目が覚めたら死亡フラグしかないクローンでしたとミサカは報告します (妹達10032号)
しおりを挟む
第一話
目が覚めたら、何故か液体の中にいた。
肺呼吸をする生物として、息が出来ないという現状に対し、反射的に混乱と恐怖が頭を支配する。必死に酸素を求めて動き出すが、今は液体の中にしかいない。オレが必死にもがいたとしても、酸素を体内に求める事が出来ない。
……あれ? 普通に息が出来てる?
肺の中に液体が満ちている感覚があるのに、息が出来る。そんな何とも言い難い感覚が本当に気持ち悪い。一体何が起きているのかと疑問を抱いてしまうが、その疑問を解決する手掛かりも無ければ、予想する事すら出来ない。
肺に液体が満ちながらも、息が出来るという違和感にも多少なりとも慣れてきた。違和感に慣れた事で出来た余裕を使って、周りを見てみる。そして、周りを見た事で分かった事はオレの周りには、狂気的な光景が広がっている事しか分からなかった。
思わず吐きそうになってしまう程の気色悪さを感じてしまうが、口と肺の中に謎の液体が充満していて嘔吐く事すら満足に出来ない。
周りに広がっていた光景は、同じ顔をした少女がオレと同じように液体が満ちた容器の中に入れられている。それと同じ物が360度見渡しても、終わりが見えない程に大量に設置されていた。
世の中に同じ顔を持つ人が3人いるという事を聞いた事はあるが、片手、両の手では下らない程に同じ顔が周りに広がっていた。まるで複製したかのように。
明らかに常軌を逸している光景に暫しの間、思考が数分ほどストップする。
再起動を果たした今でも、今のオレの現状、周りに広がる狂気の光景、ありとあらゆる事に理解が追い付かず、思考は停止と再起動を永遠と繰り返す。
だが、永遠のループの最中、ある事実に気が付く。オレが入る容器に反射して、僅かながらオレの顔が見える。そう、幼女の顔が。周りに幾百と広がる少女と同じ顔が。
ふぁッ!?!?!?!?!?!?!?
オレは成人した男の筈である。にも関わらず、容器の鏡に反射しているオレの顔は、小学生にもなっていなさそうな幼女の顔。オレには、生憎と自分の顔が女性的だったり、整形した記憶すらない。
1時間にも満たない間にも、幾つもの衝撃を経験したおかげか、違和感等に慣れる事が早くなってきた。
多少落ち着いたが、オレの持ち前の低能で必死に考える。
ここで目覚める前の最後の記憶は、夏休みを通して「とあるシリーズ」というラノベの一気読みを行っていた。ラノベを読む人なら大体は知っているだろうし、ラノベに疎い人でも聞いた事がある人はいるだろうという超人気作品である。原作は50巻以上。スピンオフ作品も膨大な数を誇る創作品なのだが。
それの一気読みというのは、それなりに疲れた。全て読み終わるのと同時にベッドに突っ伏したのである。それで目が覚めたら、これである。
うん、訳が分からない。
一体全体、何が原因で、何があって、何でこうなったのか、起承転結の全てが全く分からない。疑問しか湧かず、何とかしてここから抜け出そうかと思ったその時、視界の端から白衣を着たウェーブの掛かった髪とジト目が特徴的な女性が現れた。
誰だコイツ。口が開いたり、閉めたりしている事から喋っている事は何となく分かるのだが、オレが容器の中にいるせいか、何を言っているのか全く分からない。
その女性の左胸の部分に名札が付けられているのが見える。水の中にいるせいで多少見えにくいが、目を凝らしてみると、何とか読めた。
名前は「布束砥信」であるらしい。
……うん? 何処かで聞いた事がある名前である。そう、最後の記憶で読んでいたとあるシリーズに出てきた名前だ。ある目的の為にクローンを複製する研究員であったが、他の研究員は複製したクローンを目的のための実験動物ぐらいにしか見ていなかった。
だが、布束さんはクローンに情を抱き、色々と画策した研究者である。活躍する場面は少ないが、個人的に好きなキャラの1人だ。
要するに、オレが知っているとあるシリーズの布束さん砥信と目の前にいる布束さん砥信は、名前、容姿、全てが合致している。
ちょっと待てよ。まさかとは思うが、1つの予想が出来てしまった。
そういえば、周りにいる幼女やオレの顔には見覚えがある。幼女の微笑ましさを持った顔。肩まである茶髪のボブカット。それはとあるシリーズにて幾度か描写されていた「御坂美琴」というキャラの幼女姿そのもの。そして、オレの何の感情も映さない無表情に、ハイライトのない瞳。
ちょっと待てよ。オレは、知ってるぞ、これ。この顔。
オレってば、まさかの
いやいや、ないない。これは夢に違いない。寝て起きたら、何の取柄もないオレがとあるの世界にいて、
きっと、1回寝たら見慣れた天井が見えるに違いない。そうに決まってる。
そうと決まれば、お休み。さらば、とある夢想の想像世界。ようこそ、とある現実の平凡世界。お願いだから、夢から目覚めてくれ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はい、あれから1週間半程経過しました。ここが夢ではない事がよく分かりました。
オレが入っていた容器は、培養器であり、オレというクローンを成長させる為の機械であった。そして、大体中学生程度の身体にまで成長した辺りで培養器の外に出されたのである。
流石は学園都市上層部公認の裏施設とでも言うべきか、研究施設はそれなりの広さがあるようで、クローン各々に狭いが、独り部屋を与えられている。
天井にカメラが付いており、四六時中監視しているのでプライバシーもへったくれもないが。クズ研究員共にとってのオレ達は、単なる
ただ、オレはオレであると他の
ちなみに、改造に必要な部品は布束さんから貰った。やっぱり、布束さんはこんなクズだらけの施設の中の唯一の良心では無かろうか。
そして、今は
オレも学生時代にこんな装置が欲しかったです。
ただまぁ、知らない筈の知識が頭に埋め込まれるのは、中々に気持ちが悪い。
「今日の分は終わりよ」
オレが付けていた
「
そう、オレは彼女に話があると言っておいた。きっと、他の研究者にこんな事を話した所で一蹴されるのが、オチだろうが、クローンであるオレ達
それに彼女も研究者。命令通りに動く感情無きクローンであるはずのオレが自発的な行動を起こす事に何らかの興味を示す可能性が大きいとも思っていた。
「オレの外出の許可が欲しいとミサカは貴方にお願いします」
オレの口調は、強制的に「~~とミサカは○○します」という特徴的な口調に変換されてしまう。どう足掻いても、この口調は変えられなかった。「オレ」という一人称は、強制される口調へのほんのちょっとした抵抗のようなものである。最初は、この口調はバグだと判断されたが、どこを見ても異常が見られなかった為、放置されている。
まぁ、それはさておき、外出許可こそが布束さんへのお願いである。
オレのそのお願いは、余程に想定外の事であったらしい。一目で分かる程に目を見開いている。
「……理由を伺ってもいいかしら?」
その顔を見ると、どうやら中々に好意的な印象なのかもしれない。布束さんは、
「オレたち
ただの素人が思い付いたような言い訳である。やれ、布束さんには好意的な印象を与えるとか自発的に行動して研究者としての知的好奇心を抱かせるとか頭良さそうに言ったが、ぶっちゃけ断られる可能性は99.9%ぐらいと思っている。
駄目だろうなぁとか思いながら、考え込む布束さんを見つめる。やがて、口を開いた。
「とりあえず上に申請してみるわ。
おぉ、まさかの返答である。ただし、了承した布束さんもあまり申請が通るとは思ってもいない様子だ。それはそうだろう。
ただし、布束さんとの大きな関わりを持てた事を大きな成果と思っておこう。
「失礼しますとミサカは挨拶をしながら退室します」
部屋から出て、オレの部屋へと歩いて行く。
……どうせ駄目なんだろうなぁ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「外出の申請通ったわよ」
今日の分の
「
からかい半分で布束さんの真似をすると常時よりも更にジト目と化している。
「……貴女、
施設の研究者達に何度か変な装置を付けられ、検査された事もあったが、検査結果はよく分からないというものであった。まぁ、脳も身体も
魔術サイドなら違いぐらい分かりそうだが、科学サイドであるこの施設ならば、調査するのは難しいのかもしれない。
勿論、それを馬鹿正直に言う訳がない。良くて実験祭りか記憶消去、悪くて解剖である。「前世が男なんです」とか言えば、間違いなくエラーでも起こしたと思われるだろう。オレの頭の初期化が行われるか、能力者に記憶を覗かれれば、前世を持つ稀有な実験動物として脳を解剖される光景が目に浮かぶ。
「オレは至って普通の
勿論、嘘ですとミサカは内心で自分にツッコミを入れます。なんて変な言葉を内心で呟く。
「……それもそうね。
やべぇ、まさかの方向に飛んで行った。ただ単純に本当の事を言える訳がないから否定しただけなのに、ネガティブな捉え方をしてしまった。確かにそう捉える事が出来るかもしれないけど、思考がネガティブ過ぎじゃないだろうか。
オレ個人としては「人を異常呼ばわりしてごめんなさい」程度の答えを予想していたのに、重すぎる返答に思わず詰まってしまった。
「あ、えっと、決してそんな意図はなくてですねとミサカは慌てながら否定します。いや、一人称が「オレ」だったり、髪形を変えたり、ゴーグルを改造したり、他の
「ふふっ。もしかして、慰めようとしているの?」
どうにかして先程の言葉を撤回か訂正しようと四苦八苦しているオレの様子を見てか、布束さんに笑われてしまった。その笑いを聞いたおかげでオレの思考が冷却化した。上手い言葉が見つからず、何とかしようとしている自分を顧みて、恥ずかしくなってきた。
相も変わらずオレの表情筋は仕事をしないのでバレる事は無いだろうと思うが。
「それで外出についての注意事項が幾つかあるわ」
やはりと言うべきか、外出許可には色々と制限があるらしい。
他の
他にも色々と注意事項はあるが、大事なのはそんなものだろう。
外出許可の目的は、大きく分けて2つ。
1つ目は原作をこの目で見てみたいというのがある。原作を知っている者として、それを直に見たいと思うのは当然だ。
そして、2つ目は早めの内に
何故かって?
まず、オレの製造番号は10032号。
そんな死の運命から逃れ、どうすれば生き残れるかを考える必要があった。
考えた結果として、
だからこそ、あいつの内側にさえ入ってしまえば、実験の最中に躊躇ってくれる可能性が少なからずあるのではないかと考えたのだ。故に、早めに接触して、
オレは死亡フラグしかない
布束さんの口調を書くのむずくね……?
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第二話
ボストンバッグ一杯に詰め込まれた銃火器を持って、外に出て来た。人通りが少ない夜の時間帯に。
今の俺の姿は、顔を見られないように常にバイザーで顔を隠している。服は流石に常盤台の制服そのままは有り得ない。なので布束さんが適当に買って来てくれたフード付きの黒いジャケットを、これまた布束さんから貰った長点上機学園の制服の上に着ているのだが、下はミニスカである。スースーして恥ずかしい。
俺の格好を改めて見てみると、見るからに不審者でしかないのだが、顔バレによって
ふと上を見上げてみれば、バイザー越しに暗い夜空を照らす三日月が見えた。そういえば、生まれ変わって初めて見た月だった。どうせなら、三日月より満月の方が記念日っぽくて良い気がするのだが。でもまぁ、オレに似ているのかもしれない。完全な満月ではなく、不完全な三日月。それとクローンであり、中身は全く別の中途半端なオレ。
……うわ、何考えてんだ。恥っず。
恥ずかしい思考を頭の外に放り出して、隣にいる人物を見てみる。
施設の外に出て来たオレの隣には、布束さんがいた。その手には黒色の携帯機器とカードが2枚置かれていた。それらをオレに差し出してきた。ナニコレというのが率直な感想なのだが。説明を求めるような視線を向けると、布束さんは口を開いて答えてくれた。
「外出記念日という事で幾つかプレゼントを渡しておくわ。私の連絡先を入れておいたから何かあったら知らせなさい。私の権限で出来る範囲ならお願いぐらいは聞いてあげる。一応、貴女を偽名だけど
あれ、思ったよりも布束さんに好印象だったらしい。とりあえず受け取った物を見てみる。スマホに学生証にクレカとな。外出許可を取ってくれるばかりか、自分の連絡先まで教えてくれるとは思わなかった。確かに困った時に布束さんと連絡が取れるのは有難いし、学生証も身分証としてあっても困る事は無い。学生証を見てみると、長点上機学園1年生で名前は「布束忍」である。
……それについては何も言うまい。
だけど、カードとかは流石に受け取れない。ここまでしてもらうと何故か罪悪感が湧いてくる。
「流石にこれは受け取れませんとミサカはカードを貴女に返却します」
貰ったカードは布束さんに返そうとするが、全く受け取る気がない様子。返品は受け付けないという確固たる意思を見せ付けようとしているのか、両手を上げている。仕方ないのでポケットにしまっておくが、あまり無駄に使わないようにしよう。1円も使わない事をまだこの目で見た事のない姉にでも誓っておくか。
そして、ここまでしてくれる彼女には疑問が尽きない。
「オレはただのクローンの内の1体に過ぎません。20000体いる内の10032号。それがオレです。単価18万という安すぎる命の
「……私は優しくなんてないわ。貴女達
これである。オレに自意識が芽生えてから2週間が経過した。その2週間の間に何度か布束さんと話してみたのだが、オレ達
殆どの研究員は自分達が生み出したクローンを人間とは思わない。たった2週間で培養器内で誕生し、中学生程度にまで身体を成長させたのを目の当たりにしてしまえば、それを自分と同じ人間とは思わないだろう。多分、オレも思えないだろう。
結論として、オレ達みたいな
「それでもオレは貴女が優しい人であるとミサカは間違いなく認識しています」
オレが言葉を撤回するつもりがないと判断したのか、布束さんは顔を手で覆って溜息を吐いた。その目から「もう駄目だコイツ」みたいな意志を感じる。手の隙間から見えるジト目は通常時より数割増しのジト目なのだが、俺の目の前では普通になってきたように思う。
「もう分かったから。貴女には何を言っても無駄という事が分かったから。誰かに見られない内に早くここから離れなさい。
それだけ言って、布束さんは施設の中に戻って行った。布束さんにはお世話になった身だし、その姿が見えなくなるまで頭を下げ続けた。
布束さんが見えなくなるまで頭を下げて、目的地に向けて歩き出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……どうしよう。早くも金に困ってしまった。買いたいと思っている物があるのだが、それを買う有り金がない。5000円もあれば充分足りる程度の買い物であるが、今の俺は文無し状態である。ちらりとポケットの中にあるカードを見るが、いやいや有り得ない。使わないと誓ったその日から使うとか有り得ない。
なるべく人目に付かないように裏路地を歩きながらどうしようかと考えていると、何かにぶつかった。顔を上げてみると人の背中があった。
「あ、ごめんなさい。考え事をしていて……とミサカは謝罪を口にします」
ぶつかった人をよく見てみるとそれなりにガタイが良い。てか、明らかに事案現場だった。いかにもチンピラ風金髪の大男達4人が1人の男を囲むようにして立っている。囲まれている男はその場に腹を抑えて蹲り、唸っている。不良のスキルアウトの恐喝現場という事で間違いないのだろうか。
「んだてめぇ……?」
外出する際の注意事項には、目立たない事とか厄介事に巻き込まれない事が含まれていたのだが、こう意図も容易く厄介事に遭遇するとは。目が覚めたら死亡フラグしかない
こういう時は「不幸だ」とか言っておけばいいのだろうか。この世界の1人の主人公の口癖である。そんなどうでもいい事を考えている間は、勿論オレは一言も喋っていない。要するに無視。無視している事に苛立ったのか、男の1人が顔を真っ赤に染めて、口から唾を飛ばしながら叫ぶ。
「無視すんなや! でもまぁともかく。見られたんなら、ただで返す訳にはいかねぇよな!」
オレがぶつかってしまった相手がいきなり大声を上げて殴りかかってきた。ただのトーシローのパンチだし、身を捻る事で容易く避ける。
「こんの野郎ッ!」
ただの不審者でしかないオレに簡単に避けられたのに逆上された。解せぬとかいう言葉が最適なのだろうか。その後も何度も殴りかかってきたが、大振りで遅いだけのパンチなど避けるのは簡単である。
ただ、
「おいおいどうしたんだよぉ? そんな変な奴ぐらいさっさと倒しちまえよぉ!」
オレに殴りかかって来ている相手以外の3人は、どうやらパンチを手加減しているとか思っているらしい。目の前で腕を振るい続ける相手は出鱈目なパンチを何度も撃ったおかげか、それなりに疲れているご様子だが。はてさて、どうしたものか。逃げるか、応戦するか。2つに1つだ。
……あ、良い事思い付いた。
今のオレは金欠ナウ。金が無い。そして、目の前にはカツアゲをしていそうなチンピラ4人組。
もうここまでやればお分かりだろう。つまり、良い金づる見つけたという事である。
オレに迫りくる拳をただ握って受け止める。クローンであるオレの体は弄られているので中学生女子程度の身体にしか見えないが、それなりに身体能力は高い。まぁ、別にオレは殴ったりする訳ではないのだが。オレは
握った拳を伝って、相手に電流を流す。それだけでスタンガンを撃ち込まれたように相手は気絶する。体は崩れ落ちて、地面に倒れる。はい終了。
「てめぇ、能力者か!?」
その様子を見て、残った3人の内の1人が叫び、後退る。その瞳には能力者への嫉妬、畏怖、憎悪、羨望。色々な感情が入り混じった混沌とした感情が見えた。
「相手は1人なんだ! 3人一斉にかかれば勝てる!」
だが、1人がそう叫んだ事で何をどう勘違いしたのか、3人は俺を囲み、一斉にオレに飛び掛かってくるが、上に跳んで建物の壁に立つ事で拳を避ける。非能力者である彼らには、手が届かない高さの壁に立つオレに手を出す事は出来ないだろう。
能力の応用で磁力を操り、建物に埋め込まれた鉄筋コンクリートに作用させる事で壁や天井に張り付く事が出来るのだが、やはり壁に立つというのは些か違和感がある。
「ちっ! 卑怯だぞ能力者! とっとと降りて来い!」
オレに手出し出来ないと分かるや否や、阿呆な事を言いながら地団太を踏む男達。たった1人のオレに3人で襲い掛かってきたこの状況で奴らが卑怯とか言うとは思わなかった。自分達の事を棚に上げてよく言うよ。
男達に呆れながら、視界の端でこちらを呆然と見る男を見る。その男は、スキルアウト達に囲まれ、痛めつけられていた男である。スキルアウト達の注目がオレに向かっている内にとっとと逃げろという意思を示すように見つめ続ける。オレの考えに気が付いてくれたのか、その男はオレに頭を小さく下げてから、路地裏から出て行った。
「あっ、待ちやがれ!」
残った3人の男達の内の1人がその男を追いかける為に走り始める。だが、追いかける男との間に降り立ち、逃げる男を追いかけないように立ち塞がる。襲い掛かってくるが、先程と同じように避けるだけ。特に代わり映えのしない退屈な戦闘である。
ぶっちゃけ、顔しか分からない名も知らぬ人を助けるような善性をオレは生憎と持ち合わせていない。あの人が可哀想だから助けたいとは思わない。ここでスルーしたとして、スキルアウトが逃げた男に追い付いたとして、その結末は想像に難くない。それを想像しただけでなんか後味が悪い。後味が悪いから助けた。それだけである。
さて、あの男もそれなりに遠くに逃げた事だろう。これなら巻き込む事は無いだろう。オリジナルの御坂美琴よりも能力の範囲は狭いが、半径数メートル程度なら余裕で射程圏内だ。
全方位に人を気絶させる程度の放電を行う。蒼い雷光が路地裏を満たし、夜にも関わらず白昼のように辺りは一瞬だけ明るくなる。
男達は濁音だらけの汚い叫びを上げながら、白目を向けて地面に倒れた。
「どれほどの金を持っているのでしょうかとミサカは懐を漁りながら未だ見ぬ金銭に思いを馳せます」
4人の男達のポケットには財布が入っており、中身を覗いて見る。闇の取引でもしたのか、それともカツアゲで巻き上げたのか。どちらか分からないが、財布の中には平均して数万程度のお金が入っていた。財布の1つずつから1万円札と小銭を少々拝借する。これは貸してもらうだけだから。奪う訳じゃないからセーフ。死ぬまで返さないだけだから。
「げへ、げへへへとミサカは万札を見てゲスい笑みを零します」
それにしても、オレの口はどうにかならないのだろうか。自分の感情を勝手に口にしてしまう事が偶にあるのだ。オレ達
周りに気絶したスキルアウト4人組と財布から万札を奪う……じゃなくて、貸してもらうオレという絵面。なお、オレの容姿はバイザーで目を隠し、フードを深く被っている者とする。圧倒的不審者達の極み。
さっさとここから離れる事にしよう。そして、目的の物を調達する事にしよう。
その前にアンチスキルにスキルアウト達が路地裏で気絶していたと一部嘘の報告をしておく。アンチスキルが来る前にオレは退散しておけば、問題ナッシング。
良い物を貰ったよ、スキルアウト達。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
辿り着いたのは夜のスーパー。閉店まで30分程度という事もあって、人の数も殆ど無い。流石にめちゃくちゃ怪しまれそうなバイザーは上げておく。全身黒ずくめでハイライトのない瞳というヤバい姿をしたオレ。人の姿は殆ど無いとは言え、数少ないが人はいる。結果、めちゃくちゃオレに視線が集まる。
この世界で
これからの未来を憂いつつ、割引パラダイスのスーパーを堪能していく。そうは言っても、閉店間近のスーパーなので品薄状態なのだが。残っている品物を見つつ、どんな料理が出来上がるのかを考えながらスーパーを散策する。
スキルアウト達から金を巻き上げた理由は、料理を作る為の食材を買う為である。
それならば、何故料理を作る必要があるのかというと、すぐに分かる事だ。今はHIMITSU☆という事で。
さて、買う物だけ買って、目的地へ向かう事としよう。
……スーパーを散策中に不幸な主人公を見つけたとだけ言っておこう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ここだなとミサカは現在地を確認します」
今の現在地は、とあるマンションの一室である。扉の横にある部屋番号を見てみると310号室。誰の部屋なのかというと……
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第三話
この話を書いてて思った事は「オリ主があまりにもクソガキ過ぎてクズ過ぎる」です。
ご注意ください
インターホンを鳴らす。今の時間は実験は行われていないはずだから、家の中にいると思うのだが、反応なし。ここに来る前にこのマンションのカメラをハッキングして、
もう1回インターホンを鳴らす。反応無し。インターホンを鳴らす。反応なし。
成程、
……そっちがその気ならやってやろう。
インターホンを連打してもいいんだが、居留守をしている
ならば、どうするのか。話は多少変わるが、オレの能力は電気を操る。それを応用する事で磁力の操作、機械のハッキング等が出来る。ここで重要なのは機械のハッキングである。そして、目の前のインターホンは機械です。
もうお分かりだろう。インターホンをハッキングして、毎秒10回程度鳴らすように仕様を変更してやる。はい、実行。
きっと室内では甲高い音が鳴り続けている事だろう。だって、外にいる俺にさえ聞こえてくる程に喧しいのだから。
……あれ、ちょっと待てよ。今更ながらこの作戦の重大な欠陥に気が付いた。
そうすれば、いつか諦めて外に出てくれるかもしれない。
そんな事を思っているとドアが開いた。ドアの隙間から白髪赤目の男の顔が現れる。その目は今から人を殺しそうな程の怒りが浮かんでいる。勿論、その殺意はオレのインターホン操作のせいであるが。殺意を抱く程度にはうざかったらしい。まぁ、出てくれたのでバグらせておいたインターホンを正常の動作に戻しておいてやろう。
そんな初めて会った主要キャラである
「オマエ、何もンだァ?」
そう言われて気が付いた。オレの今の姿は何度も言っているように不審者みたいなものだ。黒いジャケットに身を包み、フードを深く被り、バイザーで顔を隠す変な奴。如何に
バイザーを上げて素顔を晒す。オレの素顔を見た瞬間、その瞳に浮かんでいた困惑は更に深くなった。
「なンでこンな所にオマエがいやがる。今日の実験は終わったはずだろォ?」
「確かに本日の全実験は終了しましたとミサカは肯定します。オレはあなたの為に料理を作りに来ましたとミサカはここに来た目的を伝えます」
「…………………………………………はァ、そォかよォ。じゃあなァ」
永遠に続くかと思われた沈黙の末に
開けていたドアを閉めようとしたので慌てて足を滑り込ませて、ドアが閉められるのを防ぐ。オレの動きに驚いたものの、オレの異常行動に
ちょ、痛い痛い! 足が千切れるッ!
「痛いです足が千切れますオレを部屋の中に入れてくださいとミサカは暴行を加えるあなたに苦情と願いを言います」
この体は、どれだけ感情を荒ぶらせたとしても、その感情は口調に反映される事は少ない。感情を表す事が出来たとしても、その口調は平坦でしかない。自分の口調と感情の差異に違和感を抱かずにはいられない。つまり、どれだけ痛かろうとそれが
あぁ、痛すぎて泣きそう。
「だったらァ、オマエが足を退ければいいだけだろォがァ!!」
ドアを少し開いては勢いよく閉めるという動作を
まぁ、それでも痛いんだけど。どうにかして入れてもらう必要がある。よし、脅すか。
「このまま入れて貰えなかったらアンチスキルに彼氏に暴行を加えられて追い出されたと通報し、近隣の人には、ある事ない事ばかりを言い、更には先程のインターホンバグを何度も行うとミサカは足に暴行を加えるあなたに脅迫を実行します」
オレが言った未来の光景を想像したのか、
「お邪魔しまーすとミサカは
「コーヒー依存症だったのですねとミサカは
家のそこら中に空のコーヒー缶が幾つも転がっていた。無類のコーヒー好きである事だけは確かなようで甘めのコーヒーから苦めのコーヒーまで無数に大量に置かれていた。うん、趣味嗜好が良く分かる部屋だよね。それぐらいのコメントしか言えない。
なお、
「それでは勝手に冷蔵庫を使わせてもらいますとミサカは
どうせ今日は
買っておいた食材を冷蔵庫に入れようと開けてみると、想像したくはなかったが、やっぱりなという光景が広がっていた。冷蔵庫の8割弱をコーヒーが占めていたのである。そして、冷蔵庫の中に食べ物なんて殆ど無い。あるとしても、溶けないように入れてあるチョコレートぐらいである。能力の演算とかで脳が糖分を欲するのだろうか。
買っておいた食材を何とか冷蔵庫に詰め込む。それが終わったら次は部屋中を探して、鍵を探すとしよう。何故かって? 合鍵を作る為です。
玄関のすぐ近くに鍵が置いてあったのですぐに見つける事が出来た。仮にも学園都市第1位の家なのだから防犯性能が高い家なのかとも思ったが、そんな事は無さそうだ。家の鍵はそこら辺に置いてあるし、鍵の形状も単純な物らしい。
まぁ、
とりあえず、スマホで検索して見つけた合鍵を作る方法を少しアレンジして試してみる。
能力を応用して、鍵に磁力を付与させる。その後に外で拾ってきた砂鉄をくっ付ける。その鍵にテープを付けて、砂鉄で鍵の型を取る。次にそこら辺に転がってあるコーヒーの空き缶を砂鉄の刃で綺麗に真っ二つに切断して、平たく広げる。広げたアルミ板にテープを貼り付けて、砂鉄の刃で丁寧に鍵の型通りに切り取る。
はい、完成。この家のドアで試してみたが、問題無さそうである。
やっている事が完全に犯罪の匂いしかしないけど、気にしてはいけない。
さて、とりあえず今日やる事は終了したし、寝るとしよう。それでどこに寝るのかという事なのだが、ここは大人しくソファで勘弁してやろう。
ソファで寝る前に
まぁ、
ソファでもそれなりに寝心地良いし、すぐに寝れそう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ぅん……」
意識が覚醒する。うっすらと目を開けても部屋の中は暗いままだった。カーテンは完全に閉められているが、その隙間からは朝日が昇っていた。
むくりと起き上がると、体に掛けられていた毛布がずり落ちた。
あれ、なんで掛け布団がオレの体にあったんだろ。寝る直前には無かったはずなんだけど。
以上の事から察するに
……なんというか、うん。こんなだからアクセロリータとか呼ばれるんじゃないだろうか。
毛布は
キッチンに立って何をするのかと言えば、答えは1つ。
さてと料理を作りますかね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
作った料理は至って普通の朝食である。ご飯、味噌汁、焼き鮭、野菜の和え物とかである。
何となく予想はしていたが、
独り暮らしを始めた時に買ったであろう食器や鍋は埃を被っていた。そして、どこを探しても調味料の類は一切無かった。こんな事だろうと思い、昨日の買い物で調味料も買っておいて良かったと思うよ、本当に。
料理を作り終わり、皿に盛っていこうとした時、ベッドから
「……ホントに何やってンだオマエ?」
何ってそんなに難しい事ではないだろう。
「見て分かる通り料理を作っていましたとミサカは答えます」
「いや待て、ちょっと待て。料理を作ってるなンざ見りゃ分かる。なンでオマエは俺の家で! 俺の台所で! 勝手に料理してンだよってェ聞いてェンだよォ!」
ご尤も。実験で殺し合いをしている
必死に思考を回して、最終的に現状を理解する事を諦めたのだろう。
「アホくせェ」
だが、ここで
つまり、食えという事である。
そういう訳で
「不健康にしか見えないあなたの為にバランスの良い料理を作っておきました。さぁ、一緒に食べましょう。せっかく勝手に作ったんだから食べてくださいとミサカはあなたのもやしボディを心配しながら朝食に誘います」
俺を睨み、舌打ちだけして、
「やっぱり
「…………オマエの飯なンて食うかよ」
この後、めちゃくちゃ説得した。
合鍵の作成方法はネットでテキトーに調べて出てきた方法をテキトーに書いたものです。ミサカが一方通行の合鍵を無断で勝手に複製した程度の認識ぐらいでお願いします。こんなで鍵できる訳ねーだろとかツッコまないでください、お願いします。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第四話
水金の週2定期投稿にしようか迷ってます。そこなら空き時間もあるのでね。
あっ、そういえば何時の間にか日間ランキングとかにお邪魔していてビビりまくりました。アクセス数とかお気に入り数が一気に上がったからランキング様は偉大だという事を再認識しました
頑張って説得した結果、
やっぱり、
朝食を食べ終わり、オレと
「それでェ、オマエはなんだってこんな所に来たんだァ?」
やっぱり、それを聞いてくるよな。嘘を言えば勘づかれる可能性がある。ならば、本当の事を言うしかないだろう。だが、馬鹿正直に「打算で」とか言う訳にはいかない。そういう事なので打算以外の他の理由を言おうと思う。
オレが
「オレが
「…………はァ?」
オレの答えを聞いた
「
「やかましい」
本当の事を言ったら
「もし、食事が原因で実験が延期とかいう光景を想像してしまうだけで腹がねじ切れるぐらいには笑ってしまいます」
「オマエェ……!」
何やら
「そこでオレが
オレのナイスパーフェクト(仮)の言い訳を聞いた
「はァ、もう知らねェ」
「俺は実験行くからお前も家から出て行け。お前を家に残しておくと何を仕出かすか分かったもんじゃねェ」
「少しはオレを信頼してくださいよとミサカは先程までの自分の行いを棚上げして言います」
何故、こんなにも
まぁ、別にいいか。オレも外に出る予定だったし。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それではまた夜に来ますとミサカは鍵を閉めながらーー」
「おい、ちょっと待て。なんで家の鍵をオマエが持ってんだァ?」
あぁ、この鍵か。
「昨日の内に複製しておきましたとミサカは密かにやっていた事を今更ながら報告します」
そう言うや否や、
脳が揺さぶられ、少し気持ち悪い。
「なンで他人の鍵を勝手に複製してやがるんだオマエはァ!」
「急に叫ばないでくださいとミサカは耳の痛みを感じながら苦言を呈します」
「苦言を呈したいのはこっちだっつうのォ!」
まったく、鍵を1つ程度複製されたぐらいで何を騒いでるのやら。例え、オレがどこかで鍵を落としたとして、その鍵で不法侵入者が来たとしても
完璧なる証明を一瞬にして導き出したオレは、肩を竦めながら素直にオレの気持ちを吐露する。
「ふっとミサカは
予め作っておいたおにぎりを
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やって来ましたは、とあるバーガーショップ。別にスキルアウト達から金を毟り取ってもいい気がしなくもないが、それではスキルアウトと何も変わらない気がしたのでやめておいた。既に昨日やってしまっているが。あれは正当防衛と損害賠償という事にしておこう。
そういう訳で正規の方法で金を稼ぐためにバイトをする事に決めた。
それで何故にバーガーショップなのかというと、時給が良さそうだったからでしかない。出来れば、なるべく人目のつかない裏方のバイトをしたかった。例えば、倉庫の整理とか。だが、流石は最先端の学園都市という事だろう。大体の仕事は機械で自動化されており、バイトの求人は殆ど無い。仕方ないから堂々とバイトをする。逆に堂々としていれば、あんまりバレないかもしれないし。
もし、御坂美琴の顔を知っている者が現れたとしても、オレには「布束忍」という
そういう事で何のバイトをしようか迷った結果、バーガーショップとなった。
事前に電話で連絡をしておいたらバイトの面接はいつでもいいと言われたので、早速やる事にした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
経歴と名前が嘘しかない嘘
面接での1番の問題点はオレの偽名が布束さんが雑に考えたであろう「布束忍」という名前であり、
そういう口調をどう誤魔化すか必死に模索した結果、強硬手段に出た。この口調は強制的に口に出てしまう。どう我慢した所で
答えは簡単。口調を口に出さなければ良いだけだという事だったのだ。言葉だけは矛盾しているようだが、説明すれば分かってくれるだろう。
声というのは声帯が震える事で発生する。脳からの信号が神経を伝って送られる事で声帯という筋肉が動く事で声帯が震える。
そして、我ら
声帯に送られる電気信号を支配して、阻害すれば、声帯は震えず、声が出ないのではないか。面接前に試してみたが、これが上手くいったのである。
言葉だけを言って、「ミサカは」と説明する前に信号を阻害する。そうすれば、
布束さんから教えられていた携帯電話の電話番号を教えておいたので採用されれば、後日に連絡が来るらしい。早くて明日、遅くても3日の内に採用の通知があるらしい。学校にも行っていないので最高で週7行けるのである。めちゃくちゃ稼いでやる。
面接も終わり、次にするべきは作業場の確保。人目に付かない所でやりたい事があるのだ。
調べてみた所、学園都市第19学区が良さげな気がする。再開発しようとした結果、失敗してしまい、寂れてしまった可哀想な学区である。そこには廃ビルが立ち並んでいるらしく、人目がない場所が目的のオレには丁度いい場所だと思った。スキルアウト達が巣食っていそうだが、ちょっとぶちのめせば問題ないだろう。
面倒になったら、適当にボコしてアンチスキルに丸投げするのもアリだ。まぁ、その時は慰謝料代わりに財布から諭吉さんを貰うけど。
え? さっきスキルアウトから金を取らないって言ってた? 知りませんね。きっと人違い。いや、妹違いです。
そして、見つけたのは第19学区の端の方にある廃ビル。19学区は学園都市でも端にある学区であり、その端ともなれば学園都市の端の端という事になる。だからどうしたという話になるのだが。
見た限りだが、人が出入りした感じは無い。埃とか積もってるし、ここを拠点にしているスキルアウトもいないと見ていいだろう。
調べてみた感じ、配線はされているし、電灯は設置されているが、廃棄されて久しいのか、電気は来てないっぽい。まぁ、その電気はオレの能力で流せば明かりとかは点くと思われる。だが、ビル内にあるのはそれだけで中は空っぽ。机とか椅子も何もなく、あるのはゴミだけ。
まぁ、別にいいんだけど。
さて、人目のない廃ビルで一体どんな作業をするのかと言えば、色々である。だが、その全ての作業の目的は同じ。なるべく来ないように努力していきたいが、来るかもしれない
その作業はそれなりに散らかる予定なので
正直、オレの能力でどう工夫した所で
学園都市とロシアとの戦争とか北欧の主神とか神浄とか面倒な未来しか見えない。本当に主人公君には頑張ってもらいたい。
実の所、レベル5に到達する目途は立っている。まだ理論段階なので実行すらしていないが、ほぼ確実にとある裏技を使えば到達する事が出来ると思っている。
そうは言っても、後のインフレについて行けなければレベル5も有象無象にしかならないだろうが。とあるのインフレはヤバいのでレベル4程度のオレがどう頑張った所でミジンコがアリに進化した程度にしかならないだろうけど。
まぁ、やらないよりはマシかもしれないと思っておく事にしよう。無駄になる未来しか見えないけれども。
他にも戦闘能力が欲しい理由はある。
それは学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーの存在である。アレイスターは幾つかの
そして、アレイスターは
例えば、レベル0の
結果として、一時期アレイスターに
そして、オレは
恐らく、アレイスターはその計画を上条当麻が阻止するのは
果たして、アレイスターが
もしかしたら、この個体までを殺させると考えているかもしれないし、半分程度殺しておけばいいだろうと雑に考えているかもしれない。
流石にアレイスターの思考を読める程、彼の人柄を熟知している訳ではない。だが、もしも、前者だった場合。もしも、オレという
浜面仕上という
てか、そもそもの話。上条当麻の介入は予見していたとしても、オレというクローンが生き残る為に色々と画策しているとは考えてもいなかっただろう。それを予測する為にはオレという前世持ちの人間がこのクローン体に宿るという未来を予測するしかないからだ。流石にアレイスターと言えど、前世持ちオレっ娘TS
まぁ、つまりだ。
オレの死亡がアレイスターの中で確定事項の場合、
次回、主人公のちょっとした強化。お楽しみに!
なんちゃって科学の本領が発揮されます
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第五話
去年単位落として再履修で地獄を見た哀れ者からの助言です。
あ、今回から独自設定と妄想のオンパレードです
アレイスターとか
さて、どうやって強くなろうかという事だが、まず1つは能力の強化。今のオレは
方法は至ってシンプル。
まず、能力を次のレベルへとシフトするに必要なのは2つ。
そういう訳で自我の強さが大事なのである。オレの場合は前世というものがある為、自我は強い。あと能力など一般的でない前世に比べて、この世界は能力を身に付けるチャンスなど誰にでもある。能力への憧れと妄想は誰よりも強いと自信を持って言える。
次に演算能力について。
御坂美琴は作中において、一時的にだが
だが、その点は全く問題ない。木原幻生がやっていたのと同じように、オレが演算能力を利用できるようなプログラムを作成し、ミサカネットワークを通じて、全
ある出来事がきっかけで
そういう訳で早速試してみようと思う。
先述したプログラムを起動し、ミサカネットワーク内の30%程度の演算能力をオレに付与する。100%の演算能力を使うと間違いなくオレの脳がぶっ壊れる。100%だとノートパソコン単体に世界最高峰のスパコン並みの性能を無理矢理与えているようなものになるだろう。間違いなく、ぶっ壊れるに決まってる。30%と言っても、ノートパソコンに数十万円もするデスクトップの性能を与えるようなものだが。
試しに放電してみる。試しとは言ったが、周囲の状況を考えていつもより手加減して放電してみる。その放電だけで分かった。きっと、オレは
尤も
実験も終了し、元の状態には戻ったのだが、未だに反動が続いている。頭がハンマーで粉砕されたように痛み、視界は歪み、明滅する。鼻からは生暖かい赤い鼻血が流れだす。立つ事すら儘ならずにその場で腰を下ろしてしまった。
数分もすれば、痛みも収まってきた。試しに立ってみると未だに足が多少ふらつく。もう少し座っていよう。
それにしても、一瞬だけ
それにしても、30%だけで
元が
さて、
次にしたいのは装備の改造である。
御坂美琴の代表技である
思い付いた事はこれをどうにかして連射出来ないだろうかという事だ。速度で勝てないのなら数の暴力でやってやろうという事である。一応、既に方法は考えてある。
御坂美琴はコインを指で弾いて
ここまで言えば分かると思うが、銃器で
ローレンツ力による加速に加えて、火薬による加速。その2つの加速を使えば銃弾は秒速500メートル以上に達すると予測している。
何故、そこまで速度に固執するのか。それには一応の訳がある。勿論、
木原数多という研究者は
マジで意味分からな過ぎて「木原神拳」とか呼ばれてネタにもされているのだが。
オレにはそんな事は出来ないのでオレはオレでやれることをやるしかない。
それが
まぁ、
もしも、
長々と語るのはこれぐらいにしておこう。
とりあえずは、
よしやるぞと思ったが、流石に室内でやる訳にはいかない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そういう事で廃ビルの屋上にやって来た。オレが作業場として選んだものとは少し離れた廃ビルの屋上である。屋上で撃つのは被害を抑える為。空に向けて撃ち出せば、被害は小さくなるだろう。オレの予測では銃弾は音速と同程度の速度で発射されるとなっている。
音速の数倍程度の速度で物体が飛ぶとソニックブームと呼ばれる衝撃波が発生してしまうが、オレの場合は音速と同程度なのでソニックブームは発生しないと思っている。だとしても、それだけの速度で銃弾を撃てば音が轟くだろうが。
ビルを移したのもこの為だったりする。
それだけの音が響けばどうなるのか。スキルアウトやらアンチスキルなどの面倒そうな奴らが寄ってくる確率はだいぶ高い。
オレが作業場として選んだ廃ビルは、オレが過ごしやすいようにこれから改造していく予定である。改造と言っても、過ごしやすいように家具やオレの電気を使える電化製品などを運び込む予定なだけだが。
人が入ってこないような対策も考えてはいる。実現出来るか分からないが。
さて、実験を始めるとしよう。
1丁のハンドガンを手に持ち、空に向けて狙いを澄ます。引き金に指を掛け、躊躇う事なく引き金を引いた。瞬時に銃身に能力を応用し、磁力を付与。前世にて中学生の時に習ったフレミングの法則などによって発生したローレンツ力が更なる加速を銃弾に付与する。
火薬と電気の2つの加速が加えられた銃弾は銃口を飛び出し、轟音と光の道筋を残しながら蒼い空に消えていった。
射程は凡そ100メートルから150メートルと言った所だろうか。やはり速度が落ちた分、空力加熱による温度上昇は抑えめであり、射程が伸びるようだ。耐熱性が優れた金属を用いた弾丸とかなら更に射程は伸びるだろう。
さて、音も弾丸の軌跡も分かりやすすぎた為、ここから離れるとしようか。
面接やら能力の実験やらを行っていたせいでそれなりに良い時間になっており、水平線に陽が沈みかけている。今日の全ての実験は、20:00頃に終わるらしい。それまでに料理を準備しておかなければならない。今日の分の食費は、まだ足りると思うから大丈夫だろう。
数日分の食費は足りると思うのだが、それ以降となると足りなくなるだろう。それまでにバイトが始まってくれればいいのだが。まぁ、足りなくなったらそこら辺に転がっている
……勉強疲れた。でもなぁ、月末にテスト…………
_:( _ ́ཫ`):_ぐは
目次 感想へのリンク しおりを挟む