奇跡のなく頃に (ゆるポメラ)
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第0話 始まり・・・

ゆるポメラです。
初めての方は、初めまして。
ご存知の方は、こんにちは。
この度、新しい小説を執筆する事になりました。
至らない点もあるかもしれませんが
読んでいただければ嬉しいです。
初回は、『皆殺し編』のラストでの梨花達の
やりとりになります。

それではどうぞ。


あの光景は・・・

 

「そうか、私は死んだのか・・・」

 

私達は、あと1歩というところで

全員、殺された・・・

 

「俺たちは結局奇跡を起こせなかった」

「ごめんなさいですわ梨花・・・」

 

圭一の言葉に続き、

沙都子が私に謝る。

私は首を横に振り・・・

 

「みんなで力を合わせてダメだったのなら

仕方のないことだわ・・・」

 

こう言うしかなかった。

だがそれを遮ったのは・・・

 

「違うよ、梨花ちゃん」

 

レナだった。

 

「奇跡が起こらなかったのは、奇跡を信じなかった

人がいたからだよ。

ねぇ、名前も知らないあなた・・・」

 

レナは私の後ろにいた

オヤシロ様・・・

羽入に向かって言った。

 

「ぼ、僕が信じて何か変わったのでしょうか?

僕は何も出来ない非力な存在なのです・・・」

 

羽入はただ傍観している事しか

出来ず、何度も期待を裏切られ続けた。

そして今回も・・・

 

()()()なら絶対そんな事を言わねぇぞ」

「圭一?」

 

圭一が言っている()()()とは

一体、誰の事なんだろうか・・・

 

「梨花ちゃん、その子の名前は

()()で合ってるよな?」

 

私は驚くしかなかった。

正確には、圭一以外のみんなが驚いてた。

何故なら羽入の姿を見るのは初めての筈だ・・・

 

「圭一、どうして羽入の事を・・・」

「コレをいつか渡してくれって預かったんだ」

 

圭一がポケットから出したのは

手紙だった・・・

この空間が三途の川だというのに

手紙を持ってこれたのは奇跡的に近かった。

その手紙を羽入に渡す・・・

 

「こ、この字はもしかして()の・・・」

 

羽入の声は震えていた。

その名前には私も聞き覚えがある。

ううん、忘れる筈がない。

だって穹は・・・

 

「ど、どうして穹は・・・?」

 

混乱している

私と羽入に圭一が

静かに説明する・・・

 

「アイツ、ずっと嫌な夢を見てきたって言ってたんだ。

梨花ちゃんが死んでしまった時は自分も

死んでるからってな・・・」

 

つまり穹も私と同じような経験を

100年以上も・・・!?

 

「じゃあ、この手紙はもしかして・・・」

「今回の結末を観た事と、穹の目覚めが近いって事だろうな」

 

幾多の世界を渡り歩いた私と羽入は

穹は眠ったままという事しか知らない・・・

どの世界でも、穹が起きる気配がないと言った記憶しか

なかった・・・

でも私は何より嬉しかった。

 

「また会えるのね・・・」

 

それは私だけじゃなく

今、この場にいる

みんな同じだった・・・

特に羽入は泣きそうだった・・・

 

「そ、穹はバカです。昔から・・・」

「そうよ、穹のバカ・・・」

 

穹の手紙によれば、

次の世界が最後だと言う。

ならば出す答えは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の世界で奇跡を・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー同時刻、とある世界(カケラ)ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「梨、花ちゃん、羽、入ちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんな感じですが
よろしくお願いします。
次回から本格的に開始します。


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祭囃し編
第1話 目覚めと再会


ゆるポメラです。
今回から『祭囃し編』が始まります。
時系列は第14話の『新しい風』からです。
執筆する内容からだと、どうしても大幅に
飛んでしまいますので・・・
こんな事もあるかと思いますが、
よろしくお願いします。

それではどうぞ。



目が覚めると

そこは病室だった・・・

 

「最後に起きたのは・・・」

 

やめておこう。

思い出したらきりがないよ

僕は溜息を吐いて鏡を見てみると・・・

 

「背丈は変わらないんだなぁ・・・」

 

それはそうだ。

何せ僕の身長は、

そこら辺にいる小学6年生と変わらない。

とりあえず看護師さんを呼んで

起きたと伝えるか・・・

 

 

 

ーー1時間後ーー

 

 

 

「目覚めた瞬間、退院していいって・・・」

 

お世話になった先生に挨拶を

した後、僕は病院の外に出て

これからの行動について考えていた。

 

「僕が現実に目覚めたって事は、最後の・・・」

 

そう・・・

僕は何度も死んでいる。

100回くらいかな・・・

あとで詳しく説明するよ・・・

って僕は誰に向かって話してるんだろ・・・

 

「とりあえず、お魎お婆ちゃんに電話しなきゃ・・・」

 

僕は公衆電話がある場所に行き、

受話器を取り、お金を入れる。

手慣れた手つきでダイヤルを回す。

すると・・・

 

『はいはーい、どちら様?』

「もしかして魅ぃ姉?」

『へっ?、もしかして穹?』

「うん・・・」

『い、いつ退院したの!?』

「たった今・・・」

 

今、僕と会話してるのは

園崎魅音。

僕は魅ぃ姉って呼んでる。

魅ぃ姉は園崎家の次期頭首なんだ。

更に双子の妹もいる・・・

 

『ちょっと待ってな、婆っちゃに代わるから』

「うん・・・」

 

すると受話器の向こうから

バタバタと音がしたけど気にしない。

長電話になりそうな為、

僕は公衆電話に10円を2枚入れた・・・

すると・・・

 

『もしもし・・・』

「あ、お婆ちゃん。穹です」

『お前の声を聞くのも何年振りになるんじゃろうのう。魅音から聞いたが、退院したばかりじゃって?』

「うん、それで今から雛見沢に帰ろうかなって・・・」

『迎えを行かした方がええかのう?』

「大丈夫、行く道は分かるから・・・」

『そうかい、来る時は気を付けるんじゃぞ』

「分かった。あと近々、引っ越して来る人は?」

『都会から来るらしいのぅ・・・』

 

お魎お婆ちゃんの声は柔らかかった。

話を聞くと、雛見沢の一角に分譲地が売りに

出されたとの事。

お婆ちゃんは都会から来る人は嫌いな筈なのに

と僕は考えたが、理由はすぐ浮かんだ。

 

()()()の事で何かあったの?」

『お前は本当に聡いところがあるのぅ、そんなところじゃ』

「そっか、じゃあ今から行くね?」

『お前の家の場所は昔と変わっておらんからな?』

「うん、ありがとう・・・」

『ほっほ。お前が来るのを楽しみに待っておるよ』

「うん!」

 

そう言うと僕は受話器を戻し

雛見沢に向かいながら考えた。

多分これから圭一兄が雛見沢に引っ越して来る。

その前に、おじさんが分譲地の下見に来る筈だ。

 

「ここから歩いて1時間半くらいかな・・・」

 

歩きながら故郷に帰るのも

悪くないなと思いながらも

僕は、これから起こる運命に

絶対に打ち勝とうと決意した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side梨花

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私と羽入は

分譲地で圭一の父親が下見に来たので

話しかけてみる事にした・・・

 

「ここは、いい村なのですよ」

「きっと都会になかったものがあるのです」

「・・・そして、この村にないものを都会の

あなたが持ってきてくれるのです。」

 

この村で何百年もこうしている・・・

誰も訪れず何も起こらない。

そして何も変えられないことも・・・

 

「・・・あなた達が教えてくれるのよ。

堰は破れるものだ、破るものだってね」

 

そして圭一の父は、

自分達がここに来たら、

息子の友達になってくれないかと言った。

 

「引っ越してくるのを待っていますですよ。前原・・・」

 

私達の答えに満足そうに

圭一の父は帰って行った・・・

姿が見えなくなるのを確認すると・・・

 

「これで圭一も来るのね」

「そうですね。あとは・・・」

 

羽入の言いたい事、

考えていた事が私には分かった。

それは・・・

 

「穹の事、考えていたんでしょ?」

「あ、あぅあぅ・・・///」

 

羽入は顔を赤くしながら

俯いてしまった。

すると羽入はジト目になりながら

私を見てきた・・・

 

「な、何よ・・・」

「梨花こそ、さっきまで穹の事を考えてた癖に何を言うのですか。昨夜、寝言で穹の事を何度も言ってたのです」

「あ///、あんた寝てたんじゃなかったの!?」

「・・・あれだけ聞けば嫌でも起きるのです」

 

一体、私は何を言ったのよ!?

た、確かに穹が夢に出てきたのは事実だけど・・・///

 

 

 

 

 

 

ーースタスタ・・・ーー

 

 

 

 

 

 

 

誰かが、こっちに来る音が

したので私達は音がした方を見る・・・

すると、人影が見えた。

 

「梨花、一体誰なんでしょう・・・?」

「夕日でよく見えないわ・・・」

 

遠目で分かりにくいが、

身長は私と羽入と同じくらい・・・

だとすると地元の子供なのだろうか・・・?

 

「り、梨花・・・」

 

羽入が震えながら

人影の方を指さすと

姿が段々ハッキリしてきた・・・

 

「う、嘘。まさか・・・」

 

これは夢なのだろうか・・・

だって、こんな早く・・・

 

「「そ、穹・・・?」」

 

それは紛れもない・・・

 

「あ、梨花ちゃん、羽入ちゃん」

 

柚深月穹、本人だった・・・

 

「ほ、本当に穹なのですか?」

「あの、羽入ちゃん?、なんで泣いてるの?」

「うぅ、うぅ・・・」

「ど、どうしたの!?、どこか痛いの!?」

 

穹は突然泣き出した羽入を

慰めていた・・・

もぅ、本当に・・・

 

「穹っ!!!」

「り、梨花ちゃん!?」

「わ、私達ずっと、待って、たのよ・・・」

「えと、ゴメンね・・・?」

 

私と羽入は穹の

胸の中で泣き続けた・・・

 

「「穹、お帰り!!」」

 

そして穹は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、梨花ちゃん、羽入ちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

笑顔だった。

私達は、大切な幼馴染みと

100年振りに再会をした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんな感じですがよろしくお願いします。
主人公の簡単なプロフィールです。

柚深月穹(ゆみつきそら)プロフィール

容姿イメージ:『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希

誕生日:12月2日、いて座

血液型:A型

一人称:僕


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第2話 穹が経験した事

ゆるポメラです。
前回の続きになります。
今回の視点は、
梨花ちゃんになります。

それではどうぞ。


私達3人は、

古手神社に向かっていた。

 

「この道を歩くの久しぶり・・・」

「あうあう♪、穹と一緒ですう♪」

「ねぇ、羽入ちゃん?」

「あう?」

 

穹は困ったような表情を

浮かべながら・・・

 

「なんで僕の腕を組んでいるの?」

「穹は嫌なのですか・・・?」

「逆に聞くけど羽入ちゃんは嫌じゃないの?」

「こんな事は穹にしかやらないのです♪」

 

気のせいかしら?

羽入がドヤ顔して、

私を見てる気がするわ。

なんかムカつくわね・・・

 

「羽入、穹が困ってるじゃない!」

「梨花に言われたくないのです」

「なんですって!?」

 

羽入は昔から穹の事を好いている。

それは私も同じだった・・・

私にとって穹は初恋の人なのだから・・・

 

「あ、あの・・・」

「「穹は黙ってて!!」」

「あ、はい・・・」

 

穹には悪いけど、

こればかりは譲るわけにはいかないのよ!!

私と羽入は昔から穹の事になると

こんな感じに言い争いに発展してしまう。

 

「2人共、アイス買ってあげるから喧嘩しないで?」

「「えっ?」」

 

穹は私達が仲が悪いと思って

アイスを買ってあげると提案してきたのだ。

急な事で驚いてしまったわ・・・

 

「ちょっと待っててね?」

 

そう言うと穹は、

すぐ目の前にあった

お店に入っていった・・・

5分くらい待っていたら

穹が出てきた。

 

「はい、羽入ちゃん」

「あ、ありがとなのですぅ///」

「これが梨花ちゃんの分だよ」

「あ、ありがとう・・・///」

「どういたしまして」

 

穹は笑いながら私達に言った。

そんな顔されたら何も言えないじゃない。

彼は昔から気を配るのが上手い。

ふと、ある物に目がいく・・・

 

「穹、その袋なあに?」

「えっと、実はね・・・」

 

さっきアイスを買いに行ったところ、

店の人が穹が帰って来た事に驚いて

食材や駄菓子、更には棒アイス1箱まで

貰ってしまったとの事・・・

それもそうだ。

穹は今まで100年も眠っていたから、

村のみんなも彼が帰って来た事が嬉しいのだろう。

 

「正直、僕の事を覚えててくれてる事にビックリ・・・」

「そんなの当たり前じゃない。」

「梨花の言う通りですよ、穹は喜んでいいのです」

 

それから3人で、

喋りながら歩いていると

あっという間に神社の境内に着いてしまった。

私と羽入は穹に聞きたい事が

あるので尋ねる。

 

「ねぇ、穹。眠っていた間に何があったの?」

「どこから説明すればいいかな・・・」

 

まるで穹は、

説明する事が沢山あるようなので、

私は1つ、1つ質問する事にした。

 

「穹は昭和58年の6月に起きる事を知ってるの?」

「うん、全部知ってる。」

「梨花が殺される事もですか?」

「僕が()()()で死ぬ時は、それが原因なんだよね・・・」

 

穹が言ってる夢の中とは

どういう事なのだろう・・・

 

「そこでは、ここと同じ昭和58年の6月なんだ。ただ・・・」

「あう?。何か違うのですか?」

「登場する駒と日数制限がバラバラなんだよ」

「穹、例えばどんな・・・?」

「『鬼隠し編』のカケラって覚えてる?」

 

確か圭一が『雛見沢症候群』に陥って

レナと魅音を殺してしまい、

最終的に電話ボックスの中で

喉を掻き毟りながら死んでしまうカケラ・・・

 

「その世界(カケラ)だと、僕の夢の中で

圭一兄が登場人物として出てくるんだ。」

「「えっ!?」」

 

つまり穹の言い方から推察すると

そのカケラで死んだ筈の圭一が

穹の夢の中で出てくるという事になる。

 

「あのカケラは圭一兄が雛見沢に引っ越して来て

富竹さんが教えた『オヤシロ様の祟り』を教えた事で

始まった事だからね・・・

圭一兄、レナ姉、魅ぃ姉が死んだ後だと

梨花ちゃんと沙都子ちゃんは、まだ生きてるでしょ?」

「そうだけど・・・」

「穹の夢の中で変化が起きるのですか?」

 

羽入の問いに、

穹は真面目な表情をしながら・・・

 

「ここで初めて日数制限が出てくるんだ。

『鬼隠し編』での時は、1日しかなかったけど・・・」

「1日って、ほとんど無いようなものじゃない!!」

「じゃあ穹は・・・」

「僕は夢の中では2()()()()()()()があるんだ」

 

私と羽入は、

穹が言う事に衝撃を受ける事になる。

それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の2つ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな・・・」

「梨花ちゃんに比べたら軽いもんだよ・・・」

 

穹は自虐的に笑っていた。

私からしたら軽いというレベルじゃない・・・

なのに穹は何で・・・

 

「思い出したくないのは『祟殺し編』かな・・・」

「えっ・・・?」

「沙都子のですね、穹・・・」

「観ていていい物じゃないよ、あんな世界(カケラ)

 

それは私にとって

最悪な世界・・・

そして雛見沢二千人の命が奪われた

『雛見沢大災害』が起きた世界でもある・・・

 

「それでね、皮肉にも僕は()()()()に目覚めたんだ」

 

ある能力とは一体・・・

 

「普段、僕は『オヤシロモード』って呼んでるけど・・・」

 

オヤシロモード?

名前からして羽入の事かしら・・・?

でもなんか違う気がする・・・

 

「レナ姉が発狂した時に異常な身体能力になってたでしょ?」

「でもあれは雛見沢症候群で疑心暗鬼になったからじゃない」

「まぁ、レナ姉は普段の()()があるけどさ・・・」

 

あぁ、穹の言いたい事が分かったわ。

穹が言ってるのはレナが可愛い物を見つけると

お持ち帰りしたくなる『かあぁいいモード』の事ね・・・

あれは私でも無理だわ・・・

 

「話を戻すと『オヤシロモード』っていうのは、

自分の意思で雛見沢症候群のレベルを5まで引き上げて

戦う、戦闘モードみたいな物だよ・・・」

「そんな事が出来るのですか!?」

「で、でも自分も死んじゃうじゃないの!?」

 

雛見沢症候群のLv5というのは

最早、末期症状の領域で自分以外が

全て敵という危険な状態。

最終的に喉を掻き毟って死んでしまう・・・

 

「実際に見せた方が早いかも・・・」

 

すると穹は、

一枚の板を取り出し

私に渡してきた・・・

 

「梨花ちゃん、この板しっかり持ってて?」

「う、うん・・・」

「羽入ちゃん、板の硬さを確かめてみて?」

「僕から見ても硬いですよ。この板をどうするのですか?」

「素手で粉微塵に砕く」

「「はっ・・・?」」

 

穹の一言に私と羽入は

口が塞がらなかった。

そんな私達をお構いなしに・・・

 

「オヤシロモード・・・」

 

そう呟くと、

穹の目に変化があった。

そして私が持っていた板に向かって

拳を振るうと・・・

 

 

 

 

 

ーーバキャ!!!ーー

 

 

 

 

 

跡形も無く、

粉々に砕け散った・・・

 

「・・・とまぁこんな感じ」

 

穹は何事も無かったように

説明した。

正直に言うと突然の事で

反応が遅れてしまった。

一方、羽入はというと・・・

 

「あ、あぅあぅ・・・」

 

その場に座り込んで

しまった・・・

 

「羽入ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫なのですぅ・・・」

 

すると穹は、

私の方を向くと・・・

 

「今日は遅いから、あとの事は明日に話すね?」

「う、うん。」

「じゃあ2人共、お休み。また明日ねー」

 

そう言い残して

穹は帰ってしまった・・・

 

「梨花・・・」

「なに、羽入・・・?」

 

羽入は真面目な表情をしながら

私に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穹、どこで寝るつもりなのでしょう・・・」

「き、聞くの忘れちゃった・・・」

 

心配だけど

明日に聞けば大丈夫、よね・・・?

多分・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は、第15話の『サイコロの1』の回になります。
原作やコミック版だと鷹野さん視点なんですが、
この間に梨花ちゃん達は何をしていたのかが
気になったので・・・
なので次回は羽入ちゃんの視点で
執筆したいと思っていますので
よろしくお願いします。


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第3話 羽入が見た光景・・・

ゆるポメラです。
今回から、第15話『サイコロの1』の回です。
オリジナルの話になっています。
前回の予告通り、
視点は羽入ちゃんになります。

「あう?、誰か僕を呼びましたか?」

それではどうぞ。



あうあう。

おはようなのです。

僕は羽入といいますのです。

 

「羽入、あんた誰に向かって言ってるの?」

「僕は梨花に言ったつもりですが・・・」

「明らかに人がいない方に向かって喋ってたわよ」

 

あぅあぅ・・・

僕は一体どうしてしまったのでしょうか?

でも、そんな細かい事はいいのです。

 

「穹は、どこに行ったのかしら・・・」

「境内の何処かにいるのではないでしょうか?」

「それはあり得るわね・・・」

 

僕と梨花は、

古手神社の境内にいるのです。

それで今は昨日の話の続きを聞く為に

穹を捜しているのです。

 

「それにしても羽入?」

「あう?」

「昨日あんた凄い顔してたわよ・・・」

 

梨花が言ってる意味が

イマイチよく分からないのです。

昨日は普通にしてたつもりなのですが・・・

 

「表情がこれでもかってくらい崩れてたわよ」

「な、何の事でしょう・・・?」

「どうせ穹の事でしょう?」

「あぅあぅ・・・///」

 

梨花は鈍いところも

あるのですが穹の事に

なると凄く敏感になるのですよ・・・

 

「い、異議アリなのですぅ!!」

「却下よ」

「まだ僕は何も言ってないのですよ!?」

「あ、穹だわ・・・」

「僕の事は無視ですか!?」

「穹~♪」

 

ひ、酷いのですぅ!!

僕が考えていると梨花は

穹のところに行ってしまった。

 

「お、置いてかないでほしいのですぅ~!」

 

ぼ、僕だって

穹に早く会って、お話したいのです。

梨花ばかり抜け駆けはさせないのですぅ~

 

「はぁはぁ、やっと追いついたのですぅ・・・」

「穹が起きちゃうじゃない、空気読みなさいよ!」

「あう?」

 

梨花を追いかけ

着いた場所は境内にある

木陰だった。

そこでは穹が静かな寝息を立てていた。

 

「穹の寝顔を見るの何年振りかしら・・・」

「やっぱり可愛いのですぅ・・・」

「そうね。ちょっと悔しいけど・・・」

 

梨花が穹を見る目は、

かつての年相応の笑顔だった。

昭和58年の6月に自分が殺されるという

絶望の未来しか訪れないという

運命を何百年も繰り返してる内に

梨花は次第に笑顔を失っていった・・・

けれど前の世界が終わった後の空間で

穹が目覚めると知った時の

梨花の嬉しそうな表情を・・・

本人は気づいてないかもしれませんが・・・

 

「ねぇ、羽入?」

「なんですか梨花?」

「そ、穹の手を握っても平気よね・・・///」

「奇遇ですね、ちょうど僕も同じ考えを・・・///」

 

穹は寝ていますし

ちょっとくらいは大丈夫ですよね?

僕と梨花が穹の手を握った

次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーカッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眩い光が僕達を包んだ・・・

 

「こ、ここは・・・」

「カケラの世界・・・?」

「でも背景が私達が知ってるのと違う」

「僕も知らないのです・・・」

 

僕と梨花が目覚めた場所は、

無数のカケラが散らばった世界・・・

だけど違うところがある。

それは背景だった。

僕達がよく目にするカケラの世界は

カケラがただ散らばってるだけなのだが

僕達が今いる場所は・・・

 

「古手神社に似た場所・・・?」

「梨花、僕達が浮いてるのは変じゃないですか?」

「確かに羽入だけならまだしも、私まで・・・」

 

僕達が考えていると

人影が見えた。

その正体は・・・

 

「あれって穹よね・・・」

「でも様子が変なのです」

 

穹の表情は、

何かを覚悟した

そんな顔をしていた。

あんな表情をしてる穹は

梨花や僕も見た事がない・・・

雨が降る中、

穹が歩こうとすると

誰かが穹を追いかけてきた

 

「穹さん!、待ってください!!」

「「えっ!?」」

 

その声を聞いて

僕と梨花は驚愕した。

何せ声が梨花と同じだったのだから・・・

そして僕は穹の事を追いかけてきた

少女の姿を見た。

それは・・・

 

(桜、花・・・!?)

 

それは紛れもない

僕の娘であり、

古手家の開祖・・・

 

古手桜花(ふるでおうか)だった。

 

「お願いですから行かないでください!!」

「どうして僕の事をそこまで・・・」

「私はもぅ、1人は嫌なんです!!」

「桜花ちゃんは、もう1人じゃないよ・・・」

 

穹は桜花の事を

振り向かずに静かに言った。

 

「ですが私には・・・」

「羽入ちゃんの事は任せて。必ず会わせてあげるから・・・」

「母上に・・・?」

「ずっと僕も考えてた。この惨劇を乗り越えられるかって・・・」

「じゃあ穹さんは・・・」

 

桜花は穹に何かを

言おうとすると・・・

 

()()の敵が分かったんだ。

今から行っても、僕は死んでしまうけど

最後のカケラを掴むためにさ・・・」

 

穹の一言に

泣きながらも納得したのか

桜花は・・・

 

「約束ですよ、穹さん・・・」

 

その言葉を最後に、

周りに光が集まり僕と梨花は

気づいたら元の場所に戻っていた・・・

 

「羽入、さっきのって・・・」

「はい。恐らく・・・」

 

あれは間違いなく桜花と穹だった。

僕と梨花が穹の手を握った瞬間に起きた光景。

つまり、あの世界(カケラ)は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(穹の夢の中での世界(カケラ)・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は未だに寝ている

穹を見ながら確信した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は羽入ちゃん視点を
表現してみました。
やっぱり難しいですね。
いざ執筆してみると・・・
基本的に視点は、
穹、梨花、羽入の3人で進める感じに
していこうと思ってますので、
よろしくお願いします。
次回は梨花ちゃん視点になります。


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第4話 もう1人の敵

ゆるポメラです。
前回の続きになります。
視点は前回の予告通り、
梨花ちゃんになります。

「楽しんでくださいなのです。にぱ~☆」

それではどうぞ。



私と羽入は、

さっきの出来事に

ついて話していた・・・

 

「さっきの光景はやっぱり・・・」

「穹の夢の中での世界(カケラ)ですね」

 

でもどうして

私と羽入だけが干渉出来たかは

現時点では分からない・・・

 

「あれ?、僕寝ちゃってたか・・・」

 

すると穹が起きた。

 

「穹、おはよう」

「おはようなのです、穹」

「おはよー・・・」

 

まだ眠そうね。

実際に穹がボーっとして

黙っている時は、

完全に目が覚めてないのよね・・・

大丈夫かしら・・・?

 

「2人共、早いね?」

「「そ、それは・・・///」」

 

・・・言えない。

穹に早く会いたくて

2人で早く起きれたなんて

本人がいる目の前で言えるわけがない・・・

 

「僕もね?、梨花ちゃん達が来てくれるんじゃ

ないかなって思ってたの・・・」

「あう?、そうなのですか?」

「ちょっとした願望・・・?」

「なんで疑問形なのよ・・・」

「なんでだろうね?」

 

たまに、本当にたまになんだけど

穹って天然なんじゃないかって思う時が

あるのよね・・・

 

「・・・さっきまで死の直前の夢を見てた」

「え、そうなの?」

「それで分かった事があってさ・・・」

 

穹の表情は、

これからの運命に何かが介入してくる・・・

そんな顔だった・・・

 

()()()()()()()()()()()()()()が、ね・・・」

「気まぐれな・・・」

「敵・・・」

 

私と羽入は穹の一言には

信じられない内容だった・・・

もし穹の言ってる内容が事実ならば

これまでの舞台にいなかった、

つまり存在しなかった未知の敵が

現れるという事になる・・・

 

「・・・」

「穹?」

「どうしたのですか・・・?」

 

穹に声をかけても

返事がないので

一体どうしたのかと思い

穹が向いてる方を私達は見た。

 

「・・・いる」

「「えっ?」」

 

穹が何かを観察するように

見ていた場所は祭具殿の屋根だった・・・

しかし私には何も見えない。

 

「羽入ちゃん、あそこには何もない?」

「僕には何も・・・、穹の勘違いじゃないですか?」

「梨花ちゃんは?」

「何も見えないけど・・・?」

「2人が見えないとなると僕だけが感知できる訳か・・・」

 

すると穹は懐から

ビー玉を1つ取り出し・・・

 

「せいっ!!」

 

祭具殿の屋根に向かって

ビー玉を投げつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーガキンッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、

あり得ない光景を目にした。

いや、そう表現するしかできなかった。

何故なら穹が投げた筈のビー玉は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあー。バレちゃったー♪」

 

何処からか声がしたので

私と羽入は辺りを見回してみるが、

声の主は見つからない・・・

 

「なんで羅奈(ラナ)がいるの?」

「私がこの世界(カケラ)にいたら変かしら?」

「道理でおかしいと思った・・・」

 

声の正体は祭具殿の屋根に座っていた。

その少女の特徴は身長は私と羽入、

そして穹と同じ・・・

何より真意を読ませない雰囲気が漂っていた。

ていうか、同い年の割に発育がいいのは

気のせいかしら?

特に、む、胸とか・・・

 

「あうあう、だ、誰なのですか・・・?」

 

羽入が呟く声が聞こえたのか・・・

その少女は・・・

 

緋未月羅奈(ひみつきラナ)、穹の()()

「梨花ちゃん達に変な事を吹き込まないでくれない?」

「「あ、愛人!?」」

「2人も真に受けないで!?」

「反応が面白いわねー♪」

「羅奈もそれくらいにしてくれない?」

「だって、面白いんだもん♪」

 

なんなの!?、あの女!!

絶対に私に向かって喧嘩を売ってるわ!!

何故か分からないけど勘が告げてる!!

 

「で、なにか用?」

「・・・穹、私に対して冷たくない?」

「普通でしょ?」

「・・・絶対に根に持ってるわね」

 

羅奈という少女は

溜息を吐き、

私達3人を見る・・・

そして・・・

 

()()()()()()()()()()()ね・・・」

「・・・本当に見届けに来ただけ?」

「何せ終わらせなきゃいけないんでしょ?」

「・・・」

 

この女は一体、

穹の事を何処まで知ってるというの・・・?

 

「まぁ()()()()()()()()()()()もいるし」

「あんた一体なんなのよ・・・!!」

「あら、素の表情が出てるわよ?、こっわーい♪」

 

どういう事?

私の事や羽入の正体まで

知ってるなんて・・・

 

「私はただの傍観者、()()()・・・」

 

すると羅奈は指を鳴らした。

そして背後にドアが出現した。

 

「今日は、そこの2人に挨拶。

桜花の母親、そして古手家の末裔にね?

それと先に言っておくけど

私、あなた達2人には手を出す気はないから」

 

微笑みながら言ってる為

彼女の真意が掴めなかった・・・

 

「あぁ、言い忘れてた・・・」

 

空間に構築された

ドアに手をかけようとした時、

羅奈は穹の方を振り返り・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気が向いたら会いに来るわね、穹♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それだけを

言い残し消えていった・・・

穹が言ってた気まぐれな敵の正体、

それが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緋未月羅奈(ひみつきラナ)という少女だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回、新しいオリキャラを
登場させてみました。

緋未月羅奈(ひみつきラナ)プロフィール

容姿イメージ:『アカメが斬る!』のチェルシー

誕生日:9月2日

血液型:O型、おとめ座

一人称:私

今回登場させた羅奈は、
『うみねこのなく頃に』編や
その後のオリジナルストーリーでの
もう1人の主人公兼ヒロイン枠を担って
おります。
次回もよろしくお願いします。


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第5話 穹と羅奈

ゆるポメラです。
今回はサブタイ通りの
内容になっています。
視点は、穹になります。

それではどうぞ。



羅奈が僕達の前に現れて

からの翌日の朝……

 

「予想はしてたけど……」

 

正直に言うと、

こうなる予感はしてた。

確信って訳じゃないけど……

 

「……釣りでもしようかな」

 

何故、釣りをしたくなったかと

言うと状況整理や、

これから起こる惨劇の回避に

ついて考えたいから……

僕は小さい頃から行ってる場所に

向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

ーー近くの川辺ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後に来たのは……」

 

現実世界の雛見沢で、

この場所に来たのは

運命の袋小路に辿る前に

梨花ちゃんと羽入ちゃんの3人で

訪れた時以来になる……

 

「母さん達なら何て言うかな……」

 

僕の両親は、

小さい頃に病で死んでいる為、

この世界(カケラ)には存在しない。

ただし存在しないのは、

あくまで()()()()世界(カケラ)

僕が目覚めるまで滞在と言うより、

閉じ込められてた()()()()世界(カケラ)

では存在している……

 

「全然釣れないな。当たり前だけど…」

 

そんな簡単に釣れるなら

苦労はしないものね。

実際、夕方まで粘っても釣れなかったって

人もいるしね……

焦らず、過度な期待はせず、尚且つ時の流れを

待つのも重要な事だと僕は思う……

 

()()()()は必要になるかも……」

 

()()()()

僕は護身用として使っているけど、

今回の昭和58年の最後の戦いは

下手をすれば護身用じゃ済まなくなる

確率が高い……

僕が持つ隠し武器は、

近接用、中距離、遠距離の3つ……

 

「隠れてないで出てきたら…?」

 

傍から見れば、

誰に向かって言っているのかと

思うかもしれないが、

()にしか察知できない

気配の正体は姿を現さない。

なので僕は…

 

「別に怒ってないし出てきなよ。羅奈……」

「だって穹、不機嫌なんだもん……」

 

何もない筈の空間から

ドアが出現し、羅奈が頬を膨らませながら

僕に軽く文句を言いながら

出てきた……

 

「隣、座ってもいい…?」

「うん……」

「ありがと……///」

 

顔が赤いけど

どうしたんだろう?

聞いたら嫌がると思うから

僕は聞かないけどね……

 

「聞かないの?」

「何を…?」

「私がこの世界(カケラ)に来た理由…」

「昨日、梨花ちゃん達に言ってたのが理由じゃないの?」

 

僕が何気なく言ってみると

羅奈は首を横に振りながら

違うと言った。

そもそも羅奈が言う事は9割は本当で、

残りの1割は羅奈が普段言わない自身の本音…

 

「桜花に頼まれたの。穹の様子を見てあげてって…」

「なんで桜花ちゃんが?」

「穹が無茶するからでしょ…」

「僕そんなに無茶したかな?」

「したわよ。私、()()()()()()()もいいわ」

「だったら僕、()()()()けど?」

「はぁ。不毛な争いになるからやめましょ……」

「それには同意見……」

 

つまり羅奈が、この世界(カケラ)

来た理由は桜花ちゃんに頼まれたから

との事……

でも僕は、それだけじゃない気がするよ…

 

「穹、あなたもしかして……」

「今はまだ…分からないよ…」

「そう……」

「そう言う羅奈は……?」

「…えっ?」

「聞いてほしいって顔してる……」

「私は……」

 

羅奈の表情は、

いつもと変わらないように見えるけど

僕には寂しそうに見えた。

こういう時の羅奈は何でも1人で

背負い込むのを僕は知ってる……

 

「私も穹と同じかな…今は…」

「この最後の戦いが終わったら分かるよ…」

「そう…ね」

 

…そう。

この最後の戦いに勝ってからが

僕にとって、いや違う……

きっと羅奈も同じだろう……

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惨劇を乗り越えた後に

やって来る選択……

 

 

 

 

 




『…』を今回、初めて使用してみました。
今まで『・・・』を使用していたので
ちょっと違和感がありましたが
これからは『…』を使用できる所は
積極的に使ってみようと思います。
もし、読みにくいと感じましたら
訂正いたします。
感想、ご意見お待ちしています。
次回は、第16話の『終末への誘い』の回になります。
視点は今のところ未定です。
難しい構成になりそうですが、
頑張って執筆しますので
よろしくお願いします。


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第6話 穹と梨花

ゆるポメラです。
今回から、第16話『終末への誘い』の回です。
前回と同様、オリジナルになってます。
視点は梨花ちゃんになります。

それではどうぞ。




私は境内付近を歩いてる。

何故かって?

それは…

 

「ここにもいない……」

 

いつもより早い時間、

明朝に目が覚めてしまったから

散歩でもしようかなって思った。

というのは建前……

本当は穹に会いたかったからなのよね…

 

「…釣りにでも行ったのかしら?」

 

穹は考え事をしたい時は、

近くの川辺で釣りをする…

もし私の考えが当たってるなら……

 

「あそこしかないわよね…」

 

私は穹が行ったであろうと

思われる川辺に向かう事にした。

 

 

 

 

ーー近くの川辺ーー

 

 

 

 

 

「ここに来るのも……」

 

何百年振りになるだろう。

風景は相変わらずだった……

この場所は人があまり来ないが

景色が良く、穴場としては有名だった。

 

「あ、やっぱりいた……」

 

案の定、穹は釣りをしていた。

でもなんか浮かない顔をしていた。

私は気づかれないように

穹の背後に回り込み……

 

「だーれだ?」

 

と言いながら

両手で穹の目を隠してみる。

 

「梨花ちゃん?」

「当たり♪、なんで分かったの?」

「昔、同じ事してきたじゃない……」

 

そういえば小さい頃も

穹に会いに行く時はこんな感じだったわね。

思い出したら恥ずかしくなってきたわ……///

 

「と、隣、座ってもいい?」

「いいよ~」

 

私は穹の隣に座る。

 

「「……」」

 

き、気まずい……

穹と2人きりになったのって

数える程度だった気がするわ。

いつもは羽入も一緒だったしね……

 

「何か釣れた?」

「全然。まぁ釣れなくてもいいけどね」

「どうして?」

「こうして梨花ちゃんと一緒にいられるからかな」

「えっ、えっと……///」

 

どうして穹は、そういう恥ずかしい事を

サラッと言うのよ……///

私は言われて嬉しいけど……

 

「…ねぇ、穹」

「なに?」

「仮に、仮の話よ。もしこの世界でも失敗したら……」

 

今から私が聞く事は

嫌な事かもしれない……

でも聞かずにはいられなかった。

 

「穹は、どうなるの……?」

 

ずっと思っていた。

私達が皆殺しされた前の世界では

これまでの惨劇が回避で出来た。

けど、最終的には私達は殺されてしまった。

だけど今は穹がいる…

嬉しい反面、不安な自分がいた。

もしも、この世界でも勝てなかった場合、

彼はどうなってしまうのか……

私はそれが不安だった……

 

「もう2()()()()()()()()と思う。断言してもいいよ」

 

その言葉を聞いた瞬間、

私は鈍器で殴られた感覚に陥った。

じゃあ失敗してしまったら、

穹とは2度と……

 

「そんな顔しないで」

「えっ…」

「勝って昭和58年の6月を越えるんでしょ?」

「そ、それはそうだけど…」

「自信ない?、それとも不安なの…?」

「私は両方…」

「そりゃそうだよ、不安にならない方がおかしいもの…」

 

そう言いながら穹は釣り竿を戻した。

よく見たら餌がついてなかった…

 

「餌、付けてないの…?」

「これ?、わざとだよ。何%の確率で釣れるかなって…」

「そんな事して釣れたら苦労しないんじゃないの?」

「よし、今度はルアーだけ付けてやってみる!」

 

すると穹は腰に付けているポーチから

手作りと思われるルアーを取り出し

竿の先端に取り付け始めた。

ねぇ私の話、聞いてた?

 

「お昼頃になったら営林署に行こうよ」

「私達の学校に…?」

「うん、多分その時間帯に……」

 

穹は竿を再び川に投げる……

 

「圭一(にぃ)が転校して来るよ」

「…圭一が?」

「と言っても、転校の手続きだと思うけどね?」

 

川の流れを見ながら

穹は笑っていた…

 

「少しは僕を頼ってもいいから……」

 

私を安心させるような笑顔で

そう言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、頼りにさせてもらうわね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから起こる戦いに

不安で仕方なかったけど穹の一言で

安心した私がいた……

 

 

 

 

 

 

 




梨花ちゃんの口調が難しいです…
もう少し更新速度を上げれるように
頑張らないと……(謎の使命感)
次回は羽入ちゃん視点になります。
これからもよろしくお願いします。


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第7話 穹と羽入

ゆるポメラです。
投稿が遅れてしまい
申し訳ありません……
今回の内容も前回と同じ
オリジナルになります。
そして前回の予告通り視点は
羽入ちゃんになります。

それではどうぞ。


あうあう。

皆さん、おはようなのです。

僕は梨花と穹を捜しているのですが…

 

「2人共、どこに行ったのでしょう…」

 

起きたら梨花がいなかったので

捜そうと思い今に至る訳なのです。

しかし梨花も酷いのです!

僕を起こしてくれてもいいじゃないですか!

あう?、自分で起きれるだろうって?

だって眠かったのですよ!?

二度寝なんて誰だってある事だと僕は思うのです!

個人的な意見ですが…

 

「もしかすると……」

 

穹の事です。

この世界(カケラ)に戻ってきて

間もないから状況整理や考えたい事を

したいから近くの川辺で釣りをしてると思います。

僕の考えが合ってるなら梨花も多分、一緒にいる筈……

 

「行くだけ行ってみますのです、あうあう!」

 

僕は2人がいると思われる

川辺に向かう事にした。

 

 

 

 

ーー近くの川辺ーー

 

 

 

 

 

 

 

「あ、穹と梨花なのです♪」

 

僕の予想通り、2人を見つけました。

ただ声をかけるのも面白くないので

僕らしいやり方で穹をビックリさせるのです。

そろりそろりと穹の背後に近づき……

 

「え~い、なのですぅ~」

「っ!?、ビックリした。羽入ちゃんか…」

「むぅ~、全然ビックリしてないじゃないですか……」

 

穹に抱きつくと案の定の反応だったのです。

もうちょっと驚いて欲しかったのですよ……

 

「そういえば梨花の反応がないような…?」

「あぁ、梨花ちゃんなら……」

「あう?」

 

穹の目線を追って見ると…

 

「すぅー、すぅー……」

 

穹の肩に寄り添いながら

綺麗な寝息を立てている梨花がいた。

 

「隣、座ってもいいですか?」

「うん、いいよ~」

 

梨花が隣で寝ているので

僕は穹の反対側に座る。

 

「羽入ちゃん、二度寝しちゃったの?」

「あぅあぅ、な、何故それを…///」

「梨花ちゃんに聞いたら声をかけても返事がないから放置したって…」

 

あう!?

じゃあ梨花は僕が起きないから

そのまま放置したって事ですか!?

 

「梨花は僕に対してイジワルなのですぅ……」

「そうかなぁ…?」

「聞いてくださいよ、この間なんか……」

 

僕が愚痴を言うと

穹は苦笑いしながらも聞いてくれた。

この際ですから、ここ最近の事も話してしまうのです。

 

「…てな事があったのですよ」

「あはは……」

「僕が辛い物が苦手なのに敢えて食べるのですよ?」

「羽入ちゃん辛いもの苦手だものね…、梨花ちゃんは平気だけど…」

「たまには甘い物が食べたいのですよ、あうあう……」

 

特に僕はシュークリームが大好きなのですよ。

梨花は嫌いじゃないけど甘ったるいから

あまり好きじゃないと言ってましたが……

 

「全部が終わったら、僕が何か作ってあげようか?」

「ほ、本当ですか!?」

「羽入ちゃんが食べたい物なら何でも」

「じゃあじゃあ僕は、穹の手作りパフェが食べたいのです!」

「今更なんだけど、エンジェルモートの方がいいんじゃ……」

 

穹が言ってる『エンジェルモート』とは

魅音の双子の妹の詩音が働いているメイド喫茶なのですが

僕の存在は普通の人には感じないので見えないのですが

今は人の姿をしてるので普通の人でも見えるのです。

というか……

 

「…穹、あそこの制服が見たいだけなんじゃないですか?」

「あ、ひどーい」

「まぁ僕なりの冗談ですよ☆」

「…冗談に聞こえなかったのは気のせい?」

「気のせいなのです、あうあう~☆」

 

こうやって穹と一緒にいるだけでも

僕は嬉しいのです。

欲を言うとですね?

どうせなら2人きりの方が……

なんて僕が思った時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、羽入あんた私の事そんな風に思ってたの……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「り、梨花……?」

 

黒い笑顔で僕の事を見てる梨花がいた。

ちょ、ちょっと待ってください?

さっきまで寝てた筈ですよね…?

 

「梨花ちゃん起きたの?」

「うん。ごめんね穹、私あのまま寝ちゃって…」

「疲れてたんでしょ?。気にしないで」

 

あうあうあう!?

絶対、梨花は寝たふりをしていたのです!!

あ!!、まさか僕が穹に抱きついたあたりですか!?

 

「…へぇ、あんた穹に抱きついたんだぁ……」

「やっぱりあの時から起きてたのですね梨花!?」

「あら?、私は愚痴を言った辺りから起きてたんだけど……」

 

は、はめられたのですぅ!?

黒い、黒いのですよ!!

くっ、かくなる上は……!!

 

「だいたい梨花はいつもいつも……!!」

「はあ!?、それならあんただってそうじゃない!!」

「僕をはめるなんて神が許さないのですよー!!」

 

すると穹が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それ以前に神様である羽入ちゃんが言う?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、そうでしたね。僕は神様でした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




内容が短くなってしまい申し訳ありません……
次回の視点は穹になります。
更新速度が遅くなりそうですが
これからもよろしくお願いします。


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第8話 営林署へ・・・

ゆるポメラです。
4~5ヶ月振りの投稿になります。
視点は予告通り穹になります。

それではどうぞ。



梨花ちゃんと羽入ちゃんの喧嘩モドキを

宥めた後の事である。

僕の釣竿に何かが掛かった……

 

「穹、竿が引いてるのですぅ~!」

 

羽入ちゃんの声で気づいたので

一瞬だけボーっとしてしまったが急いで

竿を持ち一本釣りをやる感じで引っ張った……

 

「お、重い……」

「穹、気合いなのです!。気合いさえあれば何とかなるのですぅ~」

「いや羽入、あんたも手伝いなさいよ!!」

 

梨花ちゃんが僕の腰を引っ張りながら

羽入ちゃんに突っ込む。

うん、正直に言うと手伝って欲しい……

応援してくれるのはありがたいんだけどね……

 

「「「ふぬぬ……!!!」」」

 

正直、この小さい体を呪いたい……

こればっかりは仕方ないけどさ。

 

「「「そいやっ!!!」」」

 

思い切り竿を引っ張ると3匹の魚が

かかっていた……

しかもデカい。

 

「つ、釣れた…」

「あうあう、とっても大きいのですぅ~♪」

「い、一度にこんなに釣れるものなの?」

 

梨花ちゃんの言う通り普通は

こんなに釣れない。運が良かったからだと思う……

ちなみに餌は付けてない。ルアーだけである。

 

「…お昼ご飯、煮付けか塩焼きにする?」

「僕は煮付けが食べたいのです~♪」

「梨花ちゃんは?」

「お刺身が食べたいわね、気分的に……」

 

なんか意外……

梨花ちゃんがお刺身を食べたいなんて言うなんて……

まぁ本人はそんな気分なんだろう。

 

「…じゃあ梨花ちゃんと羽入ちゃんの希望で煮付けと刺身って事で……」

「あう?、穹は魚とか捌けるんですか?」

「…向こうの世界(カケラ)では魚が多かったから捌くのは慣れてるよ」

 

僕が閉じ込められてた世界(カケラ)では何故か魚の種類が

豊富だった為、魚の扱い方には慣れてしまった。

ちなみに料理のやり方は母さんから教わった。

 

「…どこで料理しようかな?」

 

ここから僕の家までは少しだけ距離がある。

梨花ちゃんの家なら歩いてすぐだけど……

流石に料理したいから家に行ってもいいなんて言えないしなぁ……

すると梨花ちゃんが……

 

「ね、ねぇ…穹……」

「どうしたの?」

「あ、あの……その、よ、良ければ……」

 

なんか言いづらそうだけどどうしたんだろ?

羽入ちゃんを見ていると何故かニヤニヤしている。

あ、あの表情は梨花ちゃんが何を考えているか分かってるな……

 

「わ、私の家で一緒にお昼ご飯を作らない……?」

「いいの?」

「う、うん……///」

「じゃあお言葉に甘えて……」

 

梨花ちゃんの顔が赤いのはなんでだろう?

まぁこんな感じで古手家でお昼ご飯の準備をする事になった。

 

 

 

 

ーー古手家・台所ーー

 

 

 

 

 

梨花ちゃんの家に着いた僕達3人は

早速、お昼ご飯の準備をする事にした。

 

「煮付けは僕が作るのですぅ~♪」

「じゃあ僕はお刺身をやるよ。と言っても切るだけだけど……」

「わ、私は……」

「梨花は皿でも並べてろなのです。」

「な、何よ!。私だって料理くらい出来るわよ!!」

 

羽入ちゃんって時々、辛辣な事を言うよね。

梨花ちゃんに対してだけど……

 

(こんなんで大丈夫かな…?、まぁ僕は楽しいから良いけどね……)

 

 

 

 

side梨花

 

 

 

 

 

 

全く……

私だって料理ぐらい出来るわよ……

ちなみに今は穹と2人で魚を捌いている。

 

「…ねぇ、梨花ちゃん」

「穹、どうしたの?」

「羽入ちゃんが作ってるのって煮付けの筈だよね……?」

「そうじゃないの?」

「…あれ、見てよ」

 

穹に言われるがまま横を見てみると

そこでは……

 

「あうあう♪、はぅう、あうあう♪」

 

紫色の煙を出しながら、

鍋をかき混ぜ鼻歌を歌ってる羽入がいた。

えっ…何よアレ?

ブクブクって音がするんだけど……

 

「…羽入ちゃん、それ煮付けだよね?」

「あう?、そうですよ。楽しみにしててくださいね?」

「う、うん……」

 

穹は笑ってるけど口元が引き攣っている……

気持ちは分からなくない。

羽入は料理が上手だから大丈夫な筈……だと思いたいわ……

 

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お昼ご飯を食べ終わった僕達は

梨花ちゃんが通ってる学校がある営林署に向かっていた。

余談だけど羽入ちゃんが作ってくれた特製の煮付けは凄く美味しかった。

見た目がダイナミックだったけど……

 

「そういえば穹は学校とかはどうするの?」

「そう、だね……」

 

梨花ちゃんの唐突な疑問。

確かに僕は100年間も眠っていたので

学校は通った事がないと()()……

()()というのは、その頃の記憶が曖昧だからなんだ。

それにしても学校かぁ……

 

「通ってみようかな…学校……」

「本当!?」

「ど、どうしたの?、梨花ちゃん」

 

僕が行こうかなと呟いた瞬間、

顔を近づけてきた梨花ちゃん。

急な事で少し驚いてしまった……

 

「うぇ……///、な、なんでもない……///」

「梨花、ヘタレなのです……」

「うるさいっ!!」

 

すると梨花ちゃんは羽入ちゃんにアイアンクローを

かまし始めた。って何やってんの!?

 

「あうー!?、痛いのですぅ、痛いのですぅー!?」

「あんたが余計な事を言うからでしょう!!」

「梨花ちゃん落ち着いて!?、羽入ちゃんの頭蓋が割れるってば!!」

 

この後、ご乱心になった梨花ちゃんと半泣きになった羽入ちゃんを

宥めてる間に目的地である営林署に着きました。

 

「…ここが梨花ちゃん達が通ってる学校。こんなに大きかったけ?」

「私は見慣れちゃったけどね……」

 

梨花ちゃんが通ってる学校は、

営林署の敷地を借りている学校なので田舎ならでは

の感じが出ていた。

ちなみに僕が眠っていた世界(カケラ)でも学校は

こんな感じの学校だった。

 

「…教室の中とか見学してもいいのかな?」

「たぶん大丈夫だと思いますよ?」

「私と羽入はここで待ってるから」

「…うん、じゃあちょっと行ってくるよ」

 

梨花ちゃんと羽入ちゃんと一旦別れた僕は

学校に入ってみる事にした。

 

 

 

 

ーー校内、廊下……ーー

 

 

 

 

 

廊下を歩いていると

見覚えのある後ろ姿が見えた……

あれってもしかして……

 

「…圭一兄?」

「穹?、穹じゃねーか!?」

「お、お久しぶりでいいのかな…?」

 

圭一兄は僕を見つけると嬉しそうに

こっちに寄って来た。

逢うのは何年振りだろうか…ざっと100年振りかな……

 

「…今日は学校に行く手続き?」

「ああ。親父と先生がさっき職員室に行ってな?、その間に校内を見学してろってさ」

「そうなの?、じゃあ今は職員室に入れないのか…残念……」

「そういや穹は学校とかはどうするんだ?」

「…検討中かな。僕個人としてはここの学校に通いたいけど」

「そっか……」

 

ちなみに圭一兄は僕の両親の事を

知っているのでそれ以上の事は聞かなかった……

 

「お、ここが教室か…」

「みたい…だね…」

 

教室に入るとまず目に入ったのは美術の授業で描いたと思われる絵や

習字の時間で書いたであろう目標の文字とかが貼ってあった。

 

「なんか貼ってあるものがバラバラだね……」

「俺も先生に聞かされたんだけど学年がバラバラな生徒が集まってるってよ」

「それ聞くと、なんかカオスだよね……」

「確かにな……」

「転校してきたら圭一兄は男子では最年長だね?」

「下級生の模範になれって先生にも言われたけどな……」

「圭一兄なら大丈夫だよ」

 

圭一兄こと、前原圭一(まえばらけいいち)が雛見沢に引っ越してきたのは、

前の学校の生徒達が優等生の集まりで圭一兄はクラスでは一番の成績の持ち主だった。

ところが、ある日を境に通りすがりの子供達をモデルガンで襲う事件を起こしてしまうのだ。そして襲った子供が大怪我をしてしまったのだ。

原因は勉強ばかりによるストレスだ。

『ストレス』というものは人にとって何かしらの方法で発散させないと

取り返しのつかない事件まで引き起こすという厄介極まりないものだ……

 

「なぁ穹…」

「…ん?」

「これはこれで楽しそうだな」

「そうだね…」

 

圭一兄の表情は明るかった。

もう前のような幼稚な自分にはならない…

そんな表情だった。

 

 

 

 

 

ーー営林署、庭……ーー

 

 

 

 

 

圭一兄と僕は外に出ると

梨花ちゃんと羽入ちゃんが待っててくれた。

 

「ようやく引っ越して来たのです」

「?」

 

梨花ちゃんは圭一兄を見て言った。

まぁ梨花ちゃんからしたら待ちくたびれたって感じだもんね……

 

()()は待ち疲れたのですよ」

 

あぁ説明してなかったね?

梨花ちゃんが『ボク』という一人称を使うのは、学校生活の中でだ。

逆に僕や羽入ちゃんと会話する時に使う『私』という一人称は、

素の状態での時だ。羽入ちゃん曰く、この状態の梨花ちゃんを『黒梨花』って聞いた。

 

「でもこれで変わるのです。圭一はサイコロの6なのですから」

 

羽入ちゃんにそう言われた圭一兄は何で自分の名前を

知ってるんだ?といった感じの表情。

 

「にぱ~☆、転校生なのですか?」

「あぅあぅあぅ、仲良くしましょうなのです~」

「…だってさ。圭一兄?」

「え…あ、ああ…。よろしくな前原圭一ってんだ」

「よろしくなのです圭一」

 

これで圭一兄も無事に引っ越して来た…

とりあえず何とかなるかな。

 

「穹、この子達ってどっちがお前の彼女なんだ?」

「あ、2人は……」

 

圭一兄に梨花ちゃんと羽入ちゃんの関係を

説明しようと2人を見てみると……

 

「「か、かかか……かの///」」

 

あ、あるぇ~?(・3・)

何故か梨花ちゃんと羽入ちゃんの顔が熟したリンゴのように

真っ赤だった……

 

 

 

 

 

 

side羽入

 

 

 

 

 

「ついに圭一も来た…」

「…そうだね。」

「今度こそ打ち破れるかしら…運命の袋小路を」

 

梨花の言う通り

ここで打ち破れなければ僕達にはもうチャンスは無い…

 

「…味方は多い方がいいよね?」

「そうですが…穹、当てがあるのですか?」

「ある。2()()()ね……」

 

穹は2人程、当てがあると言いますが

一体誰なんでしょうか……?

僕は千年も雛見沢を見守っていましたが該当する人物が分かりません……

ただ、穹に親しい人物という点が推測できますのです。

 

1()()は、この世界(カケラ)に呼び出すのは条件が厳しいけど……」

「もう1人は何とかなるの?」

「…うん。僕が言えば聞いてくれる筈。てか100%大丈夫」

「穹、断言しちゃっていいの?」

「…うん、保証してもいいよ」

 

梨花が不安そうに聞きますが穹は大丈夫だと言いました。

しかも100%大丈夫だと断言してまで……

 

「僕と梨花も会った事がありますか?」

「1人は分かんないけど、もう1人は羽入ちゃんと梨花ちゃんも会った事あるよ」

「穹の知り合い?」

「…梨花ちゃんと羽入ちゃん、最近初めて会ったよ?。その子に」

「私達が最近……?。羽入、誰だか分かる?」

「あぅ…分からないのです…穹、その子は誰なんですか?」

 

すると穹は立ち止まり……

 

「…羅奈だよ。僕達の1人目の味方は」

「「はあああ!?」」

 

穹が口にした名前に僕と梨花は驚きが隠せなかった……

以前、祭具殿の屋根に現れた謎の少女だった。

た、確かに穹の事を知ってるような口ぶりをしてましたが……

 

「えっ!?。あの女、私達の味方なの!?」

 

梨花は信じられない表情をしていました。

まぁ向こうは梨花の事をからかった感じに見えましたし…

 

「…梨花ちゃんが来る前に羅奈に会ってさ。嘘を言ってる素振りもなかったからさ」

「「愛人って言ってたのは?」」

「…それは嘘だと思う。羅奈って人をからかう事があるから……」

 

よ、良かったのですぅ~……

あの時、穹の愛人だって言われた時は鈍器で殴られた気分になりましたから…

あぅあぅあぅ……

 

「穹、もう1人は誰なんですか?。この世界(カケラ)に呼ぶのが難しいって言ってましたが……」

「…もう1人は梨花ちゃん次第かな。それ次第では勝率が変わる」

「えっ、私が?」

 

もう1人の味方を呼ぶには梨花次第だと穹は言います。

 

「…今は名前は言えないけど梨花ちゃんが成功したら言うよ」

「分かった。でも私は何をすればいいの?」

「…赤坂さんに助けを求める。これだけ」

「でも………」

 

穹が梨花に課した事は生半可なものじゃなかった。

これまでも梨花は何百年も待ち続けていたが間に合わなかった……

すると穹はポケットから何かを取り出し梨花に渡した。

 

「穹、これは?」

「…ある人の髪飾り。それを使って赤坂さんに助けを求めれば応える筈だから」

「でも誰の髪飾りなの?」

「…赤坂さんの大切な人の物。僕がこの世界(カケラ)に来る時に預かったんだ、大丈夫。梨花ちゃんなら出来るよ」

「分かった…私、やってみるね?」

 

穹の励ましの言葉に梨花の瞳には迷いが消えていた。

今までだったら諦めるしかないと言ってた梨花がやると言った。

きっと穹が出来るよと言ってくれたからだと僕は思います……

 

「羅奈の事は僕に任せて……っ!?」

「「穹……?」」

「……」

 

僕と梨花が声をかけるも穹は後ろを振り向いたまま黙っていた……

 

「羽入ちゃん……何か()()()()?」

 

そう言われた僕は気配を巡らせる。

そして穹の言う通り感じた……

それも()()()()は古手神社の境内に向かっている……

 

「穹、梨花。先に行っててください」

「羽入?、穹……?」

「…分かった。羽入ちゃん、無理だけはしないでね」

 

こんな僕を心配してくれる穹の一言が嬉しかった。

いつもの僕だったら怖くて姿を現したりはしない…

 

 

 

 

 

 

 

(遂に来ましたね……)

 

 

 

 

 

 

 

梨花を殺し僕達に数百年の旅をさせた元凶が……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただいてありがとうございます。
Kちゃんの口調が難しい……(いざ執筆するとなると)
今回のように投稿が遅れたりする事が
ありますが失踪したりはしませんので
これからもよろしくお願いします。
次回は第17話『宣戦布告』の回に入ります。
視点は羽入ちゃんと梨花ちゃんになります。


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第9話 宣戦布告

ゆるポメラです。
こちらの小説の投稿が遅れてしまい申し訳ございません。
今回から、第17話『宣戦布告』の回です。
視点は前半が羽入ちゃん、後半が梨花ちゃんになっています。

「あうあう! 更新が遅いとは何事ですか!!」

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
そ、それではどうぞ。



僕は古手神社に境内に居る。

そしてそこには女が1人…僕達に数百年の旅をさせた元凶が目の前にいた……

その正体を見て、ようやくわかりましたのです……

 

「全てはあなたの意志だったのですね、()()

 

鷹野と僕が呼んだ女は、

戸惑った表情をしたが直ぐに落ち着きを取り戻した後……

 

「私は夢を見ているのかしらね……あなたがここの神様…ね?」

 

確かめるかのように問いかけてきた。

そう……

僕は『オヤシロ様』と呼ばれる雛見沢の守り神なのです……

これまでのいくつもの世界で梨花は繰り返し殺された。

そして僕は彼女に死が与えられる度に()()()()()()()()()()()()、別の世界で新しい生を生きられるようにした。

そうする事の出来る力が僕にはありました。

 

しかし何度も梨花を巻き戻しても必ず()()5()8()()6()()に梨花は殺されてしまう…

考えられるのは何者かが古手梨花の命を奪おうとするという強い意志を持っているという事……

その何者かとは誰なのか…梨花も僕もずっとそれが分からなかった。

分からないまま数百年の旅を繰り返し…ただ命を奪われてきた……

 

 

だけどようやくその答えが分かったのだ

 

 

それは僕達が直前にいた世界で、

誰も凶行に走らず園崎家をめぐる因果も全て解かれた世界で僕達が皆殺しにされた世界でようやく分かった……

強大な力をもって5年目のオヤシロ様の祟りを起こし梨花の命を奪う。

そして穹が言っていた元凶は近くにいるんじゃないか?という答え……

 

 

恐らくその運命自体を引き起こしていたのは、

僕の目の前にいる……鷹野三四(たかのみよ)という女の強い意志だという事を。

 

「…強い意志は運命を強固にします」

「ええ。 神は運命のサイコロを振り人間を弄ぶ……だけど人間には意思の力がある、それが()()()()()()()()()()()()()()()で誰にも挫かれる事のない強固な意志を持つ事によりサイコロの目に左右されない力を得る事ができる」

 

鷹野が言ったその意味は、

確定された絶対の未来。

意志が強ければ強い程、自らが望む未来に到達する……

それを数百年を生きる僕達ではなく人の身である彼女が知るという事は……

 

「認めますです。あなたは限りなく"神に近い場所"にいる……でも僕はあなたに負けない!!」

 

 

 

 

side梨花

 

 

 

 

 

「だめよ羽入!」

 

羽入の様子が変だったので、

何事かと思いカケラの海から覗くと鷹野と対峙していた……

だけどまだ勝てない。

私の周りに無数に散らばっている世界(カケラ)

この世界(カケラ)1つ1つにはそれぞれ違う雛見沢の物語が存在する……

 

「いくつもの世界(カケラ)を渡り歩いてきた私達が最後の戦いを行うべきこの世界(カケラ)

 

それは穹が再び目覚めた世界(カケラ)である……

確かに羽入が言ってた通り、この世界(カケラ)には並べられるだけの駒が一見すると並んだように見える……

 

 

穹が目覚め圭一も転校してきた。

 

 

その1年前にはレナも

 

 

そして魅音、詩音、沙都子……

いくつもの世界(カケラ)を通じて惨劇を乗り越えてきた仲間達。

この昭和58年の雛見沢にどれ程たくさんの想いが集まっている事か……

 

 

彼らの想いが結集すれば誰にも負けない力になる。

だけどまだ足りない……

恐らく私がこのままあの世界(カケラ)に巻き戻っても鷹野には勝てない……

 

(まだ駒がいる……でもどうすれば……)

 

ふと思い出したのは、

穹から預かった髪飾り。

誰の物なのかと訊いたが私が成功したら教えると言っていたけど……

 

「強大な力を打ち破れる駒を得るには、もう1度だけ…奇跡の力がいる!」

 

私がやる事は決まった。

髪飾りを握りしめひたすら願った……

 

 

 

無数の世界(カケラ)の何処かで私の声に応えてと……

 




読んでいただきありがとうございます。
次回は穹の視点に戻ります。
今後も投稿が遅れたりと色々とあるかもしれませんが、
失踪したりはしませんので何卒よろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。


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