ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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こんにちは、S.C.I.学園教務主任のkyo.です。
遅くなりまして申し訳ございません。

学会発表の研究や重きを置いているブログなどに注力していてこちらの小説が出来ませんでした。重ねて申し上げます。
論文書いたりブログ書いたり、文章自体はずっと書いているのですが、小説と論文で本当に違っているので小説文の感覚を取り戻すのに時間がかかりました。文章ばかり書いてますね。

小説用の自作サイトの作成は少々時間がかかると言いますか、いま学会や研究でそれどころじゃないと、いうことで自作サイトに投稿はしばらくなしということで。引き続き、ハーメルンで行こうと思います。よろしくお願いします。


No,LXI

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・」

 

「フッ・・・・・・・・・」

 

 ルフェイたちが目的の場所、アンブロシウスの家で過ごしているころ、ヴァーリたちは曹操、ゲオルク率いる英雄派を足止めしていた。

 

「くっ、ヴァーリめ、これほどとは・・・・・・・」

 

「こればかりは、流石としか言いようがないな。最強の白龍皇は伊達じゃないな」

 

 チームのリーダーであるヴァーリは同じくリーダーである曹操とゲオルク、剣士アーサーは同じく剣士ジーク、そして美猴はヘラクレスとの戦いであった。

 

『貴様たちはヴァーリを甘く見すぎたな』

 

「クッ・・・・・・認めざるをえないな」

 

 地に足を付けているゲオルク、曹操。対して空中に浮かぶアルビオン。否、禁手(バランス・ブレイカー)となっている。|白龍皇の鎧《ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル》は神々しいほどの輝きを放っている。戦場に光り輝く恒星のごとく、存在感を放っている。

 その力は本物であった。禁手(バランス・ブレイカー)を温存しようとしているゲオルク、曹操にとって二人がかりだとしても荷が重い相手であった。そんな英雄派のトップを相手取るヴァーリは見下ろしながら言う。

 

「曹操、いい加減手の内を明かしたらどうだ?少しつまらないからやってみてくれないか?禁手(バランス・ブレイカー)を」

 

「ゲオルク、わかっているな?」

 

「ああ・・・・・」

 

 ゲオルクと曹操は顔を見合わせる。なにやら覚悟を決めようとしている時だった。ヴァーリの耳元に魔法陣が現れる。

 

「ああ、ルフェイか。そうか、あの場所に着いたか。わかった、今から帰還する。打合せ通りの場所で落ち合おう」

 

 通信が終わると、ヴァーリは曹操たちに向き直る。

 

「曹操、我々の目的は達成した。ここで失礼させてもらう」

 

「くっ・・・・」

 

 曹操はヴァーリから聞かされた言葉で意味を理解した。曹操は何とかしてヴァーリたちからオーフィスの居場所を聞き出そうとした。しかし、もはやそれもかなわない場所にオーフィスがいることを。

 

「美猴、アーサー、行くぞ」

 

「はい」

 

「あいよっと」

 

 ヴァーリが展開した魔法陣に飛び乗るアーサーと美猴。その様子を曹操、ゲオルクは厳しい表情をしながら眺めるだけであった。だが、それを良しとしない人物は、英雄派にいた。

 

「おいおいおい!曹操、いいのかよ!」

 

 美猴との対決でさして傷を与えることのできなかったヘラクレスは何もしようとしない曹操に食って掛かった。

 

「無駄なことだ。オーフィスに逃げられた以上な・・・・・・・それに、神器(セイクリッド・ギア)はまだ調整ができていない。ここで無理は、深追いをするべきときではない」

 

「それにだ。やつらも、決着をつけにくるさ・・・・・」

 

 二大トップの二人に反対され、ヘラクレスは仕方なくそれに従うのであった。その時すでにヴァーリ、アーサー、美猴は去っていた。

 

「さて、我々も引き上げる。まだやることがのこっているからな」

 

「ああ、決戦に向けて、龍喰者(ドラゴン・イーター)禁手(バランス・ブレイカー)を仕上げないとね」

 

 ヴァーリたちが去った跡を見ながら、英雄派たちもこの場から離れた。

 

 

 

――――◆◇◆◇◆――――

 

 

 

 唐突に訪れたルフェイ、オーフィス、黒歌、ジャンヌは一度イッセーのもとから去り、ヴァーリたち陽動作戦チームと合流している。その間、イッセーはオーフィスに言われた言葉を思い出していた。

 

『そのときは――――――容赦、しない』

 

 オーフィスは世界の中で最も強い存在である。いわば、天敵が存在しない。強すぎるゆえに、滅多に敵意を抱かない。たとえ、神の目の前に現れたとしても、のほほんとしているだろう。そんな彼女がこの世界で唯一、自身の敵と認めた存在。それが、アンブロシウスの子、イッセーである。

 イッセー自身と、その周りにいる存在が、世界最強にとって脅威だと、オーフィスの本能がそう判断したのだ。そんなことを面と向かって言われたイッセーは驚いているのと同時に、悩みの種となったのだ。

 

「・・・・・・・・・・」

 

 イッセーは一人でこの聖地、アンブロシウス生まれの地で考えていた。

 

「(オーフィスと戦うかもしれない、か・・・・・・・・・冗談きついぜ)」

 

[ほう、イッセー。ずいぶんと珍しいほどに弱気だな]

 

「オーフィスがああまでしていったんだ。いざそうなったら、あいつは本気でくるぞ」

 

[だろうな。しかし意外だ。あの子がああまでして言うとは]

 

「・・・・・・・ああ、そうだな」

 

 イッセーにとってそれだけ衝撃だった。

 それ以上に、イッセーはどうにかあの子たちをしてあげたい、そんなことを思うのであった。

 

 

ーーーーーーーー◇◆◇ーーーーーーーーー

 

 

「ヴァーリ・・・・・・・」

 

「オーフィスか・・・・・・どうした?」

 

「我、行く。イッセーのもとへ」

 

「ふっ、心配するな。今丁度向かうところだ」            

 

 英雄派の追跡を振り切ったヴァーリ、アーサー、美猴は予定通り、オーフィスたちと合流した。白龍皇ヴァーリ、アーサー、美猴、ジャンヌ、ルフェイ、黒歌、そして鹵獲したフェンリルがそろっている。

 オーフィスが狙われるということは一時的には避けることが出来た白龍皇チームで会った。

 数日後、再度アンブロシウスの家へ向かうのであった。

 アンブロシウスの家へと移動中、如意棒を担いだ美猴がふと言い出した。

 

「なあ、こんな面倒なことしなくても、俺たちが直接その魔法使いの拠点に行けばよかったんじゃないのかぁ?」

 

 合理的に考えれば、美猴の言う通りだった。わざわざ一度別の場所で落ち合わなくても、ヴァーリたちが後から訪問すれば済む話だった。

 

「残念ながら、それはできないのです、美猴様」

 

「んぁ?なんでだよ?」

 

「それはですね、アンブロシウス様の領域に向かうにはオーフィス様でなければいけないからです」

 

「なにそれ?どういうわけにゃ?」

 

「あの領域に展開された結界はあたしたちが知っているレベルの結界ではないのよ」

 

同じく結界や魔術、魔法に造詣のあるジャンヌは言う。

 

「ジャンヌ様の言うとおりです。今まで私達が見てきた魔法とは、一線を画するレベルの強度、威力、範囲を有しています。もはや根本から違うと言っても過言ではありません」

 

「そ、だから、たとえヴァーリでもあの結界を抜けられないってことよ。まあ、ヴァーリが覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を使えば、五分五分ってところだけど」

 

「ほう、それは面白い。是非ともやってみたいところだが・・・・・まあ、いまはいい。優先すべきことがあるからな」

 

「ほーん、だから世界中どこでも行き放題の龍神の転送魔法陣が必要なわけってか」

 

「はいそのとおりです。あ、そろそろ付きますね」

 

「ん、ついた・・・・・」

 

そうこうしているうちに、ヴァーリたちは目的の場所へと到着した。ジャンヌ、ルフェイ、黒歌にとっては数日振りである。

そして、ここでここのトラップを経験して来ていた女性陣はとっさに気を引き締めた。そんな姿をはじめてくるヴァーリ、アーサー、美猴は疑問に思うのだった。

 

「どうした?そんな殺気立てて」

 

「ここは外敵が踏み入れたらすぐに魔法攻撃が来るようなところなのよ!あたしたちが先に来たときは死ぬかと思うほどだったんだから!」

 

 ジャンヌの言葉にルフェイ、黒歌が目で同意した。オーフィスが下見という形でともにこの地を訪れたジャンヌたちはその記憶は新しかった。よほど、アンブロシウスが構築した自動撃退用の魔法が脅威に感じたのだった。

 しかし、女性陣のこの焦り様にも全く動じないのが、白龍皇ヴァーリである。

 

「ほう、それは面白い。軽い運動になりそうだ」

 

 まだその魔法を見ぬヴァーリ、美猴、アーサーはむしろ楽しんでいるように見えたのだった。

 

「しかしよ、その魔法ってのはいつ発動するんだ?俺っちたちがこの領域に入ってから結構経ってるぜ?」

 

「あ、たしかに・・・・」

 

 ヴァーリたちがこの領域に入ってすでに時間は経過していた。ルフェイたちが前来たときには、この地に踏み入れた瞬間にすでに発動していたのだ。

 なぜ、攻撃魔法が発動しないのかは、すぐにわかるのだった。

 

「来たか・・・・・・こんどは全員揃っている、らしいな」

 

 そこにヴァーリたち以外の声が聞こえた。

 その正体はすぐに判明した。

 

「やあ、魔法使い。お邪魔するよ」

 

 ヴァーリはその目の前の存在にひとまずあいさつをする。相変わらず、ヴァーリは堂々としている様子である。

 

「ああ、歓迎するよ。世界をまたに駆けるテロリストさん」

 

 そんな目の前に堂々と入ってきた侵入者にイッセーは皮肉を込めて歓迎するのであった。

 

 

――――――◇◆◇――――――

 

 このアンブロシウスの家に初めて来るヴァーリ、美猴、そしてアーサーだが、ヴァーリと美猴は楽しんでいる。この状況を。なぜなら、目の前には、自分たちをも超えるかもしれない存在がいるからだ。それに対してアーサーは目の前に出された紅茶を嗜んでいる。

 

「おぉ、これは・・・・・!」

 

「美味しいですよね、お兄様っ」

 

「ええ・・・」

 

 イッセーが出した紅茶がアーサーの舌をうならせる。

 

「へえ、あの三度の飯より紅茶好きなアーサーにここまでいわせるたぁな」

 

 アーサーの紅茶に対するこだわりをいやというほど知る美猴は言漏らす。一息いれたところでイッセーは目の前にいる白龍皇ヴァーリに視線を移した。

 

「ひとまずは、大体の事情は知っているつもりだ」

 

「それはありがたい。説明の手間が省ける」

 

「にしても、英雄派に、龍喰者(ドラゴン・イーター)か・・・・・・」

 

「曹操たちは、その龍喰者(ドラゴン・イーター)でオーフィスをどうにかしようとしている。ついでに、俺たちもだろう」

 

「まあ、オーフィスだけをどうにかしてお前たちには何もしないなんてことは無いだろうな。それにしても、面倒な敵を作ったもんだな。まあ、白龍皇だからだろうがな」

 

「ずいぶんと他人事のようだな。だが自分でも分かっているんだろう?おそらく曹操とゲオルクはあんたも狙っているぞ」

 

「・・・・・・まあ、宣戦布告をされたばかりだからな」

 

 白龍皇チームと世界からは認識されているチームのリーダーと魔法使いとの間で軽く情報のやりとりをする二人。

 イッセーにとっては一度対戦した相手。しかし、さらに力をつけていると聞いてイッセーの中で知らないふりはできなくなってきていた。さらに、イッセーは先ほどから龍喰者(ドラゴン・イーター)のワードが引っかかっていた。

 

「にしても、お前たちがこんなところにこのタイミングで来るとはな」

 

「もともとオーフィスが望んだことだ。俺は、オーフィスの願いをかなえたに過ぎない。ま、俺がもっとも興味があり、倒したい相手のもとに行けるのは面白そうだったからな」

 

 と、ヴァーリは苦笑する。それは戦闘マニアであり楽しいことに目がないヴァーリらしかった。イッセーは自分の中で納得する。とはいえ、イッセーはイッセーで何も不都合などはなかったのだ。なぜなら、目の前には()()()()()()()()()()()()()

 

「あの、わたしから少しよろしいですか?ああ、紅茶、ごちそうさまでした」

 

 と、そこにアーサーが話を切り出す。紅茶を何よりも優先するアーサーはだされた紅茶を味わい尽くして礼を言った。とても満足しているような顔をしていた。

 

「こうした場は初めてですので、改めて。私はアーサー・ペンドラゴンと言います。英雄派の人間が言いふらしていたことを耳にしただけですが、あなたは一体何者なのですか・・・・・?」

 

 アーサーは少々懐疑的にイッセーに問いかける。アーサーはイッセーの正体の真実に迫ろうとしていた。本人の口からどうしても聞きたかったのだ。アーサーだけではなかった。強者揃いで、常に戦闘相手を求めるヴァーリチームの面々も同様であった。

 

「―――――――君たちの期待する通りだ。俺の名は、イッセー・V・アンブロシウス、だ」

 

「っ!?で、では、あなたはかの有名なマーリン・アンブロシウス様の子孫なのですね!?」

 

 ヴァーリチームで唯一の魔法使い、ルフェイはイッセーの姓を聴いた瞬間に体を乗させ、目を星でキラキラ輝かせながらイッセーに迫る。あまりの眩しさにイッセーはたじろぐ。

 

「まあ、おおむねその通りだな」

 

「やっぱり、そうなのですね!!わたし、今とっても嬉しいですっ!!」

 

「ハハハ、すみません。ルフェイにとってアンブロシウスの家系は憧れだったのですよ」

 

 ルフェイは飛び上がった。なぜなら、マーリン・アンブロシウスは現代につながるまでの魔法体系の始祖である。魔法使いにとってマーリン・アンブロシウスの存在はあこがれであり、目標にしている魔法使いも多かった。

 

「でも、それだけじゃないんでしょ?」

 

 腕を組みながらいかにも怪しいものを見るような目でイッセーを見る。ジャンヌには、オーフィスが()()()()()()が引っかかっていた。

 

「――――――――まあ、もっと正確に言うならば、偉大なる大魔法使い、マーリン・アンブロシウスは俺の母親だ」

 

 イッセーのその驚愕の事実はヴァーリチームの顔ぶれの平静を失わせるには十分だった。

 

「マーリン・アンブロシウス様が、お母上・・・・?」

 

 マーリンを何よりも憧れと見ているルフェイはフリーズしている。それほどの事実を受け止めきれない。

 

「ま、待ってください。マーリン・アンブロシウスは私のご先祖様の時代に生きていたはずですっ!」

 

 アーサーはイッセーに追求する。目の前の人間が、それほど長く生きているとは到底思えなかったのだ。

 

「ああ、そのとおりだ。俺は、昔にある事故というか、魔法の副作用みたいなもんでな。なんやかんやあって、300年くらい生き延びてしまった人間さ」

 

「そ、それでは・・・・・あなたは・・・・」

 

 イッセーはアーサーの意図を読み取ってそれに応える。

 

「ああ、君のご先祖、一国の国王であり、初代アーサー・ペンドラゴンは俺の兄のような存在であり、彼の王国で宮廷魔導士長をしていた。この場合は・・・・・・――――――――またこうして巡り会う機会ができましたね、我が王よ、といったほうがいいか?」

 

「っ・・・・・・・・・・」

 

 アーサーとルフェイはガクガクと震える。目の前に、自分の目と鼻の先には、自分自身のご先祖を知る、さらにはそのご先祖とともに生き、戦った存在がいるのだ。世界中には自分と同じような英雄といわれる血筋の子孫がごまんといた。しかし、その生き証人がいて、それが自分とつながりの深い人物だった。こんなことは稀なことがまさに自分自身の身に起きていることを理解するのは、まだ若い二人にはできなかった。

 

「へへっ、マジかよ・・・・・」

 

「ただものじゃないとは思っていたが――――――」

 

「とんでもない大物だったにゃ・・・・・」

 

 驚愕しているのはペンドラゴン兄妹だけではない。まさに英雄たちの血を引いている美猴、ジャンヌはもちろん、強者を求め続けているヴァーリも例外ではなかった。今すぐにでも戦ってみたい相手がそこにいるのだ。

 

「改めて、君らに倣って名乗るのなら、マーリンと、名乗るべきかな?」

 

 魔法使いの間で常識となっている魔法体系の始祖、マーリン・アンブロシウスの唯一の血縁の存在を知るものが、今ここに現れた瞬間であった。

 




今回はとりあえずここまでとなります。
少々短くても、その分投稿頻度が上がったほうがいいと思ったので。

今執筆中の小説に加えて、新作を同時並行するか、もしくは一本に絞るか。参考までに意見を。

  • 同時並行でもよい
  • 今の小説に絞る
  • 今のを少し停止して新しい小説を投稿
  • まかせる

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