転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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唐突ですが、このエピソードから新章です。
いえ、イタリア篇が思ったよりも長くなってしまったのと、その後の顛末とかも入れたくなったので。

そして新章開始記念というわけではないですが……演出上の関係で、過去最大の挿絵数になります(サブタイの回収も含め)





第20章:”ローマの休日”と”デート・ア・ライブ”
第376話 御庭番衆は、ローマに咲く”彼岸花”か?


 

 

 

 さて、制限時間があるのかは不明だが、日本皇国今上天皇照仁陛下の分霊体(ワケミタマ)は朝霧が陽光に溶けるように消えていった。

 とはいえ、如何にローマの休日計画(Project Roman Holiday)が発令されたとしても、即座に”デート・ア・ライブ作戦(Operation DATE A LIVE)”発動とは行かない。

 

「ん~。デートイベントはいいけど、街中とか大丈夫かな? ほら、ついこの間も、ローマで騒ぎがあったばっかりだし。それに”ロックさん”がいつまでも双子引き連れてそばでガンスリンガー・ガーディアンやってくれる訳じゃないでしょ?」

 

 マリアンナが言うロックとは、”一応は”外務省に所属しているらしい『少々特殊な立ち位置』に居る外交官、”日高信緑郎”のことである。

 何故か新米外交官の頃から国際的な鉄火場(主に欧州)に縁があり、暗殺事件の現場に居合わせることもしばしば。というか二年連続で要人暗殺の現場に遭遇するなんてトンデモ経歴も……

 付いた仇名が、(本人として不本意らしいが)火付けの信緑郎(フリント・ロック)という中々のイロモノだ。

 

 公的には外務省の職員ながら、おそらくは皇家→宮内省→外務省ルートで皇子の護衛兼任のエスコート役に任命されるぐらいだから、大概な人物である。

 おまけに私的部下(私兵?)として銀髪の双子姉妹引き連れてるし。

 まあ、それが許される立ち位置の人物ではある。

 かくて『頭○アナプラ、戦闘力もロア○プラ』なロック、あるいは銀髪姉妹を含めたトリオは現在、『外務省職員としての公務』を行うべく行動を開始していた。

 現状、状況の急変でイタリアにおける外交リソースがパンク状態になりつつある皇国外務省が、『鉄火場だろうと危険地帯だろうと土足でずかずか入り込み、ケロッとした顔で生還できる外交官資格保有者』を遊ばせておくわけがなかった。

 ちなみに現在、ロックと双子は首都ローマのみならず、マフィア”カモッラ”の本拠地であるナポリとも頻繫に行き来してるらしい。

 というかたった3人で100名以上を血祭りにあげた手腕がある種の武勇伝として広まり、イタリア裏社会の人間にも一定以上の畏怖とある種の尊敬を持たれているらしい。

 

 確かにロックのイタリアの街並みにたたずむ姿も、カタギというよりは……

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なんか『この世で唯一信じられるのは剛力のみ』とか言いだしそうな界隈の住民っぽいし、”その手の人々”にとっては分かりやすいアイコンなのだろう。

 おかげで”フリント・ロック”の二つ名が、ますます広がりそうである。

 

「まあ、ロックは鉄火場にやたらと縁があるだけで、一応は外交官だしな。あれで愛国者らしいし」

 

 母国の皇族にすら「一応」を付けられてしまうロックに涙を禁じ得ないが……

 まあ、この世界線の皇国外務省はキャラが濃いのが多過ぎて、尚且つ外交官の枠組みを逸脱してやらかす奴(筆頭:サンクトペテルブルグの魔王様)が居るので無理もないと言えば無理もない。

 幣原翁を中心とする地中海組はまだまともなのだが、開戦以来一度も帰国しやしない古狸(ヨシダ)とか、国際連盟の戦争犯罪究明特別チームで頭張ってるの(スギウラ)とか、外交官の肩書を持ちながらやらかしてるのも一定数いるわけで……

 ドイツ推し(オオシマ)? まあ、彼は日独親善大使としては頑張っているのではと……意図せず米国にコラテラルダメージ与えてるし。

 

 嗚呼、素晴らしきかな日本皇国外務省!は良いとして……

 

 

 

「それに関してあんまり心配いらないかもな。おそらくだが、既に”御庭番衆”がローマ市内を中心に、”イタリア人に擬態して”相応数入ってると思う」

 

「”御庭番衆”? ……ってニンジャぁっ!?」

 

 素直に驚くマリアンナに和仁は少し苦笑して、

 

「まあ、間違ってはいないが」

 

「もしかして”小太刀二刀流”の使い手がいるとか……?」

 

「なんか明治時代には実際いたらしいぞ? 今はナイフ・コンバットに切り替わってるが」

 

 鉄砲の時代ですし。

 

「あと、某流浪人漫画と実際の御庭番衆はかなりイメージ違うぞ? ぶっちゃけてしまうと今となっては宮内省と政府で折半した防諜任務を含む諜報組織だし」

 

 これに関しては少し説明が必要だろう。

 この世界線において、日本という国家は織田幕府(江戸御時代)の後期より、国家の近代化を模索し平和裏に公武合体を行い、明治の幕開け……”日本皇国”となった。

 それを前提として話すが、戦国時代に活躍した各地忍者集団は、各藩の名家のお抱えになった者以外は、幕府直属の『公儀隠密』として再編された。

 ”御庭番”とは本来は公儀隠密の役職の一つであった。

 しかし、幕藩体制が明治政府に発展解消となり、その裏側で公的に独自の諜報機関を持てなくなった家々は人材放出を余儀なくされ、その受け皿となったのが織田幕府から明治政府が正式に(ただし秘密裏に)受け継いだ公儀隠密だった。

 また、その頃の御庭番とは『江戸城や御所などの国家重要拠点の守護を第一位とし、その一環として諜報活動を行う公儀隠密の一部門』であり、明治の始まりと共に御庭番は政府から天皇家(宮家)直轄、即ち宮内省の管轄となった。

 そして、上記の放逐された各地の忍者を取り込む事により、『御庭番衆』として再編されたのだ。

 御庭番衆の”衆”とはそういう意味だった。

 

 そもそもが優秀な諜報員の人材供給源であり諜報活動ノウハウの塊である忍者集団を、近代化の名の下に歴史用語に変えるなど論外であった。

 

 宮内省に限らず実際、諜報員の養成学校であった”陸軍中野学校”など、初期においては元公儀隠密や忍者だらけだったらしい。

 軍情報部だけに限らず、内閣情報部(内閣調査室の上位互換のような組織)、外務省情報部、国家公安部、特務公安など諜報活動を必要とするあらゆる公的対外・国内監視組織に忍者の末裔、そのノウハウの継承者たちは存在する。

 

 そして、組織構造からより近代化され収斂と洗練された現代の”御庭番衆”は中々に凄腕が揃っているようだ。

 

「まあ、不自然とは思っていたんだよ。新王が即位したばかりの疑似内戦状態のイタリア、内政状態も治安状態も脆弱な状況で10万単位の赤化イタリアンが一斉蜂起して、なんでこの程度の損害で済んだのかってな」

 

 皇弟殿下、もうすぐサヴォイア公爵家を継ぐことになる和仁は小さく笑い、

 

「軍が治安出動前目で公に動いただけでなく、御庭番衆が暗躍していたのなら、そりゃあこうもなるだろうさ」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 和仁の予想は外れていなかった。

 せっかくなので、『マリアンナと大体同年代の、街角のどこにいても不自然じゃないローマの庶民少女に扮した諜報員(おにわばんしゅう)』を紹介しよう。

 

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 そう、『ローマ市内で活動、マリアンナと大体同年代』と絞っただけでも16名も潜り込んでいた。

 その目的は「ローマ市内における情報収集」に加え、”ローマの休日計画”が発令された現在は、『デート・ア・ライブ作戦における市内デートイベント発動時の”和仁とマリアンナ、その他の市民の視界に入らぬような護衛”』も任務に含まれていた。

 無論、その護衛任務は『仇名す者の事前排除を含む能動的護衛』も内包される。

 

 共通アイコンとなるのは、Gジャン(デニムジャケット)にミニスカート、そしてブーツだ。

 そして、これらにはしっかりと意味がある。

 まず、デニム素材の服から。

 この世界線でも全てのジーンズの原型となる『頑丈なキャンバス生地(帆布)を素材に用いて銅リベットでポケットの両端を補強したワークパンツ』がゴールドラッシュに沸くアメリカで販売されたのは19世紀末のアメリカでだ。

 20世紀に入り、素材はキャンバス生地からインディゴ染めのデニム生地へと変わったところまでは史実と似たり寄ったりだが……この世界線は、ここから先が随分と異なる。

 まず史実の話をすれば、ジーンズがファッションアイテムとして認知されるようになったのは第二次世界大戦後、1950年代のハリウッド映画の世界的なヒットが発端になったらしい。

 

 だが、この世界線では、史実より四半世紀早く第一次世界大戦後に世界中に急に広まったのだ。

 仕掛け人は、各国の服飾業界や繊維業界、ファッション出版界に潜んでいた”転生者”だ。

 戦後復興期に、まだ「知る人ぞ知るアメリカ生まれの頑丈さが取り柄の労働者の無粋な服」であるジーンズを「タフでリーズナブルでおしゃれな戦後新時代のファッション・アイテム」として拡散したのだ。

 特に日本では、大流行した。

 そもそも史実ですら、戦前も戦前、デモクラシーに沸く大正時代には国産初のデニムブランドがあったくらいだ。

 

 加えて、この世界線でも日本の綿を使った繊維業は盛んであり、しかも明治に入り英国との付き合いが増えてから洋服の台頭で伝統的な着物需要の先細りでだぶつき気味だった”藍染め”業界の福音ともなったのだ。

 実はジーンズの染料であるインディゴとは染料の総称で、現在のインディゴは化学合成品(合成インディゴ)が主流だが、古代から天然インディゴと呼ばれる染料は使われており、”藍”は天然インディゴの一つだった。

 

 全ての素材が国内で揃い、尚且つ工場で大量生産でき安価に供給できること、更には時の政府の資金的な物も含めた後押しもあり、「藍染めの綿の服」という身近さも相まって1920年代に急速に広がり浸透したのだ。

 そして、雨後の筍のようにデニムファッションブランドが国内で生まれ、直ぐにズボンであるジーンズだけでなくジャケットやその他のファッションアイテムが生み出された。

 

 ミニスカートもちょっと面白い変遷がある。

 史実では1960年代の英国発祥だったが……

 洋装の下着文化は明治には広がっていた(古典的着物文化では女性は下着を付けない)のだが、”職業婦人という”女性の社会進出が芽吹いた大正デモクラシーの流れに乗って、『明るい戦後時代の活発な女性』の象徴として『脚の動きを邪魔しない丈の短いスカート』が、こっちは史実より40年ほど早く同じく英国で流行し、同盟国である日本にもいち早くブームが到来、ファッションアイテムとして定着した。

 『女性は脚を見せないことが上品』とする旧来の価値観に対する女性自身からのアンチテーゼもあったのだろうが……確実に転生者の暗躍があるだろう案件だ。

 

 そして、これらのムーブメントは日本ではなく20年代からの世界的なファッション・ムーブメントになっていた。

 付け加えるとブーツの靴としての歴史はとても古く、語るほどのこともないだろう。

 

 

 

 ファッションや流行から垣間見える世界規模の史実との意識差も洒落になってない気もするが……

 さて、何を言いたいのかと言えば……彼女達の服装は、40年代のローマの街角ではとても一般的であるということだ。

 無論、上流階級や富裕層では未だに「(デニムは)華美さの無い無骨な労働者服」という認識はあるだろうが、庶民が街中を歩くのには、なんの不自然さもない。

 

 そして、別の側面から”彼女達の服装”の話をしよう。

 他の生地に比べて分厚いデニム地は、片側にサイレンサーを装着できるように改造したワルサーPPKのような小型拳銃、片側にサイレンサーや予備弾倉を入れた、この時代ではまだ珍しいショルダーホルスターの存在を隠蔽するのに実に都合が良かった。

 

 女性が長いスカートの内側に武器を隠すことが一般的な時代が長かったせいで、惜しげもなく太股を晒すのは、『非武装の女性』という誤認を招くのに実に都合が良かった。

 

 またブーツの内側には小型ナイフややろうと思えばコンシールドキャリー性の優れたダブル・デリンジャーのような超小型拳銃を隠すこともできた。

 世の中には、ブーツナイフやブーツガンという言葉すらもある。

 

 また少女が持つような小さなカバンに手榴弾やら何やらが入っているとは、普通は思わないだろう。

 人間の先入観というのはそういうものだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 何が凄いというのは、大きく差のない背格好や年齢、服装をしているのに、「街に溶け込むように大きく他者の印象に残さない」ことと「かといって、他者には16人全員がちゃんと別人だと認識できる」を両立させている事だろう。

 実はあまりにも酷似した印象を持つ複数の人間は、「あれ? さっきもあの娘とすれ違わなかったか?」という疑問という形で印象に残りやすい。

 仮に別人だとしても「そっくりな娘がいた」という形で。

 

 だが、ローマの御庭番衆っ娘達は、比較的整った顔立ちをしながらも「三日たてば忘れる薄い印象でも、それぞれが”街の何処にでもいる別人”として認識」される。

 これは都市潜入型ミッションにとって、存外に重要な要素だ。

 

「えっと……つまり、制服の代わりにジ-ジャンやミニスカを都市迷彩服にして武装した”彼岸花の反動(リコリス・リコ○ル)”みたいな娘達が、現在進行形で街中をウロウロしてるってこと? あっ、イタリアだし”フラテッロ”の方がいい?」

 

「”御庭番衆”はあそこまで外道な組織でもなけりゃ、技術水準的に全身義体とか夢のまた夢だからな?」

 

 ……とりあえず、防犯面に関しては、比較的心配は要らないようではある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様は、エントリー16人のどの娘がお好みでしょうか?
あっ、アンケートとかではないです。
アンケート機能もいつか使ってみたいなぁ~とは思っていますがw

実は、この16人のモブ御庭番衆っ娘達は「現代の御庭番衆っ娘 in ローマ」なプロンプトを作り、同じプロンプトでAIパイセンが一体どれだけバリエーションが作れるか?というチャレンジの結果、生まれたものだったりします。
一応、設定的に中々優秀な娘たちですよ?
メインウエポンは時代とともに刀剣から銃器に代わっていますが出所は忍者直系で、元ネタが元ネタですし。


という訳で、実は皇国暗部の治安介入が人知れずしっかり行われていたローマでした。
ロックと双子は、どうやら外務省本業(?)に戻ったみたいです。
いや、イレギュラー発生で皇国の外交リソースがなんだかヤバいことになってるようで。

さてさて、次回はようやくビッグネーム・ハイソ同士のデート回になるような気もしますが……果たして?

次回もどうかよろしくお願いします。

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