転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
お待たせいたしました。
執筆モチベーションが少し復活したので、少しづつ執筆再開です。
”
冗談のように聞こえるかもしれないが、これが大真面目な話なのだ。
何しろ、今のところは戦後の予定(ただし、対伊戦なのか第二次世界大戦自体の終戦とするかは未定)となっているが、
和仁は形的に”入り婿”扱いで皇国宮家から外れてカズヒト・サヴォイア公爵となるが、本人自体は(血筋的に言っても)イタリアの王位継承権は持たない。
しかし、もしマリアンナとの間に男児が生まれれば、「サヴォイアの血族」という事で現王家のアオスタと”親戚”となり、王位継承権が発生する予定だ。
確かにこれはかなり露骨な……これ以上ないほどの”国際
例えば、”北イタリア社会主義共和国”を僭称し、イタリア北部を不法占拠する叛徒により殺害されたエマヌエーレⅢ世は、日英同盟とイタリアが対立した時点、つまりイタリアがドイツ側で第二次世界大戦に参戦した時点で『日本皇国の皇室外交リスト』から削除されているのだが……
しかし、この縁談は両国にとって紛れもない慶事であり、婚約式を祝賀として「イタリア・アオスタ王の正式な皇室・王室外交が復活」する予定となっている。
また、それに呼応してバチカンも正式な「王位授与式」を画策してようだ。
まあ、法的には王権を持つもう一人の王、先王エマヌエーレⅢ世と前王太子がまとめてギロチンで首を飛ばされている以上、既にイタリア王はアルヴァトーレ・アオスタしかいないのだが、何事も分かりやすい”ケジメ”というものは必要なのだろう。
特に国事ともなれば、統治すべき『国民の理解と納得と同意』は必須なのだから。
まあ、その様な「アオスタ新王朝統治下の王国臣民」に対する”説得力を持たせた状況説明”の一環として、今日も今日とて”
そもそも、和仁とマリアンナが仲睦まじい姿を大衆に披露しなければ、成立しない作戦であるのだから。
「なので、こうして”おうちデート”してるのよね。広報担当記者引き連れて」
そう苦笑するマリアンナである。
「おうちデート? いや、広義な意味ではそうなるのか?」
時は秋深まるローマ、場所は王宮庭園。
まあ、確かに広義な意味では『お家のお庭でデート』と言えるかもしれない。
ただし、当然報道要員を引き連れしっかり撮影されてる訳だが。
しかし、会話の録音はされてないし、記事にされることもないだろう。
なぜなら……
「ねぇ、こうして”デート・ア・ライブ”を続けるのは良いんだけどさ、これが何にどうつながるか具体的には未だによくわかってないのよ」
「基本的に『俺とマリアンナの仲睦まじい様子、”新時代の到来を予感させる幸せな風景”をイタリアの大衆にばら撒く』。無論、イタリア王国臣民だけでなく、アカの実効支配地域でもある北部イタリアにもな。当然、北部民と王国民は異なる反応になるだろうさ」
そう返す和仁に、
「えっと、単純に言えば現イタリア王国は”ようやく訪れた平和到来の象徴”、北部は……」
「”惨めさ”さ」
和仁はそう言い切った。
「こうなる時点で皇国政府とイタリア王国(暫定)政府は北部と陸路を接する国、具体的にはドイツ、フランス、スイス、ユーゴスラヴィアに”とある要請”を行っているのさ。端的に言えば”国境封鎖の依頼”だ。食料品/医薬品/燃料を含めた人道物資すらも入らないようにな」
スイスは永世中立国であり、ドイツやフランスは元敵国、ユーゴスラヴィアはつい先日交渉を持ったばかりという状況なのであくまで要請という形になっているが、現状で『日本皇国と敵対してまでイタリア北部を不法占拠している、国連認定の赤色テロリストに味方する』事に価値を見出す国家というのは少なくとも上記の国家群にはないだろう。
加えて、”北イタリア社会主義共和国”とやらが国境を主張する西からトリノ、ピアチェンツァ、プレシア、ベルガモ、コモのライン以北は元々そこまで肥沃な土地ではなく、また共産化した農民は豊穣の秋を迎える前に畑を放り出し蜂起に参加した者も多い。
無論、アオスタ朝イタリア王国からそれらが入ってくることもない。
つまり、北部は飢餓地獄とまではまだ達しなくとも食糧事情、あるいは加えて医療事情や燃料事情も含めて確実に悪化しているのだ。
「まあ、当然のように密輸するのはいるだろうけどね。マフィアとかはアンダーグラウンドの国際ネットワーク持ってるわけだし」
すると和仁は小さく微笑み、
「その程度は黙認されるさ。国がバックにつかないアングラ組織が密輸できる程度の物資じゃあ、北部の人口を養うことはできないしな。知ってるか? 中途半端な希望はより強い絶望を招き寄せる呼び水になる。具体的に言えば、北部全員を賄えない物資は、その
「今、北部じゃリラ(イタリアの通貨単位)の価値は紙屑同然ってことは……」
和仁は頷き、
「”暴力が全てを解決する”。文字通りにな」
「あちゃぁ~。アカはただでさえ内ゲバ大好きなのに……」
うん。色気も何もあったもんじゃない上に、とても公的な記録に残せるような会話内容じゃなかった。
「とまあ、この舞台設定で俺とお前の『めでたいロイヤル近況報告』、ムッソリーニの独裁や戦災で荒廃した『同じ祖国』であるのに、”復興する北部以外のイタリア”に、南部穀倉地帯の豊作の話題を混ぜ合わせて情報学的散布を行う……北部の民が味わう”惨めさ”ってのはそういうもんだ」
「……同じイタリア民なのに、同じ国の民の筈なのに、住んでる場所だけで味合わされる『理不尽な格差』ってとこかしら?」
「そして、その手の扱いや境遇を甘んじて受け入れられるほど、人間ってのは我慢強くはないのさ。少し前まで『同じ国の国民』なら尚更だな」
和仁の言葉は人類史が流血と共に何度も証明していた。
「さて、その場合に醸成された憎悪は何処に向かう? 今は赤色勢力が恐怖政治で北部を実効支配しているが、恐怖政治ってのは民衆に一定以上の力があれば同じく力で覆されるのが相場、”歴史の必然”って奴だろ? もっとも……」
和仁は少し困った顔で、
「その手の”ありきたりの流血沙汰”、『皇国軍のみでカタがつく』騒動でですみゃあ良かったんだけどな……」
「どういうこと?」
「今回の一件、よりによって兄上が近衛首相に”勅”を出したからなぁ……もう軍隊だけでどうにかするって話じゃなくなったのさ。戦争ってのは所詮、政治の一形態、外交の一つにすぎん。そして、近代国家の軍隊ってのはシビリアンコントロールが大原則だ。そして、そのシビリアンの天辺にいるのが政府で、皇国においてはその首魁が首相……んで、兄上は首相に『テロリスト相手にゃ手段を選ぶ必要は無い』って直々に命じた」
「あー、うん。そのあたりは何となくわかるけど……」
「だからさ……」
和仁は頭を掻きながら、
「もう、『戦争である必要すらない』ってことなのさ。体裁を整えて、お行儀よく、真っ当な軍隊としての戦いは必要はない……完全になりふり構わなくなった日本皇国はヤベーんだよ。国際世論を鼻で笑うような陰険な手段でも平気で使うようになるからな。わざわざ国連に根回しして、大義名分とアリバイって下拵えしたってのはそういうこったな」
「まだよく全体像が見えないんだけど……」
「そのうちわかるさ。”この世界”の日本皇国における”勅”の重さってのが」
という訳で、和仁&マリアンナの虚像と実像でしたw
それにしてもビジュアルと会話のギャップが……
本当にお待ちいただいていた皆様、申し訳ございませんでした。
実は、色々あって今は仕事を変えて、運送業者などをやっております。
ぶっちゃけ、腰と脚と背骨への累積ダメージがデカい! 体のあちこちが痛いです(泣
しばらくまともな文章を仕事も含めて書いていなかったので、執筆スピードは相当に落ちてしまって1話書くのに以前と比べ物にならないくらい遅くなってしまってしまいまして、『更新されていたら奇跡』程度に思っていただければなぁ~と。
気長にお待ちいただけれ幸いです。
これからもどうかよろしくお願いします。