やはり俺が入隊するのはまちがっている。   作:ユンケ

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比企谷八幡は花火大会に行く前に1つトラブルを解決する

花火大会当日の12時、俺は今自室にて頭痛薬を飲んでいる。昨日全然眠れなかったからだろう。

 

(はぁ……マジで頭が痛い。それに顔も熱い……)

 

理由は簡単。昨日のLINEのやり取りのせいだ。昨日LINEで米屋にキスをしたかと質問をされて、してないって嘘の返事をしようとしたら文香から電話が来て話し込んでしまったのだ。

 

それだけならともかく、それによって米屋達には既読スルーと思われたのだ。その結果キスをしていると思われて、出水がハッタリをかわした結果姉さんと歌歩が自爆して、俺は歌歩だけでなく、寝ている時に姉さんにキスをされていたこともわかったのだ。

 

それもまだ我慢出来る。ぶっちゃけそれを知った時は恥ずかしかったが、姉さんは基本的に1日100回は俺の頬にキスをしてくるので耐性がついていたから、これについてはまだ我慢出来た。

 

問題は……

 

 

 

 

 

 

三上:お兄ちゃんのファーストキスの相手は私だったと思ったのに……でも遥ちゃん!お兄ちゃんの恋人になるのは私だから!

 

綾辻:それはこっちのセリフだよ!弟君は誰にも渡さないから!歌歩ちゃんだけじゃなくて文香ちゃんが相手でも!

 

文香との電話が終わった後にLINEを見てみれば、そんなやりとりが残されていたのだ。

 

歌歩の文には『お兄ちゃんの恋人になるのは私だから!』、姉さんの文には『それはこっちのセリフだよ!』、『文香ちゃんが相手でも!』と書いてある。これだけ見ればどんな馬鹿でも意味はわかるだろう。つまり……

 

 

(姉さんと歌歩、文香は俺の事を異性として好いているって事……)

 

いくら感情について鈍い俺でもここまでハッキリと書かれたら理解出来る。

 

同時に姉さんと歌歩や文香が一緒に寝たり、俺の頬にキスをしまくってきたり、恋人繋ぎをしてくる理由を理解した。3人とも俺の事が好きだからだろう。

 

そこまで考えると顔は更に熱くなる。姉さんと歌歩は本当に素晴らしい女だ。見た目も良くて性格も優しい。学校でもファンクラブが出来るいるほどだ。文香についてはファンクラブ云々については知らないが、見た目も性格も2人に劣らない素晴らしい女子だ。

 

そんな女子3人に好意を寄せられているのは恥ずかしいと同時に嬉しく思う。寧ろ思わない男子はいないだろう。

 

(しかしどうしようかこれ?)

 

一応朝姉さんと歌歩に電話をして昨日のLINEについて聞いてみたら即座に電話を切られて再度電話をしても繋がらない。

 

しかしいつまでもこうしてはダメだ。特に歌歩は同じチームだからスルーって訳にはいかない。ちゃんと話をしないとチームの活動にも支障が出る。

 

(まあ……流石に昨日の今日で話すのは無理だし明日以降にしよう。そんで腹が減ったし飯でも食いに行くか)

 

文香との花火大会は夜で今は昼だから昼飯を食わないといけない。普段なら家で簡単なモノを作るが今日はどうにもその気になれないので外に食べに行くか。

 

ラーメンだな。とりあえずラーメン食って少しでも気分をハイにするか。

 

そう判断した俺は好物のラーメンを食べるべく部屋を飛び出してから靴を履き、街へと繰り出した。

 

 

 

 

 

 

 

20分後……

 

市街地についた俺は三門市でも有名なラーメン激戦区にある、お気に入りの店に入る。この辺りの店は全て回ったが1番のお気に入りの店だ。

 

だから気分転換の意味でこの店に入ったのだが……

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

失敗しました。店に入ってから店員さんにテーブルかカウンターを聞かれてカウンターと答えたのが間違いだった。案内された席の隣には歌歩が座っていたのだ。

 

向こうも俺に気付くとかつてないほど顔を真っ赤にしながら無言で俯いたので、それ故に俺も真っ赤になって何も言えなくなってしまっている。

 

なんせLINEのメッセージで歌歩の気持ちが書かれたのは今日だ。歌歩が恥ずかしがるのも当然だろう。

 

そして俺も恥ずかしい。以前歌歩から俺とキスをして良かったと言われたから歌歩の気持ちは薄々気づいていたが、改めて知ると恥ずか死にそうだ。

 

思わず歌歩をチラッと見ると……

 

「「っ……!」」

 

歌歩も同じように俺を見ていたのか目が合って即座に逸らしてしまっていた。もう嫌だ、マジで恥ずかしい……

 

「お待たせしました。スペシャルラーメンセットです」

 

すると先に注文をしていた歌歩の前にラーメンと餃子、炒飯が置かれる。同時に歌歩は物凄いスピードで食べ始める。多分気まずいからこの場から逃げたいのだろう。その気持ちはよくわかる。

 

わかるが……

 

「歌歩」

 

「っ!……な、何かな?」

 

「食い終わったら話す時間、あるか?」

 

このままにしておくつもりはない。明日は防衛任務がある。他にもランク戦や木虎争奪戦がある以上、チームメイトと気まずい空気のままってのは論外だ。

 

そう考えた俺は歌歩に話しかけてると、歌歩は悩みに悩んだ末に…….

 

「わ、わかった……」

 

顔を赤くしながらも了承してくれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後……

 

俺は歌歩と一緒にボーダー基地の作戦室にいる。人目のつかない場所を考えたら真っ先に思い浮かんだ場所はここだからだ。

 

そしてお互いに向かい合って座ると俺は恥を捨てて口を開ける。

 

「なあ歌歩……」

 

「っ……!」

 

すると歌歩は明らかに怯え震えだす。あたかも悪い事をしたから親に怒られる子供のように。どうやら歌歩は俺に責められると思っているようだ。

 

「(先ずは誤解を解かないといけないな……)落ち着け歌歩。俺は別に怒ってないからそんなに怯えないでくれ」

 

俺がそう言うと歌歩は震えるのを止めて不安そうな眼差しで俺を見てくる。

 

「……本当?お兄ちゃん、私に怒ってない?」

 

「寧ろなんで怒られるって思ってんだよ?」

 

恥ずかしい思いはしたが、別に怒るつもりはない。寧ろ歌歩の方が恥ずかしい思いをしただろうし。

 

「だ、だって……義理、口約束で決めた関係とはいえ妹の私がお兄ちゃんの事をその……す、す、す、好きって、お兄ちゃんからしたら気持ち悪いかなぁって……」

 

歌歩は好きって部分を真っ赤になりながら言ってくるが、そんなに恥ずかしいなら無理に言うな。俺も恥ずかしいから。

 

「アホか。気持ち悪いって思ってんなら、この前のプールん時に言ってるわ」

 

てか口約束で決めた兄妹関係なら問題ないだろう。血は繋がってないんだし。

 

「本当?怒ってない?嫌ってない?」

 

「ねーよ」

 

歌歩は不安を露わにしながらそんな事を聞いてくるので即座に否定する。別に怒ってないし嫌ってもない。別に歌歩は何も悪い事をしてないのだから。

 

「良かった……お兄ちゃんに嫌われたらどうしようと思った……」

 

「いや大袈裟過ぎだろ」

 

「ううん。だって私はお兄ちゃんの事がす、す、好きだから……嫌われたくないの……!」

 

「そ、そうか」

 

歌歩の好きって発言によって顔が熱くなるのを実感する。歌歩の気持ちは理解しているが、本人の口から出るとどうしても恥ずかしくなってしまう。

 

「とりあえず安心しろ。俺はお前を嫌ってないから。それでだな……その、返事について「あ……今直ぐじゃなくて良いよ!文香ちゃんや遥ちゃんの事もあるから返事が難しいでしょ?」それはありがたい」

 

もしもLINEのやり取りが無く、歌歩が告白してきたら受け入れていたかもしれない。しかし歌歩と同じくらい大切な存在である文香と姉さんの気持ちを知ってしまった今正しい返事をする自信がなかった。

 

そう言った意味で歌歩の言葉はありがたかった。受け入れるにしても振るにしても流れに身を任せてしまいそうだし。

 

「それに今はA級に上がるので忙しいし、少し落ち着いてから返事をして欲しいな。ただ……」

 

「ただ?」

 

俺がそう尋ねると歌歩は真っ赤になってモジモジしながらも俺を見て……

 

 

「出来るなら、私を選んで欲しいな……」

 

そんな風におねだりをしてくる。は、破壊力がヤバ過ぎる……!そんな風に言うのは反則だろ?

 

「断定は出来ないがお前の気持ちは頭に入れとく」

 

こればっかりは簡単に決めて良い事じゃない。しっかり考えて納得のいく回答を出さないといけないのだ。

 

「うん……」

 

歌歩は艶のある瞳でチラチラと俺を見てくる。その顔止めろ。マジで変な気分になるか。

 

「とりあえず姉さんとも話を……いや、姉さんは広報の仕事だったな。俺の話はこれで終わりだ。お前はどうする?帰るのか?」

 

「私は5時までに家に帰らないといけないけど、お兄ちゃんはどうするの?文香ちゃんとの花火大会は夕方からだよね?」

 

「お前が俺に話がないなら5時までベイルアウト用のベッドで寝るつもりだ」

 

ぶっちゃけ昨日は例のLINE騒動で全然眠れなかったし。まだ姉さんと話はしてないが、歌歩とちゃんと話せた事から大分落ち着けているし、今なら寝れるだろう。

 

「そうなの?じゃあ……4時まで一緒に寝て良いかな?」

 

「え?昨日の今日でか?」

 

「うん……ライバルに差を付けたいから……ダメ、かな?」

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ……お兄ちゃん、やっぱり温かくて気持ち良い」

 

はい、結局断れませんでした。現在ベイルアウト用のベッドの上で歌歩と抱き合ってます。いつものように抱きついて甘えてきているが、いつもよりドキドキしてしまっている。

 

「そりゃどうも……この甘えん坊め」

 

「私を甘えん坊にしたのはお兄ちゃんだよ……責任、取ってね?」

 

歌歩は蠱惑的な笑みを浮かべながら俺に頬ずりをしてそんな事を言ってくる。いつもなら可愛い義妹と思えるが、今日は1人の女のように思えてしまっている。これもハッキリと好きと言われたからだろうか?

 

「……善処する」

 

そう返すと睡魔がやって来て俺を眠りへと誘ってくる。昨晩は全然眠れなかったので俺は逆らう事が出来ずにゆっくりと瞼を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?お兄ちゃん寝ちゃったの?」

 

歌歩がそう呟きながら八幡を見ると、小さく寝息が聞こえてくる。

 

それを理解した歌歩は小さく息を吐く。好きな男の笑みを見る事によって生まれる幸せを感じながら。

 

「ふふっ……ラーメン屋で会った時は拒絶されないか心配だったけど、杞憂に終わって良かったよ」

 

歌歩はそう呟きながら八幡を抱きしめる強さを少しだけ強める。実際歌歩はラーメン屋で八幡と会った時や、作戦室で話をする時は拒絶されないかと緊張していた。

 

しかし今の歌歩は八幡に拒絶されずに、いつものように甘えさせてくれてくれていて安心感を持っていた。

 

すると歌歩の目に八幡の唇が目に入る。

 

(お兄ちゃんの唇……)

 

それを認識した歌歩は無意識のうちに自分の顔を八幡の顔に近付けて、お互いの唇の距離を3センチ以下まで縮めると……

 

 

 

 

 

 

「(遥ちゃんもお兄ちゃんが寝ている時にやったから良いよね……)お兄ちゃん、大好き」

 

ちゅっ……

 

一瞬だけ躊躇うも直ぐに自分の唇を八幡の唇に重ねる。

 

遥が八幡にやった時と同じように触れるだけのキス。しかし歌歩にとっては前回の事故によるキスではなく、自分の意思でしたキスである。

 

歌歩は顔に熱が溜まるのを実感しながら八幡から距離を取るも、八幡は起きる気配を見せない。

 

「寝ている時にごめんね。でもお兄ちゃんに気持ちを知られたから我慢出来ないよ……」

 

言いながら歌歩はもう一度自分の唇を八幡の唇に重ねる。高校に進学するまで恋愛について一切興味を持たなかった歌歩だが、今の歌歩は目の前にいる八幡の恋人になるべく奮起している。

 

「お兄ちゃん……本当に大好きっ……!」

 

ちゅっ……

 

結局歌歩は八幡が起こさないように触れるだけのキスを何度も繰り返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

pipipi……

 

「んっ、んんっ……」

 

耳元でアラームの鳴る音が聞こえるのでゆっくりと目を開ける。

 

(自宅の天井じゃない……そうだ、作戦室で仮眠をとったんだったな)

 

時計を見れば5時ちょうど。文香との集合時間までジャスト1時間だ。今からゆっくり行けば集合時間15分前に到着出来るだろう。

 

そう思いながら俺は身体を起こし、隣のベイルアウト用のマットの上にあるアラームを止めようとすると、アラームの横に手紙があるのを発見する。

 

十中八九歌歩が書いたのだろう。歌歩は4時まで一緒に寝て、起きてから手紙を書いたのだろう。

 

手紙を開いてみると……

 

『お兄ちゃんへ。先に帰るけど寝坊しないように。文香ちゃんとの花火大会、楽しんできてね。ただし文香ちゃんにエッチな事をしないように。それと来年は私と一緒に花火大会に行ってくれると嬉しいな。大好きだよ、お兄ちゃん』

 

……そんな内容だった。とりあえずエロい事はしないからな?ラッキースケベをやりまくってるから信用がないのは仕方ないがハッキリと言わないで欲しい。

 

内心苦笑しながらも俺は持ち物を確認して作戦室を出ると……

 

「おっ、比企谷じゃん。偶然だな」

 

ちょうどS級隊員の迅さんと遭遇した。

 

「そっすね。迅さんは上層部に呼ばれたんですか?」

 

「まあね。実力派エリートは忙しいから……それにしても、比企谷さ。三上ちゃんか綾辻ちゃんか照屋ちゃんとなんかあった?」

 

はい。ありました。3人の俺に対する気持ちを知りました。

 

「……まあ色々と。なんか未来が変わったんですか?」

 

「ああ。大きく変わったね」

 

「ちなみに方向は?」

 

良い方向に大きく変わったら大歓迎だが、悪い方向に大きく変わったら最悪だからな。

 

「それは両方だな。未来ってのは無限に選択肢があるからね。最高の未来もあれば最悪の未来もある」

 

両方か……最悪の未来ってのは気になるが……聞いたらヤバそうだから止めておこう。

 

「そうですか。なら最高の未来になるように祈っときます。では」

 

俺は迅さんに一礼してからその場を後にした。どんな未来が待っているかは知らないが避けて通れない未来があるならそれを乗り越えれば良いだけの話だからな。

 

そう考えながら俺は文香との待ち合わせ場所に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、複数の相手と付き合う未来はともかく、闇討ちされる未来は予想外だったなー」

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