新伝説創造 天を目指した覇者!! (61886)
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プロローグ 天を目指した覇者
だがこれ位熱い漢が艦これの世界にいたら!!と思い作成しました……暖かく見守って下さい…
199X年、世界は核の炎に包まれた!海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。だが、人類は死滅していなかった!
男達は地獄の荒野の中で戦った…己の覇道を成す為に、愛する者の為、誓いを果たす為にそして伝承者としての道を歩む為。
……………………………………
北斗練気闘座……歴代の伝承者争いの決着の行われてきたこの神聖なる場所で今、永き闘いが……全てが終わろうとしていた。
「見事だ、弟よ…」
「…兄さん」
天を目指した覇者ラオウ……かつての絶望しか与えた事のない狂気に満ちた眼光であった瞳は既に変わり果て、誰よりも優しく澄んだ瞳で生涯二人目となる
「さらばだケンシロウ
俺もまた天へ!…トキの下へ帰ろう……」
「このラオウ天へ帰るに人の手は借りぬ…」
天を掴む筈であった拳はケンシロウとの死闘により封じられ力を無くしてしまっていた、だが最後の力を振り絞り高く…天へと掲げた。
「はああ!!」
「あ…ああこれは……ラ…ラオウの体が白く!」
やがて神々しくラオウの体は光り、地獄と化した荒野を猛々しく照らし始めた。
その姿を誰よりも愛した女であるユリア、これからの時代を築くであろうリンとバットそして…最大の
そして
ドカッ!!
世紀末の覇者は最後の秘孔を己自身の胸に突き刺し体内に残る全ての闘気を雄々しく天に
突き放った。
「わが生涯に一片の悔いなし!!」
天へと放たれた闘気は闇を閉ざす様に厚く覆われていた雲を突き抜け光の柱と化し、見る見る内に青く澄んだ青空へと変わって行き、男は天へと還って逝った。
その姿は正に世紀末覇者拳王の名に相応しい最期であった。
……………………………………
「ラオウよ、俺にはあなたが最大の
光が甦った世界……世紀末覇者の亡骸は両親と最愛の実弟であるトキの横に丁重に葬られた、…あの日全てが初まった誓いの場で。
「…………この暴力の荒野は恐怖によって統治するより術はなかった。しかし恐怖による統治に真の安らぎはありません」
ユリアは静かに涙を零した。
「統一を果たしたラオウは自分が愛を持つ者に倒され、とって変わられる事を願っていたのでは……私はそんな気がしてなりません」
その答えを知る者はもはや存在しない、唯一知るべき者は天に還った為に。
「ラオウよ、トキと共に眠れ…俺は貴方の生き様を胸に北斗神拳伝承者として生きよう!!」
ケンシロウは静かにユリアを抱え、最大の強敵に別れを告げた。
……………………………………
かつて男達は戦い……この世に一時の平安を残し天に地に散っていった。
だがその男達の戦いの歴史も砂の中に埋もれ…人々の記憶から忘れ去られていった。
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神か悪魔か!?暁の水平線に現れた最強の王!!
1話
文書能力が欲しい´д` ;
「…ぬう…………」
目を閉じても分かるほどの眩しいばかりの光と照り付ける程の熱気より目が醒める。
「………此処は……一体…」
起きたばかりの脳を回転させ今の現状を把握仕様にも不可思議過ぎる光景に戸惑いを隠せなかった、ケンシロウと対峙した時の傷は無くなり戦う前の姿に戻っていた…それよりも…目の前に広がる光景は、世紀末の砂漠の荒野とはかけ離れた白い砂浜、青く澄んだ美しき大海、核の炎に包まれてから見る事のない青々と茂る木々。どれも懐かしく忘れていた物であった。
「…………此処が天……いや、…まあよい」
世紀末覇者拳王はあの場で生き尽くした。ならば今此処にいるのは自分なのか?…否間違いなく自分自身である。ならば此処は目指していた天であるのか……考えても分からん。
一つだけ理解出来た事がある。
俺 は ま だ 生 き て い る っ ! !
あの場で世紀末覇者拳王は死んだ。
今此処にいるのは唯…北斗神拳伝承者に選ばれる事の無かった男……考えても分からんなら考える必要などない。
別に此処が何処なのであろうが構いはしない。それこそ目指していた天だろうが何処だろうが……しかし……
「……此処は一体どこだ?……分からぬ…」
眼下に広がるの大海原を見渡し足を止めた。
何事にも例外は存在する、この世にたった一つ残された……故郷である修羅の国へと繋がる死の海。しかしこの場からは懐かしさは一切感じる事が出来ない。
考えれば考える程おかしい…目の前に広がる美しき蒼の大海、瑞々しい木々おまけに空気もうまい…此処は別の世界では無いのか…。
「…ともかく寝床をさがすか」
ただ今は闇雲に砂浜を彷徨う事しか許されなかった。
◇◆◇◆
「ぬ!…」
数十分間砂浜を歩き続け、初めて人工物らしきものが見えてきた、コンクリート製のかなり大きな施設が海に隣接する様に建てられている…しかし、建物の一部は焼け落ち砲弾の痕が痛々しく残り壁の中身が見えてしまっている。
「…まあよい。これで状況を分かる者が居ればよいが」
可能性は低い、人間が生活していると言うとは思えぬ程外装はボロボロであり何方かと言えば廃墟に近い。
さほど期待はしていないが雨風を防げるだけで御の字であった為迷わず施設へと向かっていった。
◇◆◇◆
破壊された門と道、こびり付いた血痕…まだ放棄されて時間が然程経っていないのだろうか…施設自体はそれ程古い物ではない、狭い門を潜り抜け扉を開けると中は埃が溜まっているだけで瓦礫に埋もれている訳では無かった、しかし人が住んでいると言う生活感は全く感じ取る事が出来なかった。
「…………………」
無言で施設内を散策するラオウ、出来ることなら場所を特定できる資料、それと僅かでも残されていれば有難い食料を探していた。
「…ん?」
一つの部屋の前で足を止めた、此処だけ埃の様子が違う…何よりも人の気配が…もしや。
扉を開くと目の前にはボロボロの巫女服の様な奇抜なデザインの服を着、長い黒髪の一人の傷だらけの女が存在していた。
「あっ……あぁぁ」
女は明らかに部屋に入ってきたラオウに怯えていた。
「…突然邪魔をした事は謝罪する、少し聞きたい事があるのだがよいか」
「こないで!!」
「ぬ!?」
「こないで…………こないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでーーーーーーーーーーー!!!!」
「………………………」
入って来たラオウを見て、突然壊れたレコードの様にこないでと言い発狂し手を頭を守る様に抱えしゃがみ込んでしまった女にラオウもただ黙って見ている他出来ずにいた。
瞳に光は無く、所々白い肌に痛々しい生傷が目立つ…明らかに普通では無い。
もはや落ち着くのを待つしか無かった。
「いや…いやぁっ!……やめてください……榛名は…榛名は……殴らないで下さい…ぶたないで下さい…」
「…悲しき女よ」
この女…恐らく恐怖により心は壊されてしまっている…かつて自らが恐怖により心を支配した様に…違いがあるとするならラオウは女子供には決して手をかけていないそれだけだ…しかし……ラオウの内に秘める心は奮い立っていた。
「…胸糞が悪い……女に手を掛けるなど……ん」
部屋奥から二つの小さな気配が近づいてくる……今にも消えそうな気が……
「榛名………大丈夫ですよ……私が守りますから…ね…」
「あっ……あうあ…」
奥からは青い軍服に小さな帽子を被り金の長い髪をした美しき女と、幼い栗色の髪の少女である。
黒髪の女同様奥から出てきた二人の女も極上とも言える容姿だ…あの世紀末の世界であるならば何ヶ月分の食料を出しても安い程の…しかしそれ以上に痛々しい傷が目に止まる。
特に金の髪の女は酷い、足を引きずり身体中包帯だらけである。
金の髪の女は覆い被さる様に黒髪の女を抱き締め頭を撫で落ち着かせ始めた、まるで我が子を抱き締め慈しむ様に。
「あうぁ……あぁあお……」
幼い少女も手を取りまるで 泣かないで とも言う様に宥めている。
……この少女もしや声が出せないのか……
◇◆◇◆
「…ありがとうございます愛宕さん……雷ちゃん……」
大分落ち着きを取りも出した榛名と呼ばれる女は涙を拭い二人に謝罪した。
「大丈夫ですよ榛名…」
「あぅ…」
「それで……貴方はどちら様でしょうか?何故こんな所に危険な解放されていない海域の無人島に人間がいるんですか?」
愛宕と呼ばれた女は振り向きラオウの方へと向き質問した……明らかに警戒し敵意のある瞳を向けて。
「…我が名はラオウ。それよりも聞きたい事があるのだがよいか」
「質問しているのは私ですが」
…仕方あるまい。とは言えさて…どうしたものか……
「…分からぬ…気が付けば海岸線沿いでオッ倒れていたわ」
回答に不満行かなかったのか愛宕は警戒レベルを更に上げた。
「貴方…ふざけているんですか」
「…ふざけてなど無いのだが……まあよい。それよりもうぬ……もしや声を出す事が出来ぬのか?」
取り付く島もない……有りの侭の事を言ったが別に信じてもらう必要など無かった故会話を終わらせ、雷と呼ばれる少女に顔を向けた。
「!…あぁぁ…う」
「…確かにこの子は声を出す事が出来ません、しかし貴方には関係ないです」
愛宕の言葉に耳を向けず、雷の後頭部に手を当てた。
「あぁぁ……あう」
……この小さな瞳は今まで何を見てきたのだろうか……ケンシロウと対峙する迄は他人の事など思いもしなかっただろう自分に苦笑いすら込み上げてくる。
「案ずるな、うぬも心配するでない。少しの間大人しくしておれ」
いきなり自分の後頭部に手を当てられた事に雷は後ろに下がってしまったが、ラオウの表情を見て下がる足を止めた。
ラオウの表情は微笑み優しく澄んだ目で雷を見つめてそして
「ふんっ!」
ピシーーーン
「………一体何を」
呆然と見ている事しか愛宕は許されなかった。
「……まじないをしただけだ。あとはうぬ次第……心の叫びが声を呼び起こす」
一体どうしたと言うのだ……本当に自分らしくない。
だが……まあよい。
「…信じられません、触っただけで声が出せる様になるなど。同情するのなら止めてください……貴方は分からないでしょう……この子が……私たちが……どんな辛い思いを…して来たのか……」
愛宕の瞳には大粒の涙が溜まっていた……それだけで嫌でも理解出来る、どれ程の地獄を見てきたのか……
ドゴーン!!
思考していると突如激しい爆発音が施設中に轟いた、一体何が……
備え付けられていた欠けている花瓶は地面に叩きつけられ音を立てて割れてしまい、椅子などの埃を被っていた家具なども倒れている。
「っ!……まさか深海棲艦!?またですか。……愛宕さん……雷ちゃん。此処にいて下さい、私が……榛名…行きます!」
震える手を握りしめ先程まで震えていた榛名は部屋を飛び出した。
……深海棲艦?聞き覚えがない言葉にラオウは違和感を覚える。
「榛名!……駄目よ……死にに行くつもりなの…」
「!…………」
そして覚悟を決めたかの様に雷は顔を上げて榛名の跡を追いかけて行った……一度だけ振り向きラオウの顔を目に焼き付けて。
「雷ちゃん!?……貴方まで……うっ…うう。殺されると分かっているの……」
……理解が出来ずラオウは困惑せざるを得ない。
「…おい。一体何が……説明しろ…殺されるだと?」
「………いや……一人にしないで……」
ラオウの言葉は響かず、愛宕の目に光は無くただひたすら涙を流し泣き崩れてしまった。
「仕方あるまい……ふん!」
「!………………」
「秘孔の一つ定神を押した、少し眠っておれ……さて深海棲艦とは一体……実際に見てみるか」
眠ってしまった愛宕を丁重にソファーの上に寝かせ、ラオウは二人が向かった先……音が大きく響く方向を目指し走り出した。
◇◆◇◆
施設内を駆け抜け音の方向を目指すと裏の浜辺に出る事が出来た、浜辺から距離にしておおよそ1キロ程の水平線の彼方から砲弾が飛び交う様な爆音が轟く。
「…実に奇妙な光景であるな」
水平線に浮かんでいるのは見たこともない禍々しいオーラを放ち戦艦の様な砲台を装備している人間とはかけ離れている女が二人と奇妙奇天烈な魚の化け物が数匹…そして
「っぅ……そんな……」
同じく先程は装着していなかった砲台を装備し、戦っている榛名と雷……両者とも砲台は深海棲艦と呼ばれる敵との戦いでひしゃげ、殆どガラクタに近くなってしまい顔色は絶望に染まっている。
しかしラオウには関係のない事だ。力こそ正義…あの世紀末の荒野の世界で南斗のKINGはそう言った。……違いない、例え女だろうが力がない自分を恨むべき……だが
「……ふん、このラオウにもまだ人間臭さが残っていたとは」
面白くない……そんな感想が一に出てきた。
理不尽な暴力が心も体も蝕まれる女を見て心が…体が揺さぶられる。
ケンシロウと対峙し愛と哀しみを知り何かが変化しようとしている。……天を目指していた頃に比べ付き物でも堕ちたのだろうか。
「フッ、深海棲艦とやら…貴様らはこのラオウが相手をしてくれるわ!!」
不敵に笑い水平線の彼方へとラオウは飛び立った。
ラオウの口調が掴めない…ラオウぽいかな……
感想お待ちしております!
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2話
異論は認め無い!
……そう思う作者です いやまあ宇梶さんも捨てがたいですが改めて内海賢二さんの凄さを垣間見た作者です
209X年 人類は二度の世界を巻き込んだ戦争…世界大戦を終結させ、一時の平穏を保ってきた。
だが……突如現れた過去の亡霊により平穏は瞬く間に崩れ去り、同時に世は再び混迷の時代に向かっていた。
…海の底から出現する謎の艦艇軍、それらを人類は深海棲艦と呼ぶ。
駆逐艦から超弩級戦艦まで多彩を極める深海棲艦の攻撃により人類は制海権を喪失。
しかし その脅威に対抗できる唯一の存在、それが在りしの戦艦の魂を持つ娘達…艦娘である。
艤装と呼ばれる武器を装着し、生まれながらにして深海棲艦と互角に戦う事の出来る威力を持つ美しき戦乙女達、その活躍により制海権奪還に向けて人類は今反抗作戦が開始しようとされていた。
世紀末の世を人間と艦娘は共同で戦い続けた、もはや艦娘の存在は人類のパートナーである、だが…心許ない人間が存在するのもまた事実…
◇◆◇◆
「この不良品が!」
不良品……私達の提督は私の事を名前で呼ばず不良品と言う名称でしか呼んではくれなかった。
何故不良品なのか…………答えは至って単純…私は声を出す事が出来なかった。
建造時に何らかの問題が起こり声を手にする事なく再びこの世に目覚めた。
横須賀鎮守府、日本でも最大級を誇る鎮守府で私は生まれた…
艦娘を入手するには二つの方法がある、一つは建造…妖精と言われる謎の多い存在ではあるが艦娘を建造出来る唯一の存在でもあり、私達のもう一つの大切なパートナーでもある。
そしてもう一つが海上で彷徨うのを保護する…所謂ドロップ艦だ、理由が分からないが1人佇み
それを保護するのがもう一つである。
一種の仮説によれば深海棲艦の怨念が晴れて艦娘になるという説があるが真偽は不明である……しかし深海棲艦の沈んだ場所で良く艦娘を保護する事がある事が多く可能性は高いかもしれない。
暁型駆逐艦3番艦 雷 それが私の名前。暁型には4種類あり、私には2人の姉と1人の妹がいる。
横須賀鎮守府の提督…私達の提督…に当たる人は私達艦娘を人としてでは無く"物"としてしか見てはくれなかった。
「貴様らは兵器、所謂物だ!物なら大人しく私に従えばいい」
金色に光る階級章と多くの勲章を付け、酷く肥えた横須賀鎮守府の提督はよく私達にこう言う。
艦娘である私達は来る日も来る日も人間である提督に不当な扱いを受けていた。
暴力などは日常茶飯事で十分な補給など無く満足出来る食事などした事がない。装備を渡されず出撃し沈む仲間も何人もいた。
傷つき帰ろうがまともに入渠すらさせては貰えやしないだが…
「おい、貴様は夜就寝前に私の部屋に来い」
……それ以上に酷かったのが提督の慰み者として誰かしら毎日無理矢理相手をさせられていた、嫌だと断れば殴る蹴るは当たり前…鞭で叩かれることもある……それ以上に辛いのが連帯責任として姉妹艦も酷い目に遭わされてしまう。……断る事の出来る者など存在しなかった。
「ひっく……うっ…ごめんなさい…何も出来なくて…」
今日も聞こえてくる、駆逐艦の子達の泣き声や悲しみの声が…もう何人目だろうか。
そして次は……自分なのでは……
不良品と言う理由で、1人姉妹艦の部屋と離された薄暗い倉庫の中で薄く汚れた毛布を頭から掛けて1人震えていた。
死にたくない……
生きてみんなで幸せに過ごしたい…
ただそれだけが願いだ。
神様……声なんていりません…これ以上望みませんからどうか……それだけが願いです……
それからして数日後…出撃に出された私に向けて最後の命令が出された。
「1人進軍し敵を殲滅せよ」
とうとう最期の時が来てしまった…
有り体よく聞こえるが"貴様は残り敵の的になれ"…それだけの事…
仲間を撤退する為に提督から言い渡された最後の命令……捨て艦……それが私に課せられた最後の指令である。
……声が出ないという事は戦いにとって致命的だ、通達が出来ず連携も取りにくい…よく言った所で所詮お荷物、この場で私に唯一できる事…それが捨て艦…仲間も多く大破し今にも沈みそうな娘すらいる。
「………うぅ」
正直嫌だ……私も生きたい……生き残って姉妹で幸せな日々を過ごしたい……
だけど……
私は涙を堪え1人敵艦隊に向けて駆け抜けた……
「!雷ちゃん!?」
後ろから愛宕さんの今にも消えそうな声が聞こえてきたが止まらない……もう止める事は出来ない………
暁……響………………………電…どうか幸せに……そして願わくば来世でも同じく……優しい司令官の下で……笑いながら幸せな日々を。
そこから先はの記憶は無い……
◇◆◇◆
気が付けば知らない所で目が覚めていた……傷だらけではあるが五体満足を確認し、自分が生きてる事に安堵し泣いた…。
暫くすると同じく出撃していた愛宕さんと榛名さんが部屋に僅かの食事を用意して持ってきてくれた……私なんかよりも遥かに酷い怪我をしながら……
「うぅ……あぁ、あう」
「雷ちゃん!……目が覚めたのね……よかった…」
2人とも目に涙を浮かべて私に抱き付いた。そして3人揃って泣き崩れた。
生き残った事…
提督から解放された事…
そして……これからどうすればいいのか……
…………でも……もう終わってしまうかも知れない……
◇◆◇◆
「……そんな……」
大破寸前の榛名の顔は絶望に染まりきっていた、敵の攻撃で艤装はひしゃげ使い物にならず弾薬は尽き何より殆ど身体の感覚がなくなっていた。
海面に座り込んでしまい呆然としていた。
「あう、…うぅ」
だめ……消えてしまう……
榛名の目の前に行き榛名を庇うように立つと後ろから抱きしめられた。
「ダメ……雷ちゃん……。もう大丈夫だよ……一緒に沈みましょう……」
今にも消えそうな声で抱き締めながら呟いた。
「!あう!……あぁぁうあうあ…」
ダメ!……最後の最後まで諦めちゃダメ……
死にたくない…まだ……だから………
本当は分かっている……もうお終いだっていう事位……
雷の言葉は伝わらなくとも意志は伝わり更に強く抱き締めた。
「ありがとう雷ちゃん……でももう生きていても辛いですし……さよなら愛宕さん…比叡お姉様、霧島……金剛お姉様…今そちらに向かいます…」
獰猛な眼光を光らせ2体の駆逐艦イ級は2人に迫る。
……神様、こんな人生だったのだから……最期くらいどうか……
様々な仲間の艦娘、姉妹艦、が脳裏にフラッシュバックされていく……これが走馬灯なのだろうか……
……案ずるな、うぬも心配するでない。少しの間大人しくしておれ
…まじないをしただけだ。あとはうぬ次第……心の叫びが声を呼び起こす
最期に脳裏に焼き付いていたのが先程の男……ラオウと呼ばれた男だ……
初めてあった筈の知らない人だが…何故こんなにも強い気念を感じたのだろうか……初めて男性に優しくされたからか……そうかも知れない。
あんなにも暖かい手は初めてだ……
願わくばもう一度あの暖かい手で……
目を閉じ榛名に抱き締められ最期を覚悟した…
だが
突如正面に爆音が轟いた
恐る恐る目を開けると迫って来ていた駆逐艦イ級の無残な死体のみ海面に浮かんでいる。
「………えっ……」
榛名と私は目の前の光景に理解する事が出来ずにいた、もしや他所属の艦娘が?……だが……
この近海にはいない筈………
答えは蒼天から舞い降りてきた。
「ふむ…………随分と脆い」
水面に浮かぶイ級の亡骸の上に上空から舞い降り、威風堂々と佇む謎の男……ラオウ。
「!……何故貴方が…」
「………うぬらがここで死ぬのは惜しい……そう見えた」
「…意味が良く分かりません…」
獲物を狩る獅子の象徴の様な金の髪を靡かせ鋭く強い眼光を迫り来る深海棲艦に鋭く突き刺し、拳を握り締めた。
ダメ……ラオウ……逃げて……人間の貴方じゃ……
残りのイ級数匹……それだけならもしかしたらどうにかなるかも知れない……しかし……相手は紛いにも戦艦クラスの深海棲艦がまだ2体も……
「…ぅあ………ラ……ラオウー!来ちゃ、ダメ!!逃げてー!!」
今……雷の心の声が……言葉を……目覚めさせた!
「!?雷ちゃん……貴方声が…」
「ふむ………案ずるな。あの程度など俺の敵では無いわ!」
数秒程振り向き不敵に笑い宣言した。
「深海棲艦とやら……貴様らはこのラオウ……いや"拳王"が望み通り相手をしてくれるわ!!」
今宵始まるは世紀末覇者拳王による死闘!
その結末が悲劇に染まる事は決して無い!!
これで今年は最後となります
それでは良いお年を過して下さい!
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