トウホウ・クロウサギ   作:ダラ毛虫

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とっくに明けてますねってか遅すぎますねおめでとうございます
感想お気に入り評価誤字報告、いつもありがとうございます
どうか今年もよろしくお願いします

新年一発目がこれで良いのかと悩みつつ、いつものことかと書きなぐりました

そしてサブタイトルで序文って付けている通り短いです
お読みいただく際は、心の中学二年生を解放して下さい


断片的なシーンならゴロゴロ転がし中なものの、続きは未定
次回更新内容も未定



番外編:続トウホウ・ダイマオウ序文

 

 結論から言えば、その女は、生まれてくるべきではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「善悪の区分けとは、結局のところ、何に満足するか、でしょう」

 

 

「何に満足するか、ですか?」

 

 

「誰かを喜ばせること、誰かの役に立つこと、負の感情を和らげることに満足感を得るのなら、善性。

 他者の苦痛、悲哀、憤怒、憎悪、絶望に満足感を得るのなら、悪性。

 突き詰めてしまえば所詮は、その程度の差異ですわ」

 

 

「その分け方なら、姉様は善ですね」

 

 

「まさか。どうして、そう思うのです?」

 

 

「姉様にとって、他者の苦痛なんて、悪神として喜んで見せているだけで、本当はどうだって良いのでしょう?」

 

 

「そうですわね。退屈しのぎ程度になる、とは思いますわよ?」

 

 

「母様が喜ぶことや、役に立つことの方が、楽しそうです。

 だから、誰か、ではなくても、母様に対してであれば、姉様は善になります」

 

 

「一つ見落としていますわ」

 

 

「見落としですか?」

 

 

「先程は言わなかった悪性の条件。自身の利益の為ならば、他者を顧みない。

 わたくしにとって、母様の喜びという、わたくしの利益の為なら、他の全ては、利用するだけのもの」

 

 

「私のように、です?」

 

 

「ええ、その通りですわ。

 ですから──……」

 

 ──しっかりと、母様を喜ばせて(役に立って)下さいね、可愛い雛。

 

 

 

 

 

 

 

 母の胎内で、初めて自己を認識した瞬間。

 それは、世界を滅ぼそうとした。

 

 一息に吹き消すには、流石に、未だ出力が足りない。

 

 だから、先ずは周囲を呑み干して、それを燃料に、更に広範囲を呑み干し、肉体を完成させ、更に広範囲を呑み干す。

 それを繰り返せば、四半刻もかければ、この世界は終わる。

 

 後は、同じく『自身の世界を滅ぼし終えた』平行世界の己と同期すれば、比較的近しい千の世界、小千世界は順に呑み込める。

 次は中千、そして大千。それで御仕舞い。

 

 

 

 

 しかし、それは実行されなかった。

 あらゆる平行世界において、女は諦めた。

 

 

 女の発生理由、穢れ尽くした胎盤に祟り神の王の種を受けた、極限の陰。

 

 いずれの可能性においても女の母であった兎妖怪は、『殺される前に己の腹を撃ち貫き我が子を殺す』と確定していた。

 

 

 

 女は諦めた。

 

 

 困惑という機能を備える以前だったからか、そういう結論ならば仕方がない、と納得した。

 或いは、その機能を習得した後であっても、結局は同じ解答に至っただろうか。

 

 

 未成熟な身体では、母の攻撃に耐えられない。

 そして、成長した後では、母は女を、『殺せなくなる前に』殺す。

 

 故に、女が永らえようと思ったら、『いつでも母になら殺せる状態』を維持し続けなければならない。

 

 どれ程に心通わせても愛しても、『死なない』為にであれば、母は迷わず女を殺す。

 どれ程に後悔することになっても嘆くことになっても、その瞬間は躊躇わずに殺す。

 

 強くなりすぎれば『油断していても殺せなくなる』から、意図的に力を制限しなければならない。

 そうしなければ、強くなる前に殺される。

 

 

 母が死を受け入れるまでの悠久、女は、世界を滅ぼせない。

 

 

 

 

 たのしい。

 

 

 

 自然と、そう思った。

 言語機能を取得していなかった為、動物じみた感覚的なモノではあったが、それに似た感情を抱いた。

 

 

 埃を払う様に滅ぼす筈だった。

 

 己はそういう存在だから、消し去るつもりだった。

 

 掃き捨てる、つもりだった。

 

 

 

 それが、留められた。

 

 死にたくて己を産み出した癖に、この世界は、まるでこの母体の様に、『死にたくない』と足掻いている。

 

 

 

 他の何者であっても、殺し合うのなら、女は相手を殺せる。

 

 単純に、相手より己を強く設定してしまえば勝てるのだから。

 

 

 

 だからこそ、『その前に殺す』母は、女にとっての天敵で、そして──……。

 

 

 ──この脆く儚い三千世界において唯一無二の、女が愛することを許される存在だった。

 

 

 

 

 

 

 

 それを認識した女の歓喜は、余人には推し量れるものですら無い。

 

 

 孤独な放浪の果てに拠り所を見つけた旅人の喜びですら、到底、足りない。

 

 

 

 

 

「愛していますわ。わたくしの、御母様」

 

 

 それが、産まれた意味を保留した女にとっての、存在を継続しておく理由。

 

 

 

 

 

 

 ──いつか貴女が死ぬ時は、十億の世界と、それら各々の平行世界、悉くを殉じさせよう──

 

 

 

 

 

 

 

 結論を繰り返すなら、その女は、生まれてくるべきではなかった。

 





三千世界の自壊願望、とかいう、多少厨二かじった人ならキレかねない存在悪
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