英雄王《偽》の英雄譚   作:課金王

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16話

赤座(あかざ)守(まもる)

 

黒鉄家の分家にして現当主。

ブクブクと肥え太り、権力欲が強い男だ。

 

彼はギルガメッシュが王となると同時に大企業の本部を失った事で責任を取らされ、騎士連盟と政府の地位を追いやられた上層部達に成り代わった人間の一人。

 

ある者は日本の未来を託した。

 

ある者は無能を後継者にして背後で操る事にした。

 

そして、赤座の様に責任を世論に追及される前当主をさらなるスキャンダルと御しやすい取り巻き達に金をまき散らし、その地位を奪う者。

 

新しい上層部となった人間達の大半は税金を私欲につかって己の欲を満たす日常を目標に、日本の立て直しを模索していた。

そんな時、騎士連盟の倫理委員長に就任した赤座の元に一本の電話が掛かって来た。

 

内容はギルガメッシュ王が黒鉄本家の天才児である黒鉄 王馬に暴行。

ケガを負わせて病院送りにしたと言うスキャンダルだった。

 

「デュフフフ。来ました来ました……私の時代が来ましたよぉ」

 

「あらあら、嬉しそうね。

何かいい事でもあったのかしら?」

 

お腹の贅肉を震わせ、委員長室で気持ち悪く笑うスーツ姿の赤座と冷たい瞳で赤座に話しかける黒いワンピースを着た女性。

 

「ええ、ええ。

中々、弱点を晒さない化け物が調子に乗って自ら我々に弱点を晒してくれたのです。

嬉しくて小躍りしたい気分ですよ」

 

「そうなの?報告では国政をほとんど一人で担った、頭のキレる化け物と聞いていたけど……。

バカと天才は紙一重ってやつかしら?」

 

「デュフフフフ。お陰で予定よりも早く、貴女方との約束を守る事が出来そうですよ」

 

満面の笑みで笑顔を浮かべた赤座は重い体を立ち上がらせ、杖を突きながら目的の場所へと向かうのだった。

一人、委員長室に残された女はポケットからスマホを取り出す。

 

「アリス、ギルガメッシュは日本に居るわ。

計画通りに出来るだけ引き留めるから上手くやりなさい」

 

『…分かりました』

 

「後……ヴァレンシュタインは元気にしてる?」

 

『片腕を失いましたが、先生は元気です。

毎日、英雄王の恨み節を呟きながら片腕だけで戦えるようになる為の修行をしていますよ』

 

「そう。てっきりあまりの力の差に絶望して、戦えなくなったと思っていたわ」

 

『先生は執念深い人なので、それはないと思います』

 

「じゃあ、頑張んなさいね。

この計画の要は貴方なのだから……」

 

『はい』

 

電話の向こうに居る少年の返事を聞き終えた女は通話を切り、邪悪な笑みを浮かべながら赤座(駒)の元へと向かった。

 

「さあ、英雄王、道化と共に踊り狂いなさい」

 

 

―――――

 

 

「ガハハハ!まあ、気にすんなよ。

家の坊主の耐久値は普通のガキと違ってかなり高い。

ケガも大した事ない、なにも問題はないさ」

 

「そうか?」

 

「おうおう、孫夫婦も『未熟な息子が悪い、寧ろ謝罪しておいてください』と言っていたぞ」

 

「本当に強者が絶対なんだな……この家は」

 

龍馬の曾孫をノックアウトしたギルガメッシュは色々と呆れ、寅次郎は周りの雑音を無視するかの如く、瞑想状態に入っていた。

黒鉄本家の長男が救急車に運ばれた時は、犯人に怒り狂ってかなり騒がしかった家の人間たちも、犯人がギルガメッシュである事を知ると熱い掌返しを見せた。

今では救急車に運ばれた哀れな長男の事は忘れ、盛大に寅次郎とギルガメッシュにごますりをしているのだ。

 

「ささ、龍馬様もギルガメッシュ様も一献いかがですか?」

 

「ほら、寅次郎様の皿が空になってるぞ!!新しいつまみを持ってこい!!」

 

「いやはや、龍馬様も人が悪い。

ギルガメッシュ様と寅次郎様がやって来ているのなら我々にも連絡をくれればよい物を……。」

 

「全くですな。

所でギルガメッシュ様は独身と聞き及んでおりますがお相手はおりますかな?

居ないのでしたら是非、うちの娘など……」

 

「寅次郎様もよろしければ、うちの息子を弟子に……」

 

次から次へと顔を見るだけでもムカムカする連中の相手を右から左に流すように処理していくギルガメッシュ。

もし、長男を病院送りにしていなければ、目の前の黒鉄家の人間たちを半殺しにして、国に帰る勢いだ。

 

久々の休みであるはずなのに、疲れとストレスを溜める一日になりそうだと、軽率な行動を起こした自分を呪いつつも、彼は欲望に忠実な黒鉄家の人間の相手に胃腸を痛めるのだった。

 

 

 

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