俺が監禁されてから数日、そろそろ外に出たい。


結構名の知れた不良でしたが、真面目そうな同い年くらいの少年に監禁されてしまいます。

しかしこの少年には秘密があって・・・


オリジナル短編です。

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監禁。

 

思いきり右肩を踏みつけられた俺は思わず呻いた。

 

・・・まぁ”踏みつけられた”ってので大体察してくれたとは思うが、俺は今床に寝かされた状態だ。

 

・・・まだ背中にあたるのがふかふかなベッドならまだしも、実際背中にあたってるのはコンクリートの冷たい床。

 

 

「…ってぇなこの野郎!」

 

 

そう力の限りに怒鳴れば、俺の肩を踏みつけている張本人はさも面白そうに整った顔で微笑んでみせた。

 

いや、本当は天井の電球のせいで逆光していて、辛うじて口元が見える程度なんだが、コイツは今絶対ムカツク顔して笑ってやがる・・・絶対だ!

 

 

「まだ普通の反応するんだね。…全く調教するこっちの身にもなってよ」

 

「じゃあ調教なんてキモいこと止めてさっさと俺をここから出したらどーなんだよ。…悪ぃけど、俺はどっちかっていうとSだからな。テメェの思惑通りには行かねぇと思うぜ?」

 

 

ニヤリと笑ってそう言えば、そいつは相変わらずの笑顔でそう。と呟いた。

 

 

「でもその顔、きっと歪むのがよく似合うと思うよ…俺としては。」

 

「知らねぇよ、勝手にほざいとけこの変態が。」

 

 

上半身を動かして踏んでいた足を振り下ろすと、足を使ってうまく起き上がり、壁に背を預けて座り込んだ。

 

・・・これでさっきみたいに踏ませねぇぞこの野郎。

 

正面からギッと睨み付ければ、そいつは依然笑顔のまま話しかけてくる。

 

 

「…しぶといね。」

 

「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる。」

 

 

ここらで俺を知らねぇ奴なんかいない。

いくつもの族を潰してきて、幾人もの人間を病院送りにしてきた。

 

しかも誰かとツルむのもタリィから一人でいれば、いつの間にか周りからは”死神”だとか勝手に色々な呼び名がつけられていた。

 

・・・あーでも最近は他の呼び名は聞かなくなったな。”死神”で統一されたのか?

まぁどーでもいいけど。

 

そう思った後に思考を切り替えて、前に立っている奴に改めて目を向けてみる。

 

 

染めたことが無いであろう黒くて、ツンツンと立たせているわけでもなく整った黒髪。

 

学校は違えど未だ制服姿の俺とそいつだが、そいつは律儀に学ランのボタンをキチンと第一まで止めている。

腕だって細っこいし、ピアスだって勿論ひとつもあいてない。

 

・・・明らか”弱そうな優等生”といった感じだ。

 

 

・・・あー、でもこれで眼鏡でもしてれば完璧カツアゲとかされてそうだよなぁ・・

 

・・なのに何で俺、コイツに監禁されてんの?

そこまで考えたところで、あいつに何考えてるの?と問いかけられた。

 

 

「てめぇには関係ねぇよ」

 

 

てか早くここから出せよ。と唸れば、そいつはそうだね・・・。と少し考え込む仕草をしてみせる。

 

 

「でも俺はその顔が苦痛に歪みながらも快感を得ているって所を見たいんだよなぁ…」

 

「知らねぇって。じゃあ俺じゃなくてソーイウ性癖の奴とかにしろよ。残念ながら俺はお前の望むようにはなれそうもない。」

 

 

怒りを抑えて語りかけるように言うと、そいつは少しの間があってから、口を開いた。

 

 

「…他の人間って選択肢は無いんだよ、残念ながらね。」

 

「は?」

 

 

何だそれ、言ってる意味がわかんねぇ。

 

何だか嫌な予感がしてきたので、改めて後ろで手錠によって拘束された両手をガチャリと引っ張ってみるが、やはり外れることは無い。

 

 

「…なに、お前、友達いねぇの…?」

 

 

体中が冷たくなる感覚と共に冷や汗がドッとでてきたが、

そんな状況を紛らわすように半笑いで挑発するような口調でそう言ってみる。

 

 

「友達はいるよ、沢山ね。」

 

 

すると間もなくあっさりそう否定されてしまい、思わず生唾を飲み込んだ。

 

 

「……何で、俺…じゃなきゃなんねぇんだよ…」

 

 

頭に浮かんでる最悪な答えを聞きたくない。

でも、もしかしたら違うかもしれない。

 

嫌な予感がする。

 

・・・これを聞いてはいけない、聞いたら戻れなくなりそうだから。

 

早くここから、逃げなければ。

 

・・俺の本能がそう激しく訴えるなか、バクバクと早くなっていく心臓の動きを感じながら静かにそう問うと、

 

 

 

 

―――そいつは冷たいコンクリートの床に座り込んでいる俺を見下ろしながら

 

 

 

相変わらず笑っていた。

 

 

 

「何でって、愛してるからだよ。小さい頃からずっとずっとずっと、ね?――――お兄ちゃん。」

 

「・・・・・・・っ」

 

 

 

全く、俺の弟はイカれてる。


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