リリなの短編倉庫集 (オウガ・Ω)
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守りし者異聞ー十字架の仮面ー
守りし者異聞ー十字架の仮面ー


十字架仮面…ミッドチルダ首都クラナガンに生まれた新たな都市伝説


喪われたルーフェン武術《赤心少林拳》を駆使し、嵐のように戦い、風のように去る…彼の正体はだれにもわからない

ただその特徴的な仮面から十字架仮面、現れる前に聞こえた名前らしい電子音声から十字架仮面イクサと呼ばれるようなった


タカヤたち魔戒騎士たちの戦いの裏で繰り広げられるもう一つの光と闇の戦い


十字架仮面イクサ、彼の正体は………





「う、く……」

 

 

黒く濁った雲が空を覆い、激しい雨が降りしきる中でた小さな、苦痛にも似た声が響く

 

 

白かった白衣は雨に濡れ、泥水が染みこんでいる…近くには車椅子が倒れている。おそらくは少年のモノだろう。必死に這い蹲りながら何度も立ち上がろうともがく身体には包帯が巻かれ血がうっすら滲んでいる

 

 

「…かな…い……みぎ足が、ひだり腕が……指が…うごかない…」

 

 

 

ー先生、ミツキは…ー

 

 

ー…一命は辛うじて取り留めました。ですが以前のような生活は送れないことは覚悟してください。特に身体を酷使するような運動……慣れ親しんだ★☆◎◐◑は二度と出来ないでしょうー

 

 

……あの事件に巻き込まれるも奇跡の生還を果たし辛いリハビリを毎日続けていた、そんなある日だった両親と医師のいる診察室に来て耳に入った言葉は少年が同門の年下の幼なじみと一緒に暖めてきた夢を、まるで薄氷を割るように無慈悲に砕いた…気がついた時には病院から車椅子使い雨が降りしきる中を走らせていち。だが石につまずき椅子ごと倒れ今に至る

 

…自由自在に繰り出せていた技、動きがもう出来ない《魔力》すらも高められない

 

 

それでも諦めず、力を振り絞り立とうとするもぬかるんだ地面に足を取られ再び倒れた。口いっぱいに泥と鉄の味が広がるのをかんじながら仰向けになる。冷たい雨が顔にあたり、身体から熱を容赦なく奪っていく。瞳から涙が溢れ出しながら否が応でも悟った

 

 

もう自分に春光拳は使えないと

 

 

 

 

「あは、ははは……ごめん……ちゃん……一緒に…夢はも……う」

 

 

意識が朦朧としながらつぶやいたのは同門の子に対しての謝罪…もう一緒に夢を叶えられない…意識が遠のきかけた時、少年の身体が誰かに抱きかかえられた

 

 

「だ、れ……」

 

 

『………………』

 

 

 

 

霞む目でとらえたのは赤い瞳に銀と黒の不思議な服を来た異形。やがて意識を失った少年と共にその場から歩き出した

 

 

 

新暦74年、身体の自由と夢を失った少年は《赤い瞳の異形》との邂逅を果たした……

 

 

 

守りし者~異聞~《十字架の仮面》

 

 

新暦79年、秋

 

カーテンを締め切った室内…あたりには無地のキャンバスがおかれた架台と小さな台の上には絵の具と木炭が無造作に置かれ、壁には有名画家の絵を模写したのが埋め尽くし、その下に置かれたベッドにはスケブが何冊も広げられカオスな状況。そのときベッドの上で何かが動く

 

「んにゅ……」

 

毛布がもぞもぞ動きたし手、足がのび最後に顔を覗かせるのはボサボサの金髪にやや整った顔立ちの少年《ミツキ・カーディフ》がゆっくりと目を開ける

 

 

眠い…ぼうっとしながらあたりをみながら目をこする、明け方まで絵を描き続けたせいもあるけど……

 

 

「………あと五分………ん」

 

 

柔らかい毛布にくるまり寝る…ん~やっぱり二度寝って最高だね~昔だったら…まあいいか

 

 

 

「ミツ兄!朝だよ………ってまだ寝てる」

 

 

ドアを開け入るなり大きなため息をつく少女は散らかり放題の部屋の主ミツキのベッドへ歩き思いっきりゆらし始める

 

「ミツ兄~起きて朝だよ!起きてったら~起きて~」

 

 

「………あと四分………」

 

「もう~!いい加減おきなさあああい!」

 

なかなか起きないミツキに起こり強引に毛布をひっぺはがした少女の動きがぴたりと止まる。目の前にはグシャグシャの金髪にのほほんと幸せな顔で眠るミツキ…しかし少女の視線はアル部分をとらえている

 

男ならば必ず起きる朝の生理的反応…天高くそびえるエレベスト、天元突破なドリルにも負けない剛直が布越しにそそり立つ光景にみるみるうちに真っ赤になり知らす知らずのうちにセットアップ。背後に龍が猛狂わせた

 

「き、キャアアアア!」

 

「ギ、ぎャアアアアア!!」

 

渾身の一撃が天高くそびえるエレベストへ突き刺さる……メモリブレイクにも匹敵する破壊力を秘めた拳が粉砕し爽やかな朝に叫び声が響き渡った

 

 

★★★★

 

 

「あ、あのリオちゃ……」

 

 

「……何ですか、ミツキお兄さん」

 

 

(うう?まだ怒ってる?………)

 

 

休日の街中を歩くミツキとリオ…だが雰囲気が重い、今朝の一悶着があったせいもあるがそれだけではない

 

男にとって最大の弱点をメモリブレイクされ気絶した

直後、ミツキの本棚を整理していたリオが散らばっていた本を片付けていた時に何気なく手に取った参考書からカバーが外れ出てきたのは

 

《ドキドキ!巨乳ミニスカチャイナ娘の秘密のトレーニング♡》

 

と銘打たれた大人向けな本、パラパラめくるとムチムチした太ももを露わにしこれでもかと言わんばかりに胸を強調した黒髪ロングな八重歯っ娘が妖艶なポーズをとる姿にフツフツと怒りが沸き立つリオ

 

(そんなに、そんなに胸が大きいのが好きなの!)

 

持つ手が震える…さらにページをめくり真っ白になる。オーバーニーにタンクトップに大胆にカットされたホットパンツ姿に、ハチマキをまき、ひざを突き人差し指を唇にあてにっこり笑みを浮かべるモデルのページも胸がこれでもかと強調されているのをみて不機嫌さはさらに増し、目を覚ましたミツキが慌てて取り上げるがもう遅く今に至るわけだった

 

(ま、まいったな…久しぶりに黒リオちゃんになってる。機嫌が治るまでしばらくかか……そうだ!あそこに連れて行こう!!)

 

「あの~リオちゃん」

 

「……なんですかミツキ・お兄さん(怒)」

 

「な、なにも聞かずついてきて」

 

半ば強引に手をつなぎ歩き出すミツキに驚きを隠せないリオ…やがてある店《カフェマムマダール》の前に来ると迷わず中へはいる、芳しく香ばしい香りが二人を包んだ

 

「いらっしゃ………ミツキちゃんじゃない!その子は?もしかして彼女?」

 

アロハシャツにハーフパンツ、めがねが目立つ中年の男性の言葉に慌てて手をパタパタさせる

 

 

「マ、マスター、か、彼女じ「彼女のリオ・ウェズリーです!」………ってリオちゃんなにいってるのさ!?」

 

 

「ミツキちゃんもすみにおけないねぇ~はい、コレは可愛い彼女さ…リオちゃんには私からの特別ドリンクをプレゼント」

 

 

席に座った二人の前に置かれたのはエナジーロックシードをモチーフにしたグラスに蒼いソーダがシュワシュワと泡立ち涼しさを醸し出す…だがそれよりも気になるもの、二つの吸い口があるハートを模したストローが差し込まれている

 

 

「「…………………」」

 

 

(ど、どうする?ぼくはただ、リオちゃんの機嫌をなおそうと、ここの絶品スイーツ《ガイム!フルーツバスケット》をご馳走しょうとしたのに…マスターは気を使ってくれたんだろうけどリオちゃんもぼくみたいなのと同じドリンク飲むのイヤだろうし!?)

 

(こ、これって……マスターさん…まだ早いよ…でもせっかくのチャンスを無駄にできないよね)

 

 

ほんのり頬を赤くするリオちゃん、唇がストローに触れる真剣に僕をみる目…自然とストローに口をつけようとした時、グラスがきえた?

 

「ん、ん、ん………はあ~美味しい」

 

 

聞き慣れた声に僕は顔を向けた先には救助隊の制服に身を包んだ蒼い髪が目立つ女の人が一気飲みし満足そうな顔でテーブルにグラスをおいた

 

 

「な、ナカジマさん?なんでココに!?」

 

 

「なんでって?おなか空いたからマスターのスペシャルナポリタン食べに来たんだ。そしたら店にミツ君の姿が見えたから」

 

 

「だ、だからって飲むのは……」

 

 

「あ、ごめんね。喉が乾いてたからつい♪」

 

かわいらしくテヘペロするのは、救助隊の隊舎にある託児所の絵を描きに行った時に出会ったスバル・ナカジマさん。たまに絵のモデルになってくれるけど何故か僕のベッドの上でシーツ巻いた姿になるから目のやり場にすごく困る。ナカジマさんって身体付きがいい(鍛え抜かれた意味)。前にストライクアーツの動きを見せて貰ったときはドキッてなった

 

 

「…せっかくミツ兄とジュース…もう喉は乾いてないんですよね?コレから私とミツ兄は買い物にいくんで、ゆっくり食べてくださいね」

 

 

「あ、今日は午後からお休みなんだ。それにミツ君にモデル代を貰う日だし。甘くて白い濃厚なのをたくさん…」

 

 

「ち、ちょ!ナカジマさん!?なんか誤解するからやめて!?リオちゃんもコレはアイスの事だからね!?」

 

 

「モデルってスバルさんを?昨日も?甘くて白い濃厚!?……ミツ兄、どういう事か説明してくれるよね」

 

 

「あ、あのう……(あう?ヤバい黒リオちゃんになってる………こういう時は素直に話さないとマズい)」

 

 

まるで浮気がバレた夫のように戦々恐々するミツキ…とりあえず何故スバルに絵のモデルを頼むようになったかと、先ほどの聞く人によってはマズいワードに関しての経緯も必死に説明していく

 

 

「ふふ、青春ね~」

 

 

とその光景を見ながらスバル用に特製ナポリタン《ドッガハンマー盛り》を作り上げていくマスターだった

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「あ、あの…リオちゃん、ナカジマさん」

 

 

「なにミツ兄?あ、コレ可愛いい♪」

 

 

「ん~わたしはやっぱりコレかな。ミツ君。どう似合うかな?」

 

 

「だ、たがら二人とも、ここから早くでようよ!下着売り場から!?」

 

ナカジマさん、リオちゃんは僕の声に耳を貸さない。アレから説明をして問題解決したと思った。ナカジマさんとリオちゃんがまるで示し合わせたように僕を引きずり歩き出した

 

向かったのは複合型モールアキツキ、ソコにあるランジェリーショップ《グレイス》へ連れて行かれ、逃げようにもがっちりと手を胸元あたりに腕を組まれ逃げられない…何故かわからないけどリオちゃんは大人モード(といっても僕と同じくらい)だし。それに動いたら二人の胸が、ささやかだけど膨らみかけな胸と圧倒的ボリュウムな柔らかさを手に感じてしまう

 

 

「ねえねえミツ君は黒と水色、どっちが好き?」

 

 

「ミツ兄は白だよね!昔から大好きだもんね」

 

 

……ナカジマさんの手には黒、水色のブラにショーツ、リオちゃんは爽やかな白地にレースが編まれたモノが手にある……一瞬だけど二人の下着姿が浮かんでしまう。ヤバいなんかクラクラしてきた…昨日はアレが出てきたから寝不足だし、リオちゃんのメモリブレイクのダメージが抜けきらない…それになんか二人とも仲がいつの間にか良くなってるし?

 

 

「……水色と白かな」

 

 

「……じゃあ着てみようかな。ミツ君、一緒に来て、見て欲しいから」

 

 

「そうですねスバルさん、ミツ兄、私のを見てくれる?」

 

 

……ぐいぐいと試着室に引っ張られるのを必死に抵抗する。周りの人は止めてくれないし。それどころか…

 

 

「両手な花ね~しかも可愛い子、染めがいがあるわね」

 

 

「男の甲斐性を見せなさ~い。さてタカヤちゃんの彼女たちにもあげなきゃね」

 

 

……スッゴく物騒なのと、友達と似た名前が聞こえた氣が?一瞬、力が抜け二人が後ろに倒れそうになる、危ないと思った瞬間には二人の後ろにまわり抱き抱えるようにそのまま倒れた。目の前がチカチカする…でも真っ暗だ。それに甘酸っぱい匂い、左手に何か柔らかいのと右手、指先が溝にはまりじんわり湿ってるのを感じた

 

 

「んん…息かけないで…強くもんじゃ…やあ…」

 

 

「こすら、ない…で……ミツに、ぃ」

 

 

ま、まさか…おそるおそる首を動かし目の前が明るくなり見えたのは水色のショーツ、さらにギギギと目を向けた先、右手をみるとリオちゃんのスカートがはだけ下着の前に右手が入って濡れた感じがする、左手を見たらナカジマさんの制服…シャツからあふれた胸を鷲掴みしてる!?

 

「わ、わ、わ、ご、ごめん!ナカジマさん、リオちゃん」

 

 

なんとか二人から離れたけど、お店の店長さんにこってりと叱られ、あっという間に夜になった…さっきからナカジマさん、リオちゃんは僕の顔を見ようとしない。何度か話しかけようとしたけど無視された……あんなことしたら怒るよね

 

 

(ミツ兄のバカ…あんな所じゃなくて、ムードが大事なのに。で、でも…少し気持ちよかったかも…コロナやリンナにあの本をまた借りなきゃ。スバルさんと一緒に確実に落とさなきゃ)

 

 

(ミツ君、意外と大胆だよ。胸をあんなに揉んで抓るなんて……それに嗅がれちゃったし触れたし。変じゃなかったよね。一応下着変えてきたから大丈夫…リオちゃんと一緒に確実に外堀を埋めて…)

 

 

…はあ、やっぱり怒って…その時、あたりの空気が変わった。まさかコレはと慌てて時計を見たら夜の9時を回ってる…二人もこの異様さに何か気づいたみたいだ。悪い氣が形をなしオーブに変わりまるで卵が割れるように砕けた

 

「な、ナニあれ!?」

 

「猪?」

 

 

猪と鎧武者を組み合わせたキメラが涎をダラダラ流しながら雄叫びをあげ、かけだしまるで弾丸のように突進してくる、狙いが二人だとわかった時、突進してくる猪?の前に立ちはだかる

 

「「ミツ君/ミツ兄!?」」

 

 

『プギャアアアア!!』

 

僕をそのまま殴りつけ壁へ吹き飛ばした。コンクリートに大きな穴が穿たれ中へ落ちた

 

 

 

「よくもミツ君を……マッハキャリバー!」

 

 

「……いくよ、ソルフェージュ」

 

 

ミツキが吹き飛ばされたのをみてセットアップする二人…しかし猪?は目を歪ませリオへ突進をかける。迎え撃つように雷神装で加速、スバルのウイングロードを走りながら蹴り轟雷砲を顔面へと撃ち込む、ぐらりと体勢が崩れた。同時に背後から回り込んだスバルが構えていた

 

 

「いくよ、ディバィン…バスタアアア!!」

 

 

零距離からの砲撃が追い討ちといわんばかりに胴へと決まり光に飲まれた…勝ったと確信した二人。しかし何かが飛び出した。粘液まみれの触手がリオとスバルの身体をがんじ絡めに巻き取る

 

 

「く、ふりほどけな…え!?バリアジャケットが溶けて」

 

「な、なんで……や、やあ」

 

 

『プギ、プギギギギ』

 

粘液まみれの触手に触れた部分からバリアジャケットが溶け出す音、とともに響いた声。二人の前には倒したはずの猪?の姿。涎を地面に垂らし歩く姿に嫌悪感が生まれなんとか逃げようともがく。猪?が肌とバリアジャケットから下着を覗かせるスバルの前へ近づき、その手が迫ろうとした時だった

 

 

『レ・デ・ィー・イ・ク・サ・フ・ィ・ス・ト・オ・ン……』 

 

デバイスとは違う電子音声が響き、足音が聞こえてきた。猪?は何かに脅えるように身震いをし始めた

 

「な、なにあれ」

 

 

リオ、スバルの目に映ったのは白い全身装甲に身を包み、十字架を想わせる仮面で頭部を覆い隠した姿…二人に無言で近づくと触手を素手で撫でた。瞬く間にバラバラと千切れ落ち霧散、バリアジャケットも瞬く間に修復された事に驚く二人に背を向け猪?とある構えをとり対峙する

 

 

(あれって春光拳?それに誰かに)

 

 

『………………』

 

 

『プギャアアアア!』

 

 

再び突進してくる猪?。逃げようともせず立つ白い全身装甲の戦士に体当たりする。微かに身体が動くも根が這ったように動かない。スバルの目にはしんじられないものがうつる。なんと顔面を片手でつかみ突進してきた猪?を止めていたからだ

 

 

『……ハアッ!』

 

 

掴んだ顔を地面に叩きつけ、軽くバウンドした身体を足刀を叩き込みミツキが跳ばされたであろう場所とは真逆の方向へ吹き飛ばす姿にリオは誰かの姿と重ねている。日々鍛錬をする彼にせがみ、照れながら見せた蹴りや拳は間違えるはずもない

 

 

「……………ミツ兄?」

 

 

『……………』

 

 

『プギギギギ、プギャアアアア!!』

 

 

小さく漏れた声に応える事なく、猪?が吹き飛ばされた方へ視線を向けた時、再び無数の触手が今度は全方位から襲いかかる。力が入らず思わず目を背けようとしたスバル、リオの目に信じられない光景が広がる

 

 

手を正面、まるで花を包むような構えを取りながら襲いかかる触手をすべて弾き返し間合いを詰めていく。彼の姿を見てスバルは姉ギンガとゲンヤから聞いた話思い出していた

 

 

ー十字架仮面?ー

 

 

ーああ、最近な夜の街、クラナガンに現れるヘンな怪物を倒す謎のヒーローだと。白い全身装甲にでっけぇ十字架みたいな仮面をつけてるらしいんだー

 

 

ーそれにストライクアーツとは違う、格闘技…ルーフェン武術ですでに廃れた赤心少林拳を使ってるらしい……でも助けられた人たちは名前らしいのを聞いたみたいなの…たしかー

 

 

 

「……十字架仮面イクサ……」

 

 

すべてをいなし終えた姿に思わずつぶやいた。彼、イクサは深く深呼吸する…するとどうだろう。あたりに不思議な輝きが粒子のようにその体に集まる。何故かわからないがスバル、リオは暖かさを大きな何かに包まれるような心地よさを感じ取りまぶたが閉じていく…

 

『………………少しだけ眠ってて…』

 

微かに聞こえた優しく憂いを秘めた声を最後に二人が目を閉じたのを見てイクサは構え、氣を全身に満ち溢れさせる…身体の全神経に氣を循環させ両拳に力を集中するのを見た猪?も間合いを詰め構えた

 

 

『……………こい骸須斗《ガイスト》…二人が目をさます前に終わらせる…』

 

 

『ピギ!!』

 

二人同時に駆け出し、猪?は今までとは違い両手に牙を模した大剣を構え身体を捻り大きく振りかぶる。迫る刃を意に介さないと言わんばかりにイクサは刃に手を添え真ん中からへし折る。続けて二撃目が頭を捉えた。普通なら臆する攻撃…しかしイクサはそれを見せることなく体を沈めた。ナニもない空を切る刃が通り抜けた時、深く沈めた拳に黄金の輝きが満ち溢れさせる収束、堅く握られた拳が振るわれた!

 

 

『……赤心少林拳!二連双拳突き!!』

 

 

『ピギグガアアアアアア!!』

 

 

顔面に一撃、ぎゅるると体が回り続けざまにピンポイントで再び顔面を捉え殴り抜きまるでゴム玉みたいに跳ねながら地面へ落ちふらふらと立ち上がる猪?…いや骸須斗ーガイストーの顔面に黄金の光が走り全身にヒビが入る

 

 

『バギング…デグゥ……ハアアアア…フウウウウ…ビュウガアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーー』

 

 

悶え苦しみ断末魔の叫びをあげながら骸須斗ーガイストーは黒い霧へ変わり霧散するのを見届けるイクサ。その手を腰にあるイクサナックルをはずすと装甲が瞬く間に消える。現れたのはスバル、リオの想い人ミツキ・カーディフ。まるで哀悼の意を表すかのよう静かに頭を下げ眠り続ける二人を軽々と背負うと歩き出した

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「……ん、わたし…」

 

 

「あ、起きましたねナカジマさん」

 

 

「ミ、ミツ君!?ここは?」

 

 

「ここは、その、陸士隊の隊舎の医務室です」

 

 

「ミツ君!大丈夫なの?どこも痛くない?」

 

「あ、痛くないですよ。白い鎧をつけた人に助けてもらったんです…その人にリオちゃんと一緒にここまで送って貰ったんですよ…」

 

 

「そっか~でもミツ君や、わたしたちを助けてくれた十字架仮面イクサさんにお礼を言いたいけど居ないんじゃ仕方ないよね…あれ?おかしいな…急に」

 

 

安心感と同時にきたのは恐怖。もしあのまま助けが来てくれなかったら…身体がガクガクふるえ出す。その手を暖かなぬくもりが包んだ。ミツキが手をまるで花を護るように包んでいた。不思議なまでに暖かで包まれ安心感が胸を満たしていく

 

 

「もう、大丈夫ですよナカジマさん。今はゆっくり寝てください。さっきもリオちゃんも震えてて…」

 

 

ミツキの隣に寝ているリオ。その手はしっかりと服の裾を握りしめ離そうとしないのをみて少しだけ気が緩んだのかウトウトし始めた…

 

「うん、そうする……年上なのに心配させてごめんね……」

 

 

「あ、気にしないで……僕もいつも絵のモデルしてもらったりしてるからお互い様ですよ…あの、手を」

 

 

「ごめん、少しだけ、こうさせて……寝る…ま…」

 

 

やがて穏やかな寝息を立て眠るスバルに優しい笑みを向け立とうとしたミツキ、しかし手をしっかり握られリオから服の裾をつかまれ立てず、無理に離すといけないと想い椅子に腰掛けた

 

胸元にある重みを感じながら思うは先ほどの骸須斗。今までなら週一から週二しか現れなかった。それなのに一週間で二回目の出現は何か意図を感じていた

 

 

(……………骸須斗……今度、オキ師父、ヨシツネ師父に聞いてみないと。あとイクサのメンテナンスを結城博士に……)

 

 

ミツキ・カーディフ…彼が何故《ガイスト》と戦うのか、そして仮面ライダーイクサとなる力を持ち、廃れた赤心少林拳を使えるのかは誰も知らない

 

 

ただ今は、二人を見守るだけの普通の少年の姿しかソコにはなかった

 

 

ただ………

 

 

「ノーヴェ、チンク、ギンガ、ウェンディに続いてスバルもだと……クイント~また娘が嫁にいっちまう。今度は絵描きの卵で将来は有望らしいんだが…ングングング…マスター!おかわり!!」

 

 

「俺たち救助隊のアイドルをとりやがって、ハアアアア…マスター!俺たちにもクレ!!」

 

 

「はい、はい……ゲンヤさん。飲みすぎたら娘さんたちに迷惑かかるよ?」

 

 

「……ば~ろう、やってられるか~ングングング、おかわり!!」

 

 

 

と、陸士隊メンバーを誘いBARーZEROーで飲みつぶれた隊員たち、そしてなぜかスバルをねらっていた救助隊のメンツを交えての自棄酒パーティーが行われていたとか

 

 

 

守りし者ー異聞ー十字架の仮面

 

 



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スペシャルストーリー ミツキの災難(前編)

新暦76年 ルーフェン山中


「ミツキ、呼吸を整えろ…」


「は、はい……こぉぉぉぉぉ」


「丹田に意識を集中し氣を錬るんだ…それを全身の神経に行き渡らせ、満たすんだ……」


ルーフェンの山奥、木々を抜けた先には崩れ落ちそうな寺院。柱に塗られた朱い漆は剥げ、瓦には草が生え風に揺れている門には額がかけられ黒地に金で《赤心寺》見える。石畳が敷きつめられた境内に三人の人影。ひとりは空手着姿の青年、修行者の服に身を包んだ野生的な空気をあふれさせる女性、そして二年前に赤い瞳の異形に抱きかかえられ姿を消したハズの少年《ミツキ・カーディフ》。空手着を着込み膝を屈ませ腰を落とす型《馬歩》を構え呼吸を整え、弾けたように蹴りを拳を繰り出し踏み込むと、堅く厚い石畳に罅が入り割れる音が響いた

「この二年で、ここまで動けるようになるとは驚いたよ」


「……そうだな。最初の一年はまともに立つ事も出来なかったコイツが行方しれずになった《赤心少林拳》開祖《樹海大師》様の血を引いてるとはいえな」


「…ヨシツネ、俺はこの子に教えたのは氣の扱い方だけだ。別流派を学んで下地ができていたからのもあるし教えた師がよかったんだ」


「……決めた。コイツに《黒沼流》を教える…ヤツらに対抗するには《玄海流》では勝てない」


「いや、彼には《玄海流》が合う。もしかしたら《梅花》を俺より早く修められる」


「いいや、我が黒沼流だ。守りよりも攻めこそ最大の防御なり。奥義《桜花》を私が伝授する」


「いや玄海流だ!」


「否、黒沼流だ!」


弟子の指導方針に口論し始める二人…それに全く気付かずひたすら鍛錬に勤しむ弟子《ミツキ・カーディフ》。氣が満ち身体から黄金の輝きが見えた






「…………そ、そんな…」

 

僕は目の前には赤々と燃え上がる炎、そして崩れ落ちていく何か…いや二階建ての家。消防隊の車両から勢いよく水が浴びせられるも火の勢いは全然収まらない…ふらふらとしながら膝をついた…だって今燃えているのは

 

 

「僕の部屋が燃えてる………ははは」

 

 

クラナガンで見つけた格安物件で僕の聖域《サンクチュアリ》、模写した絵にナカジマさん、リオちゃんの絵、画材道具にこっそり集めた聖典(エロ本)の数々が灰になるのを感じ笑うしかできなかった

 

 

スペシャルエピソード♪ミツキの災難(前編)

 

 

 

「はああ~コレからどうしょう……」

 

 

日もどっぷりと暮れた夜空を見上げつぶやいた…火元は隣の部屋から燃え広がり全焼…お金がないし泊まれない。まあ野宿は師父達の修行のおかげで慣れてるけど、最大の問題は一つ。食材をどうするか

 

蛇はいないし、鳩はいるけどおいしくなさそう……キノコや山菜は街中になんか生えてるわけない。猪も熊も

 

 

ーミツキ。食うモノは自分でとれ。まずは手本を見せてやるー

 

 

ーヨ、ヨシツネ師父!く、熊が!?ー

 

 

ー今日の晩飯から来てくれたかちょうど良い……ヒュウウ…黒沼流・鉄指錐ー

 

 

…ヨシツネ師父が襲いかかってきた熊の眉間に無数の穴を開け血を浴びながらドャアってニヤリと笑いながら立つ姿は覚えてる……思い出しただけで身震いする。オキ師父は逆にキノコや山菜、魚を取るのもだけど料理もすごくうまかった

 

 

「……ねぇIXA、どうしたらいいかな?結城博士の家は今は行けないし」

 

 

『ふむ。主よ…ニホンのことわざには果報は寝て待てとある。まあ、何とかなろうて』

 

 

赤い宝石が十字架に嵌められメカニカルなナックル…ミツキの相棒にして変身ツール《IXA》の脳天気な言葉に本気で野宿するしかないと思った時…

 

 

「あ、ミッくんだ?」

 

 

IXAを慌てて隠し振り返ると救助隊の制服を着たスバル・ナカジマさん。隣に黒い服に身を包んだオレンジ色の長い髪の女の人がじっとみてる

 

 

「ナカジマさん!?どうしてココに」

 

「あ、今救助隊からの帰りなんだ。ミッくんどうしたの?こんな遅くに一人で」

 

「実は…そのう」

 

以下略

 

 

「大変じゃない!……ねぇティア、何とかできないかな」

 

 

「なんとかって…ああ~もう仕方ないわね…ミツキ…くんだったわね。親御さんには連絡した?」

 

 

 

「………すいません、父さんと母さんは出張中でいないんです。親戚もルーフェンにいるんですけど山籠も…登山に行ってて連絡が」

 

 

「そっか……困ったわね」

 

考えるティア?さんの横でナカジマさんが何か閃いた顔をし僕に笑顔で

 

 

「じゃあ私の家にくる?」

 

 

「「え?」」

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

 

「ほら着いたよミッくん。私の家へようこそ♪」

 

ナカジマさんに連れられ来た場所は救助隊隊舎から少し離れたばしょにある住宅街、その一つの家の前にいる。最初は断ったんだけど「夜は怖い人がたくさんいるんだよ。モヒカンとか世紀末ヒャッハ~とテラ○ォーマもでるんだから。ミッくんは逃げきれる?」って強引に押し切られココまできたんだ

 

「さあ、ぼうっとしてないで入る入る。ティアも夕食食べていくよね?」

 

 

「そうね。じゃあご馳走になろうかしら…それに聞きたいことあるし」

 

 

扉を開けて入る。なんか女の人特有の匂いがする…手にもってた数少ない画材道具とスケブを取り出し書きかけの絵を仕上げようと手にしたら

 

 

「ミッくん、先にお風呂入ってきたら?」

 

 

「え?でもナカジマさんが先に…」

 

 

「すすだらけだし、それに気持ちの切り替えもやらないと…ほら、はいった♪はいった♪」

 

 

「はい……」

 

 

廊下にでてつきあたりのバスルームを開け洗濯カゴに着ていた制服、Tシャツ、トランクスを入れ中に入るとシャワーの温度を調節、程よい温度の水滴があたる…気持ちいいな。身体、次に頭を洗って湯船に浸かりハアアと息を付いた

 

「……家が見つかるまでか………でも骸須菟がでたらどうしょう」

 

 

ー………問題なかろう。今日はすでに討滅したからの…じゃがスバル殿には気をつけた方がよかろうてー

 

 

「なんで?ナカジマさんに気をつけないといけないのさ?……」

 

 

「ミッくん。湯加減どう?」

 

 

「は、はい?とても良いです」

 

 

「良かった~(将来の為にお風呂の温度は知っておかないとね)……制服洗っておくね。あと着替えも置いておくね」

 

 

……うう~なんか、タンドラ師父の家に泊まった時のリンナ姉さんと似てる…パシャとお湯を顔に当てゆっくりと湯船につかりながら思った

 

 

 

「こ、コレがミッくんの………すぅうううう~はあああああ~すぅうううう~はあああ…ちゅ…ん」

 

 

新たなHENTAIが生まれる瞬間。それは理性と言う名の蛹を破り蝶へ変わる時もいえる

 

ひとしきり堪能し身を捩らせながら微かに濡れた布地を名残惜しそうに離し洗濯機へと入れ、その薄いガラスのむこうにいるミツキに視線を送る

 

(……本当はリオちゃんと二人でって決めてたけど……いいよね)

 

ゆっくりTシャツに手をかけ脱ぐ…最近、また大きくなってきたけど大きい方が好きだって聞いたし、参考書の表紙で隠した《プルプル♪巨乳元気っ娘とストレッチ♡》を見たからミッくんはEDじゃないってわかったから…でも確認しないとね。スカートを脱いでブラとショーツ姿になるとゆっくり扉に手を伸ばした

 

リオちゃん、ゴメン。先に行くね

 

 

「ス~バ~ル~?ナニしてるのかな?」

 

 

「テ、ティア!?な、なんでここに!?」

 

 

「執務官としての勘よ。さあ、戻るわよ」

 

「い~や~だ。は~な~し~て~味見さ~せ~て♪」

 

 

悪びれなく粘るスバルに額を抑えながら脱ぎ捨てられたら服を片手にリビングに引きずりながら、親友が越えてはならない一線を超えないことを真に願った

 

 

後編に続く!

 

 

ーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

そこにあるは深い闇…澱みきった氣が集まる中で五つの人影が座している

 

 

『ほぉほぉほぉ。我らが神が産みしガイストを倒すとは…長生きはするものよの』

 

 

『けっ!んなのはどうでも良いんだよ。まさか使える奴がまだ生き残っていたとはな…』

 

 

『そうですわね…思い出すだけで苛つきますわ。この世界で私たちに刃向かった忌々しい脆弱で愚かな人間。《赤心少林拳》の使い手が』

 

 

憎しみを露わにする二人の男女を見ながら老人…H髭が伸びた顎に手をあて軽く笑いながらみるのは水晶玉に映されたミツキ…仮面ライダーイクサと戦うガイストの姿に殺意をむける

 

 

『……………。赤心少林拳は80年前に継承者、門下生100人を確かに滅したはず…』

 

 

 

『ほぉほぉほぉ…。恐らくは正統の血を我らに秘して残していたのだろう、現にかつて地球に存在したドグマ、ジンドクマを壊滅させた仮面の戦士。祖奴がいまこの世界に来ておる……』

 

『けっ!改造人間如きに遅れをとるかよ。じじい、俺にソイツをやらせろ』

 

『私もですわ!!古臭い改造人間に遅れをとるわけないですわ…

 

『ほぉほぉほぉ…二人ともこやつは我等を封じた忌まわしき赤心少林拳の使い手よ。返り討ちに会うのが目にみえようぞ。ーーーーーー、ーーーーーよ』

 

 

赤心少林拳の使い手と聞いた二人は口を閉じ唇を噛み締め黙り込むのを尻目に老人は水晶玉を軽くなでる

 

 

『忌まわしき《赤心少林拳》を受け継ぎ伝えた者も放置は出来ぬが。されど今の使い手を倒さねば我らの悲願は叶わん…しばし様子見じゃよ。すべては我らが神の御身のために!!』

 

 

「いいだろう。夜が我らの時間…いずれは光すらも飲み込む時までまとう」

 

 

『『『『我が命は偉大なる神《クロス》の御身にささげん!《ズィークルス》に栄光あれ!!』』』』

 

 

………ミツキ、いや仮面ライダーイクサに闇が迫る

 

 




ミツキ・カーディフ

年齢:13

身長:147㎝

体重:55kg


守りし者ー異聞ーの主人公。

四年前のJS事件に巻き込まれ、ある騎士に救われるも負ったケガが原因で春光拳士としての未来を断たれ、今は画家になるため日々のバイトに学業に励む苦学生でタカヤの友達でリオの兄弟子にして幼なじみ。普段は頼りないが、それは仮の姿…夜に現れる異形《骸須菟(ガイスト)》から人々を守る仮面の戦士《仮面ライダーイクサ》

かつてルーフェン武術界最強とも謡われるも失伝した《赤心少林拳》を振るい骸須菟の魔の手から人々を守り拳と蹴りで打ち砕く!

本来ならまともに身体を動かせない彼が今は普通に暮らせて、失伝した赤心少林拳を使えるのか?

それは物語が進につれ明らかになるだろう



デバイス紹介


IXA


正式名称:Intercept X Attacker《ver:Ⅸ》


新暦75年にアキツキ・インダストリアル、特殊デバイス開発部門総主任《結城丈二》博士、《麻生》博士、《海堂》博士らが共同開発した《未知の災害に対応する勇敢なる者》として先行試作された全身装甲装着型デバイス

最大の特徴はインテリジェントデバイスAIによる的確なパワーアシスト、さらに低ランクの魔導師でも起動可能という利点がある反面、肉体にかかる反動が激しく装着者に多大な負荷を与えること、使用時間が短い事など様々な問題が露呈、新暦76年に開発中止となり一機のみ先行試作されたIXAは封印された


…三年の時を経てミツキの手にどういう経緯でわたったのかはいずれ明らかに


AI人格は昔のサムライを彷彿させる堅物な人格で、様々な古典、ことわざを駆使しミツキを主として支える。たまにボケる事もあるが大事な相棒


仮面ライダーイクサ


スペック(セーブモード時)


身長:218cm


体重 :85kg


パンチ力:2.2t

キック力:2.5t

ジャンプ力(ひと跳び):200m


走力(100m)18mを9秒


装備一覧


ナックル・フェッスル

グラビティ・フェッスル(調整中)

ファイブ・フェッスル(未使用)


イクサカリバー(現在、結城博士、麻生博士、海堂博士等の手でミツキに合わせて調整中)





イクサリオン

アキツキ・インダストリアル《アキツキ・モータース》で新暦75年に《IXA》と同時期に開発されたIXA専用のハイパーモーターサイクル。650馬力を誇るマシンで常人には扱いきれないパワーを持つため、IXA装着者でなければ乗りこなせない。

タイヤは《アキツキ・マテリアライズ》で開発された特殊ゴム《V・G》製。あらゆる環境下に置いて性質を始めとする変化させ悪路を走破、フレーム部材には《BT鋼》を採用。心臓部であるエンジン、フレームは立花モータース《立花藤兵衛》氏、カウルの設計を《結城博士》が中心になって製作したライダーマシン


しかし、開発中止に伴い一台のみ作られた…現在はデチューンされたイクサリオン…《リオン-2016》が生産され陸士隊へ納品、市販されている
 



スペック

全長:2030mm
全幅:720mm
全高:1120mm
全装備重量:172kg
定置最高速度:753km/h
最高出力:477.75kw/21000rpm(約650ps)(ハイパーEXPチャージャー点火時)



次回予告!


やあみんな、僕はミツキ・カーディフ。


今日は赤心少林拳の基礎を一緒にやってみよう。深く深呼吸しておへその下にある丹田に氣を溜める。これを欠かさずやれば風邪なんかひかなくなるよ(個人差があるけども)


新しい部屋が見つかるまで、スバルの家に居候する事になったミツキ


しかし、夜に現れる怪物《骸須菟》の捜査をしていたティアナ、個人的に協力していたスバルの前に骸須菟が現れ危機に陥る!

二人の前で変身するわけにはいかない。果たしてミツキ、いや仮面ライダーイクサは正体がバレずに変身し、守れるのか


次回!ミツキの災難(後編)


ご期待ください!




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スペシャルストーリー ミツキの災難(後編)

赤心寺で修業を始めて二年、僕はいつものように沖師匠と山籠もりをしていた。指導は厳しいけど楽しいし赤心少林拳の技を、神髄はまるで昔から知っているように馴染んでいくのがわかる


そんなある日の夜、義経師匠が仕留めた熊…赤カブトを切り分け焼いていた時だった



「ミツキ、武闘家、拳法家の拳は何のためにあるかわかるかな?」



「え?えっと戦う為ですよね」


「確かにそうかな。でもオレや義経を含めた武闘家、拳法家は拳を交える事でしか会話が出来ない……拳とは己自身の魂を現す……つまりは魂と魂を拳に乗せ語る為のものなんだ……そして魂を極めれば」



「お、沖師匠!熱いですよ」



僕の前でいきなり火の中にかざしていた熊肉が刺さった鉄櫛を掴みとった。火傷の痕すらも無いことに驚いた……コレも修行なのかなと思いながら火の中へ手を伸ばした


「あ、熱!」



「ははは、まだまだだね…さあ食べるんだ。たくさん食べて立派な武闘家、拳法家に、魂を拳に宿せるようになるんだ」



「は、はい」



差し出された熊肉にむしゃぶりつく…匂いはキツいけど塩故障がしっかり利いてて美味しい…明日は義経師匠と熊退治……頑張ろう。そして赤心少林拳を極めてみせる




朝日が住宅街を照らし鳥達がさえずる中、ある住宅にある一室。カーテンのすき間からさす朝日がベッドを照らす…もぞもぞと毛布がのけられボサボサの寝癖がついた金髪にまだ開ききってないまぶたを擦りながら体を起こし大きく背伸びしあくびをした

 

 

 

「……んにゅ~メガネ、メガネ~」

 

 

 

もそもそと毛布から抜け出しぼうっとしている頭でメガネを手探りで探し、指先が目的のモノに触れそのままかけると声が響いた

 

 

 

《おはよう主よ》

 

 

 

「ん~IXAもおはよう~ってココ何処だっけ?」

 

 

 

《………ここはスバル・ナカジマ嬢《肉食獣》の自宅《住処》だ。主の家が貰い火し灰燼となったのを忘れたのかの?》

 

 

 

「………ああ、そうだった~……」

 

 

まのびしながら言葉を漏らすのはバイトして買い揃えた画材一式、こっそり集めた至高の聖典《またの名をエロ本》ごと住む家を火事で失った画家志向のStヒルデ魔法学院中等部学生のミツキ・カーディフ、それにため息をつきながらあいうつのはアキツキインダストリアル謹製にして《未知の災害に対応する勇敢なる者》として先行試作された全身装甲装着型デバイス《IXA》。二人がいるのはスバル・ナカジマの自宅にある空き室、焼け出されたミツキの仮の住まい

 

スバルの薦め《食べる気満々、下心満載かつ一線を超えるつもり》もあり『まな板の上の鯛』な状態で一日目の朝を迎えたミツキ…普段ならばリオが鍵を開けて《壊して》入って朝の天元突破な生理現象《朝立ち》をみて真っ赤にしながらメモリブレイクされて起きるのとは違い穏やかな目覚めに少しばかり物足りなさ……ゲフンゲフン……枕の違いで目覚めも違うんだなと感じながらベッドからおり深く深呼吸する

 

 

 

「コォォ………」

 

 

赤心少林拳基礎《馬歩》に構え、目を閉じ息を吸い込んで吐くミツキの周りにキラキラとしたナニかが見える…赤心少林拳特有の呼吸法は外功法…天地神明に溢れる気を内に取り込み循環させ整える効果を持つ

 

 

「オォォォ……………」

 

 

コレは五年間師事した沖一也、義経両名から一番最初に教わったモノ…身体中の神経、気脈、経絡へ丹田で練り上げた気を流し馬歩を解いて目を開けた

 

 

「うん、コレでよし……IXAは?」

 

 

《チェック1、オーラサーキット異常なし、チェック2、リンカーコア正常、チェック3、変身システム異常なし……チェック4、Intercept X Attacker《ver:Ⅸ》operation.system…good.cndition!…………主とのリンクおよび自己診断完了ぞ》

 

 

IXAの言葉を耳にしながら指を握り開きし全身に気が満ちているのを実感した時、おなかがく~と鳴る…時計をみるとちょうど7:00。リビングに降りようと扉を開けた……しかしソコには

 

 

「……むう~ティア、そこをどいてよ~味見なんてしないから~起こすだけだから」

 

 

「どくわけないでしょうが!未成年者略取の現行犯で逮捕させる気なの!」

 

 

 

「あ、おはようございます。スバルさん、ランスターさ………ん……」

 

 

 

ドアノブに手をかけようとしてワイシャツにタイトスカート姿のティアナに床へ押さえ込まれる水色薄手のタンクトップにホットパンツ姿のスバル…床に押し付けられた柔らかな豊かな胸、タイトスカートから覗くムッチリとした太ももに加え見えた黒の魅惑のトライアングル…くんずほぐれつな、端から見たら百合としか見えない光景。ミツキの頭から眠気が一気に吹き飛んだ

 

 

 

「……あ、ち、違うのミツくん!コレはティアが!!」

 

 

「……スバルさん、恋愛ってのは自由だから…何も見てないから、 し、失礼しました~」

 

 

 

「こ、こら!待ちなさい!あたしはスバルとはそんな関係じゃ無いんだから!!」

 

 

「………いや、でも…そこまでムキにならなくても、応援してますから…「「い・い・か・ら・話をききなさああああああい!!」

 

 

 

あらぬ誤解を受け顔を真っ赤にしたティアナの叫びが爽やかな朝の空気にこだました

 

 

 

特別話 ミツキの災難(後編)

 

 

 

 

 

「ごめんなさいランスターさん、なんか勘違いして…」

 

 

 

「べつにいいわよ。わかってくれれば充分だし…」

 

 

 

「そうだよ。あたしとティアは親友だけどそんな関係じゃ無いし。さ、誤解も解けたし朝ご飯食べよっかミッくん、ティア」

 

 

ランスターさんからスバルさんとの関係についての弁解を聴き納得した僕の前にエプロン姿のスバルさんが笑顔でコーンスープ、ベーコンエッグ、サラダ、こんがりキツネ色のトーストが山盛られた皿が並んでいく

 

 

「はい、ミッくん」

 

 

 

スープを一口…ほのかな甘みとしっかりした味に目が冴える。自然と手がトーストに伸びベーコンエッグを挟み食べる…一瞬、雷が落ちた…美味しい

 

ベーコンからでた旨味と半熟の黄身、白身が深みを増した味…サラダも食べるとしゃきしゃきして瑞々しいレタス、スプラウト、リーフ、クルトンの食感がたまらなくいい

 

 

「ミッくん、どうかな?口にあうかな?」

 

 

「スゴく美味しいです。あの、おかわりいいですか?」

 

 

「ホント!?、ありがとうミッくん。さ、まだおかわりは沢山あるからドンドン食べてね(やったあ!ギン姉に料理教わって良かった~まずは胃袋を落としてからじゃないとメインディッシュ《ミッくん》は食べれないからね)」

 

 

な、何だろ寒気がした…風邪でもひいたかな?ならたくさん食べて元気にならないといけないかな。スバルさんからおかわりのベーコンエッグ山盛りを焼きあがったトーストに挟んで食べていく。でも何故かランスターさんが唖然となりながら見てる

 

 

「カーディフくん、そんなにたくさん食べきれるの?」

 

 

 

「え?食べきれますけど?」

 

 

「………そ、そう(な、なんか似てるわね…アキツキくんと……)」

 

 

「あれ?ティア。今日は仕事はないの?」

 

 

「…………今日と明日はお休みよ」

 

 

 

「そうなのティア?最近仕事が忙しかったみたいだしひさしぶりにゆっくりできるじゃない」

 

 

「ぜんぜんっよくな~~いわよ!せっかく捜査していた事件をいきなり《中止しろ》って本局から通知が来たのよ!!半年間かけてやっと証拠と遺留品が集まりかけてた矢先にコレってあり得ないわよ!!わたしの捜査に費やした時間《半年間》を返せ~~!!」

 

 

 

うが~!と声を上げたランスターさんの言葉から悔しさがにじみ出てる…確かに止めろって言われたら頭にくるのも仕方ないよね。でもぷく~て頬を膨らまてるのをみるとなんか可愛いな。最後のベーコンエッグに手をかけた時だった

 

 

 

「そ、そうなんだ……でも何を調べていたの?」

 

 

 

「……十字架仮面イクサのことよ…スバルも知ってるわよね。真夜中に現れて人を襲う変な怪物と戦う《正義の味方》の噂ぐらいは」

 

 

 

「ん、けほ……けほっ!!」

 

 

 

「ミッくん?どうしたの?」

 

 

 

「な、何でもないです。少しむせっただけだから……」

 

 

 

慌ててスバルさんから僕に差し出した水が入ったコップを受け取り飲み干した……ランスターさん、お探しの十字架仮面はアナタの前にいます。半年前にIXAを渡されたときに結城博士とアンリさん(結城博士の奥さん)から僕の事《十字架仮面イクサ》を調べまわっている執務官がいるって聞いたけどまさかランスターさんだったなんて

 

 

でも証拠なんて残してないはずは…

 

 

 

「ティア、十字架仮面イクサの遺留品ってなにがあるの?」

 

 

「クロスミラージュ、最初に現れた現場から見つかった遺留品を出してくれるかしら」

 

 

《yes、master…》

 

 

 

「コレなに?」

 

 

 

 

カード型デバイス《クロスミラージュ》さんから投影されたモノ…破けた銀色の容器に青い液体が白いキャップに付着した何かにスバルさんが怪訝な表情を浮かべるけど、僕はコレが何かを知っている…あいようしている絵の具が入った容器。でもコレだけじゃわからないはずだよね?うん

 

 

 

「コレは絵の具を入れる器よ。で絵の具の成分を分析したら管理外世界、なのはさん達の故郷でしか採れないラピス・ラズリを使ってるらしいの。でもコレは数年前からミッドでも流通してるものだから誰でも手に入れやすい。憶測だけど十字架仮面イクサは画家、もしくは絵に関わる職業についてるか、趣味をもってるかもしれないのよ、最初の事件以降にも遺留品が見つかってる」

 

 

 

………ヤバい、ヤバイ!絵の具だけでよくここまで人物像を掴むのさ!?冷や汗が流れていく僕の前でさらなる遺留品がだされてく

 

 

絵筆、デッサン粘土、木炭、キャンパスの切れ端…思い出してみればガイストが現れて、絵を描いてる時にあわててポケットに入れたまま向かった際に落としてしまったんだ…無くしたと思ってベッドの下、本棚の後ろ《聖典収容スペース》、部屋中探して見つからないわけだよ

 

 

「でも、画家もしくはそれを扱う職業だけじゃわからないから確証もないけど一応は候補に入れているんだけど、1ヶ月前に現場に居合わせた目撃者に会った時に新しい証言があったの…十字架仮面イクサが『セキシンショウリンケン』って言葉を口にしていたって」

 

 

 

……………まずい、まずい、まずい!?聞かれていたああああああ!?で、でもルーフェンに生まれた赤心少林拳はあまり知られていない流派だし50年以上前に廃れた拳法だから…わかんないから安心だよne

 

 

 

「で、セキシンショウリンケンってワードをユーノさんがいる無限書庫で調べたら《ルーフェン三大拳》の一つ《赤心少林拳》またの名を《龍殺しの拳》とも呼ばれてたのがわかったのよ」

 

 

む、無限書庫おおおお!?なんでルーフェンの三大拳の事まで書かれてるのさ?それに龍殺しの拳って初耳なんですけど!?ま、まあ義経師父ならば平気で龍殺しやりそうだけど……

 

 

 

「そうなんだ十字架仮面イクサさんって凄いんだね~この前、あたしとリオちゃんも助けてくれたし」

 

 

 

「ほんと!いつ?どこで十字架仮面イクサにあったのよ!話しなさい!!今すぐ全部!!」

 

 

 

「ちょっとティア、ドコでって…アヴァロン区アキツキモールの近くだけど…」

 

 

 

「やっぱり、十字架仮面イクサが現れるのはクラナガンに集中しているのね…今までは1ヶ月に三回現れていたのに四回も出てきた……出現した地点は丁度、円を結ぶように広がってる…もし予想通りなら……スバル、今日と明日は暇よね?」

 

 

 

「そ、そうだけど…ひさしぶりに休み貰えたし…まさかティア?」

 

 

 

「なら、一緒に十字架仮面イクサを捜すのを手伝って「いいよ」……え、いいのスバル?」

 

 

 

「だってあたしとリオちゃん、ミッくんを助けてくれた事も含めてお礼いってないし。ひさしぶりに組めるしいいよ」

 

 

 

「ありがと、じゃあさっそく今日の夜からやるわよ……カーディフくん、どうしたの?顔色が悪いみたいだけど?」

 

 

 

「な、なんでも無いです……じ、じゃあ僕も何か手伝いましょうか?」

 

 

 

「じゃあミッくんにはお夜食作ってもらおうかな~愛情たっぷり込めてね(いやミッくんだけでも充分美味しいかも…それか逆に食べられたりして、薄明かりで外でするのもいいけど。初めてはスイートルームでフカフカの柔らかいベッドで…)えへへへ」

 

 

「あんまり気にしたらダメよ、カーディフくん何かあったら、わたしにすぐ言いなさい……いい加減戻りなさい!バカスバル!!」

 

 

 

「は、はい…ランスターさん」

 

 

 

……ランスターさんの右斜め上チョップが綺麗にスバルさんの頭に決まり現実に戻ってすぐに話し合いが始まった………大きなたんこぶをさすりながら夜の何時に向かうかを決めてから朝食を再開して食べ終わった

 

 

 

でも、どうしょう…十字架仮面イクサは目の前にいるんです…あとで聞いたんだけどランスターさんは執務官だって聞いて驚きながら火事で焼けだされた僕の新しい家を探し、保険会社や父さんと母さんとの連絡をつけてるうちに夜の時間になった…アヴァロン区アキツキモール付近に来たんだけど

 

 

「ミッくん、離れちゃダメだよ…」

 

 

 

「スバル、カーディフくん困ってるでしょうが!」

 

 

……僕の腕に抱きつくように腕を絡め少し上目使いで囁くスバルさん…む、胸が腕に挟まって柔らかくてそれに顔も近いし女の子の匂いと柔らかさがイヤってほど強く意識する…ランスターさんがなんども離れるように言うけど逆に強く抱きしめてくるから胸の鼓動が伝わってくる

 

 

今、僕たちがいるのは数日前にスバルさんとリオちゃんがガイストに襲われそうになった場所の近く…一応IXAは起動させばれないようにガイストセンサーを展開しいる、最近出現率が不定期になってるから油断出来ない

 

でも最大の問題が…

 

 

 

「十字架仮面イクサさん、まだ現れないかな~(ミッくんって暖かいなあ~それに筋肉も無駄なくついて引き締まってるし……もし押し倒されたら……いまは堪能しなきゃ匂いをまずは)」

 

 

 

「まだに決まってるわよ……もう少し張っとくわよ。今までのパターンならば今日でも姿を表すはず」

 

 

……………近くにランスターさん、それに僕の腕に力強く抱きつくスバルさんがいるからガイストが現れたら変身が出来ない。もし僕が十字架仮面イクサだとバレたら……いや、なんとか手を考えなきゃって思ったら辺りの空気が重くなった

 

ま、まさか…ガイスト!?

 

 

 

「な、なによあれ?人?まさかアレが」

 

 

 

「ティア、あれは私たちを襲った怪物だよ!早く逃げなきゃ!!」

 

 

 

 

『フ~フ~…………アキャアアアアアア!!』

 

 

 

 

黒いもやがはじけ現れたのは腰だめに叫ぶ鎧を纏った黒い猿《ガイスト》だ。当たって欲しくない予想が当たってしまった…何とかして二人を逃がさないと、でも今のままじゃ変身が出来な…

 

 

『ホアキャアアアアアアア!!』

 

 

 

「く、クロスミラージュ!セットアップ!!」

 

 

 

「…ティア!いくよブリッツキャリバー!!」

 

 

 

僕から離れ守るようにスバルさん、ランスターさんがバリアジャケットを纏い立っている…

 

 

 

「ひさしぶりにいくわよスバル、速攻で決めるわよ!!」

 

 

 

「もちろん、だって後ろにはミッくんがいるからね……そこから動いたらだめだよ、絶対に!ウィングロード!」

 

 

笑顔を向けて拳をアスファルトに叩きつけ無数の光の道が人気の無いビルに伸びていく上を滑るように移動していく。その様子をガイストはじっとみている…徐に髪の毛?を抜きフッと息をかけ赤いシミが目立つ幅広の刃がついた真っ黒な棒に変化させ構えた…まずい武器を持つガイストは今までのとは違う

 

 

「喰らいなさい!クロスファイヤー……シュート!!」

 

 

声が響いた方をみると無数の球体を浮かばせるランスターさんの声と同時に射出された光球が猿ガイストに襲いかかる。全方位からくるそれを刃がついた棒で弾き返していく…歪な笑みを浮かべ地を蹴ると光の道を駆けていくのをみてランスターさんは再び球体を周囲に展開し、打ち放つけど器用に回避し間合いをつめ大きく振りかぶり振り下ろす。でも刃が当たる寸前でランスターさんが消えた

 

 

「アキャ!?……」

 

 

 

「油断大敵だよ!おおりゃあああ!!一撃必倒ディバイインッバスタアアアア!!」

 

 

気配に気づいた猿ガイストが振り返った時にはすでに遅く、腰だめに構えたスバルさんの右拳リボルバーナックルが高速回転、火花を散らしながら胴へ叩き込まれまばゆい閃光が溢れ耐えきれず吹き飛ばされ開発中のビルの外壁を貫いた…構えを解いたスバルさんの隣にランスターさんが駆け寄ってきた

 

 

「やったよ、ティア……ミッくんももう大丈夫だよ」

 

 

 

「…っ!……まだよスバル!!」

 

 

 

「ホアキャアアアアアアア!キャアアアアアアアア!!」

 

 

ビルの外壁の向こうから勢いよく黒い固まり…猿ガイストが全身から禍気を炎のように纏いスバルさん、ランスターさんに突っ込んでくる……僕はとっさに煌気《オウキ》を全身に漲らせ地を蹴り光の道を走り出し間に割って入った

 

 

「ミ、ミッくん/カーディフくん!!」

 

 

猿ガイストの禍気《ガツキ》を纏った棒に打ち据えられ踏みとどまれずに光の道から弾き飛ばされ地面に落ちて山積みの段ボールがある場所へ落ちたのをスバル、ティアナが気を取られたのをみて猿ガイストは全身から禍気を溢れ出させクモの糸のようなモノへ変化させ絡めとるとビンット拘束された

 

 

「な、なによコレ!?」

 

 

 

「う、動けない…え、うそ…また」

 

 

 

身体に纏わりついた蜘蛛の糸?に触れた部分からバリアジャケットが解け落ちていく光景に声を上げるティアナ、スバルに猿ガイストが目を細めよだれを垂らしながら近づき、ティアナの前にたち解け落ちた胸に手を起きなぞっていく…未知の感覚におぞましさを感じ身をよじらせるも喜ばせるだけだ

 

 

『ほ、ほ、ほ、ほ、ほあきゃ、ほあきゃ~』

 

 

 

「や、やめ……ん…は…」

 

今の時点でバリアジャケットが解け落ち白のレース下着とブラが見え、興奮したのかさらに声を上げ指をしゃぶりあげ不快感溢れる指で瑞々しい太ももにおき、つぅと滑らせ上へと伸びショーツのクロッチに迫ろうとする

 

 

「い、いや……いや」

 

 

 

「ティア!く、このほどけない…」

 

 

 

必死に拘束を解こうとするスバルにチラリと一瞥する、お前は後だという風に再び目的の場所へ手を這わせようとした時だった……

 

 

 

『レ・デ・ィー・イ・ク・サ・フ・ィ・ス・ト・オ・ン……』 

 

 

 

電子音声が木霊し、辺りに太陽のような光が溢れ出した

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

 

 

「いたたた、さすがに相殺しきれなかったか……いまはソレよりスバルさんとランスターさんを…いくよIXA!」

 

 

 

『承知した主よ!』

 

 

 

段ボールの山から這い出し立ちIXAを右手に握りしめ構えた…土埃が煙幕のようになっている今なら、僕は目を閉じ赤心少林拳の型を素早く取り両腕を正面にIXAナックルと共に突き出す…丹田から全身の経絡、神経に《煌気》を流し込ませる。心臓の音が強く脈打つ…

 

 

『レ・デ・ィー・イ・ク・サ・フ・ィ・ス・ト・オ・ン……』 

 

 

IXAナックルに魔力と共に流し込む鼓動が響きカッと目を見開き気を解放させ腰にIXAベルトが瞬間展開すると同時に力強く差し込み胸の中で叫んだ         

 

 

       

 

 

!! 

 

 

       

 

         

        

正面に量子化されたIXAが現れ重なる…煌氣が物質化しアーマーが形成、純白の装甲が要所要所を覆い最後に十字架を模した仮面が装着…僕のもう一つの姿に変わると迷わず血を蹴り上げ、ランスターさんを襲う猿ガイストの顔面に正拳を叩き込み怯んだ隙を見逃さず胴回し蹴りを胴へ突き入れ吹き飛ばした

 

 

 

『ホアキャ!?』 

 

 

 

「え?ま、まさか十字架仮面?」 

 

 

 

『……コレで逃げられるはずだ、早く離れろ』

 

 

「あの!ミッくんがさっき私たちを庇って…」

 

 

『彼なら私が助けた…今、助けを呼びにいってもらっている…!?』

 

 

 

 

二人を縛り上げていた魔が禍氣縛鎖を煌氣で消滅させ離れるように促す。一応ボイスチェンジャーで声を変えてるから大丈夫のはず…風を斬る音が聞こえとっさにランスターさん、スバルさんを抱きかかえ地を蹴り離れた、さっきまでいた場所がクレーター状に広がり砕け中心にはさっきの猿ガイストが目を血走らせながら睨んでいる

 

 

 

ー主、奴はどうやらランスター嬢を喰らおうとしていたのを邪魔され血が上ってるようじゃー

 

 

 

ーそうだね………でも今までのガイストとは格が違う……闘勝戦佛級の眷族かも知れない………あれをG・フェッスルを使わないとー

 

 

 

「ち、ちょ、離しなさいよ……どこさわってんのよ!?」

 

 

 

「あ、あのおろしてくれませんか十字架仮面イクサさん」

 

 

 

『?あ、すまない………悪いけど少しだけ寝ていて…』 

 

 

 

「え?な、なにを……あれ……」

 

 

 

「十字架仮面イクサさん、あなたにお…礼……を」

 

 

 

抱き抱えたままスバルさん、ランスターさんに《陽煌氣》を少しだけ流し眠らせ壁に背を預けるように眠らせると猿ガイストに向き直る…獲物を横撮りされて悔しいという氣がビシビシ装甲越しに感じながら構えた時、猿ガイストが槍を構え飛びかかり刃と棒を目にも止まらぬ早さで脚、脇腹、首、肩へ狙い突き入れてくる。それを紙一重で右へ左へ後ろへ引きながら交わし、突き出した槍の柄を掴み勢いよく上へと持ち上げ地面にたたきつけた

 

 

 

『キャアオオ!キャアオオ?』

 

 

ふらふらと立ち上がると、今度は腰だめに構え殴りかかってきた…武器を使っていた時よりキレが違う…腕で受けると装甲越し痛みが伝わる…それ以上に拳と蹴りから感じるのは………やっぱりガイストは

 

 

 

『ガイスト、いやかつては名のある武闘家、拳士であったとアナタの拳より見受けます!』

 

 

 

『ホアキャ!』

 

 

『こうして相対するは何かの縁…武闘家としての宿命《さだめ》なのでしょう!しかし今のあなたの拳は、魂は泣いている!先のランスターさん、スバルさんへの行いは本意では無いと…望んでいないと!』

 

 

 

『ホア……ホアキャ………』

 

 

 

拳速が僅かに落ちる…猿ガイストの瞳に涙が浮かんでいる…拳と蹴りを交える度に魂の言葉が響いてくる。ならば僕が取るべき道は一つだ…左にあるホルダーから銀色のフェッスルを手にし突き出された拳を拳でうちあう…凄まじい衝撃波が生まれビルの窓が砕け壁に亀裂が入り落ちていく中で地を蹴り空へ飛ぶ…月が煌々と輝き背にしグラビティ・フェッスルを装填、重力波が音色共に流れ猿ガイストの周りの重力を倍加し身動きを止めるのをみて脚を突き出した加速し落下し、煌氣が足に集まり輝き始めた

 

 

       

 

 

 
    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       

 

 

 
      

 

 

 

!! 

 

 

 

 

黄金の煌めきが月の光を背に受け加速、猿ガイストの胴を捉え蹴りが刺し貫き反対側へ抜けアスファルトを粉砕し、やがて止まり振り返る…大きく貫かれた猿ガイストがゆらりと振り返る。身体のいたるところから黄金の氣が溢れ出し消滅しながら手のひらに拳をあて一礼してきたのを見て、僕も返した…かすかに笑みを浮かべながら光が天に登っていく

 

 

『………あなたの魂に幸あれ…』

 

 

 

再び一礼してスバルさん、ランスターさんを寝かしつけている場所に走り出した…でも一部始終をみている第三者がいるなんて僕は知らなかったんだ

 

 

 

 

「赤心少林拳、惰弱な拳だな……クズ拳士の魂も役に立たなかったな~」

 

 

《そうだなあああ…まあ、今は手の内を探るのが先決だあああああ》

 

 

 

 

「まあ、ガイストの素材はまた集めればいいからな……あひゃははははは」

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

 

 

 

「えと、ここかなIXA?」

 

 

 

《間違いなかろうて、しかし良かったの主よ。ご母堂に感謝だの》

 

 

 

今、僕がいるのは20階建てマンションの前…あの日、ランスターさん、スバルさんは病院で目を覚まして検査をして異常無しって診断されて退院した。でもスバルさんが何でかわからないけど僕のベッドに潜り込んできた下着姿で………目を覚ましたらキレイな肌と引き締まったウェストから緩やかなヒップライン、太もも、それにすごく柔らかくていい匂いがする胸に力いっぱい頭を抱かれて身動き取れなくて、ランスターさんが助けにきてくれなきゃ学院に遅刻してしまうとこだった

 

 

学院にいったらリオちゃんから全力タックルうけて泣かれてタカヤくんに呆れられながら仲裁してもらったり、僕の洗濯物が無くなってたり、スバルさんがベッドに潜り込んできたり、リオちゃんが黒リオちゃんになったり、バイト先でパフェを奢って機嫌なおしてもらったり……とにかく濃い一週間だった

 

 

ガイストがでなかったのは救いだったけど…そうしてるうちに母さんから連絡が来て知り合いの家に厄介になることが決まって、それを伝えたらスバルさんはすごく落ち込んでいた

 

 

 

ー……やっぱり味見を……ー

 

 

 

 

味見って何だろ?仕事があるから見送りが出来ない事に泣いてたけど…とにかく、今日からここが僕の新しい住まいになるし、同居人は母さんの仕事の知り合いらしいんだけど…あらかじめ渡されていたカードキーとルームナンバーをフロアで打ち込んでエレベーターを乗り継いで部屋の前に来た…チャイムを鳴らすけど誰も出ない。一応、母さんから話は付いてるらしいからいいかな

 

 

「お邪魔しま………………なにコレ!?」

 

 

 

脱ぎ散らかした黒い制服、ブラシ、ストッキング、私服、カバン、エトセトラ、エトセトラ……あまりの惨状に空いた口が閉じない。確か母さんが『その人は仕事が忙しいらしいから部屋が少し散らかってるけど気にしないであげてね』って言ってたけど

 

 

その時、後ろで扉が開く音がして振り返ってしまった。ソコにいたのは

 

 

 

「カ、カーディフくん?なんであたしの家に?」

 

 

シャワーを浴びてタオルを巻いただけの姿のスバルさんの親友で執務官のティアナ・ランスターさんがいたんだ…どんどん顔が真っ赤になって僕に近寄ると肩を思いっきり掴んだ

 

 

「ち、違うの!これはたまたま散らかっただけで…いつもこうじゃないのよ!!」

 

 

「あ、あの、ランスターさん、そんなに揺らさないで…でないと…あ!?」

 

 

 

ランスターさんの身体に巻かれていたタオルがシュルリとほどけ床に落ちた…ほんのり赤い肌と共に豊かな胸、ヒップ、太ももが目に焼き付く…ランスターさんの顔をみると今にも火を噴きそうなほど真っ赤になり瞳を潤ませている……ヤバい、と、とにかく謝らないと

 

 

「ランスターさん、その…なにも僕は……」

 

 

 

「き、きゃああああああああああああ!!」

 

 

 

「ジンドグマ!?」

 

 

顔を真っ赤にしながら僕の顔面にキックが綺麗に入った…何かを見えた気がと思いながら脱ぎ散らかした黒い制服、三角形の黒い何かの感覚、もし義経師匠、沖師匠が見たら未熟者といわれそうだと思ったのを最後に意識がぷっつりと途絶えた

 

 

 

 

 

 

 

スペシャルストーリー ミツキの災難《後編》

 

 

 

了!

 

 



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おまけ……ランスターさん家のメイドラゴ…龍殺し(笑)

五年前……


「う、あ、痛い…」

最初に感じたのは圧迫感、そして全身の痛みと右上半身、左下半身の感覚の喪失


息も苦しい……血の味がする


なんで、こんな事になったんだっけ?朦朧とする意識から記憶を引っ張り出した


そうだ、ボクはタンドラ師父から許しを得て、対外試合をするために《天瞳流》総本山でシェベルという剣士と仕合う為にルーフェンをでてきてたんだ


でも、道を間違えて歩き回って街もなんか騒がしくて、変な建物がある場所に来ていて、ソレから爆発が起きて…瓦礫に巻き込まれてしまったんだ。耳には剣をぶつけ切り結ぶような音が届く。誰かがいるとわかる


「う、く………う、動かない、右腕が、左脚が…」


ダメだ、右腕と左脚に力が入らない…魔力で身体強化をしようとするけど、全身に行き渡らない…それでもなんとか意識を集中すると動いた

全身が埋まった状態じゃ、瓦礫を吹き飛ばす技は使えない…ならば右腕に魔力を、集中強化して…ボクがいることを伝え、たすけてもらうしかない



(………身体強化を右腕に………一度だけでいい、動いてくれ!)


右腕に魔力が集まる…僅かな隙間から流れ風、雨水を肌で感じながら一気に拳を短い距離で引き、血の味を感じながら叫けぶと同時に真っ直ぐ撃ち抜く



春光拳・覇龍咆哮!!



硬く分厚い瓦礫に拳が深々とめり込む…でもビキリと腕全体が悲鳴を上げる。

ああ、拳が砕けたんだとわかった

曇天広がる空、光る剣、光弾を弾き、刃をいなす《騎士》の姿に安心した時だった

胸から熱い何かがこみ上げ咳き込む…鉄臭い真っ赤な血があふれだした。二人の女性を相手に戦う騎士に助けを乞おうとしたけど距離が離れすぎてる、それに二人は騎士を殺しにかかっている


いま、声を上げれば騎士は二人に殺されて死んでしまう…


「…う、がは……ひゅ、ひゅ」


死にたくない……


「ひゅ………っ、けて……だれ……」


 
「…ッ!ハアアアッ!」
 
 
あきらめた時だった……ボクの耳に裂帛の叫びと刀の震える音が響く、ふわりと身体が軽くなる。血で開かない目を開け見えたのは黒い銀地のコートに幅広の片刃剣をてにした黒い髪を、三つ編みにした人

二人の女の人と戦っていた騎士がボクを助けてくれたと、涙が溢れてきた

 
 
「…あ、りがと…う…」
 
 
「もう大丈夫だから安心して…ぐあ……く」



でも、ソレはボクの罪になった瞬間だった





「ん、もう朝か………」

 

 

カーテンの隙間から差し込む朝日で目を覚まし、ゆっくり身体を伸ばす。昨日も遅くまで事件の調書をまとめていていつの間にか寝てしまったんだ

 

時計をみると朝の6時……ウソ!早く支度しなきゃと慌ててデスクから立ち上がってドアをあけようとするけど、いきなり開いた

 

 

「あ、おはようこざいますティアナさん。…朝食に呼びに……きま……ま、ま、ま、ま」

 

 

開いたドアから顔をみせたのは数日前から私のウチに同居しているミツキ・カーディフくん…白地に《画家魂!!》と黒く染め抜かれたエプロン、下に学院服姿で一瞬で顔を真っ赤にしてグキっと音が鳴るぐらい勢いよく顔を逸らされた

 

なんで?そうおもって気がついた。今の私の姿…胸元が大きくひらいたワイシャツに下着姿の出で立ちだってことに……寝ぼけていた頭が急速にはっきりして顔が熱くなって手で隠した

 

「テ、ティアナさ、さ、ん!な、なにも見てませんから……」

 

 

 

……嘘だ!絶っっっ対に見たわね。ミツキと暮らしてからわかったけど嘘をつくと必ずグキって音が鳴るぐらいの速さで顔を背けるからバレバレなんだけど

 

 

 

「なにもみてないんなら、あたしの目を見てからいいなさい…さあ!」

 

 

「ほ、本当に見てませんから!安産型なお尻や白地にピンクのリボンのオバーニーに包まれた太ももとか、目のやり場に困る少し大人向けな黒レースの下着なんか見てませ……あ!?」

 

 

「や、やっぱり見てるんじゃない!バカああああああああああああ!!」

 

 

 

「テ、テラ~マクロっ!!?」

 

 

 

全力でふりぬいた平手打ちが綺麗に頬にはいった。ミツキがギュルギュル回転しながらパタリとフローリングに車田落ち?するのを見てハッとなり慌てて抱き抱えるティアナが慌てふためきながら呼びかけ、ガクリと力なく気を失い口から魂が飛び出しかけたミツキ…こんな感じで一日は始まるのだった

 

 

 

おまけ ランスターさん家のメイドラゴ…龍殺し(笑)

 

 

 

「ほ、ほんとごめんなさい……ティアナさん」

 

 

 

「いいったら……それにあたしも悪かったし…あ、今日なんだけど少し帰りが遅くなるから先に食べていいわよ……パン焼けてるわよ」

 

 

 

「あ、じゃあいただきます。あの…お仕事忙しいのはわかるんですけど、たまには休みをとらないと身体を壊しますよ?コーヒーお代わりしますか?」

 

 

 

「ん、ありがと………はあ、でも今日までに纏めないといけないのよ…ミツキ、そろそろでないと間に合わないんじゃ」

 

 

 

「あ、もうこんな時間か……じゃあ食器は水に浸けといてください。今日は学院が午前中までですから…」

 

 

椅子から立って画家魂!エプロンをたたんでいくのをみながらコーヒーを飲む…香り高くほんのり甘い味が広がる…ミツキが来てから部屋はきれいに片付いた…執務官になってからせっかく買ったマンションに仕事の忙しさのあまり帰って、すぐ寝るが習慣付いてしまってから片付けができず十字架仮面の捜査でソレがさらに拍車をかけてしまった…

 

 

コレが噂に言う《片付けられない女》にあたしはなりかかってる…同じ執務官ツバサ・カザナリって人の部屋は物取りが入ったみたいに散らかってるらしくて『毎日、片付けるのが大変なんだよな。昔から『私は一振りの剣だ』って勉強と剣術ばかりやってたから仕方ないか』ってあたしに親友で補佐官のカナデがボヤいてた…フェイトさんと声がにてるけど外見も髪型も全然違うし

 

 

「ティ…ナさ……」

 

 

いやいや、あたしはまだアソコまでいってないし、それにミツキは部屋を見てイヤな顔しないで片付けしてくれた…でも脱ぎ捨てたショーツ、プラ、ストッキングは自分で

 

 

 

「ティアナさん…ティアナさんっ!」

 

 

 

「うわあ?な、なに?……ミツキ?」

 

 

 

「どうしたんですか?何回呼んでも上の空ですし…やっぱり具合悪いんじゃ…」

 

 

我に帰ったあたしを心配そうにみてくる…癖っ毛混じりの金髪、分厚い野暮ったい眼鏡の向こうにある真っ赤な瞳から心配の色が見える…それになんか誰かに似てる…

 

 

「だ、大丈夫よ…あ、もうこんな時間じゃない!早く行くわよミツキ!」

 

 

慌てて立ち上がると近くにかけてあった上着に袖を通し玄関へ向かいヒールを履いてマンションの外にでると遅れてミツキも出てきた

 

 

 

「ティアナさん、忘れ物ですよ」

 

 

 

「え?コレ…」

 

 

 

「お弁当です…忙しくてもちゃんと食べてくださいね…じゃ、いってきます」

 

 

可愛らしい羊のアップリケが目立つ弁当入れを手渡すと手をふり反対側へ駆け出してくのをみながらあたしも歩き出した

 

 

「お弁当…もう無理しなくていいのに……おにいちゃんも作ってくれたっけ…」

 

 

小さい頃はあたしのためにお弁当を忙しくても作ってくれたおにいちゃん…なんかミツキと重なる……少し懐かしく感じながら早足で歩き出した

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「あ、ミツ兄!」

 

 

「ん?リオちゃん、どうした…の……ファフニール?」

 

 

 

授業も終わり教室から出た僕の耳にリオちゃんの声が響くと同時に強い衝撃がお腹に直撃する…たたらをふみながら踏ん張りみると赤い可愛らしいリボンに黒髪…リオちゃんが笑顔で見上げている…周りをみるとザワザワしてる

 

 

「おい、あれって小等部の子だよな?」

 

 

 

「噂はホントだったのかカーディフが小等部の子を自分好みにワカムラサキ計画してるって…」

 

 

 

「まさかロリコンだったのカーディフ君って!?」

 

 

 

ヤバい、なんか犯罪者にされてる!?てかワカムラサキってなにさ?それに僕はロリコンじゃない!!慌ててリオちゃんの手を取ると人気の無い中庭に早足で歩き到着すると手を離した…なぜか残念そうな顔を一瞬したけどどうしたんだろって想ってると話しかけてきた

 

 

 

「ねえミツ兄、今度の連休って空いてる?」

 

 

「連休?もしかして明後日からの………ん~バイトもないし…空いてるけど」

 

 

 

「え、えとね今度ヴィヴィオ達と一緒にルーフェンにじーちゃんとこに遊びに行くんだけど…ミツ兄もどうかなって…」

 

 

 

「え?タンドラ師父のところに?……でも僕は春光拳はやめてるから、部外者だし…」

 

 

 

「いいじゃん。ヴィヴィオ達だって春光拳学んでないし……ねえいいでしょ~ミ・ツ・兄ィ~」

 

 

 

「…う!?」

 

 

うるうるした目で見つめて身体を揺らしてくるリオちゃん…ルーフェン…僕が八歳まで過ごし大自然の中でレイじー…タンドラ師父、リンナ姉さ…師範代と共に鍛錬した春光拳発祥の地。そして『五年前』に全てを失い絶望した僕が《赤心少林拳》を学び使命を受け継いだ場所…

 

 

ガイストの出没が不定期な今、クラナガンを離れるわけには。でもルーフェンの《赤心寺》にはについての伝承が遺されてるしオキ師父、義経師範代もいるはず

。今までの情報を出して話し合えばガイストを率いる存在についてのヒントがわかるかもしれない

 

 

「……いいよ」

 

 

 

「ホント!やったああ!じゃあじーちゃんとリンナにも伝えておくね…あ、ヴィヴィオ達待たせてるから、先に行くね…ミツ兄またね~♪」

 

 

スッゴく嬉しそうな笑顔をみせながらリオちゃんが離れてく…なんども此方をみて手を振りながらだけど…ルーフェンか、タンドラ師父、リンナ師範代と会うのは一年ぶりにシャオ、メイメイどうしてるかな……

 

 

とにかく家に帰ろうと教室にカバンを取りに向かったんだ………みんなからの視線がこわかったけど

 

 

 

同時刻…管理局内、同執務エリア…

 

 

 

「………よし、誰もいないわね…」

 

 

 

長い通路の壁からなんども顔を出して誰もいないことを確認、歩き出したあたしが向かうのは管理局内にある空き室。手にはふわふわした羊のアップリケが目立つお弁当入れ…ここまで来るまで人の目をさけてようやくたどりつき扉を操作すると開いた

 

小さな椅子に座ると膝の上に小さな敷物をかけて袋からお弁当箱を取り出しおいてから手を軽くウェットティッシュでふきかるく手をあわせた

 

 

「………いただきます」

 

 

蓋をあけると可愛らしい羊が跳ねる姿…いわゆるキャラクターイラストがご飯の上に描かれ、二段目には白身魚のフライ、シャキシャキレタスに包まれたポテトサラダ、トマトソースが絡められたアスパラガスをベーコンで巻き二つ結ばれた肉巻アスパラガス

 

 

ミツキがあたしの健康を考えてかお弁当をつくってくれるようになって一週間…今までアンパン、ミルク、栄養バーだけですませていたお昼が変わった

 

 

「んん~…美味しい」

 

 

 

お肉の旨味とアスパラガスの食感が広がり目を閉じて味わいながらキャラクターイラストがかかれたご飯を口にする度、身体が軽くなるしリフレッシュする…次に白身魚のフライ、サクッとして白身の感覚が雲のように舌で溶けていく

 

 

「ん、んん…あ」

 

 

 

身体中に電気がはしり撫でられていく…フェザータッチにも似てるけども不快感はなくて食べる度に疲れが癒されてく…それに冷めているはずなのに暖かい。まるでおにいちゃんが作ってくれたお弁当と同じ

 

 

でも、食べる度に誰かに一番敏感な部分が撫でられ擦られると息も荒くなってくる…エアコンは効いてるはずなのに汗ばんできて上着を脱いでシャツのボタンを外すけど暑さが引かない

 

 

「ふ、ふう…ごちそうさま……ん、はあ、はああ」

 

 

大きく息を吐いて机に突っ伏して顔を上げると鑑があって見えたのは真っ赤になったあたしの顔…初めてした時のあとと同じ顔……

 

 

カナデやツバサからお弁当食べ終わったあたしをみて大丈夫かと心配されてからここで一人で食べるようになった…誰にもこんな逝った顔見られたくなかったし

。それに…ああ~もう!また変えないと

 

「うう~早く寝よ…クロスミラージュ、時間になったら起こして…」

 

 

 

《yes…》

 

 

 

火照る身体を無理やり押さえ込んで目を閉じる……ミツキのお弁当、控えようかな……って想いながら

 

 

 

 

……ティアナがミツキ特製お弁当を食べ悶えていた頃、ミツキはというと

 

 

 

「う~なる、◆◆ひりゅう♪♪ゃく…」

 

 

鼻歌を唱いながら食器を洗っている…しかし手元が全く見えない…わずかな影を残しキレイになった皿、箸、コップが乾燥機へと入れられ静かに閉じるとスイッチを入れると音が鳴り始めたのを確認すると同時にバスルームへ、着くと同時に洗濯機が止まるとふたを開いてカゴへと入れテラスへと出た

 

 

「まずはシーツから…ワイシャツはシワを伸ばして、インナーは日が当たらないように…」

 

 

 

ババババっと腕が無数に現れたかのようにみえる程の動きで干していく…宙に舞う洗濯物が瞬く間に洗濯はさみ、ハンガー、ワイヤーにかけられ干し終わるとふわりと風がミツキに通り抜けていく

 

 

 

「よし、夕方には十分乾くね。それまではお弁当の仕込みやるかな~」

 

 

 

画家魂!エプロンを装備したミツキは冷蔵庫へと歩く…しかし通り過ぎ足を止めた先にはやたら頑丈な小型の冷蔵庫…なぜかわからないが何かに傷つけられ。牙みたいなのが突き刺さっている扉を迷わずあけ取り出したのは暴れまわる白くて長い生きが良い巨大な尻尾…

 

 

「さすがに活きがいいかな…」 

 

 

暴れまわる尻尾を気にせず包丁で軽く一閃、すると輪切りになった尻尾がさらへ落ちていく…必要な分を切り取ったミツキはいまだに暴れまわる尻尾を冷蔵庫に押し込みカギをかけ、輪切りにしたそれを手慣れた様子で塩をもみ込み冷蔵庫へ入れていく…

 

 

ミツキが調理している尻尾…数日前に師である義経から送られてきたものだった…『珍しい肉だ、食べて見ろ』と一筆添えられて…一応食べてみると元気が出たのをみてティアナの疲労困憊気味を治すために赤心少林拳の食医施術を用いて調理してみてお弁当のおかずと夕食に出すスープに使っていたのだった

 

 

「義経師範代、この肉は大事に使わせてもらいます…」

 

 

義経がいるであろう世界に感謝の言葉を継げ調理を再開したミツキ…その頃

 

 

 

「さあ、やるか………」

 

 

 

『GAAAAAAAAAAAA!!』

 

 

 

吹雪荒れ狂う山の頂で不敵な笑みを浮かべる僧衣姿の女性?…自身を地上最強の生物とも呼ぶ赤心少林拳黒沼流師範《義経》。その前には山をもこえる体躯を持つ白い龍が闘志向きだしで雄叫びをあげるも、涼しい顔で口角を釣り上げ笑いながら地を蹴るのをみて殴りかかってきた。よく見ると龍の尻尾が半ば断ち切られている

 

 

いつもなら邪魔をする沖が居ないので全力で戦える相手との出逢いは拳士として最高の喜び、全身から赤く血のような気を漲らせ義経はなんなくかわしていく

 

 

 

「最高だな……だが赤心少林拳黒沼流に負けはない!今日も喰わせてもらうからな!!」

 

 

 

第6管理世界 アルザス地方…………そこに住む白きヒトガタにちかい龍のしっぽ……義経が愛弟子ミツキに送りつけてきた肉の正体だった

 

 

ルシェの民は言う………黒髪の鬼女が笑いながら白き龍と戦う姿をみたと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし下拵え終わり。洗濯物取り入れなきゃ…」

 

 

 

水で手を洗い洗濯物を取り入れていくミツキの手は素早く部屋着、私服、制服、ティアナの制服と分けていくが手が止まる…ピンクのレースが目だつショーツに顔を真っ赤にしながら置き畳み終えティアナの私室へ向かう廊下に出ると静かに扉を開く。女性特有の香りにふらつきながらベッドのシーツをはいで新しいのに変えビンと張らせどこから取り出したのかコインを落とす。コインはシーツにはじかれ絨毯へと落ちた

 

 

「完璧。じゃあ次は枕カバーとブランケットを変えて……あとは制服とワイシャツをクローゼットに…」

 

 

手早くブランケット、枕カバーを新しく変えスッと手でのばして、さらにクローゼットのバーにかけ最後にやっかいな物を残すのみになった

 

 

やっかいな物…それはティアナの下着…入れる場所はわかっているのだが何度やってもなかなかなれない…引き戸を引くとずらりと並んだカラフルな乙女の最終装甲の数々に思わずのどが鳴る…ミツキの頭の中ではエンジェル☆ミツキとデビル†ミツキが囁いてくる

 

 

 

ーミツキ、それだけはやめるんだ!家主であるランスターさんをそんな目でみてはいけない。早くおいて閉めるんだ!ー

 

 

 

 

ミツキ、一枚減ろうが問題ない…この際だとっちまいなよ…欲に従えよ?こんな最高なのを使わないでどうする?

 

 

 

「う、うるさい!……赤心少林拳聖拳突き!!」

 

 

 

ーぐわあ!?ー

 

 

 

『……ティアナさんは忙しいのに僕を住まわせてくれてるし、それに今のままじゃ、コレはただの布きれだ。ティアナさんが本人が身につけてこそ意味があるんだ!!』

 

 

 

 

 

 

デビル†ミツキの誘惑に抗って勝った…わずか数秒間攻防といえども1日中鍛錬したぐらいに消耗しきったかのように息を吐きながら、見ないようにしながらやっと乙女の最終装「作者さんは黙って!!」…引き出しを閉じた

 

 

時間をみると夜の7時を回っている…ミツキはフラフラしながらティアナの部屋を出て両頬を強めに叩いた

 

 

「あうう煩悩退散、煩悩退散!………と、とにかく夕飯作ろ、今日は遅くなるっていってたから胃に優しくて消化しやすい………よし沖師父直伝のお粥にしてみよう!」

 

 

 

気合い入れてキッチンに入るミツキ…まず冷蔵庫に塩をもみ込んだ龍の肉(!!)を取り刻み、龍眼、棗、干し椎茸、鳥骨(烏骨鶏)、木枯れ節(かつお節の仲間)、肝ネギ、リンゴを袋に詰め縛り煮立った鍋へと入れる沸騰しないように煮ながら出たアクをこまめにとり掬う事、一時間…

 

 

「よし…あとは土鍋に移して残りは冷蔵庫に」

 

 

 

濁りなく透き通ったスープを土鍋へ移し、具の準備を始める…黄ニラ、龍肉(!?)、そして黒くとろみがある液体を取り出すと水を張った中華鍋に蒸籠に揃えたモノを皿に入れ黒い液体を注ぎ中へおき蓋を閉じた

 

 

「蒸しは一時間ぐらいかな…ご飯を洗わなきゃ」

 

 

米櫃から升に米をすくいボウル三合入れ水で二回洗い濯ぐよう流し、指を立て優しく研いでいく…無心で洗うミツキの身体から暖かな光《煌氣》が漏れ出す

 

 

(しっとりと瑞々しいお米……今年もいい出来だね《赤心米》……美味しくな~れ、美味しくな~れ。ティアナさんが元気になりますように…)

 

 

 

ルーフェンにある《赤心寺》の段々畑で沖が育てた《赤心米》…ミッドチルダでは市場に出回るのは希で、出たとしても数キロ、数十万から数百万で取引される…それを当たり前のように使うミツキ、やがて煌氣が浸透した赤心米をとぎ終えセットする

 

 

「ん、コレでいいかな。ティアナさん帰ってくるまで、あと少しか。仕上げるかな」

 

 

 

エプロンをたたみ、ソファーに座るとスケブを手にとり開くと昨日買いたスバルさんの家でスケッチした絵を見る

 

スバルさんってキレイだ。ムダ無くついた柔軟な筋肉と腰回り、太もも、肩、二の腕は芸術的で、

自然な笑顔もスゴく可愛いと思った。でもナンかわからないけど、少しだけ違和感を感じる

 

 

スバルさんの家族と、ご飯を食べた時に会った、ギンガさん、チンクさん、ディエチさん、ウェンディさんからも同じのを感じた

 

 

わからない…たぶん気のせいだ。そう考えながらスバルさんの絵を仕上げていく。出来たら見せる約束してるし

 

ソレから、ずっとペンを走らせて修正を終わると同時に

ご飯をが炊けた事を知らせる電子音かなると、スケブを閉じてエプロンを着ながら時計をみる

 

 

そろそろティアナさんが帰ってくる時間。す、少し集中しすぎちゃった。手早く料理の仕上げ、テーブルに土鍋を置くと同時にチャイムが鳴り響いた

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

先月の事件調書、報告書を纏め終え提出し庁舎を出て、マンションへ歩いてる。今日も何時ものように定時過ぎての帰宅

 

 

誰もいない部屋に帰って、ただいまと言っても返してくれない、一人でご飯をを食べてシャワーを浴びて、持ち帰った仕事を片付け寝るか、寝落ちする毎日

 

片付けも出来ない、洗濯物もたまる、時間と仕事に追われる日々だった

 

 

でも今.は.違う、マンションのオートロックを開いてエレベーターに乗る、帰るのが待ち遠しくて仕方ない。エ目的階で止まり、扉が空くと同時にと歩き出した

 

 

だって…今のあたしの家には待ってる人がいる。部屋の前に立つとインターフォンを鳴らす。その向こうから足音が聞こえ、静かに扉が開く

 

 

 

くるくるした金髪、野暮ったいメガネ、第97管理外世界、なのはさん達の故郷の言葉が大きく書かれたエプロンをきた男の子…二週間前から同居しているミツキ・カーディフ君が柔らかい笑顔をむけている。もう、先に寝ていて良かったのに

 

 

 

「おかえりなさい、ティアナさん。今日もお疲れさま」

 

 

     ーおかえりティアナー

 

 

一瞬、小さいころ、あたしが帰ってくると出迎えてくれた、おにいちゃんとミツキの姿が重なる

 

「あ、あのティアナさん?どこか具合が……」

 

 

「だ、大丈夫よ……うん。え、えとミツキ、ただいま」

 

 

「はいティアナさん。えと、先にお風呂にしますか?」

 

 

 

「……先にご飯でいいわ。ミツキも一緒に食べるわよね」

 

 

「くす。そういうと思って、用意出来てますよ…今日はルーフェンの郷土料理ですよ」

 

…笑顔でこたえると、あたしをソファーに座らせてテキパキ用意していく姿をみながら思う

 

なんか、おにいちゃんと一緒にいるみたいだって。それに誰かがいるってスゴく嬉しくて楽しい

 

このまま、ずっとココにミツキが居てくれたらと考えた時、ある言葉が浮かぶ

 

 

 

ーティア、ミッくんを襲って食べちゃだめだからね、最初はわたしとリオちゃんだから……ー

 

 

ー襲うわけないじゃない!まだ成人もしてないんだから……もしやったら未成年者略取の現行犯でスバルを逮捕しないといけなくなるわよ!!そ、れ、に、あたしは年上が好きなの!!ー

 

 

 

ーじゃあ、今度わたしの家にミッくんと泊まりに来て……ー

 

 

ーダメよ!この前したこと忘れたわけないでしょうね?ー

 

 

ーや、やだな~アレは、ミっくんに忘れ物を渡しに…ー

 

 

 

 

……スバルの家でお別れ会していた時、なんでかわからないけどジュースを頭から被ったミツキをバスルームへ向かわせたスバルが帰ってこない。胸騒ぎがして向かっ先でみたのは

 

 

ー………はあ、はあ、すぅぅぅぅぅぅぅぅ……はあアアアー

 

 

ミツキの履いていた《アレ》を袋に入れて、目をトロンとしながら膝をついて深く息を吸い込んでるスバル……思わず執務官として逮捕しようとしたけど、踏みとどまりながら確信したわ。スバルは間違いなくミツキを狙っている…自分より年下の子を

 

 

もう、ノーヴェと同じで年下趣味ってあり得ないんですけど!?まあノーヴェの方は成人するまでは手は出さないだろうけど…《アキツキ》の次期総帥と結婚するってことも信じられないけど

 

 

 

とにかく、あたしがやるべき最優先事項は二つ!

 

 

スバルを未成年者略取および淫行罪で逮捕しないようにしつつ、ミツキを成人するまで守り抜くこと!!

 

 

もし遊びに来たとしても目を光らせていれば問題ない

 

 

ミツキのお母様、獅子の女皇《ルネ・カーディフ》特務執務官から同居をするよう頼まれた、あたしがミツキを護らなきゃいけないんだから

 

 

「ティアナさん、出来ましたよ~」

 

 

「は~い」

 

 

いったん考えるのを辞め、返事しミツキと向き合うように椅子に座り手を合わせた

 

 

「「いただきます」」

 

 

 

軽く合唱し、土鍋のふたが開けられた…お米の甘い香りと、出汁の香りの湯気が晴れると真っ白なお粥が見え、大きなレンゲで白磁の器にもり、彩り鮮やかな具材を入れ最期に黒いツユを垂らす

 

 

「はい、今日のご飯はルーフェン郷土料理《天雲海龍肉粥》です」

 

 

「ありがと……ん……はああ、美味しい……」

 

 

レンゲをで掬い口へ入ると、濃厚な出汁とお米の甘み、具材の肉(?)、錦糸卵、根菜の旨みが身体に染みこんでいく、疲れた身体に力がわいてくるし身体がぽかぽかする

 

 

「はい、どうぞ。まだまだおかわりはたくさんありますからね」

 

あっというまに空になると、ミツキが笑顔で次のをよそって渡してくれた。まただ、おにいちゃんと面影が被る。ずっとあたしの家にミツキが住んでくれると嬉しいなと強く思った

 

 

あたしに、とってミツキは大事な陽だまりなんだから

 

 

 

 

 

 

おまけ……ランスターさん家のメイドラゴ…龍殺し(笑)

 

 

 

 



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守りし者 デルク・シルヴィアーニの一人語り
第一話 加護ーアイー


新暦71年

 

 

 

 

「ねえ、デルク」

 

 

「タカヤ坊ちゃま、どうかなされましたか?」

 

 

「僕の目ってどうして色が違うの?」

 

 

 

ある日の秋月屋敷、その厨房でデルクが幾重にも生地とりんごを重ねたアップルパイを釜へ入れ焼きあがるのを待っていたタカヤの何気ない質問に

 

 

「タカヤ坊ちゃまはメイ様から何も聞いてないのですか?」

 

 

 

「うん、おとうさんも知らないから、デルクならしってるかなって思ったんだ」

 

 

 

「さようでしたか。なら焼きあがるまでの間、タカヤ坊ちゃまの瞳の由来をお話ししましょう」

 

 

椅子を出し座らせると、少し咳払いをしてデルクは語り出した

 

 

★★★★★★★★★

 

 

 

 

 

深夜、城壁に囲まれた城の近くにある家から火の手が上がる。火の粉が舞い焼け付くような炎が家を包み込んで灰に変えていく中で、二つの影が踊り出すように飛び出した

 

 

一つは巨大な筆を背にし胸元にナニカを抱きしめる煤や焦げた髪を揺らし走る女性、もう一つは山羊にも似た頭に戦利品とでも言うように無数の人骨を王冠のようにかぶり、けたましい声と共に地面を跳ねながら先を行く女性を追いかけていく

 

 

『フェォォ!ニクマリヌヨ!』

 

 

風のように走る女性の胸元が動き出し、小さな手が見える…産着に包まれた生まれて一年も立たない赤ちゃんが無邪気に笑みを向けているのに気づいたのか表情を緩めた

 

 

「キリヒト、少しだけ怖いけどガマンしてね…

 

 

 

「ーーー♪」

 

 

 

無邪気な笑みを見せる赤ん坊に笑みを返す……レア・ガリア・秋月はキリヒトを抱きしめ必死に背後から迫るホラー《カプリコーン》から逃げるべく走り出した

 

 

 

 

特別話 加護 

 

 

 

 

夫であり魔戒騎士《秋月オウガ》はホラー討滅のために友である王達、イクス、オリヴィエ、クラウス、クロゼルク、リッドと共に遠出をしている。母であり魔戒法師である自分とキリヒトしかいない時を狙って上級ホラーカプリコーンが襲撃をかけてきた

 

狙いは間違いなくキリヒト、この世界に生まれた魔戒騎士の血を根絶やしにするためだ…自分たちを追って来た魔戒騎士にすでに十二体が封印されたことがアギュレイスの憎しみと怒りに火を注ぎカプリコーンを現界させたのだ。崩れ落ち燃え上がる家から生まれたばかりのキリヒトを抱き愛用の大魔導筆を背負い身体で守るように駆け出した…

 

 

「大丈夫、お母さんが必ずキリヒトを守ってあげる」

 

 

 

自らを守る力と戦う牙すら無い我が子を必ず守ると強く誓うと森へと逃げ込む…ここには夫であるオウガがリッドと共に建築している屋敷がある

 

そこには常に強力なホラー除けの結界が張られている…そこに逃げれば我が子を、お腹を痛めて産んだ愛する夫と自分の子を守る事ができる

 

 

この子は大きくなれば、誰かを守るために剣を振るう…素直じゃなくて、ぶっきらぼうで、強がりで、誰よりも優しくて、天然で、傷だらけの硝子のように繊細な心、誰よりも他者の痛みと命の尊さを知る私の愛する夫オウガのように

 

 

 

 

 

『フェォォ!ミックリヌシ!スヌアクギヌニチシ!!』

 

 

 

「嫌よ、アナタ達なんかに渡さない………ホラーには絶対に渡すもんですか!」

 

 

 

行く手を遮るようにジャンプしながら口元をゆがめ渡すよう迫るのを目にし片手にキリヒトを抱き、大魔導筆《靈呀(レア)》を構え魔導力を練り上げ波動を放つ…無数の魔導文字が龍へ変わりカプリコーンの身体を激しくぶつかり締め上げていく。

 

 

 

     ー魔導龍縛の陣ー

 

 

 

『ヌ、ヌヒハアア!?』

 

 

「そこで朝までおとなしくしてなさい!!」

 

 

 

そう言い残し、森の奥にある未完成の屋敷へ駆け出すレア…後少しで安全な場所にキリヒトを連れていける。かすかに緊張が緩んだ時、ナニカに吹き飛ばされ地面に叩きつけられるもキリヒトをしっかり守り抱きしめ、少し離れた場所に大魔導筆が落ちた。ナニが起きたと困惑するもレアの目の前に息を荒くし両腕をかざすカプリコーン…術を力づくで破ったのか生臭い血が身体から流れおちている。それによく見ると肘から下が無い。いや空間の切れ目が見える

 

 

「まさか、空間を操るホラー………ノゴ…」

 

 

「ーーーーーーーー!」

 

 

大魔導筆を手にしようと発した言霊がキリヒトの泣き声に消された…胸元には烈火のように泣き出す我が子の首にカプリコーンの手が空間を超えて現れようとしている…咄嗟に界符《弾》を取り出し貼りつけた瞬間、空間の向こうに消え閉じた

 

 

『ヌシ、マチリチシヌクヲワチシ!』

 

 

 

空間を操るホラー《カプリコーン》、先ほどと同じような攻撃ができ、最悪自身をも転移する事が出来る能力は強固な結界をも通り抜けるとキリクと夫オウガから鍛錬をしながら聞いたことを思い出した…屋敷に逃げたとしてもキリヒトが狙われる、ならどうすればと考えた時、あることが閃く…大魔導筆を手元に呼び構え胸元で泣きじゃくるキリヒトを慈しみと強い決意を秘めた瞳で見ながら魔導力を今まで以上に練り上げていく。その動きはまるで水鳥のように可憐、流れるような動きと共に魔導力が光となりレアから溢れ出す

 

 

『ニ、ニム!?』

 

 

まばゆい輝きに怯むも、先ほどと同じようにナニもない空間へ手を差し込む向かう先には忌々しい魔戒騎士の血を持つ人間の赤子、そのか細い首をへし折り絶やしてやると伸ばした…がナニカに阻まれる。何度も繰り返すも結果は同じ。空間を操る力が通用しない

 

 

眩い光の中、レアがひざをついた…息も荒く顔色が悪い…激しく泣いていたキリヒトがジッとみている。それに気づいたのか柔らかな笑みを浮かべた

 

 

「大丈夫………必ず守ってあげる………オウガが来るまで…」

 

 

優しく話しかけるとレアは旧魔界語の歌を口にする。空間転移攻撃を封じられたカプリコーンは能力を封じた魔戒法師レアを力一杯殴りつけた、なんども宙を舞うもキリヒトには衝撃は伝わらない…しかしレアは額から血を流し、激しい痛みが襲いかかる。途絶えそうになる意識をつなぎ止め殴られ蹴られながらも必死に魔導力を維持し続けた…………やがて空が白みかけ、カプリコーンは焦り出した…ホラーは夜にしか力を振るえない…さらに力を込め殴る。すべては王であるアギュレイスの為。すでにひざをつき祈るようにへたり込むレアから魔導力から生まれた光が薄れ始めた

 

 

『フゥオオオオ!!』

 

勝利を確信したのか今まで以上に力を込め握りしめた拳がレアの頭をとらえ迫ろうとした。意識が朦朧としながらキリヒトを守るレアの耳に狼のうなり声、地獄の底から響く蹄音が届いた

 

 

『………………ウオオオオオオ!!』

 

 

『ヌル!マチリシチヌツ!?』

 

 

血で赤く染まった瞳にうつりこんだのは鋼色の牙を剥き出しにした狼の鎧を纏い魔導馬にまたがり巨大な斧でカプリコーンを吹き飛ばし、魔導馬の背を蹴り頭から下へと真っ二つに斬り捨てた…来てくれたと思った瞬間、全身から力が抜け魔導力が消えていく

 

 

 

 

「………レア!!」

 

 

「姉様!」

 

 

「クラウス!早く医者を……」

 

 

「しっかりしてくださいレア様!」

 

 

鎧を返還し駆け寄るのはレアの夫秋月オウガ、そして友クラウスと呼ばれた青年、甲冑姿の女性、黒い服に身を包んだ青年?がそばへ来たのを見て笑みを浮かべた…最後の力を振り絞り腕に抱いた我が子キリヒトを見せた…穏やかな寝顔に皆、安心した

 

 

 

「オウガ…クラウス、リッド、ヴィヴィ…」

 

 

「なんだ、今はしゃべるな…」

 

 

「………キリヒトをお願いね…この子はアナタと私の大事な子………いつか…あなたみたいに…立派な魔戒…騎士に」

 

 

「ああ、わかった……だからもう……もう………」

 

 

 

「キリヒト…………ノマエハワチシヌニイスルクドム、ガルチョルブ、ナハガノマエヲマモッチアグル…」

 

 

「レア………!!」

 

 

力なく頭を垂れた妻をだき声をあげるオウガ…その声はまるで狼のようにも聞こえた。クラウス、リッド、ヴィヴィも涙を流し膝をついた時、亡き母の腕で眠っていたキリヒトが起きゆっくりと目をあけたのをみた全員は息をのんだ

 

 

キリヒトの瞳が黒から母レアと同じ虹彩異色の瞳に変わっていたことを

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

「レア様の加護の証として虹彩異色の瞳が現れるようになられたのです。それは歴代継承者の方々すべてに現れているわけでは無いですが…」

 

 

「そうなんだ…デルクは何でも知ってるんだね」

 

 

「いえ、コレはオウガ様からじかに…ごほん、文献と伝承をみたものですから、さあアップルパイが焼き上がりました、どうぞタカヤ坊ちゃま」

 

 

「うん!いただきま~す」

 

 

 

可愛らしく首を傾げるタカヤの目…深い紫と朱の虹彩異色の瞳を見ながら、アキツキ家令デルク・シルヴァーニは搾りたてのオレンジジュースグラスにそそぎ入れ、アップルパイを切り分けタカヤの前におく。目をぱああっと輝かせ夢中になって食べていく姿に笑みがこぼれた

 

 

 



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第二話 鷹流ー剛拳のオウルー

皆様、お久しぶりです…今回はタカヤ様の曾祖父、秋月オウル様のお話です

 

 

歴代継承者の中で長く生き、タカヤ様が3歳の時に亡くなられましたが。皆様の目からオウル様はどう見えるのでしょうか?超巨大企業《アキツキインダストリアル》を創設した企業家としての顔を持ち、魔戒騎士として質実剛健、好々爺にも見えることでしょうが……

 

 

コレから話すのはオウル様のやんちゃをしていた時期と、タカヤ様に看取られるまでの二部構成の特別編となります

 

 

ではごゆるりとお楽しみください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

162年前 アキツキ屋敷

 

 

 

「鷹流、どこに行く」

 

 

「オレがどこ行こうが関係ねぇだろうが……」

 

 

「オウルさま、旦那様も落ち着いてください!」

 

 

 

二人の間を取り持とうとするもデルクの声は届かない。ズタ袋を肩に掛けた青年と白銀の髪に鋭く血の色のような赤い瞳、整えられた顎髭、黒鉄色のコートを身につけた40ぐらいの男性が歩み寄るや否や肩を掴み止めた

 

 

「お前の訓練は終わってはいない…さあ、屋敷に戻るんだ」

 

 

「…………テメェはいつもそうだ。魔戒騎士を継げだの、ホラーを倒す為の訓練ばかりやらせやがって……正直、うんざりなんだよ!魔戒騎士なら他のヤツに継がせろよ!」

 

 

 

「待てオウル!正統の血を引くお前にしか…」

 

 

 

「正統の血、正統の血………うっせんだよ!オレのオヤジを殺したあんたの跡なんか……白煌騎士なんか継いでたまるかよ!離せよ!!」

 

 

肩を掴む手の力が緩むと同時に振り払い振り返らず屋敷の外へと走り出した鷹流を初老の男性……第七代オウガ継承者《秋月狼真》は振り払われた手を開き見ながらぎゅっと握りしめた

 

 

「………オウシュウ兄者、リム義姉様…………私には…」

 

 

「ロウマ様……」

 

 

激しい後悔の念に満ちた背中をただ見ることしか出来なかった

 

 

第二話 鷹流ー剛拳のオウルー(前編)

 

 

 

「さて、どうすっかな………っとその前に腹ごしらえするか」

 

 

黒い髪をガシガシかきながら歩く2メートルを超える長身の青年《秋月オウル》が来たのは《ある都市》…都市にしては治安が悪いように見え、通りすがる人々も覇気がない…やがて市場と思わしき場所へとつくと人の数が一気に増えた

 

 

「ん、人が多いな………なんだアレは…す~~~~くんく……いい匂いだな」

 

 

 

市場の端にある壁にある屋台からいい匂いがすると感じ歩き出すと手押し車と家が合体し、入り口に赤い旗?に見たことの無い文字が並んでいる…迷わず入ってみると粗末な木のテーブル、前には寸胴が2つ収められている

 

 

「らっしゃ~い、何を食べるんだいあんちゃん?おすすめは《らぅめん》だよ」

 

 

 

「……ら~ぅめん?なんだソレ?」

 

 

「あんちゃん?まさか《らぅめん》を知らない?……人生損してるよ~まあ、百聞は一見にしかず、たべてみるかい?」

 

 

 

「あ、ああ頼む」

 

 

「あいよ~」

 

 

 

左側にある引き出しから、細打ち麺をとり湯が張った寸胴へと入れ、薬味ネギ、チャーシュー、飴色の煮卵をとりスライス、あらかじめ湯を入れ暖めていた丼からお湯を捨て、タレ醤油をすうと流し琥珀色に輝くスープを注ぐと同時に麺を金網に素早く掬うと上下に振るい湯きり入れた。最後に菜箸でチャーシュー、煮卵、薬味ネギ、不思議な形のナルトを盛りオウルの前に静かに置かれた

 

 

「リナルディ特製ラーメンだ、さあ、お上がりよ」

 

 

自信満々な笑みを浮かべ進めてくる主…恐る恐るレンゲにスープを掬い口へと入れた瞬間、雷が走った。手にした箸で麺を一気にすするよう食べていく…

 

 

(う、ウメェ!デルクの料理に匹敵するじゃねえかよ!!スープは鶏肉、豚肉、キャベツ、人参、玉ねぎの旨味と甘味が溶け込み、麺は多加水麺で寝かせているからツルツルしこしこと喉ごしがたまらない。双方の持ち味が見事な調和!チャーシューはジューシーかつ柔らかい、煮卵は半熟ながらしっかりと味が染み込んで、薬味ネギは味の引き締め、いや収斂しさらなる高みへと昇華させている……うめぇ…………うんまああああああああああい!!」

 

 

 

いつの間にか空になった丼を握りしめ叫ぶオウル…未知の味に酔いしれ恍惚の表情を浮かべる姿に屋台の主は引くどころか笑みを浮かべていた

 

 

「そいつは良かったぜ。しかし、あんちゃんはここじゃ見ない顔だな~この街にははじめてかい?」

 

 

「……ああ」

 

 

「だったら悪いことはいわねぇ…早く出るん……」

 

 

 

「よう、繁盛してるみたいだなあらぅめん屋台?」

 

 

「オレらにも一杯喰わせろよ~ヘッヘッヘッヘ」

 

 

 

暖簾越しに聞こえた声と共に現れたのはモヒカンに全身に鎖、鼻にピアスと入れ墨、プロテクターをつけたならず者達が顔をのぞかせ見回す。ちらっとオウルをみてげひた笑いをあげる

 

 

「今日は客は一人だけか?儲かんないよなあ」

 

 

「店なんか畳んじまって、オレらの為にメシを作れよ~はっはっは~」

 

 

 

「断る」

 

 

「ああ!?なんっうた?オレら《Shoot》に逆らうのか?」

 

 

「俺のらぅめんはこの街の皆に食べてもらうために作っている。食べてくれた人の明日への活力になるように魂を込めて作ってんだよ。おまえたちみたいな盗賊に喰わせるらぅめんはねぇ!!」

 

 

「いうじゃねえか…なんならこのガラクタ屋台?ぶっこわしてやるよ。ヒャッハアアアア!!」

 

 

腰にぶら下げていた巨大なまさかり、とげ付き金棒を構え屋台へ叩きつけようとしたが、肘が誰かに押され隣にいたモヒカンの顔面にたたきつけろれた

 

 

「な、なんでぇ?あいだ……」

 

 

「な、おいテメェが押したのか?」

 

 

「いや、オレじゃない……ほら」

 

 

「そうだよな、手がふさがってるよな~」

 

 

顔面をへこませ倒れたモヒカンをみてオウルに突っかかるも、ラーメン丼と箸を両手に持つ姿に納得し再び屋台を破壊するべく、まさかりを振るい腕を下ろすが再びナニカに押され地面へと深々と突き刺さった…プルプルと震え立ち上がるや否や再びオウルに向き合った

 

 

 

「や、やっぱりテメェか!!」

 

 

 

「いや、だから…ほら?」

 

 

 

「あ、そうか~両手がふさがってるよな…………って脚があるだろ…ぐぺら!?」

 

 

 

「気づくのが遅ぇよ………なあアンタらも、この屋台を壊すのか?」

 

 

「あん?なんだよテメェ見かけない顔だな~」

 

 

 

「答えろよ…」

 

 

「なら答えてやんよ!オレら《Shoot》に刃向かう奴らは皆殺しタイムやるんだからよ…リナルディ、恨むならテメェの頑固さをうらめぇ!!」

 

 

 

いつの間にかに意識を取り戻したモヒカン、そして周りに数十人のモヒカンが取り囲んでる…オウルはゆっくりと暖簾をくぐりぬけ溜め息混じりに息を吐いた

 

 

「ふう……オヤジ、少し暴れるがかまわないか?」

 

 

 

「お、おい、アンタ」

 

 

 

「へ、強がってんじゃねえよ!よそ者があああああ」

 

 

 

頭にホッケーマスクを被ったモヒカンがチェーンソーを大きく構え切りかかってきた…回転する刃がオウルの腕を切り裂こうとした…が、次の瞬間

 

 

「オラアッ!」

 

 

「く、クッパア!?」

 

 

堅く握られた裏拳がホッケーマスクを砕き、鼻柱をつぶされ血をまき散らしながら勢いよく吹き飛ばされ壁をぶち抜き消えた…あまりの光景にモヒカン達、リナルディは息を呑むなかで首をゴキゴキならし指を鳴らした

 

 

「………テメェら、ここの屋台の主人が文句があるみたいだな……屋台の主人の文句はオレにいえ!!」

 

 

「リ、リーダー」

 

 

「怯むな!まずはあのよそ者からつぶせ!!」

 

 

 

「「「「ヒャッハアアアア!!」」」」

 

 

 

リーダーの号令に一斉に襲いかかってくる…危機的状況の中でオウルの瞳はぎらついた獣ように光る

 

 

「………オレの至福の時を潰した礼をさせてもらうぞ…………モヒカンどもおおおお!!」

 

 

 

「あぱ!」

 

 

 

「ぴちゅ!」

 

 

「ウパア!」

 

 

拳が、蹴りが振るわれる度にモヒカン達がまた一人、また一人、地面に倒れ伏し遂にリーダーだけになった…リーダーの目に映るオウルは血に飢えた狼…サーチアンドデストロイ(一見必殺)。気圧されたのか見苦しく這い蹲り逃げ出した

 

「く、来るな、来るなああああ」

 

 

「っと逃げんなよコラア?……ん。ちょうどいいのがあるじゃねぇか」

 

 

オウルの瞳に移るのはなぜかおかれていた掃除用具入れ…はいつくばり逃げようとするリーダー?の頭をわしつかみ迷わず掃除用具入れに叩き込んだ…コレから残酷な処刑遊技がはじまる

 

 

「なあ、アイアンメイデンって知ってるか?」

 

 

「し、しらねぇよ…た、たのむ悪かっ…」

 

 

「…運がいいなアンタ………今から身をもってアイアンメイデンの意味を知るんだからな…………オラア!!」

 

 

 

モヒカンリーダーがはいった掃除用具入れめがけめいいっぱい殴ると、ボコォ!っとくの字に曲がり軋み隙間からナニカが漏れる…それにお構いなしに腰を沈め短く息を吸い込んで繰り出されたのは無数の拳…吸い込まれるようにたたき込まれていく

 

 

 

「オラア!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ………」

 

 

 

 

「ぱき!ピギ……クッパア!」

 

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!ウォラア!!」

 

 

 

雄叫びと潰れていく金属の音が響く中、みるみるうちに掃除用具入れが人型に変形、いや板金されて最後に腰を沈めはなたれた拳がめいいっぱい殴りつけられる。空を舞いながら地面へ逆さまに突き刺さるもやがて倒れた。耳を澄ますと微かに開いた隙間から「ごめんなさい、ごめんなさい………もう二度としません」とすすり泣くような声が響いた

 

 

 

「ふう、アイアンメイデン完成だ……」

 

 

「あ、あんたなにもんなんだ?」

 

 

 

リナルディの言葉に振り返るオウル…そして静かに口を開いた

 

 

「オレはオウル………オウル・ネイムレスだ……《shoot》の野郎はオレが叩き潰す。あんたのらぅめんは人に生きる力を与える希望だからな」

 

 

 

この街…後にクラナガンと呼ばれる街に《救世主》が降りたち半年後、街に巣くっていたならず者集団、魔龍戦線《shoot》は完膚なきまでに叩き潰された……噂を聞いたならず者達はオウルを恐れこう呼んだという

 

 

       剛拳のオウル

 

 

 

と………

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

コレが若き日のオウル様です。様々な世界でやんちゃをやらかしながら《ならず者》を叩き潰す一方で、武芸者、武道家…中には天瞳流、華皇拳、春光拳、雷帝流、赤心少林拳との野試合を経て三年後に帰ってこられました

 

 

 

ですが、ナニがあったかわかりませんが右腕を折られていました…

 

 

 

ー……あのアマぁ(エレミア)、いつかぶっ潰してやる……あんな約束無しだゴラァ…ー

 

 

 

なにやら物騒な事をいってましたが

 

 

 

さて、舞台は新暦60年に移りますが……その頃のオウル様を見て驚かれないように

 

 

 

 

 

第二話 鷹流ー剛拳のオウルー(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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最終話 受け継がるモノ

コレでオウル様の話は終わりです。長らくお付き合いしていただきありがとうございます


秋月家家令デルク・シルヴィアーニ


画面の向こうの皆様方、お久しぶりです。改めて自己紹介をアキツキ家家令のデルクと言います

 

 

前の話からだいぶ間が空いたことを深く謝罪をさせていただきます

 

 

さあ、まずはオウル様が屋敷に戻られてからのお話になりますが……長くなるのでダイジェスト版でお送りします

 

 

 

旧暦????年

 

 

「ミゼット!他のみんなは」

 

 

「わからない……でも最後に陰がおそってきたって念話したっきり…」

 

 

 

「気をつけろ……なにかがいる!!」

 

 

 

長い争いが終わりを告げ数年、危険な兵器の有無を確かめる為に編成された部隊が訪れたのは何かの研究施設…中に入りみたのは壁一面が赤く塗りつぶされ無数の人骨が山のように積み上げられたそれはまるで祭壇に見える

 

あたりに立ち込める血肉の腐った臭いに思わず吐きそうになるのをこらえ調査部隊はあたりを伺ったが人の気配すらない…それぞれ別れ内部調査を始めた隊員たちは警戒しながら歩き出した時だ

 

調査部隊のメンバーが1人、また1人と姿を消していく…ミゼットはラルゴたちと共に調査を中止、他の隊員たちに施設からでるよう指示を出した…しかし、それをあざ笑うように調査部隊のメンバーは断末魔の叫びをあげることなく闇に喰われていく

 

 

やがてミゼット、ラルゴを含めた三人だけが残された……圧倒的な絶望的状況の中、その瞳は死んではいなかった、生きる事をあきらめない強い意志の光が瞳に満ちていた

 

背後から闇…影がスウウと忍び寄ってくることに気づいていない若く瑞々しいエサ…女性であるミゼットへ伸びようとしたとき、研究施設の分厚い壁が砕け風切り音がなる

 

 

 

「オラアアアアアアアアア!!」

 

 

裂帛の叫びをあげながらミゼットへ伸びようとしていた影めがけ手にした斧を地面に叩きつけ、えぐり取るように持ち上げた先にあるものを三人は見てしまった

 

 

 

『ビギア!マクアエクス!?(ま!魔戒騎士!?)』

 

 

 

「……やっとみつけたぞゴラァ?鬼ごっこは今日で終いだ…」

 

 

 

《まてオウル!人間がいるぞ?ここで倒したら……》

 

 

 

「あ?……………おい、アンタらこっから動くなよ……」

 

 

「え、でも」

 

 

 

「デモもへったくれもヘチマもキュウリもねえんだよ!……ココから先は未成年お断りな18禁展開だ………キリク、こいつらんまわりに結界だ」

 

 

 

《たく、人使いが荒いんでぃ………坊主、嬢ちゃんたち、絶対ココからでるなよ》

 

 

二メートルをゆうに超える長身に白銀のトゲトゲした長い髪、眼鏡?鋭い眼光に黒銀色のコートの上からわかる鍛え上げられた体躯…斧の刃に深々と身体を切り裂かれ悶える血を吐く群青色の魔物《ホラー》から目をはなさず矢継ぎ早に応える青年…第八代煌牙継承者《秋月鷹流》、ギシギシ金属を軋ませるような声にに三人はただうなづいていた

 

 

「さて……コレで心おきなく殺れるな……久し振りに朋友《ポンヨウ》の技を使わせてもらうか………」

 

 

 

《おいおい!オウル!お前は魔戒騎士だろうが!?》

 

 

 

「あぁ~るせぇなあ~このホラーには聞きたいことあるからな…タイエン、技借りるぜ………ホラー相手に効くかわからねえが試すか《北斗・解亜門天聴(かいあもんてんちょう)》…」

 

 

『アピャ?アパバババババババ!!』

 

 

斧の刃がから逃れようとするホラーの頭を素手で掴み人差し指をこめかみに根元まで突き刺す…ビクンと身体を震わし声にならない叫び声をあげ目を見開きガクガク痙攣しだした…

 

 

オウルが使った技…解亜門天聴(かいあもんてんちょう)は修業中に別世界にある上海《シャンハイ》と呼ばれる場所に召喚された。しかも燃え盛る船の中で脱出口を探しているうちに二人の拳法家の戦いに居合わせてしまった。その時の縁が元で朋友になったさい二人の使う北斗神拳、北斗曹家拳をみただけで覚えてしまった

 

 

「スゴいなお前、短期間で北斗神拳を覚えるなんてな」

 

「まったく、お前には驚かされっぱなしだぜ」

 

「いや、完全にはまだだ……拳志朗、大炎…北斗の拳はとは奥が深いな…秘孔の突き次第じゃ病気も治せるんじゃないか?…」

 

 

……しばらくして元の世界に戻る際、北斗神拳、北斗曹家拳は自分以外、誰にも伝えない事を約束してだが

 

 

 

『クヌエロ《答えろ》、アギュレイスヌフクヌフラーハフヅクニイル《アギュレイスと他のホラーはドコにいる》?』

 

 

『プピ!アバラババ………フクヌフラー……アギュレイススマ…ゲインキイシチニイデス……ビイヤアクッチニクヌガ!?《か、勝手に口が……!?》』

 

 

 

「………どうやらオヤジの言った通り現界するのは序列があるのはマジみたいだな……さてと魔戒騎士としての務めを果たさせてもらうか……」

 

頭を鷲掴みにしたまま悶えるホラーを力一杯、壁ごと押しつけるよう殴り抜く…研究施設の分厚い壁をいくつもの抜き外へと吹き飛ぶホラーがみたのは血のように赤い月三つ並びが煌々と輝く空。助かったと思い背中の羽を広げ飛翔する。あの三人を喰い損ねたのは残念だが近くには街がある、そこでたくさん食べて傷をいやそうとするも、それを打ち消された…狼のように鋭い眼光を向けるオウルの姿を見てホラーは恐怖した

 

 

「………逃がすとは言ってねえぞ…ようやく平和になって明日の希望を持つて生きようとするヤツらから未来を奪おうとする手前ぇの陰我、叩ききってやる!!」

 

 

剣斧の切っ先で素早く真円を描き吸い込まれ現れるのは、やや銀色混じりの白金色に輝く牙を向いた狼の面に西洋の意匠を持つ鎧の騎士…魔戒語がかかれた真紅の鎧旗をなびかせ変化、幅広く分厚い剣身に秋月家の家紋があしらわれた剣斧《煌牙》を大きく右手斜めに構えすり抜けざまに逆袈裟に無駄なく刃を振り抜いた

 

 

 

『アアアアアアアアーーーーーーーーー』

 

 

 

『…………』

 

 

 

群青色の身体を捉えた刃は肉を、骨を紙のように切り抜けた…傷口から生まれた白金の炎に身を焼かれ断末魔の叫びを残し爆散、地面へ降り立ち見上げながら鎧を魔界へ返還したオウル…研究施設に向き直りその真紅の瞳に僅かな悲しみの色を宿しながら暁に染まる空のしたを歩き出した

 

 

 

 

この日、ラルゴ様、ミゼット様、キール様はホラーと魔戒騎士で在らせますオウル様との戦いを目撃したのです…同時に古より続く光と闇との永きに渡る戦いを知る事になられました

 

 

 

数年して危険な遺失遺物、それを巡り生まれる事件などを取り締まり、人々が平穏にすごせる社会を目的とされた《時空管理局》を創設されました

 

ですが…真の目的はベルカ諸王時代に現れ災厄を齎した《十三の魔獣》ホラー、その主たる王を人知れず狩る為に様々な便宜を図るためホラーを封印したオウル様、聖王家に仕える家柄でしたグラシア家、ミゼットさま、ラルゴ様、キール様…後の伝説の三提督と呼ばれる方々との秋月家との盟約の名において

 

 

 

まもなくして新暦と年号が定まり管理局が打ち出した新たな社会システムも浸透して暫くして、オウル様は会社を立ち上げました

 

 

最初は元ビリヤード場を改造した事務所兼工場からのスタートでしたが、新型魔力炉、次元転移技術、さらには最新デバイス理論と構築術式を生み出したことで設立から数年で大企業へと躍進されました……これにはタカヒトさまの奥様、プレシア様が残された理論があったからといえましすが…

 

 

「か、会長!な、何故ココに!?」

 

 

「ん?気にするな……確かお前がココのチーフだったな……この前提出した粒子結合定着術式による応力強化部材開発はなかなかのモノだ……近いうちにクラナガン超高層ビル建設プロジェクトのスタッフに加える。もちろんココにいるメンバーもな」

 

 

「は、はい!オウル会長!!」

 

 

気さくに各部署をまわっては話をされ、さらには…

 

 

 

「あ、あの……」

 

 

「ん、どうした食べないのか?リナルディ直伝《らぅめん》はクラナガン1美味いぞ?」

 

 

社員食堂に現れて、コックコートに身を包んで調理に参加されては度々皆々様を驚かせてばかりでした…屋敷からでて一人旅していた頃は、ならず者と一度目を合わせただけで血の雨を降らせていたオウル様でしたが、奥様であられます異世界の女神プリム様との出逢いが変えたのだとわかります

 

 

 

 

…………ですが…その…ある時管理外世界での技術提携に向かう最中、ある一団に襲撃された際……

 

 

「ディバイダーが効かない?なんで」

 

 

 

「………おい、ナニしてやがんだ……フッケバインだがグレンデルだかしらねぇが、世界を変えるために無関係な奴らを巻き込むなゴラア?世界が変わらない文句は……管理局じゃなく、このオレに言えやあ!!」

 

 

 

…管理、管理外世界との企業提携を結ぶ為、幹部数人てま出向かれ会合しようとしたオウル様を狙って襲い掛かったフッケバイン率いるカレン様方を前に、せっかくあしらえたスーツを破り捨て上半身裸になり北斗孫家拳、北斗神拳を駆使し黙らせたオウル様はまさに悪魔にみえたといわしめるほどでした。まあプリム様と《結婚五年目記念》をほったらかしにしたことがキッカケの屋敷を全壊する夫婦喧嘩されたあとだったから仕方ありませんが……

 

 

 

「おい、ミゼット……コイツはナンなんだ?違法研究だあ?こんなのをやるために管理局作るのに協力したわけじゃねえぞ?」

 

 

 

ですが善意の基に生まれた管理局でしたが…少しずつ闇を抱えてしまいました……行われていた禁忌技術を再現を目的とした違法研究にオウル様はコレに気づき三提督に問いただしました。一部の人間が暴走した結果と知り人を守る魔戒騎士としての信念が揺らぎかけましたが…新たな命が生まれた事が立ち直らせてくれました

 

 

 

「プリム…マヤは?」

 

 

「寝てるわよ~ん~可愛い…よかったわねオウルに似なくて……」

 

 

 

「さすがに俺に似たらマズいだろ…マヤ~お父さんはお仕事頑張ってくるぞ~」

 

 

 

「ふぇ…え~~~~~ん」

 

 

 

「オウル!そんな怖い顔したらダメでしょ!!ほら泣かないで……」

 

 

 

「う、わ、わりぃ……じゃ、いってくる…デルク、留守を頼む」

 

 

 

マヤ様が生まれた事がオウル様に光を与えてくれたのです……ですがマヤ様は生まれながらお身体が弱く成人なされるまで生きられるかが危うかったのです。

 

 

そんな中、マヤ12歳になられた頃。オウル様がアキツキと管理局の力を持って見つけ単身乗り込み違法研究施設を壊滅させた時、出会ってしまれました

 

 

「……ボウズ、なぜ剣を向ける?」

 

 

 

「ボ、ボクを………殺しに来たの?死にたく…ない……死にたくない!」

 

 

 

「…む…(このボウズ……オレの間合い把握してやがんのか……太刀筋は荒いが一足一刀、必殺の刃を撃てると……死にたくない…生への渇望がなす技か……)」

 

 

 

機能しない刀剣型アームドデバイスで切りかかれた少年を軽くいなし地面に頭を叩きつけ気絶させたオウル様は屋敷へと連れ帰られました……この方こそがタカヤ様の祖父にしてメイ様のお父上《秋月オウマ》。引き取られてからはオウマ様の指導の下、次期九代目継承者といわしめるほど剣技、魔戒の術を極められマヤ様と夫婦となりました

 

 

二人の仲は周りにいる方々すらあてられるほどで、教会での式のおりはオウル様は親友であられた三提督様、リナルディ様の前で男泣きされてましたが

 

 

数年後、メイ様が生まれてマヤ様がお亡くなりになられたことが…あのような事件になろうと誰が予想しましようか?

 

 

『オウマ!お前を本当の息子だと思っていた……家族として愛していた……闇に魂を売り渡した秋月オウマの陰我!ワシが断ち切る!!』

 

 

 

『ガ!アァ………マ……ヤ……メイ……』

 

 

 

オウガ様が嘗て纏った鎧と共に闇に落ちミッドチルダに住む666人の命を捧げマヤ様を蘇らせようとしたオウマ様を止めるためとはいえ殺した事は一生の傷を残した、この事件は秋月家における忌々しき秘事としてキリク様の記憶を消されたオウル様は私に黙るよう言いつけました…

 

 

時は流れ新暦64年、すでに百を超えたオウル様は成長されたメイ様に見合いをくまれました…流れるような黒髪に鋭い目つき、容姿は伝え聞いた初代様の奥様と瓜二つ…まさに乙女でしたが

 

 

 

「……はあ!」

 

 

 

「うわ!?」

 

 

 

「………弱いわね………女に負けるなんて…」

 

 

……見合い相手を会って数秒で拳、蹴りで気絶させ立ち去るを繰り返される姿にオウル様は胸を痛めてました。幼い頃はとても素直で優しく、将来は騎士になるんだと笑顔で語られましたが。女性は騎士になる事が出来ないと知られてからは鍛錬と帝王学にのめり込まれました

 

 

まるで若き日のヤンチャをなされていたオウル様と雰囲気が似てました……見合いも二桁を超えた時でした…メイ様が新たに組まれた見合い相手を見に聖王教会に向かわれたと知り慌ててオウル様が向かわれようとした時、メイ様がお戻りになられました

 

 

またかと思われた声をあげようとなされた時でした

 

 

 

 

「……………おじい様…この見合い……受けます……」

 

 

 

「な?……ククク…負けたのか」

 

 

 

「………はい…でも私は負けません…」

 

 

「で、どうだった?」

 

 

 

 

「…暖かくて優しい風…穏やかな春のひだまりでした……ユウキは、やっと見つけた私の太陽…あの女狐なんかに絶っっっっっっ対渡さないんだから…」

 

 

 

「ククク、アハハハハ、だいぶ気に入ったみたいだなメイ、なんならお前が詠んでる大人の漫画みたいな逢い引きに誘ってみ……ガバッハア!?」

 

 

 

「……そ、それ以上いったらお祖父様でも許さないんだから!まだ成人迎えてないし、段階を踏まないと…………オ、オウルおじい様のばかっ!!」

 

 

 

照れ隠し満載な顔でオウル様の顎を全力全開な拳を打ち込み車田落ちされたオウル様に見向きせず歩き出したメイ様をみてやはり乙女だと確信し私は安心しました……本当に

 

 

それからユウキ様とデートと鍛錬を交えた逢瀬を重ね二年後、ようやく成人を迎えた頃、あの事件が起きてしまわれたのです…北西部にある新薬開発研究所に訪れていたメイ様を含めた研究員すべてを人質にしたテログループ立てこもり事件が

 

 

「へ、なあ…俺らの相手をしてくれよ~」

 

 

 

「い、いや!助けて」

 

 

 

「………ま、待ちなさい……この子たちにてをださないで!」

 

女性研究員を慰み者にしようとしたテログループから守る為、メイ様は自らを差し出したのです…服を強引に引きちぎられお労しい姿になられたのをみて劣情を抱いた犯人が至ろうと手をかけた時、天窓を勢いよく破られガラスが舞う中、二つの影、ユウキ様とオウル様が降りたったのです

 

 

「……メイさ………あ………ああ」

 

 

「………おい、テメェラ…ウチの孫娘と社員に何して………」

 

 

 

「ねえ、君たち……………僕のメイになにしてんだゴラアアアアアアアアアアっ!!」

 

 

オウル様の声を遮りユウキ様の叫びが研究所を震わせました…メイ様に手をかけようとした男の顔面を掴み床にたたきつける気絶させ、裸同然のメイ様を抱きしめバリアジャケットのコートを着せ小さく何かを呟いたとききました。それから地を蹴り、滑るように駈けながらテログループを叩きのめしていかれたのです

 

 

「………さあ、僕の《メイ》を、太陽を陰らせ傷つけた罪を身体で数えろ!!九頭龍閃!!」

 

 

 

「や、やめ………ぎあ!?」

 

 

 

「………嫁入り前のワシの孫娘に手ェ出した罪、軽くねぇぞ?北斗・懺悔拳!!(少しだけ手加減)」

 

 

 

「イダダダダダ………ヒデブ!?」

 

 

「い、いやだ!死にたくねぇ!!」

 

 

 

「………まだまだ行くよ………飛天御剣流…龍槌閃、土龍閃!!(やや手加減)」

 

 

 

「どこにいくきだ?まだ仕置きはおわんねぇぞ?北斗!剛裳波!!(手加減)」

 

 

 

「カネガナイヨオオォ!」

 

 

「オレモダアアアアアアア!?」

 

 

 

「ヤスミヲクレェェェェェェ!」

 

 

 

「ムリダアアアア!!」

 

 

 

 

……この時のオウル様、ユウキ様は猛り狂う狼に見えたと研究所職員の方々は口を揃え言われました。

 

後ほどわかったことですが、オウル様の立ち上げたアキツキインダストリアルを乗っ取りを企もうとする輩の手により依頼されたと主犯格がハーディス・ヴァアイハデンの名を北斗神拳で聞き出しすぐさま向かわれた相対した時に彼からホラーの邪氣を強く感じとられ魔戒騎士として刃を向け取り押さえ、邪氣の源であるエクリプスウィルスを魔導火で完全にこの世から消し去られました

 

 

「な、なんてことを、やめるんだ!ソレは…」

 

 

「こんな危ないもんは、この世から消し去った方がいい………あとは管理局で申し開きしてみんだな……ハーディス・ヴァイハデン」

 

 

 

 

ヴァアイハデン・コーポレーションが裏でECディバイダー、エクリプスウィルスなどの違法研究に関するすべての証拠を簀巻きにした彼と共に三提督に引き渡してから、ハーディス・ヴァイハデンは軌道拘置所に無期限懲役を言い渡され会社も解体、路頭に迷いかけた社員たち全員の再就職先すべてををオウル様は引き受け斡旋されました

 

 

 

 

……あの事件が収束したあとユウキ様は何度も屋敷へとこられましたがメイ様は塞ぎ込まれました…ですが

 

 

「こないで……私……汚れて……ワタシ汚れ…え?」

 

 

 

「違う!メイ、君は汚れてなんかいない!……落ち着いて聞いて…汚くなんかない。汚れてなんかいない!……何度でも言うよ…メイは僕の太陽なんだから」

 

 

 

「……っ、ユウキ……ユウキ……」

 

 

 

「今はたくさん泣いて良いから……」

 

 

………この時、抱きしめれながら語られたユウキ様の言葉はメイ様の傷ついた心をお救いしたのです。これから一年後にお二人は式を挙げられました

 

 

春の陽気と何処からか流れた花に祝福されるかのように皆様方から見守られるなかで。お二人の挙式が終わられてからオウル様はお身体が優れなくなり日に日に弱りはじめました……そしてタカヤ様がお生まれになられた時はだいぶ御優れになりました

 

 

ですが魔戒騎士としてタカヤ様に鍛錬をつける頃までには、この世にいないことを薄々悟られておられました

 

 

 

 

 

 

時は流れ新暦69年…

 

 

 

「オウルひいじいさ~」

 

 

 

「ん。どうしたタカヤ?ユウキとメイといたのではないのか?」

 

 

 

「ん~おとさ、おかあさ、おうちをまたこわしてるの…」

 

 

 

「くくく、またか……夫婦喧嘩は犬も喰わぬというのにな……まあ仲良きことだな」

 

 

 

 

「犬?フウフゲンカって食べれるの?」

 

 

 

「…………いや、食べ物じゃないぞ…タカヤにはまだはやいか……」

 

 

 

「食べものじゃないんだ………」

 

 

「まあ、しばらくしたら二人とも仲良しになってるだろう(意味深)……タカヤよ手にもってるソレはなわ、なんじゃ」

 

 

 

「これ?ん~さっきお墓のまえを通ったら龍みたいな鎧をつけたおばちゃんがいてね…

 

 

 

 

ーオレ様とあのバカの血を引いてる風には見えないなあ~ま、いっか。とりあえずだ。この剣をお前にやるー

 

 

 

 

って、ぼくにわたしてくれたの……ひいじいちゃ?どしたの?」

 

 

「………(ま、まさかコレは《燦然と輝く王剣《クラレント》》を?モードレッド様、こんなマズいものをタカヤにやったらだめだろうがああああああ!!)…………タカヤよ、その剣は危ないからワシがあずかろう…まだ早いからの」

 

 

 

「は~い」

 

 

ワシに笑顔でモードレッド様から授けられた朱と銀に彩られた鞘に収められた燐然と輝く王剣《クラレント》をタカヤから受け取り魔法衣に入れ溜め息をついた

 

 

ったく、ワシ等の祖先の伴侶となられた方々は自身の血を引く子や孫にはすごく過保護だ。スズカ様の《三世の太刀》、タマモ様の水天日光天照八野鎮石《すいてんにっこうあまてらすやのしずいし》…秋月の技術の根幹を構築されたプレシア様の雷撃、リイン様のラグナロク、朱鬼様の音撃…歴代継承者の危機に陥ると力を貸し勝利に導く結果になる

 

 

少しは子孫を信じて欲しいがな…と考えながらタカヤを肩車し向かうのはワシのお気に入りの場所…木々を抜けた先には暖かな光に照らされ風に揺れる蒼蒼とした草原が広がる

 

 

「うわああああ~ひいじいさ、すごく広~~い♪」

 

 

 

「気に入ったかの。ここはワシとプリムが見つけたんじゃ~~ホラーを封印してからは、よくメイもつれてきたんじゃ…よっと」

 

 

 

タカヤを草原に下ろすと元気いっぱいに駆け出す姿にワシは心が暖かくなる…呪いに打ち勝ち生まれるも身体が弱かったが、ユウキとメイからたくさんの愛情を受け今ではこんなにも元気な姿をみせてくれてる

 

 

 

しかし、あと十年以内にホラーか封印を破り目覚めてしまうと想うと辛い。魔戒騎士としての鍛錬はユウキ、メイは出来る。しかし秋月の魔戒騎士が受け継ぐ一子相伝の秘技を伝えるまでが不可能だからだ

 

せめてあと五年、命が長らえられれば秋月の魔戒騎士のすべてを伝えることが出来るというのに

 

 

なによりタカヤは優しく純粋なタカヤは魔戒騎士に向いていないかもしれん…アギュレイスを完全に討ち果たせなかったことに後悔し、座り込み大の字に寝そべり浮かぶのは奴、アギュレイスが封印の間際に残した邪悪な予言

 

 

 

ーク、クスヌノラ、アキツキヌマキイクスハ…リュウルヌチヌシイウムトウオツクヌツツクヌイイヌチウツスドルウ!!ー

 

 

 

リュウルヌチヌシイウムトウオツク……《龍の魂を身に宿す者》に秋月の魔戒騎士が命絶たれる…秋月の伝承にある《誇り高き龍の三戦士》が関係しているのかと思い調べたが《心偽ること良しとせず魂偽らず、己が身を盾にし人を守る誇り高き龍の魂と共にある三戦士。魔戒騎士である我らに通ずる根幹ありき》とある。そんなことはあるまいと身体を起こすとタカヤが駆け寄ってきた

 

 

「ひいじいさ、どうしたの?どこか悪いの?」

 

 

 

「い、いや…少しウトウトしてての……」

 

 

 

「そうだね~ここって暖かいし……」

 

 

 

そういってワシの隣に座るタカヤ…そうとう気持ちいいのかプリムから受け継いだ犬耳と尻尾がフにゃと垂れてくのがわかる…つい自然と手が伸び撫でながら口を開いた

 

 

「タカヤ、タカヤは将来は何になりたいかの?」

 

 

 

「しょうらい?ん~~~~~……ひいじいさみたいな

《まかいきし》になりたい!」

 

 

 

「な?…確かにワシは魔戒騎士じゃが…ほかには無いのかのメイのあとを継ぐとか、ユウキからお菓子作りを学んでケーキ屋さんになるとか……何で魔戒騎士になりたいのかの」

 

 

「…ん~~龍みたいな鎧をつけたおばちゃんが……

 

 

 

 

ーあと、お前は今までんなかで、歴代最強の魔戒騎士になる!!それをわすれんなよ!!ー

 

 

 

 

 

…って」

 

 

モ…モードレッド様ああああああ!?叛逆の騎士と呼ばれた方がなにまともな事を!?乳…父上に刃向かって国を滅ぼした方がなにいってんじゃ!?……ふとタカヤの目をみると初代様の伴侶様と同じ虹彩の瞳、それもくすんだ色ではなく深い紫、真紅の彩りは肖像画に描かれた伴侶様の魂が《魔戒騎士として様々な苦難に晒される子孫を守る》為の証しだと

 

 

……思えばワシも若き日に魔戒騎士になることを拒み出奔し気ままな旅を続けた…人の世を、美味い食べ物を食って、様々な武闘家と戦い続けた日々を経て戻って叔父であるロウマに師事し受け継いだ魔戒剣斧を手にした時にワシの瞳の色が変わった…あの忌々しい事件から彩りは薄れ始めていたが。まさかタカヤに顕れるとはな…ならば問うとするか

 

 

 

「…タカヤよ、ワシみたいな魔戒騎士になりたいのか?」

 

 

「うん!ひいじいさみたいに強いまかいき………」

 

 

「タカヤ…タカヤはワシみたい魔戒騎士にはなれん…」

 

 

 

「え?なれないの?ぼく、ぼく、ひいじいさまみたいなまかいきしに…なれ…ないの?」

 

 

 

「い、いや…違うんじゃ…ひいじいじがいいたいのはの…ワシみたいな魔戒騎士はワシだからこそなれるんじゃ…己が他者に成れぬように…タカヤは」

 

 

涙目になりプリム、メイ譲りのタカヤの犬耳を撫でながらあぐらをかいた膝の上に座らせゆっくりと、よく聞こえるように言葉をつむいだ

 

 

 

「……タカヤはタカヤにしか成れぬ魔戒騎士になるんじゃ……」

 

 

 

「ぼくにしか…なれない…まかいきし?」

 

 

 

「そうじゃ。約束できるかの………」

 

 

 

「……うん!ひいじいさま。ぼくはぼくにしかなれないまかいきしになる!えい!!」

 

涙目から凛とした目に変わりワシから離れると辿々しいながら落ちていた木の枝を手に振るい始めた…まだバランスは悪いと苦笑いした時、風を切り、空をも斬る成長したタカヤの姿をみたが、一瞬でもとに戻るのをみたワシはゆっくりと背を樹に預けると、全身の力が抜けていく…どうやらワシはここで死を迎えるようだ…気配を感じ目を向けると我が父オウシュウ、そして七代目継承者にして叔父オウマがタカヤをみている。ワシに気づいたのか微かな笑みを浮かべている

 

 

「えい、やあ!………はあ!」

 

 

 

叔父オウマ、我が父オウシュウが見えるということ、それは英霊として迎えに来たのだとわかる…だがもう少しだけこの世にとどめさせてくれ。目が霞んでくる

が魔導力を視ることに集中させ見守る

 

 

まだ粗いがいい太刀筋だタカヤ…腰を入れて刃先に意を。そうだいいぞ、そのまま……一気に踏み込……ふみこ…

 

 

ワシの意識はここで途絶えた…遠くに引き寄せられる感覚と同時にタカヤの泣く声が聞こえた気がした

 

 

 

「どうかな、ひいじいさま………ひいじいさま?……ひいじいさま!」

 

 

 

 

 

 

新暦69年

 

 

第八代継承者《秋月鷹流》 秋月屋敷にある《ひだまりの森》にて老衰により死亡

 

 

 

享年:168歳

 

 

 

 

 

 

やんちゃな時代から好々爺へ変わられたオウル様の物語はここまでとなります。亡くなられてからキリク様、魔戒剣斧はメイ様の手で厳重に封印されました…タカヤ様はオウル様が亡くなられた事が心に影を落とされました

 

あとは皆様のご存知の通り、ヴィヴィオ様たちと出会い、甦りしホラーとの戦いを繰り広げるなか、オウル様が言われたタカヤ様にしか成れぬ魔戒騎士へと成長された事は英霊となられたオウル様もさぞ喜ばれたはずです

 

 

………長らく私めの話に耳を傾けていただいた事、感謝いたします

 

 

次の機会あらば、また静聴をよろしくお願いします

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Vivid!スクライド!!
Vivid!スクライド!!


新暦76年、冬…廃棄都市

 

 

「確かにここなのか?」

 

 

「うん、ここを根城にしてるみたい」

 

 

「ったく、やになるっすね~でたばかりのあたしたちに押しつけるなんて」

 

 

 

「ウェンディ、今は仕事に集中しろ…………私たちを引き取ってくれた父上のためにもな」

 

 

「わかってるっすよチンク姉…《金ピカライオン》狩りをするっすよ!」

 

 

 

ジェイルスカリエッティが起こした事件から二年…厚生施設からでたばかりのチンク、ディエチ、ウェンディは更正プログラムの一環として身元引受人となったゲンヤ・ナカジマ中佐率いる陸士108部隊へと預けられていた

 

 

そんなとき、廃棄都市でならず者相手に暴れまわる《金色のライオン》…隣接する都市部にも現れたと聞き治安を危惧し108部隊はチンク、ウェンディ、ディエチと隊員100名余りを派遣した。廃棄都市へはいりみたのは驚くべきモノだった

 

 

 

 

『ガアアアアアアァアアアアアアアア!!!』

 

 

 

黄金の光を身にまとい陸士108部隊を拳一つで殴りつけ叩きのめす黄金の獅子……真っ赤な鬣を揺らしギロリっ睨み叫んだ

 

 

 

『が、ガアアアアアア!』

 

 

 

「く、手ごわい……ディエチ、ウェンディ油断するな!……気を引き締めなければ負ける!! 」

 

 

 

スティンガーすべてを殴りつぶし粉砕した黄金の獅子に冷や汗を流し、久しぶりの強敵に内心喜びを感じるチンク…ディエチのイノーメスカノンの砲撃、ウェンディのライディングボードによる牽制に追いつめられていく

 

 

「そこだ!」

 

 

 

『ぐ、ぐ、ガアアアアアア……………』

 

 

 

スティンガーが顔面へ突き刺さり爆発、煙に包まれ胸をなで下ろし近づいた三人の前には

 

 

 

「……………こ、子供?まさかさっきの相手は…」

 

 

 

ボロボロの薄汚れた布を巻いた10歳前後の子供が倒れ伏す姿…三人は気絶した子供と共に傷ついた陸士隊員と共に帰還したのだが、身元すらもわからない、それどころか言葉も通じなかったのだ

 

 

 

「……あ、あの」

 

 

「が、があぁ!がっ!がぅ!!」

 

 

 

保護されてからも敵意を剥き出す姿にため息をつく…身につけていた服から辛うじて読み取れた文字《ーーーKAZーーーUMーーーA》からカズマと名を付けられた…一週間すぎても敵意を向け威嚇していた

 

 

「うう、あの子怖いっすよ!?」

 

 

「ウェンディ、あの子…もしかしたらだけど、あの廃棄都市でずっとひとりで生きていたんじゃないかな?頼れる人がいなくて…もしかしたら恐いんじゃないかな…私たちとにてるかも」

 

 

「でも、何も口にしてないんっすよ!?このままだと……チンク姉?!なにするんっすか!?」

 

 

 

「!ふぅぅぅ!ふぅぅぅ!」

 

 

「…………」

 

 

部屋の隅にうずくまり敵意の眼差しを向けるカズマに近づき、座ると持っていたパンを口にしたべ差し出した

 

 

「ふぅ!?」

 

 

「毒など入っていない……喉も乾いているだろう?さあ……」

 

 

 

「……ぐるる………!!」

 

 

差し出された食べかけのパンを鷲掴みにしクンクン匂いをひときしり嗅ぎ口にする…ただ無心に噛みちぎり飲み込んでいくも喉を詰まらせそうになるが、スッと先に飲んで見せたミルクが差し出さる。パッとつかむやいなや喉を鳴らし飲む姿に唖然となった

 

 

「う、うそ」

 

 

「あの子が……しんじられないっす」

 

 

「ングング…はっ」

 

 

「こら、あまりがっつくな。喉をまた詰まらせるぞ?」

 

 

カズマとチンク…野生の獣と戦闘機人である彼女との奇妙な繋がりが生まれた瞬間。そして一年の月日が流れた

 

 

 

「カズマ~コレはなにかわかるか?」

 

「…と…とり……」

 

 

「よくできたな。えらいぞ」

 

 

 

「カズっち、いい加減あたしのなまえ覚えるっす!!ウェンディっす!!」

   

 

 

「えんう゛ぃ……」

 

 

「ウェンディっす!あたしは鋼の錬金◑☆のホム◑☆クルスじゃないっすよ?」

 

 

「こらこら、まだ言葉を覚えたばかりだから無理強いはダメだ」

 

 

 

「チンク姉の言うとおりだよ。ねぇ~カズマ?」

 

 

 

「で…えち……」

 

 

少しずつ言葉を覚えていくカズマ…特にチンクに懐く姿は兄妹にしか見えない……そして新たな出会いをむかえる

 

 

 

「はじめまして、わたし高町ヴィヴィオです。よろしくねカズマ」

 

 

 

「う゛ぃう゛ぃ………たか……まち……ぼく……かずま」

 

 

 

ヴィヴィオとの出会いがカズマを人としての心を育んでいく…しかしソレはあっけなく崩れた

 

 

 

 

「見つけたぞNP23082…」

 

 

 

「……ちがう……ぼく……かずま」

 

 

 

「あぶないカズマ!」

 

現れたのは謎の組織《ホーリー》…なすがままになぐられるも見ていられず間に割って入り自分をかばい地面へ倒れたチンクをみたカズマの中で何かが切れた

 

 

「へ、戦闘機人風情が…まあ、いつか我がホーリー…カツキ様がきれいさっぱり抹殺してくれるんだからよ」

 

 

 

「チ、チンクおかあさん…………ふ、ふ、ふぅぅぅ…………うわああああああああ」

 

 

慟哭の叫びと共にカズマの周り…道路、ビルの壁、車の一部がはじけえぐり取られ光となると同時に右腕を突き出す…拳から肩まで三枚おろしに別れ節々にリングが拘束、金と赤の装甲が構築され右肩の肩甲骨に三枚の羽が形成、髪の毛が逆立たせながらチンクを守るように立つ姿に慌てふためくホーリーへ拳を向けた

 

 

「ば、はかな!アルターを発現させただと!」

 

 

 

「チンク母さん、傷つけた…母さん、傷つけた……ゆるさない、ゆるさない…おまえ、ゆるさない!…おまえ、許さない!!シェエルゥウブリットオオ!衝撃のおおファアアアストブリットオオ!!」

 

 

 

地面を蹴るやいなや、大きく振りかぶると背中の羽が一枚瞬く間に砕けると同時に加速、ホーリーの一員の眼前に迫りめいいっぱい殴る。顔面が歪みそのまま殴り抜くと水切り石のように跳ね続けてビルの外壁に大の字に叩きつけられた

 

 

「カ、カズマ?」

 

 

 

「ふぅぅぅ……ふぅぅぅ………」

 

 

 

この日からカズマとホーリー、ホーリー率いるカツキ・スルクマ

クソ白熊ヤロウ

との戦いが始まる

 

 

 

「テメェがいうように、実の親も、社会なんたらって地位も、学も無い…すべてテメェより劣ってかも知れねぇ……ただな、たった一つだけ勝ってるモンがある。見せてやる、いや見せてやるぜクソ白熊やろう!!……これが、コイツがッ!僕いや、オレのぉおおっ!自慢の拳だあああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

読み切りです

 

 

すいません!

 

 

主人公設定

 

 

カズマ(推定10歳)

 

身長:135㎝

 

体重:40㎏

 

 

髪の色:黒みかかった茶髪で無造作にまとめられている

 

 

瞳の色:黒

 

 

好きなモノ、色、人

 

肉、銀色、ナカジマ家のみんな、お母さん(チンク)

 

 

キライなモノ、色、人

 

 

魚、灰色、特に無い

 

 

 

特殊能力……《シェルブリッド》

 

 

融合装着型アルター。右腕が装甲で覆われ、背中には3本の赤い羽根が特徴をもち発現時に髪の毛が逆立つ。

 

羽根を1本を分解と同時に推進力へ変え敵に突進し殴り抜く強烈な一撃を見舞う衝撃のファースト・ブリット、ーーーーーー、ーーーーーーーーを持つ。強力な技だが一度の能力発動で使える必殺技はこの3発までが限度

 

 

だが発現時は身体能力が常人の数十倍から無限に跳ね上がり地面を殴りつけ高くジャンプ、または身体の動きで攻撃を受け流し無効化する

 

 

アルター発現時は性格は保護される前のモノに限りなく近くなり、語調がたどたどしいモノからはっきりいうようになり闘争心剥き出しになる

 

 

カズマのアルター能力はまだまだ成長する可能性を秘めている

 

 

 

アルター発現時

 

 

パンチ力:5t

 

キック力:1.5トン

 

 

ジャンプ力:10~25m

 

 

最大速度:100メートルを三秒

 

 

衝撃のファーストブリット:10t~20t

 

????:????   ???

 

 

 

 

????:????   ???

 

 

 

廃棄都市の一画を根城にし、近づくモノ、目をあわせたモノすべてに敵意を剥き出しにし拳一つで叩き潰していた。その姿は《金色の鎧に身を包みライオンを想わせる鬣を揺らす破壊者》《黄金獅子》《拳の悪魔》と呼ばれ恐れられていた

 

 

新暦76年、冬に管理局陸士108部隊、同部隊に一時的所属していたチンク、ディエチ、ウェンディの手で一時間かけようやく確保した

 

 

保護されてからも言葉を一切話さず、敵意と警戒心を剥き出しにし威嚇していた…食事をとらず弱っていくも恐れずチンクが近寄りパンとミルクを食べて飲んでみせ差し出した事でようやく警戒心を少しずつ解いていき信頼を寄せていく

 

 

カズマの名前は身にまとっていたボロボロの服?に《N◑☆…………KA◑☆ZU♪☆M◑☆◑A》と辛うじて読めた文字を繋いでチンクが名付けた

 

 

 

ナカジマ家に引き取られ一年経ち、若干人見知りし唸るも簡単な言葉なら話せるようになった

 

 

アルター能力とは

 

 

 

ー精神感応性物質変換能力ーと呼ばれ、自分の意志(精神力)により周辺の生物以外のあらゆる物質を原子レベルで分解し、各々の特殊能力形態に再構成することができる特殊能能力である。

 

構築されるアルターの形状や能力はアルター使いにより様々、カズマのは体の一部を変化させる融合装着型にカテゴライズされている



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魔法少女リリカルなのはVividー魔法武闘伝!ー
魔法少女リリカルなのはVividー魔法武闘伝!ー


それではリリカルGファイト!レディィゴオッ!!


さて画面の向こうの大きな大人から幼き子たちへこんばんわ

 

今宵、第一管理世界に数多の光が飛び立った…まるでふるさとを目指すように。しかしだ、そのうち一つの光が軌道をかえへ解体予定の廃都市エリアに落ちた

 

 

果たしてこの光が何をもたらすのか……私にもまだわからない

 

 

「あ、あれは………ついにきたのか!四年ぶりに始まるぜ!Gファイト開催だ!!あんた達、あの光が落ちた場所にむかって《G-device》を使うファイターを始末しな!!」

 

 

 

 

ならず者たちに激を飛ばす彼女が言うG-device、Gファイト果たしてナニを意味するのか…………それでは!リリカルGファイト!レディィィィゴオッ!!

 

 

魔法少女リリカルなのはVividー魔法武闘伝!ー

 

 

 

 

ひと月後…クラナガンにある区民公園。朝靄が、霞む道を走る三人の少女…Stヒルデ魔法学院に通う高町ヴィヴィオ、リオ・ウェズリー、コロナ・ティルミ、アインハルト・ストラトス、フーカ・レヴィントンはいつものように走り込みをしていた…そんな時、彼女たちは出会った

 

 

 

「う、く…」

 

 

「あ、あの…どうしたんですか?」

 

 

 

「め……」

 

 

 

「め?」

 

 

 

「メシを………きゅううう」

 

 

 

 

「あ、し、しっかりしてください!アインハルトさん!ノーヴェを急いで呼んで!!」

 

 

「は、はい!会長、聞こえますか…すぐに」

 

 

赤いマントに無造作に伸びた黒髪、赤いハチマキをした少年…アスカ・レクスを伴い向かったのはナカジマジムにある一室

 

 

「ん、ぐ、がつがつ………ん、ん、ん………はああ生き返ったあああああ」

 

 

 

 

「………すごい……アレだけの量をたいらげるなんて……あの、一体どれぐらい食べてなかったんですか?」

 

 

 

「ん~ひと月位かな~……っと自己紹介まだだった!オレはアスカ・レクスだ」

 

 

「ひ、一月もですか?あ、わたしはユミナです。このナカジマジムのトレーナー……まあお手伝いですけど」

 

 

 

「よろしくなユミナ…………あ、あとさ、おかわりあるかな?」

 

 

 

「……ふふ、ありますよ……でも食べ過ぎはあまりよくないですよ」

 

 

バツが悪そうにおかわりを求めるアスカの後ろには山のようにつまれた皿を見ながら、よく食べる人だなと思い笑いながら料理を作りに部屋を後にした…一宿一飯の礼をするためアスカはナカジマジムの手伝いをする事になった

 

 

しかし…ユミナとフーカが何者かに攫われてしまう…ノーヴェたちが行方を探す中、アスカが向かうのは廃棄都市…そこを根城にするならず者たちを率いるアンジエロ。そしてビルからロープでつるされたフーカ、ユミナの姿をみた

 

 

 

「来たか!待っていたぜ………動くなよ…少しでも動いたら嬢ちゃん達が死ぬぞ?」

 

 

 

 

「アスカさん!来たらダメ!!」

 

 

 

「レクスの兄さん!来たらダメですワタシのウーラも勝てん相手や!」

 

 

 

「………安心しろって…すぐに終わらせて会長やヴィヴィ、ハル、リオっち、コロナんとこに帰るぞ…」

 

 

 

「な、なめんじゃなぇぇ!!

 

 

 

アスカの言葉に疳が触ったのかナイフでロープを切りつけた。真っ逆様に落ちる二人をみてアスカは地を蹴り二人を抱きかかえ降りた。しかしアンジェロの部下達が構えた質量兵器から火が噴き銃弾の雨がふりそそいだ…土煙が立ちやがて弾が切れ止む

 

誰もが死んだと確信した…しかしそこにいたのは赤いマントを揺らし立ち傷一つないアスカの姿。うろたえる部下の目には両の手の指には無数の弾丸は挟み掴まれ右手が微かに赤く輝き見えたのはトランプのハートのキングの紋章に唖然となった

 

 

「あ、あれは…あの紋章は…アイツが管理世界、管理外世界格闘技大会を最年少で制した覇者《キング・オブ・ハート》………アスカ・レクス!か、勝てねぇ、勝てねぇよボス!」

 

 

 

「っせぇ!ち、ならばネロス!セットアップ!!」

 

 

 

手にかざしたリングから光が赤い光か溢れアンジェロの身体に装甲が形成装着されたのを目にしアスカもハチマキを手にとる

 

「ユミナ、フーカ……急いでこっから離れろ……もうじきしたら会長も来るから…」

 

 

 

「え?でもレクスの兄さんは………?」

 

 

 

「そうですよ!フーカさんでも勝てなかったのに一人じゃ……」

 

 

 

「いいから………こっから先はオレの戦いだ……………いくぞ!シャアアアアイニング!ガンダアアアアアア!!」

 

 

《G・device《SHINING》、set up!》

 

 

 

二人から離れ振りかざしたハチマキから光が溢れだす。瞬く間にファイティングインナー姿に、全身に白、青、赤、最後に頭部にブレードアンテナがつくと気合いと共に構え動く様はまるで演武が終わるとアンジェロに向き直る、同時刻ミッドチルダの衛星軌道に置かれたコーナーポストを模した衛星からビームを放ちまるでボクシングリングを形成した

 

 

 

ーGファイト、ファイテングシグナル確認……コレより第十八回大会を開催しますー

 

 

 

「ち、やるしかない!Gファイト、スタンバイ!!」

 

 

 

「レディィ………ゴオッ!!」

 

 

 

地を蹴り殴り合い互いの拳を掴み踏みとどまる…しかしネロスの肩にあるマシンキヤノンが火を噴きたまらず離れ身を隠す…アスカを探すためにネロスが取ったのは

 

 

 

「ドコにいやがる……ならこの銀色の脚でいぶり出してやる!」

 

 

「なに!」

 

 

無数の集束砲が脚部装甲から放たれ廃都市を砕いていく…少し離れた場所に隠れたユミナ、フーカに銀色の脚が迫るも寸前でアスカが立ちはだかりアームガードで集束砲を防いだ

 

 

「アスカさん!/レクスの兄さん!」

 

 

「ぐ、ぐう……お前が銀色の脚なら……こっちは黄金の指だ!!」

 

 

「な、なに!」

 

 

銀色の脚から放たれる集束砲をモノともせず左手でうけながら加速、構えた右腕アームガードが展開、装甲に包まれた拳が開き緑色に輝いた

 

 

「必ィィ殺ッ!シャイニングフィンガアアアアアア!!」

 

 

「ひ、ひいいあああ!?」

 

 

アンジェロの頭を鷲掴みに溢れるエネルギーが浸透、頭部にあるヘッドギアを砕いていく

 

 

 

「Gファイト次元世界条約、第一条!頭部G-deviceユニットを破壊された者は即、失格となる!!」

 

 

 

「う、うわあああ!」

 

 

破壊されていく頭部G-device…コレには装甲形成およびのコンディション維持機能が集約されている…つまり最大の弱点でもある…激しい痛みに襲われるアンジェロの頭に声…アスカからの念話が響いた

 

 

 

ー……おい……こいつを知らないかー

 

 

 

 

ーし、しらねぇ……しるかよ……ー

 

 

 

ノイズ混じりに見えた人物に知らないと答えるアンジェロ…さらに指に力を込めた

 

 

「そうか……Gファイト次元世界統一条約、第二条!」

 

 

 

「と、頭部G-deviceを破壊された者に攻撃をしてはならない~」

 

 

 

輝く手…シャイニングフインガーで粉砕されネロスは強制解除され倒れたアンジェロ。シャイニングフインガーを解除し立つアスカ・レクス…その戦いをみていたフーカ、ユミナはただ言葉を失い見続けていた

 

 

この日、次元世界の覇権を決める四年に一度のGファイトのゴングが鳴り響いた

 

 

 

 

 

さてさて、この少年アスカ・レクスは何者なのか?そしてGファイト、キング・オブ・ハート……ますます目がはなせなくなりそうだ

 

 

それでは一時の終幕……またいつかお会いしよう

 

 

私、チンク・ナカジマも再会をたのしみにしよう

 

 

魔法少女リリカルなのはVividー魔法武闘伝!ー

 

 

 

 

 

 

アスカ・レクス

 

 

年齢:15

 

 

出身世界:不明?

 

 

 

習得武術:流派東方不敗

 

 

 

 

ヴィヴィオ達の前で空腹で倒れていた所を助けられてから一宿一飯の礼としてナカジマジムの手伝いをするようになった少年

 

 

かなりの大食漢で人懐っこい…ドコにでもいるような感じだが正体は管理、管理外世界格闘技大会を最年少で制覇し《キング・オブ・ハート》の称号を受け継ぐGファイター。生身で銃弾を掴み取るほどの反射神経を持つ

 

 

ある人物を探しているみたいだが…

 

 

生まれつきリンカーコアをもって無い為、他のGファイター達同様に氣でG-deviceを起動させている

 

 

 

G-device《SHINING(シャイニング)》

 

 

形式番号:GFD-01J18

 

 

Gioria

 

Unum

 

Nodus

 

Defensio

 

Armum

 

Magia

 

 

アスカ・レクスが持つ特殊装着型デバイス…ラテン語で《絆結びし栄光ある者を守護せし練氣の鎧》を意味するG.U.N.D.A.M-device…通称《G-device(ガンダム-デバイス)》。Gファイト専用に生み出されリンカーコアを持たぬGファイター達の鎧にして相棒

 

 

 

 

 

Gファイターであるアスカの氣にあわせて入念に調整され必殺・シャイニングフインガーなどの特殊練氣攻撃を可能とする…一応、インテリジェントタイプで声は秋元ボイスな師匠。人機一体となりアスカの身体能力とあわさることで驚異的な力を生み出す

 

大会規約に則りクラッシュエミュレートを採用しダメージを受ければ同様の痛みが再現される

 

 

 

Gファイト

 

 

新暦07年、管理、管理外世界で全面戦争が勃発しかけた時、管理局に提唱されたモノ

 

 

四年に一度、管理、管理外世界から優れた魔導師、騎士、氣闘士を選抜し代表とし戦い勝利した代表が所属する世界が四年間、管理局の実質的主導権を得られる『平和的な代理戦争』

 

 

ただし…ヴィヴィオ達が参加するインターミドルとは違い所属する管理世界、管理外世界の威信と名誉を背負う戦い

 

 

戦って、戦って、戦い抜き勝利したGファイターにはG・of・Gの名と名誉が約束される。現在までミッドチルダが四回勝利し実権を握っている

 

 

 

Gファイトとは先に述べたG.U.N.D.A.M-deviceを纏い戦うコトから頭文字からGファイト、もしくはガンダムファイトと呼ばれてる

 

 

 

 

G《ガンダム》ファイト!次元世界統一条約七箇条!!

 

 

 

第1条 『頭部Gdeviceを破壊されたものは失格となる』

 

 

補足:軽微なダメージであるならば失格とならない

 

 

第2条 『G-deviceを破壊し失格となった相手を攻撃してはならない』

 

補足 :ファイト中の過失による相手ファイター殺傷は認められる

 

 

 

第3条 『破壊されたのが頭部G-device以外であれば、何度でも修復し決勝リーグを目指すことが出来る』

 

第4条 『Gファイターは己のG-deviceを守り抜かなくてはならない』

 

第5条 『1対1の闘いが原則である!』

第6条 『管理、管理外世界の代表であるガンダムファイターはその威信と名誉を汚してはならない!』

 

第7条 『管理世界(優勝管理世界)がリングだ!!』

 

補足 『G《ガンダム》ファイトにより建築物を破壊しても罪に問われない』

 

 



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おまけ

                    新
                    一
          看  全   東  派
          招  新   方
          !  召   不
             式   敗 
       血
       染     石   王
       東     破   者
       方     天   之
       一     驚   風
       片
       紅
       !


おまけ

 

 

 

 

Gファイトも佳境に入りアスカはナカジマジムの面々と共にいる事が当たり前になっていた……しかし、ファイトで呼び出されたヴァイゼンである人物との再会を果たしたのだ

 

 

 

 

 

「喝!!応えなさいアスカ、流派東方不敗は!!」

 

 

 

「王者の風よ!」

 

 

 

「全身!」

 

 

「系裂!」

 

 

 

「天破狂乱!見よ東方は赤く燃えているうううう!!」

 

 

 

拳と拳。蹴りと蹴りの応酬、それをいなし流派の謳い文句を叫び撃ち合う女性…彼女の名は《東方不敗》

 

 

産まれてすぐ事故で両親を無くしたアスカを我が子、流派東方不敗を継ぐ者として育てあげ《血のつながり》よりも濃い唯一無二の家族。母にして先代《キング・オブ・ハート》

 

 

「お久しぶりです師匠!!」

 

 

 

「アスカ、相も変わらず息災ね………みないうちに良い面になった……可愛い恋人も出来たみたいだし紹介はしてくれないのかしら?」

 

 

「し、師匠?ユミナとフーカとリンネは彼女じゃ無いで……っ痛!?」

 

 

 

「ふふ、まだまだ鍛錬が足りないわね。アスカ、少しは女心を学びなさい」

 

 

 

思いっきり肘うちを打ち込まれるアスカ、頬を膨らませるリンネ、フーカ、ユミナに笑う東方不敗。同じ流派を収めた師弟の感動の再会……しかしコレが最悪なモノに変わるとは誰が想ったことだろうか?

 

 

 

「し、師匠…なぜ!なぜ!こんな事を!!」

 

 

「……ふふふふ、驚くのも。信じられないのも無理はないわね………でもコレは事実、悲しい?苦しいわよね?…アナタの胸のうちはすべてわかるわ。母を信じなさい…そうすれば救われるわ……さあ、手をとりなさい。あなたの師であるワタシが導いてあげ…」

 

 

 

 

「「「「そこまで!」」」」

 

 

 

「く、邪魔を!もう少しで……ま、まさか……ここまで来るなんてね…シャッフル同盟!!」

 

 

 

甘言に惑わされる寸前に割って入るは管理世界、管理外世界……管理局創設、新暦以前から存在し戦いの秩序を受け継ぎ守る者《シャッフル同盟》…ブラックジョーカー、ジャックインダイヤ、クイーンザスペード、クラブエースの姿

 

 

 

 

「…見つけたわマスター。シャッフル同盟の名を汚した罪は万死に値する……」

 

 

 

アスカの師を抹殺すると告げるもシャッフル同盟の面々、師に懇願するも東方不敗から縁を切られてしまう…しかし共に過ごした師であり母を信じる心に突き動かされ赴いた先にいたのは拳を交えた戦友たち

 

 

「ま、まさか!ありえん……こんな事が!!彼女達が!?」

 

 

 

悪に染まり変わり果てたあすの戦友たちと拳を交えたシャッフル同盟…自らのすべてを新たなシャッフル同盟の後継者に託すコトを決めた……

 

 

 

「…我々の命の炎を極限にまでに…………燃やすのです!!」

 

 

 

ーアスカ・レクス、我らシャッフル同盟の命運はキング・オブ・ハートとしてのお前に任せる!!ー

 

 

 

まばゆい光……命の輝きが太陽のように燃え、後には戦友たちと石像となり立つも風に触れた瞬間、砕けちった…その破片を手にした東方不敗は迷わず砕いた

 

 

 

「ふ、ふふ………あははははは……愚かね。こんな小娘を助けるために命を投げ出すなんて…無駄死にの極み……ははははははは………!?」

 

 

 

「はあ、はあ……………はああああああああああ!!」

 

 

 

雄叫びと共に光に包まれるシャイニング…真紅に輝くオーラが地を割りめくれあがらせた……肩アーマ、アームカバーニースラスターが解放されたことで凄まじい力………シャイニング《怒りのスーパーモード》が今解き放たれた

 

 

 

「オレのこの手が光って唸るうぅ!!師匠を倒せと輝きッ叫ぶゥ!くらえぇぇッ!愛と!怒りと!悲しみのおおおおお!シャイニングフインガーソード!面ッ!面ッ!面ェェェン!!

 

 

「な、そんな!引くしかない………」

 

 

 

 

怒りのスーパーモード…シャイニングフインガー・ソードに斬られ退くマスターを纏う東方不敗…

 

 

実の親子と言って憚らない二人の縁は切り裂かれた……あまりの出来事に私は言葉を失った

 

 

しかし、コレは避けては通れない道…新たにシャッフル同盟に選ばれた戦友たちを巻き込みGファイトは新たな局面を迎えていくのが私にはわかる

 

 

 

それでは!しばしのお別れになるがリリカルGファイト!!レディィゴオッ!!

 

 

 

 

キャラクター紹介!

 

東方不敗

 

 

本名:クロエ・アキツキ

 

 

 

年齢:39(外見年齢は28)

 

 

性別:女性

 

 

B:96

 

 

W:62

 

 

H:89

 

所属管理世界:ミッドチルダ

 

 

使用G-device《Master》

 

 

 

黒髪を薄紫色のリボンでまとめチャイナドレスを身にまとうアスカの師にして史上最強の母親(義理)、前回Gファイト優勝者!

 

 

その力は生身で頑強なゴーレム(15~60メートル級)の集団を拳と蹴りで粉砕、さらには髪を纏めるリボンに気を流し込み刃と変え一刀両断、流派東方不敗の秘技も相成り次元世界最強の武闘家としてGファイト関係者、一般競技者にその実力と名は知れ渡っている

 

 

 

 

性格は原典のマスターアジアと同じ…若くして次元世界最強の武闘家の称号を欲しいままにするも子供が産めない身体であった為、ひたすら奥義の完成に腐心していたが、新暦6?年、修行先で起きた災害の救助に協力する中で瓦礫に潰された車で死した両親から守られるよう抱きかかえられた赤ん坊を救い出した。最初は施設に預けようとするも自分から一度離れれば泣く姿をみて引き取る事を決め、流派東方不敗継承者、我が子として育て上げた

 

アスカの名前は97管理外世界でみた鳥が羽ばたく姿、ラテン語のレクス(王)から取られており『自らのもとから力強く羽ばたき王の名(流派東方不敗継承者)に相応しい者になるよう』との意味が込められている

 

四年前、第十七回Gファイトを優勝してから間もなく《キング・オブ・ハート》の称号を譲りアスカ、シャッフル同盟からも姿を消していたのだが……

 

 

流派東方不敗、使用技

 

 

 

 

 

 

掌技《フィンガー》

 

 

 

光輝唸掌

 

 

使用者:アスカ・レクス

 

 

流派東方不敗の基本技の一つで、気を込めた掌打を相手に放つ。もしくは頭部に触れ気を流し込み気絶させる技、アスカが流派東方不敗を学びはじめて、一番最初に覚え後に必殺・シャイニングフインガーへと昇華させた

 

 

 

 

 

 

 

 

練気布系

 

 

布に気を流し自在に操り使い方を極めれば名刀にも勝る切れ味をもたらす。アスカは自身のG-deviceであるハチマキ、師である東方不敗はリボンを用いる

 

 

 

 

回転布

 

 

使用者:マスターアジア

 

 

布で輪を作り、その中を回し車のように走ることで高速で敵陣を駆け抜ける技。そこから連続攻撃から様々な流派東方不敗で技へ繋げる事も可能

 

 

 

 

 

十二王方牌大車併(じゅうにおうほうぱいだいしゃへい)

 

 

使用者:マスターアジア、アスカ・レクス

 

 

掌を前面に突き出し、大きく円を描き動かし梵字を出現させ、使用者の小型の分身を気で多数作り出し、対象に攻撃を仕掛ける技。その力は使用者に比例し強さを増していく

 

 

分身を「帰山笑紅塵(きざんしょうこうじん)!」の掛け声と共に身体へ戻し気の消耗を防ぐ

 

 

 

 

 

 

十二王方牌

 

 

通常技を十数発相手に叩き込んだ後に十二王方牌大車併を相手に放つ連携技。技名の十二王方牌に大車併や大車輪などの言葉は付かない。

 

 

超級覇王日輪弾

 

 

 

気を灼熱に変化し練り上げ掌から放つ高熱気弾。文字通り相手を焼き尽くす(G-deviceのみ!)。若き日の東方不敗が編み出した

 

 

 

 

 

 

超級覇王電影弾

 

 

 

使用者:マスターアジア、アスカ・レクス

 

先にある超級覇王日輪弾の派生技、頭部以外の全身を気弾で渦巻き状に包み、頭から敵陣を突き抜け多数を攻撃する。最後に「爆発!」の掛け声と合わせ、一気に粉砕する。

 

 

二人では使う場合、1人がエネルギーを纏った砲弾となり、その砲弾に自分のエネルギーを与えながら撃ち出す。騎士、魔導師、闘士数十人を纏めて葬る力を持つ……受けた者の中には高笑いしながら突き進む東方不敗の顔がトラウマになる者もいたとかないとか

 

 

 

 

酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ(すいぶ さいげんこうこデッドリーウェイブ)

 

 

使用者:マスターアジア

 

 

気の波動を発しながら対象に光速で突撃、「爆発!」の掛け声と共に粉砕する

 

一度、アスカが使おうとするも気の配分を間違えて気絶してしまった技でマスターアジアから『未熟!』と一喝された

 

 

 

 

石破天驚拳(せきはてんきょうけん)

 

 

使用者:マスターアジア、???????

 

 

 

 

流派東方不敗が最終奥義。天然自然の力を借り、それを拳の形の気功弾として撃ち出す。G-device未装着生身での使用も可能で小さな山程度なら軽く砕き、G-device装着時に放たれた場合の威力は管理局が有する《アルカンシェル》と同等、それ以上の破壊力を持つ

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 



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魔法少女リリカルなのはstrikers/ブレード
魔法少女リリカルなのはstrikers・after/テッカマンブレード


………仮面の下の涙を拭え!


………ミッドチルダで起きた空港大火災事件、親友たちと共に救助活動に参加したフェイト・テスタロッサ、フェイトが保護した少女ギンガ・ナカジマは見てしまった

 

 

『…………逃がすかブレード!!』

 

 

『ダガー!!』

 

 

 

燃え盛る炎の中で弓を構えた灰色の全身装甲に包まれた戦士《ダガー》が打ち出す矢を切り払い接近する白色の装甲に身を包んだ騎士《ブレード》が両手に剣で弾き切り払い凌ぎを削る戦いを

 

 

『やるなブレード!……だがお前の負けだ!!』

 

 

『!』

 

 

 

目を細めダガーは弓をブレードではなくフェイトとギンガがいる場所へ向け打ち放つ…無数の光弾が迫るのを目にしプロテクションを展開しようとバルディッシュを構えようとする前に白い影が割り込んだ

 

 

 

『う、うおおお!!』

 

 

無数の光弾が白い騎士……ブレードに突き刺さり着弾と同時に爆発、背後にいるフェイトとギンガを護りきると膝をつき肩で息をした時、額の六角形のクリスタルが点滅をはじめたことに焦りの色を見せる

 

 

『(く、これ以上は…)…………ぐ』

 

 

『どうしたブレード?力尽きたか?……膝が笑っているぞ?うん?』

 

 

 

「あ、あの…あなたたちは一体」

 

 

 

『………お前たちには関係ない…………ダガー、今日こそ決着をつけてやる!!』

 

 

『減らず口を……死ねブレード!!』

 

 

 

痺れを切らした灰色の戦士…ダガーが迫る中、静かに立ち上がったブレード。両肩が勢いよく開きクリスタルがせり出し凄まじい光が溢れ出した

 

 

『二人とも目を閉じろ!…オオオオオオオオオッ!ボォォォォルテッカアアアアアアアアアアッ!!』

 

 

『な、なに!ボルテッカだと………ウワアアアアアアーーーーーーーーーーーーーー』

 

 

凄まじい閃光…体内で蓄積された反物質素粒子《フェルミオン》の輝きに包まれたダガーの身体が対消滅を起こし断末魔の叫びを響かせ消え、勢いは止まらず空港の壁を貫いた…圧倒的破壊力にフェイト、ギンガはただ無言のまま立ち尽くしていた。両肩が閉じ彼《ブレード》は振り返った…

 

 

『………今見たことは悪い夢だと思って忘れるんだ……………』

 

 

 

「あ、あなたは一体……」

 

 

 

『!?…………とにかく忘れろ…いいな……クラッシュ!イントゥルゥゥゥゥド!!』

 

 

 

ギンガを見て一瞬、言葉を詰まらせるも叫びと共に緑の光に包まれ先ほど穿たれた穴へと飛翔、まさに光の軌跡といわんばかりの速度で二人の前から消え去った

 

 

 

コレから数年後…新暦74年、六課解散まで後わずかと迫った時。ギンガ・ナカジマ、フェイト・テスタロッサは再び彼と出会う

 

 

…ベルカ諸王時代、聖王連合を壊滅寸前までに追い詰めた狂皇ラダムが生み出した呪われし騎士の力…

 

しかし、白き騎士の裏切りにより狂皇ラダム以下六騎士は討ち滅ぼされ、聖王連合を率いる聖王、覇王、冥王、クロゼルク、エレミアの手でラダム王の生み出した禁忌の術は闇に葬り去られた

 

 

 

しかし禁忌の術は人の好奇心により蘇り一人の少年に地獄と喪失、逃れられない宿業を与え、怒りと共に伝説の白き騎士へと身を変えさせた

 

 

 

「……テック!セッタアアアアアアア!!テッカマン・ブレード!!」

 

 

光と共に現れ、六課のメンバーの前でラダム王の僕たるラダム獣を手にしたランサーで貫き通し、切り捨てる様はまさに鬼…返り血のように浴び殲滅しおえると、光が砕け散り、ソコには大小様々な切り傷から血を流しまみれの少年が倒れ伏していた

 

事態を重くみた八神はやての指示により六課のメンバーに保護された少年。しかし意識が回復するやいなや花を換えにきたキャロを人質にし隊舎を逃げ回りヘリポートへ向かおうと脱走を図ったがシグナム、ヴィータ、スバルが立ちはだかり大立ち回りの末、ようやく捕らえられた

 

 

 

「…なんて奴だ…私の刃を凌ぎ一撃を与えるとは………」

 

 

 

「コイツ、まるでDボゥイだな……」

 

 

 

「ヴィータ副隊長、何ですDなんたらって」

 

 

 

 

「ああ?………デンジャラス・ボゥイ、略してDボゥイだ!なんではやてはこんな危ない奴を保護したんだか…」

 

 

かたや新たなライバル、警戒心むき出し、納得したようにベッドに眠る少年…Dボゥイ

 

 

「えと、君のなまえはなんていうんか?」

 

 

「……わからない…オレはだれなんだ…」

 

 

 

 

はやてとの話をした少年は記憶喪失?らしい…何かを隠していると感じながらも次元漂流者として保護することが決まった…そして

 

 

「はじめまして。私が今日からアナタの身元引受人になるフェイト・T・ハラオウン執務官です……何か困ったら何でもいってね、名前を教えてくれるかな」

 

 

「………Dボゥイ………あと…オレに関わるな」

 

 

 

明らかな拒絶の色と意志を感じさせる言葉を口にしフェイトを残し離れていくDボゥイ…スターズ、ライトニング、ロングアーチのメンバーと距離と壁を作り続ける…しかし少しだけ距離と壁がなくなりかけた時だった

 

 

「久しぶりだね、お兄ちゃん…」

 

 

「深優(ミユ)………」

 

 

「ラダムに戻ってよ。タカヤお兄ちゃん…みんな待ってるんだよ家族なんだから…いやだと言っても力付くでつれて帰るよ……テック!セッタアアアアアアア!!」

 

 

 

六課に突然現れるやDボゥイをタカヤ、兄と呼ぶ少女ミユ、手に握られた赤いクリスタルを翳し叫び赤いクリスタルフィールドに包まれ弾け飛び、漆黒の堕天使《テッカマン・エビル》へ姿にかわり手にテックランサーを構え切りかかる、寸前でテックランサーの刃で受けながら打ち合う

 

 

 

『アハハハハハハハ楽しいね?楽しいよね?もしお兄ちゃん♪♪私たちテッカマンはソコにいる機械人間や凡人の下等種より優れた種だから子供を作ろ。だって血の繋がりはないし大丈夫だよね?愛してるよお兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん………ワタシダケノオニイチャンノコドモヲツクロ♡♡』

 

 

『……ミユ…オレは』

 

 

 

愛の告白をしながら切り結ぶエビル、ブレード……愛憎混じる二人の過去、そしてタカヤに課せられた運命が加速していく

 

 

 

 

『シデン・シドウ……オレの家族、仲間、親友を弄んだ貴様だけは殺す………殺してやる!!』

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはstrikers・after/テッカマンブレード

 

 

 

『……ラダム、ラだむぅぅぅぅ…らだああむううううッ!!』

 

 

 

「お願いです。神様…彼は沢山の大事なモノを失い続けました……兄も、恩師も、親友も、妹も、義姉も……彼から、もう…これ以上なにも失わせないでください」

 

 

 

 

 

 

 

仮面の下の涙を拭え!!




連載はやらないよ


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テッカマンブレード/Dボゥイ《秋月タカヤ》 テッカマンエビル《???》キャラクター設定&台詞集

魔法少女リリカルなのはstrikers/ブレード

 

主人公紹介

 

 

Dボゥイ《本名:秋月・タカヤ》

 

年齢:15

 

 

身長:160

 

体重:58

 

 

 

 

 

本作の主人公、手のひら大の緑色のクリスタル《テック・クリスタル》を掲げ《テックセッター》の声と共にテッカマン・ブレードへと変身する能力をもつ…が、30分しか人間としての心を保てず、過ぎるとラダムの邪悪な意志に支配され悪魔と化し、敵味方すらも関係なく襲いかかる(キャロに30分過ぎたら殺してくれと伝えた)

 

 

 

 

リニアでの戦いで姿をみせ、圧倒的な力でガジェットとともに現れた未確認生命体を切り捨て、全滅させた直後に機動六課に保護されるも、意識をとりもどすや否やキャロを人質にとり脱走を図り、職員を手玉に取りあしらいながらも、副隊長であるシグナム、ヴィータ、新人のスバルの三人がかりでようやく取り押さえた

 

 

はやての聴取によると本人は名前を含めた記憶が無いらしく、ガジェットとともに現れた未確認生命体を《ラダム》と呼び激しい怒りをあらわにするのを見て、何らかの関係性があると判断し保護される事になった

 

 

誰にも心を開かず、一切関わるどころか、保護者となったフェイトにも距離を置き、ラダムが現れれば真っ先に飛び出し命令無視の独断専行、殲滅する姿と以下の経緯から《デンジャラス・ボゥイ》……《Dボゥイ》と呼ばれるようになった

 

 

 

後に、Dボゥイの正体は五年前、ベルカ緒王時代研究の第一人者にして数多くの論文発表により一躍有名になった冒険家《秋月ユウキ》、若き天才科学者《シデン・シドウ》にベルカ緒王時代の遺跡調査協力の為に編成された調査隊が現地で行方不明になった

 

それに同行した秋月ユウキの家族。言語学者であり姉の《秋月ホウカ》、インターミドル男子の部、都市本線三位《秋月タカヤ》、義妹でありながら義兄タカヤへと、ほのかな想いを寄せる《秋月ミユ》も含まれていた

 

 

後に、そこで行われた何かが、明るかったタカヤを変えたのでは?とシャマルは分析してる

 

 

 

Dボゥイ/タカヤ台詞集

 

 

「…………邪魔だ」

 

 

「おまえ達にラダムは倒せない……一人でやる」

 

 

「あ、クリスタルが…オレはもう………」

 

 

「悪魔は、悪魔はおまえ達だ!ラダム!!」

 

 

「テック・セッタアアアアアアア!!テッカマン!ブレード!!」

 

 

 

「クラッシュ!イントゥルゥゥゥド!!」

 

 

「くらえ!ボォオオオオオオルッ!テッカアアアアアアアアア!!」

 

 

ペガス参入時

 

 

 

「ペガス!テックセッタアアアアアアア!!」

 

 

「ペガス!クラッシュ・イントゥルルルルルルドオッ!!」

 

 

 

「いくぞペガス!ハイッコオオオオト!ボォオオオルッ!テッカアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

ブラスター化時

 

 

「おおおおお…………ボォオオオルッ!テッカアアアアアアアアアア!!」

 

 

ブラスター化《脳組織崩壊時》

「ラダアアムウウ…ラ…ダムゥゥゥ………シデン、シィデン、シィデンシドオォ、シドオォォォ!!」

 

 

 

 

 

 

Dボゥイ/タカヤと深優との会話時

 

 

「ミ、ミユ……」

 

 

「違う、オレは人間だ!!」

 

 

「…30分しか心が保てなくとも…オレは人間を、仲間を守る!!」

 

 

 

「ミユウウウウウウウウウウ!!」

 

 

「シデン……オマエが、オマエがぁ!父さんを!姉さんを!ミユを!!オマエだけはゆるさん!!」

 

 

秋月深優(アキツキ・ミユ)/テッカマン・エビル

 

 

年齢:13

 

 

身長:145

 

体重:??

 

 

タカヤの義妹にしてラダム王に仕える最強最悪のテッカマン。人間体の時は黒く長い髪をリボンで結びワンピース姿の可憐な少女

 

 

昔は甘えん坊で泣き虫、タカヤの後ろを付いて歩き、インターミドルでの活躍に魅せられ、ほのかな想いを胸に抱いていた

 

 

…しかし、昔の面影は無くなり義兄タカヤへの異常なまでの愛、執着を見せタカヤに纏わりつくギンガ、フェイトを《害虫》と呼び殺そうとし、様々な手練手管で六課壊滅を目論む

 

 

すべては兄タカヤを手に入れるためだけに

 

 

 

秋月深優/テッカマンエビル台詞集

 

 

「見つけたよ♪タカヤ義兄ちゃん♡」

 

 

「なに?その害虫………タカヤ義兄ちゃんに近づかないでよ……」

 

 

「人間愛、なにバカいってるの?害虫ばかりしかいないじゃない………その害虫に愛なんてわからないよ?何か吹き込まれたの?タカヤ義兄ちゃん?」

 

 

 

「タカヤお義兄ちゃん、タカヤお義兄ちゃん、タカヤお義兄ちゃん………害虫にやらないよ、だから……………死んでよ汚い出来損ないの害虫?」

 

 

 

 

 

テッカマンエビル時

 

 

「……タカヤお義兄ちゃん、ワタシと一緒にラダムに帰ろ?そして子供つくろうよ?ワタシとお義兄ちゃんなら優れた子供ができるから……イヤっていっても連れて帰るよ…………テックセッタアアアアアアア!テッカマンエビル!!」

 

 

 

「懐かしいよね、タカヤお義兄ちゃん、昔は背中を追ってばかりだったけど、こうして追いつけるようになったよ。うれしいよタカヤお義兄ちゃん♡」

 

 

 

「タカヤお義兄ちゃん…害虫なんか死んでいいじゃない?人間……ちがうよ?ただ数を無意味に増やして消費するだけの虫じゃない?そこの二匹の害虫に気を使うなんて、無駄だよ」

 

 

「楽しいよね~タカヤお義兄ちゃん?今日こそ腕や足を切り落として連れて帰るよ?安心して、ずっとお世話してあげるから」

 

 

 

「お義兄ちゃん、ワタシの愛を受け止めてよ………PSY・ボルッテッカアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

「はあはあ、お義兄ちゃん、やっぱりお義兄ちゃん大好き♡ワタシにキズをつけるコトが出来るから大好き。ねえ、もっと傷つけてよ。ワタシの膜も破るぐらいに…ねえ、お願い…お♡に♡い♡ち♡ゃ♡ん♡」

 

 

「賢者タイムはもうお終い♡さあ、こんどはワタシがお義兄ちゃんを傷つけてあ・げ・る♡」

 

 

 

 

ブラスター化時

 

 

「お義兄ちゃん、お義兄ちゃん、お義兄ちゃん!ワタシのお義兄ちゃん……愛してる!だからすべてをワタシにチョウダイ?PSYボルッテッカアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

?????

「お義兄ちゃん、ワタシ、怖い夢みてたの………お義兄ちゃんを……」

 

 

 

 

 

 

 

 



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Vivid⭐panic
Vivid⭐panic!!


読み切りです


新暦79年、春…鳥もさえずり、暖かな陽気に照らされた通学路を歩く生徒達の中に一人、大きなため息をつく少女がいる。彼女、アインハルト・ストラトスは朝から憂鬱だった

 

 

昨日、ある少女と知り合い縁が出来た。先ほど挨拶して別れるまでが唯一の平穏だった…今日も騒がしくなるのだろう諦めの境地にいた

 

 

校門をすぎたあたりで、何やらざわめき人だかりが出来てるのが視線に入り、憂鬱な気分と近寄るなと叫ぶ自分の心を落ち着け、人だかりをかき分け視たのは黄色い《KEEPOUT》《DANGER》と貼られた校舎の入り口、ソコには

 

 

「……………」

 

 

真剣な眼差しに、への字に固く閉じた口元、ざんばら髪に頬にバツ字の切り傷が目立つお馴染みの少年が下足棚を慎重に弄る姿…意を決してアインハルトは声をかけた

 

 

 

「ソウタさん、何してるんですか?」

 

 

「ストラトス。トラップ除去だ」

 

 

「はい?」

 

 

真剣な眼差しを下足棚…自身の靴棚へ向けた何かを貼り付けながら告げる少年。クラスメイトのソウタ・セガールに額を押さえながら訪ねてみることにした

 

 

「トラップ除去ですか?でもなんで…そもそもセガールさんにトラップを仕掛ける人なんてウチの学園にはいませんけど」

 

 

「現に昨日の帰りにオレは下足棚の隙間に入れていた髪の毛が無くなっている…すべての可能性を考慮した上でトラップが仕掛けられていると断定した…準備完了だ」

 

 

 

「え?何を準備して………」

 

 

「…周りにいる生徒は直ぐさま遮蔽物に身を隠し、隠す場所がなければ腹ばい、もしくは耳をふさぎ大きく口を開けしゃがめ!今からトラップを除去する!!」

 

 

 

「え?待って…」

 

 

下足棚から伸びた線がついたライターの赤いボタンをカチリとならした。けたたましい轟音、振動で校舎全体か激しく震え、やがて煙りが消えかつて下足棚だったモノの無残な姿…

 

防爆シールドに護られるも爆風と煤で汚れたアインハルト…その横をセガール・ソウタは何事も無かったかのように歩き、下足棚をみて炭になりかけたな封筒?を手にした

 

 

「ウム、どうやら危険物じゃ無かったようだ。みんな安心してくれ。もう安全だ」

 

 

「な…」

 

 

「どうしたストラトス?」

 

 

「なにが危険物じゃない!安全ですか!!1番危ないのはソウタさん、アナタです!!」

 

 

 

ふらりと近寄るや否や、武装形態となり渾身の覇王断空拳が顔面へキレイにはいり、セガールはその勢いでギュルギュルと回転しながら煙りが燻る空へと吸い込まれるように打ち上げられた

 

 

 

 

 

 

       Vivid⭐Panic!!

 

 

 

彼女、アインハルト・ストラトスの前に彼は突然現れた…

 

 

 

「ソウタ・セガールだ。今日から君を護衛する。安心しろ…オレはスペシャリストだからな」

 

 

「…………帰ってください…護衛なんていりません。そ、それと私の……私の………アナタが伸ばしてつかんでるのを返してください」

 

 

 

「ん?コレか?ずいぶん薄い、防弾性に優れているように見えないが、よく伸びる布だな」

 

 

「い、いいから返してください!私の下着を!!」

 

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

ベランダに現れアインハルトの紐パンを伸ばしながら見る少年…セガール・ソウタから取り返し殴り飛ばす。まさに衝撃的な出会い

 

この日からアインハルトとヴィヴィオ達を巻き込んだ。セガールとのはちゃめちゃな学園生活が始まる

 

 

 

そして……アインハルトは自身のもう一つの秘密と、彼の本当の姿を知る

 

 

 

 

 

ーセガール一等陸曹、展開完了。ラムダドライバー起動ー

 

 

《ふも!ふもも、ふっふ、ふも!(了解した……いくぞ!)》

 

 

 

魔法世界に可愛らしい最強の魔法鎧《ぼん太くん》を纏いアインハルトを護る為に戦う姿を刮目せよ!

 

 

 

   Vivid⭐Panic!!

 

 

 

『ふ~も、ふも、ふもふも~♪』

 

 

 

 

近日公開……………

 

 

 

 

すいません、ウソです

 

 

 

 

 

 

 

 



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Gottes Kriegerー初体験…ー

新暦6?年



最初におぼえていたのは、誰かに抱かれている感覚とそして



ーソールティア・セガウルー


不思議な響きの言葉…ずっと頭に残った。コレがオレの名前だとわかるまで時間がかかった



………それから別な場所に連れられて来られた、毎日意味がわからない言葉を耳に流された。何度も何度も繰り返し入ってくる無機質な声


ー我等が闘うのは邪教に従う我等が神の叛徒なり、邪教に毒され穢れた彼らを討ち、天へ孵すコトは我等が神の戦士である証なり、我等に討たれたモノはようやく邪教に穢れた魂を救われる。コレは救いだー



一言一句正確に答え続けたオレは、別な部屋に行くとに樹脂で出来た玩具の銃みたいなモノを見せられた


ー認識番号S18566ー2…コレを…………し、あの的を撃てー



認識番号S18566ー2…いまのオレの名前らしい。指さされた先には大きな袋が二つがモゾモゾ動いてる……



目の前にある銃…解析、構造把握…同じモノをイメージ、銃を産み出し、晶星捉えセフティを外して撃つ…

でも袋にはあたらなくて、硬い床を撃ち抜いた瞬間。右頬に熱い痛み、身体が浮いて床に倒れた。殴られたんだとわかった


ー狙いを外すさず確実に当てろ!!でなければ死ぬぞ!!ー


ー……ー


…痛むほほを押さえるとまた拳が飛んでくる。ふらつきながら銃を構えた…照星にとらえた袋へ銃弾を二発ずつ叩きこんだ…びくりと大きく動いて跳ねまわる袋。赤くて鉄臭い匂いがする何かが流れて壁にぶつかりながら動きを止めた


ー認識番号S18566ー2。無事にIS《ーーーーーーー》発動確認…しかしまだ完全には作成出来てませんね…同志、やはり《ドクター》に再調整を依頼しては?ー



ーそうだな…認識番号S18566ー2、64時間ぶりにメシを食わせてやる。他の者も見習え!!ー


訓練の結果が良ければ食事にありつける…銀色の梱包材に包まれたパサパサした水気の無いステックバー、苦い味のする飲み物を咀嚼して飲み込んでいく


ーお、おぅええー


せっかくの《貴重なエネルギー源》を床に撒き散らし、えづいてる


…彼らは《兵士》、いや《ディエモンネカイザー》として失格だ。オレは動かなくなった『鉄臭い赤い水』が出る袋に座りながら感じた





 

 

新暦79年 Stヒルデ魔法学院

 

 

「あの、セガールさん……なにしてるんですか?」

 

 

「食事だ」

 

 

「………し、食事……その赤いのは」

 

 

「ドライトマトだ、栄養価は高く優れた戦闘糧食の一つに数えられている……」

 

 

「じゃあ、それは?」

 

 

ある日のStヒルデ魔法学院中等部。アインハルトは何時ものようにヴィヴィオやリオ、ユミナ、コロナとともに昼食を取っていた

 

その近くには当然、《Stヒルデ魔法学院中等部の破壊魔》、《常在戦争ボケ》、《歩く火薬庫》の代名詞《ソウタ・セガール》が何時ものように銃?を構え、あたりを警戒し膝に置かれたナニカを口に運びながら、アインハルトに淡々と応えながら目を向けた

 

 

「コレか?………食べてみるか?」

 

 

差し出されたのは細長く乾燥した赤いナニカ……少し戸惑いながら口にし噛んだ。真っ先に感じたのは固いけど鉄臭い風味に思わず咳き込んだ

 

 

「どうしたストラトス?」

 

「セ、セガールさん…コレは?」

 

 

「干し肉だ。貴重なたんぱく質の塊で長持ちする…今、ストラトスが食べたのは《ベノスネーカ》だ、他にもキバッ…」

 

 

 

「な、なんてモノを食べさせるんですか!!」

 

 

 

スカートがふわりと浮かばせ、白のショーツ露わになる、周りの男子生徒達の記憶に焼き付けていることに目をくれず踏み込みと同時に体重をのせたハイキックがソウタの顔面を捉え、勢いよく地面へ頭をめり込んだ                        

 

 

Gottes Kriegerー初体験…ー

 

 

「ん、もう少し踏み込みが足りないな…なにを怒っているんだ?」

 

 

でも何事も無かったように身体を起こした…知り合って日の浅いヴィヴィオ達の「アインハルトさんの一撃を受けて平然としてる!?」の声を尻目にアインハルトはヒートアップしていく

 

 

「なんで怒ってるかですって?一滴の毒で街一つが滅んだ超特定危険種じゃないですか!!そんなのを私に食べさせるなんて…」

 

 

 

「大丈夫だ、しっかり毒抜きもしてある、逆にベノスネーカの毒は乾燥、熟成させると滋養強壮にもなるし薬として使えるらしい確か不夜城と呼ばれてるとドゥーエとティーダから聞いた」

 

 

「……はあ、そういう問題じゃないんです…それよりも、それだけで足りるんですか?おなかすかないんですか?」

 

 

「問題ない。栄養さえ取れれば量など関係ない、それ満腹になると突発的な戦闘への対応が遅れ、さらには満腹時にある化学兵器を受けると…」

 

 

「………」

 

 

 

長々と軍隊用語を交えながら話し出すのをみて、軽く額に手を添えながらため息がでます。まあ、ソウタさんの境遇、正確にいえば正体を知ってますけど…

 

…無人世界でのオフトレからの帰りに起きた事件で命がけで私たちを守り抜いた彼の力は間違いなく本物でした

 

 

ーストラトス、さがってろ……ー

 

ーえ、でも……あなたは戦いは…素人じゃー

 

 

ー…安心しろ、オレは素人じゃない、スペシャリスト《専門家》だ……ー

 

 

 

 

………血にまみれながら、コンバットナイフ、アサルトライフル、ハンドガン、対空ミサイルで正確に排除。管理局でも数年前に導入したばかりのAS(アニマル・アーム・スレイブ)《サベージ》(カエルをモチーフにした外観、対AMF処置がされた装着?いわゆる強化外骨格)を強奪して数的に不利な中で撃破していく姿を

 

 

ー敵戦力無力化を確認………ストラトス、出ていいぞー

 

 

………そんな彼を見て頼もしいと感じる一方、危うさも感じます。でも、いま優先することは一つあります

 

 

「あと、その化学兵器に対する対処法は…」

 

 

 

「ソウタさん」

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

「今日の放課後、時間はありますか?」

 

 

「肯定だ…」

 

 

「では、必要なモノを買いいくので少し付き合ってください」

 

 

「了解した!キミを守ることがオレの任務だ。例え狂信者、暴徒。誘拐犯は実力を持って排除、自白剤と拷問で背後組織も徹底的に洗い出ししかるべき報復を遂こ………」

 

 

「ソレはやめてください!」

 

あいかわらずの返答、コレもソウタさんのタメです。一般的常識を身につけるタメに……次の授業が始まる予鈴が響き、わたしはヴィヴィオさん達に今日の練習に参加できない旨を伝えてから教室へと歩き出しました

 

 

「ねえねえヴィヴィオ、アインハルトさん、セガールさんとお付き合いしてるんじゃない?」

 

 

「セガールさんって少し無愛想だけど先週。上級生に告白されたみたいだよ?」

 

 

「あ、ソレ知ってる…けど、セガールさん勘違いしてたみたいだし…でも、アインハルトさんも近くに居たからなんとかなったみたい。でも、付き合ってるふうには見えるよね」

 

 

 

……ヴィヴィオさん、リオさん、コロナさん…わ、わたしはソウタさんとお付き合いしてませんからね!

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「…ストラトス…何を?」

 

 

「少しだけ待ってください」

 

 

「了解した」

 

 

ソ~タさんが何度目かになる質問してきます。いま彼はワタシの部屋にいながらも銃?を手にして警戒してます

。もう危険なんて無いのに…はあ~

 

ため息をつき人参、玉ねぎ、ジャガイモを切り終え、まずみじん切りにした玉ねぎを熱した鍋に入れて炒めていきます。

 

 

ここまでくるまでが大変でした…

 

 

ーお嬢さん、今日は鶏もも肉が安…ー

 

 

ー動くな!なんの目的で近づいたー

 

 

ーあらまあ~ストラトスちゃんじゃない。今日は彼氏と一緒かい、ならおまけに雪割人じー

 

 

チャッ…ボト

 

 

ー抵抗するな、目的と所属を吐けー

 

 

ーひ、ひいい!ー

 

羽交い締めにしたお店の人の眉間にグロックをおしつけたり、刃渡り30センチ以上のコンバットナイフで人参を切り落としたり、とかとか、ソウタさんが私がよく行く店の方を不審者と間違われて、何度も誤解を解いて謝罪を繰り返して、ようやく、ようやくここまで来ました

 

 

私がいま作っているのはユミナさんとミウラさんから教えてもらったクリームシチュー…味を調えコトコト煮込み味見する

 

うん、美味くできました。シチューをお皿によそいサラダを並べて、リビングで座っているソウタさんの前におきました

 

 

「……なんだコレは?」

 

 

「カルナージで私やヴィヴィオさん達を守ってくれたお礼です…さあ、冷めないウチに」

 

 

「…っ…オレはコレだけあれば…」

 

 

「いいから食べてください!」

 

 

「り、了解した………………ん、!!」

 

 

クリームシチューをスプーンに掬い口にしたソウタさんの目が見開かれ、何度も何度もシチューを口に運んでいってる。もちろんサラダも食べていって瞬く間に空になりました

 

「はあ、はあ………なんだコレは?」

 

 

「クリームシチューです…」

 

 

「クリーム…シチュー……」

 

 

スゴく驚いた顔…こんなソウタさんをみたのは初めてです…ソレから一緒に食事をしました。シチューを口にする度、少しだけですけど笑顔を浮かべているように見えたのは私だけでしょうか?

 

 

しばらくして、ソウタさんは定時報告がしないといけいといけないらしくて、見送るために玄関まで来ました

 

 

「…ストラトス。今日はコレで」

 

 

「はい、また………あ、あの」

 

 

そのまま帰ろうとするソウタさんの足が背を向けたまま止まる…コレだけは聞きたい

 

 

「なんだ?」

 

 

「……シチュー美味しかったですか?」

 

 

「肯定だ」

 

 

「そ、そうですか…じ、じゃあまた食べに来ますか?私の護衛もしやすくなりますから」

 

 

「了解した…キミのシチューは最高だ…」

 

 

しすかに扉が閉まり、家には私だけ残ります…でも帰り際にあれはずるいです!もう!!

 

 

 

ーーーーーーー

ーーー

 

 

 

「こちらウルズ6《ソウタ・セガール》、アインハルト・ストラトスの本日の護衛及び経過報告…特に異常なし」

 

 

 

ーホントになに無かったのー

 

 

「………いや……少しだけ」

 

 

ーやっぱりナニカあったんだ~さあ、ドゥーエお姉様に話してごらん♪さあ♪♪ー

 

 

「……ストラトスが作ったクリームシチューを食べた……不思議な味だった…」

 

 

ーえ、ホントなの…ー

 

 

何時ものようにストラトスの護衛経過を上官……ドゥーエへと報告したら、ナニカが落ちた音。ナニカ騒がしい声がする

 

 

ーホントか!レーションとベノスネーカーの干し肉しか食べないソウタが!ー

 

 

ーしかも女の子の手料理……このリア充め!ー

 

 

リア充?なんだソレは…ソレにオレは何時もレーションを食べてないんだが

 

 

ークリームシチュー…不味いわね…アリシアが知ったら……ー

 

 

 

なぜ、アリシア・テスタロッサ准将殿の名前がでるんだ?

 

 

 

クリームシチューは不味くないんだが……クリームシチューは初体験な味だ…ストラトスの手はオレ《人殺し》の手と違って色んなモノを生み出せる…

 

まだうるさいので、通信を閉じ本日の護衛にかんする詳細を圧縮したデータを送り、何時ものようにシャワーを浴び、睡眠を取る

 

 

なぜか解らないがクリームシチューを作るストラトスが夢に出てきた…

 

 

クリームシチュー…また食べたい

 

 

 



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