ただその桜咲く姿を見たいがために (ゴルシールド21)
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part1
Ladies and gentlemen. Boys and girls.
ようこそお越しいただきました。覚悟の準備は済んでいますか?
それでは本日も開始していきましょう。皆様も大好きな因子厳選のお時間がやってまいりました。
最底辺の目覚めを超えてURAシナリオ最初の朝が訪れましたね。
さてとりあえず相変わらずの吐き気がするんでトイレにでも駆け込んでおきましょう。安定ですね。油断して少しでも時間を開けるとベットがすごいことになるので気を付けてください。トレーナーの宿舎には基本的に人は入ってくることはありませんが、あまりにも異臭や不自然な行動をしているとトレセン学園全体の好感度が下がっていくので注意が必要です。まあ元から悪い目覚めがより一層酸性の臭いで汚染されますし、そういった意味でもベットにゲロるのはやめてね。
とりあえず出せるだけ出せたら口元を濯ぐのを忘れないようにしましょう。口臭には気を付ける。これ人としてののマナーです。
相変わらずの寝癖と冴えない顔が鏡には映っておりますが、何故かわかりませんがウマ娘にはわりかし好評なんで便利ですこの顔。気に入ってはいないけど便利な顔に対する評価ってどうすればいいんですかね。
さて時間は無限にあるわけじゃありません。トレーナーに見える程度にはしっかりと身だしなみの方を整えて学園に向かう準備をしましょう。
始まりをどう迎えるのか割かし重要です。特に目当てのウマ娘がそういった副次的な理由でスカウトできないとモチベが下がりますからね。まあ別にリセットはそこまで難しくないんで取り返しがつかないけどつかないわけじゃないです。
あぁURAシナリオってのは幼女理事長が考案したURAチャンピオンズっていう大会までの3年間の育成期間のことですね。別に他のウマ娘とかトレーナーがこの用語使ってるのは聞いたことありませんけど。どうせやることの大筋は一緒ですしめんどくさいからシナリオって呼んでます。
とりあえず今回の初日は目的のウマ娘の選抜レース日っぽいので、さっさと準備してトレセン学園に向かいましょう。これ以上トイレにこもって吐いてる場合じゃありません。
いやーいい天気ですねー。うっとおしい程度には。
さて、学校に行く道すがら、因子厳選ってなんじゃろなって話でもしていきますか。
因子ってのはなんとなくわかるとは思いますが、まあ要するに担当するウマ娘を構成する要素のことですね。何が得意とか何が苦手とか、そう言った一つ一つの個性や特色の要素が因子ってやつの集合によって生まれてるって考えてもらっておけです。
例えば芝が得意なウマ娘に、よりその因子を強くしてあげたり。逆に、少し苦手だけどシナリオ上走らなければいけない距離や状況を補填することだってできちゃいます。
え、他のトレーナーが聞いたら卒倒しそうな話だって?大丈夫。聞いた人は例外なく卒倒してるから。
いやそもそもなんでそんなもんお前が操作できんだよ本人でもねぇのにって方。意見を代弁していただきありがとうございます。こちらとしてもそう感じておりますし、残念なことに理屈の方はいまいちよく分かってません。
というのも何周も重ねながら試してみて分かったんですが、この因子操作と付与能力はこっちに宿ってるっぽいんですよ。ウマ娘の方じゃなくて。
最初は経験によって教え方が上手くなっただけかなーとか思ったりしてたんですが、そんな簡単な話でもなかったみたいです。
ていうのも、なんか毎回必ず担当したウマ娘は特定の期間中に我が校のシンボル女神像からお告げと加護貰ってるようで、本当にオカルト半分SF半分みたいな状況が起きてます。
そして誰から貰うかってのも操作できるっぽくて、まあ何をっていう部分はあっちの気分次第みたいなんで知りませんが。
なんだよその超能力世界線間違えてない?って方もいらっしゃると思うんですが、まあ同じ3年間をループし続けてるやべえ奴がここにいるんで、こちらとしてはそこまで疑問がないんですよね。まあシステム上きっとそういうもんで仕方がないって納得した方が早いですよ。知らんけど。
話を戻しまして。その因子ってやつは「誰から」引き継ぐかってのは、こちらがそのウマ娘を覚えてさえいればいくらでも操作できるんですが「何を」引き継ぐかってのは運命様にお任せなんですよ、残酷なことに。
お分かりだとは思いますが、距離やバ場、脚質なんかってのには適性がありますし、それ故にそれぞれのウマ娘で必要な因子は違うんですね。
つまりそいつを欲しいもんが来るまで無数のウマ娘を育てて精査するってのが、この因子厳選って業の正体です。
まあ、引き継ぐ因子の強度や傾向はある程度育成方法で指向性を与えられるっぽいんで、全くのブラックボックスってわけでもないです。乱暴に育てても意味ないってことですね。
そんなこんなで、とりあえずの目的はこれから3年間をかけて担当のウマ娘にURAチャンピオンズのトロフィーを取ってもらうことですね。
さて、それじゃあいよいよ核心に迫っていきましょう。
今回の周は誰でやるかって?
皆様ご存知、最強のウマ娘としてまず名前が上がるであろうトップオブ頂点。シンボリルドルフさんです。
理由の方を説明.......おっと不味いですいったんそんなことをしている場合じゃありません。
前方に天災が現れましたので道を変えます。あからさまに路地裏に入ったりすると怪しまれて逆に目を付けられるので注意が必要です。普段は入らないコンビニに入る程度の道変更で経験上は大丈夫なのであからさまな態度はなるべく取らないようにしてください。
いやー姿は綺麗ですし実際強いから別に悪くはないんですが、彼女のシナリオに入るとかなり荒れるので精神衛生上良くないからできれば避けたいんですよね。
まあ、大体の人からしたら天災って言ったら誰かわかるでしょう。ドーナツを長さの単位と間違えてる女です。
よし、麻袋を持った自称ウマ娘がこの場を去ったようなのでついでにコンビニで昼食を買って学園に行きましょう。
ふぅ。話を戻しましょうか。そう、今回選ぶっていうか、かなりの周でお世話になってるシンボリルドルフさんを選ぼうとしている理由ですね。
一つはシンプルに能力が最強格であることですね。純粋にひたすら強い。正直並大抵のウマ娘じゃ刃もたたないレベルの能力をすでに最初から持ってます。ダイヤの原石というかダイヤです。それも最高クラスの。
なので因子厳選の難易度自体が非常に低く、また途中でループに入ることも少ないので時間の無駄にならないケースが多いです。
あ、そうそう。目的がURAシナリオ完走だとして、それ自体は確定事項ではありません。要するに、3年間絶対にこの世界線にいられるわけではないということですね。
とまあ、それが二つ目の理由になってきます。というのも、何があろうとチャンピオンズが終了した時点で、この世界とはおさらば。ループに入らなければいけないんですよ。
その先は絶対にありません。どれほど担当ウマ娘と絆を深めようと、どれだけ勝利を収めようと、どれだけウマ娘業界にとって大切な存在になろうと、その先はありませんでした。
なので、要するに最終的にはこの関係性を捨てることになります。
実際のところその後この体と人格がどうなってるのかは知る由もないことなので、もしかしたらこの世界の先では普通にそっくりさんがそのまま共にいる可能性は無きにしも非ずなので何とも言えませんが。
まあ推測で言うとするなら、多分消えてるか死んでます。一応ループに入る条件の一つに死があることは自死して確かめたことがあるんで、まあ良くて廃人か脳死、悪ければ死体か存在抹消あたりじゃないですかね。知らんけど。
ということでさすがにウマ娘にとって自分を支えてくれた存在がどうやっても3年後に死ぬか消えるってなると、罪悪感というか配慮をしなきゃなあと思うわけですよ。はい。
そうなってくると.......さ。いるじゃないですか。やばそうなウマ娘。具体的に名前は挙げませんけど、そういった子たちの未来を自分からつぶしにいく気はないです。
あとそういったウマ娘を育てた後の周回ではなんか普段より吐き気と頭痛が半端ないんで健康維持のためにも気を遣っております。
で、問題のルドルフはというと、基本的にその辺大丈夫です。はい。
というのも、ルドルフは周りにも凄く恵まれています。エアグルーヴやナリタブライアンはもちろんですが、後輩や教師陣、業界のみなやファンの方々含めて彼女を支えようといない存在はいないレベルで今後慕われていくことになりますし、彼女にはその価値があります。
無論隣で支えてきた人がいなくなるってのは痛いかもしれませんが、誘導には慣れています。こちらに過度な依存はしないようにしたうえで、支えるところは支えるという適切な距離を保てばいいだけです。踏み込みすぎは厳禁ですね。
なので、まあ、百歩譲ってほかのウマ娘に比べたらマシな部類ではあります。それでも非難は受け入れますけど。
それで最後の理由が、と。そんなこんなでもう学園についてしまいました。
急ぐことはないです。ルドルフは他のウマ娘のようにエンカウントがランダムイベントだったりしないので、ルートに入ること自体はそこまで難しくないです。本当は彼女の求めている答えを導き出すのが難しいんですが、答えは知ってますからね。選抜レースの際もそこまで場所取りが必要ないですしお寿司。
ということで時間までトレーナー室で暇つぶしでも、と思っていたのですが。理事長に声だけでもかけておきますか。
秋川やよい理事長。俗にいうチビっ子理事長。まだ年も多分幼く、それでいて活動的で熱心だからたまに空回りする理想主義者やマスコットのように思われがちな方。
あーやっかいだー社会を知らない子供の駄々かよーと舐められがちですが、その評価は大抵の場合間違っています。たまにただ幼女っぽい時がないとは言いませんが。
彼女は非常に優秀です。理想に準じていますが、それ故に自身の身を削ることを厭わないし、自身の弱みを見せないようにする強さも持っています。思慮深すぎるとは言いませんが、安易な選択やその場しのぎの選択は特に誰かを傷つけたり将来にかかわるような時には絶対にしないような人でもあります。良くも悪くも不器用なので。それ故に一人でぶっ倒れて泣きながらでも足掻くしそれはそれで厄介ですが。
と、理事長の評価はおいておきまして、彼女との関係性の構築は必ずしておきましょう。いろいろ助けになってくれるってのはありますが、それ以上に彼女だけが必ずと言っていいほど持つ要素が大きいです。
さて、理事長室にノックをして待ちましょう。社会人の基本入室の際は3回です。ちなみに理事長にはこの時点で認知を貰っているはずなので「誰だ君!」と押し返されることはないです。
返事がないのでいないか寝てます。もしもいるのなら起こしましょうそうしましょう。
ということで無駄にくそでけえ引き戸開けるとそこには全身緑の酔っ払いと、異様に語尾の強い幼女が。
いませんでした。クソ乱数ですねクソ。ここまでご足労してやったのに。悲しいです非常に。
むかついたんで3連舌打ちをかまして扉を閉めましょう。全く、時間の無駄でしたね。こんな大層な装飾施して居心地いい部屋にしてんだから居ろってんですよ。これに比べたらトレーナー室とか倉庫か牢屋みたいなもんですよ全く。
暇になりましたね。もういっそのこと数時間前から場所取りしてるガチ勢にでもなろうかな。他の人からしたらたった一度の選抜レースかもしれませんけど、こっちからしたら何回見たかもうわかりませんよ。
ですよね理事長。どうせルドルフが選抜レースごときで調子崩すわけもないんで出来レースですよ出来レース。見ないでもこの瞳の裏にどれだけ残酷な差が他のウマ娘と既に開いているのか焼き付いてるって。
はー。でも見てないとフラグ立たないし行かなきゃいけないんですよね。仕方ない。とりあえず早すぎるくらいですが外で他の初々しいウマ娘でも眺めてますかね。
なんでとりあえず理事長掴んだ服の袖放してもらっていいですかね。ちょっと急用思い出したので。たづなさんもちょっとどうにかしてくださいよ理事長。こっちも今は仕事中なんで遊んであげられませんから。
ね。後で遊んであげますから。どうせ理事長の好感度は上げとかなきゃいけないですからね。なんでとりあえずその張りのいい声を出すために深呼吸しないでほしいのですが。挨拶しにきただけなんで、こんな新米トレーナーにそんな顔しなくても良くないですか。
ああ。だめですかそうですか。
はー。されましたねー。説教。一ミリも笑顔から顔の筋肉動かなかったんですけど、この世界のたづなさん大丈夫でしょうか。
とりあえず許されましたし間に合いましたし接敵も済んだので結果オーライです。正座させられながら理事長に説教されるのとか何周ぶりでしょうか。よく覚えてないレベルで珍しいレアイベントを引けましたね。良いかどうかは置いておいて。
はい。とりあえずルドルフの選抜レースは無事いい結果で終わりました。何一つ面白いことはないです。ただ圧勝。もはや蹂躙ですらありますね。
ちなみに場所取りのコツですが、他ウマ娘と比較してもルドルフのフラグを立てる際には基本的に目立つ必要はありません。彼女は一人としてトレーナーの顔を忘れていないので、いたという実績さえ作れれば明日の朝にエンカウントイベントが起きます。
はー。トレーナーの仕事楽ー........ではありませんもちろん。そもそも自分で専属のウマ娘探すシステム自体がだいぶ実力主義ですし、結果出せないトレーナーの人権なんて毛ほどもありませんからいい意味でも悪い意味でも実力のないトレーナーはすぐ消えます。まあ、トレーナーの良し悪しなんて結果一つじゃ測りきれなかったりもしますし、そういった意味でも理事長は凄い人ではあります。なんでまあ新米の頃は焦る人も多いですし、そうだった気がします。もはや遠い過去ですが。
さて、仕事が終わったらすぐに帰りましょう。奴に見つからないうちに。俊敏に鋭敏にひたすら早く残業なんてしないで帰りましょう。
え、なんでここまで「例のあの人」を避けてるのかって?そこまでやる必要あるのかって?
残念なことに、あるんですよ。これが。
まあ、名前を挙げてしまいますが。ゴールドシップのルートに入ることを嫌に拒絶しているのは、何も彼女が意味わからないくらい意味が分からないからではないです。その要因が0とは言いませんが、一方でゴールドシップは明確に強いウマ娘でもあります。正直勝つことだけを重視するのならゴールドシップは少なくとも育成を間違えなければ安定してURAシナリオを完走できるウマ娘です。もちろん気分屋でもある彼女を制御することは困難で、ほぼできないですが、一方で信頼を注げばそれを裏切るほど薄情なウマ娘ではありません。むしろよりその血をより高ぶらせます。結果は彼女をどれだけ信じるかにちゃんと比例するある種漢気あふれるウマ娘とも言えるでしょう。
問題はそこではなく、むしろその点が優れすぎていることにあります。
ゴールドシップは第三者視点では非常にヤバい奴、正気度がゼロのウマ娘に映りますし、間違ってはないですが、実際はそれ以上に怖いくらい人を見ています。偶然か必然か、彼女に部分的にしろ救われたウマ娘やトレーナーも少なくはありません。要するに、見た目や生活態度以上に、賢すぎるんですね。勘が良すぎるといってもいいです。
まあ、そんなわけで結局何が言いたいかというと。ゴールドシップは他のウマ娘や人々と比較すると圧倒的な確率で、ループしていることに気づくウマ娘です。
この点は理事長も同様です。もちろん比較すると、という意味であって頻繁に起こるわけではありません。ですが二人は稀によくある程度には気が付く人たちです。
そして、冷静に考えてみましょう。子供ながらに背負うことを知り責任と共に優先順位を明確化できる理事長ならまだしも、すべてを理解したうえで己が信念と欲求に従う天才の頭脳を持った天災ことゴールドシップがそんなことに気が付いた場合どうなるか、想像できるでしょうか。
まーじで荒れます。もうこの世の終わりかってくらいに。本人が荒れるのもそうですが、もはやこの学園自体を巻き込んで荒れに荒れます。とりあえずもう二度とそうなりたくない程度には嫌なレベルで。もうほんと勘弁してください。
と、いうことで。ルドルフを選ぶ最後の理由がそこになります。
彼女も二人と比較すると一つ格は落ちますが、しかし一方で流石と言わざるを得ないというか。他のウマ娘とは一線を画すレベルでやはり勘が鋭いです。つまり、彼女も気が付く可能性のあるウマ娘だということですね。
そのうえで、シナリオを継続することをほとんど確実に許すほぼ唯一のウマ娘が、シンボリルドルフなんです。
先ほどループ発生条件として自死を挙げましたが、トレーナーとしての専属契約続行不可時も同様にループが発生します。偶然が重なり奇跡的にも担当していたウマ娘がこの件に気が付いた場合、大抵の場合は拒絶か失望されます。
特にこの件のせいでループするのはエアグルーヴですね。意外と思われるかもしれません。
前述した条件的にエアグルーヴは非常に当てはまるウマ娘なのですが、残念なことにこれが発覚した時点で基本的には確定でその時点でシナリオが終わります。もちろんエアグルーヴ自身もこちらに対し失望するという要因もありますが、それ以上にそのルートでのシンボリルドルフは絶対にそれを許しません。
ルドルフは大前提として非常に周りの優先順位が高いです。価値を自身よりも周りに見出すタイプですね。誰かのために強くなれる主人公みたいなウマ娘です。なので自身の価値を客観視できないという弱点もありますが。
と、まあそんな理由で、当事者か否かで彼女の怒りというか失望のボルテージは大きく差があります。特にエアグルーヴと、それに伴う環境に対しては非常に気を張っているので、ある種裏切りにも思えるその事象を何があろうと許しません。
逆に、自分のことになると、悲しく.......はあるのでしょうか。まあわかりませんが、利用する方向性に行くことが多いです。言ってしまえば3年後に確実に消える代わりに、そこまでの軌跡や経路を全て知りほぼ確実に大成することを確約する存在ですからね。割り切ってしまえば、これほど使い勝手のいいトレーナーもいないでしょう。
まあ、割り切りきれないも知ってますし、その涙も見てきましたが。何かをいう権利はありませんし、それでも前に進むのがシンボリルドルフです。彼女にはそれを支える人たちもいるので。
そんな身勝手な理由でシンボリルドルフを選んでいるわけですね。
あ、他の人たちはどうかって?
たづなさんは割とルドルフの次くらいには気づいてそうですね。「そう」ってぼかしたのは、たづなさん基本的にわかってもギリギリになるまで気づいていることを言わないのでどのタイミングかってのはわかんないことが多いんです。他人のセンシティブな話題にガンガン踏み込む人ではないので。
あとは、セイウンスカイやグラスワンダー、タマモクロスくらいですかね。警戒してるのは。ちなみにエアグルーヴは本人が気づくことはほとんどないです。
え?桐生院?逆に気づくと思います?誰しもが気づいてても、彼女だけ気づかなそうですけど。今のところは一度もないんで多分ないんじゃないですかね。
とまあそんな感じで、明日が一応彼女のルートに入る分水嶺ではあるので、備えて今日を終えるとしましょう。
今回の周ではそこまで吐き気が強くないので大丈夫ですが、無理せずエチケット袋を枕元に常備することをお勧めします。もしもの時にないと不便ですので。
それでは、また明日。ちゃおー。
さて。やってまいりました。
いくつかルドルフに会う前に彼女を安定して攻略するための傾向を確認しておきましょう。
まず、あまりこなれた感じを出してはいけません。あくまで新米トレーナーであることを意識しましょう。別に彼女がそういった意識高い系トレーナーを差別しているわけではないのですが、あまり好感を得ることはできません。彼女はもうそもそもが優秀すぎるくらいなので、そこをトレーナー側に過度に求めることはありません。もちろん有能であることは加点対象になり得ますが、あまりにも彼女を束縛するほどの固い価値観持ちとはそもそもルドルフと相性が致命的に悪いんですよね。
ちなみに、彼女を超えるほどの有能太郎になった場合も逆に切られる方向に話が進むケースが多いです。それは彼女が優先するのが根本的に自分ではないからですね。独占欲は高いですが、逆にそこをコンプレックスに思ってる節もあるので、手放されちゃいます。
とまあ何が言いたいのかというと、対等でありたいと願うと同時に等身大の自分を演出することを忘れないようにしろってことですね。
はい。ということであえて気づかないかどうかギリギリ程度に髪のセットを手抜きしました。頭に触角を生やすのがポイントです。あれ、こいつ狙ってる?とギリギリ思われる範疇です。
お、トレーニングコースに既にいるようですね。ここで自分から話しかけるのではなく、彼女が気づいてくれそうなタイミングを見計らう形で歩幅を調整しましょう。
よし、周りにもトレーナーはいないようですし特に問題は......ないはずだったんですけどねぇ?
......Why。ナンデココニ、リジチョウガイルンデスカネ。アレレ、ケイサンガクズレタゾォ?
あ、やべ。こっちの視線に気が付いてリジチョウがこっちに手招きしてますね。
はあ。まじで仕事しててくれよあんたウマ娘をいちいち見に来るほどまじめな人だけどさあ。今日くらい休んで部屋で寝ててくれてもいいじゃないですか。別にトレーナーじゃないんだからこんなスカウトが盛んな時期にわざわざ出張ってくる必要ないでしょうが。
えっと何?今後のウマ娘の業界全体を左右するほどの逸材と誰が組むのかはとても重要?それで逆にルドルフ自身が気負いすぎてないか確認しに来た?
............スゥー。あれ。何も言い返せない。
ねぇ理事長。なんでそんな急に正論で殴ってくるの?何泣けばいいの?泣けば許してくれんの?自分勝手な理由でここまで来たこともう気づいてて殺しに来てるの?何一つ間違って無くて泣きそうなんですけど。
でもくじけません。理事長がいたからってルドルフのスカウトにはきっと何の問題もないはず。きっと華麗に機体の新人ってことで紹介されて、優雅にもルドルフに笑顔で「君は何故、私の所へ来た?(キラッ)」って言われるはずです。大丈夫われらが幼女を信じましょう。
よし素晴らしい理事長。ちゃんと優秀で期待している新人トレーナーであることをルドルフに強く説明してくれました。ルドルフも強く頷いていますしこれは来ましたね勝ち確定です(゚∀゚)キタコレ!!。
握手を求められました。よし。勝った。第一部完。あとはあのかっこいいセリフを待つだけです。
........?あら?ルドルフに少し待っていてと言われました。まあ別に用事はないので大丈夫ですけど。理事長を撫でて反応でも見て遊んでますか。
あーよちよちーおちごとがんばってえらいねぇりじちょうー。あははー。そんな凄んでも無駄ですよ。所詮は幼女。愛でる対象であることに変わりはありません。
あ、やっべたづなさんがみてた終わった。死ぬかもしれん。逃げたい。
ルドルフ早く来てくれないと緑の悪魔が近づいてくるんでなんとかしてくれないですかね。まだループに入るには早いと思うのですが。
あ、ルドルフとたづなさん合流しましたね。死んだかな。好感度やっちまったかもしれません。第一部終かも。
とりあえず理事長には謝っときましょう。悪気はなかったんや。癖なんや信じてくだされ。
でも、わざわざたづなさんを呼びに行ったんですかね。わざわざそんなことしなくても別に一応同僚みたいなもんなもんですし昨日会いましたから今会わなくても......
あ、やばいマジで終わった。まってヤバい失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した。
なんにせよ状況が終わっています。拒否できるわけない。そんな事理事長がいる前でできないし理事長はまだしもんなことしたらルドルフがスカウトされてくれるわけない。
逃げたいまって逃げたいです。一旦この場を離れたいこのままだと未来が決まるいやだちゃんと死ぬのは痛いんですよやろうと思えばできるだけなんですよ。別にやんなきゃいけないなら躊躇はしませんけど。
助けてゴールドシップ来てくれゴールドシップ今こそ君の出番だ君にしかできないことが今ここにある君にならこの現状を崩壊させられる。
ほら。視界の隅にいるじゃないですか金ぴかの宇宙戦艦が。今こそ君の持ってるその手のゴルゴル印の麻袋の出番だ。大丈夫。君ならこの視線に答えてくれるって信じてるから。だからもうポージングはしなくていいからこっちに来てくれないでしょうか。もういいんだってそのポーズが気に入らなかったわけじゃないから。ね?
あ。こっちをちゃんと見てくれました。気づいて.......くれたんだね?
笑顔でサムズアップされても......困るなあ。
角度の問題ではないんですよぉ。正面から見たかったわけではない......
あ。喜ばしいですね!そんなこんなで無様な抵抗してるうちに刻限がきちまったようです旦那。さらば愛しき安寧の周回ライフ。おいで愛しき鬱シナリオ。
たづなさんとルドルフに挟まれてやってまいりました中等部期待の星。ではないのですが。
アハハー。カワイイナァー。モフモフシタイナァー。
隣に会長隣にたづなさん目の前に理事長+触角トレーナーで流石にテンパっているわれらがヒロイン。
そうその名はーーーーーーーーーーーー
ナーーーイスーーーーーーーネイチャーーーーーーーーーーーー!
やったね!いつの間にか商店街になってたようです!就職先は決まりましたね!
......あの。希望の条件聞いてました?どこのブラック企業ですか?ここ。
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