とある絶対零度のヒーローアカデミア (カロライナ)
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過去と入試

僕、緑谷出久の人生はあの日、両親がヴィラン犯罪に巻き込まれて死んだ日に一変した。

 

あの日、両親は無個性と診断された僕を元気付ける為に、僕が大好きなヒーロー《オールマイト》の記念展に連れて行ってくれた。

 

けど僕は心から楽しむ事が出来ずにいた時、記念展にヴィランが数人、ヒーローを投げ飛ばしながら乱入してきて、手当たり次第に人々を襲い始めた。

そして1人のヴィランが何が起きているのか解らず呆然としていた僕に目を付けて、襲い掛かってきた。

 

「出久!!」

 

「危ない!!」

 

それに気付いた両親が僕を庇う様に割り込んできたかと思ったら、2人がヴィランの攻撃で血を流して倒れる姿を僕は目の前で見てしまった。

 

「お父さん…?お母さん…?」

 

ピクリとも動かなくなった両親を見て僕は深い損失感を感じたのを覚えてはいるが、それ以上の事は覚えていない。

 

後から聞いた話ではたまたま近くにいたエンデヴァーにより、ヴィラン達は捕らえられたが、僕の両親を含む十数人が犠牲になったらしい。

 

両親の葬儀になったのだが両親の親はいきなりの事で寝込んでしまい、出久を預かれる様な精神状態では無いことから親戚の誰かが預る事になったのだが

 

「ウチは無理よ!子供が2人居るんだから!!貴方の所で預かりなさいなさいよ!!」

 

「何でウチが役立たずの無個性なんかを養わないといけないんだ!!

2人が3人になろうとさして変わらんだろう!!お金は甚だ不愉快だが出してやるから面倒を見ろ!!」

 

「ウチだって無個性なんか嫌よ!!」

 

と、僕に聞こえる様に言い争っていた。

そんな会話に涙を流していると、仕事の影響で遅れて来た父さんのお兄さんが激怒した。

 

「いい加減にしろ!!子供の前で良くもそんな事が言えるな!!お前たちはそれでも人間か!!」

 

「何よ!!じゃあ貴方が面倒見なさいよ!!私達はごめんよ!!」

 

「元からそのつもりだ!!」

 

叔父さんはそう怒鳴り付けると、僕にゆっくりと近付きそっと抱き締めてくれた。

 

「もう大丈夫だ。叔父さんと一緒に行こう。」

 

その言葉を聞いた瞬間、僕は泣き崩れていた。

 

 

 

それから僕は叔父さんに連れられて叔父さんの職場がある学園都市に引っ越した。

 

学園都市では個性では無く、個性とは似て非なる力を研究する場所だという。

そこで僕も水を操る能力者《水使い(アクアマスター)》の力を得た。

けれどあの頃の僕は何かに取り憑かれたかのように自分自身を省みる事なく、力を得ようと特訓に明け暮れていた。

 

叔父さんの制止も、僕のメンタル面での主治医だったリカバリーガールからの忠告を無視して、能力を鍛え続けた。

 

そんな僕の心の支えになったのが当時隣に住んでいた御坂美琴ちゃんと、先輩であり僕の憧れでもある上条当麻さんだった。

 

「アンタ、そんな無茶して死にたいの!?両親が殺されて復讐したいのは何となくだけど分かる!!私には止める権利は無いかも知れないけど!!それでアンタの両親が喜ぶと本気で思ってるの!?」

 

「力を手に入れたいねぇ…俺には力を手に入れた所でお前が幸せになるとは思えないな。力ってなんの為に振るうかが1番大切なんじゃねえの?」

 

2人に言われた事で僕はハッ!!とした。

僕は水を操る能力を手に入れてから今迄、父さんと母さんの仇を取る事や、親戚の人達を見返す事しか考えていなかった。

けどそれが本当に父さん達が願うことなのか、この手に入れた力は何の為に振るうのか、もう一度考え直した。

 

両親が本当に喜ぶこと…何のために力を使うのか…

 

悩んだ末に僕は母さんとヒーローごっこをしていた時を思い出した。

あの時の母さんの笑顔と「ありがとう」と云う言葉を聞いた時のあの何とも言えない嬉しさを。

 

そして思い出した。

僕が何で力が欲しかったのかを。

 

そこから僕は復讐の為ではなく、僕みたいな思いをする人が居なくなる為に力を使うと決めて、美琴ちゃんと一緒に努力を重ねた。

 

そのかいがあり中学1年の時、僕は学園都市の能力者の頂点とも云うべき存在

 

         学園都市

         超能力者(Level5) 同率第3位

         絶対零度(アブソリュート・ゼロ)

         緑谷出久

 

 

となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ずく…出久!!」

 

「ん…?美琴ちゃん?僕、寝てた?」

 

「ええ。もうすぐ雄英に着くわよ。」

 

「ありがとう、美琴ちゃん。」

 

夢を見ていた僕は美琴ちゃんの声で目を覚ます。

 

そう今日は雄英の一般入試の為、僕と美琴ちゃんは叔父さんの運転で雄英高校に向かっていた。

 

何故、推薦入試で無いのかというと去年は色々とあった為、手続きが出来ず一般入試で受験する事になったのだ。

 

「2人とも着いたぞ。」

 

「ありがとう、叔父さん。」

 

「ありがとうございます。」

 

叔父である緑谷風真に礼を言ってから車を降り、雄英の校門を見る。

 

「遂に来たんだ!!」

 

「出久の夢だったもんね。」

 

漸く此処まで来たんだと実感していた時だった。

 

「どけやクソが!!道のど真ん中に突っ立って俺の道を塞いでんじゃねぇ殺すぞ!!」

 

いきなり後ろから声に驚いて振り返るとそこに久し振りに会う幼馴染みの姿があった。

 

「か、かっちゃん…?」

 

「あっ?お前、無個性のデクか?何だよ!!笑われる為に受けに来たのか?笑えるな~まあ頑張れやクソナード君!!」

 

かっちゃんは周りに聞こえる様に大声で笑いながら雄英の中に入っていく。

 

「アイツが爆豪勝己?ムカつくわね。あんな奴がヒーローになりたいとかどうなってんのよ。」

 

「…そうだね。流石にかっちゃん…いや、爆豪君がヒーローになるのは許せないかな。オールマイトや叔父さん、それに当麻先輩の様に誰かの為に必死に戦う人を馬鹿にするようなもんだ!!」

 

「ならあんな奴に負ける訳にいかないわね!!」

 

「勿論だよ!!それから邪魔をしてごめんね。ちゃんと前を見ないと危ないよ。」

 

爆豪君の態度に僕は呆れ、負けない様に気持ちを新たにしながら後ろからぶつかってきそうになっていた女の子の為に道を譲りながらそう声を掛ける。

 

「あっ!!ごめんなさい。私、緊張してて…」

 

「大丈夫だよ。天下の雄英に受験するんだから仕方無いよ。お互い頑張ろう。」

 

「うん。」

 

「……やっぱり出久って天然のタラシじゃない。」ボソッ

 

女の子と軽く会話した後、美琴ちゃんが何か言った様な気がしたが時間が迫った為、僕たちも急いで雄英に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日は俺のライブへようこそー!!エビバディセイヘイ!!』

 

実技試験の説明会場にて、壇上に立ちながらハイテンションで良く通る大声を張り上げている男。

彼こそ雄英学園の教師でありプロヒーローでもある〝ボイスヒーロー〟プレゼント・マイクだ。

彼はまるでライブのように声を上げ、同時に受験生から「YOKOSOー!!」とコールが返ってくることを期待して耳を傾けるが、返ってきたのは圧倒的無言だった。

 

『こいつぁシヴィーーー!!!受験生リスナー!!実技試験の内容をサクっとプレゼンするぜ!!!アーユーレディ!?YEAHA!!!!』

 

「うるさいわね。受験しに来ただけでアンタのライブに来た訳じゃ無いわよ。」

 

「ま、まあまあ。落ち着いて美琴ちゃん。」

 

拍子抜けするほど簡単だった筆記試験を終えて、実技試験の説明を受けるために隣に座っていた美琴ちゃんがイラッとしてるのを宥めながら内容を確認する。

 

 

 

 

・制限時間は十分

 

・〝個性〟に応じたサポートアイテム等の持込みは自由

 

・演習場に配置された三種の〝仮想敵〟を相手に立ち回り、行動不能にすることでそれぞれ1から3Pポイントが与えられる。

 

・他者への妨害工作などのアンチヒーローな行為は禁止

 

 

 

 

 

『プレゼン後は各自受験票に書かれている指定演習会場へ向かってくれよな!!』

 

チラッと美琴ちゃんの受験票を確認すると『A』と書かれており、僕の受験票には『C』と書かれている事から同じ学校同士で連携出来ない様に配慮されているようだ。

まあ僕たちは同じ学園都市出身だからだろうが。

 

「質問よろしいでしょうか!?」

 

すると、僕たちより前の席に座っていたガタイの良いメガネをかけた青年が手を上げて立ち上がった。

 

「プリントには四種の敵が記載されています!!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」

 

ハッキリと物申す人だなぁ、と思いながら説明内容とプリント内容の違いに気づいていた僕は、手元のプリントに視線を落としながら思考する。

プレゼント・マイクの背後にある巨大モニターに映し出されている、どこかで見た事あるような敵キャラのシルエット三体に対して、プリントにはロボットのようなシルエット写真が四体分。

しかもその隣にはご丁寧に『D=0』と書かれている。

試験の点数がポイント制だという事を踏まえると、導き出される答えは一つ。

 

「「妨害目的の敵……」」

 

『その通りィィーーー!!よく気が付いたな受験番号6592くんと6593さん!!!』

 

どうやら美琴ちゃんも気付いたらしく同じ事を呟いたタイミングで、プレゼント・マイクが大声を上げる。

 

『四種目の敵は0ポイント!!そいつは言わばお邪魔虫!!スーパーマリオブラザーズやったことあるか!?レトロゲーの。アレのドッスンみたいなもんさ!!各会場に一体!!所狭しと大暴れしている「ギミック」よ!!アーユーオーケー?受験番号7111くん!!』

 

「有難うございます、失礼致しました!」

 

つまりは避けて通るステージギミックなのだろうと他の受験者達は納得し、質問をしたメガネの青年も腰が直角になるほど丁寧に頭を下げた。

 

けど果たしてそれが正解何だろうか?

 

「何か裏がありそうだね。」

 

「わざわざ敵を配置するのに妨害目的だけの敵を配置する理由なんて無いものね。まあ出てきた所で全部倒せば問題無いわよ。」

 

僕たちは試験の内容からただの妨害目的の敵では無いと気付きつつもあえて何も言わない事にした。

 

 

それを見計らったかのようにプレゼント・マイクが両手を大きく広げ、最後に巨大モニターに映し出された雄英のロゴをバックに、声高々と受験生たちに言い放った。

 

『俺からは以上だ!!最後に一つ、リスナーへ我が校の『校訓』をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!』

 

 

 

 

 

 

───〝更に向こうへPlus Ultra!!!〟

 

 

 

 

 

『それでは皆、良い受難を!!』

 

 



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実技試験

風真side

 

「やぁ!!久し振りだね、風真君!!」

 

「お久しぶりです、根津校長。それにオールマイトも。」

 

「ああ。久し振りだね。去年の大覇星祭以来かな?」

 

「あの時はいきなり来るので、都市中が一時的に混乱しましたよ。学園都市でも貴方は憧れの対象なんですから来るときは一応連絡下さい。」

 

オールマイトにそう釘を指しつつ、再会を喜ぶ。

 

「すまない。だが憧れと云う意味では君や出久少年と美琴少女もじゃないか?」 

 

「それだけじゃ無いですがね。」

 

学園都市のLevel5は畏怖の対象として見られる事が多い。

 

「校長、オールマイト。そちらの方が学園都市から来た受験生の引率の方ですか?」

 

「ああ。皆に紹介して無かったね。そう彼があの学園都市の治安の統括責任者で、君たちの中にも知っている人は多いと思うけど空間支配(スカイルーラー)と言われている緑谷風真君だよ。」

 

「す、スカイルーラー!?あのオールマイト並みの力が有ると言われた!!」

 

根津校長の紹介に際どいSMクイーンの様なヒーローコスチュームを着た、確かミッドナイトだったか?

彼女が驚きの声を上げる。

 

「根津校長、スカイルーラーってまだ此方でも知られてるんですか?」

 

「ハハハ!!当たり前だよ!!それから1つ訂正だ!!彼が本気を出せば私でも勝てないよ!!」

 

「「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

根津校長への質問をオールマイトが答えるように発した一言にその場にいた大半の雄英の教師が驚きに目を見開く。

 

「オールマイト…」

 

「なに。事実だろ?君が本気を出せば大気そのものを自在に操れる。そう天候を操るだけじゃない。果ては真空状態にする事も可能だろう?学園都市最強の男、元Level5 緑谷風真君。」

 

「まあ…否定はしませんよ。ただそう云う情報は余り話さないでください。」

 

此処に居るメンバーなら大丈夫だとは思うが、やはり余り知られていい話では無い為、オールマイトと根津校長にお願いしておく。

 

「それはすまなかったのさ。それより実技試験が始まるみたいだよ。」

 

根津校長にそう言われ、用意されていた席に着いた俺は出久と美琴の活躍を見る為に巨大スクリーンに目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

出久side

 

「広!!」

 

「街じゃん!!こんなのが何個も有るのかよ!!」

 

「どんだけだよ!!」

 

試験会場を見た他の受験生の声に確かにと思いながら、ストレッチ等をして身体の状態を確かめる。

 

(うん。普段通りだ。問題ない。)

 

普段から風紀委員(ジャッジメント)として活動している為、気負いとかは無く平常心で挑める僕は軽くジャンプしながら周りの人達を確認する。

 

(あっ!!入口でぶつかり掛けた人やあの真面目そうな人も一緒か。他にも面白そうな人がいるな。)

 

そんな事を考えているとモニターに映る壇上にプレゼント・マイクが上がる。

 

『はいスタート!!』

 

その声が聞こえた瞬間、僕はその場から駆け出す。

 

「………え?」

 

受験者の一人が呆けたような声を洩らしているのが聞こえたが、そんなのはどうでもいい!!

コレは実戦に即した試験なのだから!!

 

『どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れぇ!!!賽は投げられてんぞ!!?じゃねえともう駆け出してる2人にポイント取られちまうぞ!!』

 

プレゼント・マイクがそう発破を掛けているのを聞きながら、僕は周りに集まって来た仮想敵を纏めて薙ぎ払う。

 

 

 

 

 

美琴side

 

私はあのウッサイDJの声に直ぐに反応して試験会場内に駆け出す。

 

相手はロボット。

私の敵とは成り得ない存在だけど、この試験は如何に手早く相手を見つけ、無力化出来るかを見ているのは解るし、試験なのに1人で制圧すると意味が無いから面倒だけど普通に相手をする。

 

雷撃を飛ばし、威力より連射重視のレールガンで次々と現れるロボットを相手にしていると他の受験生達も現れて戦闘を開始する。

 

「オラァ!!死ねや!!」

 

その中にあの出久を馬鹿にしてくれた男が居るのを見つけて、憂鬱な気持ちになっていると、あの男の個性により破壊されたロボットの破片が耳からコードを付けた女の子に向けて飛んでいくのが見えたので、咄嗟にレールガンで破片を破壊する。

 

「大丈夫?」

 

「あ、ありがとう。」

 

「アイツの近くは危ないから離れよう。多分間違いなく周りの事なんか気にしてないから。」

 

助けた女の子に声を掛けながらアイツを見ると、此方を気にした様子も無く、爆破を繰り返していた。

 

「ん。そうする。」

 

女の子も私が言いたい事を理解したのか、頷くとアイツから離れた場所に移動を始めたので、私も関わり合いたく無いから離れる。

 

 

 

 

相澤side

 

「AとCにいる学園都市からの受験生2人、とんでも無いな。」

 

「ええ。情報力・機動力・判断力・戦闘力どれを取っても明らかに他とレベルが違うわね。」

 

確かにアイツらはもう既にプロで通用するだけの力を備えている。

俺は風真さんから渡された2人の資料に目を通す。

 

「A会場の方は御坂美琴。能力《電気使い(エレクトロマスター)》。電気を自由自在に操れる能力。Level5到達時に能力を《超電磁砲(レールガン)》に改名。能力名通りレールガンが放てる。最大電圧10億ボルト。」

 

「10億!!人間がそんな電圧を生み出せるの!!」

 

「それがLevel5に到達した人間ですよ。」

 

確かに規格外だ。

Level5 超能力者と良く言ったもんだ。

 

もう1人の方は?

 

「C会場のは俺の甥っ子の緑谷出久。能力は水使い(アクアマスター)。水に関する物なら例え空中にある気体であれ、操れる。勿論、固体もな。そしてLevel5になったアイツは文字通り何でも凍らせる《絶対零度(アブソリュート・ゼロ)》に辿り着いた。今の出久の前では炎すら凍り付く。少なくともエンデヴァークラスの火力が無ければ無理だ。」

 

「…スゲェな…」

 

隣にいた山田の呟きに不本意だが同意するしかない。

 

「彼らのあの動きにも理由が?」

 

「出久は学園都市に存在する治安維持組織の1つである学生のみで構成された風紀委員に所属しているからだな。美琴も色々と事件に巻き込まれたりしているからだな。」

 

「学生が治安維持を?」

 

「学生だけじゃなく教師で組織された治安維持部隊も有るとか?プロヒーローを入れないんですか?その方が合理的では?」

 

「相澤さんの云うとおりそう出来たら良いんですがね。学園都市の性質上、外部から警備の為に人員を入れるのは余り好ましくない。学園都市での研究がヴィランに漏れる様な事が有れば一大事だ。その為に学園都市は都市の中で完結した場所だ。日本であって日本では無い場所なんですよ。」

 

なるほど。

だから学園都市にはプロヒーローが居ないのか。

なかなか徹底しているな。

 

「彼らの実力は本物さ。僕も知っているのさ。けど実力が有るからヒーローに向いているとは限らなけど、あの2人は本物のヒーローになれると信じてる。だから君たちにも見て欲しいのさ。彼らの姿を。」

 

納得していると校長はそう言いながら時間になったので、アレの起動スイッチを押す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルを破壊しながら現れたお邪魔虫扱いされていた0P仮想敵の姿に出久と美琴も思わず驚く。

 

「マジか!!雄英!!」

 

「幾らなんでも金をかけ過ぎでしょ…」

 

目を見張るのはその大きさで、ビルと殆ど同じ大きさの為に他の受験生達は我先にと逃げ出しているが、コレはまあ仕方無いと思う。

 

そんな中でも2人は落ち着いて周りを見回し、避難が遅れてたり、他の仮想敵に襲われている受験生を助けていると、その視界にあの巨大仮想敵に襲われ掛けている人を見つける。

 

出久の方は朝会った女の子が足を瓦礫に挟まれ、今にも踏み潰されようとしていた。

 

美琴の方はさっき助けた子が何かアホ面さらしてる男を引きずる様にして逃げているが、その頭上に巨大仮想敵の影響で崩れたビルの破片が落ちようとしていた。

 

 

それを見た2人は迷う事無く駆け出し、Level5としての力の一旦を解放する。

 

「凍てつけ!!」

 

「穿け!!」

 

絶対零度 緑谷出久

 

超電磁砲 御坂美琴

 

この2人の異名は伊達や粋狂では無い。

それは目の前の光景が証明している。

 

巨大仮想敵のみを一瞬で凍りつかせた出久と、瓦礫を一瞬で消し炭にし巨大仮想敵の胴体に風穴を開けた美琴。

 

その2人は脅威を排除すると振り向きながら言う。

 

「「もう大丈夫だよ(よ)。」」




美琴の技にオリジナルな物を加えて良いですか?


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結果発表

加筆しました


あの後、直ぐに試験終了となり出久は瓦礫に足を挟まれた女の子に近付く。

 

「大丈夫?」

 

「う、うん。大丈夫やよ…ッ!!」

 

出久の質問に女の子は立ち上がろうとするが痛みで思わず、倒れ掛けるが直ぐに出久が支える。

 

「足を痛めたみたいだね。診察するから少し触るけど良い?」

 

「う、うん…」

 

女の子に断りを入れてから足に触り、骨に異常が無いか確かめる。

 

「骨には異常は無し…となると打撲と捻挫かな?リカバリーガールなら直ぐに治せますよね?」

 

「えっ?いつの間に?」

 

「今しがただよ。相変わらず素早い診断さね。後は任せな。」

 

「お願いします。」

 

すぐ近くに来ていたリカバリーガールに後を任せると、何度もお礼を言ってくる女の子に手を振ってから、出久は美琴ちゃんと叔父さんが待つ場所に向かう。

 

 

 

 

 

 

「いや〜学園都市の2人、マジで凄いな!!」

 

「はい。2人とも敵Pも断トツですが、救助Pもキチンと取っている。今時のヒーローは救助を蔑ろにする傾向が有るので嬉しいですね。」

 

「さり気ない援護にあの場に居た何人が気付いただろうな。」

 

「アレニ気付ケル者ハ殆ド居ナイダロウ。」

 

他の先生の評価を聞きながら相澤は2人の行動を思い出す。

 

初動のあの動きは学園都市での経験の賜物か。

能力の練度、状況に応じた技の選択、その精度、どれを取っても並じゃない。

プロでもトップクラスの実力が有ると見ていい。

それに2人とも自分の命を無闇に犠牲にしてる訳では無い様だな。

 

「しかしコイツらに教える事って有るのかよ?」

 

「学園都市で生活していたからヒーロー関係の法律等は知らないだろうからそこら辺がメインになるだろう。」

 

山田の最もな質問に不足しているだろう部分を見つけて答える。

 

「2人の入学は確定で良いかな?」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

校長からの質問にその場に居る全員が頷く。

 

「じゃあ他の受験生を見ていこうか。3位の子はどうだい?」

 

「敵Pだけでこれ程の高得点を叩き出せる戦闘力は認めますが、13号先生が言うように敵を倒せば良いの典型ですね。」

 

「それに故意にでは無いですが他への妨害行為も見られる。」

 

「それはコレからの学園生活で改善できるのでは?」

 

「それは解らないぞ。ハウンドドッグ先生の話では試験前に緑谷出久君を無個性だと馬鹿にし、周りに聞こえる様に貶していたそうだ。」

 

「無個性差別主義者って訳かい。そんな人間をヒーロー科に入れるのかい?」

 

無個性差別は昔からある。

だがだからと言ってそれをする奴にヒーロー等務まる筈がない。

 

会議は紛糾した末に様子見をすることになった。

 

 

 

 

 

 

入試から1週間がたった。

 

入試を終えた出久達は出久の両親のお墓参りをしてから学園都市に帰って来た。

 

帰って来た際に黒子が美琴ちゃんに飛び付いたり、お腹を空かせたインデックスが出久の部屋の前に倒れていたりと色々とあったがいつも通りの時間を過ごしていた。

 

「で、合格発表ってのは何時来るんだ?」

 

「多分そろそろだと思うけど、何?心配してくれてるの?」

 

「ハッ!!誰が!!お前が入試ごときで失敗する訳無いだろ!!」

 

ラストオーダーの我がままに振り回される形で出久の家に来ていた一方通行の言葉に苦笑いする。

 

「ポストに郵便が届いてたよ、とミサカはミサカは言うよ!!」

 

「ありがとう。ん?どうやら噂をすれば何とやらみたいだよ。」

 

ラストオーダーが持ってきてくれた荷物を受け取った出久はそれが雄英からの物だと気付く。

 

一方通行はそれに興味を示さないが、ラストオーダーは興味津々に出久と一緒に見る。

 

『私が合格発表に来た!!久し振りだね、緑谷少年!!何故私が雄英の合格発表をするのか疑問に思っているかも知れないが、実は私は今年から雄英の教師になるのだよ!!』

 

「あの筋肉ダルマが教師?大丈夫かよ?」

 

「さ、さあ…」

 

いきなりオールマイトが現れた事に驚いたが、録画されたオールマイトの口から発せられた言葉に出久と一方通行は不安になる。

 

『まあ私の事は置いて置くとして。発表に移ろうか。緑谷少年、筆記は問題なくパーフェクトだ!!実技試験も敵Pと110P!!此れだけでも1位通過だが!!我々が見ていたのはそれだけじゃない!!隠された審査ポイント!!救助活動P!!しかも審査制!!92P!!御坂少女と並んで歴代を含めて断トツ1位の通過だって!!

 

 

来いよ、少年!!此処が君のヒーローアカデミアだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソが!!ふざけんな!!」

 

爆豪は雄英からの合格発表を見終わった瞬間、機械を爆破し、部屋の物に当たり散らす。

 

『敵P77P。本来なら此れだけで全受験生中3位の通過だが、爆豪少年は救助活動Pで見るべき点は一切無かった!!ヒーローとは人を助ける仕事だ!!その為、この結果はいただけない。それに故意にやった訳では無いだろうが、他人への妨害行為、それから入試前の校門前での無個性差別主義的発言に他人の中傷行為。此等を鑑みて爆豪少年はマイナス37P。合計40Pで最下位合格だ。雄英でしっかりと他人を尊重すること。そしてヒーローとは何か学ぶように。でないと君はヒーローにはなれないぞ!!』

 

憧れのオールマイトから言われた結果に爆豪はただただ怒りしか湧いて来なかった。

 

(俺が最下位だと!!ヒーローになれないだと!!巫山戯るな!!今に見てろよ!!俺が№1ヒーローになって雄英なんかぶっ潰してやるからな!!)

 

 

 

 

怒りに震える爆豪はその考えが正にヴィランそのものだと気付く事は無いのだった。



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合格祝いとその裏で

今回は風真の実力の一端が見れるかな?

AI作成風真先生

【挿絵表示】



風真先生の幼馴染明日香先生

【挿絵表示】


明日香先生の報はちょくちょく出てきます


「合格おめでとう!!出久!!」

 

「おめでとう、出久。」

 

「まあ当然ですわ!!お姉様と貴方が落ちるなんて有り得ませんわ!!」

 

「ははは。皆、ありがとう。それにしてもこんなパーティー、何時から準備してたの?全く気付かなかった。」

 

僕たちが雄英高校に受かった事を知った学園都市の仲が良い知り合い達がパーティーを開いてくれた。

 

場所は叔父さんに好意を寄せる叔父さんの幼馴染の明日香さんの家で、料理も明日香さんが全員分作ってくれた。

 

「明日香さん、本当に手伝わなくて良いんですか?」

 

「出久君は今日の主役でしょ。私だって出久君程じゃないけど料理は得意だから大丈夫よ。風真には任せられないし、他にお手伝いさんが居るから。」

 

明日香さんが言うように佐天さん達、料理得意な人たちが料理をしていた。

 

因みに殆どなんでも1人でこなせる風真叔父さんは料理が壊滅的に出来ない。

小さいときに1度食べたが見た目も匂いも美味しそうに出来ているのに味は死ぬ程不味いのだ。

それを食べて気絶し、病院に運ばれたのは今では笑い話で済んでいるが、当時は明日香さんとか色んな人に風真叔父さんは怒られたらしい。

それから叔父さんも明日香さんや、他の同僚の女性に料理を教わり上達しているが、アレ以降は明日香さんが通い妻の様に料理を作りに来てくれたり、僕自身が明日香さんから料理を教わり作ったりして、今では僕の方が明日香さんより料理のレパートリーは多いし、インデックスとラストオーダーからは絶賛される程になった。

 

けど明日香さんも不憫である。

僕からしたら解りやすい位に明日香さんは叔父さんにアピールしてるのに、叔父さんは全く気付かないんだもんな。

 

 

 

尚、これを他の人が聞けばお前が言うな!!と言われるのが落ちなのだが出久は全く気付かないのだった。

 

 

 

 

まあそんな風に話している間にも風真以外の全員が集まり、パーティーが開始されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『パーティー始まったけどそっちはどうなの、風真?』

 

「まだ掛かりそうだな。今回侵入してきたヤツは厄介な相手みたいだ。迎撃に出た警備員が壊滅的な被害を受けた。幸い死人は出て無いがな。」

 

『つまり学園都市の警備員を相手に出来るだけのヤツが侵入してきた訳ね。私も動こうか?』

 

「いや。此方はアイテムとシイナが動いてるから大丈夫だ。明日香は出久達を頼む。俺も終わらせたら直ぐに行くから。」

 

『わかった。頑張って。』

 

「ああ。」

 

明日香との電話を終えた俺は携帯を仕舞いながら状況を整理する。

 

(敵は1人。複数の個性を持つ脳が剥き出しの黒い異型の化物か。判明しているだけでも再生能力が有り、パワーも強い上に動きが速いか。能力を吸収し、弱いが自分の物にしている可能性有りか…厄介だな。仕方ない俺が相手するか…)

 

そう決めたタイミングで展開していたアイテムを率いる麦野から通信が入る。

 

『対象を発見したわ。場所はN-71の浜沿いの倉庫群。活動停止中みたい。ピクリとも動かないわ。私がやりましょうか?』

 

「いや。俺が殺る。麦野達は監視をシイナに引き継ぎ撤収しろ。」

 

『わかりました。後はお願いしますね。』

 

通信を切った俺は大気を固めて作った空中の足場を利用した高速移動で現場に急ぐ。

 

数分で現場近くに着くと監視の任を引き継いでいた御坂シスターズの一人、シイナと合流する。

 

「どうだ?」

 

「麦野さんからの報告にあったように対処は微動だにしないと御坂は報告します。」

 

「動く気配無しか…にしても何だアイツ?本当に脳が剥き出しだな。アレで本当に生きてるのか?」

 

「対処からは微かな電磁波を確認出来る為、生きていますと御坂は報告します。ですが電磁波とは違い体内からは莫大な量のエネルギーが有ると御坂は補足します。」

 

「ますますアンバランスだな。まるで誰かに作られたみたいだな。」

 

シイナの報告を聞きながら俺はある仮説を立てる。

それは

 

《ヤツがまだ生きていて裏で糸を引いている》

 

という余り考えたくない仮説を。

 

だが今は考える時ではなく。

敵を排除するのが専決だ。

 

「一先ず奴を倒すか。シイナ、記録を頼む。」

 

「わかりましたと御坂は答えます。」

 

シイナに指示を出した俺は対象に近付くと脳剥き出し野郎がいきなり動き出し、俺に向かってくる。

 

「なるほど。一定以上に近付くと襲い掛かって来る訳か。まるで人形だな。」

 

対象の動きにそう評しながらも冷静にヤツの動きを見極め、右足に纏わせた風の刃で対象の左腕を斬り裂く。

 

だがそれに悲鳴も怯みもすること無く向かって来ながら、斬り飛ばした腕を再生させる敵に若干だがきみの悪さを感じつつ冷静に何の工夫の無い攻撃を交わして今度は打撃を加えていくが、此方も効果が有るようには感じない。

 

(打撃も斬撃も効果無しか…お負けに腕をいきなり倍に増やす上に衝撃波まで撃ってくるか…それにコイツからは生命の息吹を感じない…動く死体と云うわけか…胸糞悪いが一気に決めるか…)

 

そう決めた俺は風では無く大気そのものを操り、大気を利用して一瞬で敵の剥き出しの脳を破壊する。

 

流石に脳を破壊されては動く事は出来ないらしく倒れ伏す敵を見ながら、俺は確信する。

 

 

 

 

奴は…AFOは生きている

 

 

 

 

と。



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相澤先生は色々と問題が有る

相澤先生って雄英は自由が売りだと言ってますが流石に始業式やガイダンスをすっぽかすのはどうなんだ?

美琴が加わる為、1年生は41人とします



雄英入学3日前、雄英高校の近くの家に僕と美琴ちゃん、叔父さん、明日香さんの4人で暮らす事になった。

理由は雄英から学園都市は近いとはいえ電車で1時間は掛かる為、通学の利便を考えてだ。

何でこの4人かというと簡単だ。

僕と美琴ちゃんだけでは何かあったらいけないのとそもそも家を借りられない事で、僕の保護者である風真叔父さんが選ばれる。

けど風真叔父さんだけでは色々とお年頃の美琴ちゃんが大変だろうと、風真叔父さんの幼馴染である明日香さんが選ばれた訳だ。

まあ当の明日香さんは風真叔父さんと同棲できるからとご機嫌だが。

 

そんなこんなで引っ越しやら、部屋の片付けやら、家の周りに何があるかの確認やらで3日が過ぎ、僕たちの入学式当日になった。

 

「家の鍵は持ったな?」

 

「うん。大丈夫。」

 

「そこまで子供じゃないわよ。」

 

「念の為だ。まあ何だ?2人とも頑張れよ。」

 

「「いってきます!!」」

 

「「いってらっしゃい。」」

 

風真叔父さん達の見送りに笑顔で答えると僕たちは仲良く電車で雄英に向かう。

 

「え〜と確かこの辺りにクラス表が貼られてるんだったよね?」

 

「アレじゃない?」

 

「みたいだね。」

 

美琴ちゃんが指差す方向を見た僕は同じ新入生らしき人達がボードに張り出された紙を見ている姿だった。

 

その人達に近付いた僕たちは素早く何組か確認すると同じ1年A組に名前が有るのを見つけた。

それと同時にあの爆豪勝己の名前が有るのも。

 

「アイツ、受かってたのね…まあ実力は外の人間にしてはそこそこあったみたいだしね。」

 

「みたいだね。僕としては間違いなく突っ掛かって来る爆豪君の相手をしないといけないのが嫌だな。」

 

10年程、離れていたとはいえ爆豪勝己の性格は昔と変わらないどころか悪化しているのは入試の時に解った為、ため息が出る。

 

そんな会話をしながら教室に行き、扉を開けたけど

 

「机に足をかけるな!!歴代の諸先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」

 

「思わねーよ!!テメー何処中だよ!!端役が!!」

 

いきなりコレである。

予想通りと言うべきか…

誰構わず暴言を吐いている爆豪君の姿に呆れ果てる。

 

そんな僕達に気づいたのだろう。

入試の時に堂々とプレゼント・マイクに質問していた男子が話し掛けてくる。

 

「不快な思いをさせて申し訳ない。ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ。」

 

「大丈夫だよ。君のせいじゃないから。僕は学園都市から来た緑谷出久。宜しく飯田君。」

 

「どう見てもアッチが悪いから気にして無いわよ。出久と同じで学園都市から来た御坂美琴よ。」

 

「が、学園都市から…」

 

「何か含みがあるみたいだけどそういうのは余り面に出さない方が良いわよ。アイツみたいにね。」

 

「んだとクソアマ!!」

 

飯田君が学園都市と聞いて反応したのを見た美琴ちゃんが此方を睨み付けてくる爆豪君を引き合いに出して言うと、爆豪君が美琴ちゃんがに向かって襲い掛かりそうだったので間にサッと割り込む。

 

「どけや!!クソデク!!」

 

「退かないし、クソデクって誰のこと?僕は出久だ。クソデクじゃない。そう云う発言をしたいなら雄英から退学をオススメするよ。それと美琴ちゃんも言い過ぎだよ。」

 

「そうね。そこは謝るわ。」

 

僕が怯むことなく言い返した事で爆豪君は不愉快そうに舌打ちすると、また自分の席に乱暴に座る。

 

「飯田君も、他の皆もゴメンね。」

 

「い、いや!!気にする事はない。それから学園都市の事は色々と噂で聞いていたからつい変な対応をしてしまったすまない。」

 

「俺たちも大丈夫だから気にすんな!!」

 

クラスメート達に謝ると爆豪以外の全員が問題ないと答えてくれる。

 

と、その時、僕は這いずる様に来る物体?人?を感知して、直ぐ様能力を発動させながら振り返り迎撃体制を取る。

それは美琴ちゃんも同じだった。

 

「待てお前ら。俺はお前らの担任だ。」

 

「担任?」

 

「どう見ても不審者でしょ!!」

 

 

「「「「「「「うん!!うん!!」」」」」」」

 

「…お前ら酷いな…まあ良い。俺が担任なのには変わらない。良いから席に着け!!」

 

寝袋から這い出てくるボサボサの髪に目に隈が出来た男性の指示に渋々従い席に着く。

 

「はい。皆が席に着き、静かになるまで8秒掛かりました。お前たちは合理性に欠けてるね。時間は有限。覚えておくように。まあ良い。俺は担任の相澤だ。宜しく。」

 

「合理性以前にあんな登場の仕方かつ、その格好なら不審者かつ、女子のパンツを覗き見してる様にしか見えないわよ。」

 

相澤先生の発言に美琴ちゃんがバッサリ切って捨てるけど、間違いなくその通りだ。

 

「…流石に気をつけるよ。まあそれより今からお前たちにはコレを着て、グラウンドに出て貰う。」

 

そう言われ渡された体操服に着替え、グラウンドに集合した僕達に相澤先生は『個性把握テスト』の実施を宣告した。

 

いきなりすぎるという声もあがるが、先生は雄英高校は自由な校風が売り。

そしてそれは先生側もまた然り。と聞く耳を持たないまま説明を続けていく。

 

ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈、以上8種目を測定する。

ただし、“個性”ありで。

 

「まず、自らの『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。そして…トータル成績最下位の者は、見込み無しと判断し、除籍処分とする」

 

投げ込まれた爆弾に驚き、先生が何を意図した発言かそれとなく察した僕と美琴ちゃん以外のクラスメート達の抗議の声に相澤先生は涼しい顔…いやむしろ笑みさえ浮かべ― 

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵達…いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽に溢れてる。そしてそういう理不尽を覆していくのがヒーロー!!これから3年間。雄英は全力で君達に苦難を与え続ける。《Plus Ultra(更に向こうへ)》さ!!全力で乗り越えて来い!!」

 

相澤先生の言葉に全員の目の色が変わるのだった。



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個性把握テスト

相澤先生の発言から始まった個性把握テスト

 

最初はソフトボール投げ

 

「準備運動の済んだ者から進めていく…スロースターターな“個性”の持ち主もいるからな。最大値を測るなら、出席番号順より合理的だ。」

 

確かにそういう人も居るだろうから合理的ではあるけど僕と美琴ちゃんには関係ないな。

 

「最初は誰だ?」

 

「俺だ!!お前らは俺の後塵を拝してやがれ!!」

 

先生の質問に爆豪君が自信満々にそう言うと引ったくる様に先生からボールを受け取る。

 

「死ねぇ!!!」

 

ヒーローらしからぬ掛け声と共に、ボールを爆風に乗せて投げ飛ばした。

 

「記録、705.2m…なかなかのもんだ。」

 

相澤先生の言葉にドヤ顔を決める爆豪君。

 

「まあ妨害行為をしなければ入試3位なだけは有るが威張るほどじゃないな。次は誰だ?」

 

「じゃあ僕がいきます。」

 

「緑谷か。爆豪、見ておけ。歴代断トツ1位を叩き出した2人の内の1人の実力をな。」

 

「なっ!!クソデクが1位だと!!」

 

相澤先生の発言に此方を睨み付けてくる爆豪君を無視し、受け取ったボールを水で包み、自分の周りに浮遊させる。

 

そして右手を前に出すのに合わせて、ボールを顔の横に待機させる。

 

「ショット!!」

 

その一声に合わせて放たれたボールはいきよい良く飛んでいき、反対側のフェンスに直撃する。

 

「「「「「「なっ!!マジかよ…」」」」」」

 

「はっ?……ふ、巫山戯んな!!どういうことだ!!クソデク!!何でテメェに個性がある!!」

 

その結果を見た爆豪君が個性を使いながら飛び掛かって来たので素早く爆豪君の懐に潜り込み、伸ばされた右手を掴み、組み伏せながら後ろで拘束し、左手を足で固定する。

 

「コレは僕が学園都市で研鑽し手に入れた力だ。君にとやかく言われる覚えは無い!!それからヒーローになりたいのに直ぐに暴力に頼るとか何を考えてるの?」

 

僕は組み伏せた爆豪君に冷ややかな視線を浴びせながらそう呆れながら聞く。

 

「緑谷。そこまでだ。それから爆豪、除籍になりたいのか?お前は教師陣の温情で雄英に入れた事を忘れるなよ。」

 

相澤先生も冷えた目で爆豪君にそう注意するので、僕も彼の上からどく。

 

「まあ。こういう風に行っていく。解ったらサクサク勧めていけ。」

 

相澤先生の指示で止まっていた皆が動き出す。

 

因みに僕の記録は測定不能となり、美琴ちゃんもボールが耐えきれずに消滅した事から二人揃って測定不能となった僕たちと個性で無限を叩き出した麗日さんが同率1位となった。

 

続く50m走は美琴ちゃんが電気で肉体を強化する事で1位になり、僕は水をウォータージェットの要領で加速する事で高速移動を可能ですかしたが僅差で飯田君に負けて3位となった。

 

立ち幅跳びは僕は空中に氷の足場を形成する事で無限と云う記録になった。

 

握力は2人とも機械を壊してしまい測定不能で平謝りした。

 

次の反復横跳びは美琴ちゃんが1位で、ブドウ頭の峰田君が2位で僕が3位となった。

 

上体起こしは峰田君が1位で2位が美琴ちゃん、3位が僕となった。

コレは美琴ちゃんの技の持続時間と、僕の能力のタイムラグから背中と腹にゴムボール?の様な個性で反射する峰田君には敵わなかった結果だ。

 

長座体前屈は氷と水、そして砂鉄で記録を伸ばした僕と美琴ちゃん、轟君が同率1位となり、舌と個性であるダークシャドーを駆使した蛙吹さんと常闇君が同率3位となり、能力を活かしようがない人は普通の結果になった。

 

持久走はバイクを作った八百万さんが1位で、僕が2位、3位に飯田君となり、4位に持続時間重視の身体強化術を使った美琴ちゃんがランクインした。

 

そしてトータルでは

 

1位は僕

 

2位は美琴ちゃん

 

3位は八百万さん

 

4位が轟君

 

5位が爆豪君

 

と続き最下位は峰田君となった。

 

全員の視線が最下位に集中し―

 

「ちなみに除籍は嘘な。」

 

その言葉で一斉に、相澤先生の方を向き―

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽だ。」

 

その場に崩れ落ちた。

 

けど僕と美琴ちゃん、それから八百万さんは平然と立ったまま、相澤先生の言葉を受け止めるが、受け止め方は違った。

 

「あんなのウソに決まっているじゃない…ちょっと考えればわかりますわ…」

 

と、八百万さんは言うけど僕と美琴ちゃんは今の発言こそが嘘だと見抜き、自分達が相澤先生のお眼鏡にかなったのだと理解したが、敢えて何も言わないのだった。



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備える者たち

木原一族の木原那由他を風真が救い養子にしている設定です


風真side

 

俺は今、余り会いたくない相手だがアレイスターにあの黒い脳剥き出しヴィランについての報告を外部から塚内警部を招いて明日香とシイナを伴い行っていた。

 

「以上の事から風真さんが倒したのは生きる屍と判断しましたと、御坂は報告します。」

 

「生きる屍だと…」

 

「風真君、明日奈君、君たちも同様の意見かな?」

 

「ああ。」

 

「はい。」

 

怒りを露わにする塚内警部とは対照的に冷静に問い掛けてくるアレイスターに若干の嫌悪を覚えながらも頷く。

 

「根拠は有るのかな?」

 

「勿論です。あの黒い脳剥き出しヴィランを調べた処、複数の別々の系統的個性を持っていることが解りました。また生き物として当たり前にある生殖機能や内蔵の一部が存在しませんでした。そして何よりアレの素体になったと思われるのが出久君の両親の命を奪い、獄中で死んだ筈のヴィランだと言うことです。」

 

「なっ!!」

 

「……つまり何者かが死体を弄くりあの様な姿にしたと…外道が!!」

 

明日香の説明を聞いた瞬間、アレイスターから今まで聞いた事がない程の怒りを含んだ声が発せられた事に驚く。

 

「風真君。私が怒りを現した事が意外かね。」

 

「正直に言えば貴方は気にしないと思ってました。」

 

「確かに私は君たちから見たら外道だろうね。自覚はしている。だがそんな私でも越えてはならない一線が有ることは理解しているよ。シスターズの事は当初は人間として見ていなかった。それは認めよう。だがだからといって死者を冒涜する様な事を認めはせんよ。」

 

まさかアレイスターの口からそんな言葉を聞くとは思わなかったが、アレイスターは確かに外道だが底辺まで堕ちていなかった訳だ。

 

「だが残念ながらそれに賛同しそうな者達が学園都市にも居るがな…」

 

「木原一族だな…その危惧は正解だ、アレイスター。木原一族の屋敷を見張っていた者たちから連絡があった。学園都市にいた木原一族が那由汰を残して消えたそうだ。それも忽然と同時にだ。」

 

「地下の特別研究室で管理していた脳剥き出しヴィランもです。敵に空間系の個性又は能力、魔法持ちが居ると思います。」

 

そうクズ野郎ばかりが集まる木原一族だけでも頭が痛いのに、敵に空間系の力を持つ奴が居るとなると対策が後手に回る可能性すらある。

 

「………この手際と脳剥き出しヴィランの事を考えると先ず間違いなく裏に奴が居るだろう。私から国の方に話は通しておく。いざとなれば学園都市を開放しよう。」

 

「今からですか?」

 

「学園都市の開放は有事だとしても面倒な手配やら根回しをしないといけないからね。今の内に終わらせておくよ。」

 

アレイスターの言うとおり学園都市は確かに日本国内に有るもののその特殊性からIアイランドと同じ様に高い独立性を持ち、出入時にも厳しい審査がある。

それは有事の際にも変わらない為、今から動いておくのは当然の帰結だろう。

 

「それから明日香君はシイナ君や他のシスターズと共に対空間系索敵システムの構築と残っているデータからのヴィランの成長予測を計算してください。ああ。そうそう考えられる限りの個性と木原一族を考慮してです。大変でしょうから新型スパコンを研究室に併設させましょう。」

 

「解りました。」

 

「風真君は塚内警部と共に木原一族の捜索と学園都市の防備の強化をお願いするよ。」

 

「解っている。既に警備員には警戒するように伝えた。風紀委員はまだ出すべきではないから裏を使う。それから警備員の装備強化も行う。それで良いな?」

 

「結構です。」

 

「それじゃあ早速取り掛かる。行くぞ。」

 

アレイスターからの指示に頷き、俺たちは行動を開始するためその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

AFOside

 

「やぁ。よく来てくれたね。木原数多君。」

 

『ハッ!!此方の方が人殺しも楽だし、モルモット共も沢山居るから来たまでだ!!』

 

『先生、本当にこんな奴が役に立つのか?』

 

弔からの質問は彼を…いや彼らを知らない人からしたら当然だろう。

 

「勿論さ、死柄木弔。彼等はあの学園都市の優秀な科学者だからね。学園都市の者達が彼等を冷遇する理由が解らないよ。大丈夫、弔。彼等は君の心強い味方になる。」

 

『こんなガキが強いのかよ?』

 

「弔は5本の指で触れた相手を崩壊させられるよ。」

 

『へぇ~だがコイツのオツムと武術は弱い様だな。其処を鍛えろ。それから個性も鍛えるんだな。じゃねぇと学園都市のLevel5共には通用しねぇぞ。』 

 

「確かにその辺りは課題だが長い目で見てくれると有り難いね。」

 

『わかったよ。じゃあ俺は新しいモルモット共の方見てくるわ。』

 

彼が立ち去った瞬間、弔が持っていたグラスを壁に投げつけたのだろうガラスが割れる音がする。

 

『何なんだよ、アイツは偉そうに!!』

 

「落ち着くんだ、弔。彼は確かに傲慢だが有益な人材だ。それに何れは用済みになり、君の糧になる。それまで辛抱するんだ。今は彼を信じてみなさい。」

 

『わかったよ、先生。じゃあ俺は気に食わないが個性と身体鍛えて来るよ。』

 

弔の返事に満足し、繋げていた通信を切る。

 

「さて。ゲームを始めよう、オールマイト。それに風真君。今度こそ学園都市を手に入れ、楽しい生活を始める為に。」

 

私はニヤニヤと笑いながら今後の楽しみに胸を踊らせるのだった。



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親睦会➀

あと那由他が引っ越して来ますが、出久達と別になった理由は此方の学校への編入手続きに時間が掛かったからです
またシイナは那由他の護衛です


個性把握テストが終わり、帰っていい事になったので爆豪君は僕や美琴ちゃん、あと轟君と八百万さんを睨んでからさっさと帰っていった。

 

「何かアイツ、めちゃくちゃ怒ってね?」

 

「気にしないで良いよ。」

 

「えっと緑谷だっけ?お前、アイツの事知ってんのか?」

 

「まあ一応ね。僕が叔父さんが居る家に引き取られる前の幼なじみだよ。」

 

「ん?叔父さんの家?緑谷って両親は?」

 

「ちょっ!!」

 

爆豪君に聞かれたので答えていると、僕が言った言葉が気になったのか赤髪でツンツンヘアの確か切島君の質問に美琴ちゃんが慌てる。

 

「大丈夫だよ、美琴ちゃん。それと切島君だったね。僕の両親は僕が5歳の時に亡くなったよ。」

 

「ッ!!わ、悪い!!」

 

「気にしないで。それより爆豪君の事だね。昔から何でも出来たから周りにチヤホヤされてたから傲慢で自分勝手で差別的な性格になったんじゃないかな。あと多分だけど男性だろうと女性だろうと容赦なく手を出してきそうかな?」

 

重い空気を変える為に話を爆豪君の事に戻す。

 

「あぁ…なんか理解出来た…」

 

「それで良くヒーローを志ざせますわね、あの方…」

 

「八百万さんの言う通りだよ。昔は僕も無個性を理由に虐められたから。まあ無個性なのは今も変わらないけど。」

 

「「「「「「はぁ⁉」」」」」」

 

「ま、待ちたまえ!!緑谷君は個性が有るでは無いか!!」

 

「そうですわ!!先ほど水や氷を出していたでは無いですか!!」

 

「「「「「「うん!!うん!!」」」」」」

 

僕の発言にその場に居た全員が驚く。

轟君も声には出さないが目を見開きながら見てくる。

 

「そっか学園都市の外の人は知らないのか…学園都市に居る人の約9割が無個性だよ。美琴ちゃんもね。僕たちが使う能力は科学により生み出された物を特殊なカリキュラムで伸ばしたものだよ。だから学園都市には異形型の人は居ないし、能力者は独自の適正に合わして能力を伸ばしてはいるけど大元の能力は分類出来るんだ。僕なら水使い(アクアマスター)。美琴ちゃんなら雷使い(エレクトロマスター)って感じでね。だから僕たちの力は個性じゃないんだ。」

 

「な、なるほど。…っと更衣室に着いたな。もっと話を聞きたいが今は此処までにしよう。」

 

話していると更衣室に着いたので男女に別れて着替える。

 

「な、なぁ緑谷。そのさっきはごめん!!」

 

「ちょっ!!切島君!!本当に大丈夫だから!!」

 

「いや!!謝らしてくれ!!じゃねぇとお前が良くても俺の気持ちが!!」

 

着替え終えたタイミングでさっきから僕の方をチラチラ見ていた切島君が勢いよく頭を下げてきた。

 

「わかった。じゃあ謝罪を受け入れるよ。けどね切島君も、皆も僕は本当に大丈夫なんだ。確かに失った当初は寂しいし、胸にポッカリ穴が開いた感じだったけど今は叔父さんや義理の妹、それに美琴ちゃんや学園都市の友人も居るから充実してるんだ。」

 

「そっか。わかった。じゃあこの話は此処までだな。」

 

「そうだな!!なあそれでさ皆との親睦深める為、女子も誘って飯でも食いに行かね?」

 

切島君が漸く笑顔を見せたタイミングで上鳴君がそう提案してくる。

本当なら賛同したいけど今日、那由他とシイナが此方に引っ越してくる事になっているから無理だ。

 

「悪いが俺は参加しない。」

 

「ごめん。僕と美琴ちゃんも無理かな。」

 

「そっかならしゃあないな!!」

 

僕と轟君が不参加を表明すると上鳴君は残念そうにするので有る事を思い付く。

 

「良かったら。家に来る?叔父さん達に聞く必要は有るけど多分いけるからご飯位なら振る舞うよ?」

 

「えっ?大丈夫なのか?用事が有るんだろ?それに轟と爆豪が参加しないとはいえ16人だぜ?」

 

「用って言っても僕と美琴ちゃんの妹が此方の家に引っ越して来るだけだし、家は皆来ても余裕が有るから大丈夫だよ。」

 

「じゃ、じゃあお願い出来るか?」

 

「わかった。ちょっと電話するね。」

 

そう決まったので叔父さんと明日香さん、それから那由他とシイナに連絡を取り、了承が出た為、轟君と爆豪を除く皆で僕たちの家に向かう。

 

「ご、豪邸やないかーい!!」

 

「あはは…まあそうなるよね。叔父さんが張り切ったからね。」

 

「お前の叔父さんってお金持ちなんだな…」

 

僕たちの家の規模に麗日さんが目を丸くし、瀬呂君がそう呟く。

 

「あっ!!出久お兄ちゃん!!美琴お姉ちゃん!!おかえり!!それから皆さん、いらっしゃいませ!!出久お兄ちゃんの妹の緑谷那由他です!!ほら!!シイナお姉ちゃんも!!」

 

「御坂はお姉様の妹のシイナです、と御坂は挨拶します。」

 

家に入ると那由他は満面の笑顔で、シイナは何時もの表情で出迎えてくれる。

 

「那由他、それにシイナもただいま。」

 

「出迎えありがとう。」

 

「「「「「「「「「「「「お邪魔します。」」」」」」」」」」」」

 

そんな2人に僕たちも笑顔で返してから叔父さん達が居ないことに気付く。

 

「あれ?叔父さん達は?」

 

「お義父さん達は今日は何か用事が有るとかで遅くなるって。」

 

「そっか…わかった。」

 

那由他の答えで学園都市で何かあったのだろうと理解したが、叔父さんが何も言って来ないと云うことは僕たちが出る程ではないのだろうと判断して今は皆との親睦会を優先する。

 

「叔父さん達は居ないみたいだからリビングで適当に寛いでて。僕は着替えたらご飯を作るから。」

 

「緑谷がご飯を作るのか?」

 

「うん。まあね。」

 

「出久お兄ちゃんの料理は本当に美味しいから期待して良いよ!!」

 

「マジか!!じゃあ俺らはお言葉に甘えてゆっくりさせて貰うわ!!」

 

皆に料理をしてくると言うとまた驚かれたが、そんなに僕は料理が出来る様に見えないのかと思いながら自分の部屋に着替えに向かうのだった。




オリキャラ紹介

御坂シイナ

御坂美琴のクローン《シスターズ》の417号
他の個体よりオリジナルに近い力を持っていた為に一方通行との戦いはせずに肉体強化の実験に使われていた個体
その為、能力自体は美琴より劣るが肉体強化研究の結果、基礎の身体能力と頭の回転速度はオリジナルの美琴以上です


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親睦会②

今回の親睦会はコレで終わりですがまた別の機会に③や④を行います


制服から私服に着替えた僕は台所にいき、冷蔵庫を確認する。

 

「ん〜人数が人数だし、時間が無いからミートパスタとサラダで良いかな?」

 

材料を確認し、メニューを決めると早速取り掛かる。

玉ねぎとニンニクをみじん切りにし、にんじんをすりおろす。

底が深いフライパンにサラダ油とニンニクを入れ、香りが出てきた処で玉ねぎを入れて中火でしんなりするまで炒めたらひき肉を加えて肉の色が変わるまで炒める。

色が変わったらすりおろしたにんじんを加えて、サッと炒め、そこに白ワインとコンソメ、自家製トマトソースを加えて煮る。

煮立ったら弱火にし、フタを閉めて10分煮る。

10分たったらフタを開けて、底から混ぜながら更に10分煮込み、塩コショウで味を整える。

 

ミートソースを作っている間に頃合いを見て茹でておいた自家製パスタを皿に盛り、ミートソースをかける。

サラダの方もミートソースを作る間に春レタスに黄色のパプリカ、トマト、ゆで玉子、自家製チキンサラダを盛り付けた簡単なものだが出来ている。

 

それらを能力を使いテーブルに運んでから皆が遊んでいる筈のリビングに向かう。

 

「皆、ご飯出来たよ。」

 

「やっとか!!此処までめちゃくちゃ美味しそうな臭いしてきてたから腹ペコペコだ!!」

 

「本当だぜ!!早く食いてえよ!!」

 

「よし!!皆、移動しよう!!」

僕がリビングに入ると切島君と峰田君が待ってましたとばかりに立ち上がり、飯田君の号令で皆が入れるダイニングルームに向かう。

 

「うめぇ~!!何だこれ!!」

 

「本当ですわ!!家のシェフにも負けない美味しさですわ!!」

 

「ダメだ!!完全に私より料理上手いよ…」

 

「コレは想像以上ね。」

 

「私、何かプライドボロボロだよ…」

 

「え、え~と。おかわりあるよ。」

 

「「「「「「「「「お願いします!!(頼む!!)」」」」」」」」」

 

凄い勢いで食べる男性陣と、何やら落ち込んでいる女性陣を気にしながら声をかけると全員から返事が返って来て、結局男性陣は3杯、女性陣は2杯ずつ食べて満足してくれた。

 

「美味しかった〜」

 

「満腹だよ~」

 

「緑谷君!!何でこんなに料理上手なの!!」

 

「……死活問題だったので…」

 

葉隠さんの質問に僕や美琴ちゃん達、叔父さんの料理の被害者組が遠い目をする。

何時も無表情なシイナも目のハイライトが消えている程だ。

 

「死活問題とはどういう事だい?」

 

「こんな豪邸が建てられるんだからお前の叔父さん、そうとうお金持ちだよな?食うのに困らないんじゃ無いか?」

 

「うん…確かに食材とかには困らないよ…ただ叔父さん、めちゃくちゃ料理が下手なんだ。具体的には今まで叔父さんの料理を食べて一度は全員が病院送りになるほどのね…」

 

「はい?」

 

「病院送り???」

 

飯田君と切島君が気になったのか聞いて来たので、僕が答えるとクラスメート達の目が点になる。

 

「冗談…じゃないのか?」

 

「ええ。風真先生の料理は凶器よ…」

 

「見た目と臭いは完璧なのにね…」

 

「アレはもはや生命が食べる物では無いと、御坂は言います…」

 

「見た目が悪い方が美味しいって意味が解らないよな…」

 

「た、大変やったんやね…」

 

「明日香さんが居なかったら死んでたね…」

 

 

僕たち4人の表情と感想で色々と察した皆が同情した目を向けてくる。

 

「は、話は変わるけどよ。お前ら4人一緒に暮らしてんだろ?何でだ?」

 

「そうだ!!同棲ってどういう事だよ!!」

 

話題を変えようとした切島君だったが、変えた話題がマズく、峰田君が目を見開き充血させながら聞いて来る。

 

「峰田君、怖いよ…」

 

「簡単な話よ。私たちから学園都市の情報が漏れない様にするためと、私の母さんが面白がったのよ。」

 

「面白がる?心配じゃなくて?」

 

「出久は信頼されてるし、風真さんと明日香さんが居るからね。ニヤニヤ笑いながら許可してくれたわよ。」

 

「保護者同伴だからか。」

 

「良いな…私はめちゃくちゃ心配されたし、連絡も頻繁に来るよ。心配してくれるんわありがたいけどね。」

 

美琴ちゃんの説明に障子君は頷いて納得し、麗日さんは羨ましそうに言う。

 

「え?お茶子ちゃん、1人暮らしなの!!」

 

「そやよ。私の家、三重県やからボロアパートに1人暮らししよる。」

 

「それは女の子を持つ親だったら心配するだろ。」

 

「「「「「「「うん!!うん!!」」」」」」」

 

葉隠さんの質問に対する麗日さんの答えを聞き、全員が麗日さんの両親の心配は当然だと頷く。

 

「いや!!私もお父ちゃんとお母ちゃんの心配は解っとるよ。ボロアパートやから防犯対策も甘々やし、1人娘やから心配するは当たり前や。やけどやからと唯でさえ貧しい中、雄英にいかしてくれたのにこれ以上負担は掛けられへんよ。」

 

「なら此処に住んだら良い。」

 

「そうね。家は空き部屋もいっぱい有るから1人暮らしよりは安全ね。」

 

「へっ?」

 

「あっ!!叔父さん、明日香さん、おかえり。」

 

「お義父さん、明日香さん、おかえりなさい。」

 

麗日さんがそう吐露したタイミングで、帰って来た叔父さんと明日香さんがダイニングに入りながらそう言う。

 

「え、えっと?」

 

「ああ。俺は出久の叔父で、那由他の義理の父親の緑谷風真だ。で、此方が幼なじみで同僚の」

 

「田所明日香よ。宜しくね。それでえ~と…」

 

「麗日です。麗日お茶子。」

 

「麗日お茶子ちゃんね。で、どうする?私たちは全然構わないわよ。」

 

困惑する麗日さんに明日香さんが優しく問い掛ける。

 

「麗日さん。私は良い話だと思いますわ。やはり女性の1人暮らしは危ないですから。」

 

「ウチもそう思う。」

 

「ケロケロ。私も賛成よ。」

 

「だね。今日初めて会ったけど緑谷や美琴ちゃんも信頼できそうだし。」

 

「そうだね!!私も賛成!!」

 

他の女性陣も賛同の声を上げて、麗日さんに促す。

 

「そ、そうやね。あのお願いします。光熱費とかは私も払いますんで!!」

 

「そんなもん子供が気にするな。1人増えた位で家計が揺らぐことは無いさ。」

 

「そうそう。その辺は気にしないで良いから。」

 

こうして麗日さんが一緒に暮らすことになったのだが、それを聞いていた峰田君と上鳴君に詰め寄られたり、叔父さんがスカイルーラーだと知り皆が驚いたりと色々とあったが、皆との仲が深まるのだった。



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戦闘訓練➀

予め言っておきます
作者は爆豪アンチ派です
なので本作では爆豪アンチで書きます




入学即個性把握テストや親睦会、麗日さんの引越し等があった次の日、僕は朝早く起きて何時もの様に朝食と叔父さんと明日香さんの弁当を作る為にキッチンに向かう。

 

「あ!!おはよう、出久君。」

 

「おはようございます、明日香さん。」

 

キッチンでは既にエプロンを着けた明日香さんが準備を始めていた。

 

「私はメインで弁当を作るから出久君はだし巻きと朝食をお願い。」

 

「わかりました。」

 

明日香さんの指示に従い先ずは鮭の塩焼きからだ。

買っておいた鮭に軽く塩をふり、弱火でじっくり焼いていく。

その間に卵を溶き、そこに昨日の夜から作っていた煮干しと昆布でとった出汁と醤油、砂糖を加えて混ぜ。

油を良くなじませ、温めておいた卵焼き器に溶いた卵を流して、半熟状になったら巻いていき、それを繰り返し、完成。

同時に余った出汁でシンプルに豆腐とワカメの味噌汁も作る。

鮭も焼けた為、お皿に盛り、付け合せに、自分で漬けたキュウリの漬物とありふれた物だ。

 

 

そうこうしていると明日香さんが弁当を作り終え、皆も起きてきた為、皆でご飯を食べる。

 

「やっぱり出久君の料理、美味しいよ。アカン、これ私餌付けされてしまいそう。」

 

「いや。流石にそれは言い過ぎ…「「わかる!!」」わかるの!!」

 

麗日さんの発言を否定しようとしたら美琴ちゃんと那由他が同意し、叔父さんや明日香さん、シイナまで頷いていた。

 

「ま、まあ。それは今は良いとして。そろそろ準備して出ないと間に合わなくなるよ。」

 

「あっ!!ホントや!!急がんと!!」

 

「私も!!」

 

流石に恥ずかしいと云うか何とも言えない気分だったので、目に付いた時計の時間を利用し、話を打ち切る事が出来た。

 

その後、着替え終えた美琴ちゃんと麗日さんと一緒に雄英に向かい、途中で飯田君と合流し登校する。

 

授業は雄英のヒーロー科と云えど高校で有ることには変わり無い為、午前中は普通の授業がメインで午後からヒーロー関係の授業が集中している。

ただその普通の授業は確かにレベルは高いが、学園都市での授業に慣れた僕や美琴ちゃんにとっては簡単なものばかりな為に退屈だった。

まあプレゼント・マイクの英語の授業はあのハイテインションで普通の授業をするから呆れたが…

 

 

そして午前の授業が終わり、ランチラッシュの美味しいご飯を食べた後、いよいよヒーロー戦闘学の授業となり、授業担当のオールマイトを皆は期待して、僕と美琴ちゃんは不安を覚えながら待つ。

 

「わ〜た~し~が~普通にドアから来た!!」

 

HAHAHA!!と高笑いをしながら教室に入ってくるオールマイトにクラスメートのテンションも上がる。

 

「オールマイトだ!!すげえや、本当に先生やってるんだ!!

 

「あれ、銀時代シルバーエイジのコスチュームね!!」

 

クラスメート達からのキラキラした眼差しを受けながら、教壇に立ったオールマイトは高らかに宣言する。

 

「ヒーロー基礎学!!ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目だ!!早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!」

 

戦闘訓練

その響きに、皆のボルテージは更に一段階アップする。

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿って誂えた…戦闘服コスチューム!!」

 

オールマイトは戦闘服コスチュームを見せる事で更に煽る。

教室のテンションは僕と美琴ちゃん以外は最高潮だ。

 

「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!」

 

オールマイトは言う。

 

「恰好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!!自覚するのだ!!今日から自分は…ヒーローなんだと!!」

 

うん…今の所は普通だけど何かテンションで持っていってる感じかな?

 

テンションが高い皆に苦笑しながら後ろをついて行き、ヒーロースーツに着替える。

僕のヒーロースーツは軍服風の黒のスーツで、美琴ちゃんとデザインは同じペアルックである。

 

「出久ちゃんと美琴ちゃんのスーツって似ているわね。」

 

「まあ。軍服風のスーツでとしか要望出してないからね。」

 

「そうなんや。私はもっときちんと要望書くべきやったな。こんなパツパツスーツになってしまった。はずかしい…」

 

「ヒーロー科、最高!!」

 

「峰田君、凍りたい?」

 

麗日さんのスーツを見ながらそんな事を言う峰田君に冷気を纏いながら問い掛けると、全力で首を横に振るので止めておく。

 

「良いじゃないか皆、カッコいいぜ!!」

 

そんな僕たちにオールマイトはサムズアップしながら褒める。

 

「先生!!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!!」

 

そこへフルアーマータイプの戦闘服コスチュームを身に纏った飯田君が、生真面目に挙手をしながら質問をぶつけた事で説明が開始された。

 

要約すると

 

➀今回行うのは、2人1組の『ヒーロー』と『ヴィラン』に分かれての屋内戦

 

➁状況設定は『核兵器』の隠されたヴィランのアジトへヒーローが乗り込むというもの

 

➂制限時間内にヴィランを無力化するか、『核兵器』を確保すれば、ヒーローの勝ち

 

➃逆に制限時間内『核兵器』を守るか、ヒーローを無力化すればヴィランの勝ち

 

そして…

 

「ペアはクジで決める!!」

 

「適当なのですか!?」

 

「飯田君、現場では常に状況に即したヒーローと組めるとは限らない。その場合、その現場に居るヒーロー達で即席のチームを組む事になるからこの設定は理に適ってるよ。」

 

「なるほど。そう云う事か!!」

 

「けど問題は二人一組だと1人余る事になるわね。あとオールマイト、カンペを見ながら説明ってどうなの?」

 

飯田君の質問に答えた横で、美琴ちゃんが皆が思っただろう事をズバッと言いながら質問する。

 

「か、カンペについては申し訳ない。設定を覚えれて無かった。それからチームについてだけど緑谷少年か御坂少女が1人でやってもらうことになるかな。」

 

「わかりました。じゃあ僕が1人でやります。」

 

「だ、大丈夫なんですか!?」

 

「ケッ!!余裕こきやがって!!先生が依怙贔屓して良いのかよ!!オールマイト!!」

 

「2人の実力は私も知っているからね。何も問題ない。それに校長からの指示でもある。」

 

僕とオールマイトの会話に爆豪が文句を言ってくるが、オールマイトは大丈夫だと言って取り合うことなくチーム分けのクジを始める。

 

結果は

 

Aチーム:御坂美琴&麗日お茶子

 

Bチーム:轟焦凍&爆豪勝己

 

Cチーム:八百万百&峰田実

 

Dチーム:上鳴電気&飯田天哉

 

Eチーム:芦戸三奈&青山優雅

 

Fチーム:口田甲司&砂藤力道

 

Gチーム:障子目蔵&耳郎響香

 

Hチーム:常闇踏陰&蛙吹梅雨

 

Iチーム:尾白猿夫&葉隠透

 

Jチーム:切島鋭児郎&瀬呂範太

 

Kチーム∶僕

 

となった。

 

因みに対戦分けは

Aチーム VS Eチーム

 

Kチーム VS Bチーム

 

Cチーム VS Iチーム

 

Dチーム VS Hチーム

 

Eチーム VS Gチーム

 

Fチーム VS Jチーム

 

となった。

 

いきなり因縁のある相手に当たったが負ける気は一切しない。

此方を睨んでくる爆豪をチラッと見てから最終試合と言われた為、観戦の為の部屋に向かうのだった。




出久のヒーロースーツ


【挿絵表示】


美琴もデザインは同じですがアクセント等が違います


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戦闘訓練➁

完全に出久と同じには出来なくアレンジは入ってますが美琴のヒーロースーツです


【挿絵表示】



第一試合は美琴ちゃんと麗日さんチームVS芦戸さん&青山君チームの対決となり、美琴ちゃん達がヒーロー側で芦戸さん達がヴィラン側となり、それぞれ持ち場に移動する。

 

「なぁ、緑谷や。お前はどっちが勝つと思う?」

 

「間違いなく美琴ちゃん達だよ。」

 

話し掛けて来た峰田君に僕は断言する。

 

「凄い自信だね!!」

 

「美琴ちゃんの実力は誰よりも知ってるからね。美琴ちゃんが生み出す最大電圧ってどれくらいか解る?」

 

「ん〜10万とか?」

 

「2万くらいでしょうか?」

 

「違うよ。美琴ちゃんが生み出す最大電圧は10億ボルト。昨日、僕の家に来た皆が見た美琴ちゃんの妹のシイナが7億ボルトを生み出せるよ。」

 

「「「「じゅ、10億に!!7億!!」」」」

 

「ウソだろ!!」

 

「計測で確定した数値だから間違いないよ。」

 

「ハッ!!どうせインチキでもしたんだろ!!」

 

「いや。事実だよ。御坂少女は10年にも及ぶたゆまぬ努力と鍛錬の結果だよ。」

 

僕が美琴ちゃんの情報を出すと、皆が驚愕の表情で僕を見て来る中、爆豪がインチキだと笑うがオールマイトがそれを否定する。

そう10年、それだけの時間を僕も美琴ちゃんも費やし、今の実力を手に入れた。

だからこそ僕は美琴ちゃんが負けるなんて微塵も思っていない。

 

 

 

 

 

美琴side

 

「時間も有るし今の内に個性の把握と作戦を練るわよ。」

 

「そうやね。美琴ちゃんは電気を操るんやんね。私は指先の肉球で触れた物体やったら3tまでなら無重力状態にできるよ。自分にも発動出来るけど今は負担が大きいんよ。」

 

「顔に見合わずなかなかエグい個性ね。」

 

麗日の説明を聞いて出た感想がそれだった。

発動が触れるって条件らしいけど、無重力状態に咄嗟に対応できるのは普段から飛行に慣れた人物か、麗日の個性を意識していなければほぼ不可能だろう。

私だって知らなかったら対応は難しいと思う。

それに幾ら無重力状態になるとはいえ、浮かび上がった物体の質量と重さが無くなる訳では無い。

 

それらが一斉に襲い来ると考えると脅威だ。

もっとヤバい使い方も出来る。

 

(けど前者はともかく後者は麗日の性格的にもヒーロー的にも無いわね。)

 

浮かんだ考えを否定しながら作戦を考える。

 

「確かヴィラン役の2人はどっちも遠距離向きの個性だったわね。三奈は昨日の個性把握テストを見た感じ、身体能力も高いから近接戦も行ける感じね。」

 

「確かに三奈ちゃんの動き凄かったしね。」

 

「そうなるとヴィラン側の前衛は三奈で、後衛は青山ね。作戦は私が三奈を下に誘き出すから、麗日は個性で屋上に上って其処から侵入。核の位置を特定し、青山を無力化し核を確保する感じで良いわね。三奈を捉えたら私もそっちに合流するわ。」

 

「うん。わかった。」

 

「それと麗日、此れは忠告だけどくれぐれも油断しないこと。此れを訓練だと考えずに実戦を想定すること。じゃないと訓練の意味が無いからね。」

 

「ッ!!せやね!!気を引き締めんと!!」

 

『少年少女たち、時間だ!!戦闘訓練開始!!』

 

何処か緩んだ雰囲気があった麗日に忠告したタイミングで、無線を通じてオールマイトが開始を告げた為、作戦通り行動を開始する。

 

先ずは麗日が持ち場に移動する間に建物の中を調べる為に電波を飛ばして索敵する。

 

『美琴ちゃん。持ち場についたよ。』

 

「わかった。多分だけど核は5階東側の1番奥の部屋ね。間取りが1番広くなってる。で、敵は2階と5階に1人ずつよ。多分2階が三奈ね。じゃあ手筈通りに行くわよ!!」

 

麗日からの通信を受けた私は索敵結果を共有すると、相手の注意を引くために敢えて派手に2階のガラスを割りながらワザと三奈が居る場所の近くに侵入する。

 

「わっ!!」

 

その大胆な侵入に三奈は驚きながら直ぐに酸を飛ばしてくる。

それを雷撃で相殺しながら三奈に近付き捉えようとするが、三奈は個性を上手く使い滑る様に交わされる。

 

「まさか窓ガラスを割って登場なんてどうなの!?」

 

「昔から有る古典的な強行突入よ。」

 

三奈の抗議に答えながら私の代名詞でもあるレールガンを使い三奈を階段から引き離す。

対する三奈は酸を飛ばして牽制してくる。

 

『美琴ちゃんの読みどおりやったよ。青山君と核を発見したよ!!』

 

「わかった。」

 

麗日からの報告を受けた私は直ぐに動く。

電気を使い瞬間的に身体能力を強化した私は一気に三奈に近付き、後ろに回り込み三奈を確保テープで一瞬で拘束する。

 

『御坂少女、芦戸少女を確保!!』

 

「えっ?えっ?エエェェ!!何が起きたの!?」

 

「それは後でね。」

 

オールマイトの宣言で漸く自分に確保テープが巻かれている事に気づいた三奈が驚きの声を上げる横を通り過ぎながら急いて上に向かうが、一瞬だけとはいえ許容限界ぎりぎりの身体強化をした事で身体能力が一時的に下がってしまい、移動が遅れる。

だが

 

『麗日少女、青山少年並びに核確保!!よって勝者は御坂少女と麗日少女とする!!』

 

2人が居る部屋に付く前にオールマイトの宣言が響くのだった。



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戦闘訓練➂

今回は前半は美琴達の戦いの評価

後半に出久の戦いがスタートする感じになります


「美琴ちゃん、お疲れさま。はい、コレで身体を冷やして。」

 

「ありがとう、出久。使うわね。」

 

モニタールームに来た美琴ちゃんに近付き、即席ではある作ったアイシングパックを美琴ちゃんに渡す。

 

「あら、美琴ちゃん。何処か痛めたの?その様には見えなかったけど?」

 

「三奈に使った最後の技はまだ未完成なのよ。だから神経や筋肉に負担がかかるからこうしてケアしないとね。」

 

梅雨ちゃんの質問に美琴ちゃんは答えながらアイシングパックで冷やしていく。

 

そう美琴ちゃんの身体強化電光石火(ライカ)はまだまだ未完成な技だ。

美琴ちゃんの身体強化は帆風潤子さんの天衣装着とは似ては居るが、非なる物だ。

帆風さんの身体強化は体細胞の電気信号を操作して肉体のリミッターを外し、筋力やスピード・五感・動体視力などの身体能力を上昇させるのに対して、美琴ちゃんのは骨格や神経に電力を流す事で身体能力を強化している。

このメリットとしては骨や関節など肉体そのものを強化し肉体への負担を減らせる事と天衣装着より筋力以外の身体強化率は高いこと、身体強化率を部分事に細かく調整できる点だ。

しかしデメリットとして天衣装着の様に自動治癒能力は無いし、骨格はともかく、神経や筋肉に負担をかける為、使用後は強化具合に応じて一時的に身体能力が低下する。

だから美琴ちゃんはこの技を使うときは負担が少ない許容範囲内で使うのだが、今回は少し許容限界を超えてしまった様だ。

 

「御坂少女はケアしながらで良いから聞いているようにね。さて今の戦闘だがベストは誰だか解るかな?」

 

「はい!!やはり御坂さんと麗日さんです。先ず2人は地上からと屋上から突入する組に別れました。此れは麗日さんの個性を考えれば適切な判断です。そして麗日さんが指定場所に到着する前に御坂さんが索敵を行い、情報を共有していたのも良かったです。後は御坂さんが派手に陽動して、芦戸さんと青山さんの気が完全に御坂さんに向いたタイミングで麗日さんが青山さんを奇襲したのも良かったです。ただ1つだけ気になるのは御坂さんが使った技です。アレはもう少し抑えるなりできないんですか?」

 

「出来るわよ。けどさっきも言った様にアレはまだ未完成な技でね。私の得意分野はエネルギーの放出だから肉体強化はまだまだ制御が不安定だから強く強化しすぎてこのざまよ。」

 

「なるほど。納得しました。オールマイト先生以上です。」

 

「うん!!正解だ!!芦戸少女と青山少年は先入観による思い込みと注意力散漫による油断が敗因だ!!気をつける様に!!プロになればそのちょっとの油断が人の命に直結するからね!!」

 

「「はい…」」

 

八百万さんの答えにオールマイトは笑顔で答えているが多分、思ったより言われたって思ってるんだろうなと感じて苦笑していると、横にいた美琴ちゃんも同じだったらしく苦笑していた。

 

まあそんな事が有りつつも授業は順調に進んでいき、僕の番になった。

 

配役は僕がヒーロー側で爆豪と轟君が敵側となった。

 

「轟は別にして爆豪ははまり役ね。」

 

「確かにね。じゃあ行ってくるよ。」

 

「蹴散らしなさい!!」

 

美琴ちゃんの声に苦笑いを浮かべながら頷き、モニタールームを後にする。

 

 

 

 

 

 

 

美琴side

 

「なあ。この勝負どっちが勝つと思う?」

 

「やはり数的不利と轟さんと性格は問題だらけですが強個性持ちの爆豪さんでは?」

 

「轟は氷を溶かしている処、以外見てないけど炎も使えるんでしょ?」

 

「らしいけど。」

 

どうやら皆は出久が勝つとは誰も思っていないみたいね。

 

「美琴ちゃんはどっちが勝つと思う?」

 

「出久が絶対に勝つわよ。」

 

「えっ?2対1やよ!!」

 

「それくらいの人数差は関係無いわよ。それにちゃんと理由が有る。」

 

「それはどんな理由でしょうか?」

 

麗日さんの質問に答えていると皆が注目してくる。

 

「まず1つ目、あの2人が連携出来るとは思えないこと。2つ目、出久はこう云う事を経験済みのこと。3つ目、出久の能力はあの2人じゃあ絶対に突破出来ないことね。」

 

「いや!!緑谷の能力が突破出来ないってなんで言えんだよ?」

 

「出久の氷を物理的に突破出来るのはオールマイト並のパワーやエンデヴァークラスの火力じゃなきゃ無理よ。因みに実際に戦車砲とミサイルの直撃にも耐えたわよ。それに出久は氷を良く使うけど本質は水使い。2人にとっては相性最悪。4つ目、私と違って出久は室内だろうと全力を出せるってこと。私の場合はどうしても室内だと制約が多いし、今回の設定じゃあ私は殆どの攻撃手段を封じられたけど出久には其れが無い。屋内戦闘で出久は学園都市で出久の叔父さんに次ぐNo.2よ。風紀委員として学園都市の治安維持に関わってる出久にとってこのシチュエーションは十八番なのよ。それが理由よ。」

 

そう。

この戦闘訓練で出久が負ける可能性は万に一つも有り得ない。

私はそう皆に断言しながら気負うこと無く立つ出久を見つめるのだった。



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戦闘訓練➃

他作品技を出しても良いですかね?


戦闘訓練が開始すると同時に僕はビル全体を霧で覆い、視界を制限すると同時に霧に触れた相手を感知する索敵網を作り出すとビルに侵入する。

 

「核は5階だな。敵役の2人は2階と5階か。2階のは爆豪かな。奇襲を狙ってるか…よしあえて乗るか!!」

 

そう決めて()()()()()()()()気付いていないフリをしながら近付くと予想通り爆豪が奇襲を仕掛けて来たので、カウンターで回し蹴りを放つが、爆豪は小さな爆破を起こす事でダメージをぎりぎり逃して着地する。

 

「センスは良いみたいだね。けどあの程度の奇襲に気付かないとでも思った?甘いよ。」

 

「クソデクの分際で調子こいてんじゃねぇよ!!死ねや!!」

 

僕の言葉に爆豪はキレて向かって来るが、工夫はされてはいるものの、はっきり言って遅い上に単調かつ隙が多すぎるために話にならない。

 

その攻撃を全て捌き、逆にカウンターを決めていく。

 

「クソが!!何で当たらねぇ!!」

 

「君程度の人間なら学園都市に5万と居るし、何の武術も学んでないそんな大振りな攻撃が当たるほど軟な鍛え方してないよ。センスだけで一切努力してない君と違ってね。」

 

「ふ、ふざけんな!!俺が凡人だと!!」

 

『おい!!爆豪、どうなってる!!上に「うるせえ!!俺様の邪魔をするな!!」』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

多分、轟君から連絡があったのだろうが、爆豪君は怒鳴り声を上げて一方的に通信を終わらせるとまた向かって来るが、先程とは違いコンパクトかつ陽動も交えて攻撃してくるが、所詮は付け焼き刃だ。

僕に届く事は無いが何か狙っている様なのであえて付き合う。

そうしていると爆豪が唐突に動きを止めて、腕の手榴弾型の篭手を見る。

 

「溜まった。この篭手はな俺の汗を溜める仕組みがある。言いたい事は分かるよな?」

 

「それを一気に爆破させてやるって言いたいの?浅はかだね。」

 

本当に浅はかだ。

こんな閉所で使えばどうなるのかまるで考えて無い。

仕方ない。

決めようか。

 

「うるせえよ!!俺を馬鹿にした報いを受けろや!!」

 

『爆豪少年!!スト…「指図すんな!!死ねえ!!」』ズッドオォォォン!!

 

オールマイトの声も無視して、爆豪は何の躊躇いも無くピンを引き抜き大爆発を放って来る。

 

「どうだ!!クソデク!!コレが俺様の……はっ?」

 

「どれだけの威力になるのかと思えばたかだかこの程度か…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

勝ち誇った声を上げようとする爆豪だが僕も、そして周りも薄い氷の障壁により無傷なのを見て、その顔を驚愕に変える。

 

「あ、あり得ねぇ…アレを受けて無傷だと!!それに本体が相手するまでも無いってどういう事だよ!!」

 

「あれ?気づいて無かったの?僕は只の氷人形だよ。それも本体に比べて十分の一程度の実力しかないね。さっき轟君から連絡を受けたでしょ?あの時既に本体は上で轟君と戦闘中だよ。本当に滑稽だね。まあでも今更君に何も出来ないよ。《氷牢千架》!!」

 

僕は種明かしついでに表層に着色させていた色を消しながら正体を明かすと同時に氷で爆豪の四肢を氷漬けにして無力化する。

 

『爆豪少年並びに轟少年、戦闘不能!!緑谷少年!!条件達成!!ヒーロー側の勝利だ!!』

 

それと同時にオールマイトの声が響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を少し遡り、氷人形が爆豪と接触していた時、本体である僕も轟君と接敵していた。

 

「どういう事だ?お前は下で爆豪が抑えている筈?おい!!爆豪、どうなってる!!上に『うるせえ!!俺様の邪魔をするな!!』なっ!!」

 

「爆豪なら僕の分身たる氷人形と遊んでいるよ。」

 

「何でも有りかよ…」

 

轟君に呆れられるがそう簡単に出来る技では無い。

先ずは核となるのは明日香先生の能力であり、それを僕よりに調整された物で明日香先生とは違い完全に僕の実力を発揮できる訳では無いし、半永久的に分身を動かせる明日香先生には及ばないし、僕からある程度の距離が離れると使えなくもなるし、制御も難しい技である。

 

「そう簡単に出来る訳じゃないし、核は僕の知り合いの能力だよ。」

 

「そうかよ!!だが負ける訳にはいかねぇな!!」

 

「………轟君、悪いけど僕に氷は効かないよ!!」

 

「なっ!!」

 

轟君が放つ氷による攻撃を僕は一瞬で気化させて見せる。

 

「何を驚くんだい?エンデヴァーから僕の事を聞いていないの?あらゆる水に由来する攻撃は僕の前では無力だよ。」

 

「あのクソ親父の名前を出すな!!」

 

僕の言葉に怒りを顕にした轟君が無駄なのに何度も何度も氷で攻撃してくる様に疑念が確信に変わる。

 

「何時まで続けるんだい?無駄だって解ったでしょ?左を使いなよ!!舐めてるの?」

 

「うるせぇ!!誰があのクソ親父の力を使うかよ!!燈矢兄を見捨てて殺し!!母さんの心を壊したアイツの力なんか誰が使うかよ!!」

 

「………えっ⁉轟君、知らないの?燈矢さん、学園都市で生きてるよ!!それに冷さんは敵の精神攻撃系個性の影響を受けてたんだよ?」

 

「はっ????」

 

轟君の話に僕が驚きそう言うと、轟君も固まる。

 

「どういう事だ?」

 

「僕が聞きたいよ…ま、まあその話は後にしようか…それよりもう1つ言わして貰いたいんだけど良いかな?」

 

「あ、ああ。」

 

「なら言うけど遺伝しようがその力は君の力だ!!皆、必死にヒーローを目指してるんだ!!そんな下らない理由で本気を出さないとかふざけんな!!全力で掛かってこい!!」

 

び、微妙な空気になったがそれを払拭させる為、僕はドラゴンを彷彿とさせる氷の鎧と羽を形成する。

 

「俺の力か…色々と聞きたい事が出来たが先ずはお前に勝ってからだな!!」

 

そんな僕に合わせる様に轟君も右に氷を左に炎を生み出し答える。

 

 

 

 

 

そして決着は一瞬だった

 

轟君の炎ごと部屋一面を凍らせた僕が龍の爪を模した氷を轟君の首筋に突きつける。

 

「炎ごと凍らせるとかどんだけだよ…完敗だ…」

 

『爆豪少年並びに轟少年、戦闘不能!!緑谷少年!!条件達成!!ヒーロー側の勝利だ!!』

 

轟君の敗北宣言を聞いたオールマイトが僕の勝利を告げるのだった。



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設定➀

今、出せる設定を書きます


学園都市

 

本作での学園都市は原作と成り立ちは同じですが個性が確認された直後に国との関係を強め立ち位置的にIアイランドに近い

その高い科学技術力の一部を国や雄英高校等のヒーロー学校、Iアイランドに提供されている

また生活上に問題を抱えた個性への対応もしているため、原作と比べたらオープンな部分は有るがそれでも閉鎖的である

基本的に学園都市に居る人間は無個性だが、数人は外部から来た個性持ちが存在している

 

 

 

 

 

能力

 

昔から学園都市が開発していた力

個性との違いは個性は電気系でも1つの力に特化しているが、電気系なら分類される力全てに力を発揮する

また学園都市に居る数人の個性持ちは個性と能力の両方を所持しているが、個性との相性を考えないと相殺し合い、力を発揮する事はない

例えば焦凍の半冷半燃は再現不可能である

 

 

 

 

 

 

相澤の『抹消』や個性消失弾は能力に効くのか

 

何方も効果は有ります

原理としては抹消の場合は個性因子に働きかけ、一時的に阻害するものですが、能力に対して使うと能力使用時のプロセスに作用し、能力の発動やコントロールを阻害する形になります

ただこの場合、発動した後の事象には作用されず、出久の場合だと例えば水を生み出した後に抹消を使えば、能力で生み出した水はその場に残るが出久のコントロール下からは外れる事になります

個性消失弾の方は能力を手に入れる前の状態に戻す為に能力にも作用します

 

 

 

 

当麻の力は個性にも通用するか

 

通用します

 

 

 

 

AFOは能力を奪えるか

 

奪えます上記の能力での説明にある通り奪った能力によっては使える組み合わせが限定されます

また個性では無いので『サーチ』の個性を手に入れても能力の判別は不可能です

ですがそれ以上のメリットがある為にAFOは学園都市を狙っていますが主に風真や明日香に阻まれている感じです

 

 

 

 

木原一族

 

木原那由多並びに木原脳幹、木原加群はAFO側には付いていません

木原加群は現在、イギリスで活動中ですし性格上、AFOに味方する筈が無いからです

脳幹は老害認定され、いきなり奇襲され意識不明になっていた所を風真の部下に発見された形にします

但し脳幹も不意打ちだったため木原数多が生きているとは知りません

 

 

 

 

AFOの魔術の認識

 

有るらしいとは知ってはいるが詳細は把握していない

理由としてはそもそも接点が無く、魔術側の人間も個性として登録しているため詳細情報が無いのと、魔術側もAFOの存在と個性を把握しているため慎重に行動している為です

 

 

 

 

塚内警部と学園都市の関係

 

風真と明日香の信頼を勝ち得ている為、2人の推薦もありアレイスターから学園都市への出入りを認められている数少ない警官

学園都市の実情も把握しており、魔術側の人間の存在も知っているし、出久や当麻を通して接点を持っている

外部の人間では有るが唯一学園都市での警察権の行使を認められており、特例で警備員として登録されている

 

 

 

 

 

轟家

 

次次回の本編で書く内容ですがエンデヴァーと冷はエンデヴァーの一目惚れからのもうアタックで結婚しています

氷室家との縁は結婚した際は援助していますが内情を知っているため、ほぼ絶縁状態です

燈矢の件は体質が発覚した後、直ぐにエンデヴァーが燈矢の命を護りつつ、夢を諦めさせないようにするため奔走していましたが、伝わらずに原作と同じく燈矢が無茶をした感じです

それを止める様に冷に言っている所を見られていて、冬美と夏雄は説明を受ける前まで、焦凍は出久と戦うまで誤解されていた

で、最後の賭けでエンデヴァーが学園都市に頼る事にし、風真に連絡を取り、預ける事になり風真と明日香が来た際に原作での悲劇が起きてしまうが風真が迅速に救助した為、燈矢は学園都市に保護されエンデヴァーと和解し、能力を手に入れ現在は学園都市で教鞭を振りつつ、警備員として活動している

冷はこの事件を止める事が出来なかった自分を攻めて、精神的に不安定な際に精神攻撃系の個性を持つエンデヴァーに逆恨みした敵の攻撃を受けた為に、焦凍に怪我を負わせる形になった為、更に精神をすり減らし入院している

それを焦凍が軽快していた




大体こんな感じです


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戦闘訓練➄

今回は評価と爆豪への厳罰、轟家全員集合までです


オールマイトside

 

あ、相変わらず緑谷少年は凄いな。

 

「マジかよ…炎をものともしねえのかよ…」

 

「美琴ちゃんが言ってた通りになったわね…」

 

「緑谷ってバケモンかよ!!」

 

皆も戦慄している様だが緑谷少年の実力はあんなものではない。

 

「出久、だいぶ手加減したわね。」

 

「あ、アレで!?」

 

「緑谷ちゃんってどれだけ強いの?」

 

「そうね。やろうと思えば一瞬でビルごと、氷像にして終わるわ。それも生かしたまま。」

 

「本当に手加減してるのですね。」

 

御坂少女の説明に更に皆の顔が引きつっている。

 

暫くすると緑谷少年達が帰って来たが爆豪少年は物凄い顔をしており、緑谷少年と轟少年は爆豪少年から少し離れて帰ってきた。

 

「(めちゃくちゃ怖いぞ、爆豪少年!!)緑谷少年達も帰ってきた事だし、総評に移ろうか。今回のベストは勿論、緑谷少年だ!!」

 

「まあそうだよな。」

 

「寧ろ緑谷以外だったら驚くぜ。」

 

私の言葉に瀬呂少年と切島少年がそう言うが全くもってその通りである。

 

「あの気になっていたのですが爆豪さんへ使った分身?はどういう原理ですか?」

 

「アレは厳密には僕の能力で生み出した物じゃないよ。まあ動かしてるのは僕だけど。」

 

「どういう事ですか?」

 

「アレの核は昨日、八百万さんも会った明日香先生の能力なんだ。けどこれ以上は最重要機密たから言えないかな。」

 

まあ明日香さんの能力は秘匿されて当然だろう。

何せ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そうなのですね。」

 

「明日香先生の能力は悪用されたら厄介じゃ済まないわよ。」

 

「気になったんだがよ!!御坂でもアレって使えるのか?」

 

「無理よ。私とアレは相性最悪かつ繊細な能力コントロールが必要だからアレを使えるのは学園都市でも出久と明日香先生のみよ。」

 

峰田少年の質問に御坂少女は首を横に振る。

アレの操作は風真君でも出来るだろうと思っていたが、無理だと本人から聞いている。

 

「まあ緑谷少年の評価は言うまでもないから他の2人の評価に移ろうか。まず轟少年だが緑谷少年に言われた様だが全力を出さないのは感心しないな。理由はあるみたいだからこれ以上は言わないが次からは最初から全力でな。」

 

「はい。」

 

轟少年の件は余り皆の前で言うべき事では無いし、それに詳しいだろう緑谷少年と御坂少女、それにエンデヴァー自身に任せる。

 

「爆豪少年は…余り言いたくは無いが全体的にナンセンスだ。今回の訓練で君に見るべきところは無かった。私怨まる出しの独断に轟少年からの通信無視、屋内大規模攻撃、私からの指示を無視…一体何をしたいのだね?」

 

爆豪少年には悪いが私も先生だ!!

此処は心を鬼にして言わせて貰おう!!

 

「今回は相手が緑谷少年だったから良かったが下手をしたら君も轟少年も、対戦相手も殺していたかも知れない行為だ!!悪いが私1人の一存では君への処罰を決めることは出来ない!!処罰に関しては追って知らせるが相澤君からも言われていると思うが最悪は退学もあり得る。覚悟するようにな。授業は終わりだ。」

 

私はそう言うと爆豪少年以外は素直にその場を後にするが、爆豪少年だけが物凄い形相で緑谷少年を見た後に帰って行く姿に私は言い知れない危機感を覚えたが、校長や相澤君たちとの話し合いを優先してしまった。

 

その事を私は後に深く後悔する事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相澤side

 

どうしてこうなった…

 

それが俺の率直な感想だった。

 

授業自体は何ら問題が無かった。

そう最後の試合を除いて…

オールマイトがもっと早く止めていればという意見も有るには有る。

だがオールマイトは新任の先生かつ校長からも期待するなと言われる位のレベルだ。

それを踏まえると流石にオールマイト1人の責任とは言えない。

せめて俺が一緒に居るべきだった。

 

「今回の件は流石に看過出来ないでしょう。退学が妥当では?」

 

「死者も負傷者も出なかったのは結果論でしかねえしな。」

 

「けどよ。コレ、この装備の要望を通した俺等も悪くねぇか?」

 

「パワーローダー先生の意見も一理ある。そもそもこれ程の規模の爆発を起こす様な必要が迫られるヴィランとはどの様なものだ?エンデヴァーの技とかなら解るが、爆破となると一点集中させるのも難しいだろう?必要なのか?」

 

「んなこと言ってもよ!!やったことがやった事だ!!退学が妥当だろ!!」

 

「俺とて退学処分を否定している訳では無い。だがこちらにも非がある部分は有ると言っているだけだ。」

 

ブラドとマイクは退学派で、パワーローダーとスナイプは慎重派か…

いや退学処分自体を否定している訳では無いが…

 

「待ってください!!今回の件は私の判断が遅れた為でも有りますし、全員のコスチュームの仕様も、個性の特徴も十分に把握出来ていませんでした!!その点を考慮に入れて頂きたい!!」

 

退学処分に意見が固まりそうになるが、オールマイトがそう訴える。

 

「確かにオールマイトにも責任は有るでしょう。担任として最後通告の上で1ヶ月間の停学処分を提案しますが校長、どうでしょうか?」

 

「君にしては優しい処分だね。だがそれが妥当かな。緑谷出久君からも自分が挑発し過ぎたと言って来ているし、映像を見てもそれが伺えるからね。だけど次は無い。皆も良いね?」

 

オールマイトの意見も踏まえた上で処分について校長に確認を取ると、校長が頷いたので1ヶ月間の停学処分が決定した。

 

 

ハァ…本当なら退学処分だがコレで変わってくれたら良いんだがな…

期待しないでおくか…

 

 

そう考えた俺の予想が後に的中し、俺は深いため息を吐くことになるが今の俺にはわからない事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

轟side

 

戦闘訓練を終えて、コスチュームから制服に着替えた俺は緑谷と御坂と共に2人の家に向かう。

 

どうやら2人の家に事情を聞いた2人の保護者が俺の家族を全員集めたらしい。

 

「美琴ちゃん…明日香先生の声のトーンが数段低かったけどやっぱり…」

 

「ブチギレてるわね…帰りたくないわよ…」

 

速く2人の家に行きたいのだが肝心の2人が横で何故か暗い顔している。

どうしたんだ?

 

「どうした?具合悪いのか?」

 

「いや。そうじゃなくて…少しトラウマが…」

 

「家に帰るのが少し嫌なのよ…でも帰らないとね…」

 

???

2人が言っている意味が解らないが覚悟を決めた2人に先導され、緑谷家に着き、俺は皆が待つ部屋に案内され扉を開いたのだが其処には

 

頭にたんこぶをつくった状態で正座させられている親父と夏兄、たんこぶこそ無いが正座させられている姉貴、その前で仁王立ちし目だけ全く笑ってない女性と呆れた表情で立つ男性、そして母さんとたぶん燈矢兄だろう男性がオロオロしながら見ている光景が目に飛び込んで来るのだった…



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説教

すみません
仕事が忙しく今回は説教会だけにします
後、次回ですが仕事がめちゃくちゃ忙しくなるので文字数が今回位かそれ以下くらいで轟家の話を分割して書きます

朝5時から仕事や、夜10時くらいまで仕事の日が有るので許して下さい


轟side

 

緑谷と御坂の家に来た俺は親父と冬美姉、夏兄が正座させられていて、俺も何故かその横に正座させられた。

けど逆らう事が出来ない。

 

目の前に居る田所明日香さんの目が全く笑ってない笑顔の前に何も言えない。

 

「で?エンデヴァー、どういう事ですか?私はちゃんと説明する様に言いましたよね?ただでさえ貴方の口下手で大変な事になったのに同じ過ちを繰り返そうとしてるんですか?」

 

「す、すみません…」

 

「すみませんじゃないですよね?冬美ちゃんも夏雄君も何故フォローしなかったんですか?」

 

「えっと…一応、伝える努力はしてたんですが…」

 

「焦凍君が話を聞いてくれなかったと?焦凍君も少しは家族の話を聞きましょう。全く‼何なんですか貴方達家族は‼何でこうものの見事に噛み合わないで、やる事が裏目に出るんですか‼」

 

頭を抑える明日香さんに誰も何も言えない。

 

「エンデヴァー‼貴方はそもそも口下手すぎます‼冷さんの事を愛してるから氷叢家から救い出したんでしょう‼燈矢君を救うためにあんなに走り回り、私にも頭を下げたんでしょう‼それだけ必死になれるのに何で家族には口下手なんですか‼黙って背中を見せていたら良いとでも?言葉にしないと伝わらない事が有ると燈矢君の件で学んだんじゃないんですか‼あの時は立て続けに色々あったのは知っているので仕方ないにしてももっと色々と手はあったでしょう‼何をしているのですか‼」

 

「返す言葉もありません…」

 

親父が燈矢兄の為に走り回ったり、頭を下げた?

あの親父が押されてるのにも驚きだが、その内容に俺は驚くしか無かった。

 

「冬美ちゃんと夏雄君もです‼エンデヴァーが駄目でも貴方達が伝えられる機会位あったでしょう‼直接では無くても、伝える方法なんか幾らでも有ります‼それをしなかった結果がコレです‼家族を思う気持ちが有るならもう少し頑張りなさい‼」

 

「す、すみません…」

 

「は、反省します…」

 

笑顔で説教をする明日香さんを見て、段々と怖くなってきた…

 

「さて…今一番反省しないといけないのは貴方です、焦凍君…」

 

「あ、ああ…」ビクッ‼

 

「エンデヴァーの態度から誤解をしたのは解ります。ですが家族の話を聞こうとしないのは感心しませんね。家族を信頼も必要もしてないって言っている様な物です‼それにエンデヴァーへの勝手な憎しみからそれを理由に本気を出さないのも出久君が言ったと思うけどやってはいけない事です。」ゴゴゴゴゴ‼

 

「………ああ…」

 

「エンデヴァーは確かに不器用で、口下手で、高圧的です。けどどんな状況や、どれだけ心にゆとりがない時でもその時に出来る全力で人々を助けて来た。それがヒーロー《エンデヴァー》なの。それもまた彼の一面です。しっかりと話し合い、きちんと向き合って見なさい‼」

 

「…わかった。」

 

明日香さんの言葉に強く含まれた実感を伴う感情に俺は親父と…いや家族ときちんと向き合う事に決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出久side

 

明日香さんがエンデヴァー達の説教を終えた後、僕たちは轟君達だけを残して部屋を出る。

 

「明日香、本当にアレぐらいで良かったのか?エンデヴァー達が来る前は大分怒ってたが、本人達の前では大分押さえてただろ。」

 

「やっぱり風真には解るわよね。けどそれは私のやる事じゃないから。」

 

風真叔父さんの質問に明日香さんはそう答えるが、実は僕も意外だった。

 

明日香さんなら本気で怒ると思っていたからだ。

まあ明日香さんが本気で怒った時のあの無表情は全く見たくないので助かった。

 

「私達はあくまで部外者よ。なら本人達同士で後は何とかして貰いましょう。」

 

確かにコレは轟君達の問題だ。

だから麗日さんにはシイナや那由多と帰りに買い物に行って貰ったんだ。

部外者の僕たちがこれ以上立ち入るべきではない。

 

「さっ‼今の内に皆のご飯を作りましょうか、出久君。」

 

「あっ‼はい‼」

 

そう考えていると明日香さんに声を掛けられたので、僕は服を着替えてキッチンに向かう。

 

今日は冷さん達が大好きな和食にしようと決めて。



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轟家➀

原作の轟家ってエンデヴァーも、冷さんも過去がヤバいよな…


轟side

 

「冷、燈矢、冬美、夏雄、焦凍。俺が不甲斐ないばかりにこの様な事になってしまい、すまなかった‼」

 

緑谷達が部屋を出た後、暫くして親父が深々と土下座してきた。

 

「炎司、それは私もよ。4人ともごめんなさい。」

 

「いや‼親父たちのせいじゃ‼」

 

「そうだよ‼」

 

「俺たちもフォロー出来なかったから…」

 

親父に続く様に皆が口々にそう言うが俺は何も言えない。

 

「………一体、何が本当なのか教えてくれ…」

 

「そうだな。焦凍にはしっかりと説明しないとな。」

 

絞り出すように言った俺の言葉に親父は頷く。

 

「先ず説明しないといけないのは俺と冷はきちんと愛し合って結婚した事だ。俺が冷を個性婚目当てで娶った訳では無い。寧ろ冷の実家…氷叢家の方がそれを望んでいた。」

 

「なっ‼」

 

いきなり考えて無かった言葉に愕然とする。

一体、どういう事だ‼

 

「冷の実家である氷叢家は超常黎明期以前からある名家だ。だが個性が現れ出した頃、氷叢家はその変革に対応するどころか異形の血が一族に入るのを拒み、排他的になり自ら閉鎖環境に身を置いた。近親交配にならないギリギリのラインの親族同士で結婚させ、子孫を残す方法を用いて迄な。だがそんな方法を用いた所で何れは立ち行かなくなる。それがたまたま冷の両親や冷の世代で直面した。」

 

「私からしたら呪いに等しい掟だった。実際、炎司が私を助けてくれなかったら私は10は年上の従兄と結婚させられていたわ。」

 

???

内容が内容だけに混乱する。

 

「俺が冷に出合ったのはまだまだ駆け出しの頃で、冷の実家がある街に出張に行った時だ。その時の冷は強く、触れれば消えてしまうように儚い。氷のような女性だった。だが俺はそんな冷をキレイだと思った。だからその色々とアプローチしてな…」

 

「あの時の炎司可愛かったわよね。」

 

「絶対に言うなよ‼」

 

何か思っていた関係とは違う2人に戸惑うが、顔を真っ赤にさせ必死に母さんを止めようとしている親父と、ニコニコ笑いながら親父の恥ずかしい話をしようとしている母さんを見ていると、コレが本当の2人の関係なんだなと理解出来た。

 

「もう‼父さん、母さん‼話がそれてるよ‼」

 

「そ、そうだな(汗)」

 

姉さんが2人にそう言うと、親父はわざとらしく咳をする。

 

「それでまあ何とか冷と両想いになれた時に、冷の結婚の話が持ち上がってな。何とかしたい一心で冷の両親に会いに行った。そこで言われたのが冷の事よりお金の話だった。」

 

「あの時は流石に言葉を失ったわよ。娘の幸せよりお金か‼ってね。」

 

母さんの親の方が最低だな。

 

「どうも俺の名声や経済力が目当てだったらしく、その為に冷の結婚の話をでっち上げたらしい。流石に俺も堪忍袋の緒が切れたからな。冷だけでなく他の氷叢家の者の中で抜けたいと考えていた者たちの支度金等を纏めて支払い縁切りした。だがそれが原因で焦凍の顔の火傷の件に繋がった。」

 

「つまり本当に親父は母さんを愛していて、個性婚じゃ無いんだな?」

 

「ああ。個性婚など時代錯誤も甚だしい。確かに冷と結婚した当初はそういう取り上げ方をする新聞社も居るには居たが、本当に冷を愛していたから結婚した。まあ…その…子供が4人も居るのは年甲斐もなくはしゃいだ結果だ…」

 

前半は力強く言い切ったが、後半は目を反らしながら言う親父に首を傾げるが、納得する。

 

「わかった。親父たちを信じる。けどなら何で燈矢兄があんな事になったんだ?それに母さんが精神を病んだのは何でだ?」

 

「燈矢に関しては間接的にだが氷叢家が関係している。冷に関しては氷叢家があるヴィランに頼み仕組んだ結果だ。」

 

此処でも母さんの実家が関係するのか‼

いったいどうなってるんだ?

 

 

 

 

 

 

エンデヴァーside

 

普段は表情が程ど変わらない焦凍の驚く表情に無理は無いと思う。

内容が内容だ。

話をする俺や冷もまだまだあの時の心に負った傷は癒えていないのだ。

それをまだ子供である焦凍が聞くのだ。

どう反応するか解らない…

 

それに冷や燈矢、冬美、夏雄も心の傷が開きかねない…

 

「冷、それに燈矢達も辛いだろう。外してくれても構わないぞ。」

 

「炎司、大丈夫よ。私達も本当の意味で向き合わないといけないのよ、皆で。」

 

冷達に部屋からの退室を促すが冷にそう言われ、燈矢達を見ると皆が覚悟を決めた目をしていた。

 

「そうだな…」

 

それを見た俺は覚悟を決め、焦凍に思い出すだけでも怒りが込み上げてくる真実を伝える為に口を開くのだった。




一応、今回は此処までです


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轟家➁

轟家の話は終わるかな?

個性については作者独自の設定も含みます


エンデヴァーside

 

「さっきも言ったが氷叢家は近親交配に近い事をして来たことからその血は非常に濃い。それは燈矢、冬美、夏雄、そして焦凍に如実に現れている。」

 

「どういう事だ?」

 

「それはな焦凍。個性や体質に現れているんだ。学園都市では個性の研究を進めている。そこで結論付けされた事だが、本来なら結婚して生まれた子供が何方か一方の個性因子が極端に高いことはあり得ないと言うことだ。」

 

「???」

 

燈矢の説明でもイマイチピンときていないようだ。

 

「つまり本来なら立て続けに燈矢の体質問題、冬美と夏雄の個性が氷結系であること、そして焦凍の個性《半冷半熱》すら冷由来の個性因子方が強い事は科学的観測からみて確率は低いそうだ。」

 

「一般的な家庭なら3人子供が居れば、それぞれの親の個性を何方かが引き継いでいたり、両親の個性を掛け合わせた物になる筈なんだ。」

 

「けど氷叢家が行った呪いとも云うべき掟によって私に流れる氷叢家の血は濃くて、氷叢家が代々受け継いで来た氷結系の個性もより濃く、強力になっていったわ。その影響が一番色濃く反映されたのが燈矢だった。燈矢の体質が炎に極端に弱かったのは私から受け継いだ個性が関係していた。焦凍、燈矢は貴方と同じで氷結の個性も受け継いでいたの。けど貴方の様に体外に放出するタイプじゃなくて内側を冷やすものだった。それがあの悲劇を生んだの。」

 

「体外にある炎と体内の氷結のバランスが崩れた結果、俺は炎への耐性が低い身体になり、あの事件を引き起こした。」

 

俺たちの説明に焦凍は混乱しているらしく、目をパチクリさせていた。

 

「燈矢の身体の事がわかった際、俺は燈矢に個性を使うな。ヒーローを諦めろと言ったのは事実だ。だがそれは燈矢の安全を第一に考えたからだった。まあだが私自身、どうすれば良いのか解らずに混乱し、燈矢を何とかしたいと云う焦りから来る余裕の無さから口調も荒くなったのも事実だ。」

 

俺はあの時、もう少し言葉遣いを気を付けていたらと後悔する。

 

「父さんの真意を気付けなかった結果、俺は個性を使い続けた結果、身体が炎に包まれた。あの時、風真さんが居てくれなかったら此処に俺はいない。」

 

「あの日、俺は燈矢を助けるため、数年掛けて風真を通して燈矢を学園都市で見て貰える段取りをつけた後、燈矢の元に風真と急いで向かって、あの火事に遭遇して絶望した。何とか風真が燈矢を助け出してくれたから良かったが、そうでなければ俺は狂っていただろうな。」

 

俺も燈矢も、いや家族全員が本当に風真に感謝している。

 

「だがそれでも燈矢を傷付けてしまった負い目からますます余裕が無くなった。そんな時だ。あの忌まわしい事件が起きたのは。焦凍、お前は緑谷君の両親が死んでいる事は知っているか?」

 

「原因は知らないが、亡くなっているのは知ってる。」

 

「そうか…なら覚えておけ…緑谷君の両親はヴィランによって、緑谷君を護るために彼の目の前で殺されたんだ。」

 

「なっ‼」

 

焦凍の目が大きく見開かれる。

 

「俺が現場に着いたのは緑谷君の両親が殺された直後だった。緑谷君の悲痛な叫び…アレは今でも覚えている。その時の事が引き金となり、冷の変化に気付けなかった。」

 

「この時、私は両親が雇ったヴィランの精神攻撃を受けていたの。()()()()()()()()()()()()()()()()のね。そのせいで私は両親を愛していて、炎司や冬美、夏雄、そして焦凍、貴方を嫌いだと思い込まされた。その結果、貴方に消えない傷を負わせてしまった…」

 

「冷に精神攻撃を仕掛けたヴィランは逮捕されたが、冷の両親は今尚逃亡している。そして冷はお前を傷つけてしまった負い目から精神を病んでしまったから、精神病院に入院する事になった。コレが全てだ。」

 

「全て俺の勘違いなのか…」

 

「ああ…だがお前だけが悪い訳では無い…俺も悪かったのは事実だ。すまない。」

 

全てを聞いて、呟かれた言葉に首を横に振る。

 

「信じてくれるか?」

 

「ああ。今までごめん。」

 

「それはコッチのセリフだ。すまない…」

 

こうして俺たち家族は無事に再び一緒に歩みだすのだった。




最後グダグダですみません


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主要メンバーの設定(学園都市編)

メッセージで要望があったため設定を書きます

本作ではとある魔術の禁書目録で起きた事件はロシア編までで、そこから分岐した世界軸となっています
てか新約の方を俺が理解してない…


緑谷出久

 

身長:172cm

体重:65kg

序列:超能力(Level5) 同率第3位

能力:絶対零度(アブソリュート・ゼロ)

役職:風紀委員(ジャッジメント)、風真直属暗部特殊部隊《SCARZ》実働部隊

趣味:料理、読書、釣り

特技:料理(プロ級)、釣り

 

 

原作並びに本作の主人公

無個性と診断されて数日後に開かれたオールマイト展に行った際にヴィランの襲撃に合い、出久を庇って両親が他界する。

その事件はエンデヴァーにより解決した為、エンデヴァーに多大な恩義を感じている。

他界した両親の葬式の際に親戚から無個性と云う理由だけで引き取りを拒否されるが、遅れて来た父親の兄である叔父の風真に引き取られ学園都市で住むようになる。

明日香とはこの時に知り合い、以降は色々とお世話になっている。

学園都市に住むようになった当初は復讐や親戚を見返す為に何かに取り憑かれたかのように我武者羅に能力を磨いていたが、美琴と当麻が何のための力かを思い出させてくれた為、誰かの為になるように能力を鍛える様になる。

この1件から美琴には恋心を、当麻を心から尊敬し、叔父である風真同様に目指すべき目標としている。

美琴とは切磋琢磨する仲であり、Level5になってからも一緒に切磋琢磨している。

風真の凶悪殺人料理の被害者であり、一口食べて病院送りになり1週間寝込んだ経験から身の危険を感じて必死に明日香から料理を学び、今ではプロ級の料理の腕を持つ。

Level4になった際に風紀委員(ジャッジメント)に所属し、黒子とは同僚にあたるが、黒子からは美琴の件で敵視されている。

まあだが黒子も出久の事は認めており、内心では出久なら美琴を任せられると思っているが、出久がその優しさから食蜂、佐天、初春を虜にしてしまっているため素直に認められずにいる。

また風紀委員とは別に風真直属暗部で風紀委員(ジャッジメント)並びに警備員(アンチスキル)から選抜された精鋭部隊《SCARZ》に選ばれている。

このSCARZは暗部を助ける暗部の為、非常に高難易度の任務を遂行するだけでなく、街に溶け込んだり、会社に潜入しての諜報活動や捜査活動も行う部隊であり、学園都市外にも人員が配備されている。

暗部として諜報・捜査活動以外の戦闘を伴う任務の際はフード付きローブとホワイトタイガーを模した仮面を付けていることから《白虎》と呼ばれており、ヒーロー公安委員会も認知しているが素性までは知らない。

出久の能力である絶対零度(アブソリュート・ゼロ)だが、学園都市の責任者である《アレイスター・クロウリー》により、AFO対策としてある仕掛けがされており、まだ本来の力に目覚めていないが暴走時にその片鱗が現れる。

その為か親密な関係にある異性に良くラッキースケベを発動してしまう。

また風真の影響で能力だけでなく体術や武器術も習っており、能力無しなら現Level5最強である。

周りの皆から慕われているが、恋愛関係では当麻や風真を合わせて、《鈍感トリオ》と呼ばれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷風真

 

身長:178cm

体重:72kg

年齢:37歳

能力:空間支配(スカイルーラ)

序列:元超能力(Level5) 第1位

役職・職業:教師(学年主任)、学園都市警備統括責任者

趣味:読書

 

出久の叔父で学園都市最強の能力者であり、学園都市警備統括責任者にして、実質学園都市No.2

学園都市内で圧倒的信頼を勝ち取っており、アレイスター・クロウリーからも全幅の信頼を寄せられている。

アレイスターとは思想的に対立はしているもののAFO対策等では協力している。

AFOとは学園都市が狙われていた為、高校生時代からたびたび戦っており、AFOと互角に戦える貴重な人材。

その為、学園都市外でも活動していた為、オールマイトやグラントリノ、根津校長、リカバリーガール、ナイトアイ、エンデヴァー、塚内警部等とは旧知の仲であると同時に学園都市外でもスカイルーラとして今でも知られている。

風真の能力も出久同様にアレイスターが細工をしており、空間支配の名に恥じない隠し能力兼風真の切り札が内包されている。

風真の戦闘能力は身体能力も高い為、現在のLevel5最強であるアクセラレータすら勝てない程である。

一見完璧超人の風真では有るが、料理は壊滅的に駄目で見た目は良いのに、食べたら病院送りにする料理を作り出す為、死活問題だったこともあり、出久が必死で料理を覚えた。

因みに見た目が悪い方が美味しいと云う謎仕様である。

オールマイト達からはコレを食べさせたらAFOも倒せると言われている。

明日香とは幼馴染みで、好意を寄せていたが高校時代に一緒に帰宅する為に迎えに行った時に友達に揶揄われて、風真の事が好きじゃないと明日香が嘘を言ったのをたまたま目の前で聞いてしまい、それ以来気持ちを封印し、幼馴染み兼同僚としてだけ接しているために明日香のアプローチに全く気付かない鈍感となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

田所明日香

 

身長:168cm

体重:黒塗り

年齢:35歳

個性:閃光(七つの大罪のリュドシエルの閃光に似ています)

能力:極秘

役職:教師、医師、研究者、SCARZ副司令

趣味:料理、裁縫

 

風真の幼なじみで学園都市では珍しい個性と能力の両方を持つ人物

学園都市内でも有数を科学者でもあり、医師としても名医かつ、戦闘もこなせる為、風真と並んで学園都市内での憧れの存在。

学生時代にLevel5への昇格の話が出た事はあるが、それを辞退しており、その実力はLevel5に匹敵する程である。

性格は非常に優しく、マッドサイエンティストが多い学園都市の科学者の中では非常に珍しい善良な科学者でもあり、人の命を粗末に扱う研究を憎んでいる。

主に個性の再現や個性障害の解決策を研究しており、その研究成果を使って自身の個性に苦しむ人達を助けている。

怒るとめちゃくちゃ怖く、トラウマを増産しており、アレイスター・クロウリーすら恐れさせた程であり、学園都市内では明日香を怒らせるのはタブーとなっている。

風真の事が大好きだが、前述の1件から風真には全く気付かれていない。

風真が出久を引き取ってきた後は通い妻の様に料理や掃除、洗濯の手伝いに来ていた。

明日香の能力はその特性から最重要機密指定されており、詳細を知っている人は少なく、那由多以外は木原一族でも知らない。

その為、個性を能力として登録している。

明日香の本来の能力を知っているのはアレイスター・クロウリー、風真、出久、美琴、オールマイト、ナイトアイ、根津、リカバリーガール、グラントリノ、シイナ、那由多のみである。

その内のアレイスターと風真、シイナ、那由多以外はオールマイトの傷を治す際に知り、シイナと那由多は一緒に暮らす際に危険性を認識して貰うために教えられた。

 

 

 

 

 

 

轟燈矢

 

身長:176cm

年齢:24歳

個性:蒼炎

能力:変質体

役職:家庭教師、SCARZ諜報部隊員

趣味:変装、資格取り、釣り、山登り

 

エンデヴァーの息子

本作では山火事の際に風真により助けられ、エンデヴァーの真意と氷叢家に関することを聞かされた事で和解し、荼毘ルートは回避されている。

だが個性に関する問題は解決されていなかった為、学園都市に住むことになり、明日香の手で個性の問題点の解決に成功すると同時に変質体と云う能力を手に入れる。

この変質体は平たく云えば変装だが、元からあった個性とは違う為、骨格や身長までは無理だが顔や声、DNAの一部、指紋、網膜を完全に他人にすることが出来る。

この能力を使い普段は家庭教師として過ごしながら、街に溶け込み情報収集をしているが、SCARZとしての任務の際にはその能力を活かして、企業や敵施設に侵入して情報を得たりしている。

趣味の資格取りは任務の為に始めたものだが、資格を取るのに嵌ってしまい今では30以上の資格を持っている。

今は学園都市外でも活動しとおり、未だに見つかっていない冷の両親を探している。

 

 

 

 

 

 

御坂美琴

 

本作のメインヒロイン

出久が学園都市に来た時からの幼なじみで原作とは違い、当麻にではなく出久に恋している。

当麻と並んで出久を変えた人物であり、一緒に切磋琢磨してきたライバルでもある。

出久の過去を出久ががむしゃらに特訓しているのを見つけた時に風真から聞かされ、どうにかしたいと考えて当麻と共に心のしこりを取ることに成功する。

そして出久の優しさや、芯の強さ、一生懸命頑張る姿に惚れて、アプローチしているが、出久には当麻が好きだと思われている。

原作とは違い、出久や風真の影響で体術や身体強化系の技も開発している。

 

 

 

 

上条当麻

 

とある原作主人公で、出久の憧れの存在

本作でも不幸なのには変わりないが、出久や風真達も手伝ってくれるため、原作の様な無茶は余りしないがそれでも大体最後には病院送りになっている。

素直に自分を慕ってくれる出久が可愛くて仕方がないが、事件に巻き込んでしまうことには申し訳なく思っている。

現在は五和と付き合っているが、出久を好きになった原作ヒロイン以外からは今も狙われている。

AFOから幻想殺し(イマジンブレイカー)を狙われているが、当麻には知らされていないが、風真や出久、暗部、SCARZ、屍喰部隊がそれとなく護衛している。

 

 

 

 

一方通行(アクセラレータ)

 

とある原作キャラ

出久のライバル兼親友

原作とは違い自分以上の実力者として風真がいる為、風真を超える為に努力している。

また風真や明日香と云う存在がいる為、研究の為とはいえシスターズを殺した事に罪悪感を感じており、その事もあり出久と当麻に敗北を喫した。

だがその後はラストオーダーの件やエステルの件を通じて、出久をライバル兼親友として認めており、何かと一緒に居ることが多い。

SCARZにも風真の計らいで在籍しており、風真と明日香の尽力により借金の返済に成功している。

エステルとは恋仲である。

AFOの事は風真から聞かされており、狙われる可能性があるラストオーダーや番外、他のシスターズを護ると誓っている。

Level6のコントロールも取れる様になり、持続時間も向上している。

 

 

 

 

 

アレイスター・クロウリー

 

とある原作キャラで学園都市の創設者

外道ではあるものの脳無と云う存在を生み出すAFOを心の底から嫌悪している。

AFO対策として風真と出久の能力にそれぞれ細工をしており、特に出久には当麻と同じく最後の切り札になり得る物を能力に組み込んでいる。

また学園都市に脳無が現れた事からセキリティの強化と同時に国に対して有事の際には学園都市を開放する事を伝え、その為の手続きを行うなど、AFOの危険性を充分に理解して行動している。




今回はこんな所かな?


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一緒に住んでいればハプニングは起きるものだ‼

今回はラッキスケベ会ですwww


轟君たちの話し合いが終わり、今日は轟君たちも家に帰るには遅いから泊まる事になった。

 

と云うより冷さん達は最初からそのつもりだったらしく、轟君の服とかも準備して持ってきていた。

 

だから晩御飯も量が必要になるけど、今日はエンデヴァーと冷さんが最高級すき焼き肉を買ってきてくれていた為、それですき焼きにする。

 

割り下は2種類作る1つは昆布だしベースの普通の割り下

もう1つはビールを加えた割り下だ。

 

具材はすき焼き用牛肉、焼き豆腐、白菜、えのき、ネギ、糸こんにゃく、椎茸だ。

 

先ずは牛脂を鍋に入れて溶かし、其処にネギを入れて香りが出てきたら牛肉を入れて、さっと焼き、割り下や他の具材を加えて、中火でじっくり煮込む。

 

「皆、ご飯できたよ。」

 

「「「は~い!!」」」

 

「相変わらず美味しそうだな。」

 

「此方が昆布だしベースの普通のすき焼きで、此方がビール入りのすき焼きです。」

 

僕の呼びかけで皆が集まり、風真おじさんとエンデヴァー、燈矢さん、夏さんはビール入りを、他は普通のすき焼きを食べ始める。

 

「旨っ‼」

 

「あら‼ホントね‼」

 

「流石、出久だな‼最高だ‼」

 

「口に合って良かったです。轟君はどう?」

 

「ああ。美味しい。それと俺の事は焦凍で良い。轟だとややこしいだろ?」

 

「ん‼わかった、焦凍君‼僕も出久で良いからね‼」

 

「ああ。わかった。」

 

お互いに名前呼びにすることで僕と焦凍君へ本当の意味で友達に成れた。

 

「それにしても出久君って料理得意だよね。何で?」

 

「………風真おじさんの料理が凶器だからです…」

 

「アレは人間が食べて良いもんじゃねぇ………」

 

「冬美…この世には不用意に近付かない方が良いものと、知らない方が良いものとがある………風真の料理はそのレベルの代物だ…」

 

「そ、そうなんだ…(((何かあったのね(んだな)…)))」

 

冬美さんの何気ない質問におじさん以外の学園都市組と食べた事があると云うエンデヴァーが遠い目をしながら言った為、冬美さんや冷さん、夏さんは察したらしく引き攣った笑みを浮かべるが、焦凍君はわからないのか首を傾げていた。

 

その後は談笑しながら〆のうどんまで楽しみ、片付けは冬美さんと冷さんがしてくれるとの事だったので、僕は焦凍君に声を掛けられて2人で外で話す。

 

「そっか…エンデヴァーに聞いたんだね。僕の両親のこと…」

 

「ああ…すまん…話の流れから親父も話さないといけなかったみたいでね…」

 

「謝る事じゃないよ。何れは学校の皆にも言うつもりだったからそれが早まっただけだよ…でも余り言い触らさないで欲しいかな…まだ完全には割り切れた訳じゃないから…」

 

「ああ。わかった。俺も真実を聞いても完全に割り切れたか?と聞かれたら返答できないしな…」

 

「お互い大変な過去を持ったね…」

 

「お前程じゃねぇよ…」

 

そう言い合ってから暫くお互いに何て言ったら良いか解らずに黙り込む。

 

「そ、そういえば焦凍君‼此れからは左も使うんだよね?」

 

「あ、ああ。だが正直、右も使いこなせてるとは言えねってわかった。」

 

「なら特訓する?地下に特訓室が有るよ?」

 

「そうだな。頼めるか?」

 

それから僕たちはシイナが止めに来るまで特訓をしてから、順番に風呂に入る事になったのだが、焦凍君が入った後に僕が入ろうとしてパンツまで脱いだ時、脱衣所の扉が開いて一糸纏わぬ姿を美琴ちゃんに見られるのだった。

 

「き、「きっ?」キャアアァァァ‼」

 

美琴ちゃんが悲鳴を上げると同時に放たれた電撃攻撃を防ぐ事が出来ずに僕は気絶するのだった

 

 

 

 

 

 

風真side

 

『キャアアァァァ‼』

 

「なっ‼なんだ‼」

 

エンデヴァーや燈矢とビールを飲んでいた時に響いた悲鳴に慌てて発信源に向うと全裸で身体から煙を出して倒れる出久が居るのだった。




ラッキースケベ会とは書いたがどっちとは言ってない‼


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大人達の思いと美琴の願い

「つまり寝てしまっていて風呂に入り忘れていたから入ろうとして、間違えて男性用の方に入ってしまい、出久が服を脱いだ状態に遭遇。混乱して雷撃を食らわせたと?」

 

「………はい////」

 

顔を耳まで真っ赤にし、下を向きながら美琴が頷く。

 

「…はぁ~まあ鍵を閉め忘れてる出久にも非があるから今回は多めに見るが、雷撃はやり過ぎだ。」

 

「はい…」

 

「じゃあ罰として出久の看病を任せる。そうだな膝枕でもしてやれ。」

 

「え?……エェェェ‼」

 

今回の件はどっちにも過失がある為、風真はどっちにとっても罰であり、ご褒美でもある沙汰を言ってから2人だけにして、3人で飲み直す為に別室に向かう。

 

ああ、勿論女性陣と焦凍君には何があったのか簡潔に伝えてある為、既に寝ているか話をしているだろう。

 

「あの2人はさっさと付き合えよな…」

 

「(それ貴方が言いますか?)まあ出久は自分が好かれているとは思って無いですからね。」

 

「(貴様がそれを言うか?)まあそこはあの2人の問題だ。俺たちがどうこうするのは間違いだろう。」

 

風真の発言に内心でツッコミを入れながら、2人は意見を言う。

 

「しかし出久君は何故あそこまで鈍感なんだ?」

 

「鈍感か…少し違うな、炎司。出久は失う事が怖いから。()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「やはりあの事件は出久君にそこまでの心の傷を負わせていたか…」

 

「軟弱者…なんて口が裂けても言えないよな…大切な家族が目の前で死んだ光景がトラウマにならない方が可笑しいだろ…」

 

「燈矢の言う通りだ。俺も下手をしたらそうなっていただろうな…」

 

3人は飲みなおしながら出久の事を話し合う。

 

「出久はあの日の事がきっかけで友が出来ても何処か一線を敷いている。皆が強いと解っていてもどうしても失う可能性が拭えないんだろうな…」

 

「大切だからこそ…か…俺たち大人に出来る事は見守るしか無いのか…」

 

「そこは俺たちじゃなくて美琴達の出番であり、出久自身がどうにかするしか無いよな。けどさ父さん、俺たちにも出来る事はきっと有るよ。」

 

「そうか…そうだな。」

 

そんな会話を交わしながら3人の晩酌は過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

風真達が部屋を出た後、暫くどうすれば良いのか悩んでいた美琴だったが思い切って言われた通りに膝枕するためにソファに寝かされた出久の元に行き、膝枕する。

 

「ごめんね…」

 

聞こえていないだろうが美琴は小さく謝罪の言葉を口にする。

 

と、そこで美琴は出久が震えながら何か呟いているのに気付いて、そっと耳を近付ける。

 

「お父さん……お母さん……美琴ちゃん…当麻さん…アクセラレーター…死なないで……失いたくない……」

 

「ッ‼」

 

出久の呟きに美琴は出久が何を夢見ているのか察した。

 

「出久…」

 

美琴は出久の呟きに胸が締め付けられるが何とかそれを押し込めて、出久の頭を撫でながら声をかける。

 

「大丈夫。私もアイツもアクセラレーターも、誰も死なないよ。だから大丈夫。」

 

出久が落ち着く様に美琴は優しく頭を撫でながら改めて強く決意する。

 

 

 

出久の隣で歩み、皆を護れる様になろう

 

 

 

と。

 

そう決意しながら出久の頭を撫で続けていたが、次第に眠くなり美琴はそのまま寝てしまうのだった。

 

 

 

 

 

美琴が寝て暫くして出久が目を覚まし、自分の状態に混乱するが寝ている美琴を起こさない為と、もう少し堪能したいと云う自分の欲求に負けて、再び目を閉じる。

 

 

だがそれが間違いであり、2人は朝までそのまま寝てしまい、他の皆に見られてしまい、揶揄われたのはまた別の話である。



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委員長と悪意

膝枕した状態で寝てしまっていた出久と美琴は明日香さん達に散々揶揄われ、明日香さんが拡散した写真により出久は黒子から怨嗟を含んだメールが何通も届いていた。

それを一読した出久は一言だけ返信を送り忘れる事にして、学校に行く。

 

だがこの時、出久は失念していたクラスにもこの手の話が大好きな人たちと、この手の話に怨嗟を向けてくる人たちが居ることを。

 

「「みんな、おは「「「「緑谷(さん)‼美琴ちゃん‼あの膝枕どうしたの‼」」」」「「緑谷‼テメェ‼何で御坂に膝枕されてんだ‼」」よう…」」

 

教室に入って、挨拶をしようとした瞬間、出久と美琴は女性陣と峰田と上鳴に詰め寄られる。

 

「少し落ち着こうか、皆。」

 

「「「「「「す、すみません…」」」」」」

 

流石に校門前でマスゴミ達に詰め寄られて、辟易しているところに、クラスメイト達にまで詰め寄られた出久は少し冷気を纏いながらニッコリと目だけ笑ってない笑みを浮かべて引き離す。

 

「ハァ…アレはちょっとしたハプニングがあって、美琴ちゃんが罰でヤラされてる間に寝てしまったから撮られただけだよ。それより先生が来たみたいだから席に座ろうか。」

 

出久が簡潔に説明しながら、先生が来た事を告げると皆、慌てて席に座る。

 

「おはよう。昨日の戦闘訓練、お疲れさん。約1名、停学処分になったが概ね良くやったと言えるだろう。この調子で頑張る様に。」

 

相澤先生からの評価には皆、顔を緩めかけるが、爆豪の事を考えて気を引き締める。

 

「さて…HRの本題だ…急で悪いが、今日は君達に……」

 

その瞬間、教室の空気が僅かにざわついた。

もしや、臨時のテストか?

 

「学級委員長を決めてもらう。」

 

「「「「「「「学校っぽいのきたー‼」」」」」」」

 

そんな声が出久と美琴以外から一斉に飛び出し、次々と手が上がっていく。

これが普通科辺りだったら担任の小間使いみたいな扱いだろうが、ここはヒーロー科。

集団を導くというトップヒーローに必要な素地を鍛えられる役な為、立候補が殺到するのも当然だ。

まあ峰田は欲望丸出しだが…

 

そんな皆を出久と美琴、轟は興味がないと皆を見ていた。

 

「静粛にしたまえ!!」

 

飯田の声が響いたのはその時だ。

 

「『多』を牽引する責任重大な仕事だぞ…‼『やりたい者』がやれるモノではないだろう‼周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…‼民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案‼」

 

と、言うが

 

「そびえ立ってんじゃねーか‼何故発案した‼」

 

瀬呂がツッコミを入れた様に手を誰よりも高く挙げながら言うから台無しだ。

 

「同じクラスになって日も浅いのに、信頼もクソもないわ。飯田ちゃん。」

 

「そんなん皆自分にいれらぁ‼」

 

「だからこそ、ここで複数票を獲得した者こそが、真に相応しい人間という事にならないか⁉」

 

けどこのままでは先に進めない為、飯田の案が採用され、多数決で決める事になった。

 

結果は

 

緑谷出久 5票

 

御坂美琴 3票

 

八百万百 2票

 

飯田天哉 2票

 

以下略

 

と云う結果だった。

 

「僕が委員長⁉」

 

「げ、私が副委員長なんだ…」

 

その結果に出久は驚き、美琴は嫌そうにするが結果が全ての為に引き受けるしか無かった。

 

 

 

 

 

「それにしても誰が僕に入れたんだろう?僕は飯田君に入れたし?」

 

「それはぼ、俺だ。」

 

「俺もだな。」

 

「私は美琴ちゃんに入れたんよ。」

 

「入ってた3票の家の1票はお茶子だったのね…因みに私も出久よ。」

 

昼休憩になり、食堂でランチを食べている時、出久がそう疑問を口にすると飯田達が答える。

 

「まあ。出久なら務まるでしょ。そういうの慣れてる訳だし。」

 

「いや。風紀委員(ジャッジメント)と学級委員は違うでしょ。」

 

「ジャッジメント?」

 

「そう。学園都市の治安維持に貢献してる学生たちで構成された組織の区間長をしていた事も有るのよ、出久は。だから私は向いてると思ったの。」

 

「なら本当に出久君には最適やね‼」

 

「ぼ、俺もそう思う。」

 

麗日と飯田が美琴の言葉に賛同するが、飯田の口調に違和感を覚えた麗日が、単刀直入に飯田の事を『坊っちゃん?』と聞いた事で飯田がインゲニウムの弟だと判り、話がそちらにそれた時だった。

 

 

ジリリリリリリリ‼

 

『セキリュティ3が突破されました‼生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください‼』

 

 

突然、大音量のサイレンと避難指示が大食堂、いや校舎全体に鳴り響いた。

 

それに慌てた生徒達により、大食堂内はパニックに陥り、出口に人が殺到して危険な状態になる中、出久は冷静に原因を突き止める。

 

「飯田君、轟君。美琴ちゃんと麗日さんを守ってて。どうやらマスコミが侵入しただけみたいだから皆を落ち着かせてくるよ。」

 

「わかった‼」「ああ。任せろ‼」

 

出久は飯田と轟に美琴ちゃん達を任せると能力を使い入口付近に居る人たちの上に移動して、相手がマスコミであってヴィランでは無いことを告げて落ち着かせる。

 

その後、マスコミが雄英高校に侵入したのを受けて、午後の授業は中止となり、生徒達は家に帰る事になった。

だがそんな中、出久だけは学園都市からの命令を受けて、根津校長達、先生達に接触するため雄英に残るのだった。

 

 

 

 

 

根津校長side

 

生徒達を帰宅させた僕は先生達を集めて、破壊された門を見ていた。

 

「コレは明らかにマスコミの仕業じゃ無いのさ。」

 

「ソウデスネ。彼ラガコレヲスルトハ思エナイ。」

 

「明らかに裏に誰か居るだろ、コレ。」

 

破壊された門の痕跡から僕も先生達も此れがマスコミによるものだとは考えていなかった。

 

「どうします、校長?」

 

「そうだね。一先ず雄英高校のセキリティの見直しが必要だね。コレはヒーロー公安委員会とクッソ揉めそうだね。」

 

「いえ。それには及びませんよ、根津校長。学園都市もその対策に参加しますので。」

 

ミッドナイト先生の質問に考え込んでいると、横からフードを被り、白虎を模した面をした人が声を掛けて来たのだった。



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白虎

仕事モード時の出久は一人称が自分になり、喋り方も変わります


出久side

 

突然現れた僕に根津校長とオールマイト、リカバリーガール以外の先生達が反応する。

 

「誰だ?」

 

「相澤くんも、皆も大丈夫なのさ。久しぶりだね、白虎君。」

 

「はい。此方の姿では久しぶりですね、根津校長。」

 

「此方のと云うことは()()()()()()()()()()()()()()()

 

「流石ですね。学園都市理事長アレイスター・クロウリーから許可が下りているので。ですが此処ではアレなので場所を移しませんか?」

 

「そうだね。会議室に行こうか。」

 

根津校長との会話で取り敢えず敵では無いと理解してくれた先生達は僕の事を気にしながら会議室に向かう。

 

「さて先ずは皆に君の説明からだね。」

 

「白虎だったか?お前は学園都市の関係者で良いんだよな?」

 

「はい、相澤先生。風真叔父さん直属の暗部特殊部隊《SCARZ》に所属する今は貴方の教え子の緑谷出久です。」

 

僕が相澤先生からの質問に答えながら、フードと面を外すと先生達が驚きで目を見開く。

 

「緑谷君はLevel5になった時からSCARZに所属して、学園都市外でも白虎として活動しているのさ。まあ主に表に出ないような公安委員会の暗部の救出や国際テロ関連の事件何かに携わっているのさ。学園都市ではそれ以外にも関わっているらしいけどそこまでは知らないのさ。」

 

「つまり緑谷は本来ならウチに来る必要も無い人物だと?まさか御坂美琴もか?」

 

「美琴ちゃんは違いますよ。まあ僕がSCARZに所属しているのは知ってますが。それと雄英に来たのはきちんとヒーロー免許を取る為でも有るのと、僕が雄英に来たかったのが理由です。」

 

「そうか。」

 

相澤先生は僕の説明に一応の納得が出来たのか何も言わなくなった。

他の先生方も驚愕から立ち直り、受け入れてくれた。

 

「さて緑谷君の紹介は此れで良いね。本題に入るのさ。さっき君が言ってた話だけど、雄英のシステム強化に学園都市が協力するって事で良いんだよね?何があったんだい?」

 

「自分も先程知らされたのですが、雄英高校からの合格発表がされた次の日に学園都市内にヴィランの侵入を許した為です。」

 

「ッ‼」

 

「あの学園都市の警備が破られたってのかい‼」

 

根津校長からの質問の答えに、リカバリーガールが椅子から立ち上がりながら驚く。

 

「より正確に言えば突如として学園都市内にヴィランが現れたんです。それも異様なヴィランが。それと同時に学園都市のマッドサイエンティストの一族が姿を消しました。」

 

「つまりヴィラン側にはワープ系の個性持ちが存在して居るって事かい?」

 

「それに学園都市のマッドサイエンティストの一族って事は木原一族かい。厄介な話だね。」

 

根津校長もリカバリーガールも流石に頭を抱える。

 

「話が見えねぇんだがよ。その木原一族ってのはそんなに厄介なのか?」

 

「そうですね。実験と称してまだ幼かった御坂美琴を騙して、DNAサンプルを採取し、クローン人間を複数体用意して、ある1人のLevel5の能力をより進化させる為にクローン達を物の様に生贄にする様な人達で有りながら、科学者として認めたくは無いですが1流と言えば事態のヤバさが伝わりますか?」

 

「つまりクソ野郎達って事かよ‼反吐が出るぜ‼」

 

「その意見には全面的に同意します。」

 

クローン人間…御坂シスターズの件の概要だけ話すと、先生達も事態の深刻さを理解したようだ。

 

「その事態を受けて、アレイスターの判断で日本政府並びにヒーロー公安委員会との連携強化と、万が一の事態に備えて学園都市や各地の刑務所やヒーロー科がある学校のシステム強化を行う事になったんです。なので根津校長、システム強化の件ではヒーロー公安委員会と揉める心配は有りませんよ。それともし雄英高校が再び狙われた場合には自分と御坂美琴も、自分たちの能力を護るために先生方に協力します。その報告に来ました。」

 

「君達の能力とかを考えれば当然の話なのさ。わかったよ。相澤君も良いね?」

 

「はい。正直2人の戦力が加わるのは助かります。」

 

「なら決まりなのさ。じゃあ具体的な内容を決めようか‼」

 

根津校長が最終的な決定を下した後、僕は先生達とより具体的な情報の交換や具体的な警備計画、そしてシステムに関する話し合いの日時を決めてから家に帰るのだった。



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USJ襲撃事件①

出久side

 

マスコミ事件から数日が過ぎ、雄英は表面上は落ち着きを取り戻していた。

 

そんな日常を取り戻しつつある、ある日の午後

 

「え〜本日のヒーロー基礎学だが俺とオールマイト、それからもう1人の三人体制で見る事になった。」

 

「はーい‼なにするんですか!?」

 

「災害水難なんでもござれ。人命救助(レスキュー)訓練‼」

 

相澤先生の言葉に皆が思い思いに発言する。

 

「おい‼まだ途中‼」

 

そんな皆に相澤先生がそう言うだけで、皆が一斉に黙る。

 

そこから先生の説明があり、今回はコスチュームは自由だと云う。

まあ今、謹慎中の爆豪のコスチュームの様に明らかに戦闘しか想定していない物も有るから、そこはケース・バイ・ケースらしい。

 

で、雄英は広い為、人命救助用の施設に行く為にはバスで行く必要があるらしい。

 

「緑谷君、乗りやすい様に番号順に1列に並ばなくて良いのかい?」

 

「この手のタイプのバスは並ぶ必要は無いよ。」

 

そう言いながら飯田君にバスの中を見せる。

 

「なるほど。こいういうタイプだったか‼」

 

飯田君もバスの中を見て納得する。

 

それから直ぐに全員が乗り込み、バスは出発する。

 

「私、思った事は直ぐに聞くのだけど学園都市の人間って、皆が緑谷ちゃんや美琴ちゃんみたいに強いのかしら?」

 

「あっ!!それは俺も思った!!」

 

「流石に僕たちクラスは限られるよ。能力があるとは言ってもそれを使いこなせるかは別問題だから。」

 

蛙吹、…梅雨ちゃんからと切島君からの質問に答える。

 

「そうなのか?」

 

「うん。僕や美琴ちゃんも最初から今の様に出来た訳じゃないよ。多分、皆より苦労してるよ。」

 

「俺等より?」

 

僕の答えに砂糖君が驚きの声を上げる。

 

「うん。皆は生まれながら個性が有るよね?個性を使う時って無理に意識してる?」

 

「そこまで意識してる訳では有りませんわね。」

 

「でしょ?だけど僕たち能力者は違う。皆があって当たり前の個性を持って無くて、後天的に科学的なアプローチで手に入れたのが能力なんだ。だから皆みたいに自然に使えるようになるには時間が掛かるし、能力は科学的なアプローチから生まれた物だから使うにも科学的な知識なんかも必要になる。例えば僕の場合だと水が水蒸気になる過程や、氷になる過程をきちんと認識していて、操りたい水分量からそれに必要なプロセスを計算する事で発動しているんだ。」

 

「えっ?てことは緑谷君達ってそんな計算を毎回、行いながらあの戦闘力なん?」

 

「流石になれたからいちいち計算してないわよ。けど私の身体強化の様に新しく作ってるのはある程度、計算してるからまだ咄嗟には出来ないって感じよ。」

 

僕と美琴ちゃんの説明に皆、驚きの表情になるけどそんなにおかしな事言ったかな?

 

「ち、因みに学園都市でお前より強い奴って居るのか、緑谷?」

 

「僕より強いってなると3人は確実かな?後は戦った事が無いから解らないのが2人だね。」

 

「学園都市がヤバいのだけは理解したわ。」

 

耳郎さんの言葉に美琴ちゃん以外の全員が頷くけど、本当に何がそんなにおかしいんだろう?

 

「あ…話はそこまでだな。着いたから皆、降りろ。」

 

「あっ!!はい!!」

 

疑問を飯田君に聞こうとしたタイミングで目的地に着いた為、答えを聞くことが出来ないままバスを降りる。

 

 

 

 

この場所で僕たちは長い因縁が生まれる敵と会うことになるとは知らずに…




能力者の設定はアクセラレーターが当麻との戦いで風の計算をし直すと言っていた事から考えたものなので公式では無いと思います?


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USJ襲撃事件②

オールマイトの遅刻の事をすっかり忘れてたバカです


死柄木弔side

 

「緑谷出久と御坂美琴?」

 

「ああ。俺達と同じ学園都市出身で今は雄英に居るガキ共だ。」

 

「そいつ等が何だってんだよ?」

 

「前に言っただろ?ソイツらがLevel5だ。写真と能力を教えてやるから気を付けろってだけだ。じゃあな。」

 

木原数多はそう言って写真と資料を机に放り投げると去っていく。

 

「クソ!!何だんだよ!!アイツは!!今まで全く来なかったクセに!!」

 

「ですが死柄木弔。今まで私や貴方には不干渉だった彼がわざわざ来てまで忠告するのです。見る価値は有るのでは?それに我々は学園都市の事を知らなすぎる。」

 

「ちっ!!それもそうだな…………は?何だこれ?」

 

俺は木原数多が残した資料を確認するが、其処に書かれた余りに出鱈目な情報に怒りを覚える。

 

「クソ‼やっぱりアイツ、俺を馬鹿にしてるだろ‼」

 

『弔。どうしたんだい‼』

 

「どうしたも‼こうしたもねぇよ‼先生‼アイツが教えてくれた学園都市のLevel5って奴らの情報、出鱈目じゃないか‼」

 

『なるほど。どんな内容が書かれていたかは知らないが、僕から話を通しておくよ。さあ君は今回の襲撃の為に集めた彼らが待っているのだろう?行くんだ。』

 

「ああ。わかったよ、先生。アイツの事は任せた。行ってくる。吉報を待っててくれよな‼」

 

先生にそう言われて俺は黒霧と共にバーから転移する。

 

 

 

 

 

 

AFOside

 

『やれやれ。やっぱりこうなったか。しかしアンタもなかなか酷いな。死柄木弔、下手したら今回の襲撃で死ぬぜ?』

 

「ふふふ。それは無いだろうね。緑谷出久、彼は人が死ぬのを極端に嫌うんだろう?それに弔が成長する為に必要な事だ。此処で捕まる様ならそれまでの存在だと言うことでもあるよ。」

 

『ハッ‼怖いねぇ〜まあアンタの弟子だ。好きにすれば良いさ。それより脳無だったか?アレ、此方にも何体かくれないか?学園都市のLevel5共の対策に使いたい。』

 

「わかった。ドクターに送るように言っておくよ。」

 

『そんじゃあ今度こそじゃましたな。』

 

木原数多が今度こそ確実にアジトから出たのを確認してから、僕はドクターへと連絡を取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷出久side

 

「すっげー‼USJかよ⁉」

 

「水難事故、土砂災害、火事……etc.あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も……ウソの災害や事故ルーム(USJ)!!」

 

訓練場の規模に驚きの声を上げた砂藤の声に答えるように現れたのは、今回の講師の1人であるスペースヒーロー《13号》が現れる。

 

「わあ~!!13号だ!!私好きなの!!」

 

13号の登場に麗日さんが歓喜の声を上げる。

 

「13号、オールマイトはどうした。此処で待ち合わせの筈だが?」

 

「え?先輩には連絡来て無いんですか?学園都市から人が来たからその対応で来れなくなったみたいですよ。それに何か声がめちゃくちゃ震えてました。」

 

「…そうか。まあそれなら仕方無いが俺にも連絡して欲しいものだ。」

 

そんな2人の会話がたまたま聞こえた僕は誰が来たか瞬時に察して顔が引き攣る。

 

「仕方ない。始めるか…」

 

「えー、始める前にお小言を1つ、2つ…3つ…4つ…」

 

 丁寧に指を折りながら、話す内容を確認した13号先生は、僕達全員の顔を見渡し、話し始めた。

 

「皆さんご存知だとは思いますが、僕の“個性”は『ブラックホール』。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」

 

「その“個性”で、どんな災害からも人を救い上げるんですよね。」

 

「ええ…しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう“個性”がいるでしょう。」

 

たしかに…僕と美琴ちゃん、轟や爆豪もそうだし、芦戸さんや青山君あたりも殺傷力の高い”能力“や“個性”と言える。

 

「超人社会は“個性”の使用を資格制にし、厳しく規制することで、一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないでください。相澤先生の個性把握テストで、自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイト先生の対人戦闘で、それを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では、心機一転! 人命の為に“個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。君達の力は人を傷つける為にあるのではない。救たすける為にあるのだと、心得て帰ってくださいね。以上!!ご清聴ありがとうございました!!」

 

話し終えて一礼する13号先生に拍手する僕達。

それが止んだところで相澤先生が口を開く。

 

「そんじゃあ、まずは…ん?」

 

「「っ⁉先生!!」」

 

「分かってる!!」

 

相澤先生が何するか話そうとしたタイミングで、僕と美琴ちゃん、それに相澤先生も殺気を感じ取り、直ぐ様臨戦態勢に入る。

 

そして階下の噴水の辺りに黒い靄の様な物が現れると、そこから全身に複数の手を付けた男性を筆頭に何人もの(ヴィラン)が姿を現すのだった。




昨日、更新するつもりが残業ばかりで疲れて寝てました
12月は食品業界は地獄です(泣)
すみません


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USJ襲撃事件③

遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます

それと今回の能登半島地震における犠牲者の皆さんの御冥福をお祈りいたします


仕事がある程度、落ち着いたので投稿再開します


出久side

 

「一かたまりになって動くな!!」

 

「え?」

 

「13号!!生徒を護れ!!緑谷!!」

 

「ダメです!!通信できません!!美琴ちゃん!!」

 

「電波ジャックされてる。コレ、多分学園都市の技術が使われてるかも。大元を直接叩くか、誰かが知らせに走った方が速いわね。」

 

相澤先生の鋭い声と僕たちの反応から皆も状況を理解しだした様だ。

 

「マジでヴィランなのかよ!!バカだろ!!」

 

「先生、侵入者用センサーは?」

 

「勿論ありますが…」

 

「ヤオモモ、アイツらは学園都市製のジャミング装置と電気系個性を併用して電波ジャックしてるみたいなのよ。だから雄英のシステムでも対抗出来てないのよ。」

 

「つまりアイツらは此処に少人数だけで来るタイミングがわかった上で攻めて来たって事か?ならアイツらはバカだが、アホじゃねぇ。」

 

八百万さんの質問に美琴ちゃんが答えると、焦凍君が相手がただ暴れたいだけのヴィランでは無く、目的を持って集まったヴィラン達であり、一筋縄ではいかないヴィラン達だと皆に伝える。

 

「そう云う事だ!!13号、避難誘導開始!!上鳴!!個性で通信試せ!!」

 

「は、はい!!」

 

「御坂は電波ジャックへの対応と出来るなら通信を試せ!!」

 

「わかったわ!!」

 

「緑谷は…「援護します!!」すまん。頼む!!」

 

「ちょ!!緑谷!!何言って!!」

 

「そ、そうだ!!緑谷君!!君も避難を!!」

 

「大丈夫だよ。それに詳しくは後で話すけどコレは僕に正式に任された任務だからな。」

 

芦戸さんと飯田君が心配の声を上げるなか、僕は思考を戦闘用に切り替え、両手に能力で作り出した拳銃を構える。

 

と、そこに

 

「イレイザーヘッドと13号ですか…先日頂いた予定表ではオールマイトが居る筈なのですがね?」

 

「何処だよ、平和の象徴!!まあいいや良く見たらアイツに渡された資料のガキ2人も居るじゃねぇか!!アイツらを殺せば出てくるかな⁉」

 

全身に手をつけたヴィランが薄気味悪い殺気を見せて来る。

 

「狙いはオールマイトか…緑谷…」

 

「大丈夫です、先生。命のやり取りならもう経験してます。今さら怯んだりしません。」

 

その殺気を感じ取り、声を掛けてくる相澤先生に待ち切れなくなったのだろう遠距離攻撃持ちのヴィランから放たれた攻撃を、2丁の拳銃で迎撃しながや答える。

 

「そうか…なら後ろは任せた!!」

 

「了解!!」

 

飛び出していく相澤先生を援護するように階下に居るヴィランに向けて、2丁拳銃で攻撃し、動きを封じていく。

 

相澤先生の個性の弱点とそのインターバルについては事前に教えて貰っていたので、その穴を埋める様に攻撃をしていくが、一瞬の隙をついて靄の様な姿のヴィランが居なくなる。

 

「初めまして、我々は敵連合(ヴィランれんごう)。貴方方にはオールマイトを誘き寄せる餌になって貰います。まあそれとは関係なく、私の役目はコレ…「オラァ!!」」

 

 

急いで振り替えりながら拳銃を向けるが、話している靄ヴィランに切島君と砂糖君が殴り掛かる。

 

「危ない、危ない…そう…生徒とはいえ優秀な金の卵…なので」

 

「「ッ!!ダメだ!!2人共、離れて!!」」

 

靄ヴィランが何をしようとしているのか気付いた僕と13号先生が叫ぶが、一歩遅く靄が僕たちを覆うように広がり、飲み込もうとして来る。

 

「散らして、殺す!!」

 

そう言う靄ヴィランに僕は反撃として僅かに空いた隙間を通す様に射撃し、確かに当たったのを確認してから靄に吸い込まれるのだった。



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USJ襲撃事件④

正直、水難ゾーンって出久の独壇場なんですが仕方ないですよね~


出久side

 

僕が飛ばされた先は水難ゾーン上空だった。

 

「ッ‼」

 

流石にいきなり過ぎたのと、時間が無かった為、勢いよく水の中に落ちる。

 

「来た‼来た‼」

 

水の中にはヴィランが待ち構えていたが、僕が攻撃する前に梅雨ちゃんに蹴り飛ばされる。

その後、一度体制を整える為に水難ゾーンの真ん中にあった船に、峰田君も一緒に移動する。

 

「大変な事になったわね。」

 

「この前のマスコミ侵入事件の時にカリキュラムが知られたんだろうね。まあ予想の範囲内だけど対策が後手に回ったか。」

 

「み、緑谷?」

 

「緑谷ちゃん。貴方、一体何者なの?」

 

「そうだよ‼お前、何でそんな冷静なんだよ‼」

 

「その話は皆が居る時にね。さてどうやら待ちかねて全員が顔を出したみたいだね。」

 

2人からの質問にそう返してから、下を見ると水中に特化したヴィラン達が顔を水面から出していた。

 

「た、大漁だ‼」

 

「落ち着いて峰田君。直ぐに終わらせるから。それにしてもバカだよな。僕を水がある場所に転移させるなんて‼」

 

僕がそう言いながら手を前に出し、ヴィラン達だけを呑み込む渦潮を発生させ一網打尽にする。

 

「………緑谷ちゃんを水難ゾーンに飛ばしたのはヴィランの間違いね。」

 

「お前、本当に容赦無いな…」

 

「コレでも手加減は大分してるよ。それより僕はこのまま広場に戻って相澤先生の援護に行くけど、2人はどうする?」

 

何故か若干引き気味に言われたが、まあ学園都市じゃないからそう云うものかと思い、流しながらコレから2人がどうするか聞く。

 

「そうね。多分、ここ以外にもヴィランが居るだろうから緑谷ちゃんに着いて行くわ。」

 

「緑谷が居れば安心だからな‼」

 

どうやら梅雨ちゃん達も着いて来るみたいだ。

まあ2人だけで避難して居るときに襲われる可能性も有るから、着いて来て貰える方が護りやすい為、受け入れる。

ただし僕の指示には従って貰う事を約束させた。

 

「わかったわ。緑谷ちゃんの指示に従うわ。」

 

「お、俺も。」

 

「よし。じゃあ広場に行こう。途中で他の皆と会えば、助けながらね。」

 

僕は2人が頷くのを確認してから、いざとなれば直ぐに戦闘に移れる様に準備しながら先頭を行く。

 

そして広場に着いた僕が見たのは、脳が剥き出しの異型のヴィランに地面に押さえ付けられた相澤先生の姿だった。

 

「や、ヤメロォォォ‼」

 

それを見た時、僕の頭の中で父さんと母さんが殺された瞬間がフラッシュバックし、大声を上げながら脳が剥き出しのヴィランに向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

美琴side

 

靄ヴィランに山岳ゾーンに飛ばされた私と八百万さん、耳郎さん、上鳴の4人は待ち構えていたヴィラン達と対峙していた。

 

「4人か、可哀想に…25対4じゃ勝ち目ねぇな‼」

 

「降伏するか?そしたら、半殺しくらいで済ませてやってもいいぜ‼」

 

「ギャハハハッ‼ソイツは良いなぁ‼男をそうしたら、女どもで楽しむのを見せつけるのはどうだ?あの髪の長い方、良い体をしてやがる‼」

 

「髪の短い方2人も楽しめそうだぜ。ヒヒヒッ‼」

 

うん。

清々しい程の下衆ね。

 

「ひっ‼」

 

「ッ‼」

 

余りの下衆な発言に八百万さんと耳郎さんは一歩下がるが、逆に上鳴は一歩前に出て、私達を護ろうとする動きをする。

 

「アンタ達みたいな下衆に誰が降伏なんてするのよ‼まとめて豚箱に行ってなさい‼」

 

私は上鳴の前に出ながら、下衆共に向けて雷撃を放つ。

 

「ギャァァァ‼」

 

「や、ヤロウ‼やっちまえ‼」

 

「先ずはお前からひん剥いてやる‼」

 

その一撃で8人が戦闘不能になったけど、その一撃に怒った下衆共が襲い掛かって来る。

 

「盛ってんじゃねぇよ‼」

 

だが私がさらなる攻撃をする前に上鳴が戦闘に参加し、遅れて八百万さんと耳郎さんも戦闘に参加する。

 

「こんな者たちに一瞬でも怖じ気付く等、情けないですわ‼」

 

「本当にね‼美琴もだけど上鳴もありがとう。」

 

2人はそう言いながらそれぞれの武器を手に戦う。

 

それから暫くして周りの敵は全て片付け3人が一息つくなか、私は徐ろに電気を纏った腕を地面に突っ込み、地中に隠れていたヴィランを引っこ抜く。

 

「「「えっ?」」」

 

「さて‼電波妨害を止めて、洗いざらい話して貰いましょうか?」

 

「は、はい…」

 

私の行動と地中から出てきたヴィランに驚く3人をおいて、私は地中に居たヴィランからオールマイトを殺す算段とやらを聞いてから、他の3人と共に広場に向かったが、其処には力を暴走させ脳が剥き出しの気持ち悪いヴィランに対して一方的に攻撃する出久の姿があったのだった。



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USJ襲撃事件⑤

今回は出久の暴走回です


緑谷出久side

 

脳無に組み敷かれ今にも顔面を地面に叩きつけられそうになっている相澤先生を見た瞬間、僕は抑え込んでいた力が暴れ出すのを感じながら、駆け出す。

 

そして僕は脳剥き出しヴィランに向けて冷気を纏った一撃を叩き込む。

その一撃で脳剥き出しのヴィランが相澤先生から離れた為、相澤先生を梅雨ちゃんと峰田君が居る場所に運ぶ。

 

「先生をお願い…あと、出来るだけ僕から離れて!!」

 

梅雨ちゃんは僕の勢いに押されて

 

「う、うん…」

 

と答える。

 

僕の言葉を聞いて、峰田君と梅雨ちゃんは、相澤先生を連れてその場を離れた。

だがそれより先に

 

「おいおい!!どこ行く気だ?逃がす訳ないだろ?」

 

そう言いながら脳剥き出しヴィランの仲間らしき、全身に腕をつけたヴィランが梅雨ちゃんに手を伸ばす。

 

そのヴィランに、僕は氷の剣を創造し振り下ろす!!

 

「氷結刃!!」

 

だが手だらけヴィランの手が氷の剣に触れた瞬間、氷の剣が塵となる。

 

「へぇ~面白いな。お前は!!」

 

そう言いながら手だらけヴィランが僕に触れようとしてくるが、回避する。

 

「何でお前達は簡単に命を奪おうとする?」

 

「何故?ゲームと一緒だよ!!」

 

手だらけヴィランの答えに必死に抑え込もうとしていたモノが一気に溢れ出し、僕の身体全体から冷気が溢れ出す。

それと同時に、僕の意識が薄れ出す。

 

 

 

 

???side

 

コイツらは敵だ!!マスターが忌み嫌う!!

コイツらは今此処で殺す!!

だけどマスターの手を血に染める訳にはいけない!!

 

だから我が殺る!!

 

「『グウォォォォ!!』」

 

 

 

 

死柄木side

 

「『グウォォォォ!!』」

 

俺はいきなり獣の様な雄叫びをあげ、両腕に氷で出来たドラゴンの腕を思わせる篭手?や氷で出来たドラゴンを彷彿とさせる翼を作り出していくのを見て、あのいけすかない男が齎した情報が本物なのでは?と疑う。

 

「ッ!!脳無!!早くコイツを倒せ!!」

 

その可能性に気付いた俺は脳無に命令すると、脳無が勢いよく襲い掛かる。

 

が、いつの間にか生えていた氷で出来た尻尾により、脳無が逆に吹き飛ばされる。

 

「なっ!!何でだ!!脳無には衝撃吸収の個性が有る筈だぞ!!」

 

俺の叫びに、そんなの知るかと言うように獣の様に四つん這いから脳無へと襲い掛かったガキが一方的に脳無を叩き潰していく。

 

「何でだ?何で脳無があんな一方的に押される!!」

 

「し、死柄木弔!!アレはなんですか!!」

 

「黒霧!!知るか!!俺が聞きたいくらいだよ!!何で脳無が一方的にヤられる!!衝撃吸収と超再生の2つの個性にオールマイト並のパワーが有る筈だろ!!」

 

「そ、そう聞いてます!!ですがみ、見る限り個性が全く発動していません!!」

 

黒霧の言葉に良く見ると、確かに個性が全く発動していない。

 

そして思い出す。

あの資料に書かれていた一文を

 

 

『※個性並びに能力の発動を弱体化又は無効化する凍結能力有り』

 

 

と書かれていた事を。

 

クソッタレ!!

 

まさか、このクソガキが能力で脳無の個性を無効化してるなんて思って無かった!!

 

けど見る限り明らかに自分でコントロール出来ていない。

 

「黒霧!!アイツをお前の個性で足場事飛ばせないか!!」

 

「無理です!!アイツの能力は私が個性の靄を出した瞬間に凍らせてしまいます!!」

 

クソッ!!

 

どうする!!どうすりゃ良い!!

 

 

 

ドッ!!ゴオォォォォン!!

 

 

対応策を考えようとした瞬間、俺達の横を脳無が飛んでいき動かなくなる。

 

マズい!!マズい!!マズい!!

 

脳無はオールマイト対策に用意した俺達の中で1番強いヴィランだぞ!!

 

脳無の敗北は俺らの敗北を意味している!!

 

クソ!!どうすりゃ良い!!どうすれば……

 

その時、あのガキが此方を見た!!

その瞬間、俺は全身を恐怖が駆け抜けるのを感じる!!

 

「黒霧!!撤退だ!!ワープゲートを出せ!!」

 

「え!?でも!!」

 

「今!!すぐにだ!!」

 

俺の剣幕に黒霧は何も聞かずに、一瞬でワープゲートを開いてくれた。

 

 

其れを見たガキが逃がすかと駆け出してくるが、ワープゲートが凍結される前に撤退出来た。

 

 

 

 

 

???side

 

逃げられた!!マスターの脅威になる存在を!!

 

その事実に自分への怒りの余りに力を使おうとした時

 

「出久!!大丈夫!!もうアイツらは居ない!!大丈夫だから!!」

 

マスターの想い人である御坂美琴が抱き着いてくる。

その温もりに我の意識が薄れていき、マスターの意識が覚醒していくのだった。



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USJ襲撃事件⑥

今回は後処理回です


美琴side

 

ヴィラン達の首謀者2人が逃げ、出久が暴走の反動で気絶した直後にオールマイトと明日香先生が駆け付けて来て、明日香先生は負傷した相澤先生と13号先生の治療を、オールマイトは他の生徒たちの救出とヴィランの拿捕に向かった。

 

「み、美琴ちゃん。少し良いかしら?」

 

「どうしたの、梅雨ちゃん。それに皆も?」

 

梅雨ちゃんに声を掛けられ振り返ると、梅雨ちゃんだけでなく、エロチビに八百万さん、耳郎さん、轟君に葉隠さんが居た。

 

「出久ちゃんのあの姿の件なんだけど…」

 

「俺と葉隠もあの出久を見ていたんだがアレは何だ?」

 

「出久の力の暴走よ。出久の能力の中にはある仕掛けがあってね。出久のトラウマ…誰かが殺されそうになると暴走するのよ。あの状態では全ての能力や個性が凍結するから使えない。ただどうしてか私の声には反応するから完成に暴走仕切る前に止める様にしてるの。悪いけど詳しい話は出久の許可を取らないと…デリケートな話だから。轟君もナイショにして。」

 

「わかった。アレはそう簡単に話すべきじゃないからな。」

 

私の説明に更に問い掛けようとしていた八百万さんの機先を制して、私が止めてくれるように言うと、轟君も同調してくれたので一先ず追求は無くなった。

 

「ありがとう。それじゃあ私はもうそろそろ出久が目を覚ましている筈だから見てくるわ。それと多分、警察の事情聴取も有るだろうし。」

 

「わかった。出久に宜しく言っておいてくれ。」

 

轟君の言葉に頷いてから私は保健室に居る出久に会いにいく。

 

 

 

 

 

 

出久side

 

意識が戻った僕を襲ったのは暴走の後に何時も襲う頭痛だった。

 

「痛っ」

 

思わず声を出した僕を心配したのだろう美琴ちゃんが直ぐに声を掛けてくれた。

 

「大丈夫?調子はどう?」

 

「頭痛とダルさはあるけど、まあ大丈夫かな?美琴ちゃんこそ怪我は…」

 

美琴の問いに答えると同時に彼女の怪我を確認して見ると、問題は無さそうだった。

 

「私も大丈夫だから安心しなさい。」

 

「なら良かった。それと僕の暴走で皆を巻き込んでない?」

 

 

「大丈夫よ。被害が出る前に止められたから。でもヴィランとの戦闘で相澤先生と13号は手当しないと駄目な程の重傷だったわね。」

 

「命に別状は?」

 

「明日香先生とリカバリーガールが対処したのよ?大丈夫に決まってるじゃない。」

 

「そう。なら良かった…」

 

美琴から2人の無事を聞いて胸を撫で下ろした所で、保健室のドアが開いた。

 

「ああ。目を覚ましている様だね。良かった。」

 

「塚内刑事、お久しぶりです。」

 

そこにはスーツ姿の塚内刑事が立っていた。

 

「大丈夫そうなら今回襲ってきたヴィランについて聞きたいんだが大丈夫かな?」

 

「ええ。大丈夫です。」

 

僕の答えに頷き、塚内刑事はメモを取り出した。

 

「それでは質問していこう。」

 

こうして僕はヴィラン襲撃事件についての聞き取りを受けるのであった…

 

(side out)

 

 

 

 

(塚内side)

 

「ああ。貴方の予想通り、奴が生きている様だ、風真さん。」

 

『そうか。《衝撃吸収》と《超再生》にオールマイト並みのパワー。それから空間と空間を道の様に繋ぐワープ使いと物体を崩壊させる個性持ち。出久が居なかったらオールマイトでもヤバかったろうな。奴らの目的がオールマイトの殺害か。』

 

「ああ。出久の能力のお陰で敵は退散したよ。」

 

『なら良かった。で、出久の様子はどうだ?』

 

「今、出久のヴィラン襲撃に対する聞き取りを行っている所だ。まあ、大丈夫そうだが。」

 

『備える必要が有るな。此方でも奴らの居場所を探そう。』

 

「ああ、頼んだよ。」

 

風真と通話を終えた後、ヴィランを捕まえる為に捜査に戻る。



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闇に蠢く者たち

今回は死柄木達がメインです


死柄木Side

 

「な、何とか逃げられたか…」

 

「ですね…死柄木弔、貴方の判断を信じて正解でした…」

 

慌てて撤退した俺達は何とか拠点に帰って来れた。

 

「よう。どうやら手酷くヤラれたみたいだな。」

 

そこにあのいけ好かない木原数多が話し掛けてくる。

 

「お前、何なんだよ!!アイツは!!」

 

「アイツってのは誰だ?俺はちゃんと資料を渡してたはずなんだかな?」

 

「緑髪の奴だよ!!あのドラゴンみたいな姿はなんだって聞いてんだ!!」

 

「ああ、アレか…クソッタレな話だがな、解らん。Level5の暴走はどれもコレも異質だが、アレはまた別格だ。アイツのアレは能力や個性そのものを凍結させる。イレイザーヘッドって言ったか?ソイツの個性はあくまで個性因子の発動を阻害しているだけで、個性そのものを打ち消してる訳じゃない。だがアイツのアレは個性や能力を凍結させて、打ち消してる。だから例え異形型だろうがその強みを消される。」

 

「チート過ぎるだろ!!」

 

木原数多の答えに思わず毒突く。

 

「まあアイツ対策が無いわけじゃない。アイツだけでなく他のLevel5の奴らの対策もな。そっちは俺が引き受ける。それで良いんだよな、AFO。」

 

『もちろんだよ。此方はオールマイトと風真君の対策を考えたいからね。Level5達を君が抑えてくれるなら助かるよ。』

 

「オールマイトはともかく風真の野郎を抑えられるのか?アイツは別格だぜ?」

 

『そうだね。彼はオールマイト以上に危険な相手だ。』

 

「その風真って誰だよ?そんなに強いのか?」

 

2人の会話に出てきた知らない名前に思わず問い掛ける。

 

「学園都市の警備責任者だ。言っとくがお前達が負けたアイツより遥かに強いからな。」

 

『全盛期の僕と単独で互角に渡り合えた男だよ。彼はまだ学生だったのにね。』

 

「………はぁ?」

 

2人からの回答に思わず間抜けな声が漏れ、顔が引き攣るのを自覚する。

 

あの緑髪のガキでもチートなのにそれ以上の奴がいる事実に驚きを隠せない。

 

『まあ幸い弾除けに使えそうな人材を確保できそうだから良いけどね。』

 

「色良い返事でも聞けたのか?」

 

『いや。だが間違いなく彼はこちら側の人間だ。なのにヒーローを目指している。矛盾した存在さ。だが彼の心の中の芽は確認出来たし、僕からのちょっとしたプレゼントも渡せた。心配いらないよ。彼は間違いなく、僕達の仲間になる。だから死柄木弔、今は仲間を集め、力を集める時だ。』

 

「わかったよ、先生。」

 

そうだ。

今はまだ時じゃない。

だがその時が来たら俺がお前を殺してやるよ!!

緑髪のガキ!!

 

 

 

 

 

 

 

爆豪Side

 

糞ったれが!!

俺が居ない間に雄英がヴィランに襲われて、あのクソナードがヴィランを撃退しただと!!

 

この俺様が居たらあんなクソナードに頼らなくても、ヴィラン如き1人で倒せたんだ!!

さっき話したあの男もそう言ってくれた!!

あの学校に必要なのはこの俺様で、あんなクソナードじゃ無いんだ!!

 

見てろよ!!

クソナードに、モブ共が!!

あの人がくれた此れで俺様の凄さを解らせて、土下座させてやるからな!!



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A組と緑谷出久

今回は部分的にA組に出久の情報を開示する回です


出久Side

 

リカバリーガールからの帰宅の許しが出た僕が美琴と共に教室に行くと、謹慎中の爆豪以外の全員が待っていた。

 

「緑谷!!大丈夫なのか!!」

 

「う、うん。皆、待っててくれたの?」

 

「当たり前だろ!!それにお前に聞きたい事もあったしな!!」

 

上鳴君の言葉に皆が頷き、大丈夫だったか?と口々に聞いてくる。

 

「ありがとう、皆。けど大丈夫。あの状態になった反動で気絶しただけだから怪我とかは無いよ。それより僕に聞きたい事が有るんでしょ?また家に来る?」

 

「「「「「行く!!」」」」」

 

上鳴君が言っていた聞きたい事が有るって言葉を思い出した僕は皆にそう聞くと即答されたので苦笑しながらも皆と一緒に家に帰る。

 

まあ今日は流石にこの人数への料理は無理な為、帰りにスーパーでお菓子と飲み物を買ってからだが。

 

 

 

「それで何が聞きたいの?」

 

家に帰り、皆でお菓子を食べている時に僕はそう切り出す。

 

「ホラ。襲撃時にお前だけ戦闘許可が出た件だよ。後で皆が居る時に説明してくれるって言ってたじゃんか。」

 

「ああ。そうだったね。」

 

峰田君の言葉で言ったのを思い出す。

 

「機密事項も含まれるから詳しくは言えないけど良いかな?」

 

「大丈夫よ、出久ちゃん。」

 

「じゃあ。先ず大前提としてだけど飯田君や麗日さん、焦凍君には教えたんだけど僕は学園都市に存在する2つの警備組織の内の1つ風紀委員(ジャッジメント)に所属しているんだ。」

 

「「「「「風紀委員(ジャッジメント)⁉」」」」」

 

「そ、それでは緑谷さんは既に実戦を…」

 

「うん。何度も経験してるよ。学園都市でもヴィランみたいな奴は居るからね。」

 

「考えて見て。私や出久、それに学園都市にいる殆どが昔は何の力を持っていなかった人間よ。それで悲しい目や、辛い目にあった人間が殆ど。そんな人間が能力って云う力を得るのよ。暴れたい奴が出てきたり、ゲスな研究者だって出てくるわよ。」

 

「確かにそう云う人は出るわよね。けどそれならヒーローが担当するべきでは?」

 

梅雨ちゃんの質問は最もだ。

けどその質問の答えは簡単だ。

 

「学園都市の研究内容がもしヴィランに漏れたら大変な事になるから、学園都市内で完結する必要が有るんだよ。だから僕の様な学生で組織された風紀委員(ジャッジメント)と教師たちで組織された警備員(アンチスキル)の2つの組織で内外の問題に対処しているんだ。」

 

「で、出久はその2つの組織から選抜されたメンバーのみで構成された暗部って所に所属しているの。」

 

「それで出久さんには戦闘許可が下りた訳ですか?」

 

「それも有るけど学園都市でトラブルがあってね。どうもこの前の雄英高校侵入事件にも関連しそうって事で、風真おじさんから司令を受けて、学校側には事前に話を通して置いたからってのもある。トラブルの内容や任務内容は極秘だから言えないかな。」

 

「それだけ聞けりゃあ充分だぜ!!でもよそれだと出久なら俺らの問題点とか指摘できるよな?」

 

「まあ、そうだね。」

 

「ならよ!!俺を鍛えてくれ!!」

 

切島君の一言で、僕も、私もと増えていき、僕と美琴ちゃんは定期的に皆に指導する事になるのだった。



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