かつて悲しい世界があった。
病床で動けず、自分の死期を知り、世界のために命を捨てた少年が。

かつて悲しい世界があった。
大好きな兄が異形の怪物に成り果て、殺すしか救う方法が無いと悟った少女が。

かつて悲しい世界があった。
大好きな弟を信じていた兄に殺されてしまい、狂気に飲まれた少女が。

かつて悲しい世界があった。
世界を救うため、災厄と共に大地の中で長い眠りについた少年が。

かつて悲しい世界があった。
最愛の妻とそのお腹の子を亡くし、更には妻の姉弟に手を掛けて尚、それでも世界を救えなかった男が。

かつて悲しい世界があった。
1つの過ちで、友も仲間も家族も失い、自失の果てに死ぬこともできず、災厄に身を委ねた男が。

かつて悲しい世界があった。
最愛の男に目の前で肉親を殺され、自ら復讐もできず、それを妹に託すしかなかった女が。

かつて悲しい世界があった。
初めて自分に名前をくれた人が、自分ではない誰かを選んで、闇の底に沈んで行く姿を見届けるしかなかった少年が。

そしてそれらの世界はそのまま終わりを迎え、遂に救われなかったもの達を悲しむ声が、慈しむ声も消えかけて・・・。

でも、彼らは諦めない。世界はまだ完全に終わっていない。
だから。探そう。手のひらから転げ落ちた沢山の悲しみを、どうしようもない運命を救い上げる方法を。

これは、そんな彼らが世界と自分を救う夢物語。

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