。

 

空間がパックリと裂け、

 

 

 

 

ィィィィイイイイイイイイン...!

 

 

 

 

衝撃が頭に突き刺さった。

 

「いっ」

 

強すぎる不快な音。例えるなら黒板に爪を立てた音耳元でやられたような、あれよりも酷い音。

両手は(片方は無い、もう片方も)鋏で塞がっているため耳を塞ぐことができない。

 

頭がくらくら、視界が点滅する。

足腰から力が抜け、ペタンと座り込んでしまったが、

ハルの意識の混乱はそれを認識させてくれない。

 

そして、今、この現状、最悪の遭遇も。

 

あの音と共に、裂け目から現れたのは、お化け。それも数体。

どれもこれもハルなら見知ったお化けたちだが、周波数がずれたラジオのように、姿かたちにノイズが走っている。

 

お化けたちは狂喜した。もしくは無関心だった。

ただ、目の前にいる、無抵抗の少女を襲おうと、

手や触手、影を伸ばし______

 

 

 

 

「(お願い!『人形』!)」

 

 

 

その全ては裂け目の前に現れた人形に吸い寄せられた。

そして、

 

「ごめんなさい。でも、それだけは許さない。」

 

 

 

ジャキンッ

 

 

 

湿っているような音が、あかい両刃が、

未練ごと、断ち切った。

 

 

その声は、ハルの意識を僅かながらも回復させるのに十分だっただろう。

 

霞む視界の端に揺れる、忘れるはずがない赤いリボン。

バックに大事にしまってある。絶対的な宝物。

 

 

 

 

 

......ユイ...?

 

 

 

 

 

そこで意識は、限界を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴の音が聴こえた気がして、目を開けた。

 

 

首もとを流れる風が、鳴く虫の声を届けている。

 

あれ...何で私はここで寝て...

 

一瞬、あの音が耳に残響する。

 

「あ、神社で浮いてた変なやつ!」

 

飛び起きて周囲を警戒する。

 

真っ暗。まだ夜だ。ライトをつけて素早く偵察。

場所は...拝殿の階段?

 

パッと参道の中心に目を向けるが、そこには何も残っていない。

いや、

ライトの光に反射して何か光った。

 

 

「...銀の鈴?」

 

駆け寄って拾い上げる。

 

鈴。

小さな麻縄がくくりつけられた、

まるで神社にある鈴のミニチュアのような、

綺麗な鈴。

 

拝殿に設置されたものと比べれば、成る程、とてもそっくりである。

 

鈴の音は_____

 

 

リィィィィーン...

 

 

 

聴きなれてきた、あの音だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの願いはなんですか?

 

 

一緒に話したいですか?

 

 

一緒に花火を見たいですか?

 

 

一緒にいたいですか?

 

 

会いたいですか?

 

 

 

 

 

      うん     いいえ

 

 

 

 

 

逢いたいですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 ◉ ぎんのすず

 

 あさなわがつけられた、ちいさなぎんのすず。

 ならすと、とてもきれいなおとがなる。

 すこしふしぎなおとがなる。

 とてもじんじゃにあるおおきなすずとにている。

 

 

 


 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この頃、学校でも行方不明事件の噂が回ってきていた。

担任の先生も暗くなる前に帰るように口が酸っぱくなるまで言っていた。

原因は、多分、あの空間の歪みだ。

なんとか原因を見つけて、連れていってしまった人達の行方と、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

空いた窓から風が通すものの無い袖口を揺らし、

少し、無い()()を疼かせた。

 

ハル...。

それが幻影でも、偽物だったとしても......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの願いはなんですか?

 

 

一緒に話したいですか?

 

 

一緒に花火を見たいですか?

 

 

一緒にいたいですか?

 

 

会いたいですか?

 

 

 

 

 

      うん     いいえ

 

 

 

 

 

逢いたいですか?

 

 

 

 

      

 

 

 




どうも、どうも、
そろそろ一日一回投稿が辛くなってきた私です。
たった平均1500文字程度しか書いてないのに...

小説版を改めて読み返してるのですが、
やっぱ描写の差で死にたくなってくる定期。何であんなに素敵なの...

Sでもないのに包帯を着けた痛々しいユイちゃんが可愛く見えてきた。
ハサミに挟まれて死のう。
え? 片腕が無いのを想うハルちゃんが可愛すぎてゾクゾクしてきた?
オメエは山にでも行ってこい!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

04・三廻り 事件

そして、物語は廻りだす。



とても、眠い。

 

 

意識が朦朧として、

夢の世界に旅立ちそうになるのをぐっと堪えようとするが_____

 

ガンッ

 

「いだっ。」

 

眠気で一瞬意識が飛んだ瞬間、

おもいっきり鼻をぶつけて周りから笑いが漏れているのを聞くのを数回。

 

流石に心配され始めた。

 

「ハルちゃん、大丈夫? 先生に行って保険室で休んでくる?」

 

「...もうちょと、頑張ってみる。」

 

「...わかった。無理しないでね?」

 

「うん、ありがとう。」

 

隣の席のゆかりちゃん____こんな見た目(片腕)で転校してきた私を遠目で見ずに、片手でできない色んなことを手伝ってくれるとても優しい友達____にお礼を言い、ほおを軽く叩いて眠気を散らす。

 

 

その数分後。

 

 

「凄く疲れているようだし、転校数日だから色々あったのでしょう。給食や授業のプリントは持って行くから、保険室で休んでいなさい。」

 

「うううぅ.....すいまへぇ()ん...。」

 

担任の(鈴宮)先生にリタイヤを告げられ、情けなくなった。

決め手は顔の打ち付けすぎ(片手は鉛筆なため支える手が無かった)による鼻血である。

鼻にティッシュを詰められ、顔を少し(色んな意味で)赤くしながら、

一階の保健室に向かう。

 

 

かがみざわ(鏡沢)小学校。

それが引っ越しした先で通うことになった小学校である。

初日は大変だった。

無い片腕や私の髪色は好奇心旺盛な同級生の注目の的であり、

これまでの生活の中では無いもの、つまり、異端だったのだ。

 

ショックなことも何度か言われたが、悪気が無く言っていること。

それでも、これはユイとの縁の象徴なのだ。

ある時に、カッとなって、危うく()()()()を言いそうになって、

ゆかりちゃんに助けられた。

 

ゆかりちゃんは、強かった。

怒りの矛先が向けられていなかった私でも、

別の意味で涙目になりそうだったと言っておく。

 

それで転校騒動は解決。

担任も私の腕についてあまり情報を貰っていないため、

手が出せずにいたことを真摯に謝られ、

帰りの集会でクラスに厳重注意と、ゆかりちゃんへの感謝、

クラスに別のクラスの人がこのようなことをしないように、

私を助けるようお願いをし、

担任の先生の方でも再度別のクラスの担任の先生に、

注意を促すということにもなり、終わったわけだ。

 

そうして、私はこのクラスに馴染め始めている。

 

ゆかりちゃんを中心に、女友達も増えてきている。

曰く、妹みたい。ほっとけない。絶対どこかで転んで泣いてそう。

 

解せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

保健室へと向かいながら、

廊下の掲示板に張られた新しいお知らせを流し見る。

 

この前、引っ越してきた時から、

到るところ見つかる似たようなお知らせの数々。

 

『行方不明者』

『情報がございましたらこちらまでご連絡を。』

『行方不明者』

『情報がございましたらこちらまでご連絡を。』

『行方不明者』

『行方不明者』

『行方不明者』............

 

 

 

異質だ。あの町と同じ感じがする。

 

あの歪み、あの噂...何か、マズイことが起きている気がする。

いや、確実に起きているのだろう。

 

お客様用の入り口がある事務室前の玄関に、

警察官が数人入ってくるのを横目にしながら、

夜廻りの意識を固め始めた。

 

そして、給食の時間まで泥のように眠る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふっと、人がいなくなったらしい。

それが数人も。

ゆかりちゃんから聞いた学校の噂では、神隠しと囁かれているらしい。

噂の出所はわからない、

でも、ゆかりちゃんのおばあさんも言っていたらしいから、

高齢者から広まった噂だと思う。

 

人が、いなくなる。

また、山の神のような存在なのだろうか。

それとも、人が行ったことなのだろうか。

 

私にはまだわからないけど。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

ポケットの銀の鈴が、鳴った。

 

 

 

 

あの行方不明者捜索のお知らせ。

書かれていた消えてしまった時間の予想。

その時間、思い出して、当て嵌める。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

夜廻り中でも、寝ていても、どこかで聴こえた鈴の音。

 

帰りの集会、担任の先生から、

硬い顔で隣のクラスの女の子がいなくなったお話が語られる中、

新たに増えたお知らせを見た。

 

 

「すずなり様なら、何か知っているかも。」

 

 

ゆかりちゃんのあの珍しい夕焼けの瞳が、こちらを見たような気がした。

 

 




そろそろ試験故に、書けない日が多くなりそうです。
今も朝方(AM4時)に廻らない頭を無理矢理廻して書いてるんでガバは許して。
さりげなくオリキャラ登場。いわゆる恋愛ゲーの情報通的立ち位置なので、気にしない気にしない。所謂『繋ぎ』です。(お好み焼き食べたい)

やっぱここのハルちゃん賢すぎて笑う。
もうあの頭ゆるゆるなロリなハルちゃんはいないんや...

軽く学校が地獄絵図になりそうだったけどゆかりちゃんのお陰でセーフ。
やったねハルちゃん!新たな学校の怪談が増えずに済んだよ!
主に被害者がバラバラにされるという意味で。

色々突っ走ってるけど気にしないで、話のネタが半分バレてるのと深夜テンションと試験勉強の辛さから来てるものだから。

おやすみ。(唐突)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

05・四廻り 神隠し

今度こそ



昨晩、ハルは直ぐに帰宅した。

 

例の音響兵器(近所迷惑)のダメージは、

ハルにとって決して小さくないものだったからだ。

明日は(今日は)金曜日。

それが過ぎれば土日であり、

夜の探索も学校がある時よりも長くできるからこそ、

上記の理由もあり、いつもより早く布団に入ることにした。

 

...授業中の様子を見るに、その疲れは抜けきらなかったみたいだが。

 

休ませてくれた先生にお礼を言い、明日から休日だからか、

どっさりと貰った異常な量の宿題の山に気が滅入りそうになりながら、

帰りの集会の話を思い返す。

 

3ー2(隣のクラス)賀神(かがみ)(つむぐ)さんが、

 二日前の夜に行方不明になりました。

 先週から頻発している行方不明事件と関係がある可能性が高く、

 学校ではこの件を重く受け止め、土日明けから臨時休校となります。

 手紙や連絡網の確認や............

 

 

訂正。明日から自由に探索ができそうである。

 

......外出は保護者同伴でなければ原則禁止、

 良い子チャイムの後は絶対に外に出ないでください。』

 

再訂正。"見つからないように"も追加だ。

 

 

 

 

 

まだ日の高い下校道。

例の神社近くに住んでいるらしいゆかりちゃんと話しながら帰る。

 

「...紡さんだっけ、何があったんだろうね。」

 

二日前に消えた同学年の子。

 

「んー? おばあさんは相変わらず神隠しだって言ってるけど...なに?気になる感じ?」

 

「ううん。別にそういう(オカルト)や事件が好きっていう訳じゃないけど...気になってさ。」

 

知っていなくちゃ危なかったから。

 

「...賀神さん家はさ、私の家のすぐ向かい側にあるんだ。私んちのように、なんか神社に関係あるらしくてねー。」

 

「? ゆかりちゃんの家ってあの神社の?」

 

「ほら、神社のパンフレットにさ、神主の写真があるじゃない。あれ私のおじいさん。」

 

「へー。」

 

何か話を聞けるかな。

 

「昨日は大変だったよー。深夜におじいさんとおばあさんったら神社が騒がしいって飛び出そうとするから、行方不明事件があるでしょ!って眠い目を擦り擦り引き留めてさー。」

 

「へ、へー...。」

 

やっぱりあの騒音、迷惑だったよね...

 

「ま、でっかいラップ音みたいなものだったらしんだけどねー。」

 

「ら、ラップ音?」

 

あの音のこと?

 

「ラップ音ていうのはね、心霊現象や超常現象の一つで、

 誰もいなかったり何も動いてないのに音がなる現象のことだよ。

 ほら、私のように聴こえる人達しか聴こえてなかったらしいから、

 ラップ音みたいなものだったかもしれないってこと。」

 

「な、なるほど。」

 

聴こえない人もいるんだ。前からああいうの見聞きしててたから普通だと思ってた。

 

「...今回のこともそういうこと(心霊現象)が原因なのかな。」

 

わかってることだけど。

 

「んー、まあ、そうなんじゃない?昔からこの辺幽霊とか神様とかいるし、町の人達もあまり言わないけど信じてるし。...うん、今日時間空いてる?」

 

やっぱり、ここもそうなんだ。

 

「? うん。やることは宿題と昼寝ぐらいだから空いてるよ。」

 

「よし、じゃあ家来なよ。不思議なものが大好きらしいハルちゃんに色々話してあげる!ちょっと、連れてきたいところもあるし。」

 

「じゃあ、お邪魔しようかな。友達の家に入るのは始めてだなあ。」

 

ユイが嫌がってたし、その理由もあの後知った。

 

「ん?前の町にいなかったの?そういう友達。」

 

「...いたけど、ちょっと家が嫌いな子だったんだ。いつも空き地や私の家で遊んでたの。」

 

「ん、まあ深くは聞かないさ。じゃ、早速行こ!」

 

「え、に、荷物は!?」

 

「別に数分の距離なんだからそのままでいいよー。」

 

「あしっ速い!そんな強く手を引っ張らないでーっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

視ればすぐわかった。

あの腕に残った気配。

目の動き、反応。学校でこぼれたあの呟き。

()()()()()()()()を知っている人。

おじいさんの言う通り、()()()()()()()()()()がこの街に。

なら、助けられるかもしれない。

神隠しをなんとかできるかもしれない。

おじいさんが何を思い悩んでいるのかは知らないけれど、

私はおじいさんの孫だから、

役割を継げる身だから、私は手伝うんだ。

 

()()()()()()、銀の鈴。

ハルちゃん。あなたが過去に何があったのかはわからないけど、

とても辛いことを乗り越えてきたことはわかる。

その鈴に、すずがみ様に、そういう巡りに、

知らないうちに託されてしまったものだと思うけど、

私は、あなたを応援するよ。

私は、あなたを助けていくよ。

友達として。

 

 

 

今度こそ。

 

 

 

 

 

 

ゆかりの嘘つき!神様はお兄ちゃんを守ってくれなかった!何も私に教えてくれなかった!嘘つき!嘘つきっ!嘘つき...........

 

 

 

 

 

 

今度こそ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

すずがみ様は、今の願いを、音として導いていく。

 

____様は、過去の後悔を、願いとして連れていく。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも。
副題は一応伏線回収その1。

良い子チャイムが懐かしい。

深夜廻りで描かれていないシビアな部分を(独自解釈で)描こうとすると、
どうしてもガバりそうになる恐怖。

夜に探索って人がいないから、
ほぼ拾い物とかから真実を知る方法になるけど、
それだけじゃちょっとつまんないし、
最終的に昼間探索が増えてしまう...
どこが夜廻りですか?(迷子)

今日は急いで書いたから浅考が多くなって怖いなー。
おかしいなっていうところはバシバシ感想で教えてくださいな。
感想ください。(直球)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

06・五廻り 家族

その紅糸は、同じくらい強いんだ。


「ただいまー!」

 

「お、お邪魔します...。」

 

ゆかりちゃんの家は、大きめな日本家屋の一軒家。

家族は両親と祖父母にゆかりちゃんの五人家族。

 

「お帰りー。」

と、奥から声が響いてくる。ゆかりちゃんのお母さんだろうか。

 

ゆかりちゃんのお父さんは長くお仕事に出ており、

お母さんは体調の優れないおばあさんのお世話に付きっきり、

おじいさんは神社のお仕事____ゆかりちゃんを構ってあげたいらしいが、神社のお仕事は絶対に外すことのできないものらしい____と、どうしても一人で遊んでいることが多かったらしい。

 

「まあ、家に誰もいないわけじゃないし、神社に行けばおじいさんとも会えるからそこまで寂しくなかったけどねー。...ちょっとつまんなかったことは多かったけど。」

 

そうゆかりちゃんは、家の中を案内しながら笑っていた。

 

 

畳が微かに香る空間、客間に案内され、

別に正座でいなくていいからと笑われ、少し照れながら改めて座る。

 

そうしたら、

「まだ暑いし、こんなに部屋があると冷房も効きにくくてさー。ここは結構効いてる方だけど喉乾くと思うし、お茶持ってくるね。」

と、足早に消えていってしまった。

 

パタパタパタパタパタ...

 

カチャカチャ...カチャ...

 

足音が動き、キッチン特有の、

食器やスコップ同士が小突かれ合うのが聴こえる。

この家はよく音が通るようだ。

簡単にゆかりちゃんの行動を読むことができる程度に、

生活音が流れてくる。

 

...すた...すた...すた

 

 

別の足音。

ゆかりちゃんのように、まだ歩幅の短い足を、

テンポ速く動かしているような音ではない。

ゆったりとした柔らかな足音。

 

それはこの部屋の前で止まり、扉が横へと動いた。

 

「あら、いらっしゃい。誰を連れてきたと思ったら、ハルちゃんじゃないの。」

 

「お、お邪魔してます。」

 

ゆかりちゃんのお母さん。

家でおばあさんのお世話をしながら家のことを切り盛りしている人。

 

「うふふ...古くさい家だけど、ゆっくりしていってね。...今日はご馳走にしようかしら。」

 

 ?

 

「...ゆかりが友達を連れてくるなんて久しぶりでね。今日は泊まっていくかしら?」

 

 !?

 

「いや、と、突然ですね...。」

 

「ハルちゃんの家事情は近所付き合いで聞いているし...あなたのご両親にも"もしもがあったらハルを、私たちの大切な娘を、どうか、助けてください。"って何度も頭下げられちゃってるし...連絡網で例の話(行方不明事件)も回ってきてるから、ちょうど良い機会かしらと思ってたしね。」

 

 

パパ..ママ...

 

 

「私としてもハルちゃんがいてくれるのは助かるわ。この頃お母さん(おばあさん)達が神経質になっているから、夜も一緒にいてあげないと何が起きるかわからないし...そんなにゆかりと一緒に寝てあげられていないの。...お願いできないかしら。」

 

「...電話をしても?」

 

「もちろんよ。」

 

 

プルルルル...プルルルルル......

 

ガチャ。

 

 

「もしもし?...パパ?」

 

『ハル、どうした。何かあったか。』

 

固い声。緊張と心配がこもった声。

あの時からずっとこう。

まだ全部話せていないけれど、あの夜にあったことは、

ある程度察しているようだった。

その上で、聞かないし、怒らない。

ただ、自分達が家に居られればと、ずっと悔やんでいるようだった。

 

 

引っ越しの時、

「ハル、何かあれば電話しろ。何か手伝えるのなら電話しろ。仕事なんか部下に任せて直ぐにハルの元へ行くからな。...ずっと一緒に居られなくてごめんな。」

 

そう言って、渡されたのは携帯電話だった。

少し角が擦れた、使い込まれた黄色の電話。

充電器も一緒に渡され、それらを大切にバックへしまった。

 

 

不器用なのだ。パパは。

強引な引っ越しも、大切な仕事も、この携帯だって、

全てママや私を想って頑張ったり、考えてる。

それだけで嬉しいことなのに。パパは自分を許そうとはしない。

 

 

 




どうも、お待たせしています。
テストがすぐそこです。こっちくんなと言いたい。

メインテーマはラストに取っとくとして、
サブテーマは色々あるんですのよ候補が。
一つは『音』 物語としてのテーマですね。
二つは『家族』 深夜廻の掘り下げ(設定捏造)と共に、新たな家族の描写も入れてみたくなりまして...

三つ目は...まだこれも秘密です。



人の最も"近い"繋がりってなんでしょうね?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

00.1・再廻 身勝手

そういうものだから


色んな人が()て、

 

色んな人が出会って、

 

色んな人が新たな出逢いを(はぐく)んで、

 

そして、私みたいに旅たってゆく。

 

 

泣かないでって言うけれど、

 

それでも熱い、熱い雫は止まらなくて、

 

廻る風は、一緒に連れていってしまうんだ。

 

 

誰を?

 

私を。

 

 

それで良いのですか?

 

うん。いいんだ。

 

 

もう一度会えますよ?

 

もう会えたから、大丈夫。

 

 

彼女はそれを望んでいます。

 

ん。

 

 

弱虫だなあ、ハルは。

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

イヤ。

 

 

ななんnぜzでですか?

 

 

もう私は、ハルに会わないって決めたから。

会うとしても、ちゃんと、ハルに腕を返してから。

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

だから会わないってば。

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

もう一度会えますよ?

 

もう一度会えますよ?

 

もう一度会えますよ?

 

もう一度会えますよ?

 

もう一度会えますよ?

 

もう一度会えますよ?

 

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

もう一度会えますよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう いやだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に、

 

 

本当に、神様って、身勝手だ。

 

踏み出せば、そこに足がある。

一歩進めば、そこに地があって、

息を吸えば、肺が動く、

 

「げほっ。」

 

...むせた。

 

空気の味は、少し悪い喧騒の街。

目の前に広がるは、どこか寂れた様子の大きな公園。

背後には公園の半分を占めるほどの池が。

 

目を凝らせば、大きな文字で書かれた、ひらがなの看板が...

間違いない、

手紙を出し合うためにハルが教えてくれた住所の地名と同じだった。

 

さて、ハルに会わないように、夜を冒険できるかな?

ハルのために、メモなんて(のこ)せれば上出来だ。

 

靴の調子を確かめ、周りに人がいるか()()確かめ、

池を囲むようにぐるりと張られた金網柵(侵入禁止)を乗り越えようとしながら、

やれやれと呟やく。

 

 

「本当に神様って、身勝手だよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この金網登りっにくいっ...

 

 




テスト5つおわりました
あと5つのこっています
はきそう    みつお

ぶっちゃけ蛇足なんで脳死でお読み下さい。
作者も脳死で書きましたので。

所謂フレーバーテキスト。
番外となっております。


(番外は番外として書きたいこと沢山あるのに表現力不足と伏線配置と情報量の調整に頭が全部回らない悲しさ。)

試験が終わって十分休息が取れたら投稿すると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

00.01・夜明前 片腕

夜が明けて、その先へ



あの山に佇む、頭や胴を砕かれたお地蔵さま。

その奥、山の神の神域で、青いリボンの少女は、かの存在と対峙した。

少女が持つ紅い両刃は、()()()()()()()()を深い穴底まで落とし、

 

 

 

ユイと、会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

...イッショニキテ

 

...ユイのいくところには一緒にいけないよ

 

 

 

その言葉はハル自身にも痛かった。

町のお化けは皆、一人だった。

一緒にいきたくても、一緒にいけないのだと思った。

 

 

ハルに伸ばされたユイの手から、

するすると赤い糸が伸びて、

ハルの左手に静かに絡まっていく。

 

糸は増える。

赤色が深まっていく。

そのが、ユイの叫びなのだろう。

そのが、ユイの助けを求める声なのだろう。

そのが、私たちの繋がりで、離れたくないというのだろう。

 

 

わかる。わかるんだ。

ハルの本心は、ユイをこれほどにまで追い詰めた(強くした)

 

糸の針金のような硬さだって、

どんなに切っても、絶えず膨れ上がっていくこの強さ(糸玉)だって、

 

その想いの、遺された絆の強さを無慈悲に理解させらせる。

 

ユイも必死だ。

ハルも泣いていた。

 

私は卑怯だ。

ユイも辛かったのに、いつも、私ばかり助けを求めた。

ねえ、

私のために、ユイはそんな姿になっちゃったんだよね。

私のことを想ってくれたばかりに________

 

それが、あの《蜘蛛のようなもの》に利用された。

私のせいだった。

私が弱かったから。

だから、だから________

 

 

 

本当に、

 

 

 

本当に。

 

 

 

 

 

ごめんなさい

 

 

 

 

 

ユイのために作った青いリボンのフェルト人形。

 

ユイだって助けてほしかったんだ。

毎日が辛かったんだよね。

こんな人形じゃ、ユイを救えるわけがなかった。

私じゃないと。

いつだってユイは手を伸ばしていたのに。

そんな大事なこと、人形に任せて、救った気になって、

 

 

それが自分の罪。

 

 

ユイの(気持ち)に気づけなかった。

一番そばにいた私が。

絶望したよね。

だから、聴いちゃったんだよね。

 

あの神の"声"を。

 

 

 

ユイの想いが膨らんでいく。

雁字搦目に、大きく、赤く。

 

 

本当は、そんなユイを、

ううん、そんなユイだからこそ、

私は受け止めないといけないのかもしれない。

 

 

でも、

 

でもね、

 

私は、

 

 

こんなユイを見るのはもう_________

 

 

 

 

 

いやだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金属音が響いた。

左手がじんじんと痛む。

 

その左手は、もう、ない。

 

ユイは消え、コトワリ様がそばにいる。

 

 

静寂。

 

 

ハルは、背を向け、歩き出す。

 

一歩、一歩。帰ろうと。

歩みを重ねる度に、

左手の痛みから、温かいものがこぼれ落ちていく。

どんどんこぼれていく。

そしてその分、自分は冷たくなっていく。

 

 

眠くて、

帰らなくちゃいけなくて、

眠くて、

歩かなくちゃいけなくて、

眠くて、

足を前に出さなくちゃいけなくて、

 

遠くって、

足がフラッとして倒れちゃって、

このまま眠ってしまいそうで、

 

 

 

 

ごめんね。ユイ。

 

 

 

 

 

 

そうしたら、

すぐそばで砂利を踏む音がしたんだ。

 

霞む目に写る、泥のついた赤い靴、汚れた白いソックス。

誰だろうと上げようとした視線は、向かうこともなく、

ハルの意識は途絶えた。

 

 

 

遠くで、自分の名を優しく呼ぶ声を、聞いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白と黒(モノクロ)の世界。

過去の残像。

それに重なるように、ハルたちは、洞窟を出た。

 

出迎えたのは夜だった。

紅い朝の予感がある、群青色の空の向こうに広がる、暗い朝焼けの空。

 

 

声がする。甲高い犬の声。

 

もう、朝が来る。

そろそろ、その時がくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしたちは、その手を離した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜明けだ。

 

ユイは、あの木の根本に、立っている。

腕に黒い塊、ではなく、代わりのように、誰かの左腕。

 

ここからは、町を一望できる。

少し、この朝の空気がざわついているのは、

無事にチャコが人を呼びに行ったからだろう。

 

 

木の根本の地面を、深く掘り起こす。

とてもふかふかの腐葉土の穴は、丁度左手と同じ大きさ。

近くに落ちている、私のバックから、

左腕を軽く包めるほど大きなタオルを取り出して、穴の中に敷き詰める。

 

 

 

私はもうすぐ、あっちにいってしまうのだろう。

天国か、地獄かはわからないけど...

親友を巻き込もうとしたのだ。多分、地獄行きだ。

それでも、

私がハルと握った手は、

あの時間は、記憶は、

この想いは、

...このハルの左腕(縁と絆の象徴)は、

 

いつか消えてしまうけど、

遺しておきたい。

私のバックと、一緒に見つかってしまうと思うけど、

今だけは、

私の最後の残り火になるから。

 

 

タオルに、左腕を包み、きつく閉める。

そして、土で蓋を。

 

 

ふう。

 

 

一息。顔を上げ、立ち上がる。

朝日は、私の体を()()()、木を照らし続ける。

町からは夜のお化けは消えて、朝からいつものような日々を眺める。

 

そんな町の風景は、あの花火の夜のように、綺麗だった。

 

 

 

 

______ごめんなさい______

 

 

 

 

思い出して、苦笑する。

違うんだよ、ハル()

 

こういう時は__________

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう

 

 

 

 

 

だよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋、

 

山に村雨が降り、

その(しずく)は、土へと溶けていく。

 

ぴちょん

 

その音は、タオルを伝ったその音は、

 

その遺された想いが果てに、

 

神を呼んだ。

 

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

 

山に一度、金属音がこだまする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




試験が終わりました。
灰になりました。
結果が出る前も、
出た後も、
胃痛で死んでいると思うので、
更新は遅れます。
クソザコメンタルを許して。



今回は結構難産でした。
試験後のメンタル的なことと、
番外編...というかエピローグのプロローグなので、
一番書きたかった部分だからです。
小説版の描写を尊重しつつ、どうにか丸写しにならないようしました。
小説版と比べハルの動きの描写が薄いのは、
ハルの心の動きを中心としたからです。
故に微かに捏造設定があったりする。
やっぱ丑の刻と夜明け、エピローグが激ヤバ過ぎて鳥になりそうでした。

やっぱユイハルは最高やな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

07・六廻り 揺らぎ

音が、響いて、水面を、揺らした。


パパはお泊まりを許可した。

あちらと話がしたいと言われたので、

ゆかりちゃんのお母さんに携帯電話を渡す。

 

ただいま替わりました。

 

お久しぶりです。

懇談会でお話したきりですね...

 

いえいえ、ハルちゃんが仲良くやってくれていて...

 

それはそれは、また皆さんでお茶ができればと。

 

......。

 

お願いですか?

 

はい?

.........。

 

良いのですか?

連絡網で行方不明事件のことはご存じで?

 

......家の事情を軽々しく聞こうとは思いませんし、

そこまでもハルちゃんの意思を尊重する理由もわかりません。

この街の夜は危険です。

街の外の人々は信じようともしませんが、

危険な存在が夜の街を徘徊するのです。

 

...わかりました。失礼します。

 

ありがとう。ハルちゃん。

 

携帯電話が返された。

 

...はぁ。

 

「大丈夫だよ。お母さん。」

 

「...ゆかり。」

 

振り向けば、コップを二つ乗せたお盆を持つ、ゆかりちゃんが立っている。

 

「ハルちゃん、強い方の銀の鈴持っているし...()()()()見えているんでしょ?」

 

疑問ではなく、確信。

 

何で知っているんだろう。

首を縦にふる。

 

「...前に住んでいた町ではどうだったの?」

 

「いっぱいいました。お化けは。逆にこの街はお化けが少なくて、これが普通なのかなと思ってました。」

 

つまり、ここ(この街)もおかしいのか。

 

ゆかりちゃんの方に、視線が移される。

 

「強い方、私は渡してないよ。すずなり様が直接、ハルちゃんに渡したんだと思う。...たぶん、昨日の夜に。」

 

「本当?」

 

「はい。昨晩、鈴の音が気になって、神社にたどり着いて、変な歪みがあって、変なお化けがいっぱい出てきて、そこで倒れちゃって、気づいたらこれが落ちてました。」

 

「...確定ね。」

 

「お母さん、わかりきっていたことでしょ。」

 

行方不明事件。

 

空間の歪み。

 

高音波。

 

「...拝殿の奥に、封印済みの神鏡があるわ。無理矢理媒体に使ったのでしょう。」

 

「ハルちゃん。狙われる要素満載だもん。」

 

 

視えるひとは、興味の対象。

 

一度怪異に触れたものは、引き込まれる可能性が高くなる。

 

肉体の欠損。

 

若い少女。

 

 

 

オカルトなお話で、一つぐらいは聞いたことがあるんじゃないかな。

 

神にとっても、それは例外じゃないんだよ。

 

 

 

みかがみ様。

 

この街に伝わる、すずなり様と並ぶもう一柱。

過去の後悔を、願いとして、"もしも"へと連れていく(を叶える)神様。

 

あなたが想った、過去の願いが、その残縡が、

狙われたかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

秋、

 

あの山にも村雨が降り、

その(しずく)は、土へと溶けていくだろう。

 

あの山に残された、青白い小さな左腕は、

 

 

 

ぴちょん

 

 

 

その遺された想いが果てに、

 

神を呼んだ。

 

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

 

 

 

 

 

ぴちょん

 

 

 

お盆に乗る、二つのコップ。

 

その水面を、なにかが揺らした。

 

 

 

 




三日ほどグータラしていますが、
まだ頭がふわふわしています。
テスト返しから逃げたい。

グダグダしないように頑張って書いたので駆け足ぎみなのをお許しください。


さて、やっとことの元凶?が判明しました。
山の神と比べ、真の神性たる存在に、
ハルたちはどう立ち向かっていくのでしょうか。

...ぶっちゃけ最終兵器(赤い鋏)があるせいで苦戦する未来が見えなぃ。
縁という概念切れる鋏はチート過ぎると僕は思う。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

08・七廻り 記録

水の音。鈴の音。
引く渦。推す腕。
その先に、その元に、
鏡が、鈴が。


「広い....本がたくさん...。」

 

「えーと...ハルちゃんが必要そうな本は...」

 

あの独特な、古びた紙の匂い。糊の匂い。太陽の匂い。革の匂い。

様々な気配に包まれたここは、

 

「広い書庫だねぇ...」

 

「代々家が管理してきたものだからね。アレに関することなら何でも揃ってると思うよー。...探し出すのが一苦労だけど。」

 

がらがらと車輪が着いた脚立や、上下に動く本用のリフトが運ばれてくる。

 

「ここの本って大きかったり重かったりするからさ、脚立を降りるのが厳しいからいつもこれを使ってるの。」

 

「へー。」

 

戯れに近くの本棚から一冊ふんぬと抜き出してみると、確かに、重い。

片手では厳し過ぎる程度には。

一回床に置いて調べてみれば、表紙の革や、長年の経過でなにかを吸い込んだ厚い紙、一ページずつ太い糸で纏められていたりと、総重量は計りしれない。

 

ゆかりちゃんはまだがらがらと脚立とリフトを押して、本を集めてくれているようだが。

 

「ゆかりちゃん。なにか読んでていい?」

 

「全然いいよー。本は重いだろうし机がないから床に座って読んでてー。危ないやつはお父さんが管理しているけど、もしもおかしな本があったら触れたりしないようにねー。」

 

「あ、危ないやつ...?」

 

「オカルト的に言うと呪われた本(魔導書)的なー。...あと、別に変な力を持っていないけど、文字や色、挿絵、匂いや質感といったもので精神を削る暗示かけてくるやつもあるからマジで変な題名には気を付けるように!」

 

「わ、わかった。」

 

恐る恐るさっき引っ張り出した本の題名を改めて見てみる。

 

 

【 鏡沢地史 】

 

うん。大丈夫そうだ。

ぺたんと座ってドサッと置く。

ぺらりぺらりと。

 

............銀鉱山?

 

 

 

 

 


 

 

 

...19■■年■月■日の地質調査により、

小規模ながら高品質の銀が■■されていると

.........■■■■■......

開発開始は19■■年■月■日、■道完成が19■■年■月■日。

......採■された銀鉱石は■■■■■■......19■■年■月■日、

鉱害が......■■■■■■...

劣化したパイプから漏れた高■度の金属を含む■水が

....■■■.....■■■により、

地盤沈下が発生。旧鏡面湖が■道に流れ込み...

石灰層を削りとり拡大...■■■■■......

地底湖・鏡面湖が...■■■■■■■...

■■事件、後の■■事件による地域の反対により...

鉱業は停止.........■■■■鏡沢銀鉱山に隣接する形で

...20■■年■月■日■■■■■■新鏡面湖となった。

■■水質調査は完了し、鏡面湖の■■■■■■は■■■に安定.....

20■■年■月■日、国の■■■保存■■■■によって管理が決定...

■■■■■■■■■■■■■となることを願われる。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

銀...

 

 

______『銀の鈴』________________

 

 

 

「ゆかりちゃん、ゆかりちゃんのお母さんが言ってた神鏡?って何で作られてるの?」

 

丁度、大量に本が積まれたリフトを押しながら、ゆかりちゃんがやってくる。

 

「んー?銀だよ。今の鏡も部分的に銀で作れていることが多いけど、鈴鳴神社にある神鏡はなんと全てが銀で作られてて___純度が_____」

 

 

 

 

銀、鉱山。

鉱害、毒。銀...。

 

 

リフトから本を次々と床に運び、

片っ端からキーワードに沿う題名や、目次を確認していく。

 

 

 

「っあった!」

 

 

 


 

 

 

【 鉱業と神教の発展 】

 

鏡沢周辺地域には鈴鳴という伝承が____

■■__■■■科学的見解に■■■■____

銀の鈴が■■■■____■■鉱山中のヒ素に反応_____

伝承と融合、危険■■■を知らせるという_____■■■■、

音を鳴らし、■■■■の合図とする____空気穴の確認にも使われ、

■■■■■■とすることで■■を促進したと考えられている。

 

 

 


 

 

 

 

銀の鈴!危険...鉱毒?ヒ素??

 

...んー関係ある気がするけど言葉や漢字が難しい...。

 

 

 

 

仕方ないよね、次。

 

 

 

 

「ゆかりちゃん。旧鏡面湖って?」

 

「_____元々あの神鏡の名ははすずなり様が九十九神として誕生した場所に由来していて_____え、きょ、旧鏡面湖っていうのは、ここから西南にある枯れた湖のことだけど...そう!そこにみかがみ様は賀神家によって奉られていたんだけど、例の鉱害の際に起きちゃった地盤沈下でどこかに湖が消えちゃったらしくてねー_____その時に賀神家が本家と分家に分かれちゃって__今も行方を眩ました分家が隠された三つ目の鏡面湖でみかがみ様をどうにか静めようとしているって噂が_____」

 

「この本に書かれた新鏡面湖は?」

 

「あ、それは二つ目。それが記録として公式に残された湖なんだ。」

 

「...二つ目...ってことは一つ目って?」

 

「この鏡沢全域に拡がる地下水脈と合体しちゃってるんだ。鈴鳴神社にある湧き水もそうなんだよ!」

 

 

 

鈴鳴神社にあった歪み。

湧き水。

鏡沢全域!

 

 

リフトから本を。

 

 

 


 

 

 

《鏡沢水脈分布》

 

______________

■■■■■■

■■■■■■■■

旧鏡面湖____《__》

■■■■■■

■■■■■■■

■■■■■■

■■■■■■

鈴鳴神社____《湧き水》

■■■■■■■

■■■■

■■■■■

■■■■■■

_______________

 

 

 


 

 

 

 

 

.................。

 

 

「ゆかりちゃん。行方不明事件があった場所ってわかる?」

 

「それだったら...町内新聞にちょっとならあるかも。持ってくるね。」

 

 

 

ただの予想。ただの勘。

だけど、私は今までそれに助けれてきたからこそ。

それに賭けていくんだ。

 

「はいはーい。事件発生から今日までの行方不明事件の部分のページ。ハルちゃんが何を考え付いたのか知らないけど、頑張って手伝うからねー。」

 

「ありがとう。ゆかりちゃん。もしかしたら______

 

 

目を走らせる。

事件が起きた予想地点、またはその周辺を当て嵌めていく。

水脈の地表から浅い部分、また涌き出ている部分を。

そうしたら、

 

 

_____当たり。」

 

 

 

浮き上がるのは、水と湖と神を繋ぐ、大きな大きな地図だった。

 

昔の話だ。今も旧鏡面湖の水が、水脈を循環しているとは考えにくい。

第二の地底湖もしかり、同じ水がそこに留まることはないはずだ。

なら、この水脈のどこかに、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「どう思う?ゆかりちゃん?」

 

「.........。」

 

「ゆかりちゃん?」

 

「すごい!すごいよハルちゃん!みかがみ様は水神で、水と鏡を司ると言われてたんだ!絶対そうだよ!第三の湖の場所に、囚われた人達がいるかもしれない!紡ちゃんも!早速おじいさん達に言ってこよう!」

 

「.........。」

 

「...ハルちゃん?」

 

「ん、じゃあ片付けてからにしよっか。ちょっと散らかしちゃったし...。」

 

「あー、うん、そうだね...。」

 

 

 

 

 

 

それだけじゃない気がする。

 

水。鏡。みかがみ様。

銀。鈴。すずなり様。

鏡沢、湖、銀鉱山、地底湖、地下水脈。

 

私以外にこれに気がつかなかった人がいないはずがない。

これらの本を集めた人や、管理しているゆかりちゃんの家族が。

 

ならなんで、発見されていない?

ならなんで、ここまでこの事件が騒がれる?

初めての異変なのか?

私がこの街に来たから起こった?

()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事件が載る新聞。それを新聞が保管される棚へと運ぶ。

棚に日付ごとに片付けながら、チラ見できる年間の見出しを______

 

 


 

 

 

『交通事故。中学生をひき逃げ。咄嗟の回避で大事にならず。』

『交通事故。小学生。誰かに突き飛ばされバイクと接触しなかったとのこと。情報提供を求める。』

『水難事故。小学生。川の真ん中で誰かが手をとってくれたとのこと。周囲に人影は無く。』

『交通事故。中学生。』

『行方不明。小学生。誰かが手を引っ張って教えてくれたとのこと。』

『交通事故。小学生の兄妹、意識不明の重体。』

 

 

 

 

「っ!」

 

 

 

年別に分けられた新聞、二年前の夏。

その白黒の写真は、二人で笑う兄妹の写真。

その一人は、

 

 

 

「紡、ちゃん...。」

 

 

 

 

 

 

一人、意識不明の重体。一人、病院で死亡が確認された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リィィィィーン...

 

 

鈴が、鳴る。

 

 

 

 

ゆかりの嘘つき!

神様はお兄ちゃんを守ってくれなかった!

何も私に教えてくれなかった!

嘘つき!嘘つきっ!嘘つき...........

 

 

神様は万能じゃないんだよ。

全てを助けれる訳じゃないんだよっ。

引っ張ったり、押したりしてくれるのは...

一人しか、無理なんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その神がまだ、手を持っていた頃。

 

助けを求める(鈴の音)を手にとって、

 

導いてくれる。推してくれる。

 

その温かな手は、

 

冷えていって、

 

今は、鈴の音が、残るばかり。

 

 

 

【 すずなり様と銀の鈴 】

 

 

 

 

 

 

 

 









※この物語はフィクションです。実在の地名や地形、特色、地学、歴史、化学的理論とはなんにも関係がありません。ないったら無いんだよ!

初の3000文字越えだよ。キツいよ。絶対ガバッてるよ!
こんな長くなる予定じゃなかったんだ!本当なんだ!
ちょっと聞いてくれよ!

~教室にて~

筆者「んー、この設定出したいんだけど正確に調べてないし思い付きだし色々後でガバりそうで怖いな...やめとくか!ハルちゃんには悪いが気づかなかったことに...」
同級生「何やってんの?早く部室でクトゥルフやろうぜ。...それ新しいシナリオ?GMまたやってくれるん?」
H「いや、物語書いてるの。クトゥルフとは別よ。」
D「ふーん。ま、部室で待ってるわ。早く来いよ!」
H「んー...(クトゥルフで閃く)...ダイスの女神様に決めてもらうか。」

ハルの幸運値決め 1D100 → 47
運命の幸運ロール 1D100 → 04

_人人人人人人人人_
> クリティカル <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

H「ファッ!?」


まあ、そういうことさ。ダイスと安価は絶対。はっきりわかんだね(白目)




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

00.02・夕暮れ 独白詩

夏の終わり
祭の夜
花火が咲いた


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サマーオーバー__ライツオブナイツ


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

夏を終える最後の夜は、

 

無情にも、

 

流れていって、

 

残されたのは、

 

花火の残響、

 

そして、

 

仄かに火照る、

 

左腕だった。

 

 

 

 

 

 

過去の幻影は、

 

思い出として、

 

頭を縛り付けるけど、

 

それは、

 

おんなじように、

 

夢なんだって、

 

夢だったんだって、

 

胸を強く、

 

貫いてくるんだ。

 

 

 

 

 

 

なのに、

 

そんな幻想が、

 

山を、

 

町を、

 

商店街を、

 

神社を、

 

鳥居を、

 

囲むように、

 

拡がっていて、

 

その中に、

 

その熱気に包まれるように、

 

その火のように真っ赤なリボンが揺れて、

 

私の心をもっと、

 

もっと。

 

 

 

 

 

教えてくれたのは、

 

片目の女の子。

 

一緒だねって、

 

言ってくれたのが、

 

私たちみたいな、

 

一人の女の子で、

 

私一人じゃないなんて、

 

思わないけど、

 

考えもしなかったけど、

 

どの町も、

 

どの夜も、

 

どの神様も、

 

残酷で、

 

無慈悲で、

 

とても、

 

優しいのかな。

 

 

 

 

 

 

忘れたくない想いが、

 

そこに刻み込まれて、

 

空気が揺れる度に、

 

片腕を、

 

片目を、

 

気遣ってしまう私たちだけど、

 

それがなんとなく嬉しくて、

 

ありがとうって、

 

その言葉の裏に、

 

涙の痕が見えた気がして、

 

痛いんだ。

 

 

 

 

 

いつになったら、

 

忘れていくのかな。

 

いつになったら、

 

大人なのかな。

 

いつになったら、

 

それが日常になって、

 

いつになったら、

 

それが日々に埋もれて、

 

いつになったら、

 

いつになったら、

 

いつになったらっ、

 

 

 

ユイぃ...

 

 

 

ユイと、逢えるのかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの夜、

 

あの山で見た花火は、

 

で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Summer over __Rites of nights


 

 

 

 

 

 

その音に写るは、心の在り方。

最後の糧は、少女の決意。

残された少女は、どう生き、

どう歩いていくか、

描かれるのは、そんな未来の

"可能性"。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文字数が1000文字行けず投稿できないため、

苦渋の決断でここにあとがきが来ることをお許しください。(ガバP)

白い文字色で見えないようにして、

残り400文字ほど埋めることを考えたけど、

青で反転させられると浮き彫りになっちゃって、

色々台無しになるからやめた...。

 

 

 

Summer over __Rites of nights

 

 

雰囲気読みで、"夏終わりの夜の祭"です。

...雰囲気読みです。(大事なことなので二回)

 

未だにデバイスの機種変更が終わっていないので、

古いタブレットで執筆しちゃいました。

 

妄想していた番外編(エピローグのプロローグ)その2です。

相変わらずの捏造(主に書き手の心情)たっぷりです。ご容赦を。

それでも、作品から読み取れる主人公達の心を、

できるだけ表したかったのですはい。

 

『06・五廻り 家族』で秘密と言ったサブテーマの三つ目なのですが...

ズバリ、『可能性』です。

いわばIFストーリー。無限の空想。決定されない君だけの物語。

そういうものを、表現できれば、と。

思っております。

 

 

次回はニコニコネット超パーティー2020夏でハッスルする&新機種の扱いの練習により大幅に遅れる予定です。すいません。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

■■・世廻り 掲示板 #01



両手と両足と首があるものを渡す。
あの時、かの神は、彼女の腕とその縁を断った。
では、その残りは?



 

 

 

 

 

 

 

【情報求む】 オカルト雑談板・■■エリア #■■ 【だが死ぬな】

 

 

 ■管理・提供 USMC運営

 


 

 

1:名無しの霊感持ち

ようこそ。

ここはオカルト雑談板です。

荒らし、アンチはアンチ板へどうぞ。→『URL』

次のスレ建ては900踏んだ人お願いします。

 

検証板 #■■ →『URL』

実行班 #■■ →『URL』

情報板 #■■ →『URL』

質問板 #■■ →『URL』   

 

 

 

15:名無しの霊感持ち ID:Wb6l4NRAN

【悲報】■■町、連続行方不明事件発生中【手掛かり無し】

 

16:名無しの霊感持ち ID:yVecL7wer

既出だ新情報は情報板へ。

情報板 #■■ →『URL』

 

17:名無しの霊感持ち ID:0B/2BRa5d

地元有力ニキはなにやってんだよ!

 

18:名無しの霊感持ち ID:HuFB847Rg

ミカァ!

 

19:名無しの霊感持ち ID:RqV7Pewrn

団長は叫ぶな!

 

20:寺生まれのA ID:DbiZv2wtQ

ワイは怪異をぶっ飛ばせる(物理)だけやねん...探索は専門外や...

 

21:名無しの霊感持ち ID:0B/2BRa5d

つ、使えねえ...

 

22:名無しの霊感持ち ID:QwFTKhGCm

そう言って以前滅茶苦茶助かったのは誰のお陰でしょうねえ?

 

23:名無しの霊感持ち ID:RCJX3LqnE

まあ、適材適所やな。人間完璧は有りえへん。

地元有力ニキはどっしり構えて実行班が調査を終えるまで待機や。

好機を持ってぶちかませ。

 

24:寺生まれのA ID:DbiZv2wtQ

センキューな。準備は万全を尽くしてるわ。

 

25:名無しの霊感持ち ID:EMfMfB6S/

ぶっちゃけ、今回の怪異はなんなのです?

 

26:名無しの霊感持ち ID:t5Y+IGA3L

神隠し系じゃねーの?よくある自分の縄張りに引き込むタイプの。

 

27:名無しの霊感持ち ID:oRB9JPgf3

それが有力視されているから。その縄張りをしらみ潰しで探してるわけだが...

 

28:名無しの霊感持ち ID:+TaOhYePa

進展☆無し

 

29:名無しの霊感持ち ID:WjAxRT6nd

神様仏様どうか我らに力と幸運を~

 

30:名無しの霊感持ち ID:SoXmoqtd1

(神)<で、贄は?

 

31:名無しの霊感持ち ID:6RZC7Hf+w

邪神は■ね!

 

32:名無しの霊感持ち ID:n2yg/pvvd

なあ、神■しって知ってるか?(AA略)

 

33:名無しの霊感持ち ID:E3hIyrd/0

天罰(モノホン)が怖すぎて伏せてるの草。

 

34:名無しの霊感持ち ID:RmVziO78J

誰か幻想殺し持ってないの...?

 

35:名無しの霊感持ち ID:9JPu7hYGU

おい待て確かにいれば最強の武器になるが不幸体質はNG。

 

36:名無しの霊感持ち ID:JiHMD9/dF

ぶっちゃけ何回死にそうになったことある?俺三回。

 

37:名無しの霊感持ち ID:nKt8ogoLv

俺五回。

 

38:寺生まれのA ID:DbiZv2wtQ

ワイ17回。

 

39:名無しの霊感持ち ID:kwxsFjceW

俺無い。

 

40:名無しの霊感持ち ID:SkfJsqMpt

俺2回。

 

41:ゲロP ID:/4DwAULPN

俺確か39回。何回かは記憶飛んでるから正確にはわからん。

 

42:名無しの霊感持ち ID:Gj4E9pU/t

ゲロP?!ゲロPじゃあないか?!

 

43:名無しの霊感持ち ID:FBMriDAxj

生きていたのか!

 

44:寺生まれのA ID:DbiZv2wtQ

パイセンお疲れさまっす!!

 

45:名無しの霊感持ち ID:/EA1SmySj

ゲ、ゲロPとは...?(露骨なフリ)

 

46:解説実況の名無しでお送りいたします ID:vzt2PCRFQ

説明しよう!!

ゲロPとは京都出身、京都生まれの凄腕霊術士!

あの安倍家にも繋がりを持つ(と噂の)我々きってのエースである!

感覚が敏感過ぎて毎度のごとくゲロを撒き散らすのでビニール袋は携帯必須のイケメソダディダゾ☆

 

47:名無しの霊感持ち ID:uTBbUYYDS

えぇ...(ドン引きこそしないが憐れみのこもった目を送る)

 

48:ゲロP ID:/4DwAULPN

体質なの悲しくなるからやめて。

 

49:名無しの霊感持ち ID:RG53ENfMG

まあ、今回はその敏感過ぎる感知能力をもって縄張りの発見を依頼したくて呼んだのさ。ビニール袋、酔い止め、その他色々準備万端よ!

 

50:ゲロP ID:/4DwAULPN

君たちの行動力(命)を無駄にするわけにもいかないからな...今度こそ正規での依頼をお願いしたい。

 

51:名無しの霊感持ち ID:RG53ENfMG

本当に、来てくださってありがとうございます...

 

52:ゲロP ID:/4DwAULPN

まあ、非正規依頼とはいえ金はもらっている。

しっかり働かせてもらうさ。

 

53:名無しの霊感持ち ID:1CbC1Wy2o

皆で集めたはした金で命賭けるゲロPさん...ヤバい惚れそう惚れた。

 

54:名無しの霊感持ち ID:Hf1xTXufg

掘れた?

 

55:名無しの霊感持ち ID:eaO4KemIL

アァ"ーーー♂

 

56:名無しの霊感持ち ID:uzZeu0jLY

ホモはNG。怪異も逃げ出す穢さには感心するが。

 

57:寺生まれのA ID:DbiZv2wtQ

で、どうなん?進捗。情報班探索課の人おいでませー。

 

58:見鬼の人 ID:D7B9+DJYr

 

あ、どうも喚ばれました探索課です。

(進捗は)ないです。

ゲロPは町全体に反応しているようで、

正確な絞り込みは困難と思われます。

各センサーも反応無し。

所々のダウジングマシンの反応が気になりますが...比較的浅い部分にあると思われる水脈に関係していると思われます。

私も()()()()()()しか発見できていませんし...異質ですがこの町では異常なしと言えるレベルでしょう。

 

しかしながら、

ゲロPさんの町への強烈な拒否反応...結構の大物かもしれません。

 

 

 

59:名無しの霊感持ち ID:tcjTmtRDp

 

町にゲロPが入れなかった...?

それでも…役にたったのですね?

ゲロPの(SAN値と胃腸)の死は!!

我々の調査の糧となったのですよね!!!?

 

 

60:見鬼の人 ID:D7B9+DJYr

 

(大物の可能性の判明以外、)なんの成果も、あげられませんでした!!!

 

 

61:ゲロP ID:/4DwAULPN

 

 

 

 

62:名無しの霊感持ち ID:jNaMQ+nlK

ゲロPが死んだ!

 

63:名無しの霊感持ち ID:AJFOa7L7V

この人でなし!

 

64:名無しの霊感持ち ID:PwONNta78

ネタはともかく、ゲロPが町に入れないレベルの反応はヤバすぎるぞ...

下手して犠牲を出しちまったらまた表社会からの風当たりが強くなる...。

 

65:名無しの霊感持ち ID:DF/jzhsQM

ニートのワイ、元々風当たりが強過ぎて心が丈夫。

 

66:名無しの霊感持ち ID:StabXjqm5

同意。我々は如何なる荒道でも諦めず!

 

67:名無しの霊感持ち ID:YAEtiCU9L

憎きアメ公は蹴散らすのみ!!

 

68:名無しの霊感持ち ID:MLrgQNDhW

イクゾー!!!

 

69:名無しの霊感持ち ID:3w9RuFbsO

デ、デ、デデデデン

 

70:名無しの霊感持ち ID:/PbkbpMuF

カーン(33−4)

 

71:名無しの霊感持ち ID:FQLcoL/Bf

なんでや!阪神関係無いやろ!

 

72:名無しの霊感持ち ID:5nF3yfcTl

祖国の英霊は慰霊碑に仕舞っちゃおうね〜

 

73:名無しの海兵 ID:t8ywP7Awl

我もか?

 

74:名無しの霊感持ち ID:K8ESsI0Rv

あ、海兵様は暁の海で南緯49度51分西経128度34分の防衛をよろしくお願いいたします。

 

75:名無しの海兵 ID:t8ywP7Awl

了解した。さらばだ。

貴公らに海の御加護があらんことを!

 

76:名無しの霊感持ち ID:Wdv3GCH8H

(`・ω・´)ゞ

 

77:名無しの霊感持ち ID:ESbLh3wn4

(`・ω・´)ゞ

 

78:名無しの霊感持ち ID:Kh7780sOI

(`・ω・´)ゞ

 

79:名無しの霊感持ち ID:cZmk5IL39

(`・ω・´)ゞ

 

80:名無しの霊感持ち ID:18FYXqCZk

閑話休題。

 

81:寺生まれのA ID:DbiZv2wtQ

 

周辺の神社調査はどうしたんか?

一応神仏のエリア別洗い出し作戦時に作成された

事前調査のレポートを今読んでいるけど...

 

 

82:名無しの霊感持ち ID:Pn2X5vgPK

え、そんなのあんの?

 

83:寺生まれのA ID:DbiZv2wtQ

 

つ 鈴鳴神社に関する調査報告書 #01〜■■

  →『URL』

 

 

84:名無しの霊感持ち ID:Pn2X5vgPK

センクス

 

85:名無しの霊感持ち ID:Pn2X5vgPK

み、見れない...

 

86:*USMC運営 

調査報告書の閲覧にはセキュリティ クリアランスレベル2以上の正規会員に限定されます。

・仮会員登録はこちら→ 『URL』

・正規会員試験について→ 『URL』

・レベルを上げるには→ 『URL』

 

 

87:名無しの霊感持ち ID:25eubmbL1

USMC(ウズマキ)さん! 運営お疲れ様でーす。

 

88:名無しの霊感持ち ID:Pn2X5vgPK

ワイレベル1や...

 

89:名無しの霊感持ち ID:z0N6ccbhi

正規会員な分だけすげえよ...

俺らは例の財団で言うならレベル0ならぬDランク…

 

90:名無しの霊感持ち ID:h4OFNSFn3

(博士)< 残機分の働きはしてよね!

 

91:名無しの霊感持ち ID:h/Cgd96xc

死なないだけマシだろ!いい加減にしろ!(建前)

視えるだけの才能で良かったぁぁぁぁ!(本音)

 

 

92:見鬼の人 ID:D7B9+DJYr

ん?

 

93:名無しの霊感持ち ID:L+q/pNFZk

ヒェッ

 

94:名無しの霊感持ち ID:ZUo8kd5wE

(時々過去とか未来とか死線とか)視えちゃうおめめはヤメチクリ〜

 

95:名無しの霊感持ち ID:BXTKSDKQJ

視え過ぎはSAN値チェック不可避()

 

96:見鬼の人 ID:D7B9+DJYr

まあ、視えたからこそ解決できた怪異もありますし...助けられた命もありますし...そこまで悪い能力ではないですよ。

 

 

97:名無しの霊感持ち ID:ImffKZVCo

そこまで悪い能力ではない(当社比)

 

98:名無しの霊感持ち ID:ShxaHMAo4

まあ…寿命を削るレベルのヤツは制限しているんだろ?

契約とかそういう霊的な(すべ)で。

 

99:ゲロP ID:/4DwAULPN

まあな...元々非力な俺達人間の祖先が、命とか肉体を対価に神とか神レベルの存在から力を貰って、それが世代に渡り継いで、薄くなったり濃くなったり(先祖返り)して変化していったわけで。

その薄くなった力を儀式とか道具で増強して破邪ってるわけよ。

 

 

100:名無しの霊感持ち ID:yZV56xUu6

破邪ってる(パワーワード)

 

101:ゲロP ID:/4DwAULPN

先祖返りともなるとどうしても能力的に《対価》の性質が強く浮き出ることが多くてな...その分祖先の能力より強力になることもあるわけで。

なんとも言えんよ。

 

102:名無しの霊感持ち ID:vSdf1KXAU

先祖返りってそんないるんか?

周りにいたりして...

 

103:名無しの霊感持ち ID:jv2M8/qIO

あまりいないんじゃないかなー。

そんなポンポン突然変異みたいのが生まれたらおかしいだろ?

 

104:ゲロP ID:/4DwAULPN

祖先返りと言ってもマチマチだぞ?

祖先が常人だったら祖先返りでも普通の人と変わりないしな。

ああ、でも、結構わかりやすい場合も多いな。

 

105:名無しの霊感持ち ID:VHWACtA38

kwsk

 

106:名無しの霊感持ち ID:zr0etpIBe

あー、えーと、昔から差別問題にもなってたから言いたくはないんだが...参考程度にしておけ。絶対それっぽい人がいても誘ったりするんじゃないぞ?

 

107:名無しの霊感持ち ID:dqVKxD7DD

おけおけ

 

108:名無しの霊感持ち ID:lL3ca9TJm

もち

 

109:名無しの霊感持ち ID:eBBwo9zEL

wktk

 

110:ゲロP ID:/4DwAULPN

ほんとにわかってるのか...?

…わかってるかお前らだしな。

 

一番わかりやすい実例だと、

一生消えない痣とか、

目の色とか髪色が、

遺伝的にも本来あり得ない色だったりな。

まあ、殆どの場合遺伝疾患とか遠い先祖の色が遺伝したと考えられるから表には出にくいものなんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「祖先返り...か。」

 

じいちゃんに聞いたことがあった。

髪の色や眼の色などの違い、

その身体能力や第六感とも言われる感覚の鋭さなど、

この人間史(伝承)における"超人"は、彼らのことを指したと。

 

時に神の子として、時に化け物として、

彼らはどの時代も、人が生きていくための()とされてきた。

 

糧。

先祖が授かった代償の力。

その根本が"贄"に近いものだと言うのなら...

 

パラパラと特務課から密かに送られてきた被害者の個人情報を捲る。

どれもこれも普通の一般人。

 

『祖先が常人だったら祖先返りでも普通の人と変わりないしな。』

 

「拐われた人達の共通点、かも、しれない。」

 

その方向で調べてもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「行ってくるね。チャコ。」

 

そう言ってハルは、

()()()の月光を灯す、その茶髪を夜風に揺らす。

 

 

 

「おじいさん、何でここに来ればわかるって一点張りなんだろ...しょうがない、めぼしい本をかき集めておくかー。」

 

そう言ってゆかりは、

()()()の陽光を灯す、その瞳を字に滑らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

全ての人が眼を背けているわけではない。

 

その軽い背中の影に、

 

過去の悲しみを背負って。

 

彼らは、ただ軽口を叩きながら、

 

命を賭け続ける。

 

守りたいものがあるから。

 

もう失わないと決めたから。

 

 

 

今度こそ

 

 

 

社会の影に、

 

猛進を続ける、

 

汗にまみれた大人達の姿があった。

 

 

 

 

 

 




お待たせいたしました。
アンケートの欲しいの要望が(2つも)戴けた掲示板回でした。
学業と暑さで魂が燃え尽きていました。

やっと衝動的に書きたい気持ちが出たので書きました。
夜廻の良さをぶち壊す捏造設定もりもりです。
まじで捏造設定しかないのが怖い。マジ原作の良さが怖い。

怖いので失踪します。嘘です。

今回初めて掲示板に挑戦しました。
シリアスをギャグで包んでネタにしてしまおうという意図で描かれた、
軽い感じで命を賭ける大人達の奮闘記の一章です。
ネタしかありません。
感想で反応をいただけると飛び付きますのでどうぞよろしく。
全員がチー牛顔の汗まみれのニートです。設定上秋といえども暑いですからね。
コテハンニキはイケメン揃い。しょうがないねコテハンニキだからね。
ただし寺生まれだったりゲロ吐きだったり深淵を日常で垣間見る可哀想な人達なんです。


新学期が怖いので失踪します。
1ヶ月位経ったら嘘になると思うのでよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

09・八廻り 生け贄



今度こそ、

護りたい約束が、そこにある。


 

 

 

「無理だな。」

 

「な、なんで!私にはわかるよ、ハルちゃんが"渡る資格"があること!」

 

渡る、資格?

 

拝殿の横、売店の裏にある休憩室。

そこに、ハルとゆかり、

ゆかりのおじいさんが座っている。

 

私達は、書庫で見つけた情報を元に、

おじいさんに説明したのだけど。

 

「確かに、その子には資格がある。だが、如何せん方法が無い。渡るのはできても、()()()()()()()()()()()()()()()()?と聞かれたら保証出来ん。」

 

「"渡る資格"ってなんですか?」

 

「..."渡る資格"というのは、みかがみ様の本身(本体)が存在する別世界(位相空間)へ入ることができる力を持つことを言う。遥か昔から、鏡の中、水面の裏といった境界には、別世界があるという伝承が数多く存在する。みかがみ様はその中の一種に殿を構築しているのであろう。」

 

「別世界...」

 

「また、もう一つの問題がある。例えこの世界の境界を越えられるとしても、目的の世界、目指すべき神域への目印がないだろう。数多の世界が君の目を惑わし、下手すれば次元の狭間からこの世界へ戻ってくることさえ困難となる可能性が高い。そういう意味での、()()がないのだ。」

 

「おじいさん...何か、何かないの?なんだっていいじゃない!別の神様の力だって借りればいいし、道具とかなにかそういうの!

 

「そうは言ってもだな...」

 

 

意を決して、口を開く。

 

「私は、諦められません。逃げられません。悲しむ人だっているし、私にしかできないことがあるんですよね。私は、もう、逃げないんです。そう、約束しましたから。」

 

 

「......。」

 

「......。」

 

 

 

無言。おじいさんの鋭い目線が注がれる。

無い腕に、腕に結んだ鈴に、...髪に?

 

「....鏡、神鏡だ。この鈴鳴神社にあるあれは、遥か昔にみかがみ様の下で鍛えられたものだ。未だありありとかの神の神力を含んでいる。あれを媒体に利用すれば、道を開きやすいだろう。だが、それは逆にあちらからも道が開きやすい、干渉しやすいことを指す。現にな。」

 

 

あの深夜にあった、空間の裂け目を思い出す。なるほど。

 

 

「しかし、あれだけでは足らん。あの程度の縁では簡単に繋がりが切れ、お前は別世界に放り出される。それで何人も......。」

 

 

拳が震えているのがわかる。

眉間にシワが寄り、血管が浮き出ている。

 

 

「まさか...」

 

「おじいさん...。」

 

 

行方不明者。

帰って来ない人。

記録に残っていた数々の行方不明事件と反応が違う。

 

 

悲壮。誇り。

 

恐れ。不安。

 

 

行方不明になった。

それは、自ら向かったか、かの神に連れ去られたか____?

 

 

 

 

 

 

身じろぎ(一歩踏み出そうと)すれば、チリンと、音が響く。

 

 

 

 

「すずなり様って、迷い人を、その鈴の音で導くって聞きました。」

 

「すずなり様って、呼んだり、知らせたりしてくれる神様なんだよね?」

 

 

 

欠けたピースはもう埋まっている。

 

わかろうとすれば、もうわかっていることだった。

 

あとは________

 

 

「「すずなり様に、導きを頼むのはどうなの?おじいさん?」」

 

 

 

 

 

人を呼ぶ。導き、道を繋ぐ。人を繋ぐ。

 

 

縁を繋ぐ。再会を、命を結び合わせる。

 

 

 

それすなわち_______

 

 

 

 

 

 

「っ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肩が、背中が、ブルブルと震え、

涙が一つ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、渡れる人間が、私やおばあさん、

お前のお父さん、ゆかりしかいなかった。

この老いぼれの命なんて、幾らでもやりたかった。

でも、この神社の後継者がどうしても間に合わなかった。

後継が完成しなければ、かの神の力はこの綻んだ封印を破り、

世界中の人々の願い(もしも)を叶えようとするだろう。

代償は、完全に渡れる人でなければ、

肉体が現世に残され、多くの人が、

別世界に霊体として残されるだろう。

 

それは、死んだことと、変わりがない。

 

 

お前のお父さんの出張は嘘なんだ。

本当は、京都で、修行を続けている。

次の、この神隠しが発生する前に。

 

だが、間に合わなかった。

 

嫌だった。渡り、みかがみ様を再度鎮めにいった同胞は、

文献に残る最初の一人を除き帰ってこなかったそうだ。

力不足。血は世代を渡り薄れていく。

だが、

 

だが、

 

お前は、ゆかりは______

 

 

最初の一人の先祖帰りなんだ。

 

憶測だが、

ハル君も、そうなのだろう。

 

 

 

 

先祖帰りだから成功するなんて思えない、

孫が帰ってこなかったと思うと吐き気がする。

この呪われた(封印された)地から、

ゆかりを引き離したかった。

だが、賀神家との、約束もあった。

 

『この二家の血縁をもって、かの神を静め続ける』...と。

 

賀神家は、もう後が無い。

祖父母は寿命、息子は事故で無くし、

残された父母は、仕事と、町中の鏡面の封印に身を削っている。

そして、その娘も...

 

連れ去られた、と。

 

 

 

 

 

 

私達は無力だ。

もう神頼みもその神鈴しか無い。

使えるのは君達のみ。

 

頼む。どうか、どうか、

 

 

助けてくれッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絞り出した声だった。

血を吐き出すような声だった。

とうに涙は枯れて、

その握り拳には力しか無かった。

これは、贄みたいなものなのだろう。

鎮めるために。眠らせるために。

 

帰ってこれない道を往く。

取り返せる力はある。

 

なら、もう、私は決まっている。

 

 

 

「約束しましたから。もう、手を伸ばさないことは無いって。」

 

「私の手で守るって、助けるって決めたしね。紡もハルも、友達だもん。」

 

 

目線で笑いあって、おじいさんにしっかりと向かい合う。

 

 

 

「「うん、わかった。行ってくるよ。」」

 

 

 

 

 

今度こそ。

 

護りたい約束が、そこにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先へお進みになる前に、

 

お願いがあります。

 

 

これから、"悔い"と出会うでしょう。

 

どんなに不安でも、心細くても、

 

過去から逃げないでください。

 

 

よろしいですか?

 

 

あなたは、ひとりじゃありません。

 

その手をずっと握ってくれる、あなたにとって大切な手を、

 

今度こそ、ぜったいに、はなさないでください。

 

過去を、繰り返さないでください。

 

 

今のあなたは、前よりずっと、強いのですから。

 

 

約束できますか?

 

 

本当ですか?

 

 

 

 

 

 

 

      >【はい     いいえ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

応援しています。

 

 

 

 

 

 

 

      >【ありがとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お待たせいたしました。

大人は無力、誰がそう決めた?
無力だけど無力ではないということでした。はい。

説明がどうしてもうまく差し込めなくて、
まだ意味不明とか何でわかったの?っていう部分が沢山あると思います。
どうぞ感想でお知らせください語らせてもらいます。(自己満足)



もうちょっとで決戦なのに最後がどうしても思い付かない...(小声)
ヤバいどうしよ示しがつかんぞ捻り出すんだアイデアと語彙力を!



Fateにハマる準備をしていました。
図書館で借りようとしたら借りられていたので読める前に書きました。

ニコニコでとある人に進められた『雪下の誓い』の予告を見ました。
幼妻っていいね。
瞳の色が素敵すぎてヤバい。その意味もヤバい。
主人公の願いも素敵。
これだから奥の深い作品は...(想いの果ての地団駄)
頑張って、ノベルFateもアニメFateも劇場版Fateも見ます。楽しみ。





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

■■・宵廻り 掲示板 #02


あの物語の裏の一つ。
あり得ただろう可能性の舞台裏。
そんな軽いお話だ。





 

 

 

【決戦】オカルト雑談板・■■エリア #■■ 【大作戦】

 

 

 ■管理・提供 USMC運営

 

 

 


 

 

 

73:名無しの霊感持ち

 

なあ、本気で不味くね?

A.T.フィールド(霊的精神保護)ガン無視してズボズボと汚染(魅了)してくんだけど。

 

 

74:名無しの霊感持ち

 

言い得て妙だな、ATフィールドに精神汚染。リアルな分凶悪過ぎるが。

 

 

75:名無しの霊感持ち

精神干渉されながら打ってるニキ強すぎぃ...こちとら護符と生唐辛子で耐えてるっていうのに...

 

76:名無しの霊感持ち

辛さは汚染に勝つ。アタリマエダネ。

 

 

77:名無しの霊感持ち

チームメンバーがヤバそうだったらしっかりぶっ叩くか、

冷水をぶっかけるか、タンスに小指をぶつけてあげるんだぞ。

 

78:名無しの霊感持ち

もうやりました。(4回)

 

79:名無しの霊感持ち

もうやられました。(1回)

 

80:名無しの霊感持ち

こ、こゆ、小指、こここここくぇrちゅいおp

 

81:名無しの霊感持ち

小指が痛いのはわかったからもちつけ

 

82:名無しの霊感持ち

ぺったんぺったん♪ (AA略)

 

83:名無しの霊感持ち

つるぺったん♪

 

84:名無しの霊感持ち

( ゚∀゚)o彡゜幼女! 幼女!! つるぺた幼女!!!

 

85:名無しの霊感持ち

ロリコン共は出荷よー

 

86:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)そんなー

 

87:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)そんなー

 

88:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)そんなー

 

89:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)そんなー

 

90:名無しの霊感持ち

??<<うおおお!

駆逐艦たちよ、この私が守ってやるぞ!

 

91:名無しの霊感持ち

変態空母は大人しく周回よー

 

92:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)そんなー

 

93:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)夕立が落ちない...

 

94:名無しの霊感持ち

??<<なあに、回せば出るさ。

1%も100回施行すれば100%だ。

 

95:名無しの霊感持ち

??<<え?1%以上!?めちゃめちゃ良心的だね!

 

96:名無しの霊感持ち

ヒェッ

 

97:名無しの霊感持ち

ソシャゲ中毒者も帰って.....

 

98:名無しの霊感持ち

お金が、お金が擦り切れていく...

 

99:名無しの霊感持ち

神社保存不可避....

 

100:名無しの霊感持ち

俺達は無力だ...

百足様の神域を守りきれなかった...

 

101:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)唐突に現実を差し込まないで

 

102:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)つらたん

 

103:名無しの霊感持ち

ジジババがもうちょい強く主張してくれたらなあ.

..

 

104:名無しの霊感持ち

百足様の見た目もあるわ。

無知は恐怖に繋がる。

心の影で、

かの神を避けてた人もいたんでしょうな。

 

 

105:名無しの霊感持ち

めちゃめちゃ百足様すごいのになあ。

今あの山を囲んでる結界も百足様なのでしょ?

 

106:名無しの霊感持ち

神社の御札を媒介に展開させてもらってるやつよ。

侵入者を報告する機能と、

嫌悪感を刺激するタイプ。

所謂人払いを敷いてる。

 

107:名無しの霊感持ち

それでもこの吸引力。ヤヴァ過ぎぃ!

 

108:名無しの霊感持ち

本当にこの町周辺は闇鍋みたいだなこんちくしょう

 

109:名無しの霊感持ち

お隣の手蜘蛛野郎も凄まじいらしいって聞くけどねえ。

 

110:名無しの霊感持ち

うわあ...揃いも揃って町隣かよ...

 

111:名無しの霊感持ち

堕ちた神が本当に多いな...

マジでヨマワリさんが居てくれて助かってる面あるわ。

 

112:名無しの霊感持ち

まあ、子供探しがほぼしなくていいのは精神的に余裕があるねえ。

 

113:名無しの霊感持ち

裏返るとSAN値チェック不可避だけど。(1敗)

 

114:名無しの霊感持ち

それね(2敗)

 

115:名無しの霊感持ち

ああ、肉が! 肉が! (失敗)

 

116:名無しの霊感持ち

はい精神分析(腹パンクリダメ2倍)

 

117:名無しの霊感持ち

せいしん..ぶん、せ、き...?  4 → −1/10

 

118:名無しの霊感持ち

ただでさえ糞神の神域脱出で減ってた耐久力が!

 

119:名無しの霊感持ち

33−4(チーン)

 

120:名無しの霊感持ち

なんでや!

 

121:名無しの霊感持ち

私に任せろー コロリン 

【応急手当】12/75 3/1D3回復

 

122:名無しの霊感持ち

ふう.... −1 → 2

 

123:名無しの霊感持ち

ひy

 

124:名無しの霊感持ち

ひy

 

125:名無しの霊感持ち

よーし私も!

 

126:名無しの霊感持ち

あっ(察し)

 

127:名無しの霊感持ち

―来週は夕方5時00分からお送りします―

 

128:名無しの霊感持ち

なんか静かですね。

街の中にはギャラルホルンもいないし本部とはえらい違いだ。

 

129:名無しの霊感持ち

おいやめ

 

130:名無しの霊感持ち

あ、【応急手当】100/72 2/1D3ダメージ

 

131:名無しの霊感持ち

ぐh 2 → 0

 

132:名無しの霊感持ち

なにやってんだぁぁぁぁ!!!!!!

 

133:名無しの霊感持ち

キボウノハナー

 

134:名無しの霊感持ち

止まるんじゃねえぞ...

 

135:名無しの霊感持ち

今北産業

 

136:名無しの霊感持ち

Mission type-γ始動全裸待機中。

先発隊は神域ギリギリの包囲を開始した。

結界と内部の監視と侵入した少女の特定を急いでいる。

 

137:名無しの霊感持ち

センクス。 >>136

 

138:名無しの霊感持ち

無知でスマソ。

仕事が入って情報追えてなかった。

Mission type-α.β?はどうなったん?

失敗だったん?

 

139:名無しの隊員

失敗なのではない。戦略的撤退である。(大本営発表)

 

140:名無しの霊感持ち

我々の勝利だ!(なお戦略的勝利)

 

141:名無しの霊感持ち

>>138

情報更新。

推定01:05(マルヒトマルゴー)

神域内にて急激な変調が確認された。

急遽02:00(マルフタマルマル)より開始予定の電撃戦型結界突破作戦、(以下Type-αと表記)を中止。

緊急神域集中調査(以下Type-βと表記)を開始。

調査結果より、

神域内部にて人類に類する霊的波長及び小型生命反応を感知。

精密情報鑑定及び■■エリアの人類識別コードより、

子供、それも小学校高年代から中学生の可能性が高いと判定された。

現在、対象保護及びType-αの補填として、

Level.5の神的存在の封印処置の同時展開が■■■■■■■により賛成多数、

承認され決定されたと思われる。

 

 

142:名無しの霊感持ち

 

あー。うん。

財団直轄の隊員だろテメエこんな所でサボってると怒られっぞ。(ブーメラングサッ)

 

 

143:*USMC運営 

 

特定完了しました。

職員番号00051、00027。

減給となります。お疲れ様でした。

 

 

144:財団職員00051

 

 

 

 

145:財団職員00027

 

 

 

 

146:名無しの霊感持ち

何やってんだ古参勢wwwwwww

 

147:名無しの霊感持ち

登録番号2ケタとか...たまげたなあ。

 

148:名無しの霊感持ち

>>141 つまり...どういうことだってばよ?

 

149:名無しの霊感持ち

Mission type-γ

ロリショタ(仮)の保護と、

山の糞神の封印が目的の作戦。

む ち ゃ ぶ り 。

 

150:名無しの霊感持ち

デデドン!!(絶望)

 

151:名無しの霊感持ち

ま、そんな(作戦の)こと(俺らしたっぱ無能衆に)は関係無いですけどね!

 

152:名無しの霊感持ち

おう死亡フラグやめーや。

 

153:名無しの霊感持ち

ん? 

 

154:名無しの霊感持ち

集収かかったな。

 

155:名無しの霊感持ち

さてさてどんな無茶振りを言われるのか...

 

156:*USMC運営 

 

これより目標対象保護及びLevel.5神的存在封印作戦の最終準備段階へ移行します。

各担当は担当場所へ。

主力部隊はポイントまで進行開始。

先発隊は主力部隊をポイントまで支援しつつ、

警戒陣形へ。以後別命あるまで待機。

 

危険度が最も高いですが、

結界が無く、参道のみ空間安定値が高いため、

廃トンネルからの参道侵入が案として最有力です。

 

 

157:名無しの隊員

了解。

別命あるまで待機。

 

158:名無しの隊員

全武装調整完了。

いつでもいける。

 

159:名無しの霊感持ち

結界の再度変異は確認されず。

一応安定はしているようです。

 

160:名無しの隊員

確認された対象は...再度確認できず。

最奥に閉じ込められていると思われます。

 

161:名無しの先発隊

先発隊会敵!

大きな手に目玉がついたバケモンだ!

糞神の神気が纏いついてやがる...

ヤツの分体か、使い魔か...?

 

162:名無しの霊感持ち

おーおー大きいものから小さいものまで選り取り見取り。凄まじいな。

 

163:*USMC運営 

時間です。

作戦開始。

 

 

164:名無しの隊員

了解。作戦開始!

 

165:名無しの霊感持ち

ゴーゴーゴーゴー!!!

 

166:名無しの霊感持ち

イクゾー!

 

167:名無しの霊感持ち

デ、デ、デデデデ

 

168:名無しの霊感持ち

カーン!

 

169:名無しの隊員

大型霊的存在、いや神的存在を探知!

凄いスピードで廃トンネル目指してます!

やべえぞコイツ!

 

170:名無しの霊感持ち

よまわりさん!?

 

171:名無しの霊感持ち

よまわりさんktkr

 

172:名無しの霊感持ち

お前ら刺激すんなよ!?反転されたら厄介だ!

 

173:先発隊隊員A

おいちょい待て、女の子!

女の子が廃トンネルに侵入しました!

 

174:名無しの霊感持ち

なんだって!?

 

175:名無しの隊員

早く先発隊止めろ!

更に子供に被害が出たら不味いぞ!

 

176:名無しの霊感持ち

糞このデカい手がマジで邪魔!

 

177:名無しの霊感持ち

よまわりさんだあああああああ

 

178:名無しの隊員

引かれる!引かれる!

 

179:名無しの霊感持ち

はええええええええええwwww

 

180:名無しの霊感持ち

なんだこの光ィ!?

 

181:名無しの隊員

神力....微かながら霊力も...

少女が持ってるお守りだ!

 

182:名無しの霊感持ち

化け手が嫌がってる!

 

183:名無しの霊感持ち

特効武器かよズリー!!!

 

184:名無しの霊感持ち

うそ、だろ....

 

185:名無しの霊感持ち

デカ過ぎんだろ...なんだあの化け手

 

186:名無しの霊感持ち

マズっ少女を守れ!

 

187:名無しの隊員

注意してくださいよまわりさんが廃トンネルに到着しますよ退避、退避ィー!!!

 

188:名無しの霊感持ち

反転した\(^o^)/

 

189:名無しの霊感持ち

やゔぇ音。地震かよ!

 

190:名無しの霊感持ち

いや怪獣大戦争だなこりゃあっ!

 

191:名無しの霊感持ち

少女が奥に!

 

192:名無しの霊感持ち

糞ったれこれじゃあトンネルが通れねえぞ

 

193:名無しの隊員

(・д・)チッシカタネーナ

無謀を承知で結界ぶち抜くぞ!

>>*USMC運営、許可を申請する!

 

194:名無しの霊感持ち

待 っ て ま し た

 

195:名無しの霊感持ち

祭 り の 時 間 じ ゃ

 

196:名無しの治療班

フィードバックのフォローは任せろ!

 

197:名無しの霊感持ち

よっしゃあああ!全火力をぶちかますぜ!

 

198:*USMC運営 

>>193 ■■エリア管理権限を以って、その申請を承諾します。人払い及び断音、物理結界展開担当責任者は、各自結界の出力を増強、神域結界の破壊に伴う社会的損害を限りなく遮断してください。

 

199:名無しの隊員

了解!

 

200:名無しの隊員

了解!

 

201:名無しの霊感持ち

了解!

 

202:名無しの隊員

カウント行くぞ!!!

 

203:名無しの霊感持ち

詠唱開始!!!

 

204:名無しの隊員

電位接続! コンタクト確認!

 

205:名無しの隊員

全制御オールグリーン!

 

206:名無しの霊感持ち

Fire!

 

207:名無しの霊感持ち

【信号を受信できませんでした。→『再試行』

 

208:名無しの霊感持ち

【信号を受信できませんでした。→『再試行』

 

209:名無しの霊感持ち

【信号を受信できませんでした。→『再試行』

 

210:名無しの霊感持ち

うるせえ!

 

211:名無しの霊感持ち

耳が死ぬぅ!

 

212:名無しの隊員

おいちょっと待てアスファルトがめくり上がってんぞ誰か最後ブーストしただろじ!

直すの俺達なんだからちゃんと演算結果通りに知ろってのしゅ!

 

213:名無しの霊感持ち

結界って耳に悪いね。

 

214:名無しの霊感持ち

まあ、巨大なドーム型のガラス壁が一点からぶち抜かれたわけだしな。

 

215:名無しの隊員

突入! 目標、山頂の神社本殿!

 

216:名無しの霊感持ち

解析班! 例の少女の情報整理は済んだ!?

 

217:名無しの解析班

あと13秒で完了する!

情報をまとめ次第個人情報は保護班に送る!

例のお守りの解析はもう少しかかる!

 

218:名無しの隊員

了解!

 

219:名無しの隊員

例のお守りが放った霊的波長データサンプルをゲットできていたかもしれない!

すぐ解析班陣地に戻る!

 

220:名無しの霊感持ち

有能。

 

221:名無しの隊員。

有能。

 

222:名無しの霊感持ち

有能。

 

223:名無しの隊員

はあ!? 姉妹!? よりにもよって姉がさらわれて妹が向かったのかよ!

 

224:名無しの隊員

叫ぶなど阿呆! 音声入力付いたまんまだろうが!

 

225:名無しの隊員

ん? 結界破りでの電波障害かな?

223が表示されないなー。

 

226:名無しの霊感持ち

ねー。

 

227:名無しの霊感持ち

運営無能はよ復帰しろ(棒読み)

 

228:名無しの霊感持ち

やさしいせかい

 

229:名無しの霊感持ち

やさいせいかつ

 

230:名無しの隊員

■■エリアの個人識別バンクから情報照合及び記録、引き出しが完了した。

保護班は各自で閲覧するように。

それ以外は必要であるなら閲覧を許可する。

バンク#■■■.■■■→『URL』

 

231:名無しの霊感持ち

了解。

 

232:名無しの隊員

なるほどな。あの無謀の根本は.....

 

233:名無しの隊員

あまり家庭に踏み込むなよ。

重荷で潰れるぞ。

 

234:名無しの先発隊

山の中腹に到着!

マジで化け手の猛攻がキツすぎる!

参道にあった灯篭の効果で即席結界を張れているが、

これがなけりゃ本当に....

 

235:名無しの霊感持ち

この光の霊力...こともちゃんのお守りと同じ波長。

 

236:名無しの解析班

サンプル集収をよろしくお願いします。

 

237:名無しの隊員

了解。

 

238:名無しの隊員

もうすぐ、もうすぐだ!

 

239:名無しの霊感持ち

頑張れ!

 

240:名無しの霊感持ち

応援しか出来ない身だけど、

みんなのこと、祈ってるから。

 

241:名無しの霊感持ち

無力なのは、きっついなあ。

ほんと、見えるだけっていうのも...ね。

 

242:名無しの隊員

ありがとう。

 

243:名無しの隊員

大丈夫。

 

244:名無しの隊員

俺達は君たちのためにある団体だしな。

応援がある分孤独じゃないさ。

 

245:名無しの隊員

霊的存在との対峙には心持ちも重要だ。

君達にはそういう意味で助かっているのだよ。

 

246:名無しの隊員

できることをやればいい。

 

247:名無しの隊員

俺達は今できることをしているだけだからな!

 

248:名無しの霊感持ち

カッコよすぎて泣ける。

 

249:名無しの霊感持ち

泣いた。

 

250:名無しの霊感持ち

全米が感動

 

251:名無しの霊感持ち

死亡フラグ(ボソッ

 

252:名無しの霊感持ち

やめやめろ!

 

253:名無しの霊感持ち

キボウノハナー

 

254:名無しの霊感持ち

やっぱ提示板は明るくなくちゃなwwww

 

255:名無しの霊感持ち

あーあ。(感動が)台無しだよ。

 

256:名無しの霊感持ち

wwwwwwwww

 

257:名無しの隊員

さあもうひと頑張り、イクゾー!!!!

 

 

 

 

 

オォッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






はいどうも、筆が乗ったので書きました。
原作の裏なので原作崩壊ではない。いいね?(銃チャキ )
本編は遅れます。
中間試験という災厄がやってくるのです察して。

閑話休題。

プリヤ劇場版雪下の誓い、休日中に借りて見ました。
素敵でした。特に色の表現が素敵でした。
青空や夕焼け、山々や星天、降雪。眼の色など。
聖杯の起動も感動物。心が燃え尽きました。
特に曲。kaleidoscope。
アウトロをアニメOPのイントロと繋げるセンスに脱帽。
素晴らしい作品でしたわ私超満足。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10・九廻り 再逢


いつだって奇跡(偶然)は、
こうやって成り立っていた。


 

 

おじいさんと、約束をした。

 

その夜。

 

その一刻手前の時だ。

 

縁側で見る夕焼けに、

 

少しずつ夜が降りてきていて、

 

帳の星が、質量を持ち始める。

 

そんな時。

 

 

 

 

 

 

 

「一緒によく見たよね。星。」

 

 

「ハルが留守番に怖がって夜に呼び出てたからね。」

 

 

「....別にちょっと寂しかっただけだし。」

 

 

「わかってるよ。

私も、呼んでくれた時は嬉しかった。」

 

 

「.....深夜に家に帰るの、大丈夫だった?」

 

 

「うん。.....ああ、安心して。

あの時はまだちゃんと生きてたよ。」

 

 

「そういう問題じゃないよ....もう...。」

 

 

「あはは。なんにも知らなかったよね。

ただ夜を怖がりながら、楽しんで過ごしてた。」

 

 

「いつまでも続くって思ってた。」

 

 

「私はずっとそれに救われてた。」

 

 

 

「そうなのかな。そうだったら嬉しいな。ユイ。」

 

 

「そう言いながらも険しい顔になってるよ? 

ハル。もうそんなに泣きそうな顔しないの。」

 

 

「ユイ....。あなたは誰? 

神社で会えた、あのユイなの?」

 

「あの子は、沢山ある"もしも"の

私の一人なんじゃないかな。多分。」

 

あの私。片腕無かったし、

あの鋏で自分(この世界との縁)を切って帰って行ってた。

多分、ハルと私の関係が、真逆の世界なんだろうね。

 

「じゃあ。ユイは....。」

 

「私は、多分、私の残り物。」

 

うかつなことに、一握りの悔いと、心配をだしに、

あのみかがみ様というやつに引っ張りだされちゃった片腕の残り香。

夢幻(ゆめまぼろし)のような幽霊もどき。

 

 

「.........。」

 

やっぱり、

 

「喜ばないんだね。」

 

庭に広がる手入れされた茂みから出て、

気分的に体をはたきながら、

縁側に、ハルの隣に座る。

一つ分、間を空けて。

 

 

「ユイは、もう、死んで、いるから。 

お別れしたから。

死んでしまった人とはもう会えない。

一緒にいられない。

そう、わかっているから。

もっと話したいし、遊びたい、

見たいものだって沢山ある。

でも、もう、わかっているからっ。」

 

 

声は揺れて、揺れて、落ちそうで、

 

私は、夕焼けに白む一番星を見上げてることしかできないから。

 

 

足りてなくても、

満足しているからっ。

 

一緒じゃなくても、

ずっと一緒なんだからっ。

 

ありがとうって言いたいから。

次は謝らないからっ。

 

 

 

 

 

ごめんなさい_______

 

 

 

 

私達は、そう言って手を離した。

離すしかなかった。

もうこの声は、理に阻まれて届かない。

もうこの手を握る手は、断ち落ちてしまった。

 

それでも。

 

 

 

ありがとう________

 

 

そう言いたかった。

もう会えなくても。

今こうやって会えてしまっているから。

溢れ出しそうなほど言葉は喉に詰まって。

この"もしも"を悲しいほど嬉しく思ってしまうから。

 

 

 

 

「ユイぃ....。」

 

「んー? なーに。」

 

「ありがとう。一緒にいてくれて。私の友だちでいてくれて。」

 

「ん。こちらこそ。」

 

 

 

 

 

ふと上を見れば。

 

空は紅掛空色に染まり。

黄昏が訪れていた。

 

 

刻は今。逢魔時。

 

昼と夜が混じり、世界が曖昧になる時、

この世とあの世をつながることがあるという。

所謂、此岸が彼岸とつながるのだと、

昔から示されてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう行くね。」

 

「......うん。」

 

「あーあ。フられちゃったなあ。残念残念。」

 

「でも....」

 

「ううん。ハルは合ってるよ。

私は、餌。ハルをあっちに連れていくための。

そういう仕掛け。」

 

「.....。」

 

「今だけ。この時だけ。

私は抗えて、ここにこうやっていられるけど。

それももう少しだけ。」

 

 

 

 

陽が落ちて。

 

 

____こちらこそ、ありがとう。ハル。

 

 

夜が訪れた。

 

 

 

 

 

その夜は、少し冷たい風が吹いた。

満月は大きくて、滲んでいた。

 

 

 

 

 




涙を流した後に、ハルのケツイは満たされました。





中間試験で遅れます。
試験勉強の息抜きで書いたのでガバは見過ごして(オイ

Fateシリーズ(特にプリヤ)が面白過ぎてこれも書きたくなったけどシリーズ全て読みきらんとにわかオチで死ぬるから新作はいつかにしようねというのが脳内オンライン会議で決定しました。

未完結作品はどうしたって?
ななななんのことでづかねー(待っててスランプ抜けたら書くからほんと待っててごめんなさい何でもしますから)






目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11・十廻り 界道

『もしも』、
そうやって願わない。
過去を彷徨うことはしない。

捨てられないものが、
今もあるから。


 

 

次の日、早朝。

まだ日の昇らない、澄んだ世界。

 

今待ち望むは、

 

彼は誰時(かはたれどき)

 

黄昏の逆刻を示し、夜と昼の境目、

世界の境界が渦を巻く時間帯。

 

この時に私たちは、神鏡を使って、

かの神域への道を開き、進む...らしい。

 

今もおじいさんが指揮をとりながら、

着々と儀式の準備を進めている。

私達は、まだやることはない。

精々お風呂に入ったり、朝御飯を食べたり、

 

持ち物の点検__特に()()を沢山切って切れ味が落ちた鋏の手入れや黒ずみ始めていた鈴をおじいさん達に綺麗にしてもらう__をする程度だ。

 

腰にベルトで固定されている、

手作りの鞘__布裁ちばさみのカバーを元に手作りした特別性__から調子を確かめるよう少し抜いて、

赤黒い鋏身に空がうつるのを眺める。

 

 

「ハル、大丈夫?」

 

「うん、大丈夫。」

 

二人は、拝殿と本殿を結ぶ道に立っていた。

 

後ろを振り返れば、不思議なことに大きな鳥居が完全に見え、少しこの道が曲がっていることに気づく。

...なぜ?

 

「ハル?」

 

「ん。」

 

いや、なんでもない。

 

 

もう、そろそろ。

 

朝が来るのだ。

 

 

 

本殿の前で、

 

朗々と響く祝詞。

 

震える数々の鈴。

 

こぎみいい小太鼓が空気を突き、

 

複雑なリズムの中で気配が加速していく。

 

 

これが、儀式(祭事)なのだろうか。

 

別理の波は、少しずつ境内を、

拝殿を、本殿を満たし、

この神社を少しずつ少しずつ変えていく。

 

空気が変わる。

 

風が変わる。

 

匂いが交じる。

 

違和感。それは別界の現し。

 

 

 

突然背を温める光。

足元から伸びる大きな影。

 

振り向かずともわかる、太陽の顕現。

 

 

 

 

彼は誰時(かはたれどき)_______

 

 

その瞬間だった。

 

東の旭が西の本殿の鏡を照らし_____

 

私の鈴が大きく世界に音を奏で_____

 

同時に鏡が、ギャンと震えたと思えば__

 

 

 

私は(私は)

 

ゆかり(ハル)と共に、

 

 

足元の()に、

その中の()に、

透明な何か(空間の狭間)に、

 

 

引きずりこまれた。

 

 

 

 

最後に視えたのは、

 

()に染まった、黒紫の刃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不思議な空間、水のような鏡の流動、

そこに映る、多分別世界の風景、

それらの集合体の中を落下していく。

とにかく眼を向けるは、

目の前を揺蕩う一本の赤い糸。

即ち、ゆかりと紡さんの縁である。

 

銀鈴(すずなり様)の力で、

この縁を離さない(呼び続ける)よう、

体を繋いで(引っ張って)もらっている中で、

邪魔するように張り巡らされた数々の残像のような(並行)世界との縁を、一太刀のもと切り捨てる。

なおゆかりちゃんは私にしがみついてもらっている。

片腕は本当に不便だ。

 

 

 

 

 

 

切り捨てる。

 

 

ユイが助かった世界も、

 

私が逆に死んじゃった世界も、

 

クロも助かった世界も、

 

ユイの両親も笑顔の世界も、

 

私に腕が揃ってる世界も、

 

こともにも目が揃ってる世界も、

 

あの悲劇がそもそもなかった世界も、

 

ありとあらゆる別界を、

 

ありとあらゆる結果を、

 

ただひたすらに、ひたすらに、

 

 

なんで?

 

あなたはこの世界でしあわせになれ(ユイに会え)るよ?

 

 

知るもんか(いやだ)

 

 

なんで?

 

あなたはこの世界でしあわせになれ(は腕があ)るよ?

 

いらないよ(そんなのいやだ)

 

 

なんで?

 

ユイはこの世界で生きてるよ?

 

隣には別の私がいるでしょ(だから、いや)

 

 

なんで?

 

アレにも会わなくて、クロも生きてるよ?

 

別の人が標的なんだね(絶対いやだ)

 

 

なんで?

 

あなたの代わりに(が死んで、)ユイは生きてるよ?

 

............。

 

 

 

 

 

鈍い胸の痛み。

自己犠牲なんかじゃない。

あの時の選択を、何十も、何百も、

夜が来るたび悔いは襲うけど、

それでも、後悔はもうしないから。

 

覚悟はある。

決意もある。

 

わかりきった答えだってある。

 

もう知ってることなのに。

 

絶えず自問し続けている、その言葉。

 

 

でも_______なんで私が_______

 

 

 

 

 

「駄目だよ。」

 

 

お腹がキツく締まり、

固くなった呼吸が、無理やり捻り出された。

 

思考が途切れさせられ、

咳き込みながらゆかりを見る。

 

 

「駄目だよ。」

 

「ヒェッ」

 

変な声が出た。ヤバい。 

あの転校生騒動の時に顕現した鬼がいる。

トラウマが蘇る。

絶対零度の視線。

体からただの人でも見えそうな程の覇気。

オーバーキルレベルの論理、

心理武装による心の粉砕。

何故かハァハァしてた人もいたけどそれは無視。

隣で聞いていられませんでした

心なしか背中が湿って、視界が滲む。

 

「ハルの過去に何があったかは知らないし聞こうとも思わないけれど友達として過去のことを後悔して死なれちゃあ私との交友すらも軽く思えて滅茶苦茶苛つくしへえユイって子を生きてる世界に行かせる?つくづく人の命をなんだと思ってるのかしらその時の選択を変えたりしたらその時進んだ先の人や物命の価値ありとあらゆる出来事が全てただの夢幻扱いじゃないふざけんじゃないわよその時の選択を無碍にするとは本当に呆れて反吐も出ないわ何も知らない私だけど言えることはただ一つあるわよ。

人の命を賭けた本気の決意を馬鹿にするんじゃないわよ!!!

 

 

大声。世界の狭間に響き渡る。一つの幼き想い。

 

 

涙が出る。嬉しい方のだ。

 

つまり、そういうことなんだ。

私がそれに手を伸ばさない理由。

選んでしまったら、

あっちでユイに怒られてしまうだろうし。

あの時の私と、ユイを、クロを、チャコを、沢山の命とその想いを、幻想に、無駄にしてしまうその行為。

 

私自身が許せない。

 

 

 

例え、別の結果があっても、

 

そこに確かな()()()()があったとしても。

 

過去は、確かに後ろで在るのだから。

 

私は、私と皆で、目指す未来を、世界を選んでいく。

 

それを汚し、未来を簡単なものとするなんて、

 

 

もう、いやだッ!!!

 

 

 

 

音は無かった。

 

それでも、確かに。

 

刃は通った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お待たせしました。
テストは終わりましたが心がまだ死んでます。

赤黒い巨大な裁ちばさみを研いだり油を塗る少女(時々話しかけてる).....
何故か西方にある神社本殿....
世界(との縁)すら切れるヤバすぎる神の権能...
遂に判明したゆかりの怒りの恐ろしさとクラスメイトに変態がいること...

うんまあ、ごめんなさい。



プリヤのノベライズ版が1、2巻しか無くて絶望した。
漫画はうちの図書室注文できないんすよ...
ノベライズ版復活しないかな....

しょうがないので借りるか古本買うかしますわ。

っていうかなんで美遊メインの二次、少ないんですかねえ?全部大好き過ぎるからもっとちょうだいイイヤツ。


クライマックス間近なので構想練りに時間かけますつまり遅くなります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12・十一廻り 権能


その鈴は、ただただ優しかった。


 

リィィィィーン...

 

 

鈴が、鳴る。

 

幻想の世界が、神の声が、

 

全てが、砕けて。

 

真っ白の世界を落ちていく中で。

 

山の神の糸とは違う、純粋な神の権能。

 

鮮やかな夕焼け色の糸を、その鈴は纏って、

 

仄かな熱を放っている。

 

 

ゆかりに鋏を預けることで手を空けて、

 

糸を辿るように撫で、想う。

 

 

祈るは再縁。

 

微かに聞こえる、助けを"呼ぶ"声。

 

糸は確かに繋いでいる、その神秘を。

 

私は、その手を、伸ばせるように。

 

 

 

 

 

ゆかりと目を合わせ、頷き、息を整える。

 

ここから先、神域へと糸は続いている。

 

隔絶された、固有の領域。

 

鋏と鈴があれば、脱出と帰還は可能だろうが、

手入れしたとはいえ、

鋏は幾度となる"縁切り(権能の発動)"でもう切れ味が落ちてきているし、

鈴は"世界渡り(縁結び)"に無理をしているのか黒ずむスピードが速い。

 

回数制限に時間制限。

 

そうだ。

 

どんなに力があっても、

 

どんなに助けがあっても、

 

いつだって()()()死の気配はあった。

 

 

それでも、

 

何度だって言う。

 

()()()()

 

何度だって手を掴んで見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"今度こそ"を()へと変えられるように、

 

"もしも"を未来の自分(可能性)へと願えるように、

 

私は、私達は、

 

 

今を繋ぐ、手となりたい!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

糸が、燃えるように熱くなって、

 

咄嗟に離してしまいそうになった瞬間、

 

体が思っきり引っ張られて、

 

 

空気が、ガラリと変質した。

 

 

何もない、空白から、

 

涼し過ぎる、高湿度の暗闇へと。

 

 

 

足裏に強い衝撃。

 

咄嗟に1回転して勢いを殺す。

 

まだ芯がジンジンするが、

ある程度ダメージを抑えられたので、

そのままの勢いで立ち上がって辺りを見渡す。

 

洞窟?

雰囲気は山の神の時よりマシだ。

蜘蛛の巣もない。

けれど、とにかく湿気が凄い。

まるで涼しいサウナである。

 

ライトのスイッチは、

侵入前につけっぱなしにしてたので、

すぐに光を四方八方に流して索敵。

 

お化けは_____いない。

 

 

 

「あ、ゆかり? 大丈夫?」

 

しまった。突然の暗闇でゆかりのことが頭から抜けていた。すぐさま探す。

 

彼女には鋏を預けている。

 

何があるかわからないし早く返してもら___

 

「......いない。」

 

 

分断。

 

「........。」

 

落ち着かないと。

 

()()()()()()()()()()()

 

()()()()()、彼女に鋏を預けたのだ。

 

なんとなく、

 

なんとなくだけど、

ゆかりも鋏を少しだけ()()()()()気がして、

試したらできた。

 

彼女もまた、確かに特異な子。

 

ゆかり曰く、"縁切り"はできない。

逆に私が殺されちゃうかも。

 

だけど、逆に一回だけなら、

私の身代わり人形で可能で。

 

物理的な攻撃はともかく、

あの鋏はただ振るうだけでも、

退魔、破邪の力はある。

 

腐って(歪んで)も確かな祭具(神器)

 

 

 

 

コトワリ様の怒りに触れるリスクは恐ろしいけど、

大事なのは友達の命。

 

早く合流しないと。

 

 

 

黒ずみの進行が無くなった鈴を握りしめて、

 

一言。

 

 

"手を、繋ぐ"

 

 

目に映るは、空間を揺蕩う鮮やかな紅の糸。

ゆかりと結ばれた確かな縁。

 

 

急ごう。この先に、神はいるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 ◉ えんをむすぶぎんのすず

 

 えんをむすぶ、ちいさなぎんのすず。

 ならすと、えんをむすんでくれる。

 きれいなあかのいとをあんでくれる。

 とてもあたたかい、やさしいてなんだ。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 




どうも。
クライマックス詐欺ですごめんなさい。

でも、銀の鈴の真名解放できてよかった。

まあ簡単にまとめますと、

銘:縁環の銀鈴
能力:縁結び・神託(鈴の音)
詳細:すずなり様の神器。次元、世界を越えて生きとし生けるものの探知、誘導、確率操作、■■■■■が可能。だが次元、世界を超える能力は持たないので、空間跳躍が可能な別アイテムが必要。最適解はみかがみ様の神器。

今のところこんな感じ。

ハルの思考は、思考であって真実とは限りません。
まあ、半分彼女の考えでここまでこれたのは、
大人たちの努力と鈴神のお節介のおかげだったりします。

書く時間がとにかくないし、話を考える暇もとにかく足らないので遅れますいつものことでずごめんなさい。



読み返してみると、
話が飛んでるなーって部分やよくわからん部分、沢山あると思いますが、
結構わざとだったり自分の力不足だったりします。
やっぱり夜廻は謎が残るのがそれっぽいし、
説明ばっかりになるのもなぁ...感じですし、
テンポ良く書けるよう削りまくってます。
そのせいで滅茶苦茶短いのですけどね。反省。
できる限り修整していきたい所存です。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13・十二廻り 満刻


半刻が過ぎて、
今一度、昔々の物語、
ここに咲くは、二輪の花。



 

 

 

鈴神ゆかりは焦っていた。

 

音が瞬き、世界に色が戻った時、

ふと意識が戻れば、この洞窟に立っていた。

 

時を辿るつらら状の石が連なり、

低く丸い台を重ねたような段々を、

地下水がサラサラと流れていく。

 

こういうのを鍾乳洞と言うんだっけと思いながら、

改めて直視しようと目の前の境界を睨みつけた。

 

 

そこには、この綺麗な鍾乳洞に、無理やり()()()()くっつけたような断層が広がっていた。

 

岩壁から突き出る折れた循環パイプ。

 

サビや凹みだらけの運搬コンテナ。

 

危険を促す看板や塗料、ライトが散らばり、

 

線路跡や、キャタピラ跡?が奥へと続いている。

 

 

『この先_____』

 

 

 

 

この先、繋がっているであろう神域。

そこから漏れ出る気配は、

まだ短い人生ながら、

一度も感じたことのないほど濃密なものだった。

 

境界にすら踏んでいない。

この場所ですら、はっきりと感じ取れる。

すずなり様の澄んだ神力とは違う、

少し澱み始めている廃れの気配。

 

 

恐ろしい。

 

怖い。

 

気持ち悪い。

 

 

だけど。

 

息を吸って、吐いて。

強く鈴を握って、

確かに()はこの先に続いてるのを感じ取れて。

鋏を浅く握って、

ハルの無事をただひたすらに祈って。

 

強く、強く。

 

一歩を。

 

 

 

慌てるな。

 

気を強く持て。

 

ゆかりにはすずなり様がついている。

 

お前が成したいことはなんだ。

 

お前は儂の立派な孫だ。

 

友達は大切にするんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

変な目の色。

 

外国人ー?

 

へんなの。

 

おかしいねー。

 

ぼーっとして何見てんの?

 

これだから、■■は....

 

おかしいやつはおかしなことしかしないんだね。

 

そんなのいるわけ無いじゃん。

いい加減にしなよ。

 

病院行けば?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねえ、あなたの名前は? 

ゆかりって言うんだ! 

へー。紫色っていう意味なんだ。なんでー?

 

本当は(ゆかり)? 

珍しいね、良い名前だと思うよ。

人を繋ぐ運命の糸。ちょっとキザったらしいかな?

いってぇ! おいつむぐ! 抓るな抓るな!

 

あーお兄ちゃんったらゆかりに鼻なんか伸ばして!

手ぇ出したら承知しないんだからね!

 

チビッコに手なんか出すわけねえだろ!

 

ちゃんと寝れてるか?

ま、お前んちの忙しさは知ってるからな。

いつでも俺たちの家に来いよ。

 

いつでもいいよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変なっ、影みたいなのにっ、追われ、れてッ!

 

___もう大丈夫。おじいさん?

 

 

チッ__

 

三次元空間歪曲。

事象現実の局地的改変。

陰陽、時刻、場所。

 

運が悪かったな賀神の嬢。

隙間を抜けて、やつが一瞬顔を出しやがった。

 

結界の再構築は完了した。

さっさと家に帰りな。

 

 

____もう、お父さんったら...ごめんね? つむぐ。

 

 

グスッ....エグッ...こわかったぁあ.....

 

 

____もう大丈夫。もう大丈夫だから。

 

 

.........っ。

 

 

____しょうがないなあ。

 

 

 

 

 

______....はい、お守り。

 

 

 

リーン...

 

 

 

.....え、

 

これ、大切なものでしょ?

 

ゆかりちゃん言ってた。

売ってる鈴より凄いものだって。

そんなの渡したら、ゆかりちゃん怒られちゃうでしょ?

 

 

いいんだよ。

おじいさんが言ってたんだ。

"本当に守りたいと思った人に渡しても良い。"って。

それが、今。つむぐなんだよ。

 

 

ありがとう。ずっとずっと、大切にする。

 

うん、すずなり様は、絶対守ってくれるよ。

 

 

そうだよね。すごい神様だもんね。

 

私だって知ってるもん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当は、あの時、

すずなり様が大きく鈴を鳴らしてくれたんだ。

でも、私は動けなくて、

目の前のお兄ちゃんが駆け寄って来るのと、

その後ろに迫ってくる車が交互に見えて。

そしたら、誰かが体を強く横に押しくれたんだ。

だけど、咄嗟に、お兄ちゃんの手を掴んじゃって、

 

 

頑張ってくれたんだと思うんだ。

無理をしたんだと思うんだ。

 

現に鈴は黒ずんでぐちゃぐちゃで。

 

私だけが助かっちゃった。

 

 

ごめんなさい。

 

ごめんなさい。

 

ごめんなさいっ。

 

ごめんなさいっ。

 

ごめんなさいっ!

 

 

 

なんで、なんで、

 

 

私だけが_________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめまして、

 

片腕なの。こわく、ないの?

 

 

 

 

 

 

 

_____一歩を踏み出した。

 

 

空気が、更に湿り気を持つ。

 

ただひたすら、鈴の導きを辿り、奥へと進む。

 

 

 

 

あの時から、紡との縁は遠くなった。

心に残った棘は、計り知れないほど同じで。

それを隠すように、片方は紡のよう(空元気を本当)に。

もう片方は縁の(塞ぎこむ)ように。

 

性格は、真逆に蓋をして。

 

私は今まで生きてきた。

 

そうやって数年たって、その偽りの私が、

いつの間にか本当になれたとき。

 

ハルと出会ったんだ。

 

 

 

挙動不審。

 

揺れ動く視線。

 

かと思えば停滞する動き。

 

突然の涙。

 

抱きしめているナニカ。

 

 

 

 

 

出会い、そして隣の席で過ごす彼女は本当におかしい()()だった。

 

誰もその気に()てられて、彼女は孤立したものだ。

 

私も、最初はすわ厄ネタかなと、引いて横目で見ていた。

 

だけど、なんでか、

 

 

ほっとけなかったんだ。

 

まるで()みたいで。

 

 

 

声をかけちゃったんだ。

 

 

 

 

 

 

ふふっ.....

 

思い出して反射的に顔の骨格が上がる。

 

そしたらあっという間にクラスの不思議系マスコットに昇進。

私の心配がまるでいらなかったようじゃない。

 

ずっと、ハルに、紡の影を重ねていた。

 

ずっと、紡の代わりにしていた。

 

魁兄を助けられなかった罪滅ぼし。

 

未だ紡の手を取れない罪悪感。

 

 

 

 

 

 

 

 

ねえ、ゆかりはずっとなにをこわがってるの?

 

わたしより、こわいの?

 

 

 

____うん。

 

 

 

大丈夫。

 

わたしがいるから、何時だって助けになるよ!

 

 

 

____なんで? 助けてくれるの?

 

 

 

 

え? だって_____

 

友達だもん。当たり前でしょ?

 

 

 

 

 

その思いは優しくて、

 

視つめた瞳の奥には、深い深い決意が燃えていて、

 

怖くなった。

 

私にその友達たる価値があるか。

 

ハルは、あると言うだろう。

 

でも私には、わからない。

 

 

 

 

 

 

坑道を進めば、

 

空間が歪んでいく。

 

どうしようもないほどの悲しみと欲求の生霊の怪異が、私の行く手を遮る。

 

 

 

返して返して返して返してててててて

 

 

まだ諦めたくない諦めるなんて諦めるなにをなにをすればばばばばば

 

 

 

鈴を一振り。

 

リーン...

 

サッと走る糸の通り怪異を避けて、後ろ手で『閃光玉』。

 

強烈なフラッシュ。

 

上がる悲鳴。

 

彼らの元は同じ人間。

生霊故に生理現象は色濃く残る。

 

狙うのはそれだ。

 

鋏を使えるのは多分一度だけ。

 

あの空間で渡されたときから、みかがみ様とは違う、

恐ろしいナニカが私を見ているのを感じている。

 

あれが、多分、ハルから聞いたコトワリ様という神様なのだろう。

 

 

 

やっと会えた会えた会えた会えた会えたたたたた

 

 

糸が赤く染まって______横っ飛びに跳ね、

指の間から閃光玉を落としながら回避。

 

チラと振り返れば空間の歪みが坑道を埋め尽くさんと迫って来ている。

 

___危なかった。糸のおかげで奇襲に対応できた。

 

 

鈴をしっかり握って、走る。

 

まだ止まるわけにはいかないんだ。

 

空気が濃くなってくる。

 

呼び声が洞窟を反響する。

 

生霊が世界を歪ませる。

 

糸だけが、道を知っている。

 

だけど。

 

なんでか、

 

この先を知ってるような気がするんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

へへー。ここが私ん家が秘密にしてる場所だよ。

水がキラキラしてて、綺麗でしょー?

 

あちこちに変なライトがあったり、()()()()()()()?ってやつでできた地上に繋がる縦の穴から光が水を反射して照らしてるんだってー。

 

この先? そうそう! でっかい湖があるの!

 

と言っても近づけなくてねー。

これが縦の穴の一番奥にあるせいで、

降りることができないんだ。

 

まあ、鏡みたいで面白いから見る価値あるよー?

 

元々私ん家が掃除してた神社が湖を渡った先にったらしんだけど、これもちかくへんどう?ってやつでどこかに行っちゃったんだってー。

 

たしか家に神社の古い写真があるのを見たことあるし、後で持ってきてあげる!

 

 

 

 

 

 

あ"ぁ"!? 鏡之宮(鏡面湖)に行っただと!?

 

 

お父さん! メンチを切らないの!

 

 

チッ、その時かっ、

幸い目を()けれたのはお前か、

それでウチの娘はオマケレベルで考えてやがるなッ...!

それはそれで苛つくが、今回は運が良すぎた。

記憶を介した偽造改変処理(契約破棄)を利用すればこっちは防げる。

 

だがお前は......あのレベルの神の目を欺くにはそれ相応、未だ現存してる中で繋がりは少ねえぞ。

いやでも、いや、あの糞ジジイに恩売るのは.....

 

 

お父さん、友達の娘の命とそのちっぽけなプライド比べてないで早く頭下げてきなさいよ!

 

 

ああもうわかったわかった!

 

安倍の穏形術に頼るっきゃねえ。

 

縁は処理を済ませればある程度大丈夫だと思うが、

帰って来て俺がいいと言うまで決してこの家を出るんじゃねえぞ! 

賀神の嬢は特にだ。

 

こなくそお前らは本当に面倒毎ばっか持ってきやがって....

体質(先祖帰り)ってったって限度っちゅうもんあるだろうが......

 

 

..........。

 

ああ、なんだ。その、あれだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

安心しろ。お前らは必ず、守ってみせるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





意外と早く書けました。どうも私です。
伏線回収がツライ。
されど負けずネタを積んだ結果こうなった。

どうして...(現場ネコ)


縁のお父さんは好みをかき集めた結果の産物。
口下手系ほっとけないおじさん(仮)。
今頃糞爺めえ!と叫びながら借りの対価を返してるところなんでしょう。しかし安倍の好々爺はただで返すわけもなく精神と時の部屋(迫真)に叩き込まれたお父さんの命は如何に!
あ、お父さんは典型的無限進化するなろう主人公です。
可愛そう(鼻ホジ)


縁ちゃんの記憶はフラッシュ済み。
記憶消去は主人公の嗜み。オプションですね。


紡ちゃんはピーチ姫スタイル。
もうちょい怪異や神々に危機感持とうよ巫女の末裔。


ハルちゃん? まあ原作が転校する何日か前なわけで、心の傷はまだ表に出たまま。仕方ないね♂


生霊の怪異の皆さん。
世界を超えた願いの代償に色々狂っちゃった人達。
でも大丈夫! 断ち切り鋏さえあれば一発で現行きです。副作用は魂の消耗ぐらい。安心だね()


アイテム、閃光玉。
おじいさん手作り。
殺傷能力は無いが兎に角眩しくて
低級の霊なら成仏直行もの。
聖なる光が目を焼きます。



とある用事で何泊か遠出するので遅れます。

感想と評価よろしくお願いします。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

■■・代廻り 掲示板 #03

可能性の先に
助かる命があるのなら
何度だって試そう
まだ歩き続けられるのだから


 

 

 

 

 

 

【情報収集】 オカルト共有板・■■エリア #■■ 【徹夜処理】

 

 

 ■管理・提供 USMC運営

 


 

 

1:名無しの霊感持ち

ようこそ。

ここはオカルト共有板です。

荒らし、アンチはアンチ板へどうぞ。→『URL』

次のスレ建ては900踏んだ人お願いします。

 

雑談板 #■■ →『URL』

検証板 #■■ →『URL』

実行班 #■■ →『URL』

情報板 #■■ →『URL』

質問板 #■■ →『URL』   

 

 

 

 

 

23:名無しの霊感持ち

だから、それはスレチだろうが、

今は賀神じゃなくて鈴神の方の情報求めてんの。

 

24:

解析班によると、内部で現実領域に不可解なアクセスが認められたとのこと。パターンは05。

 

25:名無しの霊感持ち

>>23 鈴神? 鈴上じゃなくて?

 

26:名無しの霊感持ち

パターン05? 

虚数領域(パターン03)じゃないですかヤダーって言おうと思ったら違くて安心。

 

27:名無しの霊感持ち

安心安全ヨシ!

 

28:

05って世界の狭間的なサムシングでしょ?

それだけ言われても干渉された範囲すら予測できんぞ。

 

29:名無しの霊感持ち

>>25 今は鈴上。昔は鈴神。変更されてる。

地元は鈴神呼びがデフォ。

 

30:名無しの霊感持ち

正確には03.4426。それ以下の特定はまだ無理っぽい。

 

31:

了。こっちでもその範囲で精査してみる。

 

32:名無しの霊感持ち

鈴神家への接触はまだ許可されないのか?

 

33:名無しの霊感持ち

よりによって彼は誰時だもんな。

奴らなにを狙ってんの?

 

34:名無しの霊感持ち

>>32 接触は原則禁止だ。

精々遠距離からの情報収集に努めておけ。

 

35:

なにかを掴んでいたようだが、

今更動き始めた理由がわからん。

調()()的にあからさまに情報は揃っていた。

対処方法も判明したから実行するのみだったのだが。

 

36:名無しの霊感持ち

人柱は毎度賛同しかねるがな。

 

37:名無しの霊感持ち

言うな。

 

38:

分析完了しました。

時空間中和波形は過去の神封じの際に発生した時空間跳躍と一致しました。

現実領域の核式改変のパターン変化の完全な特定は出来ませんでした。[error:■■■]

対象の潜伏地点の変化によるもの。

また、アクセス方法の変化によるものだと思われます。

 

39:

了。情報共有を求む、絞り込みを始めたい。

 

40:

了。暗号化を施していますので。正規手順を。

 

41:

了。面倒をかけるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

58:名無しの霊感持ち*

あのー、すいません。

 

59:名無しの霊感持ち

ん?

 

60:名無しの霊感持ち*

なんかネタスレかなと思って見てたんですけど、

これってガチでやってる感じですか?

 

61:名無しの霊感持ち

おーい運営、しっかりネットワーク囲っとけよ初見抜けてんぞ。

 

62:名無しの霊感持ち

お、アンチか?

 

63:忍者丸

過激派やめろ。

>>61 運営の方が(無理矢理)情報収集班の人員補充を図ったんだろ。こっちでもグリーン出てる。問題無い。

 

64:名無しの霊感持ち

無知シチュ好きじゃない。

 

65:名無しの霊感持ち

新人(強制)カワイソ。

 

66:名無しの霊感持ち*

え? え?

 

67:忍者丸

あーなんだ。初見(新人)さんいらっしゃい。

説明は『URL』(こっち)でやってるからどうぞ。

ある程度理解できたらまた来てねー。

 

68:名無しの霊感持ち*

わかった。見てくる。あざます。

 

69:名無しの霊感持ち

いてらー。

 

70:忍者丸

いてらー。

 

71:名無しの霊感持ち

いてらー

 

72:名無しの霊感持ち

いてらー。

 

73:名無しの霊感持ち

ヨシ!

 

74:名無しの霊感持ち

紳士的なアンチだったな。(シャーペンをしまう)

 

75:名無しの霊感持ち

だな。(コンパス)

 

76:名無しの霊感持ち

なー。(注射器)

 

77:名無しの霊感持ち

やだこの子達、怖すぎっ....!

 

78:名無しの霊感持ち

しゃーなし。ここが出来るまで一面地雷原地獄だったし。

 

79:名無しの霊感持ち

野次馬

マスゴミ

不謹慎スピーカー

被害者様

ヒステリックババア

オカルト系詐欺師

イカレポンチ

狂信者

う、頭が

 

80:名無しの霊感持ち

おいやめろ。その先は地獄だぞ。

 

81:名無しの霊感持ち

デジタルとはいえ文字から感情を読み取れるワイ無事死亡。

 

82:名無しの霊感持ち

見鬼の人も真っ黒か真っ赤で気持ち悪いって言ってたしな。

 

83:忍者丸

被害者様はなぁ....怪異を捕まえるなんてほぼ不可能だし怪異が犯人ですなんて信じられないだろうし、事件をダシにしている俺達にしか感情をぶつけられなかったんだろうなぁ..。

 

84:名無しの霊感持ち

そうは言ってもサイバーテロや殺人予告はNG。

 

85:名無しの霊感持ち

ガチで話し合ってるなら兎も角、ほぼ(表面上は)遊んでるもんな俺達。

 

86:名無しの霊感持ち

遊んでる?(偵察ドローンを30機ダイレクトリンク中)

 

87:名無しの霊感持ち

遊んでるな。(触媒の搬送中)

 

88:名無しの霊感持ち

ちょっとーそこの男子ー遊んでないでしっかり歌いなさいよー。(高速詠唱中)

 

89:名無しの霊感持ち

もうちょい待ってろ。進捗率8割越えた。

詠唱を維持しつつ限界まで出力絞り始めろ。

 

90:名無しの霊感持ち

改めて思うけどお前ら頭おかしくね?

 

91:名無しの霊感持ち

同類乙。ソゲキング。

 

92:忍者丸

神隠し対策の要がスレッドなんて見てんじゃねえ。

一週間ROMってろ。

 

93:ソゲキング

(´・ω・`)そんなー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

129:名無しの霊感持ち

もう残業いやナリ...

 

130:名無しの霊感持ち

しっかりしろ! まだ昼前だぞ。

 

131:名無しの霊感持ち

あっ(察し)

 

132:名無しの霊感持ち

昨日からぶっ通しナリ...

 

133:名無しの霊感持ち

平均以上の給料出てるんだからしっかり働けや。

 

134:名無しの霊感持ち

(ぶっちゃけどんくらい出てんの? by非会員)

 

135:名無しの霊感持ち

(んー、平均は知らんが晩年デスクのワイ800。)

 

136:名無しの霊感持ち

(すげぇ。よくある命のモギ合いなしで?)

 

137:名無しの霊感持ち

(当たり前だろうが、デスク仕事に物理的生命危機がある仕事人がどこにいるってんだ。)

 

138:名無しの霊感持ち

(ここ2週間ロクにねてにゃい...)

 

139:名無しの霊感持ち

(悲しいなぁ)

 

140:名無しの霊感持ち

てか、運営ってどっから資金捻り出してんの?

非営利団体だろ確か。

 

141:名無しの霊感持ち

上にでっかいスポンサーがいる。

情報規制されてて一切わからんが、

噂だと昔から裏で怪異の研究していた組織があったらしい。

その人たちの一部がやってくれてるらしいよ。噂だが。(強調)

 

142:名無しの霊感持ち

あとは融資とか募金だね。

運営活動で助かったお偉いさん達が自ら回してくれてるらしい。

場所とか道具、資材とかも。

 

143:名無しの霊感持ち

あー。お偉いさん方は怨念とか集まりやすいしなぁ...

毎日五寸釘打たれててもおかしくないな。

 

144:名無しの霊感持ち

もしもの為の投資なんだろうね。

また怪異が命狙って来ると思ったらヤバいわそりゃ。

 

145:名無しの霊感持ち

それにしてもパソコンカチカチしてるだけで高収入とか運営チョロいな!(ブーメラングサァッ!)

 

146:名無しの霊感持ち

どちらも洒落にならないレベルのスペックが必要定期

 

147:名無しの霊感持ち

【運営職員】天才だったワイ。井の中の蛙と知る。【人外多過ぎ】

 

148:名無しの霊感持ち

誰だって通る道。

 

149:名無しの霊感持ち

(´・ω・`)人(´・ω・`)ナカーマ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

189:名無しの霊感持ち

おちけつ。人柱人柱言ってるが、

そんな運試しを運営がするわけ無いだろ。

 

190:名無しの霊感持ち

運試しをしない運営...?(今までのレポートを眺めながら)

 

191:名無しの霊感持ち

ギャンブル精神こそ運営魂でしょ?

 

192:名無しの霊感持ち

今まで何人のチップが飛んでいったか...(なお全て大勝利)

 

193:名無しの霊感持ち

絶対運営座敷童子何人も解禁してると思う。一人頂戴。

 

194:名無しの霊感持ち

そして破産定期乙

 

195:白蛇

"楔"到着まで推定13分。

運搬B担当は至急C1口に集合。

以後別命あるまで待機。

 

196:名無しの霊感持ち

了。

 

197:名無しの霊感持ち

楔ってあれだろ?

自分の現実領域を拡張したり強固にしたり固定できるチートアイテム。なんでここに持ってきてんの?

 

198:名無しの霊感持ち

噂名高い皆大好きインスタント固有結界ドーピング針。

 

199:名無しの霊感持ち

パワーワードワロタ。

 

200:名無しの霊感持ち

間違えてるようで間違えてないんだよなぁ...

 

201:名無しの霊感持ち

意味↑不明↓

 

202:名無しの霊感持ち

普通に使ってみたい。

 

203:名無しの霊感持ち

お前じゃ多分霊力足らくてミイラ死にするぞ

 

204:名無しの霊感持ち

説明マンいない? 誰か解説頼む。

 

205:名無しの霊感持ち

今呼ぶ。呼んだ。

 

206:解説実況の名無しでお送りいたします 

あ、どうも。説明マン(亜種)です。

今現在公開されている情報から推測しますと、

現実領域(主観的な世界の側面的概念結界陣法)を"楔"で強化して、構築した模造世界をこの世界の自己修復能力を誤認させて取り込ませて帰還するという....え、バカじゃねーのこれ考えた奴誰だよ。

 

207:名無しの霊感持ち

私だ

 

208:名無しの霊感持ち

お前だったのか

 

209:名無しの霊感持ち

また騙されたな

 

210:名無しの霊感持ち

全く気づかなかったぞ

 

211:名無しの霊感持ち

暇を持て余した

 

212:名無しの霊感持ち

神々の

 

213:名無しの霊感持ち

遊び

 

214:名無しの霊感持ち

ヽ(○´∀`)人(´∀`○)ノイェーイ♪

 

215:名無しの霊感持ち

やかましゃぁ!

 

216:名無しの霊感持ち

なんとなくわかった。

で、この中に魔術の最奥を極めた正義の味方様はいらっしゃいませんかー。

 

217:黒鉄

いつから現実領域を展開するのが一人だけだと錯覚していた?

 

218:名無しの霊感持ち

なん.....だと.....

 

219:名無しの霊感持ち

説明プリーズ。

 

220:黒鉄

ぶっちゃけ主観(固有の)世界を構築しようとするから一人のみでの展開しか無理なわけなのよ。

 

221:名無しの霊感持ち

おう。

 

222:名無しの霊感持ち

あ、(察し)

 

223:名無しの霊感持ち

まさか

 

224:黒鉄

逆転の発送。

一人が無理なら皆で創ろう客観(平常)世界

 

225:名無しの霊感持ち

発送www⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーンwwww

 

226:名無しの霊感持ち

無理矢理すぐるぜっていすぐ崩壊するだろそれ。

 

227:名無しの霊感持ち

(世界レベルの)解釈違いですねわかります。

 

228:名無しの霊感持ち

世界レベルの解釈違いニコりたい。

 

229:名無しの霊感持ち

ま、面白そうやん。やってみっか。

 

230:名無しの霊感持ち

時間はないけどたっぷりあるもんな。

 

231:名無しの霊感持ち

あやふややめろ。

 

232:黒鉄

はーい時空間干渉及び結界構築班及び緊急医療班集まってー。

D11棟A型実験室で客観世界構築実験はっじめっるよー。

 

233:名無しの霊感持ち

速すぎぃ!

 

234:名無しの霊感持ち

いくいく!

 

235:名無しの霊感持ち

LIVEよろ!

 

236:名無しの霊感持ち

おk待ってろ。

 

237:名無しの霊感持ち

wktk

 

238:名無しの霊感持ち

またなにか変なことやろうとしてる....

 

239:黒鉄

運営職員の技術発展のためだ

 

240:名無しの霊感持ち

本音は?

 

241:黒鉄

おもしろそう!

 

242:名無しの霊感持ち

これは駄目みたいですね

 

243:名無しの霊感持ち

開いた『URL』

 

244:名無しの霊感持ち

 

245:名無しの霊感持ち

 

246:名無しの霊感持ち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

269:黒鉄

これで助かる命あるなら、儲けものってことさ。

 

270:名無しの霊感持ち

たしかにな

 

271:黒鉄

何時だって命懸け。

この実験だって懸念事項ばっかり。

 

272:茲月

そう思ってる癖に強行したのね。君。

 

273:黒鉄

元々専門で研究していた。

もう覚悟すら擦り切れてきたよ。

 

274:花苑

そう言いながらも、君は歩み続けるのだろう。

 

275:黒鉄

わかってるじゃないか。

 

276:名無しの霊感持ち

時間だ。

 

277:黒鉄

ああ、実験開始と行こうか。

 

278:名無しの霊感持ち

シリアス風は趣味じゃねー

 

279:名無しの霊感持ち

wwwwwww

 

280:名無しの霊感持ち

雰囲気ぶち壊しナンセンス

 

281:名無しの霊感持ち

そういうのは雑談板だけにしろや。

 

282:茲月

賑やかなことで

 

283:名無しの霊感持ち

それがいいんでしょう?

 

284:名無しの霊感持ち

ツンデレカワイイ

 

285:名無しの霊感持ち

↑死んだな

 

286:名無しの霊感持ち

↑ああ

 

287:名無しの霊感持ち

エヴァ風に言うなツボったわクソが

 

288:茲月

ということで太陽炉の燃料になってきなさい。

この前完成したできたてホヤホヤ不死鳥の巣よ?

 

289:名無しの霊感持ち

即ち■ねと申すのか。

 

290:茲月

☀<<<====

 

291:名無しの霊感持ち

そんな殺生な!

 

292:花苑

 

293:名無しの霊感持ち

植物爺なだけに?

 

294:花苑

毒花に埋もれて狂い■ね

 

295:名無しの霊感持ち

お偉いさん方沸点低すぎワロタ

 

296:名無しの霊感持ち

全員徹夜組だぞ...察してやれよ....

 

297:名無しの霊感持ち

しかもこの実験で書類が増えると

 

298:茲月

やめて

 

299:

 

 

300:名無しの霊感持ち

悲c

 

301:名無しの霊感持ち

ああなるほ。悲しいなぁ

 

302:名無しの霊感持ち

ま、精々損害届の枚数が増えないよう頑張りますか。

 

303:名無しの霊感持ち

おー

 

 

 

 

 

 

 

 




延命のための蛇足投稿です。(ぶっちゃけ)
期末なのゆるひて
ある程度構想は固まってきたのですがまだ甘いって感じです。一先ず目の前の課題をクリアします。

やっぱフィーリングで書くのは楽しいですね。
どの分後で正気に戻って羞恥に震えるのですが。

クリスマス頃には書ける...いや多忙ですな。
正月も...
お、落ち着く頃合いまでお待ち頂けると。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14・もう一廻り 喚の音




悔いを受け取って、
過去をしまいこんで、
今は前を見よう。
目の前に、手を伸ばしているものがあるのだから。




 

 

 

いいか、ゆかり。

 

縁切りは悪いもんじゃねえ。

 

元々縁結びと縁切りは表裏一体。

 

今は俗世の悪意に歪められた力が増えてきちまっているが.....縁切りは根源的な「拒絶」概念だった。

 

確固たる、純粋な、己と己のものを守るためのな。

 

切っただけでは駄目だ。

 

その先もその選択も人が決めるもんだった。

 

機会なんだ。それすら縁なんだ。

 

運命なんてねえんだよ。

 

全て人が無意識でも決めたことだ。

 

敵意(怒り)はいらない。

 

害意(恐怖)もいらない。

 

ただ覚悟をもって、

 

新たな道を、敷き直せ。

 

 

 

表の担手として、

 

それが遺された教訓ってヤツだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________

 

 

 

 

 

ずりゅ

 

 

「いたっ」

 

 

捕まるのも時間の問題だった。

 

 

生霊から逃げる中で、縁は、

足を深く捻ってしまっていた。

 

場所は光届かぬ高湿度の坑道。

 

地面は水の侵食でなめらかに削られきった硬い岩盤である。

 

高い身体能力と体重の軽い彼女だからこそ、

今もこの悪路を時に転び(滑り)そうになりながらも走れているが、

 

肉体的にも精神的にも苦痛と疲労が顕著に表れ、

それは今も振り絞り続ける集中力に響いてしまう。

 

 

故に。

 

 

がっ

 

 

「あっ」

 

 

その転倒は、仕方のないことでもあった。

 

 

 

 

 

ばしゃん

 

 

 

 

 

 

 

____________

 

 

 

 

 

 

 

ハルは焦っていた。

鈴から伸びる薄紅の糸が少しずつ少しずつ黒く染まっている。

遠くから、耳鳴りのような鈴の音に、

心が、きゅうと締め付けられる。

 

縁の場所は解る。

縁の状況、状態も解る。

 

だけど、そこへの道が拓かない。

 

洞窟はハルと縁を隔絶し、

空間を捻じ曲げてるかのように捻れくるっていた。

糸を辿り走れど走れど曲がり角。

最早方向感覚は無い。

時間も時計が無ければ曖昧になっていたところだ。

 

糸が染まり始めて約4分。まだ。まだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

 

 

 

足が地から離れ、

 

横倒しに体が転がっていく。

 

皮膚が破け、血が溢れる。

 

 

 

どずん

 

びしゃん

 

 

 

「ぐうぅ.....」

 

 

 

坑道の壁にぶつかって、

痛みに息が漏れる。

 

腰あたりまでの水溜り、とても冷たくて冷たくて。

 

それ以上の冷たさが。

 

目の前に、生霊に溢れている。

 

 

血が水溜りに溶け、満ち、流れていく。

 

 

ぐるぐると ぐるぐると

 

 

 

 

カカカカカカカカカカカカカ

 

 

 

抱きしめて抱きしめてしめてしめてシメイェシメテ締めてシメテシメテェッ!

 

 

 

ああやっと出会えたねそうだね会いたかったよそうだねそうだねもう離さないずっとずっとずっとずっと一緒だ一緒に一緒に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、

 

 

 

 

 

 

 

 

縁結びってのは結構気難しいもんでな?

 

良い縁あれば悪い縁もある。

 

良い縁の中に悪い縁があったり、

 

悪い縁の中に良い縁がある。

 

様々な()()人生(繋継り)を編んでいく。紡いでいく。

 

そういうのを助けてくれるもんだ。

 

当たり外れは大きいし、それは未来に影響する。

 

良い縁は大切にしろ。

それはお前を助けてくれるからな。

 

一つの縁は数多の縁を内包する。

 

それは良い縁なほど多いってもんだ。

 

俺たちが考えてる以上に繋がりは強く、重い。

 

一人で引っ張らなくていい。いいか? 皆でだ。

 

呼んでやれよ。友を。

 

その音は、ゆかり()の手を強く、

 

 

 

 

 

握ってくれるんだろうさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、

 

 

ちょっと悔しいんだけど。

 

 

 

 

 

は、

 

 

 

 

ハル__________ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名は、強力な言霊。

 

最古の合言葉。

 

彼女らは例外的ながら、

 

神器を携え、神の意を識る。

 

神の巫女ともいえるモノ。

 

 

その名は、その言の葉は。

 

その銀は、その音は。

 

その血は。その縁喚の契約は。

 

その縁結びは神をも喚び寄せる、

 

絶対的な(神威)となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうか、どうか、私の友達を_________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

承知した__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう(てを)いやだ(のばす)

 

 

 

銀光()(爆ぜ)る。

 

 

鋏を持った手が勝手に動く。

ズシリとした赤黒の鉄が、今は凄く軽い。

 

目の前に、生霊の大群。

手を伸ばしながら、

何故か動きがとてもゆっくり。

 

その奥。

その坑道の壁の奥。

その奥に。

 

 

 

 

 

 

 

めが あつく なって

 

いとが あかい いとが いとが

 

 

 

 

 

 

 

 

てを(もう)のばす(いやだ)

 

 

 

壁に、

切れ込みはスルリと、

糸が溢れて、

 

一直線に割けていく。

 

すごい

 

だけど

 

まずい

 

使()()()()()()()!()

 

 

遠くの鈴の音。

 

気づく。

 

 

鈍いラップ音。

 

目の前に巨大な鋏。

殺意ではない。ただ無垢。

だけど、怖い。

だけど、なんでか______

 

 

瞬間。

 

 

(ポケット)ごとちぎれ飛ぶ身代わり人形。

ソレの出現と突進に巻き込まれて消し飛んでいく生霊たち。

 

 

大きな手に包まれた黒い異形。

影のようなモヤの奥に白い歯が見える

大小様々な手に握られた一つの巨大過ぎる断ち切り鋏。

 

コトワリ様。

歪んだ縁切りの一柱。

 

 

 

██■████■■████■

 

 

 

 

 

無いはずの目から、視線を感じる。

殺意じゃない。害意でもない。

 

けれど___ッ!

 

咄嗟に横に転がり、突進を避ける。

 

丁度後ろに伸びていたパイプが切れ飛び、ベコンと何かが潰れる音がした。

 

猛っていないのに猛ってる。

 

理由は多分、この鋏。

 

だから。

 

狭い坑道にゴロゴロと転がる朽ち果てたコンテナを盾に、兎に角あの壁の奥の切断痕。その奥に、その先に。

 

確かに、ハルの気配が()()()

 

早く返す。ハルの元へ。

 

早く逢おう。大好きな友達と!

 

 

 

 

 

_________

 

 

 

 

 

 

 

あの気配。

 

疼く無き片腕。

 

一瞬で進行した銀の黒化。

 

 

多分、あの神が喚んだんだ。

 

 

 

「コトワリ様...ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

まずい。まずいまずいマズイ!

 

 

()()コトワリ様は権能の多用で少なからず疲弊している。

人の狂念から取り戻しかけているとはいえ、今理性が狂気に負けたならば、彼を抑える術が無い。

 

ゆかりが、危ない。

 

使うだけならまだ良かった。

ここはあそこから距離的に次元的に遠く離れた地。

縁も薄く、力場は別の神に染め上げられている。

出でくる狂気の残滓も身代わり一つで祓えるものだった。

 

だけど、喚ばれたのは本柱。

封印していた彼自身。

 

対処できるのは__________

 

 

 

 

 

ゆかり...ッ...今行くから!

 

 

 

走る。

 

糸はまだ続いている。

 

コトワリ様の気配も強くなってきている。

 

洞窟にばら撒かれた神気も、別の神気と混じり、

揺らぎ、歪んだ空間自体が戻ろうとし始めてる。

 

 

今なら、いける。

 

 

早く、縁の元へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そうだ。

 

これ、還したかったんだ。

 

______

 

 

近い日に、使う時が来ると思う。

 

うん。私は、もう大丈夫。

 

私の遺りも、もうほとんど使いきっちゃったし。

 

 

________ッ。

 

 

ああ、もう泣かないの。

 

元気でね。

 

友達と仲良くね。

 

これから寒くなるんだから、風邪に気をつけてね。

 

 

_______

 

 

うん、うん。

 

そうだね。

 

 

_____ありがとう。ユイ。

 

 

うん。

 

こちらこそ、ありがとう。ハル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

受け取ったそれは、

 

少し、土と朝露の

 

匂いがした。

 

 

 

 






ハル達は、自分の過去を、
何度も何度も言葉で刻み付けて、
力に変えていく。

何度も、何度も、
何度も、何度も、

魂すらも変わっていく。








正月以降にしか投稿できないといったな?
クリスマスプレゼントだオラァッ.....というのは建前で。
とあるお方の深夜廻作品がヤバすぎてテンションがフルスロットルになったので嘘となりました。(ステマ) 
久しぶりに評価10を付けました。
自分のと比べて泣きました。いいんだ。自分らしく書くんだ。

読んでない夜廻ファン兄貴姉貴はお気に入りか評価欄からどうぞ。




プリヤの新作映画がTwitterに告知されててパリピりましたね嬉しい。
雪誓良かったので次は映画館でみたいです。楽しみ。





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15・それ二廻り 巡り

人が想う、一時の物語。

左腕が遺した、最後の幻想。


湿っているような金属音が響き渡る。

 

殺意や害意とは違う、

ナニカが背筋を伝う感覚を頼りに、

地面に飛び込むように避けることこれで三回。

 

もう身体中煤と埃と砂と泥だらけだが、

なんとかあの重くて大きい鋏を落とさずにここまで転がってきた。

 

足の痛みが酷い。

 

冷たい筈の水に触れていても、焼けるように捻転部が悲鳴をあげる。

 

それでも、()()()()()()()()()()()を辿り、

 

この狭い()()()()()()()()を、我武者羅に進み続ける。

 

 

 

風が響く。

 

空気が揺れる。

 

 

鋏の音が響くたびに、生霊とナニカが断ち消えていく。

 

 

切っても、切っても、その猛りは、私に向いていて。

 

()()()()()

 

この気配も、ハルと出会える縁となるから。

 

怖くても、恐ろしくても、

 

今は前へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレ?アレアレアレアレ?アレアレ?

 

 

どこにいるのかなーあそこかなーこれかなーなーなーなー

 

 

 

■カエセ█■██■かえしなさい■███■█あぶないから■■

 

 

 

 

軋み、悲鳴をあげる洞穴、

壁のひび割れから溢れ出る狂った生霊たち。

そのすぐ横をすり抜け、前へと進めば、

次々と車に轢かれるようにコトワリ様に消し飛ばされていく。

 

 

心臓が煩い。

 

一つのことしか考えられない。

 

生霊のことなど意識から消えていく。

 

 

 

もう少し、

 

もう少し、

 

空気は暖かく、乾いていくように。

 

時は遅く、満ちていくように。

 

ああ、もう少しで、

 

ハルと会えるのがわかるんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁は切られ、

 

業は切られ、

 

悪しき定めは断ち消えて。

 

今まさに、

 

やっと、

 

あなたたちの手がとどく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、坑道の壁が爆発______

 

 

 

ゆかり!!

 

 

ハル!?

 

 

 

砂煙と共に飛び出したのは、黄金の髪の少女。

 

紅い糸が周囲を漂い、ゆかりへと穂先を伸ばす。

 

 

_____最後の生霊が断ち切られた。

 

 

突然の再会と無理矢理すぎる合流に驚きつつも、

体は止めず、ハルのもとへ走り切る。

 

黄金の少女は、2、3回転がって勢いを殺し、

逆の壁を蹴ってゆかりへと跳躍した。

 

 

_____迫るのは、黒靄の手々の異形。

 

 

 

___大丈夫だった?

 

___へっちゃらだよ!

 

ハルは無事に一安心したのか、

少し顔を綻ばせ____頭を振り、

コトワリ様に体を向ける。

 

 

 

_____暗がりでも輝く、血の鋏は開かれて。

 

 

鋏返すね。

 

うん。ありがとう。

 

____.....っえ!?

 

 

それを受け取った()()

 

 

 

 

 

無いはずの左腕だった。

 

 

 

 

 

 

______ジャキンと_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁は切られ、

 

業は切られ、

 

悪しき定めは断ち消えて。

 

今まさに、

 

やっと、

 

あなたたちの手がとどく。

 

 

 

 

 

 

 

 

新たな縁を結ばれ、

 

 

願いは縫われ、

 

 

白き心は繋がれた。

 

 

過去の後悔を、

 

 

抱えて、絆いで、

 

 

手をとった。

 

 

 

 

 

 

その左腕は_______

 

 

 

 

 

神と人が選んだ、

 

 

願掛けたる象徴であるのならば。

 

 

この奇跡は、

 

 

一時の現と相変わる。

 

 

 

 

 

 

 

_______閉まることは、なかった。

 

 

 

 

 

 

「この左腕は、ユイが遺した幻想で。

 

 すずなり様が、繋いでくれた。」

 

 

糸が左腕から溢れ出す。

 

真っ赤な、真っ赤な糸が。

 

 

「死んだ人は、もういない。

 

 逢えることもなく、気づくこともできない。」

 

 

糸が、二人の少女を双刃の間に残す、

コトワリ様を包み込む。

 

 

「だけれども、すずなり様と、ここの神様は、

 

 一度きりの、奇跡をくれた。」

 

 

別世界のユイ。

 

別世界のわたし。

 

糸は、いろんな世界を写している。

 

 

「会えない人とは違うけれど、

 

 思っていることは同じでさ。

 

 共鳴するように、ユイに力をくれたんだ。」

 

 

 

歪みじゃない。

 

死者でもない。

 

ユイとお別れして、

 

"ユイ"と出会った。

 

 

「お願い、コトワリ様。

 

 悲しすぎるほど、心に秘めた願いを叶えようとして、

 

 "今"を捨てようとするゆかりの友達を助けることを。

 

 手伝ってくれませんか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再度、承知した___

 

 

 

 

 

神が、光へと融けて。

 

糸を伝い、左腕へと満ちていく。

 

 

鋏は、更に大きく、更に紅く、

 

神如き、その強大さを取り戻す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はハル。

 

 

ダムの底に眠りし縁切りの神。

 

 

かの柱に選ばれし、

 

 

 

唯一の巫女である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの願いはなんですか?

 

 

 

私の願いは、もう叶っているよ。

 

 

 

 

 

 

 




大変お待たせいたしました。
左手を剥離骨折していました。
これは縁なんだろうか。(白目)
まあ、右手でポチポチ出来るので大丈夫です。
次回も遅れると思います。

ぶっちゃけ全体的に左腕使えない感じがハルの生き方を実感できて面白かったりする。(ポジティブ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16・ただ三廻り 万華鏡



紅い糸が、空を舞う。
銀の燐光が、天を流れた。




 

 

あの夜。始まりで、終わりでもあった夜。

最後に渡されたのは、私の左腕だった。

 

 

_____これ、還したかったんだ。

 

 

それは悲劇の象徴だった。

 

それは約束の証だった。

 

目頭が熱くなって、また、空を見上げてしまう。

 

それでも、この綺麗な夕焼けは_______ああ、

 

 

ああっ、泣かないの! 

ごめんね、わかってるつもりだったけど、やっぱり辛いよね。

 

 

滲んでゆく景色を、振り払って、前を向く。大丈夫だと。

 

 

この腕はね。私の遺体と共に見つかっちゃったんだけどね。

()()()()()()()があの山にこっそり埋めてくれたんだ。

 

なんか儀式とか呪文とか唱えたらね。何でか私の残りと一緒に残っちゃった。

 

 

 

『そういうことか。

 安心しろ勇敢だった嬢ちゃん。

 お前さんの親友はこれからも必ず守ってやる。

 俺らの仲間がよ。』

 

『まあ、生き残れたらって感じですけどね。

 アイツは彼女らのお陰で弱ってるとはいえ、

 犠牲は想定内ですよ。』

 

『馬鹿。そこはカッコよく断言しとけ。

 ()()だろうが。』

 

『ここまでお膳立てされちゃあ、

 死ぬ気で頑張るしかないっしょw』

 

『隊長。残留思念の固定及び

 霊体化した左腕の保存術式安定化、

 完了しました。』

 

『よし、いっちょ大仕事だ。

 神殺し、わくわくするねえ。』

 

『いつだって俺らは命懸け。

 信念が全てで生きている。

 一つ、覚えててくれよ。

 ここに、カッコよくてカッコ悪い、

 意地汚い大人達がいたことを。』

 

『違いねえ。』

 

『隊長カッコつけすぎwwww』

 

 

  ははははははははははははwwwwww

 

 

『よし! いくか!』

 

『せーの。』

 

『デッデッデデデデ!』

 

『カーン』

 

『しまらねえなオイ!』

 

『何で最後ネタに走るんですかねぇ...コレガワカラナイ』

 

『wwwwwwwwwwwww』

 

『さっさといくぞ! 町の住民が来ちまう。』

 

『わかってますよ。』

 

『しまっていこう!!!』

 

 

 

『おおッ!!!!!』

 

 

 

 

___頑張れよ、見知らぬかわいい少女ちゃん。

 

 

 

 

 

 

あの場所から、少しずつ離れていく"大人たち"。

 

ボロボロのお地蔵、その奥に隠された、洞窟へと入っていく。

 

彼らは、多分....

 

 

 

 

_____うん。大丈夫。 わかっていたことだから。

 

 

 

そして、

 

 

 

そして数日が経って、あの山に雨が降ったんだ。

 

ぴちょん、と。

 

タオルを伝ったその音は、

 

"大人たち"が遺してくれた()()()を破って、

 

私が遺してしまった、遠い遠い幻想を、

 

拾おうとしてくれ(しちゃっ)たんだ。

 

 

 

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

 

 

 

鋏の音が聞こえたと思ったら、

 

私は、ハルに会えてしまっていた。

 

ハルのすぐ隣にいてしまった。

 

ハルの声を聴いてしまった。

 

ハルの悲しみを、また知ってしまった。

 

ハルの決意を、揺らがしてしまった。

 

 

私は、ユイだ。

 

でも、もう"ユイ"でしかないのだ。

 

ハル(人間)のように、進むことの許されない永遠の幻想。

 

だけど大人たちが、私に約束(決意)してくれたように。

 

 

 

私だって、もう一度、

 

 

ハルの、私の、大切なものを、

 

 

今度こそ、

 

 

守ってみたい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん。わかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴の音が、遠く、全てを震わすように、響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はユイ。

 

 

銀の"手"を失いし縁結びの神。

 

 

かの柱に選ばれし、

 

 

 

紅き幻想である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの願いはなんですか?

 

 

私の願いは、今まさに、叶ったよ。

 

 

 

それは、よかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルは()()()()()

 

 

この洞窟に揺蕩う、無数の縁。

 

銀の燐光と、紅い糸が、左腕から舞い上がる

 

 

「行くよ。ゆかり。」

 

「う、うん。」

 

へたりこんでいるゆかりの手を握る。

 

そして、

 

ただひたすらに、ただひたすらに、

 

吉縁を束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、______________

 

 

 

収斂の彼方。その頂は、

 

 

可能性(運命)をも、凌駕する。

 

 

 

 

 

一歩踏み出した瞬間、

 

()()()()、みかがみ様がいる方向であろう壁が砕け散る。

 

 

「え"。」

 

 

 

二歩踏み出せば、

 

()()()()、二柱の影響で歪んだ空間の膜が、彼女らをみかがみ様のもとまで道を繋ごうとする。

 

 

「え"ぇっ」

 

 

三歩目は______

 

濁流の如く押し寄せる凶縁(生霊)を_____

 

 

 

全て叩き斬る(もういやだ)っ!!!

 

 

 

 

 

ジャッキン

 

 

 

 

 

一刀両断。刀ではないけど。

 

 

 

「ゆかり、閃光玉!」

 

「は、はいぃ!」

 

前方へ投げ捨てられた強烈なフラッシュから、ゆかりの目を鋏の影で守る。

 

 

さあ、光の縁を紡ぎ視ろ。

 

 

視れば、わかる。

 

 

 

 

 

みかがみ様。

 

 

 

 

 

それは、

 

鏡合わせのように、

 

世界と世界(パラレルワールド)を繋げていて、

 

一つ一つに色とりどりな人間(私達)が散らされて、

 

シャリン、シャリンと、姿形を変えていく。

 

いろんな()が、私達の世界が、

 

くるりくるりと廻っている。

 

 

そう、それはまるで、

 

万華鏡(カレイドスコープ)のようで、

 

とてもきれいな_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁっえ?」

 

 

「ッ!」

 

 

意識が、飛んでいた。

 

紅い糸(因果)が歪む。

 

その瞬間に空間(鏡面)の狭間から反射された閃光の欠片を幻視し、"当たる縁"を切り飛ばす。

 

ジッと概念体であるはずの糸が焼け落ちる音を聞きながら、

 

旧鏡面湖(みかがみ様)へと続く縦穴に、落ちる。

 

 

「ゆかり、大丈夫!?」

 

「だだだだだ大丈夫っ!こんなのただのジェットコースターよ!」

 

余裕そうである。

 

 

このままハルは、自然落下に体を任せ、

空間の狭間(ギャップ)と反射光線の処理に尽力する。

 

 

「あゔぁばばばばばばばばば」

 

「ほ、ホントに大丈夫...?」

 

 

因みに、

握り合っている右手(ハル)左手(ゆかり)を、

因果収斂(運命)の糸でぐるぐる巻きにしてあるので、

離れることはありえない。

 

 

 

 

時に、クイックブースト。

 

時に、インサイドループ。

 

時に、結んだ空間(結界壁)を蹴り落ちる。

 

 

風切り音とは違う、

空間(世界)焼き撲(拒絶す)る音を傍目に、

下へ、下へと。

 

 

「ハルッ!」

 

 

「ッ!!」

 

そして二人は、

そのまま水面に突っ込んだ。

 

 

 

衝撃を殺す。

 

息もできるように。

 

兎に角深い縦穴の地底湖だ。

 

光は無い。

 

真っ暗な世界に、白い光が漂っている。

 

 

 

クルナ

 

 

 

薙ぎ切る。

 

爆ぜた光が、音を創る。

 

 

ほう、上で煩くしていると思いきや、二人か。それも中々の_____断ちびとか。なるほど、血族も思い切ったことをする。

 

 

 

ゴメンネ

 

 

横切る。

 

またも、

 

 

私の"後悔"は一段と醜いな。自分で祓いたかったものだが、もう難しいことだ。縁切りの巫女よ、感謝する。____時が満ちるのは早い。人の身を捨てたからか、時間の流れに鈍くなっているのかもしれん。

 

 

 

アアアアアアアアアアアッ

 

 

叩き切る。

 

 

____街の鏡面より見ておった。まさか、お前たちが来るとは。我々の力不足故に、こうなってしまっている。本当に申し訳ない。

 

 

 

生霊では、もうないのだろう。

長い時の中で、彼らは肉体から離れすぎた。

 

 

切る。

 

 

そう悲観するでない。ハルさん。我々は自ら肉体を捨てたのだ。肉体を力に還元し、その時が来るまで私達の意思と記憶を残す。ただ、それだけだよ。

 

 

 

切る。

 

 

あらあらあら、まあまあまあゆかりちゃんじゃないの! 覚えてる? ひいおばあちゃんですよ。まだ産まれたばかりだったけど。

_____怖い思いをいっぱいさせちゃったねえ。ごめんねえ。

 

 

ゆかりのひいおばあさん。

 

鈴神家で飾られた、天井付近の写真の数々。

 

それは、つまり。

 

 

 

「.....」

 

「おじいさん、おばあさん...。もしかして、ご先祖様たち?」

 

 

 

左様。

 

 

 

数多の光が、彼女たちを包み込んだ。

 

 

 




特殊タグが上手く働かなくて、
これ以上投稿遅らすのもなーと、
運営さんに対応してもらったら自分のミスでした。
軽く死ねる。



・topic.1 【みかがみ様】

みかがみ様の権能の原案として、
『平行世界の観測』『願いを引きつける』
という設定がありました。
では、みかがみ様の神器はどうしようかと、
解釈的に合いそうな物を探してたら。

『平行世界の観測』
 →見る、覗く。
『平行世界』
 →イメージ『鏡合わせの像』
      『その中に写る異物』→可能性のゆらぎ
『願いを引きつける』
 →『光の無限変化、可能性の具現化』

 = 万華鏡じゃねえかこれ!?という回答です。

まあ、調べてる最中カレイドスコープ繋がりでプリヤを発見しちゃったわけですけど。



・topic.2 【覚醒ハルちゃん(仮)】


運命を凌駕するレベルで、
縁理を操作する術を手に入れたハルちゃん。
器として最高最良だけど、やり方は無理矢理。
理由としてユイの方の時間制限。
ハルの方はそういうのは撤廃されていますが。
"ユイ"の縁から幻想(燃料)を出力してるとはいえ、
ユイの本当に最後の残りモノが摩りきれる前に決着をつけないと、
因果と反動で肉体バラバラ+魂が縁と世界と言う膨大すぎる情報に押し潰されて消し飛ぶというバットエンド。

仕方がないの。
ユイちゃんの残留思念、ほぼ使いきってるのを他のユイちゃんから無理矢理供給してもらって水増ししてるの。騙し騙し状態での無茶苦茶。
まるでジャンプ系主人公のようだ。(白目)

もちろん、
そうなればコトワリ様、
すずなり様も権能の暴走で自滅します。
権能の効果を拡張して、シンクロ率が高いことをいいことに出力増強しているから、
平行世界から供給される半無限エネルギーをなんとか調整しているハルちゃんが消し飛べばそりゃあ、エンジン大爆発よ。


簡単に言うと、
平行世界から縁結びでエネルギーを抽出、
悪影響のもの(別世界のハルやユイの悲壮後悔殺意etc)
を切り捨て、
良いものだけを強固に繋ぎ止めてエネルギーを受け取っています。
しかしながら、エネルギーを誘導する触媒がこときれそうになってるわけで、時間制限あり。
なおハルちゃんだけでエネルギーを操作しようとすると、莫大な情報で魂ごと叩き潰されます。


なおこの無茶苦茶は、世界や現実が曖昧な今しかできません。世界を隔てた縁結びなんて一介の神にできるわけないだろいい加減にしろ!!!

可能性の獣? 知らない子ですね.....



期末テストなので今しばらくお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17・とき四廻り 人であり



未だ昼過ぎて、
夜はまだ遠く、
聴こえ始める。
宵のざわめき。




 

うるさい目覚ましが薄い壁を突き破って隣から聞こえてくる。

夢を彷徨っていた意識がこの部屋に戻ってきて、

 

ああ、朝が来た。

 

少し頭痛がする。

 

 

 

重心が変わり、悲鳴をあげるゲーミングチェアを酷使して、自分の部屋を見渡せば、デスク、パソコン、スマホ、ノート、酒酒酒酒酒、つまみ、古本、新聞....

 

まあ、いつも通りの汚さだった。

 

 

パソコンに立ち上げられままのブラウザに並ぶ、

電子掲示板に打ち込まれた嘲りに苛立ちながら、

マウスを動かしログを辿る。

 

毎夜の情報収集は時々起こる口論の末、

こっちの寝落ちで決着がついたようだ。

 

流石に睡眠時間2時間を3週間弱続けたのは厳しかったのかもしれない。

 

ぐちゃぐちゃのメモ帳と成りへたカレンダーとスマートフォンの日付を比べ、26時間のロスと体の怠さに渋面を作るしかなかった。

 

流石にまる一日寝たのだから酔覚めの頭痛は納まって欲しい。

 

そう思いながら上司に電話をかける。

 

「すいません、寝てました。」

 

『19時半。あーもうちょい寝てればお前の奢りだったのになあ。残念だ。』

 

『先輩起きたんすか?! やった部長の奢りだ焼肉ぅ!』

 

賭け事かいな。

 

「......ちなみに内容は?」

 

『正午過ぎたらお前、過ぎなかったら俺の奢り。』

 

まる一日空けたのに対処が優しい。

 

「お情けをありがとうございます。」

 

『前から言ってるだろ無理するなと。お前がなにを焦ってんのか知らんがノルマは熟されてるわけだ。別に怒らんよ。』

 

気まずい。

 

「.....焼肉はちょうと胃にキませんか? 内臓がへそを曲げてるっぽくて」

 

『焼肉無理だと! もうちょと上品なモンに変えろ!』

 

『うぇえええええええええ!?!?』

 

『うるせえ!』

 

部長、あなたもです。

 

『どうせ酒かエナドリでもキめて虐めたんでしょう?懲りないわねぇ。』

 

『バイタルセンサからの覚醒時自動バイタルチェックのデータ受信を確認。呼吸音...覚醒直近を考慮すれば正常と判断。心拍...平常時と比べ15オーバー。要検査項目と確認。血圧...覚醒直近を考慮しても低下しすぎています。要検査項目と確認。旭様のGPSデータチェック。これより神野宮宅へ急行します。部長、許可を。』

 

ヒェッ

 

『うむ。許可する。』

 

「部長!?」

 

『諦めろ旭君。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酷い目にあった。

 

味がめちゃくそ薄い朝ご飯と顔面ぶっかけ消毒液はどうしても身に堪えるものだ。管理厨許すマジ。

 

 

皿洗いの音が響く玄関扉を閉め、

()()()隣に立っている!?管理厨を引き離すようにアパートメントのボロ階段を駆け下りる。

 

...美人なんだけど、

やっぱいけ好かんわ。

 

「旭様。目薬をどうぞ。」

 

「コンタクトで良いだろ。」

 

「術式の安定稼働期間を6時間ほど過ぎています。"眼"の保全を考慮し抑制剤の使用を推奨します。」

 

気づいてたか。

 

「へいへい。」

 

受け取ったそれの、

キュプリと蓋を開けて、青白い目薬を垂らせば、

視界に広がっていた日常は、

普通の非日常へと変わってゆく。

目の奥の熱さが断ち消え、脈動が少しずつ薄れていく。

 

 

「この感覚慣れん。やっぱ眼鏡欲しいわ。『見鬼の人』みたいなの。」

 

「調整含めて160万ほどなりますが。」

 

「やめやめ。下っ端には厳しい。」

 

「早速ですが依頼が来ています。貯めていた分の一つなので拒否は不可。お受け下さい。」

 

「げっ....詳細。」

 

「■■町で発生している神隠し案件に巻き込まれたお子様の発見と援助。だそうです。」

 

 

発見はわかる。

 

「援助ぉ? 連れ戻すとか保護とかじゃなくて?」

 

「はい。援助です。」

 

まーた、めんどくさい話になっていきそうだ。

 

毎度とはいえ、つくづく人使いが粗い。

 

「依頼主様が直々にご相談にいらしています。お忙しい身のようですので早急のご決断を。」

 

「と、言っても強制だろ? 受けるよ。」

 

「声紋照合完了。依頼(Order)登録完了。ブリーフィングは...依頼主様からの情報収集が終わり次第始めましょう。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

地域の事務所で依頼主と対面を取り、

依頼の詳細を聞く。

 

まだ涼しい朝時、依頼主は、

職場へと向かう前に来た雰囲気の、

ザ、エリートらしい大柄の男性だった。

 

娘に持たせた携帯電話に内蔵させた、

高性能GPSが、探知できなくなった。

 

依頼は、そんな話から始まった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

貯金の数割を切り崩し、

入手した探知機がエラーを吐いた。

断りを入れて、職場から飛び出し、

 

____かかってきた電話口を、開いた。

 

 

 

お前さんの言っていたように、

お前の娘さんには自由にさせた。

...さっさと帰ってこい。

一発ずつ殴り合おう。

 

本当に、すまない。

どこまでも、俺たちは無力だった。

 

 

 

 

____何も言うことは無かった。

 

履歴には、たった数件の娘からの着信。

そこに、なにも、助けを呼ぶものは無く。

 

ただ、ただただ、心から無性に、

 

泣きたくなったのだ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

午前9時。その街へ向かうために準備しながら、

さっきまでのことを思い出す。

 

 

『迷惑をかけます。』

 

 

馬鹿言え、わかりきったことだわそれは。

こっちは()()()()仕事だ。

遺書だって両手に数え切れないほど書いてきたわ。

 

 

『ついて行かせて下さい。』

 

 

ついてくるのなら、命の保証は無い。

前金は貰ってるから、その分の働きはするがな。

 

 

『ありがとう。』

 

 

どこまでも、無骨で凡庸な社会人でありながら、

どこまでも、誠実で不器用な依頼主だった。

 

言ってしまえば依頼だって不器用過ぎるものだ。

こんな依頼じゃ同じ"運営"の事務所でも断る所は断るだろう。

 

だけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

_____あの時、あの夜のことは、

 

俺が知らなかったうちに終わってしまっていた。

 

いや、違う。

 

俺は目を逸してたんだ。

 

あの町の真実。夜の姿。

 

幾らでも情報は揃っていた。

 

俺は恐怖していた。

 

後悔していた。

 

娘は、腕と友達を喪った。

 

取り返しのつかないことだった。

 

だから、今度こそは。

 

 

()()()()()

 

 

 

 

 

 

ああそうかい。後悔はするなよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____俺の娘を、()()を頼む。

 

 

 

 

 

 

 

あたりめーだ。

 

 

どこまでも、彼は、私が好みとするタイプだった。

 

ただ、それだけだ。

 

 

あ、あと。

 

 

 

 

 

 

「あ、部長。さっきぶりですね。

時間がないのでさっさと本題入りますが、

■■町区域担当の亜空間研究員『黒鉄』発案の、

D11棟A型実験室で行われていた客観世界構築の最終施行、参加者リストに二人、ぶち込んどいてください。

よろしくお願いします。では。」

 

 

 

 

人に甘い(強制依頼とした)部長には、もう少し働いてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャン、と、金属同士が擦れ、嵌り、機械仕掛けが駆動する感触を確認する。

手に持つ長年の相棒は、緊張と闘志で熱く、さながらカイロのように淡く熱気を纏っている。

それは幻覚だ。

もう一度しっかり握りこめば、

それは冷たく、いつも通りのにび硬い感触。

 

行くぞ。

 

ああ。

 

掲示板では、スレ住人が騒いでいるのを流し眺め、苦笑しながら、歩き出す。

 

 

()()()()()()()()()()

捻じれ狂い始めた空間の狭間から漏れ出る神気に、

ナニかが胃から込み上げるが、

再度無理矢理気合で胃に押し戻し、

調合してもらった薬を呑み下して吐き気を抑制する。

 

 

大丈夫か?

 

ああ、いつものことだ。薬もあるしな。

 

過敏だとこういうとき辛いよなぁ。

 

さあて、術式展開を開始する。

神霊様もある程度妨害しようとすると思うから、

なにかおき次第対応よろしくー。

 

了解。

 

『β部隊展開完了。空間観測と固定維持の準備完了です。』

 

よしよし、α部隊揃ってる?

 

点呼ッ! .......問題なし!

 

礼装の最終確認も大丈夫?

 

 

 

そう言われ、自分の腰に吊り下げたモノを引っこ抜く。

手に握るその金属の包は、

認識不全の術式で覆われた、

鉄砲と呼ぶには特異過ぎるものだ。

それに込められた16発には、それぞれが破邪、破魔の御札、術式媒体、マーキング、浄化、解析等々...が複数刻まれた弾丸が収められている。

 

運営の技術の集大成。

西から東、正統から異端まで、ありとあらゆる霊的技術をごちゃまぜにクロスオーバーされた、もはや運営の研究員も説明しようがなくなってしまった奇跡的な混沌の産物。

 

.....の複製品(コピー)にして劣化版。

 

祈りの一射。

 

銀の弾丸。

 

 

西洋の魔術、錬金術の亜種である、

構造解析と霊機錬成に一辺倒に長け過ぎたとある日本人(同僚)によって、

やっとのことで解析と複製ができたと聞いていたが...

部署も重要度も違う人だからな。

会うことも出来ないと思うが、

いつかお礼がしたいものだ。

 

確か名前を.....

 

 

全最終確認完了。

空間干渉かいs______

 

 

 

ッ!

 

 

空気が緊迫を伝えた、

瞬間。無我に。

神経に沿って精密に、

それでいて高速で霊力を廻す。

肉体強化。霊機による加護を添えて。

鈍足と化した視界に、

飛び込むは儚き、真っ白な怪異。

 

ゆっくりと進む時間に、

迫り来る虚無の殺意に、

銃口を、

鳴らした。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

・Main Order / USMC運営

 

神域に飲み込まれた民間人及び関係者の救出。

発生源である神格Level.4以上と推定される一級神霊の封印及び非活性化、又は被害終息の説得。

民間人及び地域に被害が及ばない程度の、

施行禁止指定の空間跳躍を含む、

あらゆる術式の使用を認めます。

 

このオーダーは準一級優先任務に指定されました。

担当外の運営職員は直ちにこのオーダー以下の優先任務を放棄或いは凍結、保存し、支援に当たってください。

遂行中の任務の放棄凍結が不可能な場合、

早急の解決を求めます。

 

貴方の働きに、幸あれと。

 

Unrealistic Singularity Management Committee

認証コード:003572819

 

 

 

 

 

 

 

 

漏れた煙は、その怪異と共に薄れ消える。

 

じゃこんと、自動的に次弾が納まる。

 

 

 

お見事。

 

こちらこそ、警告助かった。

 

やっぱり来るか。

もうすぐ第一ゲートが開く。

全員警戒と戦闘体制。

 

 

 

 

 

 

いつだって俺たちは命懸け。

削れる精神と命の先に、

このような(怪異を倒せる)力があるのなら。

 

「救えるものは、救い出す。手を伸ばしてから、考える。」

 

もう、後悔なんてしたくないからな。

『今度こそ』を、繰り返さないように。

 

 

夜は廻り朝が来る。

夜の恐怖は時が経てば薄れていく。

 

その恐怖は、俺達が担っていくものだ。

まだ、その少女は、その時ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

142:貫徹

ということで連れてきた。

 

 

143:名無しの霊感持ち*

このような電子掲示板を利用したリアル情報リンクサイトは初めてですが、頑張って慣れていきますのでよろしくお願いいたします。

 

144:名無しの霊感持ち

新人さんいらっしゃーい。仲良くしていきましょ。

 

145:貫徹

まあ依頼主だから、チュートリアルテンプレ宜しく。

 

146:名無しの霊感持ち

了解。

 

147:テンプレお兄さん

テンプレと聴いて。

"USMCへようこそ"『URL』

 

148:名無しの霊感持ち

うわ出た。

 

149:名無しの霊感持ち

うわ出た。

 

150:名無しの霊感持ち

うわ出た。

 

151:名無しの霊感持ち

うわ出た。

 

152:名無しの霊感持ち

>>143さん、肩苦しい口調は無しで大丈夫ですよ。

まあ色々胡散臭い集団だと思いますが、

ぼちぼち付き合っていきましょうね。

権限持ちの誰か、依頼主のコテハン変更宜しく。

 

153:Longinus✓

了解。

 

154:貫徹の依頼主

わかった。少々文字の打ち慣れもしないが、よろしく頼む。

 

155:名無しの霊感持ち

ロンさんせんくす。

 

156:名無しの霊感持ち

わお無骨っぽい人。

 

157:貫徹

でしょでしょ〜? 顔見たときコイツ絶対かてぇ!って思ったもん。

 

158:ゲロP

依頼主になんてことも思ってやがる...

 

159:名無しの霊感持ち

ゲロPだ! ゲロPじゃないか!

 

160:名無しの霊感持ち

生きていたのか!?

 

161:ゲロP

貫徹の依頼主さん。私は...まあここではゲロPと呼ばれてる者だ。呼びにくいと思うし"P"と呼んでくれ。後で現場で合流する筈だ。一応貴方の護衛を担当する。よろしく頼む。

 

162:貫徹の依頼主

Pさんや貫徹さん、他の皆様も、私のわがままを聞いてくださり本当にありがとうございます。なんと言ったらいいのか...。

 

163:名無しの霊感持ち

ゾワゾワっとした。

 

164:名無しの霊感持ち

いかん丁寧語中毒だ!逃げろ!

 

165:名無しの霊感持ち

終わり!! 閉廷!! 以上!! 解散!!!

 

166:名無しの霊感持ち

\解散!!!!/

 

167:名無しの霊感持ち

おちんちんランド閉園!

 

168:ゲロP

お前ら.....ッ!!!

 

169:貫徹

wwwwwwwwwwww

 

170:名無しの霊感持ち

うわぁ...

 

171:貫徹の依頼主

賑やかでいいですね

 

172:名無しの霊感持ち

賑wやwかwでwいwいwでwすwねw

 

173:ゲロP

ああもうホントごめんなさい。

いつもはみんな真面目なん...いやそうでもないけどちゃんとみんな動いてくれてますんで娘さんのために!

 

174:名無しの霊感持ち

娘さん?

 

175:名無しの霊感持ち

あ、(察し)

 

176:名無しの霊感持ち

何才くらいで?

 

177:貫徹の依頼主

今年で小4くらいだったと思います。

 

178:名無しの霊感持ち

全エネルギー配給設備調整完了。

今現在下4桁レベルの操作が可能です。

 

179:名無しの霊感持ち

現実領域の侵食に伴う抑止的反動の抑制力場を展開中。

安定状態まで残り、18秒。

 

180:名無しの霊感持ち

偽装結界の効果減衰が異様に速い。

エネルギー供給を増やして見てくれ。

 

181:名無しの霊感持ち

第4ジェネレーター触媒投入完了。臨界点まで3秒。

少々霊位が揺れますのでご注意を。

 

182:名無しの霊感持ち

了解。霊位の揺れに備え、

超遠距離関節エネルギー回線にガイドラインをかけます。

現供給割合から3%ほどロスの可能性あり。

別回線からのアシスト頼みます。

 

183:名無しの霊感持ち

最優先エネルギー供給対象は"楔"だ。

パーセンテージを1ミクロも下げるなよ!

 

184:ゲロP

このロリコンども....

 

185:貫徹

ゲロP、そろそろそっち着く。よろしく。

 

186:名無しの霊感持ち

まあ、俺たちもこんな風に頑張ってサポートしてるからよ。パパさんも娘さんのために頑張れよ。

 

187:貫徹の依頼主

ええ、もちろんです。

 

 




この年になって、親知らずが4本できました。
痛すぎて転げ回りました。
テスト期間中のことです。
鎮静剤使っても疼いて集中できませんでした。
そんな中で書いちゃったところですね。
練りが浅くてごめんね。

今年は厄年な気がする。




・topiks

・代理人/貫徹
なんかネタで生えてきた人。

とある組織のわけあり下っ端である。
先祖帰りの一人。特異持ち。
結構の強権を持ってるのになぜか下っ端である。
因みに稼いでいるほうなのだが特異なお目々と管理厨のせいで晩年金欠である。虚しい。
あ、性別は女の子です。

所持する特異は、眼式【貫通】
モノを"見抜く"お目々である。
こともやハル、
その上位版眼を持つ『見鬼の人』の【見鬼】とは違い、視た相手を"見抜き"、怪異なら瞬間的に分解する。
つまり、対象を低次元領域に叩き落とし、
自然事象として世界に処理させる。強い(確信)

元ネタは強制成仏カメラ。
ホラーゲーム定番アイテムである。

なお本編での活躍は多分無い。



・管理厨
なんかネタで生えてきた人。

メイド以上にメイド。ナース以上にナース。
それ以外何者でもない。
何十回か下っ端ちゃんのお目々をくり抜こうとしているが、代理人にコンタクトレンズか目薬を(半強制だが)使うことで衝動を抑えている。
人体壊し、殺人技巧大好き。
性別は男です。美人型。


・ゲロP
唐突の再登場。

超感覚レベルの特異過敏。
ゲロを吐くイケメソダディ。
礼装化改造銃使い。
怪異ブレイカー。


・運営
要注意団体の可能性あり。

正式名称
Unrealistic Singularity Management Committee
略してUSMC(ウズマキ)
渦巻→廻る 的な抽象ネタ。
委員会じゃねーか!っていうツッコミを待ってた。
正式名称出していないのにツッコミされるわけないことを失念していた。馬鹿である。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18・さあ五廻り 運命

抗え、

ただ残酷な迄に正直過ぎる、

この世界から。


地下水脈が、柔らかい石灰層を削り下ってゆく中で作られた

木の根っこのような洞窟たち。

その中心部、旧鏡面湖本体が削り取った円柱の縦穴を落下しながら、

ハルはさっきの話を思い出していた。

 

 

お前さんは今、二柱の御霊と繋がった、

謂わば半現人神。

御霊という存在は、ある一定のお力を持たれていれば、

御霊一柱一柱、独自の高次元領域、つまり神域を持っておる。

お主も今御霊に近き存在。

何を以て神とするかはお主の自己認識次第だが、

お主はお主だけの、神域を創造できる筈だ。

 

それは、ヒトを外れる行為。

それは、アレらに近づく行為。

 

禁忌とは言わぬ。

遠い遠いご先祖様も通った旅路は、

異能として、我らの血縁を(めぐ)っている。

皮肉なことだが、これを運命と言わずなんと表そう。

 

だが、お前さん、いやハルよ。

 

この運命を背負う覚悟はあるか。

 

 

 

 

 

 

強く、私より大きな手を、握る。

 

紅い糸が、脈動する。

 

「ハル?」

 

 

「いこう。ゆかりの友達を助けに。」

 

 

お化けに背を向けて、更に下。

 

湖の底に揺蕩う、濃密な神力の結界を睨む。

 

 

 

 

 

______問う必要は無かったようだ。全くもってお節介だな。これは。

 

 

 

 

 

 

覚悟。

 

そんなもの、意識してしたことなんてなかった。

 

あったのは、

 

焦り、寂しさ、恐怖、願い、そして、ちっぽけな勇気だった。

 

思い返す度に、

 

届かなかった手を、血が出るくらい握りしめて、

 

とうに枯れた涙を、ハラハラと溢しきって、

 

私は、わたしは、

 

 

 

______『ありがとう。一緒にいてくれて。私の友達でいてくれて』

 

 

 

 

あの大樹の下。

 

あの逢魔時の縁側。

 

私たちの左腕。

 

 

わたしが、()()()()()今までのように。

 

 

 

わたしは、わたしだけじゃない、

 

だれかのともだちの手だって、にぎりたいと。

 

 

そう、強く。

 

想いを刻んできたんだ。

 

 

 

 

______なんだ、とっても強い、覚悟じゃないか。

 

 

 

心配は要らなかったようだね。()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神域を蹴り入れば、

 

そこには、空気があった。

 

周りを見渡せば、水が滴る、苔むした古い神社のようで、

 

 

ぴちゃん。

 

 

「紡!?」

 

そのゆかりの声で、()()()()()少女が誰かと解れば、

 

「待ってゆかり。あのこは、違う。」

 

ゆかりを糸で引き留め、私は鋏を構える。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

立ち上る神気。

 

散りばめられた銀の小鏡。

 

威嚇するようにわたしの内面が()を鳴らす

 

 

「あなたが、みかがみ様?」

 

 

____ええ、最も今は、この娘の体を借りて、

ヒトらしい認知や思考を得ているようなものだ。所謂端末(インターフェイス)というやつだね

 

 

「...言いたいことがあります。そのこや、連れ去った街の皆を返してください。」

 

 

____勿論、そうしたいところだが、少々困った事象が起きている。

 

 

 

 

夜のお嬢さん、君は洞窟ごと()()()()()()()()()()

その権能は、()()()の廃れた神たる部位と私を隔離してしまった。

君の縁切りの神と同じ現象さ。()()()は人の凶念に完全に染められてしまっている。

頑張って抑え込んでいたのだが、

この身に叩き落とされてしまっては、堕ちた半身の制御は不可能だ。

...まあ、押さえ込めきれていなかった故に、神隠しを起こしてしまっていたのだがね。

 

 

「今、紡は、神様なの?」

 

 

____ああ、所謂憑依と言ってもいい。

そんな不安定な状態だ。長らくは持たないね。

まあ、お嬢さんなら、すぐに解決できるだろう。

 

 

「...ゆかりはここで待ってて。」

 

 

「え、なんで!」

 

 

____人の身でこの先、神域の最奥に立ち入れると思うな。

私が許すという問題ではない。存在自体が消し飛ぶこととなる。

ただでさえ封印をかけている。これ以上のサポートはできないね。

 

 

「大丈夫。ちゃんと、街の皆も帰すから。ゆかりは、紡といてあげて。.....みかがみ様、よろしく頼むね。」

 

 

____私の心情は、依代を参考に構成した偽物だが、

それでも神として誓いぐらいは()てよう。お嬢さんの大事なモノは見守っておく。

()()()魂鎮(たましずめ)と穢の浄化、よろしく頼むよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あなたは夜の怖さを、覚えていますか?』

 

 

あの夜聴いた、心が軋む、その言葉。

 

 

うん。怖いよ。

 

 

『その鈴の音が聴こえますか?』

 

 

(わたし)は、答えるように音を奏でる。

 

 

うん。聴こえているよ。

 

 

『もう一度、逢いたいですか?』

 

 

投影されるのは、鮮やかな記憶。ユイの微笑み。

 

 

_____ハル?

 

 

離した手は、新たな友達を離さない為に。

 

 

 

もう、十分だ。

 

 

 

 

 

神社の奥の、池のような穴に飛び込んで、

 

石やら木やら、水流やら紙やら文字で構成された、

 

みかがみ様の封印を、突き抜けて、

 

ソレに相対する。

 

 

 

 

 

 

神域の最奥。

 

穢の中心地。

 

干上がった第二の湖。

 

いや、上の封印で水を堰き止めているのだろう。

 

それは、

 

ありとあらゆる世界の、

 

『もしも』という可能性の幻想に、

 

しがみつき続ける人間の業。

 

 

真っ赤な肉の塊。

 

大量の目はグリグリとわたしを見つめ、

 

数え切れない手足をばたつかせて、

 

目の半分の数はある口からは、

唾液のようなものや、

よくわからない気体が吹き上げる。

 

 

これは、駄目だ。

 

 

 

押し潰されそうな程の、

 

後悔。

 

悲壮。

 

憎悪。

 

苦痛。

 

絶望。

 

そして、一握りの希望(もしかしたら)

 

 

 

墜ちた神が、溜め込みすぎた願望は、

 

取り返しがつかない程に膨れ上がっていて。

 

 

 

██████████████████!!!

 

 

 

認識不可能な怨嗟(呪詛)を鋏で弾き、構える。

 

 

 

「その悪縁(希望)、断ちますから、」

 

 

どうか、自分くらいは赦してあげて。

 

 

 

標すは、言霊。

 

わたしの()()()()()神の(しるべ)

 

 

_____もう、

 

 

一振りの朱の鋏。ギリリと双刃をひらき、

 

アレを囲む、巨大な鋏身を幻視する。

 

断つのは、視えなくなる程に渦を巻く、業の糸。

 

その数、ユイの時と比較ができない。

 

当たり前か。

 

この糸らは、長年の蓄積と、

平行世界を含む膨大な、意味通りの"魂の願い"。

 

ユイのように一つではなく。

 

何重にも絡み合う、永遠の孤獨。

 

それを切る、代償は、

 

 

_____いやだッ!!!

 

 

 

 

()切り。

 

 

 

 

肉は弾けて。

 

 

四肢が、飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

"縁切り"は成された。

 

定めは示された。

 

それが(ハッピー)(バット)かは知らないよ。

 

まあ、めでたしというわけだ。

 

 

<< 前の話██ 目次 ███×████

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?

 

 

 

 

まだ!

 

 

 

 

おやまあ、なんて君は、強欲で。

 

 

 

 

 

血肉が弾け、中から飛び出したのは、

 

 

異形と化した、()()()()()

 

 

 

 

ハッピーエンドに似合いそうなんだろう。

 

 

 

 

 

ユイ!ユイィ!ユイユユイイイイイィッ!!!!

 

 

握り込んでいた両腕と共に宙を舞う、

断ち鋏を糸で引き寄せ、歯でガッチリと咥える。

 

 

ほふぇんへ(ごめんね)。」

 

 

左腕(ユイ)を求める、獣のような私を、

 

 

糸で拘束、引き寄せて、その勢いで断ち切る。

 

 

 

周りを見れば、飛び散った血肉が、グチャリグチャリと、()()()の姿を作り始めていた。

 

 

急いで、引き寄せた四肢を、

無理矢理"縁結び"で繋ぎ合わせて治療する。

 

痛覚はこのまま遮断。

だけど、()()()()()()()等の感覚は肉体のコントロールに欲しいから、中途半端に接続。

ヒトから外れたとはいえ、一気に血を失ったせいで視界が霞む。

縁切りの代償たる四肢は、繋ぎ止めても、もう四肢としての役割を十分に果たせるとは言えない。

 

 

 

でも、首を失わなかったのは幸運だったし、

この二柱の力であれば、少しくらい、

()()()()を騙し通すことはできる。

 

 

「お願いします。コトワリ様、すずなり様。」

 

 

()が音を鳴らした。

 

 

 

 

 

そして、やっぱり、気づいてしまって。

 

 

 

 

 

 

ああ、もうなんてしつこいのだろうか。

 

 

 

 

ソウカイソワカウウイソワイソウカイソワカウウ....

 

 

 

臭い立つ、腐ったような神気には、覚えがあって。

 

聴こえたとたん、迫る悪縁の糸を切り捨てて。

 

 

 

イタイ!イタイイタイイタイイイイイタイイイィィ!!!

 

 

「もう、大丈夫だよ。」

 

肉肉しい、()()()()()()()()()も断ち切って。

 

 

 

 

 

「行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

墜ちた神(みかがみ様)が、

 

墜ちた(山の)神の願いを拾ってしまったのは、

 

ユイをかの神が見つけてしまった時点で、

 

わかりきっていたことなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 




あらまあ、


選択は覆り、


世界は未来(あなた)を剪定した。


箱庭は調律され、君の運命は、


あなたに、決定される。





















あ、マジでどうしよ。
いや、こうすればギリセー?
.....死ななきゃセーフセーフ!(冷汗)

神様相手の"縁切り"ですと、
両手両足ついでに首も取られて即死してしまいます。
だから半神格化し、人間をやめることで即死を回避、
肉体の優先度をあげて首取りも回避する必要があったんですね。(唐突なメガトン構文)


ボスたる"『もしも』の業"には、
道半ばで散っていったハルちゃんたちも
含まれています。
皆さんは、何人のハルちゃんを失いましたか?
そういうことです。


次も多分遅れます。





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19・いま六廻り 現人神


高慢でもいい。

増長でもいい。

今だけのアナタの全て。

それは

世界を塗り替える強さとなる。



 

 

 

山の神。

 

山の奥深く、封じられた領域に息づいていた、縁結びの悪神。

 

吉凶、生死構わず縁を結ぶ、

 

如何にも()()()()()()存在。

 

それは、コトワリ様のように堕ちた果ての姿なのかもしれない。

 

それは、かの神にとって本来の在り方だったのかもしれない。

 

でも、私たちにとって、それは邪悪なものだった。

 

 

ナンデ

 

 

『肉々しいモノ』が渦巻いていた最奥の枯れ地底湖。

 

そこに新しく佇むのは、あの山の神。

 

完全な顕現ではない、

 

依り代、触媒などではなく、ただアレの執念によってなし得た、偶然。

 

神は神の求めすら応えてしまったから。

 

 

わたしは、アレを認識した。

 

未だ幻想体とは言え、

 

どうしても繋がってしまう私たちとの()()()()を元に、

 

存在の確立がなし得てしまうかもしれない。

 

その前に、倒す。

 

 

コナイデ

 

 

駆ける。

 

伸ばされる()を払いのけて。

 

届けようとする()を断ち切って。

 

かの神へと走る。

 

 

コナイデ!

 

 

わたしに残された力は、もう少ない。

 

今でも、少しずつ少しずつ、カラダとイシキが削られていく感覚に付き纏まれている。

 

しかも、ただ()()だけでは、縁結びの神には効果が薄い。

 

時間制限、火力不足。

 

だからこそ、ゆかりちゃんのご先祖様から教わった切り札を、

 

ここで切る。

 

 

ヤメテ

 

【術式展開・接続・活性・術式省略・術式最終発動段階へ強制移行】

 

振るわれた糸束の槍をサイドステップで避けた隙に、

糸を何本も山の神の後壁と結び、パチンコのように引き絞って加速する。

 

同じ縁結びの権能を司っているわけであり、

相手の方が『縁結びの糸』の出力が上手であることは否めないので、

制御を乗っ取られないよう、直ぐに糸を切り離す。

 

更に、振り回される足を、

鋏で火花が散るぐらい強く地面を擦ることで、

スピード制御とドリフト紛いの急ターンで無理矢理回避。

手足の感覚が薄いのと、鋏がとても丈夫だからこそできる無茶苦茶で避けきる。

 

 

アア"ア"ァア

 

 

避けて、駆けて、避けて、駆けて。

 

呪詛のような声は完全に無視。

 

砂だらけに駆け回りながら、塩を撒いていく。

 

神のための儀式。()()()()おまじない。

 

よくわからない。何も知らないけど。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

それは確信。

 

()()()が当たり前のようにできる(すべ)

 

私は完全じゃないから、手数が必要で。

 

握りしめるのは、真っ赤な百足のお守り。

 

思い出せ、あの感覚を。

 

寂れた商店街で、

大きくて真っ黒なモノから逃げたあの夜のこと。

 

再現できるはずなんだ。

 

一瞬だけ瞬いた、あの()()()()を。

 

あれが、たぶん、神の領域ッ!

 

 

ナニモシナイデッ

 

【術式展開・構築次元端子設定三〇型・第二空間座標入力完了】

 

チリッと、首もとに電気が走った。

 

やっとアレは気がついて、慌てたように足をばたつかせて塩を払おうとするけれど、

 

もう、この土地とのリンクは済んだ。

 

【術式活性・中枢領域構築・因果補正・神性・縁理】

 

イメージするのは、己の境界。

 

()()()が願う、絶対的な()()()の幻想。

 

想う希望の先にある、たった一つの黎明の世界!

 

刃を地面に強く突き立てて、鈴を強く、鳴らす。

 

鋏を地面と擦って作った跡と、

 

塩の陣が光りだす。

 

空気が鈴の音と共に揺れて、

 

空間がぼやけていく。

 

【術式接続・第三次元超局地的掌握・現理切り替え完了】

 

【現実性改竄・亜空間展開・刻銘・開帳】

 

そう、これが、わたしの神域。

 

 

【心象結界・次元中間領域・"夜の町"】

 

 

あの夜の町が瞬いて、

 

そして、ハルは、()()()に呑まれた。

 

 

 

【神性覚醒・リンク活性・存在確立】

 

 

 

 

気がつけば、

 

風が、流れていた。

 

足元は無く、

 

ただ、宙に佇む。

 

眼の前に広がるは、

 

ハルが住んでいた、あの夜の町の風景。

 

ハルの神域は、あの歩き廻った町そのもので、

 

輝く月のように、

 

遥か上空から、張られた結界により身動きがとれない山の神を見下ろしていた。

 

【術式昇華・神秘変位・神性活性・刻銘・開帳】

 

 

和装(着物)なのだろうか、

 

洋装(ドレス)なのだろうか、

 

形容しがたい、

 

花のようにふんわりと広がった、

 

朱と銀の衣を身に纏い、

 

長く伸びてゆく、稲穂のような金の髪を、

 

鮮やかな蒼いリボンで留めている。

 

右眼を紅に染め上げて、

 

左腕からは、銀光の粒子が舞い散らせながら、

 

大きな赤黒い鋏を持っている。

 

 

銀の鈴を飾るように

 

髪や服に、何個も結いであり、

 

漏れ出る神気が空気を煽り、

 

シャリン、シャリンと、

 

澄んだ音を響かせる。

 

 

 

【神霊・"エニシガヒメ"】

 

 

 

言葉は無い。

 

発する必要が無いから。

 

表情はない。

 

微笑み以外、形作る必要が無いから。

 

人情は無い。

 

彼女は神である。

 

堕ちているわけでもない、

 

二柱の神から産まれた、

 

新しき現人神である。

 

そこに、人と神の混ざりものでありながらも、

 

人としての彼女はいなかった。

 

 

 

縁切りと縁結び。

 

相反する2つの権能を持ち合わせる現人神、

 

ハル・エニシガヒメ。

 

神格化の果てに、彼女の全ては、

 

神としての存在(自分)に、飲み込まれていた。

 

 

 

 

 

神の権能。

 

 

 

切りたい。

 

 

 

 

 

それは、超常の衝動である。

 

 

 

切りたい。

 

 

 

それは、神としての存在定義である。

 

 

 

切りたい切りたい切りたい。

 

 

墜ちた神は、これが欠けてしまったものを指し、

 

 

切りたい切りたい切りたいきりたい切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイ切りたいきりたい切りたい伐りたい切りたいきりたい斬りたいきりたいキリタイ切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイ斬りたいきりたい切りたい切りたい伐りたいきりたい切りたいきりたいきりたい切りたいキリタイ切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイきりたいきりたい斬りたい切りたい伐りたいきりたい切りたい切りたいきりたい斬りたいキリタイ切りたいきりたい切りたい切りたい切りたいきりたい切りたい切りたい切りたいきりたい切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイ切りたいきりたい切りたい伐りたい切りたいきりたい斬りたいきりたいキリタイ切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイ斬りたいきりたい切りたい切りたい伐りたいきりたい切りたいきりたいきりたい切りたいキリタイ切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイきりたいきりたい斬りたい切りたい伐りたいきりたい切りたい切りたいきりたい斬りたいキリタイ切りたいきりたい切りたい切りたい切りたいきりたい切りたい切りたい切りたいきりたい切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイ切りたいきりたい切りたい伐りたい切りたいきりたい斬りたいきりたいキリタイ切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイ斬りたいきりたい切りたい切りたい伐りたいきりたい切りたいきりたいきりたい切りたいキリタイ切りたい切りたい切りたい切りたいキリタイきりたいきりたい斬りたい切りたい伐りたいきりたい切りたい切りたいきりたい斬りたいキリタイ切りたいきりたい切りたい切りたい切りたいきりたい切りたい切りたい

 

 

彼女は、ソレラに匹敵する程に貪欲だった。

 

 

切りたい。

 

 

切らねばならない。

 

()()()()()()()()()()()()

 

その悪縁を、業を切ったならば。

 

その対価たる大事な大事な、手を、足を、首を、

 

くっつけてあげよう。

 

結んであげよう。

 

接いであげよう。

 

繋いであげよう。

 

嗣いであげよう。

 

編んであげよう。

 

継いであげよう。

 

 

そうしたら、そうしたら、

 

 

また、誰かを切りにいこう。

 

 

だけど_______

 

 

 

 

あれ?

 

 

"このッ、

 

 

なんで、わたしは、

 

 

ハルのばかたれーーっ!!!"

 

 

突如、髪に結ってあった鈴の一つが爆発。

 

縁神(ハル)の首が横に折れ曲がる。

 

 

こんなにも
______ッ?

 

 

ボキリとイヤな音をたてながら首を元に戻し、

 

さきほど爆発四散した鈴に干渉していたと思われる縁を特定、

 

逆探知を開始、神眼を()()

 

 

"うっわ、もう見つかった!ゆかりッ、今の()()()だと経験とか相性とか由来とか関係無しにプチッと潰されちゃうからとっとと呼び起こして!まだ消滅したくないし、鈴の光沢を利用した干渉だってギリギリなんだから!"

 

"わかってるてば!"

 

 

鋏の刃を開き、存在を断とうと、

 

 

 

 

 

 

 

これは、ハルが教えてくれた、合言葉(おまじない)

 

 

 

 

 

 

 

"こんなハルちゃんっ、もういやだ!!!"

 

 

放たれた"縁切り(言霊)"は、

 

神威を願われた左腕は、

 

己の体を、両断した。

 

 

 

【神性補完術式の破損を確認・サブバイパス破損・リンク断絶・回路遮断・エネルギー不足に寄り非活性状態へ移行・存在確立...証明不可...?・権能行使の権限保全を優先・一部を除き全システムオフライン状態へ移こぉ.....】

 

血が飛んで、

 

ナノカが断ち切れて、

 

()()()()()()

 

 

 

「あははっ....ありがとう、ゆかり。」

 

"ハルッ! 気づいてくれた!"

 

"よし良くやったもう限界ゲート閉じる!"

 

"ハルッ、頑張って!"

 

「うん。もちろん。」

 

 

 

エネルギーラインが断絶されたことで、

 

湯水のように消えていく神力。

 

もう、時間が無いし、

 

この人としての覚醒は一時的なもの。

 

私と()()()は同一の存在。

 

だけど、今だけ少し切り離されているわけで。

 

つまり、

 

この一時が、ラストスパート!

 

 

 

ガラスを砕くような音が響いて、

 

エネルギー不足の結界が砕かれる。

 

幻想の町を多足で踏みつぶしながら、

 

山の神が立ち上がる。

 

 

イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤイヤヤやヤや"ヤヤアアアアアアァァぁ"ァ"アッ!!!

 

 

 

何度だって言う。

 

何度だって思って、

 

何度だって私は誓う。

 

 

 

もう過ぎちゃった遠い思い出に、

 

ずっと縋り続ける事は、

 

いけないことかもしれない。

 

遠い明日を怖がって、

 

今の足元だけしか視れないことも、

 

だめなんだと思うけど!

 

選択と言うものは、

 

後悔するためのものじゃない。

 

過去というものは、

 

その時、進んだ道を恨むものなんかじゃない!

 

全て自分自身で、自分の力で選んで

 

積み上げてきたものなんだ!

 

その時の、

 

覚悟を、

 

決意を、

 

約束を、

 

       

 

馬鹿にするな!

 

 

イヤダ

 

 

 

舞い散るは、人の意思。

 

世界を裏返すその奇跡は、

 

運命を、突き動かしていく。

 

神気を吹き上げる。赤い糸が空を写し出す。

 

銀の鈴は糸に括られ、白の星空を作り上げ、

 

音を、奏でる。

 

黒い鋏は、黄金色に輝いて、

 

煌々と、燃えていた。

 

それは、陽と地を結ぶ瞬間。

 

訪れるのは、緑閃光の煌めき。

 

即ち、太陽の燈火。反射された焔の欠片。

 

黄金(髪色)でもない、蒼海(リボン)でもない、

 

混ざりあう、翠色の煌き。

 

それを、鋏に灯らして、

 

太陽のように、空を、

 

この町を照らす。

 

 

 

 

 

 

黎明の刻

 

 

 

 

 

 

総てを染めあげる、黄金と蒼色、翠色。

 

光条を纏い、螺旋を描き、町全体を震わす、

 

白熱の双刃。

 

 

 

 

()()()()()()

 

 

 

そして、

 

 

 

もう______

 

 

 

 

2つの翠金が、

 

 

 

      ______イヤだっ!!!

 

 

 

 

神を、両断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

断末魔は無かった。

 

全てが消し飛んでいる。

 

町は、綺麗な旭を迎えていて、

 

何も無かったかのような旭を浴びて。

 

 

ハルは、佇んでいた。

 

 

 

 

感謝できないし、しない。

 

でも、ありがとう。

 

幻想(トラウマ)のあなたは、

 

私を、強くしてくれた。

 

 

 

 

山の神ごと両断された神域は、

 

形状を保てず、光の粒子に崩壊していく。

 

 

 

さようなら、私の町。

 

 

ふと左腕を見れば、

 

溶けるように消えようとしていて、

 

 

おやすみ、ユイ。

 

 

お別れ。ぴかりと一瞬光ったと思えば、

 

風に流されるように消滅していった。

 

断ち切り鋏は、

 

鋏身の半分が融解してしまったが、

 

そのおかげで片腕で持てるようになっていた。

 

ごめんなさい。コトワリ様。

 

チョキン

 

微かに小さな切断音が聴こえ、

 

それが、"気にするな"と言っているように思えた。

 

ありがとう。すずなり様も。

 

ころん

 

転がるような鈴の音が、

 

逆に慰めてくれているように感じた。

 

振り替えって、町を眺める。

 

日の出と共に、消える夜の世界。

 

美しくも、儚げな、朝焼けは、

 

私の大切なものを、

 

たくさん写し出して。

 

 

 

 

「ああ、もう、きれいだなぁ。」

 

 

 

 

もう、カラダの感覚はなく、

 

眠気もどんどん強くなっていて.....

 

 

神力による浮遊もままならず、

 

溶け行く町光の奔流に落ちて、落ちて、おちて、

 

 

わたしはひかりにうもれていく。

 

 

でも、

 

それが、

 

とてもあんしんできるように

 

かんじたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかで

 

いぬのなきごえが

 

きこえたような

 

きがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは、

もういなくなるのでしょうか。

いいや、そんなことはない。

わたしは君たちを助けたい。

あなたはなにですか。

わたしのなにですか。

同類というやつだ。

まあ、擬似的な情緒を手に入れてしまっているが。

このことは後にしよう。

さあ、手を伸ばして。

____?

できるだけ、なんとかしよう。

わたしの権能は、とても強大だ。

例え死の可能性すらも移し換えることは可能だが。

なにかもんだいでも?

必要ようなのは、"願い"だ。

"ねがい"...しんこう?

少し違うな。

今の状況から、

限定して言うなれば、

わたしが欲するのは、

生きようとする感情だ。

生きようとする思いだ。

燃ようとする魂だ。

それだけあれば、

生の可能性のテクスチャを、

あの現実領域に貼り付けられる。

さあ、交代の時間だエニシガヒメよ。

代償は、君自身だ。

げんせのくさびとして、

私のせいめいかつどうをゆうせんとします。

もくてきすいこうのリソースにわたしがひつようなのであれば、

わたしへのきょうせいてきなきゅうみんじょうたいへのいこうそちを、

きょかします。

ああ、わかった。

安心しろ。お嬢さんのことは二つの同類が守りきるだろう。

これで、あなたの物語は終わります。

これで、一つの物語は終わります。

永久と思えた夜は明けて、

あなたは約束を果たしました。

お疲れ様でした。

そして、

おやすみなさい。

▶【うん・・・・・いや




セーブが完了しました


大変お待たせしました。
難産の中の難産でした。
納得のいく出来というものが見つからず迷走してました。
学期末ということもあり、忙しかったのもありますが。

最初の構想では、
坑道の最深部で、
溜まりに溜まったメタンガスが爆発。
岩盤の崩壊と急激な気圧変化によって洞窟が消滅。
みかがみ様の暴走体を利用して顕現した影響で、
五行における"水"の元素に影響を受けている山の神に、
爆発で怯ませている間に岩盤の崩壊による巨大岩石落とし。
土剋水を利用した弱体化、地中奥深くに封印を行う。
...予定だったのですが、
これハルちゃんたちも死なね?となり、
インディの如くまだ動くトロッコでの脱出案も最深部だと登り坂的にアウトとなりました。

山の神もゲームオーバーハルちゃんを利用した外道プレイしてもらう予定だったんですけど、
それやられると本格的にハルちゃんが詰むのでゴリ押しカット(物理)です。真に申し訳無い。
時間切れでの魂魄蒸発エンドは流石に筆がのらないので...


《筆者理性》やべぇアイデア思い浮かばねぇ。
《筆者野性》ハルちゃん神格化させて諸共巨大鋏でぶった切るのは?
《筆理》突然なにいってんだ。ていうかジャンルが違いすぎるだろ。地雷臭がヤバい。
《筆野》でもお主こういうの大好きだよね?
神様な幼女。巨大武器を持つ幼女。
代償を強いられる幼女。弱いのに強い幼女。
《筆理》大好きです。(クソデカ)
《筆野》なら書け。
《筆理》あ、はい。

こうなりました。
迷走した結果です。
ごめんねゆるして何でもしますから。

コイツが。ホィ(ノ゚∀゚)ノ ⌒ 【山の神】<ェッ!







・topik 

・神域

常世(昔は()()と表された。高次元、神秘領域。神の国。理想郷。)と現世(現実世界、現実領域)の端境を示し、結界としての役割も果たす固有領域。
神社や祠、それの類の機能を果たすものに貼り付けられた世界のテクスチャにして、高次元領域にアクセスするためのキーとパスワード。
高次元領域にただアクセスすれば、
世界終焉シナリオ待ったなしとなるので、
世界の蓋、中間領域として、この神域が存在する。
神の根源、本体ともいえる中枢システム。
存在自体がキーとパスワードであり、
神が千差万別である限り、
刻印情報も千差万別。
神それぞれで、神域の機能が異なり、
開ける高次元情報も異なる。

全然関係ないけど銀の鍵とかカッコいいよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20・まあ七廻り もしも

負けるな。

幕が降りて、
舞台の裏で、
少女は泣いていた。

負けるな、と私は言った。
どこまでも正しい、
カタブツのようなこの世界に。

本当に、無責任な話だ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば、

 

風が、流れていた。

 

足下には、浅瀬。

 

水面は、薄暗い青の中を、雲が流れてゆくのを写し、

 

その奥で細かな砂が、煌めいていた。

 

 

「君はすごかったよ。夜のお嬢さん。」

 

 

いつの間にか目の前に、紡さん(みかがみ様)が立っていて、

 

靴が、水面に波紋を描いた。

 

その後ろに、一つの鳥居。

 

 

まるで、一の鳥居みたいだな。と、

 

テレビで見たことがあった風景を思い出して。

 

そこで、意識の焦点が合った。

 

 

あ、み、みかがみ様、どうもさっきぶりですね。ここはどこですか?

 

 

紡さん(みかがみ様)は、フっと笑って、

 

「慌てない慌てない。ここは、()()()の神域だよ。一時的に君の魂をここに()()()()()()()。」

 

なんで、そんなことを?

 

尋ねれば、紡さん(みかがみ様)はやれやれと頭に手を当てた。

 

「四肢の不随を含む、肉体の損傷。」

 

うっ、

 

「無理矢理の神格化による強制的な肉体改造、膨大な負荷。」

 

あ、

 

「お嬢さんと縁神を存在レベルで切り離す、"縁切り"の負荷と代償。」

 

.....。

 

「これまでの神の権能をふるった負荷。」

 

.......。

 

 

「判定、アウト。君の魂は腐り、肉体は朽ちるだろう。」

 

.........。

 

「残った神性に君の残り香はある程度現存するけど、もう切り離してしまっている。()()()()()()()()()()。」

 

そう、ですか。

 

「ああ。」

 

......。

 

「......。」

 

実は、

 

「ん?」

 

実は、少し、ほっとしちゃった。

 

諦めたわけじゃない。

 

死にたいとも少しも思ってないけど。

 

あの、綺麗な赤い瞳の女の子の、大事な大事な友達を、

 

助けることができたのだから。

 

そうでしょ? みかがみ様?

 

「...ああ、もう憑依状態は解けている。これも、彼女の精神的な残り香だ。」

 

なら、安心した。

 

 

わたしは、今度は、友達を助けられたんだ。

 

良かった。

 

よかったぁ...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベチン

 

 

 

 

 

 

 

バシャン

 

 

 

 

 

世界がぶれて、

おもいっきり転んで、

ズボンが水びだしになった。

 

ほおを叩かれた。

 

じんわりと痛い。

 

叩いたみかがみ様の顔が、逆光で見えない。

 

気づいた、何も遮るものがない地平線から、

太陽が顔を出そうとしている。

 

 

朝だ。

 

 

 

「これは、紡からの贈り物だ。()()()は今、この体を動かそうとは思っていなかった。」

 

へ?

 

ぴちゃん。

 

何かが水面に波紋を作った。

 

ポタ。

 

何かが頬に落ちて、滑ってゆく。

 

これは_______

 

 

「ほう、ここまで、ここまで()()()は激情を表せられるのか。本当に_______」

 

紡は、良い子なんだな。

 

 

それは、涙だった。

 

紡さん(みかがみ様)が涙をボタボタとわたしに落としてゆく。

 

どうして______

 

 

『私の友達の友達が、私を助けて代わりに死にそうになっている。』

 

っ!

 

『助けられた。なのに、ハルさんは死にゆこうとする。』

 

それは...っ。

 

『何も返せていない。何もお礼が言えてない。』

 

........。

 

お嬢(ハル)さんは、君の友達のように、()()()を、悲しませるつもりなの?」

 

違う!

 

諦めたわけじゃない!

 

死にたいとも思っていない!

 

だけど!

 

「もう、無理だよぉ...っ。」

 

 

 

ついに、涙が止まらなくなって。

 

もう流さないって決めたのに。

 

溢れて溢れて、少しも止まってくれない。

 

 

会いたい。

 

離れたくない。

 

生きたい。

 

 

だけど。

 

 

超常の理不尽を、

 

我武者羅に超えてきて、

 

先の見えない未来の恐怖を、

 

あらん限り投げ出して、歩いて、

 

もう、無理なんだと。

 

気づいてしまっても。

 

私は、友達の為に生きてゆかねばならないんだ。

 

 

 

切り捨てて、

 

否定して、

 

拒絶して、

 

見ないふりをして。

 

 

それでも、こぼれ落ちていく、

 

大事な大事な大切なもの。

 

 

依存なんだろう。

 

さよならを交わしても、

 

残り続ける永劫の約束。

 

擦り切れそうなナニカを。

 

そこに託して歩いて、

 

歩いて、

 

歩いて。

 

怖くなって。

 

歩いて。

 

歩いて、

 

歩いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつだって怖かった。

 

夜が、未来が、

 

選択が。

 

反省はいくらでもしているけれど。

 

後悔はしないんだと決めたんだ。

 

 

だから、

 

 

 

わたしはここでしぬのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたは悔しいのですか?

 

 

▶【いや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたは怖がっているのですか?

 

 

▶【うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、これはわがままなんだ。

 

もう歩けないって思ってるのに、

 

踏み出そうとする足に、

 

私は縋っているに過ぎないんだと思う。

 

だけど、

 

これが、生きたいっていう思いなら。

 

それでも、

 

()()()、生きていけるのなら______

 

パパと、ママと、

 

ゆかりと、ゆかりのお母さんと、おじさんと、

 

もっといっぱいの、

 

みんなで、

 

あの夜のような花火を_____

 

 

 

 

 

また、見たいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

()()()は、神だ。

 

可能性(もしも)を司り、時に世界渡りすらもなせる力を持つ、神だ。

 

水鏡(みかがみ)の名を刻まれ、時と廃れし古き神である。

 

『もしも、生きていけるのなら』

 

 

うん、ああ、なんて素晴らしきヒトの願い。

 

美しく、純粋な欲望。

 

そうだ。

 

これは、()()()のエゴと義務からなるものでしかない。

 

だけど、それだけの理由で、()()()が動ける()()()()()

 

その願い、()()()の奇跡をもって応えよう。

 

 

歩む道(運命)は変わらない。

 

定めは等しく、()は必ず途切れている。

 

だけど、

 

鏡は万象を反射し、

 

水は時の如く全てを洗い流す。

 

箱庭(世界)に流れる原始の旅路、

 

万華鏡の如く、総てを平等に。

 

木々のように、枝を伸ばして。

 

 

世界は、確かに廻っている。

 

 

故に、

 

少しぐらい、道草を食えるような、

 

選択できる可能性(接ぎ枝)を、

 

君に、与えよう。

 

 

 

神様の涙が、私へと垂れて、

 

 

頬を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎セーブが完了しました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、なんていったらいいのかわからないけど。

 

当たり前の恐怖すらも越えて、

 

この世界(結末)を選んでくれた、

 

君と、君の可能性(総て)に。

 

心からの感謝を。

 

 

ありがとう。ハルちゃん。

 

 

 

 

 

 

 




どこまでも諦めが悪かった。
彼女も、そして私も。
いつだって、セーブとロードを繰り返していた。
それは、もう終わり。
私は電源を落とす。
スタッフロールは見なかった。

なんだろう、この()に残るしこりは。


















どこまでも抽象的過ぎる。(-1145141919点)
どうも、これでハッピーエンドかーと思いながら感慨にふけっていたところ、そういや現実のハルちゃんの四肢が吹っ飛んでいたことに気づき青ざめた馬鹿阿呆間抜作者です。なんとかするので石を投げるのをやめてください。こういうときにご都合主義タグが燦然と輝くのです。
ダルマなハルちゃん...ウッ(クソデカ罪悪感)

やっと、やっと大人たちが輝くぞ。刹那の煌めきッ!

あ、そうそう(唐突)

ウマ娘にハマっています。
アニメが良すぎた。
運命(史実)に鉾を穿つとかもうっ、もうっ...
大好きッ!!!(大声)

もうだめだね。トウカイテイオーエモい。
世界とか運命とかに抗ってリアルで奇跡を起こしちゃったのはエモいエモエモエモエモ。えも。

まあ、裏にはジョッキーさんとかの血の努力とか積まれれるのだろうけど、それを含めてエモい。好き。

ナイスネイチャ好き。
メジロマックイーン好き。

それで思いついたわけよ。

駄目なヒト(失踪+借金押し付け済み)とかけおちしてしまった元メジロ家(絶縁+家系削除済み)の元ウマ娘(逝去)から産まれたヤミ金墜ち極貧幸薄致命的肺弱未成熟なクソデカ根性持ち超ポジティブ元気系ズタボロウマ娘(母との約束のGI優勝と借金返済に対する強迫観念持ち もちろんオリジナリー。原作なんていたら多分自分を許さんし)の物語がぽっと思いついたけど色んな人に殴られそうなので心にしまっておこう。誰か書いてくれないかなぁ...
誰かのためにいきていたウマ娘が、
自分のために生きれるようになる物語。
GI優勝+借金返済が最終的にトレーナーとかトレセンとか友達の力で解決しちゃって、これからナニを目標に生きればいいかわからなくなっちゃう系の...

見目麗しい美少女ウマ娘が血を吐きながら命削って(物理)走る......いいな。

あ、お金足りなくて対処必須の時限爆弾(ジワジワ症状タイプの致死的な持病)を放置してた設定もいいな。
タイムリミットはトレーナーに契約という名の保護されてそこから3年とか。治すにはさらなるお金が必要で、重体になるまで隠していたとしたのならリスクと必要額が跳ね上がるだろうし...いいな。
誰か書ける人いない?僕楽しみに待っちゃうよ。

肺に穴があいても、
足にヒビが這入っても、
コンディションは最悪の最悪。
絶不調の先の絶不調。
それでも、身を燃やして、
ど根性だけで最高のレースを走り抜けたウマ娘...
これは伝説。(確信)


次回はナイスネイチャがA評価を取れるまでお待ち下さい。ナイスネイチャはいいぞ。
それかめちゃくそ良いウマ娘SS見つけられるまで。
私には燃料が必要だ。
とびっきりの上等のな。(偏食家)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

■■・外廻り 掲示板 #04



神は祓えない。
権能をもった神霊は、
それ自体が、世界に対する必然の楔だ。
それを壊そうとすれば、
世界は崩れる運命を背負う。



【神域突入】 オカルト雑談板・■■エリア #■■ 【命大事に】

 

 

 ■管理・提供 USMC運営

 


 

 

1:名無しの霊感持ち

ようこそ。

ここはオカルト雑談板です。

荒らし、アンチはアンチ板へどうぞ。→『URL』

次のスレ建ては900踏んだ人お願いします。

 

※警告

只今準一級任務指定が発令されています。

度を超える妨害工作と判断された事案は直ちに処理されますので、ご注意下さい。野次馬はやめとけ。

指定認証コード:003572819

『URL』

 

 

 

 

検証板 #■■ →『URL』

実行班 #■■ →『URL』

情報板 #■■ →『URL』

質問板 #■■ →『URL』   

 

 

 

 

 

 

13:名無しの突入隊員

洞窟ステージってか? 湿気がひでえや。

御札が濡れてヤバい。

やっぱ時代は防水カバーですわ。

 

14:名無しの突入隊員

いや、廃坑ですな。毒蜘蛛スポナーある?

 

15:名無しの突入隊員

マイクラじゃねーか。

 

16:名無しの突入隊員

蜘蛛に慈悲無き殺すべし。

 

17:名無しの突入隊員

スパイダースレイヤーはお帰りください。

 

18:名無しの突入隊員

\怪異狩りの男、スパイダーマッ!/

 

19:立体機動凡人

呼んだ?

 

20:名無しの突入隊員

読んでないです。

 

21:名無しの突入隊員

変態は摩天楼に帰って。

今回洞窟だから活躍の場はないでし

 

22:名無しの突入隊員

ないです。

 

23:立体機動凡人

アッハイ サヨナラ~

 

24:名無しの突入隊員

>>21 廃坑だって言ってるだろ!

 

25:名無しの突入隊員

このダンジョン生霊多すぎぃ! 

耳が痛いし嫌に生気削れるしめんどくさっ

 

26:星の王子様

一応、占で向かうべき座標は出したから、

そっち優先で。

洞窟で天見えないし星に違いがあるかもしれないから3割信頼で。→『URL』

 

27:名無しの突入隊員

了解。優先する。

 

28:名無しの突入隊員

せんくす王子様。

 

29:名無しの突入隊員

てか洞窟内なのにどうやって占を?

 

30:貫徹

私の眼で星光を貫通させた。えっへん。

 

31:名無しの突入隊員

あとは視界共有で無理矢理星を割り出した。

その魔眼、情報量多すぎだろ。

結構さばききれなかった...

 

32:星の王子様

GJ。残ってた分はこっちでさばいたよ。

結構楽だった。ありがとう。

 

33:名無しの突入隊員

ならよかった。ちょっと休むわ。

 

34:名無しの突入隊員

GJ

 

35:貫徹

GJ

 

36:名無しの突入隊員

GG

 

37:名無しの突入隊員

GJ

 

38:名無しの突入隊員

星の位置的に誤差は、日本領域レベルだな。

そこまで移動してない。

 

39:名無しの突入隊員

つまり神域のモデルは日本のどこかの廃坑?

 

40:名無しの突入隊員

それだけじゃわkんねーyい

 

41:名無しの突入隊員

この壁やべー。ぶち抜こうとしたら謎空間にすっぽ抜けた。タスケテ。

 

42:名無しの突入隊員

まーたこの人デバックしてる。

 

43:名無しの突入隊員

ゲームだけではなくリアルでもデバックとは...

職人としてせいがでますなあ!

 

44:名無しの突入隊員

みんな助けてなくて草

 

45:名無しの突入隊員

ズルをしようとするとそうなるから注意ねー。

 

46:名無しの突入隊員

この神域そこまで凶悪性ないよなー。

 

47:名無しの突入隊員

そうだね。(一触れで成人男性を昏倒させるHPドレイン生霊の雪崩をみながら。)

 

48:名無しの突入隊員

そうですね。(壁を破壊して進もうとすると謎空間に永遠と閉じ込められることを知りながら。)

 

49:名無しの突入隊員

そうだな。(綺麗に輪切りされたコンテナやひしゃげたコンテナをみながら。)

 

50:名無しの突入隊員

まあ、うん。みんな頑張ろー。

 

51:名無しの突入隊員

おー。

 

52:名無しの突入隊員

おー

 

53:名無しの突入隊員

おー

 

54:名無しの突入隊員

おー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

92:名無しの突入隊員

空間力場の乱れを感知した。

原因は神力。神域を構成する神力とは違うな。

 

93:名無しの突入隊員

例のすずなり様?

 

94:名無しの突入隊員

可能性が高いな。追える?

 

95:名無しの突入隊員

余裕。

 

96:名無しの突入隊員

ってか千切れたコンテナとか壁の切断痕とかとびとびにあるんだけど、これ同じやつだよね多分。

 

97:名無しの突入隊員

場所がバラバラ。不自然に途切れる同一の切断痕。

時間で空間シャッフル?

まあまあ前列ある迷い家タイプか。

扉とか窓とか敷居が無い分、境界が解りづらい。

 

98:名無しの突入隊員

かも。

 

99:名無しの突入隊員

人海戦術にも限界あるしなー。

 

100:名無しの突入隊員

そろそろブッパしたくなってきた。

 

101:名無しの突入隊員

用意は出来てるよー。

 

102:名無しの突入隊員

もうちっとで例の神力を捕捉できるから待って。

いやマジで待ってお願い。

 

103:名無しの突入隊員

空間の固定化と、疑似因果逆転の術式用意できた。

あとは触媒と合図があれば発動させる。

 

104:名無しの突入隊員

触媒は例の神力の加工サンプルで。

逆転はハルちゃんが通った時刻まで。

彼女は通れたということは、

我々も通れる環境を作れるはず。

 

105:名無しの突入隊員

了解。

 

106:名無しの突入隊員

血の痕をうちのワンコが発見。

強力な神気の残滓も。

 

107:名無しの突入隊員

おいおいおいおいまた違う神霊じゃねーか。

神様同士でパーティーでもやってんのか?

 

108:名無しの突入隊員

ここ、ヤバい。

生霊の死体の山だ。

 

109:名無しの突入隊員

生霊に死体なんてある?

 

110:名無しの突入隊員

ニワカ乙。

生霊の死体=魂魄の欠片。

生霊らがもとの肉体に無理矢理戻されることで発生する魂の負荷たる代表例。

しっかり勉強しとけ。

 

111:名無しの突入隊員

ツンデレ。優しいな。

 

112:名無しの突入隊員

ねー。

 

113:名無しの突入隊員

空間がバッサリ逝ってる。

切ることに特化した神器レベルのナニカがめちゃくちゃに振り回されたあとだわこれ。初めて見た。

 

114:名無しの突入隊員

コンテナの切断痕は?

 

115:名無しの突入隊員

あれは物理的に叩き切られたに近い。

全然別モン。当たったらどんな対策しても死ぬと思う。

 

116:名無しの突入隊員

こっわ

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただもんじゃありませんよ。まだ世界渡り(ボーダー)を軽々使うみかがみ様の方がリアリティーがありますって。こんなもんうちらの防御手段じゃ紙と同義ですわ。」

 

「ただもんじゃねえのはどいつも同じだ。兎に角時間が惜しい。ここ空間だっていつまで固定できるかわからん。行きはよいよい帰りは怖いは洒落にならん。時間流動すらも当てにはならんが、傷痕は結構時間がたっている。縁も薄い。遭遇の可能性は低いだろうよ。」

 

 

「そろそろパズル解けるかー?」

 

「もうちょっち待てー。実際三次元規格のミニスパコンで高次元領域時空間流動の逆算なんて無茶苦茶過ぎますって。動作が重すぎて人類の最大叡智がイカれるかと思いましたよ。」

 

「ハン、最上級の計算機一つでつべこべ言ってんじゃねえよ。タワーディフェンスはもうこりごりだわこっちは!」

 

 

「双方による解析結果出たわ。どっちの結果も縁切りの権能持ち判定。結構お強い神様よ。...縁切りの力でコンテナって切断できるの?」

 

 

「切り込みを入れた部分を境界に、コンテナの右左を縁切りしたのだろう。もう繋がらないように=切断というわけだ。」

 

「ほんとオカルトって言葉遊びとか屁理屈が好きよねぇ。そんなことが可能なら何でもありじゃない。」

 

 

 

 

 

117:名無しの突入隊員

オッソロシ

 

118:名無しの突入隊員

コッワ。

 

119:名無しの突入隊員

つまりあれじゃろ?問答無用で頭と胴体の縁をサヨナラッさせるってことじゃろ?

ハイ無理ゲー乙。

 

120:名無しの突入隊員

まだ敵って決まったわけじゃないし...(震え声)

121:貫徹

フラグやめーや。

あ、なんか依頼主それに心当たりあるらしい。詳しく聞いてくる。

 

122:名無しの突入隊員

唐突過ぎる。まじで?

 

123:名無しの突入隊員

依頼主有能。

 

124:名無しの突入隊員

kwsk

 

125:名無しの突入隊員

まさかハルちゃん神霊レベルの存在と関わってるの!?

それ(正気度的に)大丈夫か!?

 

126:名無しの突入隊員

まだそうって決まったわけじゃないし...(震え声)

 

127:名無しの突入隊員

フラグだっていってるだろいい加減にしろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

164:貫徹

聞いてきた。ちっちょ纏める。大スクープだぞてめぇら。媚びろ。

 

165:名無しの突入隊員

キタ━(゚∀゚)━!

 

166:名無しの突入隊員

さっすが依頼主っ!俺達ができないことを平然とやってのけるっ。

そこに痺れる憧れるぅ~っ!

 

167:名無しの突入隊員

よっイケパパ!世界一!

 

168:名無しの突入隊員

美幼女を持つ幸せ者!ハルちゃんを僕に下さい!

 

169:名無しの突入隊員

シール・サーティン、>>168ジャッジスタート! >>180

 

170:名無しの突入隊員

承認

 

171:名無しの突入隊員

死刑

 

172:名無しの突入隊員

生き埋め

 

173:名無しの突入隊員

串刺し

 

174:名無しの突入隊員

焼きごて

 

175:名無しの突入隊員

鉄の淑女

 

176:名無しの突入隊員

水樽

177:貫徹

三角木馬

 

178:名無しの突入隊員

火輪

 

179:名無しの突入隊員

死刑

 

180:名無しの突入隊員

去勢

 

181:名無しの突入隊員

むち打ち

 

182:名無しの突入隊員

脱毛剤

 

183:名無しの突入隊員

ヤバいジャーマンスープレックス

 

184:名無しの突入隊員

性転換実験

 

185:名無しの突入隊員

ゲーミング化

 

186:名無しの突入隊員

決定! これは、幼女(去勢)のための戦いである______

 

187:名無しの突入隊員

せーの、

 

188:名無しの突入隊員

 

189:名無しの突入隊員

 

190:名無しの突入隊員

 

191:名無しの突入隊員

 

192:名無しの突入隊員

 

193:名無しの突入隊員

 

194:名無しの突入隊員

 

195:名無しの突入隊員

 

196:名無しの突入隊員

 

197:名無しの突入隊員

 

198:名無しの突入隊員

黒子じゃねーか! 

 

199:名無しの突入隊員

リリィの去勢カリバーンじゃねーの!?騙された!

 

200:名無しの突入隊員

シール・サーティーンなのにカリバーン...?妙だな...。

 

201:名無しの突入隊員

コナン君は帰って。

 

202:貫徹

で、聞くの?聞かないの?(帰る準備)

 

203:名無しの突入隊員

聞きます。だから帰らないで。

 

204:名無しの突入隊員

もとより全裸待機。

 

205:名無しの突入隊員

しっかり靴下とネクタイつけろ変態。

 

206:名無しの突入隊員

ブリーフも忘れずにな!

 

207:貫徹

あ、定時だ。お疲れ様でしたー帰りまーす。

 

208:名無しの突入隊員

まっでえぇぇぇまっでぐだざいいいいいいい

 

209:名無しの突入隊員

お、そうだな待ってやるか。

 

210:名無しの突入隊員

あーもうめちゃくちゃだよ

 

211:名無しの突入隊員

みな悪ふざけすぎ。

 

212:名無しの突入隊員

正直すまんかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

238:名無しの突入隊員

まとめた。

・例の切断魔は理様という神様...?。

・引っ越し前にハルちゃんから神社の再建を相談された。

 →神社に祀られていた存在?

・相談されたのでまずは調べた。

 →理様の記述を発見。神社は現在ダムの底。

・理様:縁切り即ち縁結びの神様。

 それに類する権能持ち?

・ダムの底で信仰が枯渇したにも関わらず消滅しなかった。→何らかの生き長らえさせた要因がある?

 

 

こんなところか。

 

 

239:名無しの突入隊員

えぇ...(ドン引き)

 

240:名無しの突入隊員

マジでハルちゃん何者?

 

241:名無しの突入隊員

ハルちゃん=かわいい。

 

242:貫徹

ワカル

 

243:名無しの突入隊員

縁切りか。型は合ってるな。

 

244:名無しの突入隊員

なんで消滅してる筈の神がここにいるわけ?

 

245:名無しの突入隊員

ハルちゃんが神社再建を相談したってことは、

理様がハルちゃんに天啓したんじゃねーの?

 

246:名無しの突入隊員

天啓(ガチ)

 

247:名無しの突入隊員

ハルちゃんは巫女さんだった...?

 

248:名無しの突入隊員

マジで? めちゃくそ勧誘したいんだけど。

 

249:名無しの突入隊員

神社再建の資金をダシに..

 

250:名無しの突入隊員

↑天誅

 

251:名無しの突入隊員

アバッー!

 

252:名無しの突入隊員

サヨナラ!

 

253:名無しの突入隊員

しめやかに爆発四散。

 

254:名無しの突入隊員

なんとなく読めてきたぞ。

多分こんな感じ

 

1.理神社ダムに沈む。

2.神社に人が来れなくなり信仰が枯渇。

3.信仰を収集、送信してくれそうな適正者=ハルちゃん確保

する。しかしハルちゃん引っ越し

4.理様がハルちゃんを引き戻すため大暴れ。

 

これだ。

 

255:名無しの突入隊員

うん、うん? どうなんだろ。

 

256:名無しの突入隊員

なーんか何ピースか足らん気がする。

 

257:名無しの突入隊員

ま、なんとなく正体掴めたし、いいんじゃないかな今はこれで。

 

258:名無しの突入隊員

うーん、モヤッとボール。

 

259:名無しの突入隊員

なーんで神社を別の場所に移さなかったのか...コレガワカラナイ

 

260:貫徹

話的にダムに沈んでから時間結構経ってるし...やっぱなんかが足らんわこれ

 

261:貫徹

ああ、ちゃんと調べられてなくてごめんなさいって謝られちゃった。いや仕方ないって引っ越し準備の他に色々ゴタゴタがあったらしいし。

 

262:名無しの突入隊員

貫徹、わざと情報小出しにしてるだろ。いや気持ち派わかるけど。

 

263:貫徹

ごめん日和ってた。もう大丈夫。

他言無用。情報規制ヨロ。

 

264:名無しの突入隊員

まさかアーカイブ登録案件?

 

265:名無しの突入隊員

いや、もうされてるわこれ。

 

266:名無しの突入隊員

あ、用事できたおちる

 

267:名無しの突入隊員✓

>>263 閉鎖した。情報解禁おk

 

268:名無しの突入隊員

せんくす

 

269:貫徹

とある町で起きた事案

見たくない人用にバッサリ言うと

・大量の遺骸が洞窟から発見された。

・同時刻、とある少女が山で発見された。

 左腕を損失した状態で。

アーカイブ登録済み。何人か隊員に被害が出てる。

『URL』

 

270:名無しの突入隊員

殺す

 

271:名無しの突入隊員

やめろここでいうな

 

272:名無しの突入隊員

わるかった

 

273:名無しの突入隊員

大丈夫

 

274:名無しの突入隊員

なるほど、理解した。

つまり、マジで巫女の可能性あるな。

 

275:名無しの突入隊員

悪神から生き残った少女ってことか。

 

276:名無しの突入隊員

その言い方はやめろ。

 

277:名無しの突入隊員

わるい、まずい言い方だった。

 

278:名無しの突入隊員

情報が多すぎてパンクした。

 

279:名無しの突入隊員

何もいえねえ、頭ん中ごちゃごちゃ

 

280:名無しの突入隊員

よくあることではないが...被害人数や倫理的、呪詛遮断のためにあちらからロックされてたな。

 

281:名無しの突入隊員

名前ですぐわかったけど言わなかった。

あの町周辺は呪われてる。ガチで。

 

282:名無しの突入隊員

何ここお通夜状態? 誰か■んだ?

 

283:名無しの突入隊員

ハルちゃん辛い過去持ちが判明

結構の大事件で皆絶句

 

284:名無しの突入隊員

勧誘は確実か。あそこでよく保護しなかったな。

 

285:名無しの突入隊員

本部でも混乱が起きてた。

先に隠蔽や事案処理で人手不足。

 

286:名無しの突入隊員

なるほど

 

 

 

 

 

 

 

言ってよかったのか?

 

いいんです。皆わかってくれているようですし。

 

そりゃあまあ.....似た事案は多くはないが確かにあった。

 

私にはわからなかったことが、

あなた達にわかってくれて、

それで娘が救われるのなら、それでいい。

 

私の手は、一度も届いたことがなかったのですから。

 

 

 

 

 

 

 






たいっへんお待たせいたしました。
4つの試験の半数が終わり、ようやく一息つけたので書きました。なんだこの月、地獄か!?
受験生だからね仕方ないね。

無理矢理まとめましたので急展開即理解ぶりをお許し下さい。まあコイツらもアマチュアかプロですから経験的に理解できたことに。
しかしながら、『深夜廻』を完全に識ってるのは、ヒトだった中ではハルちゃんやユイちゃんぐらいしかいないと思っていますので、お父さんが持つ情報だけじゃ真実にはたどり着けないと思います。

アーカイブを遺した人たち...いったい誰なんでしょうねえ。そりゃ(あり得ざる神殺し=世界からの引き剥がしを成し遂げたんだから)そうよ。閲覧するには高位権限が必須。まあ引き剥がせなかった残りが今回牙剥いたんですけど。✝悔い改めて✝

ハルちゃんちゃっかり理神社再建を相談してたの図。

あ、因みに似たような境遇のムカデ様の神社は、
新設されたデパートの屋上に設置されることになりました。こともちゃんたちの努力の成果です。
とあるデパートの屋上に行くと確立でこともちゃんに会えるゾ!

色々説明したいことがど忘れしてしまったのでこの程度で。色々不備がありましたら感想でお知らせ下さい。めちゃくそ語りますぜ旦那ぁ!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21・なお八廻り 黎明


縁もゆかりもあったから、私は確かに此処にいる。


 

私の友達は、

大きな大きなハサミと、

煌めく鈴を持って、

神社の池、真っ暗な穴に飛び込んで行ってしまった。

 

私は動けなかった。

私は何も出来なかった。

精一杯の言葉は丸め込まれて、

 

私は、ここにおいていかれた。

 

紡の顔をした神様は、

呆然と池に視線を落とし続ける私に、

申し訳無さそうに、紡の声で言葉をはいた。

 

「すまないね。このことは、夜のお嬢さんにしか成せないことなんだ。巫女候補とはいえ、代の受継ぎのされてない子供には荷が重すぎる。...君を生贄として封印することは可能だが、それでは意味がないだろう。()()()の神性も汚染されたままだ。」

 

よく、意味を理解できない。

それでも、納得する必要があったのだろう。

 

納得、

 

納得?

 

心配とか恐怖とか我慢とかそういうモノの裏から、

ふつふつと怒りが湧いて。

 

理不尽に対する怒り。

何もできないと言われているようで、

私の友達と強制的に壁が作られたようで、

どこまでもそれが不愉快だ。

だから________

 

 

 

 

 

ゆかり、お前にしかできないことは沢山ある。

今そこにいるのは誰だ?

そこで何かできるのは誰だ?

仮定なんて気にすんじゃねえ、

お前は、何かできるからこそそこにいる。

   

 

 

 

 

少しだけわかった、お父さんの言葉。

 

今、彼女にしかできないことがあるのなら、

やりきって疲れ果てた彼女と家に帰れるように、

私ができる、ことをする。

 

 

 

 

俺には、できないことがあった。

だが、お前に届く奴らが準備を進めている。

奴らとは過去に色々あってな、

気に食わない組織ではあるが.....

ああ、そうだな、

ゆかり、彼らのための、"路"を頼む。

 

 

 

 

 

「みかがみ様。」

 

「うん?」

 

「お兄さんたちを、ここに呼べますか。」

 

「お兄さんたち...?

ああ、なるほど、面白い。ここの錠前を別の鍵で抉じ開けようとしてるね。

()()()の力では神域(封印)の維持が限界だ。

だが、最奥へのノックが叩かれれば、扉を形造ることはできるだろう。」

 

出口(入口)、私でも作れる?」

 

「ふむ、なるほど、あいわかった。力は無けど、知識は貸せる。神憑きに類する術の派生だ。教えてあげよう。君にできることを。」

 

 

 

 

 

 

 

 

息を吐く、吸って、また吐く。

しっかりと地を踏む、影を落とす、其処と照らす。

 

教えてもらった、私でもできる(だけの)最高の方法(手段)

 

一回振り向いて、大丈夫と応援をもらって、

覚悟をきめる。

 

 

「いきます。」

 

 

 

(たち)を整え、

 

気を調え、

 

(てい)を伸ばし、

 

姿()(ただ)す。

 

律し、戒し、隔ち、籠むぐ。

 

それ即ち、偏倚(へんい)の解放なのだから。

 

 

薄く、ぼんやりと形容(イメージ)する、あちらとの因果。

お兄さんたちは私達を求め、手を伸ばしているのだから、

私達は、その手を掴むだけでいい。

 

霧に染まり、少しずつ銀色に覆われた目の前の境界。

イメージは出口(入口)。閉鎖されたこの場を穿く一本の糸。

路にして扉。扉にして遍在の要。

詠われるは流紋。『()()()()()()()()』という証。

耳をすませば、聴こえてくる導きがあって。

貴方だけに贈る(届く)、宿命じみた鼓動。

 

示される、一人が神憑き。一人が巫女見習いが繋ぐ、

縁の行路に至る、紡ぎ糸。

 

さあ、神の領域を越えて、その手を_______

 

 

 

 

『手を繋ごう!』

 

 

すずなり様に願う言葉を、

 

聴かせて(繋いで)ください、その(かね)を!』

 

 

響かせて、穿いて、

 

『新たな()を、手を引くように!』

 

 

 

伸ばした()()は虚空を、

 

三節の、込められた祈りは_______

 

 

お兄さん達に、届いてっ......

 

 

 

 

 

 

そのときだった。

 

 

 

 

 

わんっ(ぴちゃん)

 

 

 

 

聴こえた。掴まなくてはならない大切なモノ。

 

 

そう確信するほどに、強烈な顕れ。

 

 

 

わんっ(ぴちゃん)

 

 

 

 

なりふりなどなかった。

 

左手はそのままお兄さん達の路を掴ませる。

 

飛び散る血液、境界結びの術式で摩耗する意識を痛みで叩き起しつつ、()()()()()!!

 

面が歪む、孔が少しずつ極まれる。

 

 

「よくできた。あとは()()()が。」

 

 

みかがみ様()の声が響き、孔から弾かれる左腕、肩関節がばぎゃりと軋むのを無視、今はっ!!!

 

 

 

 

 

ハル!!!!

 

 

 

その()を辿る。見えない筈の先が見える。

 

刹那の気配、寂れてゆく新たな力。

 

それでも、私は。

 

ハル!!!!!!

 

衝動のまま、右手を突っ込み、

 

遥か彼方、奥底で揺蕩う彼女の意識を、

 

 

捉え"だああああああ!!!!!

 

 

 

ゆ....か、り..?

 

 

 

 

確かに、確かに繋ぎ留めて、

 

 

 

帰ってこいやっ!!! ハル!

 

 

 

え________?

 

 

あろうことか無理矢理、腕を引き抜いた。

 

飛び散る水。優しい匂い。きらりと艶めく金の髪。

 

その腕には、たしかに捕まる寝惚け眼な友達がいて。

 

そのままがっちりと、()()()()()()()()()()

 

 

 

ありがとう。ハルちゃん。

 

歪んだ総ての先から、朝焼けの光が漏れているのが視えた。

 

 

ハぁ"ぁ"ぁぁぁァァル"ぅ"ぅぅぅぅぅ...ッ!

 

あばばばっばばばばばばくぁwせdrftgyふじこlp

 

 

赤熱したかのような痛み。

腕の皮をきれいに毟り取られたと例えるべき幻痛を怒りに変えて、いたる所ボロボロのハルの顔をこねくり回す。

 

 

「まさか両腕同時に別々のものを....ッ。なるほど、私の本体が運命を覆したか。夜の少女は...僅かに残る瞳の()。まさか....神性の名残、いや、弱体化か。奥に引っ込んではいるようだが、これは面倒なことに.....」

 

なんかブツブツ言ってる神様()を無視して、兎に角ハルのボロボロ具合を確認する。

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()

抱えていた鋏の本体は、半分ほど融け落ちてしまっている。

服も髪もすべてボロズタ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「色々言いたいけどさっさとここ出るよ!」

 

「あわわえあ? あ、うん、え? あ、わかった! ()()()()()()()....? 、腕も!」

 

未だハルの()()()は回復しないようなので、そのまま肩を貸して此処の出口を________

 

 

「おい紡。出口どこ?」

 

「アッハイ紡です。さっきので力尽きました。出口の想像はもうむりぽ。君達を生存させられる環境の空間維持で精一杯です。憑依状態も解除した筈なのに、無理矢理維持を紡の馬鹿力が成り立たせてる。本当に君達は欲しいくらいだよ。

 

「あ"?」

 

「で、でも。」

 

 

みかがみ様()は虚空を見上げ、ふふふと笑った。

 

 

「君の()()は、確かに届いたみたいだよ。」

 

 

 

瞬間、孔が爆発。

 

 

『 突撃ィィィィィィ!!! 』

 

『Ураааааааа!!!!』

 

ハルっ、どこだーっ!

 

『総員警戒体制! 索敵及び探索、捜索活動開始! 依頼主の防護は最優先で!』

 

『了解!!!』

 

『もう大丈夫、私達が来た!!!』

 

 

 

 

 

『お兄さんたちうるさい! ハルの傷に響くだろうが!』

 

 

たまらずゆかりがそう叫んだ瞬間、ギラついた数十の瞳がこちらを向く。

 

 

一拍。

 

 

確保ォーーーッ!!!

 

 

『了解ーーーー!!』

 

 

 

 

ええええええええええぇぇ

 

 

 

 

「あ、誘拐してしまった人々と、この子()の持ち帰りも頼むよ。もうそろそろこの子のど根性も限界だ。これ以上憑かせてたら色々危ないからねー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父娘の再会の喜びと、お兄さん達の探索活動は、

入口の崩壊の前兆という形で断ち切られる。

 

急いで帰り支度、神隠し被害者の確保と運送、応急手当てを済ませ、

 

彼らはその場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はゆかりちゃんだけでは足りてなかったんだ。

 

え。

 

でもね。もう片腕が、たしかに私を引っ張って(繋いで)くれた。

私の知る、大切な大切な。

宝物の、娘の腕がね。

 

ほんと、ずるいや。

最後までハルに助けられちゃったなー。

 

えへへへー。

 

エヘヘじゃないっての...ほんともう....

 

ゆかりちゃんの腕は、大丈夫?

 

なんと、全治三ヶ月!

 

え。

 

お兄さん達が色々手配してくれたらしくて、

ちゃーんと動かせるように治してくれるって!

 

よ、良かった.....

 

まーた泣いてる! もうホントにハルは泣き虫になっちゃったなぁ。

 

.......。

 

紡。

 

ッ、

 

怒ってないよ。恨んでもいない。

逆に、感謝してる。

()()()()()()()()みかがみ様をおろしていてくれたんだから。みかがみ様も言ってたよ? 大したど根性だって。

 

.......ッ。

 

それにしてもみんな揃って一つの隔離部屋とは、お金が怖いね。

 

すべてあっちがもってくれると契約してある。

みんなは心配しなくていい。

ここの病院にしてもあちらと連携してあるグループらしいからね。色々弁座が聞効くと聞いているよ。

 

おー、太っ腹! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・Topics

 

・紅き残滓

 

ハルの黒い瞳に湛え散る、赤い燐光。

神性の残り香。埋め込まれた縁の因子。

謂わば、一欠片の神の証。

 

ゆかりの夕焼けの瞳とは別の代物である。

 

 

 

 

・それぞれの怪我事情

 

・ハル(仮)

(委員会の技術力を以てしても)全治一年(()()()()())。

死亡・瀕死・全身

死ぬ運命は覆された。しかし.....

肉体の成長が緩やかになった。

存在規模が拡張された。

見えざるものがもっとよく見えるようになった。

鋏の使用条件が大きく緩和された。

etc...

 

運命を覆した代償は、神によって支払われた。

 

 

・ゆかり

(委員会(ry)全治三ヶ月。

重症・両腕

両腕の医療的切断は免れた。

触れざるものが触れられるようになったらしい。

 

・紡

全治不明

重症・脳障害 精神障害(SAN値危険域)

主に喋れない。髪から色素が抜けて真っ白に。

寿命が多分2〜3割は削れた。

みかがみ様の不可抗力ではあるが、少し人格が削られてしまった。

見えざるものがよく見えるようになった。

 

 

・ハルパパ

全治一ヶ月。

軽症・片腕

ハルが無意識に引っ張った腕が剥離骨折。

ゆかりだけでは路しかつくれなかった。

しかし、血縁と娘への執念が路を歩む力と成った。

 

・みかがみ様

弱体化。ほぼ休眠状態。

本体(出力8割)が神域『天を摸す鏡面湖』、

分体(2割)が旧鏡面湖最奥の『鏡の宮』に降臨し、それぞれの少女を助けた。

紡の人格(魂魄の一部)を内包した。

神域の現実口(旧鏡面湖)も崩れたため、信仰の供給が更に滞っている。賀神家が応急処理中。

 

・すずなり様

疲弊状態。亜種神器の連続使用が原因。

神域は未登場。

 

・コトワリ様

超疲弊状態。休眠中。

部分融解した神器の修復にリソースを注いでいる。

神域を縁理という観点からぶった切ったMVP。

神域は未登場。

■■■■■■との神性統合が発生しているが俄然拒否中。

 

 

・ユイ

もういない

 

・■■■■■■

強制休眠状態。すぐに覚醒できる状態でもある。

神域は『夜明けの町』

 

 

 

 




大変遅くなりました。
後々、父娘の再会のシーン、
お兄さんがたのゲートオープンまでの描写、
ハルがいた向こう側の描写、
掲示場などなど。
その後の展開など書いていきたいと思います。
描写不足をお許しください。
マジで書きたいことが書けなくて...

リアルで精神的にも肉体的にも参ってる状態でして、
それでもそろそろ出さんとアカンと書き上げました。
受験勉強に専念したいと思います。
息抜きで書いたら出すので、出たらラッキーでお読みくださると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

■■・廻想 可能性の一つにて。

それは、遥か遠き星の瞬き。
未到の光は、いつかのあなたを照らすでしょう。
空の翳りは晴れたから。
さあ、一緒に。手を握って。



 

 

 

 

あの後。

 

あの後のお話だ。

 

のこされたもの。

 

たくされたもの。

 

ガラクタ(宝物)を抱えたひとりの私は、

 

私へと伸ばされたその手を、

 

確かに、強く、とても強く、

 

握りしめて。

 

歩いた。

 

どこまでも歩いた。

 

出逢えた、大切な人たちと。

 

胸にのこるガラクタ(宝物)は捨てられなかったけど、

 

両手には、歩くたびに重みが増えた。

 

とても重く、されど優しい、

 

そういうものを抱きしめて、

 

私は歩ききったんだ。

 

 

別れは恐ろしかった。

 

それ以上に素敵な出会いができた。

 

別れは多かった。

 

それ以上に大切な出会いができた。

 

ユイ。

 

あなたが教えてくれた大切なこと。

 

私は、知ることができたんじゃないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は人として数十年を生きて、

 

人として弔われて、

 

超常の存在として■に召し上げられて、

 

更に、時は流れ去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■、早く行こう! 花火終わっちゃうよ!

 

もう、■■ったら....そんなに走ると転んじゃうよ?

 

大丈夫! ほら、手を繋げば。

 

しょーがないなぁ....さあ、行こう!

 

うん!

 

 

 

 

 

夏。

 

どこかの町の、花火大会の空だった。

 

いつかの夜を、重ねてしまうような、

 

小さな小さな二人組がそこにいて。

 

一人は紅。

 

一人は蒼。

 

小さな足で、祭りの提灯で飾られた山道を登っていく二つの色は、締め付けられたかのように懐かしくて。

 

 

 

偶然なのだろうか。

 

輪廻なんていう、生命の繰り返しなのだろか。

 

ただ単純に、わたしの思いを重ねてしまっただけなのだろうか。

 

 

また、花火を見に来ようね、約束だよ。

 

 

もう声も思い出せないほど遠くへと来て、

 

それでも覚えている、この胸に刻み込んでいる、

 

ちょっとした子供の約束。

 

 

 

 

 

 

 

■■? どこか痛いの?

 

あれ、なんでかな、涙が止まらないや。

 

大丈夫? 辛くない?

 

ううん、胸はきゅぅとするし、速くなった鼓動も治まらないけど、なんだかとっても嬉しいんだ。

 

 

光の花を見上げながら、

はらはらと滴を落とす少女の隣で、

私も、空を瞳に写す。

 

覚えている。

いつまでも、それを覚えていた。

私と()()()が結んだ、契約の一つ。

天寿を全うし、私は死んだけれど、

今もなお、()()()はここで人々を視ている。

 

なるほど、確かにあいつ(縁切り鋏)は何処までも誠実だった。

自身の統合神性(からだ)の一部で眠る、お人好しを思う。

 

輪廻すら越えて、

運命すら捩じ伏せて、

何も残っていない真っ白な私は、

 

あの夜を、■■と共に見上げている。

 

約束。

この脳裏すらも汚染する、強すぎた願い。

 

 

 

 

 

そうだった。

 

 

私達は、再びここで出逢うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満足したか?

 

 

鳥居の下で、如何にもな装いの男が立っている。

 

神は、視線を移して、思念を送った。

 

 

よく、わからない。あれは、なんだろうか。

 

 

うーん、俺にも検討つかんことだが、

まあ、そうだな、そういう"答え"が出される頃合いだったんだろうな。

 

 

答え。

 

 

運命なんて洒落た言葉を使うつもりはなかったんだが、悪い、その言葉が適切かもな。

50、100年経てば、こういうこともあり得るのだろう。

偶然と偶然の先、無意識的な願いの成就。

密かな神の思し召し。

 

お前さん、そういう(縁結びの)神様なんだろ?

 

 

神は、そこで初めて権能が密かに動いていたことを知った。それを止めようとして、止める意味を見つけられずに硬直した。

 

 

ヤベ、まさか図星? 下手打ったか?

癇癪は止めてくれよ....俺また怒られちゃうから。

 

 

少しずつ思考を回す、

神としての理性が発する混乱(エラー)を脇に置いておき、元契約者のを模範した疑似的な思考回路(人格)答え(道理)を探す。

 

 

やっぱりな、

エニシガヒメ、お前様、寂しそうな顔をしてるぞ。

 

 

寂しい。寂しいとはなんだろうか。

この胸の苦しみだろうか。

際限なく湧き出る神らしからぬ衝動だろうか。

私が、未熟だからこその、

欠陥の一つなのだろか。

 

 

まあ....お前様の存在基盤が、()()()()そのもののもんだからな...それこそ道理に合うって言うもんだろう?

学習の結果。受け継がれた"在り方"、精神性。

夏の夜になる度に、彼女は縁側で星に祈るほどに。

どこまでも強靭(強く)、頑なのまま生き果てた願いそのもの。()()()に宛てたわけでもない、最後にして最強の願掛け。

 

 

契約者の、願い。

 

 

貴方様はそれをただ叶えたわけだ。

()()()()()

それだけの意味が、この数百年にとっての、

最高の奇跡だった。

 

あー、もうほんと、ここらへんの神様は、皆揃って()()()()が過ぎるっての。消耗を回復させる俺達の身にもなってほしいぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■、どうしたの? そんな強く私の手を握っちゃって、やっぱり夜道は怖い?

 

 

ううん、違うよ。

どうしても■■の手が離せなくちゃった。

本当に、もう離したくないって、

そう思うんだ。

 

 

本当にどうしたの?

そんなこと言い出しちゃって...

離すわけないでしょ? 

■■には放浪癖があるんだから、夜に迷子なんてなられたらお母さんに怒られちゃう。

 

 

そうだね。

離したくないな。

もう一度なんて、あり得ないから。

 

 

.....まあ、確かに、

もう一度なんてあり得ないかもね。

あんな綺麗だった花火、また見れるかな。

 

 

見れるよ。私が約束する。

一緒に、また違う花火を見ようね。■■(ユイ)

 

 

そうだね! また一緒に見に来よう、■■(ハル)!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

523:名無しの霊能者

こちら第一中継班。

隣で同僚が涙ボトボト落としながら光学レンズ覗き込んでんだけど。

 

524:名無しの霊能者

ま、まあ許したれ。

子孫にとって100年の悲願だからさホラ。

 

525:名無しの霊能者

こちら第三中継班。

おじさん達がお祖母様の写真持ち出して大宴会しようとしてます誰か止めてヘルプミー!!!

 

526:名無しの霊能者

南無。

 

527:名無しの霊能者

そ、それにしても綺麗に瓜二つだね。あの二人。

 

528:名無しの霊能者

まあ、先祖返りってやつだろ。

分家のさきっぽのさきっぽの方で産まれ子とはいえ、潜在能力は前々当主に匹敵するらしい。つまり生き写しだな。神秘的。

 

529:名無しの霊能者

問題は過激派をどうするかなんだよなー...。

彼奴等多分、■■ちゃんを無理矢理次代当主に仕立て上げたいだろうし。

 

530:名無しの霊能者

断固阻害するぞ。あの環境を崩させてたまるか。

 

531:名無しの霊能者

百合ですねわかります。

 

532:名無しの霊能者

すまない、レズは帰ってくれないか?

 

533:名無しの霊能者

第二中継班及び第二機動部隊より通達。

山中の悪霊類の掃討完了。

第一中継班と直ちに合流、町内での広範囲掃討を開始予定。

 

534:名無しの霊能者

了解。

 

535:名無しの霊能者

合流ポイントへの設備の点検機材搬入完了しました。

追加人員も準備オッケです。

 

536:名無しの霊能者

ダイソンの吸引力並だな。彼女ら。

無双ゲームレベルで霊が押し寄せてくるわ。

 

537:名無しの霊能者

誘蛾灯ってレベルじゃねーっすね。

吹けば散る雑魚霊だから助かってますけど、

もう少し広範囲攻撃手段欲しいっすね。

 

538:名無しの霊能者

フッフッフッ....

 

539:名無しの霊能者

ん?

 

540:名無しの霊能者

こんなこともあろうかと!

提携先の屋上神社からありがたい塩を貰ってきておいたのだ!!!

これを聖水に混ぜて.....噴射ッ!

 

541:名無しの霊能者

ふぁ、ファブリーズだとっ....!!!

 

542:名無しの霊能者

雑魚霊=親父臭説が誕生した瞬間である。

 

543:名無しの霊能者

イヤだなぁそんな説...

 

544:名無しの霊能者

つーか雑魚霊なら聖水だけで倒せんじゃね?

 

545:名無しの霊能者

(´;ω;`)ウッ…

 

546:名無しの霊能者

(自慢したかっただけに決まってるでしょ! 空気読みなさいバカチン!)

 

547:名無しの霊能者

聖水の背負タンクにファブリーズ型拡散機。

いいもん使ってんね。重そうだけど。

 

548:名無しの霊能者

貯金ギリギリでカッパ安いのしか買えんかった...

水が貫通して服ビショビショだから、思い切って水着に着替えてやってる。

 

549:名無しの霊能者

真夜中に合羽水着!?!?!?

 

550:名無しの霊能者

へ、変態だー!!!

 

551:名無しの霊能者

水着、星4、10万、0枚 ウッ(死亡)

 

552:名無しの霊能者

まーた水着イリヤ難民が死んでおられる。

 

553:名無しの霊能者

確かに装備は水着イリヤやな。

 

554:名無しの霊能者

ま、こんなスレにいる時点で女じゃないだろ。

 

555:名無しの霊能者

あ、合羽水着ニキはネキですよ。

 

556:名無しの霊能者

ど、どっちだ...?

 

557:名無しの霊能者

ネキっつってるだろボケ。

 

558:名無しの霊能者

>>538 じゃあ、まず年齢を教えてくれるかな?

 

559:名無しの霊能者

18才、学生です。

 

560:名無しの霊能者

ま つ り じ ゃ

 

561:名無しの霊能者

写真プリーズプリーズ!

 

562:名無しの霊能者

みんな踊れー!!

 

563:名無しの霊能者

雑魚霊「やってみせろよ、タンカー!」

 

564:名無しの霊能者

タンカー「(雑魚霊なんて)何とでもなるはずだ!!」

 

565:名無しの霊能者

雑魚霊「合羽水着JKだと!?」

 

566:名無しの霊能者

₍₍( ง▼_▼)ว⁾⁾

鳴らない言葉をもう一度描いて

₍₍ᕦ(▼_▼)ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ( ▼_▼)ว⁾⁾

₍₍(▼_▼)⁾⁾

赤色に染まる時間を置き忘れ去れば

₍₍₍( ง▼_▼)ว⁾⁾⁾

哀しい世界はもう二度となくて

₍₍ᕦ(▼_▼)ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ(▼_▼ )ว⁾⁾

(▼_▼)

荒れた陸地が こぼれ落ちていく

₍₍ ʅ(▼_▼) ʃ ⁾⁾

一筋の光へ

 

567:名無しの霊能者

ネタが数十年古い。

 

568:名無しの霊能者

いやまあ淫夢語録はそれ以上ですよこれわ...

 

569:名無しの霊能者

やめろよ...おじさんだってばれちゃうだろ。

 

570:名無しの霊能者

そろそろ掃討作戦終わるよー。

 

571:名無しの霊能者

乙ー。

 

572:名無しの霊能者

乙カレー。

 

573:名無しの霊能者

それにしても、こう二人を見ていると、

こう、なんかやばいな。

 

574:名無しの霊能者

記録に、映像に、紙面に、

ただ情報として記されていた奇跡が、確かにここにある。

 

575:名無しの霊能者

今を生きていることこそが幸運かね。

 

576:名無しの霊能者

何て言うかね、感無量だよホント。

 

577:名無しの霊能者

.....例の実体験組な大物が何でこんな辺鄙板にいるんですかね。

 

578:名無しの霊能者

まあ、因子継承の時に一緒に記憶を貰っただけさ。

 

579:名無しの霊能者

魔眼調整の際、時空帯観測実験で視させて貰ったわ。

 

580:名無しの霊能者

やっぱ大物じゃないですかヤダー。

 

581:名無しの霊能者

>>579 過去視とかレア異能じゃね? スゲーな。

 

582:名無しの霊能者

曾祖母の神眼の遺伝派生だからまああり得たものだよ。

普通に除き見てるのあの時間の曾祖母に気づかれてたし。

 

583:名無しの霊能者

え。ヤバくねそれ。

 

584:名無しの霊能者

ヤバかった。眼が合った瞬間色んな意味で死ぬかと思った。

 

585:名無しの霊能者

神眼と眼が合ったのか...よく精神壊さなかったな。

 

586:名無しの霊能者

三重プロテクトで命拾いしたわ。

あと少しで終わってたかも。

 

587:名無しの霊能者

くわばらくわばら...ところで可愛かった?

いやね詳しくは聞かんけど。

 

588:名無しの霊能者

可愛かった。プリティーだったり神々しかった。

 

589:名無しの霊能者

語彙力死んでる。

 

590:名無しの霊能者

代わりと言ってはなんだが、

■■ちゃんがそこにいるじゃろ?

 

591:名無しの霊能者

あんな感じ。かわいい。

 

592:名無しの霊能者

なるほど、かわいい。

 

593:名無しの霊能者

どいつもこいつも忙しさで脳が死んでやがる....。

早くどうにかせんと。

 

594:名無しの霊能者

諦めろ、手遅れだ。

みんな書類の山に埋もれて死ぬ運命だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・topic

 

エニシガヒメ

誰かによく似た雰囲気を持つ神霊。

その誰かさんは天寿を全うし、エニシガヒメとの契約通り、存在基盤("そこに在る"という世界に対しての証明概念)を遺して永眠。

存在規模の容量、権能の行使は問題なかったが、完全な神格化に問題が発生、

あわや存在立証失敗となるところで、とある鋏な神様が直前まで拒絶し続けていた神性の統合を承認。エラー発生部位を補完することで解消。

無事神格化を誰かさんの死亡から120年経った頃に完了した。

そこから更なる眠りを経て、無事縁神として再誕した。

 

誰かさんの人生を睡眠学習した結果の一つとして、人類とのコンタクト用インターフェイスとして疑似思考回路(人格)を模範生成した。学習の都合上多大な影響を誰かさんの思念情報から受けており、産まれたてにしては人間臭い部分も見て取れる。

 

地脈の調整や、加護の展開、神徒の稼働や人々との契約、信仰の収集などが眠っている間に行われた。

 

なおとある人々が旧神社跡地(霊脈直上)を買収し、神社を再建し、神降ろしを行い、経営者、管理者を手配し、周辺住民と積極的交流で参拝者を作ったりと、デスマーチな働きぶりであったことをここ明記する。

 

成し遂げた委員会のお兄さんお姉さん2世3世「なんちゅう厄ネタを置いて死にやがったんだあいつら...墓で文句言ってくる。」

 

 

 

コトワリ様

様々な事案による権能の酷使、神格の消耗、信仰の収集機だった唯一の巫女の死亡により、急速に弱体化。存在の維持すらままならない状態となったが、とある人々の尽力で一時的ではあるが消滅は免れた。なんとかとある現人神の覚醒まで存在をもたせることに成功、神格の必要最低限の成長を確認し、今まで拒否し続けていた神性の統合を許諾。今現在、現人神の統合神性中で眠りについている。

巫女の子孫が神社に来ると時々起きる。

 

 

 

とある守護犬

犬の特殊霊体。神様の使い。

二人組の少女たちに分霊の子犬を憑けて見守っている。

強さとしては、トラックを前足でスクラップにできる程度の物理的霊障能力を持つ。ポルターガイストの超物理特化型。

 

 

 

■■ 

紅いの閃光。

今を生きる少女。

少女は誰でもなく、少女は少女である。

重ねるな。想い込むな。それは冒涜に過ぎず。

 

■■

蒼き流星。

今を生きる少女。

願い星は、眠り神は、確かに次へと受け継がせた。

重ねることもなく、想い込むこともなく、

少女は、隣の少女と笑い合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







大変お待たせいたしました。
書けることが沢山あるくせに、
一つも書けなかったので泣いていました。
半年のブランクがここまで辛いとは思いもしませんでした。

今回は、あり得るのだろう未来のお話。
『if』と決まっていない物語の一端みたいなものを描きました。

....後書きを書くときに限って、言いたいことが出てこない!何回目だこんちくしょう!


色々忘れたんで、関係のないお話します。
6万円分のガチャ石使ってスカサハ=スカディ0枚でした。初めてfgoで怒りました。ソシャゲは闇。はっきりわかんだね。

新キャラ予想動画で、清明来るって聞いて楽しみにしています。ガチャはキライだけど。
特に小説にハマった原因が『少年陰陽師』っていう清明にめちゃくそ関係する作品でしたので更に清明が好きだったりします。ガチャはキライだけど。
確かハーメルンにぼちぼち二次創作あがってたと思うんで、試し読みしてもいいのよ?(ダイレクト布教)
以上、関係のないお話でした。

そろそろ一年の節目を迎えますが、今年はどのような一年となったでしょうか。波乱なご時世ではございますが、皆様の健康が来年も続きますことをお祈り申し上げます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

■■・廻想 血縁 可能性の一つにて。

これは、あなたへ贈る星の光。
ありとあらゆる刹那の願いが、
確かにわたしを起こすでしょう。
さあ、
その縁を切るために。
その縁を結ぶために。


 

ほしをひとみにかざす。

 

 

 

母さん、そろそろ入りなよ、風邪引いちゃうよ。

 

.....うん、もうちょっとだけしたら、そうしようかな。

 

母さんが縁側で見てる夜空っていつも晴れてるよね。

そんなに星が好きなの?

 

かなり好きだねー。ここら辺の地域は、まだまだ片田舎(訳あり)だからね。

どうしたって夜は暗いし、空気だって澄んでいる。

こんな鮮やかな星空は、多分、他に高い山でしか見れないと思うよ。

 

 

私の隣に、考えに耽りながら座り込む愛娘。

その琥珀色の瞳に、蒼い夜が映り込む。

 

まさか、娘にまで■■が継承されるとは思わなかった。

なんとか七五三をやり過ごし、「この世のもの」として固定することができたのは、あの人達のお陰と言っても過言ではない。

 

"奉る"のではなく、"下ろし被る"。

人として生きるために、月日をかけて込めた、澄んだ穢れ。

ちょっとだけ瞳の(輝き)が欠けたけど、その濃淡こそ美しい。

 

 

空を眺める。

星は輝き、線を結び、ふと未来を垣間見______るのを破棄する。

私も人だ。まだ、あと70年ちょっとぐらいは、しっかりと。

まあ、ちょっと見えちゃったものは後で紙に纏めて報告しておこう。

彼らなら役に立ててくれるだろうから。

 

 

むー.....あ、流れ星!

 

わあ、珍しい。三度祈れた?

 

祈ることを禁止してた母さんが何を言ってるんだか...。

 

ここなら大丈夫。今のあなたが祈る分には、何も起こさせないから。

 

.....昔から思ってたけどさー。新興宗教は辞めときなよ。

子供の言うことだし、そう簡単に聴いてくれると思わないけどさ。

 

し、新興宗教かー.....。

あー.....うん、まあ、あまりそういうのには母さん詳しくないけど、知り合いにそういうのの関係者とかいるし、気をつけておこうかな。

(神道に仏教、陰陽道に神仙道。今の時代、有名とは言え流石に怪しすぎるもんだしね。)

 

うんうん、昔から何回も会ってるし、そう悪い人では無いとは知ってるけどさ。

ニュースとかでも怪しい団体の特集やってたりするじゃん。

お金とか騙し取られないでよ?

ただでさえ母さんはぼんやりしていることが多いんだから。

ころっと騙されそうでヒヤヒヤするし。

 

失礼な。

危機管理はしっかりとしてますよ。

これでも一人の母ですから。

...よいしょっと。

 

ん、あがる?

なら私もっと。

あまり星空なんて眺めたことなんてなかったけど、

案外イケてる趣味だね。

写真にするにはカメラ性能足りないし、

ちょっと絵でも書いてみようっと。

 

まあこれまた珍しい。

お絵描きなんて久しぶりにするんじゃない?

今もほら、居間に飾ってある絵、私のお気に入りなのよ。

 

体が極端に弱い(外に出せない)からって、

色んな習い事を家でやらせてもらったお陰だね。

気が向いたし、寝る前に下書きぐらいは終わらせておこうかな。

じゃ、おやすみー。

 

おやすみなさい。『   』。

 

 

 

 

廊下は月明かりに照らされ、静まりかえっている。

少々お酒をつまみ、神経を薄く引き伸ばす。

 

夜だ。

夜になれば、家を囲む結界の強度は更に増す。

あの人達が、地脈やら方角やら門の位置やら小難しいことを喋りながら、今更気づいたかのように付け足した言葉だ。少々自分のおつむが弱いことは知ってはいるが、からかわれるのは不本意である。

友人が蹴っ飛ばしてくれたので、それで許したが。

....思考能力の7割を彼方に割いているのは今後の課題だ。

思考能力の低下は、完全並列多重思考をマスター出来ていない証拠である。

娘にまで指摘されてしまったし、本腰入れて修行に励もう。

.....心配されないように、こっそりと。だね。

 

珍しく娘が庭に出てきたことで、反応した怪異たちはいないようだ。

見回りも完了っと。

神格も権能も結界も護符も眼にも反応なし。

超小規模の雑霊が結界の都合上どうしても入り込んでくるけど.....うん、危険性皆無だ。精々娘が影や音で驚く程度だろう。

 

さてと、

アルコールの効き目が薄いとはいえ、やはり時間が経てば眠くなる。

自分の部屋に上がり、ベットに横たわって目をつぶる。

 

普通の夢を見なくなって久しいけど、

今日は、良い空を視れそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ざざーん ざざーん

 

ざざーん ざざーん

 

ざざーん ざざーん

 

 

遠くに波が打ち寄せる。

焼け落ちた視界が元に戻れば、

そこは、永遠に伸びる海岸線。

 

白い砂浜。透明な水。紅い鳥居。

 

海、というより、雨上がりのグラウンドに近い光景。

所々に大小の海が形成された、淡白な世界。

 

鳥居が、乱雑でありながら、厳かに、深く突き刺さっている。

数えきれないほどに、様々な方向を向いて、陽光を紅く反射する。

 

 

.....()()()の神域とはまるで違う世界だ。

 

()()()の世界は、あの夜の町。時間から切り離された、怪異の町。

 

 

「やあ、」

 

突如神気が渦を巻いた。相手の領域だ。瞬間移動なんて朝飯前だろう。

油断せずに、それでいて自然体で構える。()()()()、戦うか。

 

「....お久しぶりです、みかがみ様。」

 

気を何割か抜く、うん、よく感じとれば、懐かしい気配。

姿形は少女なれど、その正体は元強神。"もしも"と"鏡"を司る神様、みかがみ様。

約20年は会っていなかったと思う、

その姿のオリジナルとは、良くママ友的お茶会をしているけど。

 

何かが記憶の片隅に引っ掛かり、もう一度周りを見渡す。

 

思い出した、死ぬ直前に視た、あの景色と同じだ。

みかがみ様の神域だったんだ。

 

「わざわざ化身でお越しになるとは、なかなかの事だと概見しました。ご用件を伺います。」

 

「いや、そこまで重要ってわけじゃないよ。神社の再建と洞窟の保全、廃坑の完全閉鎖工事が終わったから、その報せ。いつか来なよってね。」

 

「承りました。予定が空き次第、お邪魔させていただきます。」

 

「.....堅くない?」

 

「神様相手ですよ? 下手な言葉使えませんって。」

 

「ん、その位が丁度良いね。あ、もう一つ、」

 

「はい?」

 

「お嬢さんの娘、巫女にちょうだ______冗談嘘浅はかだったごめんなさい」

 

「......。」

 

「あ、おみあげ置いてくから。自由に食べて。じゃ、また会おう。」

 

 

私が鋏を持っていなかったことが、かの神の幸運だった。

ため息一つ。一瞬取り出しかけた柄を胸にしまい込み、

霧がかる世界、薄れていく夢を押し退け、現実に浮上する。

 

 

朝。

 

まずカーテンを開き。改めて枕元を見れば、確かに置いてある小袋。

とても古めかしいが、清潔ではあるようだ。流石水の権能持ちである。

 

中身は、

 

 

 

 

「なんともまあ、利便性に富んだものを。」

 

意外と俗世に染まっているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ん? まーたお酒買ったの?神棚の瓶増えてない?しかも高級そう。

 

 

貰い物。朝一番に届けられていてねー。

軽く何百枚か()()レベルのだから、暫くそこに捧げておくの(多分神気を抜かんと人には飲めん代物だし)。

 

何百って.....ヤバくない!? 私地震とかあっても保証できんよ!?

 

大丈夫大丈夫。仮にあっても()()()。安心してね。

 

腑に落ちないけど.....まあいつもことか。

 

で、貴女にはこっち、お味噌汁と麹の漬物。

魚を醤油で漬けてるから、夜に食べましょ。

 

っ.....どこのメーカー? これ庶民の舌には毒だわ。

ヤバいご飯止まらない止められない。

 

自家栽培?の各年の一点物ってプレゼントカードに書いてあったよ。

(洞窟で何を作ってるんだか....確かにあそこの地下水は最高品質だけど、まさか食品加工なんて。)

 

 

後に紡に聞いてみたところ、遥か昔から特定の一族が作り続けてる地域伝統の味らしい。流石にあの洞窟で作っているわけではないらしかった。早とちりである。反省。

 

 

そろそろ学校のバスが来る時間じゃない?

 

ん! あ、ほんとだご飯に夢中になってた、急がないと。

 

どう? 学校には慣れた?

 

.......お母さんが言ってたように、みんな優しいよ。

何も聞いてこないし、普通に話しかけてくれるし、初めて友達もできたし、

あー、でも、うん、ほら、一般社会での反応を知ってるからさ、

その優しさがね、無性に......寂しいなって。

 

 

朝食を食べ終え、中学校の制服を引っ張りだしながら、娘は答える。

 

 

どうして寂しいの?

 

みんな少し大人なんだよね。

聞けば大企業の娘だったり、某大臣の息子だったり、

教えられないと謝ってくれた子だったり、()()()()()ような子だったり。

私より心が少し年上で、だから私に優しくて。

だけどそれは、本当の意味で友達とは程遠いって感じちゃうんだ。

遠慮とはまた違う、何て言うか、上手く説明できないのだけど。

 

『知る価値は、知った後に作られる。

 識ったことは、君自身のみが価値を見いだせる。

 なにせ、他人からのアドバイスすらも、

 君が受け取った知識でしかないのだから。』

 

え?

 

受け売りだけどね。

『  』はクラスメイトを少し年上みたいと思ったようだけど、

それは、そのように振る舞えるだけにすぎないんだよ。

まだ、彼らは貴女のことを見定めてる途中なんだ。

危害を加えないか。

悪意を持たないか。

ある程度気を読めるか。

価値観の差異は許容範囲か。

人間性に欠陥はあるか。

その欠陥は共に生活するなかで許容範囲か。

そして______私たちを怖がらないか。

 

だから、遠い。

声も小さけりゃ、意思の伝達もままならない。

理解するには"知ること"が足りず、

隠れた怯えは、無い筈の溝を生む。

さて、どうするべきでしょう。

 

.......。

 

 

支度を終え、玄関で靴を履いて、彼女はこちらに振り向いた。

 

 

一歩、近づいてみるよ。

気になってる子がいるんだ。

結構気を使わせちゃってるし、恩返ししないとね。

 

うん、今はそれで百点満点。

何でも知ってきなさい。

勉強のことでもいい。

友達のことでもいい。

そういうのが無意識に積み重なって、また何かを知るのだから。

 

 

遠くでバス特有のエンジン音が聞こえてきた。

そろそろ時間のようだ。

娘もそれに気がついたようで。

 

 

_______行ってきます。

 

 

 

いってらっしゃい。

 

 

送り出す。

今の今まで、人との関わりなど手で数える程しか無かった娘を。

 

目を細める。

今はまだ、見守るべきそのすべてが、

いつの間にか、少しづつ変わってきているようで。

 

子供の成長とは、ここまで早かったか。

 

 

 

「ちょっと、かっこつけちゃったな。」

 

お皿を水に浸けながら、また父の言葉を思い出す。

今日のあれも、その一つだったわけで。

 

「『何時だって先は不透明で、

  過去は後悔と未練の塊で、

  だから、今だけの選択は、

  とてつもなく、重いんだ。』」

 

私は間違えた。

その後悔と未練こそ精算こそされたけど、

残った傷は幾つもあって。

 

_______空洞の袖が風に靡く。

 

小さいことかもしれないけど、

娘には、泣いてほしくはないから。

 

「さてと、じゃあ、始めますか。」

 

一通り片付けを終え、仕事室に移動する。

物理的、電子的、霊的防犯機構を起動し、

昨夜視えたビジョンについての報告書テンプレートファイルを立ち上げる。

 

#多重連続性時空帯における特異基点:不明

#観測:成功 

#観測状態安定:0.260s

#干渉度数:皆無

#知覚内容:欠損あり。未来事象により断定不可。

#■■■______________

 

まあ、つまり、

なんにもわからないけど、一応視えたことだけお伝えします。という文句である。

私が関われる、彼らの活動のお手伝いはたったこれだけ。

それでも、少なくない協力代が貰えるものだから、

なんとも、大事にされているのか、遠慮されているのかわからないものだ。

少し、ううん、結構なにくそ~って気持ちが強いけど、

まーた首突っ込んで大事にしちゃうのは勘弁だしねー。

この歳になってまで大目玉食らうのは流石に恥ずかしかったものだ。

 

兎に角、これでオッケー。

観測できたということは、起こりうる事象ということであり、

それをどう対処するかは、彼らに任せる。

 

 

 

 

私が夜の町を歩く日々は終わった。

 

私が鋏を振るう意味は遠退いた。

 

ここに在るのは、愛する娘の存在で。

 

時に視える景色は、悲しい色が多いけど。

 

まだ、

 

まだ、私は、

 

あなたたちの願いを受けとる資格が無いから。

 

 

だから、

 

だからどうか、神様。

 

()()()しまった誰かの叫びを、

 

()()()しまった誰かの手を、

 

 

 

どうか、どうか____________

 

 

 

ふと、カーテンの奥が暗くなった。

まるで夜になったかのように。

 

 

 

『わたしはしった、それを"おひとよし"というのだろう。』

 

 

 

 

鈴がなった。

 

 

 

 

和装(着物)なのだろうか、

 

洋装(ドレス)なのだろうか、

 

形容しがたい、

 

花のようにふんわりと広がった、

 

朱と銀の衣を身に纏い、

 

長く伸びてゆく、稲穂のような金の髪を、

 

鮮やかな蒼いリボンで留めている。

 

両眼を紅金に染め上げて、

 

左腕からは、銀光の紐を舞い散らせながら、

 

大きな赤黒い鋏を持っている。

 

 

銀の鈴を飾るように

 

髪や服に、何個も結いであり、

 

霞み消えそうな神気が空気を煽り、

 

シャリン、シャリンと、

 

澄んだ音を響かせる。

 

 

 

"エニシガヒメ"

 

知らずのうちに、言の葉を紡いでいた。

 

 

 

言葉はあった。

 

発する必要があったのだろうか。

 

表情はわからない。

 

無表情のような、呆れ顔のような、微妙で、繊細な表情を浮かべている。

 

人情は無いだろう。

 

彼女は神である。

 

堕ちているわけでもない、

 

私から向こう百年切り離された、

 

新しき()()()である。

 

 

 

 

なんで、あり得ない。

 

まさか、まさかまさか。

 

 

「まさか私がっ!?________」

 

 

『わたしが視た、わたしが聴いた、わたしが識った。

 それは、わたしへと捧げられた願い。

 故に、偽りの神域が建つこの一時のみ、

 その縁を切ろう。新しき縁を結ぼう。

 其が、わたしがすべき全て。』

 

 

 

眼を起動する。

 

.....やられた。

 

神棚の神酒がいつの間にか揮発して、

空間に強大なレイラインのバイパスと疑似神域を作り出している。

 

おあつらえ向きに、この家は最高に縁起の良い要素(儀式環境)で構成された場だ。基盤と中核、更に私さえいれば、

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

"鏡は宇宙(そら)を写し出し、

それは星々を掴むだろう"

 

 

やられた。

 

あの胡散臭い、少女らしからぬ常の微笑みを思い出して毒づく。

 

多分、湖という巨大なスクリーンを利用して、星空を投射、

私と同じ星読みをしていたのだろう。

視えたあのビジョンを、重大インシデントでは最悪の部類だと神々は判断した。

だから、手頃な私を利用して_______

 

ため息をこらえ、舌打ちをこらえ、

額の寄った皺を伸ばしながら、応える。

 

 

「......ついていくよ。どっちみちあなた一人だけを行動させるわけにはいかない。あなたにはお兄さんたちの到着を待つ理由は無いでしょうから、これが最善手だと思いたい......。」

 

『了承。ならば外郭(肉体)を借りる。霊体だけでの現界は負担が大きい。消耗は避けたい。』

 

 

「やっぱこうなるよね........ごめんよ『  』ぁ.....」

 

 

魂魄が反転し、肉体の制御権が強制的に奪われる。

薄れゆく意識の中、最後に夢想したのは、愛する娘の呆れ顔だった。

 

 

ちょっと母さん、神様やってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





怒濤の 伏 線 回 収 ☆

どうもこんばんは、人生に押し潰されかけている作者です。

無理矢理時間を空けて書き散らしました。(故のAM4:00 眠い。)
マジ生活に余裕無いんでこのまま沈みます。

大人ハルちゃんは、皆さん好きなように想像してください。
彼女の瞳の能力は色々あります。制御仕切れてないので自動で発動してショッキングなビジョンを目の前に展開、四六時中ハルちゃんを病ませようとしてきます。可哀想だね。

『  』ちゃんもお好きなように。
琥珀色の瞳が素敵な現役中学生です。多分黒い着物が滅茶似合う。
安心の美少女。元箱入り娘(物理)。世間知らず。
今はわけありお嬢様学校に入学しています。
お母さんに隠し事があるようで.....?

夜廻三、めちゃくちゃ楽しみですね。
勿論買ってプレイします。トロコンはデフォ。

おやすみ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

22・えい九廻り 陽光


わたしとあなた、結ばれた契約。
その意味を、問い続ける。




 

 

じゃらん。

 

 

 

 

 

懐かしい光景だった。

 

薄く拡がり、鏡のように空を写す、浅い湖。

そこに聳え立つ、真っ赤な鳥井。

 

その奥の、遠くの夜と水面が、紺から空色へと変わっていく。

夜明けは近く、しかしまだ遥か遠くのようで。

 

それは、鳥井の真下に在った。

形容しがたいガラクタの球体、

それは戒めの鎖を揺らし、脈動している。

 

鎖でがんじがらめだった。

まるで、コトワリ様の鋏のように鋭利でありながら、

錆び付き、罅が走り回り、いつでも壊せるような。

そんな鎖。

 

あれは、自分だ。

そう、■■は感じた。

 

無理矢理封じ込めているけど、それは本当じゃなくて、

ただ目覚める必要が無いから、私は私で居られているのだと。

 

もし、あれの琴線に触れるようなことがあれば、

また、私は()()()になってしまう。

 

 

██████████。

 

 

わっ。

 

 

気づいたら、隣にコトワリ様がいた。

その沢山の手に握られる鋏は、修復の途中のようで、少し先端にかけて歪みが見てとれる。

 

鋏、大丈夫?

 

 

 

 

 

.....ごめんなさい。

 

 

█████....███ッ!!

 

 

軽く、優しく吼えられた。

大丈夫と言ってくれたのだとぼんやりとわかった。

少し嬉しくなった。

 

 

そのとき、

 

 

じゃらん。

 

足元の空に、波紋が伸びた。

鎖の一部が弾けとんで、光の粒子へと綻んだ。

あれは起きようとしているのだろうか?

だから、こんな場所に私はいるのだろうか?

 

 

ど、どうしよう...。

 

 

何かしないといけないのだろうけど、わからない。

コトワリ様の力は、多分今の破損状態では意味を成さない。

自分が、なにか______

 

 

 

██████ッッッッッ!!!

 

精一杯、考えていたら、隣でコトワリ様が吼えた。

危険。警告。警戒。

意志を読みといて、はっと目の前を見ればガラクタが飛ぶように_______

 

 

ひゃっあ!

 

おもいっきりしゃがむ。

 

頭上を通過する風を切る音。

ガラクタと鎖ががらんごろんじゃらんと、

笑うように騒ぎ立てる。

 

鎖の綻んだ隙間から次々に射出されるガラクタ、否、()()()()()()()()

 

石ころが合体してでっかい岩になっていたり、

10円玉が、フリスビーのように回転しながら火花を散らしたり、

滑空してくる紙飛行機の羽が、金属質な感じで危なそうだったり、

如何せん凶悪な装いだが、忘れもしない宝物たちだ。

 

 

█████ッ█████ッッ。

 

 

振り向けば、なぜか私にまた鋏を渡そうとしているコトワリ様がいて。

気づいた。

コトワリ様の影が、薄らいでいる。

ここにいるのが限界? 

そうだ、この前から神様に無理をさせていた。

 

 

沢山の手で支えられた、赤黒い、欠けた鋏を持つ。

片手なのに、未だ不思議と支えられた。

 

色々と突然過ぎて、怖くて、心細くて、涙が出そうになるけど、

我慢だ

これを持ったからには、涙なんて流しちゃいけないのだから。

 

 

ありがとう、コトワリ様。あれは、私がなんとかしてみる!

 

█████████ッ。

 

水面の影がたち消えて、コトワリ様も綻んでいく。

 

振り向いて、呼吸を整えて、走り出す。

 

 

 

 

どうしよう、どうしよう、ああいっちゃったけどどうしたらっ!?

 

 

 

 

空の色が変わっていく度に、鎖の隙間が増えていく。

飛来する宝物が増えて、

螺旋を描いたり、

テレビで見たUFOのような変な角々移動だったり、

普通に落下してきたりと、

不思議な挙動で飛んでくる物騒な宝物たち。

 

トロフィー、ミニカー、サイコロ、ナンバープレート。

ハーモニカ、ビニールのあひる、ちょきんばこ。

 

懐かしい数々を、避けたり転がったり、鋏の腹で打ち落としたり、ホームランしたりする度に、痛むところも増えていく。

 

 

兎に角、鳥井に着いて_______

 

顔面狙いのぼうじしゃくを、濡れるのも構わず浅瀬にへばり付いてかわしたとき、

目の前の水面に大きな大きな影が射した。

 

嫌な予感。

ばっと顔を上げれば、

 

 

ぇええええええ......

 

 

壁のように立ちふさがる、見知った宝物、見知らぬガラクタの山。

耳を叩く騒音が、それが私に倒れこんできていることを教えてくれて。

 

理不尽だ。なんだそれは。そもそもこれはなんなんだ。

 

駆け抜けていく思考。

硬直したままのからだ。

 

腰が抜けてしまっていた。

 

ちっとも動けないまま、私の記憶は、

 

 

そこで、終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>> 鈴の音が聞こえる。

 

 

 

>> 鈴が音を鳴らす。

 

 

 

 

 

ふわふわしている

 

ここちよい

 

ひたされている

 

じぶんがあるがままひらいているかのように

 

ねがわれるままに

 

わたしは"つながり"をむすびつづける

 

よばれている

 

ねむくて ねむくて しかたがない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■。

 

 

 

なまえ

 

わたしの むかしのなまえ

 

むかしのわたしは むかしの"つながり"とつないであげた

 

あつめられたたくさんの"いぶつ"

 

ひとのほうがよかったけど

 

"あれ"にじゃまされた

 

"あれ"のしんにゅうもきった

 

"あれ"にわたされた"いやなもの"も おくにしまった

 

もうこれで わたしはわたしのままだ

 

 

 

 

 

 

 

>> 神域の湖面に朝日が伸びる。

 

 

 

 

 

 

■■っ

 

 

うるさい

 

よばないで

 

ただしくはない

 

そうではない

 

 

 

 

 

>> 陽光は、彼女の拳を導いて。

 

 

 

■ルっ!

 

 

 

なんだ

 

 

 

 

>> ガラクタの海を掻き分け、

 

 

 

 

ハ■っ!!

 

 

 

しらない

 

その"つながり"はつないでいない

 

 

 

>> 握られるのは。

 

 

 

ハルっ!!!

 

 

 

やめて

 

その"いぶつ"にさわらないで

 

その"て"はなに

 

じゃまなもの 

 

いらないもの

 

 

 

 

 

>> 欠けた、縁切りの鋏だから。

 

 

 

()()_____

 

 

 

やめて

 

しまったはずなのに

 

いやだ

 

つかわないで

 

 

 

>> 一度の赦し。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()_______

 

 

 

 

 

 

 

 

>> 今、振るうのは、

 

 

 

もういやだっ!!!

 

 

あ___________

 

 

 

>> "縁"の意味を、冠する少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸が痛い。

 

目の前の水面が真っ赤だった。

 

痙攣と共に液体を吐き出す。

 

ああ、自分の血だ。

 

 

胸を見れば、綺麗に中心に、鋏が刺さっている。

溶け落ちていたはずの刃が、綺麗に貫いて、赤色を滴らせる。

やろうともしていないのに、その光景から(過去/経緯)を読み取れて、

 

友人の無茶に、嬉しさと、悲しさと。

自分の無力に、怒りと、悔しさと。

 

 

血が流れていく。

抜けていくのは命なはずなのに、

一向に死の気配がやってこないことに何度も気づいて。

もう、自分がヒトじゃないことに知っていたはずなのに衝撃を受けて。

打ちのめされた気がして、力が抜けて。

 

 

それでも、

諦められなかった。

もう、後悔はしたくはなかった。

もう、後悔をさせたくなかった。

 

手は私に届いて、ここまで助けてくれたんだ。

 

ならば、ならば、

あとは、自分が、やるべきことは。

 

 

 

「帰ろう。」

 

 

立ち上がる。

 

 

そうだ、帰ろう。

帰って、お礼を言おう。

ゆかりに、チャコに、パパに、お兄さんたちに、

コトワリ様に、すずなり様に、みかがみ様に。

 

そして、私自身(エニシガヒメ)に。

 

 

鋏を体から引き抜く。

痛みも薄い。

 

少し歩いて、水に溶けた血を辿る。

 

切断された、私の半()

浅瀬を染めていく血の先に、それが沈んでいて。

 

拾い上げる。

 

 

「ごめんなさい。あなたは連れていけない。」

 

『_______』

 

「あなたは権能が司る、概念的な意識(神性)。どうやったって、私が神である限り切り離せない衝動だけど。」

 

『_______あ』

 

「それはここに置いていく、たった100年だけ。そうしたらまたここに帰ってくるから。」

 

『_______』

 

「お願いします。私はまだ、私として生きていきたい。」

 

『』

 

『』

 

『』

 

『りょうしょうした ひゃくねんのときまで ねむる』

 

 

「ありがとう。」

 

 

『わたしをふのうにするえにしのちからに きょうみをもった』

 

『すこしのあいだだけ かくをかす それまですこしづつしらべよう』

 

 

「わかった。じゃあね。バイバイ。」

 

 

『________』

 

 

 

 

それは、光へと散っていく。

鳥井をくぐりその先へ。

 

その瞬間、

 

「わあ.......」

 

遂に、朝日が私に届いた。

それは、とっても綺麗で、凄くて。

どこまでも神秘的で。

 

涙が勝手に溢れて、

白く染まっていく視界の中、

 

確かに、鈴の音を聴いた。

 

 

 

 

 

 

確かな、鈴の音を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひどい有り様だった。

右腕は炭化し、

左腕と両足は切断され、

新たに貰っていたはずの神鈴は黒くなっている。

 

縁切りの代償。

 

意識が開けた瞬間にそれを知覚し、

恩人、そして友人の命の危機に、貰い受けた権能をふりあげる。

 

 

 

生命維持不可能な未来を可能な限り剪定。

 

歯で口を噛み切り、あふれでる神血をゆかりの口に直接飲ませる。

 

これで再生能力を少しでも向上、

四肢の完全再生の可能性をミクロレベルで造りあげ、

それ以外の可能性を剪定。

 

後遺症の発生を剪定。

 

剪定。剪定。剪定っ!

 

 

神と言えど、それは運命の舗装という禁忌じみたものだ。

権能の無茶な使用に神格が悲鳴をあげる。

 

知るもんか。

 

知ってたまるか。

 

「もう二度とっ、友達を見捨てることは_____っ!」

 

 

 

 

死亡確率の大幅な減少を確認。

四肢再生確率の上昇を確認。

後遺症発生確率の減少を確認。

 

「へ.....」

 

急激に障害が取り除かれていく。

認められない未来の可能性が断ち切れていく。

 

 

 

「ひとりでやってんじゃねーよ。ハルちゃん。」

 

「こちとら歴戦の医療班だ。切断部の再生くらいなんてことないわ!」

 

「早く輸血器具持ってきて!保管エリアは崩壊してないでしょ!?」

 

「第一種警戒体制解除!ゆかり嬢ちゃんがやってくれた!暴走した神霊の鎮静化を確認!別の直轄医療区より医療班を!」

 

「凄いレベルの神力ですよ!これは記r「バカ野郎その前に被害収束だ!さっさと瓦礫運ぶ用のトラック回してこい!」

 

「この病院、崩壊の危険性が...」

 

「お得意の錬成術はどうした。壊れかけの建物くらい、補強できなきゃなあ?」

 

「人払い、認識不全の結界は安定した。病院関係者及び患者、訪問者の一時避難完了。関係者を除き、記憶処理を開始しろ。患者には医療班と当たれ、術の影響により思わぬ症状悪化があるかもしれん。」

 

「一帯の気の調整を急げ!ここまで強い神力だ、下手すりゃ霊脈が動く。細心の注意のもと影響中和を始めろ。」

 

「大丈夫か!?」

 

「大丈夫だ、ちょっと崩れた瓦礫が当たっただけだ。手持ちの礼装でなんとかなる。それより彼女たちの方に行ってくれ。」

 

「......いや、今はお前が先だ。安心しろ、軽く診たらすぐ行く。」

 

「...わかった。ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

そこは、病院だった。

崩れかけ、煙と炎が微かに昇っている。

 

みんなが一緒に入院していた病院。

そこで彼女の神性が暴走したのだろう。

 

 

 

 

「.......っ....う...ぐぅ....」

 

 

押し寄せる感情の波。言葉にできない恐怖。

飲み込まれそうなほどのそれに、

 

「大丈夫だ。」

 

「そうだ、ハルちゃんのせいじゃない。神様が気まぐれに悪さをしたまでさ。」

 

「気にするなとは言わんが、今は、友達のことを気にしてやんな。」

 

そうだ、また、間違えるところだった。

 

気を張る、想いを強く、力を練り上げる。

 

一瞬で増えていく可能性の枝を見極め、

 

最適を選択していく。

 

ガリガリと削れていく、神力の源泉。

 

 

「.......。」

 

 

突然、エネルギーラインが繋がれる。

回復をみせる神力の残量。

ぎょっとして接続先を辿れば....みかがみ様!?

 

ばっと振り向けば、担架に乗せられたままこちらに笑いかける紡ちゃ「いやまあ、憑依状態だけどね?」....みかがみ様。

 

「ありがとう。あなたもギリギリだと思うのに。」

 

「いや、レイラインだけ残して憑依状態はすぐ解除するから負担は少ないさ。恩人たちに死なれては困るしね。さて、紡のお願いも聞いて、やることはやったし。あとは頑張れ。」

 

そういうと、かれは帰っていった。

 

 

 

 

 

いろんな人が、存在が、助けてくれていることに。

 

嬉しくて、

 

嬉しくて、

 

私は、もう大丈夫だから。

 

 

無限の可能性の先、理想の未来。

 

 

それを遂に、

 

 

捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう暴走の心配はないのかね?

 

ええ、実体化した神霊の快諾もあり、慎重な調査が行われました。

解析結果によれば、神格を形造る基盤構成に、強固な契約が刻み込まれているようで。

向こう100年間は神格の大規模変動は起こり得ないと結論づけられました。

 

ふむ、権能の制限は?

 

限定的ではありますが、契約により制限をもうけられました。

まあ、彼女の性格上、あまり関係のない最低限のものなのですが。

詳細はこちらを。

 

あとで読もう。

では最後に、かの神、エニシガヒメとの協力関係は?

 

問題なく。神格の変動が発生したとしても、この関係は維持されるでしょう。

聞く限り、休眠中の第二神格は純粋に産まれたての神らしい性格と言えるでしょう。

だからこそ、丁重に祀り続ければ、問題はないかと。

 

わかった。

十分な成果だ。君の働きに感謝を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





新年ということで、久しぶりにデータ整理してたら、奇跡的に発掘できた21話の続きです。お前どこに行ってたんや.....


書いた時期のまま修整していないので、そのままの私の書き方です。懐かしい....

神を慰める、鎮める、祀りあげる、言の葉を請う。
たった4つの事だけがゆかりの初期設定の役割だったのですが、何故かここまで話が膨らみ(捏造され)ました。

エニシガヒメは産まれてての赤ちゃんなので、最初から対話よりは力で懲らしめてから対話を持ち込んだほうが効きます。
普通に癇癪地味た大暴れをしますのでなんとか抑え込みましょう。(これで現実世界の病院が半分崩壊。直属の病院だったので情報封鎖、隊員派遣が間に合い最悪は免れた。)
特にコトワリ様の鋏は特効なのでヤダ....ハサミコワイ....となって交渉成功率がアップします。


ハル/エニシガヒメの神域
初めて見知った光景である、みかがみ様の神域が強く影響。
第一層
 ありふれた神社。
 境内を参考に生成した、簡易空間。
 基本的に現実の境内と重ね合わせるように、第一層が展開されている。
第二層
 彼方まで広がる、ウユニ塩湖のように空を反射する浅い湖。
 至るところに突き刺さる、沢山の赤い鳥井。
 鳥井同士を、鈴で装飾された赤い糸で結んでいる。
 常に、朝を迎える一歩手前の時間帯で停止している。
第三層
 鳥井をくぐれば、そこは夜の町。
 ハルの記憶と想念より形作られた、心象領域が広がっている。
 人も、お化けも神様もいない、ただのハリボテ。
 だけど、これは、友達と見た景色だから。




目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。