個性:心を読む程度の能力   作:波土よるり

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めちゃくちゃ久しぶりな投稿だって?
内容忘れたって?

HAHAHA!
もう一回読めばいいじゃない!!!(ダイマ)

[前回のあらすじ]
ピンチを救ったさとりんのピンチを救ってくれたのは、オールマイト



No.last ヒーローにまた一歩

 目を覚ますと、綺麗な白い天井が見えた。

 ここはどこだろう……?

 

 さとりは体を起こし、あたりを見る。ベッドに寝かされていたらしく、ベッドの近くにはさとりの制服と、スマホなどの荷物が入った(かご)があった。

 ふと自分を見ると、入院している患者がよく着ている病衣(びょうい)を着ていた。誰かが着せてくれたのだろう。

 

「ああ、気が付いたかい?」

 

 机に向かって何か作業をしていた老いた女性がこちらを向いた。

 

 リカバリーガールだ。

 ……ということは、ここは雄英高校の保健室だろう。

 

「はい。えっと…… 私はなぜここに?」

 

 さとりがリカバリーガールに問いかけると、リカバリーガールは少し間をおいた後、口を開いた。

 

「覚えてないかい? あんた、ヴィランと無茶な闘いしてぶっ倒れちまったんだよ」

「あっ ……そうでした。思い出しました」

 

「あんた、まる二日も眠ったまんまだったんだよ?」

 

「ふ、二日もですか…!?」

 

 脳無と闘って、意識が途絶えそうなときにオールマイトに助けられた。

 確かにあの時かなり疲労していたが、まる二日も寝ていたなんて驚きだ。

 

「結局あの後どうなりましたか? みんな無事ですか?」

「そうさね、あんたの頑張りもあってみんな無事さ。まあ、今回の襲撃の首謀者らしき人物には逃げられたらしいけどね」

 

「そうですか、逃げられたのは残念ですが、みんな無事でよかったです」

 

 ほっと安堵(あんど)のため息を漏らす。

 ――よかった、自分の頑張りは無駄じゃなかったらしい

 

「目が覚めたらあんたに会いたいって人がいるから、ちょっと呼んでくるよ。まだ安静にしてなきゃいけないからそこで大人しくしてなよ」

 

「あ、はい。分かりました」

 

 そういってリカバリーガールは“よっこらせ”と重い腰を上げて保健室を後にした。

 

 リカバリーガールが出ていくのを見届けたさとりは、何とはなしにベッドの横にある窓から外の景色を眺める。

 開いた窓から流れてくるそよ風が気持ちよい。

 

 そろそろ雄英高校に入学してからおよそ2週間が経とうとしている。

 色々と濃密な2週間だったな。相澤先生はいきなり除名処分も辞さないなんて無茶なことを言うし、マスコミ騒ぎも、ヴィランの襲撃もあった。

 なかなかどうして雄英はエキサイティングなところらしい。

 

 さとりがしばらく物思いにふけっていると保健室のドアをノックする音が聞こえた。

 リカバリーガールが戻ってきたようだ。

 

「呼んできたから入るよ」

「はい、どうぞ」

 

 コロコロと保健室のドアがレールの上で小気味よいリズムを奏でる。スライド式のドアが開くと、そこにはやる気をなくした風船のようにヒョロヒョロガリガリのオールマイトがいた。

 ついでに、オールマイトの隣には緑谷もいる。

 

「やあ、古明地少女。おはよう」

「お、おはよう古明地さん」

 

「おはようございます、オールマイト先生、緑谷君」

 

 軽く挨拶をかわし、オールマイトと緑谷はベッドの横のパイプ椅子に腰を下ろす。

 

「それじゃ、私は外に出てるよ。あとは若い者同士でごゆっくり」

 

「はい、ありがとうございますリカバリーガール。

 さて、古明地少女。いろいろと話すことはあるが、まずはお礼を言おう。私が行くまでの間、よく皆を守ってくれた。ありがとう」

「僕からも。ありがとう古明地さん。古明地さんがいなかったら今頃どうなっていたか……」

 

「ふふ、どういたしまして」

 

 こちらに向かって頭を下げる二人。

 声も容姿も全然違う二人だが、なんとなく親子の様に見えた。

 

「そういえば、ここに来る前にオールマイトから聞いたけど、古明地さんはオールマイトのこと―― ワン・フォー・オールについて知ってたんだね……

 もしかしてバスの中での会話って、僕をからかってたの?」

 

 顔を上げた緑谷が、ふと古明地に問う。

 

「ええ、そうですよ。緑谷君はいじり甲斐があって楽しいですよ」

「やっぱり……」

 

 ふふと笑顔で答えると、緑谷はがっくしと項垂(うなだ)れる。

 ――そういう反応が楽しいんですよ、緑谷君。

 

「ん゛ん゛っ」

 

 項垂れる緑谷をニコニコとみていると、オールマイトがわざとらしく咳払いしてきた。

 

「古明地少女が倒れたあとの話は聞いたかい?」

「ええ、リカバリーガールから少し聞きました。なんでも、首謀者には逃げられてしまったとか」

 

「ああ、逃げれらてしまった。私がいながら情けない……」

「でも、皆無事なのでしょう? ならいいじゃないですか。私が珍しく頑張った甲斐があるってもんですよ」

 

 本当に悔しそうにオールマイトが語るが、皆無事ならそれで十分だ。

 それにあなただって一人の人間だ、すべてを救うのは無理。それをしようとするなら傲慢だ。

 

「そうだね…… 皆が無事で本当に良かった。

 ああ、そうだ。相澤君も鼻を骨折していたが、すべて元通りに治るそうだ。彼もお礼を直接言いたそうだったが、流石(さすが)に今は安静にしてろってことで、しばらく自宅で療養中だ」

 

「そうですか、相澤先生も無事で何よりです。

 ――さて、時にオールマイト先生。私との約束覚えていらっしゃいますよね?」

 

 そういって、さとりは醜悪で美しい笑みを見せる。

 その黒い笑みを見てオールマイトはなんとなく過去のトラウマを思い出すかのように少し顔を青くする。ついでに緑谷もオールマイトの隣で少し怯えたような表情をした。

 

「え、な、何か約束したかな?」

「ああ、先生……

 あなたは何と薄情なお方でしょう―― 私が命を()して相澤先生や緑谷君、ひいては雄英高校のために凶悪なヴィランと戦ったというのに――

 ――いいでしょう、お答えします」

 

 さとりが瞳を閉じ、一呼吸置き、保健室は少しの間静寂が支配する。

 ゴクリとオールマイトと緑谷の唾を呑み込む音が、大きな音で聞こえたような気がした。

 

「オールマイト! 私とツーショット写真を撮りましょう!」

 

 さとりの目がカッと開き、オールマイトに力強く告げる。

 言い終わってから数秒間、いや体感的にはもっと長くの間オールマイトは理解できなかった。というよりは思考停止に陥っていた。

 

「……え、あ、あぁ。そういえばそんな約束してたね………… えっと… じゃあ写真を一緒に取ればいいのかな……?」

「はい、その通りです。では緑谷君、このスマホを使って私とオールマイトのツーショットを撮る役割を任命しましょう」

 

 そう言ってさとりは籠に入れられた荷物の中から自分のスマホを取りだし、カメラアプリを起動して緑谷に渡した。

 

「え、う、うん。わかったよ」

「ではお願いします。オールマイトはもう少し私に近づいて隣りに来てください。――いえ、やはりマッスルフォームで私をお姫様抱っこしていただきましょうか」

 

「え、あ、うん、ま、まあいいけど」

 

 オールマイトはどこか気の抜けたような返事で了承し、筋骨隆々のマッスルフォームになってさとりを持ち上げる。少々(つら)そうだ。今日はもうマッスルフォームでたくさん活躍してきたのかもしれない。

 

「えっと、じゃあ、撮るよ? はい、チーズ」

 

 カシャリとスマホから音が鳴る。

 ありがとうございますと緑谷に一言言ってからスマホを受け取った。うん、いい感じに撮れている。

 

「では今度は緑谷君も一緒に撮りましょうか」

「…え? 僕も?」

 

 さとりはさも当然だと言うが、緑谷は驚いた様子。それもそうだろう、現役プロヒーローでナンバーワンのオールマイトと撮るのならば納得がいく話だが、ただのヒーローの卵でしかない緑谷では価値が違いすぎる。一緒に写真を撮る理由がわからない。

 

「何を驚いているんですか? 当然じゃないですか、未来のナンバーワンヒーローになる人とツーショットを撮っておけばあとあと自慢できますからね。

 加えてその写真の中にオールマイトもいればその価値はかなりのものになるでしょう」

「HAHAHA! 古明地少女はワン・フォー・オールの事も知ってるし、緑谷少年とも撮りたいんだね」

 

「そうですね、個性の事もそうですが、私、好きですよ。緑谷君の“正義”

 だからきっと将来は“ヒーロー緑谷君”のファンになってますから先に撮っておきます」

「そ、そうなんだ……」

 

 緑谷は若干恥ずかしそうにしながら照れくさそうに、えヘヘとはにかむ。

 

「さ、お二方でわたしを挟み込むようにしてください。ほらもっと近く寄ってください。自撮りモードで撮影するんですから、もっと寄ってくれないと入らないですよ」

 

 オールマイトはちゃんとさとりに寄って、とびきりのスマイルでスマホの方を向いているが、緑谷が恥ずかしがって顔を寄せてくれない。仕方がないので、スマホを持っていない方の手で緑谷の頭をガシリと掴み自分の顔に寄せる。恥ずかしそうだけど、知らん知らん。

 

「ではいきますよー。はい、チーズ」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 私は、あなた達みたいにヒーローらしくない。

 自分の命を賭して、赤の他人を何の見返りもなしに助けるなんて、そんな綺麗な心は持っていない。

 

 

 でも、私の“ヒーロー”が言ってくれた。

 見返りを求めたって、人助けは人助け。見返りを求めたって良いんだって。

 

 

 だから、私もヒーローになる。

 あなた達が(まぶ)しいから――

 あなた達みたいになりたいから――

 あなた達に少しでも近づきたいから――

 

 

 雄英高校に入ってまだ二週間だけど、私も少しは“ヒーロー”に近づけたでしょうか?

 

 

 

 ――どう思いますか、“ヒーロー”?




もともとこの話で終えるつもりだったんですけど、なんかほったらかしにしたままで未完になってて、ちょっと気持ち悪かったので、満を持しての完結です。

いや、ほんとごめんて。
忙しかったんやって。

今度はヒロアカで、ダークサイドに堕ちたさとりん書きたいな。
今度はちゃんと書き溜めてから投稿しよう(学習)

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